説明

触媒反応の改良

【課題】オレフィンのオリゴマー化等の反応において、反応原料の組成変動や変化にもかかわらず、反応の活性度および変換効率を高めること。
【解決手段】固体リン酸またはゼオライト触媒の存在下におけるオレフィンのオリゴマー化またはアルキル化のような酸触媒化連続炭化水素変換反応において、炭化水素原料は水和化されるとともに、水和化の程度は原料の組成に従って調整される。具体的なプロセスにおいて、最初にアルカリ洗浄槽へオレフィン原料および苛性剤等を供給し、水洗後、沈殿槽で水を分離し、さらにコアレッサーで微小水滴を除去する。原料をリアクターに送る前にオンライン・アナライザーで原料組成を分析し、前工程にフィードバックし、水洗温度や水和化条件を変更する。各工程での除去物はリサイクルする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒反応の改良、すなわち、触媒反応における改良または触媒反応に関する改良を対象とする。具体的には、酸触媒石油化学反応、特に、オレフィンのオリゴマー化およびオレフィンとのアルキル化における、または酸触媒石油化学反応、特に、オレフィンのオリゴマー化およびオレフィンとのアルキル化に関する、改良に関する。
【背景技術】
【0002】
より高い分子量生成物を形成するために、酸触媒上でオレフィンまたはオレフィン混合物の縮合反応は、広く使われる商業的プロセスである。このタイプの縮合反応は、ここではオリゴマー化反応と呼ばれ、その生成物は12までの、典型的には2、3、または4、しかし5、6、7、または8までのオレフィン分子同士の縮合によって形成される低分子量オリゴマーである。ここに使われる用語「オリゴマー化」はオリゴマーおよび/またはポリマーを形成するプロセスを示すために使われる。低分子量オレフィン(たとえば、エチレン、プロペン、2-メチルプロペン、1-ブテンと2-ブテン、ペンテン、およびヘキセン)は、固体リン酸触媒、酸性イオン交換樹脂、またはゼオライト触媒上のオリゴマー化によって、オリゴマーから成り、またハイオクタン・ガソリン調合剤として、および化学的中間体と最終生成物とを生産するための出発原料として、価値がある生成物へ変換することができる。このような化学的中間体および最終生成物は、アルコール、合成洗剤、および可塑剤エステルや合成潤滑剤のようなエステルを含む。その反応は通常、複数のチューブ状またはチャンバーリアクター(反応炉)で起こる。硫酸化ジルコニア、液体リン酸および硫酸はまた、オリゴマー化用の周知の触媒である。
【0003】
オレフィンを有する芳香族およびリン酸化合物の酸触媒アルキル化は商業上重要でもある周知の反応である。たとえば、エチルベンゼン、クメンおよびアルキレート洗剤は、それぞれ、エチレン、プロパンおよびC〜C18オレフィンを用いたベンゼンのアルキル化によって生成される。硫酸、HF、リン酸、塩化アルミニウム、およびオプショとして担持されたホウ素フッ化物は、この反応用の従来の触媒である。さらに、比較的酸性度の強い固体酸は、このプロセスを触媒するために使うことができ、このような材料は、非晶質・結晶質アルミノケイ酸塩、粘土、イオン交換樹脂、混合酸化物、および固体リン酸触媒のような担持された酸を含む。これらの酸触媒の多くは、最適な触媒活性を提供するために、一定量の水の存在を必要とする。
【0004】
固体リン酸触媒は典型的に、リン酸を担体と結合し、生じる材料を乾燥することによって作られる。通常使用される触媒は、珪藻土をリン酸と混合し、生じるペーストを押出し、さらに押出された材料を焼成することによって作られる。固体リン酸触媒の活性度はその量およびその担体上に堆積されるリン酸の化学組成に関係する。
【0005】
リン酸は、酸の仲間からなる。それらはお互いに平衡して存在し、それらの縮合程度においてお互いに異なる。触媒は一般にシリカ上で担持され、種々のリン酸で覆われたシリコーン・リン酸塩触媒からなる。これらの酸は、オルトリン酸(H3PO4)、熱リン酸(H4P2O7)、3リン酸(H3P3O10)、およびポリリン酸を含み、また、リン酸の所定サンプルの正確な組成は、そのサンプルの水分量およびP2O5の関数となる。酸の水分量が減少するにつれて、酸触媒の縮合の程度は増加する。種々のリン酸の各々は固有の酸強度を持ち、従って固体リン酸の所定のサンプルの触媒活性は、触媒表面に堆積されるリン酸のP2O5/H2O比に依存する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
固体リン酸触媒の活性度および、オリゴマー化またはアルキル化プロセスのような炭化水素変換プロセスにおける非活性化速度は、触媒水和反応の度合の関数である。オレフィン・オリゴマー化プロセスにおいて、適切に水和化したリン酸触媒は、原料中のオレフィンの95%以上をより高分子量のオリゴマーに変換するために使われる。しかし、その触媒が水分をほとんど含まない場合は、非常に高い酸性度を持つ傾向にあり、コークス化の結果として急速に非活性になる可能性がある。触媒のさらなる水和化は、その活性度を減らすのに役立ち、またコークス形成を通して急速な非活性化に向かう傾向を減少させる。他方で、固体リン酸触媒の過度の水和化は、低密度で膨潤につながる触媒構造の変化を引き起こす可能性がある。この変化は、触媒を軟化させかつ物理的に凝集させる可能性があり、その結果、固定床リアクターにおいて高圧の液滴を発生させる可能性がある。従って、固体リン酸触媒用水和化の最適レベルが存在する。
【0007】
炭化水素変換プロセス用の触媒として使用中に、固体リン酸触媒は、原料の組成および反応条件である水和化の度合いを増大させる。たとえば、水和化のレベルは、触媒と接触することになる原料の水分量、および触媒が使用される温度および圧力に影響を受ける。固体リン酸触媒上の水の蒸気圧は、温度とともに変化し、原料が接触している触媒の水分量と平衡状態にある原料の水分量を保持することは重要である。もし本質的に無水の炭化水素原料が適切に水和化した触媒と一緒に使用されるならば、その触媒は、使用中に通常は水分を失い、水和化の最適程度より少なくなるであろう。従って、原料の水分量が触媒の水和化の最適レベルを維持するために不十分であるとき、従来方法は水分を原料に付加することであった。プロペンを用いたベンゼンのアルキル化に関して、およびプロペンのオリゴマー化に関して、触媒として固体リン酸触媒の性能における水分の効果の研究は、応用触媒Aの概要97、pp177〜1196(1993)(Cavani et Applied Catalysis A: General, 97, pp.177-1196 (1993)において、カバニーらによる総論で説明されている。
【0008】
固体リン酸触媒と接触する原料に水分を加える代わりに、水和化の満足のいくレベルで触媒を維持するために、2-プロパノールのようなアルコールを原料に少量添加することが提案されている。たとえば、US特許番号4,334,118は、固体リン酸触媒上にC3-C12オレフィンの重合においてそのことを開示していて、その触媒活性は、オレフィン原料中に少量のアルカノールを含有することによって、望ましいレベルで維持することができる。アルコールは触媒と接触して脱水し、その時に生ずる水分が触媒の水和化を維持するために作用するということが述べられている。
【0009】
固体リン酸触媒の使用と同様に、オレフィンのオリゴマー化用の酸性ゼオライト触媒を使うことが知られている。PCT公開WO93/16020はこのようなゼオライトの使用、およびオリゴマー化反応に少量の水分の添加によって、オリゴマーの選択性と変換を改良することができることを開示している。
【0010】
ゼオライト触媒が使用されるところで、それは、アルケン・オリゴマー化反応において活性であるどんなゼオライトであっても良い。たとえば、TON構造型のゼオライト(たとえば、HZSM-22、H-ISI-1、H-Theta-1、H-Nu-10、KZ-2)、またはNTT構造型のゼオライト(たとえば、H-ZSM-5)、またはMEL構造型のゼオライト(たとえば、H-ZSM-11)、またはMTW構造型のゼオライト(たとえば、H-ZSM-12)、またはEUO構造型を持つゼオライト(たとえば、EU-1)、またはゼオライトH-ZSM-57、またはフェリエライト構造群のいずれかのもの、からなる群から選択される触媒が使用されても良い。適切な触媒の他の例は、オフレチタイト、H-ZSM-4、H-ZSM-18またはゼオライト・ベータである。前述のゼオライトの合成および特性の概説に関して、ヤコブおよびマルテンによる「高シリカ・アルミノケイ酸塩ゼオライト」(「表面科学および触媒の研究」シリーズの33巻として発行)を参照せよ。
