説明

記録装置

【課題】画像記録及び画像読取の両機能を備えた装置において、小型化を実現すると共に、読取ユニットの劣化を防止する。
【解決手段】用紙搬送ユニットのローラ対71,72の回転速度を調整することにより用紙Pを撓ませ、用紙Pが、読取可能位置(CIS50の読取面50aと接触する位置)と、読取可能位置よりもCIS50からの距離が大きな退避位置(CIS50から離隔した位置)とを選択的に取り得るようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する記録装置に関し、特に、記録媒体に記録された画像を読み取る読取ユニットを具備した記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置に読取ユニットを設けることで、記録媒体への画像の記録と、媒体上に記録された画像の読取との両方の機能を有する装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1によると、記録媒体の搬送経路に沿って記録ヘッド(プリンタヘッド40)及び読取ユニット(スキャナCCDモジュール30)を並列配置することで、例えば記録ヘッドへの記録媒体の搬送経路と読取ユニットへの記録媒体の搬送経路とを個別に設ける場合に比べ、装置の小型化が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−16201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1において、読取ユニットとして焦点距離が比較的短いものを用いた場合、記録媒体が搬送経路に沿って搬送される際、記録媒体と読取ユニットとが接触し得る。そのため、このような接触により読取ユニットが磨耗し、劣化するという問題が生じ得る。また、CIS(Contact Image Sensor)等の接触式の読取ユニットを用いた場合、読取時に当該ユニットと記録媒体とを接触させるが、特許文献1の構成では、読取は行わず記録のみを行う場合でも、記録媒体と読取ユニットとが接触することになる。そのため、上述した読取ユニットの劣化の問題が顕著となる。
【0005】
本発明の目的は、画像記録及び画像読取の両機能を備えた装置において、小型化を実現すると共に、読取ユニットの劣化を防止することができる記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の観点によると、記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、記録媒体の供給位置から前記記録ヘッドによる記録位置を介して記録媒体の排出位置に至る経路に沿って、記録媒体を搬送する搬送ユニットと、前記搬送ユニットによって前記経路に沿って搬送される記録媒体に記録された画像を読み取る読取ユニットと、前記読取ユニットによる読取位置にある記録媒体が、前記読取ユニットが画像を読取可能な読取可能位置と、前記読取可能位置よりも前記読取ユニットからの距離が大きな退避位置とを選択的に取り得るように、記録媒体及び前記読取ユニットの少なくともいずれか一方の位置を変化させる位置変更手段とを備えたことを特徴とする記録装置が提供される。
【0007】
上記構成によると、読取ユニットが、搬送ユニットによる搬送経路に沿って搬送される記録媒体に記録された画像を読み取るものであるため、即ち、記録ヘッドへの記録媒体の搬送経路と読取ユニットへの記録媒体の搬送経路とが共通しているため、これら搬送経路を個別に設ける場合に比べ、装置の小型化を実現することができる。また、位置変更手段により、読取時には記録媒体を読取可能位置に配置する一方、記録時には、記録媒体を退避位置に配置し、記録媒体と読取ユニットとの接触を回避することができる。これにより、読取ユニットの劣化を防止することができる。さらに、搬送ユニットにより搬送される記録媒体に対して画像の記録及び読取を連続的に行うことが可能である。
【0008】
前記搬送ユニットが、前記経路に沿って互いに離隔し、前記読取位置よりも前記経路の上流側及び下流側にそれぞれ配置された、記録媒体に接触しつつ駆動する複数の搬送部材を含み、前記位置変更手段が、記録媒体を前記退避位置から前記読取可能位置へと移動させる際、前記複数の搬送部材の駆動を調整することで、前記搬送部材間において記録媒体を前記読取ユニットに近づく方向に撓ませてよい。位置変更手段が読取ユニットの位置を変化させる場合、読取ユニットを移動させるための専用の機構を設ける必要がある。また、読取ユニットは定位置に固定したままで、位置変更手段が専用の部材を記録媒体に押し当てる等して記録媒体の位置を変化させることも考えられるが、この場合にも、その専用の部材及びこれを移動させるための機構を設ける必要がある。これに対し、上記構成では、位置変更手段が搬送ユニットに含まれる搬送部材を利用して記録媒体の位置を変化させるため、専用の部材や機構を設ける必要がない。そのため、装置構成の複雑化や製造コスト上昇が抑制されると共に、装置の小型化をより確実に実現することができる。
【0009】
前記複数の搬送部材が、前記読取位置よりも前記経路の上流側に配置された第1搬送部材と、前記読取位置よりも前記経路の下流側において、前記第1搬送部材よりも鉛直方向に関して上方で且つ水平方向に関して前記第1搬送部材よりも前記読取ユニットに近接した位置に配置された第2搬送部材とを有してよい。この場合、重力の関係で、第1搬送部材と第2搬送部材との間において記録媒体を読取ユニットに近づく方向に撓ませ易いという利点がある。
