説明

記録装置、再生装置、及び制御方法

【課題】光学記録媒体の記録待機時において記録動作の開始に適した状態を保持する。
【解決手段】
ドライブ制御部7は、レーザ発光部81、反射光受光部82、モータ駆動部91などを制御するDSP73と、ドライブ制御部7を統括制御するマイクロコンピュータ74とを備える。マイクロコンピュータ74は、データ制御部6から「記録動作」移行の指示を受けると、DSP73の動作を開始させて、データメモリ61に蓄積された映像音声データを光学記録媒体に記録させる。マイクロコンピュータ74は、データメモリ61に映像音声データを蓄積している「記録待機」状態のときは、DSP73を停止させて、DSP73の代わりにスピンドルモータ87を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮したデータを光学記録媒体に記録する記録装置及び記録装置の制御方法、並びに、光学記録媒体に記録された圧縮データを読み取る再生装置及び再生装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のAV(オーディオビデオ)機器には、入力した映像音声データにMPEG(Moving Picture Expert Group)のような圧縮処理を施し、圧縮した映像音声データをDVDなどの光学記録媒体に記録するAV機器が存在する。このようなAV機器では、圧縮処理に要する時間と、記録処理に要する時間のタイミングを合わせるために間欠記録という記録方法を使用している。間欠記録とは、「記録動作」状態と「記録待機」状態とを交互に繰り返す記録方法であり、「記録待機」状態において映像音声データの圧縮を待機し、「記録動作」状態において圧縮された映像音声データを光学記録媒体に記録する。
【0003】
デジタルカメラを例として間欠記録の一般的な手順を以下に示す。デジタルカメラでは、(1)CCD(Charge Coupled Device)などのイメージャやマイクにより電気信号に変換された映像音声データを入力する。(2)映像音声データにMPEG等の圧縮処理を施し、一旦、メモリに格納する。(3)メモリに一定量の映像音声データが蓄積されると、光学記録媒体の記録速度に合わせてメモリに蓄積されたデータを読出して光学記録媒体に記録する。(4)メモリに蓄積された映像音声データの記録が終了すると、再度、メモリに映像音声データが蓄積されるまで待機する。デジタルカメラの記録処理では(1)〜(4)のシーケンスを繰り返す。
【0004】
(1)(2)の処理は、撮影される映像音声データに対してリアルタイムで作動する。(4)の記録処理は、(3)の圧縮処理よりもビットレートが高速であるため、(3)の処理を待機する時間を要する。そのため、光学記録媒体のデータ記録では「記録動作」と「記録待機動作」状態が交互に繰り返される間欠記録となる。
【0005】
(3)の「記録動作」状態のときは、レーザ発光部、反射光受光部などの記録再生系やトラッキングサーボ、スレッドサーボなどのサーボ系が駆動している。(4)の「記録待機」状態のときには、記録再生系やサーボ系で消費される電力は無駄な電力であるので、このときに消費される電力をなるべく少なくすることが望まれる。そこで、「記録待機」状態では、記録再生系やサーボ系を省電力状態にしている。
【0006】
ディスクの回転速度を制御するスピンドルサーボを省電力状態にすると、適切な回転速度を維持することができなくなる。回転速度が変化すると、(I)スピンドルモータの音が発生しわずかな速度変化でも音声データにノイズとして記録されてしまう、(II)次の「記録動作」のとき適切な回転速度にするまでに時間がかかってしまい、その結果、待機時間が短くなって省電力効果が小さくなる、(III)万が一回転が止まってしまうと起動時に大電流が必要となり省電力削減に逆効果となってしまうという問題が発生する。
【0007】
従来の技術では、このような問題に対応するために、まず、記録中あるいは再生中のサーボがかかっている段階でスピンドルモータにかかっている駆動電圧を測定することによりターゲット電圧を決定し、その後、既に決定されたターゲット電圧を代替電圧としてスピンドルモータに対して与えることによって、適切な回転速度を維持する手法を採用している(例えば、特許文献1)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−93032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のスピンドル制御は、オープンループ制御であるため、「記録待機」中もしくは「記録待機」の直前に代替電圧が変化する要因が生じた場合、この変化に対するフィードバック能力を持たないため、適切な回転速度を保持できなくなることがある。代替電圧が変化する要因としては、例えば、カムコーダに加えられる振動、衝撃、慣性力などによるスピンドルにかかる負荷の変化などが挙げられる。以上、間欠記録について説明したが間欠再生についても同様である。
【0010】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、光学記録媒体の記録待機時において記録動作の開始に適した状態を保持する記録装置及び記録装置の制御方法、並びに、光学記録媒体の読取待機時において読取動作の開始に適した状態を保持する再生装置及び再生装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するために、本発明を適用した記録装置は、光学記録媒体を回転させる回転駆動手段を含む駆動部を備え、該光学記録媒体にデータを記録する記録手段と、データを符号化するデータ符号化手段と、符号化したデータを記憶手段に蓄積し、記録手段を制御して記憶手段に蓄積されたデータを光学記録媒体に記録する記録制御手段とを備え、記録制御手段は、記録制御手段を統括的に制御する統括制御手段と、記録手段の駆動部をサーボ制御するサーボ制御手段とを有し、統括制御手段は、符号化したデータの蓄積を待機する記録待機状態の間、サーボ制御手段の動作を停止させるとともに、回転駆動手段をサーボ制御する。
【0012】
本発明を適用した記録装置の制御方法は、光学記録媒体を回転させる回転駆動手段を含む駆動部を備え該光学記録媒体にデータを記録する記録装置の制御方法であって、データを符号化する符号化工程と、符号化したデータを蓄積する記録待機状態の間、当該記録装置を統括制御する統括制御手段が回転駆動手段を制御する蓄積工程と、符号化したデータの蓄積が完了すると、当該記録装置を駆動制御するサーボ制御手段が駆動部をサーボ制御して符号化したデータを光学記録媒体に記録させる工程とを有する。
【0013】
本発明を適用した再生装置は、光学記録媒体を回転させる回転駆動手段を含む駆動部を備え、該光学記録媒体に記録された符号化データを読み取る読取手段と、読取手段を制御する読取制御手段と、読み取った符号化データを蓄積する蓄積手段と、蓄積した符号化データを復号化する復号化手段とを備え、読取制御手段は、読取制御手段を統括的に制御する統括制御手段と、読取手段の駆動部をサーボ制御するサーボ制御手段とを有し、統括制御手段は、蓄積手段に蓄積された符号化データの復号を待機する読出待機状態の間、サーボ制御手段の動作を停止させるとともに、回転駆動手段を制御する。
【0014】
本発明を適用した再生装置の制御方法は、光学記録媒体を回転させる回転駆動手段を含む駆動部を備え該光学記録媒体に記録された符号化データを読み取る再生装置の制御方法であって、当該再生装置の光学記録媒体に記録された符号化データを読み取る読取工程と、読み取った符号化データを蓄積手段に蓄積する蓄積工程と、蓄積手段に蓄積された符号化データの復号化を待機する読取待機状態の間、当該再生装置を統括制御する統括制御手段が光学記録媒体の回転駆動を制御する工程とを有する。
【発明の効果】
【0015】
本発明を適用した記録装置は、符号化したデータの蓄積を待機する記録待機状態の間、サーボ制御手段の動作を停止させるとともに、統括制御手段で回転駆動手段のサーボ制御を代替する。そのため、駆動部全体のサーボ制御に要する電力消費を抑えつつ、回転駆動手段のサーボ制御を継続し、回転駆動手段を記録動作の開始に適した状態に保持することができる。
【0016】
