説明

複合金属シアン化物錯体触媒の製造法

一般式(I)M[M(CN)、[式中、Mは、有利にはCo(III)またはFe(III)であり、かつMは、有利にはZn(II)であり、Xは、カルボニル、シアナート、イソシアナート、ニトリル、チオシアナートおよびニトロシルからなる群から選択された、Mに対して配位結合を形成する、シアニドとは異なる基であり、a、b、r、tは、電気的中性条件を満たすように選択されている整数である]の複合金属シアン化物錯体触媒を、a)一般式(II)H[M(CN)(X)]、[式中、MおよびXは、上のように定義されており、rおよびtは上のように定義されておりかつwは、電気的中性条件を満たすように選択されている]のシアノメタラートの水素酸と、b)容易にプロトン移動反応が起こりうる金属化合物(IIIa)Mおよび/または(IIIb)M、[式中、Mは上のように定義されており、Rは、互いに無関係に、≧20のpKを有する非常に弱いプロトン酸のアニオンであり、かつYは、無機鉱酸または−10〜+10のpKを有する適度に強い〜強い有機酸のアニオンであり、wは、Mの原子価に相当し、u+vは、Mの原子価に相当し、その際、uおよびvはそのつど少なくとも1である]との反応によって製造する方法であって、その際、反応を非水系の非プロトン性溶媒中で実施する、複合金属シアン化物錯体触媒の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合金属シアン化物錯体触媒(DMC触媒)の製造法、DMC触媒自体ならびにその使用に関する。
【0002】
多岐にわたる特性を有するポリウレタンフォームの製造のために、調整されたポリエーテルポリオールが必要である。例えば、軟質フォームのために長鎖ポリオールが使用されかつ硬質フォームのために短鎖ポリオールが使用される。
【0003】
ポリエーテルポリオールの製造は、アルキレンオキシドからスタータの存在において種々の触媒、例えば水酸化カリウム、疎水化された二重層酸化物、ルイス酸系およびDMC化合物の使用下で行われる。経済的な関心が増しているのは、低含有率の不飽和成分を有する長鎖ポリエーテルポリオールである。そのようなポリエーテルポリオールの製造には、殊にDMC化合物が触媒として適していることが分かっている。
【0004】
F.E.Bailey,Jr,J.V.Koleske,Alkylen Oxides and their Polymers,第35巻、1991によると、DMC触媒は、塩化亜鉛とヘキサシアノコバルト酸カリウムまたはヘキサシアノコバルト酸カルシウムとを水中で合一することによって製造される。高められた活性を有する触媒は、水の代わりに有機溶媒、例えばエチレングリコールまたはジエチレングリコールが使用される場合に得られる。
【0005】
WO99/16775は、シアノメタラートの水素酸(Cyanometallat-Wasserstoffsaeure)、例えばヘキサシアノコバルタート(III)の水素酸(Hexacyanocobaltat(III)-Wasserstoffsaeure)の水溶液と、金属カルボキシラート、有利にはギ酸亜鉛、酢酸亜鉛およびプロピオン酸亜鉛の水溶液との反応による結晶質のDMC触媒の製造を開示する。水溶液の合一後、発生した水性懸濁液にヘテロ原子を含有する水混和性の成分を配位子として添加してよい。
【0006】
従来技術から公知のDMC触媒は、しかしながらその開始挙動に関してなお改善の余地がある。
【0007】
本発明の課題は、改善されたDMC触媒を供給することである。
【0008】
本発明の課題はさらに、DMC触媒の代替的な製造法を供給することである。
【0009】
該課題は、一般式(I)
[M(CN) (I)
[式中、
は、Zn(II)、Fe(II)、Co(III)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(IV)、V(V)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)およびCr(III)からなる群からの金属イオンであり、
は、Sr(I)、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Fe(III)、Co(III)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、V(V)、Co(II)、Cr(II)、Ti(IV)からなる群からの金属イオンであり、
Xは、カルボニル、シアナート、イソシアナート、ニトリル、チオシアナートおよびニトロシルからなる群から選択される、Mに対して配位結合を形成する、シアニドとは異なる基であり、
