説明

複数の掴み面および保護部品を有する先端シールド

非対称の掴み面(28)が、静脈内カテーテルアッセンブリー(10)のニードルシールド(14)に組み込まれている。その非対称の掴み面により、カテーテルの挿入中、カテーテルアッセンブリーのバランスおよび制御を向上させるためにカテーテルアダプタ(16)、カテーテル(48)および針先(52)により近い把持位置が、もたらされる。また、その複数の非対称の掴み面は、使用者がカテーテルアッセンブリーの種々の部品に意図せずに接触し、その接触が不所望な「斜面越え」状態をもたらすことを防止するための保護部品76を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入装置、詳細には、オーバーザニードル末梢静脈内(IV)カテーテル(over−the−needle peripheral intravenous(IV)catheter)に関する。具体的には、本発明は、挿入中の安定性および制御性を向上させるために使用者がカテーテルおよび針先のより近くで装置を保持するのを可能にする掴み面を有する保護用ニードルシールドを備える末梢IVカテーテル(peripheral IV catheter)に関する。カテーテルは、広範囲の処理および治療のために医学界全体で広く使用されている。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、一般に種々の輸液療法で使用される。カテーテルは、生理食塩液、種々の薬物および全身性非経口栄養などの流体を患者に注入したり、患者から血液を抜き取ったり、患者の血管系の種々のパラメータを監視したりするのに使用される。一般的なタイプの静脈内(IV)カテーテルは、オーバーザニードル末梢(IV)カテーテルである。その名が示すとおり、オーバーザニードルカテーテルは鋭利な末端を有する誘導針に被さって取り付けられる。カテーテルのピールバック(peelback)を防止してカテーテルが血管内に挿入されるのを補助するためにカテーテルの少なくとも末端部分が針の外面に堅く係合される。カテーテルおよび誘導針は、誘導針の末端がカテーテルの末端を越えて延在して針の斜面が患者の皮膚から離れて上を向くように組み立てられている。カテーテルおよび誘導針は、一般に、患者の皮膚を通して浅い角度で血管内に挿入される。
【0003】
カテーテルを設置する過程では、カテーテル全体にわたる慎重なバランスおよび制御が必要とされる。通常、IVカテーテルは、カテーテルアッセンブリーに組み込まれる。カテーテルアッセンブリーは、IVカテーテルの使用および設置を補助するための種々の構成要素およびサブコンポーネントを含み得る。通常、カテーテルアッセンブリーは、挿入中のIVカテーテルを把持および制御するのを補助するための掴み面を有する。掴み面は、一般に、挿入中に使用者が装置を摘んで保持できるように対向する掴み面を有する。
【0004】
使用者は、一般に、設けられた対向する掴み面を使用せずに、そのグリップを「短い(choked up)」位置へ移してしまう。「短い」位置を把持することで、使用者はカテーテルおよび針先のより近くを把持して挿入中の安定性を向上させることができる。このように「短い」位置を把持することは、制御性を向上させることができるが、カテーテルアッセンブリーの構成要素を時期尚早に分離させてしまう可能性がある。カテーテルアッセンブリーが時期尚早に分離されると、針先の斜面部分が患者の皮膚を十分に貫通する前にカテーテル内へと引っ込められてしまう「斜面越え(over the bevel)」状態が生じる可能性がある。
【0005】
「斜面越え」状態は、可能性として、少なくとも2つの状況により生じる。1つは、使用者が「短い」位置を把持することで、使用者の親指または他の指の一部分がカテーテルアッセンブリーの種々の構成要素の間に食い込んでそれらの構成要素が時期尚早に分離されてしまう可能性があることである。もう1つは、「短い」位置では、カテーテルアッセンブリーの構成要素を収容する針から使用者のグリップが離れてしまう可能性があることである。これは、針先の斜面部分を患者に接触させる際、挿入する力により、針、および針を収容する構成要素が挿入方向とは反対の方向に動いてしまいそれにより時期尚早に分離される可能性があることを意味する。これらの状況の両方により望ましくない「斜面越え」状態が生じる。
【0006】
