説明

複層塗膜形成方法、複層塗膜及び被塗物

【課題】
新たな意匠性を有する複層塗膜を得ることができる複層塗膜形成方法、それによって得られる複層塗膜及びその複層塗膜を有する被塗物を提供する。
【解決手段】
被塗装物上にエマルション樹脂及び光輝材を含有する水性ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成する工程(1)、上記ベース塗膜を硬化させることなくその上に塗膜形成性樹脂を含有するクリヤー塗料を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程(2)、及び、上記ベース塗膜と上記クリヤー塗膜とを同時に加熱する工程(3)からなる複層塗膜形成方法であって、上記ベース塗膜の屈折率(BnD)と上記クリヤー塗膜の屈折率(CnD)とが、下記式(1):
|(CnD)−(BnD)|≧0.015 (1)
の範囲にあり、上記エマルション樹脂の溶解性パラメーター(Bsp値)と上記塗膜形成性樹脂の溶解性パラメーター(Csp値)とが、下記式(2):
(Bsp植)−(Csp値)≧0.15 (2)
の範囲にあることを特徴とする複層塗膜形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複層塗膜形成方法、複層塗膜及び被塗物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用塗膜として、メタリック色やパール色を呈する塗膜を得る方法として、例えば、光輝材を含有するベース塗料を塗装して得られたベース塗膜上にクリヤー塗料を塗装した複層塗膜を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような複層塗膜に含まれる顔料の光輝感を際立たせたり、逆に抑制したりすることによって、これまでにない新たな意匠性を有する塗膜を形成することが望まれている。
【0003】
一方、塗膜の意匠性を向上させる方法として、ベースコート上のクリヤ層を第1クリヤ層と第2クリヤ層とに分け、第1クリヤ層の屈折率nと第2クリヤ層の屈折率nをn<nとする塗装方法(例えば、特許文献2参照)や、着色ベース塗料(A)、クリヤー塗料(B)及びクリヤー塗料(C)を順次塗装する工程において、クリヤー塗料(B)の硬化塗膜の屈折率が、その上面に塗装するクリヤー塗料(C)の硬化塗膜に比べて0.02以上大きくなる塗膜形成方法(例えば、特許文献3参照)が開示されている。しかしながら、これらの方法は、ベース塗膜の光輝感を調節するためのものではなかった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−50064号公報
【特許文献2】特開平6−254480号公報
【特許文献3】特開平10−5679号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記現状に鑑み、新たな意匠性を有する複層塗膜を得ることができる複層塗膜形成方法、それによって得られる複層塗膜及びその複層塗膜を有する被塗物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被塗装物上にエマルション樹脂及び光輝材を含有する水性ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成する工程(1)、上記ベース塗膜を硬化させることなくその上に塗膜形成性樹脂を含有するクリヤー塗料を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程(2)、及び、上記ベース塗膜と上記クリヤー塗膜とを同時に加熱する工程(3)からなる複層塗膜形成方法であって、上記ベース塗膜の屈折率(BnD)と上記クリヤー塗膜の屈折率(CnD)とが、下記式(1):
|(CnD)−(BnD)|≧0.015 (1)
の範囲にあり、上記エマルション樹脂の溶解性パラメーター(Bsp値)と上記塗膜形成性樹脂の溶解性パラメーター(Csp値)とが、下記式(2):
(Bsp植)−(Csp値)≧0.15 (2)
の範囲にあることを特徴とする複層塗膜形成方法である。
本発明は、上述の複層塗膜形成方法によって形成されることを特徴とする複層塗膜でもある。
本発明は、上述の複層塗膜を有することを特徴とする被塗物でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明は、被塗装物上にエマルション樹脂及び光輝材からなる水性ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成する工程(1)、上記ベース塗膜を硬化させることなくその上に塗膜形成性樹脂からなるクリヤー塗料を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程(2)、及び、上記ベース塗膜と上記クリヤー塗膜とを同時に加熱する工程(3)からなる複層塗膜形成方法であって、上記ベース塗膜の屈折率(BnD)と上記クリヤー塗膜の屈折率(CnD)とが、下記式(1):
|(CnD)−(BnD)|≧0.015 (1)
の範囲となるものである。
【0008】
本発明の複層塗膜形成方法は、上記ベース塗膜及びクリヤー塗膜の屈折率の値自体を限定するものではなく、それぞれの屈折率の差の絶対値が上記範囲内となるものである。すなわち、いずれかの塗膜の屈折率が常に高くなり、もう片方の塗膜の屈折率が常に低くなる必要がない。このため、水性ベース塗料及びクリヤー塗料の組成が限定されることなく、種々の水性ベース塗料及びクリヤー塗料を使用することができる。
【0009】
本発明は、上記ベース塗膜とクリヤー塗膜との屈折率の差(ΔnD)を0.015以上とすることで、塗膜の光輝感を際立たせたり、逆に抑制したりすることによって、これまでにない新たな意匠性を付与することができるものである。本発明の効果は、以下に図1に基づいて説明するような作用によって生じていると推測される。
【0010】
図1は、クリヤー塗膜2及びベース塗膜3からなる複層塗膜に光源1から光を照射した場合の反射光を示したものである。CnD>BnDとなる場合、すなわち、反射光6が発生する場合、ハイライト部4から見える塗膜の光輝感は高く、一方、シェード部5から見える塗膜の光輝感は低くなる。BnD>CnDとなる場合、すなわち、反射光7が発生する場合、ハイライト部4から見える塗膜の光輝感は低く、一方、シェード部5から見える塗膜の光輝感は高くなる。このように、ベース塗膜とクリヤー塗膜の屈折率に差が生じると、塗膜の光輝感が見る角度によって異なり、同じ塗装面で異なる色調がみられるものと推測される。本発明は、上記ベース塗膜とクリヤー塗膜の屈折率の差が0.015以上となるときに、上述の効果がより強く発揮され、新たな意匠性が得られることを見出したものである。
【0011】
上記屈折率の差は、好ましくは0.02以上である。上記屈折率の差の上限としては特に限定されないが、塗料安定性が低下するおそれがあるため、0.1以下であることが好ましい。
【0012】
ここで、塗膜の屈折率は、JIS K 7150に基づき、アッベ屈折計を用いて測定したものである。具体的には、クリヤー塗料を平滑なポリプロピレン板に硬化塗膜の膜厚が30μmになるようにドクターブレードで塗布し、140℃で30分加熱して硬化させた塗膜をポリプロピレン板から剥がし、大きさ10×20mmに調整して測定用試験片とした。屈折計のプリズムと接触させる試験片面の中央に接触液(1−ブロモナフタレン)を1滴たらし、屈折計の光の入射方向にその面を向けてプリズムに静かに押さえ付け、試験片とプリズムが平行になるように接触させる。自然光を光源として、まず接眼レンズで視野内の十字線にピントを合わせ、反射鏡で光を入れ、プリズムを回転して明暗境界線を十字線の交点に合わせた。温度を25℃に平衡させたのち、境界線を正しく十字線の交点に合わせて読み取ることにより、クリヤー塗膜の屈折率を測定した。ベース塗膜の屈折率に関しては、顔料抜きの水性ベース塗料を作成して同様にして測定した。
【0013】
本発明の複層塗膜形成方法は、上記水性ベース塗料に含まれるエマルション樹脂の溶解性パラメーター(Bsp値)と上記クリヤー塗料に含まれる塗膜形成性樹脂の溶解性パラメーター(Csp値)とが、下記式(2):
(Bsp植)−(Csp値)≧0.15 (2)
の範囲となるものである。上記溶解性パラメーターの差(Δsp)が0.15以上となることで、ベース塗膜とクリヤー塗膜との混和性を制御することができる。すなわち、ベース塗膜とクリヤー塗膜とのなじみを抑制し、塗膜外観に優れた複層塗膜を得ることができるものである。上記溶解性パラメーターの差は、好ましくは0.3以上である。更に、上記溶解性パラメーターの差(Δsp)が0.15以上となることで、ベース塗膜に含まれる顔料の配列の乱れを抑制する等の効果を得ることができる。
【0014】
ここで、溶解性パラメーターは、スー・クラーク(Suh Clark)の方法[J.P.S.A−1,5,1671〜1681(1967)]により求めたものである。この方法は、試料中の溶剤を揮散させ、残留した樹脂固形分0.5gを、良溶媒であるジオキサン10mlに再溶解し、貧溶媒であるn−ヘキサン及び水を用いて、濁度測定法により測定するものである。具体的には、次のようにして測定した。
【0015】
測定温度20℃で、サンプル樹脂0.5gを100mlビーカーに秤量し、良溶媒:アセトンで10mlをホールピペットを用いて加え、マグネティックスターラーにより溶解した。次に、低SP貧溶媒:n−ヘキサン及び高SP貧溶媒:イオン交換水を、50mlビュレットを用いて滴下し、濁りが生じた点を、各貧溶媒の滴下量とする。各滴下量から樹脂のSP値δは次式(3)によって与えられる。
δ=(Vml1/2 δml+Vmh1/2 δmh)/(Vml1/2 +Vmh1/2 ) (3)
=V/(φ+φ
δ=φδ+φδ
:溶媒の分子容(ml/mol)
φ:濁点における各溶媒の体積分率
δ:溶媒のSP値
ml:低SP貧溶媒混合系
mh:高SP貧溶媒混合系
【0016】
<水性ベース塗料>
本発明の複層塗膜形成方法において用いられる水性ベース塗料は、エマルション樹脂及び光輝材を含むものである。
上記エマルション樹脂としては特に限定されず、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。耐候性、及び作業性の点から、アクリル樹脂が好ましい。上記アクリル樹脂としては特に限定されず、内部架橋したものであっても、内部架橋していないものであってもよい。上記エマルション樹脂が内部架橋したアクリル樹脂である場合、架橋構造を有するコア部と、シェル部とからなるアクリル樹脂を使用することができる。上記コア部としては特に限定されず、例えば、1分子中に2個以上の(メタ)アクリレート基を含有する多官能性不飽和モノマーを1〜20質量%含むモノマー混合物(a)を乳化重合して得られるものを挙げることができる。
【0017】
上記多官能性不飽和モノマーとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、等を挙げることができる。上記多官能性不飽和モノマーの含有量は、下限1質量%、上限20質量%の範囲内であることが好ましい。上記多官能性不飽和モノマーの含有量が1質量%を下回ると得られる塗膜の意匠性が低下し、また、20質量%を超えると得られる塗膜の平滑性が低下するおそれがある。より好ましくは5〜15質量%である。
【0018】
また、上記シェル部としては特に限定されず、例えば、カルボン酸基含有不飽和モノマーを含むモノマー混合物(b)を乳化重合して得られるものを挙げることができる。上記カルボン酸基含有不飽和モノマーの酸価は、3〜50であることが好ましい。上記酸価が3を下回ると塗装作業性が不充分となり、50を超えると得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。より好ましくは7〜40である。
【0019】
上記カルボン酸基含有不飽和モノマーとしては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二量体、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、イソクロトン酸、α−ハイドロ−ω−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]ポリ[オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル)]、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、3−ビニルサリチル酸、3−ビニルアセチルサリチル酸等を挙げることができる。
【0020】
上記モノマー混合物(a)及び/又は上記モノマー混合物(b)は、水酸基を有することができる。上記水酸基価としては、10〜150であることが好ましく、より好ましくは20〜100である。上記水酸基価が10を下回ると充分な硬化性が得られず、150を超えると得られる塗膜の諸性能が低下するおそれがある。
【0021】
上記モノマー混合物(a)及び/又は上記モノマー混合物(b)が水酸基を有するものである場合には、上記モノマー混合物(a)及び/又は上記モノマー混合物(b)は、水酸基含有不飽和モノマーを含むものである。
【0022】
上記水酸基含有不飽和モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、アリルアルコール、メタクリルアルコール、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン付加物を挙げることができる。これらの中で好ましいものは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン付加物である。
【0023】
更に、上記モノマー混合物(a)及び/又は上記モノマー混合物(b)は、その他のα,β−エチレン性不飽和モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸エステル(例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(、メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸ジヒドロジシクロペンタジエニル等)、重合性アミド化合物(例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド、N−モノオクチル(メタ)アクリルアミド 2,4−ジヒドロキシ−4′−ビニルベンゾフェノン、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド等)、重合性芳香族化合物(例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルケトン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレン及びビニルナフタレン等)、重合性ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、α−オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等)、ジエン(例えば、ブタジエン、イソプレン等)を含むことができる。これらは目的により選択することができるが、親水性を容易に付与する場合には(メタ)アクリルアミドを用いることが好ましい。
