記録装置
【課題】 本発明は、維持回復装置の動作を妨げずに簡便な構成で記録ヘッドのキャピング状態を最適な状態に設定できると共に、ノズル面に過大なストレスな与えることなく経時的にもノズル面のクリーニング性の劣化を招かない記録装置を提供する。
【解決手段】 本発明の記録装置は、圧電素子を圧力発生素子とする記録ヘッドのノズル面に形成されたノズルからインク滴を記録媒体に吐出する。そして、本発明の記録装置は、記録ヘッドのノズル面に当接して当該ノズル面を封止するキャップと、記録ヘッドのノズル面にキャップが当接しているときの当接圧力を圧電素子の容量変化として検出する検知手段とを有する。
【解決手段】 本発明の記録装置は、圧電素子を圧力発生素子とする記録ヘッドのノズル面に形成されたノズルからインク滴を記録媒体に吐出する。そして、本発明の記録装置は、記録ヘッドのノズル面に当接して当該ノズル面を封止するキャップと、記録ヘッドのノズル面にキャップが当接しているときの当接圧力を圧電素子の容量変化として検出する検知手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置に関し、詳細には記録ヘッドのノズル面のクリーニング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドからインク滴を吐出させる技術はプリンタ、カラーフィルタ製造装置、回路基板パターンの作成装置等様々な分野で利用されている。このような記録ヘッドを用いた記録装置では記録動作を行うために記録媒体に対して記録ヘッドをキャリッジに搭載して主走査方向に記録ヘッドを移動させ主走査方向に直交する副走査方向に記録媒体を搬送する手段を備えて記録動作を可能にするシリアルタイプのもの、記録媒体の幅と等しい幅で記録ヘッドを配置し記録媒体の搬送移動のみで記録動作を行うラインタイプのものがある。いずれのタイプもノズルからインク滴を吐出させることにより記録動作が実施される。
【0003】
このような記録装置においては、インクの吐出動作を安定させて良好な画像品位を得るためには、記録ヘッドのノズルの状態を適切にしておくことが重要である。ノズルの状態として好ましくない状態とは、ノズル近傍に固着インクやミスト、記録媒体の紙粉などの異物が付着した状態、また乾燥によるノズル内のインクの増粘、固着も好ましい状態ではない。これら好ましくない状態を回避するために一般的な記録装置では維持回復装置が装備される。この維持回復装置はノズル封止するキャップをノズル面に当接する、すなわちキャッピング状態をつくりだす昇降装置、またノズル面をふき取るワイパ、ノズル面からインクを吸引するポンプなどにより構成され異物を除去するクリーニング動作、そして記録動作をしないアイドリング状態でのノズルの保湿キャピング動作を実施する。クリーニング動作はヘッドノズル面をキャップによってキャピングして連通したポンプによりノズルからインクを吸引した後、キャピング状態を解除してワイパによってノズル面に付着したインクや異物をワイピングして完了する。また、保湿キャピング動作は昇降装置によりキャップをノズル面に当接させて実施される。ここで、ノズルとキャップのキャピング状態は維持回復機能にとって非常に重要な特性である。当接状態とはノズルとキャップの相対的な位置関係と、キャップとノズルの当接圧力によって決定される。
【0004】
シリアルプリンタの例でノズルとキャップのキャピング動作を説明する。キャリッジは記録動作の開始時にキャリッジを走査方向の基準位置に突き当て、突き当たった位置を基準として決められた維持回復装置のキャップ位置を知ることができる。キャリッジに搭載されたヘッドは、基準位置から所定量の移動をすることによりキャピング可能な位置へと移動することができる。ヘッドがキャッピング位置にある状態でキャップが昇降装置により上昇しばね等の付勢力によって当接状態がつくりだされることになる。しかし、このような記録装置ではキャピング時に衝撃等の外力や振動が加えられた場合の位置ずれを抑えることはできない。また、部品自体のばらつきや経時的なばねの劣化による当接圧力の減少も回避することはできない。そこで、特許文献1には、記録ヘッドのノズルに圧力センサを設けてキャップとの当接圧力を所定値にしてキャピング状態を監視することが提案されている。
【0005】
ところで、記録ヘッドはインク滴を吐出させるとき記録の主となる主滴の他にインクのミストが発生する。ミストは吐出滴の主となる主滴に付随して発生し、記録媒体に着弾しないで装置内のさまざまな場所に付着する。なかでもノズル面への付着は付着直後からの時間の経過に伴い増粘が始まり、ノズル目詰まりなど不良の原因になりやすい。このような不具合を解消するために、特許文献2には、不良回避のためにゴムなどの弾性部材のワイパでノズル面を一定期間ごとに払拭するワイピング動作を実施することが提案されている。ワイピング動作によるノズル面のクリーニング性能を決めているのはノズルにワイパが当接したときの当接圧力とノズル面とワイパの相対速度である。ワイピング動作をシリアルタイプの記録装置の場合で説明する。ワイパは記録動作中ノズル面に干渉しないようにヘッドノズル面に対する突き出しが抑えられている。このワイパは、ワイピング実施時には突き出してくるような可動構造をもつ維持回復機構に配置されている。ワイパが突き出しているときにキャリッジがワイパ上を走査移動することによりワイピング動作が実施される。ここで、記録ヘッドに対するワイパの突き出し量は適正に所望な値に制御される必要がある。しかし、可動部品であることから精度をよくするには非常にコストがかかる。
【0006】
また、精度よくできたとしても記録装置の稼動が進めば経時的なワイパの磨耗劣化が避けられず突き出し量に誤差が生じてしまい、記録ヘッドノズル面に対する当接圧力も適正値から誤差を生じる。また、このような誤差を生じた場合にワイパの当接圧力が適正なものなのかを装置上で判断することはできない。上記誤差を考慮して予め突き出し量を多めに設定しておくことも考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に示される方法ではヘッドノズル先端部にセンサを配置することからクリーニング動作を阻害してしまうという課題がある。また、圧力センサを備えることから装置のコストアップを免れない。
【0008】
更に、上記特許文献2の方法では、突き出し量を多めに設定した場合には初期的には当接圧力としては必要以上の過大な値となり耐久性を短くしてしまう。ノズル面のクリーニング性は保たれるがノズル面には過大なストレスがかかってしまうということである。ノズル面はインクの固着を防ぐこと、クリーニング性をよくすることを目的に撥水膜が処理形成されている。この撥水膜に対して過大なストレスがかかることになり撥水膜の磨耗が進んでしまう。結果として記録装置全体の耐久性は低いものとなってしまう。また、ワイピング速度に関しても同様のことが言える。
【0009】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、維持回復装置の動作を妨げずに簡便な構成で記録ヘッドのキャピング状態を最適な状態に設定できると共に、ノズル面に過大なストレスな与えることなく経時的にもノズル面のクリーニング性の劣化を招かない記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記問題点を解決するために、本発明の記録装置は、圧電素子を圧力発生素子とする記録ヘッドのノズル面に形成されたノズルからインク滴を記録媒体に吐出する。そして、本発明の記録装置は、記録ヘッドのノズル面に当接して当該ノズル面を封止するキャップと、記録ヘッドのノズル面にキャップが当接しているときの当接圧力を圧電素子の容量変化として検出する検知手段とを有することに特徴がある。よって、キャップの記録ヘッドの当接状況を知ることが可能になり、当接状況を知るセンサとしてインク滴を吐出させる圧力発生素子を用いることからワイピングの動作を阻害することもなく、また新たな部品を増やすことがなく装置のコストアップを招くことを回避できる。
【0011】
また、検知手段の検知出力に基づいて記録ヘッドのノズル面にキャップが当接しているときの当接圧力を調節する当接圧力調節手段を有することにより、簡単な装置構成で当接圧力を所望の値に管理することが容易に実現できる。
【0012】
更に、検出手段は、複数の圧電素子のそれぞれの容量変化を検出して記録ヘッドのノズル面にキャップが当接しているときの複数箇所の当接圧力を検出し、各当接圧力の差分が所定範囲を超えたときは正常なキャッピング動作が行われていないと判断し、キャッピング動作を再度行う。よって、振動や衝撃などの偶発的な外力によってキャピング動作に失敗していることを簡単に検知できて片当たりなどの回避をすることが可能となり、リカバリー動作を適切に行うことが可能になって装置の信頼性が向上する。
【0013】
また、検出手段は、複数の圧電素子のそれぞれの容量変化を検出して記録ヘッドのノズル面にキャップが当接しているときの複数箇所の当接圧力を検出し、いずれかの当接圧力が所定値を超えたときは記録ヘッドのノズル面に異物があってキャップのニップ部が当該異物に接触していると判断し、キャッピング動作を解除して所定のメンテナンス動作を行う。よって、記録ヘッドのキャップ当接位置の異物が当接状態の検知出力として現れ、当該検知出力に応じてクリーニングなどの所定のメンテナンス動作を実施して適切な処置が可能となる。
【0014】
更に、本発明の記録装置は、記録ヘッドに対して相対的に移動してノズル面に当接して当該ノズル面をワイピングするワイパと、記録ヘッドのノズル面にワイパが当接しているときの当接圧力を圧電素子の容量変化として検出する検知手段とを有することに特徴がある。よって、記録装置のワイピングにおけるワイパの当接圧力が適正か否かを簡便な方法で判断することができる。
【0015】
また、検知手段の検知出力に基づいてワイパがワイピング動作するときの走査軌道上への突き出し量が調節する突き出し量調整手段を有することにより、簡単な装置構成でワイパの突き出し量を所望の値に管理することが容易に実現できる。
【0016】
更に、突き出し量調整手段は、ワイパがノズル面をワイピング動作するとき、ワイピング開始からワイピング完了までの圧電素子の容量変化をサンプリングして検知出力に応じてノズル面のワイピング時のワイパの突き出し量を時間的に変化させる。よって、ワイピング時のワイパとノズル面の間の距離が変動している場合でもより最適なワイピングの制御が特に装置コストの増大を招くことなく簡便な方法で可能となる。
【0017】
また、検知手段の検知出力に基づいて記録ヘッドに対するワイピング時の走査軌道上での相対速度を調整する速度調節手段を有することにより、簡単な装置構成でワイピング時の走査軌道上での相対速度を所望の値に管理することが容易に実現できる。
【0018】
更に、速度調節手段は、ワイパがノズル面をワイピング動作するとき、ワイピング開始からワイピング完了までの圧電素子の容量変化をサンプリングして検知出力に応じてノズル面のワイピング時のキャリッジ速度を時間的に変化させる。よって、ワイピング時のワイパとノズル面の間の距離が変動している場合でもより最適なワイピングの制御が特に装置コストの増大を招くことなく簡便な方法で可能となる。
【0019】
また、検出手段は、複数の圧電素子のそれぞれの容量変化を検出してワイパがノズル面をワイピング動作するときの複数箇所の当接圧力を検出し、各当接圧力の差分が所定範囲を超えたときは正常なワイピング動作が行われていないと判断し、ワイピング動作を再度行う。よって、振動や衝撃などの偶発的な外力によって片当たりなどにより正常なワイピング動作が行われていないことを簡単に検知でき、ワイピング動作を再度行うことが可能になって装置の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の記録装置によれば、キャップの記録ヘッドの当接状況を知ることが可能になる。また、当接状況を知るセンサとしてインク滴を吐出させる圧力発生素子を用いることからワイピングの動作を阻害することもなく、また装置のコストアップも起きない。また、記録装置のワイピングにおけるワイパの当接圧力が適正か否かを簡便な方法で判断することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の記録装置を前方から見た斜視図である。
【図2】本発明の記録装置の機構部の概要を示す側面図である。
【図3】本発明の記録装置の機構部の要部を示す平面図である。
【図4】本発明に係る維持回復装置の要部構成を示す平面図である。
【図5】本発明の維持回復装置の機構構成を示す概略側面図である。
【図6】図4の右側面図である。
【図7】キャップ保持昇降機構部の構成を示す側面図である。
【図8】キャップ保持昇降機構部の構成を示す正面図である。
【図9】記録装置における記録ヘッドを構成する液滴吐出ヘッドの構成を示す断面図である。
【図10】本発明の記録装置の記録ヘッドのノズル面にキャップが当接している状態を示す概略断面図である。
【図11】キャップ部材の記録ヘッドのノズル面に対する当接圧力と各圧電素子で検出される容量値の関係を示す特性図である。
