説明

記録装置及び記録方法

【課題】シーク動作による雑音が記録されてしまうことを防止するとともに、代表画像の一覧表示を素早く行うことができるようにする。
【解決手段】ストリームデータを記録する領域の隣の領域にサムネイルデータを記録し、ビデオカメラ100の電源をオフにする指示、ディスク112をイジェクトする指示、再生モードに移行する指示、またはファイナライズ処理を実行する指示があった場合に、フォーマットを実行した時に作成されるサムネイルデータファイルの予約領域に、サムネイルデータを移動させる、もしくは複製するようにして、シーク動作による雑音が記録されてしまうことを防止するとともに、代表画像の一覧表示を素早く行うことができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置、記録方法、プログラム及び記憶媒体に関し、特に、ランダムアクセス可能なディスク型の記録媒体にデータを記録するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク型のDVD等を記録媒体として用い、記録媒体に動画像データを実時間で記録する動画像記録再生装置がある。このような動画像記録再生装置では、記録される動画像データはMPEG2方式やH.264方式などの符号化方式を用いてエンコードされ、データサイズを圧縮して記録媒体に保存される。また、記録した動画像データを再生する際には、圧縮した動画像データをデコード処理する必要があり、動画像の長さ、画素数、アスペクト比などの情報が、別途その動画像データの管理情報として記録される。
【0003】
このように記録された動画像データを再生する機器では、まず、管理情報を記録媒体から読み出し、その管理情報をもとに動画像データの再生を行う。このような方法を用いている規格には、DVD−Video規格やBD−ROM規格、AVCHD規格などがある。
【0004】
また、図2に示すように、記録媒体に記録されている複数の動画像データの代表画像を一覧表示することにより、記録媒体にどのような動画像データが記録されているかをユーザーに示す方法がある。この方法では、各動画像データの先頭フレームを記録媒体から読み出し、デコード処理を行って画面上に一覧表示する。
【0005】
一方、動画像データの代表画像を静止画像データ(以下、サムネイルデータと称す)として動画像データとは別に予め記録しておき、静止画像を一覧表示することにより、記録媒体にどのような動画像データが記録されているかをユーザーに示す方法もある。この方法では、まず、動画像データの管理情報を記録媒体から読み出し、次に、各動画像データに対応するサムネイルデータを記録媒体から読み出す。そして、読み出したサムネイルデータを画面上に一覧表示し、記録媒体にどのような動画像データが記録されているかをユーザーに知らせる。ユーザーにより表示したい動画像のサムネイルが選択されると、そのサムネイルに対応した動画像データを再生する。
【0006】
このように、サムネイルデータを予め作成しているため、動画像データの先頭フレームをデコードする方法よりもサムネイルデータを用いる方法のほうが、一覧表示をする際に代表画像を高速に表示することができるという特徴がある。また、例えば特許文献1には、録画時間やタイトルなどの属性情報と、サムネイルデータとを単一のファイルにそれぞれ連続的に配置することにより、代表画像の一覧表示を高速に行う技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−47064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サムネイルデータを記録する方法として、ディスクに記録されている各動画像データ(クリップ)に対する代表画像データ(サムネイルデータ)を、1つのファイルにまとめて記録する方法がある。以下、このように1つにまとめたファイルをサムネイルデータファイルと称す。
【0009】
サムネイルは、それぞれの動画像の代表画像となっているため、通常の記録方法を考慮した場合、1つの動画像データを記録するたびに、ストリームデータファイル、管理データファイル、及びサムネイルデータファイルを記録する必要がある。特にサムネイルデータファイルは1つのファイルとして記録されるため、ファイルの追記を行うことになる。したがって、DVDやハードディスクといった記録媒体を用いる場合、動画像データの記録を繰り返すと、サムネイルデータファイルは、ディスク上に分散して記録された1つのファイルを形成することになる。しかし、サムネイルデータの記録位置が分散していると、それらのサムネイルデータを読み出すためにシーク動作などが多く発生する。このため、サムネイルの一覧表示が遅くなってしまうという問題点があった。
【0010】
また、前記特許文献1に記載の方法を用いて、特定の領域にサムネイルデータを配置する場合、例えば、1つの動画像データを記録する際に、ストリームデータファイルの記録、管理データファイルの記録、サムネイルデータの記録、というシーケンスをとる。これにより、サムネイルデータを特定領域に記録するためのシークが発生してしまう。したがって、シークが発生した時にはメカ動作による雑音が伴うため、ビデオカメラのような用途においては、雑音が記録されてしまうという問題点があった。
【0011】
