説明

記録装置

【課題】比較的早い段階で被記録媒体の有無を判断することを考慮した記録装置を提供する。
【解決手段】記録装置は、被記録媒体の幅方向Xに移動可能であり、載置部11に載置された被記録媒体の側端を揃えるエッジガイド20、30と、該エッジガイドを移動させるモーターと、前記幅方向Xにおける前記エッジガイド20、30の位置を検出する位置検出手段と、前記モーターを駆動させた際の電流値が所定の閾値に達したか否かを判定する判定手段と、を備え、該判定手段によって前記電流値を監視しながら前記モーターの動力によって前記エッジガイド20、30を被記録媒体に接近する側へ移動させ、前記電流値が前記所定の閾値に達するまでは、使用可能とされている最小サイズの被記録媒体P’に対応する位置を超える位置まで移動させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体が載置される載置部と、被記録媒体の幅方向に移動可能であり、前記載置部に載置された被記録媒体の側端を揃えるエッジガイドと、を備えた記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ワイヤドットプリンター、レーザープリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に示す如く、記録装置は、載置部と、エッジガイドと、送り手段としての送りローラーと、記録部とを備えていた。前記載置部は、被記録媒体の一例である用紙が載置されるように設けられていた。また、前記エッジガイドは、前記載置部に載置された用紙の幅方向に移動可能に設けられ、用紙の側端と接触して用紙の姿勢を安定させることができるように設けられていた。さらに、用紙の側端を揃えることができるように設けられていた。またさらに、前記送りローラーは、前記載置部に載置された用紙の送り方向下流側の前記記録部側へ送ることができるように設けられていた。
【0003】
また、前記記録部は、送られてきた用紙に対して記録をすることができるように構成されていた。
具体的には、送り方向における前記載置部と前記記録部との間に設けられた用紙検出器が用紙の先端を検出することにより、前記記録装置は、用紙が有ることを認識することができた。そして、所定のタイミングで前記記録部が送られてきた用紙に対して記録を開始するように構成されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記記録装置が用紙の有無を判断するためには、前記用紙検出器の位置まで用紙を送る必要があった。具体的には、前記載置部を前記送りローラーに接近移動させ、該送りローラーを駆動させる動作を実行する必要があった。そして、前記載置部から前記用紙検出器までの距離分に相当する前記送りローラーの所定の駆動量を超えても前記用紙検出器が用紙の先端を検出しない場合、前記載置部に用紙がないと判断することができた。即ち、用紙の給送を開始した後の段階で初めて前記記録装置が用紙なしと判断することができた。従って、ユーザーに用紙がない旨のエラーを知らせるまで時間がかかった。即ち、比較的早い段階でユーザーに対して用紙がない旨のエラーを知らせることができなかった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、比較的早い段階で被記録媒体の有無を判断することを考慮した記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様の記録装置は、被記録媒体が載置される載置部と、被記録媒体の幅方向に移動可能であり、前記載置部に載置された被記録媒体の側端を揃えるエッジガイドと、該エッジガイドを移動させるモーターと、前記幅方向における前記エッジガイドの位置を検出する位置検出手段と、前記モーターを駆動させた際の電流値が所定の閾値に達したか否かを判定する判定手段と、を備え、該判定手段によって前記電流値を監視しながら前記モーターの動力によって前記エッジガイドを被記録媒体に接近する側へ移動させ、前記電流値が前記所定の閾値に達するまでは、使用可能とされている最小サイズの被記録媒体に対応する位置を超える位置まで移動させることを特徴とする。
【0007】
ここで、「所定の閾値」は、前記エッジガイドの移動中において、側端が揃っていない被記録媒体を揃える方向へ押圧するときの電流値より高く、側端が揃った被記録媒体の側端に度当たったときの電流値より低い値である。
また、「モーター」は、DCモーターを用いることが望ましい。電流値の変化を検出しやすいからである。ここで、「DCモーター」とは、直流電源を使用し、所謂、「ブラシ付きDCモーター」や「ブラシレスモーター」をいい、入力パルス数に比例して駆動する「ステッピングモーター」は含まれない。
【0008】
本発明の第1の態様によれば、前記エッジガイドを前記最小サイズの被記録媒体に対応する位置を超える位置まで移動させるまでに、前記判定手段は、前記電流値が前記所定の閾値に達したか否かを判定することができる。
そして、前記電流値が前記所定の閾値に達しなかったと判定した場合、前記記録装置は、前記載置部に被記録媒体が載置されていないと判断することができる。即ち、被記録媒体を送り方向下流側へ送る前の段階で、被記録媒体が無いと判断することができる。その結果、比較的早い段階で、ユーザーに対して被記録媒体が無いことを知らせることができる。
例えば、液晶等の表示部に被記録媒体が無い旨のエラー表示をすることによって知らせることができる。また、警告音を発することによって知らせることもできる。そして、ユーザーに被記録媒体の補充を促すことができる。
【0009】
一方、前記電流値が前記所定の閾値に達したと判定した場合、前記記録装置は、側端が揃った状態の被記録媒体の側端に前記エッジガイドが度当たったと判断することができる。即ち、前記載置部に被記録媒体が載置されていると判断することができる。そして、前記モーターの駆動を停止することができる。従って、前記エッジガイドを、載置されている被記録媒体のサイズに対応する位置で停止させることができる。このとき、前記位置検出手段により前記エッジガイドの位置を検出することによって、前記記録装置は、前記載置部に実際に載置された被記録媒体のサイズを認識することができる。
【0010】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記載置部に載置された被記録媒体を送り方向下流側へ送る第1送り手段をさらに備えており、前記載置部と前記第1送り手段とが相対的に接離移動する構成であることを特徴とする。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、被記録媒体を送り方向下流側へ送る前の段階で被記録媒体が無いと判断した場合、前記第1送り手段を駆動させないようにすることができる。その結果、前記第1送り手段を駆動させた場合と比較して、前記第1送り手段として例えば、送りローラーのダメージを低減することができる。
【0011】
また、前記給送ローラーによって被記録媒体が送られる毎に前記載置部と前記給送ローラーとが相対的に接離移動する構成である場合であって被記録媒体が無いと判断したとき、前記相対的に接近させないようにすることができる。即ち、前記相対的に接近させる前の段階で被記録媒体が無いと判断することができ、前記相対的に接近させないようにすることができる。その結果、前記相対的に接近させた場合の前記載置部と前記給送ローラーとの衝突による該給送ローラーのダメージを防止することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、被記録媒体を送り方向下流側へ送るために前記第1送り手段が駆動する前に、前記エッジガイドの被記録媒体に接近する側への移動を実行することを特徴とする。
本発明の第3の態様によれば、第2の態様と同様の作用効果に加え、前記第1送り手段が駆動する前の比較的早い段階で、被記録媒体の有無を判断することができる。無しと判断した場合に前記第1送り手段として例えば、給送ローラーのダメージを低減することができるので、特に有効である。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれか一の態様において、前記載置部より送り方向下流側の記録部へ被記録媒体を送る第2送り手段と、該第2送り手段が被記録媒体を送る量を測定するセンサーと、をさらに備え、前記モーターは、前記第2送り手段を駆動させるモーターを兼ねた構成であり、前記位置検出手段は、前記センサーを用いて検出することを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記第2送り手段を駆動させるモーターの動力を利用して前記エッジガイドを移動させることができる。従って、前記エッジガイドを移動させるためだけの専用モーターを設ける必要がない。
また、前記第2送り手段が被記録媒体を送る量を測定する前記センサーを利用して前記エッジガイドの移動量を算出することができる。
【0015】
