説明

記録方法、記録物、インクジェット記録装置および識別方法

【課題】記録媒体上に金属光沢面を形成する際に、簡易な工程で該金属光沢面に任意の光沢度を付与することができる記録方法を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる記録方法は、インクジェット記録装置を用いて、インク組成物の液滴を吐出させ、記録媒体上に該液滴を付着させて第1ドット群を形成する工程と、少なくとも前記第1ドット群の上に、平板状粒子からなる色材を含有する光沢インク組成物を付着させて第2ドット群を形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録方法、記録物、インクジェット記録装置および識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷面に金属光沢面が形成された印刷物の需要が高まっている。金属光沢、パール光沢面を有する印刷物は、該光沢による外観的な特徴の他に、複製が難しいという特徴を有している。たとえば、金属光沢面を有する印刷物を市販の複写機、プリンターなどを用いて複写・複製することは、光学的なスキャンによって金属光沢、パール光沢面の画像情報を取り込むことが困難な点、および金属光沢、パール光沢を再現できるトナー、インクを搭載していない点などにより、非常に困難である。
【0003】
金属光沢面には、鏡面状の高光沢面とマット調のマット光沢面とがある。これらの金属光沢面の光沢度は、鏡面光沢度(JIS Z8741等)によって定義される。従来の業務用印刷装置と従来の印刷インキを用いても20°鏡面光沢度が100%を超える高い金属光沢を有する印刷を再現することは困難であり、そのような印刷には、印刷装置とは別に金属箔を用いたホットスタンプ、コールドスタンプなどの箔押し装置が用いられている。これは、平坦性の高い印刷面を有する記録媒体に対して、金属箔を押しつけて印刷する方法である。また、高い金属光沢を有する印刷としては、印刷面が平滑なプラスチックフィルムに対して金属を真空蒸着する方法、および、記録媒体に金属顔料インキを用いて印刷し、さらにプレス加工を行う方法などが挙げられる。
【0004】
高い金属光沢を有する金属光沢面については、インクジェット記録方法によって形成する方法も提案されている。たとえば、特開2002−179960号公報には、プラスチックの球形粒子の表面に金属の被膜を形成したものを顔料として含むインク組成物を、インクジェット記録装置にて記録媒体に塗布し、その後プレス加工によって表面の平滑化を行う印刷技術が開示されている(特許文献1)。
【0005】
マット光沢面を形成する従来の方法としては、たとえば、金属顔料インキを用いたグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などが挙げられ、また、記録媒体にプレス等によりあらかじめパターンを形成した後、さらに箔押し印刷や金属箔を用いた熱転写印刷を行う方法などがある。
【特許文献1】特開2002−179960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記例示した従来の印刷技術は、印刷面に特定の光沢度を有する1種類の金属光沢面、パール光沢面を形成するために適した技術であった。したがって、1つの印刷工程で、対象となる1つの印刷物に光沢度の異なる複数の金属光沢、パール光沢印刷面を形成することは困難であった。
【0007】
光沢度の異なる複数の金属光沢面、パール光沢印刷面を形成するためには、従来のグラビア印刷法やフレキソ印刷法では、金属顔料インキ、パール顔料インキの種類を版ごとに変える必要があり、また、従来の箔押し印刷や熱転写印刷では、凹凸を形成するための型、印刷版やロール等を交換するなどそれぞれ専用のものを準備する必要があった。そのため、従来の方法では複数の印刷装置を直列に組み合わせて各金属光沢面、パール光沢印刷を逐次的に形成する、または印刷装置に特殊な版やロール等の構成を追加するなど、印刷工程や印刷装置が極めて複雑化する傾向があった。
【0008】
発明者は、金属光沢面の光沢度が金属光沢面の表面の算術平均粗さ(Ra)によって変化すること、および該算術平均粗さ(Ra)が放射線硬化型インク組成物を用いたインクジェット記録方法によって、放射線硬化型インク組成物の使用量を制御して、記録媒体表面にパターンを形成することにより容易に制御しうることに着目し、本発明を為すに至った。
【0009】
本発明の目的の1つは、記録媒体上に金属光沢面を形成する際に、簡易な工程で該金属光沢面に任意の光沢度を付与することができる記録方法を提供することである。
【0010】
本発明の目的の1つは、複写、複製の困難な記録物を提供することである。
【0011】
本発明の目的の1つは、記録物を容易に識別する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかる記録方法は、
インクジェット記録装置を用いて、インク組成物の液滴を吐出させ、記録媒体上に該液滴を付着させて第1ドット群を形成する工程と、
少なくとも前記第1ドット群の上に、平板状粒子からなる色材を含有する光沢インク組成物を付着させて第2ドット群を形成する工程と、
を含む。
【0013】
このような方法によれば、記録媒体上に任意の光沢度を有する金属光沢面を容易に形成することができる。
【0014】
本発明にかかる記録方法において、
前記平板状粒子からなる色材は、金属顔料およびパール顔料の少なくとも1種である。
【0015】
本発明にかかる記録方法において、
前記金属顔料の材質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金であることができる。
【0016】
本発明にかかる記録方法において、
前記金属顔料またはパール顔料の構造は、薄膜の多重層から形成された平板状粒子であることができる。
【0017】
本発明にかかる記録方法において、
前記第1ドット群を形成する工程は、放射線硬化型インク組成物を用いて行われることができる。
【0018】
本発明にかかる記録方法において、
前記第1ドット群を形成する工程の後に、前記第1ドット群に放射線を照射して硬化処理する工程を含むことができる。
【0019】
本発明にかかる記録方法において、
前記第1ドット群に放射線を照射して硬化処理する工程は、波長が350nm〜450nmの光を照射することによって行われることができる。
【0020】
本発明にかかる記録方法において、
前記第2ドット群を形成する工程は、前記インクジェット記録装置を用いて、前記光沢インク組成物の液滴を吐出させ、少なくとも前記第1ドット群の上に該液滴を付着させて行われることができる。
【0021】
本発明にかかる記録方法において、
前記第2ドット群を形成する工程の後に、さらに、放射線硬化型クリアインク組成物を付着させて第3ドット群を形成する工程と、
前記第3ドット群に放射線を照射して硬化処理する工程と、
を含むことができる。
【0022】
本発明にかかる記録方法において、
前記第3ドット群に放射線を照射して硬化処理する工程は、波長が350nm〜450nmの光を照射することによって行われることができる。
【0023】
本発明にかかる記録方法において、
前記平板状粒子からなる色材の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のXY平面の面積より求めた円相当径における50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たすものとすることができる。
【0024】
本発明にかかる記録方法において、
前記第1ドット群は、表面にパターンを有するように形成され、
前記パターンは、日本工業規格 JIS B0601:2001における粗さ曲線の算術平均粗さ(Ra)が0.4〜1.4μmであることができる。
【0025】
本発明にかかる記録方法において、
前記パターンは、前記第1ドット群を形成する工程における前記インク組成物の前記液滴の付着量によって制御されることができる。
【0026】
本発明にかかる記録物は、
上述の記録方法によって情報が記録されている。
【0027】
このような記録物は、複製が困難である。
【0028】
本発明にかかるインクジェット記録装置は、
上述の記録方法に用いられるものである。
【0029】
本発明にかかる識別方法は、
上述の記録物の識別方法であって、
前記第2ドット群を形成する前記光沢インク組成物に含有される前記平板状粒子からなる色材の粒子形状を顕微鏡で観察する工程を有し、
前記顕微鏡で観察される前記平板状粒子からなる色材の粒子形状の適否によって前記記録物の真贋を判定する。
【0030】
このような方法によれば、上述の記録物の真贋を容易に識別することができる。
【0031】
本発明にかかる識別方法は、
上述の記録物の識別方法であって、
前記第2ドット群に識別用物質が含有され、
前記第2ドット群を顕微鏡で観察する工程を有し、
前記顕微鏡で観察される前記識別用物質の含有量によって前記記録物の真贋を判定する。
【0032】
本発明にかかる識別方法において、
