説明

複合物

【課題】強剛材または強化材、拡散防止層、抽出防止層、酸化保護層、電気絶縁層を基質に付与出来る新規な微小複合物の提供。
【解決手段】粒状、綿状、片形、板形、箔形、シート、積層体または成形品の形状のガラスまたは鉱物よりなる群から選択される基質および前記基質と接触する微小複合物により特徴づけられ、a)コロイド状無機粒子と、b)1種もしくはそれ以上のシランを、存在する加水分解可能な基1モル当り0.1〜0.45モル%の水を用いるゾル−ゲル法にて微小複合ゾルの生成、微小複合ゾルのさらなる加水分解と縮合、更に水を追加しての微小複合ゾルの活性化、およびその後の硬化により表面改質された複合材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスまたは鉱物を基質とし、微小複合ゾルにより表面改質された複合材料に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、粒状、綿状、片形、板形、箔形、成形品(シートやブロック、積層体を含む)の形状のガラスまたは鉱物よりなる群から選択される基質および前記基質と接触する微小複合物により特徴づけられ、そして
a)コロイド状無機粒子と、
b)1種もしくはそれ以上の一般式(I)
−Si−A4−x (I)
[式中、
基Aは同一または異なりそしてメトキシ以外の加水分解的に除去することができる1個もしくは複数のヒドロキシル基であり、基Rは同一または異なりそして加水分解的に除去することができない基であり、そしてxは0,1,2または3であり、ここでシランの少なくとも50モル%ではx>1である]
のシランを、存在する加水分解可能な基1モル当り0.1〜0.45モル%の水を用いるゾル−ゲル法にて微小複合ゾルの生成、微小複合ゾルのさらなる加水分解と縮合、更に水を追加しての微小複合ゾルの活性化、およびその後の硬化により表面改質された複合材料に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
ガラス及び鉱物からなる基質は非常に種々の物理的形態であってよく、そして例えば粒状であっても、綿状であっても、板状であっても、箔状であっても、シート状であっても、もしくはブロック状であってもよく、または積層構造を有していてもよく、またはいずれか所望する形状の成形品であってもよい。「粒状」という語は粉末、細粉、顆粒、小片、長片、小滴、小球および一般的に規則的または不規則的形状を有する粒子を含む。
【0004】
微小複合物も多種の形態で存在できる。それは、例えば、連続的コーティングもしくはカバーとして基質を完全にもしくは部分的に覆ってもよく、または多数の基質間のラミネートに類似していてもよい。微小複合物は強剛材または強化材、拡散防止層、抽出防止層、酸化保護層、電気絶縁層としてまたは平坦化用に使用できる。
【0005】
微小複合物は或いは多数の基質間の不連続的なもしくは点形の接触を形成し、そして例えば絶縁材料中のように粒状の、綿状の基質を結合する際のマトリックスとして作用することもできる。
【0006】
尚、鉱、例えばモンモリロン石、ベントナイト、雲母、蛭石、パーライト、フェライト、スピネル類、例えば磁鉄鉱もしくは銅クロムスピネル、重晶石、蛍石、アスベスト類、滑石、エーロゲル、砂および粘土である。
【0007】
本発明に従い使用される微小複合物は(a)1種もしくはそれ以上のシランを用いる(b)所望するなら他の添加剤の存在下における(c)ゾル−ゲル法の条件下でのコロイド状無機粒子の表面改質により製造される。
【0008】
ゾル−ゲル法の詳細はC.J. Brinker, G.W. Scherer: “Sol-Gel Science - The Physics and Chemistry of Sol-Gel-Processing”, Academic Press, Boston, San Diego, New York, Sydney (1990)中並びにDE1941191、DE3719339、DE4020316およびDE4217432中に記載されている。
【0009】
ここには、本発明に従い使用できるシラン(b)並びに加水分解的に除去可能であるそれらの基Aおよび加水分解的に除去不能である基Rの個々の例が示される。
【0010】
加水分解的に除去可能である基Aの好適な例は水素、ハロゲン(F、Cl、BrおよびI、特にClおよびBr)、アルコキシ(特にC2−4−アルコキシ、例えばエトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびブトキシ)、アリールオキシ(特にC6−10−アリールオキシ、例えばフェノキシ)、アルカリールオキシ(例えばベンジルオキシ)、アシルオキシ(特にC1−4−アシルオキシ、例えばアセトキシおよびプロピオニルオキシ)並びにアルキルカルボニル(例えばアセチル)である。同様に適する基Aはアミノ基(例えば上記のアルキル、アリールおよびアラルキル基を有するモノ−もしくはジアルキル−、−アリール−および−アラルキルアミノ基)、アミド基(例えばベンズアミド)並びにアルドキシムまたはケトシム基である。2個もしくは3個の基Aが一緒になって、例えばグリコール、グリセロールまたはピロカテコールから誘導されるSi−ポリオール錯体中のようにSi原子を錯形成する部分を形成してもよい。特に好適な基AはC2−4−アルコキシ基、特にエトキシ、である。メトキシ基は過度に高い反応性(微小複合ゾルの短い加工時間)を有しておりそして不充分な柔軟性を有する微小複合物および/または複合材料を与えうるため、それらは本発明の目的にはあまり適していない。
