説明

複合蓄電池エネルギー管理システム及び方法

【課題】 使用目的に応じて複数の蓄電池の充放電を管理する。
【解決手段】 実施形態の複合蓄電池エネルギー管理システムは、運用モード設定手段、評価関数設定手段及び充放電指令値送出手段を備えている。前記運用モード設定手段は、前記蓄電池ユニット群の使用目的に応じた運用モードを設定する。前記評価関数設定手段は、前記設定された運用モードを含む複数の運用モードを重み付け可能として前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを評価する評価関数を設定する。前記充放電指令値送出手段は、前記設定された評価関数に基づいて、前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを個別に決定し、当該充放電スケジュールに応じた前記充放電指令値を当該各蓄電池ユニットに送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複合蓄電池エネルギー管理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル、工場、社会基盤、家庭などにおいては、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー型分散電源の普及に伴い、供給が不安定なこれらの自然エネルギーによる電力供給を安定化させるために電力供給用の定置用蓄電池システムの必要性が高まっている。
【0003】
このような定置用蓄電池システムは、電力変動の抑制、停電時のバックアップ電源による供給信頼性の確保、負荷の平準化やピークカットによる供給電力最大容量の低減など、様々な目的に応じた用途が想定されている。
【0004】
また、定置用蓄電池システムは、電気自動車用やパーソナルコンピュータのような可搬式装置とは異なり、多少の大型化、大重量化が許容される一方で、各施設、設備への電力供給を賄うための大容量化、高出力化が要求される。そこで、複数の蓄電池を複合化した蓄電池システムが必要とされる。
【0005】
これに対し、電気自動車で使用されるリチウムイオン電池などの高性能な蓄電池は、特性劣化とともに交換される。このため、今後の電気自動車の普及に伴い、中古の蓄電池が大量に出現することが見込まれる。
【0006】
従って、これらの中古の蓄電池を定置用蓄電池システムに流用することがリユース、リサイクル社会を目指した環境面でも、普及を狙った経済面でも必要とされている。
【0007】
中古の蓄電池を流用する場合、異なるメーカの異なる特性を持つ蓄電池の組み合わせや、新品の蓄電池と中古の蓄電池の組み合わせなどが蓄電池システムの構成として考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−98793号公報
【特許文献2】特開2006−174540号公報
【特許文献3】特開2008−54389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、以上のような蓄電池システムについては、本発明者の検討によれば、使用目的に応じて複数の蓄電池の充放電を管理する管理システムを提供することが好ましいと考えられる。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、使用目的に応じて複数の蓄電池の充放電を管理し得る複合蓄電池エネルギー管理システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の複合蓄電池エネルギー管理システムは、充放電指令値に追従するように蓄電池の充放電量を調整可能な複数の蓄電池ユニットからなる蓄電池ユニット群を管理する。
【0012】
ここで、前記複合蓄電池エネルギー管理システムは、運用モード設定手段、評価関数設定手段及び充放電指令値送出手段を備えている。
【0013】
前記運用モード設定手段は、前記蓄電池ユニット群の使用目的に応じた運用モードを設定する。
【0014】
前記評価関数設定手段は、前記設定された運用モードを含む複数の運用モードを重み付け可能として前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを評価する評価関数を設定する。
【0015】
前記充放電指令値送出手段は、前記設定された評価関数に基づいて、前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを個別に決定し、当該充放電スケジュールに応じた前記充放電指令値を当該各蓄電池ユニットに送出する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施形態に係る複合蓄電池エネルギー管理システムが適用された複合蓄電池システムの構成例を示す模式図である。
【図2】同実施形態における複合蓄電池エネルギー管理システム及びその周辺構成の一例を示す模式図である。
【図3】同実施形態における蓄電池特性データベースを説明するための模式図である。
【図4】同実施形態における蓄電池構成データベースを説明するための模式図である。
【図5】第2の実施形態に係る複合蓄電池エネルギー管理システム及びその周辺構成の一例を示す模式図である。
【図6】一般的な蓄電池システムの構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、各実施形態について図面を用いて説明するが、その前に、一般的な蓄電池システムについて説明する。一般的な蓄電池システムの構成例を図6に示す。一般的な蓄電池システムの個々の蓄電池ユニット10は、例えばPCS(パワーコンディショニングシステム)11、蓄電池(バッテリー)管理システム(BMS)12、蓄電池(バッテリーモジュール)13などから構成される。また、この蓄電池ユニット10は、負荷設備20、所内系統30、商用系統40などに接続される。
【0018】
