複眼カメラ、撮影条件設定方法、及び撮影条件設定プログラム
【課題】撮影手段の前方に遮蔽物が存在する場合でも、適切な撮影条件を設定して、良好な立体感を備えた立体視画像を取得する。
【解決手段】左レンズの撮影部21A及び右レンズの撮影部21Bの各々により撮影された画像の輝度値、及び各々対応する画素の輝度値の差分に基づいて指掛かりの有無及び指掛かり領域を判定し、指掛かりの生じていない撮影部を基準レンズの撮影部に設定し、基準レンズの撮影部で撮影された画像の画像情報を用いて、撮影条件(露出値、合焦位置、フラッシュの発光量、及びホワイトバランス調整値)を設定する。全ての撮影部に指掛かりが生じている場合には、左レンズの撮影部の指掛かり領域以外の領域の画像情報を用いて撮影条件を設定する。
【解決手段】左レンズの撮影部21A及び右レンズの撮影部21Bの各々により撮影された画像の輝度値、及び各々対応する画素の輝度値の差分に基づいて指掛かりの有無及び指掛かり領域を判定し、指掛かりの生じていない撮影部を基準レンズの撮影部に設定し、基準レンズの撮影部で撮影された画像の画像情報を用いて、撮影条件(露出値、合焦位置、フラッシュの発光量、及びホワイトバランス調整値)を設定する。全ての撮影部に指掛かりが生じている場合には、左レンズの撮影部の指掛かり領域以外の領域の画像情報を用いて撮影条件を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複眼カメラ、撮影条件設定方法、及び撮影条件設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影装置において、レンズの一部が指などの遮蔽物に覆われているか否かを判定することが行われている。
【0003】
例えば、撮像手段により出力された画像データにより、被写体の輝度値及び色情報を含む画像情報を取得し、画像情報が示す数値と所定の閾値とを比較することにより、レンズの少なくとも一部が指で覆われているか否かを判定する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、時系列に取得される複数のライブビュー画像に基づいて、撮影者の手指が撮影領域内に含まれているか否かを判定する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2の撮像装置では、複数のライブビュー画像における低輝度領域の位置の変化に基づいて、撮像領域内に手指が含まれているか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−306404号公報
【特許文献2】特開2004−40712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術では、撮影領域に手指が含まれていると判定された場合には、警告処理等を行うこととしているが、撮影領域に手指等が含まれていると判定された場合において、適切な撮影条件を設定することは行われていない。特に、立体視画像を生成するための画像を撮影する複眼カメラにおいて、基準の撮影手段により撮影された画像の情報に基づいて撮影条件を設定する場合には、基準の撮影手段に手指が掛かってしまうと、適切な撮影条件を設定することができず、良好な立体感を備える立体視画像を取得することができない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、撮影手段の前方に遮蔽物が存在する場合でも、適切な撮影条件を設定して、良好な立体感を備えた立体視画像を取得することができる複眼カメラ、撮影条件設定方法、及び撮影条件設定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の複眼カメラは、異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段と、前記撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する設定手段と、を含んで構成されている。
【0009】
本発明の複眼カメラによれば、異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段が設けられている。そして、判定手段が、撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定し、設定手段が、判定手段により前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する。
【0010】
このように、前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段とするため、いずれかの撮影手段の前方に遮蔽物が存在する場合でも、適切な撮影条件を設定して、良好な立体感を備えた立体視画像を撮影することができる。
【0011】
また、前記判定手段は、輝度値が予め定めた輝度値閾値よりも小さく、かつ前記画像の各々対応する画素の輝度値の差分が予め定めた差分閾値より大きい画素からなる領域が存在する場合に、該領域が存在する画像を撮影した撮影手段の前方に遮蔽物が存在すると判定するようにすることができる。これにより、簡易な処理で撮影手段の前方に遮蔽物が存在するか否か、及び遮蔽物が存在する場合には、遮蔽物が存在する領域を判定することができる。
【0012】
また、前記設定手段は、前記判定手段により全ての撮影手段の前方に遮蔽物が存在すると判定された場合には、いずれかの撮影手段により撮影された画像の前記領域以外の領域から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定するようにすることができる。これにより、全ての撮影手段の前方に遮蔽物が存在する場合でも、遮蔽物により遮蔽されていない画像上の領域から得られる情報に基づいて撮影条件を設定するため、適切な撮影条件を設定して、良好な立体感を備えた立体視画像を撮影することができる。
【0013】
また、本発明の複眼カメラは、前記判定手段により遮蔽物が存在すると判定された際の前記領域の位置情報、該領域に含まれる画素の輝度値及び色情報を含む遮蔽物情報を、前記画像に関連付けて記録手段に記録するように制御する記録制御手段をさらに含んで構成することができる。また、前記記録制御手段は、前記遮蔽物情報と前記画像とを1つのファイルとして前記記録手段に記録するように制御することができる。これにより、画像をプリントする際などに、関連付けて記録された、または画像と共に1つのファイルに記録された遮蔽物情報を補正情報として使用することができる。
【0014】
また、前記撮影条件は、露出値、合焦位置、フラッシュの発光量、及びホワイトバランス調整値の少なくとも1つとすることができる。
【0015】
また、本発明の撮影条件設定方法は、異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定し、前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する方法である。
【0016】
また、本発明の撮影条件設定プログラムは、コンピュータを、異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定する判定手段、及び前記判定手段により前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する設定手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段とするため、いずれかの撮影手段の前方に遮蔽物が存在する場合でも、適切な撮影条件を設定して、良好な立体感を備えた立体視画像を取得することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態の複眼デジタルカメラの正面側斜視図である。
