説明

記録再生装置

【課題】 入力信号を記録媒体に記録する記録時間を、記録媒体の記録可能な残量に応じて延長可能な記録再生装置を提供する。
【解決手段】 入力信号を第1の圧縮率で圧縮して圧縮信号を生成する第1の圧縮回路5と、前記圧縮信号が供給される第1のバッファメモリ6と、前記圧縮信号を記録する記録回路と、前記記録された前記圧縮信号を残量が設定量未満である場合に、記録媒体から前記圧縮信号を読み出す読み出し回路と、前記圧縮信号が供給される第3のバッファメモリ10と、前記圧縮信号を伸長する伸長回路11と、復元した信号を、前記第1の圧縮率よりも大きい第2の圧縮率で圧縮して圧縮信号を生成する第2の圧縮回路12と、前記圧縮信号が供給される第2のバッファメモリ13とを有し、前記記録回路は、前記残量が設定値未満である場合に、空き領域を生成し、前記第1のバッファメモリ6からの前記圧縮信号を残り領域および前記空き領域に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば映像信号や音声信号等の入力信号を圧縮して記録媒体に記録する記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像信号や音声信号等の入力信号を記録する記録再生装置は、記録媒体として、磁気ディスク、光ディスク等を用いる。
記録再生装置は、入力信号の記録時には、入力信号を所定の圧縮率で圧縮して記録媒体に記録する。
再生時には、圧縮されて記録された信号を再生して伸長することで、入力信号を復元する。
【0003】
記録再生装置において、例えば2通りの圧縮率が用意されている場合は、大きい圧縮率を用いることで入力信号を長時間にわたって記録することができ、小さい圧縮率を用いることで入力信号を短時間にわたって記録することができる。大きい圧縮率を用いた場合、入力信号を復元すると、復元して得られた入力信号の品質(画質および/または音質)が低下することがある。
【0004】
特開平10−257422号公報(特許文献1)には、画像記録再生装置の発明が開示されている。
この公報には、画像記録再生装置において、動画像の記録中に、動画像の記録を中断することなく、既に記録された画像データを復号し、異なる圧縮特性で再符号化し、同一の記録媒体に再記録することが開示されている。
【0005】
特開平6−76474号公報(特許文献2)には、デジタルデータ記録装置とデジタルデータ記録方法の発明が開示されている。
この公報には、記録媒体の情報を記録可能な容量と記録すべき情報の長さとを取り込む取込手段と、記録すべき情報をデジタル化したデータを圧縮する圧縮手段と、前記取込手段の出力に対応して前記圧縮手段におけるデータの圧縮率を制御する圧縮率制御手段と、前記圧縮手段により圧縮したデジタルデータを前記記録媒体に記録する記録手段とを有するデジタルデータ記録装置の発明が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平10−257422号公報
【特許文献2】特開平6−76474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
圧縮率が異なる複数の記録モードを有する記録再生装置、例えばディスクカムコーダでは、記録再生装置の使用者が記録媒体の記録可能な残量を認識していない場合があり、また、使用者が予備の記録媒体を準備していない場合がある。
このため、使用中の記録媒体の記録領域を使い果し、入力信号を途中までしか記録媒体に記録できないことがある。
本発明の目的は、入力信号を記録媒体に記録する記録時間を、記録媒体の記録可能な残量に応じて延長可能な記録再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る記録再生装置は、入力信号を圧縮して記録媒体に記録する記録再生装置であって、前記入力信号を第1の圧縮率で圧縮して圧縮信号を生成する第1の圧縮手段と、前記第1の圧縮手段が生成した前記圧縮信号が供給される第1のバッファメモリと、前記第1の圧縮回路が生成した前記圧縮信号が前記第1のバッファメモリから供給され、供給された前記圧縮信号を前記記録媒体の記録領域に記録する記録手段と、前記記録領域に記録された前記圧縮信号を前記記録領域の記録可能な残量が設定量未満である場合に、前記記録媒体から前記圧縮信号を読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段から読み出された前記圧縮信号が供給される第3のバッファメモリと、前記第3のバッファメモリから供給された前記圧縮信号を伸長して前記入力信号を復元する伸長手段と、前記伸長手段が復元した前記入力信号を、前記残量が前記設定値以上である時の前記第1の圧縮率よりも大きい第2の圧縮率で圧縮して圧縮信号を生成する第2の圧縮手段と、前記第2の圧縮手段が生成した前記圧縮信号が供給され、供給された前記圧縮信号を前記記録手段に出力する第2のバッファメモリとを有し、前記記録手段は、前記残量が設定値未満である場合に、前記第2のバッファメモリからの前記圧縮信号を前記記録領域に上書きして記録することで前記記録領域内に空き領域を生成し、前記第1のバッファメモリからの前記圧縮信号を前記記録領域のうちの残り領域および前記空き領域に記録する。
