説明

視線誘導灯

【課題】製作コストが安く維持管理に手間のかからないライン状に照射領域を形成できる視線誘導灯を提供する。
【解決手段】内面に波形の凹曲レンズ溝を形成し、外面7を平滑に形成したレンズ4をLED3・・・の前方に配置し、LED3・・・を光源として発生した光をスネルの法則に基づく光の屈折により路面にライン状に拡散した照射領域aを形成する。このように、1個の視線誘導灯1でライン状の照射領域aを路肩に形成することで、特に積雪時の視線誘導効果を高めることができる。また、1個の視線誘導灯1により視線誘導ラインを形成するため、コストが安く、維持管理に手間がかからない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に積雪のある路肩を効果的に照明してライン状の照射領域を形成する視線誘導灯に関する。
【背景技術】
【0002】
道路に積雪があると、特に夜間走行時においては路肩の位置が判別できなくなることから、この障害を防止するために道路の路肩上には誘導灯が設置されている例が多い。
【0003】
例えば、特開2010−174530号公報に掲載の視線誘導灯はこの例であって、高輝度LEDを光源とする誘導灯を路肩に立設したポールに対して下向きに取り付けて路肩を照明する例である。
【0004】
しかし、この公知例の場合、その照射領域は路肩において円形又はこれに近い輪郭形状となることから、特に積雪がある場合に光が積雪面に反射して視認効果が弱まることがある。
【0005】
また、特開2001−40625号公報には、路面をライン光となるように照明するために、複数個の発光部を角度を変えて併設することによりライン標示を可能とした路面標示装置が紹介されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−174530号公報
【特許文献2】特開2001−40625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特開2001−40625号公報に開示された路面標示装置の場合、複数個の発光部を使用するためにコストがかかるばかりでなく、いちいち発光部の角度を設置場所の地形に合わせて調整する必要があり、設置作業に手間がかかる。
【0008】
また、特に積雪の多い地方においては所謂地吹雪のような強風が吹き荒れることが多いため、発光部の取付角度が風圧により狂ってしまい、ラインが途中で切れたり方向が出なくなるために定期的に調整点検を行って維持管理する必要がある。
【0009】
本発明の目的は、製作コストが安く、維持管理に手間を必要とせず、視線誘導効果の高い視線誘導灯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の構成は次のとおりである。
【0011】
先ず、請求項1に記載の発明は、視線誘導灯において、内面に波形の屈折面を形成し、外面を平滑に形成したレンズを光源の前方に配置することにより、路肩にスネルの法則に基づく光の屈折でライン状に拡散した照射領域を形成することができるように構成して成るものである。
【0012】
また、請求項2に記載の視線誘導灯は、請求項1に記載の発明において、前記光源に単数又は複数のLEDが用いられていることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項3に記載の視線誘導灯は、請求項1又は2に記載の発明において、前記視線誘導灯は、路肩又はセンターライン又は路面標識をライン状の照射領域により照明するために用いられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によると、光源から出光された光は、レンズの波形の屈折面の作用により波形の谷の直線方向に対して直交する方向に出光拡散し、路面にベルト状の照射領域を形成することができる。
【0015】
また、誘導灯は、1個でライン状の照射領域を形成できることから、設置コストを安く抑えることができる。
【0016】
また、公知例のように複数の誘導灯の取付角度を調整してライン標示する前記公知例のように、強風等で狂った角度を調整すると云った維持管理の手間がかからない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る視線誘導灯の断面図。
【図2】本発明に係る視線誘導灯の正面図。
【図3】レンズの説明図。
【図4】視線誘導灯を道路に設置した状態の説明図。
【図5】レンズにおける屈折作用の説明図。
【図6】(A)は波形の屈曲面によりライン状に屈折して拡散して形成された照射領域の説明図、(B)は幅方向に形成される照射領域の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施例を図1〜図6に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明に係る視線誘導灯の内部構造が解る断面図、図2は視線誘導灯の正面図、図3はレンズの形状が解る斜視図、図4は本発明に係る視線誘導灯を道路において路肩に設置した状態の説明図、図5はレンズの屈折作用の説明図、図6(A)(B)はスネルの法則の説明図である。
