説明

複合操作型入力装置

【課題】揺動操作時に明確なクリック感を得ることができる複合操作型入力装置を提供する。
【解決手段】ホルダ7に上面を開口した有底状の収納部7aを設け、この収納部7aの内部に回転可能に軸支した回転操作体1の一部を収納部7aの上面から突出させる。ホルダ7に収納部7aを介して互いに逆方向外側へ延びる一対の軸部7b,7cを突設し、これら両軸部7b,7cを通る直線を揺動中心軸Pとしてホルダ7を揺動可能に支持すると共に、収納部7aの底面中央に形成した凹状カム部23と該凹状カム部23に弾接する基台4側の弾接部材(駆動受体8とスプリング9)とでクリック機構を構成し、このクリック機構によってホルダ7を揺動方向の中立位置に自動復帰させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも回転操作と揺動操作が可能な複合操作型入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホイール形状の回転操作体を箱型形状のホルダに回転可能に軸支し、このホルダを支持部材によって揺動可能に支持するようにした複合操作型入力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる複合操作型入力装置において、回転操作体の上部を除く大部分はホルダに設けられた有底状の収納部内に収納されており、この収納部から突出する回転操作体の外周面がユーザの手指等で回転操作されるようになっている。回転操作体は収納部を短手方向に貫通する回転軸によってホルダに軸支されており、この回転軸の一端には回転操作体の回転検出手段であるロータリエンコーダが連結されている。ホルダの外壁面には回転操作体の回転軸と直交する方向に延びる一対の軸部が突設されており、ホルダはこれら両軸部の軸心を通る直線を揺動中心軸として支持部材の軸受部に支承されている。一方の軸部の先端にはL字状の揺動体が連結されており、この揺動体の下端に取り付けられた永久磁石と支持部材上に実装されたホールセンサとによってホルダの揺動検出手段が構成されている。また、ホルダは支持部材に片持ち状に支持された線ばねを復帰手段として揺動方向の中立位置に保持されており、この線ばねの自由端は永久磁石の上面中央を通って揺動体に係止されている。
【0003】
このように概略構成された複合操作型入力装置では、ホルダの収納部から突出する回転操作体の外周面をユーザの手指等で回転操作すると、該回転操作体の回転量や回転方向が回転検出手段であるロータリエンコーダによって検出される。一方、ユーザが回転操作体の外周面を回転方向と直交する方向へ揺動操作すると、ホルダが回転操作体と一体的に揺動中心軸の回りを左右方向に回動し、それに伴って回動する揺動体の永久磁石と支持部材上のホールセンサとの相対位置が変化するため、ホルダの揺動方向が揺動検出手段によって検出される。また、かかるホルダの揺動操作に伴って線ばねが揺動体の回動方向へ弾性変形するため、ユーザによる揺動方向への操作力が除去されると、ホルダは線ばねの弾性復帰力によって揺動方向の中立位置に自動復帰される。
【特許文献1】実用新案登録第3109167号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の複合操作型入力装置では、ホルダを中立位置に自動復帰させる復帰手段として線ばねを用いているため、ホルダの揺動操作時にクリック感は生起されないが、ホルダの揺動操作時にクリック感を生起させるクリック機構が付設されていれば、ユーザがホルダをブラインドタッチで揺動操作することができて好ましいものとなる。このようなクリック機構を前述した従来の複合操作型入力装置に付設する場合、例えば、ホルダの軸部の先端に下面に凹状カム部を有する駆動体を連結すると共に、この凹状カム部に弾接する弾接部材を支持部材側に配置することが考えられるが、この場合、揺動操作力が作用する回転操作体の外周面からクリック機構に至る揺動中心軸方向の距離が長くなるため、揺動操作時にホルダの軸部や駆動体にねじれが発生しやすくなる。その結果、クリック機構の動作タイミングに若干の遅れが出てしまい、切れ味の良い明確なクリック感を得ることができなくなる、という問題が予測される。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、揺動操作時に明確なクリック感を得ることができる複合操作型入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の複合操作型入力装置では、対向する位置に一対の被支持部を有すると共に、これら両被支持部間に上面を開口した有底状の収納部が設けられているホルダと、前記収納部の内部に回転可能に軸支されて該収納部から一部を露出する回転操作体と、前記両軸部の軸心を通る直線を揺動中心軸として前記ホルダを揺動可能に支持する支持部材と、前記ホルダの揺動動作を検出する揺動検出手段と、前記回転操作体の回転動作を検出する回転検出手段と、前記ホルダを揺動方向の中立位置に自動復帰させる復帰手段とを備え、前記復帰手段が凹状カム部と該凹状カム部に弾接する弾接部材とで構成されたクリック機構からなり、前記収納部の底板と該底板に対向する前記支持部材とのうち、いずれか一方に前記凹状カム部を設けると共にいずれか他方に前記弾接部材を設ける構成とした。
