説明

計量装置の較正

測定プローブ(8)を、支持体が支持している対象物の表面に沿って測定経路を横断させるために、第1の方向(X)に支持体(4)と測定プローブ(8)のキャリッジ(7)との間で相対移動を行うドライバ(33)を有する計量装置。測定プローブ(8)は、表面特性を追従する場合に第1の方向を横切る第2の方向(Z)に移動する。第1および第2の位置トランスジューサ(35,32)は、それぞれ第1および第2の方向の測定プローブの位置を表す第1および第2の位置データを提供する。較正装置(300)は、既知の形状の表面上で入手した測定データを使用して較正手順を実行する。較正装置は、基準面の既知の形状を補正後の測定データとして使用することにより、補正後の測定データおよび実際の測定データに関する式の較正係数を決定する。較正装置は、少なくとも1つの式がデータに適合するまで、チェビシェフ点に対する較正係数を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に関し、特に、形状、すなわち表面の全体の形状、および表面のテクスチャまたは粗さのような表面特性を計測することができる計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような計量装置は、例えば、作業片の表面を横切るスタイラスのような測定プローブ、および表面の特性に応じて測定プローブの動きに依存する信号を発生する位置変換器(トランスジューサ)を含む。表面のテクスチャおよび粗さの測定には高い分解能を必要とし、一方、形状の測定には、比較的長い距離にわたる測定プローブの移動が必要である。
【0003】
位置トランスジューサが優れた線形性で出力を提供する範囲は、計量装置に必要な測定範囲より狭い場合がある。種々の理由から、出力の線形性は、使用するトランスジューサの正確さに従って変化する。例えば、測定プローブが枢動可能に装着されているスタイラスである場合には、スタイラスの動きは弓状の経路に沿ったものとなり、測定中の表面の面に正確に垂直にはならない。スタイラス・タイプの測定プローブの場合には、さらなる誤差はスタイラス・チップのサイズが有限であることに起因する場合がある。また、トランスジューサは非線形な応答を有することもある。例えば、トランスジューサが線形可変差動トランスジューサ(LVDT)を備えている場合には、コアとLVDTのコイルとの間の結合、特に測定範囲の端で非線形性の変化が起こる恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記諸要因は、計量装置の較正が必要であることを意味する。
【0005】
米国特許第5150314号には、通常は球である既知の形状の基準対象物の面上の測定経路に沿って、第1の方向(ある実施形態では、X方向)に測定プローブを横方向に移動し、その結果、測定プローブが、測定経路に沿った複数の各測定点のところで、それぞれ第1および第2の方向の測定プローブの位置を表す第1および第2の位置データを含む測定データを入手するために、第1の方向を横切る第2の方向(ある実施形態では、Z方向)の表面の変化に追従し、次に、トランスジューサの測定範囲を較正するための較正補正または係数を入手するために最小二乗適合手順を使用する第1および第2の位置データのための各多項展開を使用する球の既知の形状に測定データを適合することによる計量装置を較正する方法が記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ある態様においては、測定データの補正を可能にするために、較正手順を実行するために動作することができる制御手段を有する計量装置を提供する。制御手段は、基準面と測定プローブの間で相対移動を行うことにより、既知の形状の基準面上の較正測定経路に沿った測定点のところで行った測定値を含む較正測定データを受信し、少なくとも1つの式がデータへの適合を提供するまで、較正測定データ内に離間して位置し、測定点の数より少ない較正点に対する較正係数を変化させ、それにより少なくとも1つの式で決定した較正係数を使用して、補正後の測定データを入手することができるようにすることにより、基準面の既知の形状が表す補正後の測定データと較正測定データの間の関係を表す少なくとも1つの式の較正係数を決定するために動作することができる。
【0007】
決定した較正係数は、それを使用して少なくとも1つの式を適用することにより以降の測定データを補正することができるように格納することができる。他の可能な方法としては、トランスジューサの範囲に対する補正後の測定データを、較正手順中に決定することができ、測定データ値を補正データ値に関連付けるルックアップ・テーブルを制御手段により格納することができ、それにより以降の測定動作が行われた場合、結果として得られる測定データをルックアップ・テーブル内の対応する補正後の測定データ値を参照することにより補正することができる。
【0008】
測定データ内の離間した較正点に対する較正係数を調整または変更することにより少なくとも1つの式を適合することは、同じ数の較正係数を使用する多項展開アルゴリズムを使用するよりももっと安定している。離間した較正点は、適合するデータ点の数が増大するにつれて、特に較正範囲の端で誤差が指数的に増大する現象(ルンゲ現象と呼ばれる)を回避するように選択することができる。これによりもっと広い測定範囲で較正を行うことができる。
【0009】
ある実施形態では、適合手順は、例えば、2004年発行の「Society for Industrial and Applied Mathematics(SIAM)Review」 Volume46、No.IIIの第501〜517頁に掲載のJean−Paul BerrutおよびLloyd N.Trefethenによる「重心ラグランジュ補間(Barycentric Lagrange Interpolation)」という名称の論文が記述しているように、重心適合手順を含む。
【0010】
ある実施形態では、特定の間隔離間した点はチェビシェフ点であり、ある例では、上記論文の第506頁に記載の第2のタイプのチェビシェフ点を使用している。しかし、上記論文に記載されている4つのタイプのチェビシェフ点のどれでも使用することができる。
【0011】
ある実施形態では、適合手順は下記の重心ラグランジュ多項式を使用する。
【0012】
【数1】


但し、XおよびZは、それぞれ第1および第2の方向であり、Zcmは、m番目の測定点に対する補正し較正したZデータであり、ここで、mは1,2,...,Mであり、Mは測定点の全数であり、Zはm番目の測定点のZ座標であり、BZはj番目のチェビシェフ点のZ座標に対する較正係数であり、Zはj番目のチェビシェフ点のZ座標であり、Xcmはm番目の測定点に対する補正され較正されたXデータであり、Xはm番目の測定点のX座標であり、BXはj番目のチェビシェフ点のX座標に対する較正係数であり、wはj番目のチェビシェフ点に対する重心加重であり、N+1はチェビシェフ点の数である。
【0013】
ある実施形態では、チェビシェフ点のうちの1つに対する較正係数は一定である。一般的に、計算を容易に行うために、チェビシェフ点は奇数であり、中央のチェビシェフ点に対する較正係数は、計算を容易にするためにゼロに設定される。奇数の較正点を使用すると計算は容易になるが、偶数のチェビシェフ点も使用することができる。その場合、固定チェビシェフ点は、通常、測定データ内の中央の測定点の両側の2つのチェビシェフ点の一方である。
【0014】
ある実施形態では、チェビシェフ点の数N+1は5である。しかし、較正する測定範囲の広さによりもっと多くのチェビシェフ点を使用することもできる。
【0015】
ある実施形態では、チェビシェフ点は第2のタイプのチェビシェフ点であり、これらの点のZ座標は、z=ZT.cos(nπ/N)である。但し、nは1,2,...,Nであり、ZTは測定プローブの全測定範囲であり、加重wはw=(−1)δである。ここで、δは、j=0またはNに対して1/2であり、それ以外は1である。較正点に対する較正係数が(例えば、中央固定点に対して)ゼロに設定されている場合には、他のオプションとしては、その点に対する加重を較正係数ではなくゼロに設定することができることに留意されたい。
【0016】
較正測定経路が円の弧である実施形態では、例えば、既知の形状の基準対象物が球である場合には適合手順は、許容範囲t(平方距離を表す)が所定の値、
=R−(Xci−A)−(Zci−B)
になる時点を決定することにより数2を最小にする。
【0017】
【数2】