【0024】
上記エマルション樹脂は、2段階の乳化重合によって得ることができる。すなわち、先ず上記モノマー混合物(a)の乳化重合を行って架橋構造を有するコア部を得た後、上記モノマー混合物(b)を更に加えて乳化重合を行ってシェル部を得るという方法である。
【0025】
ここで行われる乳化重合は、通常よく知られている方法を用いて行うことができる。具体的には、水、又は必要に応じてアルコール等の有機溶剤を含む水性媒体中に乳化剤を溶解させ、加熱撹拌下、上記モノマー混合物(a)又は上記モノマー混合物(b)と、重合開始剤とを滴下することにより行うことができる。乳化剤と水とを用いて予め乳化したモノマー混合物(a)又はモノマー混合物(b)を同様に滴下してもよい。
【0026】
上記重合開始剤としては、アゾ系の油性化合物(例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等)及び水性化合物(例えば、アニオン系の4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、カチオン系の2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン));並びに、レドックス系の油性過酸化物(例えば、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等)及び水性過酸化物(例えば、過硫酸カリウム、過酸化アンモニウム等)等が好ましい。
【0027】
上記乳化剤としては、当業者によってよく使用されているものを挙げることができるが、特に、反応性乳化剤、例えば、アントックス(Antox)MS−60(日本乳化剤社製)、エレミノールJS−2(三洋化成工業社製)、アデカリアソープNE−20(旭電化社製)及びアクアロンHS−10(第一工業製薬社製)等が好ましい。
また、分子量を調節するために、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタン及びα−メチルスチレンダイマー等のような連鎖移動剤を必要に応じて用いてもよい。
【0028】
反応温度は重合開始剤により決定され、例えば、アゾ系開始剤では60〜90℃であり、レドックス系では30〜70℃で行うことが好ましい。一般に、反応時間は1〜8時間である。上記モノマー混合物(a)と上記モノマー混合物(b)との合計質量に対する重合開始剤の含有量は、一般に0.1〜5質量%であり、0.2〜2質量%であることが好ましい。
【0029】
上記エマルション樹脂が内部架橋していないものである場合、上記エマルション樹脂としては特に限定されず、例えば、α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物を乳化重合して得られるものを挙げることができる。上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物としては特に限定されず、例えば、上述のカルボン酸基含有不飽和モノマー、水酸基含有不飽和モノマー、その他のα,β−エチレン性不飽和モノマー等からなるものを挙げることができる。
【0030】
上記α,β−エチレン性不飽和モノマー混合物の乳化重合としては特に限定されず、通常よく知られている方法を用いて行うことができる。具体的には、上述の方法によって好適に行うことができる。
【0031】
本発明において使用するエマルション樹脂のガラス転移温度(Tg)は、得られる塗膜の物性の観点から、−20〜80℃であることが好ましい。
なお、得られたエマルション樹脂の酸価、水酸基価及びTgは、上記エマルション樹脂を実測して求めることもできるが、モノマー混合物における各種不飽和モノマーの配合量から計算によって求めることができる。
【0032】
上記エマルション樹脂の平均粒子径は0.01〜1.0μmの範囲であることが好ましい。上記平均粒子径が0.01μm未満である場合、塗装作業性の向上が小さく、1.0μmを超える場合、得られる塗膜の外観が低下するおそれがある。この平均粒子径の調節は、例えば、モノマー組成や乳化重合条件を調整することにより可能である。
【0033】
上記エマルション樹脂は、必要に応じて塩基で中和することにより、pH=5〜10で用いることができる。これは、このpH領域における安定性が高いためである。この中和は、乳化重合の前又は後に、ジメチルエタノールアミンやトリエチルアミンのような3級アミンを系に添加することにより行うことが好ましい。
【0034】
本発明において用いられる水性ベース塗料中の上記エマルション樹脂の含有量は、塗料固形分中、5〜95質量%であることが好ましく、10〜85質量%であることがより好ましく、20〜70質量%であることが更に好ましい。上記含有量が上記範囲外である場合、塗装作業性や得られる塗膜の外観が低下するおそれがある。
【0035】
更に、本発明の複層塗膜形成方法において用いられる水性ベース塗料は光輝材を含むものである。
上記光輝材としては、形状は特に限定されず、また着色されていてもよく、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ等の金属又は合金等の光干渉性を有しない金属製顔料、アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、グラファイト顔料、干渉マイカ顔料、着色マイカ顔料、金属チタンフレーク顔料、ステンレスフレーク顔料、板状酸化鉄顔料、フタロシアニンフレーク顔料、金属めっきガラスフレーク顔料、金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料、ホログラム顔料等の薄片状の又は光干渉性を有する顔料等、当業者によってよく知られているものを挙げることができる。その中でも、平均粒径(D50)が2〜50μmであり、かつ厚さが0.1〜5μmである鱗片状の光干渉性を有する顔料が好ましい。また、平均粒径が10〜35μmの範囲のものが光輝感に優れていて更に好ましい。
【0036】
上記水性ベース塗料は光輝材以外の着色成分を含むことができる。このような着色成分としては、例えば、アゾキレート系顔料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料及び金属錯体顔料等の有機顔料や、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタン等の無機顔料、及び、タルク、クレー、炭酸カルシウム等の体質顔料等を挙げることができる。
【0037】