前記識別用物質は、透明粒子、着色粒子および蛍光物質から選ばれる少なくとも1種であることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明する。
【0034】
1.記録方法
本発明にかかる記録方法は、記録媒体上に第1ドット群を形成する工程と少なくとも第1ドット群の上に第2ドット群を形成する工程と、を含む。
【0035】
本明細書において、「ドット群」とは、文字、画像、ドット(ベタ)状などの印画物の印字面に形成されるインク組成物の付着物のことを指す。
【0036】
1.1.第1ドット群を形成する工程
第1ドット群を形成する工程は、インクジェット記録装置を用いて、インク組成物の液滴を吐出させ、記録媒体上に該液滴を付着させて行われる。第1ドット群は、表面にパターン(たとえば凹凸形状)を有するように形成されることができる。
【0037】
1.1.1.インクジェット記録装置
本工程で用いるインクジェット記録装置は、インクの液滴を吐出し、前記液滴を記録媒体に付着させて記録を行うことができるものであれば、特に限定されない。
【0038】
インクジェット記録装置の記録方式としては、例えば、ノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式またはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式(静電吸引方式)、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式(ピエゾ方式)、インク液を印刷情報信号にしたがって微小電極で加熱発泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式(サーマルジェット方式)等が挙げられる。
【0039】
また、本工程で用いるインクジェット記録装置としては、インクジェット式記録ヘッド、本体、トレイ、ヘッド駆動機構、キャリッジおよびキャリッジの側面に搭載された紫外線照射装置などを備えたものを例示できる。インクジェット式記録ヘッドは、たとえば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインク及びインクジェット記録用インクカートリッジを備えており、フルカラー印刷ができるように構成されることができる。また、中間色、濃色、淡色、ホワイトや透明のインク及びインクジェット記録用インクカートリッジを用いることも可能である。本工程では、この少なくとも1つのインクジェット記録用インクカートリッジに、放射線硬化型インク組成物を充填し設置する。また、インクジェット記録装置は、内部に専用のコントロールボード等を備えており、インクジェット式記録ヘッドのインクの吐出量、吐出タイミングおよびヘッド駆動機構の走査を制御することができる。
【0040】
インクジェット記録装置には、インクジェット記録用カートリッジが複数備えられており、そのうちの少なくとも1つに、後述の本工程に適したインク組成物を収納することができる。また、それ以外のインクジェット記録用カートリッジには、通常のインクをそれぞれ収納することができる。
【0041】
このようなインクジェット記録装置を用いれば、インク組成物を記録媒体に噴射して付着させ容易に第1ドット群を形成することができる。
【0042】
また、インクジェット記録装置内部、排紙口及び装置内のキャリッジ側面には、紫外線を照射するための、紫外線照射装置を搭載することができる。紫外線照射装置としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプなどの光を光ガイド等によってドット群に導いて行うことも可能である。また、光源としては、たとえば、Fusion System社等から入手可能なHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。また、光源としては、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)や紫外線発光半導体レーザ等の紫外線発光半導体素子を用いることができ、このような光源からの紫外線を、インクジェット記録装置内で記録媒体またはこれに付着した液滴に照射することができる。
【0043】
1.1.2.記録媒体
本工程で用いる記録媒体としては、インクジェット記録装置によってインク組成物の液滴を付着することができる限り特に限定されない。記録媒体に、たとえば、コート紙、アート紙、キャストコート紙等の表面加工紙、オレフィン系の合成紙、および光沢、マット系の塩化ビニルシートやターポリン、PE、PPなどオレフィン系、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、PETフィルム等のプラスチックフィルム、アクリル樹脂、PVC、ABS樹脂、ウレタン樹脂などの板、発泡ボードなどの印刷面が平滑なものを選べば、光沢度の高い金属光沢面を形成しやすくなり、記録媒体上に形成される金属光沢面の光沢度の変化の幅を広げることができる。
【0044】
コート紙の例としては、たとえば、上質紙または中質紙をベースに少なくとも片面に7g/m〜20g/mの白色の塗料を塗布したものを挙げることができる。これらは、上質コート紙または中質コート紙などと呼ばれることがある。また、コート紙の種類としては、白色塗料の塗工量の小さい(たとえば、片面あたり7g/m程度)軽量コート紙や光沢を抑えたマットコート紙、表面光沢の高いミラーコート紙などを挙げることができる。
【0045】
アート紙の例としては、たとえば、上質紙に白色の塗料が片面あたり20g/m程度塗工され、ロール等によって、高圧が加えられ表面が滑らかになっている紙を挙げることができる。アート紙には、つや消しアート紙、上質アート紙、並アート紙などが含まれる。キャストコート紙の例としては、たとえば、上質紙に白色の塗料が片面あたり少なくとも22g/m塗工され、ロール等によって、高圧が加えられ表面が滑らかになっている紙を挙げることができる。
【0046】
上述した記録媒体は、表面の平坦性に制限はなく、グロス系、マット系、ダル系のいずれであってもよい。市販の記録媒体としては、パールコート紙(三菱製紙株式会社から入手可能。)や、オーロラコート紙(日本製紙株式会社から入手可能。)、光沢塩化ビニルシート(たとえば商品名SV−G−610G、SPVC−G−1270T:ローランドディージー株式会社製)、PETフィルム(たとえば商品名XEROX FILM<枠無し>:富士ゼロックス株式会社製)などがある。
【0047】
1.1.3.インク組成物
本工程で形成される第1ドット群は、上記のインクジェット記録装置によって記録媒体上に付着されたインク組成物から構成される。本工程で用いられるインク組成物は、少なくとも一部の成分が記録媒体上に残留する機能を有する。
【0048】
このような記録媒体上に残るインク組成物としては、放射線硬化型インク組成物、一般的な顔料インク組成物、ホットメルトタイプのインク組成物などがある。ホットメルトタイプのインク組成物は、ワックス成分を含有し、加熱溶融することでインクジェット記録装置によって吐出可能な粘度に調節することができる。そして記録媒体上に付着されたときに、冷却されて温度が下がり固化するタイプのインク組成物である。
【0049】
上記例示した放射線硬化型インク組成物、一般的な顔料インク組成物、およびホットメルトタイプのインク組成物は、いずれも、少なくとも一部の成分が記録媒体上に残留して、残留したインク組成物の表面にパターン(たとえば凹凸形状)を形成させることができる。たとえば、一般的な顔料インク組成物は、記録媒体に吸収されない成分として少なくとも顔料を含有しており、この顔料が記録媒体上に残留することによって、表面にパターンを形成することができる。また、たとえば、ホットメルトタイプのインク組成物は、記録媒体への浸透性、組成物の粘度、および付着させる際の温度などを調節することにより、記録媒体上に少なくとも一部を残留させることができ、これにより表面にパターンを形成することができる。以下、本工程において特に好適な放射線硬化型インク組成物について説明する。
【0050】
1.1.4.放射線硬化型インク組成物
本工程で形成される第1ドット群は、上記のインクジェット記録装置によって記録媒体上に付着された放射線硬化型インク組成物から構成されることができる。本工程で用いることができる放射線硬化型インク組成物は、少なくとも重合性化合物および放射線重合開始剤を含有する。
【0051】
1.1.4.1.重合性化合物
本工程で使用可能な放射線硬化型インク組成物に含有される重合性化合物としては、単官能重合性化合物および多官能重合性化合物を挙げることができる。これらの重合性化合物としては、何らかのエネルギー付与により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限されることはなく、モノマー、オリゴマー、直鎖状ポリマー、樹枝状ポリマーの種を問わず使用することができる。重合性化合物としては、より具体的にはラジカル重合性化合物を挙げることができる。
【0052】