【図2】本実施の形態の複眼デジタルカメラの背面側斜視図である。
【図3】本実施の形態の複眼デジタルカメラの内部構成を示す概略ブロック図である。
【図4】指掛かりを説明するためのイメージ図である。
【図5】本実施の形態における撮影条件の設定を含む撮影処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態における指掛かり領域判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図7】AE積算エリアの設定を説明するためのイメージ図である。
【図8】本実施の形態における合焦位置演算処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図9】AF評価エリアの設定を説明するためのイメージ図である。
【図10】調光積算エリアの設定を説明するためのイメージ図である。
【図11】AWB積算エリアの設定を説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明の複眼カメラを複眼デジタルカメラに適用した場合について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態の複眼デジタルカメラ1の正面側斜視図、図2は背面側斜視図である。図1に示すように、複眼デジタルカメラ1の上部には、レリーズボタン2、電源ボタン3、及びズームレバー4が備えられている。また、複眼デジタルカメラ1の正面には、フラッシュ5及び2つの撮影部21A、21Bのレンズが配設されている。また、複眼デジタルカメラの1の背面には、各種表示を行う液晶モニタ7、及び各種操作ボタン8が配設されている。
【0021】
なお、撮影部21Aにより左プレ画像及び左本画像が撮影され、撮影部21Bにより右プレ画像及び右本画像が撮影される。以下、撮影部21Aを左レンズの撮影部、撮影部21Bを右レンズの撮影部ともいう。
【0022】
図3は、複眼デジタルカメラ1の内部構成を示す概略ブロック図である。図3に示すように、複眼デジタルカメラ1は、2つの撮影部21A、21B、撮影制御部22、画像処理部23、圧縮/伸長処理部24、フレームメモリ25、メディア制御部26、内部メモリ27、表示制御部28、3次元処理部30、指掛かり判定部31、及びフラッシュ調光部36を備えている。なお、撮影部21A、21Bは、被写体を見込む輻輳角を持って、予め定められた基線長となるように配置されている。なお、輻輳角及び基線長の情報は内部メモリ27に記憶されている。
【0023】
撮影制御部22は、不図示のAF処理部及びAE処理部からなる。AF処理部はレリーズボタン2の半押し操作により左レンズの撮影部、及び右レンズの撮影部のうち、基準レンズの撮影部で撮影されたプレ画像の画像情報に基づいて合焦領域を決定すると共に、レンズの焦点位置を決定し、撮影部21A、21Bに出力する。AE処理部は、基準レンズの撮影部で撮影されたプレ画像の画像情報に基づいて露出値(絞り値及びシャッタ速度)を決定し、撮影部21A、21Bに出力する。
【0024】
また、撮影制御部22は、レリーズボタン2の全押し操作により、撮影部21Aに対して左本画像、撮影部21Bに対して右本画像を撮影させる本撮影の指示を行う。なお、レリーズボタン2が操作される前は、撮影制御部22は、撮影範囲を確認させるための本画像よりも画素数が少ないスルー画像を、所定時間間隔(例えば1/30秒間隔)にて順次取得させる指示を撮影部21A、21Bに対して行う。
【0025】
フラッシュ調光部36は、フラッシュ非発光時に基準レンズの撮影部で撮影された本画像の画像情報とフラッシュプレ発光時に基準レンズの撮影部で撮影された画像の画像情報との差から、フラッシュ本発光時の発光量を演算し、演算した発光量でフラッシュ5が発光するように調光する。
【0026】
画像処理部23は、基準レンズの撮影部で撮影された本画像の画像情報に基づいて、撮影部21A、21Bから取得した左本画像及び右本画像のデジタルの画像データに対して、ホワイトバランスを調整する処理、階調補正、シャープネス補正、及び色補正等の画像処理を施す。
【0027】
圧縮/伸長処理部24は、画像処理部23によって処理が施された左本画像及び右本画像を表す画像データに対して、例えば、JPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行い、立体視用の画像ファイルを生成する。この立体視用の画像ファイルには、左本画像及び右本画像の画像データが含まれ、Exifフォーマット等に基づいて、基線長、輻輳角、及び撮影日時等の付帯情報、並びに視点位置を表す視点情報が格納される。また、画像ファイルには、後述の指掛かり判定部31により判定された指掛かり領域の指掛かり情報が含まれる。なお、指掛かり情報は、画像ファイルに含める場合に限らず、画像ファイルと関連付けて記録メディア29に記録されるようにしてもよい。
【0028】
フレームメモリ25は、撮影部21A、21Bが取得した左本画像及び右本画像を表す画像データに対して、前述の画像処理部23が行う処理を含む各種処理を行う際に使用する作業用メモリである。
【0029】
メディア制御部26は、記録メディア29にアクセスして画像ファイル等の書き込み及び読み込みの制御を行う。
【0030】
内部メモリ27は、複眼デジタルカメラ1において設定される各種定数、及びCPU35が実行するプログラム等を記憶する。
【0031】
表示制御部28は、撮影時においてフレームメモリ25に格納された左本画像及び右本画像から生成された立体視用画像を液晶モニタ7に表示させたり、記録メディア29に記録されている左本画像及び右本画像、または立体視用画像を液晶モニタ7に表示させたりする。
【0032】
3次元処理部30は、左本画像及び右本画像をモニタ7に立体視表示を行うために、左本画像及び右本画像に3次元処理を行って立体視用画像を生成する。
【0033】
指掛かり判定部31は、撮影部21A及び21Bの前方に撮影者の指が掛かっているか否かを判定する。一方の撮影部の前方に指掛かりが生じている場合には、図4に示すように、一方の撮影部により撮影されたプレ画像(図4では、撮影部21Bにより撮影された右プレ画像)に指掛かり領域が低輝度領域として表れる。そこで、指掛かり判定部31は、撮影部21A及び21Bで撮影されたプレ画像に基づいて、各プレ画像の輝度値を算出する。また、撮影部21Aで撮影された左プレ画像と撮影部21Bで撮影された右プレ画像との各々対応する画素の輝度値の差分を算出する。そして、輝度値が予め定めた輝度値閾値より小さく、かつ輝度値の差分が予め定めた差分閾値より大きい画素からなる領域が存在する場合に、その領域が存在するプレ画像を撮影した撮影部の前方に指掛かりが生じていると判定する。また、その領域を指掛かり領域として判定する。
【0034】
また、指掛かり判定部31は、指掛かり領域の位置情報、指掛かり領域内の画素の輝度値及び色情報を含む指掛かり情報を生成する。指掛かり領域の位置情報は、例えば、図4に示すように、指掛かり領域に外接する矩形枠(図中の破線)を設定し、矩形枠の最も画像中心に近い角(図4では左上角)の座標位置や、矩形枠の中心の座標位置及び矩形枠のサイズ等とすることができる。また、輝度値及び色情報は、指掛かり領域に含まれる全画素の輝度値及び色情報や、指掛かり領域に含まれる画素の輝度値の平均値、色情報の平均値とすることができる。