「斜面越え」状態は、挿入を阻害することに加えて、患者に痛みをもたらし可能性として損傷させる場合もある。例えば、針先の斜面部分が皮膚を十分に貫通しておらず、「斜面越え」状態にもなっていない場合、使用者は不十分な貫通孔を広げるために挿入する力を強めるかまたは挿入行為を止めて患者の出血を抑えなければならない。いずれの場合も、この経験は、痛みを伴い、効果がなく、不快であり、望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、カテーテルおよび針を全体にわたって制御してバランスを維持する必要があることから、使用者が「短い」位置を把持したくなるのも驚くべきことではない。しかし残念なことに、「短い」位置を把持することの便利さ、および、制御性よりは、挿入が失敗したり挿入中に痛みが発生したりする可能性が高まることおよびその危険性の方を重要視しなければならない。
【0008】
したがって、当技術分野では、「斜面越え」状態が生じる危険性がなく、使用者がそのグリップをバランスのとれた「短い」位置に置くことを可能にするような掴み面を組み込んだカテーテルアッセンブリーが必要とされる。本明細書ではこのような掴み面を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した限界を克服するために、本発明は、現行のカテーテルアッセンブリーに組み込まれ得る新規の掴み面に関する。この新規の掴み面により、「斜面越え」状態が生じる危険性がなく、使用者が「短い」グリップを使用することが可能となる。当技術分野で知られているように、従来の掴み面は、カテーテルの挿入中に使用者がカテーテルアッセンブリーを把持して制御するのを補助するために設けられている。本発明の掴み面は、単独でまたは従来の現行の掴み面との組合せで使用されるように設計され、かつ、「斜面越え」状態が生じるのを防止しながら「短い」グリップを可能にするように設計される。
【0010】
カテーテルアッセンブリーのニードルハブの外面に一般に配置される従来の掴み面とは異なり、本発明は、ニードルシールドの外面に配置されることから掴み面をカテーテルアッセンブリーのカテーテルおよび誘導針先部分のより近くにもたらすことになる。したがって、本発明は、「斜面越え」状態が生じることなく使用者の親指およびその他の指をカテーテルおよび誘導針のより近くに安全に移すための任意選択の掴み面を有する。それにより、使用者がそのグリップをニードルシールドの掴み面に移す場合、新規の掴み面があることで、従来技術の場合よりも向上した制御性およびバランスを使用者にもたらすだろう。
【0011】
ニードルシールドは、概してニードルポートとハウジングとを有し、ハウジングは、カテーテルの挿入後に誘導針の先端を保持するための安全機能または他の装置を有するように変更されてもよい。ニードルシールドの外面は第1および第2の掴み面を有し、これらの掴み面は互いに対向する。第1の掴み面は使用者の対置できる指(親指など)の輪郭に対応するように形成されるが、ここでは、第1の掴み面は、使用者の親指の一部分のみが第1の掴み面に適合するように、すなわち、第1の掴み面を占めるようにその大きさおよび位置が定められる。
【0012】
カテーテルアッセンブリーは、ニードルハブの翼部分が、ニードルシールドの一部分と重なり、それにより、ニードルハブの翼部分が第1の掴み面に当接するように構成される。この翼部分および第1の掴み面は、使用者の親指の第2の部分に対応する接触面をもたらす。それにより、使用者は、ニードルシールドおよびニードルハブに同時に接触することになる。このように使用者の親指が同時に接触することで、ニードルシールドとニードルハブとの間をつなぐ、すなわち、橋渡しをし、それにより、カテーテルの挿入中に構成要素が時期尚早に分離されるのが防止される。
【0013】
同様に、第2の掴み面も、使用者の相対向できない指(人差し指など)の輪郭に対応するように設けられる。第2の掴み面は、使用者の人差し指を様々な位置に置くことが可能となるようにその大きさおよび位置が定められる。例えば、第2の掴み面は、バランスのとれた対称のグリップを形成するために使用者の人差し指を使用者の親指の反対に置くことを可能にする。使用者の人差し指がバランスのとれた対称の位置にある場合、第2の掴み面のデザインにより、使用者の人差し指の第1の部分が第2の掴み面に確実に接触するようになり、使用者の人差し指の第2の部分がニードルハブの翼部分に確実に接触するようになる。したがって、挿入中に使用者の人差し指がニードルシールドとニードルハブとを一体につなぐ働きをし、それにより、時期尚早に分離したり「斜面越え」状態が生じたりするのを防止することができる。
