説明

認証可能な印刷物品を作成し、その後に検証するための方法および装置

【課題】1枚の紙又は他の物品から、それが印刷されるときにデジタル署名を取得する一体型スキャナを有するプリンタを提供する。
【解決手段】一体型スキャナは、光ビームを物品を照明するコヒーレント光源と、物品の多数の異なる部分からの散乱光からデータポイントを収集し、500個以上のデータポイントを収集する検出器構成とを有する。これらのデータポイントから導出されたデジタル署名は、物品上に印刷されたものの画像と共にデータベースに記憶される。その後、最初に印刷された物品であると称する物品の信ぴょう性は、本物と称する物品をスキャンしてデジタル署名を取得して検証できる。次いでデータベースを検索し、一致が存在するか確証される。一致がある場合、一致したデジタル署名と共にデータベース中に記憶される画像が、ユーザに表示され、この物品にさらに目視検査が可能になる。この画像は、物品に関連する参考文献データと共に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ方法に関し、より詳細には印刷ドキュメントについての、あるいは個人ID(identification識別)カードや、厚紙パッケージ化アイテムや、オリジナル署名、シールまたはスタンプを有する積荷証券やドキュメントