角形二次電池
【課題】接合部の変形や、隣接する電池の電極端子と短絡する虞がなく、取り扱いが容易で、電池パックの小型化を可能とする角形二次電池を得ること。
【解決手段】角形二次電池1は、電池ケース2の蓋体3に絶縁部材30、40を介して電極端子10、20が支持されている。角形二次電池1の電極端子10、20は、蓋体3の上面に対向して平行に延在する接合部13、23を有する。そして、絶縁部材30、40は、蓋体3の上面と接合部13、23との間に介在されて接合部13、23を支持する絶縁台座部32、42を有する。
【解決手段】角形二次電池1は、電池ケース2の蓋体3に絶縁部材30、40を介して電極端子10、20が支持されている。角形二次電池1の電極端子10、20は、蓋体3の上面に対向して平行に延在する接合部13、23を有する。そして、絶縁部材30、40は、蓋体3の上面と接合部13、23との間に介在されて接合部13、23を支持する絶縁台座部32、42を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ケースの蓋体に絶縁部材を介して電極端子が支持された角形二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例1として、一端に長方形状の開口を有する有底四角箱形の金属製の電池ケースの内部に発電体が収納され、前記開口が電池ケースに固定された長方形板状の金属製の蓋部材によって気密に封止されている角形二次電池において、金属製の端子板(集電板)の一端(下端)が電池ケース内で発電体と導電接続され、他端(上端)が蓋部材に形成された貫通孔を蓋部材と非接触状態で貫通して蓋部材の外方(上方)に真っ直ぐに突出し、貫通孔が端子板の他端側を含むインサート成形によって蓋部材にモールドされた合成樹脂による絶縁モールド部によって封止されたものが知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
従来例2として、蓋部材の外方に突出した端子板の上端部を側方に隣接する電池側に折曲させて蓋部材の側方に突出させ、隣接する角形二次電池の端子板の突出折曲部同士を上下に重ね合わせることによって隣接する角形二次電池同士を導通接続したものが提案されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−84559号公報
【特許文献2】特開2009−104793号公報
【特許文献3】特開2008−166091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例1の角形二次電池では、端子板が蓋部材の上方に真っ直ぐに突出しているので、複数個の角形二次電池の端子板の突出端部同士を導通接続してなる電池パックにおいて、蓋部材の上方に大きいスペースを必要とし、電池パックの小型化を阻害する。このことは、ハイブリット自動車や電気自動車において、電池パックが車体床下に配置される場合、車高との関係において、特に大きい課題になる。
【0006】
従来例2の角形二次電池では、端子板の上端部を側方に折曲させているので、従来例1のものより上方スペースの削減を図ることができるが、端子板先端の折曲部が蓋部材の側方に突出しているので、つまり、端子板先端の折曲部が二次電池外形から側方にはみ出しているので、保管、輸送時や電池パックの組立工程に、端子板が変形する虞があった。このため、取り扱いに注意を要し、種々の作業の効率向上の妨げとなっていた。また、端子板の変形防止処置が必要になり、梱包材が大型化し、二次電池の保管スペースの縮小を妨げていた。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、保管、輸送時等の取り扱いが容易で、電池パックの小型化を可能にする角形二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による角形二次電池は、電池ケースの蓋体に絶縁部材を介して電極端子が支持された角形二次電池であって、電極端子が蓋体の上面に対向して平行に延在する接合部を有し、絶縁部材が蓋体の上面と接合部との間に介在されて接合部を支持する絶縁台座部を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の角形二次電池によれば、保管時や輸送時に接合部が変形するおそれがなく、取り扱いが容易で、電池パックとした場合に全体を小型化することができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図。
【図2】図1に示す角形二次電池の分解斜視図。
【図3】図1に示す角形二次電池の要部を拡大して示す斜視図。
【図4】図3の線III−IIIに沿った断面を示す図。
【図5】第1実施の形態における変形例を示す図3の線III−IIIに沿った断面に相当する図。
【図6】第2実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図。
【図7】図6に示す角形二次電池の要部を拡大して示す斜視図。
【図8】図7の線VII−VIIに沿った断面を示す図。
【図9】第3実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図。
【図10】図10(A)は図9の要部を拡大して示す斜視図、図10(B)は図10(A)の線X−Xに沿った断面を示す図。
【図11】図11(A)は第3実施の形態における変形例の要部を拡大して示す斜視図、図11(B)は図11(A)の線XI−XIに沿った断面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施の形態]
次に、本実施の形態に係わる角形二次電池について図1〜図3を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図、図2は、図1の分解図、図3は、図2の要部を拡大して示す図、図4は、図3の線III−IIIに沿った断面を示す図である。
【0013】
本実施の形態に係わる角形二次電池1は、電気自動車やハイブリット自動車の駆動用電源として用いられるリチウムイオン二次電池である。角形二次電池1は、図1に示すように、長方形状の開口2Aを有する有底四角箱形の電池ケース2と、電池ケース2の開口2Aを閉塞する長方形板状の蓋体3を有している。電池ケース2は、深絞り成形により、開口2Aの短辺の寸法に比べて深さ寸法が大きく形成された形状を有している。蓋体3には、正極端子10、負極端子20、ガス排出弁6、注液栓8によって閉じられる電解液の注入口7が設けられている。
【0014】
電池ケース2の内部には、図2に示される電極群4が絶縁シート5に包まれた状態で収容されている。電池ケース2と蓋体3は金属製材料からなり、電池ケース2の開口2Aに蓋体3が溶接によって固定され、気密に封止される。
【0015】
電極群4は、特に図示しないが、アルミニウム等の金属箔から構成される正極金属箔と、この正極金属箔の表裏面に塗布された正極合剤層とから構成される正極を有すると共に、銅等の金属薄膜から構成される負極金属箔と、この負極金属箔の表裏面に塗布された負極合剤層とから構成される負極とを有し、正極と負極との間にポリエチレン樹脂により形成された多孔質で絶縁性を有するセパレータを挟んで偏平に捲回する、あるいは積層することによって構成される。