【0035】
次に、図5を参照して、本実施の形態の複眼デジタルカメラにおいて実行される撮影条件の設定を含む撮影処理ルーチンについて説明する。
【0036】
ステップ100で、レリーズボタン2が半押しされたか否かを判定する。ユーザによってレリーズボタン2が半押し操作された場合には、ステップ102へ移行し、半押し操作されない場合には、半押し操作されるまで本ステップの判定を繰り返す。
【0037】
ステップ102では、指掛かり領域判定処理を実行する。ここで、図6を参照して、指掛かり領域判定処理ルーチンについて説明する。
【0038】
ステップ1020で、撮影部21Aで撮影された左プレ画像、及び撮影部21Bで撮影された右プレ画像を取得する。次に、ステップ1022で、左プレ画像及び右プレ画像の各々の輝度値を算出する。次に、ステップ1024で、左プレ画像と右プレ画像との対応する画素の輝度値の差分を算出する。
【0039】
次に、ステップ1026で、左プレ画像について、上記ステップ1022で算出した輝度値が予め定めた輝度値閾値より小さい画素同士が隣接した低輝度領域を抽出する。そして、この低輝度領域に含まれる画素について、上記ステップ1024で算出した差分が予め定めた差分閾値より大きいか否かを判定し、大きい場合には左プレ画像に指掛かり領域が存在する、すなわち撮影部21Aの前方に指掛かり生じていると判定すると共に、この低輝度領域を指掛かり領域であると判定する。右プレ画像についても同様に、指掛かりの有無及び指掛かり領域を判定する。
【0040】
次に、ステップ1028で、指掛かり領域の位置情報、指掛かり領域内の画素の輝度値及び色情報を含む指掛かり情報を生成して、リターンする。
【0041】
図5のステップ104に戻って、指掛かり領域判定処理(図6)の判定結果に基づいて、左レンズの撮影部に指掛かりが生じているか否かを判定する。左レンズの撮影部に指掛かりが生じていない場合には、ステップ106へ移行し、左レンズの撮影部を基準レンズの撮影部に設定して、ステップ114へ移行する。一方、左レンズの撮影部に指掛かりが生じている場合には、ステップ108へ移行する。
【0042】
ステップ108では、指掛かり領域判定処理の判定結果に基づいて、右レンズの撮影部に指掛かりが生じているか否かを判定する。右レンズの撮影部に指掛かりが生じていない場合には、ステップ110へ移行し、右レンズの撮影部を基準レンズの撮影部に設定して、ステップ114へ移行する。一方、右レンズの撮影部に指掛かりが生じている場合には、ステップ112へ移行して、左レンズの撮影部を基準レンズの撮影部に設定する。
【0043】
なお、上記ステップ104及びステップ108のいずれも肯定判定の場合には、左レンズの撮影部及び右レンズの撮影部の両方に指掛かりが生じていることになる。この場合において、本実施の形態では、上記ステップ112で、左レンズの撮影部を基準レンズの撮影部に設定する場合について説明したが、右レンズの撮影部を基準レンズの撮影部に設定するようにしてもよい。また、左プレ画像の指掛かり領域の大きさと右プレ画像の指掛かり領域の大きさとを比較して、指掛かり領域が小さい方のプレ画像を撮影した撮影部を基準レンズの撮影部に設定するようにしてもよい。
【0044】
次に、ステップ114では、基準レンズの撮影部で撮影されたプレ画像にAE積算エリアを設定して、AE積算エリア内の画素の輝度値を積算した画像情報を用いて、露出値の演算を行う。上記ステップ106またはステップ110を経て本ステップへ移行した場合、すなわち指掛かりの生じていない撮影部を基準の撮影部とした場合には、図7(A)に示すように、基準レンズの撮影部で撮影されたプレ画像の略全域にAE積算エリアを設定する。また、上記ステップ112を経て本ステップへ移行した場合、すなわち両方の撮影部に指掛かりが生じている場合には、同図(B)に示すように、基準レンズの撮影部に設定された左レンズの撮影部で撮影された左プレ画像の指掛かり領域以外の領域にAE積算エリアを設定する。演算された露出値を、基準レンズ及び基準レンズではない方のレンズ(以下、サブレンズという)の撮影部の共通の露出値として、撮影部21A及び21Bに出力する。
【0045】
次に、ステップ116で、合焦位置演算処理を実行する。ここで、図8を参照して、合焦位置演算処理ルーチンについて説明する。
【0046】
ステップ1160で、基準レンズの撮影部について、合焦位置を探索(AFサーチ)するための開始位置Pn及び終了位置Pfを設定する。
【0047】
次に、ステップ1162で、開始位置Pnにおいて基準レンズの撮影部により取得されたプレ画像にAF評価エリアを設定して、AF評価エリア内の画素の輝度値を用いて、AFサーチのためのAF評価値を算出する。上記ステップ106またはステップ110を経て本ステップへ移行した場合には、図9(A)に示すように、基準レンズの撮影部で撮影されたプレ画像の略全域にAF評価エリアを設定する。また、上記ステップ112を経て本ステップへ移行した場合には、同図(B)に示すように、基準レンズの撮影部に設定された左レンズの撮影部で撮影された左プレ画像の指掛かり領域以外の領域にAF評価エリアを設定する。開始位置Pnから終了位置Pfまでの間で所定間隔毎にAF評価値を算出する。
【0048】
次に、ステップ1164で、開始位置Pnから終了位置Pfまでの間で、AF評価値が最良となる位置を、基準レンズの撮影部の合焦位置P1として演算する。
【0049】
次に、ステップ1166で、サブレンズの撮影部について、上記ステップ1164で演算した基準レンズの撮影部の合焦位置P1を中心とする開始位置Pn’及び終了位置Pf’を設定する。
【0050】
次に、ステップ1168で、開始位置Pn’においてサブレンズの撮影部で撮影されたプレ画像にAF評価エリアを設定して、AF評価エリア内の画素の輝度値を用いてAF評価値を算出する。上記ステップ106またはステップ110を経て本ステップへ移行した場合には、図9(A)に示した基準レンズの場合と同様に、サブレンズの撮影部で撮影されたプレ画像の略全域にAF評価エリアを設定する。なお、サブレンズの撮影部で撮影されたプレ画像に指掛かり領域が存在する場合には、同図(B)または(C)に示すように、指掛かり領域以外の領域にAF評価エリアを設定する。また、上記ステップ112を経て本ステップへ移行した場合には、同図(C)に示すように、サブレンズの撮影部である右レンズの撮影部で撮影された右プレ画像の指掛かり領域以外の領域にAF評価エリアを設定する。開始位置Pn’から終了位置Pf’までの間で所定間隔毎にAF評価値を算出する。
【0051】
次に、ステップ1170で、開始位置Pn’から終了位置Pf’までの間で、AF評価値が最良となる位置を、サブレンズの撮影部の合焦位置P2として演算する。次に、ステップ1172で、演算された合焦位置P1を基準レンズの撮影部に、合焦位置P2をサブレンズの撮影部に出力して、リターンする。
【0052】
図5のステップ118へ戻って、上記ステップ114で演算した露出値に基づいて、絞り値及びシャッタ速度を制御するAE制御を行うと共に、撮影部21A及び21Bを上記ステップ116で演算した合焦位置へ移動させるAF制御を行う。
【0053】
次に、ステップ120で、レリーズボタン2が全押しされたか否かを判定する。ユーザによってレリーズボタン2が全押し操作された場合には、ステップ122へ移行し、全押し操作されない場合には、全押し操作されるまで本ステップの判定を繰り返す。
