説明

記録媒体の被覆装置

【課題】 記録媒体に対して適切な被覆が可能な記録媒体の被覆装置を提供する。
【解決手段】 記録媒体Aの表面を被覆層Fで被覆する記録媒体の被覆装置が、記録媒体Aに付着させる被覆層用材料Dが設けられた被覆シートBを搬送する被覆シート搬送手段6と、被覆シートBに対向させて被覆シートBと同じ速度で補助シートCを搬送する補助シート搬送手段7と、互いに対向して搬送される被覆シートBと補助シートEとの間に記録媒体Aを供給する記録媒体供給手段1、2と、記録媒体Aを間に挟んで被覆シートBと補助シートEとを圧着させる圧着手段8と、被覆シート搬送手段6によって被覆シートBに与えられている被覆シート張力と、補助シート搬送手段7によって補助シートEに与えられている補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように被覆シート搬送手段6及び補助シート搬送手段7を制御する張力制御手段TCとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の表面を被覆層で被覆する記録媒体の被覆装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に記録されたカラー画像などの画質を維持するためや、記録媒体の耐水性、強度などを確保するために、記録媒体の表面を被覆層で被覆する記録媒体の被覆装置がある。この記録媒体の被覆装置では、まず長尺の記録媒体(記録紙)を一定の速度で搬送するとともに、この記録媒体の記録面に対向させて、台紙上にラミネート材(被覆用材料)が剥離可能に形成され、ロール状に巻かれたラミネートシート(被覆シート)を供給可能に保持する被覆シート供給手段と、剥離された台紙をロール状に巻き取り回収する台紙回収手段との間で被覆シートを供給搬送する。その際に、圧着ローラ対により記録媒体とラミネートシートとを積層させた状態で加熱及び加圧することにより、記録媒体の記録面上に連続的にラミネート材を転写する。その後、ラミネートシートの台紙のみを剥離して記録媒体の記録面上にラミネート加工を施す。そして、ラミネート加工が施された記録媒体は、記録面に形成された画像の切れ目において順次カッターにより切断され、画像毎に分離された状態で排出される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開昭58-224779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の記録紙の被覆装置では、台紙回収手段における台紙の巻き取り径が変化することによって被覆シートに与えられている張力が変化することを考慮していないため、搬送中の被覆シートの張力の変動により被覆シートにねじれや歪みが生じて記録媒体を適切に被覆できない場合があるという問題がある。
また、被覆シートと対向させて搬送される補助シートを設け、互いに対向して搬送される被覆シートと補助シートとの間に記録媒体を供給するように構成されている場合には、補助シートにねじれや歪みが加わるために、更に記録媒体を適切に被覆できない場合が多くなるという問題が生じる。
【0005】
また、被覆シートと補助シートとの間に記録媒体を供給するように構成されている場合には、記録媒体を被覆シートと補助シートとで同時に挟むように供給されるが、記録媒体から被覆シートの基材を剥離させる工程と補助シートを剥離させる工程は記録媒体の搬送途中の別々の個所で行われることがある。その際、被覆シート及び補助シートの張力が互いに異なっていれば、何れかを剥離させた際に記録媒体にかかる張力が片寄ってしまうため、記録媒体に対して更にねじれや歪みを生じさせる原因となる。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体に対して適切な被覆が可能な記録媒体の被覆装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る記録媒体の被覆装置の第1特徴構成は、記録媒体の表面を被覆層で被覆する記録媒体の被覆装置であって、前記記録媒体に付着させる被覆層用材料が設けられた被覆シートを搬送する被覆シート搬送手段と、前記被覆シートに対向させて前記被覆シートと同じ速度で補助シートを搬送する補助シート搬送手段と、互いに対向して搬送される前記被覆シートと前記補助シートとの間に前記記録媒体を供給する記録媒体供給手段と、前記記録媒体を間に挟んで対向する前記被覆シートと前記補助シートとを圧着させる圧着手段と、前記被覆シート搬送手段によって前記被覆シートに与えられている被覆シート張力と、前記補助シート搬送手段によって前記補助シートに与えられている補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように前記被覆シート搬送手段及び前記補助シート搬送手段を制御する張力制御手段とを備えた点にある。
【0008】
上記第1特徴構成によれば、張力制御手段が、被覆シート搬送手段によって被覆シートに与えられている被覆シート張力と、補助シート搬送手段によって補助シートに与えられている補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように被覆シート搬送手段及び補助シート搬送手段を制御することで、記録媒体を挟みながら搬送されている被覆シート及び補助シートにねじれや歪みなどが起こらないようになる。その結果、記録媒体の被覆を行うときの被覆シート及び補助シートにはねじれや歪みなどが起こっていないことが確保され、記録媒体の被覆を適切に行える記録媒体の被覆装置が提供されることになる。
また、記録媒体から被覆シートの基材を剥離させる工程と補助シートを剥離させる工程とを記録媒体の搬送途中の別々の個所で行っても、何れかを剥離させたときに記録媒体に加わる張力が変わることがないため、記録媒体にねじれや歪みが生じないようになる。
【0009】
本発明に係る記録媒体の被覆装置の第2特徴構成は、前記被覆シート張力の設定範囲及び前記補助シート張力の設定範囲は、前記被覆シートと前記補助シートとの伸びがほぼ同じになるように設定される点にある。
【0010】
上記第2特徴構成によれば、張力制御手段が、被覆シート張力の設定範囲及び補助シート張力の設定範囲は、被覆シートと補助シートとの伸びがほぼ同じになるように被覆シート搬送手段及び補助シート搬送手段を制御することで、記録媒体を挟んで互いに対向して搬送される被覆シート及び補助シートにねじれや歪みなどが起こらないようにして、記録媒体の被覆を適切に行うことができる。
