説明

角速度および加速度検出装置

【課題】 評価や実装等が容易で生産性が良く、出力ドリフトが小さく、安定した出力が得られ、さらに外部からの衝撃に対しても堅牢で、且つ2軸の角速度および2軸の加速度の検出が可能である安価な角速度および加速度検出装置を提供すること。
【解決手段】 平面的に形成された付加質量部(4a、4b、4c、4d)を、それぞれ、同じ平面内に形成されたビーム(3a、3b、3c、3d)で支え、ビーム(3a)とビーム(3d)の接続部をビーム(3e)の一端で支え、ビーム(3b)とビーム(3c)の接続部をビーム(3f)の一端で支え、さらに、ビーム(3e)およびビーム(3f)の他端を接続した振動子(1)を、ビーム(3g、3h)を介して外周部の枠体(2)で支持し、励振部および検出部として機能させる振動子を用い、1つの駆動モードを励振し、4つの検出モードを検出することで、2軸の角速度出力および2軸の加速度出力を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のナビゲーションシステムや姿勢制御装置、カメラ一体型VTRの手振れ防止装置等に用いられ、回転運動や並進運動を検出する、角速度および加速度検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
角速度検出装置は、物体が回転運動をした際の角速度を検出するセンサデバイスである。角速度検出装置としては、安価な振動ジャイロが広く普及している。振動ジャイロは、速度を持つ物体に回転角速度が与えられると、その物体自身に速度方向と直角な方向にコリオリ力が発生するという力学現象を利用した角速度検出装置である。振動ジャイロは電気的な信号を印加することで機械的な振動(以下、「駆動モード」と呼ぶ。)を励起することができ、且つ、駆動振動と直交する方向の機械的な振動(以下、「検出モード」と呼ぶ。)の大きさを電気的に検出可能とした系を有し、予め、駆動モードを励振した状態で、駆動モードの振動面と検出モードの振動面との交線と平行な軸を中心とした回転角速度を与えると、前述のコリオリ力の作用により、検出モードが発生し、出力電圧として検出できる。この検出された出力電圧は駆動モードの大きさおよび回転角速度に比例するので、駆動モードの大きさを一定にした状態では、出力電圧の大きさから回転角速度の大きさを求めることができる。
【0003】
加速度検出装置は、物体が並進運動をした際の加速度を検出するセンサデバイスである。加速度検出装置は、物体に加速度が与えられると、その物体自身に力が働き、変位や歪み等を発生するという力学現象を利用したものである。加速度検出装置は、変位や歪み等の機械的な変化の大きさを電気的に検出可能とした系を有し、加速度を与えると、その変位や歪み等を出力電圧として検出できる。この検出された出力電圧は加速度に比例するので、出力電圧の大きさから加速度の大きさを求めることができる。
【0004】
近年、これらの角速度および加速度検出装置においても、その他の電子部品と同様に小型化、低価格化が急速に進められている。例えば、手振れ防止装置等では、一般に2軸の回転角速度の検出が必要であるため、1軸の回転角速度を検出できる製品を2つ使用している場合がほとんどである。また、各種ナビゲーションシステムにおいては、回転運動と同時に並進運動の検出が必要不可欠である。
【0005】
このような状況の中で、小型化、低価格化へのアプローチの1つとして、複数軸の回転運動の検出と複数軸の加速度の検出を1つの製品内で可能にする検討がなされている。この構成の場合、1軸の製品を別々に生産するのに比べ、回路や外部入出力端子等の共通部分を共有することが可能となり、小型・低価格化を図ることができる。
【0006】
図6は従来の角速度および加速度検出装置を示す斜視図である。図6の構成は、特許文献1に開示されたものであるが、シリコン基板を加工し形成され、第1アーム102を第2アーム104に略直交方向に連結して形成した2つの直交アームを有し、2つの第1アーム102を支持部106に接続するとともに他端を第3アーム110に接続する。第3アーム110の端部を実装基板等に固定する。第2アーム104は折曲して第2アーム104自身と対向する対向部116を設け、その先端には錘部114を接続している。4つの第2アーム104には、対向部116を駆動振動させる駆動電極118、対向部116の歪を検出する検出電極120を設けている。この検出電極120は角速度検出用の電極であって、第1〜第4の検出電極122、124、126、128からなる。これらの電極は、シリコン基板上にPtの下部電極を高周波スパッタにて形成し、この下部電極の上部に高周波スパッタにてPZT圧電体を形成し、さらに、上部にAu蒸着で上部電極を形成することによって形成する。また、第1アーム102の表面にも検出電極が形成され、第1アーム102の歪を検出できる構成となっている。シリコン基板上に薄膜抵抗を積層し、さらに、検出電極を積層して形成する。
【0007】
駆動電極118に交流電圧を印加すると対向部116は駆動振動し、それに伴い、4つの第2アーム104および4つの対向部116の全てが同調して駆動振動する。また、角速度に起因してアームが歪めば、検出電極120から歪に応じた電圧が出力され、この出力電圧に基づき、処理回路で角速度を検出できる。さらに、第1アーム102には、第1アーム102の歪を検出する電極を設けており、この電極は加速度検出用の電極であって、この出力電圧に基づき、処理回路で加速度を検出できる。
