説明

記録装置、記録方法、記録方法のプログラム及び記録方法のプログラムを記録した記録媒体

【課題】 本発明は、記録装置、記録方法、記録方法のプログラム及び記録方法のプログラムを記録した記録媒体に関し、例えばランダムアクセス可能な記録媒体にビデオデータ及びオーディオデータを記録する携帯型の記録再生装置に適用して、従来に比して編集可能な境界の位置を高速度で検出可能に多重化ストリームを記録することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、編集可能点の位置情報を記録媒体2に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、記録方法、記録方法のプログラム及び記録方法のプログラムを記録した記録媒体に関し、例えばランダムアクセス可能な記録媒体にビデオデータ及びオーディオデータを記録する携帯型の記録再生装置に適用することができる。本発明は、編集可能点の位置情報を記録媒体に記録することにより、従来に比して編集可能な境界の位置を高速度で検出可能に多重化ストリームを記録することができるようにする。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型のビデオカメラ等では、MPEG(Moving Picture Experts Group)の手法によりビデオデータ及びオーディオデータをデータ圧縮した後、インターリーブ処理により多重化して記録媒体に記録するものが提供されている。
【0003】
ここでMPEGでは、図4に示すように、連続するフレームを所定フレーム数により順次区切ってGOP(Group Of Pictures )を形成し、各GOPの先頭フレームをIピクチャーに設定する。MPEGでは、このIピクチャーをフレーム内符号化処理によりデータ圧縮する。またGOPの残りフレームをPピクチャー、Bピクチャーに設定し、それぞれ各GOPのIピクチャーを予測フレームに設定したフレーム間符号化処理により、さらにはIピクチャーを予測フレームに設定したPピクチャーをさらに予測フレームに設定したフレーム間符号化処理により、Pピクチャー、Bピクチャーをデータ圧縮し、これらによりGOP単位でビデオデータを符号化処理する。
【0004】
これに対してオーディオデータは、AAC(Advanced Audio Codec)の手法により、図5(B)に示すように、GOPに対応する時間区分により順次区分されてオーディオアクセスユニット(AAU:Audio Access Unit )が形成され、このオーディオアクセスユニットを単位にしてデータ圧縮処理される。
【0005】
従来のビデオカメラでは、図5に示すように、このようにデータ圧縮処理されて生成されるビデオデータのストリーミングデータST1とオーディオデータのストリーミングデータST2とをそれぞれ所定の時間区分によりパケット化し、これらパケットの時分割多重化により、これらビデオデータのストリーミングデータST1とオーディオデータのストリーミングデータST2とのインターリーブ処理による多重化ストリームST3を形成し、この多重化ストリームST3を記録媒体に記録していた。
【0006】
ここでMPEGによるビデオデータのストリーミングデータST1は、GOP単位でデータ圧縮処理されていることにより、GOPの途中で編集処理して1つのGOPを構成するPピクチャー、BピクチャーをIピクチャーから切り離すと、これらPピクチャー、Bピクチャーを復号することが困難になる。これによりこのようなMPEGによるビデオデータのストリーミングデータST1では、GOPの境界で編集処理することが必要になる。
【0007】
またオーディオデータのストリーミングデータST2にあっても、オーディオアクセスユニット単位でデータ圧縮処理していることにより、このオーディオアクセスユニットの途中で編集処理したのでは、正しく復号することが困難になり、オーディオアクセスユニットの境界で編集処理することが必要になる。
【0008】
これらにより記録媒体に記録した多重化ストリームST3を編集処理する場合には、GOPの境界であって、かつオーディオアクセスユニットの境界が、多重化ストリームを構成する各ストリーミングデータを正しく復号可能に多重化ストリームを編集可能な点(以下、編集可能点と呼ぶ)となり、これら以外の箇所で編集処理したのでは、ビデオデータ、オーディオデータの少なくとも一方は正しく復号できなくなる。これにより従来のビデオカメラでは、このようなGOPの境界であって、かつオーディオアクセスユニットの境界を編集可能点に設定して、記録媒体に記録した多重化ストリームを編集処理していた。
【0009】
このような多重化ストリームの記録に関して、特開2004−79087号公報には、GOPの先頭が、記録媒体におけるクラスタの先頭となるように設定して記録することにより、このような編集可能点を高速度で検出可能とする方法が提案されている。
【0010】
