説明

複数の開口部を有する蒸着源

固体材料を気化させる容器(30)は、内部体積を取り囲む少なくとも側壁と、底部壁と、カバーとを有するハウジングを備えている。このカバーは、ハウジングから蒸気流が流出できるようにするために少なくとも1つの開口部を備えている。ヒーターがハウジングの少なくとも一部を加熱して固体材料を気化させる。カバーと固体材料の間に配置されたバッフル(50)が、固体材料と開口部の間の直接的な見通し線を妨げている。このバッフルはカバーから離れていて、気化した材料の流れを制御して、そのバッフルとカバーに挟まれた領域に流入させ、開口部からの蒸気流の均一性を向上させる。内部体積と、バッフルとカバーに挟まれた領域の体積の比は、少なくとも約20:1である。固体材料は、有機発光デバイスの層を形成するのに使用される有機材料にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、ある構造体の表面に層を蒸着する(例えば有機発光デバイス(OLED)の一部を形成する構造体の表面に有機層を堆積させる)のに用いる蒸発源用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光デバイス(有機エレクトロルミネッセンス・デバイスとも呼ばれる)は、第1の電極と第2の電極の間に2つ以上の有機層を挟み込むことによって構成できる。
【0003】
従来構造のパッシブ・マトリックス有機発光デバイス(OLED)では、横方向に間隔を空けて配置された複数の光透過性アノード(例えばインジウム-スズ酸化物(ITO)アノード)が第1の電極として光透過性基板(例えばガラス基板)の上に形成される。次に2つ以上の有機層が、減圧状態(一般に10-3トル(1.33×10-1パスカル)未満)に維持したチェンバーの中で、それぞれの蒸着源から各有機材料を蒸着することによって順番に形成される。最上部の有機層の上に、横方向に間隔を空けた複数のカソードが第2の電極として配置される。カソードは、アノードに対してある角度(一般に直角)を向いている。
【0004】
電位(駆動電圧とも呼ばれる)を印加するとこのような従来のパッシブ・マトリックス有機発光デバイスが適切な列(アノード)と各行(カソード)の間で順番に動作する。カソードがアノードに対して負のバイアスになっている場合には、光は、カソードとアノードが重なる領域によって規定される画素から出ていき、アノードと基板を通過して見る人に到達する。
【0005】
アクティブ・マトリックス有機発光デバイス(OLED)では、アノード・アレイが薄膜トランジスタ(TFT)によって第1の電極として用意され、それぞれの光透過部に接続される。上記のパッシブ・マトリックス・デバイスを構成するのと実質的に同じやり方で、2つ以上の有機層が蒸着によって順番に形成される。最上部の有機層の上に、共通する1つのカソードが第2の電極として堆積される。アクティブ・マトリックス有機発光デバイスの構成と機能はアメリカ合衆国特許第5,550,066号に記載されており、その開示内容は参考としてこの明細書に組み込まれているものとする。
【0006】
有機材料、蒸着した有機層の厚さ、層の構成、は、例えば、アメリカ合衆国特許第4,356,429号、第4,539,507号、第4,720,432号、第4,769,292号に記載されている(その開示内容は、参考としてこの明細書に組み込まれているものとする)。
【0007】
有機発光デバイスの蒸着有機層、より一般には基板をベースとした他のタイプの構造体やデバイスの蒸着有機層は、固体材料を収容した容器に熱を加えてその材料を気化させ、構造体をその容器の近傍に配置することによって形成する。その結果、気化した材料がその構造体の表面に堆積されて層が形成される。このような材料を収容した容器または“蒸着源”は、一般に、気化する材料(蒸気流)が蒸着源から流出して構造体と接触できるようにする1つ以上の開口部を備えている。気化プロセスの間、材料の固体粒子(スパッタとしても知られる)が飛び出して空気によって運ばれる。このような粒子が堆積すると、形成されつつある層の特性が低下する。したがって加熱式物理的蒸着源は、一般に、スパッタが容器から逃げ出さないように設計する。固体粒子が出ていくのを阻止する1つの方法は、加熱される固体材料と容器の開口部の間にバッフルを配置し、気化した材料だけが容器から出ていけるようにするというものである。このような公知のバッフルの機能は、堆積させる固体材料が容器から出ていくのを阻止することである。というのも、そにょうなことがあると、蒸着プロセスが妨げられる可能性があるからである。
【0008】
有機発光デバイスを製造するためにある構造体の表面に有機層を熱によって物理的に蒸着するための蒸着源が、Robert G. Spahnにより、2001年5月29日に付与されて譲受人に譲渡されたアメリカ合衆国特許第6,237,529号に開示されている(その内容全体は、参考としてこの明細書に組み込まれているものとする)。Spahnによって開示された蒸着源は、気化可能な固体有機材料を収容するための囲いを規定するハウジングを備えている。このハウジングはさらに、気化した有機材料がスリットを通過して構造体の表面に到達できるようにする蒸気流出スリット-開口部を規定する上部プレートによっても区画されている。囲いを規定するハウジングは、上部プレートに接続されている。Spahnによって開示された蒸着源はさらに、上部プレートに取り付けられた導電性バッフル部材を備えている。このバッフル部材は上部プレートのスリットの見通し線をカバーするため、気化した有機材料はバッフル部材を回り込んでからスリットを通過して基板または構造体の上に到達することができる。その一方で有機材料の粒子は、電位がハウジングに印加されることで熱が囲い内の固体有機材料に加えられてその固体有機材料が気化するとき、バッフル部材によってスリットを通過するのが妨げられる。Spahnのバッフルの機能は、見通し線方向への放出を阻止し、したがって固体粒子の放出を阻止することである。
【0009】
Spahnによって開示された加熱式物理的蒸着源は、蒸着に必要な熱エネルギーの量を最少にしようと試みることによって蒸着プロセスの効率が最大になるように設計されている。過剰な熱により蒸着する固体材料が分解する可能性がある。蒸着の実現に必要な熱の量を減らすと、堆積プロセスが改善され、堆積プロセスを連続的に実施できる時間が長くなる可能性がある。バッフルは蒸気流を制限するのに役立つ。したがってSpahnは粒子が見通し線方向に放出されるのを阻止するためにバッフルを用いているが、Spahnの蒸着源で望ましいのは、蒸気流を最大にでき、基板またはデバイス構造体の効率的なコーティングが促進されるようにしつつ、それでも見通し線方向の放出が阻止されるようにバッフルを設計することである。これは、スリット開口部と、蒸着源の中に配置した固体材料との間に直接的な見通し線ができないようにしつつ、バッフルを上部プレートからできるだけ遠くに配置するとともに、バッフルをできるだけ狭くすることによって実現される。
【0010】
Spahnによって開示された加熱式物理的蒸着源を利用して選択された有機材料からなる有機層を基板または構造体の表面に形成するとき、蒸気流出スリット-開口部によって有機材料の均一でない蒸気流ができてスリットの長手方向に沿って移動することが見いだされた。蒸着源の設計の技術的、物理的な側面のうちでこの均一でない蒸気流に関することは現在のところ十分にわかってはいないが、スリット-開口部の向かい合った縁部、すなわちスリットの幅方向の向かい合った縁部が、蒸着源が加熱されて固体有機材料が気化するときにスリットの中央部全体で不均一にへこむか持ち上がるように見える。これは、スリットの幅が0.5ミリメートル(mm)未満の狭さになった場合に特に問題である。このようにスリットの向かい合った縁部の向きが空間的に均一でないというのは、向かい合った縁部が平坦な状態からずれているからであると考えられる。すると気化して蒸着源から出ていく有機材料は、より多くの割合がスリットの中央部を通過することが促進され、それに対応してより少ない割合がスリットの長さ方向に沿った残りの部分を通過する可能性がある。このように均一でない蒸気流は、基板または構造体に向かい、その表面に有機層を形成するであろう。その層は、均一でない蒸気流に対応して厚さが均一ではないであろう。
【0011】
それにもかかわらず、Spahnによる長方形のスロット形スリット開口部は、最少量の熱を用いて最大量の蒸気を生成させるという点からすると非常に効率がよい。したがってSpahnのスリット開口部を、効率を犠牲にしてより均一な蒸気流を提供できる可能性のある構成の開口部で置き換えると、最大効率の蒸着源を提供して均一さが許容できる程度のコーティングを生成させるというSpahnの主要な目的に反することになろう。さらに、Spahnによって開示されたバッフルは、均一な蒸気流が促進されるのではなく、固体粒子が容器から出ていくのを単に阻止する設計である。
【0012】
現在、気化した有機材料を基板に均一にコーティングするのを助ける装置が必要とされている。上記のように、基板にコーティングする従来法は、蒸着源で最少量の熱を使用することと、基板上に均一とは言えないコーティングを得ることのトレード・オフである。均一なコーティングを持つ基板を実現するための別の方法では、蒸着源の材料と基板を接近させる必要がある。しかしこの方法だと基板が蒸着源の近くにあることによって加熱されるため、蒸着源で使用できる材料の種類に制限がある。すなわち、近くにあることによる熱のレベルに耐えられない基板材料は使用できない。
【0013】
