説明

複合顔料及びその調製方法

本発明は、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料を含む少なくとも1つの層によって少なくとも一部が覆われている凹型基材を含む複合顔料に関する。複合顔料は、凹型基材と、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料をハイブリダイザー法にかけるステップを含む方法によって調製することができる。複合顔料は、化粧品組成物の成分として有利に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椀の形態である芯粒子と、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料とを含む複合顔料、並びにその複合顔料の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品におけるニーズの多様性に応じて、様々な研究開発が行われている。特に、化粧品用の粉体については、表面処理剤又は複合粉体が多種類提案されている。
【0003】
例えば、特開昭63-86760は、球形芯粒子と、芯粒子を覆う微細粒子とを含む複合顔料を開示している。
【0004】
しかし、これらの複合顔料は、使用感が思わしくなく、またUV遮蔽剤微細粒子を使用して芯粒子を覆う場合、UV遮蔽剤微細粒子と芯粒子の単純な混合物と比べて、UV遮蔽特性は低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63-86760
【特許文献2】特開2003-128788
【特許文献3】米国特許第6,225,467号
【特許文献4】WO 2004/085412
【特許文献5】WO 06/035000
【特許文献6】WO 06/034982
【特許文献7】WO 06/034991
【特許文献8】WO 06/035007
【特許文献9】WO 2006/034992
【特許文献10】WO 2006/034985
【特許文献11】EP-669,323
【特許文献12】米国特許第2,463,264号
【特許文献13】米国特許第5,237,071号
【特許文献14】米国特許第5,166,355号
【特許文献15】GB-2,303,549
【特許文献16】DE-197,26,184
【特許文献17】EP-893,119
【特許文献18】WO 93/04665
【特許文献19】DE-19855649
【特許文献20】欧州特許第0 293 795号
【特許文献21】特開平02-295912
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM Journal、IP.COM INC、WEST HENRIETTA, NY, US (2004年9月20日)
【非特許文献2】Cosmetics & Toiletries、1990年2月、105巻、53〜64頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、芯粒子を覆うのにUV遮蔽剤微細粒子を使用して複合顔料を生成しても、UV遮蔽特性を低下させることなく、また、より良好な使用感を得ることができる新規な複合顔料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記本発明の目的は、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料を含む少なくとも1つの層によって少なくとも一部が覆われている凹型基材を含む複合顔料によって実現することができる。
【0009】
凹型基材は、0.1μm〜30μmの範囲の平均直径を有するものでよい。
【0010】
前記凹型基材は、凹型内表面及び該凹型内表面の反対側にある凸型外表面を備えるものでよく、少なくとも1つの層が前記凸型外表面を本質的に覆っているか、又は、少なくとも1つの層が前記凹型内表面を本質的に覆っているものでよい。前記少なくとも1つの層と前記凹型内表面の間には中間層が存在してもよい。
【0011】
前記凹型基材は、中空球体の一部である形態でもよい。
【0012】
前記凹型基材は、ポリ(メタ)アクリレート、有機シリコーン材料、又はこれらの混合物を含むものでよい。
【0013】
前記凹型基材は、内周縁を画定する凹型内表面、及び、外周縁を画定する凸型外表面を備えるものでよく、前記内周縁の平均直径は0.1〜20μmの範囲をとり、前記外周縁の平均直径は0.2〜30μmの範囲をとり、前記内周縁に対して垂直な軸に沿って測定される、凹型内表面の平均窪み長は、0.1〜20μmの範囲をとる。
【0014】
着色顔料は、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム水和物、第二鉄青(ferric blue)、アルミニウム粉末、銅粉末、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、レーキ、真珠箔顔料、及び、これらの混合物から選択されるものでよい。
【0015】
UV遮蔽剤は、有機でも無機でもよい。UV遮蔽剤は、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ショウノウ誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロン酸誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ビス-ベンゾアゾリル誘導体、p-アミノ安息香酸(PABA)及びその誘導体、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、α-アルキルスチレン由来ダイマー、4,4-ジアリールブタジエン誘導体、オクトクリレン及びその誘導体、グアイアズレン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、フラボノイド、ビフラボノイド、オリザノール及びその誘導体、キナ酸及びその誘導体、フェノール、レチノール、システイン、芳香族アミノ酸、芳香族アミノ酸残基含有ペプチド、並びに、これらの混合物からなる群から選択される有機遮蔽剤を含んでよい。一方、UV遮蔽剤は、炭化ケイ素、被覆又は非被覆金属酸化物、及び、これらの混合物からなる群から選択される無機UV遮蔽剤を含んでもよい。
【0016】
本発明による複合顔料において、前記凹型基材対UV遮蔽剤及び/又は着色顔料の重量比は、100:1〜100:500でよい。
【0017】
本発明による複合顔料は、凹型基材と、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料をハイブリダイザー法にかけるステップを含む方法によって調製することができる。
【0018】
本発明による複合顔料は、化粧品組成物中に含めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】椀の形状を有する基材の断面図である。
【図2】実施例1による複合顔料のSEM画像を示す図である。図2(a)は複合顔料の外観を示し、図2(b)は複合顔料の断面図を示す。
【図3】比較例1による複合顔料のSEM画像を示す図である。図3(a)は複合顔料の外側の様相を示し、図3(b)は複合顔料の断面図を示す。
【図4】比較例2による複合顔料のSEM画像を示す図である。図4(a)は複合顔料の外側の様相を示し、図4(b)は複合顔料の断面図を示す。
【図5】比較例3による複合顔料のSEM画像を示す図である。図5(a)は複合顔料の外側の様相を示し、図5(b)は複合顔料の断面図を示す。
【図6】実施例6による複合顔料のSEM画像を示す図である。図6(a)は複合顔料の外側の様相を示し、図6(b)は複合顔料の断面図を示す。
【図7】実施例7による複合顔料のSEM画像を示す図である。
【図8】実施例7による複合顔料に対応する成分の混合物のSEM画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
鋭意検討の結果、本発明者らは、芯粒子を覆うのに微細なUV遮蔽剤粒子を使用して複合顔料を生成しても、UV遮蔽特性を低下させることなく、より良好な使用感が得られる、新しい複合顔料を得ることが可能であることを発見した。
【0021】
本発明による新しい複合顔料は、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料を含む少なくとも1つの層によって少なくとも一部が覆われている凹型基材を含む。前記基材及び前記層は、それぞれ、複合顔料の芯及びコーティング層として機能する。
【0022】
基材の形状が凹型であるので、基材を含有する複合顔料は、良好な使用感を有する。
【0023】
加えて、凹型基材は、球体と比べて表面積がより大きく、光路が複雑であるので、高い紫外線散乱効果を得ることができる。
【0024】
さらに、本発明による複合顔料は、凹型基材を使用しているために、毛穴、シミ、皮膚の変色等の、肌の凹凸及び色彩の欠点を効果的にカムフラージュすることができる。
【0025】
さらに、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料は、基材上にしっかりと固定されているので、本発明による複合顔料では、皮膚上で容易に広がらないような高い摩擦係数を有するために皮膚に不快な使用感を与える、フリーのUV遮蔽剤及び/又は着色顔料を減らすことが可能である。また、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料は、複合顔料から分離して皮膚上の毛穴から皮膚に浸透すると、毛穴では皮膚のバリア特性が強くないために、皮膚に有害な作用を及ぼしかねないが、そのように分離することはない。
【0026】
特に、凹型基材は、皮膚上で毛穴に蓄積する傾向がある。したがって、本発明による複合顔料は、皮膚上の毛穴を保護することができ、クレンジング剤で容易に除去することができる。
【0027】
以下では、本発明による複合顔料を構成する要素のそれぞれについて詳述する。
【0028】
(基材)
基材は、一般に凹型の形状を有する。言い換えると、基材は、少なくとも1箇所の凹部(陥没部)を有する。基材は、少なくとも1箇所の凹部を有する粒子の形であることが好ましく、以下では、これを凹型粒子と呼ぶことがある。凹型は、小さな窪み又は穴ではなく、粒子の幾何学的中心又は重心を包含することが好ましい、大きな空洞又はクレーターである。この凹型粒子は、平均直径が、0.1μm〜30μm、好ましくは0.1μm〜20μm、より好ましくは0.1μm〜10μmの範囲にあることが好ましい。
【0029】
基材は、凹型内表面、及び、凹型内表面の反対側にある凸型外表面を備えることが好ましい。特に、基材は、中空球体の一部又は椀の形であることが好ましい。基材は、横断面が蹄鉄又はアーチ形状であるものでよい。
【0030】
凹型基材は、内周縁を画定する凹型内表面、及び、外周縁を画定する凸型外表面を備えるものでよく、前記内周縁の平均直径は、0.1〜20μm、好ましくは0.1〜10μmの範囲をとり、外周縁の平均直径は、0.2〜30μm、好ましくは0.2〜20μmの範囲をとり、前記内周縁に対して垂直な軸に沿って測定される、凹型内表面の平均窪み長は、0.1〜20μm、好ましくは0.1〜10μmの範囲をとる。
【0031】
好ましくは、基材は、図1に示すように、(縦断面が)弧の形状の小凹型内表面(11)、弧の形状の凸型外表面(21)、及び、それぞれが内周縁と外周縁を結ぶ各線分(31)で構成される椀の形状であり、内周縁の間の幅(W1)は、平均で0.01〜8μm、好ましくは0.02〜6μmの範囲をとり、外周縁の間の幅(W2)は、平均で0.05〜10μm、好ましくは0.06〜8μmの範囲をとり、凸型外表面(21)の高さ(H)は、平均で0.015〜8μm、好ましくは0.03〜6μmの範囲をとる。
【0032】
上述の寸法は、走査型電子顕微鏡で得た画像において選択した100の基材の寸法の平均を算出することにより得られる。
【0033】
基材の材料は限定されない。材料は、ポリ(メタ)アクリレート、有機シリコーン、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0034】
基材の材料として使用するポリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリレートモノマーのポリマー又はコポリマーである限り、限定はしない。
【0035】
ポリ(メタ)アクリレートの生成において用いることのできるモノマーの中でも、限定はしないが、以下のものを挙げることができる。
(i)式CH2=CHCOOR1のアクリル酸エステル[ここで、R1は、(a)O、N、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含み、かつ/又はOH及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、飽和又は不飽和で線状又は分枝状の炭素鎖、例えばC2〜C12炭化水素(アルキル)鎖であり;あるいはR1は、(b)5〜30個のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基であり;あるいはR1は、(c)-R-(OC2H4)n-H基であり、R=C1〜C12アルキレンであり、nは5〜30(5と30を含む)の整数である]、その中でも、非限定的に例として挙げられるのは、アクリル酸エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチル、2-エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、イソデシル、デシル、ラウリル、トリデシル、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシプロピル、並びに