本発明を適用した再生装置は、蓄積手段に蓄積された符号化データの復号を待機する読出待機状態の間、サーボ制御手段の動作を停止させるとともに、統括制御手段で回転駆動手段のサーボ制御を代替する。そのため、駆動部全体のサーボ制御に要する電力消費を抑えつつ、回転駆動手段のサーボ制御を継続し、回転駆動手段を読取動作の開始に適した状態に保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を適用した記録再生装置1について説明する。図1は、記録再生装置1の構成を示す。記録再生装置1は、ユーザの入力を受け付けるとともに装置の状態をユーザに通知するユーザインターフェース部2と、装置全体の制御を行うシステム制御部3と、カメラ11や図示しないディスプレイなどの入出力機器と記録再生装置1とを中継するAV(オーディオビデオ)インターフェース部4と、映像音声データの圧縮及び伸張を行うコーデック部5と、データフローを制御するデータ制御部6と、光学記録媒体への記録再生を行うディスクドライブ8と、ディスクドライブ8を制御するドライブ制御部7と、映像データを出力する表示部14と、音声信号を出力するスピーカ13とを備える。
【0018】
ユーザインターフェース部2は、キー入力ボタン、スイッチ75などの入力部においてユーザからの入力を受け付けるとともに、発光素子、音響素子などの出力部によって装置の状態をユーザに通知する。
【0019】
システム制御部3は、作業用ワークメモリとしてのプログラムメモリ31にシステム制御プログラムやファイルシステムを展開して記録再生装置1の各ブロックに制御信号を出力する。制御信号の伝送には、システムコントロールバス9を用いる。
【0020】
AVインターフェース部4は、図2に示すように、映像入力部41、音声入力部42、映像出力部43、音声出力部44から構成される。映像入力部41はカメラ11や外部機器などからの映像データを入力し、音声入力部42はマイク12や外部機器などからの音声を入力する。映像出力部43は液晶パネルやビューファインダなどへ映像データを出力し、音声出力部44はスピーカ13などへ音声信号を出力する。AVインターフェース部4は、カメラ11で撮影した映像データ及びマイク12で取得した音声信号をリアルタイムでビューファインダやスピーカ13に出力する。ビューファインダに画像を出力する際、AVインターフェース部4は、出力する画像にスクリーン画像を重ね合わせる。スクリーン画像は、スクリーンメモリ45に格納されている。スクリーン画像には、文字やアイコンが描画されている。
【0021】
次いで、データの記録時におけるコーデック部5、データ制御部6、ドライブ制御部7について説明する。AVインターフェース部4は、カメラ11やマイク12から取得した映像音声データをコーデック部5に出力する。コーデック部5は、入力した映像音声データを圧縮する。ここでは、映像音声データの圧縮方法としてMPEG(Moving Picture Expert Group)を用いる。コーデックメモリ51は、コーデック部5のワークエリアである。コーデックメモリ51は、映像データのフレーム又はフィールド間の差分信号圧縮を記憶する。
【0022】
データ制御部6は、コーデック部5とドライブ制御部7との間のデータフローを制御する。データ制御部6とドライブ制御部7とは、非連続なハンドシェイクプロトコルに則り映像音声データの送受信を行う。このプロトコルにおいて、データ制御部6は、コーデック部5から入力したデータをデータメモリ61に蓄積し、データメモリ61にある程度のデータが蓄積されると、データメモリ61に蓄積されたデータをドライブ制御部7に転送する。
【0023】
データ制御部6は、ドライブ制御部7にデータを転送するとともにドライブ制御部7の「記録動作」と「記録待機」との状態移行を判断する。ドライブ制御部7は、データ制御部6からの指示に応じて、ドライブメモリ71に格納された映像音声データを光学記録媒体に書き込む。
【0024】
ドライブ制御部7は、データ制御部6からのデータを待機する「記録待機」と光学記録媒体にデータを書き込む「記録状態」とを繰り返す。このような記録方法を間欠記録という。間欠記録について図3を用いて説明する。コーデック部5で圧縮された映像音声データは、データ制御部6に出力される。データ制御部6に送信された映像データは、データ制御部6にあるデータメモリ61内の原画エリア62に一旦格納される。コーデック部5は、原画エリア62に格納された映像データにMPEG圧縮を施して、コーデックバッファ63に格納する。コーデック部5は、映像音声データを圧縮する毎に圧縮した映像音声データをバッファエリアに格納する。コーデックバッファ63に蓄積されたデータが一定のサイズに達すると、データ制御部6は、コーデックバッファ63に格納された映像音声データをドライブ制御部7に転送する。このときの転送速度は、コーデックバッファ63に映像音声データが蓄積される速度と比較して十分に速い。
