説明

試料分析装置及びコンピュータプログラム

【課題】試料に応じて測定条件を変更することなく、様々な種類の試料を精度良く分析することができる試料分析装置及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】複数の種類の粒子を含む試料を分析する。複数の粒子の特徴を示す所定のビット数に量子化された量子化情報を取得し、取得した量子化情報から、第1の分類用データと第2の分類用データを生成する。生成された第1の分類用データ及び第2の分類用データのいずれか1つと分類条件記憶部に記憶された分類条件とに基づいて試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の試料を分析する試料分析装置及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液、尿等の試料中の粒子を複数種類の粒子に分類する粒子分析装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、動物種に応じた分析条件を事前に記憶しておき、誤った分析条件を用いて試料の分析を実行した場合には、正しい動物種に設定を変更し、設定変更後の動物種に対応した分析条件を用いて試料を再分析する血液分析装置が開示されている。具体的には、粒子分布図において粒子を分画するための分画レベルの設定範囲を動物種に応じて変更している。
【特許文献1】特開2007−101312号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、動物種に応じて粒子分布図上での分画レベルの設定範囲を変更するためには、分画レベルを設定するための解析プログラムを動物種に応じた数だけ開発する必要がある。そのため、種々の解析プログラムを開発するために多大なコストと時間とが必要になるという問題点があった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、共通の解析プログラムを用いて、様々な種類の試料を分析することができる試料分析装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために第1発明に係る試料分析装置は、複数の種類の粒子を含む試料を分析する試料分析装置において、複数の粒子の特徴を示す所定のビット数に量子化された量子化情報を取得する量子化情報取得手段と、取得した前記量子化情報から、試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる第1の分類用データを生成する第1生成手段と、取得した前記量子化情報から、試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる第1の分類用データとは異なる第2の分類用データを生成する第2生成手段と、試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる分類条件を記憶する分類条件記憶部と、前記第1の分類用データ及び前記第2の分類用データのいずれか1つと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類する分類手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、第2発明に係る試料分析装置は、第1発明において、前記第1の分類用データのビット数と前記第2の分類用データのビット数とが同一であり、前記ビット数は、前記量子化情報取得手段にて取得した量子化情報の所定のビット数よりも小さいことを特徴とする。
【0008】
また、第3発明に係る試料分析装置は、第2発明において、前記第1生成手段は、前記量子化情報取得手段にて取得した量子化情報を所定のビット数のデータに変換することにより前記第1の分類用データを生成し、前記第2生成手段は、前記量子化情報取得手段にて取得した量子化情報を所定の倍率で拡大してから、前記所定のビット数のデータに変換することにより前記第2の分類用データを生成することを特徴とする。
【0009】
また、第4発明に係る試料分析装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記量子化情報取得手段が前記量子化情報を取得した場合、前記第1生成手段は、前記第1の分類用データを生成し、前記第2生成手段は、前記第2の分類用データを生成し、前記試料中の粒子の分類を前記第2の分類用データに基づいて実行する旨の指示情報を受け付ける分類指示受付手段をさらに備え、前記分類手段は、前記第1の分類用データが生成された場合、該第1の分類用データと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を分類し、前記分類指示受付手段で前記指示情報を受け付けた場合、前記第2の分類用データと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を分類することを特徴とする。
【0010】
また、第5発明に係る試料分析装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記量子化情報取得手段が前記量子化情報を取得した場合、前記第1生成手段は、前記第1の分類用データを生成し、前記分類手段は、前記第1の分類用データが生成された場合、該第1の分類用データと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を分類し、前記試料中の粒子の分類を前記第2の分類用データに基づいて実行する旨の指示情報を受け付ける分類指示受付手段をさらに備え、前記第2生成手段は、前記分類指示受付手段で前記指示情報を受け付けた場合、前記第2の分類用データを生成し、前記分類手段は、前記第2の分類用データが生成された場合、該第2の分類用データと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を分類することを特徴とする。
【0011】
また、第6発明に係る試料分析装置は、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記第1の分類用データ及び前記第2の分類用データのいずれか1つに基づいて、前記試料中の粒子の分布状態を示す分布図データを作成する分布図作成手段と、作成された分布図データを表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、第7発明に係る試料分析装置は、第1乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記量子化情報取得手段が前記量子化情報を取得した場合、前記第1生成手段は、前記第1の分類用データを生成し、前記第2生成手段は、前記第2の分類用データを生成し、前記分類手段は、前記第1の分類用データが生成された場合、該第1の分類用データと前記分類条件とに基づいて第1分類結果を取得し、前記第2の分類用データが生成された場合、該第2の分類用データと前記分類条件とに基づいて第2分類結果を取得することを特徴とする。
【0013】
また、第8発明に係る試料分析装置は、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記量子化情報取得手段は、第1の量子化情報及び第2の量子化情報を取得し、前記第1の分類用データ及び前記第2の分類用データは、前記第1の量子化情報及び前記第2の量子化情報に基づく二次元の分類用データであることを特徴とする。
【0014】
また、第9発明に係る試料分析装置は、第8発明において、前記第1の量子化情報は、前記試料の蛍光強度に関する情報であり、前記第2の量子化情報は、前記試料の散乱光強度に関する情報であることを特徴とする。
【0015】
また、第10発明に係る試料分析装置は、第1乃至第9発明のいずれか1つにおいて、前記試料は血液であり、前記第1の分類用データは、成人血に含まれる粒子を分類するための分類用データであり、前記第2の分類用データは、小児血に含まれる粒子を分類するための分類用データであることを特徴とする。
【0016】
また、第11発明に係る試料分析装置は、第1乃至第10発明のいずれか1つにおいて、前記量子化情報、前記第1の分類用データ及び前記第2の分類用データは、整数列情報であることを特徴とする。
【0017】
次に、上記目的を達成するために第12発明に係る試料分析装置は、複数の種類の粒子を含む試料を分析する試料分析装置において、複数の粒子の特徴を示す所定のビット数に量子化された第1の量子化情報を取得する第1量子化情報取得手段と、取得した前記第1の量子化情報を所定の倍率で拡大することにより第2の量子化情報を取得する第2量子化情報取得手段と、試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる分類条件を記憶する分類条件記憶部と、前記第1の量子化情報及び前記第2の量子化情報のいずれか1つと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類する分類手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