(ii)式CH2=C(CH3)COOR2のメタクリル酸エステル[ここで、R2は、(a)O、N、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含み、かつ/又はOH及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、飽和又は不飽和で線状又は分枝状の炭素鎖、例えばC2〜C12炭化水素(アルキル)鎖であり;あるいはR2は、(b)5〜30個のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン基であり;あるいはR2は、(c)-R-(OC2H4)n-H基であり、R=C1〜C30アルキレンであり、nは5〜30(5と30を含む)の整数である]、その中でも、非限定的に例として挙げられるのは、メタクリル酸エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチル、2-エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、デシル、イソデシル、ドデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、セチル、パルミチル、ステアリル、ベヘニル、及びオレイル。
【0036】
基材の材料として使用するポリ(メタ)アクリレートは、少なくとも1種の追加のモノマーを含んでもよい。追加のモノマーは、以下のものから選択することができる。
(iii)式CH2=CH-OCO-R3のビニルエステル[ここで、R3は、飽和又は不飽和で線状又は分枝状の炭素鎖、例えばC2〜C12炭化水素鎖である]、その中でも非限定的に挙げることができるのは、酪酸(又はブタン酸)ビニル、エチルヘキサン酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、及びネオドデカン酸ビニル、
(iv)式CH2=CHOR4のビニルエーテル[ここで、R4は、飽和又は不飽和で線状又は分枝状の炭素鎖、例えばC1〜C12炭化水素鎖である]、その中でも非限定的に挙げることができるのは、ビニルエーテル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、及びブチルビニルエーテル、
(v)式CH2=CHCONR5R’5又はCH2=C(CH3)CONR5R’5のN-アルキル(メタ)アクリルアミド[ここで、R5及びR’5は、互いに独立に、水素原子、又はO、N、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を場合により含み、かつ/又はOH及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されている、飽和若しくは不飽和で線状、環状、若しくは分枝状の炭素鎖、例えばC6〜C28炭化水素鎖、場合によっては芳香族鎖(アリール、アラルキル、又はアルキルアリール)であり、但し、R5及びR’5の少なくとも一方の基は、水素以外であるものとする]、その中でも非限定的に挙げることができるのは、N-オクチルアクリルアミド及びN-オクタデシルアクリルアミド、
(vi)式CH2=CHR6のビニル化合物[R6は、ヒドロキシル基;O、N、S及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子が場合により挿入されており、さらに、-OH及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されることも可能であるC1〜C25線状又は分枝状アルキル基;シクロヘキシル等のC3〜C8シクロアルキル基、フェニル等のC6〜C20アリール基、2-フェニルエチルやベンジル等のC7〜C30アラルキル基(C1〜C4アルキル基);O、N及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む4〜12員ヘテロ環式基;フルフリル、フルフリルメチル、テトラヒドロフルフリルメチル等の、ヘテロシクロアルキル基(炭素1〜4個のアルキル)であり、前記シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環式基、ヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、並びにO、N、S及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子が場合により挿入されている線状又は分枝状C1〜C4アルキル基から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されることが可能であり、さらに前記アルキル基は、-OH及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されることが可能である]、その中でもビニルモノマーの例として挙げられるのは、その限りでないが、ビニルシクロヘキサン、スチレン、及び酢酸ビニル、
(vii)式CH2=CHCOOR7のアクリル酸エステル[R7は、tert-ブチル基;C3〜C8シクロアルキル基;C6〜C20アリール基;C7〜C30アラルキル基(C1〜C4アルキル基);O、N及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む4〜12員ヘテロ環式基;フルフリル基等のヘテロシクロアルキル基(C1〜C4アルキル)であり、前記シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環式基、又はヘテロシクロアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、並びにO、N、S及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子が場合により挿入されている線状又は分枝状C1〜C4アルキル基から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されることが可能であり、さらに、前記アルキル基は、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されることが可能である]、その中でもそうしたモノマーの例として挙げられるのは、その限りでないが、例えば、アクリル酸tert-ブチル、アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、アクリル酸t-ブチルベンジル、アクリル酸フルフリル、及びアクリル酸イソボルニル、
(viii)式CH2=C(CH3)COOR8のメタクリル酸エステル[R8は、線状又は分枝状炭素基、例えば、さらにOH及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されることが可能である、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基等のC1〜C6炭化水素(アルキル)基;C3〜C8シクロアルキル基;C6〜C20アリール基;C7〜C30アラルキル基(C1〜C4アルキル基);O、N及びSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む4〜12員ヘテロ環式基;フルフリル基等のヘテロシクロアルキル基(C1〜C4アルキル)であり;前記シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環式基、又はヘテロシクロアルキル基は、OH、ハロゲン原子、並びにO、N、S及びPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子が場合により挿入されている線状又は分枝状C1〜C4アルキル基から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されることが可能であり、さらに、前記アルキル基は、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される少なくとも1個の置換基で場合により置換されることが可能である]、その中でもそうしたモノマーの例として挙げられるのは、その限りでないが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸t-ブチルベンジル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、及びメタクリル酸イソボルニル、並びに
(ix)式CH2=CHCONR9R’9又はCH2=C(CH3)CONR9R’9の(メタ)アクリルアミド[R9及びR’9は、同一又は異なるものであり、水素原子、又はn-ブチル基、t-ブチル基、イソプロピル基等の線状若しくは分枝状C1〜C5アルキル基を表す]、その中でもそうしたモノマーの例として挙げられるのは、その限りでないが、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、及びN,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド。
【0037】
基材の材料として使用するポリ(メタ)アクリレートは、2,000〜1,000,000の範囲、例えば3,000〜800,000の範囲、さらに例えば4,000〜500,000の範囲の数平均分子量(Mn)を有するものでよい。
【0038】
基材の材料として使用する有機シリコーン材料は、有機ポリシロキサンの部類に入る限り、限定はしない。基材の有機シリコーン材料を、三次元構造の架橋ポリシロキサンにしてもよい。
【0039】
本発明の一実施形態では、三次元構造の架橋ポリシロキサンは、式(I):SiO2及び式(II):R1SiO1.5の単位を含み、R1は、ケイ素原子に直接連結している炭素原子を有する有機基を含む。有機基は、反応性有機基及び非反応性有機基から選択することができる。有機基は、非反応性有機基であることが好ましい。
【0040】
非反応性有機基は、メチル、エチル、プロピル、若しくはブチル基等のC1〜C4アルキル基、又はフェニル基でよい。非反応性有機基は、メチル基であることが好ましい。
【0041】
反応性有機基は、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アルケニル基、メルカプトアルキル基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、グリセロキシ基、ウレイド基、及びシアノ基から選択することができる。好ましくは、反応性有機基は、エポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、アルケニル基、メルカプトアルキル基、及びアミノアルキル基から選択することができる。反応性有機基は一般に、2〜6個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を含む。
【0042】
使用できるエポキシ基の中でも、限定はしないが、2-グリシドキシエチル基、3-グリシドキシプロピル基、又は2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基を挙げることができる。
【0043】
使用できる(メタ)アクリロイルオキシ基の中でも、限定はしないが、3-メタクリロイルオキシプロピル基又は3-アクリロイルオキシプロピル基を挙げることができる。
【0044】
使用できるアルケニル基の中でも、限定はしないが、ビニル基、アリル基、又はイソプロペニル基を挙げることができる。
【0045】
使用できるメルカプトアルキル基の中でも、限定はしないが、メルカプトプロピル基又はメルカプトエチル基を挙げることができる。
【0046】
使用できるアミノアルキル基の中でも、限定はしないが、3-[(2-アミノエチル)アミノ]プロピル基、3-アミノプロピル基、又はN,N-ジメチルアミノプロピル基を挙げることができる。
【0047】
使用できるハロアルキル基の中でも、限定はしないが、3-クロロプロピル基又はトリフルオロプロピル基を挙げることができる。
【0048】
使用できるグリセロキシ基の中でも、限定はしないが、3-グリセロキシプロピル基又は2-グリセロキシエチル基を挙げることができる。
【0049】
使用できるウレイド基の中でも、限定はしないが、2-ウレイドエチル基を挙げることができる。
【0050】
使用できるシアノ基の中でも、限定はしないが、シアノプロピル基又はシアノエチル基を挙げることができる。
【0051】
式(II)の単位において、R1は、メチル基を表すことが好ましい。
【0052】
本発明の一実施形態では、有機シリコーン材料は、30/70〜50/50の範囲の単位(I)/単位(II)モル比に従って単位(I)及び(II)を含む。本発明の別の実施形態では、単位(I)/単位(II)比は、35/65〜45/55の範囲をとってよい。
【0053】
有機シリコーン材料の粒子は、
(a)少なくとも1種の加水分解触媒、及び場合により少なくとも1種の界面活性剤の存在下、水性媒質に、式SiX4の化合物(III)及び式RSiY3の化合物(IV)[式中、X及びYは、互いに独立に、C1〜C4アルコキシ基、C1〜C4アルコキシ基を含むアルコキシエトキシ基、C2〜C4アシルオキシ基、C1〜C4アルキル基を含むN,N-ジアルキルアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、及び水素原子から選択され、Rは、ケイ素原子に直接連結している炭素原子を含む有機基である]を導入する段階と、
(b)段階(a)の結果得られる混合物を、30℃〜85℃の間の温度で、少なくとも1種の重合触媒、及び場合により少なくとも1種の界面活性剤を含有する水溶液と少なくとも2時間接触させる段階と
を含む方法に従って得ることができる。