これにより、前記エッジガイドの現在の位置を特定することができる。その結果、前記モーターを停止させたときの前記エッジガイドの位置を特定することにより、前記記録装置は被記録媒体の有無を判断することができる。即ち、別途専用の被記録媒体の有無検出器を前記載置部に設ける必要がない。
またさらに、前記記録装置は被記録媒体のサイズを認識することができる。即ち、別途専用の被記録媒体のサイズ検出器を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る記録装置を示す全体側面図。
【図2】本発明に係る給送部を示す前方斜視図。
【図3】本発明に係る給送部を示す概略側面図。
【図4】本発明に係る給送部を示す後方斜視図。
【図5】(A)(B)は本発明の給送部の動作を示す図(用紙セットしたとき)。
【図6】(A)(B)は本発明の給送部の動作を示す図(押さえ動作)。
【図7】(A)(B)は本発明の給送部の動作を示す図(エッジガイド閉)。
【図8】(A)(B)は本発明の給送部の動作を示す図(用紙無しの場合)。
【図9】(A)(B)は本発明の給送部の動作を示す図(押さえ手段レリース)。
【図10】本発明に係るエッジガイドの動作を示すチャート図。
【図11】(A)(B)は本発明に係る画像展開の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本発明に係る液体噴射装置の一例である記録装置の概略を示す全体側面図である。
ここで、液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射して被記録材への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録材に相当する被噴射材に噴射して、液体を被噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0018】
またさらに、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0019】
記録装置1は、「被記録材」としての用紙Pを記録装置1の内部へ給送するための自動給送装置としての給送部70を備えている。また、記録装置1は、用紙支持部53に支持されている用紙Pを搬送方向Yへ搬送する搬送部50として、搬送駆動ローラー51及び搬送従動ローラー52を備えている。さらに、記録装置1は、用紙支持部53に支持されている用紙Pの記録面にインクを噴射して記録を実行する記録部60として記録ヘッド62を備えている。さらに、記録装置1は、記録実行後の用紙Pを搬送方向Yへ搬送し排出する手段として、排出駆動ローラー54及び排出従動ローラー55を備えている。
【0020】
給送部70は、ホッパー71、左側の第1エッジガイド20、右側の第2エッジガイド30(図2)、給送ローラー74、給送経路75、分離パッド76及び給送用モーター77(図2)を備えている。
用紙Pが積重されて載置されるホッパー71は、給送ローラー74へ向けて揺動可能に給送部70の基体に軸支されている。第1エッジガイド20及び第2エッジガイド30は、載置された用紙Pのサイズに応じて幅方向X(搬送方向Yと交差する方向)へ摺動可能に支持されている。
【0021】
給送ローラー74は、給送部70の基体部10(図2参照)に軸支された給送用ローラー軸74aに一体に形成されており、給送用モーター77の回転駆動力で給送用ローラー軸74aが回転することによって回転する。実施例では、給送用モーター77はDCモーターである。
ここで、「DCモーター」とは、直流電源を使用し、所謂、「ブラシ付きDCモーター」や「ブラシレスモーター」をいい、入力パルス数に比例して駆動する「ステッピングモーター」は含まれない。
【0022】
ホッパー71に載置された用紙Pは、給送ローラー74へ向けてホッパー71が揺動することによって、給送ローラー74の外周面に当接した状態となる。そして、用紙Pは、給送ローラー74の回転によって、搬送駆動ローラー51と搬送従動ローラー52とが当接する部分へ向けて給送経路75を通じて給送される。このとき、公知の分離パッド76によって用紙Pの重送が防止される。
【0023】
搬送駆動ローラー51は、表面に高摩擦被膜が施されており、給送用モーター77の回転駆動力が伝達されて回転する。
尚、別途、搬送用モーターを設けてもよいのは勿論である。搬送用モーターをDCモーターで構成してもよいが「ステッピングモーター」で構成することが望ましい。搬送駆動ローラー51の駆動量を精度よく管理するためである。
【0024】
搬送従動ローラー52は、従動回転可能に軸支され、図示していないばね等の付勢手段により搬送駆動ローラー51の外周面に当接した状態で付勢されている。給送部70により給送された用紙Pは、搬送駆動ローラー51と搬送従動ローラー52とで挟持され、搬送駆動ローラー51の駆動回転により用紙支持部53上を搬送方向Yへ搬送される。
記録ヘッド62は、キャリッジ61の底部に配設されている。記録ヘッド62のヘッド面には、インクを噴射するための多数の噴射ノズル(図示せず)が配設されている。
【0025】
キャリッジ61は、記録ヘッド62のヘッド面と用紙支持部53上の用紙Pの記録面とが略平行となる状態を維持しつつ幅方向Xへ往復動可能に、キャリッジガイド軸56に支持されている。図示していないキャリッジ駆動用モーターの回転軸に配設された駆動プーリー(図示せず)と回転自在に軸支された従動プーリー(図示せず)との間には、無端ベルト(図示せず)が掛架されている。そして、その無端ベルトが連結されたキャリッジ61は、キャリッジ駆動用モーターの回転駆動力が無端ベルトを介して伝達されることにより幅方向Xへ往復動する。
【0026】
用紙支持部53は、用紙Pの幅方向Xにおいて多数のリブを有している。用紙支持部53上を搬送される用紙Pは、このリブの頂面で裏面側から支持される。用紙Pは、この用紙支持部53に支持された領域において、記録ヘッド62のヘッド面からのインク噴射により記録面にドットが形成されて記録が実行される。記録ヘッド62のヘッド面と用紙Pの記録面との間隔は、リブの頂面によって適正な間隔に規定される。
【0027】
用紙支持部53上を搬送される用紙Pは、キャリッジ61が幅方向Xへ往復動しながら記録ヘッド62のヘッド面から用紙Pの記録面にインクを噴射してドットを形成する動作と、搬送駆動ローラー51の駆動回転により所定の搬送量で搬送方向Yへ搬送する動作とが交互に繰り返されることによって、記録面への記録が実行される。インク噴射後の用紙Pは、排出駆動ローラー54と排出従動ローラー55とで挟持され、排出駆動ローラー54の駆動回転により搬送方向Yへ搬送されて排出される。これらの一連の記録制御は、マイコン制御回路を有する制御部2(図3、図4参照)により実行される。
【0028】
また、基体部10における給送ローラー74と対向する箇所には、ホッパーレバー72が挿通されるホッパーレバー挿通穴12(図2参照)が形成されている。本実施形態では、給送ローラー74の回動に連動してホッパーレバー72が揺動し、該ホッパーレバー72がホッパー71を給送ローラー74に対して接離移動させるように構成されている。そして、基体部10における用紙載置部11に載置された用紙Pは、ホッパー71によって給送ローラー74に押し付けられることにより、給送方向下流側へ給送される。
尚、図1において後述する押さえ手段80(図2参照)の図示は省略してある。
【0029】
図2に示すのは、本発明に係る給送部を示す前方斜視図である。また、図3に示すのは、本発明に係る給送部を示す側面図である。
図2および図3に示す如く、記録装置1の給送部70は、基体部10と、第1エッジガイド20と、第2エッジガイド30と、押さえ手段80と、を備えている。このうち、押さえ手段80は、載置された用紙Pの前述した浮き上がりを防止することができるように設けられている。具体的に押さえ手段80は、押さえレバー81と、係合レバー41と、レバー揺動手段100とを有している。
【0030】
このうち、押さえレバー81は、一対の押さえアーム部82、82と、一対の第1支軸84、84と、用紙当接部83と、一対の案内部85、85とを有する。一対の押さえアーム部82、82は、一対のエッジガイド20、30の幅方向外側に設けられている。そして、押さえレバー81は、第1支軸84、84において基体部10と係合し、第1支軸84、84を支点に揺動することができるように構成されている。また、用紙当接部83は、一対の押さえアーム部82、82の間に形成され、用紙Pと当接することができるように設けられている。押さえレバー81は、Y軸の矢印の方向からみて略逆U字状に設けられている。
【0031】
また、案内部85、85は、一対の押さえアーム部82、82に形成され、後述する係合レバー41の係合突部43、43を案内することができるように構成されている。具体的に案内部85、85は、一対の押さえアーム部82、82において、第1支軸84、84側から遠方に向かって長尺な長穴状に形成されている。そして、案内部85、85における積層方向上側の長尺な一面には、滑らかな面に形成された第1平滑部87、87が設けられている。同様に第1平滑部87、87と対向する積層方向下側の長尺な他面には、滑らかな面に形成された第2平滑部86、86が設けられている。
