説明

記憶装置、制御装置

【課題】欠陥領域の救済を行う記憶装置、制御装置を提供する。
【解決手段】ホストに接続されることができる記憶装置であって、リードリトライによる読み出しが不可能であるエラーセクタが存在する場合、該読み出しが不可能であることをホストへ通知し、ホストからの指示を取得するホストインタフェース部20と、ホストインタフェース部20がホストからエラーセクタのリカバリの指示を取得した場合、読み出しのためのパラメータであるリードパラメータの調整を行うMPU12と、MPU12により調整されたリードパラメータを用いてエラーセクタの読み出しを行うリードチャネル16とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードリトライを行う記憶装置、制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの補助記憶装置として利用されている磁気ディスク装置において、リードされたデータに誤りがあれば、そのデータに付加されたECC(Error Correcting Code)により誤り訂正が行われる。この誤り訂正に失敗した場合、MPU(Micro Processing Unit)は、リードリトライモードに移行し、誤り訂正に失敗したセクタであるエラーセクタに対してリードリトライを行う。ここで、リードリトライは、磁気ディスク装置のパフォーマンスの低下を防ぐため、限られた回数までしか実行できない。
【0003】
一般的な磁気ディスク装置において、リードリトライのためにリードチャネルに設定されるリードパラメータが、予めテーブルとして用意されており、このテーブルを用いてリードリトライが行われる。
【0004】
なお、本発明の関連ある従来技術として、リードリトライを行う場合にリードに関するパラメータを変化させ、エラー量が規定量以下となるまで、またはリードリトライ回数が所定数となるまで、リードリトライを繰り返すディスク装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許3737293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、想定したエラーセクタのリードパラメータと実際のエラーセクタのリードパラメータにずれがある場合、アンリカバードエラー(リトライアウト)として終了してしまい、エラーセクタの救済(リード)は不可能となる。また、リードリトライの回数は限られているため、リードリトライに適用すべきリードパラメータを数多く適用することは難しい。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、欠陥領域の救済を行う記憶装置、制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明は、外部装置に接続されることができる記憶装置であって、リードリトライによる読み出しが不可能であるエラーセクタが存在する場合、該読み出しが不可能であることを前記外部装置へ通知し、前記外部装置からの指示を取得する指示取得部と、前記指示取得部が前記外部装置から前記エラーセクタのリカバリの指示を取得した場合、読み出しのためのパラメータであるリードパラメータの調整を行う調整部と、前記調整部により調整されたリードパラメータを用いて前記エラーセクタの読み出しを行う読み出し部とを備えたものである。
【0008】
また、本発明に係る記憶装置において、前記リアサイン部は更に、前記エラーセクタの読み出しにより得られたデータを、前記リアサインにより得られたセクタへライトすることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る記憶装置において、更に、前記読み出し部による前記エラーセクタの読み出しが成功した場合、前記エラーセクタのリアサインを行うリアサイン部を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る記憶装置において、前記調整部は、前記リードリトライにより調整されるリードパラメータの値の範囲より広い範囲で、リードパラメータの調整を行うことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る記憶装置において、前記調整部は、前記リードパラメータを変化させて前記読み出し部に設定し、前記読み出し部に前記エラーセクタの読み出しを行わせると共に、前記読み出し部のQuality Monitor機能を用いてQuality Monitor値を計測し、該Quality Monitor値が所定のQuality Monitor値条件を満たすように前記リードパラメータを調整することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る記憶装置において、前記所定のQuality Monitor値条件は、Quality