説明

複合容器及びその製造方法

【課題】複合容器を簡易に製造する。
【解決手段】所定箇所に切欠(7)を有する外側容器(2)と、加熱した内側容器のプリフォーム(1a)とを、内側容器の成形型(10)内に装填し、次に、プリフォームを内側容器にブロー成形することにより、内側容器を外側容器の内面に密着させると同時に、内側容器に切欠内に突出する膨出部を形成する。内側容器の成形、及び内側容器と外側容器との一体化が同時に完了する。従って、複合容器の製造工程を簡略化、迅速化し、製造コストを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック製の内側容器と紙製の外側容器とが組み合わさった複合容器と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄肉化、軽量化したプラスチック製容器を補強するために、その外側を紙製容器で覆うことが試みられている。
【0003】
従来、この種の複合容器は、プラスチック製容器と紙製容器とが各々別工程で形成された後に結合されることで、完成品とされる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3750844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の複合容器は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックを用いて例えばボトル型の内側容器を作り、この胴部に別途紙で形成した筒状の外側容器を被せることによって作られるので、複合容器の製造に手間と時間がかかり、コストアップを招く。
【0006】
また、出来上がった複合容器について見れば、使用者は外側容器に遮られて中味の種類、状態、残量等を視認し難い。
【0007】
したがって、本発明は、上記問題点を解消することができる複合容器とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は上記課題を解決するため、次のような構成を採用する。
【0009】
なお、図面の参照符号を括弧付きで付するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0010】
すなわち、請求項1に係る発明は、プラスチック製の内側容器(1)に、紙を主体とする外側容器(2)が被せられてなる複合容器において、上記外側容器(2)の所定箇所に切欠(7)が形成され、上記内側容器(1)には、上記切欠(7)内に突出する膨出部(9)が形成された複合容器を採用する。
【0011】
請求項2に記載されるように、請求項1に記載の複合容器において、上記プラスチック製の内側容器(1)を透明又は半透明に形成することができる。
【0012】
請求項3に記載されるように、請求項1に記載の複合容器において、上記内側容器(1)及び上記外側容器(2)の各胴部(5,5a)が共に多角筒形に形成され、上記内側容器(1)の上端には注出口部(6)が設けられ、上記外側容器(2)の上端は上記注出口部(6)が突出する端板(3a)で閉じられ、上記切欠(7)は、上記内側容器(1)の注出口部(6)の近傍から胴部(5a)に沿って伸びるように、上記外側容器(2)の端板(3a)及び胴部(5a)に形成されたものとすることができる。
【0013】
請求項4に記載されるように、請求項3に記載の複合容器において、上記切欠(7)が外側容器(2)の稜線(11)上へと伸びているものとすることができる。
【0014】
請求項5に記載されるように、請求項1に記載の複合容器において、上記内側容器(1)の胴部(23)が筒形に形成され、胴部(23)の上端には注出口部(6)が設けられ、上記外側容器(2)は上記内側容器(1)の胴部(23)に被さる筒形に形成され、上記切欠(7)は外側容器(2)の上端から下方に伸びるように外側容器(2)に形成されたものとすることができる。
【0015】
請求項6に記載されるように、請求項1に記載の複合容器において、上記内側容器(1)の胴部(27)が筒形に形成され、胴部(27)の上端には注出口部(6)が設けられ、上記外側容器(2)は上記内側容器(1)の胴部(27)に被さる筒形に形成され、上記切欠(7)は外側容器(2)に多数形成されたものとすることができる。
【0016】
請求項7に記載されるように、請求項1に記載の複合容器において、上記外側容器(2)の深さ方向に上記切欠(7)が連続的又は間欠的に形成され、内容液の残量を示す表示(32)が上記切欠(7)の近傍に表示されたものとすることができる。