本発明は前述の問題点に鑑み、シーク動作による雑音が記録されてしまうことを防止するとともに、代表画像の一覧表示を素早く行うことができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の記録装置は、動画像データ及び前記動画像データの代表画像データをディスク状記録媒体に記録する記録手段と、前記動画像データの記録に応じて前記動画像データの記録領域に隣接する領域に前記代表画像データを記録すると共に、前記ディスク状記録媒体に対する動画像データの記録を終了する所定の指示に応じて、前記ディスク状記録媒体における前記代表画像データが記録された領域とは異なる1つの連続領域に前記記録された代表画像データを記録するように前記記録手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の記録方法は、動画像データ及び前記動画像データの代表画像データをディスク状記録媒体に記録する記録工程と、前記動画像データの記録に応じて前記動画像データの記録領域に隣接する領域に前記代表画像データを記録すると共に、前記ディスク状記録媒体に対する動画像データの記録を終了する所定の指示に応じて、前記ディスク状記録媒体における前記代表画像データが記録された領域とは異なる1つの連続領域に前記記録された代表画像データを記録するように前記記録工程における処理を制御する制御工程とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明のプログラムは、動画像データ及び前記動画像データの代表画像データをディスク状記録媒体に記録する記録工程と、前記動画像データの記録に応じて前記動画像データの記録領域に隣接する領域に前記代表画像データを記録すると共に、前記ディスク状記録媒体に対する動画像データの記録を終了する所定の指示に応じて、前記ディスク状記録媒体における前記代表画像データが記録された領域とは異なる1つの連続領域に前記記録された代表画像データを記録するように前記記録工程における処理を制御する制御工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0015】
本発明の記憶媒体は、前記に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、動画像データの記録に応じて前記動画像データの記録領域に隣接する領域に代表画像データを記録する。そして、動画像データの記録を終了する所定の指示に応じて、前記代表画像データが記録された領域とは異なる1つの連続領域に前記記録された代表画像データを記録するようにした。これにより、記録処理を行っている時は、シークが発生しないように記録を行うことができる。さらに、代表画像の一覧表示を行う際には、代表画像データが1つの連続領域に纏めて記録されているため、一覧表示を素早く行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、特にDVD−RWのディスク媒体へ記録することが可能なデジタルビデオカメラの例について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態のビデオカメラの構成例を示すブロック図である。
図1において、101はビデオカメラ100全体の制御を担う制御部である。102は焦点距離や絞りの状態を変更可能なレンズである。103は例えばCCD(Charge Coupled Device)からなる撮像素子であり、レンズ102により結像した光を電気信号に変換する機能を有する。
【0019】
104は信号処理部であり、撮像素子103から出力された画像信号に対してホワイトバランスやガンマ補正等の所定の信号処理を行い、動画像データとして後述するメモリ114に一時的に記録する。105はH.264符号/復号化部であり、メモリ114に一時的に記録された動画像データをH.264方式に従って符号化する。また、H.264符号/復号化部105は、H.264方式に従って符号化された動画像データを復号化する機能も有する。
【0020】
106はJPEG符号/復号化部であり、メモリ114に一時的に記録された静止画像データをJPEG方式に従って符号化する。また、JPEG符号/復号化部106は、JPEG方式に従って符号化された静止画像データを復号化して、メモリ114に記録する機能も有する。なお、後述するサムネイルデータを符号/復号化する時もJPEG符号/復号化部106により行われる。
【0021】
108はマイクであり、音声を音声信号に変換する機能を有する。一方、109はスピーカであり、マイク108とは逆に音声信号を音声に変換する機能を有する。110は音声信号符号/復号化部であり、マイク108より入力された音声信号を所定の符号フォーマットに符号化し、メモリ114に一時的に記録する機能を有する。また、音声信号符号/復号化部110は、メモリ114に保持されている所定の符号フォーマットに符号化された音声信号を復号化する機能も有する。符号フォーマットとしては、本実施形態ではAC3(Audio Code number 3)方式を用いている。
【0022】