さらに別の方法は、必要以上に長い基板材料区画を作り、その基板材料のうちで均一にコーティングされる中央部だけを用いる操作、あるいは逆に、コーティングされる基板よりもかなり広い容器を構成する操作を含んでいる。しかしどの方法も不十分である。前者の場合、基板材料がかなり浪費される。後者の場合、蒸着源を蒸着領域よりもかなり広くせねばならないため、蒸着源の両端で気化した材料が浪費されるとともに、より多くの加熱とエネルギーが必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、さまざまな基板材料の表面に均一なコーティングを効率的に生成させる加熱式物理的蒸着装置が必要とされている。
【0015】
本発明の1つの目的は、有機発光デバイス(OLED)の一部となる構造体の表面に有機層を形成するための細長い物理的蒸着源を提供すること、より一般には、細長い領域に堆積材料の蒸気流を均一に分布させる構成の、加熱式物理的蒸着源を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
これらの目的は、内部体積を取り囲む壁とカバーを備える容器の中に固体材料が配置されていて、そのカバーが、その容器から気化した材料の蒸気流が流出できるようにするための少なくとも1つの開口部を備えている場合に、上記固体材料を気化させることによって構造体をコーティングする方法であって、
上記カバーと上記固体材料の間に、その固体材料と上記少なくとも1つの開口部の間の直接的な見通し線を阻止するためのバッフルを設け、このバッフルを上記カバーから離し、上記ハウジングの内部体積の、上記バッフルと上記カバーとの間の領域の体積に対する比を少なくとも約20にすることで、気化した材料の流れを制御して、このバッフルと上記カバーとの間の領域に流入させ、上記少なくとも1つの開口部からの蒸気流の均一性を向上させ;
上記固体材料を気化させて上記蒸気流を生成させ;
その蒸気流を上記構造体の表面に堆積させて層を形成する操作を含む方法によって達成される。
【0017】
固体材料は、例えば有機発光デバイスの一部を形成する構造体のコーティングに用いる有機材料にすることができる。容器の内部体積の、バッフルとカバーとの間の領域の体積に対する比は、少なくとも約35であることが非常に好ましく、動作パラメータによっては少なくとも約60にすることができる。
【0018】
カバーは、さまざまなサイズの複数の開口部、または隣り合った開口部間の間隔がさまざまな複数の開口部、またはその組み合わせになった開口部を備えることができる。そのとき開口部のさまざまなサイズまたは間隔は、気化した材料の蒸気流の均一性が実質的に向上するように選択する。例えば開口部を中心線に沿って配置し、そのとき隣り合った開口部間の間隔が、中心線に沿った中央部での選択した均等な間隔から、中心線に沿って端部に向かうにつれて小さくなるようにすることができる。別の一例では、開口部を中心線に沿って配置し、そのとき隣り合った開口部間の間隔が、中心線に沿った中央部での選択した均等な間隔から、中心線に沿って端部に向かうにつれて大きくなるようにすることができる。
【0019】
この目的はさらに、チェンバー内で構造体の表面に層を形成するために固体材料を気化させる容器であって、
上記容器は、気化させる固体材料を収容するハウジングを備えており、そのハウジングは、そのハウジングの内部体積を取り囲む少なくとも側壁と、底部壁と、カバーとを備えていて、そのカバーは、気化した材料の蒸気流がハウジングから流出できるように配置された少なくとも1つの開口部を持ち;
上記容器は、上記ハウジングの少なくとも一部を加熱して上記固体材料を気化させるヒーターを備えており;
上記容器は、上記固体材料と上記少なくとも1つの開口部の間の直接的な見通し線を阻止するために上記カバーと上記固体材料の間に配置されたバッフルを備えていて、このバッフルを上記カバーから離し、上記ハウジングの内部体積の、上記バッフルと上記カバーとの間の領域の体積に対する比を少なくとも約20にすることで、気化した材料の流れを制御して、このバッフルと上記カバーとの間の領域に流入させ、上記少なくとも1つの開口部からの蒸気流の均一性が向上するようにされた容器によって達成される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の1つの利点は、気化ヒーターの複数ある蒸気流出開口部に関して隣り合った蒸気流出開口部の間に間隔があるため、開口部のサイズ、または間隔、またはその組み合わせをさまざまに選択することで、容器に収容された固体有機材料を熱によって気化させるとき、蒸着源の長手方向に沿って気化した有機材料の蒸気流の均一性を実質的に改善できることである。ヒーター容器の全内部体積の、バッフルと容器カバーとの間の領域の体積に対する比が十分に大きい(例えば少なくとも20)ため、バッフルは、開口部の領域で蒸気流を制御する機能を追加して持ち、単に飛散だけを阻止する従来のバッフルよりも実質的に均一な蒸気流を開口部アレイ全体に生成させる。
【0021】
本発明の別の利点は、細長い気化ヒーターの複数ある蒸気流出開口部に関して隣り合った蒸気流出開口部間に間隔があるために開口部が力学的に安定することで、容器に収容された固体有機材料を熱によって気化させるとき、開口部の向かい合った縁部が平坦である状態が保持されることである。
【0022】
細長い蒸着源と構造体を、蒸着源の長手方向に実質的に垂直な方向に相対運動させることで、構造体の表面に実質的に均一な有機層が形成されやすくする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
OLEDの層の厚さは1μm以下であることがしばしばあるのに対してデバイスの横方向のサイズは50〜500ミリメートルの範囲になる可能性があるため、図面は必然的に概略図となる。さらに、気化ヒーターに形成する複数の開口部は、その開口部が並ぶヒーターの長さ方向と比べてサイズが小さい。したがって図面は、サイズを正確にというよりは見やすくなるスケールで描いてある。
【0024】
“基板”という用語は、横方向に間隔を空けて並んだ複数の第1の電極(アノード)があらかじめ表面に形成された光透過性支持体を意味する。このような基板は、未完成のパッシブ・マトリックスOLEDとなる。“構造体”という用語は、蒸着された有機層の一部が載った基板を表わすのに使用され、未完成のパッシブ・マトリックスと区別してアクティブ・マトリックス・アレイを意味する。
【0025】
図1を参照すると、さまざまな層が見えるようにするため一部を露出させた状態のパッシブ・マトリックス有機発光デバイス(OLED)10の概略斜視図が示してある。
【0026】
光透過性基板11には、その表面に、横方向に間隔を空けて並んだ複数の第1の電極(アノードとも呼ばれる)が形成されている。有機正孔輸送層(HTL)13と、有機発光層(LEL)14と、有機電子輸送層(ETL)15が、物理的蒸着によって順番に形成される。それについてはあとでより詳しく説明する。横方向に間隔を空けて並んだ複数の第2の電極16(カソードとも呼ばれる)が、有機電子輸送層15の上に、第1の電極12と実質的に垂直な方向に形成される。封止体またはカバー18によってこの構造体の敏感な部分を環境から封止することにより、完成したOLED10が提供される。
【0027】
ここで図2を参照すると、OLED装置100の概略斜視図が示してある。このOLED装置100は、基板または構造体をバッファ・ハブ102と輸送ハブ104から延びる複数のステーション間で輸送したり移動させたりするための自動化したロボット手段(図示せず)を用いて比較的多数の有機発光デバイスを製造するのに適している。真空ポンプ106が、ポンピング・ポート107を通じ、ハブ102、104の内部と、これらハブから延びる各ステーションの内部を減圧する。圧力計108が、システム100の内部が減圧されていることを示す。圧力は一般に10-3トル(1.33×10-1パスカル)よりも低い。
【0028】
ステーションには、基板または構造体を装填するための装填ステーション110と、有機正孔輸送層(HTL)を形成するための蒸着ステーション130と、有機発光層(LEL)を形成するための蒸着ステーション140と、有機電子輸送層(ETL)を形成するための蒸着ステーション150と、複数の第2の電極(カソード)を形成するための蒸着ステーション160と、構造体をバッファ・ハブ102から輸送ハブ104(この輸送ハブ104から今度は保管ステーション170に移される)に移すための脱着ステーション103と、コネクタ・ポート105を通じてハブ104に接続された封止ステーション180が含まれている。これらステーションのそれぞれは、それぞれのハブ102と104の中へと延びるオープン・ポートを備えている。また各ステーションは、清掃と、材料の再装填と、部品の置換または修理のためのステーションにアクセスするための真空気密アクセス・ポート(図示せず)を備えている。各ステーションは、チェンバーを規定するハウジングを備えている。
【0029】
図6〜図9、図13、図14の詳細な説明では、図2のステーション130(ETL)において有機正孔輸送層13(図1を参照)を形成するための有機正孔輸送材料を有機材料の一例として取り上げる。加熱式物理的蒸着源を本発明に従って効果的に利用し、図2のステーション140(LEL)において有機発光層14(図1を参照)を形成できること、または図2のステーション150(ETL)において有機電子輸送層15を形成できることがわかる。
【0030】
図3は、装填ステーション110を図2の切断線3-3に沿って切断した概略断面図である。装填ステーション110は、チェンバー110Cを規定するハウジング110Hを備えている。チェンバーの内部には、第1の電極12があらかじめ形成された複数の基板11(図1参照)を運ぶためのキャリア111が配置されている。複数のアクティブ・マトリックス構造体を支持するため別のキャリア111を設けることができる。キャリア111は、脱着ステーション103と保管ステーション170にも設けることができる。
【0031】