【0017】
請求項8に係る発明は、所定箇所に切欠(7)を有する外側容器(2)と、加熱した内側容器(1)のプリフォーム(1a)とを、上記内側容器(1)の成形型(10)内に装填し、次に、上記プリフォーム(1a)を内側容器(1)にブロー成形することにより、内側容器(1)を上記外側容器(2)の内面に密着させると同時に、上記内側容器(1)に上記切欠(7)内に突出する膨出部(9)を形成する複合容器の製造方法を採用する。
【0018】
請求項9に記載されるように、請求項8に記載の複合容器の製造方法において、上記内側容器(1)の成形型(10)を割り型(10a,10b)とし、開いた割り型(10a,10b)の一方に上記外側容器(2)を装着し、開いた割り型(10a,10b)の中間に上記プリフォーム(1a)を挿入し、次に、上記プリフォーム(1a)が上記外側容器(2)の切欠(7)を通って上記外側容器(2)内に到達するように割り型(10a,10b)を閉じ、しかる後に、上記ブロー成形を行うようにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、プラスチック製の内側容器(1)に、紙を主体とする外側容器(2)が被せられてなる複合容器において、上記外側容器(2)の所定箇所に切欠(7)が形成され、上記内側容器(1)には、上記切欠(7)内に突出する膨出部(9)が形成されたことから、内側容器(1)を外側容器(2)によって補強することができ、内側容器(1)のプラスチック使用量を低減することができ、薄肉化、軽量化することができる。また、膨出部(9)が切欠(7)内に突出するので、内側容器(1)と外側容器(2)とが容易に分離しないようにすることができる。
【0020】
また、内側容器(1)を透明又は半透明に形成した場合は、外側容器(2)の切欠(7)を通して内側容器(1)内を覗くことができるので、内側容器(1)内に充填された内容液の状態を容易に視認することができる。
【0021】
また、本発明は、所定箇所に切欠(7)を有する外側容器(2)と、加熱した内側容器(1)のプリフォーム(1a)とを、上記内側容器(1)の成形型(10)内に装填し、次に、上記プリフォーム(1a)を内側容器(1)にブロー成形することにより、内側容器(1)を上記外側容器(2)の内面に密着させると同時に、上記内側容器(1)に上記切欠(7)内に突出する膨出部(9)を形成する複合容器の製造方法であるから、内側容器(1)の成形、及び内側容器(1)と外側容器(2)との一体化が同時に完了する。従って、複合容器の製造工程を簡略化、迅速化し、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係る複合容器を示す斜視図である。
【図2】図1に示す複合容器の成形型を示す分解斜視図である。
【図3】図2に示す金型の平面図である。
【図4】図1に示す複合容器の外側容器を示す斜視図である。
【図5】図4に示す外側容器の展開図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る複合容器を示す斜視図である。
【図7】図6に示す複合容器の垂直断面図である。
【図8】図6に示す複合容器の成形型を示す分解斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る複合容器を示す斜視図である。
【図10】図9に示す複合容器の垂直断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明を実施するための形態について説明する。
【0024】
<実施の形態1>
図1に示すように、この複合容器は、プラスチック製の透明又は半透明の内側容器1と、紙を主体とする外側容器2とを具備し、内側容器1に外側容器2が被せられることにより一体化され一つの容器とされる。
【0025】
内側容器1は、透明又は半透明のプラスチック材料を用いて作られ、図1に示すように、上下端が各々端板3,4で閉じられた四角筒形の胴部5を有し、上端板3には注出口部6が設けられる。注出口部6には、図示しないキャップの雌ネジと螺合可能な雄ネジ6aが形成される。
【0026】
なお、内側容器1は、不透明のプラスチック材料を用いて作ることも可能である。
【0027】
プラスチック材料としては、PET、ポリプロピレン、ポリ乳酸(PLA)、その他各種の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、内側容器1を多層、例えばPET/ポリアミド系合成樹脂/PETの三層構造とすることで、複合容器の酸素等のガスバリア性を高めることができる。