【0014】
また、使用者の人差し指は、カテーテルアダプタにより近い非対称の位置で第2の掴み面を把持することもでき、バランスのとれていない非対称のグリップを形成することもできる。このバランスのとれていない非対称のグリップのバランスをとるために、使用者の第2の対向できない指(中指など)がニードルハブの掴み面に置かれる。中指を付加することでカテーテルアッセンブリーが釣り合うようになり、バランスのとれていない非対称のグリップにより望ましくない回転力が発生することが一切なくなる。使用者の親指、人差し指および中指を配置して同時に接触させておくことで、カテーテルアッセンブリーのニードルシールドとニードルハブとが一体につなげられる。それにより、「斜面越え」状態が生じたり、ニードルシールドとニードルハブとが時期尚早に分離したりするのを防止することができる。
【0015】
本発明の他の特徴には、第1および第2の掴み面に保護面または保護部品が付加されることが含まれる。具体的には、第1および第2の掴み面は、第1および第2の掴み面の一部分が外側に延在するような保護面を有することができ、それにより、使用者の親指およびその他の指が、カテーテルアッセンブリーの一部に誤って接触するのを防止することができる。例えば、第1の掴み面は、使用者の親指がカテーテルアダプタのアクセスポートに接触するのを防止する保護面を有することができる。その場合、使用者の親指がニードルシールドとは無関係にカテーテルアダプタを前進させて「斜面越え」状態が生じることがなくなる。加えて、第2の掴み面も保護面を有することができ、それにより、使用者の人差し指が、カテーテルアダプタのカテーテル翼部(catheter wing)に接触することが防止される。その場合、使用者の親指がニードルシールドとは無関係にカテーテルを前進させて「斜面越え」状態が生じることがなくなる。
【0016】
本発明の一実施例は、第1および第2の掴み面を有するニードルシールドを含む。第1および第2の掴み面は、上述した保護面をさらに有する。さらに、第1および第2の掴み面は、ニードルシールドを2点でバランスをとって対称な状態で把持すること、ならびに、ニードルシールドを3点でバランスをとって非対称な状態で把持することを可能にする。また、本発明は、カテーテルアッセンブリーの他の構成要素と組み合わせて機能するように変更され得る。例えば、ニードルシールドのハウジングは、分離した構成要素の位置合わせ溝にうまく係合されるアライメントタブを有するように変更されてもよい。さらに、ニードルシールドの第1および第2の掴み面または保護面は、使用者がカテーテルアッセンブリーの他の機能に接触するのを制御するように変更され得る。
【0017】
本発明の上で挙げた特徴および他の特徴ならびに利点を達成する手法を容易に理解できるように、上で簡単に説明した本発明を、添付図面に示されている本発明の具体的な実施例を参照しながらより詳細に説明する。これらの図面は本発明の典型的な実施例を図示しているにすぎず、したがって、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の複数の掴み面および保護部品を組み込んだカテーテルアッセンブリーの斜視上面図である。
【図2】カテーテルアッセンブリーの分解上面図である。
【図3】従来技術の斜視上面図である。
【図4】対称の2点グリップ(two−point symmetrical grip)を実演しているカテーテルアッセンブリーの斜視上面図である。
【図5】バランスのとれていない非対称の2点グリップを示すカテーテルアッセンブリーの斜視上面図である。
【図6】バランスのとれている非対称の3点グリップを示すカテーテルアッセンブリーの斜視上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明における目下の好適な実施例は、図面を参照することにより最も良く理解されるであろう。これらの図面では、同一の参照符号は、同一の要素または機能的に類似した要素を示している。この図で概略的に説明および図示されているが、本発明の構成要素が様々な異なる構造で構成および設計され得ることは容易に理解できよう。したがって、複数の図で表されている以下の詳細な説明は、請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の目下の好適な実施例の代表を示しているにすぎない。
