説明

複流式タービン第1段の冷却方法及び装置

【課題】複流式蒸気タービンのタブ領域の冷却方法を提供する。
【解決手段】複流式蒸気タービンを通る冷却経路を画成する。蒸気タービンは、発電機端(12)と、タービン端(14)と、軸方向に発電機端とタービン端の間に配設された複流タブダイアフラム(18)とを備える。蒸気タービンの第1段は、複数の第1段ノズル(50)と複数の第1段バケット(52)とを備えており、入口領域(24)からタービン端を経て蒸気出口まで蒸気経路が画成される。冷却経路は、タブダイアフラムの複数の冷却孔(54)及び複数の根元部半径方向シール(58)を含んでいて、タブダイアフラムの下から第1段ノズルの周囲に蒸気を流して第1段バケットの手前で蒸気経路に蒸気を戻す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気タービン、特に複流式蒸気タービンのタブ領域の冷却に関する。
【背景技術】
【0002】
複流式蒸気タービンは、典型的には、共通のシャフトに配置された2つの軸流タービン端を含む。タブセクションが、両タービン端の間のシャフトの周囲に配設されることが多い。蒸気タービンに流入した蒸気は、タブセクションに向かって半径方向内側に流れ、次いで蒸気流は2つに分かれて軸方向に方向を変え、両方向に流れて2つの軸流タービン端の各々に入る。
【0003】
複流式蒸気タービンのロータとタブセクションの間で蒸気の流れが淀んで、淀んだ蒸気の風損加熱のためロータが高温になることがある。すなわち、蒸気の流れが淀んでいる領域の温度が、タービンの他の領域よりも上昇することがある。定常状態温度を達成すれば、部品の故障の回避に役立つ。ロータの温度が高いと、ロータの耐用年数が短くなり、蒸気タービンの故障を招きかねない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5575620号明細書
【特許文献2】米国特許第5593273号明細書
【特許文献3】米国特許第6234746号明細書
【特許文献4】米国特許第6331097号明細書
【特許文献5】米国特許第6364613号明細書
【特許文献6】米国特許第7040861号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2007/0065273号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2009/0217673号明細書
【発明の概要】
【0005】
例示的な一実施形態では、複流式蒸気タービンを通る冷却経路について開示する。蒸気タービンは、発電機端と、タービン端と、軸方向に発電機端とタービン端の間に配設された複流タブダイアフラムとを備える。蒸気タービンの第1段は、複数の第1段ノズル及び複数の第1段バケットを備えており、入口領域からタービン端を経て蒸気出口まで蒸気経路が画成される。冷却経路は、タブダイアフラムに複数の冷却孔を備えており、タブダイアフラムの下から第1段ノズルの周囲に蒸気を流して第1段バケットの手前で蒸気経路に蒸気を戻すことができる。
【0006】
別の例示的な実施形態では、蒸気タービンは、タブダイアフラムに複数の冷却孔を有する冷却経路と根元部半径方向シールとを備えており、タブダイアフラムの下から第1段ノズルの周囲に蒸気を流して第1段バケットの手前で蒸気経路に蒸気を戻すことができる。
【0007】
さらに別の例示的な実施形態では、複流式蒸気タービンを冷却する方法は、第1段バケットを迂回せずに動翼ダブテールを能動冷却するためにタブダイアフラムの下に蒸気流を導くことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】対向流式又は複流式蒸気タービンの一例を示す概略図である。
【図2】図1に概略的に示した蒸気タービンの一部分の詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、複流式蒸気タービン10を示す概略図である。複流式蒸気タービンでの使用に関連して本発明を説明するが、記載した実施形態は単流式装置でも同様に実施できる。
【0010】
蒸気タービン10は、発電機(図示せず)に近接して配設された発電機端12と、発電機から遠位側に配設されたタービン端14とを備えており、発電機端12及びタービン端14は外側ケース16内に配設し得る。複流タブセクション又はタブダイアフラム18は、軸方向に発電機端12とタービン端14の間に、ロータ20の半径方向外側に配設される。ロータ20は、例えば、ドラムロータ又はロータシャフトに設けられた1以上のロータディスクを備えていてもよい。ロータ20及びタブセクション18は、ロータ20とタブセクション18の間に環状空間(アニュラス)22を画成するように構成・配置される。
【0011】
蒸気は、ロータ20及びタブセクション18の半径方向外側に配設された入口24から蒸気タービン10に流入する。入口24から蒸気タービン10に流入した蒸気は、タブセクション18に向かって流れ、分割されて発電機端12又はタービン端14の一方に入る。
【0012】