【0054】
段階(a)は、加水分解反応に相当し、段階(b)は、縮合反応に相当する。
【0055】
段階(a)において、化合物(III)の化合物(IV)に対するモル比は、一般に、30/70〜50/50の範囲である。本発明の一実施形態では、化合物(III)の化合物(IV)に対するモル比は、35/65〜45/45の範囲である。本発明の別の実施形態では、化合物(III)の化合物(IV)に対するモル比は、40/60である。化合物(III)及び(IV)の総重量に対する水の重量比は、10/90〜70/30の範囲でよい。化合物(III)及び(IV)を導入する順序は、一般に、その加水分解の速度に応じて決まる。加水分解反応の温度は、一般に0〜40℃の範囲であり、化合物の時期尚早な縮合を防ぐために、30℃を超えないことが普通である。
【0056】
化合物(III)及び(IV)のX及びY基については、限定はしないが、以下の基を挙げることができる。
メトキシ基やエトキシ基等のC1〜C4アルコキシ基、
メトキシエトキシ基やブトキシエトキシ基等の、C1〜C4アルコキシ基を含むアルコキシエトキシ基、
アセトキシ基やプロピオニルオキシ基等のC2〜C4アシルオキシ基、
ジメチルアミノ基やジエチルアミノ基等の、C1〜C4アルキル基を含むN,N-ジアルキルアミノ基、及び
塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子。
【0057】
この開示に従って使用することのできる式(III)の化合物の中でも、限定はしないが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、トリメトキシエトキシシラン、トリブトキシエトキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラプロピオキシシラン、テトラ(ジメチルアミノ)シラン、テトラ(ジエチルアミノ)シラン、シランテトラオール、クロロシラントリオール、ジクロロジシラノール、テトラクロロシラン、又はクロロトリヒドロシランを挙げることができる。本発明の一実施形態では、式(III)の化合物は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、及びテトラブトキシシラン、並びにこれらの混合物から選択される。
【0058】
式(III)の化合物からは、重合反応の後、式(I)の単位が生成される。
【0059】
式(IV)の化合物からは、重合反応の後、式(II)の単位が生成される。
【0060】
式(IV)の化合物のR基は、式(II)の化合物のR1基について述べた意味を有する。
【0061】
非反応性有機基Rを含む式(IV)の化合物の例の中でも、限定はしないが、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ブチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリブトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロピオキシシラン、メチルトリ(ジメチルアミノ)シラン、メチルトリ(ジエチルアミノ)シラン、メチルシラントリオール、メチルクロロジシラノール、メチルトリクロロシラン、又はメチルトリヒドロシランを挙げることができる。
【0062】
反応性有機基Rを含む式(IV)の化合物の例として、限定はしないが、以下のものを挙げることができる。
エポキシ基を有するシラン、例えば、(3-グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、[2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル]トリメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(2-グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン、又は(2-グリシドキシエチル)ジメチルメトキシシラン、
(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシラン、例えば、(3-メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランや(3-アクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、
アルケニル基を有するシラン、例えば、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、又はイソプロペニルトリメトキシシラン、
メルカプト基を有するシラン、例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシランやメルカプトエチルトリメトキシシラン、
アミノアルキル基を有するシラン、例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-[(2-アミノエチル)アミノ]プロピル)トリメトキシシラン、(N、N-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、又は(N,N-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、
ハロアルキル基を有するシラン、例えば、(3-クロロプロピル)トリメトキシシランやトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、
グリセロキシ基を有するシラン、例えば、(3-グリセロキシプロピル)トリメトキシシランやジ(3-グリセロキシプロピル)ジメトキシシラン、
ウレイド基を有するシラン、例えば、(3-ウレイドプロピル)トリメトキシシラン、(3-ウレイドプロピル)メチルジメトキシシランや(3-ウレイドプロピル)ジメチルメトキシシラン、及び
シアノ基を有するシラン、例えば、シアノプロピルトリメトキシシラン、シアノプロピルメチルジメトキシシラン、又はシアノプロピルジメチルメトキシシラン。
【0063】
本発明の一実施形態では、反応性有機基Rを含む式(IV)の化合物は、エポキシ基を有するシラン、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシラン、アルケニル基を有するシラン、メルカプト基を有するシラン、及びアミノアルキル基を有するシランから選択される。
【0064】
本発明の別の実施形態では、化合物(III)及び(IV)を、それぞれ、テトラエトキシシラン及びメチルトリメトキシシランにすることができる。
【0065】
加水分解触媒及び重合触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アミン(アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム等)等の塩基性触媒、又はクエン酸、酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルスルホン酸等の有機酸、若しくは塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸から選択される酸性触媒を別個に使用することができる。存在する場合、使用する界面活性剤は、非イオン性若しくはアニオン性界面活性剤又は2者の混合物でよい。ドデシル-ベンゼンスルホン酸ナトリウムをアニオン性界面活性剤として使用することができる。加水分解の終了は、水に不溶性である反応物(III)及び(IV)の消失並びに均質な液体層の生成によって示される。
【0066】
縮合段階(b)では、加水分解段階と同じ触媒、又は上述のものから選択される別の触媒を使用することができる。
【0067】
この方法の終了時に、微細有機シリコーン粒子の水懸濁液が得られるが、場合により、引き続いて粒子を媒質から分離してもよい。したがって、上述の方法は、液体媒質から粒子を分離することを目的とした、段階(b)から得られる生成物を例えば膜フィルターで濾過する追加の段階、場合により続いて濾液を遠心分離する段階、次いで粒子を乾燥させる段階を含んでよい。当然、他の分離方法を用いてもよい。
【0068】
本発明の一実施形態では、得られる粒子(又は球体)は、0.1〜30μmの範囲の平均直径を有する。
【0069】
上述の方法に従って得られる中空部分球体の形状及びその寸法は、特に、段階(b)において生成物を接触させるのに使用した方法に応じて決まる。
【0070】
やや塩基性のpH、及び段階(a)の結果得られる混合物に冷えた条件下で重合触媒を導入する場合では、底の丸い「椀」の形状を有する中空部分球体が得られるのに対し、やや酸性のpH、及び段階(a)の結果得られる混合物に熱い重合触媒を滴下して導入する場合では、蹄鉄形状の横断面を有する中空部分球体が得られる。
【0071】
基材の調製の詳細については、参照により本明細書に援用される特開2003-128788に記載されている。
【0072】
本発明に従って使用することのできる凹型粒子の中でも、限定はしないが、以下のものが挙げられる。
竹本油脂の架橋有機シリコーンTAK-110 (架橋メチルシラノール/シリケートポリマー)からなる、椀形状、幅2.5μm、高さ1.2μm、厚さ150nmの粒子(竹本油脂によりNLK-506の名称で販売されている粒子)、
竹本油脂の架橋有機シリコーンTAK-110 (架橋メチルシラノール/シリケートポリマー)からなる、椀形状、幅2.5μm、高さ1.5μm、厚さ350nmの粒子、
竹本油脂の架橋有機シリコーンTAK-110 (架橋メチルシラノール/シリケートポリマー)からなる、椀形状、幅0.7μm、高さ0.35μm、厚さ100nmの粒子
竹本油脂の架橋有機シリコーンTAK-110 (架橋メチルシラノール/シリケートポリマー)からなる、椀形状、幅7.5μm、高さ3.5μm、厚さ200nmの粒子、及び
竹本油脂の架橋有機シリコーンTAK-110 (架橋メチルシラノール/シリケートポリマー)からなる、ラグビーボール形状、粒径約3μmの粒子(竹本油脂によりNLK-602の名称で販売されている粒子)。
【0073】
(基材上の層)
基材は、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料を含む少なくとも1つの層によって少なくとも部分的に覆われている。前記層をコーティング層と呼ぶ場合もある。基材の表面の10%以上がコーティング層によって覆われていることが好ましい。基材の表面の50%以上がコーティング層によって覆われていることがより好ましい。より好ましくは、基材の表面の80%以上がコーティング層によって覆われている。基材の全表面がコーティング層によって覆われていることが最も好ましい。
【0074】
基材が凹型内表面及び凹型内表面の反対側にある凸型外表面を備える場合、凹型内表面及び/又は凸型外表面は、コーティング層によって覆われている。
【0075】
コーティング層と基材の間、特にコーティング層と凹型内表面の間に中間層が存在することは可能である。中間層は、有機物質等の任意の材料で構成されたものでよい。あるいは、中間層は、中空を形成する空隙でもよい。
【0076】
コーティング層の厚さは、基材の大きさ等のいくつかの要素に応じて様々でよい。通常、コーティング層の厚さは、0.001μm〜20μm、好ましくは0.01μm〜15μm、より好ましくは0.03μm〜10μm、最も好ましくは0.1μm〜5μmの範囲でよい。
【0077】
基材上に2重以上のコーティング層が存在する場合、コーティング層の厚さ及び組成は、互いに同じものでもよいし、又は異なってもよい。
【0078】
コーティング層は、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料以外に、結合剤、好ましくは非液体結合剤等の任意の追加の材料を含んでもよい。追加の材料は、追加の材料、UV遮蔽剤及び着色顔料の合計重量に対して1〜50wt%の範囲の量で存在してよい。しかし、コーティング層は、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料からなることが好ましい。
【0079】
(UV遮蔽剤)
基材を覆う層は、1種又は複数のUV遮蔽剤を含んでいる。UV遮蔽剤は、UV-A及び/又はUV-B領域において活性を有するものでよい。UV遮蔽剤は、親水性かつ/又は親油性かつ/又は化粧品中に一般に使用される溶媒に相応に不溶性でよい。
【0080】
UV遮蔽剤は、液体、又は粒子等の固体の形態でよい。UV遮蔽剤が固体粒子の形態である場合、その一次粒径が1nm〜5μm、好ましくは10nm〜1μm、より好ましくは10nm〜100nm、より好ましくは10nm〜20nmの範囲であることが好ましい。
【0081】
微粒子の形態のUV遮蔽剤を使用する場合、本発明による複合顔料は、微粒子が凝集せず、基材上に広がるので、複合顔料が白色の外観でなく、透明又はクリアな外観を示し得るという効果を有する。UV遮蔽剤の単体微粒子は、容易に凝集して、皮膚に白色の外観を与えることに留意すべきである。
【0082】
UV遮蔽剤の材料は限定されない。UV遮蔽剤は、有機でも無機でもよい。2種以上のUV遮蔽剤を使用する場合、UV遮蔽剤の材料は、互いに同じものでもよいし、又は異なってもよい。
【0083】