【0011】
本発明に係る記録媒体の被覆装置の第3特徴構成は、前記被覆シートは、基材と、当該基材の一方の表面に剥離可能に形成された転写層とを有して構成され、前記被覆シート搬送手段が、ロール状に巻かれた前記被覆シートを供給可能に保持する被覆シート供給手段と前記被覆シートの基材をロール状に巻き取り回収する基材回収手段との間で前記被覆シートを搬送し、前記補助シート搬送手段が、ロール状に巻かれた前記補助シートを供給可能に保持する補助シート供給手段と前記補助シートをロール状に巻き取り回収する補助シート回収手段との間で前記補助シートを搬送し、前記張力制御手段が、前記被覆シート張力と前記補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように前記基材回収手段による基材巻取トルク及び前記補助シート回収手段による補助シート巻取トルクを制御する点にある。
【0012】
上記第3特徴構成によれば、張力制御手段が、被覆シート張力と補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように、基材回収手段によって被覆シートの基材をロール状に巻き取るときの基材巻取トルク、及び、補助シート回収手段によって補助シートをロール状に巻き取るときの補助シート巻取トルクを制御することで、記録媒体を挟んで互いに対向して搬送される被覆シート及び補助シートにねじれや歪みなどが起こらないようにして、記録媒体の被覆を適切に行うことができる。
【0013】
本発明に係る記録媒体の被覆装置の第4特徴構成は、前記基材回収手段における前記基材の巻き取り径を直接的又は間接的に検出する基材巻取径検出手段と、前記補助シート回収手段における前記補助シートの巻き取り径を直接的又は間接的に検出する補助シート巻取径検出手段と、を備え、前記張力制御手段が、前記基材の巻き取り径に応じて前記基材巻取トルクを制御し、前記補助シートの巻き取り径に応じて前記補助シート巻取トルクを制御する点にある。
【0014】
上記第4特徴構成によれば、張力制御手段が、被覆シート張力と補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように、基材の巻き取り径に応じて基材巻取トルクを制御して、搬送されている被覆シートに与えられている被覆シート張力を制御し、且つ、補助シートの巻き取り径に応じて補助シート巻取トルクを制御して、搬送されている補助シートに与えられている補助シート張力を制御することで、基材回収手段による被覆シートの巻き取りが進行するに伴って基材の巻き取り径が変化しても、及び、補助シート回収手段による補助シートの巻き取りが進行するに伴って補助シートの巻き取り径が変化しても、基材回収手段によって被覆シートに与えられる被覆シート張力、及び、補助シート回収手段によって補助シートに与えられる補助シート張力がそれぞれ適正に調整されることになる。その結果、記録媒体を挟みながら搬送されている被覆シート及び補助シートにねじれや歪みなどが起こらないように、且つ、記録媒体と被覆シートとの接触状態及び記録媒体と補助シートとの接触状態をほぼ同じようにして、記録媒体の被覆を適切に行うことができる。
【0015】
本発明に係る記録媒体の被覆装置の第5特徴構成は、前記被覆シートは、基材と、当該基材の一方の表面に剥離可能に形成された転写層とを有して構成され、前記被覆シート搬送手段が、ロール状に巻かれた前記被覆シートを供給可能に保持する被覆シート供給手段と前記被覆シートの基材をロール状に巻き取り回収する基材回収手段との間で前記被覆シートを搬送し、前記補助シート搬送手段が、ロール状に巻かれた前記補助シートを供給可能に保持する補助シート供給手段と前記補助シートをロール状に巻き取り回収する補助シート回収手段との間で前記補助シートを搬送し、前記張力制御手段が、前記被覆シート張力と前記補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように前記被覆シート供給手段による被覆シート供給抵抗及び前記補助シート供給手段による補助シート供給抵抗を制御する点にある。
【0016】
上記第5特徴構成によれば、張力制御手段が、被覆シート張力と補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように、被覆シート供給手段による被覆シート供給抵抗を制御して被覆シートの送り出し量を調整しながら供給し、及び、補助シート供給手段による補助シート供給抵抗を制御して補助シートの送り出し量を調整しながら供給することで、記録媒体を挟んで互いに対向して搬送される被覆シート及び補助シートにねじれや歪みなどが起こらないようにして、記録媒体の被覆を適切に行うことができる。
【0017】
本発明に係る記録媒体の被覆装置の第6特徴構成は、前記被覆シート供給手段における前記被覆シートの巻き残り径を検出する被覆シート巻残径検出手段と、前記補助シート供給手段における前記補助シートの巻き残り径を検出する補助シート巻残径検出手段と、を備え、前記張力制御手段が、前記被覆シートの巻き残り径に応じて前記被覆シート供給抵抗を制御し、前記補助シートの巻き残り径に応じて前記補助シート供給抵抗を制御する点にある。
【0018】
上記第6特徴構成によれば、張力制御手段が、被覆シート張力と補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように、上記被覆シート巻残径検出手段の検出結果に基づく被覆シートの巻き残り径に応じて被覆シート供給抵抗を制御して、搬送されている被覆シートに与えられている被覆シート張力を制御し、且つ、上記補助シート巻残径検出手段の検出結果に基づく補助シートの巻き残り径に応じて補助シート供給抵抗を制御して、搬送されている補助シートに与えられている補助シート張力を制御する。その結果、被覆シート供給手段における被覆シートの巻き残り径が変化しても、及び、補助シート供給手段における補助シートの巻き残り径が変化しても、記録媒体を挟んで互いに対向して搬送される被覆シート及び補助シートにねじれや歪みなどが起こらないようにして、記録媒体の被覆を適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に図面を参照して本発明の記録媒体の被覆装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る被覆装置をケーシング内に収容した状態を示す斜視図であり、図2は、本実施形態に係る被覆装置を幅方向中央付近で切断した断面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本発明の記録媒体の被覆装置においては、記録紙Aは、供給トレイ1とそれに連続する供給ガイド2に沿って装置本体内に供給され、この装置本体内では、略水平方向に設けられた搬送経路Lに沿って搬送されながら、その表面に被覆層Fが形成され、後述する排出機構3により排出トレイ4に排出される。この際、記録紙Aは画像が記録された記録面を上として搬送され、被覆装置はこの記録面に対して被覆層Fを形成する構成となっている。