【0010】
前記読取ユニットが、前記記録ヘッドよりも前記経路の下流側に配置されていることが好ましい。この場合、記録ヘッドにより記録された画像の読取を速やかに行うことができ、記録ヘッドによる記録の品質を確認することができる。
【0011】
通常記録データとは異なるテスト記録データに基づいて記録媒体にテスト記録を行うよう前記記録ヘッドの駆動を制御するテスト記録手段と、前記テスト記録手段の制御により記録媒体に形成されたテスト記録の画像を読み取るよう前記読取手段の駆動を制御するテスト結果読取手段と、前記テスト結果読取手段の制御により得られたテスト結果に基づいて、前記記録ヘッドの駆動を調整する調整手段とをさらに備えてよい。このようにテスト記録の結果に基づいて記録ヘッドの駆動を調整することで、記録品質を良好に維持することができる。
【0012】
前記読取可能位置は記録媒体が前記読取ユニットと接触する位置であってよい。CIS等の接触式読取ユニットの場合、CCD等の非接触式読取ユニットに比べ、小型であるため装置全体のさらなる小型化が可能であること、安価であること、ウォームアップ時間が不要であるため立ち上がり時間が短くてすむこと、消費電力の低減が可能であること、等の利点がある。
【0013】
前記供給位置に配置された記録媒体収容部と、前記排出位置に配置された記録媒体収容部とが、前記記録ヘッドによる記録時と前記読取ユニットによる読取時とにおいて共通していることが好ましい。供給位置及び排出位置にそれぞれ画像記録・画像読取の各機能に応じた一対の記録媒体収容部を設け、記録時と読取時とにおいて使用する記録媒体収容部を異ならせる場合、搬送経路の切換に係る作業や制御が必要となる。これに対し、上記構成では、経路切換作業等が不要であり、記録及び/又は読取を迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタの側断面図である。
【図2】図1のプリンタの制御方法を示すフローチャートである。
【図3】図1の一点差線で囲まれた部分IIIを示す部分拡大図であり、(a)は通常記録時、(b)は記録品質確認時における状態を示す。
【図4】本発明の第2実施形態におけるプリンタの制御方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態における、図3に対応する部分拡大図であり、(a)は通常記録時、(b)は記録品質確認時における状態を示す。
【図6】本発明の第3実施形態におけるプリンタの制御方法を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態における、図3に対応する部分拡大図であり、(a)は通常記録時、(b)は記録品質確認時における状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
先ず、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るインクジェットプリンタ1の全体構成について説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの内部空間は上から順に空間A,B,Cに区分されており、空間Aには、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色インクを吐出する4つのインクジェットヘッド10、プリンタ1の各部の動作を制御するコントローラ100、用紙Pに記録された画像を読み取るCIS(Contact Image Sensor)50等が配置されている。空間B及びCは、それぞれ、共に筐体1aに対して主走査方向に沿って着脱可能な給紙ユニット1b及びインクタンクユニット1cが配置される空間である。筐体1aの天板上部は用紙Pの排出位置であり、この排出位置に、開口130から排出された用紙を収容する排紙部131が形成されている。
【0018】
インクタンクユニット1cは、4つのヘッド10に対応する各色インクを貯留する4つのメインタンク121を含む。メインタンク121はそれぞれ、対応するヘッド10とチューブ等(図示せず)を介して接続されている。給紙ユニット1bは、複数枚の用紙Pを収納することが可能な給紙トレイ123、及び、給紙トレイ123に取り付けられた給紙ローラ125を有する。給紙トレイ123内の用紙Pは、最も上側のものから順に、給紙ローラ125によって送り出され、ガイド127a,127bによりガイドされ且つ送りローラ対126によって挟持されつつ、ベルト搬送機構122へと送られる。
【0019】
ベルト搬送機構122は、2つのベルトローラ6,7、両ローラ6,7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8、搬送ベルト8の下側ループの内周面に接触しつつ下方に付勢されることで搬送ベルト8に張力を付加するテンションローラ9、及び、ローラ6,7,9を回転可能に支持する支持フレーム11を有する。駆動ローラであるベルトローラ7がコントローラ100の制御により図1中時計回りに回転すると、搬送ベルト8が走行し、従動ローラであるベルトローラ6も図1中時計回りに回転する。
【0020】
搬送ベルト8の上側ループは、ベルト表面が4つのヘッド10の下面(インクを吐出する吐出口が多数形成された面)と所定距離だけ離隔しつつ当該下面と平行に延在するよう、プラテン19により支持されている。4つのヘッド10は、それぞれ主走査方向に長尺であり、副走査方向に沿って並設され、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。