図4と図5を参照すると、本発明に従って構成した細長い加熱式物理的蒸着源と、気化させることのできる固体有機材料を収容するための細長い絶縁性容器30の概略斜視図がそれぞれ示してある。
【0032】
容器30は、細長い側壁32、34と、端部側壁36、38と、底部壁35によって区画されている。細長い側壁32、34と端部側壁36、38は、共通の上面39を有する。絶縁性容器30は、石英またはセラミック材料で構成することが好ましい。この容器の高さはHCである。
【0033】
容器のカバーを形成する細長い気化ヒーター40が、気化ヒーター40の一部を形成する気密フランジ46を通じて容器30の共通の上面39の上に気密に配置されている。やはり気化ヒーター40に取り付けられた第2の気密フランジ(図示せず)を利用し、蒸着源と、細長い側壁32、34および端部側壁36、38との間に第2のシールを設けることができる。他の気密部材を利用してもよい。それは例えば、セラミック・シール、または温度に寛容な材料からなるシールである。このようなシールは気密フランジ46と組み合わせて使用することができる。
【0034】
細長い気化ヒーター40は実質的に平坦であり、電気的接続用フランジ41、43を備えている。気化ヒーター40と気密フランジ46(と、使用する場合の第2の気密フランジ)は、タンタル金属シート材料で構成することが好ましい。タンタルは、導電率が中程度で、高い“気化”温度での繰り返し使用サイクルにおける機械的強度と安定性が優れ、容易に望む形状に成形できる。
【0035】
複数の蒸気流出開口部42が、気化ヒーターの長手方向に沿って中心線CLの近傍に形成されている。開口部42は、容器内に有機材料の蒸気を発生させる気化ヒーター40を貫通して延びており(ヒーターを加熱してこの有機材料を気化させると蒸気が発生する)、開口部からその蒸気を逃がして構造体の表面に向かわせ、その表面に有機層を形成する。これについては後で図13を参照して説明することにする。
【0036】
蒸気流出開口部42は、ヒーター40を構成するのに用いたタンタル金属シート材料によって互いに離されている。したがって複数ある開口部のそれぞれは、開口部の向かい合った縁部が物理的に変形することから保護され、ヒーター40とその開口部42の平坦さが多数の蒸着サイクルを通じて維持される。
【0037】
蒸気流出開口部は、公知のいくつかの方法で形成することができる。例えば、レーザー加工法や、湿式エッチング法または乾式エッチング法がある。このような方法により、開口部の輪郭、サイズ、面積と、開口部間の間隔をさまざまにすることができる。こうした特徴については、図12A〜図12Hを参照して後でより詳しく説明する。
【0038】
図6を参照すると、図4の長手方向に沿った切断線6-6による図4の細長い蒸着源の概略断面図が示してある。
【0039】
細長い絶縁容器30は、この容器の底部壁35の上に形成されるとともに、この容器の側壁と端部壁の部分の上方に向かって延びる熱反射性コーティング60を備えている。熱反射性コーティングは、ここでは(そして図7、図8、図9では)容器30の外面上に形成されている。このようなコーティングは、容器の内面に形成することや、外面と内面の両方に形成することができる。熱反射性コーティングは、熱輻射が反射されて容器の中に戻るように設計した多層誘電体積層体で形成することができる。あるいは熱反射性コーティングは、鏡のような反射特性を持つ金属(例えば金属ホイル)で形成することもできる。
【0040】
容器30には、気化することのできる固体有機材料が装填されている。粉末形態の固体有機正孔輸送材料13aは、容器内でレベル13bまで達している。“粉末”という用語には、固体有機材料のフレークと粒子が含まれる。
【0041】
接続用クランプ41cを利用し、電気リード41wを気化ヒーター40の電気的接続用フランジ41に接続する。同様に、接続用クランプ43cを利用し、電気リード43wを電気的接続用フランジ43に接続する。
【0042】
バッフル部材50が、複数のバッフル支持体56によって気化ヒーター40の下側に物理的かつ電気的に接続されている。バッフル支持体は、バッフル部材の上面52と気化ヒーター40の間に選択した間隔(例えば図15に示した間隔BHS)も与えている。バッフル部材50は本質的に固体のプレート状部材であり、蒸気流を通過させない。そのため下から上がってくる蒸気は、このバッフル部材の外側縁部の外側や周囲を迂回した後に上記の開口部42に到達する必要がある。さらに、長手方向でのバッフル部材50の機械的安定性が、バッフル安定化部材54によって与えられている。バッフル部材50、支持体56、安定化部材54は、気化ヒーター40と同様、タンタル金属シート材料で構成することが好ましい。バッフル支持体56は、バッフル部材50と気化ヒーター40にスポット溶接することができる。
【0043】
バッフル部材50は、気化ヒーター40の複数の蒸気流出開口部42をもとにしてサイズと位置が決められている。そのためバッフル部材は、実質的にこれら開口部の見通し線をカバーすることになり、開口部に気化した有機材料が直接到達することが阻止されるとともに、粒子状有機材料が複数の開口部を通過することが阻止される。
【0044】
バッフル部材50の別の機能は、気化ヒーター40の蒸気流出開口部42から出る蒸気流のコンダクタンスを均一にすること、言い換えるならば規格化することである。ヒーターのカバー面と開口部42に対するバッフル部材50のサイズと間隔により、蒸気流出開口部42と固体材料13aの間のコンダクタンスまたは蒸気流が曲がった経路になるため、下にある加熱された固体材料から上がってくる蒸気は、長方形バッフル部材の縁部のまわりを通過した後に開口部に到達し、そこから出ていく。バッフル部材とヒーターのカバーの間隔を十分に小さくして、容器の内部体積(すなわち側壁32、34、36、38と、底部壁35と、ヒーターのカバー40で囲まれた体積)の大半がバッフル部材の下にあるようにする。その結果、蒸気流の圧力が平衡した後に蒸気流がバッフル部材に到達してバッフル部材を迂回する。この圧力平衡により、均一な蒸気流が蒸気流出開口部42から出ていくことが可能になる。要するに、蒸気がバッフル部材の縁部の周囲からバッフル部材の上方の領域へと流れることを可能にする狭い通路によって圧力差(制約によって生じる圧力低下)が発生するため、より均一な流れが生じてバッフル部材の上方領域へと流入し、その結果として開口部アレイを通ってより均一な蒸気流が出ていく。この効果を実現するため容器の内部体積と、バッフル部材50とヒーターのカバー40に挟まれた領域の体積との比は、少なくとも約20:1でなくてはならない。この比は約35:1またはそれ以上であることが好ましく、動作パラメータによっては約60:1以上にすることができる。
【0045】
一例として、容器は、内部長(端部側壁から端部側壁まで)を498mm、内部幅(細長い側壁から細長い側壁まで)を36mm、内部高(底部壁からヒーターのカバーの内側まで)を46mmにすることができ、その結果として全内部体積は824.7ccになる。バッフル部材とカバーの間隔(すなわち図15に示した距離BHS)は2mmにすることができ、バッフル部材は、長さを478mm、幅を25mmにすることができる。その結果、バッフル部材とヒーターのカバーに挟まれた領域の体積は23.9ccになる。この具体的な構成では、全内部体積と、バッフル部材とヒーターのカバーに挟まれた領域の体積の比は34.5になる(約35:1)。バッフル部材の幅を11mmにする以外は同じサイズにした別の構成では、得られる比が78.4になる。バッフル部材の幅は、少なくとも、開口部の位置と、固体材料と開口部の間に直接的な見通し線がないようにする必要性とによって決まる。
【0046】
上記の説明からわかるように、カギとなるパラメータは、バッフル部材とカバーの間の比較的狭い間隔BHSである。このパラメータを、バッフル部材および容器のハウジングのサイズ、開口部のサイズおよび間隔と組み合わせると、曲がった経路と圧力低下が生まれるため、実質的に均一な蒸気流が得られる。本発明が上記の実施態様に限定されることはなく、実質的に均一な蒸気流を生み出すことのできる任意の体積比と任意のバッフル部材の間隔も本発明の範囲に含まれると見なせることが理解されよう。バッフル部材とカバーの間隔が適切であり、開口部のサイズと間隔が適切だと、約20:1を超える比の場合に、開口部アレイを通過する許容できる程度に均一な蒸気流が発生することがわかった。
【0047】
バッフル部材50と蒸気流出開口部42の距離は別の点で重要である。バッフル部材50は、蒸気流がバッフル部材50そのものの表面に局所的に堆積することを避けるためには蒸気流出開口部42よりも低温すぎてはならない。局所的な堆積は、バッフル部材50が、蒸気流出開口部42に対応する温度になっていない場合に起こる可能性がある。
【0048】
図7を参照すると、図4の長手方向に垂直な切断線7-7による図4の蒸着源の概略断面図が示してある。バッフル安定化部材54は、平坦なバッフル部材を折り曲げてU字形にすることによって、またはバッフル安定化部材を平坦なバッフル部材にスポット溶接することによって形成できる。
【0049】
図8と図9を同時に見ると、蒸着源に関するこれらの断面図は、容器30内の固体有機材料が、固体ペレット13pの形状になった有機正孔輸送材料である点を除き、図6と図7の断面図と同じ断面図であることがわかる。このような固体有機ペレット(凝集有機ペレットとも呼ばれる)の調製法は、Steven A. Van Slykeらにより、「有機発光デバイスを製造する際の有機材料の取り扱い方」という名称で2001年7月3日に出願されて譲受人に譲渡されたアメリカ合衆国特許出願シリアル番号第09/898,369号に開示されている(その内容全体は、参考としてこの明細書に組み込まれているものとする)。
【0050】
