説明

記憶装置及びその作製方法並びに半導体装置及びその作製方法

【課題】不揮発性であり、作製が簡単であり、追記が可能な記憶装置、半導体装置を提供することを課題とする。
【解決手段】一対の導電層間に組成物層が挟まれた単純な構造の記憶素子を有することを特徴とする。上記特徴により、不揮発性であり、作製が簡単であり、追記が可能な記憶装置を提供することができる。また、複数のメモリセル、第1の方向に延在する複数のビット線、及び第1の方向と垂直な第2の方向に延在する複数のワード線を有することを特徴とする。複数のメモリセルの各々は記憶素子を有する。記憶素子は、ビット線を構成する第1の導電層と、ワード線を構成する第2の導電層と、光学的作用により硬化する組成物層を有することを特徴とする。組成物層は、第1の導電層と第2の導電層の間に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを記憶する記憶装置に関する。また、本発明は、データを記憶する記憶装置を含み、非接触でデータの交信が可能な半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データを記憶する記憶装置の開発が進められている。記憶装置としては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、マスクROM(Read Only Memory)、EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリなどがある。
【0003】
また、近年、無線によるデータの送受信が可能な半導体装置の開発が進められている。このような半導体装置は、ICチップ、ICタグ、IDチップ、IDタグ、RF(Radio Frequency)チップ、RFタグ、無線チップ、無線タグ、電子チップ、電子タグ、RFID(Radio Frequency Identification)、トランスポンダとよばれ、一部の市場で導入が開始されている(例えば、特許文献1参照)。このような半導体装置には、データを記憶する記憶装置が設けられている。
【特許文献1】特開2004−282050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記に挙げた記憶装置のうち、DRAM、SRAMは揮発性であり、電源をオフするとデータが消去されてしまうため、電源をオンする度にデータを書き込む必要がある。FeRAMは不揮発性であるが、強誘電体層を含む容量素子を用いているため、作製工程が増加してしまう。マスクROMは、簡単な構造であるが、製造工程でデータを書き込む必要があり、製造後にデータを追記することはできない。EPROM、EEPROM、フラッシュメモリは、不揮発性であるが、2つのゲート電極を含む素子を用いているため、作製工程が増加してしまう。
【0005】
上記の実情を鑑み、本発明は、不揮発性であり、作製が簡単であり、追記が可能な記憶装置を提供することを課題とする。また、不揮発性であり、作製が簡単であり、追記が可能な記憶装置を含む半導体装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一対の導電層間に、光硬化する(光学的作用により硬化する)組成物層(組成物を含む層)が挟まれた単純な構造の記憶素子を有する記憶装置を提供することを特徴とする。上記特徴により、不揮発性であり、作製が簡単であり、追記が可能な記憶装置を提供することができる。
【0007】
本発明の記憶装置は、複数のメモリセル、第1の方向に延在する複数のビット線、及び第1の方向と垂直な第2の方向に延在する複数のワード線を有する。そして、複数のメモリセルの各々は記憶素子を有する。記憶素子は、ビット線を構成する第1の導電層と、ワード線を構成する第2の導電層と、光学的作用により硬化する組成物層(組成物を含む層)を有する。組成物層は、第1の導電層と第2の導電層の間に設けられている。
【0008】
本発明の記憶装置は、複数のメモリセルを有する。複数のメモリセルの各々は、記憶素子とトランジスタを有する。記憶素子は、第1の導電層と、第2の導電層と、光学的作用により硬化する組成物層(組成物を含む層)を有する。組成物層は、第1の導電層と第2の導電層の間に設けられている。
【0009】
本発明の半導体装置は、複数のメモリセルとアンテナとを有する。複数のメモリセルの各々は、記憶素子とトランジスタを有する。記憶素子は、第1の導電層と、第2の導電層と、光学的作用により硬化する組成物層(組成物を含む層)を有する。組成物層は、第1の導電層と第2の導電層の間に設けられている。
【0010】
アンテナは、電磁波を交流の電気信号に変換する機能を有する。また、本発明の半導体装置は、アンテナから供給される交流の電気信号を基に電源電位を生成し、生成した電源電位をメモリセルに供給する電源回路を有する。
【0011】
上記構成において、第1の導電層と第2の導電層の少なくとも一方は、透光性を有する。また、組成物層は、モノマー、オリゴマー及び硬化剤(光硬化剤ともよぶ)を含む。モノマーは、アクリル酸エステル類、スチレン類、エポキシ類、ビニルエーテル類、キャリア輸送性のユニットが導入されたアクリル酸エステル類(キャリア輸送性の置換基を含むアクリル酸エステル類)、キャリア輸送性のユニットが導入されたスチレン類(キャリア輸送性の置換基を含むスチレン類)、キャリア輸送性のユニットが導入されたエポキシ類(キャリア輸送性の置換基を含むエポキシ類)及びキャリア輸送性のユニットが導入されたビニルエーテル類(キャリア輸送性の置換基を含むビニルエーテル類)から選択された少なくとも1つである。また、オリゴマーは、アクリロイル基、スチリル基、エポキシ基及びビニルエーテル基から選択された少なくとも1つである。また、硬化剤は、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルケタール誘導体、アクリドン誘導体、チタノセン誘導体及びホスフィンオキシド誘導体から選択された少なくとも1つである。
【0012】
また、キャリア輸送性のユニット(キャリア輸送性の置換基)は、芳香族アミン、電子過剰型ヘテロ芳香環、縮合芳香環、電子欠如型ヘテロ芳香環又は典型金属キノリノール錯体である。より詳しくは、キャリア輸送性のユニット(キャリア輸送性の置換基)は、カルバゾール、トリフェニルアミン、チオフェン、ピロール、アントラセン、ピレン、ペリレン、ナフタレン、ピリジン、フェナントロリン、ビピリジン、イミダゾール、ジアゾ−ル又はトリアゾールである。
【0013】
本発明の記憶装置の作製方法は、基板上に第1の導電層を形成する工程と、第1の導電層に接するように、組成物を含む層を形成する工程と、組成物を含む層が硬化するように、組成物を含む層に光を照射する工程と、組成物を含む層に接するように、第2の導電層を形成する工程とを有し、組成物を含む層として、モノマー、オリゴマー及び硬化剤を含む層を形成することを特徴とする。
【0014】