【0016】
電極群4は、電池の電力源であり、正極、負極間をリチウムイオンが移動することにより充放電される構造となっている。電極群4は、捲回軸方向一方側に正極集電体露出面4aが形成され、捲回軸方向他方側に負極集電体露出面4bが形成されている。電極群4の正極集電体露出面4a及び負極集電体露出面4bには、正極端子10と負極端子20の集電部11、21が溶接接合される。
【0017】
正極端子10と負極端子20は、絶縁部材30、40を介して蓋体3に支持されている。蓋体3の長辺方向両端部には、図2に示すように、正極端子10と負極端子20を挿通するための開口部3A、3Bが開口形成されている。正極端子10と負極端子20は、インサート成形により、蓋体3の開口部3A、3Bに挿通された状態で絶縁部材30、40によって蓋体3に一体に固定されて支持される。
【0018】
正極端子10と負極端子20は、アルミニウムや銅などの金属の板材を屈曲して形成されており、左右対称形を有している。正極端子10と負極端子20は、図2に示す電極群4の正極集電体露出面4a及び負極集電体露出面4bに、例えば超音波溶接等により導通接続される集電部11、21と、集電部11、21の上端部に連続して形成されて蓋体3の開口部3A、3Bに挿通された状態で絶縁部材30、40によって保持される保持部12、22と、保持部12、22に連続して形成されて蓋体3の上面に露出する接合部13、23を有する。
【0019】
集電部11、21と保持部12、22は、略同一の幅を有し、その幅方向が蓋体3の長辺方向と平行になり、蓋体3から電池ケース2内で深さ方向に延在するように形成されている。
【0020】
保持部12、22は、蓋体3の下面に対向して平行に配置される下面部12a、22aと、蓋体3の上面に対向して平行に配置される上面部12c、22cと、蓋体3の開口部3A、3Bを貫通して下面部12a、22aと上面部12c、22cとの間に亘る縦面部12b、22bを有する。
【0021】
保持部12、22は、図4に示すように、上面部12c、22cと下面部12a、22aが縦面部12b、22bから互いに離反する方向に延出するステップ状に屈曲された形状を有している。具体的には、下面部12a、22aは、集電部11、21の上端部で屈曲されて、蓋体3の短辺方向一方側から他方側に向かって蓋体3の下面に平行に延在し、縦面部12b、22bは、下面部12a、22aに連続して開口部3A、3Bに対応する位置で蓋体3に向かって屈曲されて開口部3A、3Bを通過し、蓋体3から上方に所定距離だけ突出し、上面部12c、22cは、縦面部12b、22bの上端で蓋体3の短辺方向他方側に向かって屈曲されて、蓋体3の上面に平行に延在している。
【0022】
図5は、保持部の変形例を示す図であり、図4に対応する図である。この変形例の場合、保持部12、22は、上面部12c、22cと下面部12a、22aが縦面部12b、22bから同方向に延出する断面コ字状に屈曲された形状を有している。すなわち、上面部12c、22cは、縦面部12b、22bの上端で再び蓋体3の短辺方向一方側に向かって屈曲されて、蓋体3の上面に平行に延在している。
【0023】
接合部13、23は、図2に示すように、蓋体3の長辺方向に沿って延在する平板形状を有している。接合部13、23は、図3及び図4に示すように、蓋体3の上面に対向して平行に延在し、接合部13、23の上面である接合面が保持部12、22の上面部12c、22cと面一となるように配置されている。
【0024】
接合部13、23は、保持部12、22の上面部12c、22cよりも蓋体3の短辺方向に段状に拡大された形状を有しており、接合面が上面部12c、22cよりも広くなっている。具体的には、蓋体3の長辺方向と同方向の長さである左右幅Lwが蓋体3の短辺方向の長さよりも大きく、蓋体3の短辺方向と同方向の長さである前後幅Ldが上面部12c、22cの同方向の長さよりも大きくかつ蓋体3の短辺方向長さよりも小さい寸法形状を有している。
【0025】
このように、接合部13、23は、接合部13、23の上面に、上面部12c、22cよりも広い面積の接合面を有しているので、接触面積を広く確保することができ、良好な導通接続を得ることができる。また、接合部13、23の前後幅Ldが蓋体3の短辺方向長さよりも小さく形成されているので、複数の角形二次電池1間で端子同士が接触するのを防止することができる。また、蓋体3を電池ケース2に溶接する際に障害物となるのを防ぎ、蓋体3の溶接作業を容易化できる。
【0026】
絶縁部材30、40は、接合部13、23の前後幅Ld以上でかつ蓋体3の短辺方向幅以下の前後幅と、保持部12、22の上面部12c、22cから接合部13、23に亘る長さよりも若干大きな左右幅を有している。絶縁部材30、40は、開口部3A、3Bを封止して保持部12、22を固定する封止固定部31、41と、蓋体3の上面と接合部13、23との間に介在されて接合部13、23を蓋体3の上面上に支持する絶縁台座部32、42によって構成されている。
【0027】
封止固定部31、41は、蓋体3の開口部3A、3Bの前後幅Hd及び左右幅よりも大きく、図4または図5に示すように、保持部12、22の上面部12c、22cと下面部12a、22aとの間に介在される厚さとなる形状を有している。保持部12、22は、封止固定部31、41の上面に上面部12c、22cの下面が当接あるいは没入されて、上面部12c、22cの上面が封止固定部31、41から上方に露出している。そして、封止固定部31、41の下面に下面部12a、22aの上面が当接あるいは没入されている。
【0028】
絶縁台座部32、42は、封止固定部31、41から蓋体3の長辺方向中央側に向かって延出して封止固定部31、41と一体に形成されている。絶縁台座部32、42は、封止固定部31、41と同じ高さで蓋体3の上面に沿って延在しており、接合部13、23の大きさと同一あるいは若干大きい寸法形状を有している。絶縁台座部32、42の上面には、接合部13、23が支持されている。
【0029】
接合部13、23は、保持部12、22と同様に、絶縁台座部32、42の上面に接合部13、23の下面が当接あるいは没入されて、接合部13、23の上面である接合面が絶縁台座部32、42よりも上方に配置されており、例えば接合部13、23の上にバスバを載せた場合に、接合部13、23をバスバに確実に接触させることができる。
【0030】
上記構成を有する角形二次電池1によれば、正極端子10及び負極端子20が蓋体3の上面に対向して平行に延在する接合部13、23を有し、絶縁部材30、40が蓋体3の上面と接合部13、23との間に介在されて接合部13、23を支持する絶縁台座部32、42を有しているので、保管時や輸送時に接合部13、23が変形する虞がない。したがって、電池単体として取り扱いが容易であり、種々の作業の効率を向上させることができる。また、接合部13、23の変形を防止する処置が不要なり、梱包材が大型化することがなく、角形二次電池1の保管スペースを縮小できる。
【0031】
