説明

親水性スクリーニング剤を含む水中油型ファインエマルション

【課題】 エネルギーを投入なしに調製され、優れた安定性および化粧品特性を有する、液滴の平均径が50〜500nmの範囲の水中油型エマルション組成物に関する。
【解決手段】
- (i)融点が45℃未満、HLBが10〜15の範囲にある非イオン界面活性剤(オキシエチレン基を少なくとも5個含む極性部と、炭素数14〜22個の分枝または不飽和アルキル鎖を少なくとも1つ含む非極性部とを含む)と、 (ii)陰イオン界面活性剤を含んでいる乳化系を含むこと、
- 親水性UV-スクリーニング剤を含むこと、
- 油性相が、(i)分子量400以下の炭化水素系の油(油性相の全重量に対して少なくとも25重量%)を含み、また(ii)油性相の全重量に対して15重量%未満のトリグリセリド系の油を含むこと、および
- 油の乳化系に対する重量比が0.8〜3.5の範囲にあること、
を特徴とする組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーを投入せずに得られる、少なくとも1つの親水性スクリーニング剤を含む水中油型ファインエマルションの形態をした局所適用組成物、前記組成物の生成方法、ならびに特に皮膚、外皮(毛髪、まつげまたは爪)および/または粘膜の処置、ケア、メイクアップおよび/またはクレンジングを目的とした前記組成物の使用方法に関する。前記組成物は、特に化粧品用および/または皮膚科用組成物とすることができる。
【背景技術】
【0002】
種々の理由、特に使いごこちの良さ(柔らかさ、エモリエント効果等)に関連する種々の理由によって、今日の化粧用または皮膚科用組成物は、通常水中油(O/W)型エマルション、すなわち水性分散連続相と油性分散非連続相とからなる支持体の形態をとっている。これらO/W型エマルションは、脂肪性分散連続相と水性分散非連続相とからなる油中水(W/O)型エマルションに較べ、使用時の皮膚に与える感触がより柔らく、よりべたつきがなく、よりさっぱりとしているため、油中水(W/O)型エマルションに較べて需要がある。
【0003】
さらに、化粧品、皮膚科学および薬学においては、ファインエマルションとしても知られる分散相の小液滴(または微小滴)を含むエマルションが、下記の理由で多く望まれている。
・ 質感のため:組成物を多少とも粘性とすることができ、ローションの稠度からクリームの稠度までの様々な粘性を有することができる。
・ 透明または乳光色組成物から白色組成物までの様々な外観を有することができるため。
・ 化粧品の感触、特にその組成物の浸透速度を促進するような感触のため。
・ このような組成物は、欧州のみでなく日本および他の国々の消費者をも満足させることから、マーケットの観点から幅広い位置を占める可能性があるため。
【0004】
本特許出願において、「ファインエマルション」とは、分散相の液滴サイズが50〜500ナノメートルの範囲にあるエマルションを言う。
【0005】
技術に関しては、現在、この種のO/W型ファインエマルションを得るためには、混合物にエネルギーを投入する必要がある。すなわち、分散相を細分化された細かい液滴に粉砕するための大きな機械的エネルギーか、または温度(80℃)による相変化のプロセスを経て、例えばPIT「転相温度」法によって調製される系を経てファインエマルションの調製を進行させる熱エネルギーのいずれかを投入する必要がある。これらの系についてはよく知られており、今日ではこれらの系によってファインエマルションを得ることが可能になっている。
【0006】
このように、エネルギーを機械的に投入する技術によって、(ナノエマルション)としても知られる透明なファインエマルションを得ることが可能となっており、この技術についてはEP-A-728460、EP-A-780114、EP-A-780115、EP-A-879589、EP-A-1010413、EP-A-1010414、EP-A-1010415、EP-A-1010416、EP-A-1013338、EP-A-1016453、EP-A-1018363、EP-A-1020219、EP-A-1025898、EP-A-1120102、EP-A-1120101、EP-A-1160005、EP-A-1172077およびEP-A-1353629等に記載されている。ナノエマルションの油の液滴の平均粒子サイズは100nm未満である。これらナノエマルションの欠点は、大きな機械的エネルギーの投入を必要とすることにある。
【0007】
ナノエマルションに関しては、以下の出版物、すなわちForgiarini、J.Esquena、C.GonzalezおよびC.Solans、「Formation of Nano-emulsions by Low Energy Emulsification. Methods at Constant Temperature」、Langmuir、2001年、17、2076-2083H頁、およびForgiarini、J.Esquena、C.GonzalezおよびC.Solans、「Studies of the Relation Between Phase Behavior and Emulsification Methods with Nanoemulsion Formation」、Prog.Colloid Polym Sci.、2000年、115(Trends in Colloid and Interface Science XIV)、36〜39頁にも記載がある。これら出版物は、特定の界面活性剤laureth-4(またはBrij 30)で安定化した、デカン/Brij 30混合物に水を添加して調製したデカン-水エマルションについて記載している。前記界面活性剤は短鎖(C12)アルキルを含んでおり、そのため長鎖アルキルを含む相同物に較べて刺激性となっている。また、これら出版物に記載されているエマルションは、特に微視的レベル(液滴径)において不安定であり、その不安定さゆえに工業用として利用できない。
【0008】
また、PIT法は、原則として当業者にはよく知られている方法であり、特にTh Forster他、「Phase Inversion Emulsification」、Cosmetics & Toiletries、第106巻、1991年12月、49〜52頁、T.Mitsui他、「Application of the phase-inversion-temperature method to the emulsification of cosmetics」、American Cosmetics and Perfumery、第87巻、1972年12月、およびWO-A-89/11907、DE-A-4318171、EP-A-815846およびEP-A-1297824の各文献に記載されている。
【0009】
しかし、これらファインエマルション得るための技術には下記の欠点があった。
・ PIT法は高温であるので、処方が制約される。したがって、本技術を引火点が低い熱による影響を受けやすい分子と共に用いることは難しく、本技術の使用は引火点が高い熱による影響を受けにくい分子に限定される。これによって、使用し得る出発物質の種類および数が限られることになる。別法として、例えば、引火点が低い分子を使用したいといとなると、この方法をこれら出発物質の機能に合わせて変えることが必要となり、ファインエマルションを得ることが一層複雑かつ高くつくことになる。したがって、この方法では、揮発性親油性化合物などの揮発性化合物、特に揮発性油、例えば揮発性シリコーンなどの使用、およびある種の熱による影響を受けやすい活性剤もしくは植物抽出物などの使用は除外されるか、または除外されないまでも制限されることになる。
・ エネルギーの投入によってファインエマルションの調製を可能にする高圧または超高圧ホモジナイザーは、高価でありまた壊れやすい装置あり、したがって工業的に実施すると莫大なコストが掛かる。
【0010】
また、透明マイクロエマルションが従来の技術において知られている。マイクロエマルションは、ナノエマルションと異なり、厳密に言えばエマルションではない。それらは、油で膨潤したミセルの透明溶液であり、このような油は一般に非常に鎖長が短く(例えば、ヘキサンやデカン)、また、ミセルを形成する界面活性剤および共界面活性剤を大量に共存させることによって溶解される。膨潤したミセルは、溶解可能である少量の油のせいで微細である。この微細なミセルが、マイクロエマルションが透明である理由である。しかし、前述のナノエマルションとは異なり、マイクロエマルションは、単純な電磁攪拌以外に機械的エネルギーを投入しなくても、構成成分を混合することによって、しかも構成成分の添加順序に関係なく自然発生的に形成される。さらに、マイクロエマルションは熱力学的に安定な系である。マイクロエマルションの主な欠点は、油に対する界面活性剤の比率が高いことに関連しており、それが、マイクロエマルションが許容されない原因であり、皮膚に適用するとねばつく感触を与える原因となっている。さらにD.F.EvanceおよびH.Wennerstrom、「The colloidal domain」、Wiley-VCH、1999年の論文の図11.7に示されるように、系のマイクロエマルション状態は、構成成分の選択およびその割合ならびに温度によって定義される。マイクロエマルションの説明に関しては、例えば、M.BourrelおよびR.S.Schechterの論文、「Microemulsions and related systems」、Marcel Dekker、1988年、25〜30頁を参考にすることができる。したがって、これらマイクロエマルションはファインエマルションではなく、前述したファインエマルションの欠点を解決することはできない。
【0011】
加えて、日焼け止め組成物の調製を望む時には、エマルジョンにスクリーニング剤を導入することが必要である。この場合、スクリーニング剤は前記エマルジョンを不安定化させるファクターであるので、ファインエマルジョンを調製することはより困難である。
【特許文献1】EP-A-728460
【特許文献2】EP-A-780114
【特許文献3】EP-A-780115
【特許文献4】EP-A-879589
【特許文献5】EP-A-1010413
【特許文献6】EP-A-1010414
【特許文献7】EP-A-1010415
【特許文献8】EP-A-1010416
【特許文献9】EP-A-1013338
【特許文献10】EP-A-1016453
【特許文献11】EP-A-1018363
【特許文献12】EP-A-1020219
【特許文献13】EP-A-1025898
【特許文献14】EP-A-1120102
【特許文献15】EP-A-1120101
【特許文献16】EP-A-1160005
【特許文献17】EP-A-1172077
【特許文献18】EP-A-1353629
【非特許文献1】Forgiarini、J.Esquena、C.GonzalezおよびC.Solans、「Formation of Nano-emulsions by Low Energy Emulsification. Methods at Constant Temperature」、Langmuir、2001年、17、2076-2083H頁
【非特許文献2】Forgiarini、J.Esquena、C.GonzalezおよびC.Solans、「Studies of the Relation Between Phase Behavior and Emulsification Methods with Nanoemulsion Formation」、Prog.Colloid Polym Sci.、2000年、115(Trends in Colloid and Interface Science XIV)、36〜39頁
【非特許文献3】Th Forster他、「Phase Inversion Emulsification」、Cosmetics & Toiletries、第106巻、1991年12月、49〜52頁
【非特許文献4】T.Mitsui他、「Application of the phase-inversion-temperature method to the emulsification of cosmetics」、American Cosmetics and Perfumery、第87巻、1972年12月
【特許文献19】WO-A-89/11907
【特許文献20】DE-A-4318171
【特許文献21】EP-A-815846
【特許文献22】EP-A-1297824
【非特許文献5】D.F.EvanceおよびH.Wennerstrom、「The colloidal domain」、Wiley-VCH、1999年
【非特許文献6】M.BourrelおよびR.S.Schechterの論文、「Microemulsions and related systems」、Marcel Dekker、1988年、25〜30頁
【特許文献23】FR-A-2570377
【特許文献24】EP-A-199636
【特許文献25】EP-A-325540
【特許文献26】EP-A-402072
【特許文献27】WO-A-00/26167
【非特許文献7】Riedel's、「Nonwoven Bonding Methods & Materials」、Nonwoven World、1987年
【特許文献28】WO-A-99/13861
【特許文献29】WO-A-99/25318
【特許文献30】WO-A-98/18441
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、希釈しても安定が維持される親水性スクリーニング剤を含むO/W型ファインエマルションの調製、また、従来技術に較べて安価でかつ簡単なプロセス、すなわち機械的エネルギーであれ熱エネルギーであれ一切のエネルギーの投入を必要とせず、したがって高温による進行なしの、または大量のエネルギーを投入する装置なしのプロセスであって、しかもファインエマルション組成物を構成する化合物の化学的安定性に影響しないようなプロセスよって得られる親水性スクリーニング剤を含むO/W型ファインエマルションを調製することが依然として必要とされている。