本発明の半導体装置の作製方法は、基板上にトランジスタを形成する工程と、トランジスタ上に第1の絶縁層を形成する工程と、第1の絶縁層に設けられた開口部を介して、トランジスタに電気的に接続された第1の導電層を形成する工程と、第1の導電層に電気的に接続された第2の導電層を形成する工程と、第2の導電層に接するように、組成物を含む層を形成する工程と、組成物を含む層が硬化するように、組成物を含む層に光を照射する工程と、組成物を含む層に接するように、第3の導電層を形成する工程とを有し、組成物を含む層として、モノマー、オリゴマー及び硬化剤を含む層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の記憶装置は、一対の導電層間に、光学的作用により硬化する組成物層が挟まれた構造の記憶素子を有することを特徴とする。上記記憶素子は、構造が簡単なために作製が簡単であり、安価な記憶装置を提供することができる。また、メモリセルの面積を小型化することが容易であるために高集積化が容易であり、大容量の記憶装置を提供することができる。
【0016】
また、本発明の記憶装置は、光学的作用によりデータの書き込みを行うものであり、不揮発性であって、データの追記が可能であることを特徴とする。上記特徴により、書き換えによる偽造を防止してセキュリティを確保しつつ、新たなデータを追記することができる。従って、本発明は、多機能化と高機能化と高付加価値化を実現した記憶装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明の記憶装置は、電気的作用によりデータの書き込みを行うものであり、不揮発性であって、データの追記が可能であることを特徴とする。なお、本発明の記憶装置へのデータの追記は、記憶装置作製後、もしくは記憶装置を有する半導体装置作製後に行われても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
(実施の形態1)
【0019】
本発明の記憶装置の構成について、図面を参照して説明する。より詳しくは、パッシブマトリクス型の記憶装置の構成について説明する。
【0020】
本発明の記憶装置は、絶縁表面を有する基板30上に、第1の方向に延在する第1の導電層27と、第1の方向と垂直な第2の方向に延在する第2の導電層28と、第1の導電層27と第2の導電層28の間に設けられた組成物層29を有する(図1(A)〜(C)参照、図1(A)のA−Bと図1(B)のA−Bは対応し、図1(A)のC−Dと図1(C)のC−Dは対応する)。第1の導電層27、組成物層29及び第2の導電層28の積層体は、記憶素子80に相当する。隣接する第1の導電層27の間には、絶縁層33が設けられている場合がある(図1(C)参照)。第1の導電層27と第2の導電層28は、ストライプ状に設けられている(図1(B)(C)参照)。
【0021】
また、隣接する記憶素子80の間に絶縁層33が設けられていない場合もあり、第1の導電層27と組成物層29は、互いに重なるように設けられている(図1(B)参照)。記憶素子80が含む第1の導電層27と第2の導電層28の一方を第1の電極とよび、第1の導電層27と第2の導電層28の他方を第2の電極とよぶことがある。
【0022】
基板30は、ガラス基板、可撓性基板、石英基板、シリコン基板、金属基板、ステンレス基板等に相当する。可撓性基板とは、折り曲げることができる、フレキシブルな基板のことであり、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン等からなるプラスチック基板等に相当する。
【0023】
第1の導電層27と第2の導電層28は、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)等から選ばれた一種の元素または当該元素を複数含む合金からなる単層または積層構造を用いることができる。第1の導電層27と第2の導電層28は、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、印刷法又は液滴吐出法により形成する。液滴吐出法とは、導電性材料を含む組成物の液滴を選択的に吐出して、任意の場所に導電層を設ける方法であり、その方式によってはインクジェット法とも呼ばれている。
【0024】
本発明の記憶装置は、光学的作用によりデータの書き込みを行うため、第1の導電層27と第2の導電層28のうち、一方または両方が透光性を有することが必要である。透光性を有する導電層は、透光性のある導電性材料を用いて設けるか、または、透光性のある導電性材料でなくても、光を透過する厚さで導電性材料を用いて設けられる。透光性のある導電性材料は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)等の材料である。
【0025】
また、本発明の記憶装置は、光学的作用ではなく、電気的作用によりデータの書き込みを行う場合がある。その場合には、第1の導電層27と第2の導電層28として用いる材料の透明性(透光性)は特に必要とされない。
【0026】
本発明は、第1の導電層27と第2の導電層28の間に設けられる組成物層29として、光学的作用により硬化する性質を有する材料を用いることを特徴する。組成物層29は、モノマー、オリゴマー及び硬化剤(光硬化剤ともよぶ)を含む。又は、組成物層29は、モノマー、オリゴマー、硬化剤及び添加剤を含む。組成物層29は、蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、スピンコート法、ゾル−ゲル法、印刷法、液滴吐出法等を用いて形成される。
【0027】
第1の導電層27、組成物層29及び第2の導電層28を含む記憶素子は、第1の導電層27を形成する工程と、第1の導電層27に接するように組成物層29を形成する工程と、光を照射して組成物層29を硬化させる工程と、硬化した組成物層29に接するように第2の導電層28を形成する工程とによって作製される。組成物層29に照射する光としては、組成物層29に含まれる硬化剤の吸収波長を有する光を発振する光源であればよく、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ等を用いるとよい。例えば、1〜380nmの波長に光を発振する光源を用いるとよい。
【0028】
モノマーとは、アクリル酸エステル類、スチレン類、エポキシ類、ビニルエーテル類等に相当する。また、モノマーとは、アクリル酸エステル類、スチレン類、エポキシ類、ビニルエーテル類等の重合性置換基に、キャリア輸送性のユニットが導入されたものである。キャリア輸送性のユニットは、カルバゾールやトリフェニルアミンなどの芳香族アミン、チオフェンやピロールなどの電子過剰型へテロ芳香環、アントラセンやピレン、ペリレン、ナフタレンなどの縮合芳香環、ピリジン、フェナントロリン、ビピリジン、イミダゾールやジアゾ−ル、トリアゾールなどの電子欠如型へテロ芳香環、典型金属キノリノール錯体等が挙げられる。
【0029】
オリゴマーとは、アクリロイル基、スチリル基、エポキシ基、ビニルエーテル基を少なくとも1つ以上有するものに相当する。また、オリゴマーとは、その分子量が500以上、好ましくは1000〜2000に相当する。
【0030】
硬化剤とは、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルケタール誘導体、アクリドン誘導体、チタノセン誘導体、ホスフィンオキシド誘導体等に相当する。
【0031】
添加剤とは、安定剤、フィラー、顔料に相当する。
【0032】
