角度測定装置、角度の測定方法、及びプログラム
【課題】従来技術と比較して、簡易に角度を測定する。
【解決手段】ビデオカメラ12によって取得された複数個の画像データに基づいて算出された指定時刻から単位時間経過後の複数のマーカの各々の三次元位置、初期距離、及び初期角度に基づいて算出された各二次元移動量と、追尾結果により得られる指定時刻から単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元移動量との差の二乗和、及び複数のマーカの各々の画像上での各二次元位置と、追尾結果により得られる指定時刻から単位時間経過後の複数のマーカの各々の画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、初期移動量、初期座標、及び初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を測定対象平面の角度として測定する。
【解決手段】ビデオカメラ12によって取得された複数個の画像データに基づいて算出された指定時刻から単位時間経過後の複数のマーカの各々の三次元位置、初期距離、及び初期角度に基づいて算出された各二次元移動量と、追尾結果により得られる指定時刻から単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元移動量との差の二乗和、及び複数のマーカの各々の画像上での各二次元位置と、追尾結果により得られる指定時刻から単位時間経過後の複数のマーカの各々の画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、初期移動量、初期座標、及び初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を測定対象平面の角度として測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度測定装置、角度の測定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2台以上のビデオカメラを用いてタイヤなどの物体の3次元形状を測定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−89357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、2台以上のビデオカメラを用いて3次元形状を測定しており、1台のビデオカメラ(撮影装置)では3次元形状を測定できない。そのため、簡易な構成で物体の角度を測定できない、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる角度測定装置、角度の測定方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の角度測定装置は、移動すると共に回転する測定対象平面の平面上に配置された複数のマーカを連続的に複数回撮影することにより、前記複数のマーカを含む画像の画像データを複数個取得するための撮影装置と、前記撮影装置によって取得された複数個の画像データに基づいて、該複数個の画像データが示す複数の画像の各々に含まれる前記複数のマーカの各々について画像上での二次元位置を追尾する追尾手段と、前記追尾手段の追尾結果に基づいて、指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上の二次元位置、及び所定の単位時間当たりの画像上での二次元移動量を算出する第1の算出手段と、予め定められた前記測定対象平面の所定方向及び前記測定対象平面に垂直な方向の前記単位時間当たりの移動量である初期移動量、予め定められた前記測定対象平面の移動方向及び該移動方向と直交する方向各々の前記複数のマーカの各々の二次元の座標である初期座標、予め定められた前記撮影装置から前記測定対象平面までの距離である初期距離、及び予め定められた前記撮影装置に対する前記測定対象平面の角度である初期角度を設定する設定手段と、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記複数のマーカの各々の前記平面上の三次元座標に対応する前記画像上での二次元位置を各々算出する第2の算出手段と、前記第2の算出手段で算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記第1の算出手段で算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が各々最小となるように、前記複数のマーカの各々の前記平面上での二次元座標を調整する調整手段と、前記調整手段によって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求める第3の算出手段と、前記第3の算出手段により算出された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の三次元座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での二次元位置を求め、前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、当該求められた前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する第4の算出手段と、前記第4の算出手段によって算出された各二次元移動量と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を前記測定対象平面の角度として測定する測定手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる。
【0008】
なお、請求項2に記載したように、前記第3の算出手段は、前記測定対象平面の予め定められた単位時間当たりの三つの回転角度である初期回転角度、前記測定対象平面の回転角度の初期値である回転角度初期値、前記調整手段によって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標、及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求め、前記測定手段は、前記第4の算出手段によって算出された各二次元移動量と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、前記初期角度、及び前記初期回転角度を調整した場合における調整後の前記初期回転角度を前記測定対象平面の角速度として測定するようにしてもよい。
【0009】
本発明によれば、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度及び角速度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度及び角速度を測定することができる。
【0010】
請求項3記載の発明の角度の測定方法は、移動すると共に回転する測定対象平面の平面上に配置された複数のマーカを連続的に複数回撮影することにより、前記複数のマーカを含む画像の画像データを複数個取得するための撮影装置によって取得された複数個の画像データに基づいて、該複数個の画像データが示す複数の画像の各々に含まれる前記複数のマーカの各々について画像上での二次元位置を追尾する追尾ステップと、前記追尾ステップの追尾結果に基づいて、指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上の二次元位置、及び所定の単位時間当たりの画像上での二次元移動量を算出する第1の算出ステップと、予め定められた前記測定対象平面の所定方向及び前記測定対象平面に垂直な方向の前記単位時間当たりの移動量である初期移動量、予め定められた前記測定対象平面の移動方向及び該移動方向と直交する方向各々の前記複数のマーカの各々の二次元の座標である初期座標、予め定められた前記撮影装置から前記測定対象平面までの距離である初期距離、及び予め定められた前記撮影装置に対する前記測定対象平面の角度である初期角度を設定する設定ステップと、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記複数のマーカの各々の前記平面上の三次元座標に対応する前記画像上での二次元位置を各々算出する第2の算出ステップと、前記第2の算出ステップで算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記第1の算出ステップで算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が各々最小となるように、前記複数のマーカの各々の前記平面上での二次元座標を調整する調整ステップと、前記調整ステップによって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求める第3の算出ステップと、前記第3の算出ステップにより算出された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の三次元座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での二次元位置を求め、前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、当該求められた前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する第4の算出ステップと、前記第4の算出ステップによって算出された各二次元移動量と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を前記測定対象平面の角度として測定する測定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる。
【0012】
なお、請求項4に記載したように、前記第3の算出ステップは、前記測定対象平面の予め定められた単位時間当たりの三つの回転角度である初期回転角度、前記測定対象平面の回転角度の初期値である回転角度初期値、前記調整ステップによって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標、及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求め、前記測定ステップは、前記第4の算出ステップによって算出された各二次元移動量と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、前記初期角度、及び前記初期回転角度を調整した場合における調整後の前記初期回転角度を前記測定対象平面の角速度として測定するようにしてもよい。
【0013】
本発明によれば、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度及び角速度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度及び角速度を測定することができる。
【0014】
また、請求項5記載の発明のプログラムは、コンピュータを、請求項1又は請求項2記載の角度測定装置を構成する各手段として機能させることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態の測定対象平面の平面上における複数のマーカを説明するための図である。
【図2】本実施の形態の形状測定装置の概略図である。
【図3】マーカの追尾結果の一例を示す図である。
【図4】マーカの二次元座標の追尾結果の一部の一次回帰の一例を示す図である。
【図5】測定対象の各マーカの三次元座標と撮影画像上での二次元位置(水平方向の位置、及び垂直方向の位置)の関係を示す図である。
【図6】撮影画像上の二次元位置の算出結果の一例を示す図である。
【図7】調整された結果の一例を示す図である。
【図8】ビデオカメラに対する三次元座標の一例を示す図である。
【図9】水平方向(横軸)と垂直方向(縦軸)の単位時間(ms)当たりの移動量(pixcel/ms)で、一次回帰の結果得られた一次回帰直線の傾きを白抜きのマーカ(Slope)で表し(プロットし)、測定対象平面の平面上の各マーカの座標からの推定値を中実のマーカ(2D Velocity)で表した図である。
【図10】各初期値を調整した結果の一例を示す図である。
【図11】ビデオカメラに対する三次元座標を示す図である。
【図12】初期移動量、初期座標、初期角度、及び初期回転角度を調整した場合の結果の一例を示す図である。
【図13】ビデオカメラに対する三次元座標を示す図である。
【図14】初期移動量、初期座標、初期角度、及び初期回転角度を調整した場合の結果の一例を示す図である。