よって、本実施形態においては、記録紙Aが、本発明における「記録媒体」を構成し、この供給トレイ1及び供給ガイド2が、本発明における「記録媒体供給手段」を構成する。
【0021】
被覆装置の装置本体内には、被覆シートBを搬送する被覆シート搬送機構6と、補助シートEを搬送する補助シート搬送機構7と、記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとを両面から加圧する第1加圧機構8と、記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの搬送経路とを分岐させる第1分岐ガイド9と、被覆シートBの基材Cが分離されて被覆層Fが形成された後の記録紙Aと補助シートEとを両面から更に加圧する第2加圧機構10と、記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させる第2分岐ガイド11と、補助シートEが分離された後の記録紙Aを排出トレイ4に排出する排出機構3と、が設けられている。そして、これらの各構成は、本体フレーム12により一体的に支持されている。
よって、本実施形態においては、被覆シート搬送機構6が、本発明の「被覆シート搬送手段」を構成し、補助シート搬送機構7が、本発明の「補助シート搬送手段」を構成する。
【0022】
また、この第1加圧機構8の駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bの内部には、それぞれヒータ8gが設けられており、記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。本実施形態においては、このヒータ8gとして、ハロゲンランプを駆動ローラ8a及び加圧ローラ8bのそれぞれの軸心部に配設している。このヒータ8gによる加熱温度は、本実施形態においては、各ローラの表面温度で、加圧ローラ8bでは90〜110℃程度、駆動ローラ8aでは50〜70℃程度となるように設定している。
よって、本実施形態においては、第1加圧機構8が、本発明の「圧着手段」を構成する。
また、第2加圧機構10は、駆動ローラ10a及びそれに従動する加圧ローラ10bにより構成されている。そして、加圧ローラ10bの内部にはヒータ10gが設けられており、被覆層Fが形成された記録紙Aと補助シートEとを加圧しながら加熱する構成となっている。本実施形態においては、このヒータ10gとして、ハロゲンランプを加圧ローラ10bの軸心部に配設している。このヒータ10gによる加熱温度は、本実施形態においては、加圧ローラ10bの表面温度で80〜100℃程度となるように設定している。
そして、第1加圧機構8及び第2加圧機構10の駆動は単一のモータ13からの駆動力によって行われる。
【0023】
本実施形態に係る被覆装置において用いられる被覆シートBは、図3に示すように、基材Cと、この基材Cの一方の面に設けられた剥離可能な転写層Dとを備えている。この転写層Dは、記録紙Aの記録面に転写されて被覆層Fを形成する部分であり、基材C上に設けられ、記録紙Aの記録面を保護するための主要な役割を果たす保護層D1と、この保護層D1の外側に設けられ、保護層D1を記録紙Aの記録面に対して接着するための接着層D2とを有して構成されている。また本実施形態では、これらの保護層D1と接着層D2との結合状態を保つために、これらの間にアンカー層D3を設けている。
【0024】
記録紙Aに付着させるための被覆層用材料である被覆シートBの転写層Dは、図5に示すように、記録紙Aの記録面を保護する被覆層Fとなるので、記録紙Aとの密着性に優れ、透明性が高く、熱や光で変色し難く、化学的・物理的バリヤ性に優れていることが好ましい。また、後述するように、記録紙Aの記録面及びその記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に転写されて被覆層Fを形成した後、記録紙Aと補助シートEとが分離する際に、記録紙Aの記録面に形成された部分と、記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された部分とが、記録紙Aの端縁付近に沿って切り離し可能な材質及び厚みで構成すると好適である。そのため、保護層D1には、例えば、アクリル系樹脂や酢酸ビニル系樹脂等を用いると好適である。また、ここでは、後述するように第1加圧機構8において記録紙Aを間に挟んだ被覆シートBと補助シートEとを両面から加圧するとともに加熱する構成としているので、接着層D2には、透明性を有し、加熱することで接着力を発揮する、例えばポリエステル系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いると好適である。被覆シートBの基材Cは、後述する第1加圧機構8における加圧及び加熱条件下で形状を安定して維持できるような耐熱性及び機械的強度と、転写層Dからの良好な剥離性を備えていることが好ましい。そのため、基材Cには、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート等のフィルムを用いると好適である。
【0025】
また、被覆シートBとしては、記録紙Aの幅(複数種類の幅の記録紙Aを対象とする場合にはその中の最大幅の記録紙Aの幅)よりも大きい幅を有する、一定幅の長尺のシートが用いられる。そして、本実施形態においては、被覆シートBとしては、基材Cを外側、転写層Dを内側としてロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBは、被覆シート搬送機構6により、その転写層Dが補助シートEと対向する向きに搬送されることになる。