尚、一対の押さえアーム部82、82は左右対称であるので、以下、一方のみについて説明し他方の説明は省略する。第1支軸84、案内部85等についても同様である。
【0032】
また、係合レバー41は、一対の係合アーム部42、42と、一対の係合突部43、43と、第2支軸44、44と、スライド当接部47とを有する。係合レバー41は、Y軸の矢印の方向からみて略U字状に設けられている。言い換えると、一対の係合アーム部42、42は、X軸方向に延設されたスライド当接部47によって繋がっている。また、一対の係合アーム部42、42の一端側にはそれぞれ係合突部43、43が設けられている。
【0033】
またさらに、係合レバー41は、第2支軸44、44において、基体部10と係合し、第2支軸44、44を支点に揺動することができるように設けられている。そして、一対の係合突部43、43は、押さえレバー81の一対の案内部85、85の内部をそれぞれ移動可能に構成されている。
尚、一対の係合アーム部42、42は左右対称であるので、以下、一方のみについて説明し他方の説明は省略する。第2支軸44、係合突部43等についても同様である。
【0034】
また、係合レバー41の前記他端側にばね48の一端が係止され、基体部10にばね48の他端が係止されることにより、係合レバー41は、図3における時計方向へ付勢されている。
ここで、係合レバー41の姿勢は、レバー揺動手段100およびばね48によって決定されるように構成されている。
【0035】
レバー揺動手段100は、ピニオンギア101と、スライド部102と、ラック部104と、押圧部103とを有する。ピニオンギア101は、後述するクラッチ機構95を介して給送用モーター77の動力によって駆動するように設けられている。また、スライド部102は、ピニオンギア101と噛合うラック部104と、押圧部103とを有し、基体部10に案内されながらY軸方向へ摺動することができるように構成されている。またさらに、押圧部103は、係合レバー41のスライド当接部47と当接し押圧することができるように設けられている。
【0036】
そして、スライド部102がY軸の矢印の方向へ摺動すると、押圧部103が詳しくは後述するようにスライド当接部47を押圧し、係合レバー41を図3における反時計方向へ揺動させることができるように構成されている。一方、スライド部102がY軸の矢印と反対方向へ摺動すると、押圧部103はスライド当接部47から退避するように移動する。そして、係合レバー41は、ばね48の付勢力によって図3における時計方向へ揺動することができるように構成されている。
【0037】
ここで、押さえレバー81と、係合レバー41との関係について説明する。押さえレバー81は、係合レバー41が揺動することによって揺動することができるように設けられている。
具体的には、係合レバー41が図3における反時計方向へ揺動したとき、係合突部43が案内部85の第1平滑部87に当接しながら第1支軸84に対して接近するように移動する。そして、押さえレバー81を用紙Pの積層方向であるZ軸の矢印の方向へ押し上げる。即ち、押さえレバー81は、図3における反時計方向へ揺動する。
【0038】
一方、係合レバー41が図3における時計方向へ揺動したとき、係合突部43が案内部85の第1平滑部87に当接しながら第1支軸84から離間する方向へ移動する。そして、押さえレバー81を支持しながら押さえレバー81の自重によってZ軸の矢印と反対方向へ下げる。即ち、押さえレバー81は、図3における時計方向へ揺動する。
尚、押さえレバー81の自重に換えて、ばね等の付勢手段を用いてもよいのは勿論である。
【0039】
また、給送用モーター77の近傍には、給送用モーター77の駆動量を検出するためにロータリーエンコーダー3およびエンコーダーセンサー4が設けられている。本実施形態では、ロータリーエンコーダー3およびエンコーダーセンサー4によりエッジガイド(20、30)の移動量を算出することができるように構成されている。また、エッジガイド(20、30)の移動量よりエッジガイド(20、30)の現在の位置を特定することもできるように構成されている。即ち、エッジガイド(20、30)の位置を検出する位置検出手段5は、給送用モーター77の駆動量を検出するために設けられたロータリーエンコーダー3およびエンコーダーセンサー4を利用して検出することができるように設けられている。
【0040】
図4に示すのは、本発明に係る給送部を示す後方斜視図である。
図4に示す如く、給送部70は、基体部10に対して用紙Pの幅方向Xに移動する一対のエッジガイド(20、30)を有する。具体的には、給送部70の正面(図2参照)から向かって右側の第1エッジガイド20と、左側の第2エッジガイド30とを有する。
尚、図4では理解を容易にするために、押さえ手段80の図示を省略する。
【0041】
また、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30は、幅方向外側から内側へ移動することによって基体部10の用紙載置部11に載置された用紙Pを、揃えることができるように設けられている。
またさらに、給送部70は、給送用モーター77の動力を第1エッジガイド20、第2エッジガイド30および係合レバー41へ伝達する動力伝達機構90を有する。以下、詳しく説明する。
【0042】
動力伝達機構90は、モーターピニオン91、第1ギア92、第2ギア93、第1複合ギア94、クラッチ機構95、第5ギア96、タイムラグ機構120、動力伝達シャフト110、ウォーム111、第1はすばラック22および第2はすばラック32を有する。このうち、モーターピニオン91は、給送用モーター77に設けられており、第1ギア92へ動力を伝達するように構成されている。
【0043】
そして、第1ギア92は第2ギア93へ動力を伝達し、第2ギア93は第1複合ギア94の第3ギア94aへ動力を伝達するように設けられている。ここで、第1複合ギア94は、同軸上に径の異なる第3ギア94aおよび第4ギア94bを有する。そして、第3ギア94aは、クラッチ機構95によって、第5ギア96へ動力を伝達する動力伝達接続状態および伝達しない動力伝達切断状態に切替え可能に設けられている。一方、第4ギア94bは、他の図示しないギア輪列を介してホッパーレバー72、給送ローラー74、搬送駆動ローラー等へ動力と伝達するように構成されている。
【0044】
尚、本実施形態において、クラッチ機構95は、キャリッジ61が用紙Pの幅方向XにおけるX軸の矢印方向下流側端部に位置したときに当接する当接レバー(図示せず)と、該当接レバーを幅方向XにおけるX軸の矢印方向上流側へ付勢する付勢ばね(図示せず)と、を備えている。そして、該付勢ばねの付勢力に抗してキャリッジ61が前記当接レバーを幅方向XにおけるX軸の矢印方向下流側へ揺動することにより、第1複合ギア94が用紙Pの幅方向XにおけるX軸の矢印方向上流側へ移動するように構成されている。
従って、第3ギア94aが第5ギア96と噛合った動力伝達接続状態に切替えることができる。
【0045】
一方、キャリッジ61が幅方向XにおけるX軸の矢印方向上流側へ移動し前記当接レバーから離間する際、前記付勢ばねの付勢力によって前記当接レバーが幅方向XにおけるX軸の矢印方向上流側へ揺動する。これに伴って、第1複合ギア94が用紙Pの幅方向XにおけるX軸の矢印方向下流側へ移動するように構成されている。
従って、第3ギア94aが第5ギア96と噛合っていない動力伝達切断状態に切替えることができる。
【0046】
第5ギア96は、動力伝達シャフト110上に動力伝達シャフト110に対して回動自在に設けられている。そして、タイムラグ機構120を介して動力伝達シャフト110へ動力伝達可能に設けられている。
ここで、タイムラグ機構120は、第5ギア96が一方向へ回動し始めてからの回動量が所定量に達したときに第5ギア96の動力が動力伝達シャフト110へ伝達するように構成されている。
【0047】
具体的にタイムラグ機構120は、第5ギア96に設けられた第1凸部(図示せず)と、リング部121と、リング部121に設けられた第2凸部(図示せず)および第3凸部(図示せず)と、動力伝達シャフト110に設けられた第3凸部(図示せず)と、を有する。第5ギア96およびリング部121は、動力伝達シャフト110上に動力伝達シャフト110に対して回動可能に設けられている。
【0048】
先ず、第5ギア96が一方向への回動を開始し、一回転が完了する直前に、第5ギア96の第1凸部(図示せず)が、リング部121の第2凸部(図示せず)と係合する。
次に、第5ギア96およびリング部121が一体に同じ方向へ回動し、リング部121が一回転する直前に、リング部121の第3凸部(図示せず)が、動力伝達シャフト110の第4凸部(図示せず)と係合する。
【0049】
そして、第5ギア96、リング部121および動力伝達シャフト110が一体に同じ方向へ回動するように構成されている。