ところでこのような編集可能点の検出にあっては、実際に記録媒体に記録された多重化ストリームを再生してストリーミングデータを解析し、境界を検出することが必要になる。またこのような多重化ストリームによるファイルを分割等する場合には、さらにファイル先頭からの時間経過を考慮した処理により、このような境界を検出することが必要になる。またインターリーブ処理によるビデオデータとオーディオデータとのパケットの位置関係も記録する装置によって異なる場合があることにより、このようなパケットの位置関係についても考慮して境界を検出することが必要になる。
【0011】
これにより特開2004−79087号公報に開示の手法を適用して多重化ストリームを検出することにより、境界の検出に要する時間を短縮することができるものの、このような編集可能点を高速度で検出する処理にあっては、実用上、未だ不十分な問題があった。
【特許文献1】特開2004−79087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来に比して編集可能な境界の位置を高速度で検出可能に多重化ストリームを記録することができる記録装置、記録方法、記録方法のプログラム及び記録方法のプログラムを記録した記録媒体を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため請求項1の発明は、複数のストリーミングデータを多重化して多重化ストリームを生成し、前記多重化ストリームを記録媒体に記録する記録装置に適用して、前記ストリーミングデータのデータ圧縮処理単位の境界を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記複数のストリーミングデータを正しく復号可能に前記多重化ストリームを編集可能な編集可能点が発生するように、少なくとも前記複数のストリーミングデータの境界でインターリーブ処理して、前記複数のストリーミングデータより前記多重化ストリームを生成する多重化部と、前記多重化ストリーム、前記多重化ストリームにおける編集可能点の位置情報及び時間情報による前記多重化ストリームの管理情報を前記記録媒体に記録する記録部とを備えるようにする。
【0014】
また請求項8の発明は、複数のストリーミングデータを多重化して多重化ストリームを生成し、前記多重化ストリームを記録媒体に記録する記録方法に適用して、前記ストリーミングデータのデータ圧縮処理単位の境界を検出する検出のステップと、前記検出のステップによる検出結果に基づいて、前記複数のストリーミングデータを正しく復号可能に前記多重化ストリームを編集可能な編集可能点が発生するように、少なくとも前記複数のストリーミングデータの境界でインターリーブ処理して、前記複数のストリーミングデータより前記多重化ストリームを生成する多重化処理のステップと、前記多重化ストリーム、前記多重化ストリームにおける編集可能点の位置情報及び時間情報による前記多重化ストリームの管理情報を前記記録媒体に記録する記録のステップとを有するようにする。
【0015】
また請求項9の発明は、演算処理手段による所定の処理手順の実行により、複数のストリーミングデータを多重化して多重化ストリームを生成し、前記多重化ストリームを記録媒体に記録する記録方法のプログラムに適用して、前記処理手順は、前記ストリーミングデータのデータ圧縮処理単位の境界を検出する検出のステップと、前記検出のステップによる検出結果に基づいて、前記複数のストリーミングデータを正しく復号可能に前記多重化ストリームを編集可能な編集可能点が発生するように、少なくとも前記複数のストリーミングデータの境界でインターリーブ処理して、前記複数のストリーミングデータより前記多重化ストリームを生成する多重化処理のステップと、前記多重化ストリーム、前記多重化ストリームにおける編集可能点の位置情報及び時間情報による前記多重化ストリームの管理情報を前記記録媒体に記録する記録のステップとを有するようにする。
【0016】
また請求項10の発明は、請求項9に記載の記録方法のプログラムを記録したことを特徴とする記録方法のプログラムを記録した記録媒体であるようにする。
【0017】
請求項1の構成により、複数のストリーミングデータを多重化して多重化ストリームを生成し、前記多重化ストリームを記録媒体に記録する記録装置に適用して、前記ストリーミングデータのデータ圧縮処理単位の境界を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記複数のストリーミングデータを正しく復号可能に前記多重化ストリームを編集可能な編集可能点が発生するように、少なくとも前記複数のストリーミングデータの境界でインターリーブ処理して、前記複数のストリーミングデータより前記多重化ストリームを生成する多重化部と、前記多重化ストリーム、前記多重化ストリームにおける編集可能点の位置情報及び時間情報による前記多重化ストリームの管理情報を前記記録媒体に記録する記録部とを備えるようにすれば、この記録媒体に記録された多重化ストリームは、いちいち再生して解析しなくても、管理情報に割り当てられた位置情報及び時間情報により、編集可能点を検出することができ、これにより従来に比して編集可能な境界の位置を短時間で検出可能に多重化ストリームを記録することができる。
