診断および治療のための共鳴調節物質
免疫機能を監視および/または変更するための方法および装置が開示される。この方法は、免疫機能を監視または刺激するために、免疫系と相互作用することができるカップリング剤としての共鳴調節化合物を使用する。共鳴調節物質は、この物質を適用した標的部位に免疫細胞を誘引する固有の電磁特性を有する。標的領域の電磁特性(電圧振幅など)は共鳴調節物質存在下で変化し、免疫機能の指標として役立つ。外部刺激(電磁場の適用など)を共鳴調節物質に適用して、その免疫刺激および誘引特性を増強することもできる。共鳴調節物質の特定の例は、センサー/調節物質として機能することを可能にする、所望の電気/磁気特性を有するアリールヒドラゾンである。共鳴調節物質は、例えば、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007)または2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(BDP-DNP)であってもよい。これらの物質は、生体環境との静電相互作用が可能な共鳴分子内双極性運動を有する。前述のアリールニトロヒドラゾンは、化学、生物学および放射性変化ならびに外傷に関連する創発的行動特性を有する細胞集団と相互作用する能力を有する。本開示は、共鳴調節物質の多くの他の例も提供し、その他の共鳴調節物質を同定するためのこれらの物質およびアッセイの貢献も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、例えば、感染症および新生物疾患の診断および/または治療において、免疫機能を監視および変更する方法に関する。同様に、感染症、および感染性病原体に関連する腫瘍の治療法も開示する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2003年2月28日出願の米国特許仮出願第60/450,877号の恩典を主張し、これを参照として本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
背景
1. 序論
免疫療法は、健康を保持する生得的能力を改善するための被検者の免疫応答の調節を含む。電磁場と免疫などの生体機能との間に関係があることが認められている。例えば、米国特許第4,670,386号は、強い抗原性を有する腫瘍特異的抗原の発現は、腫瘍細胞を、癌細胞の双極性分子成分における極性の周期的で急速な交互変化を引き起こす高周波数電磁放射に曝露することで誘導されることを開示した。しかし、超高周波数放射の欠点の一つは、生体組織に対して有害で損傷を起こしうる熱を生じることである。
【0004】
電磁放射と免疫との間の関係は、米国特許第6,038,478号にも例示されており、これは電極を所望の部位にあて、リンパ球を誘引するのに十分な電流で組織を刺激することにより、体内の所望の部位にリンパ球が誘引されうることを開示している。米国特許公報第2002/0072646 A1号では、低エネルギー交流磁場を用いて免疫応答を誘導した。同様に、WO 02/062418 Alは、被検者を磁場、または角調節された超高周波数電磁場に曝露することによる免疫機能の増強を開示している。
【0005】
The Biomedical Engineering Handbook (CRC Press 1995)の第50章に述べられているとおり、生体系はそれらに関連する電気活性を有することが多い。この活性は、一定のDC電場、一定の荷電粒子もしくは電流のフラックス、または時間依存性もしくは生化学的現象に関連する時間変動電場もしくは電流でありうる。生体電気現象は、生体構造におけるイオンまたは荷電分子の分布、および特定のプロセスによって起こる、この分布の変化に関連している。
【0006】
電磁バイオインピーダンス測定は診断のために用いられてきた。例えば、WO 01/076475は、生体組織において渦電流を誘導するための交流磁場の使用を開示している。標的組織に隣接するコイルで電流を発生させるために、発振器回路を用いる。生じる電圧の振幅は組織の伝導率に比例するため、バイオインピーダンスの変化を用いて、前立腺腫瘍などの腫瘍に関連する組織の変化を検出する。組織タイプを区別するためのもう一つの組織インピーダンス測定装置は、WO 01/67098に開示されている。これらのPCT公報(WO 01/076475およびWO 01/67098)両方の開示は参照として本明細書に組み込まれる。
【0007】
生物およびそれらの細胞成分への電磁場の影響はこれまでに認識されている。しかし、この相互関係を利用することは困難で、電磁放射を調節する外部供給源に免疫系をより有効に結合する必要がある。
【0008】
2. PTP
プロテインホスファターゼは、少なくとも二つの別の異なるファミリー:セリン/トレオニンホスファターゼおよびチロシンホスファターゼ(PTP)からなる。ヒトチロシンホスファターゼ(ヒトPTP)は、すべての真核生物に存在するタンパク質の大きく多様なファミリーである。各PTPは、触媒活性に必須であることが知られているシステインおよびアルギニン残基を含む11-残基配列モチーフで特徴付けられる、少なくとも一つの保存ドメインからなる。PTPの配列は、セリンまたはトレオニン、酸性またはアルカリ性ホスファターゼとの類似点を持たない。PTPファミリー内の構造における多様性は主に、触媒ドメインのNH2-またはCOOH-末端に結合した様々な非触媒配列によるものである。細胞内リン酸代謝およびドメインに関与する多くのPTPがある。細胞外セグメントの多様性はおそらく、PTPが曝露され、リン酸転移を触媒する様々なリガンドを反映している。
【0009】
チロシンホスファターゼ(PTP)は一般に、二つのサブグループに分類される。第一のサブグループは、一つの保存された触媒ホスファターゼドメインを含む、低分子量の細胞内酵素からなる。すべての公知の細胞内型PTPは一つの保存触媒ホスファターゼドメインを含む。第一グループのPTPの例には、胎盤PTP 1B、T細胞PTP、ラット脳PTP、ニューロンホスファターゼ(STEP)、および細胞骨格タンパク質に相同の領域を含む細胞質ホスファターゼが含まれる。
【0010】
第二のPTPサブグループは、R-PTPと呼ばれる高分子量の受容体結合PTPで、細胞内触媒領域、一つの膜貫通セグメント、およびリガンドに結合すると推測される細胞外ドメインを含む。R-PTPのリガンドに結合すると推測される細胞外「受容体」ドメインの構造およびサイズは、高度の相同性を示すR-PTPの細胞内触媒領域とは対照的に、非常に異なる。すべてのR-PTPは二つのタンデム複製された触媒ホスファターゼ相同性ドメインを有するが、顕著な例外としてHPTPβと呼ばれるR-PTPがあり、これは触媒ホスファターゼドメインを一つだけ有する。(Tsai et al., J. Biol. Chem. 266(16):10534-10543 (1991))。
【0011】
R-PTPの一例は白血球共通抗原(LCA)である(Ralph, S. J., EMBO J. 6:1251-1257 (1987))。LCAはすべての白血球およびそれらの造血前駆細胞の表面で発現される高分子量糖タンパク質のファミリーである。いくつかの種由来のLCA配列で、顕著な類似性が検出されている(Charbonneau et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:7182-7186 (1988))。LCAは文献中で、T200、B細胞型のB220、マウスアロタイプマーカーLy-5、および最近ではCD45などの異なる名前で呼ばれる(Cobbold et al., Leucocyte Typing III, ed. A. J. McMichael et al., pp. 788-803 (1987))。CD45はT細胞活性化において重要な役割を果たすと考えられている。これらの研究については、Weiss A., Ann. Rev. Genet. 25:487- 510 (1991)に総説が記載されている。
【0012】
R-PTPのもう一つの例は、白血球共通抗原関連分子(LAR)である(Streuli et al., J. Exp. Med. 168:1523-1530 (1988))。加えて、公開出願WO92/01050は、ヒトR-PTP-α、βおよびγ、ならびにこれら3つのR-PTPの保存ドメインとこのタンパク質ファミリーの他のメンバーの間で見られる構造的相同性の性質に関する報告を開示している。
【0013】
細胞外PTPは表面認識および白血球表面認識の接着分子に関連している。PTPはヒト細胞に関係しているだけでなく、真核細胞およびウイルスや、細菌中にも存在する。腺ペストの起因菌である病原性細菌エルシニアにおいて、Yop2bチロシン特異的PTPは基本的なビルレンス決定子である。
【0014】
多くの研究で、生理的プロセスにおけるPTPの重要性が示されている。TおよびBリンパ球、顆粒球、ならびにマクロファージの表現型の欠陥および過剰増殖挙動は、癌および自己免疫疾患の発生における主要な問題であると考えられている。
【0015】
3. 共鳴構造
共鳴構造は、電子の位置が異なる化合物の複合電子構造を例示する。複数の代替構造を共鳴構造と呼び、分子をこれらの構造の共鳴混成体と呼ぶ。
【発明の開示】
【0016】
開示の概要
本明細書において、治療反応(免疫応答など)を刺激する方法であって、治療(免疫刺激など)を必要とする被検者に、共鳴分子内双極性運動(または電気的密度)を有し、それにより生体環境と相互作用することができる、共鳴調節化合物の治療上有効な量を投与することによる方法が開示される。化合物の投与は、標的部位への局所適用、ペレットの皮膚への挿入、患部器官への配置、および吸入を含む、多くの形態を取ることができる。共鳴調節化合物は、共鳴調節化合物近傍の標的領域にリンパ球などの免疫細胞が浸潤することによって部分的に特徴付けられる、免疫応答を刺激することができる。標的領域の電磁特性も、免疫細胞が標的部位に侵入することによって変化し、これらの電磁変化を検出して(例えば、共鳴調節物質からの電磁シグナルにより)、被検者の免疫応答の妥当性を評価することができる。このように、例えば、予想される免疫細胞の凝集が見られないことにより、免疫応答の欠損を速やかに検出し、適当な治療または予防的介入を行うことができる。そのような介入の一つは、共鳴調節化合物を、局所的に標的部位、および遠隔操作で全身の両方の免疫応答を増強する外部電磁刺激に曝露することである。そのような電磁刺激の例は、化合物内の電位を流れる電流、誘導磁場、または化合物にあてられる放射エネルギー(レーザーエネルギーなど)である。
【0017】
共鳴調節化合物の特定の例は、ポリアリールモノニトロまたはジニトロフェニルヒドラゾンなどのフェニルヒドラゾンなどのアリールニトロヒドラゾン、例えば、
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、ヒドロキシフェニル(2-または4-ヒドロキシフェニルなど)、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2は無置換(C6H5)またはC6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、もしくはC6H5Clなどの置換フェニル基であり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2などのニトロフェニルであり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)である。
【0018】
特定の例において、化合物は2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007と呼ぶ)で、この化合物は
(式中、R1はOHであり、R2はC6H40Hであり、かつXはC6H3-2,4(NO2)2である)である。共鳴調節化合物の多くの他の例も本明細書に開示しており、そのうちのいくつかを添付の図12、16および17に示す。これらにはホルミルおよびアセチルバルビツールフェニルヒドラゾン類縁体が含まれる。もう一つの例は2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン
(式中、Xはニトロフェニル(C6H3-2,4(NO2)2)であり、R1はHであり、R2は無置換フェニルであり、かつR3はCH2である)である。
【0019】
これらの化合物は、生体環境と静電相互作用することが可能と考えられる共鳴分子内双極性運動を有し、特定の例においては、R-PTP CD45+ PTPサブタイプで見られるものなどのR-PTPの細胞外触媒受容体と、または一般にはリンパ球と相互作用する。この相互作用はリンパ球(Tリンパ球など)を化合物が適用された標的領域へと誘引する。共鳴調節化合物は非常に電気陰性度が高く、静電連結(affiliation)が可能であるが、典型的には実質的化学反応性に欠け、局所的化学反応を起こすことはない。それにもかかわらず、これらの化合物は、例えば、リンパ球(例えば、CD45+ Tリンパ球、例えば、CD45RO+またはCD45RA+リンパ球などのTリンパ球)をリンパネットワークから動員することで免疫機能を活性化し、化合物に曝露された体の標的領域に免疫活性を集中させると考えられる。共鳴調節化合物は、リンパ系で見られるものなどの分散型免疫細胞ネットワークとの相互作用により、標的領域から遠い位置、例えば、脾臓において免疫系を刺激することも可能である。この免疫応答の動員を用いて、感染症または腫瘍を治療することができる。
【0020】
特定の態様において、共鳴調節化合物は、被検者の皮膚に適用する、例えば、皮膚表面にゲルで局所適用することにより、またはそうではなく皮膚中に導入する、例えば、化合物の結晶もしくはペレットを皮内に配置することにより投与することができる。しかし、共鳴調節物質は、化合物を体内、例えば、患部器官または腫瘍(悪性腫瘍または転移病変など)に導入することにより投与して、局所免疫応答を刺激し、リンパ系からリンパ球を動員し、かつ免疫応答を標的器官または腫瘍に向けることもできる。共鳴調節物質は気管気管支または口咽頭投与のためにエアロゾル製剤で投与することもできる。一例において、化合物を胸壁乳癌病変もしくは子宮頸部上皮癌などの転移もしくは上皮病変に、またはその近傍に局所適用する。標的領域の免疫反応を刺激するために、病変に対し治療上十分に接近した部位で、化合物を被検者の上皮または表皮表面に適用する。表在病変(乳房腫瘍の胸壁再発または子宮頸部もしくは肛門上皮癌など)の例において、化合物を病変に直接適用する。
【0021】
化合物の共鳴調節活性(およびその結果としての免疫刺激活性またはPTP活性化活性)は、化合物をその共鳴調節増大を誘導する電磁場(時間変動電場、時間変動磁場、および/または放射電磁場など)に曝露することにより増強することができる。例えば、そのような場は、磁気プローブを被検者に投与した化合物の近くに設置するか、または二つの電極の間の化合物を通って流れる電流を与えるか、またはレーザーエネルギーで化合物を照射するレーザーにより誘導することができる。特定の態様において、共鳴調節化合物を皮膚の標的領域に、都合のよいパッチまたはペレットを用いて適用し、化合物の共鳴調節を増大させる様式で電場を誘導することにより、免疫系の活性を都合よくアップレギュレートすることができる。この様式において、皮膚表面の共鳴調節物質は外部から適用した電磁場と免疫系との間の好都合なカプラーとして作用し、共鳴調節物質の部位で特に局所的に免疫機能を増大させることができる。しかし、免疫機能は、共鳴調節化合物から遠隔の全身で増強することができるとも考えられている。
【0022】
共鳴調節物質のPTP(免疫系の成分など)と相互作用する能力により、免疫機能を監視するために化合物を用いることも可能になる。共鳴調節物質の標的領域への適用(例えば、皮膚に適用したパッチ)により、免疫系の細胞成分などのPTP発現細胞が動員されることが観察されている。免疫細胞の誘引は明らかに、樹状細胞および他の初期リンパ球と静電相互作用し、これらを誘引することにより起こる。これらの細胞は共鳴調節物質の近くで凝集し、それらが凝集する標的領域の電磁特性(バイオインピーダンスなど)を変化させる。変化した電磁特性は、例えば、電極間に電圧がかけられていない場合でも、標的領域両端の電位差の振幅の変化として検出可能である。特定の態様において、電極を調節物質と接触させて置き、化合物の共鳴調節により固有変動電圧を経時的に発生させる。これらの変動電圧の振幅を用いて、免疫機能を監視する。例えば、電極間の電圧振幅が正常な対照と比べて低下した場合、免疫機能が損なわれていることを示している。
【0023】
波形の振幅(または他の電磁特性)を監視して、化合物に対する被検者の免疫系の反応を評価することもできる。経時的な電圧振幅の増大は、免疫応答が起こった(そして、リンパ球などの免疫効果器細胞が標的領域に移動した)ことを示している。振幅の増大があらかじめ決められた閾値(少なくとも10%、25%または50%の増大予想値など)よりも低い場合、さらなる診断または治療的介入を行って、免疫障害の理由を評価または矯正することができる。例えば、免疫応答障害の感染性、毒性または新生物性の原因について、厳密な調査を行うことができる。または、共鳴調節化合物をその共鳴調節増大を誘導する電磁場に曝露することにより、免疫応答をアップレギュレートすることができる。もう一つのアプローチは、適当な抗感染または抗新生物化学療法で、被検者の治療を開始することであると考えられる。
【0024】
共鳴刺激物質は、これを被検者に投与(例えば、皮膚転移上またはその近くの標的領域への局所適用により)することにより、腫瘍を治療するために特に有効である。次いで、外部からの電磁場を物質に任意に適用して、その共鳴調節を増大させ、それによりその免疫刺激効果を高めることもできる。外部電磁場は、例えば、局在磁場を誘導する磁気プローブ、電極間にかけられた誘導外部電流、または共鳴調節化合物の共鳴調節を刺激するレーザーによって発生させてもよい。その結果としての抗原提示細胞(樹状細胞など)および免疫効果器細胞(T細胞など)の標的領域への動員増大が、腫瘍標的に対する直接的免疫監視および免疫効果器活性を助ける。共鳴調節物質は、例えば、細胞の悪性変換を誘導したHPV感染に関連する癌などの、子宮頸部、肛門または膣癌を治療するために用いることができる。
【0025】
特定の態様において、免疫応答を、CD45+ Tリンパ球などのCD45+細胞などのRPTP発現細胞またはRPTPもしくはCD45+発現感染細胞を通じて、またはこれらに対して刺激する。そのような細胞の一例は、パピローマウイルス、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、または免疫不全ウイルス(HIVなど)に感染した細胞などのウイルス感染細胞に応答して産生されたリンパ球である。
【0026】
免疫応答を監視する特定の方法において、共鳴調節化合物を被検者と接触させて(例えば、被検者の皮膚上または皮膚内に)配置し、化合物の固有の共鳴調節が化合物の特徴的波形を生じるようにする。化合物から検出された波形(電圧または他の電磁波の変化)を監視して、免疫機能の変化に関連する、化合物によって生じた波形を検出する。特定の態様において、化合物中の電圧変化を経時的に検出することにより、例えば、経時的に見られるであろうと予期される増大よりも小さい振幅を有する波形を検出することにより、波形を監視する。この方法のいくつかの態様において、免疫機能の変化に関連する波形が検出されれば、波形の検出に応じて診断または治療的介入を行うことができる。
【0027】
例えば、介入は、変化した免疫の特徴(Tリンパ球などの免疫応答に関与する細胞の数もしくは機能の低下、または特定の細胞など)または免疫変化の原因(免疫不全ウイルスへの感染、または免疫機能を変化させる、腫瘍などの新生物状態)を検出するよう設計された診断的介入であってもよい。または、免疫変化の検出により、抗新生物もしくは抗感染療法(抗生物質または抗ウイルス薬など)を投与し、かつ/または免疫機能を増強するために化合物の共鳴を調節することになる。化合物の共鳴を調節することは、化合物の共鳴調節を促進し、その結果、免疫機能を改善する、誘導電磁場を化合物にかけることを含む。特定の態様において、免疫機能の改善とは、Tリンパ球(CD45+ Tリンパ球など)の共鳴調節化合物適用部位への動員改善である。
【0028】
開示した方法は、腫瘍を共鳴調節化合物の治療上有効な用量に曝露し、化合物に外部電磁場をかけてその共鳴調節を増大させ、それにより腫瘍を治療するための化合物の抗腫瘍効果を高めることにより、腫瘍を治療する方法も含む。または、この方法を用いて、化合物の治療上有効な量を投与することにより、感染症(ペスト菌感染症などの細菌感染症またはHPVもしくはHIV感染症などのウイルス感染症、あるいは病原体によってPTPが発現される他の感染症など)を治療することもできる。特定の例において、治療量とは、細胞のPTP細胞外受容体と相互作用して受容体を活性化するのに十分な量である。いずれの治療の特定の例においても、化合物を被検者の皮膚、または感染もしくは新生物部位に適用する。化合物は、例えば、パピローマウイルス(HPVなど)に感染した被検者の皮膚、または泌尿性器もしくは肛門性器の上皮(肛門、膣または子宮頸部の上皮)に、局所用ゲルとして適用することもできる。いくつかの例において、上皮は、子宮頸部上皮内または高度もしくは扁平上皮内新生物(CIN/HSIL)、肛門上皮内新生物(AIN/HSIL)または扁平上皮癌などの、形成異常または化性上皮である。特定の例において、化合物は、少なくとも5日間などの治療効果を示すのに十分な期間、被検者に局所投与する、0.25%ゲルとして適用する。特定の治療法において、ゲルを1日1回適用し、かつ/または有効量は少なくとも0.25%の化合物を含む局所用ゲルを少なくとも2グラムである。
【0029】
共鳴調節化合物の珍しい性質により、インビトロまたはインビボのいずれでも、樹状細胞および/またはリンパ球を濃縮する方法において、この化合物を用いることができる。例えば、生体組織(または細胞)を共鳴調節化合物の有効量に曝露することにより、生体組織から(または培養中に)リンパ球などのRPTP+細胞(例えば、Tリンパ球などのCD45+細胞)を濃縮することができる。一例において、この物質を被検者の皮膚に適用し、物質適用部位およびその周囲にRPTP+細胞(リンパ球など)を濃縮する。しかし、リンパ球および/または樹状細胞などのRPTP+細胞は、乳房、結腸、または前立腺腫瘍などの、物質を導入した体内のいかなる標的領域にも誘引することができる。または、この物質をリンパ球および/または樹状細胞などのRPTP+細胞を含む組織培養中に導入し、これらの細胞を物質に誘引することもできる。細胞の亜集団の選択的濃縮を、この様式で行うことができる。共鳴調節物質を用いて、例えば、CD45RO+およびCD45RB+細胞表面マーカーの発現を誘導することにより、これらの細胞の濃度を高めることもできる。特定の態様において、細胞毒性活性を有するCD45RO+の選択的発現が起こる。
【0030】
本発明の前述および他の目的、特徴、および利点は、いくつかの態様に関する下記の詳細な説明を、添付の図面を参照しながら読むことでさらに明らかになると思われる。
【0031】
詳細な説明
略語
A-007:4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン
AMTR:A-007磁気トランジスタ共振器
An:抗原
APC:抗原提示細胞
BDP-DNP:2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン
DC:樹状細胞
DNP:ジニトロフェニルヒドラゾン
PTP:チロシンホスファターゼ
【0032】
II. 用語
特に記載がない限り、技術用語は通常の用法に従って用いる。分子生物学における一般的用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V, published by Oxford University Press, 1994 (ISBN 0-19-854287-9);Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)に記載されていると考えられる。
【0033】
これらの用語のいずれかが参照として組み込まれた文書と矛盾する場合、本文書に示される用語の意味が支配することになる。
【0034】
本開示の様々な態様の検討を容易にするために、特定の用語の説明を以下に示す:
【0035】
動物:生きている多細胞脊椎生物で、例えば、哺乳類および鳥類を含む範疇。哺乳類なる用語はヒトおよびヒト以外の哺乳類の両方を含む。同様に、「被検者」なる用語は、ヒトおよび獣医学的被検者の両方を含む。
【0036】
抗原:動物に注入または吸収された組成物を含む、動物の抗体産生またはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物、または物質。抗原は、異種免疫原によって誘導されたものを含む、特定の液性または細胞性免疫の生成物と反応する。「抗原」なる用語は、すべての関連する抗原決定基を含む。
【0037】
CDマーカー:異なるクラスのリンパ球に対する細胞表面マーカーとして役立ちうる、分化クラスター(CD)マーカー。特定のヒト白血球抗原(HLA)への特定のモノクローナル抗体の結合によってCDが決定された、系統的命名法が開発されている。CDマーカーに関するより詳細な情報は、例えば、Roitt et al., Immunology (6th Edition), 2001に開示されている。CDマーカーの特定のサブセットはCD45マーカーで、白血球共通抗原(LCA)である。CD45 RA、CD45RBおよびCD45ROは、CD45+細胞のサブセットである限定されたLCAで、Roitt, et al., Appendix 2にさらに記載されている。これらのLCAの特定の特徴を下記の表に示す:
【0038】
【0039】
走化性:化合物に反応しての、生物または白血球などの1個の細胞の動き。本明細書において用いられる場合、走化性は、静電特性を含む、化合物のいかなる物理的特性にも反応して起こりうる。
【0040】
化学療法;化学療法剤:本明細書において用いられる場合、疾患、例えば、異常な細胞増殖によって特徴付けられる、新生物などの疾患治療において、治療上の有用性を有する任意の化学物質。一つの態様において、化学療法剤は、固形腫瘍などの新生物を治療する際に有用な物質である。当業者であれば、有用な化学療法剤を容易に同定することができる(例えば、Slapak and Kufe, Principles of Cancer Therapy, Chapter 86 in Harrison's Principles of Internal Medicine, 14th edition;Perry et al., Chemotherapy, Ch. 17 in Abeloff, Clinical Oncology 2nd ed., (著作権) 2000 Churchill Livingstone, Inc;Baltzer L, Berkery R (eds): Oncology Pocket Guide to Chemotherapy, 2nd ed. St. Louis, Mosby-Year Book, 1995;Fischer DS, Knobf MF, Durivage HJ (eds): The Cancer Chemotherapy Handbook, 4th ed. St. Louis, Mosby-Year Book, 1993参照)。
【0041】
樹状細胞(DC):樹状細胞は、一次免疫応答に関与する主要な抗原提示細胞(APC)である。樹状細胞には形質球様樹状細胞および骨髄性樹状細胞が含まれる。これらの主な機能は、組織内の抗原を同定して加工し、リンパ系器官に移動し、T細胞カスケードを活性化するために抗原情報を提示する。未成熟樹状細胞は骨髄に由来し、未成熟細胞として末梢にとどまる。
【0042】
DCは、未成熟の抗原捕捉細胞から成熟した抗原提示T細胞感作細胞に進化し;抗原を免疫原に変換し、サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子およびプロテアーゼなどの分子を発現して免疫応答を開始することができる。
【0043】
ヒドラゾン:構造R2C=NNR2を有する化合物で、二重結合酸素が=NNR2に置き換わっている点でケトンまたはアルデヒドとは異なる。ヒドラゾンは一般に、ヒドラジンとカルボニル基との縮合により生成する。アリールヒドラゾンは、R基の少なくとも一つがアリール基、例えばフェニル基(フェニルヒドラゾン)であるヒドラゾンである。ニトロフェニルヒドラゾンは、フェニル環上に一つまたは複数のNO2置換を有するフェニルヒドラゾンである。
【0044】
免疫応答:生物の異物(非自己)に対する応答。刺激に対する免疫応答は、Bリンパ球、またはTリンパ球などの免疫系の細胞によって実行される。一つの態様において、応答は特定の抗原に特異的である(「抗原特異的応答」)。
【0045】
感染性物質:ウイルス、細菌、および真菌を含むが、これらに限定されることはない、被検者に感染することができる物質。
【0046】
固有の電磁波形:電流、電位、または磁場の意図的適用などの、能動的に誘導された電磁現象とは独立の、化合物の特徴として生じる波形。波形の一例は、交流電圧により経時的に生じる波形、例えば、正と負の電位の間で交互に、しばしば予測可能な(例えば、正弦波で定義されるような)様式で現れる波形である。波形は、化合物と接触している二つの電極間の電位を測定する電圧計などの、様々な電磁モニタリング装置によって監視することができる。
【0047】
介入:介入は、被検者の生理的または医学的状態を検出またはこれに影響を与えるために取る行為である。診断的介入は、被検者の状態を、例えば、血液検査、生検、画像検査または身体検査などの臨床検査を行うことにより検出する。治療的介入は、被検者の状態に、例えば、手術を行う、薬物もしくは他の治療を投与する、または任意の他の治療処置を実施することにより、影響を与える。
【0048】
単離(された):「単離(された)」生体成分(樹状細胞もしくはリンパ球、またはそれらの細胞の集団)は、その成分が自然に出現する生物の細胞における他の生体成分から、実質的に分離または精製されている。