【0054】
次に、ステップ122で、上記ステップ118でAE制御及びAF制御された状態で、撮影部21A及び21Bの各々で撮影された左本画像及び右本画像の取得を開始する。
【0055】
次に、ステップ124で、撮影モード(オート発光モード、マニュアル発光モード等)及び本画像の輝度値に基づいて、フラッシュ5の発光が必要か否かを判定する。フラッシュ5の発光が必要な場合には、ステップ126へ移行し、必要ない場合には、ステップ132へ移行する。
【0056】
ステップ126では、フラッシュ非発光時に基準レンズの撮影部で撮影された本画像を取得すると共に、フラッシュ5をプリ発光させて、フラッシュプリ発光時に基準レンズの撮影部で撮影された本画像を取得する。
【0057】
次に、ステップ128で、フラッシュ非発光時及びフラッシュプリ発光時の本画像の各々に調光積算エリアを設定して、調光積算エリア内の画素の輝度値を積算した画像情報を演算する。そして、フラッシュ非発光時の画像情報とフラッシュプリ発光時の画像情報との差に基づいて、フラッシュ5の発光量を演算する。上記ステップ106またはステップ110を経て本ステップへ移行した場合には、図10(A)に示すように、基準レンズの撮影部で撮影された本画像の略全域に調光積算エリアを設定する。また、上記ステップ112を経て本ステップへ移行した場合には、同図(B)に示すように、基準レンズの撮影部に設定された左レンズの撮影部で撮影された左本画像の指掛かり領域以外の領域に調光積算エリアを設定する。
【0058】
次に、ステップ130で、上記ステップ128で演算された発光量でフラッシュ5が発光するように調光して本発光させ、左本画像及び右本画像を取得する。
【0059】
次に、ステップ132で、基準レンズの撮影部により撮影された本画像にAWB積算エリアを設定して、AWB積算エリア内の画素の輝度値を積算した画像情報を用いて、ホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を演算する。そして、このホワイトバランス調整値を共通の調整値として、左本画像及び右本画像の両方のホワイトバランスを調整する処理を行う。上記ステップ106またはステップ110を経て本ステップへ移行した場合には、図11(A)に示すように、基準レンズの撮影部で撮影された本画像の略全域にAWB積算エリアを設定する。また、上記ステップ112を経て本ステップへ移行した場合には、同図(B)に示すように、基準レンズの撮影部に設定された左レンズの撮影部で撮影された左本画像の指掛かり領域以外の領域にAWB積算エリアを設定する。
【0060】
次に、ステップ134で、左本画像及び右本画像の各々に階調補正、シャープネス補正、及び色補正等の画像処理を施して、記録メディア29に左本画像及び右本画像を示すデータ、並びに上記ステップ1028で生成した指掛かり情報を含む画像ファイルを記録して、処理を終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態の複眼デジタルカメラによれば、指掛かりが生じていない撮影部により撮影された画像の画像情報を用いて、または、いずれの撮影部にも指掛かりが生じている場合には、いずれかの撮影部により撮影された画像の指掛かり領域以外の領域の画像情報を用いて、左レンズの撮影部及び右レンズの撮影部の各々の撮影条件を設定するため、いずれかの撮影部に指掛かりが生じている場合でも、適切な撮影条件を設定して、良好な立体感を備えた立体視画像を取得することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、撮影部の前方の遮蔽物が撮影者の指である場合について説明したが、遮蔽物はこれに限定されない。撮影部の前方を遮蔽する遮蔽物であれば、本実施の形態と同様に処理することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、基準レンズの撮影部で撮影された画像の画像情報、または指掛かり領域以外の領域の画像情報を用いて、露出値、合焦位置、フラッシュ発光量、及びホワイトバランス調整値の全てを演算して撮影条件として設定する場合について説明したが、露出値、合焦位置、フラッシュ発光量、及びホワイトバランス調整値の少なくとも1つを設定するようにしてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、撮影部を2つ備えた構成の複眼デジタルカメラについて説明したが、撮影部を3つ以上備えた構成において、3つ以上の画像を取得した場合にも同様に適用することができる。この場合、複数の画像から任意に2つの画像を組み合わせて、各々の画像の輝度値と、組み合わせた2つの画像の輝度値の差分から指掛かりの有無及び指掛かり領域を判定することができる。そして、指掛かりのない撮影部を基準の撮影部とすればよい。また、全ての撮影部に指掛かりが生じている場合には、いずれかの撮影部により撮影された画像の指掛かり領域以外の領域の画像情報を用いて、撮影条件を設定すればよい。
【0065】
また、本実施の形態の撮影処理ルーチンをプログラム化して、そのプログラムをCPUにより実行するようにしてもよい。プログラムは、記憶媒体に記憶して提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 複眼デジタルカメラ
5 フラッシュ
21A 撮影部
21B 撮影部
22 撮影制御部
23 画像処理部
31 指掛かり判定部
36 フラッシュ調光部
【技術分野】
【0001】
本発明は、複眼カメラ、撮影条件設定方法、及び撮影条件設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影装置において、レンズの一部が指などの遮蔽物に覆われているか否かを判定することが行われている。
【0003】
例えば、撮像手段により出力された画像データにより、被写体の輝度値及び色情報を含む画像情報を取得し、画像情報が示す数値と所定の閾値とを比較することにより、レンズの少なくとも一部が指で覆われているか否かを判定する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、時系列に取得される複数のライブビュー画像に基づいて、撮影者の手指が撮影領域内に含まれているか否かを判定する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2の撮像装置では、複数のライブビュー画像における低輝度領域の位置の変化に基づいて、撮像領域内に手指が含まれているか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−306404号公報
【特許文献2】特開2004−40712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術では、撮影領域に手指が含まれていると判定された場合には、警告処理等を行うこととしているが、撮影領域に手指等が含まれていると判定された場合において、適切な撮影条件を設定することは行われていない。特に、立体視画像を生成するための画像を撮影する複眼カメラにおいて、基準の撮影手段により撮影された画像の情報に基づいて撮影条件を設定する場合には、基準の撮影手段に手指が掛かってしまうと、適切な撮影条件を設定することができず、良好な立体感を備える立体視画像を取得することができない、という問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、撮影手段の前方に遮蔽物が存在する場合でも、適切な撮影条件を設定して、良好な立体感を備えた立体視画像を取得することができる複眼カメラ、撮影条件設定方法、及び撮影条件設定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の複眼カメラは、異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段と、前記撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する設定手段と、を含んで構成されている。