【0008】
上記構成により、Z軸とY軸の角速度の検出およびY軸の加速度の検出を可能としている。複数の角速度検出装置や加速度検出装置を実装するための実装面積を確保する必要がなく、複数の軸の角速度や加速度を検出することができる。
【0009】
【特許文献1】特開2007−256235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前述した従来の角速度および加速度検出装置では、素子の構造が非常に複雑であり、製造には、多くのプロセスを要することとなる。また、素子の支持固定が非常に困難であると考えられる。角速度検出装置として動作させるための駆動振動では、前述の通り支持部106に関して、対称な振動である。したがって、駆動振動は、第3アーム110の端部による実装基板等への支持固定が容易であると考えられる。しかし、Y軸およびZ軸に関して角速度を印加して発生した検出振動は、どちらの振動においても素子全体が回転するような力が働く。この力は、第3アーム110の端部に働き、変位を発生させる。この変位は、実装基板等との接続部で減衰し、検出振動を不安定にする。したがって、感度のバラツキや温度特性、出力ドリフトを劣化させる原因となる。
【0011】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点を解決することを課題とする。具体的には、実装等が容易で生産性が良く、感度のバラツキや温度特性、出力ドリフトが小さく、さらに、2軸の角速度と2軸の加速度の検出が可能である、安価な角速度および加速度検出装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、略四角の平板に貫通穴加工を施し、振動可能な付加質量部をビームで支える構造を形成することで、励振部と検出部として機能させ、支持をその外縁部で行うことをその要旨とする。
【0013】
請求項1に記載の発明は、互いに直交するX、Y、Z軸で表される空間内に形成された、4つの付加質量部を持つ振動子を用いた、角速度および加速度検出装置であって、YZ平面内に形成された、4つの付加質量部4a、4b、4c、4dが時計回りに配置され、(1)2つの同位相の付加質量部4a、4cと2つの同位相の付加質量部4b、4dとが互いに逆位相でX軸方向に振動する駆動モードの駆動手段と、(2)2つの同位相の付加質量部4a、4cと2つの同位相の付加質量部4b、4dとが互いに逆位相でZ軸方向に振動する第1の検出モードに対する検出手段と、(3)2つの同位相の付加質量部4a、4dと2つの同位相の付加質量部4b、4cとが互いに逆位相でZ軸方向に振動する第2の検出モードに対する検出手段と、(4)4つの付加質量部4a、4b、4c、4dが同位相でZ軸方向に振動する第3の検出モードに対する検出手段と、(5)4つの付加質量部4a、4b、4c、4dが同位相でX軸方向に振動する第4の検出モードに対する検出手段と、を備えたことを特徴とする角速度および加速度検出装置である。
【0014】
すなわち、対称性の良い、駆動モード、第1および第2の検出モードを利用し、2軸の角速度を検出可能な角速度検出装置(振動ジャイロ)を構成する。同時に、第3および第4の検出モードの変位によって、2軸の加速度を検出可能な加速度検出装置を構成する。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の角速度および加速度検出装置において、前記付加質量部と同一平面内に形成された、4つの柱状のビーム3a、3b、3c、3dの一端が、前記付加質量部4a、4b、4c、4dに、それぞれ接続され、前記ビーム3a、3dでの前記付加質量部に接続されない他端同士および前記ビーム3b、3cでの前記付加質量部に接続されない他端同士がそれぞれ接続され、前記付加質量部と同一平面内に形成された、2つの柱状のビーム3e、3fの一端が、それぞれ前記ビーム3a、3dの接続部および前記ビーム3b、3cの接続部に接続され、前記ビーム3e、3fでの前記ビーム3a、3b、3c、3dには接続されない他端同士が接続され、前記付加質量部4a、4b、4c、4dと同一平面内に形成された2つの柱状のビーム3g、3hの一端が、いずれも前記ビーム3eとビーム3fの接続部に接続され、前記振動子の外周部には前記付加質量部と略同一平面内に枠体が形成され、前記ビーム3g、3hの他端は前記枠体に接続され、振動子を構成し、前記枠体を介して、前記振動子が支持され、且つ、前記振動子は、付加質量部4a、4bの重心間の中点および付加質量部4c、4dの重心間の中点を通るXY平面に関して非対称となり、付加質量部4a、4dの重心間の中点および付加質量部4b、4cの重心間の中点を通るXZ平面に関して略対称となることを特徴とする、角速度および加速度検出装置である。
【0016】
