説明

褐変植物及び海草等の緑色復元方法

【課題】乾燥貯蔵あるいは塩漬貯蔵することにより褐変した緑色植物及び海草等を、元の緑色に復元する。
【解決手段】乾燥貯蔵あるいは塩漬貯蔵することにより褐変した緑色植物及び海草等を、食品として認可されている銅含有乳酸菌あるいは亜鉛含有乳酸菌などを用いて、元の緑色に復元させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば食品用や和菓子包装用の植物の葉あるいは山菜類等、食品関連の緑色植物及び海草等であって、これを乾燥貯蔵あるいは塩漬貯蔵したために褐変した色調を、元の緑色の色調に復元させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥貯蔵あるいは塩漬貯蔵したために褐変した緑色植物及び海草等を元の緑色の色調に戻すため、従来では一般に、着色剤による着色方法が取られている。
ここで用いられる着色剤としては、金属銅、銅塩あるいは金属亜鉛、亜鉛塩類または銅クロロフィル塩類等である。
【0003】
【特許文献1】▲1▼特開平10−14530▲2▼特開平2000−157224▲3▼特開平6−217732▲4▼特開2004−201553
【0004】
▲1▼の公報には、下記の方法で、退色した植物の葉緑素を緑色にする方法が記載されている。
(1) 退色した植物を亜鉛イオンを含む溶液に接触させて、植物の緑色を復元する。
(2) 亜鉛イオンとして、硫酸亜鉛を使用する。
この方法は、硫酸亜鉛に含まれる、亜鉛イオンが退色した葉緑素を緑色に発色させる。
【0005】
▲2▼の公報には、下記の方法で、退色した植物及び海草類を緑色にする方法が記載されている。
(1) 海草を熱湯に浸漬する工程で、亜鉛イオンと鉄イオンを含む溶液を使用する。
(2) 草木灰を溶液に浸漬して、草木灰に含まれる亜鉛イオンと鉄イオンとを溶液に溶出させる。
この方法は、草木灰に含まれる亜鉛イオンと鉄イオンが退色した葉緑素を緑色に発色させる。
【0006】
▲3▼の公報には、下記の方法で、退色した植物及び海草類を緑色にする方法が記載されている。
(1) 銅クロロフィル及び/又は銅クロロフィリンアルカリ金属塩、並びに還元剤の一種又は二種以上を含む水溶液に、緑色野菜類又は海草類を浸漬する。
(2) 還元剤としてアスコルビン酸及びそのアルカリ金属塩に緑色野菜類又は海草類を浸漬する。
(3) 被着色物を50℃以上に加熱して、緑色に発色させる。
この方法は、銅クロロフィル及び/又は銅クロロフィリンアルカリ金属塩の、銅イオンが退色した葉緑素を緑色に発色させる。
【0007】
▲4▼の公報には、下記の方法で、退色した植物及び海草類を緑色にする方法が記載されている。
褐変した植物及び海草等を、ミネラル酵母を加えて加熱する。
ミネラル酵母として、銅含有酵母あるいは亜鉛含有酵母、鉄含有酵母、マグネシウム含有酵母を、またはこれらを組み合わせて用いる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来法は、一般の褐変植物及び海草等に対しては極めて有効な緑色復元方法である。
しかしながら、食品関連の褐変植物及び海草等に対しては、上記のように人体には好ましくない物質が多い。
したがって、上記従来法を食品関連の褐変した緑色植物及び海草等に適用することは、食品衛生法上問題がある。
本発明は、人体に無害な物質を用いて褐変した緑色植物及び海草等の色調を元の緑色に復元させることを目的とするもので、特に食品関連の緑色植物及び海草等を処理するのに相応しい安全な方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、乾燥貯蔵あるいは塩漬貯蔵したことによって褐変した食品関連の緑色植物及び海草等を元の緑色に復元するに際し、復元処理のために用いる物質は、処理後に微量残ったとしても人体に無害なものでなければならないとの前提に立って鋭意研究を重ね、本発明を完成させた。
本発明は、褐変した食品関連の緑色植物及び海草等を、ミネラル乳酸菌を加えて加熱することで、その色調を緑色に復元する方法である。
この場合、復元に用いるミネラル乳酸菌としては、銅含有乳酸菌、亜鉛含有乳酸菌が好ましく、鉄含有乳酸菌、マグネシウム含有乳酸菌も使用できる。
また、これらを組み合わせて用いることもできる。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明方法は、人体に無害な物質を用いて褐変した緑色植物及び海草等の色調を元の緑色に復元できるので、食品関連の褐変植物及び海草等の処理方法として、極めて安全であり、且つ、有効な方法である。
【実施例】
【0011】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
〔実施例1〕
(褐変した塩漬貯蔵野沢菜の緑色の復元)100kgの野沢菜を1時間以上流水で水流し、水切りしておく。
400リットルの水に、野沢菜を入れ、そこにミネラル乳酸菌を10gから2kgの範囲で加え、良くかき混ぜながら、加熱し摂氏50度以上で加熱処理する。
緑色の復元には約30分間を要するが、色調を観察しながら温度と時間を適宜設定すればよい。
処理後は、野沢菜を一晩流水で洗浄する。
【0012】
さらに、以上の実施例は、褐変した植物や海草類を緑色に復元する方法を例示したが、本発明の方法は、緑色の植物や海草類を処理して、緑色の褐変を防止することができる。
【0013】
また、乳酸菌以外にも、真菌類以外のミネラル含有細菌においても、本発明の方法により、同等の効果を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥貯蔵あるいは塩漬貯蔵することによって褐変した緑色植物及び海草等の色調を元の緑色に復元させる方法において、褐変した植物及び海草等を、ミネラル乳酸菌を加えて加熱することを特徴とする貯蔵褐変植物及び海草等の緑色復元方法。
【請求項2】
ミネラル乳酸菌として、銅含有乳酸菌あるいは亜鉛含有乳酸菌、鉄含有乳酸菌、マグネシウム含有乳酸菌を、またはこれらを組み合わせて用いる貯蔵褐変植物及び海草等の緑色復元方法。

【公開番号】特開2006−158258(P2006−158258A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352540(P2004−352540)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【出願人】(393012231)
【Fターム(参考)】