放射線硬化型インク組成物において用いることができるラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、アリル化合物、N−ビニル化合物、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど)、アリルエステル類(酢酸アリルなど)、ハロゲン含有単量体(塩化ビニリデン、塩化ビニルなど)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなど)、シアン化ビニル((メタ)アクリロニトリルなど)、オレフィン類(エチレン、プロピレンなど)などが挙げられる。なお、本明細書中において、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
【0053】
単官能(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、PO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、EO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0054】
多官能(メタ)アクリレートとしては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の2官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0055】
さらに、多官能の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート:以上3官能、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート:以上4官能、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート:以上5官能、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート:以上6官能、等が挙げられる。
【0056】
さらに、多官能の(メタ)アクリレートとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基を複数有する化合物が挙げられ、たとえば、直鎖状の高分子に(メタ)アクリロイル基が複数結合した化合物や、樹枝状ポリマーに(メタ)アクリロイル基が複数結合した化合物を挙げることができる。特に樹枝状ポリマーに(メタ)アクリロイル基が複数結合した化合物の具体例としては、商品名:ビスコート#1000で大阪有機化学工業株式会社から入手可能な化合物が挙げられる。該化合物は、ジペンタエリスルトールをコアとして官能基を分岐させて合成されたハイパーブランチポリマーであり、ポリマー分子の表面付近のアクリロイル基の密度が高いため、重合性化合物として好適に用いることができる。
【0057】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリンが挙げられる。
【0058】
芳香族ビニル類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
【0059】
アリル化合物は、2−プロペニル構造(−CHCH=CH)構造を有する。2−プロペニル基は、アリル基とも呼ばれ、IUPAC命名法では慣用名とされている。アリル化合物の具体例としては、たとえば、エチレングリコールモノアリルエーテル、アリルグリコール(たとえば、日本乳化剤株式会社から入手可能)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル(以上、たとえば、ダイソー株式会社から入手可能)や、ユニオックス、ユニループ、ポリセリン、ユニセーフの商品名であるアリル基を有するポリオキシアルキレン化合物(日油株式会社から入手可能)等が挙げられる。
【0060】
N−ビニル化合物は、ビニル基が窒素に結合した構造(>N−CH=CH)を有する。N−ビニル化合物は、ラジカル重合性を有する。N−ビニル化合物の具体例としては、たとえば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、およびそれらの誘導体が挙げられ、これらの化合物の中でも特にN−ビニルホルムアミドが好ましい。N−ビニルホルムアミドは、たとえば、荒川化学工業株式会社から入手することができる。
【0061】
放射線硬化型インク組成物は、以上に例示した重合性化合物を、複数含有することできる。
【0062】
放射線硬化型インク組成物中の重合性化合物の含量は、組成物全体に対して50質量%〜95質量%が適当であり、好ましくは、60質量%〜92質量%、さらに好ましくは、70質量%〜90質量%の範囲である。
【0063】
1.1.4.2.放射線重合開始剤
本工程で使用可能な放射線硬化型インク組成物は、放射線重合開始剤を含有する。放射線硬化型インク組成物に用いられる放射線重合開始剤は、放射線によってラジカルを発生することができる。放射線重合開始剤のラジカルを発生させうる放射線としては、例えば、400nm〜200nmの範囲の紫外線、可視光、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線、またはイオンビーム等が挙げられる。
【0064】
放射線硬化型インク組成物に含有される放射線重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物等を挙げることができる。放射線重合開始剤のうち紫外線によってラジカルを発生させうる紫外線重合開始剤としては、具体的には、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、オキシムエステル、チオキサントン、α−ジカルボニル、およびアントラキノンを挙げることができる。
【0065】
放射線重合開始剤の具体例としては、Vicure 10、30(Stauffer Chemical社製)、Irgacure 127、184、500、651、2959、907、369、379、754、1700、1800、1870、819、OXE01、Darocur 1173、TPO、ITX(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、QuantacureCTX(Aceto Chemical社製)、Kayacure、DETX−S(日本化薬社製)、ESACURE KIP150(Lamberti社製)の商品名で入手可能なもの等を挙げることできる。
【0066】
上記の放射線重合開始剤は、放射線を受けることによりラジカルを発生する。発生したラジカルは、重合性化合物の重合開始剤として働くことができる。
【0067】
1.1.4.3.その他の成分
本工程で使用可能な放射線硬化型インク組成物は、上記の重合性化合物および放射線重合開始剤の他に、色材、重合促進剤、熱ラジカル重合禁止剤、界面活性剤、湿潤剤、浸透溶剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤等を含有してもよい。さらに、必要に応じて、レベリング添加剤、マット剤、記録物の物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を含有することができる。
【0068】
放射線硬化インク組成物に使用しうる色材としては、染料または顔料のいずれであってもよい。
【0069】
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、などの通常インクジェット記録に使用される各種染料を挙げることができる。
【0070】
顔料としては、特別な制限はなく、無機顔料、有機顔料を挙げることができる。無機顔料としては、酸化チタン、および酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(たとえば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
【0071】
顔料のうち、カーボンブラックとしては、C.I.ピグメントブラック7が挙げられ、たとえば、三菱化学株式会社から入手可能なNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビアケミカルカンパニー社から入手可能なRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等が、また、キャボット社から入手可能なRegal400R、同330R、同660R、MogulL、同700、Monarch800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等が、さらに、デグッサ社から入手可能なColorBlackFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、ColorBlackS150、同S160、同S170、Printex35、同U、同V、同140U、SpecialBlack6、同5、同4A、同4等が挙げられる。
【0072】