次に上記目的を達成するために第13発明に係るコンピュータプログラムは、複数の種類の粒子を含む試料を分析する試料分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、前記試料分析装置を、複数の粒子の特徴を示す所定のビット数に量子化された量子化情報を取得する量子化情報取得手段、取得した前記量子化情報から、試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる第1の分類用データを生成する第1生成手段、取得した前記量子化情報から、試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる第1の分類用データとは異なる第2の分類用データを生成する第2生成手段、試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するための所定の分類条件を記憶する分類条件記憶手段、及び前記第1の分類用データ及び前記第2の分類用データのいずれか1つと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類する分類手段として機能させることを特徴とする。
【0019】
第1発明及び第13発明では、複数の粒子の特徴を示す所定のビット数に量子化された量子化情報を取得し、取得した量子化情報から、第1の分類用データと、第1の分類用データとは異なる第2の分類用データとを生成する。第1の分類用データ及び第2の分類用データのいずれか1つと記憶されている分類条件とに基づいて試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類する。第1の分類用データ及び第2の分類用データを生成し、それらのいずれかに基づいて共通の解析プログラムを用いて試料中の粒子を分類することにより、動物種が異なる、年齢が異なる、性別が異なる等の相違が存在する場合であっても、共通の解析プログラムにて解析することができ、様々な解析プログラムを開発するために要する多大なコストと時間とを節約することが可能となる。
【0020】
例えば取得した量子化情報を12ビットの整数列情報とした場合、量子化情報は0乃至4095の範囲に分布する。それに対して第1の分類用データを8ビットの整数列情報とした場合には第1の分類用データは0乃至255の範囲となり、一方で第2の分類用データを、第1の分類用データより上方へシフトしたい場合には、縮小率を若干下げることで、算出される整数列情報が上方へシフトする。このように、試料に含まれる粒子の特徴を示す量子化情報を取得する条件を変更するのではなく、同一条件で取得した量子化情報に対して、例えばスキャッタグラムでの粒子の出現位置を縮小率の変更により修正することにより精度良く粒子を複数の種類に分類することが可能となる。
【0021】
第2発明では、第1の分類用データのビット数と第2の分類用データのビット数とが、取得した量子化情報のビット数よりも小さくなるようにすることで、例えば取得した量子化情報を12ビットの整数列情報とし、第1の分類用データ及び第2の分類用データを8ビットの整数列情報とした場合、第2の分類用データの整数列情報を、第1の分類用データの整数列情報より上方へシフトしたいときに、縮小率を若干低めても、整数列情報の連続性を維持することができ、精度良く粒子を複数の種類に分類することが可能となる。
【0022】
第3発明では、取得した量子化情報を所定の倍率で拡大してから、所定のビット数のデータに変換して第2の分類用データを生成することにより、容易に所望の分類用データを取得することができる。
【0023】
第4発明では、量子化情報を取得した場合、第1の分類用データ及び第2の分類用データを生成し、試料中の粒子の分類を第2の分類用データに基づいて実行する旨の指示情報を受け付ける。第1の分類用データが生成された場合、該第1の分類用データと分類条件とに基づいて試料中の粒子を分類し、指示情報を受け付けた場合、第2の分類用データと分類条件とに基づいて試料中の粒子を分類する。これにより、要求があった場合にすぐに第2の分類用データに基づいて試料中の粒子を分類することが可能となる。
【0024】
第5発明では、試料中の粒子の分類を第2の分類用データに基づいて実行する旨の指示情報を受け付けた場合に第2の分類用データを生成し、第2の分類用データが生成された場合、生成された第2の分類用データに基づいて試料中の粒子を分類する。これにより、要求があった場合にだけ第2の分類用データを生成することで、演算処理負荷を軽減することが可能となる。
【0025】
第6発明では、第1の分類用データ及び第2の分類用データのいずれか1つに基づいて、試料中の粒子の分布状態を示す分布図データを作成し、作成された分布図データを表示することにより、第1の分類用データと第2の分類用データのいずれに基づいて試料中の粒子を分類すべきかを目視で確認することができ、分類精度を向上させることが可能となる。
【0026】
第7発明では、量子化情報を取得した場合に、第1の分類用データと第2の分類用データとを生成し、第1の分類用データが生成された場合、該第1の分類用データと分類条件とに基づいて第1分類結果を取得し、第2の分類用データが生成された場合、該第2の分類用データと分類条件とに基づいて第2分類結果を取得する。これにより、特に使用者からの要求がない場合であっても、第1の分類用データに基づいた分類結果と、第2の分類用データに基づいた分類結果の両方を取得することが可能となる。
【0027】
第8発明では、第1の量子化情報及び第2の量子化情報を取得し、第1の分類用データ及び第2の分類用データは、第1の量子化情報及び第2の量子化情報に基づく二次元の分類用データとして求める。これにより、2種類の量子化情報を二次元グラフ上にサンプリングすることができる。
【0028】
第9発明では、第1の量子化情報は、試料の蛍光強度に関する情報であり、第2の量子化情報は、試料の散乱光強度に関する情報である。これにより、試料に含まれている粒子の染色度合いを示す情報、粒子の大きさ情報等を取得することができる。
【0029】
第10発明では、試料は血液であり、第1の分類用データは、成人血に含まれる粒子を分類するための分類用データであり、第2の分類用データは、小児血に含まれる粒子を分類するための分類用データである。これにより、小児血及び成人血の両方の分析を行うことが可能となる。
【0030】
第11発明では、量子化情報、第1の分類用データ及び第2の分類用データは、整数列情報であることにより、演算処理負荷を軽減することが可能となる。
【0031】
第12発明では、複数の粒子の特徴を示す所定のビット数に量子化された第1の量子化情報を取得し、取得した第1の量子化情報を所定の倍率で拡大することにより第2の量子化情報を取得する。第1の量子化情報及び第2の量子化情報のいずれか1つと記憶されている分類条件とに基づいて試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類する。これにより、動物種が異なる、年齢が異なる、性別が異なる等の相違が存在する場合であっても、共通の解析プログラムにて解析することができ、様々な解析プログラムを開発するために要する多大なコストと時間とを節約することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
上記構成によれば、動物種が異なる、年齢が異なる、性別が異なる等の相違が存在する場合であっても、共通の解析プログラムにて解析することができ、様々な解析プログラムを開発するために要する多大なコストと時間とを節約することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本実施の形態では、試料分析装置として血液を分析する血液分析装置を一例とし、図面に基づいて具体的に説明する。したがって、分析処理は血球の分類処理となり、分析用データは分類用データとして生成される。
【0034】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の構成を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る試料分析装置は、測定装置1と、測定装置1とデータ通信することが可能に接続されている演算表示装置2とで構成されている。
【0035】
測定装置1と演算表示装置2とは、図示しない通信線を介して接続されており、相互にデータ通信することにより、測定装置1の動作を制御し、測定装置1から出力された測定データを処理して分析結果を取得する。測定装置1と演算表示装置2とは、ネットワーク網を介して接続されていても良いし、一体として一つの装置を構成し、プロセス間通信等でデータの授受を行っても良い。
【0036】
