説明

試験装置の高精度同期化

真のGPS時刻とCDMA信号の到着時刻との間の遅延を決定するために、GPS受信機は、真のGPS時刻にロックされる第1の基準信号を発生し、この信号をCDMA基地局試験装置に印加する。CDMA基地局試験装置はCDMA信号を受信し、第1の基準信号をサンプルするために使用される内部同期クロックの遷移と実質的に同時に生じる遷移を有する第2の基準信号を発生する。CDMA基地局試験装置は、第2の基準信号とCDMA信号との間の遅延を供給する。周波数/時間カウンターは、第1の基準信号と第2の基準信号との間の遅延を供給する。CDMA基地局試験装置により供給される遅延と周波数/時間カウンターにより供給される遅延の合計は、GPS時刻とCDMA信号との間の遅延を表す。

【発明の詳細な説明】
【関連出願のクロスリファレンス】
【0001】
[0001]この出願は、2003年12月8日に出願された、「試験装置の高精度同期化」というタイトルの米国仮出願第60/527,989号の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
この出願の開示は、2つの信号の間の時間遅延を測定することに関し、特に、従来の試験装置を用いて、真のGPS時刻とCDMA信号の到着時刻との間の遅延を測定することに関する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話のような移動無線装置の位置をつきとめるための要望が増えている。例えば、連邦通信委員会(FCC)による指令は、自分の携帯電話で911をダイアルする通話者の位置が911通話が受信されるときに400フィートの精度で識別されることを要求している。移動無線装置の位置を決定するための広範囲に知られた方法は、全地球測位システム(GPS)から得た情報を使用することである。
【0004】
GPSはキャリアバンド上で変調された擬似ランダム雑音(PRN)コードをブロードキャストする衛星のネットワークによって形成された衛星ベースのナビゲーションシステムである。GPS衛星は、モバイルGPS受信機がその位置を推定する信号を送信する。各GPS衛星は、2つのキャリア信号を用いて信号を送信する。第1のキャリア信号は、2つのPRNコード、すなわち粗取得(C/A)コードおよび正確な(P)コードを用いて変調される。各GPS衛星は、異なるPRNコードを用いてGPSの他の衛星からのPRNコードを区別する。
【0005】
GPS受信機のロケーションを決定するために、少なくとも4つの衛星信号の獲得と追跡が必要である。GPS信号獲得は、しばしば種々の位相オフセットおよびドップラーシフト周波数で関連する衛星の受信されたGPS信号とC/Aコードとの間の相関を計算することを含む。信号獲得に続いて、信号追跡プロセスは、種々の位相オフセットおよびドップラーシフトされた周波数で、識別された衛星からの信号をデコードする。信号追跡フェーズ(phase)の期間中に、ナビゲーションデータは識別された衛星から受信される。GPS衛星により送信されたナビゲーションデータに埋め込まれているのは、一般に衛星の軌道データと呼ばれる衛星の位置決め並びにクロックタイミング(すなわち、タイムスタンプ)である。衛星の軌道データからGPS受信機の位置が検出される。GPS受信機のロケーションを検出するためにGPS信号を獲得して追跡し、衛星の軌道データを読むための多くの技術が開発された。
【0006】
しかしながら、GPSベースの位置検出システムは、多くの不都合を有する。そのような不都合の1つは、GPS受信機は、その位置を正確に検出させるために少なくとも4つのGPS衛星の明瞭で遮るもののない視野を持たなければならないことである。それゆえ、例えば、GPS受信機のユーザーが森林の多い領域または高層建築物を含む領域にいるなら、ユーザーは、その位置を検出することができる必要数の衛星の遮られた視野を持たないかもしれない。ユーザーが屋内にいれば、その問題はさらに複雑になるかもしれない。
【0007】
4つの衛星より少ない衛星が明瞭な視野にあるとき無線受信機の位置を検出するために、地上局により送信されたCDMA信号を使用するアルゴリズムが開発された。無線装置と基地局との間の通信は、しばしばフォワードリンクとリバースリンクにより確立される。フォワードリンクを介して信号は基地局から無線装置に送信され、リバースリンクを介して無線装置からの信号が基地局に送信される。地上局を用いて移動無線装置の位置を検出するために開発された1つの知られたアルゴリズムはアドバンストフォワードリンク三辺測量(AFLT)と呼ばれる。AFLTを用いて移動無線装置の位置を検出するために、無線ネットワーク内に配置された基地局のロケーションと、基地局からの信号の送信時刻と並びに移動無線装置における信号の到着時刻が必要である。