放射線硬化型インク組成物に使用しうるイエロー顔料としては、たとえば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、180、185、213等が挙げられる。
【0073】
また、放射線硬化型インク組成物に使用しうるマゼンダ顔料としては、たとえば、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、209、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0074】
放射線硬化型インク組成物に使用しうるシアン顔料としては、たとえば、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、60、16、22が挙げられる。
【0075】
放射線硬化型インク組成物に使用しうる顔料の平均粒子径は、好ましくは10nm〜200nmの範囲であり、より好ましくは50nm〜150nmの範囲である。
【0076】
放射線硬化型インク組成物に使用しうる顔料の添加量は、好ましくは0.1質量%〜25質量%であり、より好ましくは0.5質量%〜15質量%である。
【0077】
放射線硬化型インク組成物が顔料を含有する場合は、顔料の良好な分散を得るために、分散剤または界面活性剤を含むことができる。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。高分子分散剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミンなどを例示することができる。ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミンの具体例としては、例えば、ディスコール(Discole)N−503、N−506、N−509、N−512、N−515、N−518、N−520(第一工業製薬株式会社製)を挙げることができる。
【0078】
放射線硬化型インク組成物に色材を含有させると、第1ドット群は、表面にパターン(たとえば凹凸形状)を形成させる機能の他に、通常の画像等を記録するためのドット群として機能することができる。
【0079】
放射線硬化型インク組成物は、さらに重合促進剤を含むことができる。放射線硬化型インク組成物において用い得る重合促進剤としては、特に限定されないが、DarocurEHA、EDB(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社から入手可能)等が挙げられる。
【0080】
また、放射線硬化型インク組成物は、熱ラジカル重合禁止剤を含有することもできる。熱ラジカル重合禁止剤を含有することにより、放射線硬化型インク組成物の保存安定性を向上させることができる。熱ラジカル重合禁止剤としては、IrgastabUV−10(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社から入手可能)等が挙げられる。
【0081】
さらに、放射線硬化型インク組成物は、保存安定性等を向上させるために、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、例えばシリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、−UV3510、−UV3530、−UV3570(ビックケミー・ジャパン株式会社から入手可能)を挙げることができる。
【0082】
以上、説明した第1ドット群を形成する工程は、インクジェット記録装置を用いて、インク組成物の液滴を吐出させ、記録媒体上に該液滴を付着させて行われ、形成される第1ドット群は、表面にパターン(たとえば凹凸形状)を有するように形成される。
【0083】
1.2.第2ドット群を形成する工程
第2ドット群を形成する工程は、少なくとも第1ドット群の上に平板状粒子からなる色材を含有する光沢インク組成物を付着させて行われる。
【0084】
1.2.1.光沢インク組成物の付着方法
光沢インク組成物を付着させる方法としては、インクジェット記録方法、スクリーン印刷などの孔版印刷、オフセット印刷などの平版印刷、フレキソ印刷などの凸版印刷、グラビア印刷などの凹版印刷などの印刷方法、刷毛や筆等による塗布方法が挙げられる。これらの方法のうち、第1ドット群表面に形成された表面パターンを変形させないように光沢インク組成物を付着させることが容易である点から、インクジェット記録方法が特に好ましい。インクジェット記録方法によって本工程を行う場合は、「1.1.1.インクジェット記録装置」の項で述べたインクジェット記録装置に、第1ドット群を形成するためのインク組成物の代わりに、光沢インク組成物を充填して行うことができる。
【0085】
光沢インク組成物は、少なくとも第1ドット群の上に付着され、該第1ドット群上では、第1ドット群の全体に付着されて一部に付着されてもよい。また、光沢インク組成物は、記録媒体上で第1ドット群が形成されていない部位に付着されてもよい。
【0086】
1.2.2.光沢インク組成物
本工程で形成される第2ドット群は、平板状粒子からなる色材を含有する光沢インク組成物から構成される。本工程で用いる光沢インク組成物は、対象物に付着された際に、金属光沢面を形成することができる。光沢インク組成物は、平板状粒子からなる色材と、有機溶剤と、樹脂とを含有する。
【0087】
1.2.2.1.平板状粒子からなる色材
光沢インク組成物に含有される色材としては、平板状の粒子形状を有している限り任意である。「平板状粒子」とは、略平坦な面(XY平面)を有し、かつ厚み(Z)が略均一である粒子をいう。
【0088】
平板状粒子からなる色材は、平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のXY平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつR50/Z>5の条件を満たすものがより好ましい。
【0089】
「円相当径」とは、平板状粒子のXY平面を、Z方向に投影したときの面積と同じ面積を有する円の直径のことである。円相当径は、たとえば、粒子像分析装置(たとえば、シスメックス株式会社製FPIA−2100、FPIA−3000、FPIA3000S)や、顕微鏡観察結果の画像解析などによって測定することができる。
【0090】
平板状粒子の円相当径の50%平均粒子径R50とは、系内の十分な個数の平板状粒子の円相当径を測定して、円相当径に対する粒子の個数(頻度)分布を描いたときに、測定した粒子の総個数が50%の円相当径のことを指す。
【0091】
平板状粒子のXY平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50は、金属光沢、印字安定性の観点から、0.5〜3μmであることが好ましく、0.75〜2μmであることが更に好ましい。
【0092】
平板状粒子のXY平面の面積より求めた円相当径の最大粒子径Rmaxは、光沢インク組成物を用いてインクジェット記録装置にて印刷する際には、ノズルの目詰まりを防止するために、10μm以下であることが好ましい。
【0093】
また、このような平板状粒子からなる色材は、良好な金属光沢面を形成することができる点で、金属顔料およびパール顔料であることがより好ましい。以下、平板状の粒子形状を有する金属顔料およびパール顔料について記述する。
【0094】
平板状の粒子形状を有する色材として、金属顔料およびパール顔料を選択する場合は、市販品を用いることができるほか、金属粒子の場合は金属蒸着膜を破砕する方法により作製することができる。
【0095】
パール顔料では、たとえば、一般的なパール系塗料、インキに配合される雲母、タルク、カオリン、ベントナイト、スメクタイト、セピオライト、バミキュライト、モンモリロナイト、セリサイトなどの層状の構造を有する粘土鉱物が例示できる。更に、平板状に加工した材料、例えば厚み0.01μm〜1μm、粒子径2μm〜20μmに加工した雲母を二酸化チタンや酸化鉄で被覆することにより、薄膜の多重層から形成されたものとすることで、よりパール光沢を向上させた平板状顔料も好適に使用できる。
【0096】
また、金属の平板状粒子の作成方法としては、たとえば、次のようなものがある。まず、シート状の基材に、剥離用の樹脂層を設け、その上に蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の方法によって金属または金属合金の層を積層する。このとき、金属または金属合金の層の厚みは、20〜100nmとすることにより、金属光沢を高めることができる。次に、剥離用樹脂の層と、金属または金属合金の層との界面で剥離し、金属または金属合金の層を得る。そして、この金属または金属合金の層を機械的に粉砕する。この粉砕物から目標の粒径を有する平板状粒子を篩い分けて採取することによって得られる。また、このような金属顔料は、金属合金の層を複数積層することができ、また、金属合金の層にさらに他の層を積層することもできる。金属顔料を薄膜の多重層から形成すれば、さらに金属光沢の向上した金属顔料として好適に用いることができる。
【0097】