ここで、XciおよびZciは、i番目の測定点に対する補正後の座標データの現在値であり、Mは上記のような測定点の全数であり、AおよびBは、円の中心、すなわち基準面が球である既知の形状の中心に対する現在値である。
【0018】
ある実施形態では、最小二乗適合手順は、ガウス−ニュートン適合手順のような非線形最小二乗適合手順である。Givensの最小二乗ルーチンを使用することができる。
【0019】
以下に添付図面を参照して本発明の実施形態について説明するが、これは単に例示に過ぎない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、表面の特性、特に表面形状およびテクスチャまたは粗さのうちの少なくとも1つを測定するための計量装置1の概略斜視図である。
【0021】
計量装置は、英国レスターのTaylor Hobson社の計量装置のForm Talysurfシリーズをベースとするものであってもよい。
【0022】
この実施形態では、計量装置1は、作業台つまりデスク100上に設置するように設計された基部2を有する。作業片支持体3は基部2に装着され、作業片支持プラットフォーム4を載せている。この作業片支持プラットフォーム4は、モータ駆動のボールスクリュー装置(図1に図示せず)により、Y方向(すなわち、図1の紙面内に)支持体3に対して固定することもできるし、可動式にすることもできる。
【0023】
基部2は、垂直またはZ軸基準面を定めるコラム5も載せている。コラム・キャリッジ6は、Z方向(すなわち、コラムの上下)に移動することができるように、コラム5に装着されている。この実施形態では、Z方向のコラム・キャリッジ6の移動は、モータ駆動のリードスクリュー駆動装置(図1に図示せず)により行われる。しかし、任意の適当な形の駆動機構を使用することもでき、ある例の場合には、コラム・キャリッジを手動で動かすこともできる。
【0024】
コラム・キャリッジ6は、コラム・キャリッジ6に対して図1のX方向に移動することができる測定プローブ・キャリッジ7を載せている。この実施形態では、測定プローブ・キャリッジ7は、コラム・キャリッジ6内に装着されているX軸基準バーに沿ってスライドできるように装着されていて、モータ駆動のプーリ駆動装置(図1に図示せず)または他の適切な形式の駆動機構により、X方向にX軸基準バーに沿って押されるかまたは引っ張られる。
【0025】
測定プローブ・キャリッジ7は、ピボット点8d(図1に図示していないので、図4または図5参照)を中心にして回転することができるスタイラス・アーム8aを含むスタイラスを備えている測定プローブ8を備え、またその自由端に、スタイラス・チップ8bが測定する表面と接触するように配置されている。それにより測定プローブ8が測定する面を横切ってX方向に移動すると、スタイラス・アーム8aは回転して、スタイラス・チップ8bはZ方向の面の変化に追従することができるようになる。
【0026】
基部2上に装着されている計量装置の構成要素は、計量装置1の計測システム1aを形成する。計量装置1は、また測定システム1aによる測定動作を制御し、測定システム1aから受信したデータを処理するデータ取得、処理および制御システム(DAPCS)9を有する。DAPCS9は、図2のところでさらに詳細に説明するように、マスタ・コントローラ11を介して測定システム1aに対してインタフェースとして機能する計算装置10(パーソナル・コンピュータ、ワーク・ステーション等の形をしている)からなる。
【0027】
図2に示すように、計算装置10は、プロセッサ・ユニット12(本質的に、1つまたは複数のプロセッサ13およびROM14およびRAM15のような関連メモリからなる)と、ハード・ディスク・ドライブ16と、フロッピー(登録商標)・ディスクと、CD−ROM、DVD等のような着脱可能な媒体(RM)を収容するための着脱可能な媒体ドライブ(RMD)17のような大容量記憶装置と、図1に示すマウスのようなポインティング・デバイス18またはデジタル化タブレットと、および情報をユーザに表示するためのディスプレイ19とを備える。
【0028】
計算装置10は、また、データおよび/または制御命令等のキー入力を可能にするためのキーボード20と、情報をプリント・アウトすることができるプリンタ21を有することもできる。
【0029】
計算装置10は、また、直接、またはインターネット、イントラネット、WAN(ワイド・エリア・ネットワーク)またはLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)接続を介して、例えば他の計算装置と接続することができる通信装置(COMM)22を有することもできる。通信装置22は、有線または無線リンク(例えば、赤外線または無線周波数リンクなど)を提供することができ、接続がネットワークを通して行われる場合には、必要に応じてMODEMおよび/またはネットワーク・カードを備えることができる。
【0030】
計算装置10は、通常、ユーザ入力のためのものであり、測定結果を処理し、表示するためのものである。計算装置10は、適当なインタフェース(通常は、SDLC(同期データ・リンク制御)直列インタフェースである)23を介して、測定システム1aによる測定動作の実行を制御するマスタ・コントローラ11と結合している。この実施形態では、マスタ・コントローラ11は、マイクロプロセッサ24と、RAM25およびROM26(図の例の場合には、EPROM)とを備え、例えば、測定プローブ8の最初のユーザ位置決め、および/またはZ方向のコラム・キャリッジ6の位置決めの場合に使用することができるユーザが動作することができるジョイスティック27と結合している。
【0031】
マスタ・コントローラ11は、X軸駆動回路30、Z軸駆動回路31、およびZ位置トランスジューサ32と結合している。
【0032】
X軸駆動回路30は、すでに説明したように、(図1または図2には図示せず)X軸基準バーに沿ってプローブ・キャリッジ7を移動する目的で、モータ34を駆動するためのマイクロプロセッサ24から制御命令を受信するためのモータ・ドライバ33を備える。X軸駆動回路30は、マイクロプロセッサ24が、Z位置決めトランスジューサ32からのデータのロギングが行われるX位置を決定することができるようにするために、マイクロプロセッサ24へX位置データを提供するためのX位置トランスジューサ35を含む。X位置トランスジューサ35は、また、Xモータ・ドライバ33に局所フィードバック制御を提供することができる。任意の適当な形のX位置トランスジューサ35を使用することができる。例えば、回折格子光学干渉計を使用することができる。
【0033】
図2には示していないが、計量装置がY方向にプラットフォーム4を移動することができる場合には、どれを直列リンク(SDLC)および運動制御装置を介して計算装置10により制御するのかがY軸駆動回路に通知される。このようなY軸駆動回路は、通常、計算装置10からの制御信号に従ってY方向に(ボールおよびスクリュー駆動機構のような適当な形の駆動機構を介して)プラットフォーム4を駆動するために、モータを駆動するための(運動制御装置を介して)計算装置10から駆動命令を受信するためのモータ・ドライバを備える。このようなY軸駆動回路は、また、モータ・ドライバに局所フィードバック制御を提供するためのY位置トランスジューサを含むこともできる。
【0034】
Z軸駆動回路31は、Zモータ・ドライバ36にコラム・キャリッジ6および局所フィードバック情報を提供するためのZ駆動トランスジューサ38を移動するために、Zモータ37を駆動するためのマイクロプロセッサ24からの制御命令を受信するためのZモータ・ドライバ36を備える。
【0035】
モータは、例えば、リニア・ステッピング・モータであってもよいが、任意の適切な形のモータも使用することができる。
【0036】
Z位置トランスジューサ32は、干渉位置トランスジューサのような光学位置トランスジューサ、またはLVDT(線形可変差動トランスジューサ)のような誘導位置トランスジューサなどの任意の適当な形の位置トランスジューサであってもよい。
【0037】
図3は、干渉計40、分析装置50およびカウンタ/補間回路60からなる干渉Z位置トランスジューサの一例の機能ブロック図である。干渉計40および分析装置50は、レーザのような光源41と、光源からの光を対応する基準経路および測定経路に沿って向けられる基準ビームおよび測定ビームに分割するためのビーム・スプリッタ(B/S)42と、光を基準経路に沿って元の方向にビーム・スプリッタ42に反射し、そこでスタイラス・チップ8bから離れているスタイラス・アーム8aの端部8cに装着されている測定コーナ・キューブの形をしている測定素子44、または他の逆行反射器により測定経路に沿ってもとの方向に反射された光と再結合し、干渉する干渉計内に装着された基準コーナ・キューブまたは他の反射器43とを有する欧州特許出願公開EP−A−0036251(全文を参照により本明細書に組み込むものとする)に記載されている偏光干渉計を提供することができる。
【0038】
再結合した光は、欧州特許出願公開第EP−A−0036251号に記載されているように、その再結合した光は異なる偏光成分に分割するビーム・スプリッタ45、46、47を有する分析装置50に供給され、その異なる偏光成分は4つのフォト検出装置48、49、51、52のそれぞれに入射し、直交信号を提供する。ビーム・スプリッタ42、45、46、47の代わりに、米国特許第5517307号に記載されているような一体型ビーム分割プリズムを使用することもできる。この米国特許第5517307号の全文を参照により本明細書に組み込むものとする。
【0039】
別の方法としては、干渉計40および分析装置50は、米国特許第5517307号に記載されている形のものであってもよい。この場合、コーナ・キューブの代わりに、例えば、米国特許第5517307号の図7に示すように、その曲率中心がピボット点8aと一致する湾曲した格子を使用することができる。
【0040】
直交信号は、スタイラス8が測定中の表面を追従している場合に、Z方向のスタイラス・チップ8bの移動を示すZ位置データを表す信号を供給するために、米国特許第5517307号に記載されているように動作するカウンタ/補間回路60に入力を供給する差動アンプ53および54のペアで送られる。マスタ・コントローラ11のマイクロプロセッサ24は、これらZ位置データ信号を、X軸駆動回路30のXトランスジューサ35から受信したX位置データ信号が決定した等間隔のX座標のところにログをとる。そのため、スタイラス8が表面を横切って測定経路を移動した場合、マスタ・コントローラ11は、Xおよび対応するZ座標データ、X、Zのペアを含む一組の測定データを有する。ここで、kはk番目の測定点である。
【0041】
すでに説明したように、他の形の光学位置トランスジューサも使用することができ、光学干渉計以外の測定トランスジューサを使用することもできる。それ故、例えば、測定トランスジューサは、測定素子がスタイラス・アーム8の非スタイラス・チップ端部8cが備えるコイルおよびコアのうちの1つであり、スタイラス・アーム8の枢動動作がコイルおよびコアの相対位置を変えるLVDT(線形可変差動トランスジューサ)を備えることができる。