【0028】
この内側容器1は、図2に示すような予め試験管状に成形されたプリフォーム1aが加熱された後に、成形型10及び外側容器2の中でブロー成形されることによって作られる。この内側容器1の具体的な作り方については後述する。
【0029】
外側容器2は、紙を主体とするシートによって作られ、図1及び図4に示すように、内側容器1の胴部5にその外側から密着するような四角筒形の胴部5aを有する。外側容器2の胴部5aの上下端は、各々上端板3aと下端板4aで閉じられる。
【0030】
上端板3aには、内側容器1の注出口部6を挿通するための切欠7が穿設される。この切欠7は、上端板3aにおける注出口部6の近傍から上端板3aの一隅へと伸び、さらに胴部5aの上端から下方へと伸びる。
【0031】
なお、切欠7は、図示例の位置及び形状に限定されるものではなく、他の位置に設けてもよいし、他の形状に切り抜いてもよいし、複数箇所に設けてもよい。
【0032】
ただし、胴部5a側の切欠7は、後述するこの複合容器の製造方法との関係から、プリフォーム1aの本体部分8の垂直断面形よりもやや大きい形状とされる。
【0033】
外側容器2の切欠7内には、上記内側容器1の壁が膨出部9となって突出する。この膨出部9は内側容器1が成形型7及び外側容器2の中でブロー成形されることにより形成される。望ましくは、内側容器1の膨出部9は、外側容器2の外壁面と面一となるように形成される。
【0034】
上述したように、内側容器1は透明又は半透明のプラスチックで形成されるので、内側容器1の膨出部9と外側容器2の切欠7を通して、内側容器1内に充填された図示しない内容液の状態や残量等を視認することができる。
【0035】
また、図1に示すように、望ましくは上記切欠7は外側容器2の胴部5aの稜線11上へと伸びるように形成される。これにより、内側容器1に充填される内容液を注出口部6から注出する際、内容液を注ぎ出しやすくすることができ、内側容器1内を透視しやすくすることができる。
【0036】
外側容器2は、図5に示すような展開カートン2aを組み立てることにより形成される。
【0037】
展開カートン2aは、紙を主体とするシートを打ち抜くことにより形成される。紙シートの表面又は裏面には、必要に応じてプラスチック層、金属箔層等が積層される。また、シートの表面には、所望の内容が印刷される。
【0038】
展開カートン2aは、図5に示すように、破線で示す縦折れ線を介して連設される第一の胴壁12、第二の胴壁13、第三の胴壁14及び第四の胴壁15を有する。第四の胴壁15には、縦折れ線を介して糊付け片16が連設される。第二の胴壁13の上下端には、破線で示す横折れ線を介して各々上端板3aと下端板4aが連設される。上下端板3a,4aの各々の先端、第一と第三の胴壁12,14の上下端には、各々横折れ線を介して舌片17が連設される。
【0039】
また、上端板3aから第一と第二の胴壁12,13に至る箇所には切欠7が穿設される。
【0040】
その他、必要に応じて、第一の胴壁12から第四の胴壁15を経て糊付け片16に至るように、ジッパー用の切目線18が二条刻設される。内容液を使い切った後この複合容器を廃棄する際に、切目線18で形成されるジッパーで外側容器2を引き裂くことで、内側容器1と外側容器2とを容易に分離することができる。
【0041】
外側容器2は、第一の胴壁12から第四の胴壁15を経て糊付け片16に至る部分を縦折れ線上で山折りし、糊付け片16を第一の胴壁12のハッチング箇所に糊付けし、各舌片17と上下端板3a,4aを各々横折れ線上で山折りし、胴壁側の舌片17を上下端板3a,4aのハッチング箇所に糊付けし、上下端板3a,4a側の舌片17を第四の胴壁15のハッチング箇所に糊付けすることにより、図4に示す如く組み立てられる。
【0042】
上述したように、この複合容器では、内側容器1の外面が外側容器2で覆われ、内側容1器が外側容器2によって補強されるので、内側容器1を構成するプラスチックの使用量を低減し、内側容器1の壁厚を薄くすることが可能である。
【0043】
従来、容量1.5L〜2LのボトルをPET製プリフォームのブロー成形によって得る場合、PETの使用量が32g〜45gで、ボトルの最も薄い壁厚を約0.3mmとする必要があった。これに対し本発明によれば、内側容器のブロー成形にPETを約18g使用し、最も薄い壁厚を0.07〜0.04mmとしても、従来のボトルと同程度の強度を得ることができた。
【0044】
次に、上記複合容器の製造方法について説明する。
【0045】