Monitor値が最小となることであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る記憶装置において、前記調整部は、前記読み出し部に前記エラーセクタの複数回の読み出しを行わせると共に、前記読み出し部の自動追従機能を用いてリードパラメータを調整することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る記憶装置において、前記調整部は、予め設定された複数のリードパラメータの調整方法の組み合わせの情報を取得し、該情報に従って前記複数のリードパラメータの調整を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る記憶装置において、前記複数のリードパラメータの調整方法の組み合わせの情報は、前記リードリトライにおけるリードパラメータの調整のための値と異なることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る記憶装置において、前記リードパラメータは、読み出し波形の出力ゲインを調整するための値である出力ゲイン調整値、読み出し波形に対するカットオフフィルタを調整するための値であるカットオフフィルタ調整値、読み出し波形に対するブーストを調整するための値であるブースト調整値、読み出し波形に対するFIRフィルタ係数の少なくともいずれかであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る記憶装置において、前記調整部は、前記エラーセクタからの読み出し波形が所定の波形条件を満たす場合、所定のリードパラメータを選択し、該リードパラメータの調整を行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る記憶装置において、前記所定の波形条件は、前記エラーセクタからの読み出し波形の出力レベルが所定の値より低くなることであり、前記所定のリードパラメータは、出力ゲイン調整値であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る記憶装置において、前記所定の波形条件は、前記エラーセクタからの読み出し波形に歪みまたはビット潰れがあることであり、前記所定のリードパラメータは、カットオフフィルタ調整値、ブースト調整値、FIRフィルタ係数の少なくともいずれかであることを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、外部装置に接続されることができる記憶装置の制御を行う制御装置であって、リードリトライによる読み出しが不可能であるエラーセクタが存在する場合、該読み出しが不可能であることを前記外部装置へ通知し、前記外部装置からの指示を取得する指示取得部と、前記指示取得部が前記外部装置から前記エラーセクタのリカバリの指示を取得した場合、読み出しのためのパラメータであるリードパラメータの調整を行う調整部と、前記調整部により調整されたリードパラメータを用いて前記エラーセクタの読み出しを行う読み出し部とを備えるものである。
【0021】
また、本発明に係る制御装置において、更に、前記読み出し部による前記エラーセクタの読み出しが成功した場合、前記エラーセクタのリアサインを行うリアサイン部を備えることを特徴とする。
【0022】
また、本発明に係る制御装置において、前記リアサイン部は更に、前記エラーセクタの読み出しにより得られたデータを、前記リアサインにより得られたセクタへライトすることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る制御装置において、前記調整部は、前記リードリトライにより調整されるリードパラメータの値の範囲より広い範囲で、リードパラメータの調整を行うことを特徴とする。
【0024】
また、本発明に係る制御装置において、前記調整部は、前記リードパラメータを変化させて前記エラーセクタの読み出しを行うと共に、Quality Monitor機能を用いてQuality Monitor値を計測し、該Quality Monitor値が所定のQuality Monitor値条件を満たすように前記リードパラメータを調整することを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る制御装置において、前記所定のQuality Monitor値条件は、Quality Monitor値が最小となることであることを特徴とする。
【0026】
また、本発明に係る制御装置において、前記調整部は、前記エラーセクタの複数回の読み出しを行うと共に、自動追従機能を用いてリードパラメータを調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、欠陥領域の救済を行うことができる。したがって、データ記憶の保証能力を向上させ、データ記憶の信頼性の高い記憶装置、それに用いられる制御装置を実現可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0029】
実施の形態1.