【0008】
基地局におけるフロントエンド処理遅延はしばしばGPS衛星送信機における遅延と異なる。従って、移動無線装置の位置を検出するためにCDMA信号とGPS信号が一緒に使用されるなら、対応するCDMA信号の到着の時刻とGPS信号との間の差異が対処される必要がある。基地局により送信されたCDMA信号は典型的に対応するGPS信号の10マイクロ秒以内に同期化する必要がある。
【0009】
CDMA信号とGPS信号の両方を用いた正確な位置決定のために、CDMA信号とGPS信号の送信間の時間遅延を知らなければならない。そのようなタイミング遅延は、従来の容易に入手可能な装置を用いて、CDMA基地局校正フェーズの期間に測定される。典型的な市販の試験装置はしばしばほぼ10MHz乃至20MHz(すなわち50nsec乃至100nsec間の期間)の間の周波数を持つタイミング同期化クロックを使用している。それゆえ、これらの装置により成された各々のそのような遅延測定はほぼ50−100nsecの分解能を有し、従って、不正確な位置決定測定につながる。
【0010】
従って、タイミング同期化のためにほぼ10−20MHzクロックを使用する従来の市販の試験装置を使用し、相対的により高い精度で対応するCDMA信号とGPS信号との間の遅延が測定されることを可能にさせるための技術の必要性がある。
【発明の概要】
【0011】
この開示の一実施形態に従って、真のGPS時刻とCDMA信号の到着時刻との間の遅延を決定するために、GPS受信機は、アンテナを介してGPS信号を受信し、真のGPS時刻にロックされた第1の基準信号を発生する。第1の基準信号は、アンテナを介してCDMA信号も受信するCDMA基地局試験装置に印加される。これに応答して、CDMA基地局試験装置は、第1の基準信号をサンプルするために使用される内部同期化クロックの遷移に実質的に同時に生じる遷移を有する第2の基準信号を発生する。CDMA基地局試験装置は、第2の基準信号とCDMA信号との間の遅延を供給する。周波数/時間カウンターは、第1の基準信号と第2の基準信号を受信し、これらの2つの信号間の遅延を供給する。CDMA基地局試験装置により供給される第2の基準信号とCDMA信号との間の遅延と、時間/周波数カウンターにより供給される第1の基準信号と第2の基準信号との間の遅延の合計は、真のGPS時刻とCDMA信号の到着時刻との間の遅延を表す。
【0012】
いくつかの実施形態において、GPS受信機は、郵便番号95131のカリフォルニア州、サンホセ市のオーチャートパークウエイ2300に所在するSymmetricom会社から入手可能である、Symmetricomモデル番号58503B GPS受信機である。これらの実施形態において、第1の基準信号は2秒の期間を有し、一般に偶数秒信号と呼ばれる。
【0013】
いくつかの実施形態において、CDMA基地局試験装置は、郵便番号94303のカリフォルニア州パロアルト、ページミルロード(Page Mill Road)395に所在するAglient会社から入手可能なAglientモデル番号E6380A CDMA基地局試験装置である。これらの実施形態において、第2の基準信号は1.2288MHzの周波数を有し、内部同期化クロックは、19.6608MHzの周波数を有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、周波数/時間カウンターは、郵便番号94304−1185、カリフォルニア州、パロアルト、ハノーバーストリートに所在するヒューレットパッカードから入手可能なヒューレットパッカードモデル53131A/53132A周波数/時間カウンターである。これらの実施形態において、周波数/時間カウンターは、測定された遅延を合計しこの合計をモニターに表示するようにプログラムしてもよいHP−IBインターフェースを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この開示の一実施形態に従って、真のGPS時刻とCDMA信号の到着時刻との間の遅延を決定するために、GPS受信機はアンテナを介してGPS信号を受信し、真のGPS時刻にロックされた第1の基準信号を発生する。第1の基準信号は、アンテナを介してCDMA信号をも受信するCDMA基地局試験装置に印加される。これに応答してCDMA基地局試験装置は、第2の基準信号を発生する。第2の基準信号は、第1の基準信号をサンプルするために使用される内部同期化クロックの遷移に実質的に同時に生じる遷移を有する。CDMA基地局試験装置は、第2の基準信号とCDMA信号との間の遅延を供給する。周波数/時間カウンターは、第1の基準信号と第2の基準信号を受信し、これらの2つの信号の間の遅延を供給する。CDMA基地局試験装置により供給される第2の基準信号とCDMA信号との間の遅延と、時間/周波数カウンターにより供給される第1の基準信号と第2の基準信号との間の遅延との合計は、真のGPS時間とCDMA信号の到着時間との間の遅延を表す。