有機UV遮蔽剤は、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ショウノウ誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロン酸誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ビス-ベンゾアゾリル誘導体、p-アミノ安息香酸(PABA)及びその誘導体、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、α-アルキルスチレン由来ダイマー、4,4-ジアリールブタジエン、オクトクリレン及びその誘導体、グアイアズレン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、フラボノイド、ビフラボノイド、オリザノール及びその誘導体、キナ酸及びその誘導体、フェノール、レチノール、システイン、芳香族アミノ酸、芳香族アミノ酸残基含有ペプチド、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものでよい。
【0084】
有機UV遮蔽剤の例として、以下にそのINCI名で示すもの及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0085】
アントラニル酸誘導体:Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan MA」の商標で市販されているアントラニル酸メンチル。
【0086】
ジベンゾイルメタン誘導体:特にHoffmann-LaRocheにより「Parsol 1789」の商標で市販されているブチルメトキシジベンゾイルメタン;及びイソプロピルジベンゾイルメタン。
【0087】
ケイ皮酸誘導体:特にHoffmann-LaRocheにより「Parsol MCX」の商標で市販されているメトキシケイ皮酸エチルヘキシル;メトキシケイ皮酸イソプロピル;メトキシケイ皮酸イソプロポキシ;Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan E 1000」の商標で市販されているメトキシケイ皮酸イソアミル;シノキサート(2-エトキシエチル-4-メトキシシンナメート);DEAメトキシシンナメート;メチルケイ皮酸ジイソプロピル;及びジメトキシケイヒ酸エチルヘキサン酸グリセリル。
【0088】
サリチル酸誘導体:Rona/EM Industriesにより「Eusolex HMS」の商標で市販されているホモサレート(サリチル酸ホモメンチル);Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan OS」の商標で市販されているサリチル酸エチルヘキシル;グリコールサリチレート;サリチル酸ブチルオクチル;サリチル酸フェニル;Scherにより「Dipsal」の商標で市販されているジプロピレングリコールサリチレート;及びHaarmann and Reimerにより「Neo Heliopan TS」の商標で市販されているTEAサリチレート。
【0089】
ショウノウ誘導体、特にベンジリデンショウノウ誘導体:Chimexにより「Mexoryl SD」の商標で製造されている3-ベンジリデンショウノウ;Merckにより「Eusolex 6300」の商標で市販されている4-メチルベンジリデンショウノウ;Chimexにより「Mexoryl SL」の商標で製造されているベンジリデンショウノウスルホン酸;Chimexにより「Mexoryl SO」の商標で製造されているメト硫酸ショウノウベンザルコニウム;Chimexにより「Mexoryl SX」の商標で製造されているテレフタリリデンジショウノウスルホン酸;及びChimexにより「Mexoryl SW」の商標で製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ。
【0090】
ベンゾフェノン誘導体:BASFにより「Uvinul 400」の商標で市販されているベンゾフェノン-1(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン);BASFにより「Uvinul D50」の商標で市販されているベンゾフェノン-2(テトラヒドロキシベンゾフェノン);BASFにより「Uvinul M40」の商標で市販されているベンゾフェノン-3(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)又はオキシベンゾン;BASFにより「Uvinul MS40」の商標で市販されているベンゾフェノン-4(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸);ベンゾフェノン-5(ナトリウムヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホネート);Norquayにより「Helisorb 11」の商標で市販されているベンゾフェノン-6(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン);American Cyanamidにより「Spectra-Sorb UV-24」の商標で市販されているベンゾフェノン-8;BASFにより「Uvinul DS-49」の商標で市販されているベンゾフェノン-9(二ナトリウムジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホネート);ベンゾフェノン-12、及びn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート。
【0091】
β,β-ジフェニルアクリレート誘導体:特にBASFにより「Uvinul N539」の商標で市販されているオクトクリレン;及び特にBASFにより「Uvinul N35」の商標で市販されているエトクリレン。
【0092】
トリアジン誘導体:Ciba-Geigyにより「Tinosorb S」の商標で市販されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン;BASFにより「Uvinul T150」の商標で特に市販されているエチルヘキシルトリアゾン;Sigma 3Vにより「Uvasorb HEB」の商標で市販されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン;2,4,6-トリス(ジネオペンチル4’-アミノベンンザルマロネート)-s-トリアジン;及び米国特許第6,225,467号、WO 2004/085412(化合物6及び9を参照されたい)、又は文書「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM Journal、IP.COM INC、WEST HENRIETTA, NY, US (2004年9月20日)に記載の対称トリアジン遮断剤、特に、2,4,6-トリス(ビフェニル)-1,3,5-トリアジン(特に、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン)、及びWO 06/035000、WO 06/034982、WO 06/034991、WO 06/035007、WO 2006/034992及びWO 2006/034985でも取り上げられている2,4,6-トリス(ターフェニル)-1,3,5-トリアジン。
【0093】
ベンゾトリアゾール誘導体、特にフェニルベンゾトリアゾール誘導体:Rhodia Chimieにより「Silatrizole」の商標で、又はL’Orealにより「Mexoryl XL」の商標で市販されているドロメトリゾールトリシロキサン;2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;2-(2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール。
【0094】
ベンザルマロン酸誘導体:4’-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル、及びベンザルマロン酸官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えば、Hoffmann-LaRocheにより「Parsol SLX」の商標で市販されているポリシリコーン-15。
【0095】
ベンゾイミダゾール誘導体、特にフェニルベンゾイミダゾール誘導体:特にMerckにより「Eusolex 232」の商標で市販されているフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、及びHaarmann and Reimerにより「Neo Heliopan AP」の商標で市販されているフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム。
【0096】
イミダゾリン誘導体:エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
【0097】
ビス-ベンゾアゾリル誘導体:EP-669,323及び米国特許第2,463,264号に記載されているような誘導体。
【0098】
パラ-アミノ安息香酸及びその誘導体:PABA(p-アミノ安息香酸)、エチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、ペンチルジメチルPABA、特にISPにより「Escalol 507」の商標で市販されているエチルヘキシルジメチルPABA、グリセリルPABA、及びBASFにより「Uvinul P25」の商標で市販されているPEG-25 PABA。
【0099】
メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体:固体形態がFairmount Chemicalにより「Mixxim BB/100」の商標で、又は水性分散液中の微粉化形態がCiba Specialty Chemicalsにより「Tinosorb M」の商標で市販されているメチルレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、並びに米国特許第5,237,071号、同第5,166,355号、GB-2,303,549、DE-197,26,184及びEP-893,119に記載されているような誘導体。
【0100】
ベンゾオキサゾール誘導体:Sigma 3VによりUvasorb K2Aの商標で市販されている2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
【0101】
遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン:WO 93/04665に記載のシリコーン。
【0102】
α-アルキルスチレン由来ダイマー:DE-19855649に記載のダイマー。
【0103】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0104】
オクトクリレン及びその誘導体:オクトクリレン。
【0105】
グアイアズレン及びその誘導体:グアイアズレン及びグアイアズレンスルホン酸ナトリウム。
【0106】
ルチン及びその誘導体:ルチン及びグルコシルルチン。
【0107】
フラボノイド:ロブスチン(イソフラボノイド)、ゲニステイン(フラボノイド)、テクトクリシン(フラボノイド)及びヒスピドン(フラボノイド)。
【0108】
ビフラボノイド:ランセオラチンA、ランセオラチンB及びヒプナンビフラボノイドA。
【0109】
オリザノール及びその誘導体:Γ-オリザノール。
【0110】
キナ酸及びその誘導体:キナ酸。
【0111】
フェノール:フェノール。
【0112】
レチノール:レチノール。
【0113】
システイン:L-システイン。
【0114】
芳香族アミノ酸残基含有ペプチド:トリプトファン、チロシン又はフェニルアラニンを有するペプチド。
【0115】
好ましい有機UV遮断剤は、以下のものから選択される。
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、4-メチルベンジリデンショウノウ、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(ターフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、4’-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル、1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、及びこれらの混合物。
【0116】
より好ましい有機UV遮蔽剤は、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ドロメトリゾールトリシロキサン、及び、これらの混合物である。
【0117】
無機UV遮蔽剤は、炭化ケイ素、被覆又は非被覆金属酸化物、及び、これらの混合物からなる群から選択されるものでよい。
【0118】
無機UV遮蔽剤は、被覆又は非被覆金属酸化物で構成された顔料(平均一次粒径:一般に5nm〜100nm、好ましくは10nm〜50nm)、例えば、すべてそれ自体がよく知られたUV光防護剤である、酸化チタン(非晶質又はルチル型及び/若しくはアナターゼ型の結晶質)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、又は酸化セリウムで構成された顔料から選択されることが好ましい。
【0119】
顔料は、被覆又は非被覆のいずれでもよい。被覆顔料とは、例えば、Cosmetics & Toiletries、1990年2月、105巻、53〜64頁に記載のもの等の化合物、例えば、アミノ酸、蜜蝋、脂肪酸、脂肪族アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、若しくはアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタン若しくはアルミニウムアルコキシド)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物、又はヘキサメタリン酸ナトリウムを用いた、化学的、電子的、機械化学的、及び/又は機械的性質の1種若しくはそれ以上の表面処理にかけられている顔料である。
