説明

覆工コンクリートの養生装置

【課題】本発明の目的は、トンネルの覆工コンクリートに養生剤を塗布するにあたり、養生剤の種類を選ばず、且つ養生剤を均一に塗布することができる覆工コンクリートの養生装置を提供することにある。
【解決手段】本発明の養生装置10は、セントルの移動に伴い移動することが可能な、トンネルの覆工コンクリート1の表面1aに養生剤を塗布する装置である。その装置は、養生剤を塗布する塗布装置と、塗布された養生剤の塗布量及び塗布分布を均すための調整装置として弾性部材11及びその弾性部材11を弾性的に支持する弾性支持部材12とより構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルにおける覆工コンクリートの養生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル内の覆工コンクリートの打設において、養生中のコンクリートに、水等の養生剤を塗布して養生することが一般的に行われている。従来、その塗布作業は人力により行われていたが、作業員に多大な労力を課することになるばかりか、必ずしも作業環境は好ましいものではなく、しかも塗布が満遍なく行われるとは限らない等の問題を内在していた。それらの問題を解決するものとして様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されているトンネル覆工コンクリートの自動散水設備がある。この養生剤としての水を散水する設備は、トンネルの長手方向に敷設されたガイドに沿って移動可能な台車上に、アーチ状の散水管と、この散水管に適宜間隔をおいて設けられた散水ノズルとを備えて、散水管が往復移動する間に散水ノズルから水を覆工コンクリートの表面に散水するようになっている。また、設備の両側に防水シートを垂下させて両側面を覆って、落下する養生水が路盤に直接落下することなく、排水設備を通じて側溝に排水できるようにしている。
【0004】
また、特許文献2には、覆工コンクリートの表面に霧状の水を吹き付ける噴霧機構と、その噴霧機構がトンネル内を自在に移動できる移動機構とよりなるトンネル覆工コンクリートの養生装置が開示されている。この装置によれば、覆工コンクリートの表面に霧状の水を所定量吹き付けることにより、覆工コンクリートの表面には適量の水が付着するので、水が水滴となって落下することがなく、且つ、装置はトンネル内を移動できるとされている。
【特許文献1】特開2001−248398号公報([請求項][0009]を参照)
【特許文献2】特開2006−89995号公報([要約][0025]を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているトンネル覆工コンクリートの自動散水設備においては、往復移動する散水管の散水ノズルから繰り返し散水されることによりコンクリートの表面に均一な散水が施されているが、その繰り返しの散水によって適量以上の養生水がコンクリートの表面に供給されることとなる。そのため、防水シートを用いて、落下する養生水を、排水設備を通じて側溝に排水できるようにしているものの、多量の養生水を必要とすることもあり、環境問題が懸念される。
【0006】
一方、特許文献2に開示されているトンネル覆工コンクリートの養生装置においては、コンクリートの表面に霧状の水を吹き付けるようにしているので、コンクリートの表面には適量の水が付着して、水が水滴となって落下することがない。しかし、養生剤である水を霧状に吹き付ける方法を採っているので、水以外の養生剤を用いる場合は、その養生剤の粘度等が霧状に噴霧することに適しているか否かの制約がある。
【0007】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、トンネルの覆工コンクリートに養生剤を塗布するにあたり、養生剤の種類を選ばず、且つ養生剤を均一に塗布することができる覆工コンクリートの養生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために請求項1に記載の覆工コンクリートの養生装置の発明は、トンネルの覆工コンクリートに養生剤を塗布する装置であって、トンネル内をその長手方向に移動可能な養生装置において、前記養生剤の塗布装置と、塗布された前記養生剤の塗布量及び塗布分布を均すための調整装置とよりなることを特徴とするものである。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、トンネル内をその長手方向に移動しながら養生剤を塗布することができ、その塗布された養生剤の塗布量や分布が均一ではない場合においても、塗布装置と共に移動する調整装置によって塗布された養生剤が均されるようになっている。そのため、養生剤を適量以上に繰り返して塗布する必要もなく、また、養生剤を霧状にして噴霧する必要もない。