【図15】ビデオカメラに対する三次元座標を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施の形態は、測定対象物である平面(以下、測定対象平面と称する場合がある。)の角度を測定する角度測定装置に本発明を適用したものである。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態における測定対象平面80には、その平面上に複数のマーカ(Point#1〜Point#16)82が配置されている。
【0020】
図2に示すように、本実施の形態の角度測定装置10は、1台のビデオカメラ12、予め記憶された処理プログラムに従って、ビデオカメラ12から入力された画像データに対して処理を施して測定対象平面80の角度を測定するコンピュータ14、データや指示などを入力するための入力手段としてのキーボード(図示せず)やコンピュータ14によって測定された測定対象平面80の角度等を表示する表示手段としてのCRT16を備えている。
【0021】
なお、このビデオカメラ12によって、人物によって保持され、図中右側から左側に移動される測定対象平面80の平面上に配置された複数のマーカを連続的に撮影することにより、複数のマーカ(Point#1〜Point#16)を含む画像の画像データを複数個取得することができる。
【0022】
本実施の形態における角度の測定対象は上述したように測定対象平面80であり、その平面上に、マーカ82として白丸のPoint#1からPoint#16が全体的に等間隔になるように配置されている。また、本実施の形態のビデオカメラ12には、様々な種類のビデオカメラを用いることができるが、例えば、Photron社の高速度ビデオカメラFastCam Maxを使用してもよい。なお、この高速度ビデオカメラFastCam Maxの仕様は、画像中心位置が水平方向及び垂直方向ともに512画素であり、画素間隔が水平方向及び垂直方向ともに0.017mm、レンズ焦点距離が24.37mmである。
【0023】
なお、コンピュータ14には、記録媒体としてのフレキシブルディスク(FD)が挿抜可能なフレキシブルディスクユニット(FDU)を備えている。なお、後述する処理ルーチン等は、FDUを用いてフレキシブルディスクFDに対して読み書き可能である。従って、後述するプログラムや処理ルーチンは、予めFDに記録しておき、FDUを介してFDに記録された処理プログラムを実行してもよい。
【0024】
また、コンピュータ14にハードディスク装置等の大容量記憶装置(図示省略)を接続し、FDに記録された処理プログラムを大容量記憶装置(図示省略)へ格納(インストール)して実行するようにしてもよい。また、記録媒体としては、CD−ROMやDVD等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあり、これらを用いるときには、上記FDUに代えてまたはさらに対応する装置(例えば、CD−ROM装置、CD−RAM装置、DVD−ROM装置、DVD−RAM装置、MD装置、またはMO装置等)を用いればよい。
【0025】
また、コンピュータ14の他に、ワークステーションやスーパーコンピュータを回転体の形状の測定に用いてもよいことは勿論である。
【0026】
次に、本実施の形態の作用として、コンピュータ14で実行される測定対象平面80の角度を測定するための角度測定プログラムの処理ルーチンについて以下説明する。
【0027】
なお、本実施の形態では、上述したように移動された測定対象平面80が、ビデオカメラ12によって、所定時間間隔(例えば、1/125秒間隔)で所定枚数(例えば、18枚)撮影される。以下で説明する角度測定プログラムの処理ルーチンによって、1台のビデオカメラ12によって撮影された画像から測定対象平面80の角度が測定される。
【0028】
まず、ビデオカメラ12によって取得された複数個の画像データに基づいて、この複数個の画像データが示す複数の画像の各々に含まれる複数のマーカ82の各々について画像上での二次元位置を追尾する。すなわち、複数のマーカ82の各々について画像上の二次元位置の追尾を行う。より具体的に説明すると、例えば、Imagesystems社の動画解析ソフトウエアTEMAで、撮影画像上の白丸状の特徴点である各マーカの水平及び垂直方向の二次元座標を追尾する。焦点距離もTEMAのAICONオプションで計測し、同時に光学歪の補正も行った。図3はそのマーカPoint#1の追尾結果の一例である。図3は、横軸が経過時刻をms(ミリ秒)で、縦軸が撮影画像左下を原点とした位置をpixcel(画素)で表した図であり、hは水平方向の位置、vは垂直方向の位置を示している。
【0029】
次に、追尾結果に基づいて、所定の指定時刻における複数のマーカ82の各々の当該画像上の二次元位置、及び所定の単位時間当たりの画像上での二次元の移動量(二次元移動量)を算出(演算)する。
【0030】
より具体的に説明すると、まず、画像上の二次元位置の追尾結果の一次回帰を行う。指定時刻における撮影画像上の水平方向と垂直方向の位置、及び単位時間当たりの水平方向と垂直方向の移動量の算出は、所定枚数分(所定時間分)、例えば、撮影画像3枚目(16ms)から9枚目(64ms)の7枚分(48ms分)の追尾結果から、各撮影画像に対応する時刻をtとすると、下記の式(1)に示すように、撮影画像上の水平方向の位置がhT(t)で表され、下記の式(2)に示すように、撮影画像上の垂直方向の位置がVT(t)で表すことができる。
【0031】
【数1】
【数2】
ここで、撮影画像7枚分の一次回帰結果に対応する時刻をT、水平方向位置をIntercept_HT、垂直方向位置をIntercept_VT、単位時間当たりの水平方向移動量をSlope_HT、単位時間当たりの垂直方向移動量をSlope_VTとする。
【0032】
図4はマーカPoint#1の二次元座標の追尾結果の一部(撮影画像3枚目(16ms)から9枚目(64ms)までのデータ)の一次回帰の一例を示す。同図に図示されるように、3枚目の二次元位置は、回帰式から水平方向(h0)が134.6画素(pixcel)で、垂直方向(v0)が855.2画素(pixcel)であり、また、単位時間(ms)当たりの移動量は回帰直線の傾きから水平方向(h´)が−0.92画素/ミリ秒(pixcel/ms)で、垂直方向(v´)が0.18画素/ミリ秒(pixcel/ms)である。すなわち、一次回帰することによって、その一次回帰の傾きから各マーカ82毎の単位時間当たりの移動量を求めることが可能となる。
【0033】
次に、予め定められた測定対象平面80の所定方向及び測定対象平面80に垂直な方向の単位時間当たりの移動量である初期移動量(下記で説明する「測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの移動量」に対応する)、複数のマーカ82の各々の予め定められた二次元の座標である初期座標(下記で説明する「測定対象平面80の平面上の特徴点である各マーカ82の移動方向及びその垂直方向(直交方向)の座標」に対応する)、ビデオカメラ12から測定対象平面80までの予め定められた距離である初期距離D(下記で説明する「ビデオカメラ12からの距離」に対応する)、及びビデオカメラ12に対する測定対象平面80の予め定められた角度である初期角度(下記で説明する「roll、pitch、yawの三つの角度」に対応する)を複数のマーカ82の各々について設定する。
【0034】
そして、設定した初期座標、初期距離、初期角度に基づいて、複数のマーカ82の各々の測定対象平面80上の三次元座標に対応する画像上での二次元位置を各々算出する。
【0035】
より具体的に説明すると、まず、測定対象平面80の平面上の各マーカ82の三次元座標系での三次元位置を求め、当該三次元位置と撮影画像上での二次元位置との関係から、各マーカ82の撮影画像上での二次元位置を算出する。
【0036】
ここで、三次元位置と撮影画像上での二次元位置との関係の一例について説明する。ビデオカメラ12を基準に測定対象(object)である各マーカ82の水平方向(horizontal)の三次元座標をx、垂直方向(vertical)の座標をy、距離方向(distance)の座標をzとし、追尾結果から画像上(image)の水平方向位置hと垂直方向v、ビデオカメラ12の仕様から画像中心位置(H0,V0)と(水平方向がH0の位置であり、かつ垂直方向V0の位置が画像中心位置である)、画素間隔の水平方向Ph(水平方向の大きさ)と垂直方向Pv(垂直方向の大きさ)、レンズ焦点距離をFlとすると、測定対象の各マーカ82の三次元座標と撮影画像上での二次元位置(水平方向の位置、及び垂直方向の位置)の関係は、図5に示すような関係であり、以下の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)によって表される。
【0037】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
また、測定対象平面80の平面上の各マーカ82の三次元座標系での三次元位置の求め方の一例について説明する。測定対象の各マーカ82の平面上の三次元座標をX、Y、Zとし、その平面がビデオカメラ12から距離D離れ、角度がx軸回りにroll度、y軸回りにpitch度、z軸回りにyaw度回転した場合には、ビデオカメラ12を基準とした三次元座標系での各マーカ82の三次元位置(x,y,z)は以下の式(7)、式(8)、式(9)で表すことができる。
【0038】
【数7】
【数8】
【数9】
図6には、撮影画像上の二次元位置の算出結果の一例が示されている。図6は、Point#1からPoint#16までの各マーカ82の撮影画像上での水平方向(横軸 Horizontal Axis)と垂直方向(縦軸 Vertical Axis)との二次元位置を示す図であり、上記での一次回帰直線での3枚目(16ms)の二次元位置が白抜きのマーカ(Intercept)で、初期値からの推定位置が中実(黒塗り)のマーカ(2D Position)で表されている。
【0039】
なお、複数のマーカ82の各々の初期値は、以下のように設定した。すなわち、測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの移動量を0mm/ms、測定対象平面80の平面上の特徴点である各マーカ82の移動方向及びその垂直方向(直交方向)の座標を全て0mm、ビデオカメラ12からの距離をD=1000mm、roll、pitch、yawの三つの角度を全て0度とした。なお、この初期値は一例であり、本発明の初期値はこれに限られない。
【0040】
次に、追尾結果に基づいて算出された複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置(例えば、式(1)、式(2)等によって算出された各二次元位置)と、上記で算出された対応する二次元位置(例えば、式(5)、式(6)によって算出された対応するマーカ82の二次元位置)との差の二乗和が最小となるように、上記予め定められた測定対象平面80の平面上における複数のマーカ82の各々の二次元座標を調整する。例えば、上記初期値を設定した場合において算出された各マーカ82の撮影画像上の二次元位置と、追尾されて一次回帰された結果得られた一次回帰直線上の各マーカ82の二次元位置との差の二乗和が最小となるように、各マーカ82に対応する各二次元座標の初期値を調整する。
【0041】
図7には、上記初期値を設定した場合において算出(推定)された各マーカ82の撮影画像上の二次元位置と、追尾されて一次回帰された結果得られた一次回帰直線での3枚目の画像の各マーカ82の二次元位置との差の二乗和が最小となるように、各マーカ82に対応する各二次元座標の初期値が調整された結果の一例が示されている。また、このときのビデオカメラ12に対する三次元座標の一例を図8に示す。
【0042】
次に、上記のようにして調整された測定対象平面80の平面上における複数のマーカ82の各々の二次元座標、上記で説明した初期移動量、上記で説明した初期距離、及び上記で説明した初期角度に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置を求めると共に、上記で説明したように調整された複数のマーカ82の各々の画像上での指定時刻Tにおける各二次元位置から当該求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する。より具体的には、まず、上記のようにして調整された測定対象平面80の平面上における複数のマーカ82の各々の二次元座標、及び上記で説明した初期移動量に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の三次元位置を算出する。すなわち、上記のようにして初期値が調整された各マーカ82に対応する各二次元座標と、上記で説明した測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの移動量の初期値とに基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の各マーカ82の三次元座標を求める。
【0043】