【0018】
これにより請求項8、請求項9、請求項10の構成によれば、従来に比して編集可能な境界の位置を短時間で検出可能に多重化ストリームを記録することができる記録方法、記録方法のプログラム、記録方法のプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来に比して編集可能な境界の位置を短時間で検出可能に多重化ストリームを記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0021】
(1)実施例の構成
図1は、本発明の実施例に係る記録再生装置を示すブロック図である。この記録再生装置1は、携帯型のビデオカメラであり、所望の被写体を撮影して得られるビデオデータ及びオーディオデータを記録媒体2に記録し、また記録媒体2に記録したビデオデータ及びオーディオデータを再生して出力する。このためこの記録再生装置1は、撮像素子より得られる1系統のビデオデータDV、マイクより得られるステレオ方式による1系統のオーディオデータDAをそれぞれ信号処理回路により処理した後、バッファメモリ(バッファ)3、4を介してビデオエンコード部5、オーディオエンコード部6に入力する。なおここでこの実施例において、記録媒体2は、ランダムアクセス可能な記録媒体が適用され、例えば光ディスク、メモリカード等が適用される。
【0022】
ビデオエンコード部5は、順次入力されるビデオデータDVをMPEGによりデータ圧縮し、ビデオデータによるストリーミングデータST1を出力する。この処理において、ビデオエンコード部5は、Iピクチャーに係る符号化処理を完了すると、制御部7の制御により、このIピクチャーを構成する画素の間引きにより、Iピクチャーのサムネール画像データDTを生成して出力する。
【0023】
オーディオエンコード部6は、AACにより順次入力されるオーディオデータDAをデータ圧縮し、オーディオデータによるストリーミングデータST2を出力する。
【0024】
バッファメモリ(バッファ)8は、ビデオエンコード部5から出力されるビデオデータによるストリーミングデータST1、サムネール画像データDTを蓄積して出力し、バッファメモリ(バッファ)9は、オーディオエンコード部6から出力されるオーディオデータのストリーミングデータST2を蓄積して出力する。バッファメモリ8、9は、このようにして一旦蓄積してストリーミングデータST1、ST2を出力するようにして、順次入力されるストリーミングデータST1、ST2に設定された制御コードが制御部7により監視され、この監視結果による制御部7のタイミング制御により、ビデオデータによるストリーミングデータST1のGOP境界のタイミングに対して、オーディオデータによるストリーミングデータST2のオーディオアクセスユニット境界のタイミングが一致するように、オーディオデータによるストリーミングデータST2のタイミングを補正して、ビデオデータによるストリーミングデータST1に同期したタイミングにより出力する。これによりこの実施例では、制御部7は、ビデオデータ及びオーディオデータに係るストリーミングデータのデータ圧縮処理単位の境界を検出する検出部を構成する。
【0025】
多重化部10は、制御部7の制御により、バッファメモリ8、9から出力されるストリーミングデータST1、ST2をインターリーブ処理して多重化ストリームST3を生成し、この多重化ストリームST3を出力する(図5参照)。これらによりこの記録再生装置1は、ビデオデータDV及びオーディオデータDAをそれぞれデータ圧縮処理単位であるGOP及びオーディオアクセスユニット単位で符号化処理した後、その結果得られるストリーミングデータST1及びST2を多重化処理して出力する。
【0026】
多重化部10は、このインターリーブの処理において、制御部7の制御により、これら複数のストリーミングデータST1、ST2を正しく復号可能に多重化ストリームを編集可能とする編集可能点が発生するように、少なくともこれら複数のストリーミングデータST1、ST2の境界でインターリーブ処理するように、一定の時間区分により、これらストリーミングデータST1、ST2をインターリーブ処理して多重化ストリームを生成する。
【0027】
具体的に、この実施例では、ビデオデータによるストリーミングデータST1のGOPの先頭と、オーディオデータによるストリーミングデータST2のオーディオアクセスユニットの先頭とが、一致したタイミングによりバッファメモリ8、9から入力されることにより、GOPの境界のタイミングがインターリーブ処理のタイミングとなるように設定した一定の時間区分により、これらストリーミングデータST1、ST2をインターリーブ処理すれば、多重化ストリームST3上でこれらビデオデータ及びオーディオデータのストリーミングデータST1、ST2の境界が連続するように、多重化ストリームST3を生成することができ、この場合この連続する境界の末尾の境界を編集可能点とすることができる。