図10を参照すると、本発明による細長い加熱式物理的蒸着源の別の実施態様に関する概略斜視図が示してある。この蒸着源では、細長い絶縁性容器30が細長いバイアス・ヒーター20の中に配置され、細長い気化ヒーター40が、容器30の共通する上面の上に気密式に配置されている。バイアス・ヒーターは高さがHBであり、容器の高さHC(図5を参照)よりも低い。
【0051】
バイアス・ヒーター20は、側壁22、24と、端部壁26、28と、底部壁25を備えている。電気的接続用フランジ21と23が、それぞれ端部壁28と26から延びている。バイアス・ヒーター20は、タンタル金属シート材料で構成することが好ましい。
【0052】
減圧状態に維持したチェンバー内で細長い加熱式物理的蒸着源が動作している間、接続用クランプ(図示せず)によってそれぞれの電気的接続用フランジ21、23に接続した電気リード(図示せず)を通じて電位をバイアス・ヒーター20に印加する。印加する電位は、電流がバイアス・ヒーターを流れ、そのことによって今度は容器30に収容されている固体有機材料にバイアス熱が加えられるが、その固体有機材料が気化するには不十分なバイアス温度となるように選択する。しかしバイアス温度は、容器30に収容されている有機材料からその材料に含まれているガス、および/またはその材料に含まれている水分または揮発性化合物を放出させるには十分である。
【0053】
気化ヒーター40と、その電気的接続用フランジ41、43と、気密フランジ46は、図4と図6〜図9に関して説明したのと同じ要素である。図4の実施態様に示した輪郭の開口部とは異なる輪郭を持つ複数の蒸気流出開口部42が示してある。さまざまな形状、輪郭、配置の蒸気流出開口部を図12A〜図12Hにより詳しく示してある。
【0054】
バイアス・ヒーター20が動作している間、接続用クランプ(図示せず)によってそれぞれの電気的接続用フランジ41、43に接続した電気リード(図示せず)を通じて電位を気化ヒーター40に印加する。気化ヒーターに印加された電位により、容器30内の固体有機材料の最上部に気化熱が加えられ、その最上部が気化する。するとその気化した有機材料は、容器30の側壁32、34と端部壁36、38、気化ヒーター40の底面、バッフル部材の上面52を離れて蒸着源から出ていくと複数の蒸気流出開口部42を通過し、基板または構造体11の表面に蒸気流となって衝突し、その構造体の表面に有機層を形成する。
【0055】
図10の細長い蒸着源と基板または構造体11を、蒸着源の長手方向に実質的に垂直な方向に相対運動させ、均一性が向上した有機層を形成する。
【0056】
図11は、図10の長手方向に垂直な切断線11-11による図10の蒸着源の概略断面図であり、バッフル部材50を示している。絶縁性容器30は、バイアス・ヒーター20を備える実施態様では熱反射性コーティング60を備えていない。
【0057】
バイアス・ヒーター20と、バイアス・ヒーターの中に配置された絶縁性容器30と、その容器の表面に配置された単一スリットの蒸気流出開口部を有する気化ヒーター40とを備える蒸着源は、Steven A. Van Slykeらにより、「有機発光デバイスを製造するための加熱式物理的蒸着源」という名称で2001年11月28日に出願されて譲受人に譲渡されたアメリカ合衆国特許出願シリアル番号第09/996,415号に開示されている。
【0058】
図12A〜図12Hを参照すると、細長い気化ヒーターのさまざまな例に関する概略平面図が示してあり、気化ヒーターの長手方向に沿って延びる中心線上に間隔を空けて複数の蒸気流出開口部が配置されている。気化ヒーターの複数の蒸気流出開口部は、輪郭が多角形、円形、長円形、楕円形、またはこれらの組み合わせである開口部を備えている。
【0059】
図12Aは、中心線CL上に配置された複数の開口部42Aを有する気化ヒーター40Aの図である。それぞれの開口部は全体として輪郭が長方形で、高さがhであり、開口部の面積a(本出願の一部では、開口部のサイズとも呼ぶ)が一定になるように選択されている。開口部配列の中央部cp全体を通じ、開口部間の間隔はsに選択されている。開口部配列の端部に向かうにつれて開口部間の距離は間隔sから間隔s3へと徐々に短くなる。ただし、s3<s2<s1<sである。
【0060】
図12Bは、中心線CL上に配置された複数の開口部42Bを有する気化ヒーター40Bの図である。それぞれの開口部は全体として輪郭が長方形で、高さがhであり、中央部cpでは選択された面積aだが、開口部配列の端部epに向かうにつれて開口部の面積a1、a2、a3が徐々に大きくなっている。ただしa<a1<a2<a3である。開口部間の間隔sは、一定値になるように選択されている。
【0061】
図12Cは、中心線CL上に配置された複数の開口部42Cを有する気化ヒーター40Cの図である。それぞれの開口部は全体として輪郭が長方形で、高さがhであり、中央部cpでは選択された面積aだが、開口部配列の端部epに向かうにつれて開口部の面積a1、a2が徐々に大きくなっている。ただしa<a1<a2である。開口部間の間隔は、中央部での選択値sから、端部に向かうにつれて徐々に小さな間隔s1、s2になる。ただしs2<s1<sである。
【0062】
図4、図6、図8に示した複数の開口部42の配置は、上記の図12Cの配置と同じである。
【0063】
図12Dは、中心線CL上に配置された複数の開口部42Dを有する気化ヒーター40Dの図である。開口部間の間隔sは、一定値になるように選択されている。中央部cpの開口部は全体として輪郭が長方形であり、選択された面積aの開口部を規定している。端部epに近い開口部は輪郭が台形になっていて、面積a1、a2、a3が徐々に大きくなっている。ただし、a<a1<a2<a3である。
【0064】
図10に示した複数の開口部42の配置は、上記の図12Dの配置と同じである。
【0065】
図12Eは、パターン中心線PCL上に配置された複数の開口部42Eを有する気化ヒーター40Eの図である。それぞれの開口部は全体として輪郭が長方形で高さがhであり、面積aが一定となるように選択された開口部を規定している。開口部間の間隔sは、開口部配列の長手方向に沿って一定となるように選択されている。この開口部配列の端部epには、互いに平行に並べた開口部の複数の列からなるパターンがこのパターンの中心線上に規定されているのに対し、中央部cp全体を通じては単一の開口部列が規定されている。
【0066】
図12Fは、中心線CL上に配置された複数の開口部42Fを有する気化ヒーター40Fの図である。それぞれの開口部は全体として輪郭が円形であり、中心間の間隔csは選択された値にされている。開口部は、中央部cp全体を通じて選択された一定の直径dにされている。端部epに向かうにつれて開口部の直径は徐々にdからd1、d2、d3、d4へと大きくなる。ただし、d<d1<d2<d3<d4である。
【0067】
図12Gは、中心線CL上に配置された複数の開口部42Gを有する気化ヒーター40Gの図である。開口部は、中心間の間隔csが選択された値である。開口部は、開口部配列の中央部cp全体を通じ、直径が選択された値dである円形の輪郭を有する。開口部は、開口部配列の端部epに向かうにつれて、輪郭が中心線CLに対して垂直な方向に延びる長円形または楕円形になり、高さh1、h2、h3が徐々に大きくなる。ただし、d<h1<h2<h3である。
【0068】
図12Hは、中心線CL上に配置された複数の開口部42Hを有する気化ヒーター40Hの図である。開口部は、開口部配列の中央部cp全体を通じ、直径が選択された値dで、中心間の間隔が選択された値csである円形の輪郭を有する。開口部は、開口部配列の端部epに向かうにつれて、輪郭が輪郭が中心線CLの方向に延びる長円形または楕円形になり、長さL1、L2が徐々に大きくなり、間隔s1、s2が徐々に小さくなる。ただし、d<L1<L2であり、s2<s1<csである。円形開口部の直径dと長円形または楕円形の開口部の高さhが同じ値である場合を図示してある。
【0069】
図12A〜図12Hの説明から、気化した有機材料の蒸気流の細長い蒸着源の長手方向に沿った均一性を向上させるため、さまざまな別の輪郭を持った開口部が考えられることがわかるであろう。例えば六角形の輪郭や、多角形の輪郭と円形、長円形、楕円形の輪郭の組み合わせが考えられる。
【0070】
図面を概略図にせざるをえないため、開口部配列の中央部cpは、端部epとして説明した距離の和と同じくらいの距離にわたって延びているように見える可能性がある。複数の蒸気流出開口部を有する実際の加熱式物理的蒸着源では、中央部の開口部は、開口部配列の端部よりもはるかに長くすることができる。蒸着源と基板の距離が短くなるにつれ、例えば開口部配列の中央部は、開口部配列の端部よりもはるかに長くなる。
【0071】
それぞれの開口部aを通過する蒸気流は、それぞれの側で隣にある開口部を通過する流れの影響を受ける。特に、各開口部のそれぞれの側の約6個からなる開口部の領域が、その特定の開口部を通過する流れに影響を与え、その領域内の隣にある開口部からの距離が大きくなるにつれて寄与が小さくなる。したがって気化ヒーター40の中央部cpでは実質的に均一な蒸気流になり、基板の表面に実質的に均一な蒸着層が生成する。端部epでは、線形アレイの本当の端部にある最後のいくつかの開口部を通過する流れは、一方の側に隣り合った開口部がないために影響を受ける可能性がある。端部epで開口部の間隔を短くするか、サイズを大きくすると、この効果を打ち消すことができる。すると開口部アレイ全体を通じて蒸気流の均一性が向上する。
【0072】
図13を参照すると、図2の蒸着ステーション130の概略断面図が示してある。この蒸着ステーションは、本発明の細長い蒸着源を用いて構造体または基板の上に有機正孔輸送層(HTL)を蒸着で形成するためのものである。蒸着ステーション130は、チェンバー130Cを規定するハウジング130Hを備えている。基板または構造体11は、一般に10-3トル未満に減圧されたチェンバー130C(図2参照)の中でホルダおよび/またはマスク・フレーム289に支持されている。