ここで、蓄電池管理システム12は、各蓄電池13の電圧、温度、電流などを監視し、蓄電池13の異常を監視、健全性を保つための監視機能を有する。
【0019】
PCS11は、所内系統30の電圧を監視し、所内系統30の電圧が維持されるように蓄電池ユニット10の充放電量を調整する。あるいは、PCS11は、外部から受けた充放電指令値に追従するように蓄電池ユニット10の充放電量を調整する。
【0020】
以上が一般的な蓄電池システムの説明である。続いて、各実施形態に係る複合蓄電池エネルギー管理システムについて説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
図1は第1の実施形態に係る複合蓄電池エネルギー管理システムが適用された複合蓄電池システムの構成例を示す模式図である。この複合蓄電池システムは、図6と同様に、蓄電池ユニット10、PCS11、蓄電池管理システム(BMS)12、蓄電池(バッテリーモジュール)13、負荷設備20、所内系統30及び商用系統40などで構成される。しかしながら、複合蓄電池システムは、前述した蓄電池ユニット10と同様の構成を有する異種、新旧の混在した複数の蓄電池ユニット10−1〜10−mがある。これに伴い、複合蓄電池システムは、複数の蓄電池ユニット10−1〜10−mを管理するための複合蓄電池エネルギー管理システム50及び管理端末60を有している。なお、複数の蓄電池ユニット10−1〜10−mは、複合蓄電池エネルギー管理システム50から受ける充放電指令値に追従するように蓄電池の充放電量を調整可能なものであり、蓄電池状態量(SOC)を複合蓄電池エネルギー管理システム50に送出する機能をもっている。なお、複合蓄電池エネルギー管理システム50は、所望により、「蓄電池管理システム50」又は「蓄電池管理装置50」の如き、他の名称に読み替えてもよい。
【0022】
ここで、複合蓄電池エネルギー管理システム50は、図2に示すように、運用モード設定部51、充放電目標値算出部52、評価関数・制約条件設定部53、充放電指令値算出部54、蓄電池特性データベース55及び蓄電池構成データベース56を備えている。また、複合蓄電池エネルギー管理システム50は、複数の蓄電池ユニット10−1〜10−mからなる蓄電池ユニット群G10と、管理端末60との間に設けられている。但し、各部51〜57は、管理端末60に実装されてもよく、あるいは、インターネットなどの広域ネットワークを通じてクラウドコンピュータ上に実装してもよい。また、複合蓄電池エネルギー管理システム50は、ハードウェア構成、又はハードウェア資源とソフトウェアとの組合せ構成のいずれでも実施可能となっている。組合せ構成のソフトウェアとしては、予めネットワーク又は記憶媒体から例えば管理端末60のコンピュータにインストールされ、各部51〜57の機能を実現させるためのプログラムが用いられる。また、管理端末60は、運用モード、運用目的指令、運用条件及び運用状態などの信号を各部51,52に送信する機能をもっている。
【0023】
ここで、運用モード設定部51では、蓄電池ユニット群の使用目的に応じた運用モードを評価関数・制約条件設定部53に設定するものであり、例えば、管理端末60から運用モード信号を受けると、運用モード信号に応じた運用モード指令値を評価関数・制約条件設定部53に設定する機能をもっている。
【0024】
ここで、運用モード指令値は、例えば、負荷追従優先モード、寿命優先モード又は待機時間優先モードを示す値が設定可能となっている。負荷追従優先モードは、充放電指令値への追従を優先した運用モードである。寿命優先モードは、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの重要度に応じた寿命の最大化を優先した運用モードである。待機時間優先モードは、各蓄電池ユニット10−1〜10−mにおける充放電による通電状態にない待機状態を示す待機時間であって、当該各蓄電池ユニット10−1〜10−mの重要度に応じた待機時間の最大化を優先した運用モードである。但し、運用モードは、これに限らず、オペレータや管理端末60からの外部入力指示による緊急時の急速充放電モード、均等配分充放電モード、順次充放電モード、蓄電池テストモード、蓄電池保守モードなどの各種運用モードを設定してもよい。
【0025】
充放電目標値算出部(充放電量目標値設定手段)52は、使用目的に応じた充放電量目標値を評価関数・制約条件設定部53に設定するものであり、例えば、管理端末60から受ける使用目的指令、運用条件、運用状態などの信号に応じて、充放電目標値を算出する機能と、算出した充放電目標値を評価関数・制約条件設定部53に設定する機能とをもっている。但し、充放電目標値を算出する機能は、必須ではなく、省略してもよい。この場合、充放電目標値算出部52は、例えば、管理端末60から充放電目標値の入力を受け付け、この充放電目標値を評価関数・制約条件設定部53に設定するものとしてもよい。
【0026】
評価関数・制約条件設定部53は、運用モード設定部51に設定された運用モードを含む複数の運用モードを重み付け可能として各蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを評価する評価関数を設定する機能と、蓄電池特性データベース55内の特性パラメータ及び蓄電池構成データベース56内の構成パラメータに基づいて、各蓄電池ユニットの制約条件を設定する機能をもっている。
【0027】
評価関数を設定する機能は、例えば、運用モード設定部51に設定された運用モードが負荷追従優先モードのとき、当該負荷追従優先モードの重み付けを重くした評価関数であって、充放電目標値算出部52に設定された充放電量目標値を含む評価関数を設定する。
【0028】
また、評価関数を設定する機能は、例えば、運用モード設定部51に設定された運用モードが寿命優先モードのとき、当該寿命優先モードの重み付けを重くした評価関数であって、特性パラメータ及び構成パラメータに基づく各蓄電池ユニット10−1〜10−mの重要度を含む評価関数を設定する。
【0029】