即ち、第5ギア96の一方向への回動量が所定の回動量に達したときに、動力伝達シャフト110に動力が伝達されるように構成されている。第5ギア96が逆方向への回動を開始した場合も同様である。ここで、回動が停止するタイミングは、第5ギア96も動力伝達シャフト110も同じである。
尚、タイムラグ機構120を設けずにエッジガイド(20、30)を移動させるモーターと、押さえレバー81を移動させるモーターとをそれぞれ独立して設けてもよいのは勿論である。
【0050】
動力伝達シャフト110は、一体に形成されたウォーム111を介して第1エッジガイド20と一体に設けられた第1はすばラック22、および第2エッジガイド30と一体に設けられた第2はすばラック32へ動力を伝達する。従って、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を用紙Pの幅方向Xへ移動させることができる。このとき、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30の動きを左右対称にすることができる。即ち、幅方向内側へ閉じるように移動させ、逆に幅方向外側へ開くように移動させることができる。
【0051】
尚、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30が、ウォーム111、第1はすばラック22および第2はすばラック32の構成により移動するように設けたが該構成に限られない。所謂、ラックアンドピニオンの構成により移動するように設けてもよいのは勿論である。
続いて、用紙Pが用紙載置部11にセットされてから給送が開始するまでの間の第1エッジガイド20、第2エッジガイド30、および押さえレバー81の動作について詳しく説明する。
【0052】
[用紙セットしたとき]
図5(A)(B)に示すのは、用紙セットしたときの給送部を示す概略図である。このうち、図5(A)は側面図である。一方、図5(B)は給送方向上流側からみた図である。
図5(A)(B)に示す如く、用紙Pを用紙載置部11にセットするとき、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30は、幅方向外側に目一杯開いた状態である。また、押さえレバー81の用紙当接部83は積層方向上方へ目一杯上がった状態である。
【0053】
具体的には、スライド部102がY軸の矢印方向へ摺動した状態であって、係合レバー41が、押圧部103と当接した状態である。従って、ユーザーは用紙載置部11に容易に用紙Pをセットすることができる。
尚、キャリッジ61は当接レバー(図示せず)と当接し、動力伝達機構90の動力伝達が接続状態となっている。
【0054】
[用紙押さえ動作]
図6(A)(B)に示すのは、用紙押さえ動作を実行したときの給送部を示す概略図である。このうち、図6(A)は側面図である。一方、図6(B)は給送方向上流側からみた図である。
図6(A)に示す如く、図5(A)(B)の状態から給送用モーター77が駆動すると、スライド部102がY軸の矢印と逆方向へ摺動する。そして、押圧部103が離間する方向へ移動するため、係合レバー41は、ばね48の付勢力によって図中における時計方向へ揺動する。
【0055】
このとき、押さえレバー81には、自重が作用している。従って、押さえレバー81は、前述したように係合突部43に支持されながら自重によって時計方向へ揺動する。即ち、押さえレバー81の用紙当接部83は、用紙Pに接近移動する。
その結果、図6(A)(B)に示す如く、押さえレバー81の用紙当接部83は、用紙Pの表面と当接する。
【0056】
この際、係合突部43が、案内部85において第1平滑部87と当接しながら第1支軸84から離間する方向へ移動する。即ち、押さえアーム部82の自由端側である先端側へ移動する。そして、用紙当接部83が用紙Pと当接したとき、係合突部43は、案内部85の第1平滑部87から離間する。その後、係合突部43が、第2平滑部86へ接近し、第2平滑部86と当接した状態となる。
【0057】
従って、係合突部43と第2平滑部86との接触した箇所を介して、ばね48の付勢力を受けて用紙当接部83は、用紙Pの表面を押さえることができる。
尚、本実施形態では、ばね48の付勢力が、押さえレバー81が用紙載置部上の用紙Pに接近する方向へのみ付勢するように構成したが所謂、二位置安定機構としてもよい。言い換えると、押さえレバー81が上がった状態の位置および下がった状態の位置へ付勢するように構成してもよい。係る場合も同様の効果を得ることができるからである。
【0058】
[用紙側端揃え動作]
図7(A)(B)に示すのは、用紙側端揃え動作を実行したときの給送部を示す概略図である。このうち、図7(A)は側面図である。一方、図7(B)は給送方向上流側からみた図である。
図7(A)(B)に示す如く、図6(A)(B)の状態からさらに給送用モーター77が駆動する。すると、前述したタイムラグ機構120により動力伝達シャフト110が回動し始める(図4参照)。具体的には、第5ギア96の回動量が所定の回動量に達して、前記第1凸部(図示せず)が前記第2凸部(図示せず)と係合し、前記第3凸部(図示せず)が前記第4凸部(図示せず)と係合する。
【0059】
そして、第5ギア96、リング部121および動力伝達シャフト110が一体に回動する。さらに、ウォーム111が、第1はすばラック22を介して第1エッジガイド20を幅方向内側へ移動させる。同様に、ウォーム111が、第2はすばラック32を介して第2エッジガイド30を幅方向内側へ移動させる。即ち、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を幅方向内側へ閉じるように移動させることができる。
【0060】
そして、第1エッジガイド20における幅方向内側に設けられた第1ガイド面21が、用紙Pの一方の側端と当接し、複数の用紙Pの側端を揃える。同様に、第2エッジガイド30における幅方向内側に設けられた第2ガイド面31が、用紙Pの他方の側端と当接し、複数の用紙Pの他方の側端を揃える。さらに、第1ガイド面21および第2ガイド面31によって用紙Pは幅方向Xにおいて中央に揃えられる。
【0061】
このとき、制御部2が、給送用モーター77の電流値が所定の閾値に達したか否かを判定し、該判定によって、用紙Pの側端が揃ったか否かを判断するように構成されている。具体的には、複数の用紙Pの側端が揃っていない場合において、第1エッジガイド20の第1ガイド面21が一の用紙Pの側端と当接し、幅方向内側へ押しているとき、給送用モーター77の電流値が所定の閾値に達しない。
【0062】
そして、第1ガイド面21および第2ガイド面31が複数の用紙Pの側端と当接し、複数の用紙Pの両側側端が揃って、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30がそれ以上幅方向内側へ移動できない状態となったとき、給送用モーター77の電流値が上昇し、所定の閾値に達する。給送用モーター77の電流値が所定の閾値に達したとき、制御部2は、給送用モーター77を一時停止させる。
【0063】
このとき、用紙Pの枚数が少ない場合、用紙Pは幅方向両側から内側へ押される力を受けるので、用紙Pの幅方向Xにおける中央部分が積層方向上方へ押し上げられるように力が作用する。即ち、幅方向Xにおける用紙Pの中央部分が浮き上がるように撓もうとする。
そこで、本実施形態の給送部70は、前述したように押さえ手段80を有している。従って、第1エッジガイド20と第2エッジガイド30との間において、用紙Pの表面をしっかりと押さえることができる。
【0064】
その結果、用紙Pの幅方向Xにおける中央部分が浮き上がるように撓もうとすることを防止することができる。
また、後述するように用紙Pの両側側端が揃った状態で停止させたエッジガイド(20、30)の位置から用紙Pのサイズを判断することができる。エッジガイド(20、30)の位置は、前述した位置検出手段5によって検出することができる。
【0065】
[用紙無しの場合]
図8(A)(B)に示すのは、用紙が用紙載置部にセットされていない場合において用紙側端揃え動作を実行したときの給送部を示す概略図である。このうち、図8(A)は側面図である。一方、図8(B)は給送方向上流側からみた図である。
図8(A)(B)に示す如く、用紙Pが用紙載置部11にセットされていない場合でも、制御部2は用紙側端揃え動作を実行する。即ち、給送動作を実行する前の段階において、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を幅方向内側へ移動させるように設けられている。そして、用紙Pの有無を判断することができるように設けられている。
【0066】