【図12】記録ヘッドの圧電素子と駆動ICの回路と容量検出回路の回路構成を示す回路図である。
【図13】特定の1chの圧電素子と検知用の抵抗が通電するように制御されている状態での各部の出力を示す波形図である。
【図14】一方の圧電素子側の当接圧力が不足してしまう状態で傾いてキャッピングされた状態を示す概略断面図である。
【図15】記録ヘッドのノズル面にキャップ部材が当接する際のニップ部に異物が付着している様子を示す概略断面図である。
【図16】異物が記録ヘッドのノズル面にあるときの各圧電素子における感知出力の様子を示す特性図である。
【図17】記録ヘッドの圧電素子と駆動ICの回路と容量検出回路の別の回路構成を示す回路図である。
【図18】記録ヘッドのノズル面にワイパが当接している状態を示す概略断面図である。
【図19】ワイパが図18のA〜C点上にあるときの当接圧力と圧電素子の当接圧力が0のときの容量値を1としたときの規格化された容量値を示す特性図である。
【図20】好適な条件としてのワイパと当接圧力の関係を示す特性図である。
【図21】ワイピング動作前の記録ヘッドの圧電素子1列の各ch容量値を1としたとき、ワイパの突き出し量が上限値(2.0mm)、下限値(1.0mm)での相対的な容量値の関係、当接圧力の適正範囲及び最適速度と当接圧力の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の記録装置を前方から見た斜視図である。同図に示す本発明の記録装置100は、装置本体101と、装置本体101に装着された用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103とを備えている。また、装置本体101の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体101の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部104を有し、このカートリッジ装填部104の上面には操作ボタンや表示器などの操作/表示部105が設けられている。
【0023】
このカートリッジ装填部104には、色の異なる色材である記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液収容手段としての記録液カートリッジであるインクカートリッジ110k、110c、110m、110y(色を区別しないときは「インクカートリッジ110」という。)を、装置本体101の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部104の前面側には、インクカートリッジ110を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)106が開閉可能に設けられている。また、インクカートリッジ110k、110c、110m、110yは縦置き状態で横方向に並べて装填する構成となっている。
【0024】
また、操作/表示部105には、各色のインクカートリッジ110k、110c、110m、110yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ110k、110c、110m、110yの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色の残量表示部111k、111c、111m、111yを配置している。更に、この操作/表示部105には、電源ボタン112、用紙送り/印刷再開ボタン113、キャンセルボタン114も配置されている。
【0025】
次に、本発明の記録装置の機構部について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2は同機構部の概要を示す側面図、図3は同じく要部平面図である。
【0026】
本発明の記録装置の機構部において、フレーム121を構成する左右の側板121A、121Bに横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とでキャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図3で矢示方向(キャリッジ走査方向:主走査方向)に移動走査する。
【0027】
このキャリッジ133には、前述したようにイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0028】
記録ヘッド134を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0029】
この記録ヘッド134にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル)122を介して接続している。また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のヘッドタンク135を搭載している。この各色のヘッドタンク135には各色のインク供給チューブ136を介して、前述したように、カートリッジ装填部104に装着された各色のインクカートリッジ110から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填104にはインクカートリッジ110内のインクを送液するための供給ポンプユニット124が設けられ、またインク供給チューブ136は這い回しの途中でフレーム121を構成する後板121Cに係止部材125にて保持されている。
【0030】
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)143及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
【0031】
そして、この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側に送り込むために、用紙142を案内するガイド部材145と、カウンタローラ146と、搬送ガイド部材147と、先端加圧コロ149を有する押さえ部材148とを備えるとともに、給送された用紙142を静電吸着して記録ヘッド134に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト151を備えている。
【0032】
この搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ152とテンションローラ153との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト151の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156を備えている。この帯電ローラ156は、搬送ベルト151の表層に接触し、搬送ベルト151の回動に従動して回転するように配置されている。更に、搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材157が配置されている。
【0033】
この搬送ベルト151は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ152が回転駆動されることによって図3のベルト搬送方向に周回移動する。
【0034】
更に、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪161と、排紙ローラ162及び排紙コロ163とを備え、排紙ローラ162の下方に排紙トレイ103を備えている。
【0035】
また、装置本体101の背面部には両面ユニット171が着脱自在に装着されている。この両面ユニット171は搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ146と搬送ベルト151との間に給紙する。また、この両面ユニット171の上面は手差しトレイ172としている。
【0036】
更に、図3に示すように、キャリッジ133の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド134のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構181を配置している。
【0037】
この維持回復機構181には、記録ヘッド134の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)182a〜182d(区別しないときは「キャップ182」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード183と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け184などを備えている。ここでは、キャップ182aを吸引及び保湿用キャップとし、他のキャップ182b〜182dは保湿用キャップとしている。
【0038】
そして、この維持回復機構181による維持回復動作で生じる記録液の廃液、キャップ182に排出されたインク、あるいはワイパーブレード183に付着してワイパークリーナ185で除去されたインク、空吐出受け194に空吐出されたインクは図示しない廃液タンクに排出されて収容される。
【0039】
また、図3に示すように、キャリッジ133の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け188を配置し、この空吐出受け188には記録ヘッド134のノズル列方向に沿った開口189などを備えている。
【0040】
このように構成した本発明の記録装置においては、給紙トレイ102から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142はガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ146との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド137で案内されて先端加圧コロ149で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0041】
このとき、図示しない制御回路のACバイアス供給部から帯電ローラ156に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト151が交番する帯電電圧パターン、すなわち周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト151上に用紙142が給送されると、用紙142が搬送ベルト151に吸着され、搬送ベルト151の周回移動によって用紙142が副走査方向に搬送される。
【0042】
そこで、リニアエンコーダ137による主走査位置情報に基づいてキャリッジ133を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
【0043】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ133は維持回復機構181側に移動されて、キャップ182で記録ヘッド134がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ182で記録ヘッド134をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド134の安定した吐出性能を維持する。
【0044】
ここで、本発明に係る維持回復装置の構成の概要について図4〜図6を参照して説明する。なお、図4は本発明の維持回復装置の要部構成を示す平面図、図5は本発明の維持回復装置の機構構成を示す概略側面図、図6は図4の右側面図である。
【0045】
本発明の維持回復装置250におけるフレーム259には、キャップ保持機構である2つのキャップホルダ260a、260b(区別しないときはキャップホルダ260と称す)と、清浄化手段としての弾性体を含むワイピング部材であるワイパーブレード252と、キャリッジロック261とがそれぞれ昇降可能(上下動可能)に保持されている。また、ワイパーブレード252とキャップホルダ260aとの間には空吐出受け253が配置され、ワイパーブレード252のクリーニングを行うために、フレーム258の外側からワイパーブレード252を空吐出受け253の清掃部材であるワイパークリーナ254側に押し付けるための清掃部材であるクリーナコロ256を含むクリーナ手段であるワイパークリーナ255が揺動可能に保持されている。また、キャップホルダ260a、260bには、それぞれ、2つの記録ヘッド134のノズル面をそれぞれキャッピングする2つのキャップ部材251aと251b、キャップ部材251cと251dを保持している。
【0046】