【0013】
驚くべきことに、本発明者は、界面活性剤を入念に選択し、油を入念に選択し、油/界面活性剤比を特定の値にし、かつスクリーニング剤を入念に選択することによって、エネルギーを一切投入せずに、しかも完全に室温で、スクリーニング剤を含むファインエマルションを調製することができることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明の主題は、水性相中に分散した油性相を含み、前記油性相の液滴の平均サイズが50〜500nmの範囲にある、水中油型エマルションの形態をした局所適用組成物であって、
- (i)融点が45℃未満、HLBが10〜15の範囲にある非イオン界面活性剤を少なくとも1つと(前記界面活性剤は、オキシエチレン基を少なくとも5個含む極性部と、炭素数14〜22個の分枝または不飽和アルキル鎖を少なくとも1つ含む非極性部とを含む)、(ii)陰イオン界面活性剤を少なくとも1つとを含んでいる乳化系を含むこと、
- 親水性UV-スクリーニング剤を少なくとも1つ含むこと、
- 前記油性相が、分子量が400を超えるかまたは400である炭化水素系の油を少なくとも1つ含む油性構成成分を含み、前記分子量が400を超えるかまたは400である炭化水素系の油の量が前記油性相の全重量に対して少なくとも25重量%であり、トリグリセリド系の油の量が前記油性相の全重量に対して15重量%未満であること、および
- 前記油性相の油性構成成分の、乳化系の量に対する重量比が0.8〜3.5の範囲にあること、
を特徴とする組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書で使用する「局所適用」とは、ケラチン物質、特に皮膚、頭皮、まつ毛、眉毛、爪、毛髪および/または粘膜に外用することを言う。本発明の組成物は局所適用を意図したものであるため、生理学的に許容し得る媒体を含む。「生理学的に許容し得る媒体」とは、皮膚、唇、頭皮、まつ毛、目、爪および/または毛髪と適合性のある媒体を言う。本発明の組成物は、特に化粧品用または皮膚科用組成物を構成することができる。
【0016】
本特許出願において、「油性相の油性構成成分の量」とは、油性相中に存在する油類およびその他の脂肪物質の総量、すなわち、界面活性剤と共界面活性剤とを特に含む乳化系以外の、油性相の構成成分の量を言う。
【0017】
更に、「親水性スクリーニング剤」とは、太陽光の遮断が可能な無機または有機化合物を意味し、この化合物は、水に可溶であり、または、水に分散可能である(すなわち、0.01重量%の濃度で水に溶けることができる)。水への溶解性が0.01重量%未満であるならば、化合物は非親水性であると見なされる。
【0018】
本発明の組成物の1つの基本的特徴によれば、水性相中に分散している油性相の粒子(または油滴)の平均径は50〜500nmの範囲、好ましくは50〜250nmの範囲、さらに好ましくは80〜200nmの範囲である。この平均径は、例えばBrookhaven Instruments Corporation社の装置Model BI-90を使用して、準弾性光散乱により測定した平均強度径である。
【0019】
前記油性相の粒子サイズによれば、本発明の組成物の外観は、透明から乳光色を経て白色の範囲に及ぶ。
【0020】
本発明のエマルションの利点は、室温で調製できることであり、したがって、組成物の構成成分(活性成分等)を分解することのない方法で調製でき、また、この系を得るのにエネルギーを必要としないため、比較的安価で簡便な方法かつ制約のない方法で調製できることである。さらに、本発明のエマルションの利点は、時間を経てもまた様々な保存温度(4℃、25℃、45℃)においても、クリーミング(すなわち油性粒子が浮く現象)、沈降(すなわち容器の底に油性粒子がたまる現象)および相分離(すなわち水性相と油性相との分離)のいずれも観察されることがなく、経時的にも温度にも完全に安定であることである。本発明のエマルションはまた、様々な形態をとり得るという利点も有している。すなわち粘性や感触(例えば油性分の機能としての感触)といった点で広範にわたる質感を有しており、このような種々の質感を、性向および感受性が様々に異なる消費者達に提供できることになる。
【0021】
加えて、本発明による、親水性スクリーニング剤を含む組成物の利点は、塗り広げるのが容易で適用感触が良い(爽やかな感覚)とともに光保護が可能であることであり、そして、前記したように、経時的にも温度にも完全に安定であることである。
【0022】
本発明の組成物は、多少とも粘性であり、ローション(液体製品)からクリーム(濃縮製品)の範囲の外観を有することができる。したがって、その粘度は例えば1センチポアズ(1mPa.s)から20000センチポアズ(20000mPa.s)に及ぶ。ここで粘度は、Rheomat 180粘度計を用い、せん断速度200rpmで、組成物の粘度にローターを適合させながら、10分せん断した後に測定される。
【0023】
(乳化系)
本発明の組成物は、(i)非イオン界面活性剤を少なくとも1つと、(ii)陰イオン界面活性剤を少なくとも1つ含む乳化系を含んでいる。この乳化系の場合、非イオン界面活性剤は一般に油性相に導入されるが、陰イオン界面活性剤は水性相または油性相のどちらかに導入される。
【0024】
前記乳化系は、組成物の全重量に対して0.6重量%〜11重量% 、好ましくは1.1重量%〜9重量%の範囲の量で存在することができる。
【0025】
[1.非イオン界面活性剤]
本発明の組成物に使用される非イオン界面活性剤の融点は45℃未満であり、したがって45℃より低い温度で液体であり、特に20〜44℃の温度範囲で液体である。また、本発明の組成物に使用される非イオン界面活性剤のHLBは10〜15の範囲にあり、それら界面活性剤は、オキシエチレン基を少なくとも5個含む極性部と、炭素数14〜22の分岐または不飽和アルキル鎖を少なくとも1個含む非極性部とを含む。
【0026】
乳化界面活性剤のHLB(親水性/親油性バランス)は下記式に従って算出される。
【0027】
【数1】

【0028】
上式において、親水性mは親水基(すなわち極性部)の重量を表し、SAの全重量mは界面活性剤の全重量を表す。
【0029】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、前記非イオン界面活性剤は、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリオールのオキシエチレン化脂肪酸エステル、オキシエチレン化脂肪アルコールエーテルおよびそれらの混合物から選択される。これらオキシエチレン化界面活性剤は、オキシエチレン基を少なくとも5個含んでおり、例えば、オキシエチレン基を5〜21個、好ましくはオキシエチレン基を5〜18個含むことがある。