【0042】
図4は、LVDT Z位置トランスジューサ32bの一例の機能図である。このタイプのZ位置トランスジューサは、詳細に参照されたい米国特許第5150314号に記載されている計量装置で使用される。米国特許第5150314号の全文を参照により本明細書に組み込むものとする。
【0043】
図4のZ位置トランスジューサは、スタイラス・アーム8aの非スタイラス・チップ端部8cに取り付けられる磁気コア70の形をしている測定素子を備える。コア70に磁気的に結合しているコイル71、72は、73のところでセンタータップされていて、ブリッジ回路の2つのアームを形成しており、他の2つのアームは、等しい抵抗値の抵抗器74および75から構成される。基準発振器76は、ブリッジ回路に基準振動を供給し、コア70が中心位置にある場合には、コイル72および73のインピーダンスが等しくなり、センター・タップ73と、抵抗器74と75の間の他のセンター・タップ77との間の電圧差がゼロになるようになっている。コア70がある方向に移動すると、コア70が移動する距離により異なる振幅を有する同相正弦波電圧がタップ73と77の間に現れる。コア70が中心位置から反対方向に移動すると、コア70が移動した距離により異なる振幅を有する反対位相の位相のずれた電圧がタップ73と77の間に現れる。タップ73および77は、また、もう1つの入力端子81および82上の発振器76から基準信号を受信するアナログ−デジタル・トラッキング・コンバータ80の入力端子78および79にゲージ信号を供給するために接続している。アナログ−デジタル・トラッキング・コンバータ80は、Xトランスジューサ35が提供するX位置データにより決定されたX座標データ・ロギング信号に従って、マスタ・コントローラ・マイクロプロセッサ24によりサンプリングを行うために、タップ73と77の間の電圧の振幅を表すデジタル信号を出力する。
【0044】
位置トランスジューサが優れた線形性で出力を提供する範囲は、計量装置の必要な測定範囲よりも狭い場合があり、位置トランスジューサは、その範囲の少なくとも一部のところに非線形応答を有する場合がある。例えば、LVDTトランスジューサを使用する場合には、コアとコイルの間の結合の非線形性の変化は、測定範囲の端のところで起こる場合があり、一方、Z位置トランスジューサは、図3のタイプの光学トランスジューサであり、スタイラス・アームの枢動動作は、測定経路長および方向に影響を与える場合がある。非線形性は、また、米国特許第5517307号に記載されている計量装置の位置トランスジューサ内で発生する場合があり、特に湾曲格子位置トランスジューサの範囲の端のところで発生する場合がある。
【0045】
同様に、この例の場合、測定プローブが、枢動可能に装着されているということは、スタイラス・チップ8bが弓状の経路に沿って移動し、測定中の表面の面に正確に垂直でないということを意味する。図5は、この弓状の移動の略図である。この図においては、湾曲しているライン200は、スタイラス・チップ8bが横切っている(この例の場合には、基準球体の表面である)対象物の表面を表す。参照番号90で表す構成要素は、(米国特許第5517307号に記載されている光学Z位置トランスジューサの場合には、湾曲格子であり、図3の光学Z位置トランスジューサの場合には、コーナ・キューブ84であり、または図4の誘導型トランスジューサの場合には、コイルおよびコアの一方である)Z位置トランスジューサの測定素子であり、参照番号502および506は、測定経路または横移動の端部を示し、参照記号ZRは、測定またはZ方向の位置トランスジューサの有効範囲を示す。
【0046】
図5は、スタイラス・アーム8aの2つの位置を示す。極細線で示す位置は、スタイラス・アーム8aが効果的に水平になっている場合を示し、実線は、スタイラス・チップ8bが測定範囲の一方の端部502に接触するように、スタイラス・アーム8aが枢動した場合の位置である。図5を見れば分かるように、スタイラス・チップ8bの弓状の移動は、スタイラス・アーム8aが枢動すると、スタイラス・チップ8bのX位置を、X位置がZと共に変化するように、スタイラス・アーム8aが枢動した角度に従って変化させる。
【0047】
スタイラス・タイプの測定プローブの場合には、スタイラス・チップ8bの有限サイズである、測定プローブの有限サイズにより他の誤差が発生する場合がある。
【0048】
トランスジューサの非線形性、スタイラス・チップ8bの有限サイズ、およびスタイラス・アーム8aの枢動の効果は、測定動作中に入手したXおよびZ位置データが、必ずしも、スタイラス・チップ8bの実際のXおよびZ位置を正確に反映していないことを意味する。
【0049】
これらの誤差を補償するために、計量装置1は、測定プローブの有効な測定範囲ZRに対するXおよびZ位置データを補正するための較正係数を入手する較正手順を実行するために、プロセッサが実施可能な命令および/またはデータにより構成される。
【0050】
マスタ・コントローラ11のマイクロプロセッサ24は、通常、EPROM26を予めプログラミングすることにより、提供されるプロセッサが実施可能な命令および/またはデータによりプログラムされる。代替的にまたは追加的に、マスタ・コントローラ11のマイクロプロセッサ24を、シリアル・データ・リンクを介して計算装置10から提供されるプロセッサが実施可能な命令および/またはデータによりプログラムすることができる。
【0051】
計算装置10のプロセッサ13をプログラムするための、および/またはマイクロプロセッサ24をプログラムするためにマスタ・コントローラ11に供給するためのプロセッサが実施可能な命令は、ROM14内に予め格納したもの、大容量記憶装置16内に格納したもの、通信装置22を介して信号Sとしてダウンロードしたもの、例えば、キーボードおよび/またはポインティング・デバイスを介してユーザ入力により供給されたもののうちの1つにより提供することができる。
【0052】
図6は、例えば、図1および図2の計量装置のような計量装置が、XおよびZ位置データを補正するための較正補正または係数を入手する較正手順を実行するために、プロセッサが実施可能な命令によりプログラムまたは構成される場合に提供される機能を説明するための機能ブロック図である。
【0053】
図6に示すように、計量装置1が、較正手順を実行するために、プロセッサが実施可能な命令によりプログラムされるか構成される場合に、計量装置1は、あるものは装置の機械的および/または電気的構成要素が提供する機能を表すことができ、あるものはプログラミングにより提供される機能を表すことができ、あるものは機械的および/または電気的構成要素およびプログラミングの組合せにより提供される機能を表すことができる多数の機能ユニットからなるものであると見なすことができる。それ故、図6の機能ユニットは、必ずしも、計量装置の特定のハードウェアまたはソフトウェア構成要素または素子に対応するものではない。例えば、ソフトウェアの場合には、プログラミングは、図6の個々のユニットをソフトウェア内で識別することができるようになっていない。それ故、図1〜図4の参照番号以外の参照番号を図6で使用した。
【0054】
図6に示すように、機能ユニットは、測定する対象物RSを収容するための支持体300(図1の例の場合には、作業片支持体3およびプラットフォーム4)を備える。搬送装置307(図1の例の場合には、測定プローブ・キャリッジ7)は、測定プローブ800(図1の例の場合には、スタイラス8)備えているので、測定プローブは、搬送装置307に対して移動することができ、移動装置400(図2の例の場合には、Xモータ・ドライバ33およびXモータ34)は、搬送装置307が保持している測定プローブ800を、支持体300により支持されている対象物RSの表面に沿って測定経路を横断させるために、第1の方向、すなわち、図1の例の場合には、X方向に支持体300と搬送装置307の間で相対移動を行うために動作することができる。そのため、測定プローブ800は、測定経路に沿って表面特性に追従している場合に、第1の方向を横切る第2の方向、すなわち図1の例の場合にはZ方向に移動する。
【0055】
第1の位置トランスジューサ308(図1の例の場合には、X位置トランスジューサ35)は、第1の方向の測定プローブ800の位置を表す第1の位置データを提供するために、支持体300と搬送装置307との間の相対移動に応答する。第2の位置トランスジューサ309(図1の例の場合には、Z位置トランスジューサ32)は、第2の方向の測定プローブ800の位置を表す第2の位置データを提供するために、測定プローブ800が備える測定素子90の動きを検出することにより決定した第2の方向の測定プローブの動きに応答する。図の例の場合には、第2の位置トランスジューサ309は、米国特許第5517307号に記載されている形をしていて、測定素子90は、その曲率中心がピボット点800dと一致する湾曲格子である。しかし、上記の任意のZ位置トランスジューサを使用することができる。
【0056】
測定データ入手装置305(マスタ・コントローラ11のマイクロプロセッサ24のプログラミングによる上記例内に位置する)は、第1および第2のトランスジューサ308および309から、測定経路に沿っている複数の各測定点に対する第1および第2の位置データを備える測定データを入手するために動作することができ、表面特徴付け装置(surface characteriser)306(計算装置10のプロセッサ13のプログラミングによる上記例内に示す)は、少なくとも1つの測定データにより入手した測定データを使用する表面の表面特性を決定するために動作することができる。
【0057】
較正装置300(計算装置10のプロセッサ13のプログラミングによる上記例内に示す)は、較正手順を実行するために動作することができる。
【0058】
図6に示すように、較正装置300は、測定経路を横断中に、測定プローブ800が測定プローブの全測定範囲ZTの少なくともかなりの部分を通って移動するように、搬送装置307が備える測定プローブ800を基準対象物RSの表面上の較正測定経路を横断させるために、移動装置400を制御することにより、測定データ入手装置305に、基準対象物RSの既知の表面の形を表す較正測定データを入手させるために動作することができるコントローラ301を備える。
【0059】
較正装置は、また、補正後の測定データを決定するために基準面の既知の形を使用することにより、また少なくとも1つの式がデータへの適合を行うまで、較正測定データ内の離間したおよび測定点より数が少ない較正点に対する較正係数を変化することにより補正後の測定データと較正測定データの間の関係を表す少なくとも1つの式の較正係数を決定するために動作することができるデータ適合装置303を有する。この例の場合、データ適合装置303は、第1および第2の位置データに対する各式に対する較正係数を決定するために動作することができる。データ記憶装置302は、較正補正データを格納するためのものである。この例の場合、データ記憶装置302は、決定した較正係数を格納するので、決定した較正係数を使用して少なくとも1つの式を適用することにより以降の測定データを補正することができる。