また、評価関数を設定する機能は、例えば、運用モード設定部51に設定された運用モードが待機時間優先モードのとき、当該待機時間優先モードの重み付けを重くした評価関数であって、特性パラメータ及び構成パラメータに基づく各蓄電池ユニット10−1〜10−mの重要度を含む評価関数を設定する。
【0030】
充放電指令値算出部(充放電指令値送出手段)54は、評価関数・制約条件設定部53に設定された評価関数に基づいて、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを個別に決定し、当該充放電スケジュールに応じた充放電指令値を当該各蓄電池ユニット10−1〜10−mに送出する機能をもっている。
【0031】
充放電スケジュールを個別に決定する機能は、具体的には例えば、評価関数・制約条件設定部53が設定した評価関数及び制約条件に基づく数理計画アルゴリズムにより、個々の蓄電池の時刻毎の充放電量からなる充放電スケジュールを算出する。充放電指令値は、充放電スケジュールにおける個々の蓄電池の時刻毎の充放電量を示している。
【0032】
また、充放電指令値算出部54は、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを個別に決定するときに、当該各蓄電池ユニット10−1〜10−mの制約条件を満たすように決定する機能をもっている。
【0033】
また、充放電指令値算出部54は、例えば、負荷追従優先モードの重み付けを重くした評価関数の場合、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを個別に決定するときに、充放電量目標値への追従誤差を最小とするように決定する。
【0034】
また、充放電指令値算出部54は、例えば、寿命優先モードの重み付けを重くした評価関数の場合、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを個別に決定するときに、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの制約条件を満たすと共に、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの重要度に応じた寿命を最大化するように決定する。
【0035】
また、充放電指令値算出部54は、例えば、待機時間優先モードの重み付けを重くした評価関数の場合、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを個別に決定するときに、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの制約条件を満たすと共に、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの重要度に応じた待機時間を最大化するように決定する。
【0036】
蓄電池特性データベース55は、図3に示すように、各蓄電池ユニット10−1〜10−mに使用可能な蓄電池の種別毎の特性を示す特性パラメータを格納するものであり、当該特性パラメータを評価関数・制約条件設定部53に送信する機能をもっていてもよい。ここで、種別毎の特性は、経過時間(使用年)毎に示されていてもよい。特性パラメータは、種別毎の特性及び重要度を示すものとしてもよい。なお、図3中、“LIB”は、蓄電池の材料に基づく種別情報であり、リチウムイオン蓄電池を意味している。“PB”は、蓄電池の材料に基づく種別情報であり、鉛蓄電池を意味している。これは図4中の“LIB”,“PB”も同様である。
【0037】
また、各蓄電池ユニット10−1〜10−mは、前述した通り、異種、新旧の蓄電池13が混在している。異種の蓄電池として、例えばリチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池、鉛蓄電池、NaS電池などが想定され、それぞれの種別ごとに特性パラメータが蓄電池特性データベース55に格納されている。また、新旧混在の蓄電池として、新品から中古品、減価償却済みの蓄電池について使用年あるいは余寿命ごとに特性パラメータが蓄電池特性データベース55に格納されている。
【0038】
特性パラメータは具体的には、後述する[数式2]の評価関数の各重み係数η(i,j)、φ(i,j)や、後述する[数式3]の寿命コスト、後述する[数式4]、[数式5]、[数式6]、[数式7]の各制約条件に関する閾値、などのパラメータである。
【0039】
蓄電池構成データベース56は、図4に示すように、各蓄電池ユニット10−1〜10−mを構成する蓄電池の種別を示す構成パラメータを格納するものであり、当該構成パラメータを評価関数・制約条件設定部53に送信する機能をもっていてもよい。構成パラメータは、蓄電池の種別に加え、蓄電池の経過時間(使用年)を示すものとしてもよい。図4に示す例では、蓄電池構成データベース56は、蓄電池ユニット10−1〜10−mを識別する蓄電池ユニット番号j、蓄電池の種別及び経過時間(使用年)を関連付けて格納している。
【0040】
次に、以上のように構成された複合蓄電池エネルギー管理システムの動作について説明する。
【0041】
運用モード設定部51では、管理端末60から運用モード信号を受け取り、その運用モードに応じた運用モード指令値を評価関数・制約条件設定部53に設定する。具体的には例えば、負荷追従優先モード、寿命優先モード又は待機時間優先モードを示す運用モード指令値を設定する。
【0042】
充放電目標値算出部52は、管理端末60から受ける使用目的指令、運用条件、運用状態などの信号に応じて、充放電目標値を算出する。具体的には、充放電目標値算出部52は、運用当日の天候条件から太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの発電量を予測し、あるいは商用系統からの受電契約に基づく受電計画を決定し、あるいは負荷設備の消費電力を需要予測機能で予測し、それらの電力需給のミスマッチを解消するための条件から複合蓄電池システムに対する充放電目標値を、例えば、以下の[数式1]で算出する。なお、充放電目標値算出部52は、[数式1]で用いる商用系統受電計画量(i)、自然エネルギー発電予測値(i)、負荷設備需要予測値(i)の入力を管理端末60から受け付けてもよい。