【0020】
ここで図1および図2を参照すると、カテーテルアッセンブリー10は、ニードルハブ12、ニードルシールド14、カテーテルアダプタ16、誘導針20およびニードルシース18を含んで示されている。カテーテルアッセンブリー10おける各構成要素12、14、16、20および18は、1つの一体型の装置として協働するように構成されている。図2でより明確に示されるように、カテーテルアッセンブリー10の各構成要素12、14、16、20および18は、カテーテルアッセンブリー10に特定の機能性をもたらすようにした特徴を備える個々のユニットからなる。
【0021】
例えば、ニードルハブ12は、ニードルシールド14の第1の側面100および第2の側面102とそれぞれ係合するための第1の翼部分80および第2の翼部分82を含み得る。第1の翼部分80および第2の翼部分82は、さらに、ニードルシールド14のアライメントタブ104と係合するための位置合わせ溝(図示せず)も含み得る。加えて、第1の翼部分80および第2の翼部分82は、それぞれ、第1の掴み面32および第2の掴み面34を含み得る。第1の掴み面32および第2の掴み面34は、掴み面の効力を向上させるように外見または模様などの付加的な特徴を含んでもよい。
【0022】
図1、および、図4〜図6において、組み立てられるとき、第1の翼部分80および第2の翼部分82は、ニードルシールド14の第1の接触面74および第2の接触面74に、それぞれ、整合する。示されるように、翼部分80、82および接触面70、72は、ニードルハブ12とニードルシールド14との間で実質的に連続する掴み面を形成する同一平面内で互いに当接する。一実施例では、ニードルシールド14が、第1の色を含み、ニードルハブ12が対照的な色である第2の色を含むことにより、ニードルシールド14およびニードルハブ12がカテーテルアッセンブリー10の別個の構成要素であるという視覚的な指標をもたらす。しかし、翼部分80、82および接触面70、72は、以下でより詳細に考察するように、連続、または、連結されていない。
【0023】
また、ニードルシールド14は、ニードルハブ12の誘導針20を受け入れるためのニードルポート40を含む。ニードルポート40は、ニードルハブ12の誘導針20がニードルシールド14を貫通するように第1の端部36から第2の端部38までニードルシールド14を貫通している。ニードルシールド14は、針先保持装置または安全クリップなどのような安全部品を含むように構成され得る。その安全部品も、ニードルシールド14とカテーテルアッセンブリー10の他の構成要素との間の連結を維持する手段を含んでもよい。
【0024】
引き続き図1および2を参照すると、ニードルシールド14は、さらに、カテーテルアダプタ16の第1の端部44を受け入れ、即ち、係合するためのカテーテルアダプタハブ(catheter adapter hub)50を含み得る。カテーテルアダプタ16の第1の端部44は、ニードルポート40の場合と同様な方法で誘導針20を受け入れるためのニードルポート42をさらに含むように構成される。加えて、カテーテルアダプタ16の第1の端部44は、カテーテルアダプタハブ50と互換性があるように係合するいずれかの特徴、ならびに、ニードルシールド14の安全機能に対応するためのいずれかの特徴を含んでもよい。
【0025】
カテーテルアダプタ16は、カテーテルアダプタ本体46およびカテーテル48をさらに含むように構成される。図1において、組み立てられるとき、誘導針20は、ニードルポート42と、カテーテルアダプタ本体46と、カテーテル48とを貫通し、その結果、針先56の傾斜部分が、カテーテル48の先端52よりも先に延在している。構成上、誘導針20は、組み立てられたカテーテルアッセンブリー10ための骨となり、それにより、誘導針20によりカテーテルアッセンブリー10の個々の構成要素12、14、16それぞれを、整合させ、調整する。
【0026】
カテーテルアッセンブリー10は、ニードルシース18をさらに含む。ニードルシースは第1の端部60および第2の端部62を含む。第1の端部60の大きさは、カテーテルアダプタ16の第2の端部54に嵌るように作られ、構成される。また、ニードルシース18の第2の端部62は、ニードルシース18がカテーテル48、および露出した針先56の傾斜部分の保護をもたらすようにカテーテル48の先端52よりも越えて延在するように構成される。