【0060】
較正装置は、また、その表面特性(形およびテクスチャ/粗さのうちの少なくとも1つ)がデータ記憶装置302が格納しているデータにより決定される、作業片の表面上の測定経路上の横断を含む測定動作中に入手した測定データを補正するために動作することができる測定データ補正装置304を有する。
【0061】
この例の場合、測定データ304は、データ適合装置303により決定した決定較正係数を組み込む少なくとも1つの式を使用して、補正データを計算することにより、測定データの生成中、または測定動作の終了の後で、測定データを補正するために動作することができきる。
【0062】
代替的に、測定データ補正装置304は、較正係数を決定した後で、位置トランスジューサの測定範囲の少なくともかなりの部分に対する補正測定データ値を入手するために、位置トランスジューサ範囲内の各可能な測定位置を対応する補正後の測定データに関連付けるルックアップ・テーブルをデータ記憶装置302内に格納するために動作することができる。この場合、以降の測定動作を実行した場合、測定データ補正装置304は、ルックアップ・テーブル内の対応する補正測定データを参照することにより、測定データを補正するために動作することができる。
【0063】
基準本体RSが、正確に分かっている半径の基準球体であるプログラムされた計量装置が実行する較正手順の一例について、図7〜図9を参照しながら以下に説明する。
【0064】
この較正手順は、基準球体RS上の大きな円の測定経路上の横断により測定データを入手するための第1の動作と、この測定データから較正補正または係数を決定するための第2の動作からなる。
【0065】
基準球体RS上の大きな円の測定経路上で測定データを入手するための第1の動作について、図7の流れ図を参照しながら以下に説明する。
【0066】
最初に、もちろん、ユーザは、通常の方法で支持プラットフォーム4の上に基準球体RSを装着しなければならないし、次に、ジョイスティック27によりスタイラス・チップの位置を手動で大体調整しなければならない。
【0067】
計量装置1は、通常、ユーザにこの較正手順の場合にユーザを助けるためにディスプレイ19上にグラフィカル・ユーザ・インタフェースを提供する。
【0068】
ユーザが、較正手順を開始するように、(キーボード20および/またはポインティング・デバイス18により)グラフィカル・ユーザ・インタフェースを介して計量装置に命令すると、図7のS1のところで、計算装置のプロセッサ13のプログラミングにより提供されるコントローラ301の機能は、Xモータ・ドライバ33にスタイラス・チップ8bが、基準対象物面RS上をX方向に設定経路を横断するように、X方向に測定プローブ・キャリッジ7を駆動させるために、シリアル・データ・リンクを介してマスタ・コントローラ11に命令する。
【0069】
すでに説明したように、スタイラスが基準対象物を横切って設定経路を横断すると、Z位置トランスジューサ32は、X位置のところでマスタ・コントローラ11によりログがとられるZ位置データ、またはXトランスジューサ35により提供されたX位置データに従って決定した座標ロギング間隔を提供する。それ故、設定経路上の横断の終わりのところで、マスタ・コントローラ11は、X方向の等間隔の一連の測定位置に対するログをとったZ座標データを有する。
【0070】
S2のところで、計算装置10のプロセッサ13は、基準球体の最高点である頂上または頂部を決定するために、既知の頂点発見ルーチン(cresting routine)(Form Talysurf PG1シリーズの計量装置を含む現在のForm Talysurfシリーズの計量装置により入手することができる)を実行する。
【0071】
次に、S3のところで、マスタ・コントローラ11は、計算装置10の制御の下で、基準球体の頂点を測定プローブの最大Z範囲ZTの90%を表すZ位置に持っていくために、Zモータ・ディスプレイ36にZモータを駆動させる。
【0072】
S4のところで、マスタ・コントローラ11は、計算装置10の制御の下で、Z位置データまたはスタイラス・チップ8bのZ位置を表す座標値が最大Z範囲ZTの10%を表すまで、スタイラスを基準対象物RS上の大きな円経路を横断させる目的で、Xモータ・ドライバ33にZ方向に測定プローブ・キャリッジ7を駆動させる。Z座標値が、この例の場合、全または最大Z範囲ZTの10%を表すX位置は、測定プロセスに対する開始点、すなわち図5の位置502を表す。
【0073】
次に、S5のところで、スタイラスをX開始位置502から、頂点を通してZ座標値が、全または最大Z測定範囲ZTの10%を再度表す頂点の他の側面上の位置、すなわち図5のX終了位置506へ大きな円測定経路を横断させる目的で、マスタ・コントローラ11は、Xモータ・ドライバ33に測定プローブ・キャリッジ7を駆動させる。全測定範囲ZTの10〜90%の部分は、この例における有効測定範囲ZRである。すなわち、較正が行われる測定範囲である。スタイラスが、X開始位置502とX終了位置506間のこの較正測定経路を横断すると、マスタ・コントローラ11は、等間隔のX位置またはXトランスジューサ35がマスタ・コントローラ11に提供したX位置データまたは座標値から、マスタ・コントローラ11が識別した測定点のところのスタイラス・チップ8bのZ位置を表すZ位置データまたは座標値のログをとる。
【0074】
それ故、図7のプロセスの終わりのところで、マスタ・コントローラ11は、X方向の等間隔の一組の測定点に対するZ位置データまたは座標値のログをすでにとっている。通常、Z座標データは、0.25ミクロンの間隔でログがとられ、測定経路の長さは80ミリメートルであるので、測定点の数は320000である。通常、高速較正手順を行うためにすべての入手したデータを使用することができるが、較正のために使用する測定データ(「較正測定データ」)は、入手した測定データを通して等間隔の8000点を含む。すなわち、40番目の各測定点が較正のために使用される。
【0075】
較正測定データを入手した場合には、計算装置10は、自動的にまたはユーザの制御の下で、図8および図9を参照しながら以下に説明する較正手順を実行する。
【0076】
それ故、較正手順を(自動的にまたはユーザにより)開始すると、図8のS10のところで、プロセッサ13のプログラミングにより提供されたコントローラ301の機能は、マスタ・コントローラ11から、較正測定データ、すなわち、大きな円の較正測定経路に沿ってX方向に等間隔の一組の測定点に対するZ座標データを入手する。この例の場合には、以降の較正手順を容易にするために、較正測定経路の頂点がX=0、Z=0のところになるように測定データが処理される。
【0077】
次に、S11のところで、プロセッサ13のプログラミングにより提供されたコントローラ301の機能は、測定プローブ8の最大または全範囲ZTを表す測定範囲データ、基準球体RSの半径を表す基準半径データ、スタイラス・チップ8bの半径を表すスタイラス・チップ半径データを入手し、基準半径にスタイラス・チップ半径を加算したものとしての実効測定球体半径を設定する。
【0078】
測定範囲ZT、基準半径およびスタイラス・チップ半径データは、異なる半径のスタイラス・チップを異なる半径の基準球体のように使用することができるようにするために、ディスプレイ19上に表示されるプロンプトに応じてユーザが提供することができる。もちろん、測定範囲ZT、スタイラス・チップ半径および基準球体のうちの少なくとも1つを固定した場合には、対応するデータを計算装置10により予め格納することができる。スタイラス半径および基準球体の両方を固定した場合には、S11が測定範囲ZTおよび実効測定球体半径データだけを入手するように実効測定球体半径を予め格納することができる。
【0079】
次に、S12のところで、プロセッサ13のプログラミングにより提供されたコントローラ301の機能は、必要な許容範囲t、すなわち較正手順の終点を決定する許容範囲を設定する。この場合も、この許容範囲は、グラフィカル・ユーザ・インタフェース上のプロンプトに応じてユーザにより提供することができる。代替的に、必要な許容範囲を、計算装置またはマスタ・コントローラにより予め格納することができ、メモリから許容範囲データを読み出すプロセッサ13により単に決定することができる。この例の場合、許容範囲は1×10−9に設定されるが、もっと狭く設定することもできる。例えば、0.1ナノメートルよりも小さく表示することができる。
【0080】
S13のところで、データ適合装置303は、一組のN+1個の各較正点に対するZ座標または位置Zを決定する。この場合、較正点の数は較正測定データ内の測定点の数より少ない。
【0081】
この実施形態の場合には、一組のN+1較正点は、BerrutおよびTrefethenの上記論文に記載されているように第2のタイプのチェビシェフ点であり、一組の各較正点に対するZ座標または位置Zは、下式により決定される。
【0082】
=ZT.cos(nπ/N)(但し、nは、0,1,...,N)
ここで、ZTは、測定プローブの全または最大Z測定範囲であり、すでに説明したように、計算装置のメモリから、またはこのデータを入力するようにユーザ・インタフェースによりプロンプトされているユーザの結果としてS11のところで入手される。
【0083】
Z位置プローブが、Taylor Hobson社製のForm Talysurf PG1シリーズの計量装置で使用している米国特許第5517307号に記載されているタイプであり、12ミリメートルの測定範囲(スタイラス・アームの長さが60ミリメートルである)を有する例の場合には、Nは4であり、そのため、図9に示すように、5つの較正点C1、C2、C3、C4、およびC5は、座標(x1,z1)、(x2,z2)、(x3,z3)、(x4,z4)、および(x5,z5)のところに位置し、中心較正点は、X=0、Z=0のところに固定され、他の4つの較正点C1、C2、C4、およびC5は、第2のタイプのチェビシェフ点として、Z=ZT、√2ZT、−√2ZT、および−ZTのところに位置する。この場合、基準球体の頂点方向への移動は、正のZ方向の移動と見なされ、頂点から遠ざかる方向への移動は、負のZ方向への移動と見なされる。
【0084】
較正点の数は5より多くてもよいが、いつでも較正測定データ内の測定点の数Mよりもかなり少ない。通常、較正点の数は、測定範囲とともに増大する較正点の数で較正される測定範囲の広さにより異なる。
【0085】
S14のところで、プロセッサ13のプログラミングにより提供されたデータ適合装置303の機能は、一組のN+1の各較正点C1〜C5に対する加重係数wの各値を決定する。BerrutおよびTrefethenの上記論文から、重心加重係数wは、使用しているチェビシェフ点のタイプより決定される。この例の場合には、較正点が第2のタイプのチェビシェフ点であるので、加重係数wは下式により表される。
【0086】
=(−1)δ(但し、δは、j=0またはNに対して1/2であり、それ以外は、1である)
S15のところで、プロセッサ13のプログラミングにより提供されたデータ適合装置303の機能は、下式により大きな円の測定経路の中心(a,b)に対する初期値を計算する。
【0087】
【数3】