【0009】
本発明に係る記録再生装置では、好適には、前記記録手段/読み出し手段は、前記第1のバッファメモリからの前記圧縮信号を記録する第1の動作と、前記第2のバッファメモリからの前記圧縮信号を記録する第2の動作と、前記記録媒体から前記圧縮信号を再生して前記伸長手段に供給する第3の動作とを、時分割で行い、前記第1のバッファメモリは、前記第2および/または第3の動作中に前記第1の圧縮手段で生成された前記圧縮信号を保持し、前記第2のバッファメモリは、前記第1および/または第3の動作中に前記第2の圧縮手段で生成された前記圧縮信号を保持する。
【0010】
本発明に係る記録再生装置では、より好適には、前記第1のバッファメモリが前記圧縮信号を前記記録手段に供給する転送速度、前記第2のバッファメモリが前記圧縮信号を前記記録手段に供給する転送速度、および、前記読み出し手段が信号を再生して前記伸長手段に供給する転送速度は、前記入力信号の記録が中断しないような値に設定されている。
【0011】
本発明に係る記録再生装置では、好適には、前記読み出し手段が再生した前記圧縮信号が前記伸長手段に供給される転送速度がノーマル再生時の転送速度のn倍であるn倍速である場合に、前記第1の圧縮手段が圧縮信号を出力する転送速度であって前記残量が前記設定値未満である場合の転送速度(R3)は、{(R1−R2)×n}以下の正の値である。
但し、R1は、前記第1の圧縮手段が圧縮信号を出力する転送速度であって前記残量が前記設定値以上である場合の転送速度であり、R2は、前記第2の圧縮手段が圧縮信号を出力する転送速度である。
【0012】
本発明に係る記録再生装置では、好適には、前記残量が前記設定値未満である場合に、前記第1の圧縮率を前記第2の圧縮率と同じ値に設定する制御回路をさらに有する。
【0013】
本発明に係る記録再生装置では、例えば、音声信号が供給され、この音声信号を前記入力信号として前記第1の圧縮手段に出力するマイクロホンをさらに有する構成としてもよい。また、前記伸長手段で復元された前記入力信号が供給され、供給された前記入力信号を音声出力するスピーカをさらに有する構成としてもよい。
【0014】
本発明に係る記録再生装置では、例えば、映像信号を生成し、この映像信号を前記入力信号として前記第1の圧縮手段に出力する撮像回路をさらに有する構成としてもよい。また、前記伸長手段で復元された前記入力信号が供給され、供給された前記入力信号を画像出力する表示装置をさらに有する構成としてもよい。
【0015】
上記した記録再生装置において、前記記録媒体は、前記残量が設定値未満である場合に、前記第2のバッファメモリからの前記圧縮信号を前記記録領域に上書きして記録することで前記記録領域内に空き領域を生成し、前記第1のバッファメモリからの前記圧縮信号を前記記録領域のうちの残り領域および前記空き領域に記録するので、空き領域の使用により入力信号の記録時間を延長可能である。
第1の圧縮回路と記録媒体との間に配置された第1のバッファメモリにより、再生動作時に第1の圧縮回路が生成した出力信号を保持することができ、信号転送の調整が可能である。
また、第2のバッファメモリにより、再生動作時に第2の圧縮回路が生成した出力信号を保持することができ、信号転送の調整が可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る記録再生装置では、記録手段は、残量が設定値未満である場合に、第2のバッファメモリからの圧縮信号を記録領域に上書きして記録することで記録領域内に空き領域を生成し、第1のバッファメモリからの圧縮信号を記録領域のうちの残り領域および前記空き領域に記録するので、空き領域の使用により入力信号の記録時間を延長することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0018】
第1の実施の形態
図1は、本発明に係る記録再生装置の第1の実施の形態を示す概略的なブロック構成図である。
この記録再生装置1は、撮像回路2と、マイクロホン3と、A/D変換回路4と、第1の圧縮回路5と、第1のバッファメモリ6と、第2のバッファメモリ13と、第3のバッファメモリ10と、伸長回路11と、第2の圧縮回路12と、D/A変換回路14と、出力装置15と、制御回路16と、残量検出回路8と、ディスク装置7と、切替回路9とを有し、例えばディスクカムコーダにより構成する。