上記水性ベース塗料中の上記光輝材及び着色成分の合計質量の濃度としては、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜40質量%であることがより好ましく、1.0〜30質量%であることが更に好ましい。上記濃度が0.1質量%未満である場合、充分な着色効果が得られず、50質量%を超える場合、得られる塗膜の外観が低下するおそれがある。その中でも、上記光輝材の濃度としては、一般的に20.0質量%以下であり、0.01〜18.0質量%であることが好ましく、0.01〜15.0質量%であることが更に好ましい。
【0038】
なお、上記着色成分及び光輝材の合計質量の濃度、並びに、光輝材の濃度とは、それぞれ[(光輝材の質量+着色成分の質量)/(光輝材の質量+着色成分の質量+塗料樹脂固形分質量)]×100、[光輝材の質量/(光輝材の質量+着色成分+塗料樹脂固形分質量)]×100で計算されるものである。
【0039】
なお、光輝材として鱗片状の光干渉性を有する顔料を含有する場合は、更に、リン酸基含有アクリル樹脂を含有することが好ましい。
上記リン酸基含有アクリル樹脂は、下記一般式(4)
CH=CXCO(OY)−OPO(OH) ・・・・・ (4)
で表されるモノマーとその他のエチレン性モノマーとを共重合して得られるアクリル樹脂である。なお、式中、Xは水素原子又はメチル基、Yは炭素数2〜4のアルキレン基、hは3〜30の整数を表す。
【0040】
上記リン酸基含有アクリル樹脂は、鱗片状の光干渉性を有する顔料を良好に分散するために使用される。
上記リン酸基含有アクリル樹脂は、数平均分子量1000〜50000であることが好ましい。上記数平均分子量が1000未満である場合、鱗片状の光干渉性を有する顔料の分散を充分に行うことができない場合があり、数平均分子量が50000を超える場合、得られる塗膜の外観が悪化するおそれがある。
【0041】
また、上記リン酸基含有アクリル樹脂は、固形分酸価が15〜200であり、更に、その酸価のうちリン酸基による酸価が10〜150であることが好ましい。酸価が15未満である場合、鱗片状の光干渉性を有する顔料の分散を充分に行うことができないおそれがあり、また、酸価が200を超える場合、水性ベース塗料の貯蔵安定性が低下するおそれがある。
更に、上記リン酸基含有アクリル樹脂は、硬化性確保のための水酸基価を有していてもよく、その値は20〜200であることが好ましい。
【0042】
上記リン酸基含有アクリル樹脂は、塗料樹脂固形分100質量部に対し、0.01〜5質量部含有されていることが好ましく、更に好ましくは0.1〜4質量部、特に好ましくは0.2〜3質量部含有される。リン酸基含有アクリル樹脂の含有量が少なすぎると、塗膜の諸性能が低下する場合がある。またリン酸基含有アクリル樹脂の含有量が多すぎると、塗料の貯蔵安定性が悪くなる。
【0043】
上記一般式(4)で表されるモノマーの具体例としては、例えば、アシッドホスホオキシヘキサ(オキシプロピレン)モノメタクリレート、アシッドホスホオキシドデカ(オキシプロピレン)モノメタクリレート等が挙げられる。
上記その他のエチレン性モノマーは、上記一般式(4)で表されるモノマーと共重合し得るエチレン性モノマーであり、複数種のモノマー混合物であってよい。
【0044】
上記水性ベース塗料が金属製の光干渉性を有する顔料や金属製顔料を含んでいる場合、それら顔料に対する腐食防止剤として、あるいはぬれ性を良くし、得られる複層塗膜の物性を向上するために、更にアルキル基含有リン酸エステル化合物を含有することが好ましい。
【0045】
上記アルキル基の炭素数としては8〜18であることが好ましく、10〜14であることが更に好ましい。上記炭素数が8未満である場合、ぬれ性が低下して密着性が低下し、18を超える場合、塗料中で化合物の結晶が析出し、不具合が生じるおそれがある。
【0046】
また、上記アルキル基含有リン酸エステル化合物のHLBは、3〜12であることが好ましく、4〜8であることが更に好ましい。上記HLBが上記範囲外である場合、ぬれ性の低下が起こるおそれがある。なお、HLBは、質量分率に基づくグリフィン式:HLB=20×(MH/M)[式中、MHは親水基部分の分子量、Mは活性剤の分子量を意味する]から求めることができる。また、親水基部分の分子量はリン酸エステル、スルホン酸、カルボン酸の分子量を用いて求めることができる。
【0047】
上記アルキル基含有リン酸エステル化合物として、具体的には、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−ジイソデシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−トリデシルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−ラウリルアシッドホスフェート、モノ−又はジ−ノニルフェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
【0048】
上記水性ベース塗料が上記アルキル基含有リン酸エステル化合物を含む場合、上記アルキル基含有化合物の含有量は、塗料樹脂固形分に対して0.1〜5質量%であることが好ましく、0.2〜2質量%であることが更に好ましい。上記含有量が0.1質量%未満である場合、密着性が低下し、5質量%を超える場合、耐水性が低下するおそれがある。
【0049】
上記水性ベース塗料は、更に、ポリエーテルポリオールを含むことができる。
上記ポリエーテルポリオールは、1分子中に有する1級水酸基が平均0.02個以上であることが好ましく、0.04個以上であることがより好ましく、1個以上であることが更に好ましい。上記1級水酸基が0.02個未満である場合、得られる塗膜の諸性能が低下する。また、上記ポリエーテルポリオールはこの1級水酸基の他、2級及び3級水酸基を有していてもよく、得られる塗膜の諸性能の観点から、これらを含めた1分子中の全水酸基の個数は3個以上であることが好ましい。
【0050】
また、上記ポリエーテルポリオールの水酸基価としては、30〜700であることが好ましく、50〜500であることがより好ましい。上記水酸基価が上記範囲外である場合、塗料の貯蔵安定性が低下したり、得られる塗膜の諸性能が低下するおそれがある。
【0051】
また、上記ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、300〜3000であることが好ましく、400〜2000であることがより好ましい。上記数平均分子量が上記範囲外である場合、得られる塗膜の諸性能が低下する。なお、上記数平均分子量は、ポリスチレンを標準とするGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)にて決定することができる。
【0052】
更に、上記ポリエーテルポリオールの水トレランス値は2.0以上であることが好ましく、3.0以上であることがより好ましい。上記水トレランス値が2.0未満である場合、塗料の安定性が低下し得られる塗膜の外観が低下する。なお、上記水トレランス値とは、親水性の度合を評価するためのものであり、その値が高いほど親水性が高いことを意味する。上記水トレランス値の測定方法は、25℃の条件下で、100mlビーカー内に上記ポリエーテルポリオール0.5gをアセトン10mlに混合して分散させ、この混合物にビュレットを用い、イオン交換水を徐々に加え、この混合物が白濁を生じるまでに要するイオン交換水の量(ml)を測定する。このイオン交換水の量(ml)を水トレランス値とする。