測定装置1は、フローサイトメトリー法を用いて、血液中の白血球、網状赤血球及び血小板等の特徴情報を検出して、検出結果を測定データとして演算表示装置2へ送信する。ここで、フローサイトメトリー法とは、測定試料を含む試料流を形成し、該試料流にレーザ光を照射することによって、測定試料中の粒子(血球)が発する前方散乱光、側方散乱光、側方蛍光等の光を検出し、これにより、試料中の粒子(血球)を検出する粒子(血球)の測定方法である。
【0037】
図2は、本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の測定装置1の構成を示すブロック図である。測定装置1は、装置機構部4と、測定試料の測定を実行する検出部5と、検出部5の出力に対するアナログ処理部6と、表示・操作部7と、上述のハードウェア各部の動作を制御する制御基板部9とを備えている。
【0038】
制御基板部9は、制御用プロセッサ及び制御用プロセッサを動作させるためのメモリを有する制御部91と、アナログ処理部6から出力された信号をデジタル信号に変換する12ビットのA/D変換部92と、A/D変換部92から出力されたデジタル信号を記憶するとともに、制御部91に出力するデータを選択する処理を実行する演算部93とを有している。制御部91は、バス94a及びインタフェース95bを介して表示・操作部7と接続され、バス94b及びインタフェース95cを介して演算表示装置2と接続されている。また、演算部93は、演算結果をインタフェース95d及びバス94aを介して制御部91に出力する。さらに制御部91は、演算結果(測定データ)を演算表示装置2へ送信する。
【0039】
装置機構部4には、試薬と血液とから測定試料を調製する試料調製部41が設けられている。試料調製部41は、白血球測定用試料、網状赤血球測定用試料、血小板測定用試料を調製する。
【0040】
図3は、本発明の実施の形態1に係る試料調製部41の構成を模式的に説明するブロック図である。試料調製部41は、血液が所定量充填される採血管41aと、血液が吸引されるサンプリングバルブ41bと、反応チャンバ41cとを備えている。
【0041】
サンプリングバルブ41bは、図示しない吸引ピペットにより吸引された採血管41a内の血液を定量することが可能に構成されている。反応チャンバ41cは、サンプリングバルブ41bに接続されており、サンプリングバルブ41bにより定量された血液に所定の試薬と染色液とをさらに混合することが可能となるように構成されている。また、反応チャンバ41cは、検出部5に接続されており、反応チャンバ41cにおいて所定の試薬と染色液とが混合された測定試料を検出部5に流入するように構成されている。
【0042】
これにより、試料調製部41は、白血球測定用試料として、白血球が染色されるとともに赤血球が溶血された測定試料を調製することができる。また、網状赤血球測定用試料として、網状赤血球が染色された測定試料を調製することもできるし、血小板測定用試料として、血小板が染色された測定試料を調製することもできる。調製された測定試料は、シース液とともに後述する検出部5のシースフローセルに供給される。
【0043】
図4は、本発明の実施の形態1に係る検出部5及びアナログ処理部6の構成を模式的に説明するブロック図である。図4に示すように、検出部5は、レーザ光を出射する発光部501と、照射レンズユニット502と、レーザ光が照射されるシースフローセル503と、発光部501から出射されるレーザ光が進む方向の延長線上に配置されている集光レンズ504、ピンホール505、及びPD(フォトダイオード)506と(シースフローセル503と集光レンズ504との間には図示しないビームストッパが配置されている)、発光部501から出射されるレーザ光が進む方向と交差する方向に配置されている集光レンズ507、ダイクロイックミラー508、光学フィルタ509、ピンホール510及びAPD(アバランシェフォトダイオード)511と、ダイクロイックミラー508の側方に配置されているPD(フォトダイオード)512とを備えている。
【0044】
発光部501は、シースフローセル503の内部を通過する測定試料を含む試料流に対して光を出射するために設けられている。照射レンズユニット502は、発光部501から出射された光を平行光にするために設けられている。また、PD506は、シースフローセル503から出射された前方散乱光を受光するために設けられている。なお、シースフローセル503から出射された前方散乱光により、測定試料中の粒子(血球)の大きさに関する情報を得ることができる。
【0045】
ダイクロイックミラー508は、シースフローセル503から出射された側方散乱光及び側方蛍光を分離するために設けられている。具体的には、ダイクロイックミラー508は、シースフローセル503から出射された側方散乱光をPD512に入射させるとともに、シースフローセル503から出射された側方蛍光をAPD511に入射させるために設けられている。また、PD512は、側方散乱光を受光するために設けられている。シースフローセル503から出射された側方散乱光により、測定試料中の粒子(血球)の核の大きさ等の内部情報を得ることが可能となる。
【0046】
また、APD511は、側方蛍光を受光するために設けられている。染色された血球のような蛍光物質に光を照射すると、照射した光の波長より長い波長の光が発せられる。蛍光強度は染色度合いが高いほど強くなる。そのため、シースフローセル503から出射された側方蛍光強度を測定することによって血球の染色度合いに関する特徴情報を得ることができる。したがって、側方蛍光強度の差によって、白血球の分類その他の測定を行うことができる。PD506、512及びAPD511は、それぞれ受光した光信号を電気信号に変換して、増幅器61、62、及び63にて増幅して制御基板部9へ送信する。
【0047】
本実施の形態1では、発光部501は、白血球分類測定(以下、DIFF測定という)時には、3.4mWの出力で光を出射する。また、網状赤血球測定(以下、RET測定という)時には、6mWの出力で光を出射する。さらに、血小板測定(PLT測定)時には、10mWの出力で光を出射する。
【0048】
図5は、本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の演算表示装置2の構成を示すブロック図である。図5に示すように、演算表示装置2は、CPU(中央演算装置)21、RAM22、記憶装置23、入力装置24、表示装置25、出力装置26、通信インタフェース27及び上述したハードウェアを接続する内部バス28で構成されている。CPU21は、内部バス28を介して演算表示装置2の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置23に記憶されているコンピュータプログラム231に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM22は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラム231の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム231の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0049】
記憶装置23は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)等で構成されている。記憶装置23は、バーコードラベルを読み取ることにより取得することができる識別情報に対応付けた患者(被検者)の年齢情報を含む患者に関する情報が記憶してある患者情報記憶部232も備えている。図6は、患者情報記憶部232のデータ構成の例示図である。図6に示すように、バーコードラベルを読み取ることにより取得する識別情報である試料IDに対応付けて、被検者を識別する識別情報である被検者ID、被検者の性別情報、被検者の年齢情報、疾患の内容に関する疾患情報、及び診療科を識別する診療科情報を記憶してある。なお、患者情報記憶部232は記憶装置23に備えることに限定されるものではなく、外部のコンピュータに記憶しておき、通信インタフェース27を介して照会する構成であっても良い。
【0050】
通信インタフェース27は内部バス28に接続されており、測定装置1と通信線を介して接続されることにより、データの送受信を行うことが可能となっている。すなわち、測定の開始を示す指示情報等を測定装置1へ送信し、測定データ等を受信する。
【0051】
入力装置24は、キーボード及びマウス等のデータ入力媒体である。表示装置25は、CRTモニタ、LCD等の表示装置であり、分析結果をグラフィカルに表示する。出力装置26は、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ等の印刷装置等である。
【0052】
上述した構成の試料分析装置の測定装置1及び演算表示装置2にて、成人の血液を測定して、血液中に含まれている白血球をリンパ球、単球、好中球、好塩基球及び好酸球に分類した場合、図7に示されるようなスキャッタグラムが作成されて表示装置25に表示される。図7は、白血球分類測定(DIFF測定)時のスキャッタグラムの例示図である。図7において、縦軸は側方蛍光強度を、横軸は側方散乱光強度を、それぞれ示している。以下、本実施の形態1に係る試料分析装置で用いられる白血球の分類方法について説明する。