そして、算出された当該指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の三次元位置、上記初期距離、及び上記初期角度に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置を求めると共に、上記で説明したように調整された複数のマーカ82の各々の画像上での指定時刻Tにおける各二次元位置から当該求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する。すなわち、求められた指定時刻Tから単位時間経過後の各マーカ82の三次元座標と、上記のビデオカメラ12の距離Dの初期値と、上記のビデオカメラ12の姿勢角であるroll、pitch、yawの初期値とに基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の撮影画像上の各マーカ82の各二次元位置を求め、指定時刻Tにおける上記で説明した初期値が調整された各マーカ82に対応する各二次元座標からの二次元移動量を算出する。なお、この算出された二次元移動量は、指定時刻Tから単位時間経過後までの二次元移動量とみなすことができる。
【0044】
ここで、この各マーカ82の二次元移動量の算出方法の一例について説明する。まず、指定時刻Tの状態を以下の式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、及び式(15)で示すように定義する。
【0045】
【数10】
【数11】
【数12】
【数13】
【数14】
【数15】
次に、この指定時刻Tから単位時間経過後の状態を以下の式(16)、式(17)、式(18)、式(19)、式(20)、及び式(21)で示すように定義する。
【0046】
【数16】
【数17】
【数18】
【数19】
【数20】
【数21】
そして、これらの式(10)〜(15)、及び式(16)〜(21)が示す定義された値を上記の式(7)、式(8)、式(9)に代入することにより、ビデオカメラ12基準の三次元座標系における各マーカ82の三次元座標に変換し、そして、この三次元座標を上記の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)に代入して、その結果から、撮影画面上の二次元位置と、単位時間当たりの二次元移動量を各マーカ82毎に算出する。
【0047】
次に、このようにして算出された各マーカ82の各二次元移動量(式(10)〜(15)、及び式(16)〜(21)が示す定義された値を上記の式(7)、式(8)、式(9)に代入することにより、ビデオカメラ12基準の三次元座標系における各マーカ82の三次元座標に変換し、そして、この三次元座標を上記の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)に代入することにより算出された各二次元移動量)と、追尾結果により得られる指定時刻Tにおける複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置から、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び上記で求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置と、追尾結果により得られる指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記初期移動量、上記初期座標、及び上記初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を測定対象平面80の角度として測定する。
【0048】
すなわち、上記で算出された各マーカ82の二次元移動量(指定時刻Tにおける上記で説明した初期値が調整された各マーカ82に対応する各二次元座標からの二次元移動量)と、上記の追尾結果からの各マーカ82の二次元移動量との差の二乗和、及び上記で算出された指定時刻Tから単位時間経過後の撮影画像上の各マーカ82の各二次元位置と、上記の追尾結果からの撮影画像上の各マーカ82の各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記で説明した各初期値(上記で説明した測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの移動量の初期値、測定対象平面80の平面上の特徴点である各マーカ82の移動方向及びその垂直方向(直交方向)の座標の初期値、ビデオカメラ12からの距離Dの初期値、ビデオカメラ12とのroll、pitch、yawの三つの角度の初期値)を調整する。そして、調整後のroll、pitch、yawの三つの角度を測定対象平面80の角度とすることにより、測定対象平面80の角度を測定する。
【0049】
なお、上記の調整には、例えば、マイクロソフト社エクセルのソルバー機能を用いることができる。
【0050】
図9に水平方向(横軸)と垂直方向(縦軸)の単位時間(ms)当たりの移動量(pixcel/ms)で、上記での一次回帰の結果得られた一次回帰直線の傾きを白抜きのマーカ(Slope)で表し(プロットし)、測定対象平面80の平面上の各マーカ82の座標からの推定値を中実のマーカ(2D Velocity)で表した。
【0051】
それらの二者の差の二乗和が最小となるように、まず、水平方向のX´を0.00m/sから−0.76m/sに調整した結果を図9の左側に示す。そして、更に、水平方向のX´を−0.76m/sから−0.75m/sに調整すると共に、ビデオカメラ12の向きの方向Z´を0.00m/sから0.42m/sに調整した結果を図9の右側に示す。以上のように調整を行うと、上記で説明した差の二乗和は、1.95E+01(pixcel2/ms2)から6.32E−01(pixcel2/ms2)となり、そして、6.32E−01(pixcel2/ms2)から2.15E−01(pixcel2/ms2)となって、改善されるが、いまだ二者の差は小さいとは言い難い。
【0052】
測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの二つの移動量と三つの回転角、各マーカ82の測定対象平面80の測定平面上の移動方向と垂直方向の二つの座標、及びビデオカメラ12との三つの角度(roll,pitch,yaw)を調整し、上記で算出された各マーカ82の二次元移動量(指定時刻Tにおける上記で説明した初期値が調整された各マーカ82に対応する各二次元座標からの二次元移動量)と、上記の追尾結果からの各マーカ82の二次元移動量との差の二乗和、及び上記で算出された指定時刻Tから単位時間経過後の撮影画像上の各マーカ82の各二次元位置と、上記の追尾結果からの撮影画像上の各マーカ82の各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記で説明した各初期値(上記で説明した測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの移動量の初期値、測定対象平面80の平面上の特徴点である各マーカ82の移動方向及びその垂直方向(直交方向)の座標の初期値、ビデオカメラ12からの距離Dの初期値、ビデオカメラ12とのroll、pitch、yawの三つの角度の初期値)を調整した結果を図10に示す。図10に示されるように、移動量の差も小さくなっていることが分かる。
【0053】
調整の一例について説明すると、測定対象平面80の単位時間当たりの移動量は水平方向のX´が−0.75m/sから−0.82m/sに調整され、ビデオカメラ12の向きの方向のZ´が0.42m/sから0.02m/sに調整される。また、ビデオカメラ12との三つの角度については、x軸回りの角度roll0が0.00度から3.66度に調整され、y軸回りの角度pitch0が0.00度から16.06度に調整され、z軸回りの角度yaw0が0.00度から6.64度に調整される。このような調整により、移動量の差の二乗和は、2.15E−01(pixcel2/ms2)から1.47E−03(pixcel2/ms2)となり、位置の差の二乗和は3.69E−02(pixcel2)から1.92E−04(pixcel2)となり、改善される。この場合のビデオカメラ12に対する三次元座標は、図11に示すものとなり、上述した調整後の三つの角度(x軸回りの角度roll0、y軸回りの角度pitch0、z軸回りの角度yaw0)が測定結果となる。
【0054】
以上、説明したように、本実施形態の角度測定装置10によれば、1台の撮影装置(ビデオカメラ12)のみを用いて測定対象平面80の角度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる。
【0055】
なお、上記では、調整された測定対象平面80の平面上における複数のマーカ82の各々の二次元座標、及び初期移動量に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の三次元位置を算出する例について説明したが、本発明はこれに限られない。
【0056】
例えば、初期値として測定対象平面80の予め定められた単位時間当たりの三つの回転角度である初期回転角度、上記で説明した測定対象平面80の予め定められた角度である初期角度を予めコンピュータ14に記憶しておき、当該初期回転角度、当該測定対象平面80の回転角度の初期値、調整された測定対象平面80の平面上における複数のマーカ82の各々の二次元座標、及び初期移動量に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の三次元位置を算出するようにしてもよい。なおこの場合、例えば、上記の例と同様に、算出された指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の三次元位置、上記初期距離、及び上記初期角度に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置を求めると共に、調整された複数のマーカ82の各々の画像上での指定時刻Tにおける各二次元位置から当該求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する。そして、算出された各マーカ82の各二次元移動量(式(10)〜(15)及び式(16)〜(21)が示す定義された値を上記の式(7)、式(8)、式(9)に代入することにより、ビデオカメラ12基準の三次元座標系における各マーカ82の三次元座標に変換し、そして、この三次元座標を上記の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)に代入することにより算出された各二次元移動量)と、追尾結果により得られる指定時刻Tにおける複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置から、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び上記で求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置と、追尾結果により得られる指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記初期移動量、上記初期座標、上記初期角度、及び上記初期回転角度を調整した場合における調整後の初期角度を測定対象平面80の角度として測定すると共に調整後の初期回転角度を測定対象平面80の角速度として測定する。
【0057】
これにより、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度及び角速度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度及び角速度を測定することができる。
【0058】
図12の左図には、調整要素に測定対象平面80の単位時間当たりの三つの回転角を追加した場合の各マーカ82の撮影画像上の移動方向と垂直方向との二つの座標の一例が示されている。また、図12の右図には、算出された各マーカ82の各二次元移動量(式(10)〜(15)及び式(16)〜(21)が示す定義された値を上記の式(7)、式(8)、式(9)に代入することにより、ビデオカメラ12基準の三次元座標系における各マーカ82の三次元座標に変換し、そして、この三次元座標を上記の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)に代入することにより算出された各二次元移動量)と、追尾結果により得られる指定時刻Tにおける複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置から、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び上記で求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置と、追尾結果により得られる指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記初期移動量、上記初期座標、上記初期角度、及び上記初期回転角度を調整した場合の結果の一例が示されている。