すなわち、略四角の平板に貫通穴加工を施し、振動可能な付加質量部をビームで支える構造を形成することで、請求項1に記載の機能を持つ振動子を構成する。支持をその外縁部で行うことで、生産性が高く、耐衝撃性も良い。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の角速度および加速度検出装置において、前記振動子はニオブ酸リチウム圧電単結晶のXカット板で一体的に形成され、前記ニオブ酸リチウム圧電単結晶のXカット面は前記振動子のYZ平面と平行となり、且つ、前記駆動手段および前記検出手段のための電極を前記Xカット面に配置したことを特徴とする角速度および加速度検出装置である。また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2記載の角速度および加速度検出装置において、前記振動子はタンタル酸リチウム圧電単結晶のXカット板で一体的に形成され、前記タンタル酸リチウム圧電単結晶のXカット面は前記振動子のYZ平面と平行となり、且つ、前記駆動手段および前記検出手段のための電極を前記Xカット面に配置したことを特徴とする角速度および加速度検出装置である。
【0018】
すなわち、YZ平面に平行な電界に対して、高い電気機械結合係数を有する材料を用いることで、Xカット面のみへの電極配置で、2軸の角速度および2軸の加速度を検出することが可能である。側面への電極形成が不要であり、2面あるXカット面のうち、その片面のみへの電極形成でも、センサとしての機能を果たすことが可能である。
【発明の効果】
【0019】
前記のごとく、本発明によれば、評価や実装等が容易で生産性が良く、出力ドリフトが小さく、安定した出力が得られ、さらに外部からの衝撃に対しても堅牢で、且つ、2軸の角速度および2軸の加速度の検出が可能である、安価な角速度および加速度検出装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
本発明の実施の形態1での角速度および加速度検出装置は、請求項1および請求項2に記載の発明に係り、図3に正面図で示される振動子の構造を有する。
【0022】
略四角の平板に貫通穴加工を施し、振動可能な付加質量部をビームで支える構造を形成している。略四角の平板は、圧電材料であり、振動子の表面に形成された電極により、ビームの屈曲振動の駆動、ビームの屈曲変位の検出が可能である。また、振動子の支持をその外縁部で行う。
【0023】
角速度検出装置として必要な駆動モードは、付加質量部4aおよび4cと、付加質量部4bおよび4dとが互いに逆位相で、且つ、付加質量部を形成した平面と垂直な面外方向に振動する。この駆動モード(Xモード)は、非常に対称性が良く、ビーム3eと3fに捩れを発生させるが、ビーム3eと3fの接続部で力が相殺され、その接続部は、駆動モードのノード点となる。
【0024】
前述の駆動モードを励振した状態で、Y軸と平行な軸回りの角速度を印加すると、付加質量部には、コリオリ力が働き、付加質量部4aおよび4cと、付加質量部4bおよび4dとが互いに逆位相で、Z軸方向に振動する。この振動の検出には、第1の検出モード(Zモード)を利用できる。この第1の検出モードは、ビーム3aおよび3cと、ビーム3bおよび3dとが互いに逆位相で、Z軸方向に屈曲振動する。ビーム3aおよび3bと、ビーム3cおよび3dが、それぞれ音叉振動する振動モードである。音叉振動であるため、ビーム3aおよび3dの振動による力と、ビーム3bおよび3cの振動による力は、ビーム3eとビーム3fの接続部で相殺され、その接続部は、第1の検出モードのノード点となる。なお、付加質量部4a、4dの重心間の中点および付加質量部4b、4cの重心間の中点を通るXZ平面に関して略対称に振動子を形成すると、ビーム3eとビーム3fの接続部での振動の打ち消しが容易になる。
【0025】
同様に、駆動モードを励振した状態で、Z軸と平行な軸回りの角速度を印加すると、付加質量部には、コリオリ力が働き、付加質量部4aおよび4cと、付加質量部4bおよび4dとが互いに逆位相で、Y軸方向に力を受ける。しかし、付加質量部4a〜4dには、それぞれビーム3a〜3dが接続され、Y軸方向の変位が制限されている。したがって、それぞれの付加質量部は、回転し、Z軸方向に振動することとなる。
【0026】
ここで、振動子は、付加質量部4a、4bの重心間の中点および付加質量部4c、4dの重心間の中点を通るXY平面に関して非対称となる構造を有している。すなわち、図3の紙面内で左側部分と右側部分が互いに非対称になっている。この非対称性により、ビーム3aおよび3dと、ビーム3bおよび3cとが互いに逆位相で、Z軸方向に屈曲振動する。この振動の検出には、第2の検出モード(Yモード)を利用できる。すなわち、第2の検出モードは、ビーム3aおよび3dと、ビーム3bおよび3cとが互いに逆位相で、Z軸方向に屈曲振動する。ビーム3aおよび3bと、ビーム3cおよび3dが、それぞれ音叉振動する振動モードである。音叉振動であるため、ビーム3aおよび3dの振動による力と、ビーム3bおよび3cの振動による力は、ビーム3eとビーム3fの接続部で相殺され、その接続部は、第2の検出モードのノード点となる。
【0027】
ところで、この第2の検出モードを利用するためには、付加質量部4a、4bの重心間の中点および付加質量部4c、4dの重心間の中点を通るXY平面に関して、非対称な構造とすることが必要不可欠である。この非対称性がなければ、前述の第2の検出モードは、利用できない。仮に前述の平面に関して、対称な構造とすれば、付加質量部は、Z軸方向に振動しないか、すべての付加質量部が同相でZ軸方向に振動する。Z軸方向に振動しない場合、角速度の検出ができない。また、すべての付加質量部が同相でZ軸方向に振動する場合、ビーム3a〜3dは、付加質量部と同様に、同相でZ軸方向に屈曲振動する。この場合、すべての付加質量部が同じ方向に振動するため、振動子の重心位置が大きく変化し易い。したがって、振動ジャイロ等の角速度検出装置の設計において、振動子の周波数の設計が非常に重要であるが、周波数の設計と同時に、ビーム3eとビーム3fの接続部をノード点とする構造設計を行うのは、非常に困難である。