具体的には、記録装置1の用紙載置部11にセット可能な複数の用紙サイズがある。そして、制御部2は、給送用モーター77の電流値を監視しながら、エッジガイドが目一杯開いた状態の位置から、このうちの最小の用紙サイズの用紙P’に対応するエッジガイドの位置より僅かに内側となる位置まで第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を移動させる。この際、給送用モーター77の電流値が所定の閾値に達しないことから、制御部2は、セット可能な用紙サイズのいずれのサイズの用紙Pも用紙載置部11にセットされていないと判断することができる。
【0067】
そして、セットされていないと判断したとき、液晶等の表示部に用紙がセットされていない旨や用紙の補充を要する旨を表示して、ユーザーに用紙のセットを促すことができる。
即ち、給送動作を実行する前の比較的早い段階において、記録装置1は、用紙Pが無いことを認識することができる。従って、用紙載置部11に用紙Pが無い状態で、ホッパーアップすることを防止することができる。その結果、ホッパー71と給送ローラー74とが直接衝突することによる給送ローラー74のダメージを防止することができる。
【0068】
[用紙押さえ解除動作]
図9(A)(B)に示すのは、用紙押さえ解除動作を実行したときの給送部を示す概略図である。このうち、図9(A)は側面図である。一方、図9(B)は給送方向上流側からみた図である。
図9(A)に示す如く、図7の状態から給送用モーター77が逆転駆動すると、スライド部102がY軸の矢印方向へ摺動する。そして、押圧部103が接近し当接するため、係合レバー41は、ばね48の付勢力に抗して図中における反時計方向へ揺動する。
【0069】
従って、係合レバー41を反時計方向へ揺動させ、係合突部43を第2平滑部86から離間する方向へ移動させることができる。そして、係合突部43の背側を案内部85の第1平滑部87と当接させることができる。
続いて、押圧部103は、さらに係合レバー41を反時計方向へ揺動させる。すると、係合突部43は、第1平滑部87を積層方向上方へ押し上げながら、押さえレバー81を自重に抗して反時計方向へ揺動させる。
【0070】
その結果、用紙当接部83を用紙Pの表面から離間する方向である積層方向上方へ移動させることができる。即ち、レリースさせることができる。
このとき、係合突部43は、案内部85において第1平滑部87と当接しながら第1支軸84へ接近する方向へ移動する。即ち、押さえアーム部82の基端側へ移動する。
そして、係合レバー41は、図3および図5(A)に示す姿勢となる。これに伴い、押さえレバー81の姿勢も、図3および図5(A)に示す姿勢となる。
【0071】
このとき、図4に示す第5ギア96が逆転し前記第1凸部(図示せず)が一度、前記第2凸部(図示せず)から離間して反対側から係合する。さらに、第5ギア96がリング部121と一体となって逆転する。そして、前記第3凸部(図示せず)が前記第4凸部(図示せず)から離間して反対側から接近する。ここで、前記第3凸部(図示せず)が反対側から前記第4凸部(図示せず)へ接近し、係合する前に、制御部2は、給送用モーター77を停止させる。仮に、係合すると、動力伝達シャフト110が逆転し第1エッジガイド20および第2エッジガイド30が幅方向外側へ開いてしまうからである。
【0072】
用紙Pの両側側端が第1エッジガイド20および第2エッジガイド30によって揃えられた状態で、キャリッジ61を、当接レバー(図示せず)から離間させる。従って、給送用モーター77から第1エッジガイド20、第2エッジガイド30および押さえレバー81へ動力を伝達する動力伝達機構90の動力伝達を切断状態にすることができる。
その後、制御部2は、給送用モーター77を駆動させ、給送ローラー74を回動させる。また、ホッパーレバー72を揺動させホッパー71を給送ローラー74に対して接近移動させる。所謂、ホッパーアップである。これにより、用紙載置部11に載置された複数の用紙Pのうち、最上位の用紙Pが給送ローラー74によって給送方向下流側へ送られる。そして、記録部60において記録が実行される。
【0073】
このとき、押さえレバー81が積層方向上方へ退避しているので、押さえレバー81が用紙Pに対して搬送負荷となる虞がない。即ち、記録実行中におけるバックテンションとなる虞がない。
また、用紙Pの姿勢は、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30によって安定する。
その結果、良好な記録を実行することができる。
【0074】
また、動力伝達機構90は、ウォーム111、第1はすばラック22および第2はすばラック32を有している。従って、大きな減速比の回転を伝達することができる。ここで、減速比が大きいため、ウォーム111の回動力は、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30が幅方向Xへ移動する力へ容易に変換される。逆に、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30が幅方向Xへ移動する力は、ウォーム111が回動する力へ変換されにくい構成とすることができる。
【0075】
即ち、給送中に用紙Pの側端が第1エッジガイド20および第2エッジガイド30に当接し、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を幅方向外側へ押圧した場合であっても、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30は幅方向外側へ開きにくい。その結果、給送中の用紙Pの姿勢を安定させることができる。
尚、本実施形態において、レバー揺動手段100およびばね48の付勢力によって係合レバー41を揺動させる構成としたが該構成に限られない。スライド部102と係合レバー41とを完全に連結し、ばね48を用いずに係合レバー41を揺動させる構成としてもよい。
【0076】
また、給送用モーター77が逆転駆動した際、前記第3凸部(図示せず)が反対側から前記第4凸部(図示せず)へ接近し、係合した直後に給送用モーター77を停止してもよい。係る場合、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を僅かに幅方向外側へ移動させ、用紙Pの両側側端が第1エッジガイド20および第2エッジガイド30と接触することによる摩擦抵抗を低減することができる。その結果、バックテンションをより低減することができる。
【0077】
また、一のジョブで連続して用紙Pを給送して記録を実行する場合、図9(A)(B)に示す状態で連続して給送することができる。
ここで、「一のジョブ」とは、入力された一の指令をいう。例えば、10枚の用紙Pを給送し記録する指令であれば、10枚の用紙Pを給送し記録を実行することが一のジョブである。
【0078】
用紙載置部11に載置された用紙Pの残り枚数が0枚になるまで、または用紙Pのサイズおよび種類等の設定条件を変更するまでは、図9(A)(B)に示す状態で連続して給送することができる。
尚、用紙Pを一枚一枚給送する前に、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を幅方向内側へ閉じて用紙Pの有無を確認するように構成してもよい。係る場合、用紙Pが無い状態でホッパーアップすることを防止することができる。その結果、給送ローラー74とホッパー71とが直に衝突することによる給送ローラー74のダメージを防止することができる。
【0079】
図10に示すのは、本発明に係るエッジガイドの動作を示すチャート図である。
図10に示す如く、ステップS1では、ユーザーが記録設定を行う。具体的には、ユーザーが記録装置1の電源をONにする。そして、記録する写真等の画像のイメージデータを選択する。また、用紙サイズ、紙種、画質モードや縁なし記録モード等の設定を選択する。さらに、前記表示部やパソコン画面に表示された印刷プレビューをみて確認をする。そして、ステップS2へ進む。
【0080】
ステップS2では、制御部2がエッジガイド(20、30)をホームポジションへ移動させる(図3参照)。ここで、「ホームポジション」とは、移動可能範囲において目一杯幅方向外側へ開いた状態の位置をいう。制御部2がエッジガイド(20、30)の位置を確認するため、およびユーザーが用紙Pをセットすることができるようにするためである。
具体的には、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を幅方向Xにおける移動可能範囲において、最も外側の位置であるホームポジション(図4および図5に示す位置)まで移動させる。このとき、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30は図示しない規制部に度当たるように設けられている。そして、ステップS3へ進む。
【0081】
尚、この際、負荷測定である所謂、メジャメントを実行してもよい。制御部2が、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を移動させた際の負荷としてのDCモーターである給送用モーター77の電流値を測定する。この際、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30は、ホームポジションから移動可能範囲における最も内側の位置まで移動し、その後、もとのホームポジションまで移動する。