【0059】
調整結果の一例について説明すると、測定対象平面80の単位時間当たりの移動量は水平方向のX´が−0.92m/sのままであり、ビデオカメラ12の向きの方向のZ´も0.01m/sのままであり、また、ビデオカメラ12との三つの角度については、x軸回りの角度roll0が3.66度から4.88度に調整され、y軸回りの角度pitch0が16.06度から13.80度に調整され、z軸回りの角度yaw0が6.64度から11.16度に調整される。また、三つの角速度については、x軸回りの角速度roll´が0.000deg/msから−0.004deg/msに調整され、y軸回りの角速度pitch´が0.000deg/msから0.006deg/msに調整され、z軸回りの角速度yaw´は0.000deg/msのままであった。このような調整により、移動量の差の二乗和は、1.47E−03(pixcel2/ms2)から1.69E−06(pixcel2/ms2)となり、位置の差の二乗和は1.92E−04(pixcel2)から2.44E−05(pixcel2)となり、改善される。この場合のビデオカメラ12に対する三次元座標は、図13に示すものとなり、上述した調整後の三つの角度(x軸回りの角度roll0、y軸回りの角度pitch0、z軸回りの角度yaw0)と調整後の三つの角速度(x軸回りの角速度roll´、y軸回りの角速度pitch´、z軸回りの角速度yaw´)が測定結果となる。
【0060】
なお、他の方法で求めたビデオカメラ12からの測定対象平面80までの距離を初期値として使用し、最終調整結果で得られた単位時間当たりの測定平面移動量を測定値とするようにしてもよい。
【0061】
図14の左図には、ビデオカメラ12と測定対象平面80との距離の初期値に巻尺で計測した値を使用し、この計測結果に基づいてDを1000mmから1250mmに再設定した場合の各マーカ82の撮影画像上の移動方向と垂直方向との二つの座標の一例が示されている。また、図14の右図には、算出された各マーカ82の各二次元移動量(式(10)〜(15)及び式(16)〜(21)が示す定義された値を上記の式(7)、式(8)、式(9)に代入することにより、ビデオカメラ12基準の三次元座標系における各マーカ82の三次元座標に変換し、そして、この三次元座標を上記の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)に代入することにより算出された各二次元移動量)と、追尾結果により得られる指定時刻Tにおける複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置から、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び上記で求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置と、追尾結果により得られる指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記初期移動量、上記初期座標、上記初期角度(及び上記初期回転角度)を調整した場合の結果の一例が示されている。
【0062】
調整結果の一例について説明すると、測定対象平面80の単位時間当たりの移動量は水平方向のX´が−0.92m/sから−1.15m/sに調整され、ビデオカメラ12の向きの方向のZ´が0.01m/sから0.03m/sに調整される。また、ビデオカメラ12との三つの角度については、x軸回りの角度roll0が4.88度から6.38度に調整され、y軸回りの角度pitch0が13.80度から13.26度に調整され、z軸回りの角度yaw0が11.16度から13.70度に調整される。また、三つの角速度については、x軸回りの角速度roll´が−0.004deg/msから−0.006deg/msに調整され、y軸回りの角速度pitch´は0.006deg/msのままであり、z軸回りの角速度yaw´も0.000deg/msのままであった。このような調整により、移動量の差の二乗和は、1.69E−06(pixcel2/ms2)から5.33E−06(pixcel2/ms2)と若干悪化したが、位置の差の二乗和は2.44E−05(pixcel2)から7.32E−06(pixcel2)となり、若干改善される。この場合のビデオカメラ12に対する三次元座標は、図15に示すものとなり、上述した調整後の三つの角度(x軸回りの角度roll0、y軸回りの角度pitch0、z軸回りの角度yaw0)と調整後の三つの角速度(x軸回りの角速度roll´、y軸回りの角速度pitch´、z軸回りの角速度yaw´)が測定結果となる。
【0063】
なお、本実施の形態においては、角度の測定対象が、図1に示すような複数のマーカが等間隔に予め設けられた測定対象平面である場合について説明したが、複数のマーカは予め設けられたものに限られない。例えば、測定対象平面を撮影した画像から特徴点を抽出し、これをマーカとしてもよい。この場合、例えば、車両に本実施形態に係る角度測定装置10を搭載して測定対象平面を地面として撮影し、撮影画像中から抽出した特徴点をマーカとして地面の角度を測定することができる。これにより、地面に対する車両の角度を測定することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 角度測定装置
12 ビデオカメラ
16 コンピュータ
18 CRT
80 測定対象平面
82 マーカ
【技術分野】
【0001】
本発明は、角度測定装置、角度の測定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2台以上のビデオカメラを用いてタイヤなどの物体の3次元形状を測定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−89357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、2台以上のビデオカメラを用いて3次元形状を測定しており、1台のビデオカメラ(撮影装置)では3次元形状を測定できない。そのため、簡易な構成で物体の角度を測定できない、という問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するために成されたものであり、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる角度測定装置、角度の測定方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の角度測定装置は、移動すると共に回転する測定対象平面の平面上に配置された複数のマーカを連続的に複数回撮影することにより、前記複数のマーカを含む画像の画像データを複数個取得するための撮影装置と、前記撮影装置によって取得された複数個の画像データに基づいて、該複数個の画像データが示す複数の画像の各々に含まれる前記複数のマーカの各々について画像上での二次元位置を追尾する追尾手段と、前記追尾手段の追尾結果に基づいて、指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上の二次元位置、及び所定の単位時間当たりの画像上での二次元移動量を算出する第1の算出手段と、予め定められた前記測定対象平面の所定方向及び前記測定対象平面に垂直な方向の前記単位時間当たりの移動量である初期移動量、予め定められた前記測定対象平面の移動方向及び該移動方向と直交する方向各々の前記複数のマーカの各々の二次元の座標である初期座標、予め定められた前記撮影装置から前記測定対象平面までの距離である初期距離、及び予め定められた前記撮影装置に対する前記測定対象平面の角度である初期角度を設定する設定手段と、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記複数のマーカの各々の前記平面上の三次元座標に対応する前記画像上での二次元位置を各々算出する第2の算出手段と、前記第2の算出手段で算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記第1の算出手段で算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が各々最小となるように、前記複数のマーカの各々の前記平面上での二次元座標を調整する調整手段と、前記調整手段によって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求める第3の算出手段と、前記第3の算出手段により算出された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の三次元座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での二次元位置を求め、前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、当該求められた前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する第4の算出手段と、前記第4の算出手段によって算出された各二次元移動量と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を前記測定対象平面の角度として測定する測定手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる。
【0008】
なお、請求項2に記載したように、前記第3の算出手段は、前記測定対象平面の予め定められた単位時間当たりの三つの回転角度である初期回転角度、前記測定対象平面の回転角度の初期値である回転角度初期値、前記調整手段によって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標、及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求め、前記測定手段は、前記第4の算出手段によって算出された各二次元移動量と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、前記初期角度、及び前記初期回転角度を調整した場合における調整後の前記初期回転角度を前記測定対象平面の角速度として測定するようにしてもよい。
【0009】
本発明によれば、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度及び角速度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度及び角速度を測定することができる。
【0010】
請求項3記載の発明の角度の測定方法は、移動すると共に回転する測定対象平面の平面上に配置された複数のマーカを連続的に複数回撮影することにより、前記複数のマーカを含む画像の画像データを複数個取得するための撮影装置によって取得された複数個の画像データに基づいて、該複数個の画像データが示す複数の画像の各々に含まれる前記複数のマーカの各々について画像上での二次元位置を追尾する追尾ステップと、前記追尾ステップの追尾結果に基づいて、指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上の二次元位置、及び所定の単位時間当たりの画像上での二次元移動量を算出する第1の算出ステップと、予め定められた前記測定対象平面の所定方向及び前記測定対象平面に垂直な方向の前記単位時間当たりの移動量である初期移動量、予め定められた前記測定対象平面の移動方向及び該移動方向と直交する方向各々の前記複数のマーカの各々の二次元の座標である初期座標、予め定められた前記撮影装置から前記測定対象平面までの距離である初期距離、及び予め定められた前記撮影装置に対する前記測定対象平面の角度である初期角度を設定する設定ステップと、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記複数のマーカの各々の前記平面上の三次元座標に対応する前記画像上での二次元位置を各々算出する第2の算出ステップと、前記第2の算出ステップで算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記第1の算出ステップで算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が各々最小となるように、前記複数のマーカの各々の前記平面上での二次元座標を調整する調整ステップと、前記調整ステップによって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求める第3の算出ステップと、前記第3の算出ステップにより算出された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の三次元座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での二次元位置を求め、前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、当該求められた前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する第4の算出ステップと、前記第4の算出ステップによって算出された各二次元移動量と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を前記測定対象平面の角度として測定する測定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる。