【0020】
各図において、符号の1は視線誘導灯であって、この視線誘導灯1は、内部に高輝度の発光ダイオード(以下「LED」という。)3・・・をケース2内に複数個(実施例では8個)下向きに内蔵し、このLED3・・・の正面に平板状のレンズ4を取り付けた構成である。なお、LED3・・・の数及び配列に限定的な条件は無く、設置する場所及び目的等により任意に設計することができる。
【0021】
レンズ4は、LED3・・・からの光をスネルの法則に基づきライン状に拡散して路面に照射領域を形成することができるように、内面4a(LED3・・・側)の表面に図1、3に示すように凹曲レンズ溝6を平行に同一ピッチで形成した波形の屈折面5が形成され、外面7は平滑面から成り、本実施例では透明なアクリル樹脂製であるが、ガラス製を用いることもできる。
【0022】
8は前記ケース2の上方に形成された切妻形の雪屋根であって、雪はこの切妻形の傾斜屋根の作用で積らずに落下して雪害を防ぐことができる。
【0023】
9は取付金具であって、この取付金具9により図4に示すようにポール10に視線誘導灯1を下向きに取り付けることができる。
【0024】
図4において11はAC電源、12は太陽電池、13は矢羽根、14は路面、15は路肩、16は路肩表示ライン、17は積雪を示す。
【0025】
次に、レンズ4の光学的な作用を図5、図6に基づいて説明する。
【0026】
図5、図6において、aはレンズ4でライン状に形成された照射領域であって、この照射領域aは、レンズ4へ入射された光が、図5及び図6(A)に示すように凹曲レンズ溝6で屈折し、外面7から出射するときのスネルの法則により長さ(L)方向の領域を形成する。
【0027】
一方、凹曲レンズ溝6の溝方向に対して平行する入射光は、図5、図6(B)に示すように大きく屈折することなく下方へ出射して照射領域aにおいて幅(W)方向の領域を形成する。
【0028】
このように波状に形成された凹曲レンズ溝6方向に対して直角に交わる入射光は、図6(A)の断面図で示すよう、一つの凹曲レンズ溝6に入射する光の入射角が一様ではないため、広範囲な屈折角を作り出す。一方で、凹曲レンズ溝6の方向に対して平行する入射光は、図6(B)の断面図で示すよう、大きく屈折することなく下方へ出射される。
【0029】
線状に発せられる光の大きさは、凹曲レンズ溝6の湾曲の大きさを変えることで光の長さを任意に変えることが出来、また、凹曲レンズ溝6の方向に複数個の光源(LED3・・・)を配置することで、光の幅も任意に変えることが出来る。さらに、光源(LED3・・・)と入射面の距離を変え、凹曲レンズ溝6に入射する入射角を変化させることで、短距離の場合は細く短い線状で発し、長距離の場合は太く長い照射が得られる。
【0030】
以上に説明した視線誘導灯1は、積雪の多い地方の道路において、その路肩15をライン状に照明するのに最も有効であるが、このライン状に照明することにより有効な対象としては、センターラインとか路面に描いた交通標識等をライン状に照明する場合にも有効である。
【符号の説明】
【0031】
1 視線誘導灯
2 ケース
3 LED
4 レンズ
5 波形レンズ面
6 凹曲レンズ溝
7 外面
8 雪屋根
9 取付金具
10 ポール
11 AC電源
12 太陽電池
13 矢羽根
14 路面
15 路肩
16 路肩表示ライン
17 積雪
a 照射領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に波形の屈折面を形成し、外面を平滑に形成したレンズを光源の前方に配置することにより、路肩にスネルの法則に基づく光の屈折でライン状に拡散した照射領域を形成する視線誘導灯。
【請求項2】
前記光源に単数又は複数のLEDが用いられていることを特徴とする請求項1に記載の視線誘導灯。
【請求項3】
前記視線誘導灯は、路肩又はセンターライン又は路面標識をライン状の照射領域により照明するために用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の視線誘導灯。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−127108(P2012−127108A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279417(P2010−279417)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(391013531)株式会社吾妻製作所 (18)
【Fターム(参考)】