ここで、印字領域に最も近い側のキャップホルダ260aに保持したキャップ部材251aには可撓性チューブ262を介して吸引手段であるチュービングポンプ(吸引ポンプ)263を接続し、その他のキャップ部材251b、251c、251dはチュービングポンプ263を接続していない。すなわち、キャップ部材251aのみを吸引(回復)及び保湿用キャップとし、その他のキャップ部材251b、251c、251dはいずれも単なる保湿用キャップとしている。したがって、記録ヘッド134の回復動作を行うときには、回復動作を行う記録ヘッド134をキャップ部材251aによってキャッピング可能な位置に選択的に移動させる。
【0047】
また、これらのキャップホルダ260a、260bの下方にはフレーム259に回転自在に支持したカム軸264を配置し、このカム軸264にはキャップホルダ260a、260bを昇降させるためのキャップカム265a、265bと、ワイパーブレード252を昇降させるためのワイパーカム266、キャリッジロック261をキャリッジロックアーム267を介して昇降させるためのキャリッジロックカム268と、空吐出受け253内で空吐出される液滴がかかる空吐出着弾部材である回転体としてのコロ269と、ワイパークリーナ255を揺動させるためのクリーナカム270をそれぞれ設けている。
【0048】
ここで、キャップ部材251はキャップカム265a、265bにより昇降させられる。ワイパーブレード252はワイパーカム266により昇降させられ、下降時にワイパークリーナ255が進出して、このワイパークリーナ255のクリーナコロ256と空吐出受け253のワイパークリーナ255とに挟まれながら下降することで、ワイパーブレード252に付着したインクが空吐出受け253内に掻き落とされる。また、キャリッジロック261は図示しない圧縮バネによって上方(ロック方向)に付勢されて、キャリッジロックカム268で駆動されるキャリッジロックアーム267を介して昇降させられる。
【0049】
そして、チュービングポンプ263及びカム軸264を回転駆動するために、モータ271の回転をモータ軸271aに設けたモータギヤ272に、チュービングポンプ263のポンプ軸263aに設けたポンプギヤ273を噛み合わせ、更にこのポンプギヤ273と一体の中間ギヤ274に中間ギヤ275を介して一方向クラッチ276付きの中間ギヤ277を噛み合わせ、この中間ギヤ277と同軸の中間ギヤ278に中間ギヤ279を介してカム軸264に固定したカムギヤ280を噛み合わせている。なお、クラッチ276付きの中間ギヤ277、278の回転軸である中間軸281はフレーム259にて回転可能に保持している。
【0050】
また、カム軸264にはホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ用カム282を設け、この維持回復装置250に設けた図示しないホームポジションセンサにてキャップ部材251が最下端に来たときにホームポジションレバー(不図示)を作動させ、センサが開状態になってモータ271(チュービングポンプ263以外)のホームポジションを検知する。なお、電源オン時には、キャップ部材251(キャップホルダ260)の位置に関係なく上下(昇降)し、移動開始までは位置検出を行わず、キャップ部材251のホーム位置(上昇途中)を検知した後に、定められた量を移動して最下端へ移動する。その後、キャリッジが左右に移動して位置検知後キャップ位置に戻り、記録ヘッド134がキャッピングされる。以上各部の昇降動作について説明したが駆動源であるモータ271の回転を制御することによりそれぞれの部品における昇降位置(高さ)が制御される。
【0051】
次に、キャップの保持機構及び昇降機構の詳細について、図5、キャップ保持昇降機構部の側面図の図7及び正面図の図8を用いて説明する。
キャップ保持機構の構成部材の一つであるキャップホルダ260aは、キャップ251a、キャップ251b(これらを併せてキャップ251Aと称す)を昇降可能に保持するホルダ284と、ホルダ284の底面とキャップ251Aの底部との間に介装されてキャップ251Aを上方に付勢するスプリング285と、ホルダ284を前後方向(記録ヘッド134のノズルの並び方向)に移動可能に保持するスライダ286とを有している。キャップ251Aは両端部に設けたガイドピン283aをホルダ284の図示しないガイド溝に上下動可能に、底面に設けたガイド軸283bをホルダ284に上下動可能に挿通して、ホルダ284に対して上下動可能に装着している。キャップ251Aとホルダ284との間に介装したスプリング285はキャップ251a、251bを上方向(キャッピング時にノズル面側に押圧する方向)に付勢している。スライダ286は、前後端に設けたガイドピン287、288をフレーム259に形成したガイド溝289に摺動可能に嵌め合わせることで、スライダ286及びホルダ284並びにキャップ251A全体が上下動できる構成としている。
【0052】
そして、スライダ286の下面に設けたカムピン290をキャップカム265aの図示しないカム溝に嵌め合わせて、モータ271の回転が伝達されるカム軸264の回転に同動するキャップカム265aの回転によってスライダ286、ホルダ284及びキャップ251Aが上下動するようにしている。
【0053】
更に、吸引用のキャップ251aにはスライダ286及びホルダ284を挿通して、キャップ251aの短手方向に対してキャップ中央位置の下方からチューブ262を這い回して接続している。
【0054】
なお、キャップ251c、251d(これらを併せてキャップ251Bと称す)を保持するキャップホルダ260b及びこれを上下動させる構成も上記と同様であるので説明を省略する。ただし、キャップ251c、251dにはチューブ262は接続されていない。
【0055】
このように、1つの駆動源であるモータ271を駆動することによって1つの軸であるカム軸264が回転し、このカム軸264の回転によってカム軸264に固定したカム265a、265bが回転して、キャップ251A及びキャップ251Bが上下動する構成としている。
【0056】
次に、この記録装置における記録ヘッドを構成する液滴吐出ヘッドの一例について図9を参照して説明する。なお、同図の(a)は本発明の記録装置における記録ヘッドを構成する液滴吐出ヘッドの液室長手方向に沿う断面図、同図の(b)は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面図である。この液滴吐出ヘッド200は、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板201と、この流路板201の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板202と、流路板201の上面に接合したノズル板203とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル204が連通する流路であるノズル連通路205及び液室206、液室206にインクを供給するための共通液室207に連通するインク供給口208などを形成している。また、振動板202を変形させて液室206内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列(図9の(b)では1列のみ図示)の積層型の圧電素子209と、この圧電素子209を接合固定するベース基板210とを備えている。
【0057】
ここで、1列には192chの駆動される圧電素子があり記録ヘッド1個では384chとなる。更に、1列のノズルにおける並び方向はキャリッジの移動種走査方向に対して垂直な方向である。なお、圧電素子209の間には支柱部211を設けている。この支柱部211は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子209と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
【0058】
また、圧電素子209には図示しない駆動回路(駆動IC)を搭載したFPCケーブル212を接続している。駆動ICには後述する容量検出回路が含まれる。そして振動板202の周縁部をフレーム部材213に接合し、このフレーム部材213には、圧電素子209及びベース基板210などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部214及び共通液室207となる凹部、この共通液室207に外部からインクを供給するためのインク供給穴215を形成している。このフレーム部材213は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
【0059】
ここで、流路板201は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路205、液室206となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。振動板202は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板202に圧電素子209及び支柱部211を接着剤接合し、更にフレーム部材213を接着剤接合している。ノズル板203は各液室206に対応して直径10〜30μmのノズル204を形成し、流路板201に接着剤接合している。このノズル板203は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。なお、このノズル板203の表面が前述したノズル面となる。圧電素子209は、圧電材料216と内部電極217とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電素子209の交互に異なる端面に引き出された各内部電極217には個別電極218及び共通電極219が接続されている。なお、この実施形態では、圧電素子209の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室206内インクを加圧する構成としているが、圧電素子209の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室206内インクを加圧する構成とすることもできる。
【0060】
また、1つの基板210に1列の圧電素子209が設けられる構造とすることもできる。このように構成した液滴吐出ヘッドヘッドにおいては、例えば圧電素子209に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子209が収縮し、振動板202が下降して液室206の容積が膨張することで、液室206内にインクが流入し、その後圧電素子209に印加する電圧を上げて圧電素子209を積層方向に伸長させ、振動板202をノズル204方向に変形させて液室206の容積/体積を収縮させることにより、液室206内の記録液が加圧され、ノズル204から記録液の滴が吐出(噴射)される。そして、圧電素子209に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板202が初期位置に復元し、液室206が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室208から液室206内に記録液が充填される。
【0061】
そこで、ノズル204のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
【0062】
次に、本発明の記録装置の記録ヘッドのキャッピングの当接状態の検知について図10〜図12を用いて説明する。図10は記録ヘッドのノズル面にキャップが当接している状態を示す概略断面図である。図10は実際の記録ヘッドがキャリッジに搭載された向きと上下が逆転した向きに描かれている。液滴吐出ヘッド200内の圧電素子は2列あり一方を209a、他方を209bとしている。
【0063】
記録ヘッド200に対するキャップ部材251はノズル面とキャップの周辺のニップ部の平行状態が適切である。図10は適切な状態を示している。先ず、図10のキャップ部材251がノズル板203に当接すると、この当接圧力は、ノズル板203、流路板201、振動板202、圧電素子209へと順に伝わることになる。伝わった圧力によって各圧電素子209は容量値が変化する。
【0064】
図11はキャップ部材の記録ヘッドのノズル面に対する当接圧力と各圧電素子で検出される容量値の関係を示す特性図である。容量値は当接圧力が0(キャップがノズル面に当接していないとき)のときの容量値を1としたときの規格化された容量値を示すものである。同図からわかるように、初期値からの容量変化がわかれば、そのノズル近傍にあるキャップの当接圧力を知ることが可能となる。
【0065】