【0019】
撮像回路2は、CCD(Charge Coupled Device )を有し、このCCDを用いて被写体を撮像してアナログ形式の映像信号を生成し、この映像信号をA/D変換回路4に出力する。
マイクロホン3は、アナログ形式の音声信号が供給され、この音声信号を音響信号から電気信号に電気音響変換してA/D変換回路4に出力する。
【0020】
A/D変換回路4は、マイクロホン3からの音声信号をアナログ信号からディジタル信号に変換して第1の圧縮回路5に出力する。
また、A/D変換回路4は、撮像回路2からの映像信号をアナログ信号からディジタル信号に変換して第1の圧縮回路5に出力する。
【0021】
第1の圧縮回路5は、A/D変換回路4から映像信号および音声信号が入力信号として供給され、この入力信号を第1の圧縮率で圧縮して圧縮信号であるMPEG2信号を生成し、このMPEG2信号を第1のバッファメモリ6に出力する。
この第1の圧縮回路5は、MPEG2信号を、例えば14Mbps(メガビット/秒)の転送速度を有するMPEG2信号として第1のバッファメモリ6に出力する。第1の圧縮回路5は、入力信号の記録を実時間で行うのに必要な最小転送速度(または平均転送速度)の3倍以上の転送速度で、MPEG2信号を出力する。
【0022】
第1のバッファメモリ6は、第1の圧縮回路5からのMPEG2信号を蓄積し、蓄積したMPEG2信号を、オーバーフローする前に切替回路9を介してディスク装置7に間欠的に出力する。
【0023】
ディスク装置7は、切替回路9からのMPEG2信号をディスク型記録媒体100の記録領域に記録する。一例として、ディスク型記録媒体100は磁気ディスクとし、ディスク装置7はハードディスク装置とする。
このハードディスク装置は、予備品と交換できるタイプ、例えばPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association )に準拠した可換式の装置またはリムーバブルハードディスク装置が好ましいが、通常の固定型のハードディスク装置としてもよい。
【0024】
残量検出回路8は、ディスク型記録媒体100の記録領域に記録可能な残量を監視し、残量を示す信号を制御回路16に供給する。
【0025】
制御回路16は、記録再生装置1の全体を制御するコントローラであり、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)により構成する。
この制御回路16は、予め設定された第1の設定量よりも残量が少なくなった場合に、第1の圧縮率を前記残量が第1の設定量以上である時の値(C11)の2倍に上昇させ、第1の圧縮回路5の転送速度を、第1の転送速度(R1)である14Mbpsから第3の転送速度(R3)である7Mbpsに変更させる。
【0026】
また、制御回路16は、第1の設定量よりも残量が少なくなった場合に、第1の再生指令信号を生成してディスク装置7に出力する。
ディスク装置7は、第1の再生指令信号に基づき、前記残量が第1の設定量以上である時に記録されたMPEG2信号を再生し、このMPEG2信号を切替回路9を介して第3のバッファメモリ10に出力する。ディスク装置7は、例えばノーマル再生時の3倍の速度である3倍速でMPEG2信号を再生して出力する。
【0027】
第3のバッファメモリ10は、ディスク装置7が再生したMPEG2信号が供給され、このMPEG2信号を蓄積して伸長回路11に出力する。
伸長回路11は、第3のバッファメモリ10からのMPEG2信号を伸長して第1の圧縮回路5の入力信号を復元し、復元した入力信号を第2の圧縮回路12およびD/A変換回路14に供給する。
【0028】
D/A変換回路14は、伸長回路11が復元した前記入力信号がノーマル再生時に供給され、供給された信号をディジタル信号からアナログ信号に変換して出力装置15に出力する。
出力装置15は、表示装置15Dとスピーカ15Sとを有する。表示装置15Sは、D/A変換回路14からの信号に含まれる映像信号を表示画面に画像表示する。スピーカ15Sは、D/A変換回路14からの信号に含まれる音声信号を電気信号から音響信号に電気音響変換して音声出力する。
【0029】
第2の圧縮回路12は、伸長回路11から復元された入力信号が供給され、この入力信号を第2の圧縮率で圧縮して圧縮信号であるMPEG2信号を生成し、生成したMPEG2信号を第2のバッファメモリ13に出力する。
この第2の圧縮回路12は、MPEG2信号を、例えば7Mbpsの転送速度を有するMPEG2信号として出力する。第2の圧縮回路12は、伸長回路11が復元した入力信号の記録を実時間で行うのに必要な最小転送速度の3倍以上の転送速度で、MPEG2信号を出力する。また、一例として第2の圧縮率C2を、残量が第1の設定量未満の時の第1の圧縮率C11の2倍(C2=2×C11)とする。