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の覆工コンクリートの養生装置において、前記調整装置は、前記覆工コンクリートの表面に当接する弾性部材と、その弾性部材を弾性的に支持する弾性支持部材よりなることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、弾性部材が弾性的にコンクリート表面に押圧されるので、コンクリート表面に余分に塗布された養生剤を拭うことができる。また、弾性部材が弾性支持部材によって弾性的に支持されているので、仮にコンクリートの表面に波状の部分等の凹凸があっても、弾性部材はコンクリート表面に押圧される状態を保つことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の覆工コンクリートの養生装置において、前記弾性部材は、覆工コンクリートの表面に沿って前記トンネルの周方向に複数配置され、前記トンネルの長手方向に見た場合、隣接する弾性部材が互いにその端部を重複させていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、弾性部材が、トンネルの内壁面に打設された覆工コンクリートの表面に沿って、トンネルの周方向に間隔を空けずに複数配置されているので、様々なトンネル内壁面の形状に対応し得る。また、養生装置がトンネルの長手方向に移動するとき、その間隔を空けずに複数配置されている弾性部材によって、コンクリート表面に塗布された養生剤は、満遍なく均されて調整されることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の覆工コンクリートの養生装置において、前記弾性支持部材は、棒状又は板状のばね鋼からなることを特徴とするものである。請求項4に記載の発明によれば、弾性支持部材は棒状又は板状のばね鋼により形成されているため、バネ鋼がしなることにより弾性部材のコンクリート表面に対する押圧力が適度に維持されるばかりか、簡単な構造であるため故障が殆どない。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のうちいずれか一項に記載の覆工コンクリートの養生装置において、前記弾性部材は、ゴム製の板状体からなることを特徴とするものである。請求項5に記載の発明によれば、ゴムの弾性を利用して板状体の端部をコンクリート表面により確実に当接させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項2ないし5のうちいずれか一項に記載の覆工コンクリートの養生装置において、前記弾性部材を支持する前記弾性支持部材は、前記弾性部材が前記覆工コンクリートの表面に対して接離可能となるように、回動可能にフレームに支持されていることを特徴とするものである。請求項6に記載の発明によれば、必要に応じて弾性部材をコンクリート表面から離す場合、弾性支持部材を回動することが容易にできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、トンネルの覆工コンクリートに養生剤を塗布するにあたり、養生剤の種類を選ばず、且つ養生剤を均一に塗布することができる覆工コンクリートの養生装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した覆工コンクリートの養生装置の実施形態を図1〜6を用いて説明する。なお、図3のC矢視図として模式的に示す図4において、理解しやすいように各部材の角度等を変更して配置している。
【0019】
図1、2に示すように、トンネル内の長手方向に沿って路盤2に敷かれた一対のレール3aに案内される複数の車輪3bを介してセントル3が移動可能に配置されている。本実施形態の覆工コンクリート1の表面1aに沿ってアーチ状に形成されている養生装置10は、フレームの一部をなす床板3e及び支持柱3cを介してセントル3に連結されている。図2に示すように、セントル3の一側面から外方に延出して設けられた前記床板3eは、支持柱3cを支持すると共に、養生装置10を調整する作業者の足場にもなっている。
【0020】
養生剤4を一時的に収容するタンク4aがセントル3の下部に備えられ、その養生剤4はポンプ4bによって送出管4c内を送られ、分配器4d及び3本の分配管4eにより図示しないT型管継手に接続されているホース4f(図4参照)を経て後述する塗布装置20に送られるようになっている。
【0021】