【0012】
なお、請求項4に記載したように、前記第3の算出ステップは、前記測定対象平面の予め定められた単位時間当たりの三つの回転角度である初期回転角度、前記測定対象平面の回転角度の初期値である回転角度初期値、前記調整ステップによって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標、及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求め、前記測定ステップは、前記第4の算出ステップによって算出された各二次元移動量と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、前記初期角度、及び前記初期回転角度を調整した場合における調整後の前記初期回転角度を前記測定対象平面の角速度として測定するようにしてもよい。
【0013】
本発明によれば、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度及び角速度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度及び角速度を測定することができる。
【0014】
また、請求項5記載の発明のプログラムは、コンピュータを、請求項1又は請求項2記載の角度測定装置を構成する各手段として機能させることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態の測定対象平面の平面上における複数のマーカを説明するための図である。
【図2】本実施の形態の形状測定装置の概略図である。
【図3】マーカの追尾結果の一例を示す図である。
【図4】マーカの二次元座標の追尾結果の一部の一次回帰の一例を示す図である。
【図5】測定対象の各マーカの三次元座標と撮影画像上での二次元位置(水平方向の位置、及び垂直方向の位置)の関係を示す図である。
【図6】撮影画像上の二次元位置の算出結果の一例を示す図である。
【図7】調整された結果の一例を示す図である。
【図8】ビデオカメラに対する三次元座標の一例を示す図である。
【図9】水平方向(横軸)と垂直方向(縦軸)の単位時間(ms)当たりの移動量(pixcel/ms)で、一次回帰の結果得られた一次回帰直線の傾きを白抜きのマーカ(Slope)で表し(プロットし)、測定対象平面の平面上の各マーカの座標からの推定値を中実のマーカ(2D Velocity)で表した図である。
【図10】各初期値を調整した結果の一例を示す図である。
【図11】ビデオカメラに対する三次元座標を示す図である。
【図12】初期移動量、初期座標、初期角度、及び初期回転角度を調整した場合の結果の一例を示す図である。
【図13】ビデオカメラに対する三次元座標を示す図である。
【図14】初期移動量、初期座標、初期角度、及び初期回転角度を調整した場合の結果の一例を示す図である。
【図15】ビデオカメラに対する三次元座標を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施の形態は、測定対象物である平面(以下、測定対象平面と称する場合がある。)の角度を測定する角度測定装置に本発明を適用したものである。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態における測定対象平面80には、その平面上に複数のマーカ(Point#1〜Point#16)82が配置されている。
【0020】
図2に示すように、本実施の形態の角度測定装置10は、1台のビデオカメラ12、予め記憶された処理プログラムに従って、ビデオカメラ12から入力された画像データに対して処理を施して測定対象平面80の角度を測定するコンピュータ14、データや指示などを入力するための入力手段としてのキーボード(図示せず)やコンピュータ14によって測定された測定対象平面80の角度等を表示する表示手段としてのCRT16を備えている。
【0021】
なお、このビデオカメラ12によって、人物によって保持され、図中右側から左側に移動される測定対象平面80の平面上に配置された複数のマーカを連続的に撮影することにより、複数のマーカ(Point#1〜Point#16)を含む画像の画像データを複数個取得することができる。
【0022】
本実施の形態における角度の測定対象は上述したように測定対象平面80であり、その平面上に、マーカ82として白丸のPoint#1からPoint#16が全体的に等間隔になるように配置されている。また、本実施の形態のビデオカメラ12には、様々な種類のビデオカメラを用いることができるが、例えば、Photron社の高速度ビデオカメラFastCam Maxを使用してもよい。なお、この高速度ビデオカメラFastCam Maxの仕様は、画像中心位置が水平方向及び垂直方向ともに512画素であり、画素間隔が水平方向及び垂直方向ともに0.017mm、レンズ焦点距離が24.37mmである。
【0023】
なお、コンピュータ14には、記録媒体としてのフレキシブルディスク(FD)が挿抜可能なフレキシブルディスクユニット(FDU)を備えている。なお、後述する処理ルーチン等は、FDUを用いてフレキシブルディスクFDに対して読み書き可能である。従って、後述するプログラムや処理ルーチンは、予めFDに記録しておき、FDUを介してFDに記録された処理プログラムを実行してもよい。
【0024】
また、コンピュータ14にハードディスク装置等の大容量記憶装置(図示省略)を接続し、FDに記録された処理プログラムを大容量記憶装置(図示省略)へ格納(インストール)して実行するようにしてもよい。また、記録媒体としては、CD−ROMやDVD等の光ディスクや、MD,MO等の光磁気ディスクがあり、これらを用いるときには、上記FDUに代えてまたはさらに対応する装置(例えば、CD−ROM装置、CD−RAM装置、DVD−ROM装置、DVD−RAM装置、MD装置、またはMO装置等)を用いればよい。
【0025】
また、コンピュータ14の他に、ワークステーションやスーパーコンピュータを回転体の形状の測定に用いてもよいことは勿論である。
【0026】
次に、本実施の形態の作用として、コンピュータ14で実行される測定対象平面80の角度を測定するための角度測定プログラムの処理ルーチンについて以下説明する。
【0027】
なお、本実施の形態では、上述したように移動された測定対象平面80が、ビデオカメラ12によって、所定時間間隔(例えば、1/125秒間隔)で所定枚数(例えば、18枚)撮影される。以下で説明する角度測定プログラムの処理ルーチンによって、1台のビデオカメラ12によって撮影された画像から測定対象平面80の角度が測定される。
【0028】
まず、ビデオカメラ12によって取得された複数個の画像データに基づいて、この複数個の画像データが示す複数の画像の各々に含まれる複数のマーカ82の各々について画像上での二次元位置を追尾する。すなわち、複数のマーカ82の各々について画像上の二次元位置の追尾を行う。より具体的に説明すると、例えば、Imagesystems社の動画解析ソフトウエアTEMAで、撮影画像上の白丸状の特徴点である各マーカの水平及び垂直方向の二次元座標を追尾する。焦点距離もTEMAのAICONオプションで計測し、同時に光学歪の補正も行った。図3はそのマーカPoint#1の追尾結果の一例である。図3は、横軸が経過時刻をms(ミリ秒)で、縦軸が撮影画像左下を原点とした位置をpixcel(画素)で表した図であり、hは水平方向の位置、vは垂直方向の位置を示している。
【0029】
次に、追尾結果に基づいて、所定の指定時刻における複数のマーカ82の各々の当該画像上の二次元位置、及び所定の単位時間当たりの画像上での二次元の移動量(二次元移動量)を算出(演算)する。
【0030】
より具体的に説明すると、まず、画像上の二次元位置の追尾結果の一次回帰を行う。指定時刻における撮影画像上の水平方向と垂直方向の位置、及び単位時間当たりの水平方向と垂直方向の移動量の算出は、所定枚数分(所定時間分)、例えば、撮影画像3枚目(16ms)から9枚目(64ms)の7枚分(48ms分)の追尾結果から、各撮影画像に対応する時刻をtとすると、下記の式(1)に示すように、撮影画像上の水平方向の位置がhT(t)で表され、下記の式(2)に示すように、撮影画像上の垂直方向の位置がVT(t)で表すことができる。
【0031】
【数1】
【数2】
ここで、撮影画像7枚分の一次回帰結果に対応する時刻をT、水平方向位置をIntercept_HT、垂直方向位置をIntercept_VT、単位時間当たりの水平方向移動量をSlope_HT、単位時間当たりの垂直方向移動量をSlope_VTとする。
【0032】
図4はマーカPoint#1の二次元座標の追尾結果の一部(撮影画像3枚目(16ms)から9枚目(64ms)までのデータ)の一次回帰の一例を示す。同図に図示されるように、3枚目の二次元位置は、回帰式から水平方向(h0)が134.6画素(pixcel)で、垂直方向(v0)が855.2画素(pixcel)であり、また、単位時間(ms)当たりの移動量は回帰直線の傾きから水平方向(h´)が−0.92画素/ミリ秒(pixcel/ms)で、垂直方向(v´)が0.18画素/ミリ秒(pixcel/ms)である。すなわち、一次回帰することによって、その一次回帰の傾きから各マーカ82毎の単位時間当たりの移動量を求めることが可能となる。
【0033】
次に、予め定められた測定対象平面80の所定方向及び測定対象平面80に垂直な方向の単位時間当たりの移動量である初期移動量(下記で説明する「測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの移動量」に対応する)、複数のマーカ82の各々の予め定められた二次元の座標である初期座標(下記で説明する「測定対象平面80の平面上の特徴点である各マーカ82の移動方向及びその垂直方向(直交方向)の座標」に対応する)、ビデオカメラ12から測定対象平面80までの予め定められた距離である初期距離D(下記で説明する「ビデオカメラ12からの距離」に対応する)、及びビデオカメラ12に対する測定対象平面80の予め定められた角度である初期角度(下記で説明する「roll、pitch、yawの三つの角度」に対応する)を複数のマーカ82の各々について設定する。
【0034】
そして、設定した初期座標、初期距離、初期角度に基づいて、複数のマーカ82の各々の測定対象平面80上の三次元座標に対応する画像上での二次元位置を各々算出する。
【0035】
より具体的に説明すると、まず、測定対象平面80の平面上の各マーカ82の三次元座標系での三次元位置を求め、当該三次元位置と撮影画像上での二次元位置との関係から、各マーカ82の撮影画像上での二次元位置を算出する。
【0036】
ここで、三次元位置と撮影画像上での二次元位置との関係の一例について説明する。ビデオカメラ12を基準に測定対象(object)である各マーカ82の水平方向(horizontal)の三次元座標をx、垂直方向(vertical)の座標をy、距離方向(distance)の座標をzとし、追尾結果から画像上(image)の水平方向位置hと垂直方向v、ビデオカメラ12の仕様から画像中心位置(H0,V0)と(水平方向がH0の位置であり、かつ垂直方向V0の位置が画像中心位置である)、画素間隔の水平方向Ph(水平方向の大きさ)と垂直方向Pv(垂直方向の大きさ)、レンズ焦点距離をFlとすると、測定対象の各マーカ82の三次元座標と撮影画像上での二次元位置(水平方向の位置、及び垂直方向の位置)の関係は、図5に示すような関係であり、以下の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)によって表される。
【0037】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
また、測定対象平面80の平面上の各マーカ82の三次元座標系での三次元位置の求め方の一例について説明する。測定対象の各マーカ82の平面上の三次元座標をX、Y、Zとし、その平面がビデオカメラ12から距離D離れ、角度がx軸回りにroll度、y軸回りにpitch度、z軸回りにyaw度回転した場合には、ビデオカメラ12を基準とした三次元座標系での各マーカ82の三次元位置(x,y,z)は以下の式(7)、式(8)、式(9)で表すことができる。
【0038】