また、複数個の角形二次電池1の接合部13、23同士をバスバで導通接続して電池パックを構成する場合に、蓋体3の上方に要するスペースを削減でき、電池パック全体の高さを低くすることができ、電池パック全体を小型化することができる。
【0032】
上記構成を有する角形二次電池1によれば、接合部13、23が保持部12、22から蓋体3の上面に収まる大きさで蓋体3の長辺方向中央側に向かって延在する平板形状を有しているので、接合部13、23の上面である接合面の接触面積をより広く確保でき、良好な導通接続を得ることができる。
【0033】
上記構成を有する角形二次電池1によれば、保持部12、22が、ステップ形状または断面コ字状に屈曲された形状を有しており、封止固定部31、41の上面に上面部12c、22cの下面が当接あるいは没入されて、封止固定部31、41の下面に下面部12a、22aの上面が当接あるいは没入されているので、蓋体3に対して正極端子10及び負極端子20を確実に保持させることができる。
【0034】
特に、図5に示す変形例では、保持部12、22が断面コ字状に屈曲されて絶縁部材30、40をくわえ込むように形成されているので、絶縁部材30、40に対して正極端子10及び負極端子20を高い結合強度で支持固定することができる。
【0035】
したがって、例えば、振動等によって正極端子10及び負極端子20に蓋体3の短辺方向の力が作用した場合に、かかる力を、縦面部12b、22bに加えて、保持部12、22の上面部12c、22cと下面部12a、22aでも受けることができ、振動等に対して高い耐久性を発揮することができる。
【0036】
また、保持部12、22が、ステップ形状または断面コ字状に屈曲された形状を有していることから、絶縁部材30、40との間に隙間を形成され難くし、かかる隙間から電解液やガスが漏れ出るのを防ぐことができ、封止状態を確実に維持することができる。
【0037】
また、保持部12、22は、一直線状に伸びる縦面部12b、22bによって、集電部11、21と接合部13、23との距離を最短距離で接続しているので、距離が短く、電気抵抗を小さくすることができる。
【0038】
[第2実施の形態]
次に、第2実施の形態について図6から図8を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図、図7は、図6に示す角形二次電池の要部を拡大して示す斜視図、図8は、図7のV−V線に沿った断面を示す図である。なお、上述の第1実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0039】
本実施の形態において特徴的なことは、正極端子10及び負極端子20に締結部材50を着脱可能に取り付ける締結部材取付部60を設けたことである。締結部材取付部60は、正極端子10及び負極端子20の接合部13、23に設けられて締結部材50の軸部51を挿入可能な切り欠き部14、24と、接合部13、23と絶縁台座部32、42との間に設けられて締結部材50の頭部52を係脱可能に係合する係合部33、43によって構成される。
【0040】
締結部材50は、例えば、図示していない他の装置の外部接続端子や電池パックのバスバ等を締結して正極端子10及び負極端子20に導通接続するためのものである。締結部材50は、雄ネジを有する軸部51と、軸部51の一方端部に段差を介して拡大形成された頭部52とを有している。軸部51の直径は、接合部13、23の前後幅Ld(図3を参照)よりも小さく、頭部52は、所定の板厚を有する矩形の平板形状を有している。
【0041】
正極端子10の接合部13の切り欠き部14は、接合部13の蓋体3の短辺方向一方側の端縁部から短辺方向他方側に向かって切り欠かれて形成されている。本実施の形態では、切り欠き部14は、接合部13の保持部12側から蓋体3の長辺方向中央側に向かって見た場合、すなわち、接合部13の基端側に立って接合部13の先端側を見た場合に、蓋体3の短辺方向右側に位置する後端縁部から短辺方向左側に位置する前端縁部に向かって切り欠き形成されている。
【0042】
一方、負極端子20の接合部23の切り欠き部24は、接合部23の蓋体3の短辺方向他方側の端縁部から短辺方向一方側に向かって切り欠かれて形成されている。そして、切り欠き部24は、接合部23の保持部22側から蓋体3の長辺方向中央側に向かって見た場合、すなわち、接合部23の基端側に立って接合部23の先端側を見た場合に、蓋体3の短辺方向右側に位置する前端縁部から短辺方向左側に位置する後端縁部に向かって切り欠き形成されている。
【0043】
これらの切り欠き部14、24は、締結部材50の軸部51を挿通可能であって頭部52よりも狭い切り欠き幅と、軸部51を蓋体3の短辺方向中央位置に配置可能な切り欠き深さを有している。
【0044】
正極端子10側の係合部33は、切り欠き部14の下方位置で切り欠き部14の切り欠き方向と同方向に、絶縁台座部32の蓋体3の短辺方向一方側の端縁部から短辺方向他方側に向かって溝状に形成されている。一方、負極端子20側の係合部43は、切り欠き部24の下方位置で切り欠き部24の切り欠き方向と同方向に、絶縁台座部42の蓋体3の短辺方向他方側の端縁部から短辺方向一方側に向かって溝状に形成されている。これらの係合部33、43は、頭部52を係合させた状態で、頭部52の互いに平行な辺部に対向する一対の対向面を有している。
【0045】
締結部材50は、頭部52を切り欠き部14、24の切り欠き側から係合部33、43に挿入することによって係合させることができ、軸部51が蓋体3から垂直に突出し、かつ締結部材50の中心軸回りの回転を規制した状態で取り付けられる。そして、軸部51に図示していないナットを螺合させて締め付けることにより締結でき、例えばバスバ等を正極端子10及び負極端子20に導通接続することができる。
【0046】
上記構成を有する角形二次電池1によれば、締結部材50を正極端子10及び負極端子20に取り付けることができ、正極端子10及び負極端子20に導通接続する作業や、接続を切断する作業の容易化が図られる。そして、締結部材50を正極端子10及び負極端子20に着脱できるので、状況に応じて締結部材50を使用する方法と使用しない方法の2種類の方法を選択でき、角形二次電池の適用範囲を広げることができる。また、締結部材50を容易に交換でき、例えば、軸部51をM4のものからM5のものに変更するなど、締結部材50の仕様を客先の要求等に応じて迅速かつ任意に変更することができる。
【0047】
そして、本実施の形態では、正極端子10の接合部13の切り欠き部14は、接合部13の保持部12側から蓋体3の長辺方向中央側に向かって見た場合、すなわち、接合部13の基端側に立って接合部13の先端側を見た場合に、蓋体3の短辺方向右側に位置する後端縁部から短辺方向左側に位置する前端縁部に向かって切り欠き形成されている。そして、切り欠き部24は、接合部23の保持部22側から蓋体3の長辺方向中央側に向かって見た場合、すなわち、接合部23の基端側に立って接合部13の先端側を見た場合に、蓋体3の短辺方向右側に位置する前端縁部から短辺方向左側に位置する後端縁部に向かって切り欠き形成されている。
【0048】