【0049】
検査による免疫障害の証拠:特定の検査室で受け入れられている基準よりも低い白血球数、リンパ球(Tリンパ球など)濃度低下、または免疫系の任意の細胞の広汎性活性損傷の証拠などの、一般に免疫低下の証拠として医学的に受け入れられている客観的検査データ。特定の例において、データは細胞性免疫もしくは液性免疫、またはその両方の損傷を示す。
【0050】
化学反応性の欠如:特定の共鳴調節化合物は静電気的に活性であるが、生理的条件下(体内)では、その共鳴安定化のために、実質的に非反応性である。そのような化学反応性の欠如により、化合物は全身(経口または静脈内など)投与後に、実質的に完全に未変化で排出されることによる。この反応性欠如の一例は、例えば、体内でA-007のN-メチル化が起こらないことにより認められる。
【0051】
白血球:感染性生物および異物に対する体の防衛に関与する、「白血球(white cells)」とも呼ばれる、血液中の細胞。白血球は骨髄で産生される。白血球には主要な5タイプがあり、これらは次の2つの主要グループの間で細分される:多形核白血球(好中球、好酸球、好塩基球)および単核白血球(単球およびリンパ球)。感染していれば、白血球の産生が高まる。
【0052】
新生物:良性および悪性腫瘍、ならびに他の増殖性障害を含む、異常な細胞増殖。
【0053】
パピローマウイルス:パピローマウイルスは、正二十面体様対称性、カプソメア、および約8,000bpの二本鎖環状DNAゲノムを有する、小さい非エンベロープウイルスである。すべてのパピローマウイルスは類似の遺伝的構成を有する。ウイルスゲノムは、ウイルスDNA複製および細胞形質転換に必要な遺伝子をコードする初期領域、キャプシドタンパク質をコードする後期領域、ならびに複製の起源と、転写および複製の制御因子の多くを含む調節領域に分けられる。
【0054】
パピローマウイルスは高度の種特異性を有する。ヒトパピローマウイルス(HPV)の他の種への自然伝播が知られている例はない。パピローマウイルスは顕著な程度の細胞親和性も示し、皮膚または粘膜の表面扁平上皮にのみ感染し、ほとんどの部分で良性上皮腫瘍を生じる。特異的ウイルスタイプは、皮膚または粘膜いずれかのタイプに選択性を有すると思われる。例えば、HPV-11は他の体の部位から皮膚上皮に容易に感染することはないが、性器または気道いずれかの粘膜上皮には感染することができる。しかし、パピローマウイルスは、浸潤癌の発生を引き起こしうる細胞増殖および形質転換を誘導する。HPV感染は子宮頸癌および肛門癌の発生に関連してきた。
【0055】
医薬品または薬物:被検者に適切に投与した場合に、所望の治療または予防効果を誘導することができる化合物または組成物。医薬品には、化学療法剤および抗感染剤が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0056】
薬学的に許容される担体:本発明において有用な薬学的に許容される担体は通常のものである。Remington's Pharmaceutical Sciences, by E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, PA, 15th Edition (1975)は、本明細書において開示される融合タンパク質の薬学的送達に適した組成物および製剤を記載している。
【0057】
一般に、担体の性質は用いる特定の投与様式に依存することになる。例えば、非経口製剤は通常、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロールなどの薬学的および生理的に許容される液体を媒体として含む、注射液を含む。固体組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤、またはカプセル剤形)のためには、通常の非毒性固体担体は、例えば、医薬品等級のマンニトール、乳糖、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与する薬学的組成物は、湿潤または乳化剤、保存剤、およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタンなどの、少量の非毒性補助物質を含むことができる。
【0058】
精製(された):「精製(された)」なる用語は、絶対的純度を要求するものではない;それよりも、相対的な用語として意図される。したがって、例えば、リンパ球の精製調製物は、リンパ球が体内での自然な環境中よりも高濃度で存在するものである。
【0059】
共鳴調節物質:生体環境と静電相互作用することを可能にする、共鳴分子内双極性運動(または電気的密度)を有する化合物。共鳴調節物質は、化合物の分子内共鳴によって生じる振動周波数波の放出によっても特徴付けられる。この共鳴は、免疫系の細胞(樹状細胞など)と相互作用するための電気的性質を持ち、免疫をアップレギュレートおよび/または増強すると考えられる。共鳴調節物質は、免疫細胞を誘引し、共鳴調節物質の近くの末梢免疫系の標的領域でそれらを濃縮することができ、またいくつかの場合には、循環免疫細胞(末梢血およびリンパ節または脾臓などのリンパ系組織における免疫細胞など)に対して遠隔効果を有する。多くの共鳴調節物質は結晶構造を有する。共鳴調節物質候補を選択するためのアッセイの例を実施例14に開示している。
【0060】
シグマ波:結晶および組織培養から記録されるシグマ波は、心臓および体内の他のバイオリズムから生じる電気エネルギーの基準線以外の波である。したがって、シグマ波はA-007曝露後の電圧の経時変化および振幅の経時増大を測定する。
【0061】
免疫刺激を必要としている被検者:免疫系の一般または特定の刺激が有益となる状態を有する被検者。例には、免疫不全を有する被検者(HIV感染者または最近化学療法もしくは他の免疫抑制剤の投与を受けた人など)、および免疫応答の刺激によって改善されうる状態を有する人(リンパ腫などの、免疫機能を変える病原体感染または腫瘍を有する被検者など)が含まれる。特定の例において、被検者は、例えば、感染または免疫無防備状態(例えば、感染または医薬品により誘導された免疫不全)のため、腫瘍以外の状態に対して免疫刺激を必要としている。
【0062】
治療上有効な量:疾患の進行を阻害もしくは防止する、または疾患の緩解を引き起こすのに十分な用量、あるいは疼痛または膨潤などの、疾患によって生じた症状を軽減する用量。
【0063】
免疫機能の変化に関連する波形:免疫機能が増強または低下している被検者において認められる波形。例えば、共鳴調節化合物を被検者に適用した後、電位波形の振幅は経時的に増大する。振幅の増大は正常な免疫機能の結果であり、免疫細胞(リンパ球など)が動員され、化合物適用部位にそれらが遊走したことを示すものである。しかし、振幅の増大が、同じ被検者で健康な状態での基準測定時に見られたものよりも小さい場合、または被検者集団において統計学的に正常とされる範囲よりも小さい場合、免疫機能の変化(損傷)に関連すると考えられる。反対に、振幅の増大が正常値よりも大きい場合(特定の個人または集団について評価する場合)、過度の(supra-normal)免疫機能を示している。
【0064】
特に説明がない限り、本明細書において用いられるすべての技術および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者による一般的理解と同じ意味を有する。単数形の語「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかに単数ではないことが示されない限り、複数の指示物を含む。同様に、「または(or)」なる語は、文脈から明らかにそうではないことが示されない限り、「および(and)」を含むことが意図される。「含む(comprises)」なる用語は「含む(includes)」を意味する。加えて、材料、方法、および例は例示にすぎず、限定を意図するものではない。
【0065】
III. いくつかの態様の説明
本明細書に開示する方法は、PTPの活性化剤として作用する共鳴調節物質の使用に関する。特定の例において、共鳴調節物質は免疫刺激剤として、および/または免疫系と外部モニターもしくは調節物質との間のカップリング剤として作用する。共鳴調節物質はPTPと相互作用、例えば、免疫系の細胞成分(CD45+受容体リンパ球または樹状細胞など)と相互作用して、免疫細胞の成熟、および免疫応答における免疫の他の細胞性成分の動員を促進すると考えられている。免疫細胞をその近くに誘引する共鳴調節物質の能力により、局所的状態の治療のために免疫応答が必要とされている体内の標的領域(腫瘍など)に免疫応答を指向させることが可能となる。しかし、共鳴調節物質は、遠隔のリンパ系組織または転移病変などの遠くの部位で免疫応答を誘発することもできる。したがって、共鳴調節物質は、免疫状態についての情報を収集し、介入(免疫機能の操作を含む)を実施することを可能にする、免疫系との新規インターフェイスを提供する。
【0066】
共鳴調節物質の一例は、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンで、A-007としても知られており、その構造を図2に示す。この化合物は、化学反応性に欠け、局所の化学反応に関与せず、電気陰性の基底状態および細胞膜受容体に対する親和性の両方を有することから、センサーおよび免疫調節物質として作用するのに特に適した物質である。RPTP+細胞膜受容体に対するその親和性の一例は、A-007とCD45+ Tリンパ球表面受容体との間の相互作用で、図1に例示する。これらの相互作用は、その相手である細胞の成熟を誘導して、免疫応答を促進すると考えられている。
【0067】
実施例1
フェニルヒドラゾンによる共鳴調節
免疫調節物質として作用する様々な化合物を本実施例において開示する。調節およびセンサー特性の両方を有する、特に適当な物質は、下記の化合物などのポリアリールモノニトロ-またはジニトロフェニルヒドラゾンである:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-もしくは4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、ニトロソ、コハク酸エステルまたは水素結合が可能な他の水溶性求電子基であり;R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;かつXはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2である)。
【0068】
図3に示すとおり、これらの化学構造は、分子間水素結合の移動、ならびに相補部位との求核/求電子引力が瞬間的に存在することを可能にする、共役電子が多い/少ない領域の複数の双極性配置を通じて、共鳴することができる。図1に示すとおり、これらの共鳴ミニ双極子は、例えば、アミノ酸(システイン、トレオニン、アルギニンなど)に存在する-SH、-COOH、-NH2-CH-NH3+、炭水化物(ムコ多糖)および糖タンパク質(これらはすべて、免疫系における細胞性調節物質の必須成分である)を誘引することができる。例えば、リンパ球上のCD45+RA受容体表面の3または4アミノ酸との単純な相互作用は、CD4+/CD8+の組織、器官および循環中への流入によるT細胞カスケードを開始することができる、修飾表面タンパク質(RO、RB)の発現を誘導すると考えられる。水素結合および引力が電気刺激により調節される「瞬間」に、これらの構造に本質的に存在する一時的静電相互作用が増大し、NMR分光法により定量することができる。
【0069】
共役およびアリール結合によって連結された、複数の共鳴構造をとりうる複数の電気陰性部分の存在は、図11に示すものなどの、振動周波数波を生じる。本明細書に記載の特定の共鳴調節物質(A-007など)は、静電相互作用にとって過剰の電子を有するため、十分な「電子数」を有する。この電子過剰により、タンパク質および他の生体分子にある求電子/求核中心の誘引が可能になり、これらは構造安定化のために反応する(電子の移動および共有結合形成により)必要がない。代わりに、環境との単純な「くっつき(flirtation)」が、共鳴調節物質の構造を変えることなく、CD45+受容体などの他の多分子配置において変化を誘導すると考えられる。
【0070】
共鳴調節物質の特に開示した態様において、R1はOHであり、R2はC6H40Hであり、かつXはC6H3-2,4(NO2)2であり、これは4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007)である。この化合物は電気陰性度が高く、図3に示すとおり、いくつかの共鳴型で存在する。ヒドラゾンによって生じる代表的振動周波数波は、樹状細胞および他の初期リンパ系細胞成分と静電相互作用し、免疫を増強する。相互作用を一つまたは複数のディラック方程式に組み込み、選択的で、診断に用いることが可能なリンパ球成分の流入に関連する、皮膚の量子分子変化を公式化することができる。
【0071】
A-007の特定の共鳴型の安定化が起こり、共鳴調節物質がリンパ球と静電相互作用するため、周波数および試験領域からの電気的流出の変化が起こると考えられる。共鳴の周期はこの相互作用によって妨害されることになり、そのような干渉を監視し(例えば、電圧の波形の経時変化を検出することにより)、活性の指標として用いてきた。波形パターンの変動があれば、細胞性免疫応答(樹状細胞およびリンパ球の浸潤など)が進行中であることを示している。予期される波形がない、または他の干渉パターンが検出されれば、詳細な検査および/または治療を必要とする、異常な免疫応答を検出するのにも役立つ。したがって、共鳴調節物質は免疫活性と外部モニターとの間のカップリング剤として作用する。
【0072】
共鳴調節物質は、細胞性免疫活性を検出することができるだけでなく、免疫系をこの活性を変えるために用いることができる外部の物理的調節物質に連結することもできる。例えば、磁気共振器プローブを用いて、例えば、プローブを皮膚表面またはその近くに適用することにより、皮膚の表面に磁場をかけることもできる。磁気プローブはA-007結晶を活性化し、共鳴エネルギー流出を刺激し、組織T細胞接触を促進する。したがって、個人が自然のT細胞-A-007相互作用によって免疫調節を誘導することができない場合、外部のプログラムされた磁場によるさらなる分極によって、免疫応答に追加の刺激を与えることができる。そのような外部磁場の使用はAMTR(A-007磁気トランジスター共振器)と呼ぶ。
【0073】
したがって、開示した方法のいくつかは、免疫特性の量子化学調節物質/センサー/伝達物質として機能することができる、ヒドラゾンなどの様々な共鳴調節物質の使用に関する。したがって、これらの物質はリンパ回路に生体ネットワークを介して連結された上皮表面(皮膚など)の変化を記録および治療する際に有用である。皮膚のリンパ球および前駆細胞の末梢調節は、全身リンパ球や、生体系が外来変化および異物(ウイルス、細菌、化学物質、癌細胞など)を検出する自然のメカニズムに対する、早期警告ネットワークである。癌および化学/生体異物による侵襲は、健康を確実に維持するために監視/変更を必要とする電気的および創発的(emergent)行動変化を引き起こしうる。したがって、この末梢調節の状態を監視する能力は、重要な新しい医学的診断および治療ツールを提供する。
【0074】
実施例2
4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007)の抗新生物および免疫調節特性
4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007、図12の化合物1)は、第I/II相抗癌試験(IND 47,470)で顕著な抗癌活性を示した。局所用A-007(0.25%ゲル)で治療した53名の被検者のうち、37%で客観的緩解が認められ、10名は完全に反応した。
【0075】
(表1)癌病変に1日2回局所適用したA-007 0.25%ゲルに対する皮膚転移の反応
注:KS=カポジ肉腫;H/N=頭頸部;NHL=非ホジキンリンパ腫;CR=完全反応;PR=部分反応>50%;NR=無反応)。治療を受けた患者はすべて、A-007開始前に少なくとも二種類の全身療法(肛門性器癌では局所術)を受けた。
【0076】
A-007は、A-007による局所または全身毒性が実質的にないことで証明されるとおり、細胞毒性メカニズムを介して作用しているのではないことが明らかとなった。A-007で局所治療したヒト皮膚の生検からの組織化学アッセイにより、様々なリンパ球(CD4+、CD3+、CD8+、およびCD45+)の浸潤物増加が治療中に起こったことが確認された。CD11c+樹状細胞の皮膚浸潤物増加も治療領域で観察された。これまでの免疫組織化学(IHC)試験により、A-007への曝露後にインビトロおよびインビボで免疫調節が起こったことが明らかにされている。したがって、本明細書に開示する共鳴調節物質は、しばしば付帯的な臨床上の害を引き起こす広汎な細胞毒性を伴うことのない治療効果を有しうる。
【0077】
X線結晶学データにより、A-007(単斜晶として)は二つの独特の分子で存在し、これらはビス-ジフェニルメタン基内の配向のみが異なり、環は下記の図に示すとおり互いにほぼ垂直である(それぞれの回転異性体における環の配向から約90°回転している)ことが判明した。両方の回転異性体は-HN-N=C-部分の-NHとo-ニトロ基の酸素との間で強い分子間水素結合を示した。したがって、A-007には、その全体の生物活性に寄与していると考えられる少なくとも三つの独特の部分−ジヒドロキシ-ジフェニルメタン、ヒドラゾンおよびジニトロフェニル部分−が存在する。しかし、A-007の高い求電子性にもかかわらず、これはヒト体内の生理的条件下で実質的に化学反応性を持たない。例えば、ヒドラゾン基のNHはメチル化またはアシル化を受けると予想されるが、A-007をヒト被検者に投与した場合、この反応は実質的に起こらない。この薬物は実質的に未変化で排出される。さらに、A-007は体液に非常に難溶性で、血中に吸収されることはない。A-007で局所治療を受けたどの被検者からも、血中でA-007が検出されたことはない。血漿A-007の有効なアッセイが開発されており、その安定性が検証された。
【0078】
【0079】
実施例3
共鳴調節物質と免疫系
図7に示すとおり、リンパ系には他の構造と連絡しているリンパ管および網状結合組織の特殊な形のリンパ組織を含む器官が含まれる。リンパ管には毛細リンパ管が含まれ、これらは一緒になって、構造は血管に似ているが、壁が薄く、より多くの弁を有する、より大きなリンパ管となる。リンパ節は体中に分布しており、顔および頸部、腋窩、胸腔、腸、鼠径部、肘および膝に最も集中している。皮膚の表面に近いリンパ管は一般に静脈に従うが、深部リンパ管は一般に動脈に従う。これらのリンパ管は体中のリンパ液を相互に連絡する機能を持つが、微生物や癌細胞などの外来細胞に対して監視および防御のはたらきをする免疫系の重要な分布局面でもある。
【0080】
リンパ系は多数の型のリンパ球を含む。これらのリンパ球のいくつかは、細胞毒性物質を放出することにより、外来細胞を直接または間接的に破壊するT細胞である。他のリンパ球は、抗原に対する抗体を分泌して抗原の除去を助けるプラズマ細胞へと分化するB細胞である。リンパ節はリンパ液によって運ばれる異物をろ過し、次いで分離した異物を食作用により破壊することができる。脾臓、胸腺および扁桃腺はB細胞、T細胞、および他のリンパ球を産生する他のリンパ器官である。
【0081】
免疫系の皮膚に関連する部分を図7に例示し、腫瘍細胞は真皮および表皮内に示している。リンパ系からの樹状細胞は腫瘍細胞と相互作用し、リンパ管から他の免疫効果器細胞(Tリンパ球など)を動員する。
【0082】
CD45+表面受容体はリンパ内皮細胞、特に樹状細胞上にある。樹状細胞(DC)は免疫応答の開始に関与する抗原提示細胞(APC)である。DCは免疫系の前哨として役立ち、抗原(An)捕捉と、その後のTリンパ球が豊富な領域への輸送を担う。DCは、末梢皮膚組織などのリンパ組織、ならびにリンパ器官に存在する。いったん未熟なDCが抗原と相互作用して活性化されると、成熟APCは特異的免疫応答が可能となる。皮膚などの二次リンパ器官は、本来のTリンパ球およびAn刺激されたDC(APC)の両方をT細胞が多いリンパ帯/ネットワーク(節など)に動員する。これらの初期免疫応答の共存は認識T細胞活性化を構成する。
【0083】
癌および化学物質はいずれも、リンパ球集団の集合分散知能を備えた健常皮膚において創発的行動を引き起こすことがある。効果的認識反応にはDC(APC)およびリンパ球サイトカイン効果器の両方が必要である。化学物質および腫瘍細胞はマイクロ組織化学(MHC)抗原の発現が限定され、共刺激分子を欠くことが多いため、これらはAPCの有効な調節物質ではない。癌および類似の疾患の発生および進行に関する一つのメカニズムは、MHC抗原特性の欠如で、欠如していなければリンパネットワークにおいて創発的行動を引き起こすものである。同様に、生命を脅かす化学物質および/または生物との接触も、リンパの創発的行動パターンを誘導することができる。A-007は、ハプテン/Anとして作用する、および/または磁場効果(EFE)を通して創発的リンパ球ネットワークを調節もしくはアップレギュレートするのに十分な電気的性質を備えた、単純な「有機」分子を表している。A-007は本明細書において共鳴調節物質と呼ぶ、新しいクラスのルネッサンス分子である。CD45+受容体のアップレギュレーションは、癌患者で観察されるA-007誘導性免疫調節の一つの開始部位であると考えられる。
【0084】
CD45+は樹状細胞、リンパ球、単球、および白血球、ならびにいくつかの新生物細胞上で、チロシンホスファターゼ(PTP)として発現され、他のPTPのメンバーと共にチロシン残基のリン酸化を担う。CD45+受容体部位を抗CD45抗体で遮断すると、T細胞活性化が阻害され、未処置T細胞のマイトジェン(レクチン)活性化を防止する。CD45+受容体表面はアルギニン、セリン/トレオニンおよびシステイン部分を含み、これらは天然のリガンドに結合し、かつ/またはこれらをAPCの表面に移し、またリン酸チロシンを加水分解する。A-007はCD45+を阻害または遮断しないが、図1に示すとおり、Arg、Cys、Ser/Threoなどとの静電/非共有結合を介して、CD45+リンパ球および樹状細胞を(APCに)アップレギュレートする。A-007の異なる共鳴状態は異なる免疫細胞と相互作用することができる。
【0085】
A-007活性化DCは未処置ヒト末梢血単核球(PBMC)で有糸分裂事象を開始し、ヒト末梢樹状細胞においてCD45+およびCD11c+受容体の両方をアップレギュレートすることができる。癌組織の樹状細胞は、皮膚病変の局所治療中、局所用A-007への曝露後に、CD45RA+からCD45RO+/CD45RB+にアップレギュレートされる。したがって、A-007はCD45+の阻害剤ではないが、分子部位のアップレギュレーターまたは調節物質である。これらの性質により、局所および遠隔両方の免疫細胞集団(脾臓樹状細胞集団など)を増加させ、CD8+細胞毒性リンパ球(CTL)などの免疫効果器細胞の濃度を高めるための、A-007の結晶または皮膚植え込み錠が可能となる。その官能基置換がA-007の分子内/分子間水素結合および静電相互作用におよぼす影響を以下に示す。
【0086】
この証拠は、A-007が皮膚および他の上皮表面で樹状細胞と末梢相互作用し、抗原提示細胞(APC)の成熟を誘導する能力を有することを示している。加えて、少なくとも一つの細胞表面受容体(CD45+)はA-007によってアップレギュレートされると考えられる。この初期相互作用は、抗原提示細胞などの樹状細胞および他のリンパ球前駆体を介していると考えられる。この化学的相互作用を通して、APCおよび他の初期認識細胞を検知し、リンパ球認識カスケード−CD4+、CD8+などの成熟、および関連サイトカインによって調節することができる。
【0087】
免疫調節物質として適当となるA-007の珍しい性質のいくつかは、電流を流した2本の電線間のスライドガラス上で蒸発させた場合、その結晶が珍しいパターンに配列される能力によって示される。この結晶の配列は、A-007のアルコール(5%)溶液を9ボルトのバッテリーの陽極および陰極リードにそれぞれ接続した2本のワイヤのスライドガラス上で風乾することにより得られた。A-007は、全体にわたって散在する「スポット」としてではなく、陽極で円周状のパターンで凝縮する。アルコール溶液の蒸発を磁場で行うと、密に凝集した結晶の1本線がスライドの中央に生じる(図4に示すとおり)。したがって、A-007は誘導電磁場と相互作用する電磁特性を有する。この特徴を、他の共鳴調節物質のスクリーニング試験として用いることもできる。
【0088】
A-007共鳴調節物質のこれらの珍しい電磁特性は、図11に示すとおり、この化合物のコンダクタンスによってさらに示される。この図はA-007結晶から測定したエネルギーの周波数を示している。これらの記録は、いくつかの大きいA-007結晶に解剖顕微鏡による拡大を用いて二つの微小電極を接続したものから得た。電極は結晶表面上で約1.5〜2mm離し、接点からエネルギーを測定した。Fluke ScopeMeterを用いて、発生した周波数(Hz)を記録した。外部からかけた電流は関与しておらず、したがって測定した周波数は結晶の本来の物理的性質である。基準周波数からのこれらの偏位は、環境から蓄積され、間欠的に放出された並進型のエネルギーであると考えられる。基準周波数は周囲の電磁放射線からのものと考えられる。基準周波数からの少なくとも30〜40Hzの偏位は、結晶の共鳴によって生じ、図11に約60Hzの基準周波数からの間欠的偏位(周波数のピークで示している)により示されている。この本来の周波数のエネルギーを(例えば、基準値から少なくとも20Hz、例えば30〜40Hzの間の周波数)、および/または少なくとも5分に1回(例えば、少なくとも3分に1回)放出する能力は、共鳴調節物質の特徴のもう一つの例で、これにより共鳴調節物質をさらなる試験のためにスクリーニングし、選択することが可能になる。
【0089】
化学物質の結晶または圧縮ペレットを未処置ヒトリンパ球(末梢血から採取)と共に組織培養培地中に浸漬すると、図5に示すとおり、リンパ球および樹状細胞は結晶またはペレットの周囲に凝集する。A-007の結晶(0.5mg)を、5%ウシ血清アルブミン、抗生物質保存剤ペニシリン/ストレプトマイシン、および健常者からの血液の軟膜から得た未処置リンパ球を含むRPMI培地中に加えた。図5の上の写真は、共鳴調節物質導入前の組織培養における散在性細胞パターンの未処置リンパ球の一般的分散を示しているが、下の写真は、結晶を組織培養中に導入した後1時間の時点の、A-007の結晶周囲の凝集を示している。A-007の結晶との接触後、凝集反応および有糸分裂活性上昇、ならびにA-007共鳴調節物質の領域内への活性化樹状細胞のコロニー形成が認められる。
【0090】
培養中の未処置リンパ球の試験物質周囲への凝集を誘導する物質の能力は、その物質が本明細書に開示する方法における使用に適した共鳴調節物質であるかどうかを評価する際に考慮すべきもう一つの要因である。1時間以内に凝集を誘導する能力は、化合物がさらなる調査に適していることの、特に強力な指標である。「凝集」とは、図5に示すとおり、鏡検によって目に見える増加などの、リンパ球数の実質的増加を意味する。
【0091】
共鳴調節物質のもう一つの珍しい電磁特性は、電磁波(電流など)の振幅の増大は、成熟し、結晶周囲に凝集するリンパ球として測定できることである(図6)。
【0092】
これらの波形を得るために、図4に示すとおり、A-007を顕微鏡スライドガラス上で濃縮した。乾燥したスライドをRPMI(5%ウシアルブミン)を含むペトリ皿に浸漬し、1対の滅菌微小電極を培地に挿入(約5cm離して)し、A-007の線の両端に接触させて、電圧を記録した。A-007は培地に不溶で、スライド上に継続して残存する。測定した電流の波形記録を図6に示す。誘導電流は見られず、したがって測定した電流は共鳴調節化合物の固有の特性であった。
【0093】
A-007に1時間曝露した後、リンパ球がA-007結晶の方へと移動し、これに付着するのに従い、経時的に測定した電圧の振幅に増大が認められた。この振幅増大が図6に示されており、上図の波形は培養中の未処置リンパ球から得、下図の波形は培養中の同じリンパ球から、A-007の結晶を培養液に導入した後1時間の時点で得た。結晶は溶解しないため、持続的相互作用を調べるために利用可能なままである。インビトロで、細胞の永続化に必要なサイトカインの欠乏により、リンパ球は約24時間後には最終的に死滅する。
【0094】
したがって、共鳴調節物質を選択するために用いることができるもう一つの特性は、共鳴調節物質を未処置リンパ球を含む培養液中に入れた場合に、この化合物により生じる固有電流の交流電圧の振幅を増大させる能力である。
【0095】
実施例4
免疫機能を監視するための共鳴調節物質
これらの共振器としての異例な特性の結果、本明細書に記載の化合物を免疫系に関連する電気的活性を監視するために用いることができる。A-007および他の共鳴調節物質は、Tリンパ球と周波数反応との間に一次の関係がある免疫特性を測定および制御するための分析装置として重要である。存在する微量天秤は、50Hz A-007結晶の質量感度が約0.057Hzcm2ng-1で、感度0.1μgの精密電子天秤よりもおよそ50倍高いという事実による。結晶を細胞成分の電磁特性を調べるために用いることができる。特定の態様において、結晶を少なくとも約0.01、0.03または0.05Hzcm2ng-lの質量感度を有するように選択する。電気相互作用(圧電共振効果)を増強し、伝達(transmission)を改善するために、結晶を微結晶水晶と組み合わせることもできる。特定の例において、微結晶水晶は組成物全量の10〜50%の量で提供される。
【0096】
したがって、結晶はRPTP+細胞(リンパ球など)集団と皮膚組織の等価の電気回路との間の相互作用を容易に変換することができ、これによりヒドラゾンおよび他の共鳴調節物質存在下での振動を完全に説明することができる。基本的に、共鳴調節物質は双極性運動ならびに組織および末梢免疫系の細胞などの細胞成分との静電相互作用の共振器として役立つ。共鳴調節物質はこれらの相互作用を診断のために監視し、治療的介入のために変更することを可能にする。