まず、本実施の形態に係る磁気ディスク装置(記憶装置)の構成について説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態に係る磁気ディスク装置の構成の一例を示すブロック図である。この磁気ディスク装置は、MPU12、メモリ13、不揮発性メモリ14、HDC(Hard Disk Controller)15、リードチャネル16、プリアンプ17、ヘッド18、媒体19、ホストインタフェース20を備える。
【0031】
ホストインタフェース20は、外部装置であるホストに接続される。リード時、媒体19からヘッド18及びプリアンプ17を通じてリードされたデータは、リードチャネル16によりデコードされ、HDC15により誤り訂正が行われる。不揮発性メモリ14は、MPU12により実行されるファームウェアプログラム、リードパラメータを格納する。MPU12は、メモリ13を用いてファームウェアプログラムを実行し、各部の制御を行う。また、MPU12は、不揮発性メモリ14からリードパラメータを読み出し、リードチャネル16に設定する。
【0032】
また、リードチャネル16は、Quality Monitor機能、リードパラメータの自動追従機能を持つ。Quality Monitor機能は、リード波形に基づいてQuality Monitor値を出力する機能である。Quality Monitor値は、リード波形の品質が低いほど、高い値となるものである。Quality Monitor値としてVMM(Viterbi Metric Margin)を用いても良い。自動追従機能は、所定の回数のリードを行い、所定のリードパラメータを最適化する機能である。
【0033】
不揮発性メモリ14に格納されたリードパラメータには、リード波形の出力ゲインを調整するための値である出力ゲイン調整値、リード波形に対するカットオフフィルタを調整するための値であるカットオフフィルタ調整値、リード波形に対するブーストを調整するための値であるブーストパラメータ調整値、リード波形に対するFIRフィルタの係数であるFIR(Finite Impulse Response)フィルタ係数がある。
【0034】
次に、本実施の形態に係る磁気ディスク装置において、アンリカバードエラーが発生した場合のアンリカバードエラー処理について説明する。
【0035】
図2は、本実施の形態に係るアンリカバードエラー処理の動作の一例を示すフローチャートである。まず、MPU12は、ホストへアンリカバードエラーの通知を行い(S12)、その後、ホストから強制リカバリ処理の指示を受けたか否かの判断を行う(S13)。ここで、ホストは、磁気ディスク装置からアンリカバードエラーを受けると、OS(Operating System)により磁気ディスク装置へ強制リカバリ処理の指示を送る。また、ホストは、磁気ディスク装置からアンリカバードエラーを受けると、ユーザに強制リカバリ処理を行うか否かの問い合わせを行い、ユーザからの強制リカバリ処理を選択した場合、磁気ディスク装置へ強制リカバリ処理の指示を送るようにしても良い。強制リカバリ処理は、リードパラメータ調整処理と、エラーセクタのリード強制リアサイン処理を行う。
【0036】
強制リカバリ処理の指示を受けなかった場合(S13,N)、このフローは終了する。一方、強制リカバリ処理の指示を受けた場合(S13,Y)、MPU12は、エラーセクタのリードのためにリードパラメータを調整するリードパラメータ調整処理を行い(S14)、リードパラメータ調整処理の処理結果が成功であるか否かの判断を行う(S15)。処理結果が失敗である場合(S15,N)、MPU12は、エラーセクタの訂正が不可能と判断して再びホストへアンリカバードエラーの通知を行い(S16)、このフローは終了する。一方、処理結果が成功である場合(S15,Y)、MPU12は、エラーセクタの強制リアサイン処理を行い(S17)、このフローは終了する。
【0037】
ここで、通常のリアサイン処理は、再度エラーセクタへのデータのライトを行い、エラーセクタからリードできる場合、新たなセクタの割り当ては行わず、エラーセクタからリードできない場合、エラーセクタの代わりとなる新たなセクタの割り当てを行う。本実施の形態に係る強制リアサイン処理は、再度エラーセクタへのデータのライトを行わずに、強制的にエラーセクタの代わりとなる新たなセクタを割り当てる。更に、強制リアサイン処理は、リードパラメータ調整処理によりエラーセクタからリードできたデータを新たなセクタにライトしても良い。
【0038】
次に、上述したリードパラメータ調整処理について説明する。
【0039】
本実施の形態に係るリードパラメータ調整処理は、リード波形によって調整するリードパラメータの種類を決定するものである。図3は、本実施の形態に係るリードパラメータ調整処理の動作の一例を示すフローチャートである。まず、MPU12は、エラーセクタのリード時のプリアンプ17の出力レベルが所定値より低下しているか否かの判断を行い、所定値より低下していない場合(S22,N)、次の処理へ移行し、所定値より低下している場合(S22,Y)、出力ゲイン調整値の調整を行う出力レベル調整処理を行い(S23)、次の処理へ移行する。