次に、上記とは異なる記憶装置の断面構造について説明する。記憶装置は、第1の導電層27と、絶縁層34、35と、組成物層29と、第2の導電層28を有する(図1(D)参照)。この構成では、第1の導電層27をストライプ状に形成後、絶縁層34、35を形成する。その後、基板30の全面に組成物層29と第2の導電層28を形成する。その際、基板30上に設けられた絶縁層34、35により、第2の導電層28が自己整合的に素子分離(分離)され、複数の記憶素子80が設けられる。
【0033】
また、断面構造は、上記の構造に制約されず、基板30上に、複数のトランジスタ(薄膜トランジスタ)を含む層79を設けて、複数のトランジスタを含む層79上に、複数の記憶素子80を含む層77を設けてもよい(図2(A)参照)。また、基板30としてシリコンからなる半導体基板やSOI基板を用いて、基板30をチャネル部として用いた複数のトランジスタ(電界効果トランジスタ)を含む層78を設けて、複数のトランジスタを含む層78上に、複数の記憶素子80を含む層77を設けてもよい(図2(B)参照)。
【0034】
なお、図2(A)(B)に示す複数の記憶素子80を含む層77では、隣接する記憶素子80の間に絶縁層が設けられていないが、図1(C)(D)に示すように、隣接する記憶素子80の間に、絶縁層を設けてもよい。
【0035】
また、本発明の記憶装置は、第1の導電層27、第2の導電層28及び組成物層29を含むメモリセルアレイ22、ビット線駆動回路26、ワード線駆動回路24及びインターフェイス回路23を有する(図3(A)参照)。
【0036】
メモリセルアレイ22は、第1の方向に延在する複数のビット線B1〜Bm(mは1以上の自然数)と、第1の方向と垂直な第2の方向に延在する複数のワード線W1〜Wn(nは1以上の自然数)と、マトリクス状に設けられた複数のメモリセル21を有する。複数のメモリセル21の各々は、記憶素子80を有する。記憶素子80は、ビット線Bx(1≦x≦m、xは1以上の自然数)を構成する第1の導電層27と、ワード線Wy(1≦y≦n、yは1以上の自然数)を構成する第2の導電層28と、第1の導電層27と第2の導電層28との間に設けられた組成物層29を有する。
【0037】
なお、第1の導電層27又は第2の導電層28と、組成物層29との間には、整流性を有する素子を設けてもよい。整流性を有する素子とは、ゲート電極とドレイン電極を接続したトランジスタ又はダイオードに相当する。ダイオードは、PN接合を有するダイオード、PIN接合を有するダイオード、アバランシェダイオード等の他の構成のダイオードを用いてもよい。このように、整流性を有する素子を設けることにより、記憶素子80の電流の流れる方向が一方向となり、誤差が減少し、電気的作用によるデータの読み出しの動作をより正確に行うことができる。
【0038】
ワード線駆動回路24は、ロウデコーダ24aとレベルシフタ24bを有する。ビット線駆動回路26は、カラムデコーダ26a、読み出し回路26b及びセレクタ26cを有する。インターフェイス回路23は、外部から入力される信号をワード線駆動回路24やビット線駆動回路26に供給したり、ビット線駆動回路26から出力される信号を外部に供給したりする回路である。なお、上記の構成はあくまで一例であり、センスアンプ、出力回路、バッファ回路等の他の回路を有していてもよい。
【0039】
次に、本発明の記憶装置に対する、データの書き込み動作について説明する。本発明の記憶装置は、データの書き込みを光学的作用により行うことを特徴とする。より詳しくは、一対の導電層のうち、透光性を有する導電層側から、ランプ81を用いて、組成物層29に光を照射し、データの書き込みを行う(図1(B)参照)。本発明は、ランプ81(光源81)が照射された組成物層29を含む記憶素子は、ランプ81が照射されていない組成物層29を含む記憶素子と比較すると、抵抗値が大きくなる又は抵抗値が小さくなることを利用するものである。例えば、光を照射していない組成物層29を含む記憶素子を「0」のデータとする場合、「1」のデータを書き込む場合は、組成物層29に光を照射する。特に、組成物層29が含むキャリア輸送に関わる置換基(光を吸収する置換基)に光を照射する。
【0040】
なお、図1(B)では、第2の導電層28が透光性を有しているため、第2の導電層28側(基板30の上側であって、第2の導電層28が基板30とランプ81に挟まれるよう)にランプ81が設けられている。しかしながら、第1の導電層27が透光性を有している場合、第1の導電層27側(基板30の下側であって、第2の導電層28が基板30とランプ81に挟まれるよう)にランプ81を設けてもよい。
【0041】
データの書き込み動作の際に用いるランプ81としては、硬化剤の吸収波長を有する光を発振するランプを用いるとよく、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ等を用いる。また、データの書き込みの際には、レーザーを用いてもよい。
【0042】
つまり、データの書き込み動作の際に用いる光源(ランプ81)は、組成物層29の吸収波長を有する光を発振する光源を用いるとよい。光源により、組成物層29にエネルギーを与えられると、記憶素子80の抵抗値が変化する。具体的には、光源により、組成物層29にエネルギーを与えて、組成物層29の温度を上昇させて記憶素子80の抵抗値を変化させる。
【0043】
また、本発明の記憶装置に対するデータの書き込みは、光学的作用だけではなく、電気的作用により行うことを特徴とする。具体的には、記憶素子が含む一対の導電層間に、所定の電圧を印加して、記憶素子80の抵抗値を変化させることにより行う。所定の電圧が印加された記憶素子80は、他の記憶素子80と比較すると抵抗値が大幅に小さくなる。このように、電気的作用を加えることにより、記憶素子80の抵抗値が変化することを利用してデータの書き込みを行う。例えば、電気的作用を加えていない記憶素子80を「0」のデータとする場合、「1」のデータを書き込む場合、選択された記憶素子80に電圧を印加して、短絡させるように電流を流すことによって、短絡させる。
【0044】
また、本発明は、記憶素子80に所定の電圧を印加して、記憶素子80を短絡させることによりデータを書き込む形態に制約されない。記憶素子80の素子構造や印加する電圧値を調整することにより、記憶素子80に所定の電圧を印加して、一対の導電層間の有機化合物層を高抵抗化(絶縁化)させることによりデータを書き込む形態を用いてもよい。この場合、高抵抗化した有機化合物層を含む記憶素子は、他の記憶素子と比較すると、抵抗値が大幅に高くなる。このように、電気的作用を加えることにより、記憶素子の抵抗値が変化することを利用してデータの書き込みを行う。例えば、電気的作用を加えていない記憶素子を「0」のデータとする場合、「1」のデータを書き込む場合、選択された記憶素子に電圧を印加して一対の導電層間の有機化合物層を高抵抗化させる。
【0045】
次に、本発明の記憶装置に対する、データの読み出し動作について説明する(図3(B)参照)。本実施の形態では、読み出し回路26bは、抵抗素子46とセンスアンプ47を含む構成とする。
【0046】