a、b、r、tは、電気的中性条件を満たすように選択されている整数である]
の複合金属シアン化物錯体触媒を、
a)一般式(II)
[M(CN)(X)
[式中、MおよびXは、上のように定義されており、
rおよびtは、上のように定義されておりかつwは、電気的中性条件を満たすように選択されている]
のシアノメタラートの水素酸と、
b)容易にプロトン移動反応が起こりうる(protolysierbar)金属化合物(IIIa)

および/または(IIIb)

[式中、Mは、上のように定義されており、
Rは、同じかまたは異なっており、≧20のpKを有する非常に弱いプロトン酸のアニオンであり、かつ
Yは、無機鉱酸または−10〜+10のpKを有する適度に強い〜強い有機酸のアニオンであり、
wは、Mの原子価に相当し、
u+vは、Mの原子価に相当し、その際、uおよびvは、そのつど少なくとも1である]
との反応によって製造する方法によって解決され、その際、反応は非水系の非プロトン性溶媒中で実施される。
【0010】
本発明による方法は、それが非水系媒体中で実施されることを特徴とする。本発明により製造されるDMC触媒は、ポンプ輸送可能なゲルとして得られかつまたそれ自体使用されうる。それにより濾過工程および乾燥工程ならびに固体のハンドリングが不要になる。
【0011】
有利には、シアノメタラートの水素酸(II)において
r=4〜6、
t=0〜2である。
【0012】
有利には、金属化合物(IIIa)もしくは(IIIb)において
w=2もしくはu+v=2である。
【0013】
とりわけ有利な金属イオンMは、Co(III)およびFe(III)である。
【0014】
とりわけ有利な金属イオンMは、Zn(II)である。
【0015】
シアノメタラートの水素酸(II)は、水溶液中で非常に良好にハンドリング可能な化合物である。シアノメタラートの水素酸の製造のために多数の方法が公知である。それらは、例えばW.Klemm他、Z.Anorg.Allg.Chem.308(1961)179の中で記載されているように、アルカリ金属シアノメタラートから出発して、銀シアノメタラートを介して製造されうる。さらに、アルカリ金属シアノメタラートまたはアルカリ土類金属シアノメタラートは酸性イオン交換体を用いてシアノメタラートの水素酸に変換されうる(F.Hein、H.Lilie、Z.Anorg.Allg.Chem.270(1952)45、A.Ludi他、Helv.Chim.Acta50(1967)2035を参照のこと)。さらに他の合成可能性は、G.Brauer(編者)"Handbuch der praeparativen anorganischen Chemie"、Ferdinand Enke Verlag、Stuttgart 1981の中で記載されている。
【0016】
有利に使用されるシアノメタラートの水素酸(II)は、ヘキサシアノコバルト(III)酸およびヘキサシアノ鉄(III)酸である。
【0017】
適切な金属化合物(IIIa)および(IIIb)は、例えばジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、ジエチルアルミニウムシアニド、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)マンガン、ジエチルマグネシウム、ジ−n−ブチルマグネシウム、n−ブチルエチルマグネシウム、ストロンチウム(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ストロンチウム、1,1'−ジメチルフェロセン、フェロセン、ベンゾイルフェロセン、シクロペンタジエニル鉄ジカルボニル−ダイマー、ビスインデニル鉄、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄、ニッケロセン、シクロペンタジエニルニッケルカルボニル−ダイマー、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ニッケル、コバルトセン、ビス(エチルシクロペンタジエニル)コバルト、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)コバルト、ビス(シクロペンタジエニル)マンガン、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)マンガン、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ジカルボニルチタニウム(II)およびビス(シクロペンタジエニル)ジメチルチタニウムである。