【0025】
ドライブ制御部7は、データ制御部6から出力された映像音声データをドライブメモリ71のドライブバッファ72に格納する。ドライブ制御部7は、ディスクドライブ8を制御してドライブバッファ72に蓄積された映像音声データを光学記録媒体に記録させる。このときの記録速度は、コーデックバッファ63に映像音声データが蓄積される速度と比較して十分に速い。以後、録画が終了するまで、映像音声データの圧縮処理と圧縮した映像音声データの記録処理を繰り返す。この間、光学記録媒体への「記録動作」状態と、映像音声データの蓄積を待機する「記録待機」状態が交互に繰り返される。
【0026】
ドライブ制御部7は、図4に示すように、ドライブメモリ71、DSP73、マイクロコンピュータ74、スイッチ75を備える。DSP73は、ディスクドライブ8の記録動作を制御する。
【0027】
ディスクドライブ8は、光学記録媒体にレーザを照射するレーザ発光部81、光学記録媒体からの反射光を受光する反射光受光部82、レンズの焦点深度を調節するフォーカスモータ83、レーザをトラックに追従させるトラッキングモータ84、ピックアップをディスクの直径方向に移動させるスレッドモータ85、レンズの傾きを調節するチルトモータ86、ディスクを回転させるスピンドルモータ87、各モータを駆動させるモータ駆動部91を備える。モータ駆動部91は、フォーカスモータ83を制御するフォーカス制御部92、トラッキングモータ84を制御するトラッキング制御部93、スレッドモータ85を制御するスレッド制御部94、チルトモータ86を制御するチルト制御部95、スピンドルモータ87を制御するスピンドル制御部96を備える。
【0028】
DSP73は、ディスクドライブ8のレーザ発光部81、フォーカス制御部92、トラッキング制御部93、スレッド制御部94、チルト制御部95、スピンドル制御部96の閉ループ制御を行う。具体的に説明すると、DSP73は、レーザ発光部81のRF(Radio Frequency)アンプ88を介してレーザ発光部81の出力を制御し、反射光受光部82からのトラッキングエラー信号を元にフォーカス制御部92、スレッド制御部94及びチルトモータ86を制御し、反射光受光部82からのフォーカスエラー信号を元にフォーカス制御部92を制御する。また、DSP73は、スピンドルモータの周波数発生部89からスピンドルモータ87の回転周波数を示す矩形波を入力し、この回転周波数を元にスピンドル制御部96を制御する。
【0029】
マイクロコンピュータ74は、ドライブ制御部7を統括的に制御するとともに、データ制御部6からの指示に従いディスクドライブ8を「記録動作」状態と「記録待機」状態とに切り換える処理を行う。
【0030】
マイクロコンピュータ74は、ディスクドライブ8を「記録待機」状態に切り換える処理として、DSP73の動作の停止処理とスピンドルモータ87の制御とを行う。DSP73の動作を停止させると、レーザ発光部81、反射光受光部82、RFアンプ88の動作が停止する。また、フォーカス制御部92、トラッキング制御部93、スレッド制御部94、チルト制御部96の動作が停止するため、フォーカスモータ83、トラッキングモータ84、スレッドモータ85、チルトモータ86の動作が停止する。
【0031】
マイクロコンピュータ74とモータ駆動部91との間のスイッチ75が設けられており、マイクロコンピュータ74は、「記録待機」状態のときスイッチ75をA端子に切り換え、「記録動作」状態のときスイッチ75をB端子に切り換える制御を行う。マイクロコンピュータ74がスイッチ75をA端子に切り換えると、マイクロコンピュータ74がモータ駆動部91に接続される。マイクロコンピュータはモータ駆動部91に制御信号を出力してスピンドルモータ87を制御する。マイクロコンピュータ74は、スピンドルモータ87の周波数発生部89と接続されている。周波数発生部89は、スピンドルモータ87の回転数を示す矩形波を出力する。マイクロコンピュータ74は、周波数発生部89から出力される矩形波を監視しながらスピンドルモータ87を制御する。
【0032】
「記録待機」状態のとき、フォーカスモータ83、トラッキングモータ84、スレッドモータ85、チルトモータ86の4つのモータは停止している。「記録待機」状態のときに不要なモータを停止させることにより、消費電力を抑えることができる。
