説明

触媒励起装置及びこれを用いた浄化装置

【課題】熱や光を加えなくとも触媒活性を高めることができる触媒励起装置及びこれを用いた浄化装置を提供する。
【解決手段】触媒収容部と振動発生部とを備え、触媒収容部は触媒成分と液体との混合物を収容可能であり、媒収容部中の流体を介して触媒成分に振動を与える触媒励起装置である。触媒収容部の流体が水である。触媒収容部の流体を曝気し得る。振動発生部が音波を発生し得る
触媒成分と振動発生部とを備え、振動発生部は触媒成分に振動を与える触媒励起装置である。
上記触触媒励起装置を備え、触媒成分と対象物質とを接触させるとともに、振動発生部から触媒成分に振動を与え対象物質を浄化する浄化装置である。浄化槽と溶解槽が連通して成り、溶解槽は対象物質を溶液中に溶解させ、浄化槽は溶液を触媒成分に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒励起装置及びこれを用いた浄化装置に係り、更に詳細には、簡易に触媒を活性化させ得る触媒励起装置及びこれを用いた浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、触媒の励起方法としては、熱を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
このような熱方式では、反応速度は速いが高エネルギーを要し、ランニングコストや環境に対する負荷が高いというデメリットがあった。
【特許文献1】特開平11−290812号公報
【特許文献2】特開2003−245521号公報
【0003】
また、他の方法としては、光を用いる方法が知られている(例えば、特許文献3,4参照。)。
このような光方式では、環境に対する負荷は低いが、触媒効果が低いため処理量も小さい。また、多くの処理を行うには装置を大型化しなければならなかった。
【特許文献3】特開2004−44882号公報
【特許文献4】特開2004−321886号公報
【0004】
更に、「液体、粉末、超音波」を組合わせた環境浄化技術として、液体に粉末を添加したものに対して、超音波を照射し液体中に含まれる有害物質を浄化する方法が知られている(非特許文献1参照。)。
更にまた、「液体、粉末、光、超音波」を組合わせた環境浄化技術として、液体に光触媒を投入し、光照射と超音波照射を同時に行い、液体中に含まれる有害物質を浄化する方法が知られている(非特許文献2参照。)。
【非特許文献1】辻内 亨「粒子添加が超音波化学反応に及ぼす影響」化学工学会反応工学部ソノプロセス分科会、ソノケミストリー研究会、平成16年11月13日
【非特許文献2】関口 和彦他「光触媒と超音波を併用した有機物の分解」第14回 ソノケミストリー討論会 講演論文集、2005年10月27〜28日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載の技術は、超音波照射によるキャビテーションに由来する酸化活性種を利用する方法であり、脱気された(溶液中の気体成分が除かれた状態)溶液中では、キャビテーション気泡が生じ難くなり、環境浄化能力が著しく低下してしまう。この現象を避けるため既存の装置では、爆気などの付帯設備が必要となる。また、この技術による環境浄化能力は現在のところ実用レベルとはいえない。
【0006】
また、非特許文献2に記載の技術は、構成要素である光が欠けると、光触媒が活性化(励起)せず、環境浄化能が著しく低下してしまう。更に、この技術による環境浄化能力は現在のところ実用レベルとはいえない。
【0007】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱や光を加えなくとも触媒活性を高めることができる触媒励起装置及びこれを用いた浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、所定の触媒収容部に振動を与えることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明の触媒励起装置は、触媒収容部と振動発生部とを備える触媒励起装置であって、上記触媒収容部は、触媒成分と流体との混合物を収容可能であり、上記振動発生部は、該触媒収容部中の流体を介して触媒成分に振動を与えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の触媒励起装置は、触媒成分と振動発生部とを備える触媒励起装置であって、上記振動発生部は、該触媒成分に振動を与えることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明の浄化装置は、上記触媒励起装置を備える浄化装置であって、触媒成分と対象物質とを接触させるとともに、振動発生部から触媒成分に振動を与えることにより該対象物質を浄化し得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、触媒成分及び流体の混合物に振動を与えることとしたため、熱や光を加えなくとも触媒活性を高めることができる触媒励起装置及びこれを用いた浄化装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の触媒励起装置につき詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