111は記録手段であるディスク制御部であり、112はディスク状記録媒体であるDVD−RWのディスクである。記録動作を行う場合、ディスク制御部111は、メモリ114に保持されているH.264方式の動画像データ及び音声データを多重化して、ストリームデータファイルとしてディスク112に記録する。一方、再生動作を行う場合は、ディスク制御部111は、ディスク112に記録されたストリームデータファイルを読み出し、H.264方式の動画像データと、音声データとに分離してメモリ114の所定の領域に記録する。また、ディスク制御部111は、JPEG方式の静止画像データ及び管理データファイルについても、ディスク112に記録したり再生したりすることができる。
【0023】
113はフラッシュメモリであり、制御部101で動作させるプログラムを格納したり各種設定データを保存したりするメモリである。また、フラッシュメモリ113に記録されているデータは、ビデオカメラ100本体の電源が切断された状態でも保持される。このため、フラッシュメモリ113は、電源が切断された後も保持する必要のある管理データ等も保持している。114はメモリであり、H.264方式の動画像データを保持するバッファや、音声データを保持するバッファ、ワークメモリ等として機能する。
【0024】
115は表示部であり、制御部101による制御によって、復号化された映像データを表示する表示デバイスとしての機能を有するとともに、撮影時のビューファインダーとしての機能も有する。また、表示部115は、ユーザーがビデオカメラ100本体を操作する場合に、操作画面としての機能も兼ね備える。116はデータバスであり、制御部101から各機能ブロックへのアクセス、及びメモリ114を介しての各機能ブロック間のデータ転送等を行う。117は操作スイッチであり、ユーザーが操作スイッチ117を操作することにより、記録モードと再生モードとの切り替えや、電源のオン/オフの切り替えなどが可能となっている。
【0025】
次に、本実施形態の記録方式の概要について説明する。
本実施形態の記録方式では、撮影開始の指示から撮影停止の指示までの間に記録された1つの動画像の単位をクリップと呼び、クリップは動画像データであるストリームデータとその動画像の管理データであるクリップ情報との2種類のデータで構成される。ストリームデータ及びクリップ情報はそれぞれ独立したファイルとして存在し、2つのファイルで1つのクリップが構成される。また、ストリームデータファイル及びクリップ情報ファイルにはそれぞれ同じクリップ番号が割り付けられ、対応付けが可能になっている。ビデオカメラ100で動画像を撮影及び記録する場合には、1つのストリームデータファイルを記録するたびに1つのクリップ情報ファイルを記録する。
【0026】
また、本実施形態の記録方式では、ストリームデータの再生順序を示すプレイリストを定義する。プレイリストは、クリップ上でのある範囲を表すIN点及びOUT点の一組を示すプレイアイテムの並びとして構成されている。例えば、まず、それぞれのクリップの先頭をIN点とし、末尾をOUT点とするプレイアイテムを作成する。そして、これらのプレイアイテムを記録された順序に並べて構成されたプレイリストを作成する。プレイリストを参照することにより、ディスク112に記録された全クリップを再生することが可能となる。
【0027】
さらに、本実施形態の記録方式では、サムネイルデータファイルをディスク112に記録する。本実施形態では、各プレイアイテムに対する代表画像をサムネイルデータとしており、さらに、ディスク112に記録された全プレイアイテムに対するサムネイルデータを1つのサムネイルデータファイルに統合して記録する。そして、1つのプレイアイテムに対するサムネイルデータを16Kbyteの単位ブロックで記録する。
【0028】
プレイアイテム及びサムネイルデータは、サムネイル情報ファイルによって関連付けられる。各プレイアイテムには、サムネイルデータの識別情報が含まれており、サムネイル情報ファイルには、サムネイルデータの識別情報とサムネイルデータファイルの中の記録位置とが関連付けされたリストが含まれている。このサムネイル情報ファイルを参照することにより、該当するサムネイルデータがサムネイルデータファイルのどこに記録されているかを認識することができる。
【0029】
前述したサムネイルデータは、再生装置として用いた場合は記録媒体へ記録されたプレイアイテムの内容を判別するための表示に使用される。例えば、図2に示すように、並べて表示されたサムネイル201を閲覧者が選択することにより、対応するプレイアイテムの動画像を表示することができる。つまりサムネイルの選択することによりプレイアイテムの選択を可能とする。
【0030】
次に、本実施形態のビデオカメラ100において、DVD−RWのディスク112にファイルを記録する方法について図3、図4及び図6を参照しながら説明する。
【0031】
図3は、本実施形態におけるディスク112の記録領域の構造例を示す図である。
本実施形態のビデオカメラ100にブランクディスクが挿入されると、まず論理フォーマットに基づいたディスクのフォーマット(初期化)を実施する。本実施形態のフォーマットでは、ファイルシステムとしてのUDF(Universal Disc Format)管理情報ファイルが最内周領域301に記録され、次にサムネイルデータファイルが隣の領域302に記録される。ディスクのフォーマットを行った時点では、サムネイルデータファイルは、有効データ(File Body)長が0であり、予約領域(File Tail)だけのファイルとして記録される。