【0028】
また、Z軸の加速度の検出には、第3の検出モードを利用できる。この第3の検出モードは、ビーム3a〜3dがZ軸方向に同位相で屈曲振動する。振動子にZ軸方向の加速度が印加された場合、付加質量部4a〜4dにZ軸方向の力が発生し、第3の検出モードと同様の変位を生じる。この変位を第3の振動モードの検出手段によって検出することで、Z軸方向の加速度に比例した電気信号を得ることができる。
【0029】
同様に、X軸の加速度の検出には、第4の検出モードを利用できる。この第4の検出モードは、ビーム3a〜3dがX軸方向に同位相で屈曲振動する。振動子にX軸方向の加速度が印加された場合、付加質量部4a〜4dにX軸方向の力が発生し、第4の検出モードと同様の変位を生じる。この変位を第4の振動モードの検出手段によって検出することで、X軸方向の加速度に比例した電気信号を得ることができる。
【0030】
さらに、ビーム3eとビーム3fの接続部は、駆動モード、第1、第2の検出モードのすべてに対して、ノード点となっているため、その接続部をビーム3gおよび3hを介して、振動子外周に配置された枠体に接続しても、枠体への振動の伝播は少なく、枠体もノード点となる。したがって、振動子の外縁部を支持することが可能となり、良好な支持特性が得られ、角速度出力のドリフトが低減し、実装が容易で生産性も高くなる。また、振動子の外縁部の全周を支持することも可能であり、衝撃が加わっても、衝撃力が分散するので、外部衝撃に強く、安定性が高い、高信頼性の角速度検出装置用の素子が提供できる。
【0031】
さらに、振動子の製造工程において、ウエハ上に複数個の振動子を同時に形成し、外縁同士が接続した状態においても、素子特性を検査することが容易となる。振動子を1つずつ切り出すことなく、振動特性の検査、周波数調整、バランス調整を行うことができる。また、容易に検査、調整が可能で、後工程の歩留まりも改善でき、生産性が非常に高くなる。
【0032】
また、本発明によれば、1つの振動子で2軸の角速度と2軸の加速度の検出が可能であるため、回路や外部端子等の共通部分を共有することで、1軸の製品を複数使用するのに比べ、小型・低コスト化が可能となる。
【0033】
また、請求項3および請求項4に記載の様に、本発明は、高結合材料である、ニオブ酸リチウムやタンタル酸リチウムのXカット面を用いることで、ビーム3a〜3dの屈曲振動をYZ平面に平行な電界として、効率良く検出することが可能となる。Xカット面のみへの電極配置で、2軸の角速度および2軸の加速度を検出することが可能である。側面への電極形成が不要であり、若干効率は下がるが、2面あるXカット面のうち、その片面のみへの電極形成でも、センサとしての機能を果たすことが可能である。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
本発明の一実施例での振動子の正面図は図3と同様である。2.7mm×3.8mm、厚さ0.25mmの四辺形状のニオブ酸リチウム圧電単結晶板に穴加工を施すことで、1枚の圧電単結晶板の同一面内に、付加質量部4a〜4dを、ビーム3a〜3hによって、枠体2に接続し、振動子1を形成している。付加質量部4a〜4dには、それぞれ、ビーム3a〜3dが接続されているが、各付加質量部の左端にビームが接続されているため、本実施例では、振動子1は、紙面内で、上下対称、左右非対称な形状となっている。
【0036】
また、ビーム3aの表面には角速度検出用電極6a、加速度検出用電極7a、7bを、ビーム3bの表面には角速度検出用電極6b、加速度検出用電極7d、7eを、ビーム3cの表面には角速度検出用電極6c、加速度検出用電極7d、7fを、ビーム3dの表面には角速度検出用電極6d、加速度検出用電極7a、7cを、ビーム3eの表面には駆動電極5a、基準電位電極8aを、ビーム3fの表面には駆動電極5b、基準電位電極8bを形成した。各電極は、クロムを下地とした金により電極を形成した。
【0037】
ここで、本実施例の角速度検出装置の動作原理について詳しく説明する。図1は本実施例における角速度検出装置の振動モードを示す図である。すなわち、図1(a)、図1(b)、図1(c)は未動作時の変形前の状態を示し、それぞれ、斜視図、正面図、平面図であり、図1(d)、図1(e)、図1(f)は駆動モード(Xモード)を示し、それぞれ、斜視図、正面図、平面図であり、図1(g)、図1(h)、図1(i)は第2の検出モード(Yモード)を示し、それぞれ、斜視図、正面図、平面図であり、図1(j)、図1(k)、図1(l)は第1の検出モード(Zモード)を示し、それぞれ、斜視図、正面図、平面図である。
【0038】
図1(d)〜図1(f)に示すXモードでは、図3を同時に参照し、2つの同位相の付加質量部4aおよび4cと、2つの同位相の付加質量部4bおよび4dとが互いに逆位相で、且つ、付加質量部をX軸方向に振動する。この駆動モードは、非常に対称性が良く、ビーム3e、3fに捩れを発生させるが、ビーム3e、3fの接続部で力が相殺され、その結果、ビーム3g、3hに接続された枠体2への振動の伝播は少なく、枠体2全体がノード点となる。
【0039】