【0014】
上述の如く、本発明の第1の触媒励起装置は、触媒収容部と振動発生部とを備えて成る。
また、上記触媒収容部は、触媒成分と流体との混合物を収容可能である。
更に、上記振動発生部は、該触媒収容部中の流体を介して触媒成分に振動を加える機能を有している。
【0015】
このような装置構成により、本触媒励起装置は、熱や光を加えなくとも触媒収容部中の混合物に含まれる触媒成分の活性を十分に高めることができる。
【0016】
ここで、上記触媒収容部に収容される触媒成分としては、白金などの貴金属、酸化金属のいずれか1つ又はこれらの組合せを含んでいることが好ましい。
上記酸化金属としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)を使用することが好ましい。他には、酸化銅(CuO)、酸化セリウム(CeO)なども使用することができる。
【0017】
これら貴金属や酸化金属は、触媒活性を高める観点からは、触媒成分の比表面積は大きいことが望ましい。
代表的には、貴金属や酸化金属は、平均300μm以下の微細粒として使用することができる。好ましくは平均1nm〜300μmの微細粒であることが良い。
【0018】
また、上記触媒成分の代表例としては、白金を0.02%、酸化亜鉛を0.02%含むものが挙げられる。
なお、これら触媒成分は、そのものを粉末のままで使用しても良いが、これらを含む多孔質体としたり、これらをセラミックス製や金属製の担体に担持しても良い。
【0019】
更に、上記触媒収容部に収容される流体としては、水、アルコール等の有機溶液、アミン溶液等の無機溶液などを適宜使用できる。
このような流体に触媒成分を分散させることで均等且つ広範囲に振動を与えられるので有効である。また、水を用いるときは経済的にも有効である。
【0020】
更にまた、上記触媒収容部は、流体を曝気し得ることが好ましい。触媒成分添加直後や、反応装置を長期間放置した後に、流体を曝気することで、触媒成分を均等且つ広範囲に分散させることができる。
【0021】
一方、上記振動発生部としては、低周波、高周波を問わず一定の又はバリアブルな振動を触媒収容部に与え得る手段を採用できる。また、低周波と高周波を同時に加え、高周波の触媒活性化作用と低周波の物質移動促進作用を組合わせても良い。
具体的には、20kHz〜数MHzの周波数を与え得る手段であることが好ましい。例えば、超音波発生器を使用することができ、このときは超音波により該触媒収容部中の混合物を振動させることができる。
【0022】
次に、本発明の第2の触媒励起装置は、触媒成分と振動発生部とを備えて成り、該振動発生部が、該触媒成分に振動を与える。即ち、第1の触媒励起装置とほぼ同様の構成を有するが、直接触媒成分を振動させる点が異なる。
これにより、振動発生部からの振動が緩衝されずに触媒成分へ伝えられる。
【0023】
なお、上述の第1、第2の触媒励起装置は、後述する浄化装置に適用できる他、化学反応を促進させるための化学反応促進装置などに適用できる。
【0024】
次に、本発明の浄化装置について説明する。
本発明の浄化装置は、上述した触媒励起装置を備えて成る。
この触媒励起装置の触媒収容部に対象物質を接触させるとともに、該触媒励起装置の振動発生部が触媒成分を振動させることで、該対象物質は浄化される。
【0025】
これにより、触媒成分と対象物質との間の物質移動が促進されるので、物質移動促進のための付加装置なし(低エネルギー、低コスト)で対象物質を浄化できる。
【0026】
例えば、図1に示すように、液体浄化用の浄化装置(A)、気体浄化用の浄化装置(B)が挙げられる。
図1に示すように、超音波振動子1’を有する振動発生部1に、触媒成分2と対象物質3を収容し得る浄化槽4が設置されている。また、用途により対象物質用通路5,6より浄化槽内部に対象物質を導入でき、触媒成分添加口7により触媒成分の濃度を調節することができる。
なお、上記浄化槽4としては、剛性の高い物質、厚みのある材質で構成できる。例えば、ガラス、金属、セラミックス、樹脂などを用いた容器が使用できる。
【0027】
また、図2に示すように、触媒成分2で構成されたハニカム状の流路を、直接振動発生部1により振動させる浄化装置を挙げることができる。