【0007】
このように構成された複合操作型入力装置によれば、揺動中心軸に沿う方向における回転操作体の中心からクリック機構までの距離が短くなるため、ホルダの収納部から露出する回転操作体の外周面に揺動操作力が作用したとき、この揺動操作力はホルダのねじれをほとんど伴うことなくクリック機構に伝達される。したがって、クリック機構に大きな動作タイミングの遅れは発生せず、切れ味の良い明確なクリック感を得ることができる。
【0008】
上記の構成において、クリック機構を構成する凹状カム部または弾接部材の配置位置はホルダの収納部の底板であればどこでも良いが、これら凹状カム部と弾接部材とがホルダの揺動中心軸に直交して回転操作体の中心を通る鉛直線上に配置されていると、揺動中心軸に沿う方向における回転操作体の中心からクリック機構までの距離がゼロとなり、ホルダのねじれや動作タイミングの遅れがほぼ発生しなくなるため、より明確なクリック感を得ることができて好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の複合操作型入力装置は、ホルダが有する収納部の底板にクリック機構の構成部材である凹状カム部または弾接部材を設けてあり、ホルダの揺動中心軸に沿う方向における回転操作体の中心からクリック機構までの距離が短くなるため、ホルダの収納部から露出する回転操作体の外周面に揺動操作力が作用したとき、この揺動操作力はホルダのねじれをほとんど伴うことなくクリック機構に伝達される。したがって、ホルダの揺動操作時にクリック機構に大きな動作タイミングの遅れは発生せず、切れ味の良い明確なクリック感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る複合操作型入力装置の斜視図、図2は該入力装置の分解斜視図、図3は図1の入力装置からケーシングを取り除いて示す斜視図、図4は図3の反対側から見た斜視図、図5は該入力装置に備えられるホルダとクリック機構を下方から見た斜視図、図6は該入力装置の長手方向に沿う断面図、図7は該入力装置の短手方向に沿う断面図、図8は該入力装置が装着されたステアリングホイールの一部を示す正面図である。
【0011】
本実施形態例に係る複合操作型入力装置は、例えばエアコンの風量風向調整やオーディオ機器の音量音質調整等の入力手段として用いられるものであり、図8に示すように、自動車のステアリングホイール50のスポーク部51の内部に装着されている。スポーク部51には複合操作型入力装置を覆う化粧板52が取り付けられており、この化粧板52から複合操作型入力装置の回転操作体1や複数の操作キー2の上端が露出してユーザ(運転者)の手指で操作できるようになっている。
【0012】
図1〜図7に示すように、この複合操作型入力装置は、下面を開放した中空構造のケーシング3と、ケーシング3の下面を塞ぐ基台4と、基台4上に載置された回路基板5と、回路基板5上に載置されたラバーコンタクト6と、ケーシング3の内部に揺動可能に収納されたホルダ7と、ホルダ7に回転可能に軸支されたホイール形状の回転操作体1等を備えており、ケーシング3と基台4はスナップ結合等の固定手段を用いて一体化されている。
【0013】
ケーシング3は合成樹脂の成形品からなり、その上面には1つの開口部3aと複数のガイド孔3bが設けられている。図1に示すように、開口部3aからは回転操作体1の上部が突出しており、各ガイド孔3bにはそれぞれ操作キー2(図8参照)が昇降可能に支持されている。基台4も合成樹脂の成形品からなり、その内底面には上面を開放した保持筒4aが立設されている。この保持筒4aには上端に駆動ピン8aを有する駆動受体8が挿入・保持されており、この駆動受体8はスプリング9の弾発力によって上方へ付勢されている。これら駆動受体8とスプリング9はクリック機構の一部をなす弾接部材であり、後述するように、クリック機構の他部はホルダ7の底面に凹状カム部23として形成されている(図5参照)。
【0014】