Xモードを励振した状態で、Y軸と平行な軸回りの角速度を印加すると、付加質量部には、コリオリ力が働き、付加質量部4aおよび4cと、付加質量部4bおよび4dとが互いに逆位相で、Z軸方向に振動する。この振動の検出には、図1(j)〜図1(l)に示すZモードを利用できる。このZモード(第1の検出モード)は、2つの同位相のビーム3aおよび3cと、2つの同位相のビーム3bおよび3dとが互いに逆位相で、Z軸方向に屈曲振動する。ビーム3aおよび3bと、ビーム3cおよび3dが、それぞれ音叉振動する振動モードである。音叉振動であるため、ビーム3aおよびビーム3dの振動による力と、ビーム3bおよびビーム3cの振動による力とは、ビーム3eとビーム3fの接続部で相殺され、その結果、ビーム3g、3hに接続された枠体2への振動の伝播は少なく、枠体2全体がノード点となる。この時、Xモードの振動速度が一定であれば、これらの発生した、Zモードの振幅の大きさは、印加した角速度に比例し、これらの振動を電気的に取り出せば、角速度検出装置として機能する。
【0040】
同様に、Xモードを励振した状態で、Z軸と平行な軸回りの角速度を印加すると、付加質量部には、コリオリ力が働き、付加質量部4aおよび4cと、付加質量部4bおよび4dとが互いに逆位相で、Y軸方向に力を受ける。しかし、付加質量部4a〜4dには、それぞれビーム3a〜3dが接続され、Y軸方向の変位が制限されている。したがって、それぞれの付加質量部は、回転し、Z軸方向に振動することとなる。
【0041】
ここで、前述の通り、振動子は、左右非対称な構造を有している。この非対称性により、ビーム3aおよび3dと、ビーム3bおよび3cとが互いに逆位相で、Z軸方向に屈曲振動する。すなわち、Xモードを励振することで、付加質量部4aおよび4cが+X方向の速度を持ち、付加質量部4bおよび4dが−X方向の速度を持った状態において、Z軸と平行な軸回りの角速度を印加し、コリオリ力が発生すると、付加質量部4aおよび4cは、−Y方向に力を受け、付加質量部4bおよび4dは、+Y方向に力を受ける。しかし、ビーム3a〜3dの存在により、Y軸方向の変位を制限するため、それぞれの付加質量部は、ビームとの接続部を中心に回転しようとする。その結果、付加質量部4aおよび4dは、−Z方向に変位し、付加質量部4bおよび4cは、+Z方向に変位する。したがって、ビーム3aおよび3dと、ビーム3bおよび3cとが互いに逆位相で、Z軸方向に屈曲振動する。
【0042】
この振動の検出には、Yモードを利用できる。このYモード(第2の検出モード)は、2つの同位相のビーム3aおよび3dと、2つの同位相のビーム3bおよび3cとが互いに逆位相で、Z軸方向に屈曲振動する。ビーム3aおよび3bと、ビーム3cおよび3dが、それぞれ音叉振動する振動モードである。音叉振動であるため、ビーム3aおよび3dの振動による力と、ビーム3bおよび3cの振動による力は、ビーム3eとビーム3fの接続部では相殺され、その結果、ビーム3g、3hに接続された枠体2への振動の伝播は少なく、枠体2全体がノード点となる。この時、Xモードの振動速度が一定であれば、これらの発生した、Yモードの振幅の大きさは、印加した角速度に比例し、これらの振動を電気的に取り出せば、角速度検出装置として機能する。
【0043】
ただし、このYモードを利用するためには、左右非対称な構造とすることが必要不可欠である。この非対称性がなければ、Yモードは、利用できない。仮に左右対称な構造とすれば、付加質量部は、Z軸方向に振動しないか、すべての付加質量部が同相でZ軸方向に振動する。前者の場合は、付加質量部をZ軸方向に2等分する位置にビームを接続した場合である。Xモードを励振した状態でZ軸と平行な軸回りで角速度を印加し、Y軸方向に力を受けても、付加質量部が回転しないため、Z軸方向に変位しない。後者の場合、左右非対称な場合と同様に、Xモードを励振した状態でZ軸と平行な軸回りで角速度を印加すると、付加質量部4aおよび4cと、付加質量部4bおよび4dは、互いに逆向きのY軸方向の力を受ける。また、ビーム3a〜3dの存在により、Y軸方向の変位を制限するため、それぞれの付加質量部は、ビームとの接続部を中心に回転しようとする。しかし、付加質量部4aおよび4dと、付加質量部4bおよび4cでは、ビームとの接続位置が左右で逆となる。その結果、付加質量部4a〜4dは、Z軸方向に同相で変位する。したがって、ビーム3a〜3dは、同相でZ軸方向に屈曲振動する。この場合、すべての付加質量部が同じ方向に振動するため、振動子の重心位置が大きく変化し易い。このような角速度検出装置の設計において、振動子の周波数の設計が非常に重要であるが、周波数の設計と同時に、ビーム3eとビーム3fの接続部をノード点とする構造設計を行うのは、非常に困難である。
【0044】
また、ここで、本実施例の加速度検出装置の動作原理について説明する。この動作原理は単純である。振動子にX軸およびZ軸方向の加速度が印加されると、付加質量部4a〜4dには、同じ方向で同じ大きさの慣性が働く。その結果、ビーム3a〜3dには、同じ方向で同じ大きさの屈曲の変位が生じる。これらの発生した屈曲の変位の大きさは、印加した加速度に比例し、これらの変位を電気的に取り出せば、加速度検出装置として機能する。なお、本実施例でのY軸方向の加速度の検出については、X軸回りで回転した際の変位と同じとなるため、Y軸方向の加速度の検出は行えない。
【0045】