図12は記録ヘッドの圧電素子と駆動ICの回路と容量検出回路の回路構成を示す回路図である。圧電素子は容量成分として表される。各chの圧電素子209には駆動ICに集積化されたアナログスイッチ301、302が接続されており、アナログスイッチ301が吐出動作をするときにONするアナログスイッチであり抵抗値は駆動波形が劣化しない程度の値となり、ここではON時の抵抗がRond=300Ωである。アナログスイッチ302は容量検出のためのもので容量検出時のみONするものでここではON時の抵抗がRone=1kΩである。いずれのスイッチも図示しない記録装置本体側のコントローラからの出力により駆動ICの制御回路300を介してその開閉動作が制御される。抵抗303(Re)は容量検出のための抵抗であり、抵抗303(Re)の一端子が駆動波形生成回路出力304と抵抗305(Reh)の一端子とアナログスイッチ301の共通入力側に接続されて、そして抵抗303(Re)の他端子がアナログスイッチ302の共通入力側に接続されており、抵抗値は10kΩである。抵抗305(Reh)、306(Rem)、307(Rel)はそれぞれ駆動波形生成出力電圧を分圧するものでその値の比率はReh:Rem:Rel=2:8:1である。また、個々の値は抵抗(Re)303をアナログスイッチ302がONした時に影響がでない程度の値に大きくしてある。ここではReh=200kΩ、Rem=800kΩ、Rel=100kΩである。これらの抵抗によって駆動波形生成出力電圧は分圧されてコンパレータ308、309へと入力され、検知用の抵抗303と検知を行っている圧電素子209で構成されるCR回路の入力駆動波形出力応答と比較される。コンパレータ308は早い立ち上がり波形が駆動波形生成回路304から出力されたときの振幅の10%に達しているかどうか、コンパレータ309は同様に90%の値を検出しているかどうかを検出する。論理素子310は両コンパレータ出力の論理演算を実施する。
【0066】
ここで、容量検知を実施するとき、すなわち当接圧力を検知する動作について図13を用いて説明する。図13は特定の1chの圧電素子と検知用の抵抗が通電するように制御されている状態での各部の出力である。同図におけるVCOMは図12の駆動波形生成回路304の出力、Veは検知用抵抗の圧電素子側の電圧、Vepは論理素子310の出力である。先ず、駆動波形生成回路304は、立ち上がりが1usec以内の早い信号を出力する。このとき検知用の抵抗303の圧電素子209側の電圧波形はCR回路の応答を示す。論理素子310の出力VepはVe波形の立ち上がりの10%−90%時間Teの幅を持ったパルスとなる。このパルスを本体コントローラ側で受信してパルス幅を計測するここではTe[sec]である。ここで時定数(Rone+Re)・Cとパルス幅Teには下記の式の関係があることから、Cの値をコントローラ側で求めることが可能となる。Cの値を当接圧力がある場合とない場合で知ることができれば当接圧力を検知することが可能となる。
【0067】
Te≒2.2×(Rone+Re)・C
【0068】
ここで、本発明の記録装置におけるキャッピング動作の原理について説明すると、圧電素子209の変位方向と当接圧力の方向は略平行となることから当接圧力が高くなるほど容量値は増大する。ここで1ch当りの圧電素子209の容量は1n[F]としている。キャピングの当接圧力として適正であるときは、本発明の記録装置では1.0[N]以上としてある。本発明の記録装置では1つの記録ヘッド内で検出された384chの容量値の最低値が1.0[N]以上であれば適切なキャッピングが行われている記録ヘッドと判断される。
【0069】
次に、キャピング動作について説明すると、キャリッジは所定の移動により決められたキャッピング位置に移動する。続いて維持回復装置はキャップ部材251の昇降動作を開始する。同時に圧電素子209の容量検知を行いながら昇降動作を行う。検知は全てのchに対して行いその最低検知出力が1.0[N]に相当する容量となった時点で昇降動作を停止しキャッピング動作が完了する。なお、キャッピング動作における容量の検知の実施において、chは全てのchに対して行わずに端と中央部のみで検知を実施すること、1chおきに検知することというように特定chでの検知も考えられる。特定chのみの検知動作とすることで検知時間は短縮されることになる。
【0070】
次に、キャピング動作中に振動や外力等によってキャップ部材の付勢状態が変わってしまい適切なキャッピング状態ができていない場合について説明する。図14は一方の圧電素子側の当接圧力が不足してしまう状態で傾いてキャッピングされた状態を示している。同図において、図10と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。このようなキャッピング状態はキャップ内の空気が外部と連通しており、ノズル面の乾燥を招いてしまう可能性があり適切なキャッピングではない。図14の状態では圧電素子209aは図11におけるA点の検知出力、圧電素子209bは図11におけるB点の検知出力となる。記録装置はこのような状態を検知した場合にキャッピング動作のやりなおしを実施するように制御する。また、キャッピング中の圧電素子209a列及び圧電素子209b列の検知出力の差を監視しておき各出力が適正範囲内にあってもなくても差が一定値以上で検出されたときにキャッピング動作を再実行するようにしてもよい。
【0071】
次に、記録ヘッドのノズル面にキャップ部材が当接する際のニップ部に異物が付着している場合における動作について図15〜図17を用いて説明する。図15において異物401があると該当部位の当接圧力は高くなる。図16はこのときの各圧電素子における感知出力の様子を示す特性図である。図16において最低値と最高値の差δとして異物が観測される。ここで記録装置側がこの状態を検知した場合には記録ヘッドのノズル面のメンテナンスを発動しクリーニングを実施する。クリーニング動作が実施され異物が除去されれば適切なキャッピング動作が可能になる。なお、上記実施の形態では図10における液滴吐出に関わる圧電素子209を利用して圧力を検知しているが、支柱部211を利用して検知することも考えられる。支柱部を利用する場合にはFPCケーブル212によって駆動部の圧電素子209と支柱部211の圧電素子311の各々に配線を行う。このとき駆動ICと容量検出回路は図17のようになる。容量検知の回路動作は図12の動作と同じである。このような構成では吐出しながらの検知等も可能である。
【0072】
次に、本発明の記録装置における記録ヘッドのワイパ当接時の当接圧力検知について図18〜図20を用いて説明する。図18は記録ヘッドのノズル面にワイパが当接している状態を示す概略断面図である。図18では実際の記録ヘッドがキャリッジに搭載された向きと上下が逆転した向きに描かれている。また、ワイパが記録ヘッド上を移動しているが実際は突き出したワイパ上をキャリッジが移動している。図18において、記録ヘッドに対するワイパ252はノズル列に垂直な方向でワイピングが実施されることになる。先ず、ワイパ252がノズル板203の表面に当接すると当接圧力はノズル板203、流路板201、振動板202、圧電素子209へと伝わることになる。伝わった圧力によって圧電素子209は容量値が変化する。
【0073】
図19はワイパが図18のA〜C点上にあるときの当接圧力と圧電素子の当接圧力が0のときの容量値を1としたときの規格化された容量値を示す特性図である。図19からもわかるように初期値からの容量変化がわかれば、そのchの当接圧力を知ることが可能となる。圧電素子209の変位方向と当接圧力の方向は略平行となることから当接圧力が高くなるほど容量値は増大する。ここで1ch当りの圧電素子209の容量は1nFとしている。当接圧力は適正とみなされる範囲を持ち本記録装置では1.0〜1.5[N]が適正範囲である。図18のA〜C点ごとに当接圧力に対する容量変化が異なるのは圧電素子の長手方向中央部ほど圧力の伝わりがよく、記録ヘッドの中央部と端部では端部の方、つまり図18のC点は剛性が高く、中央部に比較してやや圧力の伝わり方が高いためである。ここでワイピング全体としての性能は当接圧力の他にワイピング速度がある。本発明の記録装置では上記適正な当接圧力のもとでワイパ252と記録ヘッドの相対速度が95mm/sec〜105mm/secの範囲で適正なものとなる。更により好適な条件としては図20に示す直線上のポイントとなる。
【0074】
ここで、本発明の記録装置のワイピング動作の最適化について図18を用いて説明する。図21はワイピング動作前の記録ヘッドの圧電素子1列の各ch容量値を1としたとき、ワイパの突き出し量が上限値(2.0mm)、下限値(1.0mm)での相対的な容量値の関係及び図19における当接圧力の適正範囲及び図20の最適速度と当接圧力の関係を図示したものである。記録装置の設定がこのような場合には設定を上限の2mmに持っていけば適正なワイピングを実施できることになる。更に、記録ヘッドの平均の容量値を採用して突き出し量設定2mmにおけるワイピングの相対速度を図20のように最適条件の直線から決定することができる。ここで突き出し量が一定でもノズル板の表面の各ABC点で当接圧力が異なる場合には各点ごとに速度を変更して最適条件を得ても良いし、速度を一定のまま突き出し量を順次変化させて最適条件を得ても良い。さらに突き出し量と相対速度の両方を同時に変更して最適条件を得ることも考えられる。これら最適条件の設定は記録装置において定期的に実施されることが好ましい。定期的な条件設定により記録装置としての耐久性が向上する。
【0075】
なお、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換、応用が可能である。
【符号の説明】
【0076】
100;記録装置、209;圧電素子、250;維持回復装置、
251;キャップ部材、252;ワイパ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】実用新案登録第2,514,548号公報
【特許文献2】特開2006−224331号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置に関し、詳細には記録ヘッドのノズル面のクリーニング技術に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドからインク滴を吐出させる技術はプリンタ、カラーフィルタ製造装置、回路基板パターンの作成装置等様々な分野で利用されている。このような記録ヘッドを用いた記録装置では記録動作を行うために記録媒体に対して記録ヘッドをキャリッジに搭載して主走査方向に記録ヘッドを移動させ主走査方向に直交する副走査方向に記録媒体を搬送する手段を備えて記録動作を可能にするシリアルタイプのもの、記録媒体の幅と等しい幅で記録ヘッドを配置し記録媒体の搬送移動のみで記録動作を行うラインタイプのものがある。いずれのタイプもノズルからインク滴を吐出させることにより記録動作が実施される。
【0003】
このような記録装置においては、インクの吐出動作を安定させて良好な画像品位を得るためには、記録ヘッドのノズルの状態を適切にしておくことが重要である。ノズルの状態として好ましくない状態とは、ノズル近傍に固着インクやミスト、記録媒体の紙粉などの異物が付着した状態、また乾燥によるノズル内のインクの増粘、固着も好ましい状態ではない。これら好ましくない状態を回避するために一般的な記録装置では維持回復装置が装備される。この維持回復装置はノズル封止するキャップをノズル面に当接する、すなわちキャッピング状態をつくりだす昇降装置、またノズル面をふき取るワイパ、ノズル面からインクを吸引するポンプなどにより構成され異物を除去するクリーニング動作、そして記録動作をしないアイドリング状態でのノズルの保湿キャピング動作を実施する。クリーニング動作はヘッドノズル面をキャップによってキャピングして連通したポンプによりノズルからインクを吸引した後、キャピング状態を解除してワイパによってノズル面に付着したインクや異物をワイピングして完了する。また、保湿キャピング動作は昇降装置によりキャップをノズル面に当接させて実施される。ここで、ノズルとキャップのキャピング状態は維持回復機能にとって非常に重要な特性である。当接状態とはノズルとキャップの相対的な位置関係と、キャップとノズルの当接圧力によって決定される。
【0004】
シリアルプリンタの例でノズルとキャップのキャピング動作を説明する。キャリッジは記録動作の開始時にキャリッジを走査方向の基準位置に突き当て、突き当たった位置を基準として決められた維持回復装置のキャップ位置を知ることができる。キャリッジに搭載されたヘッドは、基準位置から所定量の移動をすることによりキャピング可能な位置へと移動することができる。ヘッドがキャッピング位置にある状態でキャップが昇降装置により上昇しばね等の付勢力によって当接状態がつくりだされることになる。しかし、このような記録装置ではキャピング時に衝撃等の外力や振動が加えられた場合の位置ずれを抑えることはできない。また、部品自体のばらつきや経時的なばねの劣化による当接圧力の減少も回避することはできない。そこで、特許文献1には、記録ヘッドのノズルに圧力センサを設けてキャップとの当接圧力を所定値にしてキャピング状態を監視することが提案されている。
【0005】