ここで、Z1は、M個の測定点のうちの第1の測定点に対するZ測定位置データまたは座標値であり、Z2は、M個の測定点のうちの中央または中心の測定点に対するZ測定位置データまたは座標値であり、Z3は、M個の測定点のうちの最後の測定点に対するZ測定位置データまたは座標値であり、X2は、M個の測定点のうちの中央または中心の測定点に対する測定位置データまたは座標値であり、X3およびX1は、較正測定経路の最後の測定点Xおよび最初の測定点Xに対するX座標データ値をそれぞれ表す。通常、測定点の数は、80mm/0.25ミクロン(0.25ミクロン間隔でのデータ・ロギングを含む80mmの横断)である。すべての入手したデータは、より高速な較正手順を行うために使用することができるが、通常、入手した測定データを通して等間隔の8000の測定点(すなわち、40番目の各測定点)が較正のために使用される。
【0088】
S16のところで、プロセッサ13は、下記の重心ラグランジュ多項式に従って重心較正適合手順を実行する。
【0089】
【数4】

ここで、XおよびZは、それぞれ第1および第2の方向であり、Zcmは、mが1,2,...,Mである場合のm番目の測定点に対する補正較正Zデータである。ここで、Mは、測定点の全数であり、Zは、m番目の測定点のZ座標であり、BZは、j番目のチェビシェフ点のZ座標に対する較正係数であり、Zは、j番目のチェビシェフ点のZ座標であり、Xcmは、m番目の測定点の補正較正Xデータであり、Xは、m番目の測定点のX座標であり、BXは、j番目のチェビシェフ点のX座標に対する較正係数であり、wは、j番目のチェビシェフ点の重心加重であり、N+1は、チェビシェフ点の数である。
【0090】
すでに説明したように、チェビシェフ点のうちの1つに対する較正係数は固定されている。一般的に、この例の場合のように、計算を容易にするために、チェビシェフ点の数は奇数であり、X=0、Z=0のところの中央のチェビシェフ点C3に対する較正係数BX、BZは、計算を容易にするためにゼロに設定される。奇数のチェビシェフ点を使用すると、計算が容易になるが、偶数のチェビシェフ点も使用することができる。その場合、固定較正係数を含むチェビシェフ点は、通常、測定データ内の中央の測定点の両側の2つのチェビシェフ点のうちの一方である。較正点に対する較正係数が(例えば、中央の固定点に対して)ゼロに設定された場合には、もう1つのオプションは、(較正係数ではなく)その点に対する加重をゼロに設定することであることを理解することができるだろう。
【0091】
較正測定経路は、既知の形の基準面上に位置しているので、この例の場合、大きな円、補正測定データZcmおよびXcmは既知であり、式1)および2)内の唯一の未知のものは重心係数BXおよびBZだけである。プロセッサ13のプログラミングにより提供されたデータ適合装置303の機能は、較正係数および大きな円の測定経路の中心の座標aおよびbが、最小二乗適合手順(この場合は、必要な許容範囲に達するまで、または増分調整が所定回数(この例の場合は、40回)行われるまで、Givenの最小二乗規則を使用するガウス−ニュートン非線形最小二乗適合手順)により、較正係数BZおよびBXを最適化することにより(固定されていて、この例の場合にはゼロに設定されているBZおよびBZは別にして)重心多項式をデータに適合する。
【0092】
この適合手順は、許容範囲t(平方距離を表す)が所定の値、
=R−(Xci−A)−(Zci−B)
になる時点を決定することにより下式を最小にする。
【0093】
【数5】