【0053】
実施の形態1に係る試料分析装置においては、図7に示すように、成人血の過去の統計値に基づき、リンパ球が分布すると想定されるリンパ球分布領域101、単球が分布すると想定される単球分布領域102、好酸球が分布すると想定される好酸球分布領域103、好中球が分布すると想定される好中球分布領域104、好塩基球が分布すると想定される好塩基球分布領域105が予め定められている。そして、同じ座標軸上に、測定データに基づく整数列情報をサンプリングした後、リンパ球分布領域101、単球分布領域102、好酸球分布領域103、好中球分布領域104、好塩基球分布領域105の各分布領域への血球の帰属度を算出し、算出された帰属度に応じて、各血球が特定の種類の血球に分類される。そして、分類された血球を計数することにより、リンパ球、単球等の数を求めることができる。上述の白血球の分類方法は、米国特許第5555196号公報に詳細に記載されている。なお、上述の白血球の分類方法を実行するためのコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いられるデータは、記憶装置23に事前に記憶されている。
【0054】
本発明者らにより、小児血に含まれる血球は、成人血に含まれる血球よりも染色液に染色される度合いが低いことが認知された。そのため、小児血を測定して得られた測定データにおいては、図7に示した本来分布するべき各領域のやや下方にサンプリング値が分布してしまうことが判明した。図8は、DIFF測定時に作成されたスキャッタグラムのリンパ球分布領域101とサンプリング値との関係の例示図である。
【0055】
図8に示すように、測定データが成人血である場合には、リンパ球分布領域101周辺にサンプリング値が集約されるはずである。しかし、測定データが成人血ではなく小児血である場合には、成人血である場合よりも染料による染色度合いが小児血の方が低いため、蛍光強度、散乱光強度ともに低く測定されている。したがって、サンプリング値は、リンパ球分布領域101よりも下方である領域111近辺に集約してしまう。
【0056】
このように、スキャッタグラムから分布傾向が全体として想定した領域よりも下方にシフトしている場合には、測定データが小児血を対象としたデータであると判断することができ、分類処理の精度を向上させるためには、サンプリング値の集約している領域111を、矢印112の方向へシフトする必要があることがわかる。以下、測定データが小児血を対象としたデータであっても、成人血ベースで白血球を分類した場合と同じ血球分類方法を用いて精度良く分類処理を実行するために、小児血を対象とした測定データをシフトアップさせる手段につき記載する。
【0057】
図9は、本発明の実施の形態1に係る測定装置1の制御基板部9の制御部91及び演算表示装置2のCPU21の処理手順を示すフローチャートである。測定装置1の制御部91は、測定装置1が起動されたことを検知した場合、初期化を実行し(ステップS914)、測定装置1各部の動作チェックを行う。また、演算表示装置2のCPU21も、演算表示装置2が起動されたことを検知した場合、初期化(プログラムの初期化)を実行し(ステップS901)、表示装置25にメニュー画面を表示する(ステップS902)。このメニュー画面において、DIFF測定、RET測定、CBC測定の選択を受け付けること、測定開始指示及びシャットダウン指示を受け付けること等が可能である。本実施の形態1では上記メニュー画面においてDIFF測定が選択された場合について、以下説明する。
【0058】
演算表示装置2のCPU21は、測定開始指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS903)、CPU21が、測定開始指示を受け付けていないと判断した場合(ステップS903:NO)、CPU21は、後述のステップS904乃至ステップS911をスキップする。CPU21が、測定開始指示を受け付けたと判断した場合(ステップS903:YES)、CPU21は、測定開始を示す指示情報を測定装置1へ送信する(ステップS904)。測定装置1の制御部91は、測定開始を示す指示情報を受信したか否かを判断し(ステップS915)、制御部91が、測定開始を示す指示情報を受信したと判断した場合(ステップS915:YES)、制御部91は、血液を収容している容器に貼付されているバーコードラベル(図示せず)をバーコードリーダ(図示せず)に読み取らせ、血液の識別情報(試料ID)を取得する(ステップS916)。制御部91が、測定開始を示す指示情報を受信していないと判断した場合(ステップS915:NO)、制御部91は、ステップS916乃至ステップS920をスキップする。
【0059】
制御部91は、取得した識別情報(試料ID)を演算表示装置2へ送信し(ステップS917)、演算表示装置2のCPU21は、識別情報(試料ID)を受信したか否かを判断する(ステップS905)。CPU21が、識別情報(試料ID)を受信していないと判断した場合(ステップS905:NO)、CPU21は、受信の待ち状態となる。CPU21が、識別情報(試料ID)を受信したと判断した場合(ステップS905:YES)、CPU21は、記憶装置23の患者情報記憶部232を照会して患者情報を取得し(ステップS906)、患者情報を測定装置1へ送信する(ステップS907)。
【0060】
次に、測定装置1の制御部91は、患者情報を受信したか否かを判断し(ステップS918)、制御部91が、受信していないと判断した場合(ステップS918:NO)、制御部91は、受信待ち状態となる。制御部91が、受信したと判断した場合(ステップS918:YES)、制御部91は、測定試料を調製するよう試料調製部41を制御した後、測定試料の測定を開始する(ステップS919)。具体的には、DIFF測定を実行し、検出部5及びアナログ処理部6を介して側方散乱光及び側方蛍光の受光強度に相当する電気信号が制御基板部9へ出力される。制御基板部9のA/D変換部92は、取得したアナログ信号を12ビットのデジタル信号に変換し、演算部93は、A/D変換部92から出力されたデジタル信号に所定の処理を施して制御部91へ渡す。制御部91は、受け取った12ビットの整数列情報を測定データとして、演算表示装置2へ送信する(ステップS920)。
【0061】
演算表示装置2のCPU21は、測定データを受信したか否かを判断し(ステップS908)、CPU21が、測定データを受信したと判断した場合(ステップS908:YES)、CPU21は、受信した測定データに基づいて解析処理を実行する(ステップS909)。CPU21が、測定データを受信していないと判断した場合(ステップS908:NO)、CPU21は、受信待ち状態となる。
【0062】
図10は、本発明の実施の形態1に係る演算表示装置2のCPU21の図9のステップS909で実行する解析処理手順を示すフローチャートである。図10において、演算表示装置2のCPU21は、測定装置1から取得した測定データ(12ビットの整数列情報)を8ビットの整数列情報へ縮小することにより第1の分類用データを生成して記憶し(ステップS1001)、一方で、測定装置1から取得した同じ12ビットの整数列情報に基づいて、ステップS1001で生成した第1の分類用データよりもデータ値の大きい8ビットの整数列情報である第2の分類用データを生成して記憶する(ステップS1002)。第1の分類用データは、成人血をベースに解析を行う場合に使用するデータであり、第2の分類用データは、小児血をベースに解析を行う場合に使用するデータである。すなわち、成人血と小児血とで血球の染料による染色度合いが小児血の方が低いため、成人血と同一の血球分類方法を用いて血液中の血球を分類するためには、小児血について取得した整数列情報を若干引き上げる必要があるからである。
【0063】
具体的には、CPU21は、第1の分類用データを生成する場合には、測定装置1から取得した12ビットの整数列情報をそのまま8ビットの整数列情報に縮小し、第2の分類用データを生成する場合には、12ビットの整数列情報を1.2倍してからその整数部分を8ビットの整数列情報に縮小する。このように、12ビットの整数列情報を1.2倍してから8ビットの整数列情報に縮小して小児血用の第2の分類用データを生成することにより、成人血用の第1の分類用データを単に1.2倍して第2の分類用データを生成する場合に比べて、整数値の連続性を維持する割合を高めることができる。
【0064】
図11は、測定データの演算処理結果の例示図である。すなわち、図11に示すように、測定データが9〜13の連続した整数値である場合に、これらの整数値を単に1.2倍した整数値では‘11’が欠落しており、連続した整数値とはなっていない。これでは、粒子を複数の種類に分類する場合に正確な計数結果を得ることができないおそれがある。
【0065】