【0030】
第2のバッファメモリ13は、第2の圧縮回路12からのMPEG2信号を蓄積し、蓄積したMPEG2信号を、オーバーフローする前に切替回路9を介してディスク装置7に間欠的に出力する。
【0031】
ディスク装置7は、残量が第1の設定値未満である場合に、第2のバッファメモリ13からのMPEG2信号をディスク型記録媒体100の記録領域に上書きして記録することで、前記記録領域内に空き領域を生成する。そして、第1のバッファメモリ6からのMPEG2信号を、前記記録領域のうちの残り領域および前記空き領域に記録する。
【0032】
制御回路16は、残量が第2の設定量未満になると、第1および第2の圧縮率を、残量が第1の設定量以上である時の第1の圧縮率(C11)の4倍に設定し、第2の再生指令信号をディスク装置7に出力する。
ディスク装置7は、第2の再生指令信号に基づき、前記残量が第2の設定量以上である時に記録されたMPEG2信号を再生し、このMPEG2信号を切替回路9を介して第3のバッファメモリ10に出力する。
【0033】
第3のバッファメモリ10は、ディスク装置7が再生したMPEG2信号が再度供給され、このMPEG2信号を蓄積して伸長回路11に出力する。
伸長回路11は、第3のバッファメモリ10からのMPEG2信号を伸長して前記入力信号を再度復元し、復元した入力信号を第2の圧縮回路12に供給する。
【0034】
第2の圧縮回路12は、伸長回路11から復元された入力信号が供給され、この入力信号を第2の圧縮率で再度圧縮して圧縮信号であるMPEG2信号をリアルタイムで生成し、このMPEG2信号を第2のバッファメモリ13を介してディスク装置7に出力する。この第2の圧縮回路12は、MPEG2信号を、例えば3.5Mbpsの転送速度を有するMPEG2信号として出力する。
【0035】
ディスク装置7は、残量が第2の設定値未満である場合に、第2のバッファメモリ13からのMPEG2信号をディスク型記録媒体100の記録領域に再度上書きして記録することで、前記記録領域内に空き領域を再度生成する。そして、第1のバッファメモリ6からのMPEG2信号を前記空き領域に記録する。
【0036】
ディスク装置7は、第1のバッファメモリ6からのMPEG2信号を記録する第1の記録動作と、第2のバッファメモリ13からのMPEG2信号を記録する第2の記録動作と、ディスク状記録媒体100からMPEG2信号を再生して第3のバッファメモリ10に供給する第3の再生動作とを、時分割で行う。
制御回路16は、切替回路9を制御し、第1〜第3のバッファメモリ6,13,10とディスク装置7との間を切替回路9により切り替えて接続する。
第1のバッファメモリ6は、前記第2の記録動作中および/または第3の再生動作中に第1の圧縮回路5で生成されたMPEG2信号を保持する。
第2のバッファメモリ13は、前記第1の記録動作中および/または第3の再生動作中に第2の圧縮回路12で生成されたMPEG2信号を保持する。
【0037】
第1のバッファメモリ6がMPEG2信号をディスク装置7に供給する転送速度、第2のバッファメモリ13がMPEG2信号をディスク装置7に供給する転送速度、および、ディスク装置7がMPEG2信号を再生して第3のバッファメモリ10に供給する転送速度は、前記入力信号の記録が中断しないような値に設定されている。
【0038】
一例として、ディスク装置7が再生したMPEG2信号が伸長回路11に供給される転送速度をノーマル再生時の転送速度のn倍であるn倍速とし、第1の圧縮回路5がMPEG2信号を出力する転送速度であって前記残量が第1の設定値未満である場合の転送速度R1を、0<R3≦(R1−R2)×nとする。
但し、R1は、第1の圧縮回路5がMPEG2信号を出力する転送速度であって前記残量が第1の設定値以上である場合の転送速度であり、R2は、第2の圧縮回路12がMPEG2信号を出力する転送速度である。なお、n=1の場合は、伸長回路11がノーマル再生時の動作速度で伸長動作を行うことができる利点があり、伸長回路11の低価格化を図ることが可能である。
【0039】
図2〜図4は、ディスク型記録媒体100の記録領域を示す説明図である。
図2のディスク型記録媒体100の記録領域120は、書込済みの領域102と残り領域103とを有する。この記録領域120には、内周側から外周側へと、信号が記録されている。なお、ディスク型記録媒体100には、センターホール101が形成されている。
第1のバッファメモリ6からのMPEG2信号が14Mbpsでディスク装置7に供給され、供給されたMPEG2信号が領域102に記録されている。
残り領域103は、MPEG2信号が未だ記録されていない領域である。
【0040】
図3は、ディスク型記録媒体100の記録領域120の記録可能な残量が第1の設定量未満である場合の様子を示している。