ところで、記録ヘッドはインク滴を吐出させるとき記録の主となる主滴の他にインクのミストが発生する。ミストは吐出滴の主となる主滴に付随して発生し、記録媒体に着弾しないで装置内のさまざまな場所に付着する。なかでもノズル面への付着は付着直後からの時間の経過に伴い増粘が始まり、ノズル目詰まりなど不良の原因になりやすい。このような不具合を解消するために、特許文献2には、不良回避のためにゴムなどの弾性部材のワイパでノズル面を一定期間ごとに払拭するワイピング動作を実施することが提案されている。ワイピング動作によるノズル面のクリーニング性能を決めているのはノズルにワイパが当接したときの当接圧力とノズル面とワイパの相対速度である。ワイピング動作をシリアルタイプの記録装置の場合で説明する。ワイパは記録動作中ノズル面に干渉しないようにヘッドノズル面に対する突き出しが抑えられている。このワイパは、ワイピング実施時には突き出してくるような可動構造をもつ維持回復機構に配置されている。ワイパが突き出しているときにキャリッジがワイパ上を走査移動することによりワイピング動作が実施される。ここで、記録ヘッドに対するワイパの突き出し量は適正に所望な値に制御される必要がある。しかし、可動部品であることから精度をよくするには非常にコストがかかる。
【0006】
また、精度よくできたとしても記録装置の稼動が進めば経時的なワイパの磨耗劣化が避けられず突き出し量に誤差が生じてしまい、記録ヘッドノズル面に対する当接圧力も適正値から誤差を生じる。また、このような誤差を生じた場合にワイパの当接圧力が適正なものなのかを装置上で判断することはできない。上記誤差を考慮して予め突き出し量を多めに設定しておくことも考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に示される方法ではヘッドノズル先端部にセンサを配置することからクリーニング動作を阻害してしまうという課題がある。また、圧力センサを備えることから装置のコストアップを免れない。
【0008】
更に、上記特許文献2の方法では、突き出し量を多めに設定した場合には初期的には当接圧力としては必要以上の過大な値となり耐久性を短くしてしまう。ノズル面のクリーニング性は保たれるがノズル面には過大なストレスがかかってしまうということである。ノズル面はインクの固着を防ぐこと、クリーニング性をよくすることを目的に撥水膜が処理形成されている。この撥水膜に対して過大なストレスがかかることになり撥水膜の磨耗が進んでしまう。結果として記録装置全体の耐久性は低いものとなってしまう。また、ワイピング速度に関しても同様のことが言える。
【0009】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、維持回復装置の動作を妨げずに簡便な構成で記録ヘッドのキャピング状態を最適な状態に設定できると共に、ノズル面に過大なストレスな与えることなく経時的にもノズル面のクリーニング性の劣化を招かない記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記問題点を解決するために、本発明の記録装置は、圧電素子を圧力発生素子とする記録ヘッドのノズル面に形成されたノズルからインク滴を記録媒体に吐出する。そして、本発明の記録装置は、記録ヘッドのノズル面に当接して当該ノズル面を封止するキャップと、記録ヘッドのノズル面にキャップが当接しているときの当接圧力を圧電素子の容量変化として検出する検知手段とを有することに特徴がある。よって、キャップの記録ヘッドの当接状況を知ることが可能になり、当接状況を知るセンサとしてインク滴を吐出させる圧力発生素子を用いることからワイピングの動作を阻害することもなく、また新たな部品を増やすことがなく装置のコストアップを招くことを回避できる。
【0011】
また、検知手段の検知出力に基づいて記録ヘッドのノズル面にキャップが当接しているときの当接圧力を調節する当接圧力調節手段を有することにより、簡単な装置構成で当接圧力を所望の値に管理することが容易に実現できる。
【0012】
更に、検出手段は、複数の圧電素子のそれぞれの容量変化を検出して記録ヘッドのノズル面にキャップが当接しているときの複数箇所の当接圧力を検出し、各当接圧力の差分が所定範囲を超えたときは正常なキャッピング動作が行われていないと判断し、キャッピング動作を再度行う。よって、振動や衝撃などの偶発的な外力によってキャピング動作に失敗していることを簡単に検知できて片当たりなどの回避をすることが可能となり、リカバリー動作を適切に行うことが可能になって装置の信頼性が向上する。
【0013】
また、検出手段は、複数の圧電素子のそれぞれの容量変化を検出して記録ヘッドのノズル面にキャップが当接しているときの複数箇所の当接圧力を検出し、いずれかの当接圧力が所定値を超えたときは記録ヘッドのノズル面に異物があってキャップのニップ部が当該異物に接触していると判断し、キャッピング動作を解除して所定のメンテナンス動作を行う。よって、記録ヘッドのキャップ当接位置の異物が当接状態の検知出力として現れ、当該検知出力に応じてクリーニングなどの所定のメンテナンス動作を実施して適切な処置が可能となる。
【0014】
更に、本発明の記録装置は、記録ヘッドに対して相対的に移動してノズル面に当接して当該ノズル面をワイピングするワイパと、記録ヘッドのノズル面にワイパが当接しているときの当接圧力を圧電素子の容量変化として検出する検知手段とを有することに特徴がある。よって、記録装置のワイピングにおけるワイパの当接圧力が適正か否かを簡便な方法で判断することができる。
【0015】
また、検知手段の検知出力に基づいてワイパがワイピング動作するときの走査軌道上への突き出し量が調節する突き出し量調整手段を有することにより、簡単な装置構成でワイパの突き出し量を所望の値に管理することが容易に実現できる。
【0016】
更に、突き出し量調整手段は、ワイパがノズル面をワイピング動作するとき、ワイピング開始からワイピング完了までの圧電素子の容量変化をサンプリングして検知出力に応じてノズル面のワイピング時のワイパの突き出し量を時間的に変化させる。よって、ワイピング時のワイパとノズル面の間の距離が変動している場合でもより最適なワイピングの制御が特に装置コストの増大を招くことなく簡便な方法で可能となる。
【0017】
また、検知手段の検知出力に基づいて記録ヘッドに対するワイピング時の走査軌道上での相対速度を調整する速度調節手段を有することにより、簡単な装置構成でワイピング時の走査軌道上での相対速度を所望の値に管理することが容易に実現できる。
【0018】
更に、速度調節手段は、ワイパがノズル面をワイピング動作するとき、ワイピング開始からワイピング完了までの圧電素子の容量変化をサンプリングして検知出力に応じてノズル面のワイピング時のキャリッジ速度を時間的に変化させる。よって、ワイピング時のワイパとノズル面の間の距離が変動している場合でもより最適なワイピングの制御が特に装置コストの増大を招くことなく簡便な方法で可能となる。
【0019】
また、検出手段は、複数の圧電素子のそれぞれの容量変化を検出してワイパがノズル面をワイピング動作するときの複数箇所の当接圧力を検出し、各当接圧力の差分が所定範囲を超えたときは正常なワイピング動作が行われていないと判断し、ワイピング動作を再度行う。よって、振動や衝撃などの偶発的な外力によって片当たりなどにより正常なワイピング動作が行われていないことを簡単に検知でき、ワイピング動作を再度行うことが可能になって装置の信頼性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の記録装置によれば、キャップの記録ヘッドの当接状況を知ることが可能になる。また、当接状況を知るセンサとしてインク滴を吐出させる圧力発生素子を用いることからワイピングの動作を阻害することもなく、また装置のコストアップも起きない。また、記録装置のワイピングにおけるワイパの当接圧力が適正か否かを簡便な方法で判断することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の記録装置を前方から見た斜視図である。
【図2】本発明の記録装置の機構部の概要を示す側面図である。
【図3】本発明の記録装置の機構部の要部を示す平面図である。
【図4】本発明に係る維持回復装置の要部構成を示す平面図である。
【図5】本発明の維持回復装置の機構構成を示す概略側面図である。
【図6】図4の右側面図である。
【図7】キャップ保持昇降機構部の構成を示す側面図である。
【図8】キャップ保持昇降機構部の構成を示す正面図である。
【図9】記録装置における記録ヘッドを構成する液滴吐出ヘッドの構成を示す断面図である。
【図10】本発明の記録装置の記録ヘッドのノズル面にキャップが当接している状態を示す概略断面図である。
【図11】キャップ部材の記録ヘッドのノズル面に対する当接圧力と各圧電素子で検出される容量値の関係を示す特性図である。
【図12】記録ヘッドの圧電素子と駆動ICの回路と容量検出回路の回路構成を示す回路図である。
【図13】特定の1chの圧電素子と検知用の抵抗が通電するように制御されている状態での各部の出力を示す波形図である。
【図14】一方の圧電素子側の当接圧力が不足してしまう状態で傾いてキャッピングされた状態を示す概略断面図である。
【図15】記録ヘッドのノズル面にキャップ部材が当接する際のニップ部に異物が付着している様子を示す概略断面図である。
【図16】異物が記録ヘッドのノズル面にあるときの各圧電素子における感知出力の様子を示す特性図である。
【図17】記録ヘッドの圧電素子と駆動ICの回路と容量検出回路の別の回路構成を示す回路図である。
【図18】記録ヘッドのノズル面にワイパが当接している状態を示す概略断面図である。
【図19】ワイパが図18のA〜C点上にあるときの当接圧力と圧電素子の当接圧力が0のときの容量値を1としたときの規格化された容量値を示す特性図である。
【図20】好適な条件としてのワイパと当接圧力の関係を示す特性図である。
【図21】ワイピング動作前の記録ヘッドの圧電素子1列の各ch容量値を1としたとき、ワイパの突き出し量が上限値(2.0mm)、下限値(1.0mm)での相対的な容量値の関係、当接圧力の適正範囲及び最適速度と当接圧力の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は本発明の記録装置を前方から見た斜視図である。同図に示す本発明の記録装置100は、装置本体101と、装置本体101に装着された用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103とを備えている。また、装置本体101の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体101の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部104を有し、このカートリッジ装填部104の上面には操作ボタンや表示器などの操作/表示部105が設けられている。
【0023】
このカートリッジ装填部104には、色の異なる色材である記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液収容手段としての記録液カートリッジであるインクカートリッジ110k、110c、110m、110y(色を区別しないときは「インクカートリッジ110」という。)を、装置本体101の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部104の前面側には、インクカートリッジ110を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)106が開閉可能に設けられている。また、インクカートリッジ110k、110c、110m、110yは縦置き状態で横方向に並べて装填する構成となっている。
【0024】
また、操作/表示部105には、各色のインクカートリッジ110k、110c、110m、110yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ110k、110c、110m、110yの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色の残量表示部111k、111c、111m、111yを配置している。更に、この操作/表示部105には、電源ボタン112、用紙送り/印刷再開ボタン113、キャンセルボタン114も配置されている。
【0025】
次に、本発明の記録装置の機構部について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2は同機構部の概要を示す側面図、図3は同じく要部平面図である。
【0026】
本発明の記録装置の機構部において、フレーム121を構成する左右の側板121A、121Bに横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とでキャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して図3で矢示方向(キャリッジ走査方向:主走査方向)に移動走査する。
【0027】
このキャリッジ133には、前述したようにイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個の液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0028】