【0028】
本発明の浄化装置ににおいては、対象物質を含む気体、液体のいずれか一方又は双方を触媒励起装置へ搬送する手段を備えることができる。搬送手段としては、例えば、ポンプなどを利用できる。
このときは、対象物質である気体/液体や、対象物質が溶解した気体/液体から、当該対象物質を触媒反応により浄化することができる。
【0029】
例えば、図3に示すように、触媒成分2を液体を用いて分散させた浄化槽4を、振動発生部1により振動させつつ、搬送手段10としてのポンプから対象物質を含む気体を当該浄化槽4内に導入して、対象物質を浄化する浄化装置を挙げることができる。
【0030】
また、図4に示すように、他の例として、対象物質を含む気体を溶解槽11で液体に溶解し、その後ポンプを用いて浄化槽4に導入して、図3の装置と同様に対象物質を浄化する浄化装置を挙げることができる。
この場合は、図3の浄化装置に対して、先に対象物質が液体中に溶解されるので、触媒成分2と対象物質への振動が伝わり易くなり、浄化槽4での反応速度が促進され得る。即ち、浄化槽4中に空気が入らないことで振動が伝わり易くなり、反応速度が促進され得る。
なお、溶解槽11と浄化槽4間の流体移動は、超音波ポンプを用いても良い。また、浄化槽4と溶解槽11の連結部位に弁などを設けて、溶解槽11中の液体を浄化槽4に定量的に搬送させれば、浄化槽4の大きさに適した一定濃度の対象物質を浄化することができる。
【0031】
更に、図5に示すように、他の例として、図4の浄化装置の溶解槽11にも振動発生部1を配設した浄化装置を挙げることができる。
この場合は、図4の浄化装置に対して、溶解槽11において、対象物質が液体中に溶解される物質移動が促進され得る。
【0032】
また、本発明の浄化装置ににおいては、触媒成分を回収する手段を備えることができる。
上記触媒回収手段としては、例えば、対象物質用通路などにフィルタを配設したり、磁気を利用することができる。また、磁気を利用するときは、触媒成分を磁性を帯びている材料や磁性体材料に担持させて回収でき、フィルタなど問題となる目詰まり、流量不足を回避できる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0034】
1.触媒成分の種類と浄化性能
(実施例1)
(1)振動発生部として市販の超音波洗浄器を用意し、これに浄化槽としてガラス管を取り付けた。
(2)ガラス管内に、触媒成分として粒子径0.34μm以下の酸化亜鉛(関東化学製、ZnO、製品番号48041−00)を0.08gを投入し、本例の浄化装置とした。
(3)この装置のガラス管内に、対象物質として0.4mmol/Lのコチニ−ル(カルミン酸)溶液を400mL投入した。
(4)ガラス管内の酸化亜鉛に超音波(45kHz)を20分間与えた。
【0035】
(実施例2)
酸化亜鉛の代わりに、触媒成分として粒子径680μm以下の白金黒(関東化学製、Pt黒)を0.08gを投入した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の浄化装置を作製し、対象物質を処理した。
【0036】
(実施例3)
酸化亜鉛の代わりに、触媒成分として粒子径50μm以下の酸化銅(関東化学製、CuO)を0.08gを投入した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の浄化装置を作製し、対象物質を処理した。
【0037】
(実施例4)
酸化亜鉛の代わりに、触媒成分として粒子径10μm以下の酸化セリウム(CeO)を0.08gを投入した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の浄化装置を作製し、対象物質を処理した。
【0038】
(実施例5)
酸化亜鉛の代わりに、市販のメタルハニカム白金触媒を白金換算で0.04g投入した以外は、実施例1と同様の操作を繰返して、本例の浄化装置を作製し、対象物質を処理した。
【0039】
(実施例6)
(1)浄化槽としてビーカーを用意し、触媒成分として粒子径0.34μm以下の酸化亜鉛(関東化学製、ZnO)を0.08gを投入した。
(2)また、ビーカーを市販のマグネチックスターラー上に設置し、本例の浄化装置とした。
(3)ビーカー内に対象物質として0.4mmol/Lのコチニ−ル(カルミン酸)溶液を400mL投入し、スターラーチップを用いて500回転/minで20分間攪拌した。
【0040】
<評価1>
(1)実施例1〜5で処理されたコチニ−ル溶液を目視及び吸光光度分析で評価した結果、メタルハニカム白金触媒(実施例5)>酸化亜鉛(実施例1)>白金(実施例2)>酸化セリウム(実施例4)≒過酸化銅(実施例3)の順に浄化性能が高いことが明らかとなった。
(2)また、同触媒を同量添加した場合の浄化性能は、超音波(実施例1)>スターラー(実施例6)であることが明らかとなった。