【0011】
さらに、触媒は、テンプレート(たとえばフォージャサイト、ゼオライトL、モルデナイト、エリオナイトおよび菱沸石、バエルロッチャーら(C. Baerlocher, W. M. Meier and D. H. Olson)の「ゼオライト構造型の地図」に含まれる構造(国際ゼオライト協会の構造委員会の代理でエルセヴィアーにより発行の第5改訂版、2001年))の付加なしで合成されるゼオライトであっても良い。上記のゼオライト触媒の結晶構造と本質的に同じ結晶構造を持つが、化学組成においてそれらとわずかに異なるゼオライト触媒を使用しても良い。実施例は、上記ゼオライト触媒から幾つかのアルミニウムイオンを除去するか、または上記ゼオライト触媒を蒸気処理(スチーミング)をすることによって得られるゼオライト触媒、および異なる元素(たとえば、ホウ素、鉄およびガリウム)の付加によって(たとえば、含浸またはカチオン交換によって、或いはゼオライト合成中の取込みによって)得られるゼオライト触媒を含む。
【0012】
2つ以上のゼオライトの混合物、たとえば、ZSM-22 と ZSM-57 または ZSM- 22 と ZSM-5の混合物は、EP0746,538B1に開示されているように、使うことができる。あるいは代替として、EP0808298B1に開示されているように、各々の結晶の表面ゼオライト上に別のゼオライトの層を堆積できる。
【0013】
ゼオライトは好都合なことに、0.05〜5μmの範囲内(たとえば、0.05〜2μm、および典型的には0.1〜1μm)のように5μmまでの結晶サイズを持つ。合成状態のゼオライトは、酸処理(たとえば、HCl)により、またはアンモニアイオン交換により、その酸形態にうまく変換され、その結果、本発明に使用する前に焼成される。焼成された材料は、たとえば、蒸気処理によって、後処理しても良い。シリコンは、たとえば、ゲルマニウムおよび/または燐、さらにアルミニウム、もっと特にホウ素、ガリウム、クロムおよび鉄によって、置き換えても良い。このような置換格子元素を含有する材料はまた、一般に、ゼオライトと呼ばれる。この用語は、本明細書において、このような広い意味で使用される。ゼオラオイトは、たとえば、粉末状態でおいて、担持されても良いし、担持されなくても良いし、または適切な結合剤と一緒に押出し材として使っても良い。結合剤が使われる場合、その結合剤は、アルミナまたはシリカのような金属酸化物であり、そのオリゴマー化触媒は、たとえば、1〜99重量%、もっと好適には50〜70重量%のゼオライトを含むような量で、存在する。
【0014】
アルケン・オリゴマー化プロセスにおいて、0.05〜0.25モル%、および好適には原料の炭化水素量に基づいて0.06モル%以上の水分量を持つアルケン含有原料を使うことによって、望ましい高分子量のアルケンの生産を増加でき、触媒はもっとゆっくりと非活性化になる。これは固体リン酸触媒オリゴマー化およびゼオライト触媒オリゴマー化の両方に関して知られている。
【0015】
アルケン含有原料は0.05モル%未満の水分量を持ち、その水分量は種々の手段によって増加することもできるということが知られている。たとえば、原料を恒温水飽和器に通すこともできる。アルケン原料を飽和するために必要とされる水分量は原料の温度に依存するので、水分量のコントロールは原料温度の適切なコントロールによって影響を受ける。原料の水分量は、原料の炭化水素量に基づいて、好適には0.06モル%以上である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、C3-C6アルケンのオリゴマー化において特に利点を発揮して使用できる。アルケン含有原料は、希釈剤として、たとえば飽和炭化水素のようなC2-C12アルケン以外の炭化水素を含むなら、その他の炭化水素は、水分量の計算のために炭化水素量に含まれるべきである。
【0017】
従って、リン酸かゼオライト触媒のどちらかを使用して、触媒寿命を延ばし、さらにできる限り選択性を改良するために、および変換を抑制しかつ触媒床のより大きな部分にわたりそれを広げるために、水分を添加しても良い。オリゴマー化反応は、触媒変化が必要とされるまで、典型的に何週間も何か月間もかかり、その期間中、その反応の選択性および変換を最適化することが望ましい。US特許6,111,159は、反応期間の最初に起こりうる困難さを示し、長めの初期間以上に非反応性水分フリーの炭化水素希釈剤を使う少し複雑で高価な解法を提供する。このような技術の使用の意義は、そのリアクターは、最適反応条件に達するまでに、低い触媒活性と低いオレフィン変換の状態でオンラインで、数日を要するということである。
【0018】
これらの酸触媒を使った工業的炭化水素変換プロセスは、触媒に変化が起こるかまたはリアクターが止まるまで、通常数週間行う。工業的プロセスにおいて、反応用原料は、接触または蒸気分解から誘導された流れなどの精製活性剤から一般に得られる。またそれは分留によっても良い。このような精製活性剤の種類は、その原料の組成において変化があっても良い。さらに、反応進行中に原料の種類を変更することが望ましい場合もある。さらに、その反応は発熱性であり、発熱の大きさはまた原料の組成に依存する。
【0019】
本発明は、原料中に存在する水分量の調整による反応条件の最適化と関係する。
【0020】
前に記載したような殆どの工業的プロセスにおいて、炭化水素変換反応において使用される精製原料は、極性化合物のような不純物を含む。これらの不純物は、炭化水素変換反応に悪影響があり、たとえば水洗によって、しばしば反応前に除去される。オレフィンのオリゴマー化において、その原料は、酸性極性種を除去するために最初にアルカリ洗浄がしばしば行われ、その後で弱酸性水洗浄される。最終水洗は通常、水洗が行われる温度において水で飽和する原料ストリーム(流れ)を作り出し、反応において必要とされる水和水を提供するために使うことができる。
【0021】
処理される特別の原料に対して触媒の活性度は、存在する水分量によりコントロールされる。水の存在の必要性は触媒の種類によって変化する。たとえば、固体リン酸触媒を使用するとき、水分が触媒活性のために必要とされる。一方、ゼオライト触媒を使用するとき、触媒活性度を和らげるために水分が必要とされる。
【0022】
この結果、水の存在および存在する水分量はそれらすべての状況において重要である。
【0023】
炭化水素変換リアクターにおいて、リアクター全体の温度プロファイルが、また原料および触媒の種類に依存する最適プロファイルが、一般に存在する。もし原料組成によって水分量が連続的にコントロールされるならば、特別の最適リアクター条件は、リアクターの進行全体に保持される可能性があるということを、我々は見出した。
【0024】
本発明は、リアクタープロセスの初期に高活性度および高変換を実現でき、および/または、反応原料の組成の変動および/または変化にも拘わらず、その活性度および変換を維持することができるプロセスを提供する。
【0025】
本発明に従って、変換生成物を形成するための変換条件下で、オレフィンおよび水分を含む原料を触媒床を通して通すこと、および原料の水分量の解析に従って自動的にコントロールされることを含む、リアクター中のオレフィンの変換のためのプロセスが提供される。
【0026】
代替として、本発明は、変換生成物を形成するための変換条件下で、オレフィンおよび水分を含む原料を触媒床を通して通すこと、およびプロセスの後期段階におけるよりもプロセスの初期段階中に原料の水分量が多いこと、を含むリアクター中のオレフィンの変換のためのプロセスが提供される。好適な実施形態において、このプロセスは、ここ以外の所で表されるように、一つ以上のプロセスの特徴を持って実施される。たとえば、上述したように、このようなプロセスは原料組成の解析に従い、原料の水分量を自動コントロールして実施される。
【0027】
それゆえ、本発明は、オレフィンのオリゴマー化またはオレフィンを有する芳香族化合物のアルキル化のためのプロセスを含み、そこで、水和化オレフィン原料は、オリゴマー化またはアルキル化条件のもとで、連続的にオリゴマー化またはアルキル化触媒床を連続的に通されることを含み、さらにここで原料の水分量は、原料組成に従って自動的にコントロールされ、および/または、プロセスの後期段階におけるよりもプロセスの初期段階中に多いことを含む。
【0028】