一方、本実施の形態1では、分類処理に用いるビット数(8ビット)よりも大きなビット数(12ビット)を有する整数列情報として測定データを取得しておき、それを1.2倍してその整数部分を8ビットの整数列情報に縮小することにより小児血用の第2の分類用データを生成し、生成された第2の分類用データを用いて分類処理を実行するようにしてある。このようにすることで、整数値の連続性を維持する割合が高まる。すなわち、成人血用の第1の分類用データを生成する場合は12ビットの整数列情報を1/16倍するのに対して、小児血用の第2の分類用データを生成する場合は12ビットの整数列情報を1.2/16倍することになることから、1.2/16倍した場合に同じ整数値となる測定データの範囲が広がり、誤差が目立ちにくくなる。
【0066】
例えばN×N個(Nは自然数)の要素を持つ二次元分布データDnにおける各要素(X1、X2)(X1、X2=0、1、2、・・・)の度数をF(X1、X2)とし、二次元分布データDnをM×M個(Mは自然数)の要素を持つ二次元分布データDmに縮小する場合を考える。ただし、M<Nとする。
【0067】
N×N個の要素を持つ二次元分布データDnにおける各要素(X1、X2)は、分布データDmにおいて、式(1)に示す要素(U1、U2)(U1、U2=0、1、2、・・・、M)に対応する。ただし、式(1)において、Int(x)は、引数xの整数部分を表す関数とする。これは、例えば12ビットの測定データを8ビットに縮小する処理に相当する。
【0068】
(U1、U2)=(Int(X1×M/N)、Int(X2×M/N)
・・・ (1)
【0069】
次に、二次元分布データDm中の部分領域L×L個の要素を持つ二次元分布データDLをM×M個の要素を持つ二次元分布データに変換する場合(L<M<N)、分布データDnにおける各要素(X1、X2)(X1、X2=0、1、2、・・・、N×L/M)は、式(2)に示すように、分布データDmlにおける各要素(V1、V2)(V1、V2=0、1、2、・・・、M)に対応する。これは、8ビットのデータを略上方へシフトアップする処理に相当する。
【0070】
(V1、V2)=(Int(X1×M2 /(N×L)、Int(X2×M2 /(N×L)
・・・ (2)
【0071】
すなわち、式(1)の処理と同様の処理を、最初は部分領域L×L個の要素を持つ二次元分布データDLをN×N個の要素を持つ二次元分布データに変換し(拡大し)、続いてM×M個の要素を持つ二次元分布データに変換することにより、分布データDmlの各要素の度数が算出され、なめらかな分布データに変換することができる。
【0072】
図10に戻って、演算表示装置2のCPU21は、生成した第1の分類用データに基づいて白血球の分類処理を実行し(ステップS1003)、分類されたリンパ球、単球、好酸球、好中球、好塩基球等の血球数を計数して(ステップS1004)、計数結果を記憶装置23に記憶する(ステップS1005)。CPU21は、図7に示すようなスキャッタグラムも作成し、白血球の分類結果として、計数結果とスキャッタグラムとを表示装置25に表示して(ステップS1006)、処理を図9のステップS910へ戻す。使用者は表示装置25に表示されたスキャッタグラムを視覚的に確認し、例えば、事前に想定している分布領域より下方にサンプリング値が分布しているか否かを確認することができる。そして、使用者は、サンプリング値が下方に分布している場合には、解析された血液が小児血であったために解析不良が生じたと判断して、小児血ベースの再解析処理を実行する実行指示を入力することができる。
【0073】
図9に戻って、演算表示装置2のCPU21は、使用者からの再解析の実行指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS910)、CPU21が、再解析の実行指示を受け付けたと判断した場合(ステップS910:YES)、CPU21は、再解析処理を実行する(ステップS911)。具体的には、表示装置25にて分類結果が表示されている画面のツールバーに「再解析」ボタンが設けられており、CPU21は、使用者によりその「再解析」ボタンが選択された場合に再解析指示を受け付ける。
【0074】
図12は、本発明の実施の形態1に係る演算表示装置2のCPU21の図9のステップS911で実行する再解析処理手順を示すフローチャートである。図12において、演算表示装置2のCPU21は、小児血ベースで再解析を実行するか否かを判断する(ステップS1201)。演算表示装置2においては、成人血ベースで得られた分類結果を小児血ベースで再解析する再解析指示を行うことができるだけでなく、小児血ベースで得られた分類結果を成人血ベースで再解析する再解析指示を行うこともできる。そのため、CPU21は、ステップS1201において、小児血ベースで再解析を実行するか否か、すなわち、成人血ベースで得られた分類結果に対して小児血ベースで再解析をする再解析指示をステップS910において使用者から受け付けたか否かを判断し、CPU21が、小児血をベースに再解析を実行すると判断した場合(ステップS1201:YES)、CPU21は、第2の分類用データを記憶装置23から読み出す(ステップS1202)。
【0075】
CPU21が、小児血をベースに再解析を実行しないと判断した場合(ステップS1201:NO)、CPU21は、第1の分類用データを記憶装置23から読み出す(ステップS1203)。CPU21は、読み出した第1の分類用データ又は第2の分類用データに基づく分類処理を実行し(ステップS1204)、分類されたリンパ球、単球、好酸球、好中球、好塩基球の血球数を計数する(ステップS1205)。CPU21は、計数結果を記憶装置23に記憶し(ステップS1206)、分類結果を表示装置25に表示して(ステップS1207)、処理を図9のステップS912へ戻す。
【0076】
図9に戻って、演算表示装置2のCPU21は、シャットダウン指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS912)、CPU21が、シャットダウン指示を受け付けていないと判断した場合(ステップS912:NO)、CPU21は、処理をステップS903へ戻し、上述した処理を繰り返す。CPU21が、シャットダウン指示を受け付けたと判断した場合(ステップS912:YES)、CPU21は、シャットダウンの指示情報を測定装置1へ送信する(ステップS913)。
【0077】
測定装置1の制御部91は、シャットダウンの指示情報を受信したか否かを判断し(ステップS921)、制御部91が、シャットダウンの指示情報を受信していない場合(ステップS921:NO)、制御部91は、処理をステップS915へ戻し、上述した処理を繰り返す。制御部91が、シャットダウンの指示情報を受信したと判断した場合(ステップS921:YES)、制御部91は、シャットダウンを実行して(ステップS922)、処理を終了する。
【0078】
以上のように本実施の形態1によれば、動物種が異なる、年齢が異なる、性別が異なる等の相違が存在する場合であっても、共通の解析プログラムにて解析することができ、様々な解析プログラムを開発するために要する多大なコストと時間とを節約することが可能となる。
【0079】
なお、上述した実施の形態1では、使用者から再解析の指示がなされる前に、成人血用の第1の分類用データと小児血用の第2の分類用データを生成して記憶しているが、分類結果を参照して、使用者から小児血ベースでの再解析の指示がなされるまで、小児血用の第2の分類用データを生成せず、指示がなされた時点で生成するものであっても良い。
【0080】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る試料分析装置について、図面に基づいて具体的に説明する。本発明の実施の形態2に係る試料分析装置の構成は実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。本実施の形態2は、縮小率の互いに異なる複数の分類用データ及びそれぞれの分類用データに基づく分類結果を記憶しておき、いずれかの分類用データを選択することで、分類結果を表示する点で実施の形態1と相違する。
【0081】
図13は、本発明の実施の形態2に係る測定装置1の制御基板部9の制御部91及び演算表示装置2のCPU21の処理手順を示すフローチャートである。測定装置1の制御部91は、測定装置1が起動されたことを検知した場合、初期化を実行し(ステップS1315)、測定装置1各部の動作チェックを行う。また、演算表示装置2のCPU21も、演算表示装置2が起動されたことを検知した場合、初期化(プログラムの初期化)を実行し(ステップS1301)、表示装置25にメニュー画面を表示する(ステップS1302)。このメニュー画面において、DIFF測定、RET測定、CBC測定の選択を受け付けたり、測定開始指示およびシャットダウン指示を受け付けたりすることが可能である。本実施の形態2では上記メニュー画面においてDIFF測定が選択された場合について、以下説明する。
【0082】