【0073】
本発明の加熱式物理的蒸着源を図7に断面図として示してある。この蒸着源は、熱的、電気的に絶縁された蒸着源支持体70によって支持されている。ハウジング130Hの中に配置されたそれぞれの電力フィードスルー449と446から蒸着源に向かう電気リード41wと43wが略図として示してある。
【0074】
図13では、そして図14でも、堆積領域13vで有機正孔輸送材料13aを蒸着している間、基板または構造体11を蒸着源に対して移動または並進させることによって両者を相対運動させる。蒸着源、すなわち気化ヒーター40に設けられた複数の開口部は、基板または構造体11からの距離がDである。
【0075】
中間蒸着位置“II”には、基板または構造体11、ホルダおよび/またはマスク・フレーム289、グライド・シュー288、リード・スクリュー・フォロワー287の断面の輪郭が、実線で図示されている。蒸着源のこれらの要素は、ホルダ289の出発位置“I”と、ホルダが前進運動“F”した終端位置“III”では点線で示してある。終端位置は、ホルダの逆運動“R”(または反転運動“R”)の出発位置でもある。
【0076】
前進運動“F”と逆運動または反転運動“R”は、リード・スクリュー・フォロワー287と噛み合うリード・スクリュー282によって与えられる。リード・スクリュー・フォロワー287は、ガイド・シュー288に取り付けられていて、そのガイド・シュー288は、ホルダおよび/またはマスク・フレーム289を支持している。ガイド・シュー288はグライド・レール285に沿って滑り、グライド・レール285に形成されたグライド・レール溝286の中をガイドされる。グライド・レール285は、グライド・レール・ブラケット284によって支持されている。グライド・レール・ブラケット284は、図13に示してあるように、ハウジング130Hに固定することができる。
【0077】
リード・スクリュー282は、一端がリード・スクリュー・シャフト終端ブラケット283によって支持され、リード・スクリュー・シャフト281は、ハウジング130の内部でシャフト・シール281aによって支持されている。リード・スクリュー・シャフト281は、ハウジング130を貫通してモータ280へと延びている。
【0078】
モータ280は、制御信号を入力端子292からモータに供給するスイッチ290を通じて前進運動“F”と逆運動“R”を与える。スイッチは、中間位置または“ニュートラル”位置(図示せず)を取ることができる。そのときホルダ289は、前進運動の終端位置“III”、または出発位置“I”のいずれかに留まることができ、そこでは完成した有機層を備える基板または構造体11がホルダおよび/またはマスク・フレーム289から取り出され、新しい基板または構造体がホルダに配置される。
【0079】
図14に示してあるように、蒸着領域13v内の端部近傍で基板または構造体11によって規定されるサイズの外側に結晶式質量センサー301が位置している。結晶式質量センサー301は、複数の開口部の端部epにある蒸気流出開口部から出る有機材料の蒸気の一部を捕獲する。蒸気はセンサーの表面に凝縮して層を形成し、そのことにより、蒸気が基板または構造体11の表面に凝縮して基板上に層を形成するのと同様にして質量がセンサーの表面に堆積する。
【0080】
センサ301がセンサ信号リード401とセンサ信号フィードスルー410を通じて蒸着速度モニタ420の入力端子416に接続されている。モニタ420により、望む蒸着速度、すなわち質量が構造体11とセンサー301の表面に堆積する望ましい速度を選択する。蒸着プロセスをモニタするための従来法でよく知られているように、このモニタには、結晶式質量センサー301を含むオシレータ回路(図示せず)が含まれている。堆積速度モニタ420は、その出力端子422に出力信号を出す。このモニタの出力信号は、リード424を通じて入力端子426に入力され、制御装置または増幅器430に対する入力信号となる。制御装置または増幅器430の出力端子432における出力信号は、リード434を通じて気化ヒーター電源440の入力端子436に接続されている。気化ヒーター電源440は2つの出力端子444と447を持っていて、それぞれリード445と448を通じてハウジング130Hの中に配置された対応する電力フィードスルー446と449に接続されている。それに対して細長い気化ヒーター40は、図13と図14に波線で示してあるように、電気リード43wと41wを用いて電力フィードスルー446、449に接続されている。
【0081】
図13に太い点線で図示してあるように、構造体が出発位置“I”から中間蒸着位置“II”を通って前進運動の終端位置“III”へと前進運動“F”している間に、有機正孔輸送層13fが基板または構造体11の表面に形成される。終端位置“III”から中間蒸着位置“II”を通って出発位置“I”で終わる逆運動“R”では、蒸気13vによって規定される堆積領域を基板または構造体を2回目に通過させる間に、完成した有機正孔輸送層13(図1参照)が得られる。
【0082】
完成した構造体は、位置“I”で止まると、バッファ・ハブ102(図2参照)の中に配置されたロボット手段(図示せず)によってチェンバー130Cから取り出され、図2のOLED装置100の別のステーション(例えばステーション140)へと進む。新しい基板または構造体がホルダおよび/またはマスク・フレーム289の中に入り、上に説明したようにして有機正孔輸送層13が蒸着される。
【0083】
図14を参照すると、図2のHTL蒸着ステーション130の一部の概略平面図が示してある。この図には、複数の蒸気流出開口部42の端部またはその近傍と、基板または構造体11によって規定される領域の外側の位置にある結晶式質量センサー301の位置が、より明瞭に示してある。接続用クランプ41c、43cもより明瞭に示してあり、図6を参照して説明したように、対応する電気リード41wと43wを気化ヒーター40のそれぞれの電気的接続フランジ41、43に接続している。
【0084】
図13と図14が見やすさくなるようにするため、結晶式質量センサー301は1つしか図示していない。OLEDの有機層の蒸着を検出し制御するためのさまざまな他のセンサーの構成や方法を利用し、本発明を効果的に実施することができる。例えばMichael A. Marcusらは、再利用可能な質量センサーを、2001年4月20日に出願されて譲受人に譲渡されたアメリカ合衆国特許出願シリアル番号第09/839,886号に開示している(その内容全体は、参考としてこの明細書に組み込まれているものとする)。OLEDを製造するために本発明を実施するにあたって、再利用可能な光学的検出システムも有効に利用することができる。さまざまな光学的検出法が、OLEDを製造する際に有機層の厚さを制御するのに利用されてきた。その一例が、Steven A. Van Slykeらにより、2001年4月20日に出願されて譲受人に譲渡されたアメリカ合衆国特許出願シリアル番号第09/839,885号に開示されている(その内容全体は、参考としてこの明細書に組み込まれているものとする)。
【0085】
図13と図14では、基板または構造体11を、複数の蒸気流出開口部42を有する固定配置された細長い蒸着源に対し、その蒸着源の長手方向に実質的に垂直な方向に移動させる。
【0086】
基板または構造体11と、複数の蒸気流出開口部42を有する細長い蒸着源の相対運動は、細長い蒸着源を載せることのできる移動可能なキャリッジまたは他の移動可能な輸送手段と噛み合うリード・スクリューにより、蒸着源を固定配置された基板または構造体に対して運動させることによって与えられる。あるいは基板を細長い蒸着源に対して運動させることもできる。
【0087】
図2、図6、図7、図8、図9、図13、図14の図面には、説明だけを目的として、有機正孔輸送材料と、ステーション130における構造体の表面への有機正孔輸送材料の形成について示してある。このステーション130は、図2のOLED装置100においてその目的で使用される。ドープされているかドープされていない有機正孔輸送層13は、本発明に従って構成した1つ以上の蒸着源を用いて形成できることが理解できよう。同様に、図2のOLED装置100のそれぞれの専用ステーションにおいて、ドープされているかドープされていない有機発光層14を形成することができ、ドープされているかドープされていない有機電子輸送層15を構造体の表面に蒸着することができる。また、ドープされているかドープされていない有機正孔注入層(図示せず)を構造体の表面に第1の層として形成することができる。
【0088】
構造体の表面にドープされた層を形成するためにドーパントを使用することが、例えば前出のアメリカ合衆国特許第4,769,292号に記載されている。この特許では、1種類以上のドーパントを有機発光層に組み込むことにより、出てくる光の色または色相をシフトさせている。色のこのような選択的なシフトまたは変更は、マルチ-カラーまたはフル-カラーの有機発光デバイスを構成する際に特に望ましい。
【0089】
いわゆる色中性ドーパントを有機正孔輸送層および/または有機電子輸送層と効果的に組み合わせて利用することで、動作安定性が向上した、または動作寿命が延びた、または発光効率が向上した有機発光デバイスを得ることができる。このような色中性ドーパントと、有機発光デバイスにおけるその使用法は、Tukaram K. HatwarとRalph H. Youngにより、2001年6月6日に出願されて譲受人に譲渡されたアメリカ合衆国特許出願シリアル番号第09/875,646号に開示されている(その内容全体は、参考としてこの明細書に組み込まれているものとする)。
【0090】