前記養生装置10は、フレームの一部をなす支持パイプ3dに支持され、その支持パイプ3dは、セントル3に連結している六ヶ所に設けられている支持柱3cにより支持されている。また、図3に断面を示すように、シート6が、その幅方向(図の左右方向)の一端において前記支持パイプ3d上の固定板13bの一部に掛止され、他端において後述の補強板11bの一部に掛止され、また、幅方向の形状を上方に凹形状となるように取り付けられている。そのようにシート6を弛ませた状態で取り付けることで、滴下する養生剤4があれば、養生剤4が路盤2上に滴下しないように、シート6はその養生剤4を受け止めることができる。また、このシート6は養生装置10に沿うように養生装置10の下方に配設されており、シート6で受け止められた養生剤4は、シート6を左右に流れて、シート6の両端において樋5bに集められ回収管5aを流れ落ちて左右の回収タンク5に収容される。
【0022】
次に図3〜5を用いて養生装置10の詳細について説明する。本実施形態の養生装置10における調整装置は、以下のように構成されている。
前記支持パイプ3dには、固定パイプ13aが固着されている固定板13bが二本のUボルト13cとその両端のナットとにより係合されている。その固定パイプ13a内に挿入された支持パイプ14は、固定パイプ13aに対する自身の軸心方向の位置が決められた上で、固定ボルト13dの先端により押圧されて固定パイプ13aの内壁に押し付けられて固定されている。その支持パイプ14内に一部を挿入された棒状のばね鋼で形成された弾性支持部材12は、係止ボルト14aにより押圧されて支持パイプ14の内壁に押し付けられ支持パイプ14に支持されている。なお、弾性支持部材12を板状のばね鋼で形成するようにしてもよい。
【0023】
図5に示すように、弾性支持部材12の先端が、略L字形に形成された連結板11aと固定板11cとの間に挟持され二本のボルトによって固定されている。そして、連結板11aが弾性部材11を挟持する一対の補強板11bの一方の補強板11bに固着されているので、弾性部材11は弾性支持部材12に弾性的に支持される。前記シート6の一端は弾性部材11と共に両補強板11bに挟持固定されている。本実施形態においては、弾性部材11はゴム製の板状体からなり、長手方向の一端部を覆工コンクリート1の表面1aに当接させるように形成されている。弾性部材11は、Uボルト13cのナットを緩めることにより、支持パイプ3dを中心に回動されて、覆工コンクリート1の表面1aに対する位置が調節される。
【0024】
そして、調整装置は支持パイプ3dに支持される一対の弾性支持部材12及びその弾性支持部材12の先端に連結される弾性部材11よりなる1単位を複数配置して構成されている。覆工コンクリート1の表面1aに弾性的に当接するように複数配置された弾性部材11は、トンネルの長手方向より見た時、それぞれの端部が重複するように配置されている。そうすることにより、養生装置10がトンネルの長手方向に移動する際は、複数の弾性部材11が覆工コンクリート1の表面1aに対して一本の弾性部材のように作用して、塗布された養生剤4を均すことができる。
【0025】
なお、図示しないが、弾性部材11をゴム製、ポリウレタン製又はプラスチック製の円柱体として形成し、その中心部の孔に通した棒状体の軸によって弾性部材11を回動可能に支持した上で、その軸の両端を一枚の補強板11bにより回動可能に支持し、その補強板11bを連結板11aに固着するようにしてもよい。また、弾性部材11を、円柱体とせずに、ゴム製又はプラスチック製のエアチューブにより形成してもよい。そうすることにより、エアチューブの空気圧による弾性力が、弾性部材11のコンクリートに対する密着性を高めることができる。このとき、エアチューブの内部において、軸方向に仕切る同一材料の隔壁を数ヶ所に設けるようにすれば、エアチューブの中間部で撓むことがない。
【0026】
図4に示すように、塗布ノズル20aが固着される固定板20bは、一本のUボルト20cとナットにより支持パイプ3dに係合されており、Uボルト20cのナットを緩めれば、固定板20bは支持パイプ3dに対して回動可能となるので、塗布ノズル20aの向きを変えることができる。塗布ノズル20aにはホース4fが接続されている。T型管継手が接続されていないホース4fの両端は、隣合う塗布ノズル20aに接続されている。
【0027】
なお、図示しないが、固定板20bにT型管継手を固定した上で、隣合う塗布ノズル20aに接続されるホース4fの他に別のホース4fを接続し、塗布ノズル20aを弾性部材11に近接して配置することもできる。そうすることにより、覆工コンクリート1の表面1aに近い位置から養生剤4を表面1aに対して流し込むように供給し塗布することができる。このような塗布ノズル20aの配置は、覆工コンクリート1の表面1aの傾斜が垂直に近い状態にある場合、例えば図1に示すBゾーンにおいては、養生剤4の好適な塗布方法として採用し得る。塗布ノズル20aの取り付けは、弾性部材11に近い弾性支持部材12に対してプラスチック紐等で縛り付けることにより行われる。
【0028】