【0011】
上記の加水分解可能な基Aは、所望するなら、1個もしくはそれ以上の一般的な置換基、例えばハロゲンまたはアルコキシ、を有していてもよい。
【0012】
加水分解的に除去不能な基Rは好適にはアルキル(特にC1−4−アルキル、例えばメチル、エチル、プロピルおよびブチル)、アルケニル(特にC2−4−アルケニル、例えばビニル、1−プロペニル、2−プロペニルおよびブテニル)、アルキニル(特にC2−4−アルキニル、例えばアセチレニルおよびプロパルギル)、アリール(特にC6−10−アリール、例えばフェニルおよびナフチル)並びに対応するアルカリールおよびアリールアルキル基よりなる群から選択される。これらの基は、所望するなら、1個もしくはそれ以上の一般的な置換基、例えばハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノまたはエポキシド基、を有していてもよい。
【0013】
上記のアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は対応する環式基、例えばシクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、を含む。
【0014】
特に好適な基Rは置換されたもしくは未置換のC1−4−アルキル基、特にメチルおよびエチル、並びに置換されたもしくは未置換のC6−10−アルキル基、特にフェニル、である。
【0015】
上記の式(I)中のxが0、1または2、特に好ましくは0または1、であることも好ましい。式(I)のシランの少なくとも60モル%、特に少なくとも70モル%、においてx=1であることも好ましい。特別な場合には、式(I)のシランの80モル%より多く、または90モル%より多く(例えば100モル%)、においてx=1であることさえさらに好ましい。
【0016】
新規な複合材料は、例えば、成分(b)としての、純粋なメチルトリエトキシシラン(MTEOS)からまたはMTEOSとテトラエトキシシラン(TEOS)との混合物から製造できる。
【0017】
特に複合材料に対して特殊な性質を与えようとする場合には、置換されている1個もしくはそれ以上の基Rを有するシランの使用が推奨される。例えば、(例えば置換された脂肪族(特にアルキル)基の形態での)弗素原子の導入は水−、汚れ−、塵−および油−反撥性を有する複合材料を与えることができる。
【0018】
一般式(I)のシランの具体例は下記式の化合物である:
Si(OC2H5)4, Si(O-n-またはイソ-C3H7)4, Si(OC4H9)4, SiCl4, Si(OOCCH3)4,
CH3-SiCl3, CH3-Si(OC2H5)3, C2H5-SiCl3, C2H5-Si(OC2H5)3, C3H7-Si(OC2H5)3, C6H5-Si-(OC2H5)3, C6H5-Si(OC2H5)3, (C2H5O)3-Si-C3H6-Cl, (CH3)2SiCl2, (CH3)2Si(OC2H5)2, (CH3)2Si(OH)2, (C6H5)2SiCl2, (C6H5)2Si(OC2H5)2, (C6H5)2Si(OC2H5)2, (イソ-C3H7)3SiOH, CH2=CH-Si(OOCCH3)3, CH2=CH-SiCl3, CH2=CH-Si(OC2H5)3, HSiCl3, CH2=CH-Si(OC2H4OCH3)3,
CH2=CH-CH2-Si(OC2H5)3, CH2=CH-CH2-Si(OOCCH3)3,
CH2=C(CH3)COO-C3H7-Si-(OC2H5)3, CH2=C(CH3)-COO-C3H7-Si(OC2H5)3,
n-C6H13-CH2-CH2-Si(OC2H5)3, n-C8H17-CH2-CH2-Si(OC2H5)3,
【0019】
【化1】

【0020】
これらのシランは既知の方法により製造できる;W. Noll, “Chemie und Technologie der Silicone” [Chemistry and Technology of the Silicones], Verlag Chemie GmbH, Weinheim/Bergstra e, Germany (1968)を参照のこと。
【0021】
上記の成分(a)、(b)および(c)を基にして、縮合で製造される式:
SiO(2−0.5x)のポリシロキサンとして表される成分(b)の割合は一般的には20〜95重量%、好ましくは40〜90重量%、そして特に好ましくは70〜90重量%である。