本発明の記憶装置は、データの読み出しを電気的作用により行うことを特徴とする。より詳しくは、第1の導電層27と第2の導電層28の間に電圧を印加して、組成物層29の抵抗値を読み取ることにより、データの読み出しを行う。つまり、データの書き込みを光学的作用により行った場合、光学的作用を加えていない記憶素子の抵抗値R1と、光学的作用を加えた記憶素子の抵抗値R2は、互いに異なる。本発明は、このような記憶素子の抵抗値の相違を電気的に読み取ることにより、データの読み出しを行う。
【0047】
また、データの書き込みを電気的作用により行った場合、電気的作用を加えていない記憶素子の抵抗値R3と、電気的作用を加えた記憶素子の抵抗値R4は、互いに異なる。このような記憶素子の抵抗値の相違を電気的に読み取ることにより、データの読み出しを行う。
【0048】
例えば、メモリセルアレイ22が含む複数のメモリセル21から、x列目y行目に配置されたメモリセル21のデータの読み出しを行う場合、まず、ロウデコーダ24a、カラムデコーダ26a、セレクタ26cにより、x列目のビット線Bxと、y行目のワード線Wyを選択する。そうすると、選択されたメモリセル21が含む記憶素子80と、抵抗素子46は、直列に接続された状態となる。記憶素子80を抵抗素子とみなすと、直列に接続された2つの抵抗素子の両端に電圧が印加されると、ノードαの電位は、組成物層29の抵抗値に従って、抵抗分割された電位(抵抗素子の一端の電位よりも低い電位)となる。ノードαの電位は、センスアンプ47に供給され、当該センスアンプ47において、「0」と「1」のどちらの情報を有しているかを判別される。その後、センスアンプ47において判別された「0」と「1」の情報を含む信号は、外部に出力される。
【0049】
なお、上記の読み出し動作では、組成物層29の抵抗値は、抵抗分割を利用して、電圧値で読み取っている。しかしながら、組成物層29の抵抗値は、電流値により読み取ってもよい。例えば、組成物層29に光学的作用を加えていないときの電流値I1と、光学的作用を加えたときの電流値I2は、I1>I2を満たすことを利用して、データの読み出し動作を行う。
【0050】
上記構成を有する本発明は、一対の導電層の間に組成物層を設ける単純な構成を有するため、作製工程が簡単であり、安価な記憶装置を提供することができる。また、不揮発性メモリであるため、データを保持するための電池を内蔵する必要がなく、小型、薄型、軽量の記憶装置を提供することができる。また、組成物層として不可逆な材料を用いることにより、データの追記は可能であるが、データの書き換えを行うことはできないため、偽造を防止し、セキュリティを確保した記憶装置を提供することができる。
(実施の形態2)
【0051】
本発明の記憶装置の構成について、図面を参照して説明する。より詳しくは、アクティブマトリクス型の記憶装置の構成について説明する。
【0052】
本発明の記憶装置は、メモリセル221がマトリクス状に設けられたメモリセルアレイ222、カラムデコーダ226aと読み出し回路226bとセレクタ226cとを含むビット線駆動回路226、ロウデコーダ224aとレベルシフタ224bを含むワード線駆動回路224、インターフェイス回路223を有する(図4参照)。メモリセル221は、ビット線Bx(1≦x≦m)を構成する第1の配線と、ワード線Wy(1≦y≦n)を構成する第2の配線と、トランジスタ240と、記憶素子241とを有する。記憶素子241は、一対の導電層の間に、組成物層が挟まれた構造を有する。
【0053】
次に、本発明の記憶装置に対する、データの書き込み動作について説明する。本発明の記憶装置は、データの書き込みを光学的作用により行うことを特徴とする。より詳しくは、一対の導電層のうち、透光性を有する導電層側から、組成物層29に光を照射することにより、データの書き込みを行う。そして、本発明は、光が照射された組成物層29は、光が照射されていない組成物層29と比較すると、抵抗値が大きくなる又は抵抗値が小さくなることを利用するものであり、例えば、光を照射していない組成物層29を「0」のデータとする場合、「1」のデータを書き込む場合は、組成物層29に光を照射する。
【0054】
また、本発明の記憶装置は、データの書き込みを電気的作用により行うことを特徴とする。具体的には、記憶素子が含む一対の導電層間に、所定の電圧を印加して、記憶素子80の抵抗値を変化させることにより行う。
【0055】
次に、本発明の記憶装置に対する、データの読み出し動作について説明する。本発明の記憶装置は、データの読み出しを電気的作用により行うことを特徴とする。より詳しくは、第1の導電層27と第2の導電層28の間に電圧を印加して、組成物層29の抵抗値を読み取ることにより、データの読み出しを行う。
【0056】
例えば、メモリセルアレイ222が含む複数のメモリセル221から、x列目y行目に配置されたメモリセル221のデータの読み出しを行う場合、まず、ロウデコーダ224a、カラムデコーダ226a、セレクタ226cにより、x列目のビット線Bxと、y行目のワード線Wyを選択する。そうすると、選択されたメモリセル221が含むトランジスタ240はオン状態になり、トランジスタ240に接続された記憶素子241の抵抗値を読み取ることにより、データの読み出しを行う。
【0057】
次に、上記構成を有するメモリセルアレイ222の上面構造と断面構造について、図5を参照して説明する。図5(A)のa−bと図5(B)のa−bは対応する。
【0058】
メモリセルアレイ222は、絶縁表面を有する基板230上にスイッチング素子として機能するトランジスタ240と、記憶素子241とを複数有する(図5(A)〜(C)参照)。また、図示する構成では、メモリセルアレイ222の周囲に設けられるワード線駆動回路224が含む複数のトランジスタを含む層248を示す。記憶素子241は、第1の導電層243、第2の導電層245及び組成物層244を有する。組成物層244は第1の導電層243と第2の導電層245間に設けられている。また、隣接する組成物層244の間に絶縁層249が設けられている(図5(B)(C)参照)。
【0059】
なお、図5(A)のメモリセルアレイ222の上面図では、組成物層244と第2の導電層245の図示を省略する。
【0060】
また、記憶素子241が含む第1の導電層243は、トランジスタ240のソース配線又はドレイン配線を兼ねていてもよいし(図5(B)参照)、トランジスタ240のソース配線又はドレイン配線とは、別に設けてもよい(図5(C)参照)。
【0061】
また、上記構成では、組成物層244を全面に設けた形態を示すが、少なくとも第1の導電層243に接するように組成物層244を選択的に設けてもよい。組成物層244選択的に設けることにより材料の利用効率を向上させることが可能となる。なお、組成物層244を選択的に設ける際には、液滴吐出法を用いるとよい。
【0062】
また、トランジスタ240のソース配線およびドレイン配線を覆うように、絶縁層250を設け、当該絶縁層250上に第1の導電層243を設けてもよい(図6(A)〜(C)参照)。
【0063】
この場合、組成物層244は全面に設けてもよいし(図6(B)参照)、組成物層244は少なくとも第1の導電層243に接するように選択的に設けてもよい(図6(C)参照)。組成物層244を選択的に設ける場合は、隣接する組成物層244の間に絶縁層249を設けるとよい。
【0064】
なお、図6(A)のメモリセルアレイ222の上面図では、組成物層244と第2の導電層245の図示を省略する。