【0032】
図4は、サムネイルデータファイルのUDF管理情報(File Entry)の一部を示す図である。
図4に示すように、サムネイルデータファイルはアロケーションディスクリプタの集合で構成されており、アロケーションディスクリプタの数はアロケーションディスクリプタ長より算出される(1つあたり8)。
【0033】
1つのアロケーションディスクリプタは、ディスク上の1つの連続領域(エクステント)をファイルとして確保している。したがって、複数のエクステントで構成されるファイルは、複数のアロケーションディスクリプタにより表現される。それぞれのアロケーションディスクリプタには、エクステントの位置(アドレス)と、エクステント長(サイズ)と、属性(File Body/File Tail)とが記録される。
【0034】
ブランクディスクがフォーマットされた状態では、サムネイルデータファイルは、図4(a)に示すように、アロケーションディスクリプタが1つであり、予約領域(File Tail)のみで構成されるファイルとして記録される。予約領域のサイズは0x1000000で16MBであるが、これは、DVD−RWのディスクに記録可能な最大プレイアイテム数から算出され、16MBの場合は、1000プレイアイテム(16Kbyte×1000=16MB)記録可能となる。
【0035】
図6は、本実施形態における記録処理手順の一例を示すフローチャートである。
ユーザーの操作により撮影を開始することにより、記録処理を開始する。まず、ステップS601において、ストリームデーファイル、サムネイルデータ及びクリップ情報ファイルをディスク112に記録する。
【0036】
具体的な手順としては、まず、信号処理部104は、撮像素子103から出力された画像信号に対してホワイトバランスやガンマ補正等の所定の信号処理を行う。そして、代表画像として最初の1フレームを縮小したものを、サムネイル用画像データとしてメモリ114に蓄積する。また、同時に、信号処理部104は、動画像データをメモリ114に蓄積し、蓄積された動画像データをH.264符号/復号化部105によりH.264方式の動画像データに変換し、再度、メモリ114に蓄積する。
【0037】
一方、音声信号符号/復号化部110は、マイク108より入力された音声信号をAC3方式で符号化し、音声データとしてメモリ114に一時的に記録する。
【0038】
次に、ある一定量の動画像データ及び音声データがメモリ114に蓄積された段階でディスク制御部111は、メモリ114に蓄積された動画像データと音声データとを多重化してストリームデータファイルとしてディスク112上に記録する。なお、撮影が一時停止されると、ディスク制御部111は、メモリ114上に残っているストリームデータを全てディスク112に記録し、ストリームデータファイルの記録を完了させる。
【0039】
続いて、メモリ114に蓄積されているサムネイル用画像データをJPEG符合/復号化部106によりエンコードし、JPEGフォーマットのサムネイルデータに変換する。そして、ディスク制御部111は、ディスク112上のサムネイルデータファイルにサムネイルデータをストリームデータファイルが記録された領域303に隣接する領域304に記録する。サムネイルデータ自体は、シークが発生しないように、ストリームデータファイルが記録された領域303の隣に記録するが、UDFの管理上では、図4(b)に示すように管理する。
【0040】
図4(b)に示すように、サムネイルデータファイルを管理するファイルエントリにおいて、有効データ(File Body)として新規に記録された16Kbyteのサムネイルデータの記録位置を管理する。そして、予約領域(File Tail)としてフォーマット時に確保した領域を指し示すように管理する。このように、ディスク112上では全く別の領域に確保されたサムネイルデータと予約領域とがサムネイルデータファイルという1つのファイルとして記録される。
【0041】
次に、ディスク制御部111は、サムネイルデータに続くように、記録したストリームデータファイルに対応するクリップ情報ファイルを記録する。クリップ情報は動画像撮影中に随時情報が更新されるものであり、すぐにディスク112へ記録せずにメモリ114上に保持しておき、前述したようにサムネイルデータを記録した後に、クリップ情報ファイルとしてディスク112に記録する。
【0042】
その他のサムネイル情報ファイル及びプレイリストファイルは、1回の撮影単位で完結するファイルではなく、また、データサイズも大きくないため、撮影ごとにディスク112に記録しない。ディスク112に記録するまでの間はそれぞれ、サムネイル情報データ、プレイリストデータとしてメモリ114上に保持しておき、後述するタイミングでディスク112に記録する。
【0043】
次に、図6のステップS602において、制御部101は、記録処理を終了することを示唆する次の(1)〜(4)何れかの指示が操作スイッチ117からあったか否かを判断する。
(1)ビデオカメラ100の電源をオフにする指示
(2)ディスク112をイジェクトする指示
(3)再生モードに移行する指示
(4)ファイナライズ処理を実行する指示
【0044】