回路基板5は基台4上にねじ止めされており、その中央部には逃げ孔5aが穿設されている。回路基板5上には一対のフォトインタラプタ10が実装されており、これらフォトインタラプタ10の間には所定の間隔が確保されている。両フォトインタラプタ10は図示せぬ発光素子と受光素子を有する光検出素子であり、これら発光素子と受光素子は凹溝10aを介して対向配置されている。また、回路基板5上にはプッシュスイッチ11が実装されており、これらプッシュスイッチ11と両フォトインタラプタ10は逃げ孔5aを介して対向する位置にある。基台4上に載置されたラバーコンタクト6の中央部には回路基板5の逃げ孔5aと同形状の逃げ孔6aが穿設されており、これら逃げ孔5a,6aはホルダ7の移動を許容するスペースとして機能する。ラバーコンタクト6には一対の透孔6b,6cが穿設されており、回路基板5上の両フォトインタラプタ10とプッシュスイッチ11はこれら透孔6b,6c内に露出している(図7参照)。また、ラバーコンタクト6には複数の膨出部6dが一体形成されており、前述した各操作キー2の下端はこれら膨出部6dの上面に対向している。なお、図示省略されているが、各膨出部6dの内底面には可動接点が形成されると共に、回路基板5上の対向する位置には複数組の固定接点が形成されており、これら可動接点と固定接点の組によって操作キー2の押圧操作を検出する押圧スイッチが構成されている。
【0015】
ホルダ7は合成樹脂の成形品からなり、このホルダ7には上面を開口した有底状の収納部7aが設けられている。収納部7aの内部には回転操作体1の大部分が収納されており、この回転操作体1の中心部には支軸12が係合状態で挿通されている。図6に示すように、この支軸12は収納部7aの長手方向に沿う両側壁に軸支されており、回転操作体1は支軸12の軸心を通る直線を回転軸Qとしてホルダ7に回転可能に支持されている。支軸12の一端には大径鍔部12aが設けられており、この大径鍔部12aの外周面には多数の凹凸が交互に形成されている。図4と図6に示すように、ホルダ7の外側面には保持部7fが形成されており、この保持部7fの内部にスプリング24と駆動受体25が収納されている。駆動受体25はスプリング24の弾発力を受けて大径鍔部12aの外周面に圧接されており、回転操作体1と一体的に支軸12が回転すると、駆動受体25が大径鍔部12aの凹凸に係脱してクリック感が生起されるようになっている。
【0016】
ホルダ7には上部カバー13と側部カバー14がスナップ結合等を用いて取り付けられており、収納部7aの上端から突出した回転操作体1の外周面は上部カバー13の開口13a内に露出している。また、側部カバー14とこれに対向するホルダ7の側面との間にコード板15が軸支されており、このコード板15は支軸12の他端にねじ止めされた歯車16に噛合している。これにより、回転操作体1の回転が支軸12から歯車16を介してコード板15に伝達される。さらに、ホルダ7の下面にはサブ基板17が固定されており、このサブ基板17上には一対のフォトインタラプタ18が実装されている。両フォトインタラプタ18も図示せぬ発光素子と受光素子を有する光検出素子であり、これら発光素子と受光素子は凹溝18aを介して対向配置されている。コード板16は周縁部に4つの切欠きを有する十字状に形成されており、該コード板16の周縁部が両フォトインタラプタ18の凹溝18a内を回転することにより、両フォトインタラプタ18から互いの位相を異にする信号が出力される。すなわち、これらコード板16と両フォトインタラプタ18とによって回転操作体1の回転量や回転方向を検出する回転検出手段が構成されている。
【0017】
図7に示すように、ホルダ7は互いに逆方向外側へ突出する第1の軸部7bと第2の軸部7c(対向する位置に設けられた一対の被支持部に相当)とを有し、これら両軸部7b,7cは収納部7aの短手方向に沿う両側壁に突設されている。すなわち、第1および第2の軸部7b,7cは前述した回転操作体1の回転軸Qに対して直交する線上で互いに逆方向へ突出している。第1の軸部7bの先端部は球状に形成されており、該第1の軸部7bの先端部はケーシング3の内壁上面に形成された球状受部3cと止め板19とで挟持されている。この止め板19はケーシング3の側壁に穿設された貫通孔3dから球状受部3cの下方まで挿入された後、ねじ20を用いてケーシング3の外壁面に取り付けられている。一方、第2の軸部7cは円柱状に形成されており、該第2の軸部7cの先端部はケーシング3の内壁に形成された軸受凹部3eの上面に支持されている。これにより、ホルダ7は第1および第2の軸部7b,7cの軸心を通る直線を揺動中心軸Pとしてケーシング3に揺動可能に支持されると共に、第1の軸部7bを支点として第2の軸部7cが軸受凹部3e内を矢印B方向へ回動できるようになっている。また、ホルダ7には第2の軸部7cの下方に位置する駆動部7dが突設されており、この駆動部7dの下面は前述したプッシュスイッチ11のアクチュエータに当接している(図4参照)。図示せぬが、プッシュスイッチ11には自身のアクチュエータを上方へ付勢する復帰ばねが内蔵されており、この復帰ばねの弾発力によって第2の軸部7cは軸受凹部3eの上面に圧接されている。すなわち、プッシュスイッチ11はホルダ7の矢印B方向への回動を検出する押圧検出手段であると共に、ホルダ7を押圧前の元位置に復帰させる復帰手段としても機能している。