この場合は、第1のバッファメモリ6からのMPEG2信号が7Mbpsでディスク装置7に供給され、供給されたMPEG2信号が領域104に記録される。なお、この領域104は、第1の設定量に対応している。
【0041】
ディスク装置7は、使用済の領域105の最内周からMPEG2信号を読み出して再生し、再生されたMPEG2信号は伸長回路11および第2の圧縮回路12を経て再度圧縮され、第2のバッファメモリ13に供給される。再度圧縮されたMPEG2信号は、第2のバッファメモリ13から7Mbpsでディスク装置7に供給され、供給されたMPEG2信号は領域105の最内周から上書きされて領域106に記録され、領域105内に空き領域107が生成される。
このように、一度圧縮されたMPEG2信号を伸長してより高い圧縮率で圧縮して再度記録することで、記録領域105内に空き領域107を生成することができ、ディスク外周側の記録領域を使い果しても、信号の更なる記録が可能となり、記録時間を延長することが可能となる。
【0042】
図4では、残量が第1の設定量未満である場合に、第1のバッファメモリ6から7Mbpsでディスク装置7に供給されたMPEG2信号が、領域107に記録されている。
ディスク装置7は、使用済の領域108の最内周からMPEG2信号を読み出して再生し、再生されたMPEG2信号は伸長回路11および第2の圧縮回路12を経て再度圧縮され、第2のバッファメモリ13に供給される。再度圧縮されたMPEG2信号は、第2のバッファメモリ13から7Mbpsでディスク装置7に供給され、供給されたMPEG2信号は領域108の最内周から上書きされて領域109に記録され、領域108内に空き領域110が生成される。
このように、一度圧縮されたMPEG2信号を伸長してより高い圧縮率で圧縮して再度記録することで、領域108内に空き領域110を生成することができ、ディスク外周側の記録領域を使い果たしても空き領域110を使用することで信号の更なる記録が可能となり、記録時間を延長することが可能となる。
【0043】
第2の実施の形態
図5は、本発明に係る記録再生装置の第2の実施の形態を示す概略的なブロック構成図である。
この記録再生装置21は、撮像回路2と、マイクロホン3と、A/D変換回路4と、圧縮回路27と、第4のバッファメモリ25と、第5のバッファメモリ32と、第6のバッファメモリ35と、伸長回路31と、D/A変換回路14と、出力装置15と、制御回路36と、残量検出回路8と、ディスク装置7と、切替回路26,28とを有し、例えばディスクカムコーダにより構成する。
なお、図5の記録再生装置21において、図1の記録再生装置1と同一構成部分には同一符号を付しており、同一構成部分の説明を適宜省略する。
【0044】
A/D変換回路4は、マイクロホン3からの音声信号をアナログ信号からディジタル信号に変換して第4のバッファメモリ25に出力する。
また、A/D変換回路4は、撮像回路2からの映像信号をアナログ信号からディジタル信号に変換して第4のバッファメモリ25に出力する。
【0045】
第4のバッファメモリ25は、A/D変換回路4から映像信号および音声信号が入力信号として供給され、この入力信号を蓄積し、蓄積したMPEG2信号を、オーバーフローする前に切替回路26を介して圧縮回路27に供給する。
【0046】
圧縮回路27は、第4のバッファメモリ25から入力信号が供給され、この入力信号を第4の圧縮率で圧縮して圧縮信号であるMPEG2信号を生成し、生成したMPEG2信号を切替回路28を介してディスク装置7に出力する。
この圧縮回路27は、MPEG2信号を、例えば14Mbpsの転送速度を有するMPEG2信号としてディスク装置7に出力する。圧縮回路27は、前記入力信号の記録を実時間で行うのに必要な最小転送速度の3倍以上の転送速度で、MPEG2信号を出力する。
【0047】
ディスク装置7は、切替回路28からのMPEG2信号をディスク型記録媒体100の記録領域に記録する。
残量検出回路8は、ディスク型記録媒体100の記録領域に記録可能な残量を監視し、残量を示す信号を制御回路36に供給する。
【0048】
制御回路36は、記録再生装置21の全体を制御するコントローラであり、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)により構成する。
この制御回路36は、予め設定された第1の設定量よりも残量が少なくなった場合に、第4の圧縮率を前記残量が第1の設定量以上である時の値(C14)の2倍に上昇させ、圧縮回路27の転送速度を、14Mbpsから7Mbpsに変更させる。
【0049】
また、制御回路36は、第1の設定量よりも残量が少なくなった場合に、第1の再生指令信号を生成してディスク装置7に出力する。