【0053】
上記水性ベース塗料が上記ポリエーテルポリオールを含む場合、その含有量は、塗料樹脂固形分中に1〜40質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることが更に好ましい。上記含有量が1質量%未満である場合、得られる塗膜の外観が低下し、40質量%を超える場合、得られる塗膜の諸性能が低下するおそれがある。
【0054】
上記ポリエーテルポリオールとしては、通常アルカリ触媒の存在下、常法により常圧又は加圧下、60〜160℃の温度で活性水素原子含有化合物にアルキレンオキサイドが付加した化合物を挙げることができる。
【0055】
上記活性水素原子含有化合物としては、例えば、水;1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール成分や、ジグリセリン、ソルビタン等の4価アルコール;アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグリセリン等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース等の6価アルコール;蔗糖等の8価アルコール;ポリグリセリン等の多価アルコール類、ピロガロール、ヒドロキノン、フロログルシン等の多価フェノールやビスフェノールA、ビスフェノールスルフォン等のビスフェノール類の多価フェノール類;アジピン酸、無水マレイン酸等の多価カルボン酸成分及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。特に1分子中に有する全水酸基の個数が3個以上であるポリエーテルポリオールを形成するのに用いられる3価以上のアルコールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、ソルビトール等が好ましい。
【0056】
上記アルキレンオキサイドとしては、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが挙げられ、これらは2種以上を併用することができる。2種以上を併用する場合の付加形式はブロックもしくはランダムのいずれでもよい。
【0057】
上記ポリエーテルポリオールで、市販されているものとしては、例えば、プライムポールPX−1000、サンニックスSP−750、PP−400(上記いずれも三洋化成工業社製)、PTMG−650(三菱化学社製)等を挙げることができる。
【0058】
更に、上記ポリエーテルポリオールは、顔料分散性を向上させるために特開昭59−138269号公報で示されるように、後述するアミノ樹脂やヒドロキシエチルエチレンイミン(例えば、相互薬工社製「HEA」)、2−ヒドロキシプロピル−2−アジリジニルエチルカルボキシレート(例えば、相互薬工社製「HPAC」)等の塩基性物質を変性剤として変性することができる。
【0059】
上記変性剤の含有量は、上記ポリエーテルポリオールの固形分に対して、1〜10質量%であることが好ましい。上記変性剤の含有量が1質量%未満である場合、充分な変性効果が得られず、10質量%を超える場合、変性後のポリエーテルポリオールの安定性が悪くなるおそれがある。
【0060】
上記水性ベース塗料は、必要によりその他の塗膜形成性樹脂を含んでいてもよい。このようなものとしては、特に限定されるものではないが、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等の塗膜形成性樹脂を利用することができる。
【0061】
上記その他の塗膜形成性樹脂は、数平均分子量が3000〜50000であることが好ましく、6000〜30000であることが更に好ましい。上記数平均分子量が3000未満である場合、塗装作業性及び硬化性が充分でなく、また、50000を超える場合、塗装時の不揮発分が低くなりすぎ、逆に塗装作業性が低下するおそれがある。
【0062】
上記その他の塗膜形成性樹脂は酸基を有していることが好ましく、樹脂固形分酸価が10〜100であることが好ましく、20〜80であることが更に好ましい。上記酸価が10未満である場合、樹脂の水分散性が低下し、100を超える場合、得られる塗膜の諸性能が低下するおそれがある。
【0063】
また、上記その他の塗膜形成性樹脂は水酸基を有していることが好ましく、水酸基価が20〜180であることが好ましく、30〜160であることが更に好ましい。上記水酸基価が20未満である場合、得られる塗膜の硬化性が低下し、180を超える場合、得られる塗膜の諸性能が低下するおそれがある。
【0064】
上記水性ベース塗料に上記その他の塗膜形成性樹脂が含まれる場合、塗料固形分中の含有量は、95〜5質量%であることが好ましく、90〜15質量%であることがより好ましく、80〜30質量%であることが更に好ましい。
【0065】
また、上記水性ベース塗料には、硬化剤を含むことができる。上記硬化剤としては、塗料一般に用いられているものを挙げることができ、具体的には、アミノ樹脂、ブロックイソシアネート、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、金属イオン等を挙げることができるが、得られる塗膜の諸性能、コストの点からアミノ樹脂及び/又はブロックイソシアネートが好ましい。
【0066】
上記硬化剤としてのアミノ樹脂は、特に限定されるものではなく、水溶性メラミン樹脂あるいは非水溶性メラミン樹脂を用いることができる。更に、塗料の安定性の観点から、メラミン樹脂の中でも水トレランス値が3.0以上のものを用いることが好ましい。なお、上記水トレランス値は、先のポリエーテルポリオールで述べた方法と同様にして測定することができる。
【0067】
また、上記ブロックイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートに活性水素を有するブロック剤を付加させることによって得ることができるものであり、加熱によりブロック剤が解離してイソシアネート基が発生し、上記樹脂成分中の官能基と反応し硬化するものを挙げることができる。
【0068】
上記水性ベース塗料にこれらの硬化剤が含まれる場合、その含有量は、塗料樹脂固形分100質量部に対して、硬化性の観点から、20〜100質量部であることが好ましい。本発明における水性ベース塗料中には、上記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤等を配合してもよい。これらの配合量は当業者の公知の範囲である。
【0069】
上記水性ベース塗料の製造方法は、特に限定されず、顔料等の配合物をニーダーやロール等を用いて混練、サンドグラインドミルやディスパー等を用いて分散する等の当業者に周知の全ての方法を用いることができる。
【0070】
<クリヤー塗料>
本発明の複層塗膜形成方法において用いられるクリヤー塗料として塗膜形成性樹脂を含有するものであれば特に限定されず、塗膜形成性樹脂及び硬化剤等を含有するクリヤー塗料を利用できる。更に下地の意匠性を妨げない程度で有れば着色成分を含有することもできる。
上記クリヤー塗料の形態としては特に限定されず、溶剤型、水性型及び粉体型のものを挙げることができる。
【0071】