【0040】
次に、MPU12は、エラーセクタのリード時のプリアンプ17の出力波形に歪みやビット潰れなどが存在するか否かの判断を行い、歪みやビット潰れが存在しない場合(S24,N)、次の処理へ移行し、歪みやビット潰れが存在する場合(S24,Y)、カットオフフィルタ調整値、ブースト調整値、FIRフィルタ係数の調整を行う出力波形調整処理を行い(S25)、次の処理へ移行する。
【0041】
次に、MPU12は、調整されたリードパラメータをリードチャネル16に設定して、エラーセクタのリードチェックを行い、リードに成功した場合(S27,Y)、処理結果を処理成功として(S28)このフローは終了し、リードに失敗した場合(S27,N)、処理結果を処理失敗として(S29)このフローは終了する。
【0042】
次に、処理S22について説明する。
【0043】
図4は、プリアンプ出力波形の包落線の一例を示す波形図である。この図において、横軸は時間を表し、縦軸はプリアンプ17の出力レベルを表す。この図に示すように、正常セクタ(OKセクタ)からの出力レベルと比べてエラーセクタ(NGセクタ)からの出力レベルは、傷などのために極端に低下する場合がある。このような場合、リードパラメータのうち出力ゲイン調整値を調整することが有効である。
【0044】
次に、処理S24について説明する。
【0045】
図5は、プリアンプ出力波形の一例を示す波形図である。この図において、横軸は時間を表し、縦軸はプリアンプ17の出力レベルを表す。また、実線の波形は、OKセクタからの出力波形を示し、点線の波形は、NGセクタからの出力波形を示す。これらの波形は、いずれも”111”パターンの波形である。この図に示すように、OKセクタからの出力波形と比べて、NGセクタからの出力波形は、傷などのためにビット潰れが発生する場合がある。このような場合、リードパラメータのうちカットオフフィルタ調整値、ブースト調整値、FIRフィルタ係数を調整することが有効である。本実施の形態において、出力波形調整処理には、Quality Monitor値を用いる。
【0046】
次に、出力レベル調整処理及び出力波形調整処理について説明する。
【0047】
本実施の形態において、出力レベル調整処理及び出力波形調整処理は、指標としてQuality Monitor値を用いる。図6は、本実施の形態に係る出力レベル調整処理の一例を示す模式図である。この図において、横軸はリードパラメータを表し、縦軸はQuality Monitor値を表す。出力レベル調整処理において対象とするリードパラメータは、出力ゲイン調整値である。図7は、本実施の形態に係る出力波形調整処理の一例を示す模式図である。この図において、横軸はリードパラメータを表し、縦軸はQuality Monitor値を表す。出力波形調整処理において対象とするリードパラメータは、カットオフフィルタ調整値、ブースト調整値、FIRフィルタ係数のいずれかである。
【0048】
これら2つの図において、実線のグラフは、OKセクタにおけるリードパラメータとQuality Monitor値の関係を示し、点線のグラフは、NGセクタにおけるリードパラメータとQuality Monitor値の関係を示す。また、リトライ範囲は、通常のリードリトライに用いられるリードパラメータの範囲を表す。このように、リトライ範囲は、OKセクタにおけるリードパラメータの最適値(OKセクタ最適値)を基準としてその近傍に設定されるため、NGセクタにおけるリードパラメータの最適値(NGセクタ最適値)まで到達しない場合がある。従って、出力レベル調整処理及び出力波形調整処理は、対象とするリードパラメータを全範囲に亘って変化させながらQuality Monitor値を計測し、Quality Monitor値が最小となるリードパラメータの値(NGセクタ最適値)を決定する。
【0049】
上述した例において、出力波形調整処理は、1つのリードパラメータとQuality Monitor値の関係から、Quality Monitor値が最小となるNGセクタ最適値を探索するとしたが、複数のリードパラメータとQuality Monitor値の関係から、Quality Monitor値が最小となるリードパラメータ値の組み合わせを探索するようにしても良い。
【0050】
なお、ここでは出力レベル調整処理及び出力波形調整処理にQuality Monitor値を用いるとしたが、磁気ディスク装置が対象とするリードパラメータの自動追従機能を持つ場合、この自動追従機能を用いて出力レベル調整処理及び出力波形調整処理を行っても良い。この場合、自動追従機能は、エラーセクタを複数回リードすることにより、リードパラメータの最適化を行う。
【0051】
上述した実施の形態によれば、エラーセクタのリードのために、通常のリードリトライよりリードパラメータの調整に時間をかけることができ、且つ通常のリードリトライより広い値の範囲で、リードパラメータの調整を行うことにより、特異な状態のエラーセクタであっても効果的なリードパラメータを設定することができる。従って、エラーセクタのリードの可能性が向上し、エラーセクタのデータの救済の可能性が向上する。
【0052】
実施の形態2.