また、金属の平板状粒子は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることが好ましい。アルミニウム合金を選択する場合は、アルミニウムに含有される他の元素としては、アルミニウム合金として金属光沢を発現できるものである限り制限はない。アルミニウムの合金元素をしては、たとえば、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、および銅から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
【0098】
上述の金属顔料およびパール顔料は、いずれも平板状粒子であり、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のXY平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつR50/Z>5の条件を満たすことができる。そのため、第2ドット群により良好な金属光沢を発現させることができる。
【0099】
このような平板状粒子は、第2ドット群が付着された際に、付着面の法線方向に平板状粒子のZ方向が揃いやすい形状であるため、第2ドット群の厚みの均一性を高めることができる。したがって、第2ドット群の上面に下地(たとえば第1ドット群)の表面パターンを反映させやすくなる。これにより、第1ドット群によって形成されたパターンを、第2ドット群の表面に再現することができるため、第1ドット群の表面のパターンの変化に対応した、任意の金属光沢面を第2ドット群の表面に形成することができる。
【0100】
1.2.2.2.有機溶剤
光沢インク組成物は、有機溶剤を含有する。有機溶剤としては、好ましくは極性有機溶剤、たとえば、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、およびこれらのフッ化物など)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど)、カルボン酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、ラクトン類(γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなど)等を用いることができる。
【0101】
有機溶剤としては、常温常圧下で液体であり、無色で臭気が少ないものが好ましい。このような好ましい有機溶剤としては、アルキレングリコールエーテルを挙げることができ、本実施形態の有機溶剤には、アルキレングリコールエーテルを含むことが好ましい。さらに、有機溶剤としては、分子内に分子内にエーテル基および水酸基を有し、アルコール類とエーテル類の両者の特性を有しているものが好ましく、このような有機溶剤としては、アルキレングリコールモノエーテルを挙げることができ、本実施形態の有機溶剤には、アルキレングリコールモノエーテルを含むことがさらに好ましい。
【0102】
アルキレングリコールエーテルとしては、アルキレングリコールの、メチルエーテル、n−プロピルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、i−ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル等の脂肪族エーテル、二重結合を有するアリルエーテル、フェニルエーテル等のエーテル類が挙げられる。
【0103】
また、アルキレングリコールのアルキレングリコール部位としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコールなどが挙げられる。
【0104】
以下に、有機溶剤として好適なアルキレングリコールの具体例を挙げる。アルキレングリコールモノエーテルの具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、等が挙げられる。
【0105】
アルキレングリコールジエーテルの具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、等が挙げられる。
【0106】
更に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようにアルキレングリコールエーテル誘導体も使用可能である。
【0107】
1.2.2.3.樹脂
本工程で用いる光沢インク組成物に含有される樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、繊維素系樹脂(たとえば、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。
【0108】
また、樹脂として、非水系のエマルション型ポリマー微粒子(NAD=Non Aqueous Dispersion)も本工程の光沢インク組成物に含有することができる。これは、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリルポリオール樹脂等の微粒子が有機溶剤中に安定に分散している分散液である。たとえば、ポリウレタン樹脂では三洋化成工業株式会社製のサンプレンIB−501、IB−F370が挙げられ、アクリルポリオール樹脂では、ハリマ化成株式会社製のN−2043−60MEXが挙げられる。
【0109】
1.2.2.4.その他の成分
本工程で用いる光沢インク組成物は、上記の金属顔料およびパール顔料の少なくとも1種、有機溶剤および樹脂の他に、識別用物質、色材、界面活性剤、湿潤剤、浸透溶剤、防腐剤、防黴剤等を含有してもよい。色材、界面活性剤、湿潤剤、浸透溶剤、防腐剤、防黴剤等の物質は、「1.1.4.3.その他の成分」で述べた放射線硬化型インク組成物に添加しうる物質と同様である。
【0110】
識別用物質としては、透明粒子、着色粒子および蛍光物質から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。光沢インク組成物にこのような識別用物質を含有させると、第2ドット群に識別用物質が混入されるため、たとえば、得られた記録物の真贋判定を容易にすることができる(詳細は後述する)。
【0111】
1.3.第1ドット群を硬化処理する工程
本発明の記録方法において、第1ドット群が放射線硬化型インク組成物で形成される場合は、第1ドット群を形成する工程の後に、第1ドット群を硬化処理する工程を付加することができる。
【0112】
第1ドット群が放射線硬化型インク組成物により形成されているとき、本工程によって、放射線を照射することによって、第1ドット群が硬化される。放射線は、放射線硬化型インク組成物に使用される放射線重合開始剤のラジカルを発生させうるものを照射する。放射線としては、「1.1.4.2.放射線重合開始剤」の項で述べたものと同様であり、発生方法も同様である。これらのうち、放射線としては、波長が350〜450nmの光を用いることが装置の簡易化や安全性の点でより好ましい。その場合には、波長が350〜450nmの光によってラジカルを発生しやすい放射線重合開始剤が選択されることが望ましい。
【0113】
放射線の照射方法としては、インクジェット記録装置の内部や排紙口に設置する、またはインクジェット記録装置の外部から、光ガイド等によって第1ドット群に放射線を導いて行うことができる。また、上述したように、インクジェット記録装置内のキャリッジ側面等に紫外線照射装置を設け、第1ドット群を形成するためのキャリッジの走査に追従させて紫外線を照射することもできる。
【0114】
第1ドット群の硬化処理は、第1ドット群が形成された後であって、第2ドット群が形成される前であれば、任意の時期に行うことができる。インクジェット記録装置内のキャリッジ側面等に紫外線照射装置を設け、第1ドット群を形成するためのキャリッジの走査に追従させて紫外線を照射する場合は、第1ドット群の形成直後に硬化処理を行うことができる。また、記録媒体の印刷面に所定の第1ドット群を形成し終わった後に、印刷面に紫外線を照射して硬化処理を行うこともできる。さらに、放射線硬化型インク組成物の流動性と、硬化処理を行うタイミングとを調節することによって、第1ドット群表面に形成されるパターン形状を制御することもできる。
【0115】
1.4.第1ドット群の表面形状
第1ドット群の表面は、パターン(たとえば凹凸形状など)を有することができる。第1ドット群の表面のパターンは、たとえば、表面形状測定装置や表面粗さ計によって測定することができる。そして、第1ドット群の表面のパターンは、たとえば、日本工業規格(JIS)B0601:2001における輪郭曲線の算術平均粗さ(Ra)によって特徴付けることができる。上述した第1ドット群を形成する工程および第1ドット群を硬化処理する工程によって、第1ドット群の表面に0.4〜1.4μmの範囲のRa値を有するパターンを付与することができる。
【0116】