したがって、締結部材50の回転締付トルクTが接合部13、23に作用して接合部13、23が変形した場合に、切り欠き部14、24の切り欠き幅が短くなる方向、換言すると、切り欠き部14、24の開放端側を閉じる方向に変形させることができる。したがって、回転締付トルクTによって接合部13、23が変形した場合に、切り欠き部14、24の開放端側が開いて頭部52が係合部33、43から抜け出るのを防ぎ、締結部材50が締結部材取付部60から外れるのを防止することができる。
【0049】
[第3実施の形態]
次に、第3実施の形態について図9から図11を用いて説明する。図9は、本実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図、図10(A)は、図9に示す角形二次電池の要部を拡大して示す斜視図、図10(B)は、バスバの取り付け状態を図10(A)の線X−Xに沿った断面で示す図、図11(A)は、本実施の形態における変形例の要部を拡大して示す斜視図、図11(B)は、バスバの取り付け状態を図11(A)の線XI−XIに沿った断面で示す図である。なお、上述の第1実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0050】
本実施の形態において特徴的なことは、電池パックにおいて互いに隣り合う角形二次電池の正極端子10及び負極端子20をバスバで接続する際に、接合部13、23に対してバスバ70を位置決めして溶接接合可能な構成としたことである。
【0051】
例えば図9に示す角形二次電池1は、接合部13、23の上面にプロジェクション溶接用の突起部15、25がエンボス加工やハーフピアス加工等によって突出形成されている。本実施の形態では、蓋体3の長辺方向に所定間隔をおいて2個設けられている。
【0052】
バスバ70は、図10(A)に示すように、接合部13、23の左右幅とほぼ同一幅で延在する帯板形状を有しており、下面には、突起部15、25が挿入される凹部71が形成されている。
【0053】
バスバ70と接合部13、23は、プロジェクション溶接によって溶接されて導通接続される。接合部13、23の上方からバスバ70を接近させて、接合部13、23の突起部15、25をバスバ70の凹部71に挿入する。これにより、接合部13、23に対してバスバ70を位置決めすることができる。なお、接合部13、23の上面とバスバ70の下面との間には、隙間が形成されている。
【0054】
かかる位置決め状態でプロジェクション溶接が行われる。プロジェクション溶接では、抵抗溶接時における電流を突起部15、25と凹部71との接点に集中して発熱させることで、突起部15、25と凹部71とを溶融させて溶接する。したがって、接合部13、23に対してバスバ70を位置決めした状態で溶接でき、溶接作業を簡単化することができる。プロジェクション溶接は、短時間で安価に行うことができる。したがって、電池パックの製造コストを低減することができる。
【0055】
また、プロジェクション溶接に代えて、レーザ溶接を用いてもよい。レーザ溶接の場合は、図11に示されているように、バスバ70に突起部25が嵌合する貫通孔72が形成されている。
【0056】
バスバ70と接合部13、23をレーザ溶接するには、接合部13、23の上方からバスバ70を接近させて、接合部13、23の突起部15、25をバスバ70の貫通孔72に嵌合させる。そして、接合部13の上面にバスバ70を載せて、接合部13、23の上面とバスバ70の下面とを接面させる。これにより、接合部13、23に対してバスバ70を位置決めすることができる。
【0057】
かかる位置決め状態でレーザ溶接が行われる。レーザ溶接では、バスバ70の上方から突起部15、25と貫通孔72との境界部分にレーザを照射して溶接する。したがって、接合部13、23に対してバスバ70を位置決めした状態で溶接でき、溶接作業を簡単化することができる。
【0058】
本発明は、前記の各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、上述の各実施の形態では、角形二次電池がリチウムイオン二次電池である場合を例に説明したが、リチウムポリマ二次電池などの他の二次電池でもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 角形二次電池
2 電池ケース
3 蓋体
4 電極群
10 正極端子
12、22 保持部
13、23 接合部
20 負極端子
30、40 絶縁部材
32、42 絶縁台座部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池ケースの蓋体に絶縁部材を介して電極端子が支持された角形二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例1として、一端に長方形状の開口を有する有底四角箱形の金属製の電池ケースの内部に発電体が収納され、前記開口が電池ケースに固定された長方形板状の金属製の蓋部材によって気密に封止されている角形二次電池において、金属製の端子板(集電板)の一端(下端)が電池ケース内で発電体と導電接続され、他端(上端)が蓋部材に形成された貫通孔を蓋部材と非接触状態で貫通して蓋部材の外方(上方)に真っ直ぐに突出し、貫通孔が端子板の他端側を含むインサート成形によって蓋部材にモールドされた合成樹脂による絶縁モールド部によって封止されたものが知られている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
従来例2として、蓋部材の外方に突出した端子板の上端部を側方に隣接する電池側に折曲させて蓋部材の側方に突出させ、隣接する角形二次電池の端子板の突出折曲部同士を上下に重ね合わせることによって隣接する角形二次電池同士を導通接続したものが提案されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−84559号公報
【特許文献2】特開2009−104793号公報
【特許文献3】特開2008−166091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例1の角形二次電池では、端子板が蓋部材の上方に真っ直ぐに突出しているので、複数個の角形二次電池の端子板の突出端部同士を導通接続してなる電池パックにおいて、蓋部材の上方に大きいスペースを必要とし、電池パックの小型化を阻害する。このことは、ハイブリット自動車や電気自動車において、電池パックが車体床下に配置される場合、車高との関係において、特に大きい課題になる。
【0006】