【0043】
[数式1]
充放電目標値(i)=商用系統受電計画量(i)+自然エネルギー発電予測値(i)−負荷設備需要予測値(i)
iは各時刻を意味する添え字である。
【0044】
評価関数・制約条件設定部53は、運用モード設定部51から運用モード指令値、充放電目標値算出部52から充放電目標値、各蓄電池ユニット10−1〜10−mから蓄電池状態量信号を受け取り、各データベース56,57内の特性パラメータ及び構成パラメータに基づき、個々の蓄電池の運用最適化のための評価関数、制約条件を設定する。具体的には、例えば次式を最小化すべき評価関数Jとして設定する。
【数1】

【0045】
i=1,2,3,…,nは各時刻を意味する添え字であり、nは管理すべき単位時間の長さを意味する。
【0046】
j=1,2,3,…,mは個々の蓄電池ユニットを意味する添え字(蓄電池ユニット番号)であり、mは管理すべき蓄電池のユニット数と同じ値である。
【0047】
また、充放電量(i,j)は充放電指令値算出部54で算出する、第j番目の蓄電池ユニットの時刻iにおける充放電量を意味する独立変数であり、放電量がプラス、充電量がマイナスとする。ある期間内の充放電量(i,j)の集合は、当該ある期間内の充放電スケジュールに相当する。
【0048】
寿命コスト(i,j)は、各時刻iにおける個々の蓄電池jの特性に応じた寿命消費量をコストに換算した指標で、例えば以下に示すように算出される。
【0049】
[数式3]
寿命コスト(i,j)=寿命コスト(サイクル)+寿命コスト(通電時間)+寿命コスト(最大電流)+寿命コスト(満充電)+寿命コスト(完全放電)+寿命コスト(SOC)
ここで、右辺各項の寿命コストは、以下の通りである。
【0050】
寿命コスト(サイクル)
=一回あたりの充放電で消費される寿命/初期寿命×蓄電池初期コスト
寿命コスト(通電時間)
=単位時間あたりの通電で消費される寿命/初期寿命×蓄電池初期コスト
寿命コスト(最大電流)
=充放電の電流の最大値に応じて消費される寿命/初期寿命×蓄電池初期コスト
寿命コスト(満充電)
=満充電状態に応じて消費される寿命/初期寿命×蓄電池初期コスト
寿命コスト(完全放電)
=完全放電状態に応じて消費される寿命/初期寿命×蓄電池初期コスト
寿命コスト(SOC)
=充電残量(SOC)の状態に応じて消費される寿命/初期寿命×蓄電池初期コスト
これらの寿命コストは、各蓄電池ユニットj=1,2,3,…,mそれぞれに個別に設定されるものとする。各蓄電池13は異種、新旧異なるものであるが、蓄電池特性データベース55及び蓄電池構成データベース56から参照される。
【0051】
蓄電池起動状態(i,j)は、各時刻iにおけるj番目の蓄電池13やPCS11の通電状態を意味する変数であり、
蓄電池13、PCS11が通電状態(充電中あるいは放電中)の場合には蓄電池起動状態(i,j)=1と定義し、
蓄電池13、PCS11が休止状態(電流0)の場合には蓄電池起動状態(i,j)=0
と定義する。なお、休止状態は、待機状態と読み替えてもよい。
【0052】
[数式2]の第一項は、蓄電池の運用で蓄電池システム全体に要求された充放電量目標値に対し、実際に実現した充放電量との二乗誤差を意味する項である。
【0053】
[数式2]の第二項は、蓄電池の運用に伴う寿命消費量の影響を意味する項である。
【0054】
[数式2]の第三項は、蓄電池の充放電ロスやPCSにおける電力変換ロスの影響を意味する項である。
【0055】
[数式2]のいずれの項も最小化することが望まれ、それは評価関数[数式2]を最小化することで実現できる。
【0056】
[数式2]中のλ、η、φはそれぞれの項に対する全体の重み係数を意味し、運用モード設定部51から受けた運用モード指令値に応じて評価関数・制約条件設定部53により設定される。
【0057】
例えば、運用モード指令値が負荷追従優先モードを示す場合、評価関数・制約条件設定部53は、重み係数λ、η、φをλ≠0、η=0、φ=0と設定、あるいはλ>>η,λ>>φと設定する。
【0058】
また、運用モード指令値が寿命優先モードを示す場合、評価関数・制約条件設定部53は、重み係数λ、η、φをη≠0、λ≒0、φ=0と設定、あるいはη>>λ,η>>φと設定する。
【0059】
また、運用モード指令値が待機時間優先モードを示す場合、評価関数・制約条件設定部53は、重み係数λ、η、φをφ≠0、λ≒0、η=0と設定、あるいはφ>>λ,φ>>ηと設定する。
【0060】
また、[数式2]中のλ(i)、η(i,j)、φ(i,j)は各時刻iあるいは各蓄電池ユニット10−j(但し、j=1,2,…,m)に対する個別の重み係数を意味し、現時点からn時点先までの各時刻における運用の重要度、個々の蓄電池ユニット個別の重要度に応じて蓄電池特性データベース55に設定されているものとする。例えば、ある時刻において優先的に運用する蓄電池を設定したり、蓄電池の余寿命や価格に応じて設定することにより、個々の蓄電池ユニットの機械的特性だけでなく、個々の蓄電池ユニットの運用を考慮した充放電スケジュールとすることができる。
【0061】
以上の評価関数と同様に、評価関数・制約条件設定部53は、以下の[数式4]、[数式5]及び[数式7]を制約条件として設定する。
【0062】
[数式4]
充放電追従の制約条件は次式の通りである。
【0063】
充放電目標値(i)・(1−ε)≦充放電量(i)≦充放電目標値(i)・(1+ε)
この式は、ε[%]の許容誤差以内で蓄電池の運用で蓄電池システム全体に要求された充放電量目標値に対し、実際の充放電量が追従する条件を意味する。閾値εは例えばε=0.03(3%)などと設定する。
【0064】
[数式5]
寿命消費の制約条件は次式の通りである。
【0065】
寿命コスト(i)≦寿命コスト許容値