【0022】
本発明に従い使用される一般式(I)のシランは予備縮合物、すなわち式(I)のシランの部分的加水分解により製造される化合物、の形態で、単独でまたは他の加水分解可能な化合物との混合物中で、全部または部分的に使用できる。好ましくは反応媒体中に可溶性であるそのようなオリゴマーは例えば約2−100、特に約2−6、の縮合度を有する直鎖状または環式の低分子量の部分的縮合物(ポリオルガノシロキサン)であってよい。
【0023】
式(I)のシランの加水分解および縮合用に使用される水の量は、存在する加水分解可能な基1モル当たり0.1〜0.45モルである。
【0024】
コロイド状無機粒子(a)の個々の例はナノレベル(好ましくは300nmまでの、特に100nmまでのそして特に好ましくは50nmまでの粒子寸法)のSiO、TiO、ZrO、Al、Y、CeO、SnO、ZnO、酸化鉄または炭素(カーボンブラックおよびグラファイト)、特にSiO、のゾルおよび分散可能な粉末である。
【0025】
成分(a)、(b)および(c)を基にして、成分(a)の割合は一般的には5〜60重量%、好ましくは10〜40重量%、そして特に好ましくは10〜20重量%である。
【0026】
微小複合物を製造するためには、20重量%までの、好ましくは10重量%までの、そして特に5重量%までの、量の他の添加剤を任意成分(c)として使用することができ、それらの例は硬化触媒、例えば金属塩および金属アルコキシド(例えばアルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシドまたはジルコニウムアルコキシド)、有機結合剤、例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、澱粉、ポリエチレングリコールおよびアラビアゴム、顔料、染料、難燃剤、ガラス製造要素(例えば硼酸、硼酸エステル、ナトリウムメトキシド、酢酸カリウム、アルミニウムsec−ブトキシドなど)、腐食防止剤およびコーティング助剤である。本発明に従うと、結合剤の使用はあまり好ましくない。
【0027】
加水分解および縮合はゾル−ゲル条件下で酸縮合触媒(例えば塩酸)の存在下で好ましくは1〜2のpHで、粘着性ゾルが製造されるまで、実施される。
【0028】
アルコキシ基の加水分解で製造される溶媒の他に追加の溶媒が使用されないことが好ましい。しかしながら、所望により、アルコール系溶媒、例えばエタノール、または他の有極性のプロトン性もしくは非プロトン性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドもしくはブチルグリコール、を例えば使用してもよい。
【0029】
好ましいゾル粒子形態およびゾル粘度を得るためには、生じた微小複合ゾルを好ましくは特別な後反応段階にかけ、そこでは反応混合物を40〜120℃の温度に数時間ないし数日間の期間にわたり加熱する。室温における1日間の貯蔵または60〜80℃での数時間の加熱が特に好ましい。これが、好ましくは5〜500mPas、特に好ましくは10〜50mPas、の粘度を有する微小複合ゾルを与える。もちろん、溶媒を加えることによりまたは反応の副生物(例えばアルコール)を除去することによりゾルの粘度を特定の用途に適する値に調節することもできる。後反応段階を好ましくは溶媒含有量の減少と組み合わせてもよい。
【0030】
複合材料中の微小複合物の重量割合は好ましくは0.1〜80重量%、特に1〜40重量%、そして特に好ましくは1〜20重量%である。
【0031】
少なくとも成分(b)の初期加水分解後に且ついずれの場合にも最終的な硬化の前に基質および微小複合物または微小複合ゾルを一緒にする。それを基質と接触させる前に、微小複合ゾルは好ましくは別量の水中に供給することにより活性化される。
【0032】
微小複合ゾル中での接触または該ゾルとの接触は当該技術分野の専門家に既知でありそして特定の場合に有用であると思われるいずれかの手段により、例えば基質および微小複合ゾルの単なる混合、浸漬、噴霧またはシャワー、ナイフ−もしくはスピン−コーティング、注入、延展、ハケ塗りなどによりなされる。基質と微小複合物との間の接着性を改良するために、基質を微小複合物またはその前駆体と接触させる前に一般的な表面予備処理、例えばコロナ放電;脱脂;プライマー、例えばアミノシラン、エポキシシラン、澱粉もしくはシリコーンから製造されたサイズ剤、錯体生成剤、界面活性剤を用いる処理、にかけることが多くの場合有利である。
【0033】
最終的な硬化前に、室温もしくはわずかに高められた温度(例えば約50℃まで)における乾燥段階を行ってよい。
【0034】
実際の硬化または予備硬化は室温で実施できるが、好適には50℃より上の、好ましくは100℃より上のそして特に好ましくは150℃もしくはそれ以上の温度における熱処理により実施できる。最高硬化温度は、特に、基質の融点および/または耐熱性に依存するが、一般的には250〜300℃である。しかしながら、金属または鉱物基質では、例えば400〜500℃およびそれ以上のかなり高い硬化温度も可能である。特に基質が容易に酸化される場合には、所望により硬化を不活性気体雰囲気(例えばN、アルゴン)中で実施してもよい。硬化時間は一般的には数分間ないし数時間、例えば2〜30分間、の範囲である。