(1)図2に示すように、ブロー成形用の成形型10と、プリフォーム1aと、外側容器2とを用意する。
【0046】
成形型10は、二分割の割り型10a,10bとされ、複合容器を相対向する二本の稜線を含む面で分断したものに対応するキャビティ19が各々に形成される。この割り型10a,10bは、図3に示すように、ヒンジ20を介し開閉可能に連結される。
【0047】
プリフォーム1aは、図示しない射出成形機によって、図2に示すような試験管状に予め成形される。プリフォーム1aには、図1に示した注出口部6が予め設けられる。
【0048】
このプリフォーム1aの注出口部6を挟んで保持するための凹部21が上記成形型10に設けられる。
【0049】
外側容器2は、図示しない製函機によって、図4の如く箱形に予め組み立てられる。
【0050】
(2)外側容器2が、図2に示すように、開いた成形型10における一方の割り型10bのキャビティ19内に装填される。この工程は図示しないロボット等により行われる。
【0051】
(3)プリフォーム1aが、図2及び図3に示すように、開いた成形型10における両割り型10a,10b間に挿入される。プリフォーム1aは、成形型10内に挿入される前に、注出口部6を除く本体部分8が予め加熱される。
【0052】
この挿入工程は、図示しないロボット等により行われる。プリフォーム1aは、その注出口部6が外側容器2の上端板3aの切欠7に対応し、本体部分8が外側容器1の胴部5aの切欠7に対応するように、両割り型10a,10b間に配置される。
【0053】
なお、上述したように、外側容器2の胴部5aの切欠7は、プリフォーム1aの本体部分8の垂直断面よりもやや大きい形状とされる。
【0054】
(4)成形型10の割り型10a,10bがヒンジ20を支点にして回動し、成形型10が閉じられる。その際、プリフォーム1aの本体部分8は外側容器2の切欠7を通過し、外側容器2の中心部に到達する。また、プリフォーム1aの注出口部6は外側容器2の上端板3aにおける切欠7の中心へと侵入し、成形型10外に突出する。
【0055】
(5)プリフォーム1a内に、その注出口部6からエアが吹き込まれ、内側容器1のブロー成形が行われる。
【0056】
プリフォーム1aの本体部分8は、外側容器2及び成形型10の中で二軸延伸を伴った膨張を行い、外側容器2の内面に密着し、また、膨出部9となる部分が外側容器2の切欠7の肉厚内に入り込んで成形型10のキャビティ19の内面に密着する。これにより、内側容器1の成形、及び内側容器1と外側容器2との一体化が同時に完了する。
【0057】
(6)成形型10の割り型10a,10bがヒンジ20を支点にして開く。そして、図1に示す複合容器が成形型10から排出される。
【0058】
(7)なお、完成した複合容器内には、その後注出口部6から内容液が充填される。そして、注出口部6に図示しないキャップがキャッピングされることによって、複合容器が密封される。
【0059】
<実施の形態2>
図6及び図7に示すように、この実施の形態2では、内側容器1は略円筒形の胴部23を有する。胴部23の底はドーム型の底部22で閉じられ、胴部23の上端には肩部24を介して注出口部6が設けられる。
【0060】
この内側容器1は、図8に示すような予め成形されたプリフォーム1aが加熱された後に、成形型10及び外側容器2の中でブロー成形されることによって作られる。この内側容器1の具体的な作り方については後述する。
【0061】
外側容器2は、紙を主体とするシートが巻回され、端縁同士が接着されることによって作られ、図6に示すように、内側容器1の胴部23にその外側から被さって密着するような円筒形の胴部25を有する。外側容器2の胴部25の上下端は、各々開放状態とされる。
【0062】
外側容器2の胴部25には、その上端から中途まで胴部25の円筒形の母線に沿って伸びる切欠7が形成される。この切欠7は、後述するこの複合容器の製造方法との関係から、プリフォーム1aの本体部分8の垂直断面よりもやや大きい形状とされる。
【0063】
外側容器2の切欠7内に、上記内側容器1の壁が膨出部9となって突出する。この膨出部9は内側容器1が成形型10及び外側容器2の中でブロー成形されることにより形成される。望ましくは、内側容器1の膨出部9は、外側容器2の外壁面と面一となるように形成される。
【0064】
上記内側容器1は透明又は半透明のプラスチックで形成され、内側容器1の膨出部9と外側容器2の切欠7を通して、内側容器1内に充填された内容液の状態や残量等を視認することができる。
【0065】