(3)以上のことから、コチニール色素に対しては、ZnO、次いでPtが触媒成分に含まれていると優れた浄化性能が得られることがわかった。また、スターラー攪拌よりも超音波照射の方が、浄化性能に優れることがわかった。
【0041】
2.溶液状態及び振動状態と浄化性能
(実施例7)
(1)加熱沸騰法により脱気水1200mlを作製した。
(2)得られた脱気水1200mlに対してコチニール色素を混入し、約0.04mmol/Lコチニール水溶液を調製した。
(3)実施例1と同様に、触媒成分として酸化亜鉛を用いた浄化装置を用意し、対象物質として上記コチニール溶液を400mL投入した。
(4)浄化装置のガラス管内のコチニール水溶液に、超音波洗浄器により超音波(45kHz)を60分間与えた。また、このときガラス管内を2ヶのファンにより冷却し、溶液温度を測定しながら30℃を超えないように調節した。なお、水への仕事率は20Wとした。
(5)各装置は暗条件で実施した。
【0042】
(実施例8)
超音波反応器により600kHzの超音波を与えたこと以外は、実施例7と同様の操作を繰返して、対象物質を処理した。
【0043】
(実施例9)
脱気水の代わりに水道水(キャビテーション気泡が多い)を用いたこと以外は、実施例7と同様の操作を繰返して、対象物質を処理した。
【0044】
<評価2>
実施例7〜9で処理されたコチニ−ル溶液を比色法で評価した結果、浄化性能は、実施例8>実施例7>実施例9の順で高く、溶液が浄化(脱色)される原理は、超音波による触媒の直接励起である可能性が高く、超音波照射により発生するキャビテーションの影響は少ないと考えられる。即ち、浄化効果は、溶液中の触媒成分が、溶液を伝わる超音波から物理的作用を受け、励起され色素(対象物質)を直接分解することによると考えられる。
【0045】
3.対象物質の種類と浄化性能
3.1 水中の対象物質浄化試験
(実施例10)
(1)実施例1と同様の構成を有する浄化装置を用い、この装置のガラス管内に、対象物質として濃度20mg/Lのコチニ−ル(カルミン酸)溶液を400mL投入した。また、ガラス管は暗箱により遮光した。
(2)溶液温度が25℃を超えないように調節した。具体的には、ガラス管の周囲は水道水により冷却し、装置外部はファンの送風により空冷した。
(3)ガラス管内の酸化亜鉛に超音波(45kHz)を1時間与え、対象物質を処理した。この結果を表1及び図6に示す。
【0046】
(実施例11)
カルミン酸の替わりに対象物質として濃度32mg/Lのメチレンブルー溶液を使用した以外は、実施例10と同様の操作を繰返して、対象物質を処理した。
この結果を表1及び図7に示す。
【0047】
3.2 空気中の対象物質を液体中に溶解させ浄化する試験
(実施例12)
カルミン酸の替わりに対象物質として濃度100mg/Lのアンモニア溶液を使用した以外は、実施例10と同様の操作を繰返して、対象物質を処理した。
この結果を表1に示す。なお、アンモニア溶液は無色であるため、処理前後の比較写真は撮影しなかった。
【0048】
(実施例13)
カルミン酸の替わりに対象物質として濃度250mg/Lのジメチルアミン溶液を使用した以外は、実施例10と同様の操作を繰返して、対象物質を処理した。
この結果を表1に示す。なお、ジメチルアミン溶液は無色であるため、処理前後の比較写真は撮影しなかった。
【0049】
(実施例14)
カルミン酸の替わりに対象物質として濃度40mg/Lのホルムアルデヒド溶液を使用した以外は、実施例10と同様の操作を繰返して、対象物質を処理した。
この結果を表1に示す。なお、ホルムアルデヒド溶液は無色であるため、処理前後の比較写真は撮影しなかった。
【0050】
【表1】

【0051】
<評価3>
表1より、本発明の一例である実施例10〜14の浄化装置は、色素系対象物質に対して9割以上の浄化能力を示し、臭気系対象物質に対しても2割程度の浄化能力を示すことがわかる。
なお、これら実施例の結果より、触媒濃度を更に高めれば、同濃度の対象物質の浄化時間が短縮されると推察できる。また、触媒成分の沈殿を抑制するため、触媒成分をスラリー化するなどして対象物質との接触頻度を高めることでも、更なる浄化時間の短縮が期待できる。
【0052】
4.超音波とスターラーの浄化性能比較
(実施例15)
(1)実施例1と同様の構成を有する浄化装置を用い、この装置のガラス管内に、対象物質として濃度0.4mmol/Lのコチニ−ル(カルミン酸)溶液を400mL投入した。また、ガラス管は暗箱により遮光した。
(2)ガラス管内の酸化亜鉛に、仕事率が約78kJとなるように超音波(20.74W)を63分間与え、対象物質を処理した。この結果を図8に示す。
【0053】
(実施例16)