【0021】
搬送ベルト8の表面には、弱粘着性のシリコン層が形成されている。ベルト搬送機構122に送られた用紙Pは、押さえローラ4によって搬送ベルト8の表面に押え付けられた後、搬送ベルト8表面の粘着力によって当該表面に保持されつつ、黒塗り矢印に沿って副走査方向に搬送されていく。
【0022】
用紙Pが搬送ベルト8上に載置されつつ搬送され、4つのヘッド10の直ぐ下方(即ち、ヘッド10下面に形成された吐出口に対向する「記録位置」)を通過する際に、各ヘッド10の吐出口から用紙Pに向けて各色のインクが順に吐出されることで、用紙P上にカラー画像が形成される。そして用紙Pは、剥離プレート5によって搬送ベルト8表面から剥離され、一対のガイド61及び1のガイド62によりガイドされつつ上流側ローラ対71及び下流側ローラ対72によって順次挟持されつつ上方へと搬送され、筐体1a上部に形成された開口130から排紙部131へと排出される。
【0023】
プリンタ1において、記録媒体たる用紙Pは、供給位置としての空間Bに配置された給紙トレイ123からヘッド10の下方を介して排紙部131に至る経路に沿って、搬送ユニット(給紙ローラ125、送りローラ対126、ベルト搬送機構122、及びローラ対71,72を含む)によって、搬送される。
【0024】
上記経路に沿って搬送される用紙Pをガイドするために設けられたガイド127a,127b,61,62のうち、ガイド62以外のものは、用紙Pをその表面(ヘッド10により記録が施される面)及び裏面の両側から挟むよう、各面に対向する一対の板からなるが、ガイド62は、用紙Pの裏面に対向する1の板からなる。これらガイドを構成する板の大きさは、プリンタ1において処理可能な最大幅の用紙Pをガイド可能に設定されている。
【0025】
ガイド62は、その下端から中央に亘って鉛直方向に延在すると共に、その中央から上端に亘って開口130に向けて湾曲している。そしてこの湾曲の内側領域において、ガイド62のガイド面(図1中左側の面)から所定距離だけ離隔しつつ当該ガイド面に対向する位置に、CIS50が配置されている。
【0026】
CIS50は、所謂接触式の読取ユニットであり、ガラスからなる読取面50aに用紙Pの表面を接触させ、当該用紙P表面に記録された画像を読み取るものである。CIS50は、プリンタ1内の定位置に固定されており、読取面50aがガイド62の湾曲部分(図1中右斜め上方)に向くように、傾斜した状態で配置されている。
【0027】
ガイド62の上端と開口130との間に配置されたローラ対72は、ガイド62の下端近傍にあるローラ対71よりも、鉛直方向に関して上方で且つ水平方向に関してCIS50により近接した位置に配置されている。ローラ対71,72は、搬送ユニットに含まれる他のローラ125又はローラ対126と同様、図1に直交する方向に沿った回転軸を有し、また、送りローラ対126と同様、用紙Pをその両面から挟持し、用紙Pに接触しつつ回転することにより、用紙Pを搬送する。ローラ対71,72,126はそれぞれ、対になったローラの一方が駆動ローラとしてコントローラ100の制御の下で回転し、他方が従動ローラとして一方のローラに接触しつつ当該一方のローラの回転に伴って回転する。
【0028】
次いで、図2及び図3を参照し、コントローラ100により実行されるプリンタ1の制御方法ついて説明する。
【0029】
コントローラ100は、例えばプリンタ1のインターフェースを介してプリンタ1に接続されたPC(パーソナル・コンピュータ)等から、通常記録指令又はテスト記録指令を受信する。
【0030】
通常記録指令を受信した場合、コントローラ100は、CIS50による画像読取を行わない、通常記録に係る制御を行う。即ち、コントローラ100は、給紙トレイ123からヘッド10下方の記録位置へと用紙Pが搬送され、ヘッド10の駆動により通常記録指令に含まれる通常記録データに基づく画像が用紙P上に形成され、記録後の用紙Pが記録位置から排紙部131へと搬送されるよう、プリンタ1の各部を制御する。
【0031】
通常記録時において、コントローラ100は、ローラ対71,72が同速度で回転するよう制御を行う。記録後の用紙Pは、先端が上流側ローラ対71に至った後、上流側ローラ対71に挟持されつつガイド62に沿って、上方へと搬送される。そして先端が下流側ローラ対72に至ると、用紙Pは、同速度で回転する両ローラ対71,72により挟持されつつ、ガイド62に沿って図3(a)の矢印方向に搬送され、先端から順に排紙部131へと排出される。このときの用紙Pの搬送経路を図3(a)に二点鎖線で示す。
【0032】
このようにして両ローラ対71,72に挟持されつつ搬送されている際、両ローラ対71,72の回転速度が等しいため、用紙Pにおける両ローラ対71,72間の部分は、図3(a)に示すように、ガイド62よりも外側(図3(a)中右側)又は内側(図3(a)中左側)にほとんど湾曲することなく、ガイド62の湾曲形状に沿っている。また、用紙Pの先端が両ローラ対71,72間に位置しているときにも、用紙Pはそれ自体のコシにより下方に垂れることなく図3(a)の二点差線に沿って延在する。
【0033】
CIS50は、図3(a)に示すように、通常記録時において図3(a)の二点鎖線に沿って搬送される用紙Pと接触せず、当該用紙Pから離隔している。
【0034】
一方、テスト記録指令を受信した場合、コントローラ100は、図2に示す記録品質確認処理を行う。
【0035】