ディスク装置7は、第1の再生指令信号に基づき、前記残量が第1の設定量以上である時に記録されたMPEG2信号を再生し、このMPEG2信号を切替回路28を介して伸長回路31に出力する。ディスク装置7は、例えばノーマル再生時の3倍の速度である3倍速でMPEG2信号を再生して出力する。
【0050】
伸長回路31は、ディスク装置7からのMPEG2信号を伸長して前記入力信号を復元し、復元した入力信号を第5のバッファメモリ32および第6のバッファメモリ35に供給する。
【0051】
第6のバッファメモリ35は、伸長回路31が復元した前記入力信号がノーマル再生時に供給され、供給された入力信号をD/A変換回路14に出力する。
D/A変換回路14は、第6のバッファメモリ35から入力信号が供給され、供給された信号をディジタル信号からアナログ信号に変換して出力装置15に出力する。第6のバッファメモリ35を設けることで、伸長回路31で復元された前記入力信号を出力装置15で再生する場合に、出力装置15での出力の中断を防ぐことができる。
【0052】
第5のバッファメモリ32は、伸長回路31からの前記入力信号を蓄積し、蓄積した入力信号を、オーバーフローする前に切替回路26を介して圧縮回路27に間欠的に供給する。
圧縮回路27は、第5のバッファメモリ32から入力信号が供給され、この入力信号を第5の圧縮率で圧縮して圧縮信号であるMPEG2信号をリアルタイムで生成し、このMPEG2信号を切替回路28を介してディスク装置7に出力する。
この圧縮回路27は、第5のバッファメモリ32からの入力信号を圧縮したMPEG2信号を、例えば7Mbpsの転送速度で出力する。圧縮回路27は、伸長回路31が復元した入力信号の記録を実時間で行うのに必要な最小転送速度(または平均転送速度)の3倍以上の転送速度で、MPEG2信号を出力する。また、一例として第5の圧縮率C5を、残量が第1の設定量未満の時の第4の圧縮率C14の2倍とする。
【0053】
ディスク装置7は、残量が第1の設定値未満である場合に、第5のバッファメモリ32からの入力信号を圧縮回路27が圧縮して生成したMPEG2信号を、ディスク型記録媒体100の記録領域に上書きして記録することで、前記記録領域内に空き領域を生成する。そして、第4のバッファメモリ25からの入力信号を圧縮回路27が圧縮して生成したMPEG2信号を、前記記録領域のうちの残り領域および前記空き領域に記録する。
【0054】
制御回路36は、残量が第2の設定量未満になると、第4および第5の圧縮率を、残量が第1の設定量以上である時の第4の圧縮率(C14)の4倍に設定し、第2の再生指令信号をディスク装置7に出力する。
ディスク装置7は、第2の再生指令信号に基づき、前記残量が第2の設定量以上である時に記録されたMPEG2信号を再生し、このMPEG2信号を切替回路28を介して伸長回路31に出力する。
【0055】
伸長回路31は、ディスク装置7からのMPEG2信号を伸長して前記入力信号を再度復元し、復元した入力信号を第5のバッファメモリ32に供給する。
第5のバッファメモリ32は、伸長回路31が再度復元した入力信号が供給され、このMPEG2信号を蓄積して切替回路26を介して圧縮回路27に出力する。
【0056】
圧縮回路27は、伸長回路31で再度復元された入力信号が第5のバッファメモリ32を介して供給され、この入力信号を第5の圧縮率で再度圧縮して圧縮信号であるMPEG2信号を生成し、このMPEG2信号を切替回路28を介してディスク装置7に出力する。この圧縮回路27は、MPEG2信号を、例えば3.5Mbpsの転送速度を有するMPEG2信号として出力する。
【0057】
ディスク装置7は、残量が第2の設定値未満である場合に、第5のバッファメモリ32からの入力信号を圧縮回路27が圧縮して生成したMPEG2信号を、ディスク型記録媒体100の記録領域に再度上書きして記録することで、前記記録領域内に空き領域を生成する。そして、第4のバッファメモリ25からの入力信号を圧縮回路27が圧縮して生成したMPEG2信号を前記空き領域に記録する。
【0058】
ディスク装置7は、第4のバッファメモリ25からの入力信号を圧縮回路27が圧縮して生成したMPEG2信号を記録する第4の記録動作と、第5のバッファメモリ32からの入力信号を圧縮回路27が圧縮して生成したMPEG2信号を記録する第5の記録動作と、ディスク状記録媒体100からMPEG2信号を再生して伸長回路31に供給する第6の再生動作とを、時分割で行う。
制御回路36は、切替回路26を制御し、第4および第5のバッファメモリ25,32と圧縮回路27との間を、切替回路26により切り替えて接続する。
また、制御回路36は、切替回路28を制御し、圧縮回路27および伸長回路31とディスク装置7との間を、切替回路28により切り替えて接続する。
第4のバッファメモリ25は、前記第5の記録動作中および/または第6の再生動作中に入力された入力信号を保持する。