上記溶剤型クリヤー塗料の好ましい例としては、透明性あるいは耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂と、アミノ樹脂及び/又はイソシアネートとの組み合わせ、あるいはカルボン酸/エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0072】
また、上記水性型クリヤー塗料の例としては、上記溶剤型クリヤー塗料の例として挙げたものに含有される塗膜形成性樹脂を、塩基で中和して水性化した樹脂を含有するものが挙げることができる。この中和は重合の前又は後に、ジメチルエタノールアミン及びトリエチルアミンのような3級アミンを添加することにより行うことができる。
【0073】
一方、粉体型クリヤー塗料としては、熱可塑性及び熱硬化性粉体塗料のような通常の粉体塗料を用い得ることができる。良好な物性の塗膜が得られるため、熱硬化性粉体塗料が好ましい。熱硬化性粉体塗料の具体的なものとしては、エポキシ系、アクリル系及びポリエステル系の粉体クリヤー塗料等が挙げられるが、耐候性が良好なアクリル系粉体クリヤー塗料が特に好ましい。
【0074】
更に、上記クリヤー塗料には、塗装作業性を確保するために、粘性制御剤を添加されていることが好ましい。粘性制御剤は、一般にチクソトロピー性を示すものを使用できる。このようなものとして、例えば、従来から公知のものを使用することができる。また必要により、硬化触媒、表面調整剤等を含むことができる。
【0075】
なお、本発明の複層塗膜形成方法において用いられるクリヤー塗料としては、有機溶剤の含有量による環境に与える影響の観点から、20℃におけるフォードカップNo.4で20〜50秒の粘度となるように希釈した時のクリヤー塗料固形分が50質量%以上である溶剤型クリヤー塗料又は水性型クリヤー塗料、あるいは、粉体型クリヤー塗料であることが好ましい。
【0076】
上記屈折率の差、及び、溶解性パラメーターの差を上記範囲内とするためには、ベース塗料及びクリヤー塗料それぞれに含まれる樹脂成分の屈折率と溶解性パラメーターを調整することが必要とされる。樹脂成分のこれらの物性は、使用されるモノマーの性質を調節することによって、ある程度目的とする範囲に調節することができる。屈折率の調節方法としては、例えば、メタクリル酸t−ブチル等の高屈折率が得られる単量体を使用する方法を挙げることができる。例えば、上記メタクリル酸t−ブチルを50質量%以上使用したアクリル樹脂は、低い屈折率を発揮することができる。逆に、スチレンを40質量%以上使用したアクリル樹脂は高い屈折率を発揮することができる。
【0077】
また、溶解性パラメーターの調節方法としては、α,β−エチレン性不飽和モノマーの側鎖の長さで調節する方法を挙げることができる。例えば、メタクリル酸ラウリルを用いると溶解性パラメーターが低くなり、メタクリル酸メチルを多量に用いると溶解性パラメーターを高くすることができる。
【0078】
本発明の複層塗膜形成方法は、被塗装物に対して上記水性ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成する工程(1)、上記ベース塗膜を硬化させることなくその上に上記クリヤー塗料を塗装してクリヤー塗膜を形成する工程(2)、及び、上記ベース塗膜と上記クリヤー塗膜とを同時に加熱する工程(3)からなるものである。
【0079】
本発明の複層塗膜形成方法において用いられる被塗装物としては、種々の基材、例えば金属成型品、プラスチック成型品、発泡体等に用いることができるが、カチオン電着塗装可能な金属成型品に対して適用することが好ましい。
【0080】
上記金属成型品としては、例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等及びこれらの金属を含む合金による板、成型物を挙げることができ、具体的には、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体及び部品を挙げることができる。これらの金属は予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理されていることが好ましい。
【0081】
上記化成処理された金属成型品上に電着塗膜が形成されていてもよい。このような電着塗料としては、カチオン型及びアニオン型を使用できるが、防食性の観点から、カチオン型電着塗料組成物であることが好ましい。
【0082】
上記プラスチック成型品としては、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂等による板、成型物等を挙げることができ、具体的には、スポイラー、バンパー、ミラーカバー、グリル、ドアノブ等の自動車部品等を挙げることができる。更に、これらのプラスチック成型品は、トリクロロエタンで蒸気洗浄又は中性洗剤で洗浄されたものが好ましい。また、更に静電塗装を可能にするためのプライマー塗装が施されていてもよい。
【0083】
上記被塗装物上には更に必要に応じて、中塗り塗膜が形成されていてもよい。中塗り塗膜の形成には中塗り塗料が用いられる。この中塗り塗料には、塗膜形成性樹脂、硬化剤、有機系や無機系の各種着色成分及び体質顔料等が含有される。上記塗膜形成性樹脂及び硬化剤は、特に限定されるものではなく、具体的には、先の水性ベース塗料のところで挙げた塗膜形成性樹脂及び硬化剤を挙げることができ、組み合わせて用いられるものである。得られる中塗り塗膜の諸性能及びコストの観点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂と、アミノ樹脂及び/又はイソシアネートとを組み合わせて用いられる。
【0084】
上記中塗り塗料に含まれる着色成分としては、先の水性ベース塗料のところで述べたものを挙げることができる。一般的には、カーボンブラックと二酸化チタンとを主としたグレー系中塗り塗料や上塗りとの色相を合わせたセットグレーや各種の着色成分を組み合わせた、いわゆるカラー中塗り塗料を用いることが好ましい。更に、アルミニウム粉、マイカ粉等の扁平顔料を添加してもよい。
上記中塗り塗料中には、上記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表面調整剤、酸化防止剤、消泡剤等を配合してもよい。
【0085】
被塗装物に対して、上記水性ベース塗料を塗装する方法としては、外観向上の観点から、エアー静電スプレー塗装による多ステージ塗装、好ましくは2ステージで塗装するか、あるいは、エアー静電スプレー塗装と、メタリックベルと言われる回転霧化式の静電塗装機とを組み合わせた塗装方法を挙げることができる。
【0086】
上記水性ベース塗料による塗装時の塗膜の膜厚は、所望の用途により変化するが、一般的には乾燥膜厚で10〜30μmであることが好ましい。上記乾燥膜厚が10μm未満である場合、下地を隠蔽することができず膜切れが発生し、30μmを超える場合、鮮映性が低下したり、塗装時にムラあるいはタレ等の不具合が起こるおそれがある。良好な外観の複層塗膜を得るために、クリヤー塗料を塗装する前に、得られたベース塗膜を40〜100℃で2〜10分間加熱しておくことが好ましい。
【0087】
本発明の複層塗膜形成方法は、上記水性ベース塗料を塗装して得られるベース塗膜を加熱硬化させることなくその上に上記クリヤー塗料を塗装してクリヤー塗膜を形成するものである。
【0088】