【0027】
カテーテルアダプタ16は、アクセスポート22、カテーテル翼部24などの他の部品、または、カテーテルアッセンブリー10の操作に助けとなると判断される他のいかなる部品も含み得る。例えば、カテーテルアダプタ16およびカテーテルアダプタハブ50は、カテーテルアダプタ16とニードルシールド14とを連結させるための特徴を有するように変更され得る。また、カテーテルアダプタ16およびカテーテルアダプタハブ50は、アライメントタブおよび位置合わせ溝などを用いることによりカテーテルアダプタハブ50内でカテーテルアダプタ16の第1の端部44を整合させるための部品を含むように変更され得る。最後に、アクセスポート22は、点滴用チューブの一部分および点滴剤袋(intravenous fluid pouch)(図示せず)などのような点滴源(infusion source)を含むように変更され得る。
【0028】
引き続き、図1および2を参照すると、ニードルシールド14は、第3の掴み面30および第4の掴み面28を含んでいる。第3の掴み面30は、カテーテルアッセンブリー10を把持できるように、使用者の人差し指などの第1の指に対応するように構成される。第4の掴み面28は、カテーテルアッセンブリー10を把持できるように、使用者の親指などの第2の指に対応するように構成される。第4の掴み面28は、接触面70および保護面72からなる。接触面70は、カテーテル48の挿入中、カテーテルアッセンブリー10を把持するとき、使用者の親指の輪郭に対応するように構成される。接触面70は、さらに、使用者の親指の第1の部分に接触面70を把持させ、同時に使用者の親指の第2の部分にニードルハブ12の第1の翼部分80を把持させるように構成され、所定の大きさに作られる(図4〜6を参照)。この同時の接触が、使用者の親指の連結機能により、ニードルハブ12とニードルシールド14とが分離されることを防止する。保護面、即ち、保護部品72は、使用者の第2の指とカテーテルアダプタ16との間に位置決めされ、その第2の指がカテーテルアダプタ16に接触することを防止する。同様に、第3の掴み面30の保護部品76も、以下でより詳細に説明されるように、その第1の指がカテーテルアダプタ16に接触するのを防止するように位置付けられる。
【0029】
図3を参照するに、従来技術のカテーテルアッセンブリー64が示されている。従来技術のカテーテルアッセンブリー64は、上述した第3および第4の掴み面を有していないニードルシールド26を含む。相対向する第1の掴み面32および第2の掴み面34が設けられているが、一般的な操作は、使用者の親指66および人差し指86を図示されるような「短い」位置に変えることを伴う。このように「短い」位置を把持すると、カテーテル48の挿入中、制御とバランスを高めることができる。第3および第4の掴み面がなかったら、使用者の親指66の第2の部分94または人差し指86が、翼部分80、82の隆起端部に接触し、それにより、ニードルハブ12を挿入方向58と反対の方向68に移動させる可能性がある。ニードルハブ12の移動のとき、針先56の傾斜部分がカテーテルの先端52を通り越して引っ込められ「斜面越え」状態となる。この状態が起きた場合、針先56の傾斜部分が、カテーテル先端52を導入するための開口部をもたらすために患者の皮膚を十分に貫通することができなくなる。したがって、この「斜面越え」の状態は、針の挿入中、痛みを伴い、破壊的であり、望ましくない。
【0030】
引き続き図3の従来技術を参照すると、ニードルシールド26が、第1または第2の保護面なしに示されている。第1および第2の保護面がなかったら、使用者の親指66の第1の部分92または人差し指86が、それぞれ、挿入中、アクセスポート22およびカテーテル翼部24に接触してしまう可能性がある。この接触は、ニードルハブ12を挿入方向58と反対の方向68に移動させる可能性がある。ニードルハブ12の移動のとき、「斜面越え」状態が生じ、カテーテル48の挿入を中断させる。
【0031】