【0065】
図5に示す構成では、記憶素子241の第1の導電層243を設ける領域は、トランジスタ240のソース配線及びドレイン配線として機能する導電層以外の領域に制約されていた。しかし、図6に示す構成では、絶縁層250を設けることにより、記憶素子241の第1の導電層243を設ける領域に制限がなくなる。従って、記憶素子をより多く設けることができ、高集積化が可能となる。
【0066】
上記の構成において、トランジスタ240はスイッチング素子として機能し得るものであれば、どのような構成で設けてもよい。例えば、シリコン(Si)等の半導体基板を用いた電界効果トランジスタを用いたり、ガラス基板や可撓性を有する基板上に設けた薄膜トランジスタを用いたり、有機半導体を含む有機トランジスタを用いてもよい。
【0067】
上記構成を有する本発明は、一対の導電層の間に組成物層を設ける単純な構成を有するため、作製工程が簡単であり、安価な記憶装置を提供することができる。また、不揮発性メモリであるため、データを保持するための電池を内蔵する必要がなく、小型、薄型、軽量の記憶装置を提供することができる。また、組成物層として不可逆な材料を用いることにより、データの追記は可能であるが、データの書き換えを行うことはできないため、偽造を防止し、セキュリティを確保した記憶装置を提供することができる。
【0068】
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
【0069】
本発明の半導体装置の構成について、図面を参照して説明する。より詳しくは、アンテナ、記憶素子及びトランジスタを含み、非接触でデータの交信が可能な半導体装置の構成について説明する。
【0070】
まず、基板350上に複数のトランジスタを含む層451が設けられ、複数のトランジスタを含む層451上に複数の記憶素子を含む記憶素子部352とアンテナ部353が設けられた構成について、図7(A)を参照して説明する。
【0071】
上記構成では、複数のトランジスタを含む層451の上方に、記憶素子部352とアンテナ部353が設けられた構成を示すが、複数のトランジスタを含む層451と同じ層に記憶素子部352とアンテナ部353を設けてもよいし、複数のトランジスタを含む層451の下方に、記憶素子部352とアンテナ部353を設けてもよい。
【0072】
複数のトランジスタを含む層451が含む複数のトランジスタは、記憶素子部352の動作の制御やアンテナ部353の動作の制御を行う回路を構成する。
【0073】
記憶素子部352は、パッシブマトリクス型の構成を有する。記憶素子部352は、第1の導電層361、組成物層362及び第2の導電層363が積層して設けられ、第2の導電層363を覆って保護層として機能する絶縁層366が設けられている。また、隣接する組成物層362の間に絶縁層364が設けられている。
【0074】
上記構成では、組成物層362は選択的に設けられた構成を示すが、組成物層362は第1の導電層361を覆うように全面に設けてもよい。
【0075】
アンテナ部353は、アンテナとして機能する導電層355を有する。導電層355は、第1の導電層361と同一の層に設けられている。従って、導電層355と第1の導電層361を同一の材料により同一の工程を経て、設けられたものである。
【0076】
上記構成では、導電層355は、第1の導電層361と同一の層に設けられた構成を示すが、導電層355は、絶縁層364または絶縁層366上に設けてもよい。導電層355を絶縁層364上に設ける場合、導電層355と第2の導電層363を同一の材料により、同一の工程を経て設けるとよい。
【0077】
アンテナとして機能する導電層355の材料には、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)等から選ばれた一種の元素または当該元素を複数含む合金等を用いることができる。また、導電層355の形成方法は、蒸着、スパッタ、CVD法、スクリーン印刷やグラビア印刷等の各種印刷法または液滴吐出法等を用いることができる。
【0078】
次に、上記に示す構成とは、記憶素子部356の構成が異なる半導体装置の構成について、図7(B)を参照して説明する。
【0079】
記憶素子部356は、アクティブマトリクス型の構成を有する。記憶素子部356は、第1の導電層371、組成物層372及び第2の導電層373が積層して設けられており、第2の導電層373を覆うように保護膜として絶縁層376が設けられている。
【0080】
上記構成では、第1の導電層371の端部を覆うように絶縁層374が設けられており、絶縁層374上に組成物層372が選択的に設けられているが、組成物層372は、第1の導電層371と絶縁層374を覆うように全面に設けてもよい。
【0081】
次に、複数の素子(トランジスタ)および記憶素子が設けられた基板に端子部を設け、当該端子部に別の基板に設けられたアンテナを接続させる半導体装置の構成について、図面を参照して説明する。
【0082】
まず、基板350上に複数のトランジスタを含む層451が設けられ、複数のトランジスタを含む層451の上方に記憶素子部352が設けられ、基板365にはアンテナ部357が設けられた構成について、図8(A)を参照して説明する。基板350と基板365は、複数のトランジスタを含む層451とアンテナ部357が電気的に接続するように、貼り合わされている。
【0083】
上記構成では、複数のトランジスタを含む層451の上方に記憶素子部352又はアンテナ部353が設けられているが、記憶素子部352を複数のトランジスタを含む層451の下方や同一の層に形成してもよいし、アンテナ部353を複数のトランジスタを含む層451の下方に設けてもよい。
【0084】
また、複数のトランジスタを含む層451と記憶素子部352とを含む基板350と、アンテナ部357が設けられた基板365は、導電性粒子359を含む樹脂層375を介して貼り合わされている。複数のトランジスタを含む層451と、アンテナ部357が含む導電層358は、樹脂層375中に含まれる導電性粒子359を介して電気的に接続されている。
【0085】
また、導電性粒子359を含む樹脂層375ではなく、銀ペースト、銅ペースト、カーボンペースト等の導電性接着剤を用いる方法、半田接合を用いる方法により、基板350と基板365を貼り合わせてもよい。
【0086】
記憶素子部352は、パッシブマトリクス型の構成を有する。記憶素子部352は、第1の導電層361、組成物層362及び第2の導電層363が積層して設けられ、第2の導電層363を覆って保護層として機能する絶縁層366が設けられている。
【0087】
次に、上記に示す構成とは、記憶素子部の構成が異なる半導体装置の構成について図8(B)を参照して説明する。
【0088】
記憶素子部356は、アクティブマトリクス型の構成を有する。記憶素子部356は、第1の導電層371、組成物層372及び第2の導電層373が積層して設けられており、第2の導電層373を覆うように保護膜として絶縁層376が設けられている。
【0089】
なお、図8(A)に示す記憶素子部352、図8(B)に示す記憶素子部356は、隣接する記憶素子の間に絶縁層が設けられていないが、必要に応じて、隣接する記憶素子の間に、絶縁層を設けてもよい。
【0090】