ここで、メジャメントを実行することによって、後述する「所定の閾値」の値を変更することができるように構成されている。
【0082】
ステップS3では、制御部2が押さえレバー81を下げる(図6参照)。その後、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を幅方向内側へ移動させる(図7参照)。用紙Pの有無を確認するため、および用紙サイズを判断するためである。
この際、前述したようにキャリッジ61は幅方向XにおけるX軸の矢印方向下流側へ移動し、動力伝達機構90の動力伝達が接続した状態となっている。従って、給送用モーター77を駆動させることにより、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を幅方向内側へ移動させることができる。そして、ステップS4へ進む。
【0083】
ステップS4では、制御部2の判定手段が、給送用モーター77の電流値が所定の閾値に達したか否かを判定する。第1エッジガイド20および第2エッジガイド30が用紙Pの両側側端と度当たったか否かを判断するためである。
ここで、「所定の閾値」は、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30が単に用紙Pの一側端と当接したときの負荷による電流値より大となる値である。また、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30が両側側端の揃った用紙Pの両側側端と当接した所謂、度当たったときの負荷による電流値より小となる値である。
【0084】
尚、本実施例では、所定の閾値を電流値で設定したが、電圧値で設定してもよいのは勿論である。係る場合も同様の作用効果を得ることができるからである。
そして、所定の閾値に達したと判定した場合、ステップS5へ進む。度当たったと判断してエッジガイド(20、30)の移動を停止するためである。一方、否と判定した場合、ステップS3へ戻る。用紙Pの側端が未だ揃っていない状態であり、さらにエッジガイド(20、30)を移動させて用紙Pの側端を揃える必要があるからである。
【0085】
ステップS5では、制御部2がエッジガイド(20、30)の移動を止める。そして、エッジガイド(20、30)の移動量を取得する。具体的には、給送用モーター77の駆動を停止させる。そして、給送用モーター77の近傍に設けられたロータリーエンコーダー3およびエンコーダーセンサー4により、エッジガイド(20、30)が基準となるホームポジションから停止した位置までの移動量を算出する。
ここで、タイムラグ機構120によりエッジガイド(20、30)に伝達されなかった給送用モーター77の駆動量を考慮してエッジガイド(20、30)の移動量を算出するのは言うまでもない。
【0086】
また、ロータリーエンコーダー3およびエンコーダーセンサー4によりエッジガイド(20、30)の移動量を算出することができるので、エッジガイド(20、30)の位置および移動量を検出するためだけの専用のリニアエンコーダースケールをエッジガイド(20、30)または基体部10に設ける必要がない。即ち、給送用モーター77の駆動量を検出するロータリーエンコーダー3およびエンコーダーセンサー4を利用して、エッジガイド(20、30)の移動量を算出することができる。
そして、ステップS6へ進む。
【0087】
ステップS6では、制御部2が用紙載置部上の用紙Pの有無を判断する。具体的には、前述したステップS5で算出したエッジガイド(20、30)の移動量と、ホームポジションから載置可能な最小サイズの用紙P’に対応するエッジガイド(20、30)の位置までの距離(移動量)とを比較する(図7および図8参照)。
ここで、「載置可能な最小サイズの用紙」とは、記録装置1が対応可能な用紙サイズのうち最も小さいサイズの用紙P’をいう。
また、幅方向Xにおいて、エッジガイド(20、30)の移動可能範囲の最も内側となる位置は、記録装置1に対応可能な最小サイズの用紙P’に対応するエッジガイド(20、30)の位置より幅方向内側となるように構成されていることを前提とする。
【0088】
そして、ステップS5で算出したエッジガイド(20、30)の移動量が前記距離(移動量)より大と判定した場合、制御部2は用紙P(P’)が無いと判断する(図8参照)。係る場合、エラーとなるためステップS17へ進む。
一方、ステップS5で算出したエッジガイド(20、30)の移動量が前記距離(移動量)以下と判定した場合、制御部2は用紙Pが有ると判断する(図7参照)。係る場合、記録を実行することが可能であるためステップS7へ進む。
【0089】
ステップS7では、制御部2が、ステップS4において閾値に達したと判定した回数を数えるカウンターの値が所定の回数(本実施例では1回)に達したか否かを判定する。エッジガイド(20、30)を複数回、用紙Pの両側側端に当てるためである。複数回当てることにより、1回のみ当てた場合と比較して、用紙Pの両側側端をよりきれいに揃えることができる。
【0090】
尚、実施例では所定の回数を1回としたが、2以上の整数でもよい。仮に所定の回数を2回とした場合、ステップS7ではステップS4において閾値に達したと判定した回数が2回に達したか否かを判定する。
そして、達したと判定した場合、用紙Pの側端の揃い具合を判断するためにステップS8へ進む。一方、まだ達していないと判定した場合、達するまで繰り返すべくステップS18へ進む。
【0091】
ステップS8では、制御部2が、前回のエッジガイド(20、30)の移動量と今回のエッジガイド(20、30)の移動量とが同じか否かを判定する。
ここで、「同じ」とは、誤差を考慮した幅のある範囲で略同じであることをいう。言い換えると、前回の移動量と今回の移動量との差が所定の許容値以下か否かを判定する。
同じ場合(所定の許容値以下と判定した場合)、用紙Pの側端が既にきれいに揃っている状態であると判断することができる。一方、異なる場合(前記否と判定した場合)、用紙Pの側端が徐々に揃ってきているがまだばらついている状態であると判断することができる。
【0092】
ここで、今回のエッジガイド(20、30)の移動量は、直前のステップS5で算出した複数回目の幅方向内側へ閉じる動作における移動量である。一方、前回のエッジガイド(20、30)の移動量は、幅方向内側へ閉じる動作の直前の開く動作(後述するステップS19)における移動量である。
尚、前回のエッジガイド(20、30)の移動量は、前記複数回目が3以上の整数である場合、該整数より一少ない複数回目の幅方向内側へ閉じる動作における移動量としてもよい。
【0093】
また、移動量に換えてエッジガイド(20、30)の位置で判定してもよい。具体的には、前回閉じたときのエッジガイド(20、30)の位置と、今回閉じたときのエッジガイド(20、30)の位置とが同じであるか否かを判定してもよい。係る場合も、誤差を考慮した幅のある範囲で略同じであるか否かを判定するのは勿論である。エッジガイド(20、30)の位置は、ロータリーエンコーダー3およびエンコーダーセンサー4により算出したエッジガイド(20、30)の移動量に基づいて算出することができる。
そして、同じと判定した場合(所定の許容値以下と判定した場合)、用紙Pの側端がきれいに揃っていると判断し、用紙サイズを特定するためにステップS9へ進む。一方、同じではないと判定した場合(前記否と判定した場合)、まだ用紙Pの側端が十分に揃っていないと判断し、揃うまで繰り返すべくステップS18へ進む。
【0094】
ステップS9では、制御部2は、給送用モーター77をホールド状態にする。そして、エッジガイド(20、30)の移動量に基づいて用紙幅を特定する。具体的には、給送用モーター77に微弱電流を送りモーターピニオン91が動かないようにしてホールド状態にする。そして、ロータリーエンコーダー3およびエンコーダーセンサー4により算出したエッジガイド(20、30)の移動量に基づいて現在のエッジガイド(20、30)の位置を算出する。これにより、用紙幅を特定する。即ち、どの用紙サイズの用紙Pがセットされているのかを判断する。そして、制御部2が判断した用紙サイズと、ユーザーが意図した用紙サイズとが同じか否かを判断するためにステップS10へ進む。
【0095】
ステップS10では、制御部2は、既に設定された用紙サイズと実際にセットされている用紙サイズとが同じか否かを判定する。具体的には、ステップS1で入力部であるユーザーインターフェースによってユーザーが設定した用紙サイズと、ステップS9で特定した用紙サイズとが同じか否かを判定する。
ここで、「同じ」とは、誤差を考慮した幅のある範囲で略同じであることをいう。
同じと判定した場合、直ちに用紙Pを給送して記録開始するべく、ステップS13へ進む。一方、同じでないと判定した場合、ユーザーに確認を求めるべく、ステップS11へ進む。