【0018】
有利な金属化合物(IIIa)は、ジアルキル亜鉛−化合物、例えばジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、ジ−n−ブチル亜鉛、ジイソプロピル亜鉛およびジイソブチル亜鉛、殊にジエチル亜鉛である。
【0019】
シアノメタラートの水素酸(II)と金属化合物(IIIa)もしくは(IIIb)との反応は、一般的に非水系の、双極性または無極性の非プロトン性溶媒中で実施される。適切な非プロトン性溶媒は、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、スルホラン、二硫化炭素、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルおよびN−メチルピロリドン(NMP)であり、有利なのはDMSO、DMFおよびNMPである。
【0020】
反応は、触媒形態を制御するための表面活性成分としておよび/または化学的に結合した配位子として作用する1つ以上のさらに他の有機成分の存在において実施されうる。これらのさらに他の有機成分は、同様に良好に、DMC化合物(I)を含有する生成物溶液もしくは懸濁液に反応後初めて添加されうる。有利なさらに他の有機成分は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボナート、ポリアルキレングリコールソルビタンエステル、ポリアルキレングリコールグリシジルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド−co−アクリル酸)、ポリアクリル酸、ポリ(アクリルアミド−co−マレイン酸)、ポリアクリロニトリル、ポリアルキルアクリラート、ポリアルキルメタクリラート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルアセタート、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ(N−ビニルピロリドン−co−アクリル酸)、ポリビニルメチルケトン、ポリ(4−ビニルフェノール)、ポリ(アクリル酸−co−スチレン)、オキサゾリンポリマー、ポリアルキレンイミン、マレイン酸および無水マレイン酸コポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアセタート、イオン性の表面活性および界面活性化合物、胆汁酸およびその塩、エステルおよびアミド、多価アルコールおよびグリコシドのカルボン酸エステルからなる群から選択される。
【0021】
反応は、非連続的に、半連続的にまたは連続的に実施されうる。
【0022】
本発明により製造されるDMC触媒(I)は、触媒としてまたは担持触媒の製造のために使用されうる。
【0023】
例えば、DMC触媒(I)は、反応に際して得られる溶液から通常の固/液−分離法によって分離されえかつ湿った沈殿物として触媒として使用されえ、または一方で溶媒から前もって分離されなくても懸濁液としてまたはゲルとして使用されうる。
【0024】
DMC触媒は、アルキレンオキシドによる、有利にはエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドによる、活性H原子を有する化合物のアルコキシル化のために使用される。活性水素原子は、例えばヒドロキシル基または第一級および第二級アミノ基中に存在する。有利には、本発明により製造されるDMC触媒は、ジオールまたはポリオールとエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの混合物との反応によってポリエーテルポリオールを製造するために使用される。
【0025】
本発明により製造されるDMC触媒は、とりわけ良好な"開始挙動"によって特徴づけられ、つまりアルコキシル化反応は、アルコキシル化されるべき、H原子を有する化合物へのアルキレンオキシドの添加によりすぐに生じる。これは、反応によるアルキレンオキシドのすぐに生じる消費により引き起こされる、アルキレンオキシドの添加後の極度に速い圧力降下の形において現れる。
【0026】
本発明の対象はまた、本発明により製造されるDMC触媒自体ならびに活性H原子を有する化合物のアルコキシル化のための、有利にはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはそれらの混合物によるジオールまたはポリオールのアルコキシル化のためのその使用である。
【0027】
本発明によるDMC触媒は、得られる生成物の量に対して、一般的に5〜5000ppm、有利には10〜1000ppm、とりわけ有利には15〜500ppmの量において使用される。アルコキシル化は、従来技術から公知の全ての処理方法に従って、回分式、半回分式または連続的な方法として実施されうる。
【0028】
本発明は、後続する例によって詳細に説明される。
【0029】

DMC触媒の製造
例1
Co(CN)・0.5HO(ヘキサシアノコバルト(III)酸)3.98g(17.5mmol)を45℃にて、乾燥DMF250mL中に溶解し、ZnEt3.24g(26.3mmol;11.97質量%のトルエン性溶液27.35g)と混合し、2時間45℃にて攪拌しかつ一晩RT(室温)にて放置した。白色の懸濁液(267g)が形成し、それはさらに処理しなかった。
【0030】
例2
Co(CN)・0.5HO 3.97g(17.5mmol)を40℃にて、乾燥DMF250mL中に溶解し、ZnEt5.4g(43.8mmol;11.97質量%のトルエン性溶液45.4g)と混合し、2時間45℃にて攪拌しかつ一晩RTにて放置した。水っぽいゲル(269g)が形成し、それはさらに処理しなかった。
【0031】
例3
Co(CN)・0.5HO 3.97g(17.5mmol)をRTにて、乾燥DMSO150mL中に溶解し、ZnEt4.44g(36mmol;11.97質量%のトルエン性溶液36.15g)と混合し、1時間45℃にて攪拌しかつ一晩RTにて放置した。淡紅色のゲル(208g)が形成し、それはさらに処理しなかった。
【0032】
例4
Co(CN)・0.5HO 3.97g(17.5mmol)を45℃にて、HO 100mL中に溶解し、その際、黄色がかった溶液を得た。これを30分以内にZnEt 4.40g(35mmol;11.97質量%のトルエン性溶液36.8g)と混合し、2時間45℃にて攪拌しかつ一晩RTにて放置した。淡紅色の沈殿物が形成した。それを遠心分離機にかけかつ該沈殿物を水80mLで一度、MeOH80mLで一度およびEtO80mLで一度洗浄し、その際、各洗浄工程は超音波による10分間の処理を含んでいた。該沈殿物を60℃にて真空中で一定質量になるまで乾燥した。
収率:固体生成物6.88g。
【0033】
例5
ジルコニウム−2−エチルヘキサノアート13.29g(20mmol)にMeOH(abs)(絶対圧)100mLを添加した。その際、黄土色の、粘着性のある沈殿物が形成し、それを超音波および引き続く激しい攪拌による処理によって分散させた。40℃への加熱後、MeOH200mL(absolut)(絶対圧)中における40℃の温かさのヘキサシアノコバルト酸の溶液(4.50g、20mmol)をさらに添加しかつ30分40℃にて攪拌した。いくらかの沈殿物が形成したが、しかし黄土色の固体の大部分は反応していなかった。2.5時間、超音波により処理し、8時間40℃にて攪拌し、さらに2時間、超音波により処理した。固体を濾過し、MeOHにより2度洗浄しかつ真空中で60℃にて乾燥した。固体生成物3.65gを得た。
【0034】
例6
ヘキサシアノコバルト酸3.28gを、乾燥メタノール220mL中に溶解しかつ激しい攪拌下で室温にて5分以内にトルエン中における11.97質量%のジエチル亜鉛の溶液23.31gと混合し、その際、白色の沈殿物が析出しかつ激しいガス発生が観察されえた。バッチをさらに約12時間攪拌した。引き続き、沈殿物を遠心分離機にかけ、メタノールで洗浄しかつ真空中で乾燥した。収率:触媒4.1g。
【0035】
例7
ヘキサシアノコバルト酸3.97gを室温にて、乾燥ジメチルホルムアミド250mL中に溶解し、トルエン中における11.97%のジエチル亜鉛の溶液36.15gと混合し、1時間45℃にて攪拌しかつ一晩RTにて放置した。乳状に混濁したゲルが形成した。ゲルをさらに処理することなく触媒として使用した。
【0036】
例8
ヘキサシアノコバルト酸4.00gを45℃にて、乾燥ジメチルホルムアミド250mL中に溶解しかつ15分以内にトルエン中における11.0質量%のジエチル亜鉛の溶液49.6gとジメトキシエタン20mlとからなる混合物と混合し、1時間45℃にて攪拌しかつ一晩室温にて放置した。乳状に混濁したゲルが形成した。ゲルをさらに処理することなく触媒として使用した。
【0037】
比較例1
ヘキサシアノコバルト酸カリウム7.0gをエチレングリコール300ml中に溶解しかつ攪拌下でエチレングリコール150ml中における二塩化亜鉛4.09gの混合物と混合した。白色の沈殿物が形成した。懸濁液をさらに処理することなく使用した。
【0038】
比較例2