【0120】
知られているように、シリコーンは、分子量が変化し得る、線状又は環状で、分枝又は架橋した構造を含む有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーであり、適切な官能性シランを重合及び/又は重縮合させて得られ、本質的に、ケイ素原子が酸素原子によって相互に結合(シロキサン結合)しており、場合により、置換炭化水素基が前記ケイ素原子に炭素原子によって直接結合している主単位の繰返しから構成される。
【0121】
用語「シリコーン」は、その調製に必要なシラン、特にアルキルシランも包含する。
【0122】
本発明に適する顔料の被覆に使用するシリコーンは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン、及びポリアルキルヒドロシロキサンからなる群から選択されることが好ましい。シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、及びポリメチルヒドロシロキサンからなる群から選択されることがさらにより好ましい。
【0123】
金属酸化物で構成された顔料は、当然、シリコーンで処理される前に、他の表面剤(surfacing agent)、特に、酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、又は、これらの混合物で処理されていてもよい。
【0124】
被覆顔料は、より詳細には、以下の酸化チタンである。
池田物産からの製品「Sunveil」等、シリカで被覆されているもの、
池田物産からの製品「Sunveil F」等、シリカ及び酸化鉄で被覆されているもの、
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 500 SA」及び「Microtitanium Dioxide MT 100 SA」、Tioxideの製品「Tioveil」、Rhodiaの製品「Mirasun TiW 60」等、シリカ及びアルミナで被覆されているもの、
石原産業の製品「Tipaque TTO-55 (B)」及び「Tipaque TTO-55 (A)」、Kemiraの製品「UVT 14/4」等、アルミナで被覆されているもの、
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z又はMT-01」、Uniqemaの製品「Solaveil CT-10 W」及び「Solaveil CT 100」、Merckの製品「Eusolex T-AVO」等、アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆されているもの、
テイカの製品「MT-100 AQ」等、シリカ、アルミナ及びアルギン酸で被覆されているもの、
テイカの製品「MT-100 TV」等、ステアリン酸アルミニウムで被覆されているもの、一次粒径は15nm、
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 100 S」等、アルミナ及びラウリン酸アルミニウムで被覆されているもの、
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 100 F」等、酸化鉄及びステアリン酸鉄で被覆されているもの、
テイカの製品「BR351」等、酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛で被覆されているもの、
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 600 SAS」、「Microtitanium Dioxide MT 500 SAS」、及び「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」等、シリカ及びアルミナで被覆され、シリコーンで処理されたもの、
チタン工業の製品「STT-30-DS」等、シリカ、アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆され、シリコーンで処理されたもの、
Kemiraの製品「UV-Titan X 195」等、シリカで被覆され、シリコーンで処理されたもの、
石原産業の製品「Tipaque TTO-55 (S)」又はKemiraの製品「UV Titan M 262」等、アルミナで被覆され、シリコーンで処理されたもの、
チタン工業の製品「STT-65-S」等、トリエタノールアミンで被覆されているもの、
石原産業の製品「Tipaque TTO-55 (C)」等、ステアリン酸で被覆されているもの、又は
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 150 W」等、ヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆されているもの。
【0125】
シリコーンで処理された他の酸化チタン顔料は、オクチルトリメチルシランで処理され、その個々の粒子の平均サイズが25〜40nmであるTiO2、例えば、Degussa Silicesにより「T 805」の商標で市販されているもの、ポリジメチルシロキサンで処理され、その個々の粒子の平均サイズが21nmであるTiO2、例えば、Cardreにより「70250 Cardre UF TiO2SI3」の商標で市販されているもの、ポリジメチルヒドロシロキサンで処理され、その個々の粒子の平均サイズが25nmであるアナターゼ/ルチルTiO2、例えば、Color Techniquesにより「Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobic」の商標で市販されているものであることが好ましい。
【0126】
非被覆酸化チタン顔料は、例えば、テイカにより「Microtitanium Dioxide MT500B」又は「Microtitanium Dioxide MT600B」の商標で、Degussaにより「P 25」の商標で、Wackerにより「Oxyde de titane transparent PW」の商標で、三好化成により「UFTR」の商標で、Tomenにより「ITS」の商標で、またTioxideにより「Tioveil AQ」の商標で市販されている。
【0127】
非被覆酸化亜鉛顔料は、例えば、
Sunsmartにより「Z-cote」の商標で市販されているもの、
Elementisにより「Nanox」の商標で市販されているもの、
Nanophase Technologiesにより「Nanogard WCD 2025」の商標で市販されているもの
である。
【0128】
被覆酸化亜鉛顔料は、例えば、
東芝により「Oxide Zinc CS-5」の商標で市販されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンで被覆されているZnO)、
Nanophase Technologiesにより「Nanogard Zinc Oxide FN」の商標で(C12〜C15アルキルベンゾエートであるFinsolv TN中40%分散液として)市販されているもの、
大東化成により「Daitopersion Zn-30」及び「Daitopersion Zn-50」の商標で市販されているもの(シリカ及びポリメチルヒドロシロキサンで被覆されている亜鉛ナノオキシドを30%又は50%含む、オキシエチレン化ポリジメチルシロキサン/シクロポリメチルシロキサン分散液)、
ダイキン工業により「NFD Ultrafine ZnO」の商標で市販されているもの(ペルフルオロアルキルのリン酸エステル及びペルフルオロアルキルエチルを主体としたコポリマーで被覆されている、シクロペンタシロキサン分散液としてのZnO)、
信越化学工業により「SPD-Z1」の商標で市販されているもの(シリコーングラフトアクリルポリマーで被覆されているZnOをシクロジメチルシロキサンに分散させたもの)、
ISPにより「Escalol Z100」の商標で市販されているもの(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル/PVP-ヘキサデセンコポリマー/メチコン混合物に分散させたアルミナ処理ZnO)、及び
冨士色素により「Fuji ZnO-SMS-10」の商標で市販されているもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンで被覆されているZnO)、
Elementisにより「Nanox Gel TN」の商標で市販されているもの(ヒドロキシステアリン酸重縮合物を含有するC12〜C15アルキルベンゾエートに55%で分散させたZnO)である。
【0129】
非被覆酸化セリウム顔料は、例えば、Rhone-Poulencにより「Colloidal Cerium Oxide」の商標で市販されている。
【0130】
非被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaudにより「Nanogard WCD 2002 (FE 45B)」、「Nanogard Iron FE 45 BL AQ」、「Nanogard FE 45R AQ」、若しくは「Nanogard WCD 2006 (FE 45R)」の商標で、又はMitsubishiにより「TY-220」の商標で市販されている。
【0131】
被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaudにより「Nanogard WCD 2008 (FE 45B FN)」、「Nanogard WCD 2009 (FE 45B 556)」、「Nanogard FE 45 BL 345」、若しくは「Nanogard FE 45 BL」の商標で、又はBASFにより「Oxyde de fer transparent」の商標で市販されている。
【0132】
金属酸化物の混合物、特に、池田物産により「Sunveil A」の商標で市販されている、シリカで被覆されている二酸化チタンとシリカで被覆されている二酸化セリウムの等重量混合物を含めて、二酸化チタンと二酸化セリウムの混合物、また二酸化チタンの、アルミナ、シリカ及びシリコーンで被覆されている二酸化亜鉛との混合物、例えば、Kemiraにより市販されている製品「M 261」、又はアルミナ、シリカ及びグリセロールで被覆されている二酸化亜鉛との混合物、例えば、Kemiraにより市販されている製品「M 211」も挙げることができる。
【0133】
被覆物は、顔料を基材上又は基材中に固定する結合剤として機能することがあるので、被覆顔料が好ましい。特に、テイカの製品「MT-100 TV」等、ステアリン酸アルミニウムで被覆されている酸化チタンが好ましい。
【0134】
UV遮蔽剤は、本発明による複合顔料中に、前記凹型基材対UV遮蔽剤の重量比が100:1〜100:500、好ましくは100:5〜100:400、より好ましくは100:10〜100:200、より好ましくは100:10〜100:100、より好ましくは100:10〜100:50、より好ましくは100:10〜100:30になるような割合で使用することができる。
【0135】
(着色顔料)
用語「着色顔料」は、不溶性であり、組成物を着色するものである、白色又は有色の任意の形状の無機又は有機の粒子を意味すると理解すべきである。
【0136】
着色顔料を使用する場合、本発明の複合顔料は、着色顔料が凝集せず、基材上に広がるので、よりクリアな外観をもたらし得るという効果を有する。非拘束の着色顔料は、容易に凝集して、くすんだ外観を肌に与えることを留意すべきである。
【0137】
顔料は、白色又は有色の無機及び/又は有機顔料でよい。
【0138】
使用することのできる無機顔料の中でも、限定はしないが、場合により表面処理されている二酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、並びに亜鉛、(黒色、黄色、若しくは赤色)酸化鉄又は酸化クロム、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム水和物、及び第二鉄青(ferric blue)、又はアルミニウム粉末や銅粉末等の金属粉末を挙げることができる。顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、及び、これらの組合せ等の金属酸化物で構成されたナノ顔料から選択することもできる。用語「ナノ顔料」とは、1nm〜500nmの範囲の平均粒径、例えば10nm〜100nmの範囲の粒径を有する顔料を意味すると理解される。
【0139】
使用することのできる有機顔料の中でも、限定はしないが、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料及びレーキ、例えば、コチニールカルミン系及びバリウム、ストロンチウム、カルシウム、又はアルミニウム系のレーキを挙げることができる。例えば、Red 202 (カルシウムビス[2-(3-カルボキシ-2-ヒドロキシナフチルアゾ)-5-メチルベンゼンスルホネート)は、D&Cタイプの顔料として使用することができる。
【0140】
着色顔料は、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム水和物、第二鉄青、アルミニウム粉末、銅粉末、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、レーキ、真珠箔顔料、及び、これらの混合物から選択されることが好ましい。
【0141】
用語「真珠箔顔料」は、特定の貝によってその貝殻の中で産出され、又は、そうでなく合成された粒子等、任意の形状の虹色に輝く粒子を意味すると理解すべきである。
【0142】