その触媒は一般に酸性で、本発明の技術の使用は、リアクターを通しておよび反応プロセス中に、触媒の最適活性度を維持することを可能にする。使用される好適なオリゴマー化またはアルキル化は、使用される特別の触媒に依存し、また一般に、リアクター全体に望ましい温度プロファイルを提供するようになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の一つの観点に従って、触媒はゼオライト触媒を含む。この場合において、変換温度(たとえばオリゴマー化またはアルキル化)は、たとえば、110℃〜310℃の範囲に存在しても良い。
【0030】
別の観点に従って、触媒は固体リン酸を含む。この場合において、変換温度(たとえばオリゴマー化またはアルキル化)は、たとえば、200℃〜310℃の範囲に存在しても良い。
【0031】
自動プロセスコントロールの本発明は、原料組成をモニターし、認識される変動または変更に従ってその水分量を調整することによって、原料組成の変動および/または変更にもかかわらず最適条件を維持することを可能にする。この方法において、平均的リアクターおよび/またはプロセス条件において、触媒の遊離活性レベルのプリセット・ターゲットを合わせることが可能となる。オレフィン原料が水洗されるプロセスにおいて、原料の飽和が所望の水分量を提供する温度へ水洗温度を変えることによって、水分量を調整することは好適である。
【0032】
「リアクター」または「プロセス」条件の間の相違は、コントロール能力に依存する。もし個々のリアクターの水和化(すなわち、原料の水分量)コントロールが可能なら、そのコントロールは、平均リアクター条件を目標とし、プロセスを通して調整される。もし唯一の水和化コントロールが、並行してのある範囲のリアクターに関して提供されるならば、それは殆ど必然的に異なる段階のプロセスであるが、その目標は平均的プロセス条件に関する。「リアクター」条件の目標の好適実施形態は、各々個々のリアクターに対する原料中への水分注入能力を用いて、一つの飽和工程が補完される場合に、その特別の(平均的)作業条件の調整をすることである。
【0033】
本発明は特に、プロピレンおよび/またはブテンおよび/またはアミレン原料またはそれらの混合物から、30℃〜310℃、好適には30℃〜300℃、もっと好適には30℃〜250℃の範囲内で煮沸する、C5〜C20オレフィンの生成に関係する。尚、エチレンも同様に存在しても良い。特に、本発明は次のオレフィンの生成に関係する。
【表1】

【0034】
より高分子量アルケンの生成を高めることに加えて、本発明のプロセスはオリゴマー化反応を比較的低温で行うことを可能にする。固体リン酸が触媒として使われる場合、固体リン酸触媒を有する原料の接触は、260℃を越えない温度で好適に行われる。好都合なことに、リン酸触媒を使う時、その接触は180℃〜255℃、好適には180℃〜240℃の温度で行われる。ゼオライト触媒を使う時、その接触は180℃〜310℃の範囲内の温度で好適に行われる。
【0035】
リアクターが最適オリゴマー化温度および圧力条件を実現するとき、または、ほんの24〜48時間後のように短時間後に、固体リン酸をオリゴマー化触媒として使うリアクターが、高い触媒活性度でまた速やかにオレフィン変換で働くことを、本発明のプロセスは可能にするということを我々は見出した。本発明のプロセスは、ゼオライト触媒を使ってオリゴマー化反応をスムーズに進行させることを可能にするということも我々は見出した。特に、本発明は、新鮮な触媒または新たに再生産した触媒を投入して、リアクターのプロセスの開始時における過度の発熱を減少させる。本発明は、高い触媒活性度およびオレフィン変換が、原料組成におけるどんな変更および/または変動にも拘わらず、維持されることを可能にするということも見出した。
【0036】
固体リン酸またはゼオライト触媒のどちらかを使うある反応において、触媒活性度および酸性度は初期には高すぎるということ、および後期段階におけるよりも反応の初期段階中にオレフィン材料中の水分を多く使って、いったん安定反応条件が達成されると、うまく達成できるということ、を我々は見出した。たとえば、固体リン酸触媒を使う時、プロセスの初期を過ぎて原料中の水分量が450〜800重量ppmの範囲内であれば、長寿命を達成することが可能となる。初期段階後にこのレベルの水分量が維持される場合は、この高い活性度および変換が失われ、一方において、250〜400重量ppmの範囲内まで水分量が減少すれば、いったん最大活性度および変換が達成されると、高い活性度および変換が維持されるということも、我々は見出した。特にチューブ状リアクターにおいて、および過度のコークス化を引き起こし、この結果触媒の非活性化を引き起こす、触媒床のある部分における温度暴走を回避する点において、長期間のこの水和化プロファイルはスムーズな温度プロファイルに寄与する。好適にはプロセスの初期段階(より高い水分量を使う)は、48時間まで、もっと好適には24時間までの間持続する。
【0037】
従って、本発明がオレフィンのオリゴマー化に適用される場合、本発明はさらに、触媒活性度およびオレフィン変換を最適化するために、反応プロセスを通して原料の水分量を管理する技術を提供する。殆どのオリゴマー化プロセスにおいて、触媒活性度およびオレフィン変換は水洗を行う。この段階で、原料は水で(水洗で使われる温度において)飽和され、この水分量は選択されるオリゴマー化条件によって必要なレベルまで自動的にコントロールされる。原料の水分量を調整する従来技術は、水洗工程における使用温度を変えることである。温度の上昇は飽和水分量を増大させるが、一方では、温度が低下すると飽和水分量を減少させる。水分量が低すぎる場合は、もっと多くの水を原料中に注入しても良い。または並行して動作する幾つかのリアクターの場合には、望ましいレベルを達成するために、個々のリアクター毎に原料中に直接水分を注入しても良い。この水和化コントロールは、このシステムが原料組成の変化、リアクター温度の変化、リサイクル速度の変化、および反応原料(たとえば、オレフィン)と希釈剤との割合の変化(何かが使われる場合)を補償することを可能にする。
【0038】
好適な実施形態において、一つ以上のコアレッサーが原料の水洗の下流に提供される。これらのコアレッサーは、触媒上で触媒能力を悪化させる過剰な水分を生じうる微小な水滴を取り除く。コアレッサーは、2液相の分離を促進するために使われる装置である。2液相を分離する場合の問題は、密度の差(これは分離を促進する)がかなり小さい時である。この場合には、より小さな液滴が連続相を通してゆっくりと動く(ストークスの法則に従って)。また空の容器内において、より大きな液滴を形成し、最終的に分離した連続相を形成するためにそれらが凝集し始める前に、それらは底部(または最上部)へ常に移動しなければならない。コアレッサーにおいて、液滴が移動しなければならない距離を減少させるために、水平な(または実質的に水平な)バッフル(調節板)は、容器内で提供され、この結果もっと有効で体積効率の良い分離を作る。好適なコアレッサーの設計は、内側に幾つかの平行なバッフルを有するドラムを含み、そのバッフルは水平かまたはわずかに傾いている。小さな液滴は、その直下または直上にあるバッフルまで移動する必要があるだけであろう。そこで、それらは、(お互いに合体することによって)より大きな液滴を形成し、その後で、バッフルの端まで移動するだろう。そして、そこから容器の底部または最上部まで、液滴はより速い速度で移動し、そこで、液滴の連続分離相が、形成され、出口ノズルを通って除去されるだろう。本発明のコアレッサーを使う利点は、オリゴマー化リアクターへ有機物原料中の混入水分量が減少し、この結果水分量が水の飽和量により近くなるということである。後者は計算により見積もることができ、それで、流れの全水分量をもっと確実に予測/計算することができる。このことは、飽和温度をコントロールすることによって、および/またはオリゴマー化リアクターまでの途中で原料に注入される水分量をコントロールすることによって、より良好な水和反応コントロールを可能にする。コアレッサーの別の実施形態は異なる相の小さな液滴を含有する流体は、液滴相が高親和性または高湿潤性を持つ原料から作られるクリンクル・ワイヤー・メッシュ・スクリーンまたはパッキングのような、高多孔質固体を通して押出されるものであっても良い。この小さな液滴はそれから、この容易に湿らせることが可能な材料に付着する傾向があり、凝集しより大きな液滴を形成する傾向がある。その液滴はその後、その材料から離れ、排出可能な連続相に容易に分離する。
【0039】