4.8質量%のヘキサシアノコバルト酸(HCo(CN) 3.01mmol)の溶液13.74gを、ゆっくりと10分の時間にわたって攪拌下でメタノール10mL中におけるZnCl 0.82g(6mmol)の溶液に添加する。白色の細かい沈殿物が形成した。添加完了後、分散液をさらに1時間攪拌する。
【0039】
エトキシル化
一般的な処理規定
そのつどのスタータ10gを、25〜5000ppmのそのつどの触媒(バッチ量に対する金属含量)と一緒に、約15mbarおよび75℃にて75分間、脱ガス処理する。引き続き、反応混合物を窒素によりガス処理する。スタータ/触媒−懸濁液2.0gを、圧力−および温度測定装置が備え付けられている5mlの試験反応器中に量り入れる。試験反応器を窒素により洗浄しかつ140℃に加熱する。引き続き、エチレンオキシド1.0gを1ml/分の計量供給速度により別個に接続したエチレンオキシド受容器に連続的に計量供給する。
【0040】
例9
スタータとしての2−プロピルヘプタノールと例8からの5000ppmの触媒とからなる混合物1.81gを試験反応器中に装入する。1分以内にエチレンオキシド1グラムを計量供給する(モル比 スタータ:アルキレンオキシド 約1:3)。図1および2は、2つの異なる試験における圧力推移および温度推移を示す。その際、温度は℃で(上方の曲線;左側の軸線)かつ圧力はbarで(下方の曲線;右側の軸線)分単位における時間に対してプロットされる。図表中で、エチレンオキシドの添加開始後に非常に速い圧力降下(下方の曲線)が確認されうる。
【0041】
比較例3
スタータとしての2−プロピルヘプタノールと比較例1からの5000ppmの触媒とからなる混合物2.26gを試験反応器中に装入する。1分以内にエチレンオキシド1グラムを計量供給する(モル比 スタータ:アルキレンオキシド 約1:3.3)。図3および4は、2つの異なる試験における圧力推移および温度推移を示す。その際、温度は℃で(上方の曲線;左側の軸線)かつ圧力はbarで(下方の曲線;右側の軸線)分単位における時間に対してプロットされる。図表中で、エチレンオキシドの添加開始後に明らかに遅れた圧力降下(下方の曲線)が確認されうる。
【0042】
例10
スタータとしての2−プロピルヘプタノールと例2からの4000ppmの触媒とからなる混合物1.94gを試験反応器中に装入する。1分以内にエチレンオキシド1グラムを計量供給する(モル比 スタータ:アルキレンオキシド 約1:3)。図5は、圧力推移および温度推移を示す。その際、温度は℃で(上方の曲線;左側の軸線)かつ圧力はbarで(下方の曲線;右側の軸線)分単位における時間に対してプロットされる。図表中で、エチレンオキシドの添加開始後に比較的速い圧力降下(下方の曲線)が確認されうる。
【0043】
例11
2lの鋼製反応器中に、トリデカノール N 200.0g(1.0Mol)および例7からの触媒懸濁液18.2gを、バッチ量に対して500ppmに相応するように装入した。混合物を100℃に加熱しかつ10mbarにて2時間の間、脱ガス処理する。引き続き、真空を窒素により破る。混合物を135℃に加熱しかつ50分の時間にわたってプロピレンオキシド200.0g(3.45Mol)を計量供給し、その際、圧力は0.2〜1.6barの間で変動する。プロピレンオキシドの添加完了後、圧力一定になるまで反応させかつ100℃に冷却する。引き続き、1mbarにてさらに30分の間、後反応させる。引き続き、反応生成物をSeitz−Supradur 200−フィルターを介して濾過分離する。
収率:411.8g(理論値:418.2g)
残留アルコール含有率:0.8質量%
OH価:127mg KOH/g。
【0044】
例12
2lの鋼製反応器中に、トリデカノール N 200.0g(1.0Mol)および例6からの乾燥した触媒0.2gを、バッチ量に対して500ppmに相応するように装入した。混合物を100℃に加熱しかつ10mbarにて2時間の間、脱ガス処理する。引き続き、真空を窒素により破る。混合物を135℃に加熱しかつ50分の時間にわたってプロピレンオキシド200.0g(3.45Mol)を計量供給し、その際、圧力は0.4〜8barの間で変動する。プロピレンオキシドの添加完了後、圧力一定になるまで反応させかつ100℃に冷却する。引き続き、1mbarにてさらに30分の間、後反応させる。引き続き、反応生成物をSeitz−Supradur 200−フィルターを介して濾過分離する。
収率:373.7g(理論値:400.2g)
残留アルコール含有率:4.0質量%
OH価:150mg KOH/g。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】圧力推移および温度推移を示す図