【0016】
図1は、CDMA基地局送信機20に接続されたGPS受信機10の簡単化された高レベルブロック図である。GPS受信機10はGPS受信アンテナ15を介してGPS信号を受信し、CDMA基地局送信機20は、CDMA送信アンテナ25を介してCDMA信号を送信する。位置計算においてCDMA信号の到着時刻測定値を使用するために、CDMA信号が送信アンテナ25から送信される時刻は、GPS時刻に関連してかつ相対的に高い度合いの精度で知らなければならない。この時刻はフォワードリンクキャリブレーション値と呼ばれ、GPS時刻に関連する基地局20からのCDMA信号の送信のタイミングの測定値である。
【0017】
図1はまたフォワードリンクキャリブレーション値に寄与する時間遅延の種々のコンポーネントを示す。しばしば、フォワードリンクキャリブレーションの期間中に、以下にさらに記載されるこれらの遅延は、測定され機基地局アルマナック(almanac)に記録される。時間遅延T1は、GPS受信アンテナ15に関連するケーブル遅延を表す。時間遅延T2は、GPS受信機10のRF入力端末に印加される信号のGPS時間と、GPS受信機10により発生される基準信号との間の差を表す。時間遅延T2はしばしば相対的に小さく無視できる。従って考慮する必要はないかもしれない。時間遅延T3は、基地局送信機20にGPS受信機10により発生された基準信号を伝達するケーブルに関連する遅延を表す。時間遅延T4は、基地局送信機20に印加された基準入力信号と、基地局送信機20のRF出力端末に存在しているCDMAシステム時間との間の差を表す。時間遅延T5は、CDMA受信アンテナ25に関連するケーブル遅延を表す。
【0018】
当業者に知られているように、上述のフォワードリンクキャリブレーション値を決定するための多くの技術が存在する。いくつかの技術に従って、基地局装置へのアクセスが利用可能であるとき、この値に寄与する個々の遅延コンポーネントは、上述したように、測定してもよい。他の技術に従って、基地局へのアクセスが容易に利用可能でないとき、フォワードリンクキャリブレーション値に向けられた単一の測定値を作成してもよい。以下は、上述した遅延の個々のコンポーネントを測定する必要なしに基地局送信機20のキャリブレーションフェーズの期間中に成された測定の記載である。このキャリブレーション中に、真のGPS時刻に対するCDMAの送信時間が測定される。
【0019】
図2は、GPS時刻に対するCDMA信号の送信のタイミングを較正するために、この開示の一実施形態に従って、高分解能、例えば10nsecでGPS時刻とCDMA信号の到着時刻との間の遅延を測定するために使用される試験設備50の高レベルブロック図である。この例示実施形態において、試験設備50は、GPS受信機60、CDMA基地局試験装置70、および時間/周波数カウンター80を含むものとして示される。GPS受信機60、CDMA基地局試験装置70および時間/周波数カウンター80の各々は、一般的な市販のものであって多数のベンダーから商業的に入手可能な試験装置であってよい。いくつかの実施形態において、GPS受信機60は、郵便番号95131カリフォルニア州、オーチャードパークウエイ(Orchard Parkway)2300に所在するSymmetricom社から入手可能なSymmetricomモデル58503B GPS受信機であってもよい。CDMA基地局試験装置70は、郵便番号94303、カリフォルニア州、パロアルト、ページミルロード(Page Mill Road)395に所在するAgilent社から入手可能なAgilentモデルE6380Aであってもよい。周波数/時間カウンター80は、郵便番号94304−1185、カリフォルニア州、パロアルト、ハノーバーに所在するヒューレットパッカード社から入手可能な、ヒューレットパッカードモデル53131A/53132A周波数/時間カウンターであってもよい。しかしながら、相対的に高い分解能、例えば10nsecで真のGPS時刻と、CDMA信号の到着時刻との間の遅延を測定するために、この開示に従って、多くの他の商業的に利用可能な試験装置が使用されてもよいことが理解される。