従来例2の角形二次電池では、端子板の上端部を側方に折曲させているので、従来例1のものより上方スペースの削減を図ることができるが、端子板先端の折曲部が蓋部材の側方に突出しているので、つまり、端子板先端の折曲部が二次電池外形から側方にはみ出しているので、保管、輸送時や電池パックの組立工程に、端子板が変形する虞があった。このため、取り扱いに注意を要し、種々の作業の効率向上の妨げとなっていた。また、端子板の変形防止処置が必要になり、梱包材が大型化し、二次電池の保管スペースの縮小を妨げていた。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、保管、輸送時等の取り扱いが容易で、電池パックの小型化を可能にする角形二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明による角形二次電池は、電池ケースの蓋体に絶縁部材を介して電極端子が支持された角形二次電池であって、電極端子が蓋体の上面に対向して平行に延在する接合部を有し、絶縁部材が蓋体の上面と接合部との間に介在されて接合部を支持する絶縁台座部を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の角形二次電池によれば、保管時や輸送時に接合部が変形するおそれがなく、取り扱いが容易で、電池パックとした場合に全体を小型化することができる。なお、上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図。
【図2】図1に示す角形二次電池の分解斜視図。
【図3】図1に示す角形二次電池の要部を拡大して示す斜視図。
【図4】図3の線III−IIIに沿った断面を示す図。
【図5】第1実施の形態における変形例を示す図3の線III−IIIに沿った断面に相当する図。
【図6】第2実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図。
【図7】図6に示す角形二次電池の要部を拡大して示す斜視図。
【図8】図7の線VII−VIIに沿った断面を示す図。
【図9】第3実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図。
【図10】図10(A)は図9の要部を拡大して示す斜視図、図10(B)は図10(A)の線X−Xに沿った断面を示す図。
【図11】図11(A)は第3実施の形態における変形例の要部を拡大して示す斜視図、図11(B)は図11(A)の線XI−XIに沿った断面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施の形態]
次に、本実施の形態に係わる角形二次電池について図1〜図3を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図、図2は、図1の分解図、図3は、図2の要部を拡大して示す図、図4は、図3の線III−IIIに沿った断面を示す図である。
【0013】
本実施の形態に係わる角形二次電池1は、電気自動車やハイブリット自動車の駆動用電源として用いられるリチウムイオン二次電池である。角形二次電池1は、図1に示すように、長方形状の開口2Aを有する有底四角箱形の電池ケース2と、電池ケース2の開口2Aを閉塞する長方形板状の蓋体3を有している。電池ケース2は、深絞り成形により、開口2Aの短辺の寸法に比べて深さ寸法が大きく形成された形状を有している。蓋体3には、正極端子10、負極端子20、ガス排出弁6、注液栓8によって閉じられる電解液の注入口7が設けられている。
【0014】
電池ケース2の内部には、図2に示される電極群4が絶縁シート5に包まれた状態で収容されている。電池ケース2と蓋体3は金属製材料からなり、電池ケース2の開口2Aに蓋体3が溶接によって固定され、気密に封止される。
【0015】
電極群4は、特に図示しないが、アルミニウム等の金属箔から構成される正極金属箔と、この正極金属箔の表裏面に塗布された正極合剤層とから構成される正極を有すると共に、銅等の金属薄膜から構成される負極金属箔と、この負極金属箔の表裏面に塗布された負極合剤層とから構成される負極とを有し、正極と負極との間にポリエチレン樹脂により形成された多孔質で絶縁性を有するセパレータを挟んで偏平に捲回する、あるいは積層することによって構成される。
【0016】
電極群4は、電池の電力源であり、正極、負極間をリチウムイオンが移動することにより充放電される構造となっている。電極群4は、捲回軸方向一方側に正極集電体露出面4aが形成され、捲回軸方向他方側に負極集電体露出面4bが形成されている。電極群4の正極集電体露出面4a及び負極集電体露出面4bには、正極端子10と負極端子20の集電部11、21が溶接接合される。
【0017】
正極端子10と負極端子20は、絶縁部材30、40を介して蓋体3に支持されている。蓋体3の長辺方向両端部には、図2に示すように、正極端子10と負極端子20を挿通するための開口部3A、3Bが開口形成されている。正極端子10と負極端子20は、インサート成形により、蓋体3の開口部3A、3Bに挿通された状態で絶縁部材30、40によって蓋体3に一体に固定されて支持される。
【0018】
正極端子10と負極端子20は、アルミニウムや銅などの金属の板材を屈曲して形成されており、左右対称形を有している。正極端子10と負極端子20は、図2に示す電極群4の正極集電体露出面4a及び負極集電体露出面4bに、例えば超音波溶接等により導通接続される集電部11、21と、集電部11、21の上端部に連続して形成されて蓋体3の開口部3A、3Bに挿通された状態で絶縁部材30、40によって保持される保持部12、22と、保持部12、22に連続して形成されて蓋体3の上面に露出する接合部13、23を有する。
【0019】
集電部11、21と保持部12、22は、略同一の幅を有し、その幅方向が蓋体3の長辺方向と平行になり、蓋体3から電池ケース2内で深さ方向に延在するように形成されている。
【0020】
保持部12、22は、蓋体3の下面に対向して平行に配置される下面部12a、22aと、蓋体3の上面に対向して平行に配置される上面部12c、22cと、蓋体3の開口部3A、3Bを貫通して下面部12a、22aと上面部12c、22cとの間に亘る縦面部12b、22bを有する。
【0021】
保持部12、22は、図4に示すように、上面部12c、22cと下面部12a、22aが縦面部12b、22bから互いに離反する方向に延出するステップ状に屈曲された形状を有している。具体的には、下面部12a、22aは、集電部11、21の上端部で屈曲されて、蓋体3の短辺方向一方側から他方側に向かって蓋体3の下面に平行に延在し、縦面部12b、22bは、下面部12a、22aに連続して開口部3A、3Bに対応する位置で蓋体3に向かって屈曲されて開口部3A、3Bを通過し、蓋体3から上方に所定距離だけ突出し、上面部12c、22cは、縦面部12b、22bの上端で蓋体3の短辺方向他方側に向かって屈曲されて、蓋体3の上面に平行に延在している。
【0022】
図5は、保持部の変形例を示す図であり、図4に対応する図である。この変形例の場合、保持部12、22は、上面部12c、22cと下面部12a、22aが縦面部12b、22bから同方向に延出する断面コ字状に屈曲された形状を有している。すなわち、上面部12c、22cは、縦面部12b、22bの上端で再び蓋体3の短辺方向一方側に向かって屈曲されて、蓋体3の上面に平行に延在している。
【0023】
接合部13、23は、図2に示すように、蓋体3の長辺方向に沿って延在する平板形状を有している。接合部13、23は、図3及び図4に示すように、蓋体3の上面に対向して平行に延在し、接合部13、23の上面である接合面が保持部12、22の上面部12c、22cと面一となるように配置されている。