上記クリヤー塗膜は、上記ベース塗膜に起因する凹凸等を平滑にし、保護し、更に美観を与えるものである。上記ベース塗膜に対して、先のクリヤー塗料を塗装する方法としては、具体的には、マイクロマイクロベル、マイクロベルと呼ばれる回転霧化式の静電塗装機による塗装方法を挙げることができる。
【0089】
上記クリヤー塗料を塗装することによって形成されるクリヤー塗膜の乾燥膜厚は、一般に10〜80μm程度が好ましく、20〜60μm程度であることがより好ましい。上記乾燥膜厚が10μm未満である場合、下地の凹凸を隠蔽することができず、80μmを超えると塗装時にワキあるいはタレ等の不具合が起こるおそれがある。
【0090】
このようにして形成されたクリヤー塗膜は、先に形成されているベース塗膜とともに同時に加熱させることによって塗膜が形成される。上記加熱硬化温度は、硬化性及び得られる複層塗膜の物性の観点から、80〜180℃に設定されていることが好ましく、120〜160℃に設定されていることが更に好ましい。加熱硬化時間は上記温度に応じて任意に設定することができるが、加熱硬化温度120℃〜160℃で時間が10〜30分であることが適当である。
【0091】
このようにして得られる複層塗膜の膜厚は、一般的には30〜300μmであり、50〜250μmであることが好ましい。上記膜厚が30μm未満である場合、膜自体の強度が低下し、300μmを超える場合、冷熱サイクル等の膜物性が低下するおそれがある。このような複層塗膜も本発明の一つである。
【0092】
また、本発明の塗装物は、その表面に、上記複層塗膜形成方法によって得られる複層塗膜を有するものであり、極めて高い光輝感及び発色性を兼ね備え、意匠性に優れたものである。
【発明の効果】
【0093】
本発明の複層塗膜形成方法により、新たな意匠性を有する複層塗膜を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0094】
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また、「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。
【0095】
製造例1
エマルション樹脂A−1の製造
反応容器にイオン交換水135.4部、アクアロンHS−10(ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル、第一工業製薬社製)1.1部を加え、窒素気流中で混合撹拌しながら80℃に昇温した。次いで、アクリル酸メチル36.57部、メタクリル酸ブチル8.57部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5.8部、スチレン20部、アクアロンHS−10を0.5部、アデカリアソープNE−20(α−[1−[(アリルオキシ)メチル]−2−ノニルフェノキシ]エチル)一ω−ヒドロキシオキシエチレン、旭電化社製、80%水溶液)0.5部及びイオン交換水49.7部からなる第1段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物(モノマー混合物(a))と、過硫酸アンモニウム0.21部及びイオン交換水8.6部からなる開始剤溶液とを2時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、1時間同温度で熟成を行った。
更に、メタクリル酸ブチル25.2部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2.48部、メタクリル酸2.3部、アクアロンHS−10を0.1部及びイオン交換水24.7部からなる第2段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物(モノマー混合物(b))と、過硫酸アンモニウム0.08部及びイオン交換水7.4部からなる開始剤溶液とを、80℃で0.5時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。
次いで、40℃まで冷却し、400メッシュフィルターで濾過した後、イオン交換水2.14部及びジメチルアミノエタノール0.24部を加えpH6.5に調整し、平均粒子径80nm、不揮発分30%、固形分酸価9、水酸基価40、SP10.3のエマルション樹脂A−1を得た。
【0096】
製造例2
エマルション樹脂A−2の製造
第1段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物として、メタクリル酸t−ブチル34.8部、アクリル酸ブチル20.83部、アクリル酸2エチルヘキシル9.51部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5.8部、アデカリアソープNE−20を0.5部使用し、第2段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物として、メタクリル酸t−ブチル25.2部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2.48部、メタクリル酸1.38部を使用したこと以外は製造例1と同様にして、平均粒子径80nm、不揮発分30%、固形分酸価9、水酸基価40、SP9.9のエマルション樹脂A−2を得た。
【0097】
製造例3
エマルション樹脂A−3の製造
第1段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物として、メタクリル酸t−ブチル34.8部、アクリル酸ブチル6.52部、メタクリル酸メチル23.82部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5.8部、アデカリアソープNE−20を0.5部を使用し、第2段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物としてメタクリル酸t−ブチル25.2部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2.48部、メタクリル酸1.38部を使用したこと以外は製造例1と同様にして、平均粒子径80nm、不揮発分30%、固形分酸価9、水酸基価40、SP10.3のエマルション樹脂A−3を得た。
【0098】
製造例4
エマルション樹脂A−4の製造
第1段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物として、メタクリル酸t−ブチル34.8部、アクリル酸ブチル14.62部、メタクリル酸メチル15.72部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5.8部、アデカリアソープNE−20を0.5部を使用し、第2段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物としてメタクリル酸t−ブチル25.2部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2.48部、メタクリル酸1.38部を使用したこと以外は製造例1と同様にして、平均粒子径80nm、不揮発分30%、固形分酸価9、水酸基価40、SP10.2のエマルション樹脂A−4を得た。
【0099】
製造例5
エマルション樹脂A−5の製造