図6は、覆工コンクリート1の養生作業が中断又は終了した時等、養生装置10が支持パイプ3dを中心に回動されて、弾性部材11が覆工コンクリート1の表面1aから離れて待機状態になっている様を示している。このような状態にする前記回動は、支持パイプ14の後端を手で押し上げるか、支持パイプ14の前端部分を引き下げるかすることにより可能となる。この時、固定板13bを支持パイプ3dに係合する2本のUボルト13cの締付け力を適度に調節することにより、養生装置10を任意の位置で自立させておくことができる。
【0029】
(養生剤の塗布方法)
次に本実施形態の養生装置10を用いた、覆工コンクリート1の表面1aに対する養生剤4の塗布及び塗布された養生剤4を均す状況を説明する。
【0030】
図3、4に示して説明した本実施形態の養生剤4を塗布装置20から吹き付けるタイプの養生装置10は、その複数が図1に示すAゾーンに配置されている。また、図示しないが、塗布装置20を表面1aに近接させて養生剤4を表面1aに流し込むタイプの養生装置10が図1に示すBゾーンに複数配置されている。このようにして、覆工コンクリート1の表面1aの養生を必要とする全面に養生装置10が配置され、しかもそれぞれの養生装置10の弾性部材11は、トンネルの長手方向から見た場合、隣合う弾性部材11の端部が重複するように見えるように、トンネルの周方向に並んで配置されている。このように配置されている養生装置10が、図2における右方向へのセントル3の移動に伴い移動する時、養生剤4が覆工コンクリート1の表面1aに塗布され、塗布された養生剤4の塗布量や分布が不均一であったとしても、弾性部材11が養生剤4を均して表面1aにおいて養生剤4の塗布状態を調整することができる。
【0031】
このとき、複数の弾性部材11を、覆工コンクリート1の天井の頂部に対応する弾性部材11を進行方向に窄まるV字形になるように配置すれば、表面1aに余分に塗布され拭われた養生剤4が左隣又は右隣の弾性部材11が対応する部分に移動することができる。すると、その間に移動される養生剤4は、養生剤4が不足気味の部分に至った時、そこに対応する弾性部材11によって均されて、表面1aの養生剤4の塗布状態は、養生剤4の不足状態が解消されるように調整される。
【0032】
従って、上記実施形態の覆工コンクリートの養生装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、トンネル内をその長手方向に移動しながら養生剤4を塗布することができ、その塗布された養生剤4の塗布量や分布が均一であってもなくても、塗布装置20と共に移動する調整装置の弾性部材11によって塗布された養生剤4を均すようになっている。そのため、覆工コンクリート1の表面1aに養生剤4を均一に塗布できる覆工コンクリートの養生装置を提供できる。
【0033】
(2)上記実施形態では、弾性部材11が弾性的に覆工コンクリート1の表面1aに押圧されるようにしたので、覆工コンクリート1の表面1aに余分に塗布された養生剤4を拭うことができる。また、弾性部材11が弾性支持部材12によって弾性的に支持されているので、仮に覆工コンクリート1の表面1aに波状となっているような凹凸部分があっても、弾性部材11が覆工コンクリート1の表面1aに押圧される状態を保つことができる。
【0034】
(3)上記実施形態では、弾性部材11を、覆工コンクリート1の表面1aに沿って、トンネルの内壁面の周方向に間隔を空けずに複数配置するようにしたので、一本の成形された弾性部材を用いる場合と異なり、様々なトンネル内壁面の形状に対応することができる。また、養生装置10がトンネルの長手方向に移動するとき、その間隔を空けずに複数配置した弾性部材11によって、覆工コンクリート1の表面1aに塗布された養生剤4を、満遍なく均すことができる。
【0035】
(4)上記実施形態では、弾性支持部材12を棒状又は板状のばね鋼により形成したので、バネ鋼がしなることにより、覆工コンクリート1の表面1aに対する弾性部材11の適度な押圧力を維持することができる。よって、簡単な構造であるため故障が殆どない覆工コンクリートの養生装置を提供できる。
【0036】
(5)上記実施形態では、弾性部材11をゴム製の板状体としたので、ゴムの弾性を利用して、覆工コンクリート1の表面1aに弾性部材11の端部をより確実に当接させることができる。
【0037】
(6)上記実施形態では、弾性支持部材12を、弾性部材11が覆工コンクリート1の表面1aに対して接離可能となるように、フレームの一部である支持パイプ3dに回動可能に支持するようにした。そのため、必要に応じて弾性部材11を覆工コンクリート1の表面1aから離す場合、弾性支持部材12を自在に回動することができる。
【0038】
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・弾性支持部材12を、棒状又は板状のばね鋼により形成したが、弾性支持部材12を中空円筒状のばね鋼により形成してもよい。