演算表示装置2のCPU21は、測定開始指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS1303)、CPU21が、測定開始指示を受け付けていないと判断した場合(ステップS1303:NO)、CPU21は、後述するステップS1304乃至ステップS1312をスキップする。CPU21が、測定開始指示を受け付けたと判断した場合(ステップS1303:YES)、CPU21は、測定開始を示す指示情報を測定装置1へ送信する(ステップS1304)。測定装置1の制御部91は、測定開始を示す指示情報を受信したか否かを判断し(ステップS1316)、制御部91が、測定開始を示す指示情報を受信したと判断した場合(ステップS1316:YES)、制御部91は、血液を収容している容器に貼付されているバーコードラベル(図示せず)をバーコードリーダ(図示せず)に読み取らせ、血液の識別情報(試料ID)を取得する(ステップS1317)。制御部91が、測定開始を示す指示情報を受信していないと判断した場合(ステップS1316:NO)、制御部91は、ステップS1317乃至ステップS1321をスキップする。
【0083】
制御部91は、取得した識別情報(試料ID)を演算表示装置2へ送信し(ステップS1318)、演算表示装置2のCPU21は、識別情報(試料ID)を受信したか否かを判断する(ステップS1305)。CPU21が、識別情報(試料ID)を受信していないと判断した場合(ステップS1305:NO)、CPU21は、受信の待ち状態となる。CPU21が、識別情報(試料ID)を受信したと判断した場合(ステップS1305:YES)、CPU21は、記憶装置23の患者情報記憶部232を照会して患者情報を取得し(ステップS1306)、患者情報を測定装置1へ送信する(ステップS1307)。
【0084】
次に、測定装置1の制御部91は、患者情報を受信したか否かを判断し(ステップS1319)、制御部91が、受信していないと判断した場合(ステップS1319:NO)、制御部91は、受信待ち状態となる。制御部91が、受信したと判断した場合(ステップS1319:YES)、制御部91は、測定試料を調製するよう試料調製部41を制御した後、測定試料の測定を開始する(ステップS1320)。具体的には、DIFF測定を実行し、検出部5及びアナログ処理部6を介して側方散乱光及び側方蛍光の受光強度に相当する電気信号が制御基板部9へ出力される。制御基板部9のA/D変換部92は、取得したアナログ信号を12ビットのデジタル信号に変換し、演算部93は、A/D変換部92から出力されたデジタル信号に所定の処理を施して制御部91へ渡す。制御部91は、受け取った12ビットの整数列情報を測定データとして、演算表示装置2へ送信する(ステップS1321)。
【0085】
演算表示装置2のCPU21は、測定データを受信したか否かを判断し(ステップS1308)、CPU21が、測定データを受信したと判断した場合(ステップS1308:YES)、CPU21は、受信した測定データに基づいて解析処理を実行する(ステップS1309)。CPU21が、測定データを受信していないと判断した場合(ステップS1308:NO)、CPU21は、受信待ち状態となる。
【0086】
図14は、本発明の実施の形態2に係る演算表示装置2のCPU21の図13のステップS1309で実行する解析処理手順を示すフローチャートである。図14において、演算表示装置2のCPU21は、カウンタnを初期値1に設定し(ステップS1401)、測定装置1から取得した測定データ(12ビットの整数列情報)を8ビットの整数列情報へ縮小することにより第n分類用データを生成して記憶する(ステップS1402)。
【0087】
CPU21は、nが所定数より大きいか否かを判断し(ステップS1403)、CPU21が、nが所定数以下であると判断した場合(ステップS1403:NO)、CPU21は、nを1インクリメントし(ステップS1404)、測定データの縮小率を変更して(ステップS1405)、処理をステップS1402へ戻して上述した処理を繰り返す。CPU21が、nが所定数より大きいと判断した場合(ステップS1403:YES)、CPU21は、第1〜第n分類用データを用いた分類処理をそれぞれ実行し(ステップS1406)、分類結果をそれぞれ記憶装置23に記憶する(ステップS1407)。
【0088】
具体的には、CPU21が分類用データを生成する場合には、測定装置1から取得した12ビットの整数列情報を所定の縮小率で縮小する。例えば8ビットの整数列情報に縮小しても良いし、10ビットの整数列情報に縮小しても良いし、任意の縮小率を選択しても良い。
【0089】
また本実施の形態2では、分類用データとして用いるビット数(8ビット)よりも大きなビット数(12ビット)を有する整数列情報として測定データを取得しておき、それを任意の縮小率で縮小することにより、様々な縮小率での複数の分類用データを生成する。このようにすることで、整数値の連続性を維持する割合が高まる。例えば成人血用の第1の分類用データを生成する場合は12ビットの整数列情報を1/16倍するのに対して、小児血用の第2の分類用データを生成する場合は12ビットの整数列情報を1.2/16倍することになることから、1.2/16倍した場合に同じ整数値となる測定データの範囲が広がり、誤差が目立ちにくくなる。
【0090】
CPU21は、記憶装置23に記憶されている複数の分類用データから一の分類用データを選択して(ステップS1408)、選択された分類用データを記憶装置23から読み出して、リンパ球、単球、好酸球、好中球、好塩基球等の血球数を計数し(ステップS1409)、計数結果を記憶装置23に記憶する(ステップS1410)。CPU21は、図7に示すようなスキャッタグラムも作成し、白血球の分類結果として、計数結果とスキャッタグラムとを表示装置25に表示して(ステップS1411)、処理を図13のステップS1310へ戻す。使用者は表示装置25に表示されたスキャッタグラムを視覚的に確認することができる。そして、使用者は、サンプリング値の分布状態に応じて、再分類処理を実行する実行指示を入力することができる。
【0091】
次に、図14のステップS1408に示す分類用データの選択処理について処理手順を説明する。図15は、本発明の実施の形態2に係る演算表示装置2のCPU21の分類用データの選択処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施の形態2に係る試料分析装置では、図14に示す所定数が3に設定されているものとする。
【0092】
演算処理装置2のCPU21は、測定装置1から受信した患者情報に含まれる年齢情報に基づいて、被検者が小児であるか否かを判断する(ステップS1501)。ここで、「小児」とは新生児を意味しても良いし、乳児を意味しても良いし、幼児を意味しても良い。「小児」であるか否かは本実施の形態2に係る試料分析装置の使用者が任意に設定することができ、所定年齢以下の被検者だけでなく、例えば小児科や産婦人科に通院している被検者を「小児」としても良いし、小学校入学前の子供を「小児」としても良い。また、試料分析装置を製造する製造業者が「小児」の範囲を設定しても良い。CPU21が、被検者が小児であると判断した場合(ステップS1501:YES)、CPU21は、第2の検出感度で得られた特徴情報に基づく第2の分類用データを選択し(ステップS1502)、処理をステップS1409へ戻す。
【0093】
CPU21が、被検者が小児でないと判断した場合(ステップS1501:NO)、CPU21は、第1乃至第3の各分類用データについて、リンパ球、単球、好酸球、好中球、好塩基球等のサンプリング値の集合領域が重なり合っている領域、例えば図7における領域A(以下、「重なり領域」と略す)に含まれる粒子を計数して、RAM22に記憶する(ステップS1503)。重なり領域の粒子数が少ない場合には良好に血球の分類処理が行われていると考えられるため、CPU21は、重なり領域の粒子数が最も少ない分類用データを選択する。すなわちCPU21は、まず、第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)以下であるか否かを判断する(ステップS1504)。
【0094】
CPU21が、第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)以下であると判断した場合(ステップS1504:YES)、CPU21は、第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)以下であるか否かを判断する(ステップS1505)。
【0095】
CPU21が、第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)以下であると判断した場合(ステップS1505:YES)、CPU21は、第1の分類用データを選択し(ステップS1506)、処理をステップS1409へ戻す。
【0096】
CPU21が、第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)より大きいと判断した場合(ステップS1504:NO)、又は第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)より大きいと判断した場合(ステップS1505:NO)、CPU21は、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)以下であるか否かを判断する(ステップS1507)。