【0018】
ホルダ7の外側面下部には第1の軸部7bの下方に位置する支持突起7eが形成されており、この支持突起7eに被検出体としての遮光板21がねじ22を用いて取り付けられている。遮光板21は第1の軸部7bの球状の先端部よりも収納部7aの中心寄りの位置に取り付けられており、ホルダ7と遮光板21は揺動中心軸Pの回りを一体的に揺動する。遮光板21の下端部は前述した両フォトインタラプタ10の凹溝10a内を揺動し、それに伴って両フォトインタラプタ10からオン/オフの切り替え信号が出力される。すなわち、これら遮光板21と両フォトインタラプタ10によってホルダ7の揺動方向を検出する揺動検出手段が構成されている。
【0019】
図5に示すように、ホルダ7の底面には凹状カム部23が形成されており、前述したように、この凹状カム部23と基台4側に保持された弾接部材(駆動受体8とスプリング9)とによってクリック機構が構成されている。このクリック機構は、ホルダ7の揺動操作時にクリック感を生起させる機能を有するものであるが、ホルダ7を揺動方向の中立位置に自動復帰させる復帰手段としても機能している。凹状カム部23は中央の凹部23aを境に斜め下方へ拡がる一対の傾斜面23bを有しており、凹部23aはホルダ7の揺動中心軸Pと平行に延びている。図6と図7に示すように、凹状カム部23は回転操作体1の回転軸Qとホルダ7の揺動中心軸Pに対してそれぞれ直交する直線、すなわち、回転操作体1の中心と収納部7aの底面を通る鉛直線R上に形成されており、このような凹状カム部23に対して駆動受体8の駆動ピン8aがスプリング9の弾発力を受けて圧接されている。
【0020】
このように構成された複合操作型入力装置では、化粧板52から露出する各操作キー2の上面をユーザが親指等で押圧操作すると、押圧された操作キー2がケーシング3のガイド孔3bに沿って下降するため、該操作キー2の下方に位置するラバーコンタクト6の膨出部6dが座屈して押圧スイッチがオン動作される。そして、操作キー2に対する上記押圧力を除去すると、ラバーコンタクト6の膨出部6dが自身の弾性によって元の姿勢に復帰するため、操作キー2がガイド孔3bに沿って上昇すると共に、押圧スイッチがオンからオフへと切り替わる。
【0021】
また、この複合操作型入力装置では、化粧板52から露出する回転操作体1の外周面にユーザが親指等を押し当てて回転操作と揺動操作および押圧操作とを選択的に行うことができ、これら各操作をそれぞれ回転検出手段と揺動検出手段および押圧検出手段によって検出できるようになっている。例えば、回転操作体1を支軸12を回転軸として図7の矢印C方向へ回転操作すると、それに伴ってコード板15の周縁部が両フォトインタラプタ18の凹溝18a内を回転するため、両フォトインタラプタ18の出力信号に基づいて回転操作体1の回転量や回転方向を検出することができる。その際、支軸12の大径鍔部12aに形成された凹凸に対して駆動受体25が係脱してクリック感を生起するため、ユーザはこのクリック感によって回転操作体1の回転量を概略把握することができる。
【0022】
また、化粧板52から露出する回転操作体1の外周面を図6の矢印A1−A2方向へ揺動操作すると、ホルダ7が第1および第2の軸部7b,7cの軸心を通る直線を揺動中心軸Pとして同方向へ揺動し、それに伴って遮光板21の下端部がいずれか一方のフォトインタラプタ10の凹溝10a内を横切るように移動するため、両フォトインタラプタ10のオン/オフ信号に基づいてホルダ7の揺動方向を検出することができる。その際、ホルダ7の揺動動作に伴って凹状カム部23と駆動受体8の相対位置が変化し、駆動ピン8aが凹状カム部23の凹部23aから一方の傾斜面23bへ移行してクリック感を生起するため、ユーザはこのクリック感によってフォトインタラプタ10がオン動作したことを認識することができる。そして、回転操作体1に対する上記揺動操作力を除去すると、スプリング9に付勢された駆動ピン8aが凹状カム部23の傾斜面23b上を摺動して凹部23aに係合するため、回転操作体1とホルダ7は揺動方向の中立位置に自動復帰する。
【0023】
さらに、化粧板52から露出する回転操作体1の外周面を図7の矢印B方向へ押圧操作すると、ホルダ7は第1の軸部7bを支点として第2の軸部7cが下降するように回動するため、駆動部7dがプッシュスイッチ11のアクチュエータを押し込んでオン動作させる。そして、回転操作体1に対する上記押圧操作力を除去すると、プッシュスイッチ11に内蔵された図示せぬ復帰ばねの弾発力によって第2の軸部7cが上昇するため、回転操作体1とホルダ7は押圧操作前の非操作状態に自動復帰する。