【数7】
【数8】
【数9】
図6には、撮影画像上の二次元位置の算出結果の一例が示されている。図6は、Point#1からPoint#16までの各マーカ82の撮影画像上での水平方向(横軸 Horizontal Axis)と垂直方向(縦軸 Vertical Axis)との二次元位置を示す図であり、上記での一次回帰直線での3枚目(16ms)の二次元位置が白抜きのマーカ(Intercept)で、初期値からの推定位置が中実(黒塗り)のマーカ(2D Position)で表されている。
【0039】
なお、複数のマーカ82の各々の初期値は、以下のように設定した。すなわち、測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの移動量を0mm/ms、測定対象平面80の平面上の特徴点である各マーカ82の移動方向及びその垂直方向(直交方向)の座標を全て0mm、ビデオカメラ12からの距離をD=1000mm、roll、pitch、yawの三つの角度を全て0度とした。なお、この初期値は一例であり、本発明の初期値はこれに限られない。
【0040】
次に、追尾結果に基づいて算出された複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置(例えば、式(1)、式(2)等によって算出された各二次元位置)と、上記で算出された対応する二次元位置(例えば、式(5)、式(6)によって算出された対応するマーカ82の二次元位置)との差の二乗和が最小となるように、上記予め定められた測定対象平面80の平面上における複数のマーカ82の各々の二次元座標を調整する。例えば、上記初期値を設定した場合において算出された各マーカ82の撮影画像上の二次元位置と、追尾されて一次回帰された結果得られた一次回帰直線上の各マーカ82の二次元位置との差の二乗和が最小となるように、各マーカ82に対応する各二次元座標の初期値を調整する。
【0041】
図7には、上記初期値を設定した場合において算出(推定)された各マーカ82の撮影画像上の二次元位置と、追尾されて一次回帰された結果得られた一次回帰直線での3枚目の画像の各マーカ82の二次元位置との差の二乗和が最小となるように、各マーカ82に対応する各二次元座標の初期値が調整された結果の一例が示されている。また、このときのビデオカメラ12に対する三次元座標の一例を図8に示す。
【0042】
次に、上記のようにして調整された測定対象平面80の平面上における複数のマーカ82の各々の二次元座標、上記で説明した初期移動量、上記で説明した初期距離、及び上記で説明した初期角度に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置を求めると共に、上記で説明したように調整された複数のマーカ82の各々の画像上での指定時刻Tにおける各二次元位置から当該求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する。より具体的には、まず、上記のようにして調整された測定対象平面80の平面上における複数のマーカ82の各々の二次元座標、及び上記で説明した初期移動量に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の三次元位置を算出する。すなわち、上記のようにして初期値が調整された各マーカ82に対応する各二次元座標と、上記で説明した測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの移動量の初期値とに基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の各マーカ82の三次元座標を求める。
【0043】
そして、算出された当該指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の三次元位置、上記初期距離、及び上記初期角度に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置を求めると共に、上記で説明したように調整された複数のマーカ82の各々の画像上での指定時刻Tにおける各二次元位置から当該求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する。すなわち、求められた指定時刻Tから単位時間経過後の各マーカ82の三次元座標と、上記のビデオカメラ12の距離Dの初期値と、上記のビデオカメラ12の姿勢角であるroll、pitch、yawの初期値とに基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の撮影画像上の各マーカ82の各二次元位置を求め、指定時刻Tにおける上記で説明した初期値が調整された各マーカ82に対応する各二次元座標からの二次元移動量を算出する。なお、この算出された二次元移動量は、指定時刻Tから単位時間経過後までの二次元移動量とみなすことができる。
【0044】
ここで、この各マーカ82の二次元移動量の算出方法の一例について説明する。まず、指定時刻Tの状態を以下の式(10)、式(11)、式(12)、式(13)、式(14)、及び式(15)で示すように定義する。
【0045】
【数10】
【数11】
【数12】
【数13】
【数14】
【数15】
次に、この指定時刻Tから単位時間経過後の状態を以下の式(16)、式(17)、式(18)、式(19)、式(20)、及び式(21)で示すように定義する。
【0046】
【数16】
【数17】
【数18】
【数19】
【数20】
【数21】
そして、これらの式(10)〜(15)、及び式(16)〜(21)が示す定義された値を上記の式(7)、式(8)、式(9)に代入することにより、ビデオカメラ12基準の三次元座標系における各マーカ82の三次元座標に変換し、そして、この三次元座標を上記の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)に代入して、その結果から、撮影画面上の二次元位置と、単位時間当たりの二次元移動量を各マーカ82毎に算出する。
【0047】
次に、このようにして算出された各マーカ82の各二次元移動量(式(10)〜(15)、及び式(16)〜(21)が示す定義された値を上記の式(7)、式(8)、式(9)に代入することにより、ビデオカメラ12基準の三次元座標系における各マーカ82の三次元座標に変換し、そして、この三次元座標を上記の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)に代入することにより算出された各二次元移動量)と、追尾結果により得られる指定時刻Tにおける複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置から、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び上記で求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置と、追尾結果により得られる指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記初期移動量、上記初期座標、及び上記初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を測定対象平面80の角度として測定する。
【0048】
すなわち、上記で算出された各マーカ82の二次元移動量(指定時刻Tにおける上記で説明した初期値が調整された各マーカ82に対応する各二次元座標からの二次元移動量)と、上記の追尾結果からの各マーカ82の二次元移動量との差の二乗和、及び上記で算出された指定時刻Tから単位時間経過後の撮影画像上の各マーカ82の各二次元位置と、上記の追尾結果からの撮影画像上の各マーカ82の各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記で説明した各初期値(上記で説明した測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの移動量の初期値、測定対象平面80の平面上の特徴点である各マーカ82の移動方向及びその垂直方向(直交方向)の座標の初期値、ビデオカメラ12からの距離Dの初期値、ビデオカメラ12とのroll、pitch、yawの三つの角度の初期値)を調整する。そして、調整後のroll、pitch、yawの三つの角度を測定対象平面80の角度とすることにより、測定対象平面80の角度を測定する。
【0049】
なお、上記の調整には、例えば、マイクロソフト社エクセルのソルバー機能を用いることができる。
【0050】
図9に水平方向(横軸)と垂直方向(縦軸)の単位時間(ms)当たりの移動量(pixcel/ms)で、上記での一次回帰の結果得られた一次回帰直線の傾きを白抜きのマーカ(Slope)で表し(プロットし)、測定対象平面80の平面上の各マーカ82の座標からの推定値を中実のマーカ(2D Velocity)で表した。
【0051】
それらの二者の差の二乗和が最小となるように、まず、水平方向のX´を0.00m/sから−0.76m/sに調整した結果を図9の左側に示す。そして、更に、水平方向のX´を−0.76m/sから−0.75m/sに調整すると共に、ビデオカメラ12の向きの方向Z´を0.00m/sから0.42m/sに調整した結果を図9の右側に示す。以上のように調整を行うと、上記で説明した差の二乗和は、1.95E+01(pixcel2/ms2)から6.32E−01(pixcel2/ms2)となり、そして、6.32E−01(pixcel2/ms2)から2.15E−01(pixcel2/ms2)となって、改善されるが、いまだ二者の差は小さいとは言い難い。
【0052】
測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの二つの移動量と三つの回転角、各マーカ82の測定対象平面80の測定平面上の移動方向と垂直方向の二つの座標、及びビデオカメラ12との三つの角度(roll,pitch,yaw)を調整し、上記で算出された各マーカ82の二次元移動量(指定時刻Tにおける上記で説明した初期値が調整された各マーカ82に対応する各二次元座標からの二次元移動量)と、上記の追尾結果からの各マーカ82の二次元移動量との差の二乗和、及び上記で算出された指定時刻Tから単位時間経過後の撮影画像上の各マーカ82の各二次元位置と、上記の追尾結果からの撮影画像上の各マーカ82の各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記で説明した各初期値(上記で説明した測定対象平面80の面内と面外の単位時間当たりの移動量の初期値、測定対象平面80の平面上の特徴点である各マーカ82の移動方向及びその垂直方向(直交方向)の座標の初期値、ビデオカメラ12からの距離Dの初期値、ビデオカメラ12とのroll、pitch、yawの三つの角度の初期値)を調整した結果を図10に示す。図10に示されるように、移動量の差も小さくなっていることが分かる。
【0053】
調整の一例について説明すると、測定対象平面80の単位時間当たりの移動量は水平方向のX´が−0.75m/sから−0.82m/sに調整され、ビデオカメラ12の向きの方向のZ´が0.42m/sから0.02m/sに調整される。また、ビデオカメラ12との三つの角度については、x軸回りの角度roll0が0.00度から3.66度に調整され、y軸回りの角度pitch0が0.00度から16.06度に調整され、z軸回りの角度yaw0が0.00度から6.64度に調整される。このような調整により、移動量の差の二乗和は、2.15E−01(pixcel2/ms2)から1.47E−03(pixcel2/ms2)となり、位置の差の二乗和は3.69E−02(pixcel2)から1.92E−04(pixcel2)となり、改善される。この場合のビデオカメラ12に対する三次元座標は、図11に示すものとなり、上述した調整後の三つの角度(x軸回りの角度roll0、y軸回りの角度pitch0、z軸回りの角度yaw0)が測定結果となる。
【0054】
以上、説明したように、本実施形態の角度測定装置10によれば、1台の撮影装置(ビデオカメラ12)のみを用いて測定対象平面80の角度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度を測定することができる。
【0055】
なお、上記では、調整された測定対象平面80の平面上における複数のマーカ82の各々の二次元座標、及び初期移動量に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の三次元位置を算出する例について説明したが、本発明はこれに限られない。
【0056】