【0024】
接合部13、23は、保持部12、22の上面部12c、22cよりも蓋体3の短辺方向に段状に拡大された形状を有しており、接合面が上面部12c、22cよりも広くなっている。具体的には、蓋体3の長辺方向と同方向の長さである左右幅Lwが蓋体3の短辺方向の長さよりも大きく、蓋体3の短辺方向と同方向の長さである前後幅Ldが上面部12c、22cの同方向の長さよりも大きくかつ蓋体3の短辺方向長さよりも小さい寸法形状を有している。
【0025】
このように、接合部13、23は、接合部13、23の上面に、上面部12c、22cよりも広い面積の接合面を有しているので、接触面積を広く確保することができ、良好な導通接続を得ることができる。また、接合部13、23の前後幅Ldが蓋体3の短辺方向長さよりも小さく形成されているので、複数の角形二次電池1間で端子同士が接触するのを防止することができる。また、蓋体3を電池ケース2に溶接する際に障害物となるのを防ぎ、蓋体3の溶接作業を容易化できる。
【0026】
絶縁部材30、40は、接合部13、23の前後幅Ld以上でかつ蓋体3の短辺方向幅以下の前後幅と、保持部12、22の上面部12c、22cから接合部13、23に亘る長さよりも若干大きな左右幅を有している。絶縁部材30、40は、開口部3A、3Bを封止して保持部12、22を固定する封止固定部31、41と、蓋体3の上面と接合部13、23との間に介在されて接合部13、23を蓋体3の上面上に支持する絶縁台座部32、42によって構成されている。
【0027】
封止固定部31、41は、蓋体3の開口部3A、3Bの前後幅Hd及び左右幅よりも大きく、図4または図5に示すように、保持部12、22の上面部12c、22cと下面部12a、22aとの間に介在される厚さとなる形状を有している。保持部12、22は、封止固定部31、41の上面に上面部12c、22cの下面が当接あるいは没入されて、上面部12c、22cの上面が封止固定部31、41から上方に露出している。そして、封止固定部31、41の下面に下面部12a、22aの上面が当接あるいは没入されている。
【0028】
絶縁台座部32、42は、封止固定部31、41から蓋体3の長辺方向中央側に向かって延出して封止固定部31、41と一体に形成されている。絶縁台座部32、42は、封止固定部31、41と同じ高さで蓋体3の上面に沿って延在しており、接合部13、23の大きさと同一あるいは若干大きい寸法形状を有している。絶縁台座部32、42の上面には、接合部13、23が支持されている。
【0029】
接合部13、23は、保持部12、22と同様に、絶縁台座部32、42の上面に接合部13、23の下面が当接あるいは没入されて、接合部13、23の上面である接合面が絶縁台座部32、42よりも上方に配置されており、例えば接合部13、23の上にバスバを載せた場合に、接合部13、23をバスバに確実に接触させることができる。
【0030】
上記構成を有する角形二次電池1によれば、正極端子10及び負極端子20が蓋体3の上面に対向して平行に延在する接合部13、23を有し、絶縁部材30、40が蓋体3の上面と接合部13、23との間に介在されて接合部13、23を支持する絶縁台座部32、42を有しているので、保管時や輸送時に接合部13、23が変形する虞がない。したがって、電池単体として取り扱いが容易であり、種々の作業の効率を向上させることができる。また、接合部13、23の変形を防止する処置が不要なり、梱包材が大型化することがなく、角形二次電池1の保管スペースを縮小できる。
【0031】
また、複数個の角形二次電池1の接合部13、23同士をバスバで導通接続して電池パックを構成する場合に、蓋体3の上方に要するスペースを削減でき、電池パック全体の高さを低くすることができ、電池パック全体を小型化することができる。
【0032】
上記構成を有する角形二次電池1によれば、接合部13、23が保持部12、22から蓋体3の上面に収まる大きさで蓋体3の長辺方向中央側に向かって延在する平板形状を有しているので、接合部13、23の上面である接合面の接触面積をより広く確保でき、良好な導通接続を得ることができる。
【0033】
上記構成を有する角形二次電池1によれば、保持部12、22が、ステップ形状または断面コ字状に屈曲された形状を有しており、封止固定部31、41の上面に上面部12c、22cの下面が当接あるいは没入されて、封止固定部31、41の下面に下面部12a、22aの上面が当接あるいは没入されているので、蓋体3に対して正極端子10及び負極端子20を確実に保持させることができる。
【0034】
特に、図5に示す変形例では、保持部12、22が断面コ字状に屈曲されて絶縁部材30、40をくわえ込むように形成されているので、絶縁部材30、40に対して正極端子10及び負極端子20を高い結合強度で支持固定することができる。
【0035】
したがって、例えば、振動等によって正極端子10及び負極端子20に蓋体3の短辺方向の力が作用した場合に、かかる力を、縦面部12b、22bに加えて、保持部12、22の上面部12c、22cと下面部12a、22aでも受けることができ、振動等に対して高い耐久性を発揮することができる。
【0036】
また、保持部12、22が、ステップ形状または断面コ字状に屈曲された形状を有していることから、絶縁部材30、40との間に隙間を形成され難くし、かかる隙間から電解液やガスが漏れ出るのを防ぐことができ、封止状態を確実に維持することができる。
【0037】
また、保持部12、22は、一直線状に伸びる縦面部12b、22bによって、集電部11、21と接合部13、23との距離を最短距離で接続しているので、距離が短く、電気抵抗を小さくすることができる。
【0038】
[第2実施の形態]
次に、第2実施の形態について図6から図8を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図、図7は、図6に示す角形二次電池の要部を拡大して示す斜視図、図8は、図7のV−V線に沿った断面を示す図である。なお、上述の第1実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0039】
本実施の形態において特徴的なことは、正極端子10及び負極端子20に締結部材50を着脱可能に取り付ける締結部材取付部60を設けたことである。締結部材取付部60は、正極端子10及び負極端子20の接合部13、23に設けられて締結部材50の軸部51を挿入可能な切り欠き部14、24と、接合部13、23と絶縁台座部32、42との間に設けられて締結部材50の頭部52を係脱可能に係合する係合部33、43によって構成される。
【0040】
締結部材50は、例えば、図示していない他の装置の外部接続端子や電池パックのバスバ等を締結して正極端子10及び負極端子20に導通接続するためのものである。締結部材50は、雄ネジを有する軸部51と、軸部51の一方端部に段差を介して拡大形成された頭部52とを有している。軸部51の直径は、接合部13、23の前後幅Ld(図3を参照)よりも小さく、頭部52は、所定の板厚を有する矩形の平板形状を有している。
【0041】