真珠光沢剤(pearlescent agent)は、二酸化チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されているマイカ等の白色真珠光沢剤;酸化チタンで被覆されているマイカを酸化鉄で被覆したもの、酸化チタンで被覆されているマイカを第二鉄青又は酸化クロムで被覆したもの、酸化チタンで被覆されているマイカを上述の種類の有機顔料で被覆したもの等の有色真珠光沢剤;及びオキシ塩化ビスマスを主体とした真珠光沢剤から選択することができる。
【0143】
着色顔料は、本発明による複合顔料中に、前記凹型基材対着色顔料の重量比が100:1〜100:500、好ましくは100:5〜100:400、より好ましくは100:10〜100:200、より好ましくは100:10〜100:100、より好ましくは100:10〜100:50、より好ましくは100:10〜100:30になるような割合で使用することができる。
【0144】
(複合顔料の調製方法)
本発明による複合顔料は、凹型基材と、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料を、ハイブリダイザー法にかけることにより調製できる。
【0145】
ハイブリダイザー法は、1980年代に開発された。ハイブリダイザー法は、多数の粒子に機械的な強い力をかけて、機械化学的反応を引き起こし、複合粒子を生成する機械化学的融合法の一部類である。
【0146】
ハイブリダイザー法によれば、機械的力は、10cm〜1mの直径を有することができ、かつ1,000rpm〜100,000rpmの速度で回転することができる高速ローターによって付与する。したがって、ハイブリダイザー法は、そのような高速ローターを使用する機械化学的融合法であると定義することができる。ハイブリダイザー法は、空気中又は乾燥条件下で実施する。したがって、ローターの回転が高速であるために、ローター付近に高速空気流を発生させることができる。しかし、いくつかの液体材料は、固体材料と共にハイブリダイザー法にかけることができる。用語「ハイブリダイザー法」は、技術用語として使用されている。
【0147】
ハイブリダイザー法は、例えば日本の奈良機械製作所により市販されているハイブリダイゼーションシステムを使用して実施することができ、このシステムでは、少なくとも2種の粒子、通常は芯粒子と微粒子を、乾燥条件下にある室中に複数の刃を有する高速ローターを備えたハイブリダイザーに供給し、粒子を室に分散させ、粒子に機械及び熱エネルギー(例えば、圧縮、摩擦、及び剪断応力)を、1〜10分、好ましくは1〜5分等の比較的短い時間付与する。結果として、一方の種類の粒子(例えば、微粒子)が他方の種類の粒子(例えば、芯粒子)上に包埋又は固定されて、複合粒子が形成される。粒子は、振盪等の静電処理にかけて、一方の種類の粒子が広がって他方の種類の粒子を覆っている「オーダード ミクスチャー」を生成させておくことが好ましい。ハイブリダイザー法は、日本の徳寿工作所により市販されているシータコンポーザを使用して実施することもできる。
【0148】
本発明によれば、凹型基材、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料、並びに、必要なら他の取捨選択可能な成分を、そのようなハイブリダイザーに供給して、複合顔料を生成することができる。ハイブリダイザー法は、約8,000rpm (100m/秒)で回転するローターを使用して約5分間実施することができる。
【0149】
本発明による複合顔料にUV遮蔽剤と着色顔料の両方を使用する場合、これら材料は、基材対UV遮蔽剤及び着色顔料の重量比が100:1〜100:500、好ましくは100:5〜100:400、より好ましくは100:10〜100:200、より好ましくは100:10〜100:100、より好ましくは100:10〜100:50、より好ましくは100:10〜100:30になるような割合で使用することができる。
【0150】
ハイブリダイザー法では、芯基材粒子上にUV遮蔽剤及び/又は着色顔料の微細粒子を規則正しく並べる(例えば、均質に覆う)ことが可能になり、芯の表面と微細粒子を含む層との接着を強くする。
【0151】
ハイブリダイザー法は、例えばビーズミルやジェットミルを使用する他の方法とはまったく異なることに留意すべきである。実際に、ビーズミルは、芯粒子の微粉砕又は凝集を引き起こし、ジェットミルでは、芯粒子が微粉砕され、芯粒子の微粒子によるコーティングが一様でなくなる。
【0152】
必要に応じて、追加のUV遮蔽剤及び/又は着色材料によって複合顔料をさらにコーティングする追加の方法を実施してもよい。この追加の方法の結果として、本発明による複合顔料は、UV遮蔽剤及び/又は着色材料を含む、好ましくはUV遮蔽剤及び/又は着色材料からなる別の層でコーティングされていてもよい。
【0153】
(化粧品組成物)
上述のような複合顔料は、本発明による組成物中に、組成物の総重量の0.01重量%〜99重量%、好ましくは0.1重量%〜50重量%、より好ましくは1重量%〜30重量%の量で存在してよい。
【0154】
好ましいことに、本発明による複合顔料は、良好な使用感に加えて、透明又はクリアな外観及び/又はより透明若しくはクリアな着色等の良好な着色効果を伴う良好なUV遮蔽効果、並びに肌の欠陥を隠す効果を、ケラチン物質に影響を及ぼすリスクなしに示し得るので、皮膚、毛髪、及び爪等のケラチン物質に適用される化粧品組成物中に使用して、UVシールド効果及び/又は着色効果、並びにカムフラージュ効果を提供することができる。
【0155】
本発明による化粧品組成物は、フィラー及び油をさらに含んでもよい。
【0156】
本明細書では、用語「フィラー」とは、いかなる温度で組成物が製造されても組成物の媒質に不溶性である、任意の形状の無色の天然又は合成粒子を意味すると理解すべきである。したがって、フィラーは、上述のような着色顔料とは異なる。
【0157】
フィラーは、無機でも有機でもよく、任意の結晶学的形態(例えば、シート状晶、立方晶、六方晶、斜方晶等)のどんな形状でもよい(例えば、小板状、球状、及び長円状)。適切な追加のフィラーの例としては、その限りでないが、タルク;マイカ;シリカ;カオリン;Nylon(登録商標)等のポリアミドの粉末;ポリ-β-3-アラニン粉末;ポリエチレン粉末;ポリウレタン粉末、例えば、東色によりPlastic Powder D-400の名称で販売されている、ヘキサメチレンジイソシアネート及びトリメチロールヘキシルラクトンコポリマーで構成された粉末;テトラフルオロエチレンポリマー(Teflon(登録商標))で構成された粉末;ラウロイルリシン;デンプン;窒化ホウ素;高分子中空微小球、例えば、ポリ(塩化ビニリデン)/アクリロニトリルの微小球、例えばExpancel(登録商標) (Nobel Industrie)、及びアクリル酸コポリマーの微小球;シリコーン樹脂粉末、例えば、シルセスキオキサン粉末(例えば、欧州特許第0 293 795号で開示されているシリコーン樹脂粉末、及び東芝のTospearls(登録商標));ポリ(メタクリル酸メチル)粒子;沈降炭酸カルシウム;炭酸マグネシウム;塩基性炭酸マグネシウム;ヒドロキシアパタイト;中空シリカ微小球;ガラスミクロカプセル;セラミックミクロカプセル;8〜22個の炭素原子、例えば12〜18個の炭素原子を含む有機カルボン酸から得られる金属石けん、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、及びミリスチン酸マグネシウム;硫酸バリウム;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0158】
フィラーは、組成物中に、組成物の総重量の0.1重量%〜80重量%、例えば、1重量%〜25重量%、又は3重量%〜15重量%の範囲の量で存在してよい。
【0159】
用語「油」は、周囲温度(25℃)で液体である脂肪物質を意味すると理解される。
【0160】
本発明の組成物中に使用することのできる油として、例えば、ペルヒドロスクアレン(又はスクアラン)等の動物由来の炭化水素油;植物由来の炭化水素油、例えば、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えば、Stearineries Duboisにより市販されているものやDynamit NobelによりMiglyol 810、812及び818の商標で市販されているもの、又は植物由来の油、例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、キュウリ油、ブドウ種子油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アンズ油、マカダミアナッツ油、アララ油(arara oil)、コリアンダー油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、シアバター油;合成油;シリコーン油、例えば、周囲温度で液体又はペーストである、線状又は環状シリコーン鎖を含む揮発性又は不揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS);フッ素化油、例えば、一部が炭化水素及び/又はシリコーンであるもの、例えば、特開平02-295912に記載のもの;ジカプリリルエーテル(CTFA名)等のエーテル;C12〜C15脂肪族アルコール安息香酸エステル(FinetexのFinsolv TN)等のエステル;安息香酸2-フェニルエチル(ISPのX-Tend 226)等の安息香酸アリールアルキル誘導体;N-ラウロイルサルコシンイソプロピル(味の素のエルデュウSL-205)等のアミド化油、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0161】
油性相は、例えば、脂肪族アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール)、脂肪酸(ステアリン酸)、又は蝋(パラフィン蝋、ポリエチレン蝋、カルナウバ蝋、蜜蝋)から選択される1種若しくはそれ以上の脂肪物質も含んでよい。油性相は、親油性ゲル化剤、界面活性剤、又はここでも有機若しくは無機粒子を含んでよい。
【0162】
油性相は、組成物の総重量の1〜70重量%の油に相当し得ることが好ましい。
【0163】
本発明による組成物は、少なくとも1種の追加の従来の化粧品成分をさらに含んでもよく、追加化粧品成分は、例えば、親水性又は親油性のゲル化剤及び/又は増粘剤、界面活性剤、抗酸化剤、香料、保存剤、中和剤、日焼け止め剤、ビタミン、保湿剤、セルフタンニング化合物、しわ抑制活性剤、緩和剤、親水性又は親油性活性剤、汚染及び/又はフリーラジカル除去剤、金属イオン封鎖剤、皮膜形成剤、皮膚収縮解消活性剤(dermo-decontracting active agent)、皮膚鎮静剤(soothing agent)、真皮又は表皮高分子の合成を刺激し、かつ/又はその分解を防止する薬剤、抗糖化剤(antiglycation agent)、刺激を除去する薬剤、鱗状化解消剤(desquamating agent)、色素沈着解消剤(depigmenting agent)、色素沈着抑制剤(antipigmenting agent)、色素沈着促進剤(propigmenting agent)、NO合成酵素阻害剤、線維芽細胞及び/若しくはケラチノサイトの増殖及び/又はケラチノサイトの分化を刺激する薬剤、微小循環に作用する薬剤、細胞のエネルギー代謝に作用する薬剤、ヒーリング剤(healing agent)、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0164】
本発明による組成物は、様々な形態、例えば、懸濁液、分散液、溶液、ゲル、水中油(O/W)、油中水(W/O)、及び多重(例えば、W/O/W、ポリオール/O/W、O/W/O)乳濁液等の乳濁液、クリーム、フォーム、スティック、小胞分散液、例えばイオン性及び/又は非イオン性脂質の分散液、二相及び多相ローション、スプレー、粉末、ペーストにすることができる。組成物は無水でもよく、例えば、無水のペースト又はスティックにすることができる。組成物は、洗い流さない組成物にしてもよい。
【0165】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、液体又は固体の油性組成物や粉末状組成物等の無水組成物の形態でもよい。
【0166】
別の実施形態によれば、本発明による組成物は、例えば、コンパクトパウダー、ローション、セラム、乳液、クリーム、ベースファンデーション、化粧下地(undercoat)、メーキャップベースコート、ファンデーション、粉おしろい、頬紅、リップスティック、リップクリーム、アイシャドウ、アイライナー、ルースパウダー、コンシーラー、ネイルコート、マスカラ、日焼け止め剤等の形態にすることができる。
【0167】
当業者なら、使用する成分の性質、例えば、成分の媒体への溶解性、及び組成物について構想される用途を考慮に入れながら、自身の一般知識に基づき、適切な体裁並びにその調製方法を選択できることは理解されたい。
【0168】
(実施例)
本発明について、実施例としてより詳細に述べるつもりであるが、しかし、本発明の範囲を限定しないものと解釈すべきである。
【0169】
(実施例1及び2並びに比較例1〜3)
日本の株式会社奈良機械製作所により市販されている、乾燥条件にある室中に複数の刃を有する高速ローターを備えたハイブリダイザーを使用して、表1及び2に示す成分をハイブリダイザー法にかけて、複合顔料を得た。
【0170】
詳細には、実施例1、実施例2及び比較例1〜3それぞれについて、表1及び2に示す成分を、プラスチック製袋に入れて短時間手で振盪することにより、表1及び2に示す混合比(表1及び2の数字は重量部による)で混合した。混合物をハイブリダイザーに投入し、ローターを8,000rpm (線速度100m/s)で5分間回転させた。
【0171】
【表1】