【0096】
ステップS11では、制御部2は、表示部やパソコン画面に警告を表示する。具体的には、「セットした用紙が違います。そのまま記録(印刷)しますか?」の旨を表示する。これにより、ユーザーに確認を促すことができる。
尚、警告音を発するようにしてもよいのは勿論である。
そして、ユーザーがそのまま記録する操作をした場合、即ち、OK(Yes)ボタン等を押した場合、記録用画像データの記録範囲を実際の用紙サイズに合わせるべく、ステップS12へ進む。
【0097】
ここで、「記録用画像データ」とは、記録ヘッド62からインクを吐出するためのデータをいう。
一方、ユーザーがそのまま記録しないとする操作をした場合、即ち、Noボタン等を押した場合、シーケンスを中断する。この場合、エッジガイド(20、30)は幅方向外側のホームポジションへ移動する。従って、ユーザーは用紙サイズを変更することができる。そして、ユーザーが用紙サイズを変更した場合、ステップS1から再開する。
【0098】
ステップS12では、制御部2は、画像のイメージデータD1(図11参照)を用紙サイズに合わせて記録用画像データD3(図11参照)に展開する。即ち、画像のイメージデータD1を実際の用紙サイズに合わせて拡大または縮小して記録用画像データD3に展開する。
ここで、「画像のイメージデータ」とは、記録装置1に入力された画像のデータであって、記録実行するために記録用画像データD3(D2)に展開(変換)される前の状態のデータをいう。
【0099】
尚、制御部2がステップS10で「同じでない」と判定する前の段階において、画像のイメージデータD1を記録用画像データD2に既に展開していた場合、元のイメージデータD1から実際の用紙サイズに合わせて記録用画像データD3に展開する。または、一度展開した用紙サイズに合っていない記録用画像データD2(図11参照)から用紙サイズを合わせた記録用画像データD3に展開し直してもよい。係る場合、元のイメージデータD1に戻してから用紙サイズに合わせた記録用画像データD3に展開し直してもよいし、用紙サイズに合っていない記録用画像データD2から直接的に用紙サイズに合わせた記録用画像データD3に展開してもよい。
【0100】
例えば、実際の用紙サイズがキングサイズ(縦(幅方向Xの長さ)102mm×横(送り方向Yの長さ)152mm)P1(図11参照)であるとする。これに対して、画像のイメージデータD1がL判サイズ(縦(幅方向Xの長さ)89mm×横(送り方向Yの長さ)127mm)に対応しているとする。係る場合、画像のイメージデータD1をキングサイズに対応するように記録用画像データD3に展開する。即ち、キングサイズに拡大する。
この際、所謂、縁なし記録モードであった場合は、同様に縁なし記録モードで記録することができるように展開する。
【0101】
逆に、実際の用紙サイズがL判サイズ(縦(幅方向Xの長さ)89mm×横(送り方向Yの長さ)127mm)P2(図11参照)であるとする。これに対して、画像のイメージデータD1がキングサイズ(縦(幅方向Xの長さ)102mm×横(送り方向Yの長さ)152mm)に対応しているとする。係る場合、画像のイメージデータD1をL判サイズに対応するように記録用画像データD3に展開する。即ち、L判サイズに縮小する。
そして、用紙Pを給送するべくステップS13へ進む。
【0102】
ステップS13では、制御部2は、用紙Pの給送を開始する。具体的には、給送用モーター77を駆動させ、ホッパー71を給送ローラー74へ接近移動させる。また、給送ローラー74を駆動させる。そして、用紙載置部11に載置された用紙Pのうち、給送ローラー74に対して最上位の用紙を給送ローラー74がピックアップして送り方向下流側の記録部60へ給送する。この際、前述したように押さえレバー81を上方へ移動させることは言うまでもない(図9参照)。また、バックテンションを低減するために、エッジガイド(20、30)を幅方向外側へ僅かに移動させてもよいのは勿論である。そして、記録を実行するべくステップS14へ進む。
【0103】
ステップS14では、制御部2は、用紙Pに対して記録を実行する。具体的には、搬送駆動ローラー51および搬送従動ローラー52が給送ローラー74によって送られてきた用紙Pを記録部60へ送る。そして、制御部2は、用紙Pを送りながら記録ヘッド62からインクを吐出させて記録を実行する。この際、ステップS10で同じと判定した場合は、記録範囲が変更されていないそのままの記録用画像データD2(D3)に基づいて記録を実行する。
ここで、「記録用画像データ」とは、前述したように記録ヘッド62からインクを吐出するためのデータをいう。
【0104】
尚、記録用画像データD2(D3)は、記録開始前に予め画像のイメージデータD1から展開して準備しておいてもよい。展開方法は、公知技術であるデータの展開方法(例えば特開2002−118757号公報)を用いるものとする。該展開方法によって画像のイメージデータD1を並び替え等の変換をして記録用画像データD2(D3)にする。並び替えを必要とするのは、記録ヘッド62の各色のノズル列方向からインクを吐出するためのデータの並び順とイメージデータD1の各色の並び順とが異なるからである。また、インク色に対応するようにデータを変換するためである。
【0105】
また、インク色に対応するようにデータを変換するためである。例えば、画像のイメージデータD1が赤、緑、青の色光の三原色RGB形式(Red、Green、Blue)である場合は、シアン、マゼンタ、イエローの色料の三原色にブラックを加えたCMYK形式に変換をして記録用画像データD2(D3)にする。インク色がCMYKの4色より多い場合は、それに応じて変換するのは言うまでもない。
【0106】
一方、ステップS10で同じでないと判定した場合は、ステップS12において展開された記録用画像データD3に基づいて記録を実行する。係る場合、給送開始前の段階から記録用画像データの記録範囲の変更の処理を開始することができる。そして、記録開始前に該記録用画像データの記録範囲の変更の処理を完了することができる。即ち、記録用画像データの記録範囲の変更の処理が未完了であるために搬送駆動ローラー51を停止させ記録開始を遅らせなければならないといった状態になる虞がない。
【0107】
従って、給送開始から記録完了までの一枚当たりの所要時間である所謂、スループットが長くなる虞がない。
記録が完了したら排出部によって用紙Pは排出される。そして残りの記録実行指令があるか否かを判定するべくステップS15へ進む。
ここで、「残りの記録実行指令」とは、一のジョブにおける次の用紙Pの記録実行指令をいう。「一のジョブ」とは、入力された一のまとまった指令をいう。例えば、10枚の用紙Pを給送し記録する指令であれば、10枚の用紙Pを給送し記録を実行することが一のジョブである。
【0108】
ステップS15では、制御部2は、残りの記録実行指令があるか否かを判定する。ある場合は、連続して給送し記録を実行するためである。あると判定した場合、連続して給送し記録を実行するべくステップS13へ戻る。一方、否と判定した場合、シーケンスを終了するべくステップS16へ進む。
ステップS16では、制御部2は、エッジガイド(20、30)をホームポジションへ移動させる。基準となる位置へエッジガイド(20、30)を移動させ、用紙サイズの変更や次のジョブに素早く対応することができるようにするためである。具体的には、給送用モーター77を駆動させることによって、エッジガイド(20、30)を幅方向外側へ移動させる。そして、シーケンスを終了する。
【0109】
ステップS17では、制御部2がエラーとして処理する。用紙載置部11に用紙Pが無いと判断したためである。
ステップS18では、制御部2は、カウンターの値をN=N+1とする。閾値に達した回数を増加させるためである。そして、エッジガイド(20、30)を幅方向外側へ僅かに移動させるべくステップS19へ進む。
【0110】
ステップS19では、制御部2は、エッジガイド(20、30)を幅方向外側へ僅かに移動させる。言い換えると、エッジガイド(20、30)を僅かに幅方向外側へ開く。用紙Pの側端からエッジガイド(20、30)を離間させ、再びステップS3およびステップS4において幅方向内側へ閉じた際にエッジガイド(20、30)と用紙Pの側端とを衝突させるためである。
ステップS3〜ステップS8、ステップS18およびステップS19の順でループさせることにより、用紙Pの両側側端を揃える際、エッジガイド(20、30)を用紙Pの両側側端に複数回衝突させることができる。従って、1回のみ衝突させた場合と比較して、用紙Pの両側側端をより精度良くきれいに揃えることができる。
【0111】
また、複数回衝突させることによって、用紙Pと用紙Pとの間に隙間を発生させることが可能である。従って、積層された用紙Pの束をほぐしながら両側側端を揃えることができる。即ち、くっついた用紙Pと用紙Pとをほぐして、精度良く両側側端を揃えることができる。その結果、用紙サイズの判別をより精度良く実行することができる。