本実施の形態における磁気ディスク装置は、予めテーブルとして用意された調整方法によりリードパラメータを調整するリードパラメータ調整処理を行う。
【0053】
本実施の形態に係る磁気ディスク装置の構成は、実施の形態1と同様である。また、本実施の形態に係る磁気ディスク装置のアンリカバードエラー処理は、実施の形態1と同様である。
【0054】
次に、本実施の形態に係るリードパラメータ調整処理について説明する。
【0055】
ここで、従来のリードリトライのための各リードパラメータの増減量を定めたテーブルとは別に、予め、各リードパラメータのデフォルト値を定めたテーブルであるデフォルトテーブルと、リードパラメータ調整処理のためのリードパラメータの調整方法を定めたテーブルである再調整テーブルとが用意され、不揮発性メモリ14に格納される。図8は、本実施の形態に係るリードパラメータ調整処理の動作の一例を示すフローチャートである。まず、MPU12は、再調整テーブルにおける全ての調整方法が終了したか否かの判断を行い、終了した場合(S31,Y)、処理結果を処理失敗として(S32)このフローは終了し、終了していない場合(S31,N)、次の処理へ移行する。
【0056】
次に、MPU12は、再調整テーブルから次の調整方法(次のレコード)を取得し(S33)、調整方法がリードパラメータ増減処理でない場合(S34,N)、次の処理へ移行し、調整方法がリードパラメータ増減処理である場合(S34,Y)、調整方法で指示されたリードパラメータ増減処理を行い(S35)、次の処理へ移行する。次に、MPU12は、調整方法がリードパラメータ自動追従処理でない場合(S36,N)、次の処理へ移行し、調整方法がリードパラメータ自動追従処理である場合(S36,Y)、調整方法で指示されたリードパラメータ自動追従処理を行い(S37)、次の処理へ移行する。
【0057】
次に、MPU12は、調整方法により得られたリードパラメータをリードチャネル16に設定してリードチェックを行い、リードチェックが失敗した場合(S38,N)、処理S31へ戻り、リードチェックが成功した場合(S38,Y)、処理結果を処理成功として(S39)このフローは終了する。
【0058】
図9は、本実施の形態に係る再調整テーブルの一例を示す表である。処理S33において、この表が1レコード(1行)ずつ読み出される。各レコードは、1回の調整方法を示す。また、各レコードには、レコード番号(1〜n)が付与され、出力ゲイン調整値、カットオフフィルタ調整値、ブースト調整値、FIRフィルタ係数についてそれぞれの調整方法が記述される。この表において、調整方法が空白で表されている場合は、調整しないことを示す。また、調整方法が+または−で始まる数値で表されている場合は、リードパラメータ増減処理を示し、数値は増減量を示す。この増減量は、通常のリードリトライのためのテーブルにも用いられるものであるが、再調整テーブルにおける値の範囲は、通常のリードリトライのテーブルにおける値の範囲より大きい。また、調整方法がAで始まる数値で表されている場合は、リードパラメータ自動追従処理を示し、この数値は、リードの繰り返し回数を示す。
【0059】
リードパラメータ増減処理は、デフォルトテーブルに示されたデフォルト値に増減量を加算する。リードパラメータの自動追従処理は、リードチャネル16の自動追従機能を用いて行われ、繰り返し回数だけエラーセクタのリードを繰り返し(連続リード)、その間にリードパラメータを調整する。このような連続リードは、時間がかかるため、通常のリードリトライで行うことは困難であった。
【0060】
なお、本実施の形態においては、再調整テーブルにおけるレコードの順に調整方法を取得したが、予め各レコードの調整後のリードにより得られたQuality Monitor値をレコード毎に格納しておくことにより、Quality Monitor値の低いレコードから調整方法を取得するようにしても良い。
【0061】
本実施の形態によれば、複数のリードパラメータをまとめて調整することができ、リードパラメータを1つずつ調整する場合よりも効率よく調整を行うことができる。また、あるリードパラメータに対するリードパラメータ増減処理と別のリードパラメータに対するリードパラメータ自動追従処理とを組み合わせることにより、更に効率よく調整を行うことができる。
【0062】
実施の形態3.