【0097】
免疫機能を監視するために共鳴調節化合物を用いる能力により、被検者の毒素および外来抗原などの生物学的傷害を認識する能力の変化を早期に診断することが可能となる。例えば、外来化学物質または生物学的因子に曝露されてきた被検者は曝露を認識しない可能性があり、したがって適切に反応しないことがある。しかし、共鳴調節物質が免疫系の機能の変化を検出すれば、この変化した免疫状態が被検者に未知の有毒物曝露の可能性を警告する前哨事象として役立つ。同様に、環境ストレス(ウイルス/細菌および外傷事象など)に曝露された被検者では、樹状細胞が外来ウイルス、化学物質または癌を認識しないことがある。樹状細胞の機能が障害されると、免疫防御の顕著な侵入や、創発的行動メカニズムを介しての生命の脅威が生じることもある。
【0098】
共鳴調節物質を、正常な体の免疫や本来の監視活性を持つ皮膚の細胞特性における変化を検出および定量する方法において用いることもできる。動物実験およびヒトでの試験で、A-007などの共鳴調節物質は皮膚から吸収されないが、樹状細胞、C8+細胞毒性リンパ球や、異物曝露または刺激に対する本来の調節に必要な他の細胞集団を誘引し、これらを末梢で活性化すると思われる。体が推奨されるセンサー/刺激の存在に反応しない場合には、積極的な健康監視および治療を行うことができる。
【0099】
監視装置は、共鳴調節物質を被検者の皮膚に接触させ続けるパッチの形を取ることもできる。パッチは定期的に電圧計、例えば、オシロスコープから得られる型の波形追跡の形で出力する電圧計に接続することもできる。次いで、経時的な電圧変化の振幅を評価して、健常被検者で観察される変化と比べて振幅がどのように変化するかを調べる。一例において、電圧波形の振幅は、共鳴調節物質存在下であらかじめ決められた値(例えば、少なくとも10%または25%)増大すると予想される。振幅変化があらかじめ決められた値よりも小さい場合、これは毒素または病原体などの病的傷害の指標と考えられる。この結果より、環境における毒素もしくは病原体の検出などのより特異的試験、または腫瘍もしくは腫瘍の進行を検出するための画像試験の必要性が示される。または、試験結果の異常により、化学療法剤の投与などの治療(またはより積極的治療)の開始を促すことができる。
【0100】
固有の振幅および予想される振幅の変化は、それぞれの共鳴調節物質で異なることになる。したがって、すべての共鳴調節化合物で特定の振幅変化が表われるわけではない。それにもかかわらず、開示する方法の基礎となるのは、共鳴調節物質のこの特性の認識、および免疫機能のインターフェイスとして作用する能力である。この特性が同定された今、それぞれの化合物によって生じる特定の固有振幅、および特定の疾患または一般の免疫無防備状態で見られる振幅変化を調べることができる。
【0101】
いくつかの態様において、圧電結晶を共鳴調節物質中に導入し、変換器効果によりA-007の最大伝達を得ることもできる。
【0102】
実施例5
共鳴調節物質のその他の例
様々な共鳴調節物質が利用可能である。一つの特定の例において、共鳴調節物質は、下記の化合物などのアリールモノニトロ-またはジニトロフェニルヒドラゾンである:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-もしくは4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルまたは水素結合が可能な他の水溶性求電子基であり;R2はC6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;かつXはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2である)。特定の例において、R1はOHであり、R2はC6H40Hであり、かつXはC6H3-2,4(NO2)2である。
【0103】
もう一つの例において、共鳴調節物質は下記の構造を有する:
(式中、R1は水素、ヒドロキシル、2-もしくは4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルまたは水素結合が可能な他の水溶性求電子基であり;R2はC6H5、C6H4OH、C6H5、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;かつYは-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-または-CHOA-(Aはアリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチドである)である)。特定の例において、R1はOHであり、R2はC6H40Hであり、かつXはC6H3-2,4(NO2)2である。
【0104】
もう一つの例において、共鳴調節物質は下記の構造を有する:
(式中、R1は水素、ヒドロキシル、2-もしくは4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルまたは水素結合が可能な他の水溶性求電子基であり;R2はC6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OP020H、C6H4OS02H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OS02Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;YはH、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミドであり;かつZはH、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミドである)である。特定の例において、R1はHまたはOHであり、R2はC6H40HまたはC6H5であり、かつXはC6H3-2,4(NO2)2である。
【0105】
共鳴調節物質の他の例を図12に示しており、ホルミルおよびアセチルバルビツールフェニルヒドラゾン類縁体(類縁体15〜21)、ホルミルバルビツール酸シッフ塩基類縁体(類縁体22〜25)、ならびに化合物26〜37として示される他の共鳴調節物質が含まれる。例えば、化合物26はアントラセンである。これらおよび他の化合物は、免疫調節特性、ならびに量子センサーとして機能することを可能にする電磁特性を有すると考えられる。
【0106】
適当な共鳴調節化合物群を下記の式で示し、R基のいくつかの可能な置換を示す。
【0107】
前述の化合物の多くの構造および合成法は、以前に米国特許第4,732,904号に記載されており、この開示は参照として本明細書に組み込まれる。この特許に記載されなかったいくつかの化合物には、10-[(2,4-ジニトロフェニル)ヒドラゾノ]-1,2-ジヒドロキシ-10H-アントラセン-9-オン(DNPA)が含まれる。この化合物の合成を、1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン(0.1mole)をエタノール(50ml)および硫酸(5ml)に溶解することにより実施した。溶液を撹拌しながら60℃までゆっくり加熱し、2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(0.1mole)のエタノール(50ml)溶液を、撹拌を続けながらゆっくり加えた。溶液を2時間加熱し、冷蔵庫で冷却した。DNPAの濃赤色結晶が生じた;融点240〜242℃;収率92%。生成物をC20H12N4O7について分析した−実測値;C, 63.98; H, 3,46; N, 11.13; NMRおよび質量スペクトルは一致。
【0108】
共鳴調節物質の他の例を実施例13に示す。
【0109】
実施例6
ペレットおよびゲルの調製
共鳴調節物質は、結晶、ペレット、またはゲル/クリームなどの多くの剤形で提供することができる。物質を、例えば、免疫系が損傷されている可能性がある、または免疫系をダウンレギュレートすることができる致死的もしくは有毒物質に接触した可能性がある患者の皮下に植え込む、または上皮表面に適用することができる。共鳴調節物質は、標的部位と電磁接触させる、いかなる剤形(パッチ、または二次元もしくは三次元マトリクス)に組み込むこともできる。「電磁接触」とは、本明細書に記載の免疫調節効果を発揮するのに十分近いことを意味する。いくつかの例において、共鳴調節物質を治療中の病変に、またはその全体に適用する。共鳴調節物質は、望まれる場合には、例えばポリマーを形成するように、化学修飾することもできる。共鳴調節物質モニターは、免疫系の自己調節が欠損している癌に関連する免疫機能の変化を検出するためにも有用である。
【0110】
一例において、A-007のペレットを、純粋な化学物質(50mg)から圧縮し、16ゲージに分粒することにより調製した。バルクA-007はGLP/GMP法を用い、添加剤を加えずに調製した。100%A-007ペレットの溶解性に応じて、添加剤(ステアリン酸、ポビドンなど)または他の薬学的に許容される担体をこれに加えてもよい。ペレットは、例えば、25mg、50mgおよび75mg用量で製造することができる。ペレット濃度は、観察された物理的性質(溶解速度など)および動物毒性に応じて調整してもよい。治療上有効な用量は公知の手段によって決定することができ、投与する用量は治療中の状態、または疾患の重症度に応じて変動しうる。
【0111】
共鳴調節物質は、免疫応答を集中させることが望まれる標的部位(体の一部など)に適用するために、プロピレングリコール/メチルセルロースの製剤などのゲルの形で提供することもできる。ゲルは、ゲル中に活性物質50mgを懸濁させたものなどの、チューブ中で提供してもよい。これらのゲルは皮膚または他の上皮表面(例えば、胸壁、背中、または肛門性器部位の皮膚)への適用のために特に好都合である。いくつかの態様において、ゲルを例えば、直腸または腟内に適用するための延長アプリケーターチューブ(直腸または膣アプリケーターなど)から投与する。
【0112】
または、ペレットを胸壁などの標的領域に挿入することもできる。他の例において、物質をテトラヒドロフラン(THF)または他の非毒性エアロゾルに懸濁し、気管気管支または口咽頭領域に導入して、口腔または上気道の癌を治療する。
【0113】
ペレットは、小結節の疼痛を引き起こしうる尿酸結晶の沈積を刺激することが判明した。したがって、皮膚内への挿入よりも皮膚表面への適用が好ましいが、いずれのアプローチも本明細書に記載の免疫調節を引き起こすことになる。
【0114】
実施例7
免疫活性の外部モニター
前述のとおり、記載した物質は、病的状態に関連する創発的行動変化の存在下で、免疫特性を監視および/またはアップレギュレートすることができる。
【0115】
共鳴調節物質は生体系と相互作用するため、モニターは、その最も単純な形で、共鳴調節物質の電磁特性の変化を検出するための装置である。相互作用はインビトロまたはインビボのいずれかで観察することができる。したがって、さらなる分析のために、モニターを被検者に、または被検者から採取した生体試料(組織培養物など)に適用することができる。
【0116】
監視センサーの一例を図8に示す。共鳴調節物質(A-007)はリンパ腫患者の皮膚上に、0.25%プロピレングリコール/メチルセルロースゲル(0.5g)として存在する。ゲルとして示しているが、クリームもしくは単純な結晶(50mg)あるいは上皮表面もしくは皮膚(または他の表面)上に適用する、またはその中に16ゲージのトロカール針で挿入することができるペレット(50〜100mg)として適用することもできる。図8に示す特定の態様において、物質をオレンジゲルとして皮膚に適用し、心電図リードとして用いる型の間隔をあけて取り付けた2本の皮膚表面電極タブを備えた2×3登録商標テガダームパッチで覆う。電極はゲルのいずれかの側の、ゲル両端の電位を測定できる位置に設置する。次いで、電圧計の二つのプローブを、それぞれの電極タブに一つ接触させる。電圧計は、好ましくは、電圧の経時変化を測定するオシロスコープに接続し、検出した電圧の振幅を経時的に観察できるようにする。特定の態様において、電圧計は、コンピューター上で電圧波形のバックグラウンド電圧を除去するためにフィルターにかけ、観察し、記録し、測定し、分析するためのソフトウェアを備えた、登録商標Fluke Scopemeter 192/196/199である。次いで、電圧の振幅の経時変化を観察して、共鳴調節物質に対する免疫応答を監視する。
【0117】
共鳴調節物質を皮膚に適用した時点での基準の振幅および/または周波数を確立した後、電極をオシロスコープに接続して、試験部位からの電気伝達の振幅および周波数を監視する。A-007などの共鳴調節物質では、経時的電圧変化の振幅は増大することになる。
【0118】
健常な試験被検者で観察された振幅変化を図9に示しており、上図は時間ゼロにおける基準測定値で、波形の振幅(ゼロから測定)は約3ボルトである。パッチを7日間適用した後、電圧計プローブの先端を電極リードに再度接続し、図9の下図に示すとおり、経時的電圧変化を記録した。測定は、パッチの標的領域内への活性化樹状細胞の移動による凝集反応および有糸分裂活性の増大に関連する電気的活性で行った。図9は、波形の振幅(ゼロから測定)が3ボルトから4ボルトへと、約25%増大したことを示している。
【0119】
この実施例では電圧計による電気的活性の変化の測定を示してきたが、電極も、局所的な化学物質−細胞相互作用の変化を検出する外部レーザー光線センサーにより検知させることができる。化学物質は共鳴を介して電気エネルギーを伝導することができるため、化学物質は細胞相互作用結合の段階のシグナルを提供することになる。例えば、レーザーなどの分子スキャナーを用いて、化学物質または検査物をその吸収波長(A-007では404nm)で励起させることができる。一つのそのような分子スキャナーは、A-007共鳴および細胞相互作用に関連する特定の励起を記録する、または発生させるようプログラムされた、Edmund Industrial Optics固体状チューナブルレーザー(波長425nm)である。これらの高性能レーザーを、バーコードスキャナーのようにA-007のスペクトル特性をナノスケールで認識するようプログラムすることもできる。
【0120】
実施例8
共鳴調節の増強
共鳴調節物質は、免疫機能を、例えば、免疫障害を患っている被検者において増強するために、比較的単純な方法も提供する。そのような被検者は、例えば、免疫不全症(HIV/AIDSなど)または毒素による免疫欠損(抗新生物化学療法剤または環境毒素により誘発された白血球減少症など)を有していてもよい。他の被検者は、悪性腫瘍を有する被検者でよく見られる種類の免疫障害を有することもある。共鳴調節物質は、免疫系を監視するだけでなく、治療のために操作することを可能にする、免疫系とのカップリング剤またはインターフェイスとしてはたらく。
【0121】
すでに示したとおり、共鳴調節物質を標的領域またはその近くに導入することにより、標的免疫応答を標的領域(腫瘍の近辺など)に指向させることができる。物質の電磁特性を刺激する電磁場に共鳴調節物質を曝露することで、共鳴調節物質を刺激する。例えば、物質を外部磁場または電場に曝露することができる。そのような電磁場の一例は、共鳴調節物質の共鳴体(図3に示すA-007の形の一つなど)の濃度を最高にする周波数にシグナルを送る、または調整して、細胞受容体表面との最大のインターフェイスを提供するものである。この実施例において、レーザーを選択して、A-007が示すものと類似の波長(400〜450)を有するレーザーエネルギーの形で電磁場をかける。A-007はレイジング特性を持たないが、プログラムされたレーザーはそのスペクトル特性を認識することができる。2AAまたは3Vバッテリーによって生じた単純な磁場はA-007の表面ゲルを非特異的に活性化することができ、9Vでは皮下ペレットを活性化することができる。より特異的なチューナブルレーザーは、領域をスキャンすることができ、適当する最適な電磁場に関して特異的である。所望の周波数を選択することで、共鳴調節物質で見られる経時的電圧変化の振幅が増大し、免疫応答を増強または活性化することになる。
【0122】
共鳴調節物質を外部刺激に曝露するための装置を図7に示しており、真皮および表皮の両方に存在する腫瘍を含む標的領域上の皮膚表面にA-007を適用している。A-007は樹状細胞およびリンパ球を標的領域に誘引するが、腫瘍は正常な免疫監視を逃れられることが多く、共鳴調節物質の活性化を高めることにより免疫応答をさらに刺激することが有用である。皮膚に適用したA-007上に設置した磁気プローブは、そのような活性化増大を提供することができる。磁気プローブを、発振器回路、周波数カウンター、電圧供給機、およびオシロスコープを含む装置に接続する。装置を起動して、A-007に磁気パルスを与え、その共鳴調節特性を増強する。
【0123】
適当な磁気パルス発生器の例はThe Magnetic Pulserで、これはHealth Canadaから入手可能なHigh Intensity Momentary Time-Variant Pulsed DC Magnetic Field Therapy Generator MODEL #: MPG5である。The Magnetic Pulser (MPG5)は、共鳴調節化合物を刺激するために用いることができる、強力な(約43,133ガウス)瞬間的(約2.5mS)パルスDC磁場を発生するよう設計されている。磁気パルスを、化合物の活性を増強するのに十分な長期間適用することができる。例えば、パルスDC磁場を50〜60分以上適用することができた。
【0124】
2AAまたは3Vバッテリーで生じた単純な磁場はA-007の表面ゲルを活性化し、または9Vバッテリーは皮下ペレットを活性化する。より特異的なチューナブルレーザーは、領域(化合物を局所適用した領域など)をスキャンして、適用する電磁場をより特異的に示すことができる。適用する場の所望の周波数を選択することで、共鳴調節物質によって生じるエネルギーの振幅が最大となる。電磁場をかける期間は被検者の免疫状態に依存する。すなわち、免疫状態がより悪い被検者にとっては、より長い刺激期間が有用であると考えられる。一般的磁場を用いてもよいが、好ましいアプローチは、広い治療領域のための波長またはエネルギー特異的チューナブル送信機を用いることである。治療の効果は、末梢T細胞フローサイトメトリー分析などの容易に利用可能な様式で免疫状態を監視することにより評価可能である。これらの容易に利用可能かつ好都合な試験から、特定の共鳴調節物質に対する適用電磁場を選択する際のさらなる指標が得られる。
【0125】
一つの例において、適用した電磁刺激は米国特許第6,190,893号において適用されたタイプの電場で、この開示は参照として本明細書に組み込まれる。電気刺激用の装置は、標的領域の一端にそって伸びている金線の陽極と、標的領域の反対の端にそって設置した銀線の陰極とを含む。EG & G Princeton Applied Research Potentiostat/Galvostat Model 263A(Oakridge、TN)を、定電圧の供給源として用いる。電気刺激は、100mVの定電圧で少なくとも1時間の期間適用することができる。
【0126】
ヒト体内または組織培養中で共鳴調節物質に電磁場をかけるために、多くの他の装置が利用可能である。例えば、PCT公報WO 02/102457は、変換器および変換器にACシグナルをかけて、0.1Hzから4000Hzの基本周波数を発生させる発電機を含む装置を開示している。同様の装置が、米国特許第5,968,527号にも示されており、この開示は参照として本明細書に組み込まれる。
【0127】
いくつかの場合に、共鳴調節物質に刺激を与えることと、共鳴調節物質を適用した標的領域の電気特性を監視することの両方のために、バイオインピーダンス装置を用いることが望ましい。直接バイオインピーダンス測定システムは、組織のコンダクタンスを測定するために、ヒトまたは動物の体区域を通して、連続的で一定の振幅および周波数の電流を発生させるための発電機を用いる。30KHz〜30MHzの範囲の周波数を典型的に用いてきた。体区域における連続電流に対するインピーダンスにより、体区域両端に電位差が生じ、バイオインピーダンス測定器は体区域におけるインピーダンスを測定する。バイオインピーダンス装置の例は、WO 01/76475;米国特許第4,805,621号;および米国特許第5,529,072号に示されている。バイオインピーダンスプローブは、共鳴調節物質を適用した標的領域上に設置し、標的領域の両端に電位差を誘導する。バイオインピーダンスの変化を用いて、被検者の免疫系の状態を監視することもできる。免疫状態の改善にしたがってバイオインピーダンスの上昇が見られると考えられる。
【0128】
実施例9
リンパ腫治療における共鳴調節物質の使用
実施例7に記載のとおり、A-007 0.25%ゲル(0.5g)を42歳のリンパ腫患者の皮膚に適用し、患者の末梢リンパ球状態の改善(全リンパ球数により評価)、ならびにシグマ波の振幅増大が見られ、A-007を適用した皮膚の活性増大が示された。1週間の間に起こった振動の振幅および周波数増大を図9に示している。検出は登録商標Fluke ScopeMeterオシロスコープおよび環境バックグラウンドノイズを記録し、選別することができる、PCプログラム(192/196/199)を用いて行った。この特定の実施例においては、電圧振幅の25%増大をプラスの免疫調節と考え、これはリンパ球状態の改善と一致していた。
【0129】
実施例10
子宮頸癌治療における共鳴調節物質の使用
図10は、早期上皮内癌の23歳女性にA-007 0.25%ゲル(2g)を1日1回5日間適用し、1年以上続く劇的治癒が見られた症例の、子宮頸部の変化を示している。右の写真は、表皮の癌細胞消失と、CD45+ Tリンパ球の流入を伴う正常な外観の上皮を示している。反応はTリンパ球パターンの器質化亢進および癌細胞消失を伴っている。
【0130】
実施例11
チロシンホスファターゼ
ヒトチロシンホスファターゼ(PTP)は、すべての真核生物に存在するタンパク質の大きく多様なファミリーである。各PTPは、触媒活性に必須であることが知られているシステインおよびアルギニン残基を含む11-残基配列モチーフで特徴付けられる、少なくとも一つの保存ドメインからなる。PTPの配列は、セリンまたはトレオニン、酸性またはアルカリ性ホスファターゼとの類似点を持たない。PTPファミリー内の構造における多様性は主に、触媒ドメインのNH2-またはCOOH-末端に結合した様々な非触媒配列によるものである。細胞内リン酸代謝およびドメインに関与する多くのPTPがある。細胞外セグメントの多様性はおそらく、PTPが曝露され、リン酸転移を触媒する様々なリガンドを反映している。
【0131】
細胞外PTPは表面認識および白血球表面認識の接着分子に関連しているPTP受容体の一つのクラスである。PTPはヒト細胞に関係しているだけでなく、真核細胞およびウイルスや、細菌中にも存在する。腺ペストの起因菌である病原性細菌エルシニアにおいて、Yop2bチロシン特異的PTPは基本的なビルレンス決定子である。
【0132】
多くの研究で、生理的プロセスにおけるPTPの重要性が示されている。TおよびBリンパ球、顆粒球、ならびにマクロファージの表現型の欠陥および過剰増殖挙動は、癌および自己免疫疾患の発生における主要な問題であると考えられている。
【0133】
PTPの触媒ドメインは、Z. Jia, et al., Structural Basis for Phosphotyrosine Peptide Recognition by Protein Tyrosine Phosphatase 1B, Science 268: 1754-1758, 1995の総説のとおり、結晶学試験において記載されている。この文献およびZ. Xu et al., Negative regulation of CD45 by differential homodimerization of the alternatively splied isoforms, Nature Immunology 3:764-771, 2002は、PTPを発現する様々なタイプの細胞、細菌およびウイルスを開示している。本実施例は、PTP調節物質としてのアリールヒドラゾンについて、相互作用および結果を再検討する。
【0134】
4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007)およびその構造特性相関の再検討(図1および3)により、この化合物はリピンスキーの「ルール・オブ・ファイブ」を満たしていないことが明らかである。「ルール・オブ・ファイブ」は、吸収または浸透について、薬物の水素結合供与部分が5つ未満、水素結合受容部分が10個未満、分子量が500未満、および/またはlogP計算値が5未満であることを予測するものである(CAChe Group, Fujitsu, Beaverton, OR)。明らかにA-007および他のヒドラゾンは、結晶学試験で示されるとおり、5個よりも多い水素結合供与部分を有する(Klein、C. L., Gray. D., and Stevens、E. D., Crystal and molecular structures of benzophenone phenylhydrazone derivatives with anticancer activity, Structural Chemistry 4: 377-383, 1993)。したがって、本特許に記載のリンパ球および癌細胞への外部結合は、A-007型アリールヒドラゾンの構造-挙動についての知見と一致しており、薬物は実質的に適用した皮膚から吸収されない。従って、その効果は、電磁効果から予想されるとおり、長い距離にわたって得られる。
【0135】
図1に見られるとおり、A-007はCD45+ PTPサブタイプの細胞外触媒受容体によく適合する。図13では、子宮頸癌細胞(HPV誘導性突然変異を通じて形質転換されている)はA-007の結晶存在下で細胞死滅することが確認でき、A-007がその共鳴を通じて受容体をアップグレードするシステイン残基のHS−SH二量体化および死滅を触媒する能力を裏付けている。このことは、子宮頸癌患者で検証されている(表2)。0.25%A-007の局所用ゲルを1日2グラムの用量で5日間腟内投与した。A-007誘導性細胞死滅は良性線維芽細胞またはHPVを含まない、もしくはHPVにより形質転換されていない正常な上皮細胞では観察されなかった。HPVに感染している被検者の子宮頚部/膣上皮膜にA-007などの共鳴調節物質を適用すると、癌細胞の消失、ならびにウイルス粒子の消失、およびCD45RO+CD4+およびCD8+ Tリンパ球のアップレギュレーションを引き起こす。A-007の局所適用の最終的な治療効果は、HIV感染細胞における細胞死の誘導であった(表2と、図10および13)。表2に見られるとおり、A-007はTリンパ球、特にCD45+、CD123+、CD4+およびCD8+細胞の存在を増加させた。特定の例において、CD45+、CD4+およびCD8+細胞の増加が特に顕著であった。特に、CD45RO+、CD45RA+およびCD45RB+の増加が認められた。
【0136】
(表2)ヒト癌患者に腟内適用したA-007(0.25%ゲル)の効果*
注:*ゲル(0.25%)を腟内投与した(2gを1日1回5日間;3〜6週間毎に繰り返す場合もあった)。**組織像−1/巨細胞および12/扁平上皮細胞;+CIN上皮が存在。***HPV力価の存在&変化。注:患者V-4からV-6およびV-10は評価したが、治療は行わなかった。NA−入手不可能。NC−無変化。
【0137】
本実施例ではゲルとして示したが、A-007はクリームもしくは単純な結晶(50mg)あるいは上皮表面もしくは皮膚(または他の表面)上に適用する、またはその中に16ゲージのトロカール針で挿入することができるペレット(50〜100mg)として適用することもできる。
【0138】
HeLa癌細胞(HPV+)はA-007の結晶と共に24時間インキュベートすると、壊死および死滅を起こす。図14は、結晶に向かって遊走している澄明な健常癌細胞を示している。次いで、細胞膜化学的間期(interphase)およびPTP受容体の調節を通して、細胞はダウンレギュレートし、DNA凝集に関連する核凝縮により黒変し、その結果死滅する(下方の凝集し、暗く染色された細胞)。結晶の細胞に対する誘引作用は、図3および4に記載の分子内共鳴および磁気パターンに関連する。
【0139】
未処置Tリンパ球はA-007の存在下でも活性化され、活性化リンパ球は凝集する(図5)。
【0140】
したがって、A-007および前述のヒドラゾンなどの他の共鳴調節化合物は、HPV陽性上皮細胞を感作して活性化T細胞により攻撃する際に独特の役割を果たす(表2)だけでなく、HPV陽性細胞に直接の効果も有し、A-007は細胞およびウイルス死滅を引き起こす(表2)。後者の表において、患者は治療後にもはやウイルス感染は見られず、これは物質が抗ウイルス特性も有することを示している。したがって、A-007は、Tリンパ球におけるCD45+活性のアップレギュレーション、ならびに細胞外膜調節解除およびHIV感染細胞の除去の両方を有する。
【0141】
これらの知見より、HPV感染子宮頚部上皮細胞およびTリンパ球はいずれも、A-007などの共鳴調節物質が相互作用しうる細胞外膜結合PTPを含むことが示唆される。HPVウイルスは活性細胞外PTP受容体を含むと考えられ、この受容体はA-007に曝露されると調節解除され、死滅することがある。実際のメカニズムにかかわらず、共鳴調節物質はHPVに対する有効な抗ウイルス活性を有することが見いだされている。さらに、Tリンパ球はA-007などの共鳴調節物質により活性化されて、表面膜CD45+RO PTPの存在を増強すると考えられ、これは触媒受容体部位内のHS−SH形成を通して起こると考えられる。CD45+RA Tリンパ球は、外来細胞を攻撃することができない休止または未処置細胞であり、したがってCD45+ROマーカーへの変換は細胞性免疫系の細胞毒性部分の活性化を意味する。表2に示すとおり、共鳴調節物質は実質的な抗ウイルス(抗HPV)および抗新生物活性を有していた。図13は、共鳴調節物質による治療後にCD45+RO細胞の比率が高まることを示している。