【0033】
また、このとき、レーザ発光部81、反射光受光部82も停止している。レーザ発光部81、反射光受光部82を停止させることにより、「記録待機」状態における消費電力を抑えることができる。
【0034】
データ制御部6から「記録動作」移行の指示を受けると、マイクロコンピュータ74は、ディスクドライブ8を「記録状態」に切り換える。マイクロコンピュータ74は、ディスクドライブ8を「記録状態」に切り換える処理として、DSP73の動作の再開を行うとともに、スイッチ75をB端子に切り換える。DSP73の動作を再開させると、レーザ発光部81のRFアンプ88を介してレーザ発光部81の出力を制御し、反射光受光部82からの信号を元にフォーカス制御部92、トラッキング制御部93、スレッド制御部94、チルト制御部95、スピンドル制御部96を制御する制御信号を生成する。マイクロコンピュータ74は、フォーカスモータ83、トラッキングモータ84、スレッドモータ85、チルトモータ86のスイッチをONに切り替えて記録動作を再開させる。ディスクドライブ8は、DSP73の制御のもとドライブメモリ71に蓄積された映像音声データを光学記録媒体に記録する。
【0035】
マイクロコンピュータ74は、データ制御部6から「記録待機」移行の指示を受けると、ディスクドライブ8を「記録動作」から「記録待機」状態に切り換える。「記録待機」状態では、上述したようにスピンドルモータ87以外の動作をOFFして消費電力を抑える。
【0036】
次いで、図5を参照して記録再生装置1の全体の動作を説明し、図6を参照してディスクドライブ8が「記録動作」状態から「記録待機」状態に移行するときの動作を説明し、図7を参照してディスクドライブ8が「記録待機」状態から「記録動作」状態に移行するときの動作を説明する。
【0037】
図5に示すように、コーデック部5は、カメラ11や外部機器などから入力した映像音声データを圧縮し(ステップC1)、圧縮した映像音声データをデータ制御部6に出力する(ステップC2)。コーデック部5は、システム制御部3からの記録停止指示を入力すると(ステップC3;YES)、映像音声データの圧縮処理を終了する。一方、コーデック部5は、システム制御部3からの記録停止指示を入力しないときは(ステップC3;NO)、ステップC1〜ステップC2の処理を繰り返す。
【0038】
データ制御部6は、入力した映像音声データをデータメモリ61に蓄積する(ステップD1)。データ制御部6は、映像音声データの蓄積量をチェックし、蓄積量が一定量を超えると(ステップD2;YES)、データ制御部6は、データメモリ61に蓄積したデータをドライブ制御部7に出力するとともに(ステップS3)、ディスクドライブ8を「記録動作」状態に切り換えるようにマイクロコンピュータ74に指示を出す(ステップD4)。
【0039】
マイクロコンピュータ74は、データ制御部7から入力した映像音声データをドライブメモリ71に蓄積し(ステップM1)、データ制御部6からの指示を受けてディスクドライブ8を「記録動作」状態に切り替える(ステップM2)。一方、データメモリ61の蓄積量が一定量を超えていないときには(ステップD2;NO)、データ制御部6は、ディスクドライブ8を「記録待機」状態に切り換えるようにマイクロコンピュータ74に指示を出し(ステップD4)、マイクロコンピュータ74はそれを受けてディスクドライブ8を「記録待機」状態に切り替える(ステップM3)。
【0040】
データ制御部6は、「記録動作」状態のときもデータメモリ61をチェックし(ステップD5)、データメモリ61に蓄積された映像音声データが全てドライブ制御部7に転送されたのを確認すると(ステップD6;YES)、続いてドライブメモリ71に転送されたデータが全て光学記録媒体に記録されたかの問い合わせを行い(ステップD7)、その確認が取れたならば(ステップD8;YES)、ディスクドライブ8を「記録待機」状態に切り換えるようにマイクロコンピュータ74に指示を出し(ステップD9)、マイクロコンピュータ74はそれを受けてディスクドライブ8を「記録待機」状態に切り替える(ステップM3)。光学記録媒体に記録されていない映像音声データがデータメモリ61およびドライブメモリ71に蓄積されている場合には(ステップD6;NO、D8;NO)、「記録動作」状態を継続する。
【0041】