【0009】
本発明の複眼カメラによれば、異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段が設けられている。そして、判定手段が、撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定し、設定手段が、判定手段により前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する。
【0010】
このように、前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段とするため、いずれかの撮影手段の前方に遮蔽物が存在する場合でも、適切な撮影条件を設定して、良好な立体感を備えた立体視画像を撮影することができる。
【0011】
また、前記判定手段は、輝度値が予め定めた輝度値閾値よりも小さく、かつ前記画像の各々対応する画素の輝度値の差分が予め定めた差分閾値より大きい画素からなる領域が存在する場合に、該領域が存在する画像を撮影した撮影手段の前方に遮蔽物が存在すると判定するようにすることができる。これにより、簡易な処理で撮影手段の前方に遮蔽物が存在するか否か、及び遮蔽物が存在する場合には、遮蔽物が存在する領域を判定することができる。
【0012】
また、前記設定手段は、前記判定手段により全ての撮影手段の前方に遮蔽物が存在すると判定された場合には、いずれかの撮影手段により撮影された画像の前記領域以外の領域から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定するようにすることができる。これにより、全ての撮影手段の前方に遮蔽物が存在する場合でも、遮蔽物により遮蔽されていない画像上の領域から得られる情報に基づいて撮影条件を設定するため、適切な撮影条件を設定して、良好な立体感を備えた立体視画像を撮影することができる。
【0013】
また、本発明の複眼カメラは、前記判定手段により遮蔽物が存在すると判定された際の前記領域の位置情報、該領域に含まれる画素の輝度値及び色情報を含む遮蔽物情報を、前記画像に関連付けて記録手段に記録するように制御する記録制御手段をさらに含んで構成することができる。また、前記記録制御手段は、前記遮蔽物情報と前記画像とを1つのファイルとして前記記録手段に記録するように制御することができる。これにより、画像をプリントする際などに、関連付けて記録された、または画像と共に1つのファイルに記録された遮蔽物情報を補正情報として使用することができる。
【0014】
また、前記撮影条件は、露出値、合焦位置、フラッシュの発光量、及びホワイトバランス調整値の少なくとも1つとすることができる。
【0015】
また、本発明の撮影条件設定方法は、異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定し、前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する方法である。
【0016】
また、本発明の撮影条件設定プログラムは、コンピュータを、異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定する判定手段、及び前記判定手段により前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する設定手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段とするため、いずれかの撮影手段の前方に遮蔽物が存在する場合でも、適切な撮影条件を設定して、良好な立体感を備えた立体視画像を取得することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態の複眼デジタルカメラの正面側斜視図である。
【図2】本実施の形態の複眼デジタルカメラの背面側斜視図である。
【図3】本実施の形態の複眼デジタルカメラの内部構成を示す概略ブロック図である。
【図4】指掛かりを説明するためのイメージ図である。
【図5】本実施の形態における撮影条件の設定を含む撮影処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態における指掛かり領域判定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図7】AE積算エリアの設定を説明するためのイメージ図である。
【図8】本実施の形態における合焦位置演算処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
【図9】AF評価エリアの設定を説明するためのイメージ図である。
【図10】調光積算エリアの設定を説明するためのイメージ図である。
【図11】AWB積算エリアの設定を説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、本発明の複眼カメラを複眼デジタルカメラに適用した場合について説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態の複眼デジタルカメラ1の正面側斜視図、図2は背面側斜視図である。図1に示すように、複眼デジタルカメラ1の上部には、レリーズボタン2、電源ボタン3、及びズームレバー4が備えられている。また、複眼デジタルカメラ1の正面には、フラッシュ5及び2つの撮影部21A、21Bのレンズが配設されている。また、複眼デジタルカメラの1の背面には、各種表示を行う液晶モニタ7、及び各種操作ボタン8が配設されている。
【0021】
なお、撮影部21Aにより左プレ画像及び左本画像が撮影され、撮影部21Bにより右プレ画像及び右本画像が撮影される。以下、撮影部21Aを左レンズの撮影部、撮影部21Bを右レンズの撮影部ともいう。
【0022】
図3は、複眼デジタルカメラ1の内部構成を示す概略ブロック図である。図3に示すように、複眼デジタルカメラ1は、2つの撮影部21A、21B、撮影制御部22、画像処理部23、圧縮/伸長処理部24、フレームメモリ25、メディア制御部26、内部メモリ27、表示制御部28、3次元処理部30、指掛かり判定部31、及びフラッシュ調光部36を備えている。なお、撮影部21A、21Bは、被写体を見込む輻輳角を持って、予め定められた基線長となるように配置されている。なお、輻輳角及び基線長の情報は内部メモリ27に記憶されている。
【0023】
撮影制御部22は、不図示のAF処理部及びAE処理部からなる。AF処理部はレリーズボタン2の半押し操作により左レンズの撮影部、及び右レンズの撮影部のうち、基準レンズの撮影部で撮影されたプレ画像の画像情報に基づいて合焦領域を決定すると共に、レンズの焦点位置を決定し、撮影部21A、21Bに出力する。AE処理部は、基準レンズの撮影部で撮影されたプレ画像の画像情報に基づいて露出値(絞り値及びシャッタ速度)を決定し、撮影部21A、21Bに出力する。