この判断の結果、前述した(1)〜(4)の何れの指示もない場合は、ステップS603に進む。そして、ステップS603において、制御部101は、撮影が再開されたか否かを判断する。この判断の結果、撮影が再開された場合は、ステップS601に戻り、前述した手順でストリームデータ等を記録する。一方、ステップS603の判断の結果、撮影が再開されていない場合は、ステップS602に戻る。
【0045】
なお、撮影が繰り返されると、前述した手順でストリームデーファイル、サムネイルデータ、クリップ情報ファイルを、図3(b)に示すように、外周方向に随時記録する。UDFの管理上では図4(c)に示すように、サムネイルデータは、サムネイルファイルの有効データ(File Body)と予約領域(File Tail)との間に、新たに有効データ(File Body)のアロケーションディスクリプタを挿入する。このようにして、サムネイルデータファイルを管理する。
【0046】
一方、ステップS602の判断の結果、前述した何れかの指示があった場合は、ステップS604に進む。そして、ステップS604において、ディスク制御部111は、メモリ114上に保持していたプレイリストデータ、サムネイル情報データをそれぞれ、プレイリストファイル、サムネイル情報ファイルとしてディスク112に記録する。なお、プレイリストファイル及びサムネイル情報ファイルはそれぞれ、外周側の領域307、308に記録される。
【0047】
次に、ステップS605において、前述した(1)〜(4)の何れかの指示があった場合に、ディスク制御部111は、サムネイルデータファイルのデフラグ処理を実行する。サムネイルデータファイルのデフラグ処理では、領域304、305、306に点在していた個々のサムネイルデータを、図3(c)に示す領域309、310、311に移動させる。
【0048】
具体的には、領域304、305、306に記録されていた代表画像データを読み出し、領域309、310、311に記録した後、領域304、305、306に記録されていた代表画像データを消去する。
【0049】
デフラグ処理後のサムネイルデータファイルのUDF管理情報(File Entry)の状態を図4(d)に示す。図4(d)に示すように、それぞれの有効データ(File Body)のエクステント位置を変更することによりデフラグを実現することができる。
【0050】
なお、デフラグ処理では、データの記録位置を移動させるため、頻繁なシークが必要となり、雑音が発生する。このため、記録処理を終了して、上記(1)〜(4)の何れかの指示があった場合にデフラグ処理を実行することにより、雑音の記録を回避することができる。
【0051】
また、デフラグ処理を行った後に、さらに記録処理を行う場合には、図3(d)に示すように、ストリームデータファイル、サムネイルデータ、クリップ情報ファイルが外周方向に連続に追記される。そして、図3(e)に示すように、前述のタイミングでサムネイル情報ファイル及びプレイリストファイルを上書する。さらに、デフラグ処理を実行する場合には、サムネイルデータファイル内のサムネイルデータが記録された領域309、310、311の後ろの領域に新たなサムネイルデータを移動させる。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のビデオカメラ100では、撮影モードで撮影を繰り返す場合には、サムネイルデータや、管理情報をストリームデータに続くようにディスク112上に記録する。これにより、ピックアップのシークを無くして、シークによる雑音の記録を抑制することができる。また、電源をオフにする等の操作が実施されたタイミングで、サムネイルデータファイルのデフラグを実行するため、次回に再生する時にはサムネイルデータを高速に読み出すことができ、代表画像の一覧表示を高速に行うことができる。
【0053】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、サムネイルデータファイルのデフラグ処理を行った後は、元々サムネイルデータが記録された領域312、313、314は、空き領域となる。これらの空き領域は、別データを記録するために再利用することが可能であるが、16KBの小さな領域が分断して存在するため、有効に再利用されにくい状態となっている。なお、ストリームデータを記録する場合、最小連続領域サイズが決められており、16KBではこの条件を満たすことができないため、空き領域をストリームデータの記録に利用することができない。
【0054】
そこで、本実施形態では、前記空き領域をサムネイルデータファイルのバックアップファイル領域として利用する例について説明する。バックアップファイルの記録については必須の機能ではないが、ディスク媒体のキズ等の要因で、サムネイルデータファイルの読み出しができなくなった場合等のバックアップとして、記録しておくことが望ましい。なお、バックアップファイルは、オリジナルのサムネイルデータファイルと同一のファイル名で記録するが、バックアップ専用のディレクトリに記録されるため、オリジナルのサムネイルデータファイルと区別することができる。
【0055】
なお、本実施形態のビデオカメラの構成や、UDF管理情報等については、第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。本実施形態では、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0056】