第1段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物として、メタクリル酸メチル25.14部、スチレン40部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5.8部、アデカリアソープNE−20を0.5部使用し、第2段目のα,β−エチレン性不飽和モノマー混合物として、メタクリル酸メチル25.2部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル2.48部、メタクリル酸1.38部を使用したこと以外は製造例1と同様にして、平均粒子径80nm、不揮発分30%、固形分酸価9、水酸基価40、SP10.4のエマルション樹脂A−5を得た。
【0100】
比較例1
製造例1で得られたエマルション樹脂A−1を183部、10質量%ジメチルエタノールアミン水溶液10部、水溶性アクリル樹脂を33部、プライムポールPX−1000(三洋化成工業社製2官能ポリエーテルポリオール、数平均分子量1000、水酸基価278、水トレランス無限大)10部、サイメル204(三井サイテック社製混合アルキル化型メラミン樹脂、不揮発分80%、水トレランス3.6ml)を31.3部、光輝性顔料としてアルペーストMH8801(旭化成社製アルミニウム顔料)19部、エチレングリコールモノヘキシルエーテル30部を混合撹拌し、10質量%ジメチルアミノエタノール水溶液を加えてpH=8.5に調整し、均一に分散し、水性ベース塗料Aを得た。更に、塗料粘度が20℃、No.4フォードカップで60秒となるようにイオン交換水を加えて希釈し、塗装に用いる水性ベース塗料1を得た。顔料抜きの屈折率(BnD)をアッベ屈折計DR−A1((株)アタゴ社製)を用いて測定するとnD=1.520であった。
【0101】
リン酸亜鉛処理した厚み0.8mm、縦30cm、横40cmのダル鋼板に、カチオン電着塗料(パワートップU−50、日本ペイント社製)を、乾操膜厚が20μmとなるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けた塗板に、25秒(No.4フォードカップを使用し、20℃で測定)に、予め希釈されたグレー中塗り塗料(オルガP−2、日本ペイント社製ポリエステル・メラミン系塗料)を、乾燥膜厚35μmとなるようにエアスプレーで2ステージ塗装し、140℃で30分間加熱し、基材を得た。
【0102】
冷却後、基材に対して先の水性ベース塗料1を、室温25℃、湿度75%の条件下で、乾燥膜厚15μmとなるように水系塗料塗装用塗装機(μμベルCOPES−IV型、ABBインダストリー社製)で2ステージ塗装した。2回の塗布の間に、1分間のインターバルセッティング行った。2回目の塗布後、2分間のインターバルをとって、セッティングを行った。その後、80℃で5分間のプレヒートを行った。
【0103】
プレヒート後、基材を室温まで放冷し、クリヤートップコート塗料として「マックフローO−1800Wクリアー(日本ペイント社製クリアー塗料)」を、乾燥膜厚40μmとなるように1ステージ塗装し、7分間セッティングした後、140℃で30分間加熱し複層塗膜を作成した。
【0104】
比較例2、実施例1〜3
表1に従って、エマルション樹脂を変更したこと以外は比較例1と同様にして水性ベース塗料2〜5を調製した後、比較例1と同様にして各々複層塗膜を作成した。比較例1と同様にして、各水性ベース塗料の顔料抜き塗膜の屈折率(BnD)を測定した。
【0105】
100mlビーカーに製造例で得られたエマルション樹脂A−1〜5を0.5g秤量し、良溶媒:アセトン10mlをホールピペットを用いて加え、マグネティックスターラーにより溶解した。次に、低SP貧溶媒:n−ヘキサン及び高SP貧溶媒:イオン交換水を、50mlビュレットを用いて滴下し、濁りが生じた点を各貧溶媒の滴下量とし、上記式(3)に基づき、それぞれの溶解性パラメーター(EmSP)として算出した。次に、得られたエマルション樹脂A−1〜5の溶解性パラメーターと上記マックフローO−1800Wクリアー(日本ペイント社製クリヤー塗料)の溶解性パラメーターとの差(ΔSP)を算出した。ここで、マックフローO−1800Wクリアーの溶解性パラメーターは、10.0である。また、屈折率(CnD)は、1.522であった。
更に、屈折率の差の絶対値(ΔnD)を算出した。結果を表1に示す。
【0106】
得られた複層塗膜に関して以下の評価方法に基づき、評価を行った。
塗膜外観
得られた複層塗膜に対して、目視にて塗膜の見え方を評価した。
○:ベース塗膜とクリヤー塗膜のセパレート感が優れている。
△:ベース塗膜とクリヤー塗膜のセパレート感がある。
×:ベース塗膜とクリヤー塗膜のセパレート感がない。
【0107】
意匠性(FF性)
ベース単膜、複層塗膜に対して、ミノルタCM−512m2(ミノルタ社製色差計)にて、光源と測定部のΔ角度が15度と110度でのL値を測定し、(15度でのL値/110度でのL値)の比によってFF性を評価した。
【0108】
【表1】

【0109】
表1より、本発明の複層塗膜形成方法により得られた複層塗膜は、FF性及び塗膜外観に優れることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明により、塗膜外観、フリップフロップ性等に優れ、新たな意匠性を有する複層塗膜を得ることができる。本発明により得られる複層塗膜は、上述の性質を有するものであるため、自動車車体、あるいはそれらの部品等の用途に好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】ハイライト部及びシェード部における複層塗膜の見え方を表わす図。
【符号の説明】
【0112】
1 光源
2 クリヤー塗膜
3 ベース塗膜
4 ハイライト部
5 シェード部
6 CnD>BnDの場合の反射光
7 CnD<BnDの場合の反射光
8 光輝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗装物上にエマルション樹脂及び光輝材を含有する水性ベース塗料を塗装してベース塗膜を形成する工程(1)、前記ベース塗膜を硬化させることなくその上に塗膜形成性樹脂を含有するクリアー塗料を塗装してクリアー塗膜を形成する工程(2)、及び、前記ベース塗膜と前記クリアー塗膜とを同時に加熱する工程(3)からなる複層塗膜形成方法であって、
前記ベース塗膜の屈折率(BnD)と前記クリアー塗膜の屈折率(CnD)とが、下記式(1):
|(CnD)−(BnD)|≧0.015 (1)
の範囲にあり、前記エマルション樹脂の溶解性パラメーター(Bsp値)と前記塗膜形成性樹脂の溶解性パラメーター(Csp値)とが、下記式(2):
(Bsp植)−(Csp値)≧0.15 (2)
の範囲にある
ことを特徴とする複層塗膜形成方法。
【請求項2】
請求項1記載の複層塗膜形成方法によって形成される
ことを特徴とする複層塗膜。
【請求項3】
請求項2記載の複層塗膜を有することを特徴とする被塗物。

【図1】
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【公開番号】特開2006−7006(P2006−7006A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183983(P2004−183983)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】