【0035】
(例えば循環空気炉中の)熱による一般的な硬化の他に、別の硬化方法、例えば光化学硬化(UV−VIS)、電子線硬化、急速アニーリングおよび赤外線またはレーザー線を用いる硬化、を使用してもよい。
【0036】
所望するなら、製造された複合物を硬化前に成形工程にかけてもよい。
【0037】
本発明はまた、上記の基質のコーティングおよび/または統合用の上記の微小複合物の使用にも関する。「統合」という語はここでは、統合されたおよび/または固められた形態の基質を与えるのに適する手段を含むことを意図しており、そしてそのため例えば微小複合物の基質への含浸、微小複合物のマトリックス中への基質の埋め込みまたは微小複合物による基質もしくは基質片の固定もしくは結合を含む。「コーティング」という語は特に、基質またはその片に特別な性質、例えば酸化耐性、難燃性、疎水性もしくは疎油性、硬度、不透過性、または電気もしくは熱絶縁性、を与えるための微小複合物による基質の部分的なまたは完全な包囲を意味するものである。
【実施例】
【0038】
下記の実施例は本発明をさらに説明する。
【0039】
下記の実施例では、使用されるシリカゾルはバイエル(BAYER)からの30重量%の固体含有量および7〜10nmの粒子寸法を有する水性シリカゾル(「レヴァシル(Levasil)300/300」)である。下記の略語も実施例で使用される:
MTEOS = メチルトリエトキシシラン
TEOS = テトラエトキシシラン
PTEOS = フェニルトリエトキシシラン
ETEOS = エチルトリエトキシシラン
【0040】
実施例
803mlのMTEOSおよび223mlのTEOSを混合しそして比1:1で分ける。シラン混合物の半分を165gのZrOゾル(日産化学からのSNZS−30A)と共に強く攪拌しそして4.4gの濃塩酸と混合、そして5分後に、シラン混合物のもう一方の半分と混合する。
【0041】
12時間の後反応段階後に、結合剤を10容量%の水と強く混合しそしてさらに5分間にわたり攪拌する。生じた混合物に1μmの平均粒子寸法を有する窒化ホウ素を、合計固体含有量の85%が窒化ホウ素からなるような量で、加える。生じた材料をガラス板の上に約0.5mmの厚さで延ばした。室温における12時間にわたる乾燥後に、層を除去しそして500℃で独立起立性物体として燒結して、堅い成形品を与える。
【0042】
実施例
1.ゾルの製造
16.7mlのシリカゾルおよび0.49mlの濃塩酸を65.4mlのMTEOSおよび18.3mlのTEOSの混合物に激しく攪拌しながら加える。シラン類の反応後に、ゾルを氷浴中で冷却しそしてガラス繊維フィルター(シュライヘル・アンド・シュール(Schleicher and Schull)、レジスト(Rezist)40GF)を用いて濾過する。
【0043】
2.ゾルの使用
100gのガラスゴール小球を20mlの上記ゾルと混合しそして12cm直径のプレス型の中で5分間にわたり4.4MPaの圧力で加圧する。成形品を次に80℃で循環空気乾燥室中で8時間にわたり加熱する。これにより、原料の融点より低い温度においても寸法安定性のままである成形品を与える(成形品中のガラス小球の割合は6重量%である)。
【0044】
参考
1.標準結合剤Aの製造
フラスコに655gのMTEOSおよび191gのTEOSを、そして次に142gの水性シリカゾルを充填し、そして直後に9mlのHSO(40重量%)を生じた混合物に強く攪拌しながら加える。約1分間の強い攪拌後に、発熱反応が始まる(温度は約60℃に上昇する)。熟成のために、それのその後の使用のために分散液を室温で一夜保つかまたは1時間還流させる。
【0045】
・ 標準結合剤Bの製造
フラスコに621gのMTEOSおよび181gのTEOSを、そして次に185gの水性シリカゾル(「レバシル(Levasil)50/50」、SiO固体含有量50重量%、バイエル(BAYER)製)を充填し、そして直後に10.3mlのHSO(40重量%)を生じた混合物に強く攪拌しながら加える。約1分間の強い攪拌後に、発熱反応が始まる(温度は約60℃に上昇する)。熟成のために、分散液を室温で一夜保つかまたは1時間還流させて、次工程に供する。
【0046】
・ 標準結合剤Cの製造
フラスコに463gのMTEOS、180gのTEOSおよび128gのジメチルジエトキシシランを充填し、その後に267gの水性シリカゾルおよび直後に6.06mlのHCl(37重量%)を生じた混合物に強く攪拌しながら加える。約1分間の強い攪拌後に、発熱反応が始まる(温度は約60℃に上昇する)。分散液を室温へのそれの冷却後に直接使用することができる。
【0047】
実施例
岩綿の成形部品の製造