【0142】
ペスト菌病原体などのPTPを発現する細胞、または病原体に感染しているPTP+細胞(HPV感染上皮細胞など)もA-007により凝集することがある。この凝集は、システインの酸化およびジスルフィド結合形成により起こると考えられる。この結合形成は細胞の完全性を破壊し、細胞死−ウイルスを放出する。A-007存在下で、ウイルスPTP細胞膜自動酸化がウイルス不活化と共に起こる。表1の患者のほとんどは、HPV誘導性の核内変化を含むHPV+過形成性子宮頚部細胞(CIN)も有し、これらはA-007療法により除去された。このことは、A-007などの共鳴調節物質は、悪性細胞と同じく、HPVに感染した良性および過形成性細胞を破壊する能力があることをさらに強調している。
【0143】
結合親和性が改善され、PTP CD45受容体をアップレギュレートする、2,6-ジベンジリデンシクロヘキサオン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(化合物38;図16参照)などのヒドラゾン類縁体の抗癌および抗ウイルス活性も、紫外線への曝露を通じて増強される。紫外線はA-007とアルギニンのジイミン部分との間のディールス-アルダー反応およびシステインのHS部分との付加物形成を引き起こし、その結果CD45受容体がアップレギュレートされる(図1)。したがって、そのような共鳴調節物質の免疫調節、抗ウイルスおよび抗腫瘍活性は、化合物を紫外線に曝露することにより増強することができる。
【0144】
実施例12
4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007)の抗新生物および免疫調節特性
4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007、図12の化合物1)は、肛門扁平上皮細胞癌の患者で顕著な抗癌活性を示した(表3)。0.25% A-007を含む局所用ゲル(1日1回ゲル2グラム)を肛門内に1日1回5日間適用し、観察された結果を表3に示している。
【0145】
(表3)肛門に適用したA-007(0.25%ゲル)の癌に対する効果*
注:*ゲル(0.25%)を肛門内投与した(1日1回5日間;必要に応じて3〜6週間毎に繰り返す場合もあった)。**組織像−扁平上皮細胞または腺癌。***HPV力価の変化。NC−無変化。
【0146】
実施例13
共鳴調節物質のその他の例
2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(BDP-DNP)(化合物38)は、A-007に比べて100倍の免疫調節抗癌活性を有する新しいヒドラゾン類縁体である。図15は、培養により増殖中の悪性扁平上皮癌(SCCA-HM)細胞増殖に対するBDP-DNPの影響を示している(処置前後)。左図は、未処置Tリンパ球の小さい白色塊を伴う、大きいレース状の星形扁平上皮癌細胞である。組織培養培地中、BDP-DNP(0.4mcg/mL)と共に24時間インキュベートした後(L. R. Morgan、米国特許第5,270,172号)、リンパ球は印象的な刺激を受け(活性化Tリンパ球の大きい白色塊)、癌細胞の破壊が見られた。右図の暗い背景は、薬物の色による。ふわふわした白色細胞はすべて活性化リンパ球の大きい塊である。癌細胞は検出されない。
【0147】
実施例14
いくつかの共鳴調節物質の特徴
前述の実施例において開示したとおり、診断および治療両方のための免疫系とのインターフェイスを提供し、抗腫瘍および抗ウイルス活性(特にHPVならびにHPV感染に関連する膣および子宮頸癌などのHPV感染細胞に対する活性)を独立に有する化合物が見いだされた。
【0148】
下記の特徴の一つまたは複数、例えば下記の特徴の少なくとも三つもしくは五つまたはすべてを有する、共鳴調節物質である化合物が開示されている:
【0149】
培養中、または生きている被検者の表面(皮膚など)に適用した場合の、CD45+リンパ球(例えば、CD45RO+およびCD45RA+リンパ球)の共鳴調節物質への特異的誘引。
【0150】
例えば、被検者の上皮に適用した場合の、CD45RA+のCD45RO+リンパ球へのアップレギュレーション。
【0151】
固有の電磁特性、例えば、結晶を蒸発させた場合に正および負に荷電した点の間で凝集した結晶の一本線を形成する能力、または電磁エネルギーの放出。
【0152】
リンパ球遊走に影響する特性、例えば、培養中で未処置リンパ球の凝集を誘導する。
【0153】
化合物の特定の例は、個人の皮膚に適用した後の化合物から測定した交流電圧波の振幅を増大させる能力によっても特徴付けられる。特定の例において、増大した振幅は、リンパ球機能不全などの免疫障害を有する被検者で低下する。
【0154】
反応性の実質的欠如。
【0155】
皮膚に適用した場合に、実質的に皮膚から吸収されない、例えば、リピンスキーの「ルール・オブ・ファイブ」を満たしていない。皮膚に適用した場合、物質は経皮流動することなく、皮膚の表面に実質的に完全に残留する。
【0156】
共鳴調節物質の可能性がある物質は、共鳴調節を示唆する化学構造、すなわち本明細書において前述した構造的特徴に基づいて選択することもできる。例えば、Casodex(登録商標)、Naprelan(登録商標)、Eulexin(登録商標)、およびBextra(登録商標)などの、電気陰性度を有するポリアリール化合物を選択することができる。
【0157】
共鳴調節物質の可能性があるとして候補がいったん選択されれば、これらがリンパ球の芽球化を誘導し、リンパ球を活性化するかどうかを調べるために、容易にアッセイすることができる。そのようなアッセイはMorgan et al., Anticancer Research 13:1763-1768 (1993)で見られ、これは参照として本明細書に組み込まれる。同様に、Janossy et al., Clin. Exp. Immunol. 14:581-596 (1973)も参照されたい。要するに、培養中のリンパ球の[3H]チミジン取り込みを測定した。リンパ球を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を補足したRPMI-1640組織培養培地中で培養した。共鳴調節物質で刺激した後、トリチウム化チミジン(2〜20μCi/ml、比放射能2Ci/mmol)を細胞に加え、一緒にインキュベートした。[3H]チミジンの取り込みを、選択した時間の後に10%冷トリクロロ酢酸を加えることによって停止し、試料の放射能をシンチレーションカウンターで測定した。リンパ芽球%は、高倍率視野(hpf)あたりの芽細胞の数を計数することによって求め、活性化%は、トリチウム化チミジンの取り込みによって求めた。実施例7のとおり、電圧上昇をオシロスコープを用いて測定した。
【0158】
(表4)共鳴調節特性の予測
*Fan, Morgan, et al, (Adoptive Immunotherapy of Advanced Renal Cell Cancer using PHA-stimulated Autologous Lymphocytes, Anticancer Research 16, 230-239, 1993)に記載の方法を用いて、リンパ芽球およびリンパ球活性化を定量した。
**オシロスコープで振幅増大を測定。
【0159】
この方法は、電圧シグナルの振幅増大とリンパ球の活性化増強との間の相関を示している。特に、リンパ球活性化のより激しい増強に伴い、より大きい振幅増大が観察された。このアッセイを用いて、免疫活性化作用について共鳴調節物質候補を迅速にスクリーニングすることができる。例えば、このアッセイを用いて、免疫系に対する共鳴調節活性の尺度として、少なくとも20%の電圧振幅増大(例えば、少なくとも50%の振幅増大)を用いることができる。次いで、さらなる使用および研究のために、そのような基準(例えば、少なくとも20%の振幅増大)を満たす共鳴調節物質候補を選択する。
【0160】
実施例15
局所製剤
本明細書に開示した共鳴調節物質は、免疫調節物質、抗ウイルス剤、または抗新生物製剤として皮膚に適用するための局所製剤として調製することができる。
【0161】
一つの例において、共鳴調節物質は2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(BDP-DNP)を含む。上皮表面への適用のために、例えば、肛門、膣または子宮頚部CINなどの子宮頚部新生物などの泌尿生器新生物などの悪性上皮に適用することにより、局所製剤で配置する。
【0162】
共鳴調節物質は、腫瘍細胞の退縮または消失を誘導するための治療上有効な量の物質を患者に投与することによる、腫瘍(新生物)の治療法において用いることができる。特定の実施例において、BDP-DMPを投与することは、BDP-DNPを腫瘍に局所適用することを含むが、経口、吸入、注射または皮下投与などの他の形の投与も含む。
【0163】
いくつかの実施例において本発明の原理を例示および記載してきたが、当業者であれば、本発明はそのような原理から逸脱することなく特定の詳細において変更可能であることが明らかであると思われる。すべての変更は添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に入ることを主張する。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007)とCD45+ Tリンパ球表面受容体との間の相互作用を示す模式図である。
【図2】A-007の構造式を示す図である。
【図3】A-007の共鳴構造を示す模式図である。
【図4】磁場内で結晶化したA-007結晶の直線配置を示すディジタル画像である。
【図5】リンパ球の組織培養(上図)および同じリンパ球の培養物をA007の結晶存在下で1時間置いたもののディジタル画像である。
【図6】組織培養中のリンパ球のA-007曝露前(上図)およびA-007曝露1時間後の電圧振幅における変化を示すオシロスコープの画面印刷である。電圧の振幅は、培養中にA-007に1時間曝露した後、約1.4ボルトから約1.8ボルトに増大した。
【図7】リンパ系と皮膚との関係、およびバイオインピーダンスを監視し、被検者の皮膚に適用した共鳴誘導物質と相互作用する電磁場を誘導するオシロスコープ装置を示す模式図である。
【図8】皮膚適用のための、ゲルでのA-007パッチを示すディジタル画像である。パッチは、皮膚適用後のゲルの電磁特性(パッチインピーダンスなど)を監視するために、電極を接続した導電性リードを備えている。電極は、共鳴調節物質を調整するために、パッチを通る電流を誘導するための正負の電気リードに接続するためにも利用可能である。
【図9】健常被検者に適用した図8のパッチを通した電圧波形の経時変化を示す、オシロスコープの画面印刷である。パッチは0.25%ゲルでA-007を0.5g含み、被検者の背中の2×2cmの皮膚領域に適用されている。上図の波形はA-007パッチを皮膚に適用した直後に取っている。下図の波形はパッチを連続7日間適用した後に取っている。この期間に、電圧波形の振幅は約3ボルトから約4ボルトへと、25%以上増大した。これは、健常者、すなわちこの特定の被検者で基準値として予測される振幅増大の一例である。
【図10】A-007の子宮頸部への局所適用に対する、子宮頸部上皮内癌およびCINの反応を示す、子宮頸部生検のディジタル画像である。左図はA-007局所適用前の悪性細胞巣を示している。右図はA-007局所治療5日後の、悪性変化がなくなった上皮の完全な器質化を示している。
【図11】A-007から経時的に発生したエネルギーの画面印刷で、異なる共鳴状態に関連すると考えられる、周波数出力の間欠的変化(周波数可動域)を示している。
【図12】様々な共鳴調節化合物(化合物1〜37と呼ぶ)の化学構造、ならびに化合物12〜37の合成スキームを示す図である。
【図13】過形成性HPV感染子宮頸部上皮(子宮頸部上皮内新生物すなわちCIN)の治療前と後の両方を示すディジタル画像である。感染上皮を0.25%A-007ゲル2グラムで1日1回5日間局所治療した。左上(治療前)の写真はCD45RO+リンパ球(活性化)の染色で、非常に薄いのに対し、右上の写真は、A-007による局所腟内治療5日後に、CD45RO+リンパ球(活性化)集団が非常に濃くなっていることを示している。下の写真は、局所A-007治療(上と同じ用量)5日後のCD45 RA+/RO+比を比較し、RO+細胞成分(細胞毒性を示す活性変異体)が優性であることを示している。RO+変異体は細胞毒性にとって必要である。
【図14】A-007の結晶と共に2時間インキュベートしたHeLa癌細胞を示すディジタル画像である。結晶の右の澄明な細胞は写真中央の結晶に向かって誘引されている。結晶と接触後、細胞は移動し、核凝縮し(DNA凝集および壊死)、死滅する。この図は、A-007結晶の共鳴分子内磁気パターンに細胞表面膜が誘引されることを示していると考えられ、結晶の抗腫瘍効果があることの明白な証拠となる。
【図15】組織培養で増殖中の悪性扁平上皮癌(SCCA-HM)の細胞増殖に対するBDP-DNPの効果を示すディジタル画像である(処置前後)。左図は、未処置Tリンパ球の小さい白色塊を伴う、大きいレース状の星形扁平上皮癌細胞である。組織培養培地中、BDP-DNP(0.4mcg/mL)と共に24時間インキュベートした後(米国特許第5,270,172号のとおり)、リンパ球は印象的な刺激を受け(活性化Tリンパ球の大きい白色塊)、癌細胞の破壊が見られた。右図の暗い背景は、薬物の色による。ふわふわした白色細胞はすべて活性化リンパ球の大きい塊である。治療後の写真では癌細胞は検出されない。
【図16】PTPCD 45受容体に対する優れた結合親和性を有し、受容体をアップレギュレートする、2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(構造38)を示す図である。
【図17】2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(構造38)とPTP CD45+受容体との相互作用を示す図である。
【図18】A-007(2,4-DNP)および他のリガンドがTリンパ球上のCD45受容体に結合し、それにより受容体の二量体化と、続いてシグナリングが起こることを示す図である。二量体化は、細胞の成熟および機能の向上を含む、様々な効果を引き起こす。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、例えば、感染症および新生物疾患の診断および/または治療において、免疫機能を監視および変更する方法に関する。同様に、感染症、および感染性病原体に関連する腫瘍の治療法も開示する。
【0002】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2003年2月28日出願の米国特許仮出願第60/450,877号の恩典を主張し、これを参照として本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0003】
背景
1. 序論
免疫療法は、健康を保持する生得的能力を改善するための被検者の免疫応答の調節を含む。電磁場と免疫などの生体機能との間に関係があることが認められている。例えば、米国特許第4,670,386号は、強い抗原性を有する腫瘍特異的抗原の発現は、腫瘍細胞を、癌細胞の双極性分子成分における極性の周期的で急速な交互変化を引き起こす高周波数電磁放射に曝露することで誘導されることを開示した。しかし、超高周波数放射の欠点の一つは、生体組織に対して有害で損傷を起こしうる熱を生じることである。
【0004】
電磁放射と免疫との間の関係は、米国特許第6,038,478号にも例示されており、これは電極を所望の部位にあて、リンパ球を誘引するのに十分な電流で組織を刺激することにより、体内の所望の部位にリンパ球が誘引されうることを開示している。米国特許公報第2002/0072646 A1号では、低エネルギー交流磁場を用いて免疫応答を誘導した。同様に、WO 02/062418 Alは、被検者を磁場、または角調節された超高周波数電磁場に曝露することによる免疫機能の増強を開示している。
【0005】
The Biomedical Engineering Handbook (CRC Press 1995)の第50章に述べられているとおり、生体系はそれらに関連する電気活性を有することが多い。この活性は、一定のDC電場、一定の荷電粒子もしくは電流のフラックス、または時間依存性もしくは生化学的現象に関連する時間変動電場もしくは電流でありうる。生体電気現象は、生体構造におけるイオンまたは荷電分子の分布、および特定のプロセスによって起こる、この分布の変化に関連している。
【0006】
電磁バイオインピーダンス測定は診断のために用いられてきた。例えば、WO 01/076475は、生体組織において渦電流を誘導するための交流磁場の使用を開示している。標的組織に隣接するコイルで電流を発生させるために、発振器回路を用いる。生じる電圧の振幅は組織の伝導率に比例するため、バイオインピーダンスの変化を用いて、前立腺腫瘍などの腫瘍に関連する組織の変化を検出する。組織タイプを区別するためのもう一つの組織インピーダンス測定装置は、WO 01/67098に開示されている。これらのPCT公報(WO 01/076475およびWO 01/67098)両方の開示は参照として本明細書に組み込まれる。
【0007】
生物およびそれらの細胞成分への電磁場の影響はこれまでに認識されている。しかし、この相互関係を利用することは困難で、電磁放射を調節する外部供給源に免疫系をより有効に結合する必要がある。
【0008】
2. PTP
プロテインホスファターゼは、少なくとも二つの別の異なるファミリー:セリン/トレオニンホスファターゼおよびチロシンホスファターゼ(PTP)からなる。ヒトチロシンホスファターゼ(ヒトPTP)は、すべての真核生物に存在するタンパク質の大きく多様なファミリーである。各PTPは、触媒活性に必須であることが知られているシステインおよびアルギニン残基を含む11-残基配列モチーフで特徴付けられる、少なくとも一つの保存ドメインからなる。PTPの配列は、セリンまたはトレオニン、酸性またはアルカリ性ホスファターゼとの類似点を持たない。PTPファミリー内の構造における多様性は主に、触媒ドメインのNH2-またはCOOH-末端に結合した様々な非触媒配列によるものである。細胞内リン酸代謝およびドメインに関与する多くのPTPがある。細胞外セグメントの多様性はおそらく、PTPが曝露され、リン酸転移を触媒する様々なリガンドを反映している。
【0009】
チロシンホスファターゼ(PTP)は一般に、二つのサブグループに分類される。第一のサブグループは、一つの保存された触媒ホスファターゼドメインを含む、低分子量の細胞内酵素からなる。すべての公知の細胞内型PTPは一つの保存触媒ホスファターゼドメインを含む。第一グループのPTPの例には、胎盤PTP 1B、T細胞PTP、ラット脳PTP、ニューロンホスファターゼ(STEP)、および細胞骨格タンパク質に相同の領域を含む細胞質ホスファターゼが含まれる。
【0010】
第二のPTPサブグループは、R-PTPと呼ばれる高分子量の受容体結合PTPで、細胞内触媒領域、一つの膜貫通セグメント、およびリガンドに結合すると推測される細胞外ドメインを含む。R-PTPのリガンドに結合すると推測される細胞外「受容体」ドメインの構造およびサイズは、高度の相同性を示すR-PTPの細胞内触媒領域とは対照的に、非常に異なる。すべてのR-PTPは二つのタンデム複製された触媒ホスファターゼ相同性ドメインを有するが、顕著な例外としてHPTPβと呼ばれるR-PTPがあり、これは触媒ホスファターゼドメインを一つだけ有する。(Tsai et al., J. Biol. Chem. 266(16):10534-10543 (1991))。
【0011】
R-PTPの一例は白血球共通抗原(LCA)である(Ralph, S. J., EMBO J. 6:1251-1257 (1987))。LCAはすべての白血球およびそれらの造血前駆細胞の表面で発現される高分子量糖タンパク質のファミリーである。いくつかの種由来のLCA配列で、顕著な類似性が検出されている(Charbonneau et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:7182-7186 (1988))。LCAは文献中で、T200、B細胞型のB220、マウスアロタイプマーカーLy-5、および最近ではCD45などの異なる名前で呼ばれる(Cobbold et al., Leucocyte Typing III, ed. A. J. McMichael et al., pp. 788-803 (1987))。CD45はT細胞活性化において重要な役割を果たすと考えられている。これらの研究については、Weiss A., Ann. Rev. Genet. 25:487- 510 (1991)に総説が記載されている。
【0012】
R-PTPのもう一つの例は、白血球共通抗原関連分子(LAR)である(Streuli et al., J. Exp. Med. 168:1523-1530 (1988))。加えて、公開出願WO92/01050は、ヒトR-PTP-α、βおよびγ、ならびにこれら3つのR-PTPの保存ドメインとこのタンパク質ファミリーの他のメンバーの間で見られる構造的相同性の性質に関する報告を開示している。
【0013】
細胞外PTPは表面認識および白血球表面認識の接着分子に関連している。PTPはヒト細胞に関係しているだけでなく、真核細胞およびウイルスや、細菌中にも存在する。腺ペストの起因菌である病原性細菌エルシニアにおいて、Yop2bチロシン特異的PTPは基本的なビルレンス決定子である。
【0014】
多くの研究で、生理的プロセスにおけるPTPの重要性が示されている。TおよびBリンパ球、顆粒球、ならびにマクロファージの表現型の欠陥および過剰増殖挙動は、癌および自己免疫疾患の発生における主要な問題であると考えられている。
【0015】
3. 共鳴構造
共鳴構造は、電子の位置が異なる化合物の複合電子構造を例示する。複数の代替構造を共鳴構造と呼び、分子をこれらの構造の共鳴混成体と呼ぶ。
【発明の開示】
【0016】
開示の概要
本明細書において、治療反応(免疫応答など)を刺激する方法であって、治療(免疫刺激など)を必要とする被検者に、共鳴分子内双極性運動(または電気的密度)を有し、それにより生体環境と相互作用することができる、共鳴調節化合物の治療上有効な量を投与することによる方法が開示される。化合物の投与は、標的部位への局所適用、ペレットの皮膚への挿入、患部器官への配置、および吸入を含む、多くの形態を取ることができる。共鳴調節化合物は、共鳴調節化合物近傍の標的領域にリンパ球などの免疫細胞が浸潤することによって部分的に特徴付けられる、免疫応答を刺激することができる。標的領域の電磁特性も、免疫細胞が標的部位に侵入することによって変化し、これらの電磁変化を検出して(例えば、共鳴調節物質からの電磁シグナルにより)、被検者の免疫応答の妥当性を評価することができる。このように、例えば、予想される免疫細胞の凝集が見られないことにより、免疫応答の欠損を速やかに検出し、適当な治療または予防的介入を行うことができる。そのような介入の一つは、共鳴調節化合物を、局所的に標的部位、および遠隔操作で全身の両方の免疫応答を増強する外部電磁刺激に曝露することである。そのような電磁刺激の例は、化合物内の電位を流れる電流、誘導磁場、または化合物にあてられる放射エネルギー(レーザーエネルギーなど)である。
【0017】
共鳴調節化合物の特定の例は、ポリアリールモノニトロまたはジニトロフェニルヒドラゾンなどのフェニルヒドラゾンなどのアリールニトロヒドラゾン、例えば、
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、ヒドロキシフェニル(2-または4-ヒドロキシフェニルなど)、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2は無置換(C6H5)またはC6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、もしくはC6H5Clなどの置換フェニル基であり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2などのニトロフェニルであり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)である。
【0018】
特定の例において、化合物は2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007と呼ぶ)で、この化合物は
(式中、R1はOHであり、R2はC6H40Hであり、かつXはC6H3-2,4(NO2)2である)である。共鳴調節化合物の多くの他の例も本明細書に開示しており、そのうちのいくつかを添付の図12、16および17に示す。これらにはホルミルおよびアセチルバルビツールフェニルヒドラゾン類縁体が含まれる。もう一つの例は2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン
(式中、Xはニトロフェニル(C6H3-2,4(NO2)2)であり、R1はHであり、R2は無置換フェニルであり、かつR3はCH2である)である。
【0019】
これらの化合物は、生体環境と静電相互作用することが可能と考えられる共鳴分子内双極性運動を有し、特定の例においては、R-PTP CD45+ PTPサブタイプで見られるものなどのR-PTPの細胞外触媒受容体と、または一般にはリンパ球と相互作用する。この相互作用はリンパ球(Tリンパ球など)を化合物が適用された標的領域へと誘引する。共鳴調節化合物は非常に電気陰性度が高く、静電連結(affiliation)が可能であるが、典型的には実質的化学反応性に欠け、局所的化学反応を起こすことはない。それにもかかわらず、これらの化合物は、例えば、リンパ球(例えば、CD45+ Tリンパ球、例えば、CD45RO+またはCD45RA+リンパ球などのTリンパ球)をリンパネットワークから動員することで免疫機能を活性化し、化合物に曝露された体の標的領域に免疫活性を集中させると考えられる。共鳴調節化合物は、リンパ系で見られるものなどの分散型免疫細胞ネットワークとの相互作用により、標的領域から遠い位置、例えば、脾臓において免疫系を刺激することも可能である。この免疫応答の動員を用いて、感染症または腫瘍を治療することができる。
【0020】
特定の態様において、共鳴調節化合物は、被検者の皮膚に適用する、例えば、皮膚表面にゲルで局所適用することにより、またはそうではなく皮膚中に導入する、例えば、化合物の結晶もしくはペレットを皮内に配置することにより投与することができる。しかし、共鳴調節物質は、化合物を体内、例えば、患部器官または腫瘍(悪性腫瘍または転移病変など)に導入することにより投与して、局所免疫応答を刺激し、リンパ系からリンパ球を動員し、かつ免疫応答を標的器官または腫瘍に向けることもできる。共鳴調節物質は気管気管支または口咽頭投与のためにエアロゾル製剤で投与することもできる。一例において、化合物を胸壁乳癌病変もしくは子宮頸部上皮癌などの転移もしくは上皮病変に、またはその近傍に局所適用する。標的領域の免疫反応を刺激するために、病変に対し治療上十分に接近した部位で、化合物を被検者の上皮または表皮表面に適用する。表在病変(乳房腫瘍の胸壁再発または子宮頸部もしくは肛門上皮癌など)の例において、化合物を病変に直接適用する。
【0021】
化合物の共鳴調節活性(およびその結果としての免疫刺激活性またはPTP活性化活性)は、化合物をその共鳴調節増大を誘導する電磁場(時間変動電場、時間変動磁場、および/または放射電磁場など)に曝露することにより増強することができる。例えば、そのような場は、磁気プローブを被検者に投与した化合物の近くに設置するか、または二つの電極の間の化合物を通って流れる電流を与えるか、またはレーザーエネルギーで化合物を照射するレーザーにより誘導することができる。特定の態様において、共鳴調節化合物を皮膚の標的領域に、都合のよいパッチまたはペレットを用いて適用し、化合物の共鳴調節を増大させる様式で電場を誘導することにより、免疫系の活性を都合よくアップレギュレートすることができる。この様式において、皮膚表面の共鳴調節物質は外部から適用した電磁場と免疫系との間の好都合なカプラーとして作用し、共鳴調節物質の部位で特に局所的に免疫機能を増大させることができる。しかし、免疫機能は、共鳴調節化合物から遠隔の全身で増強することができるとも考えられている。
【0022】
共鳴調節物質のPTP(免疫系の成分など)と相互作用する能力により、免疫機能を監視するために化合物を用いることも可能になる。共鳴調節物質の標的領域への適用(例えば、皮膚に適用したパッチ)により、免疫系の細胞成分などのPTP発現細胞が動員されることが観察されている。免疫細胞の誘引は明らかに、樹状細胞および他の初期リンパ球と静電相互作用し、これらを誘引することにより起こる。これらの細胞は共鳴調節物質の近くで凝集し、それらが凝集する標的領域の電磁特性(バイオインピーダンスなど)を変化させる。変化した電磁特性は、例えば、電極間に電圧がかけられていない場合でも、標的領域両端の電位差の振幅の変化として検出可能である。特定の態様において、電極を調節物質と接触させて置き、化合物の共鳴調節により固有変動電圧を経時的に発生させる。これらの変動電圧の振幅を用いて、免疫機能を監視する。例えば、電極間の電圧振幅が正常な対照と比べて低下した場合、免疫機能が損なわれていることを示している。
【0023】
波形の振幅(または他の電磁特性)を監視して、化合物に対する被検者の免疫系の反応を評価することもできる。経時的な電圧振幅の増大は、免疫応答が起こった(そして、リンパ球などの免疫効果器細胞が標的領域に移動した)ことを示している。振幅の増大があらかじめ決められた閾値(少なくとも10%、25%または50%の増大予想値など)よりも低い場合、さらなる診断または治療的介入を行って、免疫障害の理由を評価または矯正することができる。例えば、免疫応答障害の感染性、毒性または新生物性の原因について、厳密な調査を行うことができる。または、共鳴調節化合物をその共鳴調節増大を誘導する電磁場に曝露することにより、免疫応答をアップレギュレートすることができる。もう一つのアプローチは、適当な抗感染または抗新生物化学療法で、被検者の治療を開始することであると考えられる。