再び、図1および図2を参照すると、本発明の保護面72は、カテーテル48の挿入中に、使用者の親指がアクセスポート22に接触するのを防止するための防壁をもたらすように構成されている。例えば、カテーテル48を患者の中に挿入するとき、使用者は、前方向58に力を加えるだろう。針先56の傾斜部分が患者に接触するとき、保護面72は、使用者の親指が前方向58に移動してアクセスポート22に接触するのを防止する。図3の従来技術に関連して考察したように、保護面72がなかったら、使用者の親指66は、前方向58に移動してアクセスポート22に接触することができる。この状態の中で、使用者の親指66の力は、カテーテルアダプタ16を前方向58に前進させ、カテーテル先端52を時期尚早に針先56の傾斜部分を越えて前進させ、「斜面越え」状態が生じる可能性がある。本発明の実施の中で、一使用者の指とカテーテルアダプタ16における種々の特徴、即ち、部品との間に保護面72および76を介在させることにより、「斜面越え」状態が、部分的に防止される。
【0032】
図1および図2を再び参照すると、第3の掴み面30が、カテーテルアッセンブリー10を把持するため使用者の人差し指などの第1の指に対応するように構成されている。第3の掴み面30は、接触面74および保護面76からなる。接触面74は、第4の掴み面28の接触面70における使用者の親指の位置に関連して使用者の人差し指の位置を対応させるように構成される。例えば、図4に示すように、接触面74により、使用者の人差し指86が使用者の親指66に対向するように位置決め可能とされ、それにより、カテーテルアダプタ10の対称のグリップを形成する。ニードルシールド14が対称のグリップで保持される場合、接触面74は、さらに、使用者の人差し指86に接触面74とニードルハブの第2の翼部分82とを同時に把持させるように構成され、位置付けられる。この同時接触が、使用者の人差し指86および親指66の連結、すなわち、橋渡しの働きにより、ニードルハブ12とニードルシールド14とが分離されることがまた防止される。
【0033】
図1、図2および図4〜6を参照すると、保護面76が、カテーテル48の挿入中に、使用者の人差し指86がカテーテル翼部24に接触するのを防止するための防壁をもたらすように構成されている。例えば、カテーテル48を患者の中に挿入中、使用者は、前方向58に力を加える。針先56の傾斜部分が、患者に接触するとき、保護面76が、使用者の人差し指が前方向58に移動してカテーテル翼部24に接触するのを防止する。図3の従来技術で示したように、保護面76がなかったら、使用者の人差し指86は、前方向58に移動してカテーテル翼部24に接触することができる。こういう状態の中で、使用者の人差し指86の力は、針先56の傾斜部分を越えて時期尚早にカテーテル先端52を前進させるように、カテーテルアダプタ16を前方向58に前進させる可能性がある。そのようなことが起こった場合、針先56の傾斜部分が、カテーテル48を導入するための開口部をもたらすために患者の皮膚を十分に貫通することができない。この状況は、上述したように、やはり「斜面越え」状態となる。本発明の2つの保護面72、76の組合せが、「斜面越え」状態を引き起こすことを防止する。
【0034】
接触面74は、さらに、ニードルシールド14およびニードルハブ12に対する使用者の同時接触を確実にするように構成される。図5に示されるように、接触面74の大きさおよび構成により、使用者がニードルハブ12の第2の翼部分82に接触することなく接触面74を把持することを可能にする。しかし、偏った、非対称のグリップが、カテーテル48の挿入処置にとって不適合な回転力90をもたらす。
【0035】
引き続き図5を参照すると、本発明のいくつかの実施例に従うと、いくつかの解決策は、回転力90を打ち消すことが可能である。第1の解決策は、使用者の人差し指86の位置を図4に示されるような対称のグリップに動かすことである。上述したように、図4の対称のグリップ構成が、使用者のニードルシールド14およびニードルハブ12の同時接触を確実にする。この対称のグリップ構成は、使用者の親指66および人差し指86がニードルシールド14およびニードルハブ12の相互間の連結の働きを行うので、「斜面越え」状態を防止する。したがって、この対称のグリップ構成は、ニードルシールド14から不所望な、時期尚早なニードルハブ12の分離を防止する。
【0036】