【0024】
また、撮影制御部22は、レリーズボタン2の全押し操作により、撮影部21Aに対して左本画像、撮影部21Bに対して右本画像を撮影させる本撮影の指示を行う。なお、レリーズボタン2が操作される前は、撮影制御部22は、撮影範囲を確認させるための本画像よりも画素数が少ないスルー画像を、所定時間間隔(例えば1/30秒間隔)にて順次取得させる指示を撮影部21A、21Bに対して行う。
【0025】
フラッシュ調光部36は、フラッシュ非発光時に基準レンズの撮影部で撮影された本画像の画像情報とフラッシュプレ発光時に基準レンズの撮影部で撮影された画像の画像情報との差から、フラッシュ本発光時の発光量を演算し、演算した発光量でフラッシュ5が発光するように調光する。
【0026】
画像処理部23は、基準レンズの撮影部で撮影された本画像の画像情報に基づいて、撮影部21A、21Bから取得した左本画像及び右本画像のデジタルの画像データに対して、ホワイトバランスを調整する処理、階調補正、シャープネス補正、及び色補正等の画像処理を施す。
【0027】
圧縮/伸長処理部24は、画像処理部23によって処理が施された左本画像及び右本画像を表す画像データに対して、例えば、JPEG等の圧縮形式で圧縮処理を行い、立体視用の画像ファイルを生成する。この立体視用の画像ファイルには、左本画像及び右本画像の画像データが含まれ、Exifフォーマット等に基づいて、基線長、輻輳角、及び撮影日時等の付帯情報、並びに視点位置を表す視点情報が格納される。また、画像ファイルには、後述の指掛かり判定部31により判定された指掛かり領域の指掛かり情報が含まれる。なお、指掛かり情報は、画像ファイルに含める場合に限らず、画像ファイルと関連付けて記録メディア29に記録されるようにしてもよい。
【0028】
フレームメモリ25は、撮影部21A、21Bが取得した左本画像及び右本画像を表す画像データに対して、前述の画像処理部23が行う処理を含む各種処理を行う際に使用する作業用メモリである。
【0029】
メディア制御部26は、記録メディア29にアクセスして画像ファイル等の書き込み及び読み込みの制御を行う。
【0030】
内部メモリ27は、複眼デジタルカメラ1において設定される各種定数、及びCPU35が実行するプログラム等を記憶する。
【0031】
表示制御部28は、撮影時においてフレームメモリ25に格納された左本画像及び右本画像から生成された立体視用画像を液晶モニタ7に表示させたり、記録メディア29に記録されている左本画像及び右本画像、または立体視用画像を液晶モニタ7に表示させたりする。
【0032】
3次元処理部30は、左本画像及び右本画像をモニタ7に立体視表示を行うために、左本画像及び右本画像に3次元処理を行って立体視用画像を生成する。
【0033】
指掛かり判定部31は、撮影部21A及び21Bの前方に撮影者の指が掛かっているか否かを判定する。一方の撮影部の前方に指掛かりが生じている場合には、図4に示すように、一方の撮影部により撮影されたプレ画像(図4では、撮影部21Bにより撮影された右プレ画像)に指掛かり領域が低輝度領域として表れる。そこで、指掛かり判定部31は、撮影部21A及び21Bで撮影されたプレ画像に基づいて、各プレ画像の輝度値を算出する。また、撮影部21Aで撮影された左プレ画像と撮影部21Bで撮影された右プレ画像との各々対応する画素の輝度値の差分を算出する。そして、輝度値が予め定めた輝度値閾値より小さく、かつ輝度値の差分が予め定めた差分閾値より大きい画素からなる領域が存在する場合に、その領域が存在するプレ画像を撮影した撮影部の前方に指掛かりが生じていると判定する。また、その領域を指掛かり領域として判定する。
【0034】
また、指掛かり判定部31は、指掛かり領域の位置情報、指掛かり領域内の画素の輝度値及び色情報を含む指掛かり情報を生成する。指掛かり領域の位置情報は、例えば、図4に示すように、指掛かり領域に外接する矩形枠(図中の破線)を設定し、矩形枠の最も画像中心に近い角(図4では左上角)の座標位置や、矩形枠の中心の座標位置及び矩形枠のサイズ等とすることができる。また、輝度値及び色情報は、指掛かり領域に含まれる全画素の輝度値及び色情報や、指掛かり領域に含まれる画素の輝度値の平均値、色情報の平均値とすることができる。
【0035】
次に、図5を参照して、本実施の形態の複眼デジタルカメラにおいて実行される撮影条件の設定を含む撮影処理ルーチンについて説明する。
【0036】
ステップ100で、レリーズボタン2が半押しされたか否かを判定する。ユーザによってレリーズボタン2が半押し操作された場合には、ステップ102へ移行し、半押し操作されない場合には、半押し操作されるまで本ステップの判定を繰り返す。
【0037】
ステップ102では、指掛かり領域判定処理を実行する。ここで、図6を参照して、指掛かり領域判定処理ルーチンについて説明する。
【0038】
ステップ1020で、撮影部21Aで撮影された左プレ画像、及び撮影部21Bで撮影された右プレ画像を取得する。次に、ステップ1022で、左プレ画像及び右プレ画像の各々の輝度値を算出する。次に、ステップ1024で、左プレ画像と右プレ画像との対応する画素の輝度値の差分を算出する。
【0039】
次に、ステップ1026で、左プレ画像について、上記ステップ1022で算出した輝度値が予め定めた輝度値閾値より小さい画素同士が隣接した低輝度領域を抽出する。そして、この低輝度領域に含まれる画素について、上記ステップ1024で算出した差分が予め定めた差分閾値より大きいか否かを判定し、大きい場合には左プレ画像に指掛かり領域が存在する、すなわち撮影部21Aの前方に指掛かり生じていると判定すると共に、この低輝度領域を指掛かり領域であると判定する。右プレ画像についても同様に、指掛かりの有無及び指掛かり領域を判定する。
【0040】
次に、ステップ1028で、指掛かり領域の位置情報、指掛かり領域内の画素の輝度値及び色情報を含む指掛かり情報を生成して、リターンする。
【0041】
図5のステップ104に戻って、指掛かり領域判定処理(図6)の判定結果に基づいて、左レンズの撮影部に指掛かりが生じているか否かを判定する。左レンズの撮影部に指掛かりが生じていない場合には、ステップ106へ移行し、左レンズの撮影部を基準レンズの撮影部に設定して、ステップ114へ移行する。一方、左レンズの撮影部に指掛かりが生じている場合には、ステップ108へ移行する。
【0042】
ステップ108では、指掛かり領域判定処理の判定結果に基づいて、右レンズの撮影部に指掛かりが生じているか否かを判定する。右レンズの撮影部に指掛かりが生じていない場合には、ステップ110へ移行し、右レンズの撮影部を基準レンズの撮影部に設定して、ステップ114へ移行する。一方、右レンズの撮影部に指掛かりが生じている場合には、ステップ112へ移行して、左レンズの撮影部を基準レンズの撮影部に設定する。
【0043】
なお、上記ステップ104及びステップ108のいずれも肯定判定の場合には、左レンズの撮影部及び右レンズの撮影部の両方に指掛かりが生じていることになる。この場合において、本実施の形態では、上記ステップ112で、左レンズの撮影部を基準レンズの撮影部に設定する場合について説明したが、右レンズの撮影部を基準レンズの撮影部に設定するようにしてもよい。また、左プレ画像の指掛かり領域の大きさと右プレ画像の指掛かり領域の大きさとを比較して、指掛かり領域が小さい方のプレ画像を撮影した撮影部を基準レンズの撮影部に設定するようにしてもよい。
【0044】