正極端子10の接合部13の切り欠き部14は、接合部13の蓋体3の短辺方向一方側の端縁部から短辺方向他方側に向かって切り欠かれて形成されている。本実施の形態では、切り欠き部14は、接合部13の保持部12側から蓋体3の長辺方向中央側に向かって見た場合、すなわち、接合部13の基端側に立って接合部13の先端側を見た場合に、蓋体3の短辺方向右側に位置する後端縁部から短辺方向左側に位置する前端縁部に向かって切り欠き形成されている。
【0042】
一方、負極端子20の接合部23の切り欠き部24は、接合部23の蓋体3の短辺方向他方側の端縁部から短辺方向一方側に向かって切り欠かれて形成されている。そして、切り欠き部24は、接合部23の保持部22側から蓋体3の長辺方向中央側に向かって見た場合、すなわち、接合部23の基端側に立って接合部23の先端側を見た場合に、蓋体3の短辺方向右側に位置する前端縁部から短辺方向左側に位置する後端縁部に向かって切り欠き形成されている。
【0043】
これらの切り欠き部14、24は、締結部材50の軸部51を挿通可能であって頭部52よりも狭い切り欠き幅と、軸部51を蓋体3の短辺方向中央位置に配置可能な切り欠き深さを有している。
【0044】
正極端子10側の係合部33は、切り欠き部14の下方位置で切り欠き部14の切り欠き方向と同方向に、絶縁台座部32の蓋体3の短辺方向一方側の端縁部から短辺方向他方側に向かって溝状に形成されている。一方、負極端子20側の係合部43は、切り欠き部24の下方位置で切り欠き部24の切り欠き方向と同方向に、絶縁台座部42の蓋体3の短辺方向他方側の端縁部から短辺方向一方側に向かって溝状に形成されている。これらの係合部33、43は、頭部52を係合させた状態で、頭部52の互いに平行な辺部に対向する一対の対向面を有している。
【0045】
締結部材50は、頭部52を切り欠き部14、24の切り欠き側から係合部33、43に挿入することによって係合させることができ、軸部51が蓋体3から垂直に突出し、かつ締結部材50の中心軸回りの回転を規制した状態で取り付けられる。そして、軸部51に図示していないナットを螺合させて締め付けることにより締結でき、例えばバスバ等を正極端子10及び負極端子20に導通接続することができる。
【0046】
上記構成を有する角形二次電池1によれば、締結部材50を正極端子10及び負極端子20に取り付けることができ、正極端子10及び負極端子20に導通接続する作業や、接続を切断する作業の容易化が図られる。そして、締結部材50を正極端子10及び負極端子20に着脱できるので、状況に応じて締結部材50を使用する方法と使用しない方法の2種類の方法を選択でき、角形二次電池の適用範囲を広げることができる。また、締結部材50を容易に交換でき、例えば、軸部51をM4のものからM5のものに変更するなど、締結部材50の仕様を客先の要求等に応じて迅速かつ任意に変更することができる。
【0047】
そして、本実施の形態では、正極端子10の接合部13の切り欠き部14は、接合部13の保持部12側から蓋体3の長辺方向中央側に向かって見た場合、すなわち、接合部13の基端側に立って接合部13の先端側を見た場合に、蓋体3の短辺方向右側に位置する後端縁部から短辺方向左側に位置する前端縁部に向かって切り欠き形成されている。そして、切り欠き部24は、接合部23の保持部22側から蓋体3の長辺方向中央側に向かって見た場合、すなわち、接合部23の基端側に立って接合部13の先端側を見た場合に、蓋体3の短辺方向右側に位置する前端縁部から短辺方向左側に位置する後端縁部に向かって切り欠き形成されている。
【0048】
したがって、締結部材50の回転締付トルクTが接合部13、23に作用して接合部13、23が変形した場合に、切り欠き部14、24の切り欠き幅が短くなる方向、換言すると、切り欠き部14、24の開放端側を閉じる方向に変形させることができる。したがって、回転締付トルクTによって接合部13、23が変形した場合に、切り欠き部14、24の開放端側が開いて頭部52が係合部33、43から抜け出るのを防ぎ、締結部材50が締結部材取付部60から外れるのを防止することができる。
【0049】
[第3実施の形態]
次に、第3実施の形態について図9から図11を用いて説明する。図9は、本実施の形態に係わる角形二次電池の全体斜視図、図10(A)は、図9に示す角形二次電池の要部を拡大して示す斜視図、図10(B)は、バスバの取り付け状態を図10(A)の線X−Xに沿った断面で示す図、図11(A)は、本実施の形態における変形例の要部を拡大して示す斜視図、図11(B)は、バスバの取り付け状態を図11(A)の線XI−XIに沿った断面で示す図である。なお、上述の第1実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0050】
本実施の形態において特徴的なことは、電池パックにおいて互いに隣り合う角形二次電池の正極端子10及び負極端子20をバスバで接続する際に、接合部13、23に対してバスバ70を位置決めして溶接接合可能な構成としたことである。
【0051】
例えば図9に示す角形二次電池1は、接合部13、23の上面にプロジェクション溶接用の突起部15、25がエンボス加工やハーフピアス加工等によって突出形成されている。本実施の形態では、蓋体3の長辺方向に所定間隔をおいて2個設けられている。
【0052】
バスバ70は、図10(A)に示すように、接合部13、23の左右幅とほぼ同一幅で延在する帯板形状を有しており、下面には、突起部15、25が挿入される凹部71が形成されている。
【0053】
バスバ70と接合部13、23は、プロジェクション溶接によって溶接されて導通接続される。接合部13、23の上方からバスバ70を接近させて、接合部13、23の突起部15、25をバスバ70の凹部71に挿入する。これにより、接合部13、23に対してバスバ70を位置決めすることができる。なお、接合部13、23の上面とバスバ70の下面との間には、隙間が形成されている。
【0054】
かかる位置決め状態でプロジェクション溶接が行われる。プロジェクション溶接では、抵抗溶接時における電流を突起部15、25と凹部71との接点に集中して発熱させることで、突起部15、25と凹部71とを溶融させて溶接する。したがって、接合部13、23に対してバスバ70を位置決めした状態で溶接でき、溶接作業を簡単化することができる。プロジェクション溶接は、短時間で安価に行うことができる。したがって、電池パックの製造コストを低減することができる。
【0055】
また、プロジェクション溶接に代えて、レーザ溶接を用いてもよい。レーザ溶接の場合は、図11に示されているように、バスバ70に突起部25が嵌合する貫通孔72が形成されている。
【0056】
バスバ70と接合部13、23をレーザ溶接するには、接合部13、23の上方からバスバ70を接近させて、接合部13、23の突起部15、25をバスバ70の貫通孔72に嵌合させる。そして、接合部13の上面にバスバ70を載せて、接合部13、23の上面とバスバ70の下面とを接面させる。これにより、接合部13、23に対してバスバ70を位置決めすることができる。
【0057】
かかる位置決め状態でレーザ溶接が行われる。レーザ溶接では、バスバ70の上方から突起部15、25と貫通孔72との境界部分にレーザを照射して溶接する。したがって、接合部13、23に対してバスバ70を位置決めした状態で溶接でき、溶接作業を簡単化することができる。