上記構成を有する本発明は、一対の導電層の間に組成物層を設ける単純な構成を有するため、作製工程が簡単であり、安価な記憶装置を含む半導体装置を提供することができる。また、不揮発性メモリであるため、データを保持するための電池を内蔵する必要がなく、小型、薄型、軽量の記憶装置を含む半導体装置を提供することができる。また、組成物層として不可逆な材料を用いることにより、データの追記は可能であるが、データの書き換えを行うことはできないため、偽造を防止し、セキュリティを確保した記憶装置を含む半導体装置を提供することができる。
【0091】
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
【実施例1】
【0092】
非接触でデータの送受信が可能な半導体装置であって、本発明の記憶装置を含む半導体装置の構成について、図面を参照して説明する。
【0093】
半導体装置20は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路11、クロック発生回路12、データ復調変調回路13(データを復調する復調回路とデータを変調する変調回路とを含む回路)、制御回路14、インターフェイス回路15、記憶装置16、データバス17、アンテナ18を有する(図9(A)参照)。なお、半導体装置20は上記構成に制約されず、例えば、電源電圧のリミッタ回路や暗号処理専用ハードウエアといった他の要素を追加した構成であってもよい。
【0094】
アンテナ18は、電磁波を交流の電気信号に変換する。電源回路11は、アンテナ18から入力された交流の電気信号を基に、半導体装置の内部の各回路に供給する各種電源電位を生成する回路である。また、電源回路11は、生成した電源電位を各回路に供給する回路である。クロック発生回路12は、アンテナ18から入力された交流信号を基に、半導体装置内の各回路に供給する各種クロック信号を生成する回路である。データ復調変調回路13は、リーダライタ19と交信するデータを復調又は変調する機能を有する。制御回路14は、記憶装置16を制御する機能を有する。アンテナ18は、電磁波の送受信を行う機能を有する。リーダライタ19は、半導体装置との交信、制御及びそのデータに関する処理を制御する。記憶装置16は、上記実施の形態で示したいずれかの構成が適用されたものであるが、必要に応じて、DRAM、SRAM等の他の構成の記憶装置を併用して設けてもよい。
【0095】
次に、本発明の半導体装置を実際に使用するときの一形態について説明する。
【0096】
表示部321を含む携帯端末にリーダライタ320が設けられており、物品322の側面に半導体装置323が設けられている場合における、物品322に関する情報の取得の方法について説明する(図9(B)参照)。物品322が含む半導体装置323にリーダライタ320をかざすと、物品322の原材料や原産地、生産工程毎の検査結果や流通過程の履歴等、商品の説明等の物品322に関する情報が、リーダライタ320を介して、表示部321に表示される。このように、半導体装置323を活用することで、物品322の固有の情報を素早く簡単に取得することができる。
【0097】
また、上記とは異なる使用形態として、ベルトコンベアにリーダライタ324が設けられており、物品326に半導体装置325が設けられている場合における、物品326の検品の方法について説明する(図9(C)参照)。物品326に貼り付けられた半導体装置325には、予め、物品326の識別番号が記憶されており、ベルトコンベアにより物品326が搬送されると、それに伴い、リーダライタ324により半導体装置325の識別番号が読み取られる。このように、半導体装置325を活用することで、検品を簡単に行うことができる。
【0098】
このように、あらゆるシステムに半導体装置を活用することにより、高機能化と高付加価値化を実現することができる。
【0099】
本実施例は、上記実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【実施例2】
【0100】
本発明の記憶装置、半導体装置の用途は広範にわたるが、例えば、情報を記憶して表示する電子機器に用いることができる。電子機器として、例えばテレビジョン装置、コンピュータ、携帯情報端末(携帯電話装置、電子手帳、PDA等)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどのカメラ、ナビゲーションシステム等に利用することができる。本発明の記憶装置、半導体装置を、携帯電話装置に適用した場合に関して図10を用いて説明する。
【0101】
携帯電話は、筐体2700、2706、パネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703、操作ボタン2704、バッテリー2705を有する。パネル2701はハウジング2702に脱着自在に組み込まれ、ハウジング2702はプリント配線基板2703に嵌着される。ハウジング2702はパネル2701が組み込まれる電子機器に合わせて、形状や寸法が適宜変更される。プリント配線基板2703には、パッケージングされた複数の記憶装置、半導体装置が実装されており、このうちの1つとして、本発明の記憶装置、半導体装置を用いることができる。また、本発明の半導体装置以外に、コントローラ、中央処理ユニット(CPU、Central Processing Unit)、電源回路、音声処理回路、送受信回路等から選択された一つの機能を有する半導体装置がプリント配線基板2703に実装される。
【0102】
パネル2701は、接続フィルム2708を介して、プリント配線基板2703と接続される。上記のパネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703は、操作ボタン2704やバッテリー2705と共に、筐体2700、2706の内部に収納される。パネル2701が含む画素部2709は、筐体2700に設けられた開口窓から視認できるように配置されている。
【0103】
本発明の半導体装置は、単純な構造の記憶装置を有することを特徴としており、上記特徴により、安価で、高集積化された記憶装置を含む半導体装置を用いた電子機器を提供することができる。さらに、本発明の半導体装置は、不揮発性であって、追記が可能な記憶装置を有することを特徴としており、上記特徴により、高機能化と高付加価値化を実現した電子機器を提供することができる。
【0104】
本発明の半導体装置は非接触でデータを交信する機能を有し、その用途は広範にわたるものである。以下にはその用途の具体例について説明する。本発明の半導体装置20は、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図11(A)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図11(B)参照)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等、図11(C)参照)、乗物類(自転車等、図11(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等、図11(E)参照)、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等の物品に設けて活用することができる。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(単にテレビ、テレビ受像機やテレビジョン受像機とも呼ぶ)、携帯電話等を指す。