次に、ステップ114では、基準レンズの撮影部で撮影されたプレ画像にAE積算エリアを設定して、AE積算エリア内の画素の輝度値を積算した画像情報を用いて、露出値の演算を行う。上記ステップ106またはステップ110を経て本ステップへ移行した場合、すなわち指掛かりの生じていない撮影部を基準の撮影部とした場合には、図7(A)に示すように、基準レンズの撮影部で撮影されたプレ画像の略全域にAE積算エリアを設定する。また、上記ステップ112を経て本ステップへ移行した場合、すなわち両方の撮影部に指掛かりが生じている場合には、同図(B)に示すように、基準レンズの撮影部に設定された左レンズの撮影部で撮影された左プレ画像の指掛かり領域以外の領域にAE積算エリアを設定する。演算された露出値を、基準レンズ及び基準レンズではない方のレンズ(以下、サブレンズという)の撮影部の共通の露出値として、撮影部21A及び21Bに出力する。
【0045】
次に、ステップ116で、合焦位置演算処理を実行する。ここで、図8を参照して、合焦位置演算処理ルーチンについて説明する。
【0046】
ステップ1160で、基準レンズの撮影部について、合焦位置を探索(AFサーチ)するための開始位置Pn及び終了位置Pfを設定する。
【0047】
次に、ステップ1162で、開始位置Pnにおいて基準レンズの撮影部により取得されたプレ画像にAF評価エリアを設定して、AF評価エリア内の画素の輝度値を用いて、AFサーチのためのAF評価値を算出する。上記ステップ106またはステップ110を経て本ステップへ移行した場合には、図9(A)に示すように、基準レンズの撮影部で撮影されたプレ画像の略全域にAF評価エリアを設定する。また、上記ステップ112を経て本ステップへ移行した場合には、同図(B)に示すように、基準レンズの撮影部に設定された左レンズの撮影部で撮影された左プレ画像の指掛かり領域以外の領域にAF評価エリアを設定する。開始位置Pnから終了位置Pfまでの間で所定間隔毎にAF評価値を算出する。
【0048】
次に、ステップ1164で、開始位置Pnから終了位置Pfまでの間で、AF評価値が最良となる位置を、基準レンズの撮影部の合焦位置P1として演算する。
【0049】
次に、ステップ1166で、サブレンズの撮影部について、上記ステップ1164で演算した基準レンズの撮影部の合焦位置P1を中心とする開始位置Pn’及び終了位置Pf’を設定する。
【0050】
次に、ステップ1168で、開始位置Pn’においてサブレンズの撮影部で撮影されたプレ画像にAF評価エリアを設定して、AF評価エリア内の画素の輝度値を用いてAF評価値を算出する。上記ステップ106またはステップ110を経て本ステップへ移行した場合には、図9(A)に示した基準レンズの場合と同様に、サブレンズの撮影部で撮影されたプレ画像の略全域にAF評価エリアを設定する。なお、サブレンズの撮影部で撮影されたプレ画像に指掛かり領域が存在する場合には、同図(B)または(C)に示すように、指掛かり領域以外の領域にAF評価エリアを設定する。また、上記ステップ112を経て本ステップへ移行した場合には、同図(C)に示すように、サブレンズの撮影部である右レンズの撮影部で撮影された右プレ画像の指掛かり領域以外の領域にAF評価エリアを設定する。開始位置Pn’から終了位置Pf’までの間で所定間隔毎にAF評価値を算出する。
【0051】
次に、ステップ1170で、開始位置Pn’から終了位置Pf’までの間で、AF評価値が最良となる位置を、サブレンズの撮影部の合焦位置P2として演算する。次に、ステップ1172で、演算された合焦位置P1を基準レンズの撮影部に、合焦位置P2をサブレンズの撮影部に出力して、リターンする。
【0052】
図5のステップ118へ戻って、上記ステップ114で演算した露出値に基づいて、絞り値及びシャッタ速度を制御するAE制御を行うと共に、撮影部21A及び21Bを上記ステップ116で演算した合焦位置へ移動させるAF制御を行う。
【0053】
次に、ステップ120で、レリーズボタン2が全押しされたか否かを判定する。ユーザによってレリーズボタン2が全押し操作された場合には、ステップ122へ移行し、全押し操作されない場合には、全押し操作されるまで本ステップの判定を繰り返す。
【0054】
次に、ステップ122で、上記ステップ118でAE制御及びAF制御された状態で、撮影部21A及び21Bの各々で撮影された左本画像及び右本画像の取得を開始する。
【0055】
次に、ステップ124で、撮影モード(オート発光モード、マニュアル発光モード等)及び本画像の輝度値に基づいて、フラッシュ5の発光が必要か否かを判定する。フラッシュ5の発光が必要な場合には、ステップ126へ移行し、必要ない場合には、ステップ132へ移行する。
【0056】
ステップ126では、フラッシュ非発光時に基準レンズの撮影部で撮影された本画像を取得すると共に、フラッシュ5をプリ発光させて、フラッシュプリ発光時に基準レンズの撮影部で撮影された本画像を取得する。
【0057】
次に、ステップ128で、フラッシュ非発光時及びフラッシュプリ発光時の本画像の各々に調光積算エリアを設定して、調光積算エリア内の画素の輝度値を積算した画像情報を演算する。そして、フラッシュ非発光時の画像情報とフラッシュプリ発光時の画像情報との差に基づいて、フラッシュ5の発光量を演算する。上記ステップ106またはステップ110を経て本ステップへ移行した場合には、図10(A)に示すように、基準レンズの撮影部で撮影された本画像の略全域に調光積算エリアを設定する。また、上記ステップ112を経て本ステップへ移行した場合には、同図(B)に示すように、基準レンズの撮影部に設定された左レンズの撮影部で撮影された左本画像の指掛かり領域以外の領域に調光積算エリアを設定する。
【0058】
次に、ステップ130で、上記ステップ128で演算された発光量でフラッシュ5が発光するように調光して本発光させ、左本画像及び右本画像を取得する。
【0059】
次に、ステップ132で、基準レンズの撮影部により撮影された本画像にAWB積算エリアを設定して、AWB積算エリア内の画素の輝度値を積算した画像情報を用いて、ホワイトバランスを調整するためのホワイトバランス調整値を演算する。そして、このホワイトバランス調整値を共通の調整値として、左本画像及び右本画像の両方のホワイトバランスを調整する処理を行う。上記ステップ106またはステップ110を経て本ステップへ移行した場合には、図11(A)に示すように、基準レンズの撮影部で撮影された本画像の略全域にAWB積算エリアを設定する。また、上記ステップ112を経て本ステップへ移行した場合には、同図(B)に示すように、基準レンズの撮影部に設定された左レンズの撮影部で撮影された左本画像の指掛かり領域以外の領域にAWB積算エリアを設定する。
【0060】
次に、ステップ134で、左本画像及び右本画像の各々に階調補正、シャープネス補正、及び色補正等の画像処理を施して、記録メディア29に左本画像及び右本画像を示すデータ、並びに上記ステップ1028で生成した指掛かり情報を含む画像ファイルを記録して、処理を終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施の形態の複眼デジタルカメラによれば、指掛かりが生じていない撮影部により撮影された画像の画像情報を用いて、または、いずれの撮影部にも指掛かりが生じている場合には、いずれかの撮影部により撮影された画像の指掛かり領域以外の領域の画像情報を用いて、左レンズの撮影部及び右レンズの撮影部の各々の撮影条件を設定するため、いずれかの撮影部に指掛かりが生じている場合でも、適切な撮影条件を設定して、良好な立体感を備えた立体視画像を取得することができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、撮影部の前方の遮蔽物が撮影者の指である場合について説明したが、遮蔽物はこれに限定されない。撮影部の前方を遮蔽する遮蔽物であれば、本実施の形態と同様に処理することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、基準レンズの撮影部で撮影された画像の画像情報、または指掛かり領域以外の領域の画像情報を用いて、露出値、合焦位置、フラッシュ発光量、及びホワイトバランス調整値の全てを演算して撮影条件として設定する場合について説明したが、露出値、合焦位置、フラッシュ発光量、及びホワイトバランス調整値の少なくとも1つを設定するようにしてもよい。