上記の振動の励振や検出および変位の検出には、振動子1に配置した電極を用いる。図3に示したビーム3e、3fに形成した駆動電極5a、5bにXモードの共振周波数の電気信号を入力することでXモードを励振し、ビーム3a〜3dに形成した角速度検出用電極6a〜6dに生じる電荷を検出することで、YモードおよびZモードの振動が検出できる。また、同様に、加速度検出用電極7a〜7fによって、X軸およびZ軸方向の加速度による変位を検出できる。
【0046】
この各電極の配置は、それぞれの振動モードにおけるビームの表面に発生する電荷の分布を解析して決定した。図2は電荷の分布を示す模式図である。図2(a)はXモードでの電荷の分布を示す模式図、図2(b)はYモードでの電荷の分布を示す模式図、図2(c)はZモードでの電荷の分布を示す模式図、図2(d)は第3の検出モード(X軸方向への加速度印加時)の電荷の分布を示す模式図、図2(e)は第4の検出モード(Z軸方向への加速度印加時)の電荷の分布を示す模式図である。図2において、「+」と「−」は、発生電荷の極性を示し、楕円は、その範囲を示している。この電荷分布は、選択した材料によって異なり、さらに異方性材料であれば、結晶の方位によっても様々な分布を示す。
【0047】
図4は、本実施例における結晶方位を示す図である。図4に示すように、本実施例に使用したニオブ酸リチウムからなる圧電単結晶板は、厚さ0.25mmにXカットされた素板から、圧電単結晶のZ’軸と振動子のZ軸とが成す角度が50度になるように切り出されたもので、各モードにおける表面に発生する電荷の分布は図2に示した様になる。この電荷分布を考慮して、図3に示すように、ビーム3eおよび3fの表面にXモードの振動を励振させるための駆動電極5a、5bと、基準電位電極8a、8bとをそれぞれ配置した。同様に、ビーム3a〜3dの表面に、YモードおよびZモードの振動を検出する角速度検出用電極6a〜6dと加速度検出用電極7a〜7fを配置した。角速度検出用電極6a〜6dには、YモードおよびZモードの電荷が発生するが、それぞれ発生する電荷の極性が異なるため、加算および差動回路によって、Yモードによる発生電荷とZモードによる発生電荷とを区別することが可能である。同様に加速度検出用電極7a〜7fにも、X軸方向およびZ軸方向への加速度の印加による電荷が発生するが、それぞれ発生する電荷の極性が異なるため、加算や差動回路によって、X軸方向の加速度による発生電荷とZ軸方向の加速度による発生電荷とを区別することが可能である。
【0048】
図5は、本実施例における角速度および加速度検出装置の回路を示すブロック図である。角速度検出装置の駆動手段として、電流検出回路9eと、移相回路10aと、AGC回路11(オートゲインコントロール回路)とを有し、角速度の検出手段として、電流検出回路9a、9b、9c、9dと、加算回路14a、14b、14c、14dと、差動回路13a、13bと、移相回路10bと、同期検波回路15a、15bと、フィルタ回路16a、16bとを有する。また、加速度の検出手段として、電流検出回路9f、9g、9h、9iと、加算回路14e、14f、14gと、差動回路13cを有する。
【0049】
Xモードの周波数で、振動子を駆動するには、駆動状態を一定に保つためのAGC回路11の出力を駆動電極5aおよび5bに接続し、電流検出回路9eを基準電位電極8aおよび8bに接続する。電流検出回路9eの仮想接地の効果により、基準電位電極8aおよび8bの電位は、基準電位に固定され、駆動電極5aおよび5bと基準電位電極8aおよび8bの間に駆動電圧を印加することが可能となる。
【0050】
駆動電極5aおよび5bに流れる駆動電流は、電流検出回路9eで検出、移相回路10aで位相調整、AGC回路11で振幅調整され、駆動電極5aおよび5bに再び印加される。この閉ループにより、Xモードの共振周波数で自励発振させることができる。同時に、AGC回路11の出力は、移相回路10bを通り、同期検波回路15aおよび15bの参照信号として入力される。Xモードを自励発振させた状態で、Z軸回りの角速度を印加すると、Yモードの振動が発生する。Yモードの振動により、図2(b)に示す電荷が発生する。
【0051】
したがって、角速度検出用電極6aおよび6dと角速度検出用電極6bおよび6cには、互いに逆位相の電荷が発生する。角速度検出用電極6a〜6dには、電流検出回路9a〜9dがそれぞれ接続され、それぞれの信号が電圧に変換される。加算回路14aには、電流検出回路9aと9d、加算回路14bには、電流検出回路9bと9cが接続され、同相成分同士の信号を加え合わせる。加算回路14aと14bは、逆相の信号を出力するため、差動回路13aで増幅することができ、同期検波回路15a、フィルタ回路16aによって、Z軸回りの角速度に比例した電気信号として取り出すことが可能となる。
【0052】
同様に、Y軸回りの角速度を印加すると、Zモードの振動が発生する。Zモードの振動により、図2(c)のような電荷が発生する。したがって、角速度検出用電極6aおよび6cと角速度検出用電極6bおよび6dには、互いに逆位相の電荷が発生する。加算回路14cには、電流検出回路9aと9c、加算回路14dには、電流検出回路9bと9dが接続され、同相成分同士の信号を加え合わせる。加算回路14cと14dは、逆相の信号が出力されるため、差動回路13bで増幅することができ、同期検波回路15b、フィルタ回路16bによって、Y軸回りの角速度に比例した電気信号として取り出すことが可能となる。