少なくとも2種類のホスト成分が均一に混合した有機ホスト層の利用は、Ralph H. Youngらにより、2001年1月2日に出願されて譲受人に譲渡されたアメリカ合衆国特許出願シリアル番号第09/753,091号に開示されている(その内容全体は、参考としてこの明細書に組み込まれているものとする)。
【0091】
本発明の細長い加熱式物理的蒸着源を効果的に利用し、複数の蒸気流出開口部を有する1つ以上の細長い蒸着源からの蒸着または同時蒸着によって構造体の表面に1種類以上の有機ドーパントの均一な層を形成することもできる。ドーパントは、細長い絶縁性容器30の中に、粉末、フレーク、粒子の形態、または凝集したペレットの形態で収容される。
【0092】
本発明の細長い加熱式物理的蒸着源を効果的に利用し、複数の蒸気流出開口部を有する1つの細長い蒸着源からの蒸着により、1種類以上の有機ホスト材料と1種類以上の有機ドーパント材料の均一な層を形成することもできる。ホスト材料とドーパント材料は、細長い絶縁性容器30の中に、粉末、フレーク、粒子の形態、または凝集したペレットの形態で収容される。
【実施例】
【0093】
以下の実施例について説明する前に、実験用蒸着ステーションEXPを図15に概略断面図として示す。この実験用ステーションを用い、単一スリット蒸気流出開口部からと、細長い絶縁性容器30の上に気密に配置された3種類の異なる細長い気化ヒーター40の中に形成された複数の蒸気流出開口部からの、気化した有機材料の蒸気流の均一性を測定する。
【0094】
図15では、似た機能を持つ部品は、図4,図5,図6、図7、図13の説明と同じ参照番号で示してある。例えば細長い容器の熱反射性コーティング60は、図6と図7を参照して説明した。気化ヒーターの電気的接続用フランジ41、43は、図6を参照して説明したのと同じ電気的接続用フランジに対応する。したがって同様の部品については、ここでは詳しく説明しない。
【0095】
実験用ステーションEXPは、チェンバーCを規定するハウジングHを備えている。このチェンバーは、真空ポンプによって排気されて減圧状態Pcになる。その値は、以下のそれぞれの実施例では、10-6トル(1.33×10-4パスカル)であった。
【0096】
チェンバーCの中には、細長い容器30と、その容器30の上に気密フランジ46によって気密に配置された細長い気化ヒーター40が、熱的、電気的に絶縁された蒸着源支持体70によって支持されて配置されている。以下のそれぞれの実施例では、容器30に固体有機電子輸送材料を粉末の形態で収容した。この有機材料は、アルミニウム・キレートであるトリス(8-キノリノラト-N1, 08)アルミニウムであった(略号Alq)。
【0097】
気化ヒーター40に形成されている単一スリット蒸気流出開口部、または複数の蒸気流出開口部は、ヒーターの長手方向に長さLにわたって延びている。以下のそれぞれの実施例では、Lは440ミリメートル(mm)であった。この長さは、幅300mmの堆積領域に均一に堆積させるために選択した。
【0098】
バッフル部材50の上面52は、気化ヒーター40の下面(見えない)との距離が間隔BHSであり、バッフル部材50はある幅を持つ(図15には示さず)。以下のそれぞれの実施例では、間隔BHSは2mmであり、バッフル部材の幅は20mmであった。
【0099】
チェンバーCの中には、8個の結晶式質量センサー501〜508を備えるセンサー・アレイSAも配置されている。センサー・アレイSAは、気化ヒーター40から距離DSだけ離れている。センサー間の均一な間隔SSは、センサー501と508が、単一スリット蒸気流出開口部、または複数の蒸気流出開口部のそれぞれの末端を超えて延びている位置にあるように選択する。以下のそれぞれの実施例では、センサー・アレイSAは気化ヒーターから距離DSが100mm離れており、センサー間の間隔SSは、68.5mmであった。
【0100】
それぞれの結晶式質量センサー501〜508は、対応するセンサー信号リード601〜608(図15には信号リード601と608だけが見られる)を備えており、これらセンサー信号リードは、マルチリード・センサー信号フィードスルー610Mを通じてマルチチャネル堆積速度モニタ620Mの対応する入力端子(図示せず)に接続されている。モニタ620Mは、結晶式質量センサー501〜508のセンサー信号を周期的に順番に示すようにされている。センサー信号は、堆積領域(向きのある点線で示す)を規定するAlqの蒸気vが凝縮することによってAlq層(点線fで示す)がそれぞれのセンサー(fに点線で示す)の表面に形成されるときにセンサーの表面に質量が堆積する速度に対応する。
【0101】
気化ヒーター40は制御された気化ヒーター電源440Rによって加熱される。この電源は、気化ヒーターを加熱して容器30内のAlq材料の最上部を気化させるように調節する調節装置Rを備えている。気化させることのできる有機材料の蒸気圧Pvは、チェンバーC内の圧力Pcよりも数桁大きくなる可能性のあることが、独立した測定からわかる。気化ヒーター40による容器30内の固体有機材料の気化速度がある値のとき蒸気流出開口部が蒸気流を制御できるサイズと配置にされているのであれば、容器30内のまだ固体の有機材料(Alq)とバッフル部材50に挟まれた空間と、バッフル部材と気化ヒーター40に挟まれた空間に、曲線で示した蒸気の雲VCが形成されて比較的均一に広がる。蒸気の雲VCがバッフル部材50と気化ヒーター40の間の空間BHSに侵入または浸透するにつれ、蒸気の雲の一部が蒸気流vとして蒸気流出開口部を通過し、チェンバーCの圧力Pcによって特徴づけられる減圧環境の中に入れるようになる。
【0102】
図15では、気化ヒーター40が複数の蒸気流出開口部42を持つように図示してある。これは、図12Aの開口部42Aの配置と似ている。実施例3、4、5で選択した気化ヒーターでは、似た配置の開口部を利用する。
【0103】
本発明とその利点は、以下の特別な実施例によってさらに明らかになろう。
【0104】
比較例1
【0105】
従来の細長い気化ヒーターを図15の細長い容器30の上に気密に配置した。この従来のヒーターは、長さLが440mmの単一スリット蒸気流出開口部を備えていた。なおスリットの幅は0.127mmであった。粉末形態のAlqを、比較的均一な装填物として約12.5mmの装填レベルbまで細長い容器30にあらかじめ収容しておいた。それを図15では水平な点線で示してある。
【0106】
制御された気化ヒーター電源440Rの調節装置Rを調節することによって気化ヒーターを加熱し、ヒーターを固体Alq材料の最上部が気化する温度にした。そしてその温度で、それぞれの結晶式質量センサー501〜508からの堆積速度をモニタ620Mに表示させた。
【0107】
比較例1の気化ヒーターの長手方向に沿った規格化した堆積速度(図15の結晶式質量センサー504および/またはセンサー505によって与えられる信号に対して規格化)の相対的均一性を図16に点線で線1として示してある。
【0108】
比較例2
【0109】
別の細長い気化ヒーターを図15の細長い容器30の上に気密に配置した。このヒーターは、440mmの長さLにわたって延びる長方形の複数の蒸気流出開口部を備えていた。それぞれの開口部は、ヒーターの長手方向に沿った長さが10mmであり、開口部は互いに1.0mm離れていた。どの開口部も幅が0.127mm(幅は、図12A〜図12Cと図12Eでは高さhと同じである)であった。粉末形態のAlqを、比較的均一な装填物として約12.5mmの装填レベルbまで細長い容器30にあらかじめ収容しておいた。それを図15では水平な点線で示してある。
【0110】
気化ヒーターを比較例1に記載したようにして加熱し、固体Alq材料の最上部を気化させた。
【0111】
比較例2の規格化した堆積速度の相対的均一性を図16に長い点線で線2として示してある。
【0112】
実施例3
【0113】
本発明に従って配置した長方形の複数の蒸気流出開口部を有する細長い気化ヒーターを図15の細長い容器30の上に気密に配置した。蒸気流出開口部は、440mmという長さLにわたって延びていた。それぞれの開口部は長さが5.0mmであった。中央部cpでは、開口部は間隔が5.0mmであった。開口部配列の端部epに向かうにつれて、2つの開口部の間隔を4.0mmにし、次いで2つの開口部の間隔を3.0mmにし、次いで2つの開口部の間隔を2.0mmにした。どの開口部も幅は0.127mmであった(すなわち、例えば図12Aの長方形の開口部42Aの高さh)。
【0114】
粉末形態のAlqを、比較的均一な装填物として約25mmという装填レベル2×bまで細長い容器30にあらかじめ収容しておいた。
【0115】
気化ヒーター比較例1に記載したようにして加熱し、固体Alq材料の最上部を気化させた。
【0116】
実施例3の規格化した堆積速度の相対的均一性を図16に実線で線3として示してある。
【0117】
実施例4
【0118】
実施例3の細長い気化ヒーターを細長い容器30の上に気密に配置した。その容器には、粉末形態のAlqをほぼ装填レベルbまであらかじめ収容しておいたが、容器の一方の端部壁に実質的に偏った分布をしていた。
【0119】
気化ヒーターを比較例1に記載したようにして加熱し、均一ではない分布の固体Alq材料の最上部を気化させた。
【0120】
規格化した堆積速度の相対的均一性を図17に実線で線4として示してある。
【0121】
実施例5
【0122】
実施例3の細長い気化ヒーターを細長い容器30の上に気密に配置した。その容器には、粉末形態のAlqを均一に分布した装填物として約1.6mmの装填レベル0.125×bまであらかじめ収容しておいた。
【0123】
気化ヒーターを比較例1に記載したようにして加熱し、均一な分布の固体Alq材料の最上部を気化させた。
【0124】
規格化した堆積速度の相対的均一性は、図16の線3、図17の線4に示した規格化した堆積速度と実質的に同じであった。
【0125】