第2の解決策は、図6に示されている。図示されるように、不所望な回転力90は、中指88などの使用者の第3の指を付加することにより相殺され、即ち、安定化される。図6のバランスのとれた非対称のグリップは、使用者の中指88を、第1の掴み面32に対向するニードルハブ12に配置された第2の掴み面34に位置決めすることにより達成される。そのバランスのとれた非対称のグリップは、図5および図6に示されるように、使用者の人差し指86および親指66が、第3の接触面74および第4の接触面70に位置決めされるとき、完了する。
【0037】
図6のバランスのとれた非対称グリップは、使用者の親指66、人差し指86および中指88がニードルシールド12およびニードルシールド14相互間の連結の働きを行うので「斜面越え」状態を防止する。図4および5に関連して上述したように、使用者の親指66の第1の部分92は、第4の接触面70に位置付けられ、使用者の親指66の第2の部分94は、ニードルハブ12の第2の掴み面32に位置付けられる。この位置にある使用者の親指66も、やはりニードルハブ12およびニードルシールド14相互間の連結の働きをしている。また、使用者の人差し指86および中指88は、それぞれ、個別に、しかも、接触面74および第1の掴み面34と同時接触を維持する。構成により、使用者の人差し指86および中指88が、使用者の手の結合によって、ニードルハブ12およびニードルシールド14相互間を連結する働きをする。
【0038】
本発明における複数の掴み面は、医療業界の使用者の要求を満たす十分にバランスのとれた把持位置をもたらす。より具体的には、本発明の複数の掴み面が、「斜面越え」状態を作る可能性なしに、「短い」グリップ位置を使用者にもたらす。したがって、本発明は、カテーテルの挿入中、カテーテルアッセンブリーをバランスがとられ制御された取り扱いのための有用かつ安全な代替的の掴み面をもたらすようにしたものである。
【0039】
本発明は、本明細書で広く説明され、下記の請求の範囲に記載されるその構造、方法または他の本質的性質から逸脱することなく、他の具体的な形態でも具体化されてもよい。説明された実施例はあらゆる点で例示にすぎないものであって、限定的ではないものであると斟酌されるべきである。したがって、本発明の範囲は、上述した説明によってではなく添付の請求の範囲によって表明される。請求の範囲の均等における意義および範囲内に属するすべての変更は、それらの範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルアダプタと、
非対称の掴み面を有するニードルシールドと、
ニードルハブと、針とを含み、
前記針は、前記ニードルハブから前記ニードルシールドおよび前記カテーテルアダプタを貫通し、それにより、一体化された装置において前記カテーテルアダプタ、前記ニードルシールドおよび前記ニードルハブを整合し、調整する装置。
【請求項2】
前記ニードルハブが、前記ニードルシールドの前記非対称の掴み面に当接する第1の掴み面および第2の掴み面をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記非対称の掴み面は、第1の指および第2の指をそれぞれ位置決めするための第3の掴み面および第4の掴み面をさらに含む請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第3の掴み面および第4の掴み面が、前記カテーテルアダプタに当接する請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の掴み面および前記第3の掴み面が、連続しており、それにより、前記第1の指が、前記第1の掴み面の一部分と前記第3の掴み面の一部分とを把持する請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の掴み面および前記第4の掴み面が、連続しており、それにより、前記第1の指の位置と対称な位置を占める前記第2の指が、前記第2の掴み面の一部分と前記第4の掴み面の一部分とを把持する請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2の掴み面および前記第4の掴み面が連続しており、それにより、前記第2の指が、前記第1の指の位置と非対称の位置で前記第4の掴み面を把持し、前記第1の指が、前記第3の掴み面を把持し、第3の指が、非対称の位置の前記第2の指および前記第1の指を安定させるように前記第2の指の位置と非対称の位置にある前記第1の掴み面を把持する請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の指の位置