この式は、蓄電池の寿命消費が予め設定された寿命コスト許容値以下になる条件を意味する。寿命コスト許容値は、例えば目標寿命[時間]に対して次式により計算され、予め蓄電池特性データベース55に設定される。
【0066】
[数式6]
寿命コスト許容値[¥/時] = 蓄電池初期コスト[¥]/目標寿命[時間]
[数式7]
待機時間の制約条件は次式の通りである。
【0067】
単位時間中の稼動時間/単位時間
=(単位時間−単位時間中の待機時間)/単位時間 ≧ 許容稼動率
この式は、単位時間あたりの蓄電池13およびPCS11の通電状態を制限するもので、許容稼働率で指定された稼働率以下になる条件を意味する。許容稼働率は予め蓄電池特性データベース55に設定されている。
【0068】
これらの制約条件は、個々の蓄電池10−j(但し、j=1,…m)に与えられるものとする。
【0069】
充放電指令値算出部54は、評価関数・制約条件設定部53が設定した評価関数及び制約条件に基づく数理計画アルゴリズムにより、個々の蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを算出する。
【0070】
具体的には、[数式2]の評価関数は、第一項が二次形式、第二項と第三項が線形形式なので、数理計画法の一つである二次計画法により解を得ることができる。結果として求められた充放電量(i,j)は、第j番目の蓄電池ユニット10−jの時刻iにおける充放電量指令値として、各蓄電池ユニット10−jに送出される。
【0071】
各蓄電池ユニット10−jは、この充放電指令値に応じて充放電量を調整する。
【0072】
上述したように本実施形態によれば、複数の蓄電池ユニット10−1〜10−mから構成される複合蓄電池システムにおいて、使用目的に応じた運用モードを設定し、設定した運用モードに応じて、個々の蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを決定する構成により、使用目的に応じて複数の蓄電池の充放電を管理することができる。
【0073】
例えば、電力変動抑制、ピークカット、負荷平準化、バックアップ電源などの多様な使用目的に応じて、負荷追従優先モード、寿命優先モード、待機時間優先モードなど複数の運用モードを備えた構成により、蓄電池の柔軟な充放電管理を実現することができる。
【0074】
また、複数の蓄電池13が異なる特性及び構成を有する場合に、それぞれの特性パラメータ及び構成パラメータを個別に管理する各データベース55,56を備えた構成により、特性パラメータ及び構成パラメータを考慮して個々の蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを決定することができる。また、異なる蓄電池の寿命や安全性、経済性などの運用制約条件を考慮した、柔軟な充放電管理を実現することができる。
【0075】
複数の蓄電池ユニット10−1〜10−mが異なる経年履歴による異なる余寿命特性あるいは劣化特性を有する場合に、それぞれの特性パラメータ及び構成パラメータを個別に管理する各データベース55,56を備えた構成により、特性パラメータ及び構成パラメータを考慮して個々の蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを決定することができる。
【0076】
負荷追従優先モードが設定された場合、負荷追従優先モードの重み付けを重くした評価関数が設定され、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールが、充放電量目標値への追従誤差を最小とするように決定される。また、負荷追従優先モードにより、多様な使用目的に対する要求充放電量への追従を優先した柔軟な充放電管理を実現することができる。
【0077】
寿命優先モードが設定された場合、寿命優先モードの重み付けを重くした評価関数が設定され、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールが、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの制約条件を満たすと共に、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの重要度に応じた寿命を最大化するように決定される。また、寿命優先モードにより、個々の蓄電池の寿命の最大化を考慮した、柔軟な充放電管理を実現することができる。
【0078】
待機時間モードが設定された場合、待機時間優先モードの重み付けを重くした評価関数が設定され、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールが、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの制約条件を満たすと共に、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの重要度に応じた待機時間を最大化するように決定される。また、待機時間優先モードにより、蓄電池の充放電ロスや蓄電池システムに装備されるインバータ装置などのパワーコンディショナーの電力変換ロスの最小化を考慮した、柔軟な充放電管理を実現することができる。
【0079】
<第2の実施形態>
図5は第2の実施形態に係る複合蓄電池エネルギー管理システム及びその周辺構成の一例を示す模式図であり、図2と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、ここでは異なる部分について主に述べる。
【0080】
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、図1及び図2に示した複合蓄電池エネルギー管理システム50に比べ、図5に示すように、運用モード設定部51が設定した運用モードを蓄電池ユニット10−1〜10−mの運用状態に応じて切り替え可能な動的モード管理部57を更に備えている。