【0024】
共鳴刺激物質は、これを被検者に投与(例えば、皮膚転移上またはその近くの標的領域への局所適用により)することにより、腫瘍を治療するために特に有効である。次いで、外部からの電磁場を物質に任意に適用して、その共鳴調節を増大させ、それによりその免疫刺激効果を高めることもできる。外部電磁場は、例えば、局在磁場を誘導する磁気プローブ、電極間にかけられた誘導外部電流、または共鳴調節化合物の共鳴調節を刺激するレーザーによって発生させてもよい。その結果としての抗原提示細胞(樹状細胞など)および免疫効果器細胞(T細胞など)の標的領域への動員増大が、腫瘍標的に対する直接的免疫監視および免疫効果器活性を助ける。共鳴調節物質は、例えば、細胞の悪性変換を誘導したHPV感染に関連する癌などの、子宮頸部、肛門または膣癌を治療するために用いることができる。
【0025】
特定の態様において、免疫応答を、CD45+ Tリンパ球などのCD45+細胞などのRPTP発現細胞またはRPTPもしくはCD45+発現感染細胞を通じて、またはこれらに対して刺激する。そのような細胞の一例は、パピローマウイルス、例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)、または免疫不全ウイルス(HIVなど)に感染した細胞などのウイルス感染細胞に応答して産生されたリンパ球である。
【0026】
免疫応答を監視する特定の方法において、共鳴調節化合物を被検者と接触させて(例えば、被検者の皮膚上または皮膚内に)配置し、化合物の固有の共鳴調節が化合物の特徴的波形を生じるようにする。化合物から検出された波形(電圧または他の電磁波の変化)を監視して、免疫機能の変化に関連する、化合物によって生じた波形を検出する。特定の態様において、化合物中の電圧変化を経時的に検出することにより、例えば、経時的に見られるであろうと予期される増大よりも小さい振幅を有する波形を検出することにより、波形を監視する。この方法のいくつかの態様において、免疫機能の変化に関連する波形が検出されれば、波形の検出に応じて診断または治療的介入を行うことができる。
【0027】
例えば、介入は、変化した免疫の特徴(Tリンパ球などの免疫応答に関与する細胞の数もしくは機能の低下、または特定の細胞など)または免疫変化の原因(免疫不全ウイルスへの感染、または免疫機能を変化させる、腫瘍などの新生物状態)を検出するよう設計された診断的介入であってもよい。または、免疫変化の検出により、抗新生物もしくは抗感染療法(抗生物質または抗ウイルス薬など)を投与し、かつ/または免疫機能を増強するために化合物の共鳴を調節することになる。化合物の共鳴を調節することは、化合物の共鳴調節を促進し、その結果、免疫機能を改善する、誘導電磁場を化合物にかけることを含む。特定の態様において、免疫機能の改善とは、Tリンパ球(CD45+ Tリンパ球など)の共鳴調節化合物適用部位への動員改善である。
【0028】
開示した方法は、腫瘍を共鳴調節化合物の治療上有効な用量に曝露し、化合物に外部電磁場をかけてその共鳴調節を増大させ、それにより腫瘍を治療するための化合物の抗腫瘍効果を高めることにより、腫瘍を治療する方法も含む。または、この方法を用いて、化合物の治療上有効な量を投与することにより、感染症(ペスト菌感染症などの細菌感染症またはHPVもしくはHIV感染症などのウイルス感染症、あるいは病原体によってPTPが発現される他の感染症など)を治療することもできる。特定の例において、治療量とは、細胞のPTP細胞外受容体と相互作用して受容体を活性化するのに十分な量である。いずれの治療の特定の例においても、化合物を被検者の皮膚、または感染もしくは新生物部位に適用する。化合物は、例えば、パピローマウイルス(HPVなど)に感染した被検者の皮膚、または泌尿性器もしくは肛門性器の上皮(肛門、膣または子宮頸部の上皮)に、局所用ゲルとして適用することもできる。いくつかの例において、上皮は、子宮頸部上皮内または高度もしくは扁平上皮内新生物(CIN/HSIL)、肛門上皮内新生物(AIN/HSIL)または扁平上皮癌などの、形成異常または化性上皮である。特定の例において、化合物は、少なくとも5日間などの治療効果を示すのに十分な期間、被検者に局所投与する、0.25%ゲルとして適用する。特定の治療法において、ゲルを1日1回適用し、かつ/または有効量は少なくとも0.25%の化合物を含む局所用ゲルを少なくとも2グラムである。
【0029】
共鳴調節化合物の珍しい性質により、インビトロまたはインビボのいずれでも、樹状細胞および/またはリンパ球を濃縮する方法において、この化合物を用いることができる。例えば、生体組織(または細胞)を共鳴調節化合物の有効量に曝露することにより、生体組織から(または培養中に)リンパ球などのRPTP+細胞(例えば、Tリンパ球などのCD45+細胞)を濃縮することができる。一例において、この物質を被検者の皮膚に適用し、物質適用部位およびその周囲にRPTP+細胞(リンパ球など)を濃縮する。しかし、リンパ球および/または樹状細胞などのRPTP+細胞は、乳房、結腸、または前立腺腫瘍などの、物質を導入した体内のいかなる標的領域にも誘引することができる。または、この物質をリンパ球および/または樹状細胞などのRPTP+細胞を含む組織培養中に導入し、これらの細胞を物質に誘引することもできる。細胞の亜集団の選択的濃縮を、この様式で行うことができる。共鳴調節物質を用いて、例えば、CD45RO+およびCD45RB+細胞表面マーカーの発現を誘導することにより、これらの細胞の濃度を高めることもできる。特定の態様において、細胞毒性活性を有するCD45RO+の選択的発現が起こる。
【0030】
本発明の前述および他の目的、特徴、および利点は、いくつかの態様に関する下記の詳細な説明を、添付の図面を参照しながら読むことでさらに明らかになると思われる。
【0031】
詳細な説明
略語
A-007:4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン
AMTR:A-007磁気トランジスタ共振器
An:抗原
APC:抗原提示細胞
BDP-DNP:2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン
DC:樹状細胞
DNP:ジニトロフェニルヒドラゾン
PTP:チロシンホスファターゼ
【0032】
II. 用語
特に記載がない限り、技術用語は通常の用法に従って用いる。分子生物学における一般的用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V, published by Oxford University Press, 1994 (ISBN 0-19-854287-9);Kendrew et al. (eds.), The Encyclopedia of Molecular Biology, published by Blackwell Science Ltd., 1994 (ISBN 0-632-02182-9);およびRobert A. Meyers (ed.), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, published by VCH Publishers, Inc., 1995 (ISBN 1-56081-569-8)に記載されていると考えられる。
【0033】
これらの用語のいずれかが参照として組み込まれた文書と矛盾する場合、本文書に示される用語の意味が支配することになる。
【0034】
本開示の様々な態様の検討を容易にするために、特定の用語の説明を以下に示す:
【0035】
動物:生きている多細胞脊椎生物で、例えば、哺乳類および鳥類を含む範疇。哺乳類なる用語はヒトおよびヒト以外の哺乳類の両方を含む。同様に、「被検者」なる用語は、ヒトおよび獣医学的被検者の両方を含む。
【0036】
抗原:動物に注入または吸収された組成物を含む、動物の抗体産生またはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物、または物質。抗原は、異種免疫原によって誘導されたものを含む、特定の液性または細胞性免疫の生成物と反応する。「抗原」なる用語は、すべての関連する抗原決定基を含む。
【0037】
CDマーカー:異なるクラスのリンパ球に対する細胞表面マーカーとして役立ちうる、分化クラスター(CD)マーカー。特定のヒト白血球抗原(HLA)への特定のモノクローナル抗体の結合によってCDが決定された、系統的命名法が開発されている。CDマーカーに関するより詳細な情報は、例えば、Roitt et al., Immunology (6th Edition), 2001に開示されている。CDマーカーの特定のサブセットはCD45マーカーで、白血球共通抗原(LCA)である。CD45 RA、CD45RBおよびCD45ROは、CD45+細胞のサブセットである限定されたLCAで、Roitt, et al., Appendix 2にさらに記載されている。これらのLCAの特定の特徴を下記の表に示す:
【0038】
【0039】
走化性:化合物に反応しての、生物または白血球などの1個の細胞の動き。本明細書において用いられる場合、走化性は、静電特性を含む、化合物のいかなる物理的特性にも反応して起こりうる。
【0040】
化学療法;化学療法剤:本明細書において用いられる場合、疾患、例えば、異常な細胞増殖によって特徴付けられる、新生物などの疾患治療において、治療上の有用性を有する任意の化学物質。一つの態様において、化学療法剤は、固形腫瘍などの新生物を治療する際に有用な物質である。当業者であれば、有用な化学療法剤を容易に同定することができる(例えば、Slapak and Kufe, Principles of Cancer Therapy, Chapter 86 in Harrison's Principles of Internal Medicine, 14th edition;Perry et al., Chemotherapy, Ch. 17 in Abeloff, Clinical Oncology 2nd ed., (著作権) 2000 Churchill Livingstone, Inc;Baltzer L, Berkery R (eds): Oncology Pocket Guide to Chemotherapy, 2nd ed. St. Louis, Mosby-Year Book, 1995;Fischer DS, Knobf MF, Durivage HJ (eds): The Cancer Chemotherapy Handbook, 4th ed. St. Louis, Mosby-Year Book, 1993参照)。
【0041】
樹状細胞(DC):樹状細胞は、一次免疫応答に関与する主要な抗原提示細胞(APC)である。樹状細胞には形質球様樹状細胞および骨髄性樹状細胞が含まれる。これらの主な機能は、組織内の抗原を同定して加工し、リンパ系器官に移動し、T細胞カスケードを活性化するために抗原情報を提示する。未成熟樹状細胞は骨髄に由来し、未成熟細胞として末梢にとどまる。
【0042】
DCは、未成熟の抗原捕捉細胞から成熟した抗原提示T細胞感作細胞に進化し;抗原を免疫原に変換し、サイトカイン、ケモカイン、共刺激分子およびプロテアーゼなどの分子を発現して免疫応答を開始することができる。
【0043】
ヒドラゾン:構造R2C=NNR2を有する化合物で、二重結合酸素が=NNR2に置き換わっている点でケトンまたはアルデヒドとは異なる。ヒドラゾンは一般に、ヒドラジンとカルボニル基との縮合により生成する。アリールヒドラゾンは、R基の少なくとも一つがアリール基、例えばフェニル基(フェニルヒドラゾン)であるヒドラゾンである。ニトロフェニルヒドラゾンは、フェニル環上に一つまたは複数のNO2置換を有するフェニルヒドラゾンである。
【0044】
免疫応答:生物の異物(非自己)に対する応答。刺激に対する免疫応答は、Bリンパ球、またはTリンパ球などの免疫系の細胞によって実行される。一つの態様において、応答は特定の抗原に特異的である(「抗原特異的応答」)。
【0045】
感染性物質:ウイルス、細菌、および真菌を含むが、これらに限定されることはない、被検者に感染することができる物質。
【0046】
固有の電磁波形:電流、電位、または磁場の意図的適用などの、能動的に誘導された電磁現象とは独立の、化合物の特徴として生じる波形。波形の一例は、交流電圧により経時的に生じる波形、例えば、正と負の電位の間で交互に、しばしば予測可能な(例えば、正弦波で定義されるような)様式で現れる波形である。波形は、化合物と接触している二つの電極間の電位を測定する電圧計などの、様々な電磁モニタリング装置によって監視することができる。
【0047】
介入:介入は、被検者の生理的または医学的状態を検出またはこれに影響を与えるために取る行為である。診断的介入は、被検者の状態を、例えば、血液検査、生検、画像検査または身体検査などの臨床検査を行うことにより検出する。治療的介入は、被検者の状態に、例えば、手術を行う、薬物もしくは他の治療を投与する、または任意の他の治療処置を実施することにより、影響を与える。
【0048】
単離(された):「単離(された)」生体成分(樹状細胞もしくはリンパ球、またはそれらの細胞の集団)は、その成分が自然に出現する生物の細胞における他の生体成分から、実質的に分離または精製されている。
【0049】
検査による免疫障害の証拠:特定の検査室で受け入れられている基準よりも低い白血球数、リンパ球(Tリンパ球など)濃度低下、または免疫系の任意の細胞の広汎性活性損傷の証拠などの、一般に免疫低下の証拠として医学的に受け入れられている客観的検査データ。特定の例において、データは細胞性免疫もしくは液性免疫、またはその両方の損傷を示す。
【0050】
化学反応性の欠如:特定の共鳴調節化合物は静電気的に活性であるが、生理的条件下(体内)では、その共鳴安定化のために、実質的に非反応性である。そのような化学反応性の欠如により、化合物は全身(経口または静脈内など)投与後に、実質的に完全に未変化で排出されることによる。この反応性欠如の一例は、例えば、体内でA-007のN-メチル化が起こらないことにより認められる。
【0051】
白血球:感染性生物および異物に対する体の防衛に関与する、「白血球(white cells)」とも呼ばれる、血液中の細胞。白血球は骨髄で産生される。白血球には主要な5タイプがあり、これらは次の2つの主要グループの間で細分される:多形核白血球(好中球、好酸球、好塩基球)および単核白血球(単球およびリンパ球)。感染していれば、白血球の産生が高まる。
【0052】
新生物:良性および悪性腫瘍、ならびに他の増殖性障害を含む、異常な細胞増殖。
【0053】
パピローマウイルス:パピローマウイルスは、正二十面体様対称性、カプソメア、および約8,000bpの二本鎖環状DNAゲノムを有する、小さい非エンベロープウイルスである。すべてのパピローマウイルスは類似の遺伝的構成を有する。ウイルスゲノムは、ウイルスDNA複製および細胞形質転換に必要な遺伝子をコードする初期領域、キャプシドタンパク質をコードする後期領域、ならびに複製の起源と、転写および複製の制御因子の多くを含む調節領域に分けられる。
【0054】
パピローマウイルスは高度の種特異性を有する。ヒトパピローマウイルス(HPV)の他の種への自然伝播が知られている例はない。パピローマウイルスは顕著な程度の細胞親和性も示し、皮膚または粘膜の表面扁平上皮にのみ感染し、ほとんどの部分で良性上皮腫瘍を生じる。特異的ウイルスタイプは、皮膚または粘膜いずれかのタイプに選択性を有すると思われる。例えば、HPV-11は他の体の部位から皮膚上皮に容易に感染することはないが、性器または気道いずれかの粘膜上皮には感染することができる。しかし、パピローマウイルスは、浸潤癌の発生を引き起こしうる細胞増殖および形質転換を誘導する。HPV感染は子宮頸癌および肛門癌の発生に関連してきた。
【0055】
医薬品または薬物:被検者に適切に投与した場合に、所望の治療または予防効果を誘導することができる化合物または組成物。医薬品には、化学療法剤および抗感染剤が含まれるが、これらに限定されることはない。
【0056】
薬学的に許容される担体:本発明において有用な薬学的に許容される担体は通常のものである。Remington's Pharmaceutical Sciences, by E. W. Martin, Mack Publishing Co., Easton, PA, 15th Edition (1975)は、本明細書において開示される融合タンパク質の薬学的送達に適した組成物および製剤を記載している。
【0057】
一般に、担体の性質は用いる特定の投与様式に依存することになる。例えば、非経口製剤は通常、水、生理食塩水、平衡塩類溶液、水性デキストロース、グリセロールなどの薬学的および生理的に許容される液体を媒体として含む、注射液を含む。固体組成物(例えば、散剤、丸剤、錠剤、またはカプセル剤形)のためには、通常の非毒性固体担体は、例えば、医薬品等級のマンニトール、乳糖、デンプン、またはステアリン酸マグネシウムを含むことができる。生物学的に中性の担体に加えて、投与する薬学的組成物は、湿潤または乳化剤、保存剤、およびpH緩衝剤など、例えば、酢酸ナトリウムまたはモノラウリン酸ソルビタンなどの、少量の非毒性補助物質を含むことができる。
【0058】
精製(された):「精製(された)」なる用語は、絶対的純度を要求するものではない;それよりも、相対的な用語として意図される。したがって、例えば、リンパ球の精製調製物は、リンパ球が体内での自然な環境中よりも高濃度で存在するものである。
【0059】
共鳴調節物質:生体環境と静電相互作用することを可能にする、共鳴分子内双極性運動(または電気的密度)を有する化合物。共鳴調節物質は、化合物の分子内共鳴によって生じる振動周波数波の放出によっても特徴付けられる。この共鳴は、免疫系の細胞(樹状細胞など)と相互作用するための電気的性質を持ち、免疫をアップレギュレートおよび/または増強すると考えられる。共鳴調節物質は、免疫細胞を誘引し、共鳴調節物質の近くの末梢免疫系の標的領域でそれらを濃縮することができ、またいくつかの場合には、循環免疫細胞(末梢血およびリンパ節または脾臓などのリンパ系組織における免疫細胞など)に対して遠隔効果を有する。多くの共鳴調節物質は結晶構造を有する。共鳴調節物質候補を選択するためのアッセイの例を実施例14に開示している。
【0060】
シグマ波:結晶および組織培養から記録されるシグマ波は、心臓および体内の他のバイオリズムから生じる電気エネルギーの基準線以外の波である。したがって、シグマ波はA-007曝露後の電圧の経時変化および振幅の経時増大を測定する。
【0061】
免疫刺激を必要としている被検者:免疫系の一般または特定の刺激が有益となる状態を有する被検者。例には、免疫不全を有する被検者(HIV感染者または最近化学療法もしくは他の免疫抑制剤の投与を受けた人など)、および免疫応答の刺激によって改善されうる状態を有する人(リンパ腫などの、免疫機能を変える病原体感染または腫瘍を有する被検者など)が含まれる。特定の例において、被検者は、例えば、感染または免疫無防備状態(例えば、感染または医薬品により誘導された免疫不全)のため、腫瘍以外の状態に対して免疫刺激を必要としている。
【0062】
治療上有効な量:疾患の進行を阻害もしくは防止する、または疾患の緩解を引き起こすのに十分な用量、あるいは疼痛または膨潤などの、疾患によって生じた症状を軽減する用量。
【0063】
免疫機能の変化に関連する波形:免疫機能が増強または低下している被検者において認められる波形。例えば、共鳴調節化合物を被検者に適用した後、電位波形の振幅は経時的に増大する。振幅の増大は正常な免疫機能の結果であり、免疫細胞(リンパ球など)が動員され、化合物適用部位にそれらが遊走したことを示すものである。しかし、振幅の増大が、同じ被検者で健康な状態での基準測定時に見られたものよりも小さい場合、または被検者集団において統計学的に正常とされる範囲よりも小さい場合、免疫機能の変化(損傷)に関連すると考えられる。反対に、振幅の増大が正常値よりも大きい場合(特定の個人または集団について評価する場合)、過度の(supra-normal)免疫機能を示している。
【0064】
特に説明がない限り、本明細書において用いられるすべての技術および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者による一般的理解と同じ意味を有する。単数形の語「a」、「an」、および「the」は、文脈から明らかに単数ではないことが示されない限り、複数の指示物を含む。同様に、「または(or)」なる語は、文脈から明らかにそうではないことが示されない限り、「および(and)」を含むことが意図される。「含む(comprises)」なる用語は「含む(includes)」を意味する。加えて、材料、方法、および例は例示にすぎず、限定を意図するものではない。
【0065】
III. いくつかの態様の説明
本明細書に開示する方法は、PTPの活性化剤として作用する共鳴調節物質の使用に関する。特定の例において、共鳴調節物質は免疫刺激剤として、および/または免疫系と外部モニターもしくは調節物質との間のカップリング剤として作用する。共鳴調節物質はPTPと相互作用、例えば、免疫系の細胞成分(CD45+受容体リンパ球または樹状細胞など)と相互作用して、免疫細胞の成熟、および免疫応答における免疫の他の細胞性成分の動員を促進すると考えられている。免疫細胞をその近くに誘引する共鳴調節物質の能力により、局所的状態の治療のために免疫応答が必要とされている体内の標的領域(腫瘍など)に免疫応答を指向させることが可能となる。しかし、共鳴調節物質は、遠隔のリンパ系組織または転移病変などの遠くの部位で免疫応答を誘発することもできる。したがって、共鳴調節物質は、免疫状態についての情報を収集し、介入(免疫機能の操作を含む)を実施することを可能にする、免疫系との新規インターフェイスを提供する。
【0066】
共鳴調節物質の一例は、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンで、A-007としても知られており、その構造を図2に示す。この化合物は、化学反応性に欠け、局所の化学反応に関与せず、電気陰性の基底状態および細胞膜受容体に対する親和性の両方を有することから、センサーおよび免疫調節物質として作用するのに特に適した物質である。RPTP+細胞膜受容体に対するその親和性の一例は、A-007とCD45+ Tリンパ球表面受容体との間の相互作用で、図1に例示する。これらの相互作用は、その相手である細胞の成熟を誘導して、免疫応答を促進すると考えられている。
【0067】
実施例1
フェニルヒドラゾンによる共鳴調節
免疫調節物質として作用する様々な化合物を本実施例において開示する。調節およびセンサー特性の両方を有する、特に適当な物質は、下記の化合物などのポリアリールモノニトロ-またはジニトロフェニルヒドラゾンである:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-もしくは4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、ニトロソ、コハク酸エステルまたは水素結合が可能な他の水溶性求電子基であり;R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;かつXはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2である)。
【0068】
図3に示すとおり、これらの化学構造は、分子間水素結合の移動、ならびに相補部位との求核/求電子引力が瞬間的に存在することを可能にする、共役電子が多い/少ない領域の複数の双極性配置を通じて、共鳴することができる。図1に示すとおり、これらの共鳴ミニ双極子は、例えば、アミノ酸(システイン、トレオニン、アルギニンなど)に存在する-SH、-COOH、-NH2-CH-NH3+、炭水化物(ムコ多糖)および糖タンパク質(これらはすべて、免疫系における細胞性調節物質の必須成分である)を誘引することができる。例えば、リンパ球上のCD45+RA受容体表面の3または4アミノ酸との単純な相互作用は、CD4+/CD8+の組織、器官および循環中への流入によるT細胞カスケードを開始することができる、修飾表面タンパク質(RO、RB)の発現を誘導すると考えられる。水素結合および引力が電気刺激により調節される「瞬間」に、これらの構造に本質的に存在する一時的静電相互作用が増大し、NMR分光法により定量することができる。
【0069】
共役およびアリール結合によって連結された、複数の共鳴構造をとりうる複数の電気陰性部分の存在は、図11に示すものなどの、振動周波数波を生じる。本明細書に記載の特定の共鳴調節物質(A-007など)は、静電相互作用にとって過剰の電子を有するため、十分な「電子数」を有する。この電子過剰により、タンパク質および他の生体分子にある求電子/求核中心の誘引が可能になり、これらは構造安定化のために反応する(電子の移動および共有結合形成により)必要がない。代わりに、環境との単純な「くっつき(flirtation)」が、共鳴調節物質の構造を変えることなく、CD45+受容体などの他の多分子配置において変化を誘導すると考えられる。
【0070】
共鳴調節物質の特に開示した態様において、R1はOHであり、R2はC6H40Hであり、かつXはC6H3-2,4(NO2)2であり、これは4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007)である。この化合物は電気陰性度が高く、図3に示すとおり、いくつかの共鳴型で存在する。ヒドラゾンによって生じる代表的振動周波数波は、樹状細胞および他の初期リンパ系細胞成分と静電相互作用し、免疫を増強する。相互作用を一つまたは複数のディラック方程式に組み込み、選択的で、診断に用いることが可能なリンパ球成分の流入に関連する、皮膚の量子分子変化を公式化することができる。
【0071】
A-007の特定の共鳴型の安定化が起こり、共鳴調節物質がリンパ球と静電相互作用するため、周波数および試験領域からの電気的流出の変化が起こると考えられる。共鳴の周期はこの相互作用によって妨害されることになり、そのような干渉を監視し(例えば、電圧の波形の経時変化を検出することにより)、活性の指標として用いてきた。波形パターンの変動があれば、細胞性免疫応答(樹状細胞およびリンパ球の浸潤など)が進行中であることを示している。予期される波形がない、または他の干渉パターンが検出されれば、詳細な検査および/または治療を必要とする、異常な免疫応答を検出するのにも役立つ。したがって、共鳴調節物質は免疫活性と外部モニターとの間のカップリング剤として作用する。
【0072】
共鳴調節物質は、細胞性免疫活性を検出することができるだけでなく、免疫系をこの活性を変えるために用いることができる外部の物理的調節物質に連結することもできる。例えば、磁気共振器プローブを用いて、例えば、プローブを皮膚表面またはその近くに適用することにより、皮膚の表面に磁場をかけることもできる。磁気プローブはA-007結晶を活性化し、共鳴エネルギー流出を刺激し、組織T細胞接触を促進する。したがって、個人が自然のT細胞-A-007相互作用によって免疫調節を誘導することができない場合、外部のプログラムされた磁場によるさらなる分極によって、免疫応答に追加の刺激を与えることができる。そのような外部磁場の使用はAMTR(A-007磁気トランジスター共振器)と呼ぶ。
【0073】
したがって、開示した方法のいくつかは、免疫特性の量子化学調節物質/センサー/伝達物質として機能することができる、ヒドラゾンなどの様々な共鳴調節物質の使用に関する。したがって、これらの物質はリンパ回路に生体ネットワークを介して連結された上皮表面(皮膚など)の変化を記録および治療する際に有用である。皮膚のリンパ球および前駆細胞の末梢調節は、全身リンパ球や、生体系が外来変化および異物(ウイルス、細菌、化学物質、癌細胞など)を検出する自然のメカニズムに対する、早期警告ネットワークである。癌および化学/生体異物による侵襲は、健康を確実に維持するために監視/変更を必要とする電気的および創発的(emergent)行動変化を引き起こしうる。したがって、この末梢調節の状態を監視する能力は、重要な新しい医学的診断および治療ツールを提供する。
【0074】
実施例2
4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007)の抗新生物および免疫調節特性
4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007、図12の化合物1)は、第I/II相抗癌試験(IND 47,470)で顕著な抗癌活性を示した。局所用A-007(0.25%ゲル)で治療した53名の被検者のうち、37%で客観的緩解が認められ、10名は完全に反応した。
【0075】
(表1)癌病変に1日2回局所適用したA-007 0.25%ゲルに対する皮膚転移の反応
注:KS=カポジ肉腫;H/N=頭頸部;NHL=非ホジキンリンパ腫;CR=完全反応;PR=部分反応>50%;NR=無反応)。治療を受けた患者はすべて、A-007開始前に少なくとも二種類の全身療法(肛門性器癌では局所術)を受けた。
【0076】
A-007は、A-007による局所または全身毒性が実質的にないことで証明されるとおり、細胞毒性メカニズムを介して作用しているのではないことが明らかとなった。A-007で局所治療したヒト皮膚の生検からの組織化学アッセイにより、様々なリンパ球(CD4+、CD3+、CD8+、およびCD45+)の浸潤物増加が治療中に起こったことが確認された。CD11c+樹状細胞の皮膚浸潤物増加も治療領域で観察された。これまでの免疫組織化学(IHC)試験により、A-007への曝露後にインビトロおよびインビボで免疫調節が起こったことが明らかにされている。したがって、本明細書に開示する共鳴調節物質は、しばしば付帯的な臨床上の害を引き起こす広汎な細胞毒性を伴うことのない治療効果を有しうる。
【0077】