ここで、XciおよびZciは、i番目の測定点に対する補正座標データの現在値であり、Mは、上記の測定点の全数であり、AおよびBは、較正測定経路が追従し(および最初上記のaおよびbに設定された)、大きな円の中心の現在値であり、Rは、上記のように、大きな円の較正測定経路の実効半径(スタイラス・チップを含む)である。
【0094】
この例の場合、すでに説明したように、所定の許容範囲tは1×10−9に設定されるが、要件に従って、約10−16までのもっと高い許容範囲または約10−6までのもっと低い許容範囲に設定することもできる。
【0095】
この最小二乗適合最適化手順の終わりにおいて、較正係数はすでに決定されている。すなわち、較正係数BXおよびBZ(BXおよびBZは、ゼロに設定済み)の4つそれぞれに対して最適化した値がすでに入手されていて、そのため、これらの決定した較正係数により、上記重心ラグランジュ多項式1)および2)は、設定した許容範囲t内で大きな円の経路の実効半径Rの円への最善の最小二乗適合を表す。
【0096】
データ適合装置は、決定した較正係数をデータ記憶装置302により格納する。
【0097】
任意選択的に、S17のところで、プロセッサ13をプログラミングすることにより提供されたデータ適合装置303の機能は、最善の適合の形、すなわち半径Rの円を表す形を除去し、決定した適合の視覚的チェックとして、オペレータまたはユーザに残留またはエラー・データを表示する。
【0098】
最小二乗最適化手順の終わりのところで、上記多項式(1および2)の最善の適合形はすでに決定されている。何故なら、較正手順の未知のものに対する最善の適合値(すなわち、上記例の場合には、j=1、2、4、および5である較正係数BZおよびBZ)がすでに決定されていて、データ記憶装置302によりすでに格納されているからである。
【0099】
それ故、上記較正手順は、測定点の選択したサブセット(他の場合には、「較正点」と呼ぶ)に対する較正係数を調整することにより、式1および2に示す重心加重ラグランジュ多項式の最小二乗最適化を行う。較正係数が同じ数である場合には、この手順は、米国特許第5150314号に記載されている多項式アルゴリズムより遥かに安定している。このように改善した安定性は、もっと大きなZ測定範囲の計量装置の場合特に有利であり、Z測定範囲が10mmより広い場合に特に有利である。例えば、Taylor Hobson社製であり、米国特許第5517307号に記載されているForm Talysurf PG1シリーズの計量装置のような計量装置の場合には特に有利である。対照的に、米国特許第5150314号に記載されている技術は、10mmのZ測定範囲に対する上記Runge現象を示す傾向がある。
【0100】
上記較正手順のもう1つの利点は、較正項が物理的意味(距離である)を持っていることである。それ故、最適化手順に対する終点も意味を有する。例えば、終点は、1×10−9mの距離(許容範囲)にすべてが収束する時点であってもよい。
【0101】
すでに説明したように、決定した較正係数に関連するデータは、以降の測定動作の際に使用するために格納される。
【0102】
未知の形状またはテクスチャの表面上の測定動作は、図7を参照しながら、すでに説明した方法と類似の方法で実行される(この場合、測定動作の前にその表面特性を測定中の作業片の最高点または中心を決定するための頂点発見ルーチンを含む適当な方法)。そのため、スタイラスは、作業片の表面を横切って測定経路を横断し、Z座標データは、測定経路に沿って等間隔xでログがとられる。
【0103】
測定データは、データ記憶装置302が決定した較正係数を格納し、オペレータに補正測定データを提示するように、データ適合装置303が決定した較正係数BZおよびBXの決定した値により、上記重心ラグランジュ多項式1および2を使用して、補正ZおよびX座標データZcmおよびXcmを測定データ補正装置304によりログがとられている間に、または測定動作終了後に補正される。すでに説明したように、トランスジューサの範囲に対する補正測定データは、較正手順中に決定され、測定データ値を対応する補正データ値に関連付けるルックアップ・テーブルは、データ記憶装置302により格納され、次に、測定データをルックアップ・テーブル内の対応する補正測定データを参照する測定データ補正装置304により補正することができる。この後者のオプションは、別のまたは追加のオプションとして提供することができる。
【0104】
測定データ補正装置304は、オペレータに補正前および補正後の測定データ(プラスあり得る二者間の違い)の両方を表示させることもできるし、補正後の測定データだけを表示させることもできる。
【0105】
次に、表面特徴付け装置306は、粗さが測定されている二乗平均平方根(RMS)粗さ、または形状が測定されている表面の形状を表すパラメータのような表面特性を決定するために、既知の方法で補正後の測定データを処理することができる。
【0106】
上記例の場合には、数値を安定にするために重心ラグランジュ補間が使用される。しかし、他のタイプの多項式補間も使用することができる。また、上記較正手順は、Givensの最小二乗則を使用してガウス−ニュートン非線形最小二乗適合手順を実施する。他の最小二乗適合手順を使用することもできる。
【0107】
測定範囲が12mmの上記例の場合には、5つの較正点が使用される。較正点の数はもっと多くても良い。この場合、もっと広い範囲に対しては、もっと多くの較正点が使用される。
【0108】
上記例の場合には、較正手順は、Z位置トランスジューサの全測定範囲ZTの10%〜90%の部分上で行われる。これは、較正の前にトランスジューサが決して範囲の外にでないようにするためである。この実効測定範囲に対する較正が終了すると、較正をZ位置トランスジューサの全測定範囲ZTにできるだけ近づけるために、増大した測定範囲に対して較正手順を1回またはそれ以上の回数反復することができる。
【0109】
上記例の場合には、較正手順は、上記のように、ZおよびX方向であってもよいが、XおよびYまたはZおよびY方向であってもよい第1および第2の方向に対して実行される。しかし、2つの方向の一方だけに較正が必要な計量装置もある。また、本発明を、較正手順を3つの直交軸X、YおよびZ、または非直交軸または非デカルト軸に対して実行する場合に適用することもできる。
【0110】
上記実施形態の場合には、使用する基準対象物は球体である。その理由は、球体の場合には、プラットフォーム4上で正確に位置合わせする必要がないからである。上記方法は、それらの形状がスケーリング情報を提供する場合には、他の形状の基準本体を使用して実行することができる。例えば、基準シリンダを使用することができる。しかし、このことは、ユーザは、確実にシリンダの縦軸を計量装置のY軸に正確におよび精密に位置合わせする必要があること、または軸の相対的な位置合わせを補正するために追加の計算を行わなければならないことを意味する。また、非円形較正測定経路を提供する上方および下方に傾斜している面または曲面を有する台形またはプリズム状の形状のような他の既知の形状を有する基準対象物を使用することもできる。
【0111】
上記実施形態の場合には、測定プローブは、枢動可能なスタイラス・アームを使用する。しかし、本発明は、枢動可能な測定プローブではなく軸方向に移動することができる測定プローブを有する計量装置に適用することができる。そのため、測定プローブが連続している測定経路に沿って移動すると、測定プローブは、連続している測定経路に沿って表面の変化を追従するように枢動する代わりに、測定プローブ全体がZ方向に移動する。測定プローブは、例えば、上記軸に平行なその縦軸と一緒に配置された細長いスタイラス・アームから作ることができる。そのため作業片と測定プローブとの間で相対移動が行われると、細長いスタイラス・アームの先端のところのスタイラス・チップは、連続している測定経路に沿った表面内の変動に追従するので、スタイラス・アーム全体は、その縦軸に平行なZ方向に移動する。本発明を軸方向に移動することができる測定プローブを使用する計量装置に適用した場合には、上記の弓状の誤差は発生しない。しかし、依然としてXおよびZにはある程度の誤差が生じる。
【0112】
また、上記実施形態の場合には、測定プローブは表面と接触する。しかし、原子力測定プローブのような非接触測定プローブを使用することもできる。
【0113】
上記実施形態の場合には、コラム5およびコラム・キャリッジ6は、Z方向の動きを行うためのものである。その主な理由は、種々のサイズの対象物を収容するためである。しかし、Z方向に非常によく似た寸法を有する対象物を測定するために計量装置を使用する場合には、コラム・キャリッジ6をコラム5の正しい位置に固定することができる。代替的に、コラム・キャリッジを手動で移動させることもできる。
【0114】
すでに説明したように、データは、x方向に特定の距離間隔でログがとられる。代替的に、データを測定点がx方向に必ずしも等間隔にならないように、特定の時間間隔でログをとることもできる。
【0115】
上記実施形態の場合には、DAPCSは、計算装置および追加のマスタ・コントローラ11を備える。しかし、計量装置のすべての動作を駆動およびトランスジューサ回路への適切なインタフェースを有する1つのプロセッサで制御することができること、または機能をもっと多くのプロセッサ間に分散することができることを理解することができるだろう。
【0116】
2つ以上のプロセッサ(例えば、計算装置10のプロセッサおよびマイクロプロセッサなど)を使用する場合には、また、これらのプロセッサを同じ物理的位置に設置する必要はない。例えば、シリアル・データ・リンク23の代わりに、例えば、無線リンク(赤外線または無線周波数リンクまたは遠隔有線リンクまたはネットワーク接続など)を使用することができる。また、ユーザ・インタフェースを必ずしも計算装置10と同じ場所に設置する必要はないが、計算装置から離れていて、有線または無線接続、可能であればネットワークを介してそれに接続している他の計算装置を使用することができる。
【0117】
すでに説明したように、計量装置は、測定プローブが第2の方向に測定経路を横断すると、ある方向の位置の変化が第2の測定経路方向に間隔を置いてログがとられるタイプのものである。本発明は、また、測定プローブが、Z方向に移動することができるように第1のキャリッジ上に装着され、第1のキャリッジが、Y方向に移動することができる第2のキャリッジ上に装着され、第2のキャリッジがx方向に移動することができる第3のキャリッジ上に装着される座標測定機械(CMM)のような計器に適用することができ、そのため測定プローブは3つの方向に移動することができ、各キャリッジは各トランスジューサと関連し、測定プローブは、プローブの各X、Y、Z位置に対して、各X、Y、Z位置データがトランスジューサにより提供されるように、測定経路に沿って異なるX、Y、Z測定位置間を移動する。
【0118】
ある実施形態の場合には、計量装置は、測定プローブ8を支持体により支持されている対象物の面に沿って測定経路を横断させるために、第1の方向Xに支持体4と測定プローブ8のキャリッジ7の間で相対移動を行うドライバ33を有する。測定プローブ8は、表面特性に追従する場合に、第1の方向を横切る第2の方向Zに移動する。第1および第2の各位置トランスジューサ35、32は、第1および第2の方向の測定プローブの位置を表す第1および第2の測定データを提供する。較正装置300は、既知の形状の表面上で入手した測定データを使用して、較正手順を行う。較正装置は、補正後の測定データとしての基準面の既知の形状を使用して、補正後の測定データおよび実際の測定データに関連する式の較正係数を決定する。較正装置は、少なくとも1つの式がデータに適合するまで、チェビシェフ点に対する較正係数を変化させる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の計量装置の一例の概略斜視図である。
【図2】図1の計量装置の機能ブロック図である。
【図3】図1の計量装置で使用するためのZ位置トランスジューサの一例の機能ブロック図である。
【図4】図1の計量装置で使用するためのZ位置トランスジューサの他の例の略図である。
【図5】測定動作中、計量装置のスタイラスがどのように移動するのかを示す、図1の計量装置の一部の略図である。
【図6】較正手順を行うように構成された計量装置が行う機能を説明するための機能ブロック図である。
【図7】較正手順中に使用するための較正データを入手するための方法の一例を説明するための流れ図である。
【図8】本発明の較正手順の一例を説明するための流れ図である。
【図9】球の大きな円上のチェビシェフ点を説明するための流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定する対象物を収容するための支持体と、
測定プローブが前記支持体に対して移動することができるように、前記測定プローブを保持するための搬送装置と、
前記測定プローブが、測定経路に沿って表面特性を追従する場合に第1の方向を横切る第2の方向に移動するように、前記搬送装置が保持する前記測定プローブを、前記支持体により支持されている対象物の表面に沿って前記測定経路を横断させるために、第1の方向に前記支持体と前記搬送装置の間に相対移動を行わせるために動作することができる移動装置と、
前記第1の方向の前記測定プローブの位置を表す第1の位置データを提供するために、前記支持体と前記搬送装置の間の相対移動に応じる第1の位置トランスジューサと、
前記第2の方向の前記測定プローブの位置を表す第2の位置データを提供するために、前記第2の方向の前記測定プローブの移動に応じる第2の位置トランスジューサと、
前記測定経路に沿った複数の各測定点に対する前記第1および第2の位置データを含む前記第1および第2の位置トランスジューサ測定データから入手するために動作することができる測定データ入手装置と、
前記測定データ入手装置により入手した前記測定データを使用して、前記表面の少なくとも1つの表面特性に関連するデータを決定するために動作することができる表面特性決定装置と、
較正手順を実行するために動作することができる較正装置であって、
前記測定経路を横断中に前記測定プローブが較正する測定範囲を通して移動するように、前記搬送装置が保持する前記測定プローブに基準対象物の表面上の較正測定経路を横断させるために、前記移動装置を制御することにより、前記測定データ入手装置に、前記基準対象物の既知の表面形状を表す較正測定データを入手させるように動作することができるコントローラと、
前記補正後の測定データとして、前記基準面の既知の形状を使用することにより、また少なくとも1つの式が前記データに適合するまで、前記較正測定データ内の離間したいくつかの較正点、および前記測定点の数より少ない前記較正係数を変化させることにより、前記補正後の測定データと前記較正測定データの間の関係を表す少なくとも1つの式の較正係数を決定するために動作することができるデータ適合装置と、
較正手順の結果を使用して、作業片の表面上で行った測定を表す測定データを補正するために動作することができる測定データ補正装置と、
を備える較正装置と、
を備える対象物の表面の表面特性を測定するための計量装置。
【請求項2】
前記測定データ補正装置が、前記決定した較正係数を有する前記少なくとも1つの式を使用して、補正後の測定データを計算することにより、作業片の表面上で行った測定を表す測定データを補正するために動作することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記データ適合装置が、前記決定した較正係数を有する前記少なくとも1つの式を使用して補正後の測定データを計算し、前記補正後の測定データを対応する測定データと関連付けるルックアップ・テーブルを格納するために動作することができる、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記測定データ補正装置が、前記ルックアップ・テーブルを使用して作業片の表面上で行った測定を表す測定データを補正するために動作することができる、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記データ適合装置が、前記較正点としてチェビシェフ点を使用するために動作することができる、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記データ適合装置が、z=ZT.cos(nπ/N)(但し、nが、0,1,2,...,Nであり、N+1が、較正点の数であり、ZTが、前記測定プローブの測定範囲である)により決定した第2のタイプの前記較正点のチェビシェフ点として使用するために動作することができる、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記データ適合装置が、前記少なくとも1つの式を重心式として使用するために動作することができる、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記データ適合装置が、前記少なくとも1つの式を下式として使用するために動作することができる、請求項1〜4のいずれかに記載の装置:
【数1】