先ず、コントローラ100は、テスト記録指令に含まれるテスト記録データに基づく記録を行うよう、プリンタ1の各部を制御する(S10)。即ち、コントローラ100は、給紙トレイ123からヘッド10下方の記録位置へとテスト記録用の用紙Pが搬送され、ヘッド10の駆動によりテスト記録データに基づく画像が用紙P上に形成され、記録後の用紙Pが記録位置からガイド61間を通り、さらにローラ対71に挟持されつつガイド62に沿って搬送されるよう、プリンタ1の各部を制御する。
【0036】
なお、テスト記録データは、通常記録データとは異なるデータであって、例えば全ヘッド10の全吐出口からインクが吐出されるように構成されたデータであってよく、また、テスト記録に係る画像の幅及び長さは任意に設定可能である。
【0037】
S10の処理は、S11以降の処理と並行して行われてよい。つまり、S11以降の処理が行われている間も、テスト記録データに基づいてヘッド10等を駆動し、テスト記録を行ってよい。
【0038】
次に、コントローラ100は、例えばローラ対72近傍に配置された用紙センサ(図示せず)からの検出信号やローラ対72の回転負荷の変化等に基づいて、用紙Pの先端が下流側ローラ対72に到達したか否かを判断する(S11)。用紙Pの先端が下流側ローラ対72に到達していない場合(S11:NO)、コントローラ100はS11の処理を繰り返す。用紙Pは、その先端が下流側ローラ対72に到達するまで、図3(a)に示す通常記録時と同様の経路に沿って搬送される。
【0039】
用紙Pの先端が下流側ローラ対72に到達した場合(S11:YES)、コントローラ100は、下流側ローラ対72の方が上流側ローラ対71よりも回転速度が小さくなるように回転速度を設定し、両ローラ対71,72の駆動を制御する(S12)。これにより、用紙Pは、先端がローラ対72に到達した後、両ローラ対71,72に挟持されつつ搬送されるに伴って、両ローラ対71,72の回転速度の差異及び重力の影響により、両ローラ対71,72間の部分が徐々に鉛直方向下方に撓む。
【0040】
次に、コントローラ100は、例えばCIS50からの信号等に基づいて、図3(b)に示すようにCIS50の読取面50aに用紙Pの表面が接触したか否かを判断する(S13)。CIS50の読取面50aに用紙Pの表面が接触していない場合(S13:NO)、コントローラ100はS13の処理を繰り返す。
【0041】
CIS50の読取面50aに用紙Pの表面が接触した場合(S13:YES)、コントローラ100は、両ローラ対71,72の回転速度が等しくなるよう、両ローラ対71,72の駆動を制御する(S14)。さらにコントローラ100は、用紙P上に記録された画像(テスト結果)を読み取るように、CIS50の駆動を制御する(S15)。
【0042】
これにより、用紙Pは、両ローラ対71,72間の部分が図3(b)に示すように下方に撓み且つCIS50の読取面50aに接触した状態で、等速で回転する両ローラ対71,72に挟持されつつ、図3(b)の矢印方向に搬送される。CIS50は、このようにして搬送される用紙P上に記録された画像(テスト結果)を読み取り、当該読み取ったデータをコントローラ100に転送する。
【0043】
次に、コントローラ100は、CIS50から転送されてきたデータ(テスト結果)に基づいて、ヘッド10の駆動調整が必要か否かを判断する(S16)。例えば、テスト結果に係る画像において、インク滴の滲みが認識された場合、滲みが認識された箇所に対応する一部の吐出口又は全ての吐出口から吐出されるインク滴の大きさや量を減少させるように、ヘッド10の駆動調整(この場合には、ヘッド10のアクチュエータの駆動調整等)が必要であると判断する。また例えば、テスト結果に係る画像において、不吐出や吐出不良が認識された場合、所謂フラッシング等のメンテナンスによるヘッド10の駆動調整が必要であると判断する。
【0044】
ヘッド10の駆動調整が必要であると判断した場合(S16:YES)、コントローラ100は、上記のようなアクチュエータの駆動調整(圧電アクチュエータの場合、駆動電圧の増減等)やメンテナンスによる、ヘッド10の駆動調整を行う(S17)。
【0045】
コントローラ100は、ヘッド10の駆動調整が必要でないと判断した場合(S16:NO)、又は、S17にて駆動調整を行った後、当該記録品質確認処理に係るサブルーチンを終了する。テスト記録及び画像読取が行われた用紙Pは、排紙部131に排出される。
【0046】
以上に述べたように、本実施形態によると、CIS50が、給紙トレイ123からヘッド10の下方を介して排紙部131に至る経路に沿って搬送される用紙Pに記録された画像を読取可能に配置されている。換言すると、ヘッド10への用紙Pの搬送経路とCIS50への用紙Pの搬送経路とが共通している。そのため、これら搬送経路を個別に設ける場合に比べ、装置の小型化を実現することができる。
【0047】
また、CIS50による読取位置(読取面50aに対向する位置)にある用紙Pが、CIS50が画像を読取可能な読取可能位置(焦点が合う位置であり、本実施形態では、図3(b)に示すCIS50の読取面50aと接触する位置)と、読取可能位置よりもCIS50からの距離が大きな退避位置(本実施形態では、図3(a)に示すCIS50から離隔した位置)とを選択的に取り得るように、用紙Pの位置を変化させるよう、コントローラ100により制御が行われる。このように、コントローラ100によって、読取時には用紙Pを読取可能位置に配置する一方、記録時には、用紙Pを退避位置に配置し、用紙PとCIS50との接触を回避することにより、CIS50の劣化を防止することができる。
【0048】