X線結晶学データにより、A-007(単斜晶として)は二つの独特の分子で存在し、これらはビス-ジフェニルメタン基内の配向のみが異なり、環は下記の図に示すとおり互いにほぼ垂直である(それぞれの回転異性体における環の配向から約90°回転している)ことが判明した。両方の回転異性体は-HN-N=C-部分の-NHとo-ニトロ基の酸素との間で強い分子間水素結合を示した。したがって、A-007には、その全体の生物活性に寄与していると考えられる少なくとも三つの独特の部分−ジヒドロキシ-ジフェニルメタン、ヒドラゾンおよびジニトロフェニル部分−が存在する。しかし、A-007の高い求電子性にもかかわらず、これはヒト体内の生理的条件下で実質的に化学反応性を持たない。例えば、ヒドラゾン基のNHはメチル化またはアシル化を受けると予想されるが、A-007をヒト被検者に投与した場合、この反応は実質的に起こらない。この薬物は実質的に未変化で排出される。さらに、A-007は体液に非常に難溶性で、血中に吸収されることはない。A-007で局所治療を受けたどの被検者からも、血中でA-007が検出されたことはない。血漿A-007の有効なアッセイが開発されており、その安定性が検証された。
【0078】
【0079】
実施例3
共鳴調節物質と免疫系
図7に示すとおり、リンパ系には他の構造と連絡しているリンパ管および網状結合組織の特殊な形のリンパ組織を含む器官が含まれる。リンパ管には毛細リンパ管が含まれ、これらは一緒になって、構造は血管に似ているが、壁が薄く、より多くの弁を有する、より大きなリンパ管となる。リンパ節は体中に分布しており、顔および頸部、腋窩、胸腔、腸、鼠径部、肘および膝に最も集中している。皮膚の表面に近いリンパ管は一般に静脈に従うが、深部リンパ管は一般に動脈に従う。これらのリンパ管は体中のリンパ液を相互に連絡する機能を持つが、微生物や癌細胞などの外来細胞に対して監視および防御のはたらきをする免疫系の重要な分布局面でもある。
【0080】
リンパ系は多数の型のリンパ球を含む。これらのリンパ球のいくつかは、細胞毒性物質を放出することにより、外来細胞を直接または間接的に破壊するT細胞である。他のリンパ球は、抗原に対する抗体を分泌して抗原の除去を助けるプラズマ細胞へと分化するB細胞である。リンパ節はリンパ液によって運ばれる異物をろ過し、次いで分離した異物を食作用により破壊することができる。脾臓、胸腺および扁桃腺はB細胞、T細胞、および他のリンパ球を産生する他のリンパ器官である。
【0081】
免疫系の皮膚に関連する部分を図7に例示し、腫瘍細胞は真皮および表皮内に示している。リンパ系からの樹状細胞は腫瘍細胞と相互作用し、リンパ管から他の免疫効果器細胞(Tリンパ球など)を動員する。
【0082】
CD45+表面受容体はリンパ内皮細胞、特に樹状細胞上にある。樹状細胞(DC)は免疫応答の開始に関与する抗原提示細胞(APC)である。DCは免疫系の前哨として役立ち、抗原(An)捕捉と、その後のTリンパ球が豊富な領域への輸送を担う。DCは、末梢皮膚組織などのリンパ組織、ならびにリンパ器官に存在する。いったん未熟なDCが抗原と相互作用して活性化されると、成熟APCは特異的免疫応答が可能となる。皮膚などの二次リンパ器官は、本来のTリンパ球およびAn刺激されたDC(APC)の両方をT細胞が多いリンパ帯/ネットワーク(節など)に動員する。これらの初期免疫応答の共存は認識T細胞活性化を構成する。
【0083】
癌および化学物質はいずれも、リンパ球集団の集合分散知能を備えた健常皮膚において創発的行動を引き起こすことがある。効果的認識反応にはDC(APC)およびリンパ球サイトカイン効果器の両方が必要である。化学物質および腫瘍細胞はマイクロ組織化学(MHC)抗原の発現が限定され、共刺激分子を欠くことが多いため、これらはAPCの有効な調節物質ではない。癌および類似の疾患の発生および進行に関する一つのメカニズムは、MHC抗原特性の欠如で、欠如していなければリンパネットワークにおいて創発的行動を引き起こすものである。同様に、生命を脅かす化学物質および/または生物との接触も、リンパの創発的行動パターンを誘導することができる。A-007は、ハプテン/Anとして作用する、および/または磁場効果(EFE)を通して創発的リンパ球ネットワークを調節もしくはアップレギュレートするのに十分な電気的性質を備えた、単純な「有機」分子を表している。A-007は本明細書において共鳴調節物質と呼ぶ、新しいクラスのルネッサンス分子である。CD45+受容体のアップレギュレーションは、癌患者で観察されるA-007誘導性免疫調節の一つの開始部位であると考えられる。
【0084】
CD45+は樹状細胞、リンパ球、単球、および白血球、ならびにいくつかの新生物細胞上で、チロシンホスファターゼ(PTP)として発現され、他のPTPのメンバーと共にチロシン残基のリン酸化を担う。CD45+受容体部位を抗CD45抗体で遮断すると、T細胞活性化が阻害され、未処置T細胞のマイトジェン(レクチン)活性化を防止する。CD45+受容体表面はアルギニン、セリン/トレオニンおよびシステイン部分を含み、これらは天然のリガンドに結合し、かつ/またはこれらをAPCの表面に移し、またリン酸チロシンを加水分解する。A-007はCD45+を阻害または遮断しないが、図1に示すとおり、Arg、Cys、Ser/Threoなどとの静電/非共有結合を介して、CD45+リンパ球および樹状細胞を(APCに)アップレギュレートする。A-007の異なる共鳴状態は異なる免疫細胞と相互作用することができる。
【0085】
A-007活性化DCは未処置ヒト末梢血単核球(PBMC)で有糸分裂事象を開始し、ヒト末梢樹状細胞においてCD45+およびCD11c+受容体の両方をアップレギュレートすることができる。癌組織の樹状細胞は、皮膚病変の局所治療中、局所用A-007への曝露後に、CD45RA+からCD45RO+/CD45RB+にアップレギュレートされる。したがって、A-007はCD45+の阻害剤ではないが、分子部位のアップレギュレーターまたは調節物質である。これらの性質により、局所および遠隔両方の免疫細胞集団(脾臓樹状細胞集団など)を増加させ、CD8+細胞毒性リンパ球(CTL)などの免疫効果器細胞の濃度を高めるための、A-007の結晶または皮膚植え込み錠が可能となる。その官能基置換がA-007の分子内/分子間水素結合および静電相互作用におよぼす影響を以下に示す。
【0086】
この証拠は、A-007が皮膚および他の上皮表面で樹状細胞と末梢相互作用し、抗原提示細胞(APC)の成熟を誘導する能力を有することを示している。加えて、少なくとも一つの細胞表面受容体(CD45+)はA-007によってアップレギュレートされると考えられる。この初期相互作用は、抗原提示細胞などの樹状細胞および他のリンパ球前駆体を介していると考えられる。この化学的相互作用を通して、APCおよび他の初期認識細胞を検知し、リンパ球認識カスケード−CD4+、CD8+などの成熟、および関連サイトカインによって調節することができる。
【0087】
免疫調節物質として適当となるA-007の珍しい性質のいくつかは、電流を流した2本の電線間のスライドガラス上で蒸発させた場合、その結晶が珍しいパターンに配列される能力によって示される。この結晶の配列は、A-007のアルコール(5%)溶液を9ボルトのバッテリーの陽極および陰極リードにそれぞれ接続した2本のワイヤのスライドガラス上で風乾することにより得られた。A-007は、全体にわたって散在する「スポット」としてではなく、陽極で円周状のパターンで凝縮する。アルコール溶液の蒸発を磁場で行うと、密に凝集した結晶の1本線がスライドの中央に生じる(図4に示すとおり)。したがって、A-007は誘導電磁場と相互作用する電磁特性を有する。この特徴を、他の共鳴調節物質のスクリーニング試験として用いることもできる。
【0088】
A-007共鳴調節物質のこれらの珍しい電磁特性は、図11に示すとおり、この化合物のコンダクタンスによってさらに示される。この図はA-007結晶から測定したエネルギーの周波数を示している。これらの記録は、いくつかの大きいA-007結晶に解剖顕微鏡による拡大を用いて二つの微小電極を接続したものから得た。電極は結晶表面上で約1.5〜2mm離し、接点からエネルギーを測定した。Fluke ScopeMeterを用いて、発生した周波数(Hz)を記録した。外部からかけた電流は関与しておらず、したがって測定した周波数は結晶の本来の物理的性質である。基準周波数からのこれらの偏位は、環境から蓄積され、間欠的に放出された並進型のエネルギーであると考えられる。基準周波数は周囲の電磁放射線からのものと考えられる。基準周波数からの少なくとも30〜40Hzの偏位は、結晶の共鳴によって生じ、図11に約60Hzの基準周波数からの間欠的偏位(周波数のピークで示している)により示されている。この本来の周波数のエネルギーを(例えば、基準値から少なくとも20Hz、例えば30〜40Hzの間の周波数)、および/または少なくとも5分に1回(例えば、少なくとも3分に1回)放出する能力は、共鳴調節物質の特徴のもう一つの例で、これにより共鳴調節物質をさらなる試験のためにスクリーニングし、選択することが可能になる。
【0089】
化学物質の結晶または圧縮ペレットを未処置ヒトリンパ球(末梢血から採取)と共に組織培養培地中に浸漬すると、図5に示すとおり、リンパ球および樹状細胞は結晶またはペレットの周囲に凝集する。A-007の結晶(0.5mg)を、5%ウシ血清アルブミン、抗生物質保存剤ペニシリン/ストレプトマイシン、および健常者からの血液の軟膜から得た未処置リンパ球を含むRPMI培地中に加えた。図5の上の写真は、共鳴調節物質導入前の組織培養における散在性細胞パターンの未処置リンパ球の一般的分散を示しているが、下の写真は、結晶を組織培養中に導入した後1時間の時点の、A-007の結晶周囲の凝集を示している。A-007の結晶との接触後、凝集反応および有糸分裂活性上昇、ならびにA-007共鳴調節物質の領域内への活性化樹状細胞のコロニー形成が認められる。
【0090】
培養中の未処置リンパ球の試験物質周囲への凝集を誘導する物質の能力は、その物質が本明細書に開示する方法における使用に適した共鳴調節物質であるかどうかを評価する際に考慮すべきもう一つの要因である。1時間以内に凝集を誘導する能力は、化合物がさらなる調査に適していることの、特に強力な指標である。「凝集」とは、図5に示すとおり、鏡検によって目に見える増加などの、リンパ球数の実質的増加を意味する。
【0091】
共鳴調節物質のもう一つの珍しい電磁特性は、電磁波(電流など)の振幅の増大は、成熟し、結晶周囲に凝集するリンパ球として測定できることである(図6)。
【0092】
これらの波形を得るために、図4に示すとおり、A-007を顕微鏡スライドガラス上で濃縮した。乾燥したスライドをRPMI(5%ウシアルブミン)を含むペトリ皿に浸漬し、1対の滅菌微小電極を培地に挿入(約5cm離して)し、A-007の線の両端に接触させて、電圧を記録した。A-007は培地に不溶で、スライド上に継続して残存する。測定した電流の波形記録を図6に示す。誘導電流は見られず、したがって測定した電流は共鳴調節化合物の固有の特性であった。
【0093】
A-007に1時間曝露した後、リンパ球がA-007結晶の方へと移動し、これに付着するのに従い、経時的に測定した電圧の振幅に増大が認められた。この振幅増大が図6に示されており、上図の波形は培養中の未処置リンパ球から得、下図の波形は培養中の同じリンパ球から、A-007の結晶を培養液に導入した後1時間の時点で得た。結晶は溶解しないため、持続的相互作用を調べるために利用可能なままである。インビトロで、細胞の永続化に必要なサイトカインの欠乏により、リンパ球は約24時間後には最終的に死滅する。
【0094】
したがって、共鳴調節物質を選択するために用いることができるもう一つの特性は、共鳴調節物質を未処置リンパ球を含む培養液中に入れた場合に、この化合物により生じる固有電流の交流電圧の振幅を増大させる能力である。
【0095】
実施例4
免疫機能を監視するための共鳴調節物質
これらの共振器としての異例な特性の結果、本明細書に記載の化合物を免疫系に関連する電気的活性を監視するために用いることができる。A-007および他の共鳴調節物質は、Tリンパ球と周波数反応との間に一次の関係がある免疫特性を測定および制御するための分析装置として重要である。存在する微量天秤は、50Hz A-007結晶の質量感度が約0.057Hzcm2ng-1で、感度0.1μgの精密電子天秤よりもおよそ50倍高いという事実による。結晶を細胞成分の電磁特性を調べるために用いることができる。特定の態様において、結晶を少なくとも約0.01、0.03または0.05Hzcm2ng-lの質量感度を有するように選択する。電気相互作用(圧電共振効果)を増強し、伝達(transmission)を改善するために、結晶を微結晶水晶と組み合わせることもできる。特定の例において、微結晶水晶は組成物全量の10〜50%の量で提供される。
【0096】
したがって、結晶はRPTP+細胞(リンパ球など)集団と皮膚組織の等価の電気回路との間の相互作用を容易に変換することができ、これによりヒドラゾンおよび他の共鳴調節物質存在下での振動を完全に説明することができる。基本的に、共鳴調節物質は双極性運動ならびに組織および末梢免疫系の細胞などの細胞成分との静電相互作用の共振器として役立つ。共鳴調節物質はこれらの相互作用を診断のために監視し、治療的介入のために変更することを可能にする。
【0097】
免疫機能を監視するために共鳴調節化合物を用いる能力により、被検者の毒素および外来抗原などの生物学的傷害を認識する能力の変化を早期に診断することが可能となる。例えば、外来化学物質または生物学的因子に曝露されてきた被検者は曝露を認識しない可能性があり、したがって適切に反応しないことがある。しかし、共鳴調節物質が免疫系の機能の変化を検出すれば、この変化した免疫状態が被検者に未知の有毒物曝露の可能性を警告する前哨事象として役立つ。同様に、環境ストレス(ウイルス/細菌および外傷事象など)に曝露された被検者では、樹状細胞が外来ウイルス、化学物質または癌を認識しないことがある。樹状細胞の機能が障害されると、免疫防御の顕著な侵入や、創発的行動メカニズムを介しての生命の脅威が生じることもある。
【0098】
共鳴調節物質を、正常な体の免疫や本来の監視活性を持つ皮膚の細胞特性における変化を検出および定量する方法において用いることもできる。動物実験およびヒトでの試験で、A-007などの共鳴調節物質は皮膚から吸収されないが、樹状細胞、C8+細胞毒性リンパ球や、異物曝露または刺激に対する本来の調節に必要な他の細胞集団を誘引し、これらを末梢で活性化すると思われる。体が推奨されるセンサー/刺激の存在に反応しない場合には、積極的な健康監視および治療を行うことができる。
【0099】
監視装置は、共鳴調節物質を被検者の皮膚に接触させ続けるパッチの形を取ることもできる。パッチは定期的に電圧計、例えば、オシロスコープから得られる型の波形追跡の形で出力する電圧計に接続することもできる。次いで、経時的な電圧変化の振幅を評価して、健常被検者で観察される変化と比べて振幅がどのように変化するかを調べる。一例において、電圧波形の振幅は、共鳴調節物質存在下であらかじめ決められた値(例えば、少なくとも10%または25%)増大すると予想される。振幅変化があらかじめ決められた値よりも小さい場合、これは毒素または病原体などの病的傷害の指標と考えられる。この結果より、環境における毒素もしくは病原体の検出などのより特異的試験、または腫瘍もしくは腫瘍の進行を検出するための画像試験の必要性が示される。または、試験結果の異常により、化学療法剤の投与などの治療(またはより積極的治療)の開始を促すことができる。
【0100】
固有の振幅および予想される振幅の変化は、それぞれの共鳴調節物質で異なることになる。したがって、すべての共鳴調節化合物で特定の振幅変化が表われるわけではない。それにもかかわらず、開示する方法の基礎となるのは、共鳴調節物質のこの特性の認識、および免疫機能のインターフェイスとして作用する能力である。この特性が同定された今、それぞれの化合物によって生じる特定の固有振幅、および特定の疾患または一般の免疫無防備状態で見られる振幅変化を調べることができる。
【0101】
いくつかの態様において、圧電結晶を共鳴調節物質中に導入し、変換器効果によりA-007の最大伝達を得ることもできる。
【0102】
実施例5
共鳴調節物質のその他の例
様々な共鳴調節物質が利用可能である。一つの特定の例において、共鳴調節物質は、下記の化合物などのアリールモノニトロ-またはジニトロフェニルヒドラゾンである:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-もしくは4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルまたは水素結合が可能な他の水溶性求電子基であり;R2はC6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;かつXはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2である)。特定の例において、R1はOHであり、R2はC6H40Hであり、かつXはC6H3-2,4(NO2)2である。
【0103】
もう一つの例において、共鳴調節物質は下記の構造を有する:
(式中、R1は水素、ヒドロキシル、2-もしくは4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルまたは水素結合が可能な他の水溶性求電子基であり;R2はC6H5、C6H4OH、C6H5、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;かつYは-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-または-CHOA-(Aはアリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチドである)である)。特定の例において、R1はOHであり、R2はC6H40Hであり、かつXはC6H3-2,4(NO2)2である。
【0104】
もう一つの例において、共鳴調節物質は下記の構造を有する:
(式中、R1は水素、ヒドロキシル、2-もしくは4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルまたは水素結合が可能な他の水溶性求電子基であり;R2はC6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OP020H、C6H4OS02H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OS02Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;YはH、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミドであり;かつZはH、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミドである)である。特定の例において、R1はHまたはOHであり、R2はC6H40HまたはC6H5であり、かつXはC6H3-2,4(NO2)2である。
【0105】
共鳴調節物質の他の例を図12に示しており、ホルミルおよびアセチルバルビツールフェニルヒドラゾン類縁体(類縁体15〜21)、ホルミルバルビツール酸シッフ塩基類縁体(類縁体22〜25)、ならびに化合物26〜37として示される他の共鳴調節物質が含まれる。例えば、化合物26はアントラセンである。これらおよび他の化合物は、免疫調節特性、ならびに量子センサーとして機能することを可能にする電磁特性を有すると考えられる。
【0106】
適当な共鳴調節化合物群を下記の式で示し、R基のいくつかの可能な置換を示す。
【0107】
前述の化合物の多くの構造および合成法は、以前に米国特許第4,732,904号に記載されており、この開示は参照として本明細書に組み込まれる。この特許に記載されなかったいくつかの化合物には、10-[(2,4-ジニトロフェニル)ヒドラゾノ]-1,2-ジヒドロキシ-10H-アントラセン-9-オン(DNPA)が含まれる。この化合物の合成を、1,2-ジヒドロキシ-9,10-アントラキノン(0.1mole)をエタノール(50ml)および硫酸(5ml)に溶解することにより実施した。溶液を撹拌しながら60℃までゆっくり加熱し、2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(0.1mole)のエタノール(50ml)溶液を、撹拌を続けながらゆっくり加えた。溶液を2時間加熱し、冷蔵庫で冷却した。DNPAの濃赤色結晶が生じた;融点240〜242℃;収率92%。生成物をC20H12N4O7について分析した−実測値;C, 63.98; H, 3,46; N, 11.13; NMRおよび質量スペクトルは一致。
【0108】
共鳴調節物質の他の例を実施例13に示す。
【0109】
実施例6
ペレットおよびゲルの調製
共鳴調節物質は、結晶、ペレット、またはゲル/クリームなどの多くの剤形で提供することができる。物質を、例えば、免疫系が損傷されている可能性がある、または免疫系をダウンレギュレートすることができる致死的もしくは有毒物質に接触した可能性がある患者の皮下に植え込む、または上皮表面に適用することができる。共鳴調節物質は、標的部位と電磁接触させる、いかなる剤形(パッチ、または二次元もしくは三次元マトリクス)に組み込むこともできる。「電磁接触」とは、本明細書に記載の免疫調節効果を発揮するのに十分近いことを意味する。いくつかの例において、共鳴調節物質を治療中の病変に、またはその全体に適用する。共鳴調節物質は、望まれる場合には、例えばポリマーを形成するように、化学修飾することもできる。共鳴調節物質モニターは、免疫系の自己調節が欠損している癌に関連する免疫機能の変化を検出するためにも有用である。
【0110】
一例において、A-007のペレットを、純粋な化学物質(50mg)から圧縮し、16ゲージに分粒することにより調製した。バルクA-007はGLP/GMP法を用い、添加剤を加えずに調製した。100%A-007ペレットの溶解性に応じて、添加剤(ステアリン酸、ポビドンなど)または他の薬学的に許容される担体をこれに加えてもよい。ペレットは、例えば、25mg、50mgおよび75mg用量で製造することができる。ペレット濃度は、観察された物理的性質(溶解速度など)および動物毒性に応じて調整してもよい。治療上有効な用量は公知の手段によって決定することができ、投与する用量は治療中の状態、または疾患の重症度に応じて変動しうる。
【0111】
共鳴調節物質は、免疫応答を集中させることが望まれる標的部位(体の一部など)に適用するために、プロピレングリコール/メチルセルロースの製剤などのゲルの形で提供することもできる。ゲルは、ゲル中に活性物質50mgを懸濁させたものなどの、チューブ中で提供してもよい。これらのゲルは皮膚または他の上皮表面(例えば、胸壁、背中、または肛門性器部位の皮膚)への適用のために特に好都合である。いくつかの態様において、ゲルを例えば、直腸または腟内に適用するための延長アプリケーターチューブ(直腸または膣アプリケーターなど)から投与する。
【0112】
または、ペレットを胸壁などの標的領域に挿入することもできる。他の例において、物質をテトラヒドロフラン(THF)または他の非毒性エアロゾルに懸濁し、気管気管支または口咽頭領域に導入して、口腔または上気道の癌を治療する。
【0113】
ペレットは、小結節の疼痛を引き起こしうる尿酸結晶の沈積を刺激することが判明した。したがって、皮膚内への挿入よりも皮膚表面への適用が好ましいが、いずれのアプローチも本明細書に記載の免疫調節を引き起こすことになる。
【0114】
実施例7
免疫活性の外部モニター
前述のとおり、記載した物質は、病的状態に関連する創発的行動変化の存在下で、免疫特性を監視および/またはアップレギュレートすることができる。
【0115】
共鳴調節物質は生体系と相互作用するため、モニターは、その最も単純な形で、共鳴調節物質の電磁特性の変化を検出するための装置である。相互作用はインビトロまたはインビボのいずれかで観察することができる。したがって、さらなる分析のために、モニターを被検者に、または被検者から採取した生体試料(組織培養物など)に適用することができる。
【0116】
監視センサーの一例を図8に示す。共鳴調節物質(A-007)はリンパ腫患者の皮膚上に、0.25%プロピレングリコール/メチルセルロースゲル(0.5g)として存在する。ゲルとして示しているが、クリームもしくは単純な結晶(50mg)あるいは上皮表面もしくは皮膚(または他の表面)上に適用する、またはその中に16ゲージのトロカール針で挿入することができるペレット(50〜100mg)として適用することもできる。図8に示す特定の態様において、物質をオレンジゲルとして皮膚に適用し、心電図リードとして用いる型の間隔をあけて取り付けた2本の皮膚表面電極タブを備えた2×3登録商標テガダームパッチで覆う。電極はゲルのいずれかの側の、ゲル両端の電位を測定できる位置に設置する。次いで、電圧計の二つのプローブを、それぞれの電極タブに一つ接触させる。電圧計は、好ましくは、電圧の経時変化を測定するオシロスコープに接続し、検出した電圧の振幅を経時的に観察できるようにする。特定の態様において、電圧計は、コンピューター上で電圧波形のバックグラウンド電圧を除去するためにフィルターにかけ、観察し、記録し、測定し、分析するためのソフトウェアを備えた、登録商標Fluke Scopemeter 192/196/199である。次いで、電圧の振幅の経時変化を観察して、共鳴調節物質に対する免疫応答を監視する。
【0117】
共鳴調節物質を皮膚に適用した時点での基準の振幅および/または周波数を確立した後、電極をオシロスコープに接続して、試験部位からの電気伝達の振幅および周波数を監視する。A-007などの共鳴調節物質では、経時的電圧変化の振幅は増大することになる。
【0118】
健常な試験被検者で観察された振幅変化を図9に示しており、上図は時間ゼロにおける基準測定値で、波形の振幅(ゼロから測定)は約3ボルトである。パッチを7日間適用した後、電圧計プローブの先端を電極リードに再度接続し、図9の下図に示すとおり、経時的電圧変化を記録した。測定は、パッチの標的領域内への活性化樹状細胞の移動による凝集反応および有糸分裂活性の増大に関連する電気的活性で行った。図9は、波形の振幅(ゼロから測定)が3ボルトから4ボルトへと、約25%増大したことを示している。
【0119】
この実施例では電圧計による電気的活性の変化の測定を示してきたが、電極も、局所的な化学物質−細胞相互作用の変化を検出する外部レーザー光線センサーにより検知させることができる。化学物質は共鳴を介して電気エネルギーを伝導することができるため、化学物質は細胞相互作用結合の段階のシグナルを提供することになる。例えば、レーザーなどの分子スキャナーを用いて、化学物質または検査物をその吸収波長(A-007では404nm)で励起させることができる。一つのそのような分子スキャナーは、A-007共鳴および細胞相互作用に関連する特定の励起を記録する、または発生させるようプログラムされた、Edmund Industrial Optics固体状チューナブルレーザー(波長425nm)である。これらの高性能レーザーを、バーコードスキャナーのようにA-007のスペクトル特性をナノスケールで認識するようプログラムすることもできる。
【0120】
実施例8
共鳴調節の増強
共鳴調節物質は、免疫機能を、例えば、免疫障害を患っている被検者において増強するために、比較的単純な方法も提供する。そのような被検者は、例えば、免疫不全症(HIV/AIDSなど)または毒素による免疫欠損(抗新生物化学療法剤または環境毒素により誘発された白血球減少症など)を有していてもよい。他の被検者は、悪性腫瘍を有する被検者でよく見られる種類の免疫障害を有することもある。共鳴調節物質は、免疫系を監視するだけでなく、治療のために操作することを可能にする、免疫系とのカップリング剤またはインターフェイスとしてはたらく。
【0121】
すでに示したとおり、共鳴調節物質を標的領域またはその近くに導入することにより、標的免疫応答を標的領域(腫瘍の近辺など)に指向させることができる。物質の電磁特性を刺激する電磁場に共鳴調節物質を曝露することで、共鳴調節物質を刺激する。例えば、物質を外部磁場または電場に曝露することができる。そのような電磁場の一例は、共鳴調節物質の共鳴体(図3に示すA-007の形の一つなど)の濃度を最高にする周波数にシグナルを送る、または調整して、細胞受容体表面との最大のインターフェイスを提供するものである。この実施例において、レーザーを選択して、A-007が示すものと類似の波長(400〜450)を有するレーザーエネルギーの形で電磁場をかける。A-007はレイジング特性を持たないが、プログラムされたレーザーはそのスペクトル特性を認識することができる。2AAまたは3Vバッテリーによって生じた単純な磁場はA-007の表面ゲルを非特異的に活性化することができ、9Vでは皮下ペレットを活性化することができる。より特異的なチューナブルレーザーは、領域をスキャンすることができ、適当する最適な電磁場に関して特異的である。所望の周波数を選択することで、共鳴調節物質で見られる経時的電圧変化の振幅が増大し、免疫応答を増強または活性化することになる。
【0122】
共鳴調節物質を外部刺激に曝露するための装置を図7に示しており、真皮および表皮の両方に存在する腫瘍を含む標的領域上の皮膚表面にA-007を適用している。A-007は樹状細胞およびリンパ球を標的領域に誘引するが、腫瘍は正常な免疫監視を逃れられることが多く、共鳴調節物質の活性化を高めることにより免疫応答をさらに刺激することが有用である。皮膚に適用したA-007上に設置した磁気プローブは、そのような活性化増大を提供することができる。磁気プローブを、発振器回路、周波数カウンター、電圧供給機、およびオシロスコープを含む装置に接続する。装置を起動して、A-007に磁気パルスを与え、その共鳴調節特性を増強する。
【0123】