図6のフローチャートは、「記録動作」状態から「記録待機」状態に移行するときのマイクロコンピュータ74とDSP73の動作を説明している。「記録動作」では、DSP73がディスクドライブ8のレーザ発光部81、反射光受光部82、フォーカスモータ83、トラッキングモータ84、スレッドモータ85、チルトモータ86、スピンドルモータ87の全てを制御し、光学記録媒体にデータを記録している(ステップS11)。
【0042】
DSP7は、スピンドルモータ87の周波数発生部89からスピンドルモータ87の回転数に応じた矩形波を入力する。DSP73は、エッジカウント機能によって矩形波のエッジをカウントし、スピンドルモータ87の回転周期を算出する(ステップS12)。DSP73は、算出した回転周期に基づいてスピンドルモータ87の最適駆動電圧を算出し(ステップS13)、モータ駆動部91に出力する(ステップS14)。
【0043】
DSP7がデータを光学記録媒体に記録している間、マイクロコンピュータ74は、データ制御部6からの「記録待機」移行の指示を待つ(ステップS15)。マイクロコンピュータ74は、データ制御部6から「記録動作」状態から「記録待機」状態への移行の指示を受けると(ステップS16;YES)、ディスクドライブ8を「記録動作」状態から「記録待機」状態に移行する処理を開始する(ステップS17)。一方、ステップS15でデータ制御部6から指示を受けない場合は(ステップS16;NO)、マイクロコンピュータ74はデータ制御部6からの指示の待機し続ける。
【0044】
マイクロコンピュータ74は、「記録待機」状態に移行する処理として、スイッチ75を制御してモータ駆動部91とマイクロコンピュータ74とを接続させ(ステップS18)、フォーカスモータ83、トラッキングモータ84、スレッドモータ85、チルトモータ86、RFアンプ88、レーザ発光部81、反射光受光部82、DSP73を停止させる(ステップS19)。これにより、DSP73の記録動作が停止し(ステップS20)、スピンドルモータの制御が、DSP73からマイクロコンピュータ74に切り換わる。
【0045】
図7のフローチャートは、「記録待機」状態から「記録動作」状態に移行するときのマイクロコンピュータ74とDSP73の動作を説明している。「記録待機」状態では、マイクロコンピュータ74がスピンドルモータ87の制御をしている。マイクロコンピュータ74は、「記録待機」状態に切り替わる直前の最適駆動電圧を初期値として、スピンドルモータ87への電圧供給を開始する(ステップS22)。電圧の供給源としては、マイクロコンピュータ74に内蔵されたPWM(Pulse Width Modulation)の出力を平滑化して使用する方法が考えられる。次いで、マイクロコンピュータ74は、スピンドルモータ87の周波数発生部89からスピンドルモータ87の回転数に応じた矩形波を入力する。マイクロコンピュータ74は、矩形波のエッジをカウントしてスピンドルモータ87の回転周期を算出し(ステップS23)、算出した回転周期に基づいてスピンドルモータ87の最適駆動電圧を算出し(ステップS24)、最適電圧をスピンドルモータ87へ供給する(ステップS25)。
【0046】
マイクロコンピュータ74は、「記録待機」状態の間、データ制御部6からの「記録動作」への移行指示を待機する(ステップS26)。「記録動作」への移行指示を受けると(ステップS27;YES)、ディスクドライブ8を「記録待機」状態から「記録動作」状態に移行させる処理を開始する(ステップS28)。マイクロコンピュータ74は、「記録動作」状態に移行する処理として、スイッチ75を制御してモータ駆動部91とDSP73とを接続させ(ステップS29)、DSP73とモータ駆動部91に制御信号を出力する(ステップS30)。DSP73は、マイクロコンピュータ74からの制御信号に応じて自身を停止状態から復帰させ、モータ駆動部91、フォーカスモータ83、トラッキングモータ84、チルトモータ86、RFアンプ88、レーザ発光部81、反射光受光部82の記録動作を再開させる(ステップS31)。
【0047】
以上説明したように、本発明を適用した記録再生装置1は、「記録動作」状態と「記録待機」状態とを繰り返す間欠記録を行う記録再生装置1であって、「記録待機」の間、スピンドルモータ87以外の動作を停止することにより消費電力を抑える。また、スピンドルモータ87の制御をマイクロコンピュータ74で行うことにより、衝撃、振動、慣性力などにより、スピンドルモータ87への負荷が一時的に変化しても適切な回転数を保つことができる。