さらに、給紙トレイ123から排紙部131に至る経路に沿って搬送される用紙Pに対して、画像の記録及び読取を連続的に行うことが可能である。
【0049】
搬送ユニットに含まれるローラ対71,72が、給紙トレイ123からヘッド10の下方を介して排紙部131に至る経路に沿って互いに離隔し、読取位置よりも当該経路の上流側及び下流側にそれぞれ配置されている。そしてコントローラ100は、用紙Pを退避位置(図3(a)参照)から読取可能位置(図3(b)参照)へと移動させる際、ローラ対71,72の駆動を調整することで(図2のS12参照)、ローラ対71,72間において用紙PをCIS50に近づく方向に撓ませる。後述の第2実施形態のようにコントローラ100がCIS50の位置を変化させる場合、CIS50を移動させるための専用の機構を設ける必要がある。また、CIS50は定位置に固定したままで、コントローラ100が専用の部材(例えば後述の第3実施形態の用紙押え部材80等)を用紙Pに押し当てる等して用紙Pの位置を変化させることも考えられるが、この場合にも、その専用の部材及びこれを移動させるための機構を設ける必要がある。これに対し、本実施形態の構成では、コントローラ100が搬送ユニットに含まれるローラ対71,72を利用して用紙Pの位置を変化させるため、専用の部材や機構を設ける必要がない。そのため、装置構成の複雑化や製造コスト上昇が抑制されると共に、装置の小型化をより確実に実現することができる。
【0050】
ローラ対71が、CIS50による読取位置(読取面50aに対向する位置)よりも用紙搬送経路の上流側に配置されている。また、ローラ対72が、読取位置よりも用紙搬送経路の下流側において、ローラ対71よりも上方で且つ水平方向に関してローラ対71よりもCIS50に近接した位置に配置されている。これにより、重力の関係で、ローラ対71,72間において用紙PをCIS50に近づく方向に撓ませ易いという利点がある。
【0051】
CIS50が、ヘッド10よりも用紙搬送経路の下流側に配置されている。そのため、ヘッド10により記録された画像の読取を速やかに行うことができ、ヘッド10による記録の品質を確認することができる(図2参照)。
【0052】
コントローラ100は、テスト記録の結果に基づいてヘッド10の駆動を調整する(図2のS15、S16、及びS17参照)。これにより、記録品質を良好に維持することができる。
【0053】
CIS50のような接触式の読取ユニットの場合、CCD等の非接触式読取ユニットに比べ、小型であるため装置全体のさらなる小型化が可能であること、安価であること、ウォームアップ時間が不要であるため立ち上がり時間が短くてすむこと、消費電力の低減が可能であること、等の利点がある。
【0054】
供給位置としての空間Bに配置された給紙トレイ123と、排出位置としての筐体1aの天板上部に配置された排紙部131とが、ヘッド10による記録時とCIS50による読取時とにおいて共通している。つまり、ヘッド10による画像記録時、及びCIS50による画像読取時のいずれにおいても、記録媒体たる用紙Pが給紙トレイ123から送り出され、排紙部131に排出される。例えば、供給位置及び排出位置にそれぞれ画像記録・画像読取の各機能に応じた一対の記録媒体収容部(機能毎に1つずつ、計2つの給紙トレイ及び/又は計2つの排紙部)を設け、記録時と読取時とにおいて使用する記録媒体収容部を異ならせる場合、搬送経路の切換に係る作業や制御が必要となる。これに対し、本実施形態の構成では、経路切換作業等が不要であり、記録及び/又は読取を迅速に行うことができる。
【0055】
次いで、図4及び図5を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態と同じ構成要素又は工程については同じ符号又は工程番号を付して詳細な説明を省略する。
【0056】
第2実施形態に係るインクジェットプリンタは、CIS50が、プリンタ1内の定位置に常時固定されているのではなく、ソレノイド90の駆動に伴って水平方向に移動可能である点、及び、読取面50aが鉛直方向に沿うように配置されている点、並びに、記録品質確認処理時においてコントローラ100がローラ対71,72の回転速度に差異を設けない点において、第1実施形態と異なる(図5参照)。
【0057】
第2実施形態に係るCIS50は、背面(読取面50aとは反対側の面)がソレノイド90の可動部90a先端に当接した状態にあり、記録品質確認処理が行われるとき以外(例えば通常記録時)においては、図5(a)に示す後退位置(即ち、用紙Pの搬送経路外において、図5(a)の二点鎖線に沿って搬送される用紙Pと接触せず、当該用紙Pから離隔した位置)に配置されている。第2実施形態に係るCIS50は、後に詳述するように、記録品質確認処理が行われるときは、ソレノイド90が駆動して可動部90aが図中右方に延出することにより、図5(a)に示す後退位置から右方に移動し、図5(b)に示す前進位置(即ち、通常記録時と同じ経路で搬送される用紙Pの表面に沿う位置)に配置される。
【0058】
つまり、通常記録時と記録品質確認処理時とにおいて、第1実施形態では、CIS50の位置は同じで、CIS50による読取位置(読取面50aに対向する位置)近傍における用紙Pの搬送経路が異なるのに対し、第2実施形態では、CIS50による読取位置近傍における用紙Pの搬送経路は同じで、CIS50の位置が異なる。
【0059】
また、第2実施形態に係るインクジェットプリンタは、ガイド62と用紙搬送経路を挟んで対向するもう1つのガイド63をさらに有する。ガイド63は、ガイド62と同様の板からなるが、その長手方向略中央近傍に、前進位置に配置されたCIS50を収容する開口が形成されている。