このような第1ドット群の表面のRa値の範囲は、発明者による以下の実験結果に基づいている。記録媒体として、白色の塩化ビニルのシート(ローランドディージー株式会社製SPVC−G−1270T)を準備した。該シートにインクジェット記録装置(セイコーエプソン株式会社製PX−7500)を用いて放射線硬化型インク組成物を印刷した。印刷パターンとしては、ベタパターンを採用した。用いた放射線硬化型インク組成物は、重合性化合物として、エチレングリコールモノアリルエーテル=71.6質量%、およびビスコート#1000=20.0質量%、光重合開始剤として、Irgacure819=6.4質量%、およびIrgacure127=1.6質量%、添加剤として、BYK−UV3500=0.2質量%、およびIrgastabUV−10=0.2質量%の組成を有するものを用いた。ベタパターンを印刷後、紫外線照射光源により、波長365nmにおける積算光量が400mJ/cmとなるように該ベタパターンに紫外線を照射した。
【0117】
このとき、放射線硬化型インク組成物の使用量(mg/cm)が異なるベタパターンを複数形成した。そして、得られたベタパターン(第1ドット群に相当)のそれぞれの表面を表面形状測定装置(株式会社キーエンス製 レーザ顕微鏡 VK−9700)によって測定し、輪郭曲線を得た。同装置を用いて各ベタパターンの輪郭曲線の算術平均粗さRaを求めた。図1は、インク使用量(mg/cm)に対して、算術平均粗さRa(%)をプロットしたグラフである。
【0118】
図1に示すように、第1ドット群の表面の算術平均粗さRaは、第1ドット群を形成する工程で記録媒体に付着される放射線硬化型インク組成物の使用量に依存して連続的に変化させることができる。しかも、第1ドット群の表面のRaと、第1ドット群を形成する工程で記録媒体に付着される放射線硬化型インク組成物の使用量とは、ほぼ直線的な相関関係を有することが分かった。
【0119】
1.5.パターン形成方法
第1ドット群を形成する工程で放射線硬化型インク組成物を用い、かつ、第1ドット群を硬化処理する工程を行うと、これらの工程によって形成される第1ドット群の表面に凹凸形状などのパターンが形成されるため、パターン形成方法として利用することができる。すなわち、パターン形成方法としては、インクジェット記録装置を用いて、放射線硬化型インク組成物の液滴を吐出させ、記録媒体上に該液滴を付着させて第1ドット群を形成する工程と、第1ドット群を硬化処理する工程と、を含むものである。
【0120】
このようなパターン形成方法は、記録媒体上に形成される第1ドット群の表面に0.4〜1.4μmの範囲のRa値を有するパターンを容易に付与することができる。そして、このようなパターン形成方法は、記録媒体上に付着される放射線硬化型インク組成物の付着量によって、Ra値を制御することができる。
【0121】
1.6.第3ドット群
本発明の記録方法は、さらに、第2ドット群上に放射線硬化型クリアインク組成物を付着させて第3ドット群を形成する工程と、第3ドット群を硬化処理する工程と、を有することができる。
【0122】
第3ドット群は、放射線硬化型クリアインク組成物によって形成される。「クリアインク」とは、付着されることによって、記録媒体、第1ドット群、および第2ドット群の少なくとも1つを機械的な摩擦等から保護する機能、記録物の表面に「つや(光沢)」を与える機能、または記録物に透明感のある着色を施す機能を発現することができるインクのことをいう。構成としては、前述の光沢インク組成物と同様の構成で、顔料を除いて樹脂成分を増量したインク組成物や前述の放射線硬化型インク組成物であって、色材として顔料を含まない組成物であることが好ましい。
【0123】
第3ドット群を形成する工程で用いられる放射線硬化型クリアインク組成物は、少なくとも重合性化合物および放射線重合開始剤を含有する。放射線硬化型クリアインク組成物に使用する重合性化合物および放射線重合開始剤は、「1.1.4.1.重合性化合物」および「1.1.4.2.放射線重合開始剤」の項で述べたものと同様であるから説明を省略する。
【0124】
第3ドット群を形成する工程で用いる放射線硬化型クリアインク組成物は、上記の重合性化合物および放射線重合開始剤の他に、色材、重合促進剤、熱ラジカル重合禁止剤、界面活性剤、湿潤剤、浸透溶剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤等を含有してもよい。さらに、必要に応じて、レベリング添加剤、マット剤、記録物の物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を含有することができる。
【0125】
放射線硬化型クリアインク組成物に色材を用いる場合は、光の透過性を確保するために染料が望ましい。染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、などの通常インクジェット記録に使用される各種染料を挙げることができる。染料を配合することにより、第3ドット群を着色することができ、金属光沢面の光沢に色を付与することができる。
【0126】
放射線硬化型クリアインク組成物を付着させる方法としては、「1.2.1.光沢インク組成物の付着方法」の項で述べた方法と同様であるため、説明を省略する。
【0127】
第3ドット群は、形成される記録物の表面の保護、つや出し、または着色のために形成される。したがって、放射線硬化型クリアインク組成物は、記録媒体、第1ドット群、および第2ドット群の少なくとも1つの上に付着される。
【0128】
第3ドット群を硬化処理する工程は、「1.3.第1ドット群を硬化処理する工程」と同様であるため、説明を省略する。
【0129】
1.7.作用効果
以上のような記録方法によれば、第1ドット群の表面のパターン(たとえば凹凸形状)を制御することにより、金属光沢面の表面のパターン(たとえば凹凸形状)を制御できる。さらに、第1ドット群の表面のパターンは、インク組成物の付着量によって連続的に変化させることができることから、金属光沢面のパターンも連続的に変化させることができる。よって、本発明の記録方法によれば、金属光沢面の鏡面光沢度のバリエーションを第1ドット群を形成する際のインク組成物の使用量を調節することによって極めて容易に形成できる。このように、本発明の記録方法によれば、1つの記録面に異なる鏡面光沢度を有する複数の金属光沢面を容易に形成することができる。
【0130】
さらに、本発明の記録方法によれば、たとえば、既存の書類に第1ドット群および第2ドット群を形成させて、追記することが容易であり、該書類をコピー困難な書類とすることが容易である。本発明の記録方法は、金属光沢面の中に鏡面光沢度の異なる金属光沢面についても容易に形成することができ、複写・複製が困難な記録物を提供することができるとともに、記録情報自体を保護し、これを複写・複製することを困難とすることができる。
【0131】
2.記録物
本発明にかかる記録物は、上述の記録方法によって形成される。そのため、記録媒体の記録面には、鏡面光沢度の異なる複数の金属光沢面によって情報が記録され得る。このため、このような記録物は、コピー等の光学的な検出手段を用いた複写・複製が非常に困難であるという性質を有する。しかも、このような記録物は、目視によれば記録された情報を判読することが可能であるという特徴を有する。
【0132】
3.識別方法
3.1.第1実施形態
本実施形態にかかる識別方法は、上述の記録物の識別方法である。本実施形態にかかる識別方法は、上述の記録物の識別方法であって、第2ドット群を形成する光沢インク組成物に含有される平板状粒子からなる色材の粒子形状を顕微鏡で観察する工程を有し、顕微鏡で観察される平板状粒子からなる色材の粒子形状の適否によって記録物の真贋を判定する。
【0133】
上述の記録物は、光沢インク組成物によって形成された第2ドット群を有している。したがって、第2ドット群には、特徴的な形状を有する平板状粒子からなる色材が含有されている。上述のように光沢インク組成物の平板状粒子からなる色材は、平板状粒子であり、該平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のXY平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつR50/Z>5の条件を満たす。よって、この第2ドット群を顕微鏡で観察することによって、平板状粒子からなる色材の形状を容易に確認することができる。顕微鏡としては、たとえば、各種の顕微鏡、実体顕微鏡、蛍光顕微鏡、レーザ走査顕微鏡、共焦点レーザ顕微鏡などの光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)など電子顕微鏡、SPM、AFMなどの走査型プローブ顕微鏡などが挙げられる。
【0134】
これにより、記録物が上記記録方法で記録されたものであるかどうかを判定することができるため、記録物の識別が可能であり記録物の真贋を判定することができる。
【0135】
3.2.第2実施形態
本実施形態にかかる識別方法は、上述の記録物の識別方法であって、第2ドット群に識別用物質が含有されており、第2ドット群を顕微鏡で観察する工程を有し、顕微鏡で観察される識別用物質の含有量によって記録物の真贋を判定する。
【0136】