図2は、図1に概略的に示す蒸気タービンの一部分の詳細に示す図である。従来技術の構成では、タブダイアフラム18は第1段の間で蒸気流をタービンに導くため用いられる。複流式蒸気タービンの第1段は、複数の第1段ノズル及び第1段ダブテール/バケットアセンブリ52を含む。
【0013】
タブダイアフラム18の下方の領域は、蒸気流が淀むおそれがあり、回転シャフトからの風損(ウィンデージ)によって加熱される。そこで、複数の冷却孔54をタブダイアフラム18の周囲に設ける。例示的な一実施形態では、4つの冷却孔を設けるが、用途及びシステム設計に応じて孔の数を増減し得ることは自明であろう。冷却孔54は、蒸気流をタブダイアフラム18の下に流して、この領域の能動的冷却を行う。
【0014】
第1段ホイール及び動翼ダブテール52は、タブダイアフラム18の下方を流れる蒸気によって冷却される。
【0015】
タブダイアフラム18の冷却孔54を含む冷却回路は、複数の根元部半径方向シール58も含んでおり、少量の蒸気流を第1段ノズル50の周囲に流して第1段バケット52の手前で蒸気経路に戻す。かくして、蒸気が第1段動翼を迂回せずに、第1段ホイール及び動翼ダブテールが冷却される。
【0016】
上述の実施形態の冷却回路は、高い露出温度による部品の故障を回避するのに役立つ。
【0017】
現時点で最も実用的で好ましいと思料される実施形態を例にとって本発明を説明してきたが、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲に記載された技術的思想及びその技術的範囲に属する様々な修正及び均等な構成を包含する。
【符号の説明】
【0018】
10 複流式蒸気タービン
12 発電機端
14 タービン端
16 外側ケース
18 タブセクション(タブダイアフラム)
20 ロータ
22 環状間隙
24 入口
50 第1段ノズル
52 第1段ダブテール/バケットアセンブリ
54 冷却孔
58 根元部半径方向シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複流式蒸気タービンの冷却経路であって、該蒸気タービンが、発電機端(12)と、タービン端(14)と、軸方向に発電機端とタービン端の間に配設された複流タブダイアフラム(18)と、該蒸気タービンの第1段とを備えており、第1段が、複数の第1段ノズル(50)と複数の第1段バケット(52)とを備えており、蒸気経路が、入口領域(24)からタービン端を経て蒸気出口まで画成されており、当該冷却経路がタブダイアフラムに複数の冷却孔(54)を備えていて、タブダイアフラムの下から第1段ノズルの周囲に蒸気を流して第1段バケットの手前で蒸気経路に戻すことのできる、冷却経路。
【請求項2】
前記タブダイアフラム(18)に4つの冷却孔(54)を備える、請求項1記載の冷却経路。
【請求項3】
前記複数の冷却孔(54)がタブダイアフラム(18)の周囲に配設される、請求項2記載の冷却経路。
【請求項4】
第1段ノズル(50)に隣接して複数の根元部半径方向シール(58)をさらに備える、請求項1記載の冷却経路。
【請求項5】
発電機端(12)、
タービン端(14)、
軸方向に発電機端とタービン端の間に配設された複流タブダイアフラム(18)、
複数の第1段ノズル(50)と複数の第1段バケット(52)とを含む第1段、
入口領域(24)からタービン端を経て蒸気出口まで画成された蒸気経路、及び
タブダイアフラムの複数の冷却孔(54)と根元部半径方向シール(58)とを備える冷却経路であって、第1段ノズルの周囲に蒸気を流して第1段バケットの手前で蒸気経路に蒸気を戻すことのできる冷却経路
を備える蒸気タービン。
【請求項6】
前記タブダイアフラム(18)に4つの冷却孔(54)を備える、請求項5記載の蒸気タービン。
【請求項7】
前記複数の冷却孔(54)がタブダイアフラム(18)の周囲に配設される、請求項6記載の蒸気タービン。
【請求項8】
前記複数の冷却孔(54)がタブダイアフラム(18)の周囲に配設される、請求項5記載の蒸気タービン。
【請求項9】
複流式蒸気タービンの冷却方法であって、該蒸気タービンが、発電機端(12)と、タービン端(14)と、軸方向に発電機端とタービン端の間に配設された複流タブダイアフラム(18)と、該蒸気タービンの第1段とを備えており、第1段が、複数の第1段ノズル(50)と複数の第1段バケット(52)とを備えており、蒸気経路が、入口領域(24)からタービン端を経て蒸気出口まで画成されており、当該方法が、第1段バケットを迂回せずに動翼ダブテールを能動冷却するためタブダイアフラムの下に蒸気流を導くことを含む方法。
【請求項10】
前記導くステップが、
蒸気経路の蒸気流を、タブダイアフラム(18)の複数の冷却孔(54)を通して分岐し、
分岐した蒸気流を第1段ノズル(50)の周囲に流し、根元部半径方向シール(58)を介して第1段バケット(52)の手前で蒸気経路に戻す
ことを含む、請求項9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−137459(P2011−137459A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−285228(P2010−285228)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】