浄化装置の振動発生部にスターラーを用い、仕事率が約78kJとなるようにスターラー攪拌(2.94W)を7時間24分間与えた以外は、実施例15と同様の操作を繰返して、対象物質を処理した。この結果を図8に示す。
【0054】
(実施例17)
対象物質として濃度0.01mmol/Lのメチレンブルーを用いた以外は、実施例15と同様の操作を繰返して、対象物質を処理した。この結果を図8に示す。
【0055】
(実施例18)
対象物質として濃度0.01mmol/Lのメチレンブルーを用いた以外は、実施例16と同様の操作を繰返して、対象物質を処理した。この結果を図8に示す。
【0056】
<評価4>
図8より、仕事量が同等であれば、超音波を利用した振動の方が、対象物質の浄化効率を向上させ得ることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】浄化装置の一例を示す概略図である。
【図2】浄化装置の他の例を示す概略図である。
【図3】浄化装置の他の例を示す概略図である。
【図4】浄化装置の他の例を示す概略図である。
【図5】浄化装置の他の例を示す概略図である。
【図6】実施例10における処理前後のコチニール溶液を示す写真である。
【図7】実施例11における処理前後のメチレンブルー溶液を示す写真である。
【図8】実施例15〜18における処理前後の溶液を示す写真である。
【符号の説明】
【0058】
1 振動発生部
1’ 超音波振動子
2 触媒成分
3 対象物質(液体・気体)
4 浄化槽
5,6 対象物質(液体・気体)用通路
7 触媒成分添加口
8 水
10 搬送手段
11 溶解槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒収容部と振動発生部とを備える触媒励起装置であって、
上記触媒収容部は、触媒成分と流体との混合物を収容可能であり、
上記振動発生部は、該触媒収容部中の流体を介して触媒成分に振動を与えることを特徴とする触媒励起装置。
【請求項2】
上記触媒収容部の流体が水であることを特徴とする請求項1に記載の触媒励起装置。
【請求項3】
上記触媒収容部の流体を曝気し得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒励起装置。
【請求項4】
触媒成分と振動発生部とを備える触媒励起装置であって、
上記振動発生部は、該触媒成分に振動を与えることを特徴とする触媒励起装置。
【請求項5】
上記振動発生部が音波を発生し得ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の触媒励起装置。
【請求項6】
上記触媒成分が白金及び/又は酸化金属を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の触媒励起装置。
【請求項7】
上記酸化金属が酸化亜鉛を含むことを特徴とする請求項6に記載の触媒励起装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の触媒励起装置を備える浄化装置であって、
触媒成分と対象物質とを接触させるとともに、振動発生部から触媒成分に振動を与えることにより該対象物質を浄化し得ることを特徴とする浄化装置。
【請求項9】
対象物質を含む気体及び/又は液体を触媒励起装置へ搬送する手段を備えることを特徴とする請求項8に記載の浄化装置。
【請求項10】
触媒励起装置を備える浄化槽と、気体溶解手段を備える溶解槽とを連通させて成り、
上記溶解槽は、対象物質を含む気体から該対象物質を溶液中に溶解させ、
上記浄化槽は、対象物質が溶解した溶液を触媒成分に接触させて浄化することを特徴とする請求項8又は9に記載の浄化装置。
【請求項11】
上記溶解槽が振動発生部を有することを特徴とする請求項10に記載の浄化装置。
【請求項12】
触媒成分を回収する手段を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の浄化装置。
【請求項13】
上記触媒回収手段が、磁気を利用して触媒成分を回収することを特徴とする請求項12に記載の浄化装置。
【請求項14】
上記触媒成分が、帯磁している又は磁性体材料に担持されていることを特徴とする請求項13に記載の浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−245030(P2007−245030A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−73227(P2006−73227)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(393019115)株式会社アイ・エイチ・アイ・エアロスペース・エンジニアリング (3)
【Fターム(参考)】