【0030】
ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルの例としては、Prisorine 3644の名で市販されているUniqema社の製品などのPEG-8イソステアレート(またはポリエチレン400イソステアレート)、PEG-10イソステアレート、PEG-12イソステアレートおよびPEG-15イソステアレート、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0031】
ポリオールのオキシエチレン化脂肪酸エステルの例としては、グリセリンのオキシエチレン化脂肪酸エステル、ソルビトールのオキシエチレン化脂肪酸エステルが特に挙げられ、具体例としてはOxypon 2145の名で市販されている Zscimmer Schwarz社の製品などのPEG-15グリセリルイソステアレートおよびPEG-20ソルビタントリイソステアレートが挙げられ、またそれらの混合物も挙げられる。
【0032】
オキシエチレン化脂肪アルコールエーテルの一例としては、Arosurf 66E10の名で市販されているWitco社の製品などのイソステアレス-10が挙げられる。
【0033】
前記界面活性剤の混合物も使用可能である。
【0034】
先に定義したような非イオン界面活性剤の量は、例えば、組成物の全重量に対して0.5重量%〜10重量%、好ましくは1重量%〜8重量%の範囲である。
【0035】
[2.陰イオン界面活性剤]
本発明の組成物に使用される陰イオン界面活性剤は、特に
- リン酸ジセチルおよびリン酸ジミリスチルの各アルカリ塩、
- 硫酸コレステリルのアルカリ塩、
- リン酸コレステリルのアルカリ塩、
- アシルグルタミン酸一ナトリウム、アシルグルタミン酸ニナトリウムなどのアシルアミノ酸(またはリポアミノ酸)塩、例えば、Acylglutamate HS21の名で市販されているAjinomoto社のN-ステアロイル-L-グルタミン酸のニナトリウム塩、
- ホスファチジン酸のナトリウム塩、
- 硫酸アルキルおよびアルキルスルホネートの誘導体、および
- それらの混合物
からなる群から選択することができる。
【0036】
本発明の1つの好ましい実施形態によれば、使用される陰イオン界面活性剤はアシルグルタミン酸一ナトリウム、アシルグルタミン酸ニナトリウムなどのアシルアミノ酸塩、例えば、Acylglutamate HS21の名で市販されているAjinomoto社のN-ステアロイル-L-グルタミン酸のニナトリウム塩である。
【0037】
前記陰イオン界面活性剤は、本発明のエマルション中に、組成物の全重量に対して好ましくは0.05重量%〜2重量%、さらに好ましくは0.1%〜1%の量で存在することができる。
【0038】
[3.共界面活性剤]
乳化系は、HLBが5未満の界面活性剤である共界面活性剤を、1種またはそれ以上含むこともできる。これら共界面活性剤の融点は45℃未満または45℃であり、したがって45℃未満または45℃の温度で液体であり、特に20〜45℃の温度範囲で液体である。前記共界面活性剤の例としては、イソステアリルアルコールおよびオレイルアルコールなどの脂肪アルコール、グリセリルイソステアレートなどの脂肪アルコールのグリセリンエステル、ならびにソルビタンイソステアレートなどの脂肪アルコールのソルビタンエステルが挙げられる。共界面活性剤の量は、例えば、組成物の全重量に対して0.005重量%〜5重量%、好ましくは 0.01重量%〜2重量%の範囲である。
【0039】
(UV-スクリーニング剤)
親水性UV-スクリーニング剤は、有機UV-スクリーニング剤、無機スクリーニング剤(被覆または非被覆、水溶性または水分散性の、金属‐チタン、鉄、亜鉛、ジルコニウムまたはセリウムの酸化物の顔料またはナノ顔料)、およびこれらの混合物から選択される。
【0040】
有機UV-スクリーニング剤は、イオン性または非イオン性、および/またはポリマーとすることができる。
【0041】
本発明の1つの好ましい実施態様によれば、本発明において使用される親水性UV-スクリーニング剤は、フェニルベンズイミダゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体およびフェニルベンゾトリアゾール誘導体、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0042】
a) 挙げることができるフェニルベンズイミダゾール誘導体の一例としては、以下の化学構造:
【0043】
【化1】

【0044】
を有する、特にMerck社によりEusolex 232の名で市販されている、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸である。
【0045】
特にHaarmann & Reimer社によりNeo Heliopan APの名で市販されているベンズイミダジレートもあげることができる。
【0046】
b) 挙げることができるベンゾフェノン誘導体の一例としては、以下の化学構造:
【0047】
【化2】

【0048】
を有する、BASF社によりUvinul MS40の名で市販されている、ベンゾフェノン‐4である。
【0049】
BASF社によりUvinul DS49の名で市販されているベンゾフェノン‐9もあげることができる。
【0050】
c) 挙げることができるフェニルベンゾトリアゾール誘導体の一例としては、以下の化合構造:
【0051】
【化3】

【0052】
を有する、特にCiba Specialty Chemicals社によりTinosorb Mの名で市販されている、メチレンビス(ベンゾトリアゾイルテトラメチルブチルフェノール)である。
【0053】
これらスクリーニング剤の混合物を使用することができる。
【0054】
挙げることができる無機親水性スクリーニング剤の一例は、Mirasun TIW60の名で市販されているRhodia社のシリカ/アルミナで被覆されたアナテース酸化チタンの水溶性分散物(60 nm)、およびMT-100QAの名で市販されているTayca社のシリカ/水酸化アルミニウム/アルギン酸で処理されたミクロ化酸化チタン(ルチル)を含む。
【0055】
親水性スクリーニング剤の量は、望む太陽光線保護、および、特に望むSPF(すなわち、太陽光線保護指数)によって変化する。この量は(活性物質として)、例えば、組成物の全重量に対して0.1重量%〜20重量%の範囲とすることができる。
【0056】
本発明の組成物は、組成物を不安定化させる傾向を有するので、好ましくは、親油性(すなわち疎水性)スクリーニング剤を含まない。
【0057】
(油性相)
油性相は油性構成成分を含み、分子量が400を超えるかまたは400である炭化水素系の油を少なくとも1つ含んでいなければならず、前記分子量が400を超えるかまたは400である炭化水素系の油の量は前記油性相の全重量に対して少なくとも25重量%であり、例えば、前記油性相の全重量に対して25重量%〜100重量%であり、好ましくは25重量%〜80重量%であり、さらに好ましくは30重量%〜70重量%である。