【0026】
図1及び図2に示すように、被覆シート搬送機構6は、ロール状に巻き取られた被覆シートBを供給可能に保持する被覆シート用供給保持部6aと、第1分岐ガイド9により記録紙Aの搬送経路Lと分岐され、転写層Dが剥離された後の被覆シートBの基材Cを巻き取り回収する被覆シート用基材回収部6bとを有している。本実施形態においては、被覆シート用供給保持部6aは、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた被覆シートBを回転可能に保持する保持軸6cと、この保持軸6cの回転を制限するための回転制限機構(図示せず)とを有している。この回転制限機構としては、例えば本体フレーム12と保持軸6cとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。そして、被覆シートBは、後述する第1加圧機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この際、回転制限機構により保持軸6cの回転が制限されるので、被覆シート用供給保持部6aから第1加圧機構8の加圧ローラ8bまでの間の被覆シートBの張りを保つことができる。また、被覆シート用供給保持部6aと記録紙Aの搬送経路Lとの間には、フリーローラ6eが回転自在に設けられている。このフリーローラ6eは、その外周に所定の角度範囲で被覆シートBが巻き付けられることにより、記録紙Aの搬送経路Lと合流する部分の被覆シートBの搬送経路の侵入角度を調整している。そして、記録紙Aの搬送経路Lと合流した後の被覆シートBの搬送経路は、第1分岐ガイド9による分岐位置まで、記録紙Aの搬送経路Lと一致するように設けられている。
【0027】
また、被覆シート用基材回収部6bは、第1分岐ガイド9により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の被覆シートBの基材Cをロール状に巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸6fと、この巻取軸6fを駆動する巻取軸駆動機構6gとを有している。巻取軸駆動機構6gは、モータ14と、このモータ14の駆動力を巻取軸6fまで伝達するスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。また、被覆シートBの搬送速度V1は、補助シートEの搬送速度と同じに制御されている。
よって、本実施形態においては、被覆シート用供給保持部6aが、本発明における「被覆シート供給手段」を構成し、被覆シート用基材回収部6bが、本発明における「基材回収手段」を構成する。
【0028】
本実施形態に係る被覆装置において用いられる補助シートEは、記録紙Aの記録面に被覆シートBの転写層Dを転写して被覆層Fを形成する際に、記録紙Aの幅方向外側や複数枚の記録紙Aの間の記録紙Aの存在しない部分において、対向して搬送されている被覆シートBの転写層Dが転写されるシートである。したがって、補助シートEの材質としては、被覆シートBの転写層Dの表面に設けられている接着層D2が接着しやすい材質を使用することが好ましい。そのため、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のフィルムを用いると好適である。
【0029】
また、補助シートEは、例えば図5に示すように、被覆シートBの転写層Dを転写する際に、補助シートEの側端縁から外側に転写層Dがはみ出すことを防止するため、被覆シートBの幅と同じかそれ以上の幅を有するものとする。本実施形態においては、補助シートEとしては、被覆シートBの幅よりもやや広い一定幅を有する長尺のシートであって、ロール状に巻き取られた状態のものが使用される。これにより、被覆シートBの下面(転写面)の全体が補助シートEの上面に対向することになるので、被覆シートBの転写層Dが第1加圧機構8の駆動ローラ8aに転写されることを防止することができる。
【0030】
補助シート搬送機構7は、ロール状に巻き取られた補助シートEを供給可能に保持する補助シート用供給保持部7aと、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の補助シートEを巻き取り回収する補助シート回収部7bとを有している。本実施形態においては、補助シート用供給保持部7aは、両端が本体フレーム12に支持され、ロール状に巻き取られた補助シートEを回転可能に保持する保持軸7cと、この保持軸7cの回転を制限するための回転制限機構(図示せず)とを有している。この回転制限機構としては、例えば本体フレーム12と保持軸7cとの間にトルクリミッタを備えた構成等が好適に用いられる。そして、補助シートEは、後述する第1加圧機構8の駆動ローラ8a及びそれに従動する加圧ローラ8bの回転により引き出されるが、この際、回転制限機構により保持軸7cの回転が制限されるので、補助シート用供給保持部7aから第1加圧機構8の駆動ローラ8aまでの間の補助シートEの張りを保つことができる。また、補助シート用供給保持部7aと記録紙Aの搬送経路Lとの間には、フリーローラ7eが回転自在に設けられている。このフリーローラ7eは、その外周に所定の角度範囲で補助シートEが巻き付けられることにより、記録紙Aの搬送経路Lと合流する部分の補助シートEの搬送経路の侵入角度を調整している。そして、記録紙Aの搬送経路Lと合流した後の補助シートEの搬送経路は、第2加圧機構10の下流側にある第2分岐ガイド11による分岐位置まで、記録紙Aの搬送経路Lと一致するように設けられている。この際、補助シートEは、第1分岐ガイド9による被覆シートBの搬送経路の分岐位置までは、被覆シートBとの間に記録紙Aを挟んだ状態で被覆シートBに対向して搬送される。
【0031】
また、補助シート回収部7bは、第2分岐ガイド11により記録紙Aの搬送経路Lと分岐された後の補助シートEをロール状に巻き取り回収するために所定の方向に回転駆動される巻取軸7fと、この巻取軸7fを駆動する巻取軸駆動機構7gとを有している。巻取軸駆動機構7gは、モータ15と、このモータ15の駆動力を巻取軸7fまで伝達する複数のスプロケット、チェーン及びギヤ等の伝達機構により構成されている。