本実施の形態における磁気ディスク装置は、リードパラメータの種類毎に調整するリードパラメータ調整処理を行う。
【0063】
本実施の形態に係る磁気ディスク装置の構成は、実施の形態1と同様である。また、本実施の形態に係る磁気ディスク装置のアンリカバードエラー処理は、実施の形態1と同様である。
【0064】
次に、本実施の形態に係るリードパラメータ調整処理について説明する。
【0065】
図10は、本実施の形態に係るリードパラメータ調整処理の動作の一例を示すフローチャートである。まず、MPU12は、出力ゲイン調整量を全範囲に亘って変化させながらQuality Monitor値を計測し(S41)、Quality Monitor値が最小となる出力ゲイン調整量を決定してリードチャネル16に設定する(S42)。次に、MPU12は、エラーセクタのリードチェックを行い、リードに成功した場合(S43,Y)、処理結果を処理成功として(S61)このフローは終了し、リードに失敗した場合(S43,N)、次の処理へ移行する。
【0066】
次に、MPU12は、カットオフフィルタ調整量を全範囲に亘って変化させながらQuality Monitor値を計測し(S45)、Quality Monitor値が最小となるカットオフフィルタ調整量を決定してリードチャネル16に設定する(S46)。次に、MPU12は、エラーセクタのリードチェックを行い、リードに成功した場合(S47,Y)、処理結果を処理成功として(S61)このフローは終了し、リードに失敗した場合(S47,N)、次の処理へ移行する。
【0067】
次に、MPU12は、ブースト調整量を全範囲に亘って変化させながらQuality Monitor値を計測し(S51)、Quality Monitor値が最小となるブースト調整量を決定してリードチャネル16に設定する(S52)。次に、MPU12は、エラーセクタのリードチェックを行い、リードに成功した場合(S53,Y)、処理結果を処理成功として(S61)このフローは終了し、リードに失敗した場合(S53,N)、次の処理へ移行する。
【0068】
次に、MPU12は、FIRフィルタ係数を全範囲に亘って変化させながらQuality Monitor値を計測し(S55)、Quality Monitor値が最小となるFIRフィルタ係数を決定してリードチャネル16に設定する(S56)。次に、MPU12は、エラーセクタのリードチェックを行い、リードに成功した場合(S57,Y)、処理結果を処理成功として(S61)このフローは終了し、リードに失敗した場合(S57,N)、処理結果を処理失敗として(S62)このフローは終了する。
【0069】
本実施の形態によれば、エラーセクタの状態に応じて、個々のリードパラメータを順に調整することができる。
【0070】
なお、指示取得部は、実施の形態におけるホストインタフェース20に対応する。また、調整部及びリアサイン部は、実施の形態におけるMPU12に対応する。また、リード部は、実施の形態におけるリードチャネル16に対応する。
【0071】
また、本実施の形態に係る磁気ディスク装置の制御は、記憶装置に容易に適用することができ、記憶装置の性能をより高めることができる。ここで、記憶装置には、例えば光ディスク装置、光磁気ディスク装置等が含まれ得る。
【0072】
(付記1) 外部装置に接続されることができる記憶装置であって、
リードリトライによる読み出しが不可能であるエラーセクタが存在する場合、該読み出しが不可能であることを前記外部装置へ通知し、前記外部装置からの指示を取得する指示取得部と、
前記指示取得部が前記外部装置から前記エラーセクタのリカバリの指示を取得した場合、読み出しのためのパラメータであるリードパラメータの調整を行う調整部と、
前記調整部により調整されたリードパラメータを用いて前記エラーセクタの読み出しを行う読み出し部と
を備える記憶装置。
(付記2) 付記1に記載の記憶装置において、
更に、前記読み出し部による前記エラーセクタの読み出しが成功した場合、前記エラーセクタのリアサインを行うリアサイン部を備えることを特徴とする記憶装置。
(付記3) 付記2に記載の記憶装置において、
前記リアサイン部は更に、前記エラーセクタの読み出しにより得られたデータを、前記リアサインにより得られたセクタへライトすることを特徴とする記憶装置。
(付記4) 付記1乃至付記3のいずれかに記載の記憶装置において、
前記調整部は、前記リードリトライにより調整されるリードパラメータの値の範囲より広い範囲で、リードパラメータの調整を行うことを特徴とする記憶装置。