第5のバッファメモリ32は、前記第4の記録動作中および/または第6の再生動作中に伸長回路31で生成されたMPEG2信号を保持する。
【0059】
第4のバッファメモリ25が入力信号を圧縮回路27に供給する転送速度、第5のバッファメモリ32が入力信号を圧縮回路27に供給する転送速度、および、ディスク装置7がMPEG2信号を再生して伸長回路31に供給する転送速度は、第4のバッファメモリ25に入力された前記入力信号の記録が中断しないような値に設定されている。
【0060】
記録再生装置21では、ディスク装置7は、第5のバッファメモリ32からの入力信号を圧縮回路27が圧縮して生成した圧縮信号を、記録領域に上書きして記録することにより記録領域内に空き領域を生成する。また、第4のバッファメモリ25からの入力信号を圧縮回路27が圧縮して生成した圧縮信号を、記録領域のうちの残り領域および空き領域に記録するので、空き領域の使用により入力信号の記録時間を延長することが可能である。
【0061】
なお、記録再生装置1,21において、マニュアル操作により転送速度の最小値を7Mbpsに設定する設定スイッチを設け、設定スイッチの設定状態を示す信号を制御回路16,36に供給することで、転送速度の最小値を制御する構成としてもよい。
また、入力画像の複雑さを空間周波数等に基づいて検出する画像検出回路を設け、複雑さを示す信号を制御回路16,36に供給することで、転送速度の最小値を制御する構成としてもよい。例えば、記録再生装置21において画像検出回路を伸長回路31と第5のバッファメモリ32との間に設けてもよく、記録再生装置1において画像検出回路を伸長回路11と圧縮回路12との間に設けてもよい。
【0062】
同様にして、記録再生装置1,21において、マニュアル操作により圧縮率の最大値を7Mbpsに設定する設定スイッチを設け、設定スイッチの設定状態を示す信号を制御回路16,36に供給することで、圧縮率の最大値を制御する構成としてもよい。
また、入力画像の複雑さを空間周波数等に基づいて検出する画像検出回路を設け、複雑さを示す信号を制御回路16,36に供給することで、圧縮率の最大値を制御する構成としてもよい。
【0063】
記録再生装置1,21では、ディスク型記録媒体100は磁気ディスクであり、ディスク装置7はハードディスク装置である場合を例示したが、これに限らず、例えば、ディスク型記録媒体100は光磁気ディスクであり、ディスク装置7は光磁気ディスク装置である構成としてもよい。
また、ディスク型記録媒体100は相変化式の光ディスクであり、ディスク装置7は光ディスク装置である構成としてもよい。
記録再生装置1,21は、ディスク型記録媒体100を着脱可能な構成としてもよい。第1〜第6のバッファメモリは、半導体メモリで構成してもよい。
なお、上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明は上記実施の形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る記録再生装置の第1の実施の形態を示す概略的なブロック構成図である。
【図2】ディスク型記録媒体の記録領域を示す第1の説明図である。
【図3】ディスク型記録媒体の記録領域を示す第2の説明図である。
【図4】ディスク型記録媒体の記録領域を示す第3の説明図である。
【図5】本発明に係る記録再生装置の第2の実施の形態を示す概略的なブロック構成図である。
【符号の説明】
【0065】
1,21…記録再生装置、2…撮像回路、3…マイクロホン、4…A/D変換回路、5…第1の圧縮回路、6…第1のバッファメモリ、7…ディスク装置、8…残量検出回路、9,26,28…切替回路、10…第3のバッファメモリ、11,31…伸長回路、12…第2の圧縮回路、13…第2のバッファメモリ、14…D/A変換回路、15…出力装置、15S…スピーカ、15D…表示装置、16,36…制御回路、25…第4のバッファメモリ、27…圧縮回路、32…第5のバッファメモリ、35…第6のバッファメモリ、100…ディスク型記録媒体、101…センターホール、102,104,105,106,108,109…領域、103…残り領域、107,110…空き領域、120…記録領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を圧縮して記録媒体に記録する記録再生装置であって、
前記入力信号を第1の圧縮率で圧縮して圧縮信号を生成する第1の圧縮手段と、
前記第1の圧縮手段が生成した前記圧縮信号が供給される第1のバッファメモリと、
前記第1の圧縮回路が生成した前記圧縮信号が前記第1のバッファメモリから供給され、供給された前記圧縮信号を前記記録媒体の記録領域に記録する記録手段と、