よって、本実施形態においては、補助シート用供給保持部7aが、本発明における「補助シート供給手段」を構成し、補助シート回収部7bが、本発明における「補助シート回収手段」を構成する。
【0032】
以上のような被覆シート搬送機構6及び補助シート搬送機構7により、互いに対向して同じ搬送速度V1で搬送される被覆シートBと補助シートEとの間に、供給トレイ1及び供給ガイド2を介して記録紙Aが供給され、この記録紙Aと被覆シートBと補助シートEとは、積層された状態で第1加圧機構8において両面から加圧されるようになっている。
【0033】
第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第1加圧機構8と第2加圧機構10との間に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと被覆シートBの基材Cの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。本実施形態においては、図2及び図4に示すように、第1分岐ガイド9は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる長尺の部材により構成され、その下側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面9aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面9aに対して鋭角をなして上方に延びるように設けられた第2ガイド面9bが形成されている。そして、この第1ガイド面9aと第2ガイド面9bとが接する端縁9cにおいて被覆シートBの基材Cが記録紙A及び補助シートEから剥離され、剥離された基材Cは、第2ガイド面9bに沿って搬送されて被覆シート用基材回収部6bにおいてロール状に巻き取り回収される。これにより、記録紙Aの記録面及びこの記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に被覆層Fが形成される。この第1分岐ガイド9は、第1加圧機構8による加熱により活性化した被覆シートBの接着層D2が冷却されて十分な接着力を発揮するようになる程度の距離を第1加圧機構8に対して有するように配置すると好適である。
【0034】
第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路Lにおける第2加圧機構10の下流側に設けられ、記録紙Aの搬送経路Lと補助シートEの搬送経路とを分岐させるガイド部材である。本実施形態においては、図2に示すように、第2分岐ガイド11は、記録紙Aの搬送経路L上で記録紙Aの搬送方向に略直交する方向に延びる部材により構成され、その上側には記録紙Aの搬送経路Lに略並行に配置された第1ガイド面11aが形成され、その記録紙Aの搬送方向下流側には第1ガイド面11aに対して鋭角をなして下方に延びるように設けられた第2ガイド面11bが形成されている。そして、この第1ガイド面11aと第2ガイド面11bとが接する端縁11cにおいて補助シートEが記録紙Aから剥離され、剥離された補助シートEは、第2ガイド面11bに沿って搬送されて補助シート回収部7bにおいてロール状に巻き取り回収される。この際、図5に示すように、記録紙Aはその搬送経路Lに沿って略水平方向に直進するのに対して、補助シートEは第2分岐ガイド11の第2ガイド面11bに沿って下方に折り曲げられて搬送されることから、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとは互いに離間することとなり、記録紙Aの記録面に形成された被覆層Fと、その記録紙Aの周囲の補助シートEの表面に形成された被覆層Fとが記録紙Aの端縁付近に沿って切断されて分離される。
【0035】
以上のように構成された本発明に係る記録媒体の被覆装置には、図2を簡略化した図6に示す記録媒体の被覆装置の機能ブロック図のように、被覆シート搬送機構6及び補助シート搬送機構7を制御する張力制御手段TCが設けられている。この張力制御手段TCは、被覆装置内に設けられている演算制御装置によって実現することができる。そして、その張力制御手段TCは、被覆シートB及び補助シートEにしわなどが生じないように、特に、記録紙Aを被覆する被覆シートBにしわなどが生じないように、被覆シート搬送機構6によって被覆シートBに与えられている張り、つまり被覆シート張力と、補助シート搬送機構7によって補助シートEに与えられている張り、つまり補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように被覆シート搬送機構6及び補助シート搬送機構7の作動制御を行っている。具体的には、この張力制御手段TCは、被覆シート張力と補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように、被覆シート用基材回収部6bの外周部における巻取軸駆動機構6gによる基材巻取トルク、及び、補助シート回収部7bの外周部における巻取軸駆動機構7gによる補助シート巻取トルクを制御するように構成されている。
【0036】
被覆シート張力の設定範囲及び補助シート張力の設定範囲は、被覆シートBの弾力性及び厚さと補助シートEの弾力性及び厚さとを考慮した上で、被覆シートBと補助シートEとの伸びがほぼ同じになるような値に設定され、張力制御手段TCが、被覆シート用基材回収部6b及び補助シート回収部7bを制御することで、記録紙Aを挟みながら搬送されている被覆シートB及び補助シートEにねじれや歪みなどが起こらないようにすることができる。例えば、本実施形態で用いる被覆シートBの厚さは30μmであり、補助シートEの厚さは25μmである。
【0037】
そして、本発明に係る記録媒体の被覆装置には、被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径を直接的又は間接的に検出する基材巻取径検出手段6iと、補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を直接的又は間接的に検出する補助シート巻取径検出手段7iとが設けられ、上記張力制御手段TCは、被覆シートBの基材Cの巻き取り径に応じて被覆シート用基材回収部6bによる基材巻取トルクを制御し、補助シートEの巻き取り径に応じて補助シート回収部7bによる補助シート巻取トルクを制御するように構成されている。