また、図7に示すように、上記内側容器1の胴部25における上下部には、上記外側容器2の上下端が嵌り込む段部26が形成される。この段部26は上記外側容器2の胴部25を構成するシートの厚さの半分程度である。上記外側容器2の上下端が内側容器1の段部26に当接することにより、外側容器2が内側容器1から容易に離脱しないようにすることができる。
【0066】
この実施の形態2における複合容器も、内側容器1の胴部25の外面が外側容器2で覆われ、内側容器1が外側容器2によって補強されるので、内側容器1を構成するプラスチックの使用量を低減し、内側容器1の壁厚を薄くすることが可能である。
【0067】
次に、上記複合容器の製造方法について説明する。
【0068】
(1)図8に示すように、ブロー成形用の成形型10と、プリフォーム1aと、外側容器2とを用意する。
【0069】
成形型10は、複合容器の縦方向に沿って二分割された割り型10a,10bと、底型10cとで構成され、割り型10a,10bには複合容器を縦に分断したものに対応する形状のキャビティ19が形成される。この割り型10a,10bは、図3に示したと同様に、ヒンジ20を介し開閉可能に連結される。底型10cは割り型10a,10bの一端に着脱自在に配置される。
【0070】
また、図8に示すように、割り型10a,10bのキャビティ19内には、上記内側容器1の上下の段部26に各々対応するように凸部26aが設けられる。凸部26aの突出量は、外側容器2を構成するシートの厚さの略半分である。
【0071】
プリフォーム1aは、図示しない射出成形機によって、図8に示すような試験管状に予め成形される。プリフォーム1aには、図6及び図7に示した注出口部6が形成される。
【0072】
なお、このプリフォーム1aの注出口部6を挟む凹部21が上記成形型10の割り型10a,10bに設けられる。
【0073】
外側容器2は、図示しない製函機等によって、シートが図6の如く円筒形に巻回され、端部同士が接着剤等で貼着されることにより組み立てられる。
【0074】
なお、外側容器2には、実施の形態1の場合と同様なジッパー等を形成するための切目線が必要に応じて設けられる(図示せず)。
【0075】
(2)外側容器2が、図8に示すように、開いた成形型10における一方の割り型10bのキャビティ19内に装填される。外側容器2は、その切欠7が他方の割り型10aのキャビティ19に対向しうるように割り型10b内に装着される。この工程は図示しないロボット等により行われる。
【0076】
(3)プリフォーム1aが、図8に示すように、成形型10の開いた割り型10a,10b間に挿入される。プリフォーム1aは、成形型10内に挿入される前に、注出口部6を除く本体部分8が予め成形可能な温度まで加熱される。
【0077】
この挿入工程は、図示しないロボット等により行われる。プリフォーム1aは、その本体部分8が外側容器2の切欠7に対応するように、開いた割り型10a,10b間に配置される。
【0078】
なお、上述したように、外側容器2の切欠7は、プリフォーム1aの本体部分8の垂直断面よりもやや大きい形状とされる。
【0079】
(4)成形型10の割り型10a,10bがヒンジ20を支点にして閉じ方向に回動し、また底型10cが割り型10a,10bに組み合わせられる。割り型10a,10bが閉じる際、プリフォーム1aの本体部分8は外側容器2の切欠7を通過し、外側容器2の中心部に到達する。また、プリフォーム1aの注出口部6は閉じた割り型10a,10bから外部に突出する。
【0080】
(5)プリフォーム1a内に、その注出口部6からエアが吹き込まれ、内側容器1のブロー成形が行われる。
【0081】
このとき、膨らみつつあるプリフォーム1aが外側容器2の内面に接することにより、外側容器2が成形型10の底側に押される。しかし、外側容器2の下端が成形型10の下側の凸部26aに当接することで、成形型10内での外側容器2の位置ズレが防止され、外側容器2は内側容器1に対し所定の定位置に付着する。
【0082】
プリフォーム1aの本体部分8は、外側容器2及び成形型10の中で二軸延伸を伴った膨張を行い、外側容器2の内面に密着し、また、膨出部9となる部分が外側容器2の切欠7の肉厚内に入り込んで成形型10のキャビティ19の内面に密着する。これにより、内側容器1の成形、及び内側容器1と外側容器2との一体化が同時に完了する。
【0083】
(6)成形型10の割り型10a,10bがヒンジ20を支点にして開き、底型10cが割り型10a,10bから離反する。そして、図6に示す複合容器が成形型10から排出される。
【0084】