【0060】
第2実施形態に係るプリンタにおいて、コントローラ100は、テスト記録指令を受信した場合、図2の代わりに図4に示す記録品質確認処理を行う。
【0061】
コントローラ100は、先ず、ソレノイド90を駆動し、可動部90aを延出させることにより、CIS50を図5(a)の後退位置から図5(b)の前進位置へと移動させる(S21)。その後、コントローラ100は、CIS50を前進位置に保持した状態で、第1実施形態と同様のテスト記録に係る処理(S10)を行い、CIS50の読取面50aに用紙Pの表面が接触したか否かを判断する(S13)。
【0062】
CIS50の読取面50aに用紙Pの表面が接触した場合(S13:YES)、コントローラ100は、用紙P上に記録された画像(テスト結果)を読み取るように、CIS50の駆動を制御する(S15)。そしてコントローラ100は、第1実施形態と同様の駆動調整に係る処理(S16,S17)を行った後、ソレノイド90を駆動し、可動部90aを後退させることにより、CIS50を図5(b)の前進位置から図5(a)の後退位置へと移動させる(S22)。
【0063】
以上に述べたように、第2実施形態によると、CIS50による読取位置(読取面50aに対向する位置)にある用紙Pが、CIS50が画像を読取可能な読取可能位置(本実施形態では、図5(b)に示すCIS50の読取面50aと接触する位置)と、読取可能位置よりもCIS50からの距離が大きな退避位置(本実施形態では、図5(a)に示すCIS50から離隔した位置)とを選択的に取り得るように、CIS50の位置を変化させるよう、コントローラ100により制御が行われる。このように、コントローラ100によって、読取時には用紙Pを読取可能位置に配置する一方、記録時には、用紙Pを退避位置に配置し、用紙PとCIS50との接触を回避することにより、第1実施形態と同様、CIS50の劣化を防止することができる。
【0064】
その他、CIS50が、給紙トレイ123からヘッド10の下方を介して排紙部131に至る経路に沿って搬送される用紙Pに記録された画像を読取可能に配置されている点、CIS50がヘッド10よりも用紙搬送経路の下流側に配置されている点、コントローラ100がテスト記録の結果に基づいてヘッド10の駆動を調整する点、接触式の読取ユニットであるCIS50を用いている点、並びに、給紙トレイ123及び排紙部131が画像記録時と画像読取時とにおいて共通している点は、第1実施形態と同様であり、上記各構成による同様の効果が得られる。
【0065】
次いで、図6及び図7を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。以下、第1実施形態と同じ構成要素又は工程については同じ符号又は工程番号を付して詳細な説明を省略する。
【0066】
第3実施形態において、CIS50は、第1実施形態と同様、プリンタ1内の定位置に常時固定されているが、第1実施形態とは異なり、当該定位置において、読取面50aが鉛直方向に沿うように配置されている。第3実施形態に係るプリンタは、図7に示すように、ソレノイド90の駆動に伴って水平方向に移動可能な用紙押え部材80をさらに有している。
【0067】
用紙押え部材80は、図7の紙面に垂直な回転軸を有する円柱形部材であり、背部(CIS50の読取面50aに対向する側とは反対側の部分)がソレノイド90の可動部90a先端に当接した状態で、プリンタ本体に対して回転可能に支持されると共に、CIS50の読取面50aに対向するよう配置されている。用紙押え部材80は、記録品質確認処理が行われるとき以外(例えば通常記録時)においては、図7(a)に示す後退位置(即ち、通常記録時の用紙搬送経路に対してCIS50とは反対側にある、CIS50とで通常記録時における用紙Pの搬送経路を挟む位置であって、図7(a)の二点鎖線に沿って搬送される用紙Pと接触せず、当該用紙Pから離隔した位置)に配置され、記録品質確認処理が行われるときは、ソレノイド90が駆動して可動部90aが図中左方に延出することにより、図7(a)に示す後退位置から左方に移動し、図7(b)に示す前進位置(即ち、通常記録時における用紙Pの搬送経路内において、用紙Pの厚み分の距離を隔ててCIS50の読取面50aと対向する位置)に配置される。
【0068】
つまり、第3実施形態では、通常記録時と記録品質確認処理時とにおいて、CIS50の位置が同じで、両ローラ対71,72の回転速度も同じであるが、用紙押え部材80を用いて、CIS50による読取位置近傍における用紙Pの搬送経路を異ならせる。
【0069】
また、第3実施形態に係るインクジェットプリンタは、ガイド62の代わりに、前進位置に配置された用紙押え部材80を収容する開口が中央近傍に設けられた一対のガイド162,163を有する。ガイド162,163は、共に板状であり、用紙Pをその表面及び裏面の両側から挟むように配置されている。
【0070】
第3実施形態に係るプリンタにおいて、コントローラ100は、テスト記録指令を受信した場合、図2の代わりに図6に示す記録品質確認処理を行う。
【0071】
コントローラ100は、先ず、ソレノイド90を駆動し、可動部90aを延出させることにより、用紙押え部材80を図7(a)の後退位置から図7(b)の前進位置へと移動させる(S31)。その後、コントローラ100は、用紙押え部材80を前進位置に保持した状態で、第1実施形態と同様のテスト記録に係る処理(S10)を行い、CIS50の読取面50aに用紙Pの表面が接触したか否かを判断する(S13)。