【0097】
CPU21が、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)以下であると判断した場合(ステップS1507:YES)、CPU21は、第2の分類用データを選択して(ステップS1502)、処理をステップS1409へ戻す。CPU21が、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)より大きいと判断した場合(ステップS1507:NO)、CPU21は、第3の分類用データを選択して(ステップS1508)、処理をステップS1409へ戻す。
【0098】
なお、分類用データを選択する方法は、特に限定されるものではないが、例えばリンパ球、単球、好酸球、好中球、好塩基球等のサンプリング値の集合領域の重なり具合、出現位置等に基づいてCPU21が選択する。具体的には、(1)集合領域が重なり合っている領域に含まれる粒子数の大小により選択する、(2)集合領域の代表値と、事前に想定されている各領域の代表値との距離の大小により選択する、(3)集合領域と、事前に想定されている各領域との相対位置により選択する、(4)集合領域の面積と、事前に想定されている各領域の面積との大小により選択する等の方法を組み合わせることにより選択する。
【0099】
図13に戻って、演算表示装置2のCPU21は、使用者からの再分類処理の実行指示である再分類指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS1311)、CPU21が、再分類指示を受け付けたと判断した場合(ステップS1310:YES)、CPU21は、他の分類用データの選択を受け付け(ステップS1311)、選択を受け付けた分類用データに基づいて計数処理を実行する(ステップS1312)。
【0100】
図16は、本発明の実施の形態2に係る演算表示装置2の表示装置25の分類結果を表示する画面の例示図である。図16では、図14におけるnが3である場合、すなわち縮小率の互いに相違する3種類の分類用データが生成された場合の、各分類用データに基づく分類結果が表示されている。CPU21が選択した分類用データを用いた場合の分類結果が主結果表示領域211に表示され、他の分類用データを用いた場合の分類結果が副結果表示領域212、213に表示されている。
【0101】
再分類指示は、使用者により再分類を希望する分類用データに基づく分類結果を表示している副結果表示領域212、213のいずれかをマウス等で選択することにより行われる。例えば副結果表示領域212が選択された場合には、副結果表示領域212と主結果表示領域211との表示内容が入れ替わり、計数処理が実行される。
【0102】
図13に戻って、演算表示装置2のCPU21は、シャットダウン指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS1313)、CPU21が、シャットダウン指示を受け付けていないと判断した場合(ステップS1313:NO)、CPU21は、処理をステップS1303へ戻し、上述した処理を繰り返す。CPU21が、シャットダウン指示を受け付けたと判断した場合(ステップS1313:YES)、CPU21は、シャットダウンの指示情報を測定装置1へ送信する(ステップS1314)。
【0103】
測定装置1の制御部91は、シャットダウンの指示情報を受信したか否かを判断し(ステップS1322)、制御部91が、シャットダウンの指示情報を受信していない場合(ステップS1322:NO)、制御部91は、処理をステップS1316へ戻し、上述した処理を繰り返す。制御部91が、シャットダウンの指示情報を受信したと判断した場合(ステップS1322:YES)、制御部91は、シャットダウンを実行して(ステップS1323)、処理を終了する。
【0104】
以上のように本実施の形態2によれば、事前に縮小率の互いに相違する複数の分類用データを生成しておき、試料に応じて最適な分類用データを選択することにより、動物種が異なる、年齢が異なる、性別が異なる等の相違が存在する場合であっても、最適な分類用データを用いて計数処理を実行することができ、試料分析精度の向上を図ることが可能となる。
【0105】
なお、上述した実施の形態1及び2では、試料として血液を用い、血液に含まれている血球を分析する血球分析装置を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、尿中細胞のような生体粒子を含む試料を分析する試料分析装置に適用した場合であっても同様の効果が期待できる。さらに、上述の実施の形態1及び2では、分析結果を演算表示装置2の表示装置25で表示しているが、特に限定されるものではなく、ネットワークを介して接続されている他のコンピュータが有している表示装置に表示させるものであっても良い。
【0106】
また、上述した実施の形態1及び2では、測定装置1から測定データとして12ビットの整数列情報を取得し、その12ビットの整数列情報を8ビットの整数列情報に縮小することにより複数の分類用データを生成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、測定装置1から16ビットの整数列情報を取得してもよいし、10ビットの縮小データを生成してもよい。また、上記の測定データ、分類用データは整数列情報でなくても良い。
【0107】
また、上述した実施の形態1では、成人血用の第1の分類用データを生成する場合には、測定装置1から取得した12ビットの整数列情報をそのまま8ビットの整数列情報に縮小し、小児血用の第2の分類用データを生成する場合には、上記12ビットの整数列情報を1.2倍してからその整数部分を8ビットの整数列情報に縮小しているが、本発明はこれに限らず、測定装置1から測定データとして8ビットの整数列情報を取得し、成人血中の血球の分類処理を行う場合には、測定装置1から取得した8ビットの整数列情報をそのまま利用し、小児血中の血球の分類処理を行う場合には、測定装置1から取得した8ビットの整数列情報を1.2倍することにより得られた整数列情報を利用しても良い。
【0108】
また、上述した実施の形態1及び2では、複数の分類用データを生成し、それらのいずれかに基づいて血球の分類処理を行っているため、例えば巨核球を含む血液を分析する場合にも適用することができる。巨核球は細胞が大きく多核であるため、巨核球は染色液により染色されやすい性質を有している。そのため、巨核球を含む血液をフローサイトメータで測定して、図7に示すような側方蛍光強度をパラメータの1つとする二次元スキャッタグラムを作成した場合、巨核球はスキャッタグラムの上限位置に集約してしまうため、血液中の血球から良好に巨核球を分類できない場合がある。このような場合に、巨核球の分類に用いられる分類用データとして、例えば実施の形態1の第1の分類用データよりも大きさが縮小された整数列情報を有する第3分類用データを生成することができる。生成された第3分類用データに基づいて図7に示すようなスキャッタグラムを作成した場合、スキャッタグラムの上限位置に集約していた巨核球が下方にシフトし、巨核球の分類に適した領域に位置することになる。そのため、生成された第3分類用データに基づいて分類処理を行えば、良好に巨核球を分類できる場合がある。

【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る試料調製部の構成を模式的に説明するブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る検出部及びアナログ処理部の構成を模式的に説明するブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の演算表示装置の構成を示すブロック図である。
【図6】患者情報記憶部のデータ構成の例示図である。
【図7】白血球分類測定(DIFF測定)時のスキャッタグラムの例示図である。
【図8】DIFF測定時のスキャッタグラムのリンパ球の分布領域とサンプリング値との関係の例示図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る測定装置の制御基板部の制御部及び演算表示装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態1に係る演算表示装置のCPUの解析処理手順を示すフローチャートである。
【図11】測定データの演算処理結果の例示図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る演算表示装置のCPUの再解析処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態2に係る測定装置の制御基板部の制御部及び演算表示装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態2に係る演算表示装置のCPUの解析処理手順を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態2に係る演算表示装置のCPUの分類用データの選択処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態2に係る演算表示装置の表示装置の分類結果を表示する画面の例示図である。