【0048】
次いで、再生処理について説明する。記録再生装置1は、間欠再生を行う。間欠再生では、光学記録媒体の「読出状態」と「読出待機」状態とを繰り返す。記録再生装置1は、「読出待機」状態においても「記録待機」状態と同様に消費電力を抑える処理を行う。
【0049】
再生時におけるコーデック部5、データ制御部6、ドライブ制御部7の動作を説明する。ドライブ制御部7のDSP73は、RFアンプ88を介してレーザ発光部81を駆動して、光学記録媒体にレーザを照射する。反射光受光部82は、光学記録媒体からの反射光に基づく信号をDSP73に出力する。
【0050】
DSP73は、反射光受光部82からの信号をデジタルデータに変換する。このデータは、圧縮された映像音声データである。DSP73は、このデータをドライブメモリ71に格納する。マイクロコンピュータ74は、ドライブメモリ71に格納された映像音声データをデータ制御部6に転送する。データ制御部6は、ドライブ制御部7から入力した映像音声データをデータメモリ61に格納する。コーデック部5は、圧縮された映像音声データをデータメモリ61から読み出し、読み出した映像音声データを伸張する。
【0051】
データ制御部6は、コーデック部5とドライブ制御部7との間のデータフローを制御する。データ制御部6は、ドライブ制御部7が読み出した映像音声データをある程度蓄積すると、ドライブ制御部7に対してデータの読み取りを停止させる制御信号を出力する。ドライブ制御部7がデータの読み取りを停止している間、データ制御部6は、蓄積した映像音声データをコーデック部5に出力する。コーデック部5が映像音声データを伸張している間、ディスクドライブ8は、「読出待機」状態になる。ディスクドライブ8が「読出待機」状態のとき、ドライブ制御部7のマイクロコンピュータ74は、DSP73の動作と、モータ駆動部91の動作の一部を停止させるとともに、DSP73に代ってスピンドルモータ87の制御を行う。
【0052】
データ制御部6は、データメモリ61に蓄積している映像音声データをコーデック部5に出力すると、ドライブ制御部7にデータの読み取りを再開させる制御信号を出力する。これによりディスクドライブ8が「読出動作」状態になる。ドライブ制御部7のマイクロコンピュータ74は、DSP73、レーザ発光部81、レーザ受光部、フォーカスモータ83、トラッキングモータ84、スレッドモータ85、チルトモータ86、スピンドルモータ87、モータ駆動部91の動作を再開する。
【0053】
以上説明したように、本発明を適用した記録再生装置1は、光学記録媒体の「読出動作」状態と「読出待機」状態とを繰り返す間欠再生を行う記録再生装置1であって、「読出待機」状態の間、スピンドルモータ87以外の動作を停止することにより消費電力を抑える。また、「読出待機」状態におけるスピンドルモータ87の制御をマイクロコンピュータ74で行うことにより、衝撃、振動、慣性力などにより、スピンドルモータ87への負荷が一時的に変化しても適切な回転数を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】AVインターフェース部の構成を示すブロック図である。
【図3】間欠記録における映像音声データの流れを示すブロック図である。
【図4】ドライブ制御部及びディスクドライブの構成を示すブロック図である。
【図5】記録再生装置の動作を説明するフローチャートである。
【図6】「記録動作」状態から「記録待機」状態に移行するときのマイクロコンピュータ及びDSPの動作を説明するフローチャートである。
【図7】「記録待機」状態から「記録動作」状態に移行するときのマイクロコンピュータ及びDSPの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 記録再生装置、2 ユーザインターフェース部、3 システム制御部、4 AVインターフェース部、5 コーデック部、6 データ制御部、7 ドライブ制御部、8 ディスクドライブ、61 データメモリ、71 ドライブメモリ、73 DSP、74 マイクロコンピュータ、75 スイッチ、81 レーザ発光部、82 反射光受光部、83 フォーカスモータ、84 トラッキングモータ、85 スレッドモータ、86 チルトモータ、87 スピンドルモータ、88 RFアンプ、89 周波数発生部、91 モータ駆動部、92 フォーカス制御部、93 トラッキング制御部、94 スレッド制御部、95 チルト制御部、96 スピンドル制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学記録媒体を回転させる回転駆動手段を含む駆動部を備え、該光学記録媒体にデータを記録する記録手段と、