また、本実施形態において、エッジガイド(20、30)は、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30が左右対称に移動する所謂、中央揃え式であるがこれに限られない。即ち、エッジガイドの一方を固定し、他方のみを移動させる所謂、片側寄せ式であってもよい。
【0112】
図11(A)(B)に示すのは、本発明に係る前述したステップS12の画像展開の例を示す図である。このうち、図11(A)は実際の用紙サイズがキングサイズであることに対して、画像のイメージデータがL判サイズに対応する場合の例を示す概念図である。一方、図11(B)は実際の用紙サイズがL判サイズであることに対して、画像のイメージデータがキングサイズに対応する場合の例を示す概念図である。
【0113】
図11(A)に示す如く、例えば、実際の用紙サイズがキングサイズ(縦(幅方向Xの長さ)102mm×横(送り方向Yの長さ)152mm)P1であるとする。これに対して、画像のイメージデータD1(または一度展開した用紙サイズに合っていない記録用画像データD2)がL判サイズ(縦(幅方向Xの長さ)89mm×横(送り方向Yの長さ)127mm)に対応しているとする。
【0114】
係る場合、画像のイメージデータD1(または一度展開した用紙サイズに合っていない記録用画像データD2)をキングサイズに対応するように記録用画像データD3に展開する。即ち、キングサイズに拡大する。
この際、所謂、縁なし記録モードであった場合は、同様に縁なし記録モードで記録することができるように展開する。
【0115】
図11(B)に示す如く、例えば、実際の用紙サイズがL判サイズ(縦(幅方向Xの長さ)89mm×横(送り方向Yの長さ)127mm)P2であるとする。これに対して、画像のイメージデータD1(または一度展開した用紙サイズに合っていない記録用画像データD2)がキングサイズ(縦(幅方向Xの長さ)102mm×横(送り方向Yの長さ)152mm)に対応しているとする。
係る場合、画像のイメージデータD1(または一度展開した用紙サイズに合っていない記録用画像データD2)をL判サイズに対応するように記録用画像データD3に展開する。即ち、L判サイズに縮小する。
【0116】
本実施形態の記録装置1は、被記録媒体の一例である用紙Pが載置される載置部である用紙載置部11と、用紙Pの幅方向Xに移動可能であり、用紙載置部11に載置された用紙Pの側端を揃えるエッジガイドとしての第1エッジガイド20および第2エッジガイド30と、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を移動させるモーターである給送用モーター77と、幅方向Xにおける第1エッジガイド20および第2エッジガイド30の位置を検出する位置検出手段5と、給送用モーター77を駆動させた際の電流値が所定の閾値に達したか否かを判定する判定手段としての制御部2と、を備え、制御部2によって前記電流値を監視しながら給送用モーター77の動力によって第1エッジガイド20および第2エッジガイド30を用紙Pに接近する側へ移動させ、前記電流値が前記所定の閾値に達するまでは、使用可能とされている最小サイズの用紙P’に対応する位置を超える位置まで移動させることを特徴とする。
【0117】
また、本実施形態において、用紙載置部11に載置された用紙Pを送り方向下流側へ送る第1送り手段としての給送ローラー74をさらに備えており、用紙載置部11のホッパー71と給送ローラー74とが相対的に接離移動する構成であることを特徴とする。
またさらに、本実施形態において、用紙Pを送り方向下流側へ送るために給送ローラー74が駆動する前に、第1エッジガイド20および第2エッジガイド30の用紙Pに接近する側への移動を実行することを特徴とする。
【0118】
また、本実施形態において、用紙載置部11より送り方向下流側の記録部60へ用紙Pを送る第2送り手段としての搬送部50と、搬送部50が用紙Pを送る量を測定するセンサーとしてのエンコーダーセンサー4およびロータリーエンコーダー3と、をさらに備え、前記モーターは、搬送部50を駆動させる給送用モーター77を兼ねた構成であり、位置検出手段5は、エンコーダーセンサー4およびロータリーエンコーダー3を用いて検出することを特徴とする。
【0119】
尚、上記実施例では、ホッパーが給送ローラーに対して接離移動する構成としたが、給送ローラーがホッパー(または用紙載置部)に対して接離移動する構成としてもよい。また、用紙載置部が給送ローラーに接離移動する構成でもよい。係る場合も同様の効果を得ることができるからである。またさらに、給送動作毎に給送ローラーが用紙載置部上に載置された用紙から離間移動しない構成でもよい。係る場合も従来技術の構成と比較して早い段階で用紙がないと判断することができるからである。
また、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0120】
1 記録装置、2 制御部、3 ロータリーエンコーダー、4 エンコーダーセンサー、
5 位置検出手段、10 基体部、11 用紙載置部、12 ホッパーレバー挿通穴、
20 第1エッジガイド、21 第1ガイド面、22 第1はすばラック、
30 第2エッジガイド、31 第2ガイド面、32 第2はすばラック、
41 係合レバー、42 係合アーム部、43 係合突部、44 第2支軸、
47 スライド当接部、48 ばね、50 搬送部、51 搬送駆動ローラー、
52 搬送従動ローラー、53 用紙支持部、54 排出駆動ローラー、
55 排出従動ローラー、56 キャリッジガイド軸、60 記録部、
61 キャリッジ、62 記録ヘッド、70 給送部、71 ホッパー、
72 ホッパーレバー、74 給送ローラー、74a 給送用ローラー軸、
75 給送経路、76 分離パッド、77 給送用モーター、80 押さえ手段、
81 押さえレバー、82 押さえアーム部、83 用紙当接部、84 第1支軸、
85 案内部、86 第2平滑部、87 第1平滑部、90 動力伝達機構、
91 モーターピニオン、92 第1ギア、93 第2ギア、94 第1複合ギア、
94a 第3ギア、94b 第4ギア、95 クラッチ機構、96 第5ギア、
100 レバー揺動手段、101 ピニオンギア、102 スライド部、
103 押圧部、104 ラック部、110 動力伝達シャフト、111 ウォーム、
120 タイムラグ機構、121 リング部、D1 画像のイメージデータ、
D2 用紙サイズに対応していない記録用画像データ、
D3 用紙サイズに対応した記録用画像データ、P 用紙、P1 キングサイズの用紙、
P2 L判サイズの用紙、P’ 最小サイズの用紙、X (用紙の)幅方向、
Y 給送方向、Z (用紙の)積層方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0121】
【特許文献1】特開2002−128286号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体が載置される載置部と、
被記録媒体の幅方向に移動可能であり、前記載置部に載置された被記録媒体の側端を揃えるエッジガイドと、
該エッジガイドを移動させるモーターと、
前記幅方向における前記エッジガイドの位置を検出する位置検出手段と、
前記モーターを駆動させた際の電流値が所定の閾値に達したか否かを判定する判定手段と、を備え、
該判定手段によって前記電流値を監視しながら前記モーターの動力によって前記エッジガイドを被記録媒体に接近する側へ移動させ、前記電流値が前記所定の閾値に達するまでは、使用可能とされている最小サイズの被記録媒体に対応する位置を超える位置まで移動させることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記載置部に載置された被記録媒体を送り方向下流側へ送る第1送り手段をさらに備えており、
前記載置部と前記第1送り手段とが相対的に接離移動する構成であることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、被記録媒体を送り方向下流側へ送るために前記第1送り手段が駆動する前に、前記エッジガイドの被記録媒体に接近する側への移動を実行することを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置において、
前記載置部より送り方向下流側の記録部へ被記録媒体を送る第2送り手段と、
該第2送り手段が被記録媒体を送る量を測定するセンサーと、をさらに備え、
前記モーターは、前記第2送り手段を駆動させるモーターを兼ねた構成であり、
前記位置検出手段は、前記センサーを用いて検出することを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−26037(P2011−26037A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171263(P2009−171263)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】