さらなる実施形態において、オンライン・アナライザーは、オレフィン原料がリアクターに供給されるときに、オレフィン原料に存在する水分量を測定するために提供される。その後で、オリゴマー化反応を最適化するための必要な水分量を調整するために、注水および/または水洗の温度変化または乾燥システムを、好適には自動的に、解析に従って動かしても良い。ガスクロマトグラフィまたはパナメトリクス(商標)解析技術によって解析される小さなスリップ流れを取る一つ以上のオンライン・アナライザーを使って、その解析をモニターしても良い。
【0040】
最終水洗工程へのまたは最終水洗工程からの炭化水素原料の組成を決定するために、オンライン・アナライザーの使用は、原料の個々の炭化水素成分、典型的には個々のオレフィンおよびパラフィン成分の内訳を提供する。その後で、水洗温度における原料ストリーム(流れ)の水溶性を計算するための基礎として、この成分を利用できるし、適切なアルゴリズムによって温度を自動的に調整するために使うこともできる。水の混入が全くないことはほとんどないということを保証するためにコアレッサーを使うとき、リアクターへの原料中の水の濃度を正確に評価するために、このオンライン解析がコアレッサー後に行われるということは好適である。おもしろいことに、オンライン水分アナライザーは、ゆっくりと、知覚できないほどに偏りを広げていくことが知られているので、それらを定期的に補正する必要がある。これらのアナライザーの補正はむずかしく、やっかいである。何故なら、低いかゼロの水分量の解析標準品を準備したり保存することが困難だからである。それゆえ、水洗工程の生成物中に取り込まれている水分量を正確に予想する能力は、水洗段階の温度コントロール、または付加水分の注入のどちらかによって、または両方の結合によって、または乾燥することによって、厳格な水和コントロールを行うのに非常に有効である。
【0041】
さらに別の実施形態において、リアクター原料の解析は、アルコール、エーテル、またはたとえば、ケトンおよびアルデヒドのような化合物を含むカルボニル、酸、およびそれらの類似物質のような水以外の酸化成分の濃度を測定することを含む。リアクター条件のもとで、これらの化合物は水を生成する傾向があり、その水は触媒の水和化に関与する。存在するエーテルの40%〜60%が水を生成するために分解する傾向がある。一方で、殆どのアルコールの変換は本質的に完全であるが、メタノールは例外である。メタノールはメチル化を経て脱水し、そのメチル化はかなり緩慢な反応である。その結果、メタノール変換は、そのC2および高級同族体よりかなり低い。水以外の原料中の酸化物の濃度に関する付加的情報により、最適水和化のために必要な水の量を調整することが可能であり、またこれから水洗工程の温度および/または注入される水の量および/または乾燥物の量を調整することが可能である。
【0042】
本発明のさらなる実施形態において、触媒がリアクターから降ろされるプロセスの終わりに、リアクター出口の最も近くで再生される使用済み触媒の酸性度が分析的に検証される。特に触媒として固体リン酸を使うとき、リアクター出口における使用済み触媒の酸性度が、新鮮な触媒の酸性度レベルと実質的に同じであるということは好適である。もし使用済み触媒の酸性度が所望のレベルからかなり偏るなら、水和化目標は調整され、その後のプロセスのために目標遊離酸性度レベルを維持する。触媒から遊離酸を抽出することによって、好適には水を用いて、その後に滴定により、触媒の遊離酸性度を測定しても良い。新鮮な触媒およびリアクター出口における触媒の遊離酸性度(すなわち遊離リン酸量)は、両方とも16〜22%の範囲内にあり、もっと好適には18〜20%の範囲内にある。リアクター出口における触媒の酸性度におけるどんな変化も、オレフィン原料における水分量を調整するための必要性のインジケーター(尺度)となりうる。
【0043】
本発明のさらなる実施形態において、リアクター中の水分量が所望のレベルを超える場合は、リアクターを減圧にして水分を吐き出すことを可能にする手段をリアクターに備えても良い。これは、望ましくない水分の増進によりリアクターを閉鎖する必要がある状況下で水分量をコントロールすることを可能とする。それはまた、過度の損害が触媒に及ぶ前に、過剰水和化条件において、または作業上の不調により触媒が過剰に水和化するとき、供給され搭載された新鮮な触媒に関して、迅速に修正することを可能にする。このさらなる実施形態の使用は、チャンバーを使うシステムに対してよりもチューブ状リアクターを使うシステムに対して適用可能である。チューブ状リアクターは通常、リアクターチューブを排気するために真空システムを装備する。この真空を使うことにより水や炭化水素も触媒からフラッシングすることを促進できる。固体リン酸触媒におけるこの処理は、失われた活性度をある程度回復でき、プロセスの初期段階中に蓄積した圧力低下をある程度減らすことができるということを我々は見出した。
【0044】
オリゴマー化のような多くのオレフィン反応プロセスにおいて、未反応のオレフィンはリアクターへ回収され、反応条件を最適化するために、ここで再びオレフィンのリサイクル原料の酸素量および水分量をモニターし、調整することができる。代わりにこのような回収物が水洗工程前に新鮮な原料と混合され、水和化コントロールは結合ストリーム(流れ)に影響を受ける。
【0045】
固体リン酸触媒を用いるプロセスの選択性、寿命および変換を改善するために、また酸性ゼオライト触媒を使うとき発生する可能性がある望ましくない発熱を減らすために、原料の水分量の有効なコントロールが発見された。ゼオライト触媒が使われる場合に、ゼオライト触媒がアルケンオリゴマー化反応において活性であるどんな触媒であっても良いということは、好適である。たとえば、次のものからなる群から選択される触媒を使っても良い。TON構造型のゼオライト(たとえば、H-ZSM-22、H-ISI-1、H-Theta-1、H-Nu-10、KZ-2)、またはMTT構造型のゼオライト(たとえば、H-ZSM-23、KZ-1)またはMFI構造型のゼオライト(たとえば、H-ZSM-5)またはMEL構造型のゼオライト(たとえば、H-ZSM-11)またはMTW構造型のゼオライト(たとえば、H-ZSM-12)またはEUO構造型を持つゼオライト(たとえば、EU-1)、またはゼオライトH-ZSM-57、またはフェリエライト構造族のどんな仲間。適切な触媒の他の例は、オフレタイト、H-ZSM-4、H-ZSM-18またはゼオライト・ベータである。前述のゼオライトの合成および特性のレビューに関して、ヤコブとマーテンによる「高シリカ・アルミノシリケート・ゼオライト」(「表面科学および触媒の研究」シリーズ33巻として発行)を参照。
【0046】
さらに、触媒は、テンプレート、たとえば、フォージャサイト、ゼオライトL、モルデナイト、エリオイテ(erioites)および菱沸石の添加なしに合成されたゼオライトである。これらの構造はメイヤーおよびオルソンによる「ゼオライト構造型のアトラス」(国際ゼオライト協会の構造委員会のためにバターワース社によって発行)に含まれている。上述のゼオライト触媒の触媒構造と本質的に同じだが、化学組成においてそれらと少し異なる結晶構造を持つゼオライト触媒を使っても良い。たとえば、上述のゼオライト触媒の蒸気処理(スチーミング)によって、または上述のゼオライト触媒から多数のアルミニウムイオンを除去することによって、得られるゼオライト触媒、或いは異なる元素の付加によって、たとえば含浸またはカチオン交換によって、またはゼオライト合成中の取り込み(たとえば、ホウ素、鉄およびガリウム)によって、得られるゼオライト触媒である。
【0047】
ゼオライト触媒または修正ゼオライト触媒を粉末形態(全て粉末である場合、または単結晶の一部である場合を含む)で使っても良い。ゼオライト触媒は、凝集形状、たとえば、タブレット、押出し製品または球状に組み込んでも良いし、それらは、オリゴマー化プロセスに使われる条件下で実質的に不活性である結合剤材料とゼオライトを結合することによって得ることもできる。ゼオライト触媒は、たとえばゼオライトと結合剤原料を合わせた重量に基づいて、1〜99%の重量で存在しても良い。結合剤原料として、適切などんな原料を使っても良い。たとえば、シリカ、金属酸化物、または粘土(モンモリロナイト、ベントナイトおよびカオリン粘土、オプションとして使用前に焼成または化学的に調整した粘土)である。さらに適切なマトリックス原料の例として、シリカ-アルミナ、シリカ-ベリリア、シリカ-マグネシア、シリカ-トリア、シリカ-アルミナ-ジルコニアおよびシリカ-マグネシア-ジルコニアを含む。