【0172】
【表2】

NLK: 椀様粒子状のメチルシラノール/シリケートクロスポリマー、日本の竹本油脂株式会社により市販されているNLK 506
KSP: ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマー粒子、日本の信越化学工業株式会社により市販されているKSP-100
URE: 架橋ポリウレタン粒子、日本の大日精化工業株式会社により市販されているDAIMICBEAZ UCN-5150D NS CLEAR
NYL: 日本の東レ(株)によりナイロンSP-500として市販されているナイロン-12粒子
TiO2: 日本のテイカ株式会社により市販されているMT-100 TV
【0173】
得られた、実施例1及び比較例1〜3による複合顔料を、Gaイオンビームで切断する前後に、FIB(集束イオンビーム)-SEMによって観察した。切断前後の実施例1の複合顔料のSEM画像を、図2に、それぞれ図2(a)及び図2(b)として示す。切断前後の比較例1〜3の複合顔料のSEM画像を、図3〜5に、それぞれ図3〜5(a)及び図3〜5(b)として示す。
【0174】
図2から、実施例1の複合顔料では、TiO2のコーティング層がその凸型表面上に直接付着していることが明白である。一方、比較例1〜3の複合顔料は、図3〜5に示すように、その全表面上にTiO2のコーティング層を有する。
【0175】
ルースパウダー
実施例1の複合顔料20重量部と合成マイカ80重量部を混合して、ルースパウダーを調製した。同様に、比較例1又は2の複合顔料20重量部と合成マイカ80重量部を混合して、対照としてのルースパウダーを調製した。
【0176】
[UVA及びUVB吸光度の決定]
V-550紫外可視分光光度計(日本分光、日本)を使用して、ルースパウダーのUV波吸光度を以下のとおりに測定した。
【0177】
透明なプラスチックシート上に貼り付けた両面テープの10cm2の粘着性表面範囲上に、ルースパウダー6.0mgを指で均等に広げた。ルースパウダーを別の透明プラスチックシートで覆って、この粉末サンプルを間に挟んだ。この試験シートをV-550シートセルホルダーにセットし、吸光度を260nm〜400nmで測定した。0.6mg/cm2の粉末サンプルによる、260nm〜320nm及び320nm〜400nmの範囲での吸光度を平均したものを、それぞれUVB及びUVAの吸光度の値に使用した。
【0178】
結果を表3に示す。表3において、実施例1は、実施例1の複合顔料を含有するルースパウダーを意味し、比較例1及び比較例2は、それぞれ比較例1及び2の複合顔料を含有するルースパウダーを意味する。
【0179】
【表3】

【0180】
表3に示したように、実施例1の複合顔料を含有するルースパウダーは、UVA及びUVBの両方の領域で、比較例1又は2の複合顔料を含有するルースパウダーより、UV吸光度が高い。
【0181】
粉末状ファンデーション
実施例1の複合顔料又は複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含有する粉末状ファンデーションを、複合顔料又は混合物を表4に示す成分と混合することにより調製した。
【0182】
【表4】

【0183】
表4において、「混合物」は、表1で実施例1について示した成分の単純な混合物を意味し、「複合顔料」は、実施例1の複合顔料を意味する。
【0184】
[摩擦係数の決定]
トライボマスター type TL201Sa (株式会社トリニティーラボ、日本)を使用して、摩擦係数(MIU)を測定した。
【0185】
トライボマスターの試験台上に両面テープで固定した合成革シートに、粉末状ファンデーション30mg〜50mgを置いた。先端が1cm×1cmの正方形である立方体型アルミニウムプローブも合成革シートで覆い、プローブを使用して、粉末状ファンデーションを1cm/秒の速度でまっすぐに2.0cmの距離に広げた。戻り行程を5回繰り返し、MIUは、往路及び復路運動それぞれで10セットのMIUデータからの平均とした。測定を3回繰り返し、得られた結果を平均した。
【0186】
結果を表5に示す。表5において、[混合物]は、実施例1について表1に示した成分の単純な混合物を含有する粉末状ファンデーションを意味し、[複合顔料]は、実施例1の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションを意味する。
【0187】
【表5】

比率(%):(摩擦係数[複合顔料])/(摩擦係数[混合物])×100
【0188】
表5から、実施例1の複合顔料を含む化粧品は、複合顔料に対応する混合物を含む化粧品より摩擦係数が低いことが明白である。
【0189】
したがって、本発明による複合顔料を含む化粧品では、複合顔料の成分の単純な混合物を含む従来の化粧品より良好な、滑らかな使用感を得ることができる。
【0190】
液状ファンデーション
実施例1の複合顔料又は複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含有する液状ファンデーションを、複合顔料又は混合物を表6に示す成分と混合することにより調製した。
【0191】
【表6】

【0192】
表6において、「混合物」は、表1で実施例1について示した成分の単純な混合物を意味し、「複合顔料」は、実施例1の複合顔料を意味する。
【0193】
[摩擦係数の決定]
トライボマスターtype TL201Sa (株式会社トリニティーラボ、日本)を使用して、上記液状ファンデーションの摩擦係数(MIU)を以下のように測定した。
【0194】
先端が1cm×1cm平方である立方体型アルミニウムプローブの表面に液状ファンデーション15mgを置いた。プローブに合成革シートを被せ、プローブを使用して、トライボマスターの試験台に両面テープで固定した合成革シート上で、液状ファンデーションを1cm/秒の速度でまっすぐに2.0cmの距離に広げた。戻り行程を37℃で30回繰り返し、MIUは、それぞれで60セットのMIUデータからの平均とした。
【0195】
結果を表7に示す。表7において、[混合物]は、表1で実施例1について示した成分の単純な混合物を含有する液状ファンデーションを意味し、[複合顔料]は、実施例1による複合顔料を含有する液状ファンデーションを意味する。
【0196】
【表7】

比率(%):(摩擦係数[複合顔料])/(摩擦係数[混合物])×100
【0197】
表7から、実施例1の複合顔料を含む化粧品は、複合顔料に対応する混合物を含む化粧品より摩擦係数が低いことが明白である。
【0198】
したがって、化粧品のタイプにかかわらず、本発明による複合顔料を含む化粧品では、複合顔料の成分の混合物を含む従来の化粧品より良好な、滑らかな使用感を得ることができる。
【0199】
粉末状ファンデーション
実施例2又は比較例3の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションを、複合顔料を表8に示す成分と混合することにより調製した。
【0200】
【表8】

【0201】
表8において、「複合顔料」は、実施例2又は比較例3で得られる複合顔料を意味する。
【0202】
[UVA及びUVB吸光度の決定]
V-550紫外可視分光光度計(日本分光、日本)を使用して、粉末状ファンデーションのUV波吸光度を上述のとおりに測定した。
【0203】
結果を表9に示す。表9において、実施例2は、実施例2の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションを意味し、比較例3は、比較例3の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションを意味する。
【0204】
【表9】

【0205】
表9に示したように、実施例2の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションは、UVA及びUVBの両方の領域で、比較例3の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションより、UV吸光度が高い。
【0206】
したがって、本発明による複合顔料を含む化粧品では、従来の化粧品より良好なUV遮蔽効果を得ることができる。これは、実施例2に使用した複合顔料のUV散乱特性が良好であるためであるといえる。
【0207】
混合物及び複合顔料
実施例2の複合顔料に対応する凹型粒子(NLK)と無機UV遮蔽剤(TiO2)の単純混合物(重量比=100:100)を10重量%含有する粉末状ファンデーションを、実施例2の複合顔料の代わりに混合物を使用し、表8に示した処方に従って調製した。
【0208】
次に、比較例3の複合顔料に対応するナイロン粒子(NYL)と無機UV遮蔽剤(TiO2)の混合物(重量比=100:100)10重量%を含有する粉末状ファンデーションを、比較例3の複合顔料の代わりに混合物を使用し、表8に示す処方に従って調製した。
【0209】
[UVA及びUVB吸光度の決定]
V-550紫外可視分光光度計(日本分光、日本)を使用して、粉末状ファンデーションのUV波吸光度を上述のとおりに測定した。
【0210】
結果を表10及び表11に示す。表10及び表11において、実施例2及び比較例3は、それぞれ実施例2及び比較例3の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションを意味し、混合物例2及び混合物比較例3は、それぞれ実施例2及び比較例3の複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含有する粉末状ファンデーションを意味する。
【0211】
【表10】

【0212】
【表11】

【0213】
表10及び表11に示したように、実施例2の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションは、複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含有する粉末状ファンデーションに匹敵するUV吸光度を有する。一方、比較例3の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションは、複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含有する粉末状ファンデーションよりUV吸光度が劣る。
【0214】
したがって、本発明による複合顔料のUV遮蔽効果は、複合顔料に対応する成分の単純な混合物と比べて低下しないが、従来の複合顔料では低下することが明白である。これは、比較例3による複合顔料では、芯粒子上にUV遮蔽剤(TiO2)粒子が密集して固まっており、これによりUV遮蔽剤の見かけのサイズが大きくなって、UV遮蔽剤のUV散乱特性が低下するためであるといえる。
【0215】
(実施例3及び4)
日本の株式会社奈良機械製作所により市販されている、乾燥条件にある室中に複数の刃を有する高速ローターを備えたハイブリダイザーを使用して、表12に示す成分をハイブリダイザー法にかけて、複合顔料を得た。
【0216】
詳細には、実施例3及び4それぞれについて、表12に示す成分をプラスチック製袋に入れて短時間手で振盪することにより、表12に示す混合比(表12の数字は重量部による)で混合した。混合物をハイブリダイザーに投入し、ローターを8,000rpm(線速度100m/s)で5分間回転させた。
【0217】
【表12】

NLK: メチルシラノール/シリケートクロスポリマーの椀様粒子、日本の竹本油脂株式会社により市販されているNLK 506
TiO2: 日本のテイカ株式会社により市販されているMT-100 TV
OMC: メトキシケイ皮酸エチルヘキシル
Mexoryl: ドロメトリゾールトリシロキサン
【0218】
混合物及び複合顔料
実施例3又は実施例4の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションを、複合顔料を表8に示した成分と混合することにより調製した。
【0219】
一方、凹型粒子(NLK)、無機UV遮蔽剤(TiO2)、及び液体有機UV遮蔽剤(OMC)の混合物(重量比=100:40:10)、又は凹型粒子(NLK)、無機UV遮蔽剤(TiO2)、及び固体有機UV遮蔽剤(Mexoryl)(重量比=100:40:10)の混合物を10重量%含有する粉末状ファンデーションを、それぞれ実施例3又は4の複合顔料の代わりに混合物を使用し、表8に示す処方に従って調製した。
【0220】
[UVA及びUVB吸光度の決定]
V-550紫外可視分光光度計(日本分光、日本)を使用して、粉末状ファンデーションのUV波吸光度を上述のとおりに測定した。
【0221】
結果を表13及び表14に示す。表13及び表14において、実施例3及び実施例4は、それぞれ実施例3及び4の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションを意味し、混合物例3及び混合物例4は、それぞれ実施例3及び4の複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含有する粉末状ファンデーションを意味する。
【0222】
【表13】