【0058】
また、前記油性相は、トリグリセリド系の油を前記油性相の全重量に対して15重量%未満含んでいなければならない。
【0059】
本特許出願において、「炭化水素系の油」とは、基本的に炭素原子と水素原子で形成されるかまたは炭素原子と水素原子からなる油であって、酸素原子および窒素原子を含むことも有りうるが、ケイ素原子やフッ素原子は含まない油を言う。このような油はエステル基、エーテル基、アミン基またはアミド基を含むことができる。本発明に従って使用される分子量が400を超えるかまたは400である炭化水素系の油は、融点が45℃未満のアルカン類、脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテル、およびそれらの混合物から選択される。分子量が400を超えるかまたは400である炭化水素系の油の例としては、特にホホバ油、イソセチルパルミテートおよびイソセチルステアレートなどの脂肪酸エステル、植物由来の油、ジイソステアリルエーテルなどの脂肪アルコールエーテルが挙げられる。本発明の好ましい実施態様によれば、少なくとも1つの分子量が400を超えるかまたは400である炭化水素系の油は、融点が45℃未満のアルカン類から選択される。
【0060】
融点が45℃未満のアルカン類の例としては、特にParleam(登録商標)油などの水素化ポリイソブテンおよび液状石油ゼリー、ならびにそれらの混合物が挙げられる。本発明の1つの実施形態によれば、融点が45℃未満のアルカン類の量は、油性相の重量に対して25重量%〜100重量%であり、好ましくは25重量%〜80重量%であり、さらに好ましくは30重量%〜70重量%である。
【0061】
通常、トリグリセリド系の油の分子量は400を上回る。しかし、本発明の目的を達成するためには、トリグリセリド系の油の量は、油性相の全重量に対して15重量%未満、好ましくは10重量%未満に抑えるべきである。ここで油性相とは、前述のように、乳化系の界面活性剤を含まず油性構成成分を含むものである。トリグリセリド系の油の例としては、アーモンド油、アボガド油、ヒマシ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、グレープシード油、なたね油、ココナッツ油、ヘーゼルナッツ油、シアバター油、ヤシ油、アプリコット核油、ビューティリーフ油、米ぬか油、トウモロコシ胚芽油、小麦胚芽油、大豆油、ヒマワリ油、月見草油、紅花油、パッションフラワー油およびライムギ油などの植物由来の油が挙げられる。
【0062】
油性相は、分子量が400を超えるかまたは400である炭化水素系の油の他に、例えば、分子量が400または400未満のシリコーン油または炭化水素系の油から選択される分子量が400未満の油を、1種またはそれ以上含むことができる。このようなシリコーン油の例としては、特に環状または線状シリコーン油、特に25℃における粘度が10センチストークス未満または10センチストークスであるような環状または線状シリコーン油が挙げられ、具体例として、シクロペンタシロキサンおよびシクロヘキサジメチルシロキサンなどのシクロポリジメチルシロキサン類(シクロメチコーン類)が挙げられる。分子量が400未満の炭化水素系の油の例としては、イソドデカン(分子量194)、イソヘキサデカン(分子量258)およびジオクチルシクロヘキサンなどのイソパラフィン類、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルネオペンタノエートおよびイソノニルイソノナノエート(分子量320)などの脂肪酸エステル、ジカプリリルエーテルなどの脂肪エーテルが挙げられる。
【0063】
油性相の量は、組成物の全重量に対して、例えば0.5重量%〜55重量%、好ましくは1重量%〜40重量%、さらに好ましくは2重量%〜40重量%、より好ましくは5重量%〜30重量%である。
【0064】
本発明の組成物において、油性相を構成する油性成分の乳化系に対する重量比は、0.8〜3.5の範囲、好ましくは0.7〜3の範囲である。前述のように、油性相を構成する油性成分の量は、油性相に存在する油およびその他の脂肪物質の総量、すなわち乳化系の界面活性剤および/または共界面活性剤形成部分以外の、油性相構成成分の量と一致する。
【0065】
(水性相)
分散性の水性相は、従来、水または水と親水性化合物との混合物で構成される。ここで親水性化合物とは、特に例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールおよびソルビトールなどの多価アルコール類ならびにエタノール、イソプロパノールまたはブタノールなどの水溶性低級アルコール類である。また言うまでもなく分散性の水性相は、水溶性または水分散性アジュバント、特に従来使用されている化粧品用または皮膚科学用水溶性アジュバントを含むこともできる。
【0066】
水性相の量は、組成物の全重量に対して、45重量%〜99.5重量%、好ましくは60重量%〜99重量%、さらに好ましくは60重量%〜98重量%である。
【0067】
(アジュバント)
本発明のエマルションの水性相および/または油性相が(それらの水溶性または脂質可溶性に従って)含むことができるアジュバントのうち、イオンまたは非イオン増粘剤、酸化防止剤、柔軟剤、化粧品用または皮膚科学用活性剤、芳香剤、防腐剤、賦形剤、金属イオン封鎖剤、顔料、染料、その他本考察の対象分野で通常使用される成分を特に挙げることができる。
【0068】
言うまでもなく、当業者ならば、本発明の組成物に本来備わっている有利な特性がアジュバントの添加をもくろむことによって悪影響を受けないように、または実質的に悪影響を受けないように、本発明の組成物に任意で添加される化合物およびそれらの量を注意深く選択するであろう。
【0069】
活性剤の例としては以下のものを挙げることができる。
- 保湿剤、例えば乳酸ナトリウム;特にグリセリン、ソルビトールおよびポリエチレングリコールなどのポリオール類;アミノ酸類;ヒアルロン酸;ラノリン;NMF(天然保湿因子)などの尿素および尿素含有混合物;石油ゼリー;N-ラウロイルピロリドンカルボン酸およびその塩;必須脂肪酸;精油;ならびにそれらの混合物、