データを符号化するデータ符号化手段と、
上記符号化したデータを記憶手段に蓄積し、上記記録手段を制御して上記記憶手段に蓄積されたデータを上記光学記録媒体に記録する記録制御手段と
を備え、
上記記録制御手段は、
上記記録制御手段を統括的に制御する統括制御手段と、
上記記録手段の上記駆動部をサーボ制御するサーボ制御手段と
を有し、
上記統括制御手段は、上記符号化したデータの上記蓄積を待機する記録待機状態の間、上記サーボ制御手段の動作を停止させるとともに、上記回転駆動手段をサーボ制御することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
上記統括制御手段は、マイクロコンピュータであり、上記符号化データの蓄積状態に応じて記録動作状態と記録待機状態とを切り換えることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
上記統括制御手段は、上記回転駆動手段の回転周波数をフィードバックして上記回転駆動手段の回転周波数を目標回転周波数にする電圧を上記回転駆動手段に印加することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項4】
光学記録媒体を回転させる回転駆動手段を含む駆動部を備え該光学記録媒体にデータを記録する記録装置の制御方法であって、
データを符号化する符号化工程と、
上記符号化したデータを蓄積する記録待機状態の間、当該記録装置を統括制御する統括制御手段が上記回転駆動手段を制御する蓄積工程と、
上記符号化したデータの蓄積が完了すると、当該記録装置を駆動制御するサーボ制御手段が上記駆動部をサーボ制御して上記符号化したデータを上記光学記録媒体に記録させる工程と
を有することを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項5】
光学記録媒体を回転させる回転駆動手段を含む駆動部を備え、該光学記録媒体に記録された符号化データを読み取る読取手段と、
上記読取手段を制御する読取制御手段と、
上記読み取った符号化データを蓄積する蓄積手段と、
上記蓄積した符号化データを復号化する復号化手段と
を備え、
上記読取制御手段は、
上記読取制御手段を統括的に制御する統括制御手段と、
上記読取手段の上記駆動部をサーボ制御するサーボ制御手段と
を有し、
上記統括制御手段は、上記蓄積手段に蓄積された符号化データの復号を待機する読出待機状態の間、上記サーボ制御手段の動作を停止させるとともに、上記回転駆動手段を制御することを特徴とする再生装置。
【請求項6】
上記統括制御手段は、マイクロコンピュータであり、上記蓄積手段の蓄積状態に応じて読出動作状態と読出待機状態とを切り換えることを特徴とする請求項5記載の再生装置。
【請求項7】
上記統括制御手段は、上記回転駆動手段の回転周波数をフィードバックして上記回転駆動手段の回転周波数を目標回転周波数にする電圧を上記回転駆動手段に印加することを特徴とする請求項5記載の再生装置。
【請求項8】
光学記録媒体を回転させる回転駆動手段を含む駆動部を備え該光学記録媒体に記録された符号化データを読み取る再生装置の制御方法であって、
当該再生装置の上記光学記録媒体に記録された符号化データを読み取る読取工程と、
上記読み取った符号化データを蓄積手段に蓄積する蓄積工程と、
上記蓄積手段に蓄積された上記符号化データの復号化を待機する読取待機状態の間、当該再生装置を統括制御する統括制御手段が上記光学記録媒体の回転駆動を制御する工程と
を有することを特徴とする再生装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−236415(P2006−236415A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46170(P2005−46170)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】