【0223】
【表14】

【0224】
表13及び14に示したように、実施例3又は4の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションは、複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含有する粉末状ファンデーションに匹敵するUV吸光度を有する。
【0225】
したがって、本発明による複合顔料のUV遮蔽効果が、複合顔料を構成する成分の単純な混合物と比べて低下しないことは明白である。
【0226】
(実施例5及び6)
実施例5及び6では表15に示す成分(表15の数字は重量部による)を使用したことを除き、実施例1を繰り返して、実施例5及び6の複合顔料を得た。
【0227】
【表15】

NLK: 椀様粒子状のメチルシラノール/シリケートクロスポリマー、日本の竹本油脂株式会社により市販されているNLK 506
TiO2: 日本のテイカ株式会社により市販されているMT-100 TV
Red: レッド202
【0228】
得られた、実施例6による複合顔料を、Gaイオンビームで切断する前後に、FIB(集束イオンビーム)-SEMによって観察した。切断前後の実施例6の複合顔料のSEM画像を、図6に、それぞれ図6(a)及び図6(b)として示す。
【0229】
図6から、実施例6の複合顔料では、UV遮蔽剤(TiO2)及び着色顔料(レッド202)のコーティング層がその凸型表面上に直接付着していることが明白である。
【0230】
リップスティック
表16にその成分を示す基剤を、三シリンダローラによって、着色顔料(レッド202)がリップスティックの0.1重量%となるような、実施例5及び6による複合顔料又は実施例5及び6の複合顔料に対応する成分の単純な混合物と90℃で混合することにより、リップスティックを調製した。
【0231】
【表16】

【0232】
[色の測定]
DATACOLOR 600 (Applied Color Systems Inc.、米国)を使用して、上記リップスティックそれぞれの色(L*,a*,b*)を以下のとおりに測定した。
【0233】
アルミ皿(25mm(L)×23mm(W)×4mm(D))にリップスティック2.5gを流し込み、冷却してペーストを固めた。試験サンプルのL*、a*及びb*をペーストの上部から測定した。
【0234】
結果を表17〜19に示す。表17〜19において、[混合物]は、表15に示す成分の単純な混合物を含有するリップスティックを意味し、[複合顔料]は、表15に示す成分でのハイブリダイザー法によって得られた複合顔料を含有するリップスティックを意味する。
【0235】
【表17】

【0236】
【表18】

【0237】
【表19】

【0238】
表17〜19から、実施例5及び6の複合顔料を含む化粧品が、複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含む化粧品と比べて、より高いa*値及びb*値を有することは明白である。
【0239】
したがって、本発明による複合顔料を含む化粧品では、複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含む従来の化粧品と比べて、彩度のより高いより良質な色を得ることができる。
【0240】
[可視光線吸光度の決定]
V-550紫外可視分光光度計(日本分光、日本)を使用して、リップスティックの可視光線吸光度を上記[UVA及びUVB吸光度の決定]に記載のとおりに測定したが、但し、UVA及びUVB領域に代えて400〜700nmの波長での吸光度を測定した。
【0241】
結果を表20に示す。表20において、[混合物]は、表15に示す成分の単純な混合物を含有するリップスティックを意味し、[複合顔料]は、表15に示す成分でのハイブリダイザー法によって得られた複合顔料を含有するリップスティックを意味する。
【0242】
【表20】

【0243】
表20に示したように、実施例5及び6の複合顔料を含有するリップスティックは、複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含有するリップスティックより、可視光線の吸光度が低い。
【0244】
したがって、本発明による複合顔料を含む化粧品では、複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含む従来の化粧品と比べて、より透明感のある外観を得ることができる。
【0245】
(実施例7)
日本の株式会社奈良機械製作所により市販されている、乾燥条件にある室中に複数の刃を有する高速ローターを備えたハイブリダイザーを使用して、表21に示す成分をハイブリダイザー法にかけて、複合顔料を得た。
【0246】
詳細には、実施例7について、表21に示す成分をプラスチック製袋に入れて短時間手で振盪することにより、表21に示す混合比(表21の数字は重量部による)で混合した。混合物をハイブリダイザーに投入し、ローターを8,000rpm(線速度100m/s)で5分間回転させた。
【0247】
【表21】

NLK: ラグビーボール様粒子状のメチルシラノール/シリケートクロスポリマー、日本の竹本油脂株式会社により市販されているNLK 602
TiO2: 日本のテイカ株式会社により市販されているMT-100 TV
OMC: メトキシケイ皮酸エチルヘキシル
Mexoryl: ドロメトリゾールトリシロキサン
【0248】
混合物及び複合顔料
実施例7の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションを、複合顔料を表8に示す成分と混合することにより調製した。
【0249】
一方、凹型粒子(NLK*)、無機UV遮蔽剤(TiO2)、液体有機UV遮蔽剤(OMC)、及び固体有機UV遮蔽剤(Mexoryl)の混合物(重量比=100:40:10:10)を10重量%含有する粉末状ファンデーションを、実施例7の複合顔料の代わりに混合物を使用し、表8に示した処方に従って調製した。
【0250】
実施例7の複合顔料及び上記混合物のSEM画像を、それぞれ図7及び図8に示す。
【0251】
図7から、実施例7で使用した凹型粒子(NLK*)が、実施例1〜6で使用した凹型粒子(NLK)の集合型又は圧縮型に相当すること、並びに外部環境につながるその凹面がそこに存在することは明白である。
【0252】
[UVA及びUVB吸光度の決定]
V-550紫外可視分光光度計(日本分光、日本)を使用して、粉末状ファンデーションのUV波吸光度を上述のとおりに測定した。
【0253】
結果を表22に示す。表22において、実施例7は、実施例7の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションを意味し、混合物例7は、実施例7の複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含有する粉末状ファンデーションを意味する。
【0254】
【表22】

【0255】
表22に示したように、実施例7の複合顔料を含有する粉末状ファンデーションは、複合顔料に対応する芯粒子及びUV遮蔽剤の単純な混合物を含有する粉末状ファンデーションより高いUV吸光度を有する。
【0256】
したがって、本発明による複合顔料のUV遮蔽効果は、複合顔料を構成する成分の単純な混合物と比べて低下せず、むしろ高まることが明白である。
【0257】
[色の測定]
DATACOLOR 600 (Applied Color Systems Inc.、米国)を使用して、上記ファンデーションそれぞれの色(L*)を上述のとおりに測定した。
【0258】
結果を表23に示す。表23において、[混合物]は、表21に示した成分の単純な混合物を含有するファンデーションを意味し、[複合顔料]は、表21に示した成分でのハイブリダイザー法によって得られた複合顔料を含有するファンデーションを意味する。
【0259】
【表23】

【0260】
表23から、実施例7の複合顔料を含む化粧品が、複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含む化粧品と比べて、より高いL*値を有することは明白である。
【0261】
したがって、本発明による複合顔料を含む化粧品では、複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含む従来の化粧品と比べて、より良好なカバー効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0262】
W1 内周縁の間の幅
W2 外周縁の間の幅
H 凸型外表面の高さ
11 小凹型内表面
21 凸型外表面
31 線分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料を含む少なくとも1つの層によって少なくとも一部が覆われている凹型基材を含む複合顔料。
【請求項2】
凹型基材が、0.1μm〜30μmの範囲の平均直径を有する、請求項1に記載の複合顔料。
【請求項3】
前記凹型基材が、凹型内表面及び該凹型内表面の反対側にある凸型外表面を備えており、少なくとも1つの層が前記凸型外表面を本質的に覆っている、請求項1又は2に記載の複合顔料。
【請求項4】
前記凹型基材が、凹型内表面及び該凹型内表面の反対側にある凸型外表面を備えており、少なくとも1つの層が前記凹型内表面を本質的に覆っている、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項5】
前記少なくとも1つの層と前記凹型内表面の間に中間層が存在する、請求項4に記載の複合顔料。
【請求項6】
前記凹型基材が、中空球体の一部の形態である、請求項1から5のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項7】
前記凹型基材が、ポリ(メタ)アクリレート、有機シリコーン材料、又は、これらの混合物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項8】
前記凹型基材が、内周縁を画定する凹型内表面、及び、外周縁を画定する凸型外表面を備えており、前記内周縁の平均直径は0.1〜20μmの範囲をとり、前記外周縁の平均直径は0.2〜30μmの範囲をとり、前記内周縁に対して垂直な軸に沿って測定される、凹型内表面の平均窪み長は0.1〜20μmの範囲をとる、請求項1から7のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項9】
少なくとも1種の着色顔料が、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム水和物、第二鉄青、アルミニウム粉末、銅粉末、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、レーキ、真珠箔顔料、及び、これらの混合物から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項10】
少なくとも1種のUV遮蔽剤が有機又は無機である、請求項1から9のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項11】
少なくとも1種のUV遮蔽剤が、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ショウノウ誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロン酸誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ビス-ベンゾアゾリル誘導体、p-アミノ安息香酸(PABA)及びその誘導体、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、α-アルキルスチレン由来ダイマー、4,4-ジアリールブタジエン誘導体、オクトクリレン及びその誘導体、グアイアズレン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、フラボノイド、ビフラボノイド、オリザノール及びその誘導体、キナ酸及びその誘導体、フェノール、レチノール、システイン、芳香族アミノ酸、芳香族アミノ酸残基含有ペプチド、並びにこれらの混合物からなる群から選択される有機遮蔽剤を含む、請求項10に記載の複合顔料。
【請求項12】
少なくとも1種のUV遮蔽剤が、炭化ケイ素、コーティングされていてもされていなくてもよい金属酸化物、及び、これらの混合物からなる群から選択される無機UV遮蔽剤を含む、請求項10に記載の複合顔料。
【請求項13】
前記凹型基材対UV遮蔽剤及び/又は着色顔料の重量比が100:1〜100:500である、請求項1から12のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項14】
凹型基材と、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料とをハイブリダイザー法にかけるステップを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の複合顔料の調製方法。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の複合顔料を含む化粧品組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−500942(P2013−500942A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506024(P2012−506024)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/JP2009/064208
【国際公開番号】WO2011/016144
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】