【0053】
また、Yモードによる発生電荷は、加算回路14c、14dによって、相殺され、Zモードによる発生電荷は、加算回路14a、14bによって、相殺される。したがって、フィルタ回路16aの出力は、Z軸回りのみの角速度に比例した出力、フィルタ回路16bの出力は、Y軸回りのみの回転角速度に比例した出力が得られる。
【0054】
なお、Z軸方向の加速度に対しても、図2(e)のような電荷が発生するが、電流検出回路9a、9b、9c、9dから同位相の信号が出力されるため、差動回路13a、13bで相殺される。また、同期検波回路15a、15bは、参照信号であるXモードの共振周波数以外の信号成分を通過させない効果を持つため、基本的には、前述の角速度出力に加速度が干渉することはない。
【0055】
すなわち、本実施例は、Y軸およびZ軸の2軸の角速度検出が可能な角速度検出装置として機能する。
【0056】
また、X軸方向の加速度を印加すると、付加質量4a、4b、4c、4dは、X軸方向に、同じ大きさの慣性力を受ける。その結果、ビーム3a、3b、3c、3dには、X軸方向の屈曲の変位を発生し、図2(d)に示す電荷が発生する。
【0057】
したがって、加速度検出用電極7a、7eおよび7fと、加速度検出用電極7b、7cおよび7dには、互いに逆位相の電荷が発生する。加速度検出用電極7a〜7fには、電流検出回路9f〜9iが図5のように接続され、それぞれの信号が電圧に変換される。すなわち、加速度検出用電極7aは電流検出回路9f、加速度検出用電極7bおよび7cは電流検出回路9g、加速度検出用電極7eおよび7fは電流検出回路9h、加速度検出用電極7dは電流検出回路9iに、それぞれ接続されている。
【0058】
加算回路14eには、電流検出回路9fと9h、加算回路14fには、電流検出回路9gと9iが接続され、同相成分同士の信号を加え合わせる。加算回路14eと14fは、逆相の信号を出力するため、差動回路13cで増幅することができ、X軸方向の加速度に比例した電気信号として取り出すことが可能となる。
【0059】
また、X軸方向の加速度と同様に、Z軸方向の加速度を印加すると、図2(e)のような電荷が発生する。したがって、加速度検出用電極7a〜7fのすべてにおいて、同位相の電荷が発生する。加算回路14gには、電流検出回路9f、9g、9h、9iが接続され、これらは、同相成分同士であるため、信号を加え合わせることができる。加算回路14gの出力は、Z軸方向の加速度に比例した電気信号として取り出すことが可能となる。
【0060】
また、Z軸方向の加速度による発生電荷は、差動回路13cによって、相殺され、X軸方向の加速度による発生電荷は、加算回路14gによって、相殺される。さらに、YモードおよびZモードに対しても、図2(b)および図2(c)のような電荷が発生するが、これらは、加算回路14e、14f、14gによって相殺される。したがって、差動回路13cの出力は、X軸方向の加速度のみに比例した出力、加算回路14gの出力は、Z軸方向の加速度のみに比例した出力となる。
【0061】
前述の通り、角速度検出装置として必要な駆動モードの変位が少ない枠体2で支持できるので、駆動モードの振動を阻害することなく、安定な支持特性が得られる。そして、角速度出力を安定化し、角速度出力のドリフトも低減する。また、枠体2の全周を支持できるので、振動子1に衝撃が加わっても、力を分散でき、耐衝撃性の高い構造となる。さらに、振動子1の平面内の直交する2軸の回転角速度および2軸の加速度の検出が可能となるので、駆動回路や検出回路および外部端子等を共有することで部品点等を簡略化できる。加えて、枠体2を支持固定することができるため、実装が容易で、生産性も高くなる。
【0062】
製造工程においては、圧電単結晶のウエハ上に複数個の振動子1を同時に形成し、枠体2同士が接合した状態であっても、特性を検査することが容易となる。また振動子1を1つずつ切り出すことなく、振動特性の検査、周波数調整、バランス調整を行うこともでき、容易に検査、調整可能で、後工程の歩留まりも改善できる。
【0063】
本実施例では、ニオブ酸リチウムの圧電単結晶板を利用しているが、タンタル酸リチウム、水晶、ランガサイト、酸化亜鉛、PZT、圧電薄膜等でも、本発明により、有用な角速度および加速度検出装置を構成できる。
【0064】
また、本実施例は、圧電性を利用した角速度および加速度検出装置であるが、駆動、検出方法の一部または全部を、電磁誘導の利用や静電力を利用したトランスジューサ、或いは、電極間の容量変化による変位検出によって置換えても良い。
【0065】
以上のごとく、本発明によれば、評価や実装等が容易で生産性が良く、出力ドリフトが小さく、安定した出力が得られ、さらに、外部からの衝撃に対しても堅牢で且つ、2軸の角速度および2軸の加速度の検出が可能である安価な角速度および加速度検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る角速度検出装置の振動モードを示す図。図1(a)、図1(b)、図1(c)は未動作時の変形前の状態を示し、それぞれ、斜視図、正面図、平面図であり、図1(d)、図1(e)、図1(f)はXモードを示し、それぞれ、斜視図、正面図、平面図であり、図1(g)、図1(h)、図1(i)はYモードを示し、それぞれ、斜視図、正面図、平面図であり、図1(j)、図1(k)、図1(l)はZモードを示し、それぞれ、斜視図、正面図、平面図。