(7)その後、複合容器内には注出口部6から内容液が充填される。そして、注出口部6に図示しないキャップがキャッピングされることによって、複合容器が密封される。
【0085】
<実施の形態3>
図9及び図10に示すように、この実施の形態3では、内側容器1は円筒形の胴部27
を有する。胴部27の底は円盤状の底部28で閉じられ、胴部27の上端には肩部24を介して注出口部6が設けられる。
【0086】
内側容器1の底部28は、実施の形態2におけるドーム型のものとは異なり、平坦な円盤状に形成される。
【0087】
この内側容器1は、図8に示したと同様な予め成形されたプリフォーム1aが加熱された後に、成形型(図示せず)及び外側容器2の中でブロー成形されることによって作られる。この内側容器1の具体的な作り方については後述する。
【0088】
外側容器2は、実施の形態2の場合と同様に、紙を主体とするシートを巻回し、端縁同士を接着することによって作られ、図9及び図10に示すように、内側容器1の胴部27にその外側から被さって密着するような円筒形の胴部29を有する。
【0089】
外側容器2の胴部29の上端は開放されるが、下端は円盤状の端板30で閉じられる。胴部29の下端には、胴部29から端板30が離脱しないように、カール部31が形成される。
【0090】
外側容器2の胴部29には、実施の形態2におけるU字形の切欠に代えて、円形の小孔である切欠7が多数穿設される。
【0091】
切欠7は、胴部29の複数本の母線上に一定間隔で複数個形成される。もちろん、この配列に限定されるものではなく、その他の例えば千鳥状に配列することも可能である。また、切欠7の形状も円形に限らず四角形等他の所望の形状とすることができる。
【0092】
この外側容器2の切欠7内には、上記内側容器1の壁が膨出部9となって突出する。各膨出部9は内側容器1が成形型及び外側容器2の中でブロー成形されることにより形成され、切欠7の形状に倣った形状で突出する。望ましくは、内側容器1の膨出部9は、外側容器2の外壁面と面一となるように形成される。膨出部9の存在により、内側容器1は外側容器2からの抜け出しが阻止される。
【0093】
上記内側容器1は透明又は半透明のプラスチックで形成することも可能である。その場合は、外側容器2の深さ方向に切欠7が間欠的に形成され、内容液の残量を示す表示32が例えば数値として切欠7の近傍に所定のピッチで表示される。もちろん、切欠7は間欠的でなく連続的に形成することも可能である。このように残量が表示されることで、外側容器2の切欠7を通して、内側容器1内に充填された内容液(図示せず)の状態や残量等が視認可能になる。
【0094】
この実施の形態3における複合容器も、内側容器1の胴部27の外面が外側容器2で覆われ、内側容器1が外側容器2によって補強されるので、内側容器1を構成するプラスチックの使用量を低減し、内側容器1の壁厚を薄くすることが可能である。
【0095】
次に、上記複合容器の製造方法について説明する。
【0096】
(1)図8に示したと同様にして、ブロー成形用の成形型と、プリフォーム1aと、外側容器2とを用意する。
【0097】
ただし、外側容器2は底部に端板30を備えるので、この実施の形態3における成形型では底型10cが図2に示したと同様に割り型10a,10bと一体化される。
【0098】
プリフォーム1aは、実施の形態1,2の場合と同様なものが用意される。
【0099】
外側容器2は、切欠7が多数穿設されたシートが円筒形に巻回され、端部同士が接着剤等で貼着されることにより組み立てられる。
【0100】
なお、外側容器2には、実施の形態1の場合と同様なジッパー等を形成するための切目線18が必要に応じて設けられる。
【0101】
(2)外側容器2が、図8に示した実施の形態2の場合と同様に、成形型における開いた割り型の一方のキャビティ内に装填される。この工程は図示しないロボット等により行われる。
【0102】
(3)プリフォーム1aが、図8に示すように、成形型における開いた割り型間に挿入される。プリフォーム1aは、成形型内に挿入される前に、注出口部6を除く本体部分8が予め成形可能な温度まで加熱される。この挿入工程は、図示しないロボット等により行われる。
【0103】
しかし、実施の形態2の場合とは異なり、外側容器2はその上側にU字形の切欠を備えないので、プリフォーム1aは、その本体部分8が外側容器2の上端に接触しないように、開状態の割り型間に配置される。
【0104】
(4)成形型がヒンジを支点にして閉じ方向に回動して閉じる。成形型が閉じる際、プリフォーム1aの本体部分8は外側容器2の上端から外れた位置を通過し、外側容器2の中心部に到達する。また、プリフォーム1aの注出口部6は成形型から外部に突出する。