【0038】
図6に示す基材巻取径検出手段6iは、被覆シート用供給保持部6aにおける被覆シートBの巻き残り径を検出する被覆シート巻残径検出手段6jの検出結果に基づいて、被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径を間接的に検出するように設けられ、補助シート巻取径検出手段7iは、補助シート用供給保持部7aにおける補助シートEの巻き残り径を検出する補助シート巻残径検出手段7jの検出結果に基づいて、補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を間接的に検出するように設けられている。被覆シート巻残径検出手段6j及び補助シート巻残径検出手段7jを実現するためのセンサとしては、各シートの巻き残り径の大きさに応じた強さの信号を出力するポテンショメータなどがある。
【0039】
例えば、基材巻取径検出手段6iは、被覆シート用供給保持部6aにおける被覆シートBの巻き残り径の値に基づいて被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径を導出するための導出式又は導出テーブルを所持しており、その導出式又は導出テーブルを参照することで被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径を導出する。同様に、補助シート巻取径検出手段7iは、補助シート用供給保持部7aにおける補助シートEの巻き残り径の値に基づいて補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を導出するための導出式又は導出テーブルを所持しており、その導出式又は導出テーブルを参照することで補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を導出する。
【0040】
そして、張力制御手段TCは、巻取軸駆動機構6gに対して、基材巻取径検出手段6iによって導出された被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径に応じた制御指令値(モータ14を駆動するための電圧値、電流値など)を出力することにより、被覆シート用基材回収部6bにロール状に巻き取られている被覆シートBの基材Cの外周部での基材巻取トルク、つまり被覆シート用基材回収部6bにロール状に巻き取られている被覆シートBの基材Cに与えられている被覆シート張力が一定となるように制御している。同様に、張力制御手段TCは、巻取軸駆動機構7gに対して、補助シート巻取径検出手段7iによって導出された補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径に応じた制御指令値(モータ15を駆動するための電圧値、電流値など)を出力することにより、補助シート回収部7bにロール状に巻き取られている補助シートEの外周部での補助シート巻取トルク、つまり補助シート回収部7bにロール状に巻き取られている補助シートEに与えられている補助シート張力が一定となるように制御している。また、上述したように上記被覆シート張力と上記補助シート張力とはそれぞれ所定の設定範囲に保たれている。そして、張力制御手段TCは、被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径に基づいて巻取軸駆動機構6gに対して出力される制御指令値を導出するための導出式又は導出テーブルを所持しており、及び、補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径に基づいて巻取軸駆動機構7gに対して出力される制御指令値を導出するための導出式又は制御テーブルを所持している。
【0041】
従って、張力制御手段TCが、被覆シート用基材回収部6bに対して常に一定の基材巻取トルクを出力するように制御しているとすると、被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径が変化したときにその基材Cの外周部での基材巻取トルクが変化して、被覆シート用基材回収部6bによって被覆シートBに与えられている被覆シート張力が変化してしまい、同様に、補助シート回収部7bに対して常に一定の補助シート巻取トルクを出力するように制御しているとすると、補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径が変化したときにその補助シートEの外周部での補助シート巻取トルクが変化して、補助シート回収部7bによって補助シートEに与えられている補助シート張力が変化してしまうのだが、本発明に係る被覆装置では、張力制御手段TCが、被覆シートBの巻き残り径に応じて被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの外周部での基材巻取トルクが一定となるような制御を行い、及び、補助シートEの巻き残り径に応じて補助シート回収部7bにおける補助シートEの外周部での補助シート巻取トルクが一定となるような制御を行うように構成されているので、被覆シート用基材回収部6bによって被覆シートBに与えられる被覆シート張力、及び、補助シート回収部7bによって補助シートEに与えられる補助シート張力がそれぞれ適正に調整されることになる。その結果、被覆シート及び補助シートにねじれや歪みなどが起こらないようにして、記録媒体の被覆を適切に行うことができるようになる。
【0042】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径及び補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を間接的に検出する基材巻取径検出手段6i及び補助シート巻取径検出手段7iが、上記被覆シート巻残径検出手段6j及び上記補助シート巻残径検出手段7jを使用する場合について説明したが、他の方法を用いて被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径及び補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を間接的に検出することもできる。
【0043】