- 抗加齢活性剤および角質溶解剤、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マンデル酸およびそれらの誘導体などのα-ヒドロキシ酸類、特に果実由来の酸類、ならびにそれらの混合物;例えば5-n-オクタノイルサリチル酸または5-n-ドデカノイルサリチル酸などのサリチル酸およびその誘導体などのβ-ヒドロキシ酸類;例えばアスコルビン酸またはビタミンC、ならびに例えばアスコルビン酸ナトリウムおよびアルコルビルリン酸マグネシウムまたはアルコルビルリン酸ナトリウムなどといったアスコルビン酸の塩などの誘導体など、α-ケト酸類;例えばアスコルビルアセテート、アスコルビルパルミテートおよびアスコルビルプロピオネートなどのアスコルビン酸のエステル類、または例えばグリコシル化アスコルビン酸などのアスコルビン酸の糖類、ならびにそれらの混合物;β-ケト酸類;例えばレチノール(ビタミンA)およびそのエステル類、レチナール、レチノイン酸、およびそれらの誘導体などのレチノイド類、ならびにFR-A-2570377、EP-A-199636、EP-A-325540およびEP-A-402072などの文献に記載のレチノイド類;アダパレン;カロチノイド;ならびにそれらの混合物、
-ビタミン類、例えば、先述のビタミンAおよびC、ならびにビタミンE(トコフェロール)およびその誘導体;ビタミンB3(またはビタミンPPもしくはナイアシンアミド)およびその誘導体;ビタミンB5(またはパンテノールもしくはパンテニルアルコールもしくは2,4-ヒドロキシ-N-(3-ヒドロキシプロピル)-3,3-ジメチルブタンアミド、およびD-パンテノールDL-パンテノールなどのその種々の形)ならびにカルシウムパントテネート、パンテチン、パントテイン、エチルパンテニルエーテル、パンガミン酸、ピリドキシン、パントイルラクトース、およびローヤルゼリーなどビタミンB5を含有する天然化合物などのビタミンB5誘導体および類似体;ビタミンD、および文献WO-A-00/26167に記載されているようなビタミンD類似体;ビタミンF、または二重結合を少なくとも1つ含む不飽和酸の混合物などの類似体、特にリノール酸、リノレイン酸およびアラキドン酸の混合物などの類似体、またはそれらを含有する化合物、
- 抗細菌剤および抗脂漏剤、例えば、サリチル酸、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(またはトリクロサン)、3,4,4'-トリクロロバニライド(またはトリクロカルバン)、アゼライン酸、過酸化ベンゾイル、ならびに例えば乳酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、亜鉛ピドレート、カルボン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛および/または特にシステイン酸亜鉛などの亜鉛塩。
【0070】
特に増粘剤の例としては、増粘性ポリマー、特に以下のものを挙げることができる。
- Carbopol(INCI名称 カーボマー)の名で市販されているNoveon社の製品などのカルボキシビニルポリマー;LubrajelおよびNorgelの名で市販されている Guardian社の製品などのポリアクリレートおよびポリメタアクリレート、または Hispagelの名で市販されているHispano Chimica社の製品などのポリアクリレートおよびポリメタアクリレート、
- ポリアクリルアミド、
- 場合によって架橋および/または中和されている2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ポリマーおよびコポリマー、例えば、Hostacerin AMPS(INCI名称 アンモニウムポリアクリルジメチルタウラミド)の名で市販されているClariant社のポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)コポリマー、または、例えば、W/Oエマルションの形態をした、アクリルアミドおよびAMPSそれぞれの架橋コポリマー(例えば、SEPPIC社によりSepigel 305(INCI名称 ポリアクリルアミド/C13-14イソパラフィン/ラウレス-7)およびSimulgel 600(INCI名称 アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80)の名で市販されている製品)[また、Aristoflex SNC、LNC、HMSそれぞれの名で市販されているClariant社の製品などの、疎水性部分を含む架橋または線状AMPSポリマーも例として挙げることができる。]、
- 多糖類、例えば、キサンタンガム、グアーガムおよびヒドロキシプロピルグアーなどのグアーガムの誘導体、特にJaguar HP105の名で市販されている Rhodia社の製品、ローカストビンガム、アカシアガム、スクレログルカン、キチンおよびキトサンそれぞれの誘導体、カラギーナン、ゲラン、アルギン酸塩、微小質セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース類、例えば、Natrosol 250HHRの名で市販されているAqualon社の製品、
- 疎水性ブロックを少なくとも1個と親水性ブロックを少なくとも1個を含む非イオンポリマー、例えば、Serad FX1010、Serad FX1100(INCI名称 ステアレス-100/PEG-136/HMDIコポリマー)およびSerad FX1035それぞれの名で市販されているHuls社のポリウレタン、Rheolate 255、Rheolate 278およびRheolate 244それぞれの名で市販されているRheox社のポリウレタン(INCI名称 ポリエーテル-ウレア-ポリウレタン)、DW 1206F、DW 1206J、DW 1206BおよびDW 1206Gそれぞれの名で市販されているRohm & Haas社のポリウレタン(INCI名称 ポリウレタン)、ならびにAcrysol RM 2020の名で市販されているRohm & Haas社の製品[Aculyn 46(INCI名称 PEG-150ステアリルアルコール/SMDIポリマー)およびAculyn 44(INCI名称 PEG-150デシルアルコール/SMDIポリマー)それぞれの名で市販されているRohm & Haas社のSMDIと脂肪アルコールのコポリマー水溶液も例として挙げることができる。]、
- 疎水性鎖を少なくとも1個含む陰イオンポリマー、特に、少なくとも1つの疎水性鎖を含むアクリルまたはメタクリルポリマーまたはコポリマー(ターポリマーを含む)、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸またはそれらのエステルと、疎水性基を含むエチレン不飽和モノマーとの共重合によって得られるコポリマー(例えば、Pemulen TR1、Pemulen TR2またはCarbopol 1382(INCI名称 アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー)の名で市販されているNoveon社の架橋コポリマー、Viscophobe DB1000の名で市販されているAmerchol社のメタクリル酸/アクリル酸メチル/ジメチル-メタ-イソプロペニルベンジルイソシアネートエトキシル化ターポリマーの25%水溶液、Structure 2001の名で市販されているNational Starch社のアクリル酸/モノステアリルイソシアネートオキシエチレン化(20 OE)コポリマーの30%水分散液、Structure 3001の名で市販されている National Starch社のアクリル酸/モノセチルイソシアネートエトキシル化(20 OE)コポリマーの30%水分散液、およびAculyn 22の名で市販されているRohm & Haas社のアルカリ媒体に可溶なアクリルコポリマーの30%水分散液)、