【0048】
本発明は、発明のさらなる観点において、C2-C12-アルケン含有原料をH-ZSM-22の結晶と、またはZSM-22の結晶質構造を持つ調整ゼオライト触媒の結晶と、3以上の直径に対する長さの比および30μm以下、好適に10μm以下、もっと特に1μm以下の長さを持つ結晶と、接触することを含むC2-C12-アルケン含有原料をオリゴマー化するためのプロセスが提供される。
【0049】
本発明に従った特に好適な実施形態において、C2-C12-アルケン含有原料、特にC3-C6-アルケンを含む原料は、H-ZSM-22または特にZSM-22の結晶質構造を持つ調整ゼオライト触媒と接触される。また水分量が0.05〜0.25モル%の間で本発明に従ってコントロールされる。このことにより、得られる二量体、三量体、および四量体生成物を良好に生産できることを我々は見出した。さらに、良好な触媒活性度が、比較的低い温度、たとえば150℃〜、典型的に180℃〜225℃の温度において観測される。原料が比較的乾燥している場合のオリゴマー化プロセスと比較すると、この触媒は比較的ゆっくりと非活性化するようになることも我々は見出した。
【0050】
本発明のプロセスによってオリゴマー化されるアルケンは、エチレン、プロペン、および線状または分枝C4-C12-アルケンを含む。それは、二価不飽和および特に多価不飽和化合物は余り好適ではないけれど、一価、二価または多価不飽和であっても良い。しかし、上で示したように、アルケンは好適にはC-C-アルケンである。このプロセスは、プロペンおよびブテンのオリゴマー化に関して特に好都合であり、シングル・アルケンの、または同一のまたは異なる炭素数のアルケンの混合物のオリゴマー化のためにこのプロセスを使っても良い。もし必要なら、たとえば、低分子量飽和炭化水素を用いて、そのアルケンは希釈されても良いし、好適には一価不飽和である。
【0051】
反応は、好適には大気圧より高い圧力、たとえば100bar(107Pa)までの圧力行われる。
【0052】
固体リン酸触媒が使われる場合には、本発明は、炭化水素原料の化学変換を触媒するために固体リン酸触媒の固定床を使用することを含む。触媒が特定の炭化水素変換プロセス用の最適レベルの活性度になることを、本発明は可能にする。本発明のプロセスは、最適触媒活性化に必要なレベルまで、オレフィン原料の水和化の急速な調整およびこの結果としての触媒の水和化を可能とする。
【0053】
リン酸を固体担体と結合することによって作られる担持された触媒は、本明細書では固体リン酸触媒と呼び、このような触媒はどれでも本発明の実施において使用可能である。固体リン酸触媒は、オルトリン酸、ピロリン酸またはトリリン酸のようなリン酸をケイ酸質固体担体と混合し、湿潤ペーストを形成することによって、標準的に作られる。このペーストを焼成し、その後、砕いて、触媒粒子を得ることが可能である。或いは、このペーストを焼成前に押出すかペレット化し、もっと均質な触媒粒子を生成することもできる。この担体は典型的には、珪藻土(kieselguhr)、カオリン、または珪藻土(diatomaceous earth)のような材料を含む自然に生じる多孔質シリカである。その強度および硬度を高めるために、無機質滑石、フラー土および鉄化合物のような種々の添加物(鉄酸化物を含む)を最小量この担体に添加することも可能である。この担体および添加物の結合は、標準的に約15〜30重量%の触媒を含み、残りはリン酸である。しかし、触媒の製造に使われるリン酸量は触媒の約8〜80重量%と変化可能である。固体リン酸触媒は商業的に利用可能で、このような材料はSPA-1およびSPA-2の名前で、最近ではHOタイプB-1およびB-2の名前でUOPから販売され、或いは、C-84-シリーズおよびCA-131としてSud-ChemieまたはSCIから販売される。これらのHOタイプB-1およびB-2触媒は、次の特性を持つ円筒型押出し製品である。(1)公称直径5.72mmで長さ/直径の比はそれぞれ約1.7および2.7、(2)それぞれ0.91〜0.94および0.87〜0.91g/cm3の範囲内における平均バルク密度、(3)17〜22重量%として計算される遊離リン酸量、および(4)62.5〜64.5重量%として計算される公称全リン酸量。C-84-シリーズ触媒も、直径6.3mmで長さ約10、17または20mm、0.82〜0.95の範囲内の平均バルク密度、16〜20重量%の遊離リン酸量および62.0〜63.6重量%の全リン酸量を有する、種々のグレードで提供される円筒型押出し製品である。商業上の固体リン酸触媒の製造および特性は、US特許番号2,120,702、3,050,472、3,050,473および3,132,108に、またイギリス特許番号863,539に説明されている。
【0054】
固体リン酸触媒のリン酸の分布は、触媒の「遊離P2O5」量の滴定によって実験的に評価され、それは、水に浸漬されるとき触媒から容易にろ過される酸からなる。この容易にろ過される酸は、オルト-リン酸およびピロリン酸のような低い凝縮度を持つリン酸である。より高い凝縮度を持つリン酸は、触媒が水に浸漬されるとき非常にゆっくりと溶解し、従って水様の抽出物において酸類の滴定によっては測定されない。その結果、遊離P2O5の量は、所定の全P2O5量を持つ触媒におけるリン酸の分布の指示値とし使うことができる。すべての酸が水酸化ナトリウムのような強塩基を使って抽出された後で、全リン酸量を滴定によって決定できる。
【0055】
酸触媒上で、特に固体リン酸触媒で行われる従来の炭化水素変換のいずれの実施においても本発明を使うことができる。このようなプロセスはオレフィンのオリゴマー化およびオレフィンを持つ芳香族のアルキル化を含むが、これらに限定されない。このようなプロセスの具体的な例は、ガソリン、灯油または蒸留液ブレンド原料として役立つ液体へのC3およびC4オレフィンのオリゴマー化、またイソパラフィン溶媒、アルコール、アルデヒドおよび酸の生成品用化学原料として有用なC6〜C15のオレフィン混合物の生成を含む。それらはさらに、エチレンを用いたベンゼンのアルキル化によるエチルベンゼンの生成、プロペンを用いたベンゼンまたはクメンのアルキル化によるクメンおよび/またはp-ジイソプロピルベンゼンの合成、およびC6〜C20のオレフィンを用いたベンゼンまたはフェノールのアルキル化によるアルキルベンゼンまたはアルキルフェノールの生成を含む。
【0056】
固体リン酸触媒を使うとき、本発明の実施において、固体リン酸触媒の固定床は最初に、典型的には低反応性または不活性炭化水素液体(このような液体は触媒床へ熱を提供するためにリアクター上で好適に循環される)からなる、開始流体に浸漬されても良い。触媒上で行うことができる化学変換用に要求される温度および圧力の条件は、それから固体リン酸触媒の固定床において確立される。不十分に加熱された触媒で反応性原料を用いて発生しうる、一定の副反応を最小化または除去するために、開始前に最低温度が必要とされる場合もある。水和化原料フロー(流れ)は、触媒が開始流体に浸漬されたとき、以前に確立した変換条件下で触媒床上に導入される。
【0057】
しかし、開始流体の使用は本質的ではない。リアクターの側壁上の熱伝達媒体を経由して触媒床を加熱する能力を提供するチューブ状リアクターにおいて、特にこの工程を省くことができる。触媒を含むチューブの周囲の媒体を加熱することによって、この触媒床をその後で加熱しても良い。また、所望の温度に達したときに、標準原料をリアクターに導入しても良い。
【0058】
開始原料は、オレフィン、オプションとして希釈剤、および適切な量の水を含む。この原料における材料の相対的比率は、オレフィンの性質およびオリゴマー化条件に依存する。この反応は強い発熱反応で、従ってパラフィン系または重オレフィン系炭化水素のような希釈剤が使われる。たとえば、原料がC3オレフィンからなり、触媒が固体リン酸触媒であるとき、好ましくは、原料は、重量で30%〜60%、もっと好適には40%〜50%、最適には48%〜52%のオレフィンを含み、残りはC3〜C5精製パラフィン系ストリーム(流れ)のようなパラフィン系または重オレフィン系炭化水素希釈剤である。チャンバー・リアクターを使うとき、重量で20〜40%、好適には25〜30%のオレフィン量の少ない原料を使うことが好ましい。このような原料は、接触分解装置から得られる原料として、容易に利用できる。ほかの所で発見されるかまたはリアクター廃液から再生される未反応パラフィン系または低オレフィン系ストリームをリサイクルすることによって必要な場合には、そのオレフィン量をさらに減らしても良い。ブテンがオリゴマー化される場合は、50%〜70%オレフィンを含む原料を使うことが好ましい。