本実施形態の記録物は、第2ドット群を形成する工程において、識別用物質が含有された光沢インク組成物を用いる。そのため、第2ドット群は、識別用物質が含まれた状態で形成される。この第2ドット群を顕微鏡で観察することによって、識別用物質の含有量を容易に確認することができる。顕微鏡としては、たとえば、各種の光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などが挙げられる。
【0137】
識別物質には形状、物性面で特徴のある物質を用いるのが好ましい。例えば、標準粒子のように真球度に優れ、粒度分布が単分散に近いという特徴を有したものであれば、測定機器の校正などの特殊用途でしか使用されないため、一般の環境では印刷物に付着しない事から、光学顕微鏡による観察で容易に真贋を判定することが可能となる。また、蛍光粒子であれば特定の波長の光を吸収し、ストークスシフトによりシフトした波長の光を放出する性質を利用することができ、これもまた容易に真贋を判定することが可能となる。
【0138】
特に前記レーザ顕微鏡を用いて観察を実施すると顔料粒子と識別物質を容易に観察できる。標準粒子の例としては、株式会社モリテックス製 粒子径標準粒子 8000,9000シリーズ、モメンティブ・パフォーマンス・テクノロジーズ株式会社製 トスパール120,130等が挙げられる。蛍光粒子としては株式会社モリテックス製 蛍光粒子ブルー、グリーン等が挙げられる。
【0139】
これにより、記録物が上記記録方法で記録されたものであるかどうかを判定することができるため、記録物の識別が可能であり記録物の真贋を判定することができる。
【0140】
識別物質は肉眼による観察に影響を与えない範囲、かつ観察機器で容易に判別できる範囲で添加する事が好ましい。
【0141】
4.実施例
以下に、実施例を記載して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0142】
4.1.鏡面光沢および表面パターンの評価用試料の作製
4.1.1.第1ドット群の形成
記録媒体として、白色の塩化ビニルのシート(ローランドディージー株式会社製SPVC−G−1270T)を準備した。該シートにインクジェット記録装置(セイコーエプソン株式会社製PX−7500)を用いて放射線硬化型インク組成物を印刷した。印刷パターンとしては、幅10cm、長さ2mのベタパターンを採用した。用いた放射線硬化型インク組成物は、重合性化合物として、エチレングリコールモノアリルエーテル=71.6質量%、およびビスコート#1000=20.0質量%、光重合開始剤として、Irgacure819=6.4質量%、およびIrgacure127=1.6質量%、添加剤として、BYK−UV3500=0.2質量%、およびIrgastabUV−10=0.2質量%の組成を有するものを用いた。ベタパターンを印刷後、紫外線照射光源により、波長365nmにおける積算光量が400mJ/cmとなるように該ベタパターンに紫外線を照射した。このとき、放射線硬化型インク組成物の使用量(mg/cm)が異なるベタパターンを複数形成した。これにより記録媒体上に、表面パターンの異なる第1ドット群が形成された。
【0143】
4.1.2.第2ドット群の形成
次に、上記ベタパターン(第1ドット群)上にインクジェット記録装置(ローランドディージー株式会社製 SP−300V)を用いて光沢インク組成物を印刷した。用いた光沢インク組成物は、有機溶媒として、ジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤株式会社製)=63.8質量%、γ−ブチロラクトン(関東化学株式会社製)=15質量%、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製)=18質量%、樹脂として、N−2043−60MEX(ハリマ化成株式会社製)=2質量%、界面活性剤として、BYK−UV3500、(ビックケミー・ジャパン株式会社製)=0.2質量%、金属顔料として、R50=0.89μm、平均膜厚(Z)=0.02μm、R50/Z=44.5の特徴を有する金属粉を固形分として1質量%含むものを作製して用いた。これにより、表面パターンの異なる第1ドット群の上に第2ドット群が形成された。
【0144】
第2ドット群の厚みは、全領域にわたって均一であり、光沢インク組成物の吐出量は、1.1mg/cmとし、乾燥後の重量としては、11μg/cmとなるように形成した。
【0145】
なお、本実施例で用いた金属粉は、以下のように製造した。まず、膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35〜39%、関東化学株式会社製)3質量%、およびジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤株式会社製)97質量%からなる樹脂層塗工液をバーコート法によって均一に塗布し、60度10分間乾燥を行って、PETフィルム上に樹脂薄膜層を形成した。
【0146】
次に、真空蒸着装置(真空デバイス株式会社製VE−1010)を用いて、上記の樹脂層に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成した。
【0147】
次に、上記の積層体をジエチレングリコールジエチルエーテル中で、超音波分散した。超音波分散は、アズワン株式会社製、超音波分散機VS−150を用いて行った。処理時間は12時間であった。このとき、アルミニウム蒸着層は、樹脂薄膜層から剥離し、微細化していた。得られた分散液を開き目5μmのSUSメッシュフィルターにて濾過処理を行って、粗大粒子を除去した。次いで、溶媒による精製を行って、上記特性を有する金属粉を得た。
【0148】
4.2.複写・視認性の評価用試料の作製
4.2.1.第1ドット群の形成
記録媒体として、A4サイズの透明のPETフィルム(商品名XEROX FILM<枠無し>:富士ゼロックス株式会社製)を準備した。該フィルムにインクジェット記録装置(セイコーエプソン株式会社製PX−7500)を用いて放射線硬化型インク組成物を印刷した。印刷パターンとしては、幅4cm×4cmのベタパターンを採用した。用いた放射線硬化型インク組成物は、「4.1.鏡面光沢および表面パターンの測定用試料の作製」で述べたと同様である。ベタパターンを印刷後、紫外線照射光源により、波長365nmにおける積算光量が400mJ/cmとなるように該ベタパターンに紫外線を照射した。このとき、放射線硬化型インク組成物の使用量(mg/cm)が異なるベタパターンを複数形成した。具体的には、20(mg/cm)から100(mg/cm)まで10(mg/cm)ずつ使用量を変化させて、記録媒体上に9箇所の表面パターンの異なる第1ドット群を形成した。このようにして、実施例の印刷物1000および印刷物2000を同条件で2枚作製した。
【0149】
4.2.2.第2ドット群の形成
次に、印刷物1000および印刷物2000のそれぞれの9箇所のベタパターン(第1ドット群)上にインクジェット記録装置(ローランドディージー株式会社製 SP−300V)を用いて光沢インク組成物を印刷した。第2ドット群は、上記2枚の印刷物ともに、「4.1.2.第2ドット群の形成」と同様に形成した。
【0150】
4.2.3.第3ドット群の形成
次に、第2ドット群を形成した印刷物2000に、第3ドット群を形成した。第3ドット群は、印刷物2000の9箇所のベタパターン(第1ドット群)上に、放射線硬化型インク組成物および硬化処理条件を「4.1.鏡面光沢および表面パターンの測定用試料の作製」で述べたと同様にして形成した。
【0151】
4.3.鏡面光沢および表面パターンの評価
4.3.1.鏡面光沢の評価
記録物(第2ドット群)の表面の鏡面光沢度は、日本工業規格(JIS)Z8741:1997に従って測定した。用いた装置は、日本電色工業株式会社製GlossMeter型番VGP5000である。記録物の表面パターンの異なる部位における20°鏡面光沢度および60°鏡面光沢度について、結果を図2にプロットした。
【0152】
4.3.2.記録物の表面パターンの評価
記録物の表面パターン(第2ドット群の表面の形状)は、表面形状測定装置(株式会社キーエンス製 レーザ走査型顕微鏡 VK−9700)によって測定し、得られた輪郭曲線によって評価した。同装置を用いて各ベタパターンの輪郭曲線の算術平均粗さRaを求めた。図2に、インク使用量(mg/cm)に対して、算術平均粗さRa(%)をプロットした。
【0153】
4.3.3.鏡面光沢および表面パターンの評価結果
図2に見られるように、第2ドット群は、第1ドット群の表面のパターンを反映した表面のパターンを有していた。これにより、第1ドット群の表面のパターンを制御することにより、金属光沢面のパターンを制御できることが判明した。さらに、第1ドット群の表面のパターンのRa値は、放射線硬化インク組成物の付着量によって連続的に変化させることができることから、金属光沢面のパターンのRa値も連続的に変化させることができることが分かった。
【0154】
また、図2に見られるように、第2ドット群の表面のパターンのRa値と、鏡面光沢値との間には相関があり、第2ドット群の表面のパターンのRa値が大きくなると、鏡面光沢値(20°、60°ともに)が小さくなることがわかった。しかも、第2ドット群の表面のパターンのRa値を連続的に変化させることができるため、鏡面光沢値も連続的に任意に変化させることができることが分かった。