【0081】
動的モード管理部57は、所内系統30や負荷設備20の運用条件、蓄電池ユニット群G10の運用状態の情報からリアルタイムで運用モードを決定し、当該決定した運用モードに切り替える指令を運用モード設定部51に送信するものである。これに伴い、管理端末60は、運用モード、運用目的指令、運用条件及び運用状態などの信号を動的モード管理部57に送信する機能をもっている。
【0082】
ここで、評価関数により評価される複数の運用モードは、充放電指令値への追従を優先した負荷追従優先モードと、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの寿命の最大化を優先した寿命優先モードと、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの待機時間の最大化を優先した待機時間優先モードとを含んでいるとする。
【0083】
例えば、動的モード管理部57は、運用モード設定部51が寿命優先モード又は待機時間優先モードを設定した場合に、蓄電池ユニット群G10の運用状態から供給電力の不足を予測したときには、運用モード設定部51が設定した寿命優先モード又は待機時間優先モードを負荷追従優先モードに切り替える機能を有してもよい。
【0084】
また例えば、動的モード管理部57は、運用モード設定部51が負荷追従優先モード又は待機時間優先モードを設定した場合に、蓄電池ユニット群G10の充放電量に十分な自由度があることを判定したときには、運用モード設定部51が設定した負荷追従優先モード又は待機時間優先モードを寿命優先モードに切り替える機能を有してもよい。
【0085】
また例えば、動的モード管理部57は、運用モード設定部51が負荷追従優先モード又は寿命優先モードを設定した場合に、蓄電池ユニット群G10の充放電量に十分な自由度があり、且つ現在の充放電状態が充放電目標値を達成しているときには、運用モード設定部51が設定した負荷追従優先モード又は寿命優先モードを待機時間優先モードに切り替える機能を有してもよい。
【0086】
次に、以上のように構成された複合蓄電池エネルギー管理システムの動作について説明する。
【0087】
いま、複合蓄電池エネルギー管理システム50は、前述同様に、運用モード設定部51が設定した運用モードに基づく評価関数が設定され、評価関数から算出された充放電スケジュールに従った充放電指令値が各蓄電池ユニット10−1〜10−mに送出されているとする。
【0088】
このとき、動的モード管理部57は、所内系統30や負荷設備20の運用条件、運用状態の情報からリアルタイムで運用モードを決定し、運用モード設定部51に指令を発信する。
【0089】
例えば、太陽光発電量予測結果と負荷設備の需要予測結果の差が大きく、供給電力の不足が予測される場合、供給放電量への追従が最優先となるため、運用モードを負荷追従優先モードに切り替える指令を発信する。
【0090】
あるいは天候の不順から太陽光発電量が大幅に変動することが予想される場合、蓄電池の充電余力と放電余力の両方を確保する必要から、全体の充電量が例えば50%になるような充放電目標値が設定され、その充放電目標値への追従が最優先となるため、負荷追従優先モードに切り替える指令を発信する。
【0091】
あるいは、負荷設備の需要予測値が小さく、一方で太陽光発電量予測値が大きく、その結果、余剰電力が発生する見込みの場合、十分な充電余力を確保する必要から、全体の充電量が例えば10%になるような充放電目標値が設定され、その充放電目標値への追従が最優先となるため、負荷追従優先モードに切り替える指令を発信する。
【0092】
あるいは、商用系統40からの受電、逆潮流などの条件が緩和され、蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電量に十分な自由度があると判断される場合、蓄電池13の寿命を考慮し、寿命優先モードに切り替える指令を発信する。
【0093】
あるいは、同じく、蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電量に十分な自由度があり、かつ、現在の充放電状態が充放電目標値を達成している場合、不必要な充放電の抑制により蓄電池13の充放電ロスやPCS11の電力変換ロスを回避することが有効と判断される場合は、待機時間優先モードに切り替える指令を発信する。
【0094】
以上の運用モード判定ロジックは、個々のモードごとに、判断基準を自由にプログラミングすることが可能である。具体的には、次のようなif then文で記載される。
【0095】
(例) if 余剰電力 ≧ 余剰電力上限 then 負荷追従モード設定
いずれにしても、運用モード設定部51は、動的モード管理部57から受けた指令に従って、切り替えた運用モードを評価関数・制約条件設定部53に設定する。
【0096】
以下、複合蓄電池エネルギー管理システムでは、この切り替えた運用モードに基づく評価関数が設定され、評価関数から算出された充放電スケジュールに従った充放電指令値が各蓄電池ユニット10−1〜10−mに送出される。
【0097】
上述したように本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加え、負荷追従優先モード、寿命優先モード及び待機時間優先モードといった各運用モードを複合的に考慮した動的モード管理部57を備えた構成により、使用目的の変化と個々の蓄電池の状態に応じて、各運用モードを自動的に切り替える、柔軟な充放電管理を実現することができる。
【0098】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、蓄電池ユニット群G10の使用目的に応じた運用モードを設定し、設定された運用モードを含む複数の運用モードを重み付け可能として各蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを評価する評価関数を設定し、設定された評価関数に基づいて、各蓄電池ユニット10−1〜10−mの充放電スケジュールを個別に決定し、当該充放電スケジュールに応じた充放電指令値を当該各蓄電池ユニット10−1〜10−mに送出する構成により、使用目的に応じて複数の蓄電池の充放電を管理することができる。