【0105】
(5)プリフォーム1a内に、その注出口部6からエアが吹き込まれ、内側容器1のブロー成形が行われる。
【0106】
プリフォーム1aの本体部分8は、外側容器2及び成形型の中で二軸延伸を伴った膨張を行い、外側容器2の内面に密着し、また、膨出部9となる部分が外側容器2の切欠7内に入り込んで成形型のキャビティの内面に密着する。これにより、内側容器1の成形、及び内側容器1と外側容器2との一体化が同時に完了する。
【0107】
(6)成形型がヒンジを支点にして開き、図9に示す複合容器が成形型から排出される。
【0108】
(7)その後、複合容器内には注出口部6から内容液が充填される。そして、注出口部6に図示しないキャップがキャッピングされることによって、複合容器が密封される。
【0109】
なお、本発明は、上述した実施の形態及び実施例に限定されることなく種々の形態にて実施可能である。
【0110】
例えば、本発明の実施の形態では複合容器の形状を四角柱又は円柱としたが、これらに限らず、三角柱、五角柱等他の形状とすることも可能である。また、切欠の形状もU字形、円形に限らず、他の所望の形状に形成することが可能であり、プリフォームの太さ、長さに近似したものよりも更に大きくすることもできる。
【符号の説明】
【0111】
1…内側容器
2…外側容器
7…切欠
9…膨出部
5,5a,23,27…胴部
6…注出口部
3a…端板
10…成形型
10a,10b…割り型
11…稜線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック製の内側容器に、紙を主体とする外側容器が被せられてなる複合容器において、上記外側容器の所定箇所に切欠が形成され、上記内側容器には、上記切欠内に突出する膨出部が形成されたことを特徴とする複合容器。
【請求項2】
請求項1に記載の複合容器において、上記プラスチック製の内側容器は、透明又は半透明であることを特徴とする複合容器。
【請求項3】
請求項1に記載の複合容器において、上記内側容器及び上記外側容器の各胴部が共に多角筒形に形成され、上記内側容器の上端には注出口部が設けられ、上記外側容器の上端は上記注出口部が突出する端板で閉じられ、上記切欠は、上記内側容器の注出口部の近傍から胴部に沿って伸びるように、上記外側容器の端板及び胴部に形成されたことを特徴とする複合容器。
【請求項4】
請求項3に記載の複合容器において、上記切欠が外側容器の稜線上へと伸びていることを特徴とする複合容器。
【請求項5】
請求項1に記載の複合容器において、上記内側容器の胴部が筒形に形成され、胴部の上端には注出口部が設けられ、上記外側容器は上記内側容器の胴部に被さる筒形に形成され、上記切欠は外側容器の上端から下方に伸びるように外側容器に形成されたことを特徴とする複合容器。
【請求項6】
請求項1に記載の複合容器において、上記内側容器の胴部が筒形に形成され、胴部の上端には注出口部が設けられ、上記外側容器は上記内側容器の胴部に被さる筒形に形成され、上記切欠は外側容器に多数形成されたことを特徴とする複合容器。
【請求項7】
請求項1に記載の複合容器において、上記外側容器の深さ方向に上記切欠が連続的又は間欠的に形成され、内容液の残量を示す表示が上記切欠の近傍に表示されたことを特徴とする複合容器。
【請求項8】
所定箇所に切欠を有する外側容器と、加熱した内側容器のプリフォームとを、上記内側容器の成形型内に装填し、次に、上記プリフォームを内側容器にブロー成形することにより、内側容器を上記外側容器の内面に密着させると同時に、上記内側容器に上記切欠内に突出する膨出部を形成することを特徴とする複合容器の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の複合容器の製造方法において、上記内側容器の成形型を割り型とし、開いた割り型の一方に上記外側容器を装着し、開いた割り型の中間に上記プリフォームを挿入し、次に、上記プリフォームが上記外側容器の切欠を通って上記外側容器内に到達するように割り型を閉じ、しかる後に、上記ブロー成形を行うことを特徴とする複合容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−96831(P2012−96831A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245899(P2010−245899)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】