【0028】
記録再生部11は、制御部7の制御により、多重化部10から出力される多重化ストリームST3、バッファメモリ8から出力されるサムネール画像データDT等を記録媒体に記録する。この実施例では、これら多重化ストリームST3、サムネール画像データDTの記録にMP4ファイルフォーマット(ISO/IEC14496−14)が適用され、それぞれストリーミングデータファイル、サムネールデータファイルにより記録媒体2に記録される。
【0029】
ここでMP4ファイルフォーマットとは、マルチメディア対応のファイルフォーマットであり、Quick Timeファイルフォーマットを基にして、ISOにて標準化されている。
【0030】
MP4ファイルフォーマットは、動画、静止画、音声等による実データがまとめられてブロック化され、またこの実データのブロックとは別に、この実データを管理する管理情報がまとめられてブロック化される。MP4ファイルフォーマットは、図2(C)に示すように、この実データのブロックがメディアデータボックス(mdat)と称され、また管理情報のブロックがムービーボックス(moov)と称される。ムービーボックス(moov)は、階層構造によるブロックにより管理情報が割り当てられ、これらのブロックもボックスと称される。
【0031】
MP4ファイルフォーマットは、ムービーボックス(moov)の下位階層に、MP4ファイルフォーマットに係る実データの種類毎に、トラックボックス(track )が形成される。これによりビデオデータ及びオーディオデータのストリーミングデータとサムネール画像を記録する場合、MP4ファイルは、ムービーボックス(moov)にそれぞれビデオ、オーディオそしてサムネールの3つのトラックボックス(track )が形成される。
【0032】
これにより図2(A)及び(B)に示すように、記録再生部11は、サムネール画像データDTを順次記録すると共に、この管理情報をムービーボックス(moov)のトラックボックス(track )に外部参照機能を利用して割り当て、サムネールデータファイルFT及びFSを生成する。なおここでこのトラックボックス(track )の管理情報は、各サムネール画像データDTを再生するのに必要な情報であり、サムネールデータファイルFT上における各サムネール画像データDTの位置情報、データ長、編集可能点の時間情報等のデータが割り当てられる。
【0033】
同時に記録再生部11は、図2(B)に示すように、多重化ストリームST3を順次、メディアデータボックス(mdat)に記録する共に、この管理情報をムービーボックス(moov)のビデオ及びオーディオのトラックボックス(track )に割り当て、ストリーミングデータファイルFSを生成する。またムービーボックス(moov)の各トラックの管理情報により、図2(C)に示すような編集可能点の多重化ストリームST3の先頭記録位置を基準にしたオフセットデータ位置、この先頭記録位置からの再生時間が求められる。これらにより編集可能点を高速度で検索でき、そのサムネールを高速表示できるようにする。
【0034】
制御部7は、図示しないメモリに記録されたプログラムの実行により、この記録再生装置1全体の動作を制御する演算処理手段により構成され、ユーザーにより撮像結果の記録が指示されると、全体の動作モードを切り換え、ビデオデータDV及びオーディオデータDAの取得、記録を開始する。このビデオデータDV及びオーディオデータDAの記録において、制御部7は、ビデオデータDVの1フレーム毎に、図3の処理手順を実行し、これにより上述したMP4ファイルフォーマットによりサムネールデータファイルFT、ストリーミングデータファイルFSを記録媒体2に記録する。なおこの実施例において、この制御部7の実行に係るプログラムは、事前にこの記録再生装置1にインストールされて提供されるものの、このような事前のインストールに代えて、インターネット等のネットワークを介したダウンロードにより提供するようにしてもよく、光ディスク、磁気ディスク、メモリカード等の記録媒体を介して提供するようにしてもよい。
【0035】
すなわち制御部7は、この処理手順を開始すると、ステップSP1からステップSP2に移り、ここで1フレーム分の符号化処理の完了を待機し、続くステップSP3において、この符号化処理の完了したフレームがIピクチャーか否か判断することにより、GOP境界に続く1フレームの処理を完了したか否か判断する。なおここでこの判断にあっては、ストリーミングデータST1に設定される制御コードによるピクチャータイプにより判定されるが、これに代えてビデオエンコード部5からピクチャータイプを通知して判定するようにしてもよい。ここで否定結果が得られると、制御部7は、ステップSP3からステップSP4に移り、この処理を完了した1フレームの分だけ、ファイル先頭からの再生時間、フレーム先頭の記録位置を示すオフセット値をアップカウントした後、ステップSP5に移ってこの処理手順を終了する。なおここでの記録位置を示すオフセット値のアップカウントにあっては、ビデオエンコード部5より出力されるストリーミングデータの1フレーム分のデータ量を、それまでのオフセット値に加算して実行される。