図16を参照すると、このグラフには、Alqを気化している間に図15のセンサー・アレイSAの8個の結晶式質量センサー501〜508のそれぞれによって測定した堆積速度から決定した規格化した堆積速度が示してあることがわかる。線1(点線)、線2(長い点線)、線3(実線)を形成する各点は、蒸着源の長手方向に沿ったセンサー501〜508の位置を表わす。グラフの横軸には、センサーの間隔、またはセンサーの位置が、ミリメートル(mm)を単位として表示してある。気化ヒーター40の長手方向に沿って開口部が延びている長さLを示してある。
【0126】
比較例1は、点線で線1として示してある。この単一スリット蒸気流出開口部からの蒸気流は、スリットの長手方向に沿った均一性が相対的に低い。このような相対的に低い均一性は、気化ヒーターを加熱してAlq材料を気化させたときにスリット-開口部の向かい合った縁部が平坦からずれていることによって起こる可能性がある。
【0127】
比較例2は、長い点線で線2として示してある。この規格化した堆積速度の相対的な均一性は、比較例1の単一スリットの結果と比較して開口部配列の中央部全体で改善されている。相対的な均一性がこのように向上していることは、複数の開口部の互いの間隔が1.0mmとなって一体性が向上していることと関係している可能性がある。開口部間の間隔は金属ブリッジであるため、長さ10mmの開口部の向かい合った縁部は平坦さを保ちやすい。
【0128】
実施例3は、実線で線3として示してある。この規格化した堆積速度の相対的な均一性は、長さLにわたって延びる部分全体で実質的に改善されている。この気化ヒーターではこの長さLに複数の開口部が形成されており、開口部間の間隔は開口部配列の端部に向かって徐々に狭くなっている。実際、蒸着源を設計する対象となる中央の300mmの部分での均一性は極めてよい。この領域での非均一性は5%未満であり、適切な設計がなされた気化ヒーターでは高レベルの均一性が実現できることがわかる。
【0129】
図17を参照すると、このグラフには、実施例4の規格化した堆積速度を実線で線4として示してあることがわかる。規格化した堆積速度の相対的な均一性は、Alq粉末を細長い容器30に均一でなく収容したにもかかわらず、図16の実施例3の均一性と実質的に同じである。したがって実施例4での知見は、チェンバーC内の低下した圧力Pcよりも顕著に高い気化したAlqの蒸気圧Pvによって容器30の中で蒸気の雲VCが生じるが、その蒸気の雲は、バッフル部材50と容器30に挟まれた空間全体で均一に形成されるという考えを支持しているように見える。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】パッシブ・マトリックス有機発光デバイスの概略斜視図であり、さまざまな層が見えるようにするため一部を剥がしてある。
【図2】比較的多数の有機発光デバイス(OLED)を製造するのに適したOLED装置の概略斜視図であり、ハブから延びる複数のステーションを備えている。
【図3】図2の切断線3-3によるキャリアの概略断面図であり、このキャリアは、図2の装置の装着ステーションに位置していて比較的多数の基板または構造体を載せている。
【図4】本発明の細長い加熱式物理的蒸着源の概略斜視図である。
【図5】細長い絶縁容器の概略断面図であり、図4の蒸着源に収容される。
【図6】図4の長手方向に沿った切断線6-6による蒸着源の概略断面図であり、バッフル部材、気化ヒーターに接続された電気的リード、容器の外面上の熱反射コーティング、容器に収容された粉末形態の固体有機材料が示してある。
【図7】図4の長手方向に垂直な切断線7-7による図4の蒸着源の概略断面図である。
【図8】図6と同様の断面図であり、容器内に収容した固体ペレット形状の有機材料が示してある。
【図9】図7と同様の断面図であり、容器内の固体ペレット状の有機材料が示してある。
【図10】本発明の細長い加熱式物理的蒸着源の別の実施態様に関する概略斜視図であり、細長い容器が細長いバイアス・ヒーターの中に配置され、細長い気化ヒーターが容器の上に気密式に配置されている。
【図11】図10の長手方向に垂直な切断線11-11による図10の蒸着源の概略断面図である。
【図12A】開口部のサイズまたは面積が一定になるように選択した複数の開口部を示しており、この配置の端部で開口部間の間隔が短くなっている。
【図12B】隣り合った開口部間の間隔が一定になるように選択した複数の開口部を示しており、この配置の端部で開口部のサイズまたは面積が大きくなっている。
【図12C】配置の端部で面積が大きくなるとともに間隔が短くなった開口部を備える複数の開口部を示している。
【図12D】隣り合った開口部間の間隔が一定になるように選択するとともに、配置の端部で開口部の面積が大きくなっている複数の開口部を示しており、端部の開口部は輪郭が台形であり、中央部の開口部は輪郭が長方形である。
【図12E】開口部の面積が一定になるように選択するとともに、長手方向に沿って隣り合った開口部間の間隔が一定になるように選択した複数の開口部を示しており、この配置の端部には互いに平行に並べた開口部の列が複数設けられている。
【図12F】隣り合った開口部の中心間の距離が一定となるように選択した複数の円形開口部を示しており、この配置の端部では開口部の直径が大きくなっている。
【図12G】隣り合った開口部の中心間の距離が一定となるように選択するとともに、配置の端部では開口部のサイズまたは面積が大きくなっている複数の開口部を示しており、端部の開口部は輪郭が中心線に沿って垂直な方向に延びる長円形にされ、中央部の開口部は輪郭が円形にされている。
【図12H】配置の端部で開口部のサイズまたは面積が大きくなるとともに、開口部間の間隔が短くなった複数の開口部を示しており、端部の開口部は輪郭が中心線に沿って延びる長円形にされ、中央部の開口部は輪郭が円形にされている。
【図13】図2のOLED装置の中で構造体上に有機正孔輸送層(HTL)を形成するための本発明の1つの特徴による蒸着ステーションを図2の切断線13-13によって切断した概略断面図であり、固定配置された蒸着源に対して構造体をリード・スクリューにより移動することで、均一に蒸着された有機正孔輸送層を構造体に形成している様子を示している。
【図14】図2のHTL蒸着ステーションの一部を上から見た概略図であり、構造体の表面への有機層の蒸着を制御することを目的として、細長い蒸着源から供給される有機材料の蒸気の一部を受け取るために細長い蒸着源に形成された複数ある蒸気流出開口部の一端に配置された結晶式質量センサーを示している。
【図15】細長い蒸着源の気化ヒーターに形成された複数の蒸気流出開口部から出てくる気化した有機材料の蒸気流の均一性を測定するための実験用ステーションの概略図である。
【図16】図15のステーションにおいて、気化ヒーターを備える3種類の細長い加熱式物理的蒸着源の長手方向に沿って測定した規格化した蒸着速度(蒸気流)の相対的均一性を示すグラフである。気化ヒーターは、それぞれ、 i)単一スリットの細長い蒸気流出開口部(比較例); ii)開口部のサイズと開口部間の間隔が一定になるように選択した複数の蒸気流出開口部(別の比較例); iii)開口部のサイズが一定になるように選択するとともに、配置の端部で開口部間の間隔が短くなるようにした複数の蒸気流出開口部を備えている。
【図17】上記の(iii)で説明した気化ヒーターを備える蒸着源の長手方向に沿って測定した規格化した蒸着速度の相対的均一性を示すグラフである。ここでは、粉末形態の固体有機材料を、細長い絶縁性容器の一端近くにだけ収容した。
【符号の説明】
【0131】
10 有機発光デバイス(OLED)
11 基板または構造体
12 第1の電極
13 有機正孔輸送層(HTL)
13a 粉末状の有機正孔輸送材料
13b 粉末状の有機正孔輸送材料のレベル
13f 形成されつつある有機正孔輸送層
13p 有機正孔輸送材料の固体ペレット
13v 有機正孔輸送材料の蒸気の堆積領域
14 有機発光層(LEL)
15 有機電子輸送層(ETL)
16 第2の電極
18 封止体またはカバー
20 細長いバイアス・ヒーター
21 電気的接続用フランジ
22 側壁
23 電気的接続用フランジ
24 側壁
25 底部壁
26 端部壁
28 端部壁
30 細長い絶縁性容器
32 細長い側壁
34 細長い側壁
35 底部壁
36 端部側壁
38 端部側壁
39 側壁と端部壁に共通する上面
40 細長い気化ヒーター
40A 特別な配置の蒸気流出開口部を有する気化ヒーター
40B 特別な配置の蒸気流出開口部を有する気化ヒーター
40C 特別な配置の蒸気流出開口部を有する気化ヒーター
40D 特別な配置の蒸気流出開口部を有する気化ヒーター
40E 特別な配置の蒸気流出開口部を有する気化ヒーター
40F 特別な配置の蒸気流出開口部を有する気化ヒーター
40G 特別な配置の蒸気流出開口部を有する気化ヒーター
40H 特別な配置の蒸気流出開口部を有する気化ヒーター
41 電気的接続用フランジ
41c 接続用クランプ
41w 電気リード
42 蒸気流出開口部
42A 開口部の面積またはサイズが一定で間隔が異なる多角形蒸気流出開口部
42B 開口部の間隔が一定で面積またはサイズが異なる多角形蒸気流出開口部
42C 開口部の面積またはサイズが異なり、間隔も異なる多角形蒸気流出開口部
42D 開口部の間隔が一定で面積またはサイズが異なる多角形蒸気流出開口部
42E 開口部の面積またはサイズが一定で、端部では互いに平行に並べた開口部が複数の列にされている多角形蒸気流出開口部
42F 開口部直径は異なるが中心間の間隔が一定である円形蒸気流出開口部
42G 円形と長円形の開口部が組み合わされていて、開口部の間隔が一定で、長円形開口部の高さが異なるもの
42H 円形と長円形の開口部が組み合わされていて、長円形開口部の長さと間隔が異なるもの
43 電気的接続用フランジ
43c 接続用クランプ