適当な磁気パルス発生器の例はThe Magnetic Pulserで、これはHealth Canadaから入手可能なHigh Intensity Momentary Time-Variant Pulsed DC Magnetic Field Therapy Generator MODEL #: MPG5である。The Magnetic Pulser (MPG5)は、共鳴調節化合物を刺激するために用いることができる、強力な(約43,133ガウス)瞬間的(約2.5mS)パルスDC磁場を発生するよう設計されている。磁気パルスを、化合物の活性を増強するのに十分な長期間適用することができる。例えば、パルスDC磁場を50〜60分以上適用することができた。
【0124】
2AAまたは3Vバッテリーで生じた単純な磁場はA-007の表面ゲルを活性化し、または9Vバッテリーは皮下ペレットを活性化する。より特異的なチューナブルレーザーは、領域(化合物を局所適用した領域など)をスキャンして、適用する電磁場をより特異的に示すことができる。適用する場の所望の周波数を選択することで、共鳴調節物質によって生じるエネルギーの振幅が最大となる。電磁場をかける期間は被検者の免疫状態に依存する。すなわち、免疫状態がより悪い被検者にとっては、より長い刺激期間が有用であると考えられる。一般的磁場を用いてもよいが、好ましいアプローチは、広い治療領域のための波長またはエネルギー特異的チューナブル送信機を用いることである。治療の効果は、末梢T細胞フローサイトメトリー分析などの容易に利用可能な様式で免疫状態を監視することにより評価可能である。これらの容易に利用可能かつ好都合な試験から、特定の共鳴調節物質に対する適用電磁場を選択する際のさらなる指標が得られる。
【0125】
一つの例において、適用した電磁刺激は米国特許第6,190,893号において適用されたタイプの電場で、この開示は参照として本明細書に組み込まれる。電気刺激用の装置は、標的領域の一端にそって伸びている金線の陽極と、標的領域の反対の端にそって設置した銀線の陰極とを含む。EG & G Princeton Applied Research Potentiostat/Galvostat Model 263A(Oakridge、TN)を、定電圧の供給源として用いる。電気刺激は、100mVの定電圧で少なくとも1時間の期間適用することができる。
【0126】
ヒト体内または組織培養中で共鳴調節物質に電磁場をかけるために、多くの他の装置が利用可能である。例えば、PCT公報WO 02/102457は、変換器および変換器にACシグナルをかけて、0.1Hzから4000Hzの基本周波数を発生させる発電機を含む装置を開示している。同様の装置が、米国特許第5,968,527号にも示されており、この開示は参照として本明細書に組み込まれる。
【0127】
いくつかの場合に、共鳴調節物質に刺激を与えることと、共鳴調節物質を適用した標的領域の電気特性を監視することの両方のために、バイオインピーダンス装置を用いることが望ましい。直接バイオインピーダンス測定システムは、組織のコンダクタンスを測定するために、ヒトまたは動物の体区域を通して、連続的で一定の振幅および周波数の電流を発生させるための発電機を用いる。30KHz〜30MHzの範囲の周波数を典型的に用いてきた。体区域における連続電流に対するインピーダンスにより、体区域両端に電位差が生じ、バイオインピーダンス測定器は体区域におけるインピーダンスを測定する。バイオインピーダンス装置の例は、WO 01/76475;米国特許第4,805,621号;および米国特許第5,529,072号に示されている。バイオインピーダンスプローブは、共鳴調節物質を適用した標的領域上に設置し、標的領域の両端に電位差を誘導する。バイオインピーダンスの変化を用いて、被検者の免疫系の状態を監視することもできる。免疫状態の改善にしたがってバイオインピーダンスの上昇が見られると考えられる。
【0128】
実施例9
リンパ腫治療における共鳴調節物質の使用
実施例7に記載のとおり、A-007 0.25%ゲル(0.5g)を42歳のリンパ腫患者の皮膚に適用し、患者の末梢リンパ球状態の改善(全リンパ球数により評価)、ならびにシグマ波の振幅増大が見られ、A-007を適用した皮膚の活性増大が示された。1週間の間に起こった振動の振幅および周波数増大を図9に示している。検出は登録商標Fluke ScopeMeterオシロスコープおよび環境バックグラウンドノイズを記録し、選別することができる、PCプログラム(192/196/199)を用いて行った。この特定の実施例においては、電圧振幅の25%増大をプラスの免疫調節と考え、これはリンパ球状態の改善と一致していた。
【0129】
実施例10
子宮頸癌治療における共鳴調節物質の使用
図10は、早期上皮内癌の23歳女性にA-007 0.25%ゲル(2g)を1日1回5日間適用し、1年以上続く劇的治癒が見られた症例の、子宮頸部の変化を示している。右の写真は、表皮の癌細胞消失と、CD45+ Tリンパ球の流入を伴う正常な外観の上皮を示している。反応はTリンパ球パターンの器質化亢進および癌細胞消失を伴っている。
【0130】
実施例11
チロシンホスファターゼ
ヒトチロシンホスファターゼ(PTP)は、すべての真核生物に存在するタンパク質の大きく多様なファミリーである。各PTPは、触媒活性に必須であることが知られているシステインおよびアルギニン残基を含む11-残基配列モチーフで特徴付けられる、少なくとも一つの保存ドメインからなる。PTPの配列は、セリンまたはトレオニン、酸性またはアルカリ性ホスファターゼとの類似点を持たない。PTPファミリー内の構造における多様性は主に、触媒ドメインのNH2-またはCOOH-末端に結合した様々な非触媒配列によるものである。細胞内リン酸代謝およびドメインに関与する多くのPTPがある。細胞外セグメントの多様性はおそらく、PTPが曝露され、リン酸転移を触媒する様々なリガンドを反映している。
【0131】
細胞外PTPは表面認識および白血球表面認識の接着分子に関連しているPTP受容体の一つのクラスである。PTPはヒト細胞に関係しているだけでなく、真核細胞およびウイルスや、細菌中にも存在する。腺ペストの起因菌である病原性細菌エルシニアにおいて、Yop2bチロシン特異的PTPは基本的なビルレンス決定子である。
【0132】
多くの研究で、生理的プロセスにおけるPTPの重要性が示されている。TおよびBリンパ球、顆粒球、ならびにマクロファージの表現型の欠陥および過剰増殖挙動は、癌および自己免疫疾患の発生における主要な問題であると考えられている。
【0133】
PTPの触媒ドメインは、Z. Jia, et al., Structural Basis for Phosphotyrosine Peptide Recognition by Protein Tyrosine Phosphatase 1B, Science 268: 1754-1758, 1995の総説のとおり、結晶学試験において記載されている。この文献およびZ. Xu et al., Negative regulation of CD45 by differential homodimerization of the alternatively splied isoforms, Nature Immunology 3:764-771, 2002は、PTPを発現する様々なタイプの細胞、細菌およびウイルスを開示している。本実施例は、PTP調節物質としてのアリールヒドラゾンについて、相互作用および結果を再検討する。
【0134】
4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007)およびその構造特性相関の再検討(図1および3)により、この化合物はリピンスキーの「ルール・オブ・ファイブ」を満たしていないことが明らかである。「ルール・オブ・ファイブ」は、吸収または浸透について、薬物の水素結合供与部分が5つ未満、水素結合受容部分が10個未満、分子量が500未満、および/またはlogP計算値が5未満であることを予測するものである(CAChe Group, Fujitsu, Beaverton, OR)。明らかにA-007および他のヒドラゾンは、結晶学試験で示されるとおり、5個よりも多い水素結合供与部分を有する(Klein、C. L., Gray. D., and Stevens、E. D., Crystal and molecular structures of benzophenone phenylhydrazone derivatives with anticancer activity, Structural Chemistry 4: 377-383, 1993)。したがって、本特許に記載のリンパ球および癌細胞への外部結合は、A-007型アリールヒドラゾンの構造-挙動についての知見と一致しており、薬物は実質的に適用した皮膚から吸収されない。従って、その効果は、電磁効果から予想されるとおり、長い距離にわたって得られる。
【0135】
図1に見られるとおり、A-007はCD45+ PTPサブタイプの細胞外触媒受容体によく適合する。図13では、子宮頸癌細胞(HPV誘導性突然変異を通じて形質転換されている)はA-007の結晶存在下で細胞死滅することが確認でき、A-007がその共鳴を通じて受容体をアップグレードするシステイン残基のHS−SH二量体化および死滅を触媒する能力を裏付けている。このことは、子宮頸癌患者で検証されている(表2)。0.25%A-007の局所用ゲルを1日2グラムの用量で5日間腟内投与した。A-007誘導性細胞死滅は良性線維芽細胞またはHPVを含まない、もしくはHPVにより形質転換されていない正常な上皮細胞では観察されなかった。HPVに感染している被検者の子宮頚部/膣上皮膜にA-007などの共鳴調節物質を適用すると、癌細胞の消失、ならびにウイルス粒子の消失、およびCD45RO+CD4+およびCD8+ Tリンパ球のアップレギュレーションを引き起こす。A-007の局所適用の最終的な治療効果は、HIV感染細胞における細胞死の誘導であった(表2と、図10および13)。表2に見られるとおり、A-007はTリンパ球、特にCD45+、CD123+、CD4+およびCD8+細胞の存在を増加させた。特定の例において、CD45+、CD4+およびCD8+細胞の増加が特に顕著であった。特に、CD45RO+、CD45RA+およびCD45RB+の増加が認められた。
【0136】
(表2)ヒト癌患者に腟内適用したA-007(0.25%ゲル)の効果*
注:*ゲル(0.25%)を腟内投与した(2gを1日1回5日間;3〜6週間毎に繰り返す場合もあった)。**組織像−1/巨細胞および12/扁平上皮細胞;+CIN上皮が存在。***HPV力価の存在&変化。注:患者V-4からV-6およびV-10は評価したが、治療は行わなかった。NA−入手不可能。NC−無変化。
【0137】
本実施例ではゲルとして示したが、A-007はクリームもしくは単純な結晶(50mg)あるいは上皮表面もしくは皮膚(または他の表面)上に適用する、またはその中に16ゲージのトロカール針で挿入することができるペレット(50〜100mg)として適用することもできる。
【0138】
HeLa癌細胞(HPV+)はA-007の結晶と共に24時間インキュベートすると、壊死および死滅を起こす。図14は、結晶に向かって遊走している澄明な健常癌細胞を示している。次いで、細胞膜化学的間期(interphase)およびPTP受容体の調節を通して、細胞はダウンレギュレートし、DNA凝集に関連する核凝縮により黒変し、その結果死滅する(下方の凝集し、暗く染色された細胞)。結晶の細胞に対する誘引作用は、図3および4に記載の分子内共鳴および磁気パターンに関連する。
【0139】
未処置Tリンパ球はA-007の存在下でも活性化され、活性化リンパ球は凝集する(図5)。
【0140】
したがって、A-007および前述のヒドラゾンなどの他の共鳴調節化合物は、HPV陽性上皮細胞を感作して活性化T細胞により攻撃する際に独特の役割を果たす(表2)だけでなく、HPV陽性細胞に直接の効果も有し、A-007は細胞およびウイルス死滅を引き起こす(表2)。後者の表において、患者は治療後にもはやウイルス感染は見られず、これは物質が抗ウイルス特性も有することを示している。したがって、A-007は、Tリンパ球におけるCD45+活性のアップレギュレーション、ならびに細胞外膜調節解除およびHIV感染細胞の除去の両方を有する。
【0141】
これらの知見より、HPV感染子宮頚部上皮細胞およびTリンパ球はいずれも、A-007などの共鳴調節物質が相互作用しうる細胞外膜結合PTPを含むことが示唆される。HPVウイルスは活性細胞外PTP受容体を含むと考えられ、この受容体はA-007に曝露されると調節解除され、死滅することがある。実際のメカニズムにかかわらず、共鳴調節物質はHPVに対する有効な抗ウイルス活性を有することが見いだされている。さらに、Tリンパ球はA-007などの共鳴調節物質により活性化されて、表面膜CD45+RO PTPの存在を増強すると考えられ、これは触媒受容体部位内のHS−SH形成を通して起こると考えられる。CD45+RA Tリンパ球は、外来細胞を攻撃することができない休止または未処置細胞であり、したがってCD45+ROマーカーへの変換は細胞性免疫系の細胞毒性部分の活性化を意味する。表2に示すとおり、共鳴調節物質は実質的な抗ウイルス(抗HPV)および抗新生物活性を有していた。図13は、共鳴調節物質による治療後にCD45+RO細胞の比率が高まることを示している。
【0142】
ペスト菌病原体などのPTPを発現する細胞、または病原体に感染しているPTP+細胞(HPV感染上皮細胞など)もA-007により凝集することがある。この凝集は、システインの酸化およびジスルフィド結合形成により起こると考えられる。この結合形成は細胞の完全性を破壊し、細胞死−ウイルスを放出する。A-007存在下で、ウイルスPTP細胞膜自動酸化がウイルス不活化と共に起こる。表1の患者のほとんどは、HPV誘導性の核内変化を含むHPV+過形成性子宮頚部細胞(CIN)も有し、これらはA-007療法により除去された。このことは、A-007などの共鳴調節物質は、悪性細胞と同じく、HPVに感染した良性および過形成性細胞を破壊する能力があることをさらに強調している。
【0143】
結合親和性が改善され、PTP CD45受容体をアップレギュレートする、2,6-ジベンジリデンシクロヘキサオン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(化合物38;図16参照)などのヒドラゾン類縁体の抗癌および抗ウイルス活性も、紫外線への曝露を通じて増強される。紫外線はA-007とアルギニンのジイミン部分との間のディールス-アルダー反応およびシステインのHS部分との付加物形成を引き起こし、その結果CD45受容体がアップレギュレートされる(図1)。したがって、そのような共鳴調節物質の免疫調節、抗ウイルスおよび抗腫瘍活性は、化合物を紫外線に曝露することにより増強することができる。
【0144】
実施例12
4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007)の抗新生物および免疫調節特性
4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007、図12の化合物1)は、肛門扁平上皮細胞癌の患者で顕著な抗癌活性を示した(表3)。0.25% A-007を含む局所用ゲル(1日1回ゲル2グラム)を肛門内に1日1回5日間適用し、観察された結果を表3に示している。
【0145】
(表3)肛門に適用したA-007(0.25%ゲル)の癌に対する効果*
注:*ゲル(0.25%)を肛門内投与した(1日1回5日間;必要に応じて3〜6週間毎に繰り返す場合もあった)。**組織像−扁平上皮細胞または腺癌。***HPV力価の変化。NC−無変化。
【0146】
実施例13
共鳴調節物質のその他の例
2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(BDP-DNP)(化合物38)は、A-007に比べて100倍の免疫調節抗癌活性を有する新しいヒドラゾン類縁体である。図15は、培養により増殖中の悪性扁平上皮癌(SCCA-HM)細胞増殖に対するBDP-DNPの影響を示している(処置前後)。左図は、未処置Tリンパ球の小さい白色塊を伴う、大きいレース状の星形扁平上皮癌細胞である。組織培養培地中、BDP-DNP(0.4mcg/mL)と共に24時間インキュベートした後(L. R. Morgan、米国特許第5,270,172号)、リンパ球は印象的な刺激を受け(活性化Tリンパ球の大きい白色塊)、癌細胞の破壊が見られた。右図の暗い背景は、薬物の色による。ふわふわした白色細胞はすべて活性化リンパ球の大きい塊である。癌細胞は検出されない。
【0147】
実施例14
いくつかの共鳴調節物質の特徴
前述の実施例において開示したとおり、診断および治療両方のための免疫系とのインターフェイスを提供し、抗腫瘍および抗ウイルス活性(特にHPVならびにHPV感染に関連する膣および子宮頸癌などのHPV感染細胞に対する活性)を独立に有する化合物が見いだされた。
【0148】
下記の特徴の一つまたは複数、例えば下記の特徴の少なくとも三つもしくは五つまたはすべてを有する、共鳴調節物質である化合物が開示されている:
【0149】
培養中、または生きている被検者の表面(皮膚など)に適用した場合の、CD45+リンパ球(例えば、CD45RO+およびCD45RA+リンパ球)の共鳴調節物質への特異的誘引。
【0150】
例えば、被検者の上皮に適用した場合の、CD45RA+のCD45RO+リンパ球へのアップレギュレーション。
【0151】
固有の電磁特性、例えば、結晶を蒸発させた場合に正および負に荷電した点の間で凝集した結晶の一本線を形成する能力、または電磁エネルギーの放出。
【0152】
リンパ球遊走に影響する特性、例えば、培養中で未処置リンパ球の凝集を誘導する。
【0153】
化合物の特定の例は、個人の皮膚に適用した後の化合物から測定した交流電圧波の振幅を増大させる能力によっても特徴付けられる。特定の例において、増大した振幅は、リンパ球機能不全などの免疫障害を有する被検者で低下する。
【0154】
反応性の実質的欠如。
【0155】
皮膚に適用した場合に、実質的に皮膚から吸収されない、例えば、リピンスキーの「ルール・オブ・ファイブ」を満たしていない。皮膚に適用した場合、物質は経皮流動することなく、皮膚の表面に実質的に完全に残留する。
【0156】
共鳴調節物質の可能性がある物質は、共鳴調節を示唆する化学構造、すなわち本明細書において前述した構造的特徴に基づいて選択することもできる。例えば、Casodex(登録商標)、Naprelan(登録商標)、Eulexin(登録商標)、およびBextra(登録商標)などの、電気陰性度を有するポリアリール化合物を選択することができる。
【0157】
共鳴調節物質の可能性があるとして候補がいったん選択されれば、これらがリンパ球の芽球化を誘導し、リンパ球を活性化するかどうかを調べるために、容易にアッセイすることができる。そのようなアッセイはMorgan et al., Anticancer Research 13:1763-1768 (1993)で見られ、これは参照として本明細書に組み込まれる。同様に、Janossy et al., Clin. Exp. Immunol. 14:581-596 (1973)も参照されたい。要するに、培養中のリンパ球の[3H]チミジン取り込みを測定した。リンパ球を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を補足したRPMI-1640組織培養培地中で培養した。共鳴調節物質で刺激した後、トリチウム化チミジン(2〜20μCi/ml、比放射能2Ci/mmol)を細胞に加え、一緒にインキュベートした。[3H]チミジンの取り込みを、選択した時間の後に10%冷トリクロロ酢酸を加えることによって停止し、試料の放射能をシンチレーションカウンターで測定した。リンパ芽球%は、高倍率視野(hpf)あたりの芽細胞の数を計数することによって求め、活性化%は、トリチウム化チミジンの取り込みによって求めた。実施例7のとおり、電圧上昇をオシロスコープを用いて測定した。
【0158】
(表4)共鳴調節特性の予測
*Fan, Morgan, et al, (Adoptive Immunotherapy of Advanced Renal Cell Cancer using PHA-stimulated Autologous Lymphocytes, Anticancer Research 16, 230-239, 1993)に記載の方法を用いて、リンパ芽球およびリンパ球活性化を定量した。
**オシロスコープで振幅増大を測定。
【0159】
この方法は、電圧シグナルの振幅増大とリンパ球の活性化増強との間の相関を示している。特に、リンパ球活性化のより激しい増強に伴い、より大きい振幅増大が観察された。このアッセイを用いて、免疫活性化作用について共鳴調節物質候補を迅速にスクリーニングすることができる。例えば、このアッセイを用いて、免疫系に対する共鳴調節活性の尺度として、少なくとも20%の電圧振幅増大(例えば、少なくとも50%の振幅増大)を用いることができる。次いで、さらなる使用および研究のために、そのような基準(例えば、少なくとも20%の振幅増大)を満たす共鳴調節物質候補を選択する。
【0160】
実施例15
局所製剤
本明細書に開示した共鳴調節物質は、免疫調節物質、抗ウイルス剤、または抗新生物製剤として皮膚に適用するための局所製剤として調製することができる。
【0161】
一つの例において、共鳴調節物質は2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(BDP-DNP)を含む。上皮表面への適用のために、例えば、肛門、膣または子宮頚部CINなどの子宮頚部新生物などの泌尿生器新生物などの悪性上皮に適用することにより、局所製剤で配置する。
【0162】
共鳴調節物質は、腫瘍細胞の退縮または消失を誘導するための治療上有効な量の物質を患者に投与することによる、腫瘍(新生物)の治療法において用いることができる。特定の実施例において、BDP-DMPを投与することは、BDP-DNPを腫瘍に局所適用することを含むが、経口、吸入、注射または皮下投与などの他の形の投与も含む。
【0163】
いくつかの実施例において本発明の原理を例示および記載してきたが、当業者であれば、本発明はそのような原理から逸脱することなく特定の詳細において変更可能であることが明らかであると思われる。すべての変更は添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に入ることを主張する。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(A-007)とCD45+ Tリンパ球表面受容体との間の相互作用を示す模式図である。
【図2】A-007の構造式を示す図である。
【図3】A-007の共鳴構造を示す模式図である。
【図4】磁場内で結晶化したA-007結晶の直線配置を示すディジタル画像である。
【図5】リンパ球の組織培養(上図)および同じリンパ球の培養物をA007の結晶存在下で1時間置いたもののディジタル画像である。
【図6】組織培養中のリンパ球のA-007曝露前(上図)およびA-007曝露1時間後の電圧振幅における変化を示すオシロスコープの画面印刷である。電圧の振幅は、培養中にA-007に1時間曝露した後、約1.4ボルトから約1.8ボルトに増大した。
【図7】リンパ系と皮膚との関係、およびバイオインピーダンスを監視し、被検者の皮膚に適用した共鳴誘導物質と相互作用する電磁場を誘導するオシロスコープ装置を示す模式図である。
【図8】皮膚適用のための、ゲルでのA-007パッチを示すディジタル画像である。パッチは、皮膚適用後のゲルの電磁特性(パッチインピーダンスなど)を監視するために、電極を接続した導電性リードを備えている。電極は、共鳴調節物質を調整するために、パッチを通る電流を誘導するための正負の電気リードに接続するためにも利用可能である。
【図9】健常被検者に適用した図8のパッチを通した電圧波形の経時変化を示す、オシロスコープの画面印刷である。パッチは0.25%ゲルでA-007を0.5g含み、被検者の背中の2×2cmの皮膚領域に適用されている。上図の波形はA-007パッチを皮膚に適用した直後に取っている。下図の波形はパッチを連続7日間適用した後に取っている。この期間に、電圧波形の振幅は約3ボルトから約4ボルトへと、25%以上増大した。これは、健常者、すなわちこの特定の被検者で基準値として予測される振幅増大の一例である。
【図10】A-007の子宮頸部への局所適用に対する、子宮頸部上皮内癌およびCINの反応を示す、子宮頸部生検のディジタル画像である。左図はA-007局所適用前の悪性細胞巣を示している。右図はA-007局所治療5日後の、悪性変化がなくなった上皮の完全な器質化を示している。
【図11】A-007から経時的に発生したエネルギーの画面印刷で、異なる共鳴状態に関連すると考えられる、周波数出力の間欠的変化(周波数可動域)を示している。
【図12】様々な共鳴調節化合物(化合物1〜37と呼ぶ)の化学構造、ならびに化合物12〜37の合成スキームを示す図である。
【図13】過形成性HPV感染子宮頸部上皮(子宮頸部上皮内新生物すなわちCIN)の治療前と後の両方を示すディジタル画像である。感染上皮を0.25%A-007ゲル2グラムで1日1回5日間局所治療した。左上(治療前)の写真はCD45RO+リンパ球(活性化)の染色で、非常に薄いのに対し、右上の写真は、A-007による局所腟内治療5日後に、CD45RO+リンパ球(活性化)集団が非常に濃くなっていることを示している。下の写真は、局所A-007治療(上と同じ用量)5日後のCD45 RA+/RO+比を比較し、RO+細胞成分(細胞毒性を示す活性変異体)が優性であることを示している。RO+変異体は細胞毒性にとって必要である。
【図14】A-007の結晶と共に2時間インキュベートしたHeLa癌細胞を示すディジタル画像である。結晶の右の澄明な細胞は写真中央の結晶に向かって誘引されている。結晶と接触後、細胞は移動し、核凝縮し(DNA凝集および壊死)、死滅する。この図は、A-007結晶の共鳴分子内磁気パターンに細胞表面膜が誘引されることを示していると考えられ、結晶の抗腫瘍効果があることの明白な証拠となる。
【図15】組織培養で増殖中の悪性扁平上皮癌(SCCA-HM)の細胞増殖に対するBDP-DNPの効果を示すディジタル画像である(処置前後)。左図は、未処置Tリンパ球の小さい白色塊を伴う、大きいレース状の星形扁平上皮癌細胞である。組織培養培地中、BDP-DNP(0.4mcg/mL)と共に24時間インキュベートした後(米国特許第5,270,172号のとおり)、リンパ球は印象的な刺激を受け(活性化Tリンパ球の大きい白色塊)、癌細胞の破壊が見られた。右図の暗い背景は、薬物の色による。ふわふわした白色細胞はすべて活性化リンパ球の大きい塊である。治療後の写真では癌細胞は検出されない。
【図16】PTPCD 45受容体に対する優れた結合親和性を有し、受容体をアップレギュレートする、2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(構造38)を示す図である。
【図17】2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(構造38)とPTP CD45+受容体との相互作用を示す図である。
【図18】A-007(2,4-DNP)および他のリガンドがTリンパ球上のCD45受容体に結合し、それにより受容体の二量体化と、続いてシグナリングが起こることを示す図である。二量体化は、細胞の成熟および機能の向上を含む、様々な効果を引き起こす。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫刺激を必要としている被検者の免疫応答を刺激する方法であって、
免疫刺激を必要としている被検者に共鳴調節化合物の治療上有効な量を投与する段階を含む方法。
【請求項2】
免疫刺激を必要としている被検者が検査による免疫障害の証拠を有する被検者である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
共鳴調節化合物がフェニルヒドラゾンである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
共鳴調節化合物がニトロフェニルヒドラゾンである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
共鳴調節化合物がジニトロフェニルヒドラゾンである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
共鳴調節化合物が2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
共鳴調節化合物が下記を含む、請求項3記載の方法:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-または4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)。
【請求項8】
共鳴調節化合物が下記である、請求項7記載の方法:
【請求項9】
共鳴調節化合物が下記である、請求項7記載の方法:
【請求項10】
共鳴調節化合物が下記である、請求項7記載の方法:
【請求項11】
R1がOHであり、R2がC6H40Hであり、かつXがC6H3-2,4(NO2)2である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
化合物が2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンである、請求項9記載の方法。
【請求項13】
化合物を投与する段階が化合物を被検者の上皮表面に適用する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
化合物を被検者の上皮表面に適用する段階が化合物を皮膚の表面に適用する段階を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
化合物を被検者の上皮表面に適用する段階が化合物を皮膚中に導入する段階を含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
免疫応答を刺激する方法が被検者の免疫応答を刺激することにより腫瘍を治療する方法を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