【0036】
これに対してステップSP3で肯定結果が得られると、制御部7は、ステップSP6に移る。ここで制御部7は、サムネール画像データDTの生成をビデオエンコード部5に指示し、これによりこのIピクチャーのサムネール画像を生成する。また続くステップSP7において、ビデオエンコード部5で生成されるサムネール画像データDTのデータ量の検出により、このサムネール画像データDTのサイズを検出する。また続くステップSP8において、このIピクチャーの開始の時点に係る編集可能点でのインターリーブを指示する。また続くステップSP9において、直前のステップSP4によるアップカウント値、再生時間を取得し、これにより編集可能点のオフセット値、時間情報を検出する。また続くステップSP10において、ステップSP7で取得したデータ量、ステップSP9で取得したオフセット値、時間情報により、図2(B)について上述した各種編集可能点に係る情報を生成して記録再生部11に通知し、ステップSP4に移る。
【0037】
これにより制御部7は、多重化ストリームST3によるストリーミングデータファイルFSを順次記録しながら、サムネール画像データDTを生成してサムネールデータファイルFTを記録媒体2に記録する。
【0038】
しかして制御部7は、ユーザーにより記録の停止が指示されると、この一連の処理を停止してストリーミングデータファイルFS、サムネールデータファイルFTの記録を終了する。これに対してユーザーにより記録媒体2に記録されたファイルの再生が指示されると、記録再生部11により再生が指示されたストリーミングデータファイルFSを再生するように全体の動作を制御する。またこれにより記録再生部11から得られる多重化ストリームST3をビデオデータ及びオーディオデータのストリーミングデータに分離した後、それぞれ復号してユーザーに提供する。
【0039】
この一連の処理において、ユーザーによる再生の指示が編集処理に係る再生の場合、制御部7は、このストリーミングデータファイルFSに記録されたサムネールデータファイルFTに係るトラックボックスを再生して内蔵のメモリに保持した後、このメモリに記録したトラックボックスのデータによりサムネールデータファイルFTに記録されたサムネール画像データDTによるサムネール画像を順次再生して一定の時間間隔によりモニタに表示する。またユーザーによる操作子の操作により、このようなサムネール画像の一定の時間間隔による再生を一時停止してユーザーによる操作を受け付け、これにより例えばユーザーが録画の操作子を誤って操作して記録した箇所の削除等を受け付ける。制御部7は、このユーザーによる削除等の指示により、一時停止の状態で表示しているサムネール画像のトラックボックスの記録より、多重化ストリームのトラックボックスを検索して対応する編集可能点を検出し、この編集可能点によりストリーミングデータファイルFSを編集処理する。なおこの編集処理にあっては、MP4ファイルの特徴を利用して、外部参照形式により、例えば編集可能点以降を削除したトラックボックスによりムービーボックスを作成して別ファイルにより編集結果のファイルを作成する場合等が考えられる。またサムネールデータファイルFTにあっては、このような編集処理だけに限らず、頭出し等の処理にも利用することができる。
【0040】
(2)実施例の動作
以上の構成において、この記録再生装置1において、撮像素子から得られるビデオデータDVは、バッファメモリ3を介してビデオエンコード部5に入力され、ここでGOPによるデータ圧縮処理単位毎に、MPEGによりデータ圧縮処理されてビデオデータによるストリーミングデータST1が生成される。これに対してマイクより得られるオーディオデータDAは、バッファメモリ4を介してオーディオエンコード部6に入力され、ここでオーディオアクセスユニットによるデータ圧縮処理単位毎に、AACによりデータ圧縮処理されてオーディオデータによるストリーミングデータST2が生成される。
【0041】
これらビデオデータによるストリーミングデータST1及びオーディオデータによるストリーミングデータST2は、制御部7によりデータ圧縮処理単位の境界がそれぞれ検出され、この境界の検出結果に基づいた制御部7によるバッファメモリ8、9のタイミング制御により、また多重化部10におけるインターリーブ処理のタイミング制御により、編集可能点が発生するように、少なくともこれらストリーミングデータST1、ST2の境界を含む一定の時間区分によりインターリーブ処理されて多重化ストリームST3が生成される。これによりこのビデオデータ及びオーディオデータにあっては、この編集可能点により多重化ストリームST3を編集処理した場合には、ビデオデータ及びオーディオデータの双方を正しく復号可能に設定されて多重化ストリームST3に変換処理され、この記録再生装置1では、この多重化ストリームST3が記録媒体2に記録される。