【0105】
本発明の半導体装置20は、プリント基板に実装したり、表面に貼ったり、埋め込んだりして、物品に固定される。例えば、本なら紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりして、各物品に固定される。本発明の半導体装置20は、小型、薄型、軽量を実現することができるため、物品に固定した後も、その物品自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類等に本発明の半導体装置20を設けることにより、認証機能を設けることができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に本発明の半導体装置を設けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。
【実施例3】
【0106】
温度や圧力等の各種情報が測定可能なセンサ部を含む本発明の半導体装置について、図12を参照して説明する。
【0107】
本発明の半導体装置の断面構造について、図12(A)を参照して説明する。本発明の半導体装置は、基板350上に、複数のトランジスタを含む層451と光センサ951が設けられ、複数のトランジスタを含む層451と光センサ951の上方に、アンテナ955、記憶素子954及び温度センサ953が設けられている。
【0108】
光センサ951は、光のエネルギーによって、電流が流れる素子であり、フォトダイオード、フォトトランジスタ等に相当する。図示する光センサ951は、P層、I層、N層が隣接して設けられたPIN接合のフォトダイオードである。光センサ951が検出した情報は、トランジスタを介して、外部に出力される。
【0109】
温度センサ953は、一対の導電層間に有機化合物層956が設けられたダイオードであり、温度センサ953が含む一対の導電層の一方には定電流源が接続されている。従って、温度センサ953には、定電流源により、一定の電流が供給されている。
【0110】
一対の導電層間に有機化合物層956が設けられたダイオードは、温度依存性があり、具体的には、室温よりも高温になると、ダイオードの抵抗値は下がり、室温よりも低温になると、ダイオードの抵抗値は上がる。温度センサ953には、定電流源から一定の電流が供給されているため、環境温度の変化が生じても、温度センサ953の電流値は変わらない。しかし、環境温度が変化すると、温度センサ953が含む一対の導電層の一方の電位は変化する。このように、温度センサ953は、環境温度が変化すると、その変化に応じて、温度センサ953の一対の電極の一方の電位が変化することを利用したセンサである。温度センサ953が検出した情報は、トランジスタを介して、外部に出力される。
【0111】
記憶素子954は、一対の導電層間に組成物層957が設けられたダイオードである。
【0112】
なお、温度センサ953が含む有機化合物層956と、記憶素子954が含む組成物層957は、同一の層に設けられているにも関わらず、異なる材料から形成されているために、作り分けが必要である。そこで、有機化合物層956と組成物層957は、作り分けを簡単に行うことが可能な液滴吐出法を用いて形成するとよい。
【0113】
次に、半導体装置の構成について、図12(B)を参照して説明する。本発明の半導体装置は、アンテナ902、演算処理回路部903、記憶回路部904、通信回路部905、電源回路部907、センサ部908を有する。
【0114】
センサ部908は、センサ906とセンサ回路909を有する。センサ部908は、温度、湿度、照度、気体、重力、圧力、音、振動、加速度、その他の特性を物理的又は化学的手段により検出するセンサと、センサを制御するセンサ回路を含む。センサ部908が含むセンサには、抵抗素子、光起電力素子、熱起電力素子、トランジスタ、サーミスタ、ダイオード等の素子を含む。センサ回路909はインピーダンス、リアクタンス、インダクタンス、電圧又は電流の変化を検出し、アナログ/デジタル変換して演算処理回路部903に信号を出力する。
【0115】
記憶回路部904は、センサ部908やアンテナ902を経由して受信した外部からの情報を随時記録することができる。記憶回路部904は、センサ部908で検知した信号を格納する第1の記憶回路部910と、リーダライタ装置から書き込まれた情報を記録する第2の記憶回路部911を含む。第1の記憶回路部910はセンサ部908で検知した情報を記録するために、逐次書き込みを可能とするとよい。
【0116】
通信回路部905は、復調回路912、変調回路913を含む。復調回路912は、アンテナ902を経由して入力される信号を復調して、演算処理回路部903に出力する。信号にはセンサ部908を制御する信号や、記憶回路部904に記憶させる情報を含んでいる。また、センサ回路909から出力される信号や、記憶回路部904から読み出された情報は、演算処理回路部903を通して変調回路913に出力される。変調回路913は、この信号を無線通信可能な信号に変調して、アンテナ902を介して外部装置に出力する。
【0117】
演算処理回路部903、センサ部908、記憶回路部904及び通信回路部905を動作させるのに必要な電力は、アンテナ902を介して供給される。なお、使用形態によっては、バッテリーを内蔵した構成としてもよい。
【0118】
温度や圧力等の情報を検出できるセンサ部908を有することにより、センサ部908が検出した様々な情報を記憶回路部904に記憶して管理することができる。
【0119】
例えば、食品にガスセンサを含む半導体装置を設け、食品の状態を管理することができる。具体的には、腐敗しやすい食品等にガスセンサを有する半導体装置を設け、食品から発せられる腐敗ガスを検知する。検知したデータは、半導体装置内の記憶回路部904に記憶され、記憶されたデータは、陳列棚またはベルトコンベアの脇に設けられたリーダライタで定期的に読み取ることにより、食品の鮮度を管理し、なおかつ、腐敗が開始した食品を選別することができる。
【0120】
また、人体の表面または内部に、温度センサ、圧力センサ等のセンサを有する半導体装置を設けて脈拍数、心拍数、体温、血圧、心電図、筋電図等の生体情報を記憶回路部904に記憶することができる。本発明の半導体装置は、薄型、小型であるため、人体を拘束せずに生体情報を読み取ることができる。また、記憶された情報をリーダライタで定期的に読み取ることにより、人体の健康状態や運動状態の管理や疾病の予防、予測が可能となる。また、インターネット等のネットワークを用いて、リーダライタで読み取った生体情報を得ることで、在宅医療監視システム等が可能となる。このように、センサ部を設けた半導体装置は、様々な用途で用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の記憶装置の構成を説明する図。
【図2】本発明の記憶装置の構成を説明する図。
【図3】本発明の記憶装置の構成を説明する図。
【図4】本発明の記憶装置の構成を説明する図。
【図5】本発明の記憶装置の構成を説明する図。