【0064】
また、本実施の形態では、撮影部を2つ備えた構成の複眼デジタルカメラについて説明したが、撮影部を3つ以上備えた構成において、3つ以上の画像を取得した場合にも同様に適用することができる。この場合、複数の画像から任意に2つの画像を組み合わせて、各々の画像の輝度値と、組み合わせた2つの画像の輝度値の差分から指掛かりの有無及び指掛かり領域を判定することができる。そして、指掛かりのない撮影部を基準の撮影部とすればよい。また、全ての撮影部に指掛かりが生じている場合には、いずれかの撮影部により撮影された画像の指掛かり領域以外の領域の画像情報を用いて、撮影条件を設定すればよい。
【0065】
また、本実施の形態の撮影処理ルーチンをプログラム化して、そのプログラムをCPUにより実行するようにしてもよい。プログラムは、記憶媒体に記憶して提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 複眼デジタルカメラ
5 フラッシュ
21A 撮影部
21B 撮影部
22 撮影制御部
23 画像処理部
31 指掛かり判定部
36 フラッシュ調光部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段と、
前記撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する設定手段と、
を含む複眼カメラ。
【請求項2】
前記判定手段は、輝度値が予め定めた輝度値閾値よりも小さく、かつ前記画像の各々対応する画素の輝度値の差分が予め定めた差分閾値より大きい画素からなる領域が存在する場合に、該領域が存在する画像を撮影した撮影手段の前方に遮蔽物が存在すると判定する請求項1記載の複眼カメラ。
【請求項3】
前記設定手段は、前記判定手段により全ての撮影手段の前方に遮蔽物が存在すると判定された場合には、いずれかの撮影手段により撮影された画像の前記領域以外の領域から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する
請求項2記載の複眼カメラ。
【請求項4】
前記判定手段により遮蔽物が存在すると判定された際の前記領域の位置情報、該領域に含まれる画素の輝度値及び色情報を含む遮蔽物情報を、前記画像に関連付けて記録手段に記録するように制御する記録制御手段をさらに含む請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の複眼カメラ。
【請求項5】
前記記録制御手段は、前記遮蔽物情報と前記画像とを1つのファイルとして前記記録手段に記録するように制御する請求項4記載の複眼カメラ。
【請求項6】
前記撮影条件は、露出値、合焦位置、フラッシュの発光量、及びホワイトバランス調整値の少なくとも1つである請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の複眼カメラ。
【請求項7】
異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定し、
前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する
撮影条件設定方法。
【請求項8】
コンピュータを、
異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定する判定手段、及び
前記判定手段により前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する設定手段
として機能させるための撮影条件設定プログラム。
【請求項1】
異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段と、
前記撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する設定手段と、
を含む複眼カメラ。
【請求項2】
前記判定手段は、輝度値が予め定めた輝度値閾値よりも小さく、かつ前記画像の各々対応する画素の輝度値の差分が予め定めた差分閾値より大きい画素からなる領域が存在する場合に、該領域が存在する画像を撮影した撮影手段の前方に遮蔽物が存在すると判定する請求項1記載の複眼カメラ。
【請求項3】
前記設定手段は、前記判定手段により全ての撮影手段の前方に遮蔽物が存在すると判定された場合には、いずれかの撮影手段により撮影された画像の前記領域以外の領域から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する
請求項2記載の複眼カメラ。
【請求項4】
前記判定手段により遮蔽物が存在すると判定された際の前記領域の位置情報、該領域に含まれる画素の輝度値及び色情報を含む遮蔽物情報を、前記画像に関連付けて記録手段に記録するように制御する記録制御手段をさらに含む請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の複眼カメラ。
【請求項5】
前記記録制御手段は、前記遮蔽物情報と前記画像とを1つのファイルとして前記記録手段に記録するように制御する請求項4記載の複眼カメラ。
【請求項6】
前記撮影条件は、露出値、合焦位置、フラッシュの発光量、及びホワイトバランス調整値の少なくとも1つである請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の複眼カメラ。
【請求項7】
異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定し、
前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する
撮影条件設定方法。
【請求項8】
コンピュータを、
異なる複数の視点から同一の被写体を撮影する複数の撮影手段の各々により撮影された画像に基づいて、前記撮影手段の各々の前方に遮蔽物が存在するか否かを判定する判定手段、及び
前記判定手段により前方に遮蔽物が存在しないと判定された撮影手段を基準の撮影手段として、該基準の撮影手段により撮影された画像から得られる情報に基づいて、前記複数の撮影手段の各々の撮影条件を設定する設定手段
として機能させるための撮影条件設定プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−15751(P2012−15751A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149857(P2010−149857)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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