前記記録領域に記録された前記圧縮信号を前記記録領域の記録可能な残量が設定量未満である場合に、前記記録媒体から前記圧縮信号を読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段から読み出された前記圧縮信号が供給される第3のバッファメモリと、
前記第3のバッファメモリから供給された前記圧縮信号を伸長して前記入力信号を復元する伸長手段と、
前記伸長手段が復元した前記入力信号を、前記残量が前記設定値以上である時の前記第1の圧縮率よりも大きい第2の圧縮率で圧縮して圧縮信号を生成する第2の圧縮手段と、
前記第2の圧縮手段が生成した前記圧縮信号が供給され、供給された前記圧縮信号を前記記録手段に出力する第2のバッファメモリと
を有し、
前記記録手段は、前記残量が設定値未満である場合に、前記第2のバッファメモリからの前記圧縮信号を前記記録領域に上書きして記録することで前記記録領域内に空き領域を生成し、前記第1のバッファメモリからの前記圧縮信号を前記記録領域のうちの残り領域および前記空き領域に記録する
記録再生装置。
【請求項2】
前記記録手段/読み出し手段は、前記第1のバッファメモリからの前記圧縮信号を記録する第1の動作と、前記第2のバッファメモリからの前記圧縮信号を記録する第2の動作と、前記記録媒体から前記圧縮信号を再生して前記伸長手段に供給する第3の動作とを、時分割で行い、
前記第1のバッファメモリは、前記第2および/または第3の動作中に前記第1の圧縮手段で生成された前記圧縮信号を保持し、
前記第2のバッファメモリは、前記第1および/または第3の動作中に前記第2の圧縮手段で生成された前記圧縮信号を保持する
請求項1記載の記録再生装置。
【請求項3】
前記第1のバッファメモリが前記圧縮信号を前記記録手段に供給する転送速度、前記第2のバッファメモリが前記圧縮信号を前記記録手段に供給する転送速度、および、前記読み出し手段が信号を再生して前記伸長手段に供給する転送速度は、前記入力信号の記録が中断しないような値に設定されている
請求項2記載の記録再生装置。
【請求項4】
前記読み出し手段が再生した前記圧縮信号が前記伸長手段に供給される転送速度がノーマル再生時の転送速度のn倍であるn倍速である場合に、前記第1の圧縮手段が圧縮信号を出力する転送速度であって前記残量が前記設定値未満である場合の転送速度(R3)は、{(R1−R2)×n}以下の正の値である
(但し、R1は、前記第1の圧縮手段が圧縮信号を出力する転送速度であって前記残量が前記設定値以上である場合の転送速度であり、R2は、前記第2の圧縮手段が圧縮信号を出力する転送速度である)
請求項1記載の記録再生装置。
【請求項5】
前記残量が前記設定値未満である場合に、前記第1の圧縮率を前記第2の圧縮率と同じ値に設定する制御回路をさらに有する
請求項1記載の記録再生装置。
【請求項6】
音声信号が供給され、この音声信号を前記入力信号として前記第1の圧縮手段に出力するマイクロホンをさらに有する
請求項1記載の記録再生装置。
【請求項7】
前記伸長手段で復元された前記入力信号が供給され、供給された前記入力信号を音声出力するスピーカをさらに有する
請求項6記載の記録再生装置。
【請求項8】
映像信号を生成し、この映像信号を前記入力信号として前記第1の圧縮手段に出力する撮像回路をさらに有する
請求項1記載の記録再生装置。
【請求項9】
前記伸長手段で復元された前記入力信号が供給され、供給された前記入力信号を画像出力する表示装置をさらに有する
請求項8記載の記録再生装置。
【請求項10】
前記記録媒体は、磁気ディスクであり、
前記記録手段は、ハードディスク装置であり、
前記第1および第2のバッファメモリは、半導体メモリである
請求項1記載の記録再生装置。
【請求項11】
前記記録媒体は、光磁気ディスクであり、
前記記録手段は、光磁気ディスク装置であり、
前記第1および第2のバッファメモリは、半導体メモリである
請求項1記載の記録再生装置。
【請求項12】
前記記録媒体は、相変化式の光ディスクであり、
前記記録手段は、光ディスク装置であり、
前記第1および第2のバッファメモリは、半導体メモリである
請求項1記載の記録再生装置。
【請求項13】
前記記録媒体は、前記記録再生装置に対して着脱可能であり、
ディスクカムコーダからなる
請求項1記載の記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−273076(P2007−273076A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120640(P2007−120640)
【出願日】平成19年5月1日(2007.5.1)
【分割の表示】特願平11−365663の分割
【原出願日】平成11年12月22日(1999.12.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】