【0059】
原料の好適なオレフィン強度は、触媒上の炭素堆積物が形成され、代わってオリゴマー化反応の発熱に依存する程度によって、決定される。反応が中断するのを防止するために、原料において必要な最小オレフィン量が存在する。この最小量は、リアクターにおける空間速度、温度、および触媒の性質に依存する。
【0060】
固体リン酸触媒用の固定床は、温度と圧力の望ましい変換条件、およびその後で導入されるオレフィン材料に合致する。前述したように、原料は、最小量の水和剤(メタノールを水和剤として考えることもできるけれど、水、エーテルおよび2〜12個の炭素原子を含む一価脂肪族アルコールからなる群から選択される一つ以上の材料から構成される)を含む。原料中に存在する水和剤の量は、触媒の水和化の所望のレベルを提供するために有効となるように、本発明に従ってコントロールされる。原料の水和剤の望ましい濃度は反応に依存するだろう。しかし、濃度は望ましくは、原料に基づいて、約0.05〜約0.80モル%およびもっと好適には約0.10〜約0.50モル%および最適には約0.25〜約0.30モル%の範囲内である。理想的には、初期プロセスの開始後、添加される水和剤の量は、触媒プロセス中に触媒上の遊離酸レベルまたは、特別な水和化を維持するために必要な水分量にちょうど等しい、水分量を提供できる量である。
【0061】
好適な水和剤は水、二級アルコールおよび三級アルコールを含む。本発明は限定されるべきではないけれど、アルコールからの酸触媒化脱水によって生成されるオレフィンを含む分解生成物および水を生成するために、固体リン酸触媒と接触してアルコールが分解する、二級および三級アルコールは、通常一級アルコールより好適である。なぜならそれらは固体リン酸触媒と接触してもっと容易に分解する傾向があるからである。3〜5個の炭素原子を含むアルコールは望ましい水和剤であり、このような材料は、2-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、2-ペンタノール、3−ペンタノール、3-メチル-2-ブタノールおよび2-メチル-2-ブタノールを含む。アルコールが水和剤としてまたは水和剤の成分として使われる時、および炭化水素変換が反応剤として一つ以上のオレフィンの使用を含む時、オレフィンと同じ数の炭素原子を持つアルコールを使うことが望ましいかも知れない。アルコールの水和化によって生成されるオレフィンは、その後、炭化水素変換プロセスにおいて反応剤として関与でき、また副産物は最小化されるだろう。たとえば、2-プロパノールが固体リン酸触媒上でプロペンのオリゴマー化用の水和剤として使われるなら、2-プロパノール分解によって生成されるどんなプロペンも原料のプロペンと共にオリゴマー化されるだろう。
【0062】
水は非常に良い水和剤であるけれど、温度および圧力の周囲条件の下では、それは、典型的な炭化水素原料において比較的不溶性である。従って、所望のレベルの触媒の水和化を行うためには、炭化水素原料に充分な水を取り込むのはしばしば不都合である。しかし、2〜12炭素原子を含む一価脂肪族アルコールは、典型的な炭化水素原料に通常かなり溶解性である。従って、これらのアルコールは水和剤として使用するのに非常に良い。本発明の非常に好適な実施形態は、水和剤が水と、2〜12個の炭素原子を含む一価脂肪族アルコールからなる群から選択される一つ以上のアルコールとの混合物から構成される場合において、炭化水素原料の使用を含む。このような原料は、一つ以上のアルコールを、水を含む原料の炭化水素成分に付加することによって、都合良く生成されるが、一方、水分量は、所望レベルの触媒水和化を提供するためには不十分である
一つの観点において、本発明のプロセスを、固体リン酸触媒の固定床上で行われるどんな炭化水素原料の化学変換とも組み合わせて使うことができる。このような化学変換はオレフィン・オリゴマー化反応、およびオレフィン・アルキル化剤を用いた芳香族化合物のアルキル化を含むが、これらに限定されない。このようなプロセスにおいて使用するための適切なオレフィンは、環状オレフィン、置換環状オレフィン、および化学式Iのオレフィン(ここで、R1はヒドロカルビル基で、各々のR2は、水素および炭化水素基からなる群から独立に選択される)を含むが、これらに限定されない。好適には、R1はアルキル基であり、各々のR2は水素および炭化水素基からなる群から独立に選択される。
【式1】
【0063】

適切な環状オレフィンおよび置換環状オレフィンの例は、シクロペンタン、1-メチルシクロペンテン、1-メチルシクロペンテンおよびシクロヘキセンを含むが、これらに限定されない。式Iのタイプの適切なオレフィンの例は、プロペン、2-メチルプロペン、1-ブテン、2-ブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、2,3-ジメチル-2-ブテン、2-エチル-1-ブテン、1-ペンテン、2-ペンテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、および3-ヘキセンを含むが、これらに限定されない。適切なオレフィンは望ましくは、3〜12個の炭素原子を含み、好適なオレフィンは、3〜6個の炭素原子を含み、非常に好適なオレフィンは、3〜4個の炭素原子を含む。エチレンは、少量または多量に存在しても良い。
【0064】
オレフィンのオリゴマー化に関して、本発明のプロセスから得られる原料は、一般に所望のオレフィン・オリゴマー、未反応オレフィン、希釈剤(もし、何かが使われる場合)、水および他の不純物の混合物である。それゆえ、その材料は、一般に分留によって、主としてオレフィン・オリゴマー、未反応オレフィン、および希釈剤(存在する場合)に分離される。オリゴマーはそれから、後続の反応における使用のために要求に応じ精製しても良い。たとえば、オリゴマーは、ヒドロホルミル化触媒に悪影響を与える可能性がある微量の硫黄を含んでも良い。従って、もしオレフィンをヒドロフォルミル化用原料として使われなけらばならない場合、その原料を脱硫する必要があるかも知れない。同様にオレフィン・オリゴマーは、ヒドロホルミル化触媒には有害である可能性があり、除去する必要がある微量の塩素を含んでも良い。もしヒドロフォルミル化触媒が硫黄または塩素によって悪影響を受けないなら、アルコール誘導体を生成するための後続の水素化工程における触媒はこれらの化合物によって悪影響を受けないし、これから硫黄および塩素が好適に除去され、最適には非常に低いレベルまで除去される。さらにオレフィン・オリゴマーはそれ自体、しばしば異なる炭素数のオリゴマーの混合物である。たとえば、プロピレン、ブテンおよびアミレンの混合物のオリゴマー化はC6〜C13オリゴマーの混合物を生じ、この混合物をその後、特別の目的のために求められるオリゴマーまたはオリゴマー混合物を得るために、分留によって分離することができる。
【0065】
本発明のプロセスをオレフィンのアルキル化剤を用いて芳香族化合物のアルキル化と組み合わせて使っても良いし、適切な芳香族化合物は、芳香族官能基を含み、固体リン酸触媒のような酸触媒の存在でオレフィンによりアルキル化することができる、炭素原子数6〜20個のすべての有機化合物を含む。このような材料は、芳香族化合物および一つ以上の置換基を持つ置換芳香族化合物の両方を含む。炭素原子数6〜10個を含むヒドロカルビル置換芳香族化合物および芳香族炭化水素は特に適切である。さらに、このような材料の混合物をサブストレート(基材)として使うこともできる。このような材料の例は、炭素原子数6〜20個を含む式IIの化合物を含み、ここで各々のRは、水素およびヒドロカルビル基からなる群から独立に選択される。しかし、好適な芳香族炭化水素は6〜10個の炭素原子を含む炭化水素であり、式IIからなり、ここで各々のRは、水素および6〜10個の炭素原子のアルキルからなる群から独立に選択される。
【式2】
【0066】

本発明の実施においてアルキル化サブストレートとして使うための芳香族化合物は、どんな所望の原料からも得ることができる。しかし、石油精製ストリーム分解単位、パワーフォーマー、改質剤および異性化単位は、芳香族化合物の良い原料である。たとえば、光改質剤を使うことができ、このタイプの典型的な材料は約35vol%の全芳香族化合物量を持ち、約10vol%のベンゼンを含むだろう。プロセス効率のために、しばしばより高純度の芳香族原料は、そのプロセスにおいて典型的に使われるリサイクルのために好適である。