【0099】
なお、上記の各実施形態に記載した手法は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、DVDなど)、光磁気ディスク(MO)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することもできる。
【0100】
また、この記憶媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であっても良い。
【0101】
また、記憶媒体からコンピュータにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)や、データベース管理ソフト、ネットワークソフト等のMW(ミドルウェア)等が上記実施形態を実現するための各処理の一部を実行しても良い。
【0102】
さらに、各実施形態における記憶媒体は、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0103】
また、記憶媒体は1つに限らず、複数の媒体から上記の各実施形態における処理が実行される場合も本発明における記憶媒体に含まれ、媒体構成は何れの構成であっても良い。
【0104】
なお、各実施形態におけるコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上記の各実施形態における各処理を実行するものであって、パソコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であっても良い。
【0105】
また、各実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって本発明の機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
【0106】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
10−1〜10−m…蓄電池ユニット、11…PCS、12…蓄電池管理システム、13…蓄電池、20…負荷設備、30…所内系統、40…商用系統、50…複合蓄電池エネルギー管理システム、51…運用モード設定部、52…充放電目標値算出部、53…評価関数・制約条件設定部、54…充放電指令値算出部、55…蓄電池特性データベース、56…蓄電池構成データベース、57…動的モード管理部、60…管理端末、G10…蓄電池ユニット群。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電指令値に追従するように蓄電池の充放電量を調整可能な複数の蓄電池ユニットからなる蓄電池ユニット群を管理する複合蓄電池エネルギー管理システムであって、
前記蓄電池ユニット群の使用目的に応じた運用モードを設定する運用モード設定手段と、
前記設定された運用モードを含む複数の運用モードを重み付け可能として前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを評価する評価関数を設定する評価関数設定手段と、
前記設定された評価関数に基づいて、前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを個別に決定し、当該充放電スケジュールに応じた前記充放電指令値を当該各蓄電池ユニットに送出する充放電指令値送出手段と、
を備えたことを特徴とする複合蓄電池エネルギー管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の複合蓄電池エネルギー管理システムにおいて、
前記各蓄電池ユニットに使用可能な蓄電池の種別毎の特性を示す特性パラメータを格納する蓄電池特性格納手段と、
前記各蓄電池ユニットを構成する蓄電池の種別を示す構成パラメータを格納する蓄電池構成格納手段と、
前記特性パラメータ及び前記構成パラメータに基づいて、前記各蓄電池ユニットの制約条件を設定する制約条件設定手段とを更に備え、
前記充放電指令値送出手段は、前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを個別に決定するときに、前記各蓄電池ユニットの制約条件を満たすように決定することを特徴とする複合蓄電池エネルギー管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の複合蓄電池エネルギー管理システムにおいて、
前記種別毎の特性は、経過時間毎に示されていることを特徴とする複合蓄電池エネルギー管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の複合蓄電池エネルギー管理システムにおいて、
前記複数の運用モードは、前記充放電指令値への追従を優先した負荷追従優先モードを含むことを特徴とする複合蓄電池エネルギー管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の複合蓄電池エネルギー管理システムにおいて、
前記使用目的に応じた充放電量目標値を設定する充放電量目標値設定手段を更に備え、
前記評価関数設定手段は、前記設定された運用モードが前記負荷追従優先モードのとき、当該負荷追従優先モードの重み付けを重くした評価関数であって、前記設定された充放電量目標値を含む前記評価関数を設定し、
前記充放電指令値送出手段は、前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを個別に決定するときに、前記充放電量目標値への追従誤差を最小とするように決定することを特徴とする複合蓄電池エネルギー管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の複合蓄電池エネルギー管理システムにおいて、