【0020】
GPS受信機60は、GPS信号を受信するように適合したGPS受信アンテナ64を有する。GPS受信機60は、第1の出力端末OUT1に10MHzのタイミングクロック信号を発生し、第2の出力端末OUT2に偶数秒信号と一般的に呼ばれる基準信号REFを発生する。2秒毎に信号REF上に遷移が現れる。信号REFは受信されたGPS信号にロックされ、従ってGPS信号と固定のタイミング関係を維持する。信号CLKとREFの両方は、CDMA基地局試験装置70のそれぞれの入力端末INおよびIN2に印加される。CDMA基地局試験装置70は受信アンテナ74を有する。この受信アンテナを介してCDMA基地局試験装置70はCDMA信号を受信する。CDMA基地局試験装置70は、その出力端子OUTに基準信号REF2の一部を発生し、それが時間/周波数カウンター80の入力端末IN3に印加される。信号INT_CLKおよびREFはそれぞれ時間/周波数カウンター80の入力端末IN1およびIN2に印加される。CDMA基地局試験装置70および時間/周波数カウンター80もGPIBインターフェースを介して互いに接続される。10MHzタイミングクロック信号CLKは試験装置のすべてに対して共通のクロックを供給する。
【0021】
キャリブレーションフェーズの期間中に、GPS受信機60はユーザーの周知の位置で随意的にプログラムされ、また、ほぼ60分のセトリング(settling)時間を持つようにプログラムされる。これらの値のプログラミングは、標準シリアルポートを介して接続されたコンピューターで、ベンダーが供給したソフトウェアを用いて行ってもよい。これらの実施形態において、GPS受信機60はまた、ユーザーが60分のセトリング時間が不便であることを発見した場合に、信号REFと真のGPS時刻との間のタイミングエラーも出力するように構成されてもよい。
【0022】
CDMA基地局試験装置70が通信している基地局の種々の他のセクターにより送信される信号からの干渉を最小化したCDMA信号を受信するためにCDMA受信アンテナ74は随意的に指向性アンテナである。指向性アンテナ74はまた、他の基地局により送信された信号からの最小化された干渉を有するCDMA信号をCDMA基地局試験装置70が受信するとともに最小化されたマルチパス干渉を有する信号を受信することを可能にさせる。CDMAアンテナケーブルは、試験設備50の残りのものを移動する必要なくして、任意の与えられた基地局の各セクター内の種々の位置に、CDMA受信アンテナ74を移動することを可能にする長さを随意的に有する。
【0023】
AgilentE6380AのようなCDMA基地局試験装置70のいくつかの実施形態は、時間/周波数カウンター80により発生された出力結果を制御して読むとともに基地局試験装置70により発生された出力結果を制御し読むように構成されたソフトウェアを含む。Agilent6830Aからのソフトウェアは、また時間バイアスおよび種々の他のケーブル遅延のための補償を含む、基地局キャリブレーションの測定値も供給する。ソフトウェアはさらに、入力として、GPS受信アンテナケーブル62、CDMA受信アンテナケーブル72、およびGPS受信機60の出力端末OUT2をCDMA基地局試験装置70の入力端末IN2に接続するケーブル92に関連する遅延を受信するように構成されている。ケーブル94および96が等しい長さを持つように選択されるなら、これら2つのケーブルに関連する遅延は無視してもよい。
【0024】
図3は、基地局セクターキャリブレーションフェーズの期間中のGPS受信アンテナ64、CDMA受信アンテナ74および基地局送信アンテナ94の相対位置を示す。GPS受信アンテナ64は、地平線上の0度から90度にわたりかつ真北から0度乃至360度にわたる空の遮るものの無い視野を持つように構築される。空の遮るものの無い視野が得られないなら、Symmetricom58503Bの10度のデフォルトエレベーションマスク(default elevation mask)は、真北から0度乃至360度にわたる空の妨げられない視野を有する仰角に変更される。GPS受信アンテナ64のWGS−84楕円上の緯度、経度および高度は、異なるGPS受信機から随意的に得てもよい。キャリブレーションフェーズの期間におけるGPS受信アンテナ64の位置のために要求される精度は、例えば、真の位置の1メートル未満内である。指向性CDMA受信アンテナ74は、基地局送信アンテナ94に対して視野方向を持つように構築され、セクター方位の30度以内であることが推奨される。