記録ヘッド134を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。
【0029】
この記録ヘッド134にはドライバICを搭載し、図示しない制御部との間でハーネス(フレキシブルプリントケーブル)122を介して接続している。また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のヘッドタンク135を搭載している。この各色のヘッドタンク135には各色のインク供給チューブ136を介して、前述したように、カートリッジ装填部104に装着された各色のインクカートリッジ110から各色のインクが補充供給される。なお、このカートリッジ装填104にはインクカートリッジ110内のインクを送液するための供給ポンプユニット124が設けられ、またインク供給チューブ136は這い回しの途中でフレーム121を構成する後板121Cに係止部材125にて保持されている。
【0030】
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)143及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
【0031】
そして、この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側に送り込むために、用紙142を案内するガイド部材145と、カウンタローラ146と、搬送ガイド部材147と、先端加圧コロ149を有する押さえ部材148とを備えるとともに、給送された用紙142を静電吸着して記録ヘッド134に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト151を備えている。
【0032】
この搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ152とテンションローラ153との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト151の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156を備えている。この帯電ローラ156は、搬送ベルト151の表層に接触し、搬送ベルト151の回動に従動して回転するように配置されている。更に、搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材157が配置されている。
【0033】
この搬送ベルト151は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ152が回転駆動されることによって図3のベルト搬送方向に周回移動する。
【0034】
更に、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪161と、排紙ローラ162及び排紙コロ163とを備え、排紙ローラ162の下方に排紙トレイ103を備えている。
【0035】
また、装置本体101の背面部には両面ユニット171が着脱自在に装着されている。この両面ユニット171は搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ146と搬送ベルト151との間に給紙する。また、この両面ユニット171の上面は手差しトレイ172としている。
【0036】
更に、図3に示すように、キャリッジ133の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド134のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構181を配置している。
【0037】
この維持回復機構181には、記録ヘッド134の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)182a〜182d(区別しないときは「キャップ182」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード183と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け184などを備えている。ここでは、キャップ182aを吸引及び保湿用キャップとし、他のキャップ182b〜182dは保湿用キャップとしている。
【0038】
そして、この維持回復機構181による維持回復動作で生じる記録液の廃液、キャップ182に排出されたインク、あるいはワイパーブレード183に付着してワイパークリーナ185で除去されたインク、空吐出受け194に空吐出されたインクは図示しない廃液タンクに排出されて収容される。
【0039】
また、図3に示すように、キャリッジ133の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け188を配置し、この空吐出受け188には記録ヘッド134のノズル列方向に沿った開口189などを備えている。
【0040】
このように構成した本発明の記録装置においては、給紙トレイ102から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142はガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ146との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド137で案内されて先端加圧コロ149で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0041】
このとき、図示しない制御回路のACバイアス供給部から帯電ローラ156に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト151が交番する帯電電圧パターン、すなわち周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト151上に用紙142が給送されると、用紙142が搬送ベルト151に吸着され、搬送ベルト151の周回移動によって用紙142が副走査方向に搬送される。
【0042】
そこで、リニアエンコーダ137による主走査位置情報に基づいてキャリッジ133を主走査方向に移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
【0043】
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ133は維持回復機構181側に移動されて、キャップ182で記録ヘッド134がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ182で記録ヘッド134をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。また、記録開始前、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド134の安定した吐出性能を維持する。
【0044】
ここで、本発明に係る維持回復装置の構成の概要について図4〜図6を参照して説明する。なお、図4は本発明の維持回復装置の要部構成を示す平面図、図5は本発明の維持回復装置の機構構成を示す概略側面図、図6は図4の右側面図である。
【0045】
本発明の維持回復装置250におけるフレーム259には、キャップ保持機構である2つのキャップホルダ260a、260b(区別しないときはキャップホルダ260と称す)と、清浄化手段としての弾性体を含むワイピング部材であるワイパーブレード252と、キャリッジロック261とがそれぞれ昇降可能(上下動可能)に保持されている。また、ワイパーブレード252とキャップホルダ260aとの間には空吐出受け253が配置され、ワイパーブレード252のクリーニングを行うために、フレーム258の外側からワイパーブレード252を空吐出受け253の清掃部材であるワイパークリーナ254側に押し付けるための清掃部材であるクリーナコロ256を含むクリーナ手段であるワイパークリーナ255が揺動可能に保持されている。また、キャップホルダ260a、260bには、それぞれ、2つの記録ヘッド134のノズル面をそれぞれキャッピングする2つのキャップ部材251aと251b、キャップ部材251cと251dを保持している。
【0046】
ここで、印字領域に最も近い側のキャップホルダ260aに保持したキャップ部材251aには可撓性チューブ262を介して吸引手段であるチュービングポンプ(吸引ポンプ)263を接続し、その他のキャップ部材251b、251c、251dはチュービングポンプ263を接続していない。すなわち、キャップ部材251aのみを吸引(回復)及び保湿用キャップとし、その他のキャップ部材251b、251c、251dはいずれも単なる保湿用キャップとしている。したがって、記録ヘッド134の回復動作を行うときには、回復動作を行う記録ヘッド134をキャップ部材251aによってキャッピング可能な位置に選択的に移動させる。
【0047】
また、これらのキャップホルダ260a、260bの下方にはフレーム259に回転自在に支持したカム軸264を配置し、このカム軸264にはキャップホルダ260a、260bを昇降させるためのキャップカム265a、265bと、ワイパーブレード252を昇降させるためのワイパーカム266、キャリッジロック261をキャリッジロックアーム267を介して昇降させるためのキャリッジロックカム268と、空吐出受け253内で空吐出される液滴がかかる空吐出着弾部材である回転体としてのコロ269と、ワイパークリーナ255を揺動させるためのクリーナカム270をそれぞれ設けている。
【0048】
ここで、キャップ部材251はキャップカム265a、265bにより昇降させられる。ワイパーブレード252はワイパーカム266により昇降させられ、下降時にワイパークリーナ255が進出して、このワイパークリーナ255のクリーナコロ256と空吐出受け253のワイパークリーナ255とに挟まれながら下降することで、ワイパーブレード252に付着したインクが空吐出受け253内に掻き落とされる。また、キャリッジロック261は図示しない圧縮バネによって上方(ロック方向)に付勢されて、キャリッジロックカム268で駆動されるキャリッジロックアーム267を介して昇降させられる。
【0049】
そして、チュービングポンプ263及びカム軸264を回転駆動するために、モータ271の回転をモータ軸271aに設けたモータギヤ272に、チュービングポンプ263のポンプ軸263aに設けたポンプギヤ273を噛み合わせ、更にこのポンプギヤ273と一体の中間ギヤ274に中間ギヤ275を介して一方向クラッチ276付きの中間ギヤ277を噛み合わせ、この中間ギヤ277と同軸の中間ギヤ278に中間ギヤ279を介してカム軸264に固定したカムギヤ280を噛み合わせている。なお、クラッチ276付きの中間ギヤ277、278の回転軸である中間軸281はフレーム259にて回転可能に保持している。
【0050】
また、カム軸264にはホームポジションを検出するためのホームポジションセンサ用カム282を設け、この維持回復装置250に設けた図示しないホームポジションセンサにてキャップ部材251が最下端に来たときにホームポジションレバー(不図示)を作動させ、センサが開状態になってモータ271(チュービングポンプ263以外)のホームポジションを検知する。なお、電源オン時には、キャップ部材251(キャップホルダ260)の位置に関係なく上下(昇降)し、移動開始までは位置検出を行わず、キャップ部材251のホーム位置(上昇途中)を検知した後に、定められた量を移動して最下端へ移動する。その後、キャリッジが左右に移動して位置検知後キャップ位置に戻り、記録ヘッド134がキャッピングされる。以上各部の昇降動作について説明したが駆動源であるモータ271の回転を制御することによりそれぞれの部品における昇降位置(高さ)が制御される。
【0051】
次に、キャップの保持機構及び昇降機構の詳細について、図5、キャップ保持昇降機構部の側面図の図7及び正面図の図8を用いて説明する。
キャップ保持機構の構成部材の一つであるキャップホルダ260aは、キャップ251a、キャップ251b(これらを併せてキャップ251Aと称す)を昇降可能に保持するホルダ284と、ホルダ284の底面とキャップ251Aの底部との間に介装されてキャップ251Aを上方に付勢するスプリング285と、ホルダ284を前後方向(記録ヘッド134のノズルの並び方向)に移動可能に保持するスライダ286とを有している。キャップ251Aは両端部に設けたガイドピン283aをホルダ284の図示しないガイド溝に上下動可能に、底面に設けたガイド軸283bをホルダ284に上下動可能に挿通して、ホルダ284に対して上下動可能に装着している。キャップ251Aとホルダ284との間に介装したスプリング285はキャップ251a、251bを上方向(キャッピング時にノズル面側に押圧する方向)に付勢している。スライダ286は、前後端に設けたガイドピン287、288をフレーム259に形成したガイド溝289に摺動可能に嵌め合わせることで、スライダ286及びホルダ284並びにキャップ251A全体が上下動できる構成としている。
【0052】
そして、スライダ286の下面に設けたカムピン290をキャップカム265aの図示しないカム溝に嵌め合わせて、モータ271の回転が伝達されるカム軸264の回転に同動するキャップカム265aの回転によってスライダ286、ホルダ284及びキャップ251Aが上下動するようにしている。
【0053】
更に、吸引用のキャップ251aにはスライダ286及びホルダ284を挿通して、キャップ251aの短手方向に対してキャップ中央位置の下方からチューブ262を這い回して接続している。
【0054】
なお、キャップ251c、251d(これらを併せてキャップ251Bと称す)を保持するキャップホルダ260b及びこれを上下動させる構成も上記と同様であるので説明を省略する。ただし、キャップ251c、251dにはチューブ262は接続されていない。
【0055】
このように、1つの駆動源であるモータ271を駆動することによって1つの軸であるカム軸264が回転し、このカム軸264の回転によってカム軸264に固定したカム265a、265bが回転して、キャップ251A及びキャップ251Bが上下動する構成としている。
【0056】
次に、この記録装置における記録ヘッドを構成する液滴吐出ヘッドの一例について図9を参照して説明する。なお、同図の(a)は本発明の記録装置における記録ヘッドを構成する液滴吐出ヘッドの液室長手方向に沿う断面図、同図の(b)は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面図である。この液滴吐出ヘッド200は、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板201と、この流路板201の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板202と、流路板201の上面に接合したノズル板203とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル204が連通する流路であるノズル連通路205及び液室206、液室206にインクを供給するための共通液室207に連通するインク供給口208などを形成している。また、振動板202を変形させて液室206内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列(図9の(b)では1列のみ図示)の積層型の圧電素子209と、この圧電素子209を接合固定するベース基板210とを備えている。
【0057】
ここで、1列には192chの駆動される圧電素子があり記録ヘッド1個では384chとなる。更に、1列のノズルにおける並び方向はキャリッジの移動種走査方向に対して垂直な方向である。なお、圧電素子209の間には支柱部211を設けている。この支柱部211は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子209と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
【0058】
また、圧電素子209には図示しない駆動回路(駆動IC)を搭載したFPCケーブル212を接続している。駆動ICには後述する容量検出回路が含まれる。そして振動板202の周縁部をフレーム部材213に接合し、このフレーム部材213には、圧電素子209及びベース基板210などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部214及び共通液室207となる凹部、この共通液室207に外部からインクを供給するためのインク供給穴215を形成している。このフレーム部材213は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
【0059】
ここで、流路板201は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路205、液室206となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。振動板202は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板202に圧電素子209及び支柱部211を接着剤接合し、更にフレーム部材213を接着剤接合している。ノズル板203は各液室206に対応して直径10〜30μmのノズル204を形成し、流路板201に接着剤接合している。このノズル板203は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。なお、このノズル板203の表面が前述したノズル面となる。圧電素子209は、圧電材料216と内部電極217とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電素子209の交互に異なる端面に引き出された各内部電極217には個別電極218及び共通電極219が接続されている。なお、この実施形態では、圧電素子209の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室206内インクを加圧する構成としているが、圧電素子209の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室206内インクを加圧する構成とすることもできる。
【0060】
また、1つの基板210に1列の圧電素子209が設けられる構造とすることもできる。このように構成した液滴吐出ヘッドヘッドにおいては、例えば圧電素子209に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子209が収縮し、振動板202が下降して液室206の容積が膨張することで、液室206内にインクが流入し、その後圧電素子209に印加する電圧を上げて圧電素子209を積層方向に伸長させ、振動板202をノズル204方向に変形させて液室206の容積/体積を収縮させることにより、液室206内の記録液が加圧され、ノズル204から記録液の滴が吐出(噴射)される。そして、圧電素子209に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板202が初期位置に復元し、液室206が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室208から液室206内に記録液が充填される。
【0061】
そこで、ノズル204のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
【0062】
次に、本発明の記録装置の記録ヘッドのキャッピングの当接状態の検知について図10〜図12を用いて説明する。図10は記録ヘッドのノズル面にキャップが当接している状態を示す概略断面図である。図10は実際の記録ヘッドがキャリッジに搭載された向きと上下が逆転した向きに描かれている。液滴吐出ヘッド200内の圧電素子は2列あり一方を209a、他方を209bとしている。
【0063】
記録ヘッド200に対するキャップ部材251はノズル面とキャップの周辺のニップ部の平行状態が適切である。図10は適切な状態を示している。先ず、図10のキャップ部材251がノズル板203に当接すると、この当接圧力は、ノズル板203、流路板201、振動板202、圧電素子209へと順に伝わることになる。伝わった圧力によって各圧電素子209は容量値が変化する。
【0064】
図11はキャップ部材の記録ヘッドのノズル面に対する当接圧力と各圧電素子で検出される容量値の関係を示す特性図である。容量値は当接圧力が0(キャップがノズル面に当接していないとき)のときの容量値を1としたときの規格化された容量値を示すものである。同図からわかるように、初期値からの容量変化がわかれば、そのノズル近傍にあるキャップの当接圧力を知ることが可能となる。
【0065】
図12は記録ヘッドの圧電素子と駆動ICの回路と容量検出回路の回路構成を示す回路図である。圧電素子は容量成分として表される。各chの圧電素子209には駆動ICに集積化されたアナログスイッチ301、302が接続されており、アナログスイッチ301が吐出動作をするときにONするアナログスイッチであり抵抗値は駆動波形が劣化しない程度の値となり、ここではON時の抵抗がRond=300Ωである。アナログスイッチ302は容量検出のためのもので容量検出時のみONするものでここではON時の抵抗がRone=1kΩである。いずれのスイッチも図示しない記録装置本体側のコントローラからの出力により駆動ICの制御回路300を介してその開閉動作が制御される。抵抗303(Re)は容量検出のための抵抗であり、抵抗303(Re)の一端子が駆動波形生成回路出力304と抵抗305(Reh)の一端子とアナログスイッチ301の共通入力側に接続されて、そして抵抗303(Re)の他端子がアナログスイッチ302の共通入力側に接続されており、抵抗値は10kΩである。抵抗305(Reh)、306(Rem)、307(Rel)はそれぞれ駆動波形生成出力電圧を分圧するものでその値の比率はReh:Rem:Rel=2:8:1である。また、個々の値は抵抗(Re)303をアナログスイッチ302がONした時に影響がでない程度の値に大きくしてある。ここではReh=200kΩ、Rem=800kΩ、Rel=100kΩである。これらの抵抗によって駆動波形生成出力電圧は分圧されてコンパレータ308、309へと入力され、検知用の抵抗303と検知を行っている圧電素子209で構成されるCR回路の入力駆動波形出力応答と比較される。コンパレータ308は早い立ち上がり波形が駆動波形生成回路304から出力されたときの振幅の10%に達しているかどうか、コンパレータ309は同様に90%の値を検出しているかどうかを検出する。論理素子310は両コンパレータ出力の論理演算を実施する。
【0066】
ここで、容量検知を実施するとき、すなわち当接圧力を検知する動作について図13を用いて説明する。図13は特定の1chの圧電素子と検知用の抵抗が通電するように制御されている状態での各部の出力である。同図におけるVCOMは図12の駆動波形生成回路304の出力、Veは検知用抵抗の圧電素子側の電圧、Vepは論理素子310の出力である。先ず、駆動波形生成回路304は、立ち上がりが1usec以内の早い信号を出力する。このとき検知用の抵抗303の圧電素子209側の電圧波形はCR回路の応答を示す。論理素子310の出力VepはVe波形の立ち上がりの10%−90%時間Teの幅を持ったパルスとなる。このパルスを本体コントローラ側で受信してパルス幅を計測するここではTe[sec]である。ここで時定数(Rone+Re)・Cとパルス幅Teには下記の式の関係があることから、Cの値をコントローラ側で求めることが可能となる。Cの値を当接圧力がある場合とない場合で知ることができれば当接圧力を検知することが可能となる。
【0067】
Te≒2.2×(Rone+Re)・C
【0068】
ここで、本発明の記録装置におけるキャッピング動作の原理について説明すると、圧電素子209の変位方向と当接圧力の方向は略平行となることから当接圧力が高くなるほど容量値は増大する。ここで1ch当りの圧電素子209の容量は1n[F]としている。キャピングの当接圧力として適正であるときは、本発明の記録装置では1.0[N]以上としてある。本発明の記録装置では1つの記録ヘッド内で検出された384chの容量値の最低値が1.0[N]以上であれば適切なキャッピングが行われている記録ヘッドと判断される。
【0069】
次に、キャピング動作について説明すると、キャリッジは所定の移動により決められたキャッピング位置に移動する。続いて維持回復装置はキャップ部材251の昇降動作を開始する。同時に圧電素子209の容量検知を行いながら昇降動作を行う。検知は全てのchに対して行いその最低検知出力が1.0[N]に相当する容量となった時点で昇降動作を停止しキャッピング動作が完了する。なお、キャッピング動作における容量の検知の実施において、chは全てのchに対して行わずに端と中央部のみで検知を実施すること、1chおきに検知することというように特定chでの検知も考えられる。特定chのみの検知動作とすることで検知時間は短縮されることになる。
【0070】
次に、キャピング動作中に振動や外力等によってキャップ部材の付勢状態が変わってしまい適切なキャッピング状態ができていない場合について説明する。図14は一方の圧電素子側の当接圧力が不足してしまう状態で傾いてキャッピングされた状態を示している。同図において、図10と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。このようなキャッピング状態はキャップ内の空気が外部と連通しており、ノズル面の乾燥を招いてしまう可能性があり適切なキャッピングではない。図14の状態では圧電素子209aは図11におけるA点の検知出力、圧電素子209bは図11におけるB点の検知出力となる。記録装置はこのような状態を検知した場合にキャッピング動作のやりなおしを実施するように制御する。また、キャッピング中の圧電素子209a列及び圧電素子209b列の検知出力の差を監視しておき各出力が適正範囲内にあってもなくても差が一定値以上で検出されたときにキャッピング動作を再実行するようにしてもよい。