【図2】圧力推移および温度推移を示す図
【図3】圧力推移および温度推移を示す図
【図4】圧力推移および温度推移を示す図
【図5】圧力推移および温度推移を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
[M(CN) (I)
[式中、
は、Zn(II)、Fe(II)、Co(III)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(IV)、V(V)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)およびCr(III)からなる群からの金属イオンであり、
は、Sr(I)、Mg(II)、Zn(II)、Fe(II)、Fe(III)、Co(III)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)、V(V)、Co(II)、Cr(II)、Ti(IV)からなる群からの金属イオンであり、
Xは、カルボニル、シアナート、イソシアナート、ニトリル、チオシアナートおよびニトロシルからなる群から選択される、Mに対して配位結合を形成する、シアニドとは異なる基であり、
a、b、r、tは、電気的中性条件を満たすように選択されている整数である]
の複合金属シアン化物錯体触媒を、
a)一般式(II)
[M(CN)(X)
[式中、MおよびXは、上のように定義されており、
rおよびtは、上のように定義されておりかつwは、電気的中性条件を満たすように選択されている]
のシアノメタラートの水素酸と、
b)容易にプロトン移動反応が起こりうる金属化合物(IIIa)

および/または(IIIb)

[式中、Mは、上のように定義されており、
Rは、同じかまたは異なっており、≧20のpKを有する非常に弱いプロトン酸のアニオンであり、かつ
Yは、無機鉱酸または−10〜+10のpKを有する適度に強い〜強い有機酸のアニオンであり、
wは、Mの原子価に相当し、
u+vは、Mの原子価に相当し、その際、uおよびvは、そのつど少なくとも1である]
との反応によって製造する方法であって、その際、反応を非水系の非プロトン性溶媒中で実施する、複合金属シアン化物錯体触媒の製造法。
【請求項2】
シアノメタラートの水素酸(II)において、r=4〜6、t=0〜2である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
金属化合物(IIIa)もしくは(IIIb)において、w=2もしくはu+v=2である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
金属イオンMを、Co(III)およびFe(III)から選択しかつ金属イオンM1がZn(II)である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
シアノメタラートの水素酸(II)を、ヘキサシアノコバルタート(III)の水素酸およびヘキサシアノフェラート(III)の水素酸の中から選択する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
金属化合物(IIIa)がジアルキル亜鉛化合物である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
金属化合物(IIIa)がジエチル亜鉛である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
溶媒を、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドおよびN−メチルピロリドンからなる群から選択する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法により得られるDMC触媒。
【請求項10】
活性H原子を有する化合物をアルコキシル化するための、請求項9記載のDMC触媒の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−540080(P2008−540080A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509432(P2008−509432)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061962
【国際公開番号】WO2006/117364
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】