【0025】
基地局送信アンテナ94のWGS−84楕円上の緯度、経度、および高度は、GPS受信アンテナの位置、および基地局送信アンテナ94に対するGPS受信アンテナの相対的な方位角、仰角、および距離から得られる。基地局送信アンテナ94の位置がキャリブレーションフェーズの期間中に得られる精度は、例えば、真の位置の1メートル未満内である。基地局送信アンテナ94に対するGPS受信アンテナ64の相対的な方位角、仰角、および距離は、レーザーサイトおよびコンパスを用いて得てもよい。上述したように、カップリングレーザーサイト/コンパスを備えた商業的に入手可能な差動GPS受信機を用いて基地局送信アンテナ94の位置を決定してもよい。CDMA受信アンテナ74と基地局送信アンテナ94との間の距離が決定される精度もまた例えば1メートルである。
【0026】
図4は、GPS時刻と、図2の試験設備50により発生されたCDMA信号の到着時刻との間の遅延を決定するために使用される信号のタイミング図を示す。上述するように、信号シングREFは2秒の期間を有し、真のGPS時刻にロックされる。図2からわかるように、信号REFはGPS受信機60により発生されCDMA基地局試験装置70に印加される。信号INT_CLKは、他のクロック(図示せず)を発生するために使用されるCDMA基地局試験装置内部の基準信号であり、CDMA基地局試験装置70を外部タイミングソースと同期させる。信号REF_INはCDMA基地局試験装置70内で内部的に発生される。図4に示されるように、信号INT_CLKが低から高への遷移104を行うと信号REF_INに遷移を生じる。それゆえ、信号REF_INは、例えば、信号REFをフリップフロップ(図示せず)のデータ入力端末に印加し、かつ信号INT_CLKをそのフリップフロップのクロック入力端末に印加することにより内部的に発生してもよい。信号REF_INはそのようなフリップフロップの出力信号である。従って、信号REF_INの遷移106は、信号REFの遷移100が信号INT_CLKの遷移102と104との間に現れる時刻に関係なく、信号INT_CLKの遷移104と同時に現れる。
【0027】
CDMA基地局試験装置70はそのCDMA受信アンテナ74を介してCDMA信号108を受信する。図4に示されるように、信号CDMAの遷移108により表されるCDMA信号の到着時刻と、信号REFの遷移100により表される真のGPS時刻との間の遅延T8は、遷移100と106との間の時間遅延T6と、遷移106と108との間の時間遅延T7を含む。CDMA基地局試験装置70のような従来の既製のCDMA基地局試験装置は、時間遅延T8遅延コンポーネントのうち遅延コンポーネントT7を供給するのみである。それゆえ、既製のCDMA基地局試験装置は遅延コンポーネントT6を考慮しない。遅延コンポーネントT6は、真のGPS時刻と信号INT_CLKとの間の関係に依存して変化する。信号INT_CLKはほぼ50nsecまたは100nsecの期間を有するので、遅延コンポーネントT6は、0乃至50nsecまたは0乃至100nsecまで変化してもよい。言い換えれば、GPS時刻と、CDMA基地局試験装置70により測定されるCDMA信号の到着時刻との間の遅延は、信号INT_CLKの周波数に応じて50nsecまたは100nsecまでだけずれていてもよい。
【0028】
この開示に従って、信号REFの遷移100と信号REF_INの遷移106との間の遅延コンポーネントT6は、以下に記載されるように測定され、時間遅延T8が測定される精度が改良される。AgilentE6380Aのような従来の既製のCDMA基地局試験装置は内部的に多数のクロック信号を発生する。信号REF_INとINT_CLKに対して同期しており、相対的に小さな時間遅延を有するそのような内部的に発生されるクロック信号の1つは図2および図4に信号REF2として示される、1.2288MHzクロック信号である。図4において、信号REF2の遷移100、信号REF_INの遷移106、および信号INT_CLKの遷移104は同時にそして実質的に同じ時間で生じる。それゆえ、遷移100と106との間の遅延は遷移100と遷移110との間の遅延と実質的に同じである。
【0029】
図2からわかるように、遷移100と110との間の時間遅延T6を測定するために、この開示に従って、信号REFとREF2は時間/周波数カウンター80に印加される。上述した時間/周波数カウンター80は、ヒューレットパッカードモデル53131A/53132A時間/周波数カウンターであってもよく、時間遅延T6を測定するように構成されている。
【0030】
REF信号とCDMA信号との間の遅延の測定をさらに簡単にするために、HP−IBインターフェース(図示せず)を有した第4のテスターをCDMA基地局試験装置70と時間/周波数カウンター80の両方に接続してもよい。そのような装置のHPインターフェースは、時間遅延T6とT7を読んで合計することを可能にし、合計、すなわちT8をモニターに表示することを可能にさせる。
【0031】
いくつかの実施形態において、CDMA基地局試験装置70は、時間/周波数モジュール80並びにハードウェア/ソフトウェアモジュールを含み時間遅延T6とT7を合計し、合計をモニターに表示するように適応するようにしてもよい。他の実施形態において、信号REF2は内部的に発生された1.2288MHz以外の信号であってもよい。さらに他の実施形態において、GPS受信機とCDMA基地局試験装置の両方は、同一筐体内に配置してもよく、1つの装置として製造業者またはベンダーにより商業的に入手可能にしてもよい。
【0032】
この開示の上記実施形態は、例証であり、制限するものではない。この開示は、GPS受信機、CDMA基地局テスターまたは時間/周波数カウンターのタイプまたは製造業者により制限されない。この開示は、任意の特定のクロック周波数または種々の装置間の通信のために使用される任意のインターフェースに制限されない。この開示はキャリブレーションに関連するパラメーターを入力するために使用されるソフトウェア/ハードウェアモジュールの種類により制限されない。他の追加、控除、削除および変更は、添付されたクレームに記載されたようにこの開示の範囲から逸脱することなく行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、基地局送信機に接続されたGPS受信機の簡単化された高レベルブロック図並びにフォワードリンクキャリブレーションに寄与する遅延の図である。
【図2】図2はこの開示の一実施形態に従って、対応するCDMA信号とGPS信号との間の時間遅延を決定するように適合された試験設備の高レベルブロック図である。
【図3】図3は、基地局セクター構成フェースの期間におけるGPS受信アンテナ、CDMA受信アンテナ、および基地局送信アンテナの相対的な位置を示す。
【図4】図4は、この開示の一実施形態に従って、図2の試験設備に関連し、対応するCDMA信号とGPS信号の到着時刻間の遅延を決定するために使用される信号のタイミング図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号と第2の信号との間の遅延を測定する方法において、
複数のクロック信号を発生することと、
前記第1の信号にロックされる第1の基準信号を発生することと、
前記第1の基準信号、および複数のクロック信号のうちの第1のクロック信号を用いて第2の基準信号を発生することと、
前記第2の基準信号と前記第2の信号との間の第2の遅延を測定することと、
前記第2の基準信号の遷移と実質的に同時に生じる遷移を有する複数のクロック信号のうちの第2のクロック信号を識別することと、
前記第1の信号と前記複数のクロック信号のうちの識別された第2のクロック信号との間の第3の遅延を測定することであって、前記第2の遅延と前記第3の遅延の合計は前記第1の信号と前記第2の信号との間の遅延を表すこととを備えた方法。
【請求項2】
前記第1の信号はGPS信号であり、前記第2の信号はCDMA信号である、請求項1の方法。
【請求項3】
前記第1の基準信号は2秒の期間を有する、請求項2の方法。
【請求項4】
前記複数のクロック信号のうちの前記第1のクロック信号は19.6608MHzの周波数を有する、請求項3の方法。
【請求項5】
前記第1の基準信号は前記GPS信号の受信に応答してGPS受信機により発生される、請求項4の方法
【請求項6】
前記複数のクロック信号のうちの前記識別された第2のクロック信号は1.2288MHzの周波数を有する、請求項5の方法。
【請求項7】
前記複数のクロック信号のうちの前記識別された第2のクロック信号および前記第2の基準信号は、CDMA基地局によって、および前記CDMA信号および前記第1の基準信号の受信に応答して発生される、請求項6の方法。
【請求項8】