【0042】
またこの記録再生装置1では、多重化ストリームにおけるこの編集可能点の位置情報及び時間情報が制御部7により生成され、これらの情報が多重化ストリームの管理情報として記録媒体2に記録される。これによりこの記録媒体2に記録された多重化ストリームST3にあっては、いちいちビデオデータ及びオーディオデータのストリーミングデータST1、ST2を再生して解析しなくても、記録媒体に記録した編集可能点の位置情報及び時間情報により編集可能点を検出することができ、これにより従来に比して編集可能な境界の位置を高速度で検出可能に多重化ストリームを記録することができる。
【0043】
具体的に、この記録再生装置1において、ビデオデータ及びオーディオデータのストリーミングデータST1及びST2は、バッファメモリ8、9のタイミング制御により、GOPの境界とオーディオアクセスユニットの境界のタイミングとが一致するように設定された後、GOPの境界のタイミングを含む一定の時間区分によりインターリーブ処理され、これにより多重化ストリーム上では、これらストリーミングデータST1及びST2の境界が連続するように形成され、この多重化ストリーム上における連続する境界のうちの末尾の境界が編集可能点とされる。
【0044】
これによりこの実施例では、この末尾の境界に係る位置情報、時間情報が管理情報により記録媒体2に記録され、これによりこの位置情報及び時間情報により編集可能な境界の位置を高速度で検出して、記録媒体2に記録された多重化ストリームを処理することができる。
【0045】
さらにこの実施例では、このようにして多重化ストリームST3を生成して記録媒体2に記録するようにして、ビデオエンコード部5においてビデオデータDVを符号化処理する際に、Iピクチャーのサムネール画像データDTが生成され、このサムネール画像データDTが併せて記録媒体2に記録される。これによりこの記録再生装置1では、記録媒体2に記録した位置情報、時間情報による編集可能点に続く1フレームのサムネール画像が記録媒体2に併せて記録される。
【0046】
これによりこの記録再生装置1では、この記録媒体2に記録したサムネール画像データDTを再生して表示することにより、編集可能点を簡易かつ迅速に確認することができ、その分、編集処理における操作性を向上してユーザーの使い勝手を向上することができる。
【0047】
また多重化ストリームST3にあっては、ファイルにより記録媒体2に記録され、編集可能点の位置情報にあっては、このファイルのファイル先頭からのオフセットにより記録媒体に記録される。これにより記録媒体2に記録された多重化ストリームST3のファイルにあっては、この位置情報により迅速に所望する編集可能点に係る箇所をアクセスすることができ、これによってもユーザーの使い勝手を向上することができる。また時間情報にあっても、ファイル先頭を基準にした再生時間により記録され、これによっても編集処理の作業性を向上することができる。
【0048】
しかしてこの実施例では、このサムネール画像データがMP4ファイルにより記録媒体2に記録され、多重化ストリームST3が、このサムネール画像データによるMP4ファイルを外部参照する形式のMP4ファイルにより記録される。これによりこの記録媒体に記録された多重化ストリームST3にあっては、サムネール画像データによるMP4ファイルによっても、さらには多重化ストリームST3のMP4ファイルによっても、サムネール画像を再生することができ、その分、再生側の負担を軽減することができる。
【0049】
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、編集可能点の位置情報を記録媒体に記録することにより、従来に比して編集可能な境界の位置を高速度で検出可能に多重化ストリームを記録することができる。
【0050】
また複数のストリーミングデータにおける境界が、多重化ストリーム上で連続するように、複数のストリーミングデータをインターリーブ処理するようにして、この連続する境界のうちの末尾の境界を編集可能点として位置情報を記録媒体に記録することにより、従来に比して編集可能な境界の位置を高速度で検出可能に多重化ストリームを記録することができる。
【0051】
具体的に、この複数のストリーミングデータの少なくとも1つのストリーミングデータが、AACによりデータ圧縮したオーディオデータであり、このストリーミングデータの境界がオーディオアクセスユニットの境界であることにより、AACによりデータ圧縮したオーディオデータによる多重化ストリームに関して、従来に比して編集可能な境界の位置を高速度で検出可能に多重化ストリームを記録することができる。