【0039】
・養生装置10を、セントル3と共に移動できるように、セントル3の一側面に連結して装置したが、養生装置10をセントル3とは切離して、レール3a上を移動可能な台車上に設置することもできる。
【0040】
さらに、上記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
○前記弾性部材は、ゴム製、ポリウレタン製又はプラスチック製の円柱体であって、前記弾性支持部材に回動可能に支持されていることを特徴とする請求項2ないし4のうちいずれか一項に記載の覆工コンクリートの養生装置。このように構成した場合、円柱体である弾性部材は、コンクリート表面に押圧状態で当接しながら回転して、コンクリート表面に塗布された養生剤を均すことができるので、摺動による磨耗が起きることがない。
【0041】
○前記弾性部材は、覆工コンクリートの表面に沿って前記トンネルの周方向に複数配置されると共に、それぞれの弾性部材は一対の弾性支持部材により支持されることを特徴とする請求項3ないし5のうちいずれか一項に記載の覆工コンクリートの養生装置。このように構成した場合、弾性支持部材が棒状体のバネ鋼であっても、弾性部材が弾性支持部材の軸心を中心に回動することはない。
【0042】
○前記弾性部材は、覆工コンクリートの天井の中心部に対応する弾性部材を先頭に複数の弾性部材が進行方向に窄まるように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の覆工コンクリートの養生装置。このように構成した場合、余分に塗布され拭われた養生剤が左隣又は右隣の弾性部材が対応する部分に移動することができる。すると、その間に移動される養生剤は、養生剤が不足気味の部分に至った時、そこに対応する弾性部材によって均されて、表面1aの養生剤4の塗布状態は、養生剤の不足状態が解消されるように調整される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態の覆工コンクリートの養生装置が装置された状態をトンネル内部を長手方向から見て模式的に示す正面図。
【図2】その一部を模式的に示す側面図。
【図3】本発明の実施形態の養生装置を模式的に示す側面図。
【図4】図3のC矢視の状態を模式的に示す正面図。
【図5】図3にDで示す部分の拡大図。
【図6】本発明の実施形態の養生装置を回動した状態を模式的に示す側面図。
【符号の説明】
【0044】
1…覆工コンクリート、1a…表面、4…養生剤、10…養生装置、11…弾性部材、12…弾性支持部材、20…塗布装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルの覆工コンクリートに養生剤を塗布する装置であって、トンネル内をその長手方向に移動可能な養生装置において、前記養生剤の塗布装置と、塗布された前記養生剤の塗布量及び塗布分布を均すための調整装置とよりなることを特徴とする覆工コンクリートの養生装置。
【請求項2】
前記調整装置は、前記覆工コンクリートの表面に当接する弾性部材と、その弾性部材を弾性的に支持する弾性支持部材よりなることを特徴とする請求項1に記載の覆工コンクリートの養生装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、覆工コンクリートの表面に沿って前記トンネルの周方向に複数配置され、前記トンネルの長手方向に見た場合、隣接する弾性部材が互いにその端部を重複させていることを特徴とする請求項2に記載の覆工コンクリートの養生装置。
【請求項4】
前記弾性支持部材は、棒状又は板状のばね鋼からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の覆工コンクリートの養生装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、ゴム製の板状体からなることを特徴とする請求項2ないし4のうちいずれか一項に記載の覆工コンクリートの養生装置。
【請求項6】
前記弾性部材を支持する前記弾性支持部材は、前記弾性部材が前記覆工コンクリートの表面に対して接離可能となるように、回動可能にフレームに支持されていることを特徴とする請求項2ないし5のうちいずれか一項に記載の覆工コンクリートの養生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−203693(P2009−203693A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46297(P2008−46297)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000158725)岐阜工業株式会社 (56)
【Fターム(参考)】