【0155】
以上のことから、記録物の鏡面光沢値は、第1ドット群の表面のパターンに基づいて、広範に変化させうることが判明した。また、上記実施例から明らかなように、このような金属光沢面の鏡面光沢度のバリエーションは、インクジェット記録装置によって第1ドット群を形成する際の放射線硬化インク組成物の使用量によって極めて容易に達成できることが判明した。したがって、このような方法によれば、1つの記録面に異なる鏡面光沢度を有する複数の金属光沢面を容易に形成することができることが分かる。
【0156】
4.4.複写性・視認性の評価
図3は、上記「4.2.複写・視認性、および擦過性の評価用試料」で作製したうち、第3ドット群を形成していない印刷物1000を、複写機(富士ゼロックス株式会社製Docucentre650I)にて複写した結果を示す。図中、符号0と表示した部位は、ドット群が形成されていない領域であり、符号20〜符号100を付した矩形の領域は、第1ドット群を形成する際の放射線硬化型インク組成物の使用量を20(mg/cm)から100(mg/cm)まで10(mg/cm)ずつ変化させた領域であり、符号と使用量とを一致させて記入してある。印刷物1000および印刷物2000の第2ドット群が形成された領域を肉眼で観察したところ、すべて金属光沢を有していた。
【0157】
本実施例から、1枚の記録媒体の同一の記録面に、任意の鏡面光沢度を有する金属光沢面を容易に作成することができることが分かった。
【0158】
図3を見ると、いずれの印字領域も、複写によって、金属光沢は再現されず、印刷物1000は、複写機による複製ができないことが判明した。さらに、第1ドット群を形成する際の放射線硬化型インク組成物の使用量が60(mg/cm)以下の領域(20〜60)においては、第2ドット群を有するにもかかわらず、印刷が施されていない領域と識別できない複写結果となることが判明した。すなわち、これらの領域では、目視によって容易に判読可能な、金属光沢面によって形成された記録情報が、複写機によると複写できないことが分かった。また、印刷物2000についても、同様の評価を行ったところ、同様の結果が得られた。
【0159】
また、印刷物1000および印刷物2000のスキャナー(セイコーエプソン株式会社製PM−A970のスキャナー機能を使用)による画像取り込みを試みたが、金属光沢部分は、複写機の場合と同様に、目視によれば金属光沢が容易に認識できるにもかかわらず、取り込んだデータでは黒色から灰色として認識され、得られた画像データから金属光沢を再現することが不可能であることが判明した。
【0160】
これらのことから、実施例の記録物(印刷物1000および印刷物2000)は、肉眼では十分判読できる金属光沢面であっても、光学的な画像の読み取りが非常に困難であるため、複写・複製ができないことがわかる。
【0161】
また、本実施例の記録物において、鏡面光沢度の異なる金属光沢面によって情報を記録すれば、肉眼によれば情報を読み取ることができるにもかかわらず、光学的な方法によって情報が読み取れない、すなわち、複写、複製が困難である情報を実現できることが判明した。
【0162】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】放射線硬化型インク組成物の使用量に対して第1ドット群の表面の輪郭曲線の算術平均粗さ(Ra)をプロットしたグラフ。
【図2】放射線硬化型インク組成物の使用量に対して第2ドット群の表面の輪郭曲線の算術平均粗さ(Ra)、20°鏡面光沢度、および60°鏡面光沢度をプロットしたグラフ。
【図3】鏡面光沢度の異なる金属光沢面の複写結果。
【符号の説明】
【0164】
1000 印刷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット記録装置を用いて、インク組成物の液滴を吐出させ、記録媒体上に該液滴を付着させて第1ドット群を形成する工程と、
少なくとも前記第1ドット群の上に、平板状粒子からなる色材を含有する光沢インク組成物を付着させて第2ドット群を形成する工程と、
を含む、記録方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記平板状粒子からなる色材は、金属顔料およびパール顔料の少なくとも1種である、記録方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記金属顔料の材質は、アルミニウムまたはアルミニウム合金である、記録方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記金属顔料またはパール顔料の構造は、薄膜の多重層から形成された平板状粒子である、記録方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記第1ドット群を形成する工程は、放射線硬化型インク組成物を用いて行われる、記録方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記第1ドット群を形成する工程の後に、前記第1ドット群に放射線を照射して硬化処理する工程を含む、記録方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1ドット群に放射線を照射して硬化処理する工程は、波長が350nm〜450nmの光を照射することによって行われる、記録方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、
前記第2ドット群を形成する工程は、前記インクジェット記録装置を用いて、前記光沢インク組成物の液滴を吐出させ、少なくとも前記第1ドット群の上に該液滴を付着させて行われる、記録方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記第2ドット群を形成する工程の後に、さらに、放射線硬化型クリアインク組成物を付着させて第3ドット群を形成する工程と、
前記第3ドット群に放射線を照射して硬化処理する工程と、
を含む、記録方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記第3ドット群に放射線を照射して硬化処理する工程は、波長が350nm〜450nmの光を照射することによって行われる、記録方法。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、
前記平板状粒子からなる色材の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、該平板状粒子のXY平面の面積より求めた円相当径における50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たす、記録方法。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項において、
前記第1ドット群は、表面にパターンを有するように形成され、
前記パターンは、日本工業規格 JIS B0601:2001における粗さ曲線の算術平均粗さ(Ra)が0.4〜1.4μmである、記録方法。
【請求項13】
請求項12において、
前記パターンは、前記第1ドット群を形成する工程における前記インク組成物の前記液滴の付着量によって制御される、記録方法。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の記録方法によって情報が記録された記録物。
【請求項15】
請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の記録方法に用いられる、インクジェット記録装置。
【請求項16】
請求項14に記載の記録物の識別方法であって、
前記第2ドット群を形成する前記光沢インク組成物に含有される前記平板状粒子からなる色材の粒子形状を顕微鏡で観察する工程を有し、
前記顕微鏡で観察される前記平板状粒子からなる色材の粒子形状の適否によって前記記録物の真贋を判定する、識別方法。
【請求項17】
請求項14に記載の記録物の識別方法であって、
前記第2ドット群に識別用物質が含有され、
前記第2ドット群を顕微鏡で観察する工程を有し、
前記顕微鏡で観察される前記識別用物質の含有量によって前記記録物の真贋を判定する、識別方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記識別用物質は、透明粒子、着色粒子および蛍光物質から選ばれる少なくとも1種である、識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−30139(P2010−30139A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194490(P2008−194490)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】