【0058】
本発明は、前記の各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、前記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。さらに、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、上述の各実施の形態では、角形二次電池がリチウムイオン二次電池である場合を例に説明したが、リチウムポリマ二次電池などの他の二次電池でもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 角形二次電池
2 電池ケース
3 蓋体
4 電極群
10 正極端子
12、22 保持部
13、23 接合部
20 負極端子
30、40 絶縁部材
32、42 絶縁台座部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ケースの蓋体に絶縁部材を介して電極端子が支持された角形二次電池であって、
前記電極端子は、前記蓋体の上面に対向して平行に延在する接合部を有し、
前記絶縁部材は、前記蓋体の上面と前記接合部との間に介在されて前記接合部を支持する絶縁台座部を有することを特徴とする角形二次電池。
【請求項2】
前記電極端子は、前記接合部に連続して形成され、前記蓋体の開口部に挿通された状態で前記絶縁部材によって保持される保持部を有し、該保持部が、前記蓋体の下面に対向して平行に配置される下面部と、前記蓋体の上面に対向して平行に配置される上面部と、前記蓋体の開口部を貫通して前記下面部と上面部との間を接続する縦面部を有することを特徴とする請求項1に記載の角形二次電池。
【請求項3】
前記保持部は、前記上面部と前記下面部が前記縦面部から互いに離反する方向に延出するステップ状に屈曲された形状を有することを特徴とする請求項2に記載の角形二次電池。
【請求項4】
前記保持部は、前記上面部と前記下面部が前記縦面部から同方向に延出する断面コ字状に屈曲された形状を有することを特徴とする請求項2に記載の角形二次電池。
【請求項5】
前記蓋体は、長方形の板状部材からなり、
前記接合部は、前記蓋体の長辺方向に沿って延在する平板形状を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の角形二次電池。
【請求項6】
前記接合部は、該接合部の上面に前記保持部の上面部よりも広い面積の接合面を有することを特徴とする請求項5に記載の角形二次電池。
【請求項7】
前記接合部は、前記蓋体の長辺方向と同方向の長さが前記蓋体の短辺方向の長さよりも大きく、前記蓋体の短辺方向と同方向の長さが前記上面部の同方向の長さよりも大きくかつ前記蓋体の短辺方向長さよりも小さい形状寸法を有することを特徴とする請求項6に記載の角形二次電池。
【請求項8】
前記電極端子に締結部材を着脱可能に取り付ける締結部材取付部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の角形二次電池。
【請求項9】
前記締結部材は、軸部と頭部を有し、
前記締結部材取付部は、前記接合部に設けられて前記締結部材の軸部を挿入可能な切り欠き部と、前記接合部と前記絶縁台座部との間に設けられて前記締結部材の頭部を係脱可能に係合する係合部とを有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の角形二次電池。
【請求項10】
前記接合部は、バスバを位置決めした状態で溶接結合するための突起部を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の角形二次電池。
【請求項1】
電池ケースの蓋体に絶縁部材を介して電極端子が支持された角形二次電池であって、
前記電極端子は、前記蓋体の上面に対向して平行に延在する接合部を有し、
前記絶縁部材は、前記蓋体の上面と前記接合部との間に介在されて前記接合部を支持する絶縁台座部を有することを特徴とする角形二次電池。
【請求項2】
前記電極端子は、前記接合部に連続して形成され、前記蓋体の開口部に挿通された状態で前記絶縁部材によって保持される保持部を有し、該保持部が、前記蓋体の下面に対向して平行に配置される下面部と、前記蓋体の上面に対向して平行に配置される上面部と、前記蓋体の開口部を貫通して前記下面部と上面部との間を接続する縦面部を有することを特徴とする請求項1に記載の角形二次電池。
【請求項3】
前記保持部は、前記上面部と前記下面部が前記縦面部から互いに離反する方向に延出するステップ状に屈曲された形状を有することを特徴とする請求項2に記載の角形二次電池。
【請求項4】
前記保持部は、前記上面部と前記下面部が前記縦面部から同方向に延出する断面コ字状に屈曲された形状を有することを特徴とする請求項2に記載の角形二次電池。
【請求項5】
前記蓋体は、長方形の板状部材からなり、
前記接合部は、前記蓋体の長辺方向に沿って延在する平板形状を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の角形二次電池。
【請求項6】
前記接合部は、該接合部の上面に前記保持部の上面部よりも広い面積の接合面を有することを特徴とする請求項5に記載の角形二次電池。
【請求項7】
前記接合部は、前記蓋体の長辺方向と同方向の長さが前記蓋体の短辺方向の長さよりも大きく、前記蓋体の短辺方向と同方向の長さが前記上面部の同方向の長さよりも大きくかつ前記蓋体の短辺方向長さよりも小さい形状寸法を有することを特徴とする請求項6に記載の角形二次電池。
【請求項8】
前記電極端子に締結部材を着脱可能に取り付ける締結部材取付部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の角形二次電池。
【請求項9】
前記締結部材は、軸部と頭部を有し、
前記締結部材取付部は、前記接合部に設けられて前記締結部材の軸部を挿入可能な切り欠き部と、前記接合部と前記絶縁台座部との間に設けられて前記締結部材の頭部を係脱可能に係合する係合部とを有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の角形二次電池。
【請求項10】
前記接合部は、バスバを位置決めした状態で溶接結合するための突起部を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の角形二次電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−243405(P2012−243405A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109277(P2011−109277)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】
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