但し、Zは、第2の方向であり、Zcmは、m番目の測定点に対する前記補正後のZ位置測定データであり、Zは、m番目の測定点のZ座標であり、BZは、j番目のチェビシェフ点のZ座標に対する前記較正係数であり、Zは、j番目のチェビシェフ点のZ座標であり、wは、j番目のチェビシェフ点の重心加重であり、ここで、N+1は、較正点の数である。
【請求項9】
前記データ適合装置が、前記第1および第2の方向に対する各式に対する較正係数を決定するために動作することができる、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記データ適合装置が、前記第1および第2の方向に対する各重心式に対する較正係数を決定するために動作することができる、請求項1〜4のいずれかに記載の装置:
【数2】


但し、XおよびZは、それぞれ前記第1および第2の方向であり、Zcmは、m番目の測定点に対する補正後のZ位置測定データであり、Zは、m番目の測定点のZ座標であり、BZは、j番目のチェビシェフ点のZ座標に対する較正係数であり、Zは、j番目のチェビシェフ点のZ座標であり、Xcmは、m番目の測定点に対する前記補正後のX位置測定データであり、Xは、m番目の測定点のX座標であり、BXは、j番目のチェビシェフ点のX座標に対する前記較正係数であり、wは、j番目のチェビシェフ点の前記重心加重であり、ここで、N+1は、較正点の数である。
【請求項11】
前記データ適合装置が、
=ZT.cos(nπ/N)(但し、nが、0,1,...,Nであり、N+1が、較正点の数であり、ZTが、前記測定プローブの前記測定範囲である)
により与えられる第2のタイプの前記較正点のチェビシェフ点として使用するために動作することができる、請求項8または10に記載の装置。
【請求項12】
前記重心加重wが、
=(−1)δ(但し、δは、j=0またはN(ここで、N+1は較正点の数)に対して1/2であり、それ以外は、1である)
により表される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記データ適合装置が、奇数の較正点を使用するために動作することができる、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記データ適合装置が、奇数の較正点を使用するために動作することができ、中央の較正点が、前記測定点の中央のものと一致するように固定される、請求項1〜12のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記データ適合装置が、前記中央の較正点に対する前記較正係数をゼロに設定するために動作することができる、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
前記データ適合装置が、最小二乗適合手順を使用するために動作することができる、前記請求項のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記データ適合装置が、ガウス−ニュートン最小二乗適合手順を使用するために動作することができる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記基準対象物が、基準球体であり、前記較正測定経路が、大きな円経路であり、前記データ適合装置が下式を最小にする最小二乗適合手順を使用するために動作することができる、請求項1〜15のいずれかに記載の装置:
【数3】

但し、XおよびZは、それぞれ第1および第2の方向であり、XciおよびZciは、i番目の測定点に対する前記補正後の第1および第2の位置測定データの現在値であり、AおよびBは、前記基準球体の中心に対する現在値であり、Rは、前記大きな円の実効半径である。
【請求項19】
前記データ適合装置が、前記少なくとも1つの式が、許容範囲tが所定の値、
=R−(Xci−A)−(Zci−B)
になった場合の前記基準球体の既知の形状に適合させることを決定するために動作することができる、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記データ適合装置が、下式により前記大きな円測定経路の中心(a,b)に対する初期値を計算するために動作することができる、請求項18または19に記載の装置:
【数4】

但し、Z1は、前記測定点のうちの第1の測定点に対する第2の方向の測定位置データまたは座標値であり、Z2は、前記測定点のうちの中央の測定点に対する第2の方向の測定位置データまたは座標値であり、Z3は、前記測定点のうちの最後の測定点に対する第2の方向の測定位置データまたは座標値であり、X3およびX1は、それぞれ最後および最初の測定点に対する前記第1の方向の測定位置データまたは座標値である。
【請求項21】
較正手順を実行するために動作することができるコントローラを有する計量装置であって、前記コントローラが、既知の形状の表面上の測定経路に沿って測定プローブの異なる位置を表す一組の測定点に対する測定データを受信し、前記補正後の測定データとして前記基準面の前記既知の形状を使用することにより、また少なくとも1つの式が前記データに適合するまで、前記較正測定データ内に離間して位置し、前記測定点の数より少ない較正点に対する較正係数を変化させることにより、またそれにより前記少なくとも1つの式で前記決定した較正係数を使用して、補正後の測定データを入手することができるようにすることにより、補正後の測定データと前記較正測定データの間の関係を表す式の較正係数を決定するために動作することができる計量装置。
【請求項22】
測定する対象物を収容するための支持体と、測定プローブが測定プローブ支持体に対して移動することができるように、前記測定プローブを保持するための搬送装置と、前記測定プローブが、測定経路に沿って表面特性を追従する場合に、第1の方向を横切る第2の方向に移動するように、前記搬送装置が保持する前記測定プローブを、前記支持体により支持されている対象物の表面に沿って前記測定経路を横断させるために、第1の方向に前記支持体と前記搬送装置の間で相対移動を行うために動作することができる移動装置と、前記第1の方向の前記測定プローブの位置を表す第1の位置データを提供するために、前記支持体と前記搬送装置の間の相対移動に応じる第1の位置検出手段と、前記第2の方向の前記測定プローブの前記位置を表す第2の位置データを提供するために、前記第2の方向の前記測定プローブの移動に応じる第2の位置検出手段とを備える計量装置を較正するための方法であって、
前記方法が、
前記測定経路を横断中に、前記測定プローブが較正する測定範囲を通して移動するように、前記搬送装置が保持する前記測定プローブに、基準対象物の表面上の較正測定経路を横断させるために、前記移動装置を制御することにより、前記基準対象物の既知の表面形状を表す較正測定データを入手するステップと、
補正後の測定データとして、前記基準面の前記既知の形状を使用することにより、また作業片の表面上で行った測定を表す測定データを補正することができるようにするための較正係数を提供するために、前記少なくとも1つの式が前記データに適合するまで、前記較正測定データ内の離間したいくつかの較正点、および前記測定点より数が少ない前記較正係数を変化させることにより、前記補正後の測定データと前記較正測定データの間の関係を表す少なくとも1つの式の較正係数を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項23】
前記決定した較正係数と一緒に前記少なくとも1つの式を使用して、補正後の測定データを計算することにより、作業片の表面上で行った測定を表す測定データを補正するためのステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記決定した較正係数と一緒に前記少なくとも1つの式を使用して補正後の測定データを計算するステップと、前記補正後の測定データを対応する測定データと関連付けるルックアップ・テーブルを格納するステップとをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ルックアップ・テーブルを使用して作業片の表面上で行った測定を表す測定データを補正するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
チェビシェフ点が、前記較正点として使用される、請求項22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記較正点が、チェビシェフ点が、z=ZT.cos(nπ/N)(但し、nは、0,1,...,Nであり、N+1は、較正点の数であり、ZTは、前記測定プローブの前記測定範囲である)により決定した第2のタイプのものである、請求項22〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの式が、重心式である、請求項22〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記少なくとも1つの式が、下式である、請求項22〜25のいずれかに記載の方法:
【数5】