(付記5) 付記1乃至付記4のいずれかに記載の記憶装置において、
前記調整部は、前記リードパラメータを変化させて前記読み出し部に設定し、前記読み出し部に前記エラーセクタの読み出しを行わせると共に、前記読み出し部のQuality Monitor機能を用いてQuality Monitor値を計測し、該Quality Monitor値が所定のQuality Monitor値条件を満たすように前記リードパラメータを調整することを特徴とする記憶装置。
(付記6) 付記5に記載の記憶装置において、
前記所定のQuality Monitor値条件は、Quality Monitor値が最小となることであることを特徴とする記憶装置。
(付記7) 付記1乃至付記6のいずれかに記載の記憶装置において、
前記調整部は、前記読み出し部に前記エラーセクタの複数回の読み出しを行わせると共に、前記読み出し部の自動追従機能を用いてリードパラメータを調整することを特徴とする記憶装置。
(付記8) 付記1乃至付記7のいずれかに記載の記憶装置において、
前記調整部は、予め設定された複数のリードパラメータの調整方法の組み合わせの情報を取得し、該情報に従って前記複数のリードパラメータの調整を行うことを特徴とする記憶装置。
(付記9) 付記8に記載の記憶装置において、
前記複数のリードパラメータの調整方法の組み合わせの情報は、前記リードリトライにおけるリードパラメータの調整のための値と異なることを特徴とする記憶装置。
(付記10) 付記1乃至付記9のいずれかに記載の記憶装置において、
前記リードパラメータは、読み出し波形の出力ゲインを調整するための値である出力ゲイン調整値、読み出し波形に対するカットオフフィルタを調整するための値であるカットオフフィルタ調整値、読み出し波形に対するブーストを調整するための値であるブースト調整値、読み出し波形に対するFIRフィルタ係数の少なくともいずれかであることを特徴とする記憶装置。
(付記11) 付記1乃至付記10のいずれかに記載の記憶装置において、
前記調整部は、前記エラーセクタからの読み出し波形が所定の波形条件を満たす場合、所定のリードパラメータを選択し、該リードパラメータの調整を行うことを特徴とする記憶装置。
(付記12) 付記11に記載の記憶装置において、
前記所定の波形条件は、前記エラーセクタからの読み出し波形の出力レベルが所定の値より低くなることであり、前記所定のリードパラメータは、出力ゲイン調整値であることを特徴とする記憶装置。
(付記13) 付記11または付記12に記載の記憶装置において、
前記所定の波形条件は、前記エラーセクタからの読み出し波形に歪みまたはビット潰れがあることであり、前記所定のリードパラメータは、カットオフフィルタ調整値、ブースト調整値、FIRフィルタ係数の少なくともいずれかであることを特徴とする記憶装置。
(付記14) 外部装置に接続されることができる記憶装置の制御を行う制御装置であって、
リードリトライによる読み出しが不可能であるエラーセクタが存在する場合、該読み出しが不可能であることを前記外部装置へ通知し、前記外部装置からの指示を取得する指示取得部と、
前記指示取得部が前記外部装置から前記エラーセクタのリカバリの指示を取得した場合、読み出しのためのパラメータであるリードパラメータの調整を行う調整部と、
前記調整部により調整されたリードパラメータを用いて前記エラーセクタの読み出しを行う読み出し部と
を備える制御装置。
(付記15) 付記14に記載の制御装置において、
更に、前記読み出し部による前記エラーセクタの読み出しが成功した場合、前記エラーセクタのリアサインを行うリアサイン部を備えることを特徴とする制御装置。
(付記16) 付記15に記載の制御装置において、
前記リアサイン部は更に、前記エラーセクタの読み出しにより得られたデータを、前記リアサインにより得られたセクタへライトすることを特徴とする制御装置。
(付記17) 付記14乃至付記16のいずれかに記載の制御装置において、
前記調整部は、前記リードリトライにより調整されるリードパラメータの値の範囲より広い範囲で、リードパラメータの調整を行うことを特徴とする制御装置。
(付記18) 付記14乃至付記17のいずれかに記載の制御装置において、
前記調整部は、前記リードパラメータを変化させて前記エラーセクタの読み出しを行うと共に、Quality Monitor機能を用いてQuality Monitor値を計測し、該Quality Monitor値が所定のQuality Monitor値条件を満たすように前記リードパラメータを調整することを特徴とする制御装置。