標準結合剤A(固体含有量:35重量%)を、噴霧銃により、ドラムミキサー中で絶えず攪拌されている未処理の岩綿上に噴霧する。結合剤の割合は3−12重量%の範囲にある。噴霧操作後に、サンプルを加熱されたプレス中で0.5tの圧縮圧力並びに20分間の加熱時間および20分間の冷却時間で150℃で成形する。それにより、安定な成形品が得られる。
【0048】
実施例
パーライトの結合された熱除去板の製造
6gの水を50重量%の固体含有量を有する90gの標準結合剤Aに加えそしてドラムミキサー中で300gのパーライト(かさ密度5l)と強く混合する。混合物をプレス中で板(15cm×15cm×5cm)に成形する。プレスからのそれらの除去後に、板を150℃で1時間にわたり硬化させる。水ガラスで結合された板とは対照的に、このようにして製造された熱除去板は1000℃までの種々の温度に呈したときに割れを示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
状、綿状、片形、板形、箔形、成形品の形状のガラスまたは鉱物よりなる群から選択される基質および前記基質と接触する微小複合物により特徴づけられ、そして
a)コロイド状無機粒子と、
b)1種もしくはそれ以上の一般式(I)
−Si−A4−x (I)
[式中、
基Aは同一または異なりそしてメトキシ以外の加水分解的に除去することができる1個もしくは複数のヒドロキシル基であり、基Rは同一または異なりそして加水分解的に除去することができない基であり、そしてxは0,1,2または3であり、ここでシランの少なくとも50モル%ではx>1である]
のシランを、存在する加水分解可能な基1モル当り0.1〜0.45モル%の水を用いるゾル−ゲル法にて微小複合ゾルの生成、微小複合ゾルのさらなる加水分解と縮合、更に水を追加しての微小複合ゾルの活性化、およびその後の硬化により表面改質された複合材料。
【請求項2】
表面改質が酸縮合触媒の存在下で1〜2のpHにおいて行われることを特徴とする、請求項1記載の複合材料。
【請求項3】
微小複合ゾルを室温〜120℃の温度における後反応にかけることを特徴とする、請求項1または2記載の複合材料。
【請求項4】
コロイド状無機粒子がゾルおよび微小のSiO、TiO、ZrO、Al、Y、CeO、SnO、ZnO、酸化鉄または炭素のゾルまたは分散性粉末よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項5】
微小複合ゾルを製造するために、硬化触媒、有機結合剤、顔料、染料、難燃剤、ガラス形成要素の化合物、腐食防止剤およびコーティング助剤からなる群から選ばれる他の添加剤(c)を使用することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項6】
微小複合物を製造するために5〜60重量%のコロイド状無機粒子を使用することを特徴とする、請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項7】
微小複合物を製造するために20〜95重量%の式RSiO(2−0.5x)で表されるポリシロキサンを使用することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項8】
微小複合物を製造するために20重量%より多くない他の添加剤(c)を使用することを特徴とする、請求項5〜7のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項9】
存在する加水分解可能な基1モル当り0.25〜0.45モル%の水を使用して表面改質を行うことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項10】
微小複合物の重量割合が0.1〜80%であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項11】
.硬化を熱的に行うことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項12】
微小複合物でコーティングされた基質または微小複合物で統合された基質材料を含む成形品の形態での請求項1〜11のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項13】
前記基質を、微小複合物がコーティングおよび/または統合している、請求項1〜12のいずれか1項に記載の複合材料。

【公開番号】特開2007−314416(P2007−314416A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142985(P2007−142985)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【分割の表示】特願平10−523187の分割
【原出願日】平成9年11月14日(1997.11.14)
【出願人】(507178501)ライブニッツ・インスティトゥート・フュア・ノイエ・マテリアリエン・ゲマインニュートジク・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】