前記複数の運用モードは、前記各蓄電池ユニットの重要度に応じた寿命の最大化を優先した寿命優先モードを含むことを特徴とする複合蓄電池エネルギー管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の複合蓄電池エネルギー管理システムにおいて、
前記各蓄電池ユニットに使用可能な蓄電池の種別毎の特性及び前記重要度を示す特性パラメータを格納する蓄電池特性格納手段と、
前記各蓄電池ユニットを構成する蓄電池の種別を示す構成パラメータを格納する蓄電池構成格納手段と、
前記特性パラメータ及び前記構成パラメータに基づいて、前記各蓄電池ユニットの制約条件を設定する制約条件設定手段とを更に備え、
前記評価関数設定手段は、前記設定された運用モードが前記寿命優先モードのとき、当該寿命優先モードの重み付けを重くした評価関数であって、前記特性パラメータ及び前記構成パラメータに基づく前記各蓄電池ユニットの重要度を含む前記評価関数を設定し、
前記充放電指令値送出手段は、前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを個別に決定するときに、前記各蓄電池ユニットの制約条件を満たすと共に、前記各蓄電池ユニットの重要度に応じた寿命を最大化するように決定することを特徴とする複合蓄電池エネルギー管理システム。
【請求項8】
請求項1に記載の複合蓄電池エネルギー管理システムにおいて、
前記複数の運用モードは、前記各蓄電池ユニットにおける充放電による通電状態にない待機状態を示す待機時間であって、当該各蓄電池ユニットの重要度に応じた前記待機時間の最大化を優先した待機時間優先モードを含むことを特徴とする複合蓄電池エネルギー管理システム。
【請求項9】
請求項8に記載の複合蓄電池エネルギー管理システムにおいて、
前記各蓄電池ユニットに使用可能な蓄電池の種別毎の特性及び前記重要度を示す特性パラメータを格納する蓄電池特性格納手段と、
前記各蓄電池ユニットを構成する蓄電池の種別を示す構成パラメータを格納する蓄電池構成格納手段と、
前記特性パラメータ及び前記構成パラメータに基づいて、前記各蓄電池ユニットの制約条件を設定する制約条件設定手段とを更に備え、
前記評価関数設定手段は、前記設定された運用モードが前記待機時間優先モードのとき、当該待機時間優先モードの重み付けを重くした評価関数であって、前記特性パラメータ及び前記構成パラメータに基づく前記各蓄電池ユニットの重要度を含む前記評価関数を設定し、
前記充放電指令値送出手段は、前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを個別に決定するときに、前記各蓄電池ユニットの制約条件を満たすと共に、前記各蓄電池ユニットの重要度に応じた待機時間を最大化するように決定することを特徴とする複合蓄電池エネルギー管理システム。
【請求項10】
請求項1に記載の複合蓄電池エネルギー管理システムにおいて、
前記複数の運用モードは、前記充放電指令値への追従を優先した負荷追従優先モードと、前記各蓄電池ユニットの寿命の最大化を優先した寿命優先モードと、前記各蓄電池ユニットの待機時間の最大化を優先した待機時間優先モードとを含んでおり、
前記運用モード設定手段が前記寿命優先モード又は前記待機時間優先モードを設定した場合に、前記蓄電池ユニット群の運用状態から供給電力の不足を予測したときには、前記運用モード設定手段が設定した寿命優先モード又は待機時間優先モードを前記負荷追従優先モードに切り替える第1の動的モード管理手段と、
前記運用モード設定手段が前記負荷追従優先モード又は前記待機時間優先モードを設定した場合に、前記蓄電池ユニット群の充放電量に十分な自由度があることを判定したときには、前記運用モード設定手段が設定した負荷追従優先モード又は待機時間優先モードを前記寿命優先モードに切り替える第2の動的モード管理手段と、
前記運用モード設定手段が前記負荷追従優先モード又は前記寿命優先モードを設定した場合に、前記蓄電池ユニット群の充放電量に十分な自由度があり、且つ現在の充放電状態が充放電目標値を達成しているときには、前記運用モード設定手段が設定した負荷追従優先モード又は寿命優先モードを前記待機時間優先モードに切り替える第3の動的モード管理手段と、
を更に備えたことを特徴とする複合蓄電池エネルギー管理システム。
【請求項11】
運用モード設定手段、評価関数設定手段及び充放電指令値送出手段を備え、充放電指令値に追従するように蓄電池の充放電量を調整可能な複数の蓄電池ユニットからなる蓄電池ユニット群を管理する複合蓄電池エネルギー管理システムが実行する複合蓄電池エネルギー管理方法であって、
前記運用モード設定手段が、前記蓄電池ユニット群の使用目的に応じた運用モードを設定する運用モード設定工程と、
前記評価関数設定手段が、前記設定された運用モードを含む複数の運用モードを重み付け可能として前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを評価する評価関数を設定する評価関数設定工程と、
前記充放電指令値送出手段が、前記設定された評価関数に基づいて、前記各蓄電池ユニットの充放電スケジュールを個別に決定し、当該充放電スケジュールに応じた前記充放電指令値を当該各蓄電池ユニットに送出する充放電指令値送出工程と、
を備えたことを特徴とする複合蓄電池エネルギー管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−205490(P2012−205490A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70927(P2011−70927)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 蓄電複合システム化技術開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】