【符号の説明】
【0110】
1 測定装置
2 演算表示装置
4 装置機構部
5 検出部
6 アナログ処理部
9 制御基板部
21 CPU
22 RAM
23 記憶装置
24 入力装置
25 表示装置
26 出力装置
27 通信インタフェース
28 内部バス
91 制御部
92 A/D変換部
93 演算部
231 コンピュータプログラム
232 患者情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の種類の粒子を含む試料を分析する試料分析装置において、
複数の粒子の特徴を示す所定のビット数に量子化された量子化情報を取得する量子化情報取得手段と、
取得した前記量子化情報から、試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる第1の分類用データを生成する第1生成手段と、
取得した前記量子化情報から、試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる第1の分類用データとは異なる第2の分類用データを生成する第2生成手段と、
試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる分類条件を記憶する分類条件記憶部と、
前記第1の分類用データ及び前記第2の分類用データのいずれか1つと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類する分類手段と
を備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項2】
前記第1の分類用データのビット数と前記第2の分類用データのビット数とが同一であり、前記ビット数は、前記量子化情報取得手段にて取得した量子化情報の所定のビット数よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の試料分析装置。
【請求項3】
前記第1生成手段は、前記量子化情報取得手段にて取得した量子化情報を所定のビット数のデータに変換することにより前記第1の分類用データを生成し、
前記第2生成手段は、前記量子化情報取得手段にて取得した量子化情報を所定の倍率で拡大してから、前記所定のビット数のデータに変換することにより前記第2の分類用データを生成することを特徴とする請求項2記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記量子化情報取得手段が前記量子化情報を取得した場合、前記第1生成手段は、前記第1の分類用データを生成し、前記第2生成手段は、前記第2の分類用データを生成し、
前記試料中の粒子の分類を前記第2の分類用データに基づいて実行する旨の指示情報を受け付ける分類指示受付手段をさらに備え、
前記分類手段は、前記第1の分類用データが生成された場合、該第1の分類用データと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を分類し、前記分類指示受付手段で前記指示情報を受け付けた場合、前記第2の分類用データと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を分類することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項5】
前記量子化情報取得手段が前記量子化情報を取得した場合、前記第1生成手段は、前記第1の分類用データを生成し、
前記分類手段は、前記第1の分類用データが生成された場合、該第1の分類用データと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を分類し、
前記試料中の粒子の分類を前記第2の分類用データに基づいて実行する旨の指示情報を受け付ける分類指示受付手段をさらに備え、
前記第2生成手段は、前記分類指示受付手段で前記指示情報を受け付けた場合、前記第2の分類用データを生成し、
前記分類手段は、前記第2の分類用データが生成された場合、該第2の分類用データと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を分類することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項6】
前記第1の分類用データ及び前記第2の分類用データのいずれか1つに基づいて、前記試料中の粒子の分布状態を示す分布図データを作成する分布図作成手段と、
作成された分布図データを表示する表示手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項7】
前記量子化情報取得手段が前記量子化情報を取得した場合、前記第1生成手段は、前記第1の分類用データを生成し、前記第2生成手段は、前記第2の分類用データを生成し、
前記分類手段は、前記第1の分類用データが生成された場合、該第1の分類用データと前記分類条件とに基づいて第1分類結果を取得し、前記第2の分類用データが生成された場合、該第2の分類用データと前記分類条件とに基づいて第2分類結果を取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項8】
前記量子化情報取得手段は、第1の量子化情報及び第2の量子化情報を取得し、
前記第1の分類用データ及び前記第2の分類用データは、前記第1の量子化情報及び前記第2の量子化情報に基づく二次元の分類用データであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項9】
前記第1の量子化情報は、前記試料の蛍光強度に関する情報であり、
前記第2の量子化情報は、前記試料の散乱光強度に関する情報であることを特徴とする請求項8記載の試料分析装置。
【請求項10】
前記試料は血液であり、
前記第1の分類用データは、成人血に含まれる粒子を分類するための分類用データであり、
前記第2の分類用データは、小児血に含まれる粒子を分類するための分類用データであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項11】
前記量子化情報、前記第1の分類用データ及び前記第2の分類用データは、整数列情報であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項12】
複数の種類の粒子を含む試料を分析する試料分析装置において、
複数の粒子の特徴を示す所定のビット数に量子化された第1の量子化情報を取得する第1量子化情報取得手段と、
取得した前記第1の量子化情報を所定の倍率で拡大することにより第2の量子化情報を取得する第2量子化情報取得手段と、
試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる分類条件を記憶する分類条件記憶部と、
前記第1の量子化情報及び前記第2の量子化情報のいずれか1つと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類する分類手段と
を備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項13】
複数の種類の粒子を含む試料を分析する試料分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記試料分析装置を、
複数の粒子の特徴を示す所定のビット数に量子化された量子化情報を取得する量子化情報取得手段、
取得した前記量子化情報から、試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる第1の分類用データを生成する第1生成手段、
取得した前記量子化情報から、試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するために用いられる第1の分類用データとは異なる第2の分類用データを生成する第2生成手段、
試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類するための所定の分類条件を記憶する分類条件記憶手段、及び
前記第1の分類用データ及び前記第2の分類用データのいずれか1つと前記分類条件とに基づいて試料中の粒子を複数の種類の粒子に分類する分類手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−243978(P2009−243978A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88827(P2008−88827)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】