例えば、被覆装置内に搭載されている演算制御装置を用いて実現される基材巻取径検出手段6iが、被覆装置において実行されている記録紙Aの被覆処理の実行量(例えば、被覆処理の実行時間や被覆処理された記録紙Aの量)に基づいて、被覆シート用供給保持部6aから被覆シート用基材回収部6b側へどれだけの長さの被覆シートBが移動したのかを導出し、その被覆シートBの供給量と被覆シートBの基材Cの厚さとに基づいて、被覆シート用基材回収部6bにおける基材Cの巻き取り径を逐次導出するように構成することもできる。同様に、被覆装置内に搭載されている演算制御装置を用いて実現される補助シート巻取径検出手段7iが、補助シート用供給保持部7aから補助シート回収部7b側へどれだけの長さの補助シートEが移動したのかを導出し、その補助シートEの供給量と補助シートEの厚さとに基づいて、補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を逐次導出するように構成することができる。
【0044】
他には、基材巻取径検出手段6iが、被覆シート用供給保持部6aの回転数を計測する回転数計測センサと、被覆シート用供給保持部6aに設けられたメモリチップにその回転数を書き込む書込装置とを備え、そのメモリチップに記憶された回転数を読み取ることで、被覆シート用供給保持部6aから被覆シート用基材回収部6b側への被覆シートBの供給量を導出するように構成することもできる。そして、上述した場合と同様に、被覆シートBの供給量と被覆シートBの基材Cの厚さとに基づいて、被覆シート用基材回収部6bにおける基材Cの巻き取り径を導出するように構成することができる。同様に、補助シート巻取径検出手段7iが、補助シート用供給保持部7aの回転数を計測する回転数計測センサと、補助シート用供給保持部7aに設けられたメモリチップにその回転数を書き込む書込装置とを備え、そのメモリチップに記憶された回転数を補助シート巻取径検出手段7iで読み取ることで、補助シート用供給保持部7aから補助シート回収部7b側への補助シートEの供給量を導出するように構成することができる。そして、その補助シートEの供給量と補助シートEの厚さとに基づいて、補助シート回収部7bにおける巻き取り径を逐次導出することができる。
或いは、基材巻取径検出手段6iが、被覆シート用基材回収部6bの回転数を計測する回転数計測センサと、被覆シート用基材回収部6bに設けられたメモリチップにその回転数を書き込む書込装置とを備え、上述したのと同様に被覆シート用基材回収部6bにおける基材Cの巻き取り径を導出するように改変してもよい。同様に、補助シート巻取径検出手段7iが、補助シート回収部7bの回転数を計測する回転数計測センサと、補助シート回収部7bに設けられたメモリチップにその回転数を書き込む書込装置とを備え、上述したのと同様に補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を導出するように改変してもよい。
【0045】
<2>
上記実施形態及び上記別実施形態では、基材巻取径検出手段6i及び補助シート巻取径検出手段7iが、被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径及び補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を間接的に検出するセンサである場合について説明したが、図7に示すように被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径及び補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を直接的に検出するセンサとして、基材巻取径検出手段6i及び補助シート巻取径検出手段7iを設けることもできる。
【0046】
被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径及び補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を直接的に検出する基材巻取径検出手段6i及び補助シート巻取径検出手段7iは、ポテンショメータなどを用いて被覆シート用基材回収部6bにおける被覆シートBの基材Cの巻き取り径及び補助シート回収部7bにおける補助シートEの巻き取り径を検出することで実現可能である。
【0047】
<3>
上記実施形態では、張力制御手段TCが、被覆シート用基材回収部6bの巻取軸6fを駆動する巻取軸駆動機構6gと、補助シート回収部7bの巻取軸7fを駆動する巻取軸駆動機構7gとを制御して被覆シート張力と補助シート張力とを調整する形態について説明したが、張力制御手段TCが他の装置を制御して被覆シート張力と補助シート張力とを調整するように構成してもよい。
【0048】
図8に示す例では、張力制御手段TCが、被覆シート張力と補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように、被覆シート用供給保持部6aによる被覆シート供給抵抗、及び、補助シート用供給保持部7aによる補助シート供給抵抗を制御している。
具体的には、図8に示す記録媒体の被覆装置には、被覆シート用供給保持部6aにおける被覆シートBの巻き残り径を検出する被覆シート巻残径検出手段6jと、補助シート用供給保持部7aにおける補助シートEの巻き残り径を検出する補助シート巻残径検出手段7jと、被覆シート用供給保持部6aの保持軸6cの回転抵抗を制御可能なブレーキなどの抵抗手段6hと、補助シート用供給保持部7aの保持軸7cの回転抵抗を制御可能なブレーキなどの抵抗手段7hとを設けている。上記被覆シート巻残径検出手段6j及び上記補助シート巻残径検出手段7jは、巻き残り径の大きさに応じた強さの信号を出力するポテンショメータなどを用いて実現可能である。
【0049】
そして、張力制御手段TCは、被覆シート巻残径検出手段6jの検出結果に基づく被覆シートBの巻き残り径に応じて被覆シート供給抵抗を制御し、補助シート巻残径検出手段7jの検出結果に基づく補助シートEの巻き残り径に応じて補助シート供給抵抗を制御することで、被覆シート用供給保持部6aから送り出される被覆シートBの張力、及び、補助シート用供給保持部7aから送り出される補助シートEの張力が適正に制御されることになる。例えば、張力制御手段TCは、被覆シート用供給保持部6aにおける被覆シートBの巻き残り径の値及び補助シート用供給保持部7aにおける補助シートEの巻き残り径に基づいて、被覆シートBの巻き残り径及び補助シートEの巻き残り径が小さくなるにつれて被覆シート供給抵抗及び補助シート供給抵抗をそれぞれ小さくする関係で、被覆シート供給抵抗制御値及び補助シート供給抵抗制御値を導出するための導出式又は導出テーブルを所持しており、その導出式又は導出テーブルを参照することで、被覆シート供給抵抗制御値及び補助シート供給抵抗制御値を導出する。そして、張力制御手段TCは、上記被覆シート供給抵抗制御値及び上記補助シート供給抵抗制御値を抵抗手段6h及び抵抗手段7hにそれぞれ出力する。その結果、被覆シート張力と補助シート張力とがそれぞれ所定の設定範囲内に保たれ、特に、被覆シート用供給保持部6aと第1加圧機構8との間の被覆シートBに生じる被覆シート張力と、補助シート用供給保持部7aと第1加圧機構8との間の補助シートEに生じる補助シート張力とがそれぞれ所定の設定範囲内に保たれ、記録紙Aを挟むときの被覆シート及び補助シートにねじれや歪みなどが起こらないようになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る被覆装置をケーシング内に収容した状態を示す斜視図
【図2】本発明に係る被覆装置を幅方向中央付近で切断した断面図
【図3】本発明に係る被覆シートの構造を示す模式断面図
【図4】図2における第1分岐ガイド近傍の拡大図
【図5】本発明に係る被覆装置の第2分岐ガイドにおいて被覆シートの基材が記録紙及び補助シートから剥離する際の状態を示す模式断面図
【図6】本発明に係る被覆装置の機能ブロック図を示す図
【図7】本発明に係る被覆装置の機能ブロック図を示す図
【図8】本発明に係る被覆装置の機能ブロック図を示す図
【符号の説明】
【0051】
1 供給トレイ(記録媒体供給手段)
2 供給ガイド(記録媒体供給手段)
6 被覆シート搬送機構(被覆シート搬送手段)
7 補助シート搬送機構(補助シート搬送手段)
8 第1加圧機構(圧着手段)
A 記録紙(記録媒体)
B 被覆シート
D 転写層(被覆層用材料)
E 補助シート
F 被覆層
TC 張力制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体の表面を被覆層で被覆する記録媒体の被覆装置であって、
前記記録媒体に付着させる被覆層用材料が設けられた被覆シートを搬送する被覆シート搬送手段と、
前記被覆シートに対向させて前記被覆シートと同じ速度で補助シートを搬送する補助シート搬送手段と、
互いに対向して搬送される前記被覆シートと前記補助シートとの間に前記記録媒体を供給する記録媒体供給手段と、
前記記録媒体を間に挟んで対向する前記被覆シートと前記補助シートとを圧着させる圧着手段と、
前記被覆シート搬送手段によって前記被覆シートに与えられている被覆シート張力と、前記補助シート搬送手段によって前記補助シートに与えられている補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように前記被覆シート搬送手段及び前記補助シート搬送手段を制御する張力制御手段とを備えた記録媒体の被覆装置。
【請求項2】
前記被覆シート張力の設定範囲及び前記補助シート張力の設定範囲は、前記被覆シートと前記補助シートとの伸びがほぼ同じになるように設定される請求項1に記載の記録媒体の被覆装置。
【請求項3】
前記被覆シートは、基材と、当該基材の一方の表面に剥離可能に形成された転写層とを有して構成され、
前記被覆シート搬送手段が、ロール状に巻かれた前記被覆シートを供給可能に保持する被覆シート供給手段と前記被覆シートの基材をロール状に巻き取り回収する基材回収手段との間で前記被覆シートを搬送し、
前記補助シート搬送手段が、ロール状に巻かれた前記補助シートを供給可能に保持する補助シート供給手段と前記補助シートをロール状に巻き取り回収する補助シート回収手段との間で前記補助シートを搬送し、
前記張力制御手段が、前記被覆シート張力と前記補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように前記基材回収手段による基材巻取トルク及び前記補助シート回収手段による補助シート巻取トルクを制御する請求項1又は2に記載の記録媒体の被覆装置。
【請求項4】
前記基材回収手段における前記基材の巻き取り径を直接的又は間接的に検出する基材巻取径検出手段と、
前記補助シート回収手段における前記補助シートの巻き取り径を直接的又は間接的に検出する補助シート巻取径検出手段と、を備え、
前記張力制御手段が、前記基材の巻き取り径に応じて前記基材巻取トルクを制御し、前記補助シートの巻き取り径に応じて前記補助シート巻取トルクを制御する請求項3に記載の記録媒体の被覆装置。
【請求項5】
前記被覆シートは、基材と、当該基材の一方の表面に剥離可能に形成された転写層とを有して構成され、
前記被覆シート搬送手段が、ロール状に巻かれた前記被覆シートを供給可能に保持する被覆シート供給手段と前記被覆シートの基材をロール状に巻き取り回収する基材回収手段との間で前記被覆シートを搬送し、
前記補助シート搬送手段が、ロール状に巻かれた前記補助シートを供給可能に保持する補助シート供給手段と前記補助シートをロール状に巻き取り回収する補助シート回収手段との間で前記補助シートを搬送し、
前記張力制御手段が、前記被覆シート張力と前記補助シート張力とをそれぞれ所定の設定範囲内に保つように前記被覆シート供給手段による被覆シート供給抵抗及び前記補助シート供給手段による補助シート供給抵抗を制御する請求項1〜4の何れか一項に記載の記録媒体の被覆装置。
【請求項6】
前記被覆シート供給手段における前記被覆シートの巻き残り径を検出する被覆シート巻残径検出手段と、
前記補助シート供給手段における前記補助シートの巻き残り径を検出する補助シート巻残径検出手段と、を備え、
前記張力制御手段が、前記被覆シートの巻き残り径に応じて前記被覆シート供給抵抗を制御し、前記補助シートの巻き残り径に応じて前記補助シート供給抵抗を制御する請求項5に記載の記録媒体の被覆装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−142531(P2006−142531A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332601(P2004−332601)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】