43w 電気リード
46 気密フランジ
50 バッフル部材
52 バッフル部材の上面
54 バッフル安定装置
56 バッフル支持体
60 熱反射性コーティング
70 熱的、電気的に絶縁された蒸着源支持体
100 OLED装置
102 バッファ・ハブ
103 脱着ステーション
104 輸送ハブ
105 コネクタ・ポート
106 真空ポンプ
107 ポンピング用ポート
108 真空計
110 装填ステーション
110C チェンバー
110H ハウジング
111 (基板または構造体の)キャリア
130 蒸着ステーション(有機HTL)
130C チェンバー
130H ハウジング
140 蒸着ステーション(有機LEL)
150 蒸着ステーション(有機ETL)
160 蒸着ステーション(第2の電極)
170 保管ステーション
180 封止ステーション
280 モータ
281 リード・スクリュー・シャフト
281a シャフト・シール
282 リード・スクリュー
283 リード・スクリュー・シャフト終端ブラケット
284 グライド・レール・ブラケット
285 グライド・レール
286 グライド・レール溝
287 リード・スクリュー・フォロワー
288 グライド・シュー
289 ホルダおよび/またはマスク・フレーム
290 スイッチ
292 入力端子
301 結晶式質量センサー
401 センサー信号リード
410 センサー信号フィードスルー
416 入力端子
420 堆積速度モニタ
422 出力端子
424 リード
426 入力端子
430 制御装置または増幅器
432 出力端子
434 リード
436 入力端子
440 気化ヒーター電源
444 出力端子
445 リード
446 電力フィードスルー
447 出力端子
448 リード
449 電力フィードスルー
HB バイアス・ヒーター(20)の高さ
HC 絶縁容器(30)の高さ
a 開口部の面積またはサイズ
a1、a2、a3 開口部の面積またはサイズ
CL (開口部の)中心線
PCL (開口部のパターンの)パターンの中心線
cp 中心部
ep 端部
d 開口部の直径
d1、d2、d3、d4 開口部の直径
cs 円形開口部と鉛直方向を向いた開口部の中心間の間隔
h 開口部の高さ
h1、h2、h3 鉛直方向を向いた長円形開口部の高さ
L1、L2 水平方向を向いた長円形開口部の長さ
s 多角形開口部の間隔
s1、s2、s3 多角形開口部の間隔
D 構造体(11)と蒸気流出開口部(42)の間隔
“F” ホルダ(289)の前進運動
“R” ホルダの逆運動または反転運動
“I” ホルダの出発位置
“II” ホルダの中間蒸着位置
“III” ホルダの前進運動の終端位置と、逆運動の出発位置
EXP 実験用蒸着ステーション
H ハウジング
C チェンバー
Pc チェンバー内の低下した圧力
L 気化ヒーター(40)の長手方向に沿って開口部が配置されている長さ
BKS バッフル部材(50)の上面(52)と気化ヒーター(40)の間隔
SA 結晶式質量センサーからなるセンサー・アレイ
501〜508 結晶式質量センサー
DS センサー・アレイ(SA)と気化ヒーター(40)の距離または間隔
SS センサー間の間隔
601〜608 センサー信号用リード
620M マルチチャネル堆積速度モニタ
610M マルチレベル・センサー信号
f センサーの表面に形成されつつあるAlq層
v 堆積ゾーンを規定するAlqの蒸気
440R 制御された気化ヒーター電源
R 調節装置
Pv 蒸気圧
VC 蒸気の雲
b 容器(30)内のAlq装填レベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェンバー内で構造体の表面に層を形成するために固体材料を気化させる容器であって、
上記容器は、気化させる固体材料を収容するハウジングを備えており、そのハウジングは、そのハウジングの内部体積を取り囲む少なくとも側壁と、底部壁と、カバーとを備えていて、そのカバーは、気化した材料の蒸気流が該ハウジングから流出できるように配置された少なくとも1つの開口部を持ち;
上記容器は、上記ハウジングの少なくとも一部を加熱して上記固体材料を気化させるヒーターを備えており;
上記容器は、上記固体材料と上記少なくとも1つの開口部の間の直接的な見通し線を阻止するために上記カバーと上記固体材料の間に配置されたバッフルを備えていて、このバッフルを上記カバーから離し、上記ハウジングの内部体積の、上記バッフルと上記カバーとの間の領域の体積に対する比を少なくとも約20にすることで、気化した材料の流れを制御して、このバッフルと上記カバーとの間の領域に流入させ、上記少なくとも1つの開口部からの蒸気流の均一性が向上するようにされた容器。
【請求項2】
上記比が少なくとも約35である、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
上記比が少なくとも約60である、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
有機材料を収容していて、上記構造体が有機発光デバイスである、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
上記少なくとも1つの開口部が、サイズが異なるか、隣り合った開口部間の間隔が異なるか、その組み合わせになった複数の開口部を備えており、そのように異なる開口部のサイズまたは間隔が、気化した材料の蒸気流の均一性が実質的に改善されるように選択されている、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
上記開口部が中心線に沿って配置されており、隣り合った開口部間の間隔が、中心線に沿った中央部での選択された一定の間隔から、中心線に沿って端部に向かうにつれて徐々に狭くなる、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
上記開口部が中心線に沿って配置されており、その開口部のサイズが、中心線に沿った中央部での選択された一定のサイズから、中心線に沿って端部に向かうにつれて徐々に大きくなる、請求項5に記載の容器。
【請求項8】
上記ヒーターが上記カバーを含んでいる、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
上記側壁と上記底部壁が絶縁材料を含んでいる、請求項1に記載の容器。
【請求項10】
内部体積を取り囲む壁とカバーを備える容器の中に固体材料が配置されていて、そのカバーが、その容器から気化した材料の蒸気流が流出できるようにするための少なくとも1つの開口部を備えている場合に、上記固体材料を気化させることによって構造体をコーティングする方法であって、
上記カバーと上記固体材料の間に、その固体材料と上記少なくとも1つの開口部の間の直接的な見通し線を阻止するためのバッフルを設け、このバッフルを上記カバーから離し、上記ハウジングの内部体積の、上記バッフルと上記カバーとの間の領域の体積に対する比を少なくとも約20にすることで、気化した材料の流れを制御して、このバッフルと上記カバーとの間の領域に流入させ、上記少なくとも1つの開口部からの蒸気流の均一性を向上させ;
上記固体材料を気化させて上記蒸気流を生成させ;
その蒸気流を上記構造体の表面に堆積させて層を形成する操作を含む方法。
【請求項11】
上記比が少なくとも約35である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記比が少なくとも約60である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
上記固体材料が有機材料であり、上記構造体が有機発光デバイスである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
サイズが異なるか、隣り合った開口部間の間隔が異なるか、その組み合わせになった複数の開口部を設け、そのように異なる開口部のサイズまたは間隔を、気化した材料の蒸気流の均一性が実質的に改善されるように選択する操作をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
上記開口部を中心線に沿って配置し、隣り合った開口部間の間隔を、中心線に沿った中央部での選択された一定の間隔から、中心線に沿って端部に向かうにつれて徐々に狭くする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記開口部を中心線に沿って配置し、その開口部のサイズを、中心線に沿った中央部での選択された一定のサイズから、中心線に沿って端部に向かうにつれて徐々に大きくする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
上記カバーが上記固体材料を気化させる熱を与える、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
上記壁が絶縁材料を含んでいる、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図12H】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−518094(P2008−518094A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−537881(P2007−537881)
【出願日】平成17年8月15日(2005.8.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/029040
【国際公開番号】WO2006/046998
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】