(付記19) 付記18に記載の制御装置において、
前記所定のQuality Monitor値条件は、Quality Monitor値が最小となることであることを特徴とする制御装置。
(付記20) 付記14乃至付記19のいずれかに記載の制御装置において、
前記調整部は、前記エラーセクタの複数回の読み出しを行うと共に、自動追従機能を用いてリードパラメータを調整することを特徴とする制御装置。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施の形態1に係る磁気ディスク装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るアンリカバードエラー処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1に係るリードパラメータ調整処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】プリアンプ出力波形の包落線の一例を示す波形図である。
【図5】プリアンプ出力波形の一例を示す波形図である。
【図6】実施の形態1に係る出力レベル調整処理の一例を示す模式図である。
【図7】実施の形態1に係る出力波形調整処理の一例を示す模式図である。
【図8】実施の形態2に係るリードパラメータ調整処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態2に係る再調整テーブルの一例を示す表である。
【図10】実施の形態3に係るリードパラメータ調整処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
12 MPU、13 メモリ、14 不揮発性メモリ、15 HDC、16 リードチャネル、17 プリアンプ、18 ヘッド、19 媒体、20 ホストインタフェース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置に接続されることができる記憶装置であって、
リードリトライによる読み出しが不可能であるエラーセクタが存在する場合、該読み出しが不可能であることを前記外部装置へ通知し、前記外部装置からの指示を取得する指示取得部と、
前記指示取得部が前記外部装置から前記エラーセクタのリカバリの指示を取得した場合、読み出しのためのパラメータであるリードパラメータの調整を行う調整部と、
前記調整部により調整されたリードパラメータを用いて前記エラーセクタの読み出しを行う読み出し部と
を備える記憶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記憶装置において、
更に、前記読み出し部による前記エラーセクタの読み出しが成功した場合、前記エラーセクタのリアサインを行うリアサイン部を備えることを特徴とする記憶装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記憶装置において、
前記リアサイン部は更に、前記エラーセクタの読み出しにより得られたデータを、前記リアサインにより得られたセクタへライトすることを特徴とする記憶装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の記憶装置において、
前記調整部は、前記リードリトライにより調整されるリードパラメータの値の範囲より広い範囲で、リードパラメータの調整を行うことを特徴とする記憶装置。
【請求項5】
外部装置に接続されることができる記憶装置の制御を行う制御装置であって、
リードリトライによる読み出しが不可能であるエラーセクタが存在する場合、該読み出しが不可能であることを前記外部装置へ通知し、前記外部装置からの指示を取得する指示取得部と、
前記指示取得部が前記外部装置から前記エラーセクタのリカバリの指示を取得した場合、読み出しのためのパラメータであるリードパラメータの調整を行う調整部と、
前記調整部により調整されたリードパラメータを用いて前記エラーセクタの読み出しを行う読み出し部と
を備える制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−84465(P2008−84465A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264816(P2006−264816)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】