但し、Zは、前記第2の方向であり、Zcmは、m番目の測定点に対する補正後のZ位置測定データであり、Zは、m番目の測定点のZ座標であり、BZは、j番目のチェビシェフ点のZ座標に対する較正係数であり、Zは、j番目のチェビシェフ点のZ座標であり、wは、j番目のチェビシェフ点の重心加重であり、ここで、N+1は、較正点の数である。
【請求項30】
前記第1および第2の方向に対する各式に対する較正係数が決定される、請求項22〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記第1および第2の方向に対する各重心式に対する前記較正係数が下式により決定される、請求項22〜25のいずれかに記載の方法:
【数6】

但し、XおよびZは、それぞれ第1および第2の方向であり、Zcmは、m番目の測定点に対する補正後のZ位置測定データであり、Zは、m番目の測定点のZ座標であり、BZは、j番目のチェビシェフ点のZ座標に対する較正係数であり、Zは、j番目のチェビシェフ点のZ座標であり、Xcmは、m番目の測定点に対する補正後のX位置測定データであり、Xは、m番目の測定点のX座標であり、BXは、j番目のチェビシェフ点のX座標に対する較正係数であり、wは、j番目のチェビシェフ点に対する重心加重であり、ここで、N+1は、較正点の数である。
【請求項32】
前記較正点が、
=ZT.cos(nπ/N)(但し、nは、0,1,...,Nであり、ここで、N+1は、較正点の数であり、ZTは、前記測定プローブの測定範囲である)
が表す前記第2のタイプのチェビシェフ点である、請求項29または31に記載の方法。
【請求項33】
前記重心加重wが、
=(−1)δ(但し、δは、j=0またはN(ここで、N+1は較正点の数)に対して1/2であり、それ以外は、1である)
により表される、請求項33に記載の方法。
【請求項34】
較正点が奇数である、請求項22〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
較正点が奇数であり、前記中央の較正点が、前記測定点のうちの中央の測定点に一致するように固定される、請求項22〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記中央の較正点に対する前記較正係数がゼロである、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記データ適合装置が、最小二乗適合手順を使用するために動作することができる、請求項22〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
最小二乗適合が、ガウス−ニュートン最小二乗適合手順である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記基準対象物が、基準球体であり、前記較正測定経路が、大きな円経路であり、前記適合ステップが、下式を最小にする最小二乗適合手順を使用する、請求項22〜36のいずれかに記載の装置:
【数7】

但し、XおよびZは、それぞれ第1および第2の方向であり、XciおよびZciは、i番目の測定点に対する前記補正後の第1および第2の位置測定データの現在値であり、AおよびBは、前記基準球体の中心に対する現在値であり、Rは、前記大きな円の実効半径である。
【請求項40】
前記少なくとも1つの式が、許容範囲tが所定の値、
=R−(Xci−A)−(Zci−B)
になった場合の前記基準球体の前記既知の形状に適合する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記大きな円測定経路の中心(a,b)に対する初期値が下式により計算される、請求項39または40に記載の方法:
【数8】

但し、Z1は、前記測定点のうちの第1の測定点に対する前記第2の方向の測定位置データまたは座標値であり、Z2は、前記測定点のうちの中央の測定点に対する前記第2の方向の測定位置データまたは座標値であり、Z3は、前記測定点のうちの前記最後の測定点に対する前記第2の方向の測定位置データまたは座標値であり、X3およびX1は、それぞれ最後および最初の測定点に対する前記第1の方向の測定位置データまたは座標値である。
【請求項42】
測定経路を横断中に、測定プローブが較正する測定範囲を通して移動するように、測定プローブに基準対象物の表面上の較正測定経路を横断させるために、移動装置を制御することにより、前記基準対象物の既知の表面形状を表す較正測定データを入手するように動作することができるコントローラと、
前記補正後の測定データとして、前記基準面の前記既知の形状を使用することにより、また前記少なくとも1つの式が前記データに適合するまで、前記較正測定データ内の離間したいくつかの較正点、および前記測定点より数が少ない較正係数を変化させることにより、補正後の測定データと前記較正測定データの間の関係を表す少なくとも1つの式の較正係数を決定するために動作することができるデータ適合装置と、
前記較正手順の結果を使用して、作業片の表面上で行った測定を表す測定データを補正するために動作することができる測定データ補正装置と、
を備える対象物の表面の表面特性を測定するための計量装置で使用するための較正装置。
【請求項43】
請求項2〜21のいずれかに記載の機能を有する、請求項42に記載の較正装置。
【請求項44】
測定する対象物を収容するための支持手段と、
測定プローブ手段が前記支持手段に対して移動することができるように、前記測定プローブ手段を保持するための搬送手段と、
前記測定プローブ手段が、測定経路に沿って表面特性を追従する場合に第1の方向を横切る第2の方向に移動するように、前記搬送手段が保持する前記測定プローブ手段を、前記支持手段により支持されている対象物の表面に沿って前記測定経路を横断させるために、前記第1の方向に前記支持手段と前記搬送手段の間に相対移動を行うための移動手段と、
前記第1の方向の前記測定プローブ手段の位置を表す第1の位置データを提供するために、前記支持手段と前記搬送手段の間の相対移動に応じる第1の位置検出手段と、
前記第2の方向の前記測定プローブ手段の位置を表す第2の位置データを提供するために、前記第2の方向の前記測定プローブ手段の移動に応じる第2の位置検出手段と、
前記測定経路に沿った複数の各測定点に対する前記第1および第2の位置データを含む前記第1および第2の位置検出手段測定データから入手するための測定データ入手手段と、
前記測定データ入手手段により入手した前記測定データを使用して、前記表面の少なくとも1つの表面特性に関連するデータを決定するための表面特性決定手段と、
較正手順を実行するための較正手段であって、
前記測定経路を横断中に、前記測定プローブ手段が較正する測定範囲を通して移動するように、前記搬送手段が保持する前記測定プローブが、前記基準対象物の表面上の較正測定経路を横断するように前記移動手段を制御することにより、前記基準対象物の前記既知の表面形状を表す較正測定データを入手するように、前記測定データ入手手段を動作するための制御手段と、
前記補正後の測定データとして、前記基準面の既知の形状を使用することにより、また前記少なくとも1つの式が前記データに適合するまで、前記較正測定データ内の離間したいくつかの較正点、および前記測定点より数が少ない前記較正係数を変化させることにより、前記補正後の測定データと前記較正測定データの間の関係を表す少なくとも1つの式の較正係数を決定するためのデータ適合手段と、
前記較正手順の結果を使用して、作業片の表面上で行った測定を表す測定データを補正するための測定データ補正手段と、
を備える較正手段と、
を備える対象物の表面の表面特性を測定するための計量装置。
【請求項45】
計量装置を請求項1〜21のいずれかに記載の計量装置として構成するために、プロセッサ手段をプログラミングするためのプロセッサが実施可能な命令を含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項46】
プロセッサ手段を請求項22〜41に記載の方法を実行するようにプログラミングするためのプロセッサが実施可能な命令を含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項47】
請求項47または48に記載のコンピュータ・プログラム製品を含む信号。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−505092(P2009−505092A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526548(P2008−526548)
【出願日】平成18年8月16日(2006.8.16)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003067
【国際公開番号】WO2007/020441
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(597023868)テイラー・ホブソン・リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】TAYLOR HOBSON LIMITED
【Fターム(参考)】