【0052】
またこの複数のストリーミングデータの少なくとも1つのストリーミングデータが、MPEGによりデータ圧縮したビデオデータであり、この1つのストリーミングデータの境界がGOPの境界であることにより、MPEGによりデータ圧縮したビデオデータによる多重化ストリームに関して、従来に比して編集可能な境界の位置を高速度で検出可能に多重化ストリームを記録することができる。
【0053】
またビデオデータのIピクチャーからサムネール画像データを生成し、このサムネール画像データを記録媒体に記録することにより、編集処理における操作性を向上してユーザーの使い勝手を向上することができる。
【0054】
また多重化ストリームをファイルにより記録媒体に記録するようにして、編集可能点の位置情報をこのファイルのファイル先頭を基準にしたオフセットにより記録媒体に記録することによっても、編集処理における操作性を向上してユーザーの使い勝手を向上することができる。
【0055】
またサムネール画像データの連続によるサムネール画像のファイルを記録媒体に記録するようにして、このサムネール画像のファイルを外部参照形式により再生可能に、多重化ストリームをファイルにより記録することにより、サムネール画像データによるファイル、多重化ストリームのファイルの何れを再生しても、サムネール画像を確認することができ、その分、再生側の負担を軽減することができる。
【実施例2】
【0056】
なお上述の実施例においては、外部参照形式により多重化ストリームを再生してサムネール画像データを再生可能とする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、自己内包形式により多重化ストリームとサムネール画像データとを一体にファイル化して記録するようにしてもよい。
【0057】
また上述の実施例においては、MP4ファイルフォーマットによりサムネール画像データ、多重化ストリームを記録する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々のファイルフォーマットによりサムネール画像データ、多重化ストリームを記録する場合に広く適用することができる。
【0058】
また上述の実施例においては、ビデオデータのストリーミングデータ編集境界をGOPとする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、編集境界をClosed GOPにする場合にも適用することができる。
【0059】
また上述の実施例においては、1つのビデオデータによるストリーミングデータとステレオ方式による1系統のオーディオデータによるストリーミングデータとをインターリーブ処理して多重化処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、種々の系統数によるビデオデータ及びオーディオデータに係るストリーミングデータを多重化処理して記録する場合に、広く適用することができる。
【0060】
また上述の実施例においては、本発明を携帯型のビデオカメラに適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、据え置き型の各種記録再生装置、パーソナルコンピュータにおける処理等に広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、記録装置、記録方法、記録方法のプログラム及び記録方法のプログラムを記録した記録媒体に関し、例えばランダムアクセス可能な記録媒体にビデオデータ及びオーディオデータを記録する携帯型の記録再生装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例に係る記録再生装置を示すブロック図である。
【図2】図1の記録再生装置に係る記録フォーマットの説明に供する図表である。
【図3】図1の記録再生装置における制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】ビデオデータの符号化処理の説明に供する略線図である。
【図5】多重化処理の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
【0063】
1……記録再生装置、2……記録媒体、5……ビデオエンコード部、6……オーディオエンコード部、7……制御部、10……多重化部、11……記録再生部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のストリーミングデータを多重化して多重化ストリームを生成し、前記多重化ストリームを記録媒体に記録する記録装置において、
前記ストリーミングデータのデータ圧縮処理単位の境界を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記複数のストリーミングデータを正しく復号可能に前記多重化ストリームを編集可能な編集可能点が発生するように、少なくとも前記複数のストリーミングデータの境界でインターリーブ処理して、前記複数のストリーミングデータより前記多重化ストリームを生成する多重化部と、