【0072】
CIS50の読取面50aに用紙Pの表面が接触した場合(S13:YES)、コントローラ100は、用紙P上に記録された画像(テスト結果)を読み取るように、CIS50の駆動を制御する(S15)。そしてコントローラ100は、第1実施形態と同様の駆動調整に係る処理(S16,S17)を行った後、ソレノイド90を駆動し、可動部90aを後退させることにより、用紙押え部材80を図7(b)の前進位置から図7(a)の後退位置へと移動させる(S32)。
【0073】
なお、ガイド162,163間に進入した用紙Pは、用紙押え部材80に先端が当接した後、当該部材80の外周面に沿って、CIS50の読取面50aと用紙押え部材80との間の空間へと導かれ、図7(b)に二点鎖線で示す経路に沿って搬送される。このように、用紙押え部材80は、記録品質確認処理時における用紙Pの搬送経路を通常記録時とは異ならせるものである。したがって、用紙押え部材80の大きさ(円柱の直径・長さ等)や形状は、上記のように用紙Pの搬送経路を異ならせることができるように設定されることが好ましい。本実施形態の用紙押え部材80は、ローラ対71,72に比べて大きな直径を有し、用紙押え部材80に先端が当接した後、用紙Pが例えば図7(b)右方に逸れることなくCIS50の読取面50aと用紙押え部材80との間の空間へと導かれるようになっている。
【0074】
以上に述べたように、第3実施形態によると、CIS50による読取位置(読取面50aに対向する位置)にある用紙Pが、CIS50が画像を読取可能な読取可能位置(本実施形態では、図7(b)に示すCIS50の読取面50aと接触する位置)と、読取可能位置よりもCIS50からの距離が大きな退避位置(本実施形態では、図7(a)に示すCIS50から離隔した位置)とを選択的に取り得るように、CIS50の位置を変化させるよう、コントローラ100により制御が行われる。このように、コントローラ100によって、読取時には用紙Pを読取可能位置に配置する一方、記録時には、用紙Pを退避位置に配置し、用紙PとCIS50との接触を回避することにより、第1実施形態と同様、CIS50の劣化を防止することができる。
【0075】
その他、CIS50が、給紙トレイ123からヘッド10の下方を介して排紙部131に至る経路に沿って搬送される用紙Pに記録された画像を読取可能に配置されている点、CIS50がヘッド10よりも用紙搬送経路の下流側に配置されている点、コントローラ100がテスト記録の結果に基づいてヘッド10の駆動を調整する点、接触式の読取ユニットであるCIS50を用いている点、並びに、給紙トレイ123及び排紙部131が画像記録時と画像読取時とにおいて共通している点は、第1実施形態と同様であり、上記各構成による同様の効果が得られる。
【0076】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態及び変形例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0077】
例えば、読取ユニットがヘッドによる記録位置を介した経路に沿って搬送される記録媒体に記録された画像を読み取り可能である限りは、ヘッドによる記録時と読取ユニットによる読取時とにおいて異なる給紙トレイ及び/又は排紙部を用いてもよい。
【0078】
読取ユニットは、CIS50のような接触式のもの(記録媒体の画像記録面に接触した状態で画像を読み取るもの)以外にも、焦点距離が比較的短く、画像記録面に若干の間隙を介して近接した状態で画像を読み取るもの(この場合、読取可能位置は、用紙Pが読取面50aに近接する位置となる)も含む。記録媒体に接触しなくても、焦点距離が比較的短い場合、記録媒体搬送の際に記録媒体と読取ユニットとが接触し得ることから、本発明の適用により読取ユニットの劣化を防止するという効果が得られる。
【0079】
テスト記録は、上述の実施形態では、PC等の外部機器からコントローラ100に送信されたテスト記録指令に基づいて行うこととしているが、その他、所定のタイミング(例えば、プリンタ1の電源投入時、記録枚数が所定数に達したとき、電源投入後所定時間経過したとき等)に行ってよい。
【0080】
また、テスト記録、テスト結果読取、及び結果に基づく調整処理は、本発明の必須要件ではなく、これらの処理を省略してもよい。
【0081】
読取ユニットは、テスト記録に係る画像以外にも、通常記録に係る画像(即ち、通常記録指令に基づいてヘッド10により形成された画像)を読み取ってもよいし、また、既に記録が施された記録媒体を供給位置から搬送してこの記録を読み取ってもよい。
【0082】
読取ユニットは、ヘッドよりも用紙搬送経路の下流側に配置されることに限定されず、ヘッドよりも用紙搬送経路の上流側に配置されてもよい。また、読取ユニットは、ヘッドに隣接配置されることにも限定されず、ヘッドによる記録位置を介した経路に沿って搬送される記録媒体に記録された画像を読み取り可能である限りは、装置内の任意の位置に配置されてよい。
【0083】
記録媒体を搬送する搬送ユニットの構成は様々に変更可能である。例えば、第1実施形態では、搬送部材としてのローラ対71,72が、重力の関係で記録媒体を読取ユニットに近づく方向に撓ませ易いように、読取ユニットに対して搬送経路のそれぞれ上流側及び下流側で且つ鉛直方向及び水平方向に関して異なる位置に配置されているが、これらの部材の配置はその他様々に変更可能である。また、搬送部材としては、ローラ対71,72のようなローラ状のものに限定されず、例えばスライド機構等であってもよい。さらに、ガイド62;162,163;63等がなくてもよく、また、図1に示すようにローラ対71,72間が内側にCIS50を囲むように湾曲した形状でなくてもよい。