例えば、初期値として測定対象平面80の予め定められた単位時間当たりの三つの回転角度である初期回転角度、上記で説明した測定対象平面80の予め定められた角度である初期角度を予めコンピュータ14に記憶しておき、当該初期回転角度、当該測定対象平面80の回転角度の初期値、調整された測定対象平面80の平面上における複数のマーカ82の各々の二次元座標、及び初期移動量に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の三次元位置を算出するようにしてもよい。なおこの場合、例えば、上記の例と同様に、算出された指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の三次元位置、上記初期距離、及び上記初期角度に基づいて、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置を求めると共に、調整された複数のマーカ82の各々の画像上での指定時刻Tにおける各二次元位置から当該求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する。そして、算出された各マーカ82の各二次元移動量(式(10)〜(15)及び式(16)〜(21)が示す定義された値を上記の式(7)、式(8)、式(9)に代入することにより、ビデオカメラ12基準の三次元座標系における各マーカ82の三次元座標に変換し、そして、この三次元座標を上記の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)に代入することにより算出された各二次元移動量)と、追尾結果により得られる指定時刻Tにおける複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置から、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び上記で求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置と、追尾結果により得られる指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記初期移動量、上記初期座標、上記初期角度、及び上記初期回転角度を調整した場合における調整後の初期角度を測定対象平面80の角度として測定すると共に調整後の初期回転角度を測定対象平面80の角速度として測定する。
【0057】
これにより、1台の撮影装置のみを用いて測定対象平面の角度及び角速度を測定するので、従来技術と比較して、簡易に角度及び角速度を測定することができる。
【0058】
図12の左図には、調整要素に測定対象平面80の単位時間当たりの三つの回転角を追加した場合の各マーカ82の撮影画像上の移動方向と垂直方向との二つの座標の一例が示されている。また、図12の右図には、算出された各マーカ82の各二次元移動量(式(10)〜(15)及び式(16)〜(21)が示す定義された値を上記の式(7)、式(8)、式(9)に代入することにより、ビデオカメラ12基準の三次元座標系における各マーカ82の三次元座標に変換し、そして、この三次元座標を上記の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)に代入することにより算出された各二次元移動量)と、追尾結果により得られる指定時刻Tにおける複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置から、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び上記で求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置と、追尾結果により得られる指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記初期移動量、上記初期座標、上記初期角度、及び上記初期回転角度を調整した場合の結果の一例が示されている。
【0059】
調整結果の一例について説明すると、測定対象平面80の単位時間当たりの移動量は水平方向のX´が−0.92m/sのままであり、ビデオカメラ12の向きの方向のZ´も0.01m/sのままであり、また、ビデオカメラ12との三つの角度については、x軸回りの角度roll0が3.66度から4.88度に調整され、y軸回りの角度pitch0が16.06度から13.80度に調整され、z軸回りの角度yaw0が6.64度から11.16度に調整される。また、三つの角速度については、x軸回りの角速度roll´が0.000deg/msから−0.004deg/msに調整され、y軸回りの角速度pitch´が0.000deg/msから0.006deg/msに調整され、z軸回りの角速度yaw´は0.000deg/msのままであった。このような調整により、移動量の差の二乗和は、1.47E−03(pixcel2/ms2)から1.69E−06(pixcel2/ms2)となり、位置の差の二乗和は1.92E−04(pixcel2)から2.44E−05(pixcel2)となり、改善される。この場合のビデオカメラ12に対する三次元座標は、図13に示すものとなり、上述した調整後の三つの角度(x軸回りの角度roll0、y軸回りの角度pitch0、z軸回りの角度yaw0)と調整後の三つの角速度(x軸回りの角速度roll´、y軸回りの角速度pitch´、z軸回りの角速度yaw´)が測定結果となる。
【0060】
なお、他の方法で求めたビデオカメラ12からの測定対象平面80までの距離を初期値として使用し、最終調整結果で得られた単位時間当たりの測定平面移動量を測定値とするようにしてもよい。
【0061】
図14の左図には、ビデオカメラ12と測定対象平面80との距離の初期値に巻尺で計測した値を使用し、この計測結果に基づいてDを1000mmから1250mmに再設定した場合の各マーカ82の撮影画像上の移動方向と垂直方向との二つの座標の一例が示されている。また、図14の右図には、算出された各マーカ82の各二次元移動量(式(10)〜(15)及び式(16)〜(21)が示す定義された値を上記の式(7)、式(8)、式(9)に代入することにより、ビデオカメラ12基準の三次元座標系における各マーカ82の三次元座標に変換し、そして、この三次元座標を上記の式(3)、式(4)、式(5)、式(6)に代入することにより算出された各二次元移動量)と、追尾結果により得られる指定時刻Tにおける複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置から、指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び上記で求められた複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置と、追尾結果により得られる指定時刻Tから単位時間経過後の複数のマーカ82の各々の画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、上記初期移動量、上記初期座標、上記初期角度(及び上記初期回転角度)を調整した場合の結果の一例が示されている。
【0062】
調整結果の一例について説明すると、測定対象平面80の単位時間当たりの移動量は水平方向のX´が−0.92m/sから−1.15m/sに調整され、ビデオカメラ12の向きの方向のZ´が0.01m/sから0.03m/sに調整される。また、ビデオカメラ12との三つの角度については、x軸回りの角度roll0が4.88度から6.38度に調整され、y軸回りの角度pitch0が13.80度から13.26度に調整され、z軸回りの角度yaw0が11.16度から13.70度に調整される。また、三つの角速度については、x軸回りの角速度roll´が−0.004deg/msから−0.006deg/msに調整され、y軸回りの角速度pitch´は0.006deg/msのままであり、z軸回りの角速度yaw´も0.000deg/msのままであった。このような調整により、移動量の差の二乗和は、1.69E−06(pixcel2/ms2)から5.33E−06(pixcel2/ms2)と若干悪化したが、位置の差の二乗和は2.44E−05(pixcel2)から7.32E−06(pixcel2)となり、若干改善される。この場合のビデオカメラ12に対する三次元座標は、図15に示すものとなり、上述した調整後の三つの角度(x軸回りの角度roll0、y軸回りの角度pitch0、z軸回りの角度yaw0)と調整後の三つの角速度(x軸回りの角速度roll´、y軸回りの角速度pitch´、z軸回りの角速度yaw´)が測定結果となる。
【0063】
なお、本実施の形態においては、角度の測定対象が、図1に示すような複数のマーカが等間隔に予め設けられた測定対象平面である場合について説明したが、複数のマーカは予め設けられたものに限られない。例えば、測定対象平面を撮影した画像から特徴点を抽出し、これをマーカとしてもよい。この場合、例えば、車両に本実施形態に係る角度測定装置10を搭載して測定対象平面を地面として撮影し、撮影画像中から抽出した特徴点をマーカとして地面の角度を測定することができる。これにより、地面に対する車両の角度を測定することができる。
【符号の説明】
【0064】
10 角度測定装置
12 ビデオカメラ
16 コンピュータ
18 CRT
80 測定対象平面
82 マーカ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動すると共に回転する測定対象平面の平面上に配置された複数のマーカを連続的に複数回撮影することにより、前記複数のマーカを含む画像の画像データを複数個取得するための撮影装置と、
前記撮影装置によって取得された複数個の画像データに基づいて、該複数個の画像データが示す複数の画像の各々に含まれる前記複数のマーカの各々について画像上での二次元位置を追尾する追尾手段と、
前記追尾手段の追尾結果に基づいて、指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上の二次元位置、及び所定の単位時間当たりの画像上での二次元移動量を算出する第1の算出手段と、
予め定められた前記測定対象平面の所定方向及び前記測定対象平面に垂直な方向の前記単位時間当たりの移動量である初期移動量、予め定められた前記測定対象平面の移動方向及び該移動方向と直交する方向各々の前記複数のマーカの各々の二次元の座標である初期座標、予め定められた前記撮影装置から前記測定対象平面までの距離である初期距離、及び予め定められた前記撮影装置に対する前記測定対象平面の角度である初期角度を設定する設定手段と、
前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記複数のマーカの各々の前記平面上の三次元座標に対応する前記画像上での二次元位置を各々算出する第2の算出手段と、
前記第2の算出手段で算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記第1の算出手段で算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が各々最小となるように、前記複数のマーカの各々の前記平面上での二次元座標を調整する調整手段と、
前記調整手段によって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求める第3の算出手段と、
前記第3の算出手段により算出された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の三次元座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での二次元位置を求め、前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、当該求められた前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する第4の算出手段と、
前記第4の算出手段によって算出された各二次元移動量と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を前記測定対象平面の角度として測定する測定手段と、
を含む角度測定装置。
【請求項2】
前記第3の算出手段は、前記測定対象平面の予め定められた単位時間当たりの三つの回転角度である初期回転角度、前記測定対象平面の回転角度の初期値である回転角度初期値、前記調整手段によって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標、及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求め、
前記測定手段は、前記第4の算出手段によって算出された各二次元移動量と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、前記初期角度、及び前記初期回転角度を調整した場合における調整後の前記初期回転角度を前記測定対象平面の角速度として測定する
請求項1記載の角度測定装置。
【請求項3】