前記多重化ストリーム、前記多重化ストリームにおける編集可能点の位置情報及び時間情報による前記多重化ストリームの管理情報を前記記録媒体に記録する記録部とを備える
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記多重化部は、
前記複数のストリーミングデータにおける前記境界が、前記多重化ストリーム上で連続するように、前記複数のストリーミングデータをインターリーブ処理することにより、編集可能点が発生するように前記複数のストリーミングデータをインターリーブ処理し、
前記編集可能点が、
前記連続する境界のうちの末尾の境界である
ことを特徴とする請求項1の記載の記録装置。
【請求項3】
前記複数のストリーミングデータの少なくとも1つのストリーミングデータが、
AACによりデータ圧縮したオーディオデータであり、
前記1つのストリーミングデータの境界が、オーディオアクセスユニットの境界である
ことを特徴とする請求項1の記載の記録装置。
【請求項4】
前記複数のストリーミングデータの少なくとも1つのストリーミングデータが、
MPEGによりデータ圧縮したビデオデータであり、
前記1つのストリーミングデータの境界が、GOPの境界である
ことを特徴とする請求項1の記載の記録装置。
【請求項5】
前記ビデオデータのIピクチャーからサムネール画像のデータを生成するサムネール画像生成手段を有し、
前記記録部は、
前記サムネール画像のデータを前記記録媒体に記録する
ことを特徴とする請求項4の記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録部は、
前記多重化ストリームをファイルにより前記記録媒体に記録し、
前記編集可能点の位置情報を前記ファイルのファイル先頭を基準にしたオフセットにより前記記録媒体に記録する
ことを特徴とする請求項1の記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録部は、
前記サムネール画像のデータの連続によるサムネール画像のファイルにより前記サムネール画像のデータを記録すると共に
前記サムネール画像のファイルを外部参照形式により再生可能に、前記多重化ストリームをファイルにより記録する
ことを特徴とする請求項5の記載の記録装置。
【請求項8】
複数のストリーミングデータを多重化して多重化ストリームを生成し、前記多重化ストリームを記録媒体に記録する記録方法において、
前記ストリーミングデータのデータ圧縮処理単位の境界を検出する検出のステップと、
前記検出のステップによる検出結果に基づいて、前記複数のストリーミングデータを正しく復号可能に前記多重化ストリームを編集可能な編集可能点が発生するように、少なくとも前記複数のストリーミングデータの境界でインターリーブ処理して、前記複数のストリーミングデータより前記多重化ストリームを生成する多重化処理のステップと、
前記多重化ストリーム、前記多重化ストリームにおける編集可能点の位置情報及び時間情報による前記多重化ストリームの管理情報を前記記録媒体に記録する記録のステップとを有する
ことを特徴とする記録方法。
【請求項9】
演算処理手段による所定の処理手順の実行により、複数のストリーミングデータを多重化して多重化ストリームを生成し、前記多重化ストリームを記録媒体に記録する記録方法のプログラムにおいて、
前記処理手順は、
前記ストリーミングデータのデータ圧縮処理単位の境界を検出する検出のステップと、
前記検出のステップによる検出結果に基づいて、前記複数のストリーミングデータを正しく復号可能に前記多重化ストリームを編集可能な編集可能点が発生するように、少なくとも前記複数のストリーミングデータの境界でインターリーブ処理して、前記複数のストリーミングデータより前記多重化ストリームを生成する多重化処理のステップと、
前記多重化ストリーム、前記多重化ストリームにおける編集可能点の位置情報及び時間情報による前記多重化ストリームの管理情報を前記記録媒体に記録する記録のステップとを有する
ことを特徴とする記録方法のプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の記録方法のプログラムを記録した
ことを特徴とする記録方法のプログラムを記録した記録媒体。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−48378(P2007−48378A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−231519(P2005−231519)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】