- 疎水性ブロックを少なくとも1個と親水性ブロックを少なくとも1個を含む陽イオンポリマー、例えば、polyquaternium-24(例えば、Quatrisoft LM200の名で市販されているAmerchol社の製品)、
- 架橋陽イオンポリマー、例えば、Salcare SC96の名で市販されているCiba社のpolyquaternium-37およびSynthalen CRの名で市販されている3V Sigma社のpolyquaternium-37。
【0071】
本発明の主題はまた、これらエマルションを調製する方法でもある。その方法は、
(1)油およびその他の脂肪物質を含有する油性相(A)と乳化系とを、均一相が得られるまで、例えばマグネティックバーを使って、約20℃〜45℃の温度で攪拌しながら調製すること、
(2)相(A)に、組成物の全重量に対して0.1重量%〜3重量%の水(相B)を導入し、均一相(C)が得られるまで混合すること、
(3)相(C)に、組成物の全重量に対して55重量%〜75重量%の水(相D)を添加し、混合した後に均一相Eを得ること、ならびに
(4)水性相(相F)の構成成分の残りを添加すること、
を含む。
【0072】
親水性UV-スクリーニング剤は、一般的に相(F)に存在する。
【0073】
攪拌は、だいたい20℃〜45℃の温度で、マグネティックバー、またはその他の穏やかなしたがって低エネルギーの攪拌が可能な攪拌システムを使用して実施することが好ましい。ここで「穏やかな攪拌」とは、せん断速度1000s-1未満、好ましくは100s-1未満で実施される攪拌のことを言う。
【0074】
組成物の全重量の0.4%未満の量であれば、場合によって、相(F)の調製と同時に芳香剤を添加することもできる。芳香剤の量が多いと、0.4%を上回る余分な芳香剤は油性相に添加される。したがって、組成物がその1%にあたる量の芳香剤を含有する場合、0.6%は油性相に0.4%が水性相(F)に含まれることになる。
【0075】
本発明の組成物は、皮膚、頭皮、毛髪、まつ毛、眉毛、爪または粘膜などのあらゆるケラチン物質に使用することができる。本発明の組成物は、例えば、顔、手またはボディ用保護クリーム、薬用クリームまたはケアクリーム、また例えば皮膚、頭皮または粘膜用保護またはケアボディミルクなどのスキンケア製品として使用することができ、または例えば皮膚もしくは粘膜用クレンジング製品などの衛生製品としても、またはヘア製品もしくは日焼け止め製品としても使用することができる。
【0076】
本発明の組成物はまた、皮膚および/または毛髪用メイクアップ製品を構成することもでき、例えばその中に顔料を組み入れることによって特にファンデーションを構成することができる。
【0077】
本発明の主題はまた、先に定義したような組成物を、スキンケア製品、衛生製品、ヘア製品、日焼け止め製品およびメイクアップ製品として、化粧料用に使用することである。
【0078】
本発明の別の主題は、皮膚、頭皮、毛髪、まつ毛、眉毛、爪または粘膜などのケラチン物質を処置する化粧方法であって、先に定義した組成物をケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0079】
さらに、本発明の組成物が適度な液性を有する場合、それを水不溶性物質に含浸させて、皮膚、まつ毛および/または唇のケア用、クレンジング用および/またはそれらからのメイクアップ除去用物品(拭きとり製品など)を構成することもできる。水不溶性物質は、1つまたはそれ以上の層を含んでいてよく、織布、不織布、発泡体、スポンジ、詰綿、フェルト、ボールまたはフィルムからなる群から選択することができる。特に、天然繊維(亜麻、毛、綿または絹)をベースにした不織基材または合成繊維(セルロース誘導体、ビスコース、ポリビニル誘導体、例えばポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン、例えばナイロンなどのポリアミド、およびアクリル誘導体)をベースにした不織基材とすることができる。不織布についてはRiedel's、「Nonwoven Bonding Methods & Materials」、Nonwoven World、1987年にその一般的概念が記載されている。これら水不溶性物質は、不織布を作製する技術の通常のプロセスに従って得られる。
【0080】
前記基材が不織布である場合、丸まって玉になることがなく、皮膚に適用した時に崩壊したりけば玉ができたりしないような丈夫な、肉厚の不織布を使用することが好ましい。前記基材は吸収力がなければならず、特に目からメイクアップを除去する場合、少なくともメイクアップ除去用の片面は柔らかくなければならない。好適な不織布の例としては、Ultraloft 15285-01、Ultraloft 182-008、Ultraloft 182-010およびUltraloft 182-016の名で市販されているBBA社の不織布、Vilmed M1519 Blau、Vilmed M1550 N and 112-132-3の名で市販されているFreudenberg社の不織布、Norafin 11601-010Bの名で市販されているJacob Holm Industries社の製品、ならびにUnivel 109および Univel 119の名で市販されているUni Flockage社のフロック不織布が挙げられる。
【0081】
また、この基材は同一の特性または異なる特性を有する層を1つまたはそれ以上含むことができ、所望の用途に好適な弾性、柔らかさおよびその他の特性を有することができる。前記基材は、例えば、文献WO-A-99/13861に記載のように、異なる弾性特性を有する2つの部分を含むことができるし、文献WO-A-99/25318に記載のように、異なる比重を有する単一の層を含むことができるし、また文献WO-A-98/18441に記載のように、異なる織地の2つの層を含むこともできる。
【0082】
基材に含浸させる組成物は、所望の目的に好適であればいかなる化合物をも含むことができ、例えば、クレンジング用ワイプを得るために起泡界面活性剤を含むことができ、またはスキンケア用ワイプを得るためにケア活性剤を含むことができる。それらは、例えば、顔料を含みファンデーションを構成し得る組成物をワイプに含浸させることによって、皮膚のメイクアップ用としても使用できる。
【0083】
したがって、本発明の主題は、水不溶性物質に先に定義したような組成物を含浸させることによって得られる物品でもある。
【0084】