化合物を被検者の皮膚に適用する段階が化合物を腫瘍上または腫瘍の近くの皮膚領域に適用して被検者の免疫応答を刺激する段階を含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
腫瘍が悪性腫瘍である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
腫瘍が転移である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
化合物をその共鳴調節増大を誘導する電磁場に曝露することにより免疫刺激を増強する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
電磁場を磁気プローブによって発生させる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
電磁場を2本の電極間を流れる電流によって発生させる、請求項20記載の方法。
【請求項23】
化合物の共鳴調節によって生じた波形の振幅を監視して、被検者の免疫系の化合物に対する応答を評価する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
振幅が治療上望まれる振幅よりも低い場合に、化合物を電磁場に曝露して共鳴調節増大を誘導する段階をさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
免疫応答を刺激する方法が、細胞外膜結合チロシンホスファターゼを発現する細胞による、またはそのような細胞に対する免疫応答を刺激する方法を含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
細胞がTリンパ球であり、免疫応答を刺激する方法が抗原に対するTリンパ球による免疫応答を刺激する段階を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
細胞がCD45+ウイルスに感染した細胞であり、免疫応答を刺激する方法がウイルスに感染した細胞に対する免疫応答を刺激する段階を含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
ウイルスがパピローマウイルスまたはレトロウイルスである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
ウイルスがパピローマウイルスである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
ウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
ウイルスがレトロウイルスである、請求項28記載の方法。
【請求項32】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルスである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
細胞が活性細胞外膜結合チロシンホスファターゼを含むウイルスに感染した細胞であり、免疫応答を刺激する方法がウイルスに感染した細胞に対する免疫応答を刺激する段階を含む、請求項25記載の方法。
【請求項34】
被検者の免疫応答を増強する方法であって、被検者の皮膚に下記の化合物の治療上有効な量を適用する段階を含む方法:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-または4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)。
【請求項35】
被検者の免疫応答を監視する方法であって:
共鳴調節化合物を被検者と接触させて配置し、被検者の免疫状態を示す共鳴調節化合物の固有の電磁波形特性を発生させる段階と;
免疫機能の変化に関連する波形について、化合物により発生した波形を監視する段階とを含む方法。
【請求項36】
波形を監視する段階が、外部電流または電位を誘導することなく、化合物両端の電圧変化を経時的に検出する段階を含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
免疫機能の変化に関連する波形を監視する段階が振幅低下を有する波形を検出する段階を含む、請求項35記載の方法。
【請求項38】
波形を監視する段階が:
化合物が被検者と接触している時の化合物両端の電位を検出するために電極を設置する段階と;
免疫機能の変化に関連する電位波形を検出する段階と;
免疫機能の変化に関連する電位波形の検出に応じて診断または治療的介入を提供する段階とを含む、請求項35記載の方法。
【請求項39】
介入が診断的介入を含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
診断的介入が感染または新生物状態を検出するために設計された介入を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
介入が治療的介入を含む、請求項38記載の方法。
【請求項42】
治療的介入が抗感染または抗新生物療法の投与を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
治療的介入が化合物の共鳴活性を調節する段階を含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
化合物の共鳴活性を調節する段階が、化合物の共鳴調節を増大させる誘導電磁場を化合物にかける段階を含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
共鳴調節化合物がフェニルヒドラゾンである、請求項35記載の方法。
【請求項46】
共鳴調節化合物がポリアリールフェニルヒドラゾンである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
共鳴調節化合物が下記である、請求項35記載の方法:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-または4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)。
【請求項48】
腫瘍の治療法であって:
腫瘍を共鳴調節化合物の治療上有効な用量に曝露する段階と;
化合物に外部電磁場をかけてその共鳴調節を増大させ、それにより腫瘍を治療するための化合物の免疫刺激効果を高める段階を含む方法。
【請求項49】
共鳴調節化合物がフェニルヒドラゾンである、請求項48記載の方法。
【請求項50】
共鳴調節化合物が下記である、請求項49記載の方法:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-または4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)。
【請求項51】
生体組織からリンパ球を濃縮する方法であって、生体組織を共鳴調節化合物の有効な量に曝露する段階を含む方法。
【請求項52】
共鳴調節化合物が下記である、請求項51記載の方法:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-または4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)。
【請求項53】
生きている生物を化合物の有効な量に曝露する段階が、化合物を生きている生物の皮膚に適用する段階を含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
化合物を皮膚に適用する段階が、化合物の局所製剤を皮膚の表面に適用する段階を含む、請求項53記載の方法。
【請求項55】
被検者の感染症を治療する方法であって:
細胞のPTP細胞外受容体と相互作用する共鳴調節化合物の治療上有効な量を被検者に投与して、受容体を活性化する段階を含む方法。
【請求項56】
化合物に外部電磁場をかけてその共鳴調節を増大させ、それにより感染症を治療するための化合物の免疫刺激効果を高める段階をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
感染症がウイルス感染症である、請求項55記載の方法。
【請求項58】
ウイルスがパピローマウイルスまたはレトロウイルスである、請求項57記載の方法。
【請求項59】
ウイルスがパピローマウイルスである、請求項58記載の方法。
【請求項60】
ウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項59記載の方法。
【請求項61】
ウイルスがレトロウイルスである、請求項57記載の方法。
【請求項62】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルスである、請求項61記載の方法。
【請求項63】
感染症が細菌感染症である、請求項55記載の方法。
【請求項64】
細胞がTリンパ球である、請求項55記載の方法。
【請求項65】
細胞がCD45+リンパ球である、請求項64記載の方法。
【請求項66】
細胞がCD45+病原体である、請求項55記載の方法。
【請求項67】
病原体がヒトパピローマウイルスである、請求項66記載の方法。
【請求項68】
化合物および細胞を紫外線に曝露することにより、共鳴調節化合物と受容体との間の相互作用を増強する段階をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項69】
化合物を被検者に投与する段階が化合物を被検者に局所適用する段階を含む、請求項55記載の方法。
【請求項70】
化合物を被検者に適用する段階が化合物を形成異常または化性上皮に適用する段階を含む、請求項69記載の方法。
【請求項71】
上皮が泌尿性器上皮である、請求項70記載の方法。
【請求項72】
泌尿性器上皮が膣、子宮頸部または肛門上皮である、請求項71記載の方法。
【請求項73】
化合物が2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンを含む、請求項55記載の方法。
【請求項74】
化合物を被検者に適用する段階が化合物を扁平上皮癌に適用する段階を含む、請求項69記載の方法。
【請求項75】
腫瘍が肛門扁平上皮癌である、請求項74記載の方法。
【請求項76】
腫瘍が扁平上皮膣または子宮頸癌である、請求項74記載の方法。
【請求項77】
化合物を投与する段階が化合物を被検者の皮膚に適用する段階を含む、請求項69記載の方法。
【請求項78】
化合物を適用する段階が化合物を肛門内に適用する段階を含む、請求項69記載の方法。
【請求項79】
化合物を適用する段階が化合物を膣内に適用する段階を含む、請求項69記載の方法。
【請求項80】
化合物が局所用ゲルを含む、請求項55記載の方法。
【請求項81】
局所用ゲルが0.25%の化合物を含む、請求項80記載の方法。
【請求項82】
化合物を被検者に局所適用する段階が化合物を少なくとも1日1回、治療効果を示すのに十分な期間適用する段階を含む、請求項78記載の方法。
【請求項83】
化合物を適用する段階が化合物を少なくとも1日1回、少なくとも5日間適用する段階を含む、請求項85記載の方法。
【請求項84】
化合物の治療上有効な量が局所用ゲルを1日1回少なくとも2グラムであり、ゲルが少なくとも約0.25%の化合物を含む、請求項55記載の方法。
【請求項85】
2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(BDP-DNP)を含む化合物。
【請求項86】
新生物の治療法であって、BDP-DNPの抗新生物治療量を新生物を有する被検者に投与する段階を含む方法。
【請求項87】
新生物が泌尿性器新生物である、請求項86記載の方法。
【請求項88】
新生物が肛門、膣または子宮頚部新生物である、請求項87記載の方法。
【請求項89】
BDP-DNPを投与する段階がBDP-DNPを腫瘍に適用する段階を含む、請求項86記載の方法。
【請求項90】
BDP-DNPを適用する段階がBDP-DNPを腫瘍に局所的に、または腫瘍全体に適用する段階を含む、請求項89記載の方法。
【請求項91】
BDP-DNPの局所製剤を含む、請求項86記載の化合物。
【請求項92】
細胞膜に存在する細胞性チロシンホスファターゼを活性化する方法であって、細胞をチロシンホスファターゼを活性化するのに十分な量の共鳴調節化合物に曝露する段階を含む方法。
【請求項93】
細胞を前記の量の共鳴調節物質に曝露する段階が、共鳴調節物質を細胞または細胞の近くに局所適用する段階を含む、請求項92記載の方法。
【請求項94】
チロシンホスファターゼがリンパ球上のCD45受容体である、請求項92記載の方法。
【請求項1】
免疫刺激を必要としている被検者の免疫応答を刺激する方法であって、
免疫刺激を必要としている被検者に共鳴調節化合物の治療上有効な量を投与する段階を含む方法。
【請求項2】
免疫刺激を必要としている被検者が検査による免疫障害の証拠を有する被検者である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
共鳴調節化合物がフェニルヒドラゾンである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
共鳴調節化合物がニトロフェニルヒドラゾンである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
共鳴調節化合物がジニトロフェニルヒドラゾンである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
共鳴調節化合物が2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
共鳴調節化合物が下記を含む、請求項3記載の方法:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-または4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)。
【請求項8】
共鳴調節化合物が下記である、請求項7記載の方法:
【請求項9】
共鳴調節化合物が下記である、請求項7記載の方法:
【請求項10】
共鳴調節化合物が下記である、請求項7記載の方法:
【請求項11】
R1がOHであり、R2がC6H40Hであり、かつXがC6H3-2,4(NO2)2である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
化合物が2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンである、請求項9記載の方法。
【請求項13】
化合物を投与する段階が化合物を被検者の上皮表面に適用する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
化合物を被検者の上皮表面に適用する段階が化合物を皮膚の表面に適用する段階を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
化合物を被検者の上皮表面に適用する段階が化合物を皮膚中に導入する段階を含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
免疫応答を刺激する方法が被検者の免疫応答を刺激することにより腫瘍を治療する方法を含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
化合物を被検者の皮膚に適用する段階が化合物を腫瘍上または腫瘍の近くの皮膚領域に適用して被検者の免疫応答を刺激する段階を含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
腫瘍が悪性腫瘍である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
腫瘍が転移である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
化合物をその共鳴調節増大を誘導する電磁場に曝露することにより免疫刺激を増強する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
電磁場を磁気プローブによって発生させる、請求項20記載の方法。
【請求項22】
電磁場を2本の電極間を流れる電流によって発生させる、請求項20記載の方法。
【請求項23】
化合物の共鳴調節によって生じた波形の振幅を監視して、被検者の免疫系の化合物に対する応答を評価する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
振幅が治療上望まれる振幅よりも低い場合に、化合物を電磁場に曝露して共鳴調節増大を誘導する段階をさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
免疫応答を刺激する方法が、細胞外膜結合チロシンホスファターゼを発現する細胞による、またはそのような細胞に対する免疫応答を刺激する方法を含む、請求項1記載の方法。
【請求項26】
細胞がTリンパ球であり、免疫応答を刺激する方法が抗原に対するTリンパ球による免疫応答を刺激する段階を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
細胞がCD45+ウイルスに感染した細胞であり、免疫応答を刺激する方法がウイルスに感染した細胞に対する免疫応答を刺激する段階を含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
ウイルスがパピローマウイルスまたはレトロウイルスである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
ウイルスがパピローマウイルスである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
ウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
ウイルスがレトロウイルスである、請求項28記載の方法。
【請求項32】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルスである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
細胞が活性細胞外膜結合チロシンホスファターゼを含むウイルスに感染した細胞であり、免疫応答を刺激する方法がウイルスに感染した細胞に対する免疫応答を刺激する段階を含む、請求項25記載の方法。
【請求項34】
被検者の免疫応答を増強する方法であって、被検者の皮膚に下記の化合物の治療上有効な量を適用する段階を含む方法:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-または4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)。
【請求項35】
被検者の免疫応答を監視する方法であって:
共鳴調節化合物を被検者と接触させて配置し、被検者の免疫状態を示す共鳴調節化合物の固有の電磁波形特性を発生させる段階と;
免疫機能の変化に関連する波形について、化合物により発生した波形を監視する段階とを含む方法。
【請求項36】
波形を監視する段階が、外部電流または電位を誘導することなく、化合物両端の電圧変化を経時的に検出する段階を含む、請求項35記載の方法。
【請求項37】
免疫機能の変化に関連する波形を監視する段階が振幅低下を有する波形を検出する段階を含む、請求項35記載の方法。
【請求項38】
波形を監視する段階が:
化合物が被検者と接触している時の化合物両端の電位を検出するために電極を設置する段階と;
免疫機能の変化に関連する電位波形を検出する段階と;
免疫機能の変化に関連する電位波形の検出に応じて診断または治療的介入を提供する段階とを含む、請求項35記載の方法。
【請求項39】
介入が診断的介入を含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
診断的介入が感染または新生物状態を検出するために設計された介入を含む、請求項39記載の方法。
【請求項41】
介入が治療的介入を含む、請求項38記載の方法。
【請求項42】
治療的介入が抗感染または抗新生物療法の投与を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
治療的介入が化合物の共鳴活性を調節する段階を含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
化合物の共鳴活性を調節する段階が、化合物の共鳴調節を増大させる誘導電磁場を化合物にかける段階を含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
共鳴調節化合物がフェニルヒドラゾンである、請求項35記載の方法。
【請求項46】
共鳴調節化合物がポリアリールフェニルヒドラゾンである、請求項45記載の方法。
【請求項47】
共鳴調節化合物が下記である、請求項35記載の方法:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-または4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)。
【請求項48】
腫瘍の治療法であって:
腫瘍を共鳴調節化合物の治療上有効な用量に曝露する段階と;
化合物に外部電磁場をかけてその共鳴調節を増大させ、それにより腫瘍を治療するための化合物の免疫刺激効果を高める段階を含む方法。
【請求項49】
共鳴調節化合物がフェニルヒドラゾンである、請求項48記載の方法。
【請求項50】
共鳴調節化合物が下記である、請求項49記載の方法:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-または4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)。
【請求項51】
生体組織からリンパ球を濃縮する方法であって、生体組織を共鳴調節化合物の有効な量に曝露する段階を含む方法。
【請求項52】
共鳴調節化合物が下記である、請求項51記載の方法:
(式中、R1は水素、ヒドロキシ、2-または4-ヒドロキシフェニル、酢酸エステル、リン酸エステル、アジド、ニトリル、アミノ、ジメチルアミノ、硫酸エステル、メチルスルホン酸エステル、リン酸エステル、コハク酸エステルであり;
R2はC6H5、C6H4OH、C6H4N3、C6H4CN、4-HO-C6H4-C6H4、C6H4OPO2OH、C6H4OSO2H、C6H4NH2、C6H4NHMe2、C6H4OSO2Me、C6H4OCO(CH2)XCO2H、またはC6H5Clであり;
XはC6H3-2,4(NO2)2、C6H4-4(NO2)、C6H4-3(NO2)、またはC6H3-2,4(NO2)2であり;
R3=-O-、-S-、-CH2-、-N-、−、-CHA-および-CHOA-(A=アリール、エステル、アミド、脂質、炭水化物、またはペプチド);
Y=H、(CH)XCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド;かつ
Z=H、(CH)xCH3(x=0〜12)、-S-CH3、ニトリル、アミノ、ニトロ、アジド、コハク酸エステル、またはアミド)。
【請求項53】
生きている生物を化合物の有効な量に曝露する段階が、化合物を生きている生物の皮膚に適用する段階を含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
化合物を皮膚に適用する段階が、化合物の局所製剤を皮膚の表面に適用する段階を含む、請求項53記載の方法。
【請求項55】
被検者の感染症を治療する方法であって:
細胞のPTP細胞外受容体と相互作用する共鳴調節化合物の治療上有効な量を被検者に投与して、受容体を活性化する段階を含む方法。
【請求項56】
化合物に外部電磁場をかけてその共鳴調節を増大させ、それにより感染症を治療するための化合物の免疫刺激効果を高める段階をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
感染症がウイルス感染症である、請求項55記載の方法。
【請求項58】
ウイルスがパピローマウイルスまたはレトロウイルスである、請求項57記載の方法。
【請求項59】
ウイルスがパピローマウイルスである、請求項58記載の方法。
【請求項60】
ウイルスがヒトパピローマウイルスである、請求項59記載の方法。
【請求項61】
ウイルスがレトロウイルスである、請求項57記載の方法。
【請求項62】
ウイルスがヒト免疫不全ウイルスである、請求項61記載の方法。
【請求項63】
感染症が細菌感染症である、請求項55記載の方法。
【請求項64】
細胞がTリンパ球である、請求項55記載の方法。
【請求項65】
細胞がCD45+リンパ球である、請求項64記載の方法。
【請求項66】
細胞がCD45+病原体である、請求項55記載の方法。
【請求項67】
病原体がヒトパピローマウイルスである、請求項66記載の方法。
【請求項68】
化合物および細胞を紫外線に曝露することにより、共鳴調節化合物と受容体との間の相互作用を増強する段階をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項69】
化合物を被検者に投与する段階が化合物を被検者に局所適用する段階を含む、請求項55記載の方法。
【請求項70】
化合物を被検者に適用する段階が化合物を形成異常または化性上皮に適用する段階を含む、請求項69記載の方法。
【請求項71】
上皮が泌尿性器上皮である、請求項70記載の方法。
【請求項72】
泌尿性器上皮が膣、子宮頸部または肛門上皮である、請求項71記載の方法。
【請求項73】
化合物が2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾンを含む、請求項55記載の方法。
【請求項74】
化合物を被検者に適用する段階が化合物を扁平上皮癌に適用する段階を含む、請求項69記載の方法。
【請求項75】
腫瘍が肛門扁平上皮癌である、請求項74記載の方法。
【請求項76】
腫瘍が扁平上皮膣または子宮頸癌である、請求項74記載の方法。
【請求項77】
化合物を投与する段階が化合物を被検者の皮膚に適用する段階を含む、請求項69記載の方法。
【請求項78】
化合物を適用する段階が化合物を肛門内に適用する段階を含む、請求項69記載の方法。
【請求項79】
化合物を適用する段階が化合物を膣内に適用する段階を含む、請求項69記載の方法。
【請求項80】
化合物が局所用ゲルを含む、請求項55記載の方法。
【請求項81】
局所用ゲルが0.25%の化合物を含む、請求項80記載の方法。
【請求項82】
化合物を被検者に局所適用する段階が化合物を少なくとも1日1回、治療効果を示すのに十分な期間適用する段階を含む、請求項78記載の方法。
【請求項83】
化合物を適用する段階が化合物を少なくとも1日1回、少なくとも5日間適用する段階を含む、請求項85記載の方法。
【請求項84】
化合物の治療上有効な量が局所用ゲルを1日1回少なくとも2グラムであり、ゲルが少なくとも約0.25%の化合物を含む、請求項55記載の方法。
【請求項85】
2,6-ジベンジリデンシクロヘキサノン-2,4-ジニトロフェニルヒドラゾン(BDP-DNP)を含む化合物。
【請求項86】
新生物の治療法であって、BDP-DNPの抗新生物治療量を新生物を有する被検者に投与する段階を含む方法。
【請求項87】
新生物が泌尿性器新生物である、請求項86記載の方法。
【請求項88】
新生物が肛門、膣または子宮頚部新生物である、請求項87記載の方法。
【請求項89】
BDP-DNPを投与する段階がBDP-DNPを腫瘍に適用する段階を含む、請求項86記載の方法。
【請求項90】
BDP-DNPを適用する段階がBDP-DNPを腫瘍に局所的に、または腫瘍全体に適用する段階を含む、請求項89記載の方法。
【請求項91】
BDP-DNPの局所製剤を含む、請求項86記載の化合物。
【請求項92】
細胞膜に存在する細胞性チロシンホスファターゼを活性化する方法であって、細胞をチロシンホスファターゼを活性化するのに十分な量の共鳴調節化合物に曝露する段階を含む方法。
【請求項93】
細胞を前記の量の共鳴調節物質に曝露する段階が、共鳴調節物質を細胞または細胞の近くに局所適用する段階を含む、請求項92記載の方法。
【請求項94】
チロシンホスファターゼがリンパ球上のCD45受容体である、請求項92記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12−1】
【図12−2】
【図12−3】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12−1】
【図12−2】
【図12−3】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2006−521381(P2006−521381A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508866(P2006−508866)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/005845
【国際公開番号】WO2004/078174
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(306014323)デック−テク インコーポレーティッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/005845
【国際公開番号】WO2004/078174
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(306014323)デック−テク インコーポレーティッド (1)
【Fターム(参考)】
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