【0067】
非常に好適な実施形態において、本発明のプロセスは、オリゴマー化による混合物のガソリン調合剤へのC3およびC4オレフィンの変換と組み合わせて使っても良い。このような実施形態において、原料は、体積で約25%以上のオレフィンから構成される。ガソリンの沸点範囲においてオリゴマーへの変換のために重合単位への典型的なオレフィン含有原料は、プロパン、ブタン、1-メチルプロパン、プロペン、1-ブテン、2-ブテン、および1-メチルプロペンを含み、ここでオレフィン濃度は約35〜約60vol%の範囲内にある。たとえ典型的に少量でも、エチレンおよびエタンも存在しても良い。しかし、オレフィン含有原料は、他のオレフィンまたはオレフィン混合物、他の希釈剤および少量の芳香族化合物の存在を含む(しかし、これらに限定されない)種々の他の組成物を持つことができるということが理解されるだろう。さらに、この範囲外のオレフィン濃度を使うこともできる。
【0068】
さらに実施形態において、アルデヒドおよびアルコールの生成のためにヒドロホルミル化反応の原料として使うことができる、C6〜C13オレフィンを生成するために、エチレン、プロピレン、ブテンおよびアミレンのようなオレフィンのオリマー化に本発明を使うことができる。このアルデヒドをその後、酸を生成するために酸化しても良いし、またはアルコールを生成するために水素化しても良い。このアルコールをその後、可塑剤エステルまたは合成潤滑油のような合成エステルの生成において、または界面活性剤の生成において使っても良い。低圧ロジウム触媒ヒドロホルミル化技術、または典型的にはコバルト触媒である(しかし、ロジウムも使われる)高圧ヒドロホルミル化技術を使って、オレフィンをヒドロホルミル化しても良い。本発明は、我々の2003年12月18日出願の同時係属のUS特許出願60/530805(出願人のレファレンス2003B137/PM2003-121/HA5)に記載の方法でヒドロホルミル化される、原料の生成において特に有用である。この方法によって生成されるアルデヒドが水素化される場合に、これは、2003年12月18日出願の同時係属のUS特許出願60/530804(出願人のレファレンス2003B138/PM2003-120/HA2)に記載の方法により、容易に行うことができる。
【0069】
別の非常に好適な実施形態において、ガソリンの沸点範囲にあり、ガソリン配合原料として有用である生成物を生産するために、C3およびC4オレフィンと組み合わせて低分子量芳香族化合物を含む原料の変換に関連して、本発明のプロセスを使うことができる。たとえば、芳香族化合物に対するオレフィンのモル比は約1〜約50、好適には約1〜約30の範囲内にある。このような実施形態において、ベンゼンのような揮発性低分子量芳香族化合物(これは毒性の考慮のためにガソリン成分として望ましくはない)は、アルキル化によって非常に望ましいガソリン成分である、より揮発性の低い原料へ変換することができる。たとえば、プロペンを用いてモノアルキル化によって、ベンゼンおよびトルエンをそれぞれクメンおよびシメンへ変換することができる。
【0070】
原料はオレフィンおよび芳香族の両方を含む場合には、原料のオレフィンまたはオレフィン類による芳香族化合物のアルキル化はオレフィンのオリゴマー化と競合するかも知れない。結果として、オレフィン・オリゴマーおよびアルキル化芳香族化合物の両方が、生成物として得られ、これらの生成物の比は、原料中における芳香族化合物に対するオレフィンのモル比の関数である。たとえば、芳香族化合物に対するオレフィンのモル比は、約1〜4、1〜5、または1〜8でさえ、または1〜10以上、である時、芳香族化合物のアルキル化からの生成物の形成は、オレフィン重合生成物の形成よりも優勢である。しかしながら、芳香族化合物に対するオレフィンのモル比が約1以上である時、オレフィン重合の形成が通常支配的である。固体リン酸触媒を使うとき、気相は通常好適であるけれど、このようなアルキル化反応が液相または気相において行われる。エチレンを用いてアルキル化するとき、およびエチレン原料ガス中の5%に至るまで、濃縮されたまたは希釈されたエチレンが供給されるとき、条件は、芳香族に対するエチレンの比が0.1~1で、約300℃および40〜65バールであっても良い。他の触媒を用いる場合や通常ポリアルキルベンゼンが要求されるとき、条件は15〜20バールおよび420〜430℃の温度でも良い。プロピレンを用いてアルキル化するとき、典型的な条件は200〜250℃で15〜35バールであっても良い。ゼオライトを使って、アルキル化を行っても良い。液相において、重量時間当たり1〜10の範囲内の空間速度でなされても良い。エチレンを含んだときは、好適な温度は180℃〜250℃である。プロピレンを含む場合は、好適な温度は110℃〜160℃である。両方のケースにおいて、オレフィン原料の段階的注入が、より良い温度コントロールに好適な場合もある。
【0071】
本発明の炭化水素変換プロセスは固定床において好適に行われる。チャンバーまたはチューブ状リアクター内で反応を行うことができる。チューブ状リアクターにおいて、触媒は、循環冷却媒体によって取り囲まれる多数のチューブ内に含まれる。これらのチューブは、他の直径も使うことができるけれど、約5cm〜約15cmの内部直径を典型的に持つだろう。リアクター温度の精密なコントロールができ、高圧操作用に容易に構成することもできるので、チューブ状リアクターはしばしばチャンバーリアクターより好適である。通常、複数のリアクターが使われるだろう。たとえば、チューブ状リアクターを用いるオレフィン・オリゴマー化単位は8個以上ものリアクターを持つことができる。チューブ状リアクターの温度は、リアクター・チューブ周囲の蒸気発生によって通常コントロールされる。多数チューブの束はそれらの外郭を同一のスチーム(蒸気)ドラムへ結合されても良い。
【0072】
チャンバーリアクターにおいて、2つ以上の触媒床を1.5m〜2.5mの範囲内(しかし、これに限定されない)の直径を有する単一容器へ組み込んでも良い。反応による各々の床に及ぶ温度上昇は、外部の急冷蒸気を用いて次の床へ行く前に冷却される。この急冷ストリーム(流れ)は一般に主として飽和炭化水素原料であり、しばしば、このプロセスにおいて、リアクターの最初の分留タワーの下流において蒸留された生成物のLPG、または同様の位置に配置されたフラッシュ・ドラムからの気体凝縮液である。チャンバーリアクターが使われる場合は、リアクター廃液からリアクター原料へのリサイクルとして、および/またはリアクター内多数触媒床間の急冷却として、低反応性炭化水素を使うことによって、発熱性オレフィン変換反応により発生する熱をコントロールすることができる。
【0073】
希釈物を生じるか、または生成物スレートを調整するために、他のリサイクル・ストリームもリアクターへリサイクルすることができる。たとえば、プロピレン供給リアクターにおいて、C6、C9、またはC12オレフィン、リアクターの分割ダウンストリームを、生成品スレート分配を調整するために、リアクターへリサイクルできる。C7-8またはC10-11のような上述以外の炭素数の副産物ストリームをリサイクルし、それらの生成を減らすこともできる。それらの完全な消滅までリサイクルすることも可能なとなる。リアクターへの原料はまた、そのようなリサイクル・ストリーム(流れ)を用いて希釈されても良い。
【実施例】
【0074】
固体リン酸を用いた本発明のプロセスの実施において、原料中の少なくとも1部の反応剤の所望の生成物への変換を生じるために有効な温度、圧力および時間周期で原料は固体リン酸触媒と接触される。望ましくは、接触温度は約50℃を超えるだろう。好適には100℃、もっと好適には125℃を超えるだろう。この接触は一般に、約50℃〜約350℃、好適には約100℃〜約350℃、およびもっと好適には約125℃〜約250℃の範囲内の温度で行われる。またもちろん、最適温度は使われる特定の反応剤および原料中の反応剤の濃度の関数である。たとえば、300℃までのより高い温度も使われるが、プロペンのオリゴマー化および/またはC4オレフィンに関して、反応温度は通常約150℃〜約250℃の範囲内にある。リアクターに導入する前に、少なくとも150℃〜160℃の範囲の温度までプリヒートされることが望ましい。
【0075】