【0084】
搬送部材間において記録媒体を読取ユニットに近づく方向に撓ませるために行われる搬送部材の駆動の調整とは、第1実施形態のような駆動速度(回転速度)の調整に限定されず、駆動方向(回転方向)の調整等も含む。
【0085】
第2及び第3実施形態ではそれぞれCIS50及び用紙押え部材80を移動させる手段としてソレノイド90を用いているが、これに限定されず、任意の移動手段を用いてよい。
【0086】
読取ユニットによる読取位置にある記録媒体が読取可能位置と退避位置とを選択的に取り得るように、記録媒体の位置を変化させる位置変更手段として、第1実施形態では搬送ユニットのローラ対71,72の駆動調整を行うこと、第3実施形態では用紙押え部材80を用いることを例示しているが、これに限定されず、その他様々な部材や処理により記録媒体の位置を変化させてよい。
【0087】
本発明に係る記録装置に含まれる記録ヘッドの数は4に限定されず、1以上であればよい。
【0088】
本発明に係る記録装置に含まれる記録ヘッドは、ライン式・シリアル式のいずれであってもよい。また、記録ヘッドは、インク以外の液体を吐出するものであってもよく、さらに、記録媒体に記録を行う限りは、液体吐出方式以外の、サーマル、ドットインパクト、レーザー方式等によるものでもよい。
【0089】
本発明に係る記録装置は、プリンタ以外のファクシミリやコピー機等であってもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 インクジェットプリンタ(記録装置)
10 インクジェットヘッド(記録ヘッド)
71 上流側ローラ対(搬送ユニット,搬送部材)
72 下流側ローラ対(搬送ユニット,搬送部材)
80 用紙押え部材(位置変更手段)
90 ソレノイド(位置変更手段)
100 コントローラ(位置変更手段)
122 ベルト搬送機構(搬送ユニット)
123 給紙トレイ(記録媒体収容部)
125 給紙ローラ(搬送ユニット)
126 送りローラ対(搬送ユニット)
131 排紙部(記録媒体収容部)
P 用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、
記録媒体の供給位置から前記記録ヘッドによる記録位置を介して記録媒体の排出位置に至る経路に沿って、記録媒体を搬送する搬送ユニットと、
前記搬送ユニットによって前記経路に沿って搬送される記録媒体に記録された画像を読み取る読取ユニットと、
前記読取ユニットによる読取位置にある記録媒体が、前記読取ユニットが画像を読取可能な読取可能位置と、前記読取可能位置よりも前記読取ユニットからの距離が大きな退避位置とを選択的に取り得るように、記録媒体及び前記読取ユニットの少なくともいずれか一方の位置を変化させる位置変更手段と
を備えたことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記搬送ユニットが、前記経路に沿って互いに離隔し、前記読取位置よりも前記経路の上流側及び下流側にそれぞれ配置された、記録媒体に接触しつつ駆動する複数の搬送部材を含み、
前記位置変更手段が、記録媒体を前記退避位置から前記読取可能位置へと移動させる際、前記複数の搬送部材の駆動を調整することで、前記搬送部材間において記録媒体を前記読取ユニットに近づく方向に撓ませることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記複数の搬送部材が、前記読取位置よりも前記経路の上流側に配置された第1搬送部材と、前記読取位置よりも前記経路の下流側において、前記第1搬送部材よりも鉛直方向に関して上方で且つ水平方向に関して前記第1搬送部材よりも前記読取ユニットに近接した位置に配置された第2搬送部材とを有することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記読取ユニットが、前記記録ヘッドよりも前記経路の下流側に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
通常記録データとは異なるテスト記録データに基づいて記録媒体にテスト記録を行うよう前記記録ヘッドの駆動を制御するテスト記録手段と、
前記テスト記録手段の制御により記録媒体に形成されたテスト記録の画像を読み取るよう前記読取手段の駆動を制御するテスト結果読取手段と、
前記テスト結果読取手段の制御により得られたテスト結果に基づいて、前記記録ヘッドの駆動を調整する調整手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記読取可能位置は記録媒体が前記読取ユニットと接触する位置であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記供給位置に配置された記録媒体収容部と、前記排出位置に配置された記録媒体収容部とが、前記記録ヘッドによる記録時と前記読取ユニットによる読取時とにおいて共通していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−208021(P2010−208021A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53319(P2009−53319)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】