図5は、本実施形態におけるディスク112の記録領域の構造例を示す図である。
ブランクディスクのフォーマットを行った段階では、図5(a)に示すように、第1の実施形態と同様である。ところが、本実施形態では、ストリームデータファイルと連続して記録する際に、図5(b)に示すように、サムネイルデータのバックアップファイルとしてサムネイルデータをストリームデータファイルが記録された領域に隣接する領域501に記録する。連続してストリームデータを記録する際には、同様の手順でサムネイルデータのバックアップファイルとしてサムネイルデータをストリームデータファイルが記録された領域に隣接する領域502、503に記録する。
【0057】
そして、本実施形態ではデフラグ処理を行う際に、図5(c)に示すように、サムネイルデータのバックアップファイルの内容を、サムネイルデータファイルに複製する。すなわち、領域501、502、503に記録されたサムネイルデータをそれぞれサムネイルデータファイルの中の領域504、505、506に複製する。第1の実施形態では、デフラグ処理を行うと、元々サムネイルデータが記録された領域は、空き領域となっていたが、本実施形態では、サムネイルデータのバックアップファイルとして保持される。
【0058】
デフラグ処理を行った後に、さらに記録処理を行う場合は、図5(d)に示すように、サムネイルデータをサムネイルデータのバックアップファイルとしてストリームデータファイルが記録された領域に隣接する領域507、508に追記する。そして、再度デフラグ処理を行うときに、サムネイルデータファイルの中の領域509、510にサムネイルデータを複製する。
【0059】
このように記録処理を繰り返すことにより、サムネイルデータファイルは連続領域でサムネイルデータが記録されていく。一方、サムネイルデータのバックアップファイルは、データ領域が分断されたままの状態で記録されていることになるが、前述したように、サムネイルデータファイルの読み取りができなかった場合のみ用いられるファイルであるため、デフラグ処理は実行しない。
【0060】
以上のように、本実施形態のビデオカメラでは、第1の実施形態では空き領域となっていた領域をサムネイルデータバックアップファイルとして利用するため、データの保全性を高めることが可能になる。
【0061】
(本発明に係る他の実施形態)
前述した本発明の実施形態における記録装置を構成する各手段、並びに記録方法の各工程は、コンピュータのRAMやROMなどに記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。このプログラム及び前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は本発明に含まれる。
【0062】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、一つの機器からなる装置に適用してもよい。
【0063】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラム(実施形態では図6に示すフローチャートに対応したプログラム)を、システムまたは装置に直接、または遠隔から供給する場合も含む。そして、そのシステムまたは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0064】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
【0065】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0066】
プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどがある。さらに、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM、DVD−R)などもある。
【0067】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する方法がある。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記憶媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
【0068】
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザーに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0069】
また、その他の方法として、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記録媒体に格納してユーザーに配布し、所定の条件をクリアしたユーザーに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0070】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。さらに、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0071】