【図6】本発明の記憶装置の構成を説明する図。
【図7】本発明の半導体装置の構成を説明する図。
【図8】本発明の半導体装置の構成を説明する図。
【図9】本発明の半導体装置の構成を説明する図。
【図10】本発明の記憶装置が組み込まれた電子機器を示す図。
【図11】本発明の半導体装置の使用形態を説明する図。
【図12】本発明の半導体装置の構成を説明する図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶素子を含むメモリセルを複数個と、第1の方向に延在する複数のビット線と、前記第1の方向と垂直な第2の方向に延在する複数のワード線と、を有し、
前記記憶素子は、前記ビット線を構成する第1の導電層と、前記ワード線を構成する第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層の間に設けられ、光硬化する組成物を含む層と、を有することを特徴とする記憶装置。
【請求項2】
記憶素子とトランジスタを含むメモリセルを複数個有し、
前記記憶素子は、第1の導電層と、第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層の間に設けられ、光硬化する組成物を含む層と、を有することを特徴とする記憶装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記第1の導電層と前記第2の導電層の少なくとも一方は、透光性を有することを特徴とする記憶装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、
前記組成物を含む層は、モノマー、オリゴマー及び硬化剤を有することを特徴とする記憶装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2において、
前記組成物を含む層は、モノマー、オリゴマー及び硬化剤を有し、
前記モノマーは、アクリル酸エステル類、スチレン類、エポキシ類、ビニルエーテル類、キャリア輸送性の置換基を含むアクリル酸エステル類、キャリア輸送性の置換基を含むスチレン類、キャリア輸送性の置換基を含むエポキシ類及びキャリア輸送性の置換基を含むビニルエーテル類から選択された少なくとも1つであり、
前記オリゴマーは、アクリロイル基、スチリル基、エポキシ基及びビニルエーテル基から選択された少なくとも1つであり、
前記硬化剤は、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルケタール誘導体、アクリドン誘導体、チタノセン誘導体及びホスフィンオキシド誘導体から選択された少なくとも1つであることを特徴とする記憶装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記キャリア輸送性の置換基は、芳香族アミン、電子過剰型ヘテロ芳香環、縮合芳香環、電子欠如型ヘテロ芳香環又は典型金属キノリノール錯体であることを特徴とする記憶装置。
【請求項7】
請求項5において、
前記キャリア輸送性の置換基は、カルバゾール、トリフェニルアミン、チオフェン、ピロール、アントラセン、ピレン、ペリレン、ナフタレン、ピリジン、フェナントロリン、ビピリジン、イミダゾール、ジアゾ−ル又はトリアゾールであることを特徴とする記憶装置。
【請求項8】
記憶素子とトランジスタを含むメモリセルを複数個と、電磁波を交流の電気信号に変換するアンテナと、前記アンテナから供給される交流の電気信号を基に電源電位を生成し、前記電源電位を前記メモリセルに供給する電源回路と、を有し、
前記記憶素子は、第1の導電層と、第2の導電層と、前記第1の導電層と前記第2の導電層の間に設けられ、光硬化する組成物を含む層と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1の導電層と前記第2の導電層の少なくとも一方は、透光性を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項8において、
前記組成物を含む層は、モノマー、オリゴマー及び硬化剤を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項8において、
前記組成物を含む層は、モノマー、オリゴマー及び硬化剤を有し、
前記モノマーは、アクリル酸エステル類、スチレン類、エポキシ類、ビニルエーテル類、キャリア輸送性の置換基を含むアクリル酸エステル類、キャリア輸送性の置換基を含むスチレン類、キャリア輸送性の置換基を含むエポキシ類及びキャリア輸送性の置換基を含むビニルエーテル類から選択された少なくとも1つであり、
前記オリゴマーは、アクリロイル基、スチリル基、エポキシ基及びビニルエーテル基から選択された少なくとも1つであり、
前記硬化剤は、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルケタール誘導体、アクリドン誘導体、チタノセン誘導体及びホスフィンオキシド誘導体から選択された少なくとも1つであることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記キャリア輸送性の置換基は、芳香族アミン、電子過剰型ヘテロ芳香環、縮合芳香環、電子欠如型ヘテロ芳香環又は典型金属キノリノール錯体であることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項11において、
前記キャリア輸送性の置換基は、カルバゾール、トリフェニルアミン、チオフェン、ピロール、アントラセン、ピレン、ペリレン、ナフタレン、ピリジン、フェナントロリン、ビピリジン、イミダゾール、ジアゾ−ル又はトリアゾールであることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
基板上に第1の導電層を形成し、
前記第1の導電層に接するように、組成物を含む層を形成し、
前記組成物を含む層が硬化するように、前記組成物を含む層に光を照射し、
前記組成物を含む層に接するように、第2の導電層を形成し、
前記組成物を含む層として、モノマー、オリゴマー及び硬化剤を含む層を形成することを特徴とする記憶装置の作製方法。
【請求項15】
基板上にトランジスタを形成し、
前記トランジスタ上に第1の絶縁層を形成し、
前記第1の絶縁層に設けられた開口部を介して、前記トランジスタに電気的に接続された第1の導電層を形成し、
前記第1の導電層に電気的に接続された第2の導電層を形成し、
前記第2の導電層に接するように、組成物を含む層を形成し、
前記組成物を含む層が硬化するように、前記組成物を含む層に光を照射し、
前記組成物を含む層に接するように、第3の導電層を形成し、
前記組成物を含む層として、モノマー、オリゴマー及び硬化剤を含む層を形成することを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−191005(P2006−191005A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352934(P2005−352934)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】