本発明のプロセスの実施において、どんな適切な圧力においても原料を固体リン酸触媒と接触することができる。しかし、約1〜約200バールの範囲内の圧力は望ましく、また約20〜約100バールの範囲内の圧力は好適である。たとえば、典型的な固体リン酸触媒がプロペンの変換および/またはガソリン調合剤に関して使われる時、その圧力は通常約20〜約100バール、好適には約40〜約85バールの範囲内にある。
【0076】
オレフィンの重合またはオレフィンを用いた芳香族化合物のアルキル化のどちらかを触媒するために、使用中に固体リン酸触媒を非活性化することは、副産物としての高沸点ポリマーの形成の結果であると考えられる。これらの副産物は触媒上に残存し、より高い分子量ポリマー(これは重いタールに類似し、ある場合においてコークス様物質の外観を持つこともある)へさらに変換することができる。これらの物質は、触媒粒子を被い、触媒の空孔を埋めることができ、これによって触媒を非活性化できる。従って、触媒と接触して炭化水素の液状または超臨界相を維持するのに充分な圧力において、本発明のプロセスを行うことがしばしば望ましい。この液状または超臨界炭化水素相は、高分子量ポリマーまたはタールが触媒を洗い落とし、これにより触媒寿命が延びるような条件を維持することができる。このような相はまた、触媒上の活性サイトから熱を取り去る際に、より有効であり、これにより高分子量のポリマーまたはタールの形成を抑える。
【0077】
オレフィンのオリゴマー化に関して本発明の手順を、図1を使って説明する。図1において、(1)は、新鮮な腐食剤(苛性剤)(12)が供給され、オレフィン原料(11)が供給されるアルカリ洗浄ドラムまたはタワーを示す。使用済みの腐食剤(苛性剤)(13)はアルカリ洗浄作業から除去される。アルカリ洗浄の生成物はそれから通常、所望の温度へ持っていかれ、水洗(2)に送られ、そこに水(14)が導入される。
【0078】
水を含むオレフィン・ストリーム(流れ)はそれから、水(15)が分離する沈殿ドラム(3)へ移動する。この水の1部を水洗2へリサイクルしても良い。オレフィン・ストリームはそれから、微小な水滴(16)が取り除かれるコアレッサー(4)へ移動する。その後、リアクター(5)へ移る。オンライン・アナライザー(7)は、原料の組成を決定するために提供され、要求に応じ水和化レベルを変えるために、好適には(2)で行われる水洗の温度を変えることによって、信号を送る。反応後、生成物はスタビライザー・タワー(6)へ移動する。オレフィン・オリゴマーはボトム生成物(19)として分離される。揮発性物質は(17)として上部へ取り出される。これらの揮発性物質は、(18)に示されるように一部はリサイクルすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、本発明によるオリゴマー化の手順を説明する流れ図である。
【符号の説明】
【0080】
1・・・アルカリ洗浄ドラム、2・・・水洗、3・・・沈殿ドラム、
4・・・コアレッサー、5・・・リアクター、6・・・スタビライザー・タワー、
7・・・オンライン・アナライザー、11・・・オレフィン原料、
12・・・新鮮な腐食剤、13・・・使用済み腐食剤、14・・・水、
15・・・水、16・・・微小な水滴、17・・・揮発性物質、19・・・生成物、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変換生成物を形成するために変換条件下で触媒床を通してオレフィンおよび水を含む原料を連続的に移動することを含む、リアクターにおけるオレフィン変換の製造方法であって、前記原料の水分量は、前記原料組成の解析により自動的にコントロールされることを特徴とする製造方法。
【請求項2】
上記水分は水洗の手段により上記原料に導入されることを特徴とする、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
1つ以上のコアレッサーは上記水洗の下流で提供されることを特徴とする、請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
(a)原料に水を導入する工程、(b)原料を乾燥する工程、および(c)水洗が使用される場合において、水洗の温度を調整する工程、のうちの1つ以上の解析の結果に依存して、上記原料の水分量は自動的にコントロールされることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項5】
オンライン・アナライザーは、上記原料がリアクターに供給される時に、原料の組成を決定するために提供されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項6】
上記リアクター原料の解析はまた、酸素化成分の濃度の測定を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項7】
上記原料の水分量は、プロセスの後期の段階よりプロセスの初期の段階において、増大するようにコントロールされることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項8】
上記変換生成物は未反応オレフィンおよび希釈剤(存在する場合)から分離されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項9】
上記未反応オレフィンおよび/または希釈剤(存在する場合)は上記リアクターへリサイクルされることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
上記変換はチューブ状リアクター中で行われることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項11】
上記変換はチャンバー・リアクター中で行われることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項12】
上記変換はオリゴマー化であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項13】
上記変換生成物は30℃〜310℃の沸点範囲にあるC5〜C20のオレフィンを含むことを特徴とする、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
C3およびC4オレフィンの混合物のオリゴマー化を含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の製造方法。
【請求項15】
C6〜C15のオレフィンを生成するために、エチレン、プロピレン、ブテンおよび/またはアミレンのオリゴマー化を含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の製造方法。
【請求項16】
上記変換生成物は後続反応における使用のために精製されることを特徴とする、請求項12〜15のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項17】
上記変換生成物は脱硫されることを特徴とする、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
上記変換はアルキル化であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項19】
上記触媒はゼオライト触媒を含むことを特徴とする、請求項1〜18のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項20】
上記変換温度は110℃〜310℃であることを特徴とする、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
上記触媒は固体リン酸を含むことを特徴とする、請求項1〜18のいずれかの項に記載の製造方法。
【請求項22】
上記変換温度は200℃〜300℃であることを特徴とする、請求項21に記載の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−514702(P2007−514702A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544376(P2006−544376)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014475
【国際公開番号】WO2005/058777
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】