さらに、その他の方法として、まず記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。そして、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるビデオカメラの構成例を示すブロック図である。
【図2】サムネイルのインデックス表示画面の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるディスクの記録領域の構造例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるサムネイルデータファイルのUDF管理情報(File Entry)の一部を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるディスクの記録領域の構造例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における記録処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
100 ビデオカメラ
101 制御部
102 レンズ
103 撮像素子
104 信号処理部
105 H.264符号/復号化部
106 JPEG符号/復号化部
108 マイク
109 スピーカ
110 音声信号符号/復号化部
111 ディスク制御部
112 ディスク
113 フラッシュメモリ
114 メモリ
115 表示部
116 データバス
117 操作スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像データ及び前記動画像データの代表画像データをディスク状記録媒体に記録する記録手段と、
前記動画像データの記録に応じて前記動画像データの記録領域に隣接する領域に前記代表画像データを記録すると共に、前記ディスク状記録媒体に対する動画像データの記録を終了する所定の指示に応じて、前記ディスク状記録媒体における前記代表画像データが記録された領域とは異なる1つの連続領域に前記記録された代表画像データを記録するように前記記録手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記連続領域に前記代表画像データを記録した後、前記連続領域に記録する前に前記代表画像データが記録されていた領域から前記代表画像データを消去することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記ディスク状記録媒体の初期化を行う際に、前記1つの連続領域を予め確保するように初期化を行う初期化手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記初期化手段は、ファイルシステムとしてUDFを用い、前記1つの連続領域を、UDFのアロケーションディスクリプタの予約領域として予め確保することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
動画像データ及び前記動画像データの代表画像データをディスク状記録媒体に記録する記録工程と、
前記動画像データの記録に応じて前記動画像データの記録領域に隣接する領域に前記代表画像データを記録すると共に、前記ディスク状記録媒体に対する動画像データの記録を終了する所定の指示に応じて、前記ディスク状記録媒体における前記代表画像データが記録された領域とは異なる1つの連続領域に前記記録された代表画像データを記録するように前記記録工程における処理を制御する制御工程とを有することを特徴とする記録方法。
【請求項6】
前記制御工程においては、前記連続領域に前記代表画像データを記録した後、前記連続領域に記録する前に前記代表画像データが記録されていた領域から前記代表画像データを消去することを特徴とする請求項5に記載の記録方法。
【請求項7】
前記ディスク状記録媒体の初期化を行う際に、前記1つの連続領域を予め確保するように初期化を行う初期化工程を有することを特徴とする請求項5または6に記載の記録方法。
【請求項8】
前記初期化工程においては、ファイルシステムとしてUDFを用い、前記1つの連続領域を、UDFのアロケーションディスクリプタの予約領域として予め確保することを特徴とする請求項7に記載の記録方法。
【請求項9】
動画像データ及び前記動画像データの代表画像データをディスク状記録媒体に記録する記録工程と、
前記動画像データの記録に応じて前記動画像データの記録領域に隣接する領域に前記代表画像データを記録すると共に、前記ディスク状記録媒体に対する動画像データの記録を終了する所定の指示に応じて、前記ディスク状記録媒体における前記代表画像データが記録された領域とは異なる1つの連続領域に前記記録された代表画像データを記録するように前記記録工程における処理を制御する制御工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−110598(P2009−110598A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281907(P2007−281907)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】