【図2】本発明に係る電荷の分布を示す模式図。図2(a)はXモードでの電荷の分布を示す模式図、図2(b)はYモードでの電荷の分布を示す模式図、図2(c)はZモードでの電荷の分布を示す模式図、図2(d)はX軸方向への加速度印加時の電荷の分布を示す模式図、図2(e)はZ軸方向への加速度印加時の電荷の分布を示す模式図。
【図3】本発明に係る角速度および加速度検出装置の振動子を示す正面図。
【図4】本発明の一実施例での結晶方位を示す図。
【図5】本発明の一実施例での角速度および加速度検出装置の回路を示すブロック図。
【図6】従来の角速度および加速度検出装置を示す斜視図。
【符号の説明】
【0067】
1 振動子
2 枠体
3a〜3h ビーム
4a〜4d 付加質量部
5a、5b 駆動電極
6a〜6d 角速度検出用電極
7a〜7f 加速度検出用電極
8a、8b 基準電位電極
9a〜9i 電流検出回路
10a、10b 移相回路
11 AGC回路
13a〜13c 差動回路
14a〜14g 加算回路
15a、15b 同期検波回路
16a、16b フィルタ回路
102 第1アーム
104 第2アーム
106 支持部
110 第3アーム
114 錘部
116 対向部
118 駆動電極
120〜128 検出電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交するX、Y、Z軸で表される空間内に形成された、4つの付加質量部を持つ振動子を用いた、角速度および加速度検出装置であって、
YZ平面内に形成された、4つの付加質量部(4a、4b、4c、4d)が時計回りに配置され、
2つの同位相の付加質量部(4a、4c)と2つの同位相の付加質量部(4b、4d)とが互いに逆位相でX軸方向に振動する駆動モードの駆動手段と、
2つの同位相の付加質量部(4a、4c)と2つの同位相の付加質量部(4b、4d)とが互いに逆位相でZ軸方向に振動する第1の検出モードに対する検出手段と、
2つの同位相の付加質量部(4a、4d)と2つの同位相の付加質量部(4b、4c)とが互いに逆位相でZ軸方向に振動する第2の検出モードに対する検出手段と、
4つの付加質量部(4a、4b、4c、4d)が同位相でZ軸方向に振動する第3の検出モードに対する検出手段と、
4つの付加質量部(4a、4b、4c、4d)が同位相でX軸方向に振動する第4の検出モードに対する検出手段と、
を備えたことを特徴とする角速度および加速度検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の角速度および加速度検出装置において、
前記付加質量部と同一平面内に形成された、4つの柱状のビーム(3a、3b、3c、3d)の一端が、前記付加質量部(4a、4b、4c、4d)に、それぞれ接続され、
前記ビーム(3a、3d)での前記付加質量部に接続されない他端同士および前記ビーム(3b、3c)での前記付加質量部に接続されない他端同士がそれぞれ接続され、
前記付加質量部と同一平面内に形成された、2つの柱状のビーム(3e、3f)の一端が、それぞれ前記ビーム(3a、3d)の接続部および前記ビーム(3b、3c)の接続部に接続され、
前記ビーム(3e、3f)での前記ビーム(3a、3b、3c、3d)には接続されない他端同士が接続され、
前記付加質量部(4a、4b、4c、4d)と同一平面内に形成された2つの柱状のビーム(3g、3h)の一端が、いずれも前記ビーム(3e)とビーム(3f)の接続部に接続され、
前記振動子の外周部には前記付加質量部と略同一平面内に枠体が形成され、
前記ビーム(3g、3h)の他端は前記枠体に接続され、振動子を構成し、
前記枠体を介して、前記振動子が支持され、
且つ、前記振動子は、付加質量部(4a、4b)の重心間の中点および付加質量部(4c、4d)の重心間の中点を通るXY平面に関して非対称となり、
付加質量部(4a、4d)の重心間の中点および付加質量部(4b、4c)の重心間の中点を通るXZ平面に関して略対称となること
を特徴とする角速度および加速度検出装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の角速度および加速度検出装置において、
前記振動子はニオブ酸リチウム圧電単結晶のXカット板で一体的に形成され、
前記ニオブ酸リチウム圧電単結晶のXカット面は前記振動子のYZ平面と平行となり、
且つ、前記駆動手段および前記検出手段のための電極を前記Xカット面に配置したこと
を特徴とする角速度および加速度検出装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の角速度および加速度検出装置において、
前記振動子はタンタル酸リチウム圧電単結晶のXカット板で一体的に形成され、
前記タンタル酸リチウム圧電単結晶のXカット面は前記振動子のYZ平面と平行となり、
且つ、前記駆動手段および前記検出手段のための電極を前記Xカット面に配置したこと
を特徴とする角速度および加速度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−192403(P2009−192403A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34335(P2008−34335)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】