また本発明の主題は、皮膚、唇および/またはまつ毛をケアするための物品、それらからメイクアップを除去するための物品、それらをクレンジングするための物品、もしくはそれらをメイクアップするための物品を作製するための、先に定義した組成物の使用方法である。
【実施例】
【0085】
下記の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するものではない。実施例において使用する量は、すべて重量パーセントで表されるものとする。化合物は、場合によってINCIまたは化学名で表示するものとする。
【0086】
【表1】

【0087】
【表2】

【0088】
これらの比較例は、用いたスクリーニング剤が親油性スクリーニング剤であり、ファインエマルジョンを物理化学的に安定に保持することができない点で、本発明に従う実施例と異なっている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性相中に分散した油性相を含み、前記油性相の液滴の平均径が50〜500nmの範囲にある、水中油型エマルションの形態をした局所適用組成物であって、
− (i)融点が45℃未満、HLBが10〜15の範囲にある非イオン界面活性剤であって、オキシエチレン基を少なくとも5個含む極性部と、炭素数14〜22個の分枝または不飽和アルキル鎖を少なくとも1つ含む非極性部とを含む非イオン界面活性剤を少なくとも1つと、(ii)陰イオン界面活性剤を少なくとも1つを含んでいる乳化系を含むこと、
− 少なくとも1つの親水性UV-スクリーニング剤を含むこと、
− 前記油性相が、分子量が400を超えるかまたは400である炭化水素系の油を少なくとも1つ含む油性構成成分を含み、分子量が400を超えるかまたは400である前記炭化水素系の油の量が前記油性相の全重量に対して少なくとも25重量%であり、トリグリセリド系の油の量が前記油性相の全重量に対して15重量%未満であること、および
− 前記油性相の油性構成成分の、乳化系の量に対する重量比が0.8〜3.5の範囲にあること、
を特徴とする組成物。
【請求項2】
前記非イオン界面活性剤が、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、ポリオールのオキシエチレン化脂肪酸エステルおよびオキシエチレン化脂肪アルコールエーテル、ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記非イオン界面活性剤が、PEG-8イソステアレート、PEG-10イソステアレート、PEG-12イソステアレート、PEG-15イソステアレート、PEG-15グリセリルイソステアレート、PEG-20ソルビタントリイソステアレートおよびイソステアレス-10、ならびにそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記非イオン界面活性剤の量が、組成物の全重量に対して0.5重量%〜10重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記陰イオン界面活性剤が、
− リン酸ジセチルおよびリン酸ジミリスチルの各アルカリ塩、
− 硫酸コレステリルのアルカリ塩、
− リン酸コレステリルのアルカリ塩、
− アシルアミノ酸塩、
− ホスファチジン酸のナトリウム塩、
− 硫酸アルキルおよびアルキルスルホネート、および
− それらの混合物、
からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記陰イオン界面活性剤の量が、組成物の全重量に対して0.05重量%〜2重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記乳化系の量が、組成物の全重量に対して0.6重量%〜11重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記親水性UV-スクリーニング剤が、有機UV-スクリーニング剤および無機スクリーニング剤、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記親水性UV-スクリーニング剤が、フェニルベンズイミダゾール誘導体、ベンゾフェノン誘導体およびフェニルベンゾトリアゾール誘導体、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記親水性UV-スクリーニング剤の量が組成物の全重量に対して0.1重量%〜20重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
分子量が400を超えるかまたは400である少なくとも1つの前記炭化水素系の油が、融点が45℃未満のアルカン類から選択されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記油性相の量が組成物の全重量に対して0.5重量%〜55重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
スキンケア製品、衛生製品、ヘア製品、日焼け止め製品およびメイクアップ製品としての、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物の化粧的使用。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に適用することを特徴とするケラチン物質を処置するための化粧方法。
【請求項15】
請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を水不溶性基材に含浸させることによって得られる物品。
【請求項16】
皮膚、唇および/またはまつ毛のケア用品、それらからメイクアップを除去する用品、それらのクレンジング用品、または、それらのメイクアップ用品を作製するための請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法であって、
(1)油およびその他の脂肪物質を含有する油性相(A)と乳化系とを、均一相が得られるまで20℃から45℃の温度で攪拌しながら調製すること、
(2)相(A)に、組成物の全重量に対して0.1重量%〜3重量%の水(相B)を導入し、均一相(C)が得られるまで混合すること、
(3)相(C)に、組成物の全重量に対して55重量%〜75重量%の水(相D)を添加し、混合した後に均一相Eを得ること、ならびに
(4)水性相(相F)の構成成分の残りを添加すること、
からなる方法。
【請求項18】
せん断速度1000s-1未満で攪拌を行うことを特徴とする請求項17に記載の方法。

【公開番号】特開2006−8691(P2006−8691A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−187148(P2005−187148)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】