移動すると共に回転する測定対象平面の平面上に配置された複数のマーカを連続的に複数回撮影することにより、前記複数のマーカを含む画像の画像データを複数個取得するための撮影装置によって取得された複数個の画像データに基づいて、該複数個の画像データが示す複数の画像の各々に含まれる前記複数のマーカの各々について画像上での二次元位置を追尾する追尾ステップと、
前記追尾ステップの追尾結果に基づいて、指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上の二次元位置、及び所定の単位時間当たりの画像上での二次元移動量を算出する第1の算出ステップと、
予め定められた前記測定対象平面の所定方向及び前記測定対象平面に垂直な方向の前記単位時間当たりの移動量である初期移動量、予め定められた前記測定対象平面の移動方向及び該移動方向と直交する方向各々の前記複数のマーカの各々の二次元の座標である初期座標、予め定められた前記撮影装置から前記測定対象平面までの距離である初期距離、及び予め定められた前記撮影装置に対する前記測定対象平面の角度である初期角度を設定する設定ステップと、
前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記複数のマーカの各々の前記平面上の三次元座標に対応する前記画像上での二次元位置を各々算出する第2の算出ステップと、
前記第2の算出ステップで算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記第1の算出ステップで算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が各々最小となるように、前記複数のマーカの各々の前記平面上での二次元座標を調整する調整ステップと、
前記調整ステップによって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求める第3の算出ステップと、
前記第3の算出ステップにより算出された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の三次元座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での二次元位置を求め、前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、当該求められた前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する第4の算出ステップと、
前記第4の算出ステップによって算出された各二次元移動量と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を前記測定対象平面の角度として測定する測定ステップと、
を含む角度の測定方法。
【請求項4】
前記第3の算出ステップは、前記測定対象平面の予め定められた単位時間当たりの三つの回転角度である初期回転角度、前記測定対象平面の回転角度の初期値である回転角度初期値、前記調整ステップによって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標、及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求め、
前記測定ステップは、前記第4の算出ステップによって算出された各二次元移動量と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、前記初期角度、及び前記初期回転角度を調整した場合における調整後の前記初期回転角度を前記測定対象平面の角速度として測定する
請求項3記載の角度の測定方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1又は請求項2記載の角度測定装置を構成する各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
移動すると共に回転する測定対象平面の平面上に配置された複数のマーカを連続的に複数回撮影することにより、前記複数のマーカを含む画像の画像データを複数個取得するための撮影装置と、
前記撮影装置によって取得された複数個の画像データに基づいて、該複数個の画像データが示す複数の画像の各々に含まれる前記複数のマーカの各々について画像上での二次元位置を追尾する追尾手段と、
前記追尾手段の追尾結果に基づいて、指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上の二次元位置、及び所定の単位時間当たりの画像上での二次元移動量を算出する第1の算出手段と、
予め定められた前記測定対象平面の所定方向及び前記測定対象平面に垂直な方向の前記単位時間当たりの移動量である初期移動量、予め定められた前記測定対象平面の移動方向及び該移動方向と直交する方向各々の前記複数のマーカの各々の二次元の座標である初期座標、予め定められた前記撮影装置から前記測定対象平面までの距離である初期距離、及び予め定められた前記撮影装置に対する前記測定対象平面の角度である初期角度を設定する設定手段と、
前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記複数のマーカの各々の前記平面上の三次元座標に対応する前記画像上での二次元位置を各々算出する第2の算出手段と、
前記第2の算出手段で算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記第1の算出手段で算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が各々最小となるように、前記複数のマーカの各々の前記平面上での二次元座標を調整する調整手段と、
前記調整手段によって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求める第3の算出手段と、
前記第3の算出手段により算出された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の三次元座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での二次元位置を求め、前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、当該求められた前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する第4の算出手段と、
前記第4の算出手段によって算出された各二次元移動量と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を前記測定対象平面の角度として測定する測定手段と、
を含む角度測定装置。
【請求項2】
前記第3の算出手段は、前記測定対象平面の予め定められた単位時間当たりの三つの回転角度である初期回転角度、前記測定対象平面の回転角度の初期値である回転角度初期値、前記調整手段によって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標、及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求め、
前記測定手段は、前記第4の算出手段によって算出された各二次元移動量と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾手段による追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、前記初期角度、及び前記初期回転角度を調整した場合における調整後の前記初期回転角度を前記測定対象平面の角速度として測定する
請求項1記載の角度測定装置。
【請求項3】
移動すると共に回転する測定対象平面の平面上に配置された複数のマーカを連続的に複数回撮影することにより、前記複数のマーカを含む画像の画像データを複数個取得するための撮影装置によって取得された複数個の画像データに基づいて、該複数個の画像データが示す複数の画像の各々に含まれる前記複数のマーカの各々について画像上での二次元位置を追尾する追尾ステップと、
前記追尾ステップの追尾結果に基づいて、指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上の二次元位置、及び所定の単位時間当たりの画像上での二次元移動量を算出する第1の算出ステップと、
予め定められた前記測定対象平面の所定方向及び前記測定対象平面に垂直な方向の前記単位時間当たりの移動量である初期移動量、予め定められた前記測定対象平面の移動方向及び該移動方向と直交する方向各々の前記複数のマーカの各々の二次元の座標である初期座標、予め定められた前記撮影装置から前記測定対象平面までの距離である初期距離、及び予め定められた前記撮影装置に対する前記測定対象平面の角度である初期角度を設定する設定ステップと、
前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記複数のマーカの各々の前記平面上の三次元座標に対応する前記画像上での二次元位置を各々算出する第2の算出ステップと、
前記第2の算出ステップで算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記第1の算出ステップで算出された前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が各々最小となるように、前記複数のマーカの各々の前記平面上での二次元座標を調整する調整ステップと、
前記調整ステップによって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求める第3の算出ステップと、
前記第3の算出ステップにより算出された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の三次元座標、前記初期距離、及び前記初期角度に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での二次元位置を求め、前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、当該求められた前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量を算出する第4の算出ステップと、
前記第4の算出ステップによって算出された各二次元移動量と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、及び前記初期角度を調整した場合における調整後の初期角度を前記測定対象平面の角度として測定する測定ステップと、
を含む角度の測定方法。
【請求項4】
前記第3の算出ステップは、前記測定対象平面の予め定められた単位時間当たりの三つの回転角度である初期回転角度、前記測定対象平面の回転角度の初期値である回転角度初期値、前記調整ステップによって調整された前記測定対象平面の平面上における前記複数のマーカの各々の二次元座標、及び前記初期移動量に基づいて、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記平面上での三次元座標を求め、
前記測定ステップは、前記第4の算出ステップによって算出された各二次元移動量と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻における前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置から、前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置までの各二次元移動量との差の二乗和、及び前記求められた前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置と、前記追尾ステップによる追尾結果により得られる前記指定時刻から前記単位時間経過後の前記複数のマーカの各々の前記画像上での各二次元位置との差の二乗和が最小となるように、前記初期移動量、前記初期座標、前記初期距離、前記初期角度、及び前記初期回転角度を調整した場合における調整後の前記初期回転角度を前記測定対象平面の角速度として測定する
請求項3記載の角度の測定方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1又は請求項2記載の角度測定装置を構成する各手段として機能させるためのプログラム。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図1】
【公開番号】特開2012−122848(P2012−122848A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273862(P2010−273862)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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