【0024】
このように本実施形態例によれば、ホルダ7を揺動方向の中立位置に自動復帰させる復帰手段が、ホルダ7の底面に設けられた凹状カム部23と基台4側に保持された弾接部材(駆動受体8とスプリング9)とで構成されるクリック機構からなり、この凹状カム部23がホルダ7の揺動中心軸Pに対して直交する鉛直線上で、かつ回転操作体1を収納する収納部7aの底面中央に形成されているため、ホルダ7の揺動中心軸Pに沿う方向における回転操作体1の中心から凹状カム部23までの距離がゼロとなる。その結果、回転操作体1の外周面に揺動操作力が作用したとき、この揺動操作力はホルダ7のねじれを伴うことなく凹状カム部23と駆動受体8との弾接箇所に伝達されることになり、これら凹状カム部23と駆動受体8によって構成されるクリック機構に大きな動作タイミングの遅れが発生しなくなるため、揺動操作時に切れ味の良い明確なクリック感を得ることができる。
【0025】
なお、上記本実施形態例では、ホルダ7が第1および第2の軸部7b,7cの軸心を通る直線を揺動中心軸Pとして揺動可能であると共に、第1の軸部7bを回動支点として押圧可能である場合について説明したが、本発明は揺動動作のみ可能で押圧動作しないホルダにも適用することができる。この場合、第2の軸部7cをケーシング3とは別の支持体によって軸支しても良いが、第1の軸部7bと第2の軸部7cの両方の端部をケーシング3の内壁面に支持させると、ホルダ7の揺動中心軸Pに沿った方向の寸法を短縮することができて好ましい。
【0026】
また、上記本実施形態例では、ホルダ7の揺動動作を検出する揺動検出手段として、一対のフォトインタラプタ10と遮光板21とで構成される光検出方式を採用した場合について説明したが、例えば永久磁石とホールセンサ等で構成される他の磁気検出方式を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態例に係る複合操作型入力装置の斜視図である。
【図2】該入力装置の分解斜視図である。
【図3】図1の入力装置からケーシングを取り除いて示す斜視図である。
【図4】図3の反対側から見た斜視図である。
【図5】該入力装置に備えられるホルダとクリック機構を下方から見た斜視である。
【図6】該入力装置の長手方向に沿う断面図である。
【図7】該入力装置の短手方向に沿う断面図である。
【図8】該入力装置が装着されたステアリングホイールの一部を示す正面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 回転操作体
3 ケーシング(支持部材)
3a 開口部
3c 球状受部
4 基台
4a 保持筒
5 回路基板
7 ホルダ
7a 収納部
7b 第1の軸部(被支持部)
7c 第2の軸部(被支持部)
7e 支持突起
8 駆動受体
8a 駆動ピン
9 スプリング
10 フォトインタラプタ(揺動検出手段)
12 支軸
15 コード板(回転検出手段)
18 フォトインタラプタ(回転検出手段)
19 止め板(支持部材)
21 遮光板(揺動検出手段)
23 凹状カム部
23a 凹部
23b 傾斜面
P 揺動中心軸
Q 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する位置に一対の被支持部を有すると共に、これら両被支持部間に上面を開口した有底状の収納部が設けられているホルダと、前記収納部の内部に回転可能に軸支されて該収納部から一部を露出する回転操作体と、前記両軸部の軸心を通る直線を揺動中心軸として前記ホルダを揺動可能に支持する支持部材と、前記ホルダの揺動動作を検出する揺動検出手段と、前記回転操作体の回転動作を検出する回転検出手段と、前記ホルダを揺動方向の中立位置に自動復帰させる復帰手段とを備え、
前記復帰手段が凹状カム部と該凹状カム部に弾接する弾接部材とで構成されたクリック機構からなり、前記収納部の底板と該底板に対向する前記支持部材とのうち、いずれか一方に前記凹状カム部を設けると共にいずれか他方に前記弾接部材を設けたことを特徴とする複合操作型入力装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記凹状カム部と前記弾接部材とが前記ホルダの揺動中心軸に直交して前記回転操作体の中心を通る鉛直線上に配置されていることを特徴とする複合操作型入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−98043(P2008−98043A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−280101(P2006−280101)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】