および前記第2の指の位置が、前記ニードルハブが前記ニードルシールドから引き込まれるのを防止する請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の指の位置、前記第2の指の位置および前記第3の指の位置が、前記ニードルハブが前記ニードルシールドから引き込まれるのを防止する請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の掴み面、第2の掴み面、第3および第4の掴み面が、使用者の指の一部分に対応するような輪郭をしている請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記装置が、前記ニードルシールドの一部分および前記ニードルハブの一部分によって把持される請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記非対称の掴み面が、前記カテーテルアダプタに当接する保護部材を含み、該保護部材は、前記カテーテルアダプタと前記非対称の掴み面に接触している指との間に物理的な防壁をもたらすように前記非対称の把持面の外側に向かった延在部分を含む請求項1に記載の装置。
【請求項13】
ニードルシールドの第1の端部に相互接続されるカテーテルアダプタと、
前記ニードルシールドの第2の端部に相互接続されるニードルハブと、
前記カテーテルアダプタと前記ニードルハブとの間に介在され位置付けられ、前記ニードルシールドの一部分を形成する非対称の掴み面と、
前記非対称の掴み面の一部分を形成し前記カテーテルアダプタに当接する保護部品と、を含み、
前記非対称の掴み面が、相対向する指に対応しており、前記保護部品が、前記相対向する指が前記カテーテルアダプタに接触するのを防止するカテーテルアッセンブリー。
【請求項14】
前記ニードルシールドが第1のカラーを含み、前記ニードルハブが、第2のカラーを含む請求項13に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項15】
前記保護部品は、さらに、前記非対称のグリップにおける外側に向かう延在部分を含む請求項13に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項16】
前記外側に向かう延在部分が、指数関数的に湾曲している請求項15に記載のカテーテルアッセンブリー。
【請求項17】
カテーテルアッセンブリーのカテーテル部品の挿入中、「斜面越え」状態を防止するカテーテルアッセンブリーの製造方法であって、
カテーテルアダプタおよびニードルハブに対し介在され結合されるニードルシールドを有するカテーテルアッセンブリーを設け、
前記ニードルシールドの一部分に第1の掴み面を設け、
前記第1の掴み面と前記カテーテルアダプタとの間の前記ニードルシールドの一部分に保護部品を位置付け、
前記保護部品に隣接する位置で前記ニードルシールドの前記第1の掴み面を把持することを含み、
前記保護部品は、前記ニードルシールドの前記第1の掴み面を把持する間、使用者が前記カテーテルアダプタに接触するのを防止する製造方法。
【請求項18】
前記第1の掴み面に隣接する前記ニードルハブの一部分における第2の掴み面を設けることをさらに含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の掴み面が、前記カテーテルアッセンブリーの前記ニードルシールドの部分を把持する使用者の少なくとも1本の指に対応する輪郭を有している請求項17に記載の方法。
【請求項20】
使用者が、該使用者の少なくとも1本の指を用いて前記第1の掴み面により前記ニードルシールドを把持し、使用者の他の指で前記第2の掴み面により前記ニードルハブを把持する請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−524184(P2011−524184A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539812(P2010−539812)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087468
【国際公開番号】WO2009/085976
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】