【0071】
次に、記録ヘッドのノズル面にキャップ部材が当接する際のニップ部に異物が付着している場合における動作について図15〜図17を用いて説明する。図15において異物401があると該当部位の当接圧力は高くなる。図16はこのときの各圧電素子における感知出力の様子を示す特性図である。図16において最低値と最高値の差δとして異物が観測される。ここで記録装置側がこの状態を検知した場合には記録ヘッドのノズル面のメンテナンスを発動しクリーニングを実施する。クリーニング動作が実施され異物が除去されれば適切なキャッピング動作が可能になる。なお、上記実施の形態では図10における液滴吐出に関わる圧電素子209を利用して圧力を検知しているが、支柱部211を利用して検知することも考えられる。支柱部を利用する場合にはFPCケーブル212によって駆動部の圧電素子209と支柱部211の圧電素子311の各々に配線を行う。このとき駆動ICと容量検出回路は図17のようになる。容量検知の回路動作は図12の動作と同じである。このような構成では吐出しながらの検知等も可能である。
【0072】
次に、本発明の記録装置における記録ヘッドのワイパ当接時の当接圧力検知について図18〜図20を用いて説明する。図18は記録ヘッドのノズル面にワイパが当接している状態を示す概略断面図である。図18では実際の記録ヘッドがキャリッジに搭載された向きと上下が逆転した向きに描かれている。また、ワイパが記録ヘッド上を移動しているが実際は突き出したワイパ上をキャリッジが移動している。図18において、記録ヘッドに対するワイパ252はノズル列に垂直な方向でワイピングが実施されることになる。先ず、ワイパ252がノズル板203の表面に当接すると当接圧力はノズル板203、流路板201、振動板202、圧電素子209へと伝わることになる。伝わった圧力によって圧電素子209は容量値が変化する。
【0073】
図19はワイパが図18のA〜C点上にあるときの当接圧力と圧電素子の当接圧力が0のときの容量値を1としたときの規格化された容量値を示す特性図である。図19からもわかるように初期値からの容量変化がわかれば、そのchの当接圧力を知ることが可能となる。圧電素子209の変位方向と当接圧力の方向は略平行となることから当接圧力が高くなるほど容量値は増大する。ここで1ch当りの圧電素子209の容量は1nFとしている。当接圧力は適正とみなされる範囲を持ち本記録装置では1.0〜1.5[N]が適正範囲である。図18のA〜C点ごとに当接圧力に対する容量変化が異なるのは圧電素子の長手方向中央部ほど圧力の伝わりがよく、記録ヘッドの中央部と端部では端部の方、つまり図18のC点は剛性が高く、中央部に比較してやや圧力の伝わり方が高いためである。ここでワイピング全体としての性能は当接圧力の他にワイピング速度がある。本発明の記録装置では上記適正な当接圧力のもとでワイパ252と記録ヘッドの相対速度が95mm/sec〜105mm/secの範囲で適正なものとなる。更により好適な条件としては図20に示す直線上のポイントとなる。
【0074】
ここで、本発明の記録装置のワイピング動作の最適化について図18を用いて説明する。図21はワイピング動作前の記録ヘッドの圧電素子1列の各ch容量値を1としたとき、ワイパの突き出し量が上限値(2.0mm)、下限値(1.0mm)での相対的な容量値の関係及び図19における当接圧力の適正範囲及び図20の最適速度と当接圧力の関係を図示したものである。記録装置の設定がこのような場合には設定を上限の2mmに持っていけば適正なワイピングを実施できることになる。更に、記録ヘッドの平均の容量値を採用して突き出し量設定2mmにおけるワイピングの相対速度を図20のように最適条件の直線から決定することができる。ここで突き出し量が一定でもノズル板の表面の各ABC点で当接圧力が異なる場合には各点ごとに速度を変更して最適条件を得ても良いし、速度を一定のまま突き出し量を順次変化させて最適条件を得ても良い。さらに突き出し量と相対速度の両方を同時に変更して最適条件を得ることも考えられる。これら最適条件の設定は記録装置において定期的に実施されることが好ましい。定期的な条件設定により記録装置としての耐久性が向上する。
【0075】
なお、本発明は上記実施の形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換、応用が可能である。
【符号の説明】
【0076】
100;記録装置、209;圧電素子、250;維持回復装置、
251;キャップ部材、252;ワイパ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】実用新案登録第2,514,548号公報
【特許文献2】特開2006−224331号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を圧力発生素子とする記録ヘッドのノズル面に形成されたノズルからインク滴を記録媒体に吐出する記録装置において、
前記記録ヘッドのノズル面に当接して当該ノズル面を封止するキャップと、
前記記録ヘッドのノズル面に前記キャップが当接しているときの当接圧力を前記圧電素子の容量変化として検出する検知手段と
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記検知手段の検知出力に基づいて前記記録ヘッドのノズル面に前記キャップが当接しているときの当接圧力を調節する当接圧力調節手段を有することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記検出手段は、複数の前記圧電素子のそれぞれの容量変化を検出して前記記録ヘッドのノズル面に前記キャップが当接しているときの複数箇所の当接圧力を検出し、各当接圧力の差分が所定範囲を超えたときは正常なキャッピング動作が行われていないと判断し、キャッピング動作を再度行うことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項4】
前記検出手段は、複数の前記圧電素子のそれぞれの容量変化を検出して前記記録ヘッドのノズル面に前記キャップが当接しているときの複数箇所の当接圧力を検出し、いずれかの当接圧力が所定値を超えたときは前記記録ヘッドのノズル面に異物があって前記キャップのニップ部が当該異物に接触していると判断し、キャッピング動作を解除して所定のメンテナンス動作を行うことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項5】
圧電素子を圧力発生素子とする記録ヘッドのノズル面に形成されたノズルからインク滴を記録媒体に吐出する記録装置において、
前記記録ヘッドに対して相対的に移動してノズル面に当接して当該ノズル面をワイピングするワイパと、
前記記録ヘッドのノズル面に前記ワイパが当接しているときの当接圧力を圧電素子の容量変化として検出する検知手段と
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項6】
前記検知手段の検知出力に基づいて前記ワイパがワイピング動作するときの走査軌道上への突き出し量が調節する突き出し量調整手段を有することを特徴とする請求項5記載の記録装置。
【請求項7】
前記突き出し量調整手段は、前記ワイパがノズル面をワイピング動作するとき、ワイピング開始からワイピング完了までの圧電素子の容量変化をサンプリングして検知出力に応じてノズル面のワイピング時のワイパの突き出し量を時間的に変化させることを特徴とする請求項6記載の記録装置。
【請求項8】
前記検知手段の検知出力に基づいて前記記録ヘッドに対するワイピング時の走査軌道上での相対速度を調整する速度調節手段を有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記速度調節手段は、前記ワイパがノズル面をワイピング動作するとき、ワイピング開始からワイピング完了までの圧電素子の容量変化をサンプリングして検知出力に応じてノズル面のワイピング時のキャリッジ速度を時間的に変化させることを特徴とする請求項8記載の記録装置。
【請求項10】
前記検出手段は、複数の前記圧電素子のそれぞれの容量変化を検出して前記ワイパがノズル面をワイピング動作するときの複数箇所の当接圧力を検出し、各当接圧力の差分が所定範囲を超えたときは正常なワイピング動作が行われていないと判断し、ワイピング動作を再度行うことを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項1】
圧電素子を圧力発生素子とする記録ヘッドのノズル面に形成されたノズルからインク滴を記録媒体に吐出する記録装置において、
前記記録ヘッドのノズル面に当接して当該ノズル面を封止するキャップと、
前記記録ヘッドのノズル面に前記キャップが当接しているときの当接圧力を前記圧電素子の容量変化として検出する検知手段と
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記検知手段の検知出力に基づいて前記記録ヘッドのノズル面に前記キャップが当接しているときの当接圧力を調節する当接圧力調節手段を有することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記検出手段は、複数の前記圧電素子のそれぞれの容量変化を検出して前記記録ヘッドのノズル面に前記キャップが当接しているときの複数箇所の当接圧力を検出し、各当接圧力の差分が所定範囲を超えたときは正常なキャッピング動作が行われていないと判断し、キャッピング動作を再度行うことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項4】
前記検出手段は、複数の前記圧電素子のそれぞれの容量変化を検出して前記記録ヘッドのノズル面に前記キャップが当接しているときの複数箇所の当接圧力を検出し、いずれかの当接圧力が所定値を超えたときは前記記録ヘッドのノズル面に異物があって前記キャップのニップ部が当該異物に接触していると判断し、キャッピング動作を解除して所定のメンテナンス動作を行うことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項5】
圧電素子を圧力発生素子とする記録ヘッドのノズル面に形成されたノズルからインク滴を記録媒体に吐出する記録装置において、
前記記録ヘッドに対して相対的に移動してノズル面に当接して当該ノズル面をワイピングするワイパと、
前記記録ヘッドのノズル面に前記ワイパが当接しているときの当接圧力を圧電素子の容量変化として検出する検知手段と
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項6】
前記検知手段の検知出力に基づいて前記ワイパがワイピング動作するときの走査軌道上への突き出し量が調節する突き出し量調整手段を有することを特徴とする請求項5記載の記録装置。
【請求項7】
前記突き出し量調整手段は、前記ワイパがノズル面をワイピング動作するとき、ワイピング開始からワイピング完了までの圧電素子の容量変化をサンプリングして検知出力に応じてノズル面のワイピング時のワイパの突き出し量を時間的に変化させることを特徴とする請求項6記載の記録装置。
【請求項8】
前記検知手段の検知出力に基づいて前記記録ヘッドに対するワイピング時の走査軌道上での相対速度を調整する速度調節手段を有することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記速度調節手段は、前記ワイパがノズル面をワイピング動作するとき、ワイピング開始からワイピング完了までの圧電素子の容量変化をサンプリングして検知出力に応じてノズル面のワイピング時のキャリッジ速度を時間的に変化させることを特徴とする請求項8記載の記録装置。
【請求項10】
前記検出手段は、複数の前記圧電素子のそれぞれの容量変化を検出して前記ワイパがノズル面をワイピング動作するときの複数箇所の当接圧力を検出し、各当接圧力の差分が所定範囲を超えたときは正常なワイピング動作が行われていないと判断し、ワイピング動作を再度行うことを特徴とする請求項5〜9のいずれか1項に記載の記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2010−173282(P2010−173282A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21105(P2009−21105)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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