前記第2の遅延は、前記CDMA基地局試験装置により測定される、請求項7の方法。
【請求項9】
前記第3の遅延は、前記CDMA基地局試験装置により測定される、請求項8の方法。
【請求項10】
前記第3の遅延は、時間/周波数カウンターにより測定される、請求項8の方法。
【請求項11】
第1の信号と第2の信号との間の遅延を測定するように構成された装置において、
複数のクロック信号を発生するための手段と、
前記第1の信号にロックされる第1の基準信号を発生する手段と、
前記第1の基準信号と、前記複数のクロック信号のうちの第1のクロック信号を用いて第2の基準信号を発生する手段と、
前記第2の基準信号と前記第2の信号との間の第2の遅延を測定する手段と、
前記第1の信号と、前記第2の基準信号の遷移と実質的に同時に生じる遷移を有する前記複数のクロック信号のうちの第2のクロック信号との間の第3の遅延を測定する手段であって、前記第2の遅延と前記第3の遅延の合計が前記第1の信号と前記第2の信号との間の前記遅延を表す手段とを備えた装置。
【請求項12】
前記第1の信号はGPS信号であり、前記第2の信号はCDMA信号である、請求項11の装置。
【請求項13】
前記第1の基準信号は2秒の期間を有する、請求項12の装置。
【請求項14】
前記複数のクロック信号のうちの前記第1のクロック信号は19.6608MHzを有する、請求項13の装置。
【請求項15】
前記第1の基準信号を発生する手段は、GPS受信機内に配置され、前記複数のクロック信号のうちの前記第1のクロック信号を発生する手段はCDMA基地局試験装置内に配置される、請求項14の装置。
【請求項16】
前記複数のクロック信号のうちの前記識別された第2のクロック信号は1.2288MHz信号である、請求項15の装置。
【請求項17】
前記第2の基準信号および前記複数のクロック信号のうちの前記第2のクロック信号を発生する手段は前記CDMA基地局試験装置内に配置され、前記CDMA信号および前記第1の基準信号の受信に応答する、請求項16の装置。
【請求項18】
前記第2の遅延を測定する手段は前記CDMA基地局試験装置内に配置される、請求項17の装置。
【請求項19】
前記第3の遅延を測定する手段は、前記CDMA基地局試験装置内に配置される、請求項18の装置。
【請求項20】
前記第3の遅延を測定する手段は、時間/周波数カウンター内に配置される、請求項19の装置。
【請求項21】
第1の信号と第2の信号との間の時間遅延を測定するように機能的に作用する装置において、
前記第1の信号を受信し、それに応答して第1の基準信号を発生するように適応された第1の装置と、
前記第2の信号および前記第1の基準信号を受信し、第2の基準信号と、前記第2の基準信号の遷移と実質的に同時に生じる遷移を有するクロック信号を発生するように適応する第2の装置であって、前記第2の装置はさらに前記第2の基準信号と前記第2の信号との間の時間遅延を測定するように適応する第2の装置と、
前記第1の基準信号および前記第2の基準信号を受信し、前記第1の基準信号と前記第2の基準信号との間の遅延を測定するように適応された第3の装置とを備えた装置。
【請求項22】
前記第1の信号はGPS信号であり、前記第2の信号はCDMA信号である、請求項21の装置。
【請求項23】
前記第1の基準信号は2秒の期間を有する、請求項22の装置。
【請求項24】
前記第1の装置は、前記GPS信号の受信に応答して前記第1の基準信号を発生するように適合されたGPS受信機である、請求項23の装置。
【請求項25】
前記クロック信号は1.2288MHzの周波数を有する、請求項24の装置。
【請求項26】
前記第2の装置は、前記CDMA信号および前記第1の基準信号を受信し、前記第2の基準信号および前記クロック信号を発生するように適合されたCDMA基地局試験装置である、請求項25の装置。
【請求項27】
前記第3の装置は、時間/周波数カウンターである、請求項26の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−513589(P2007−513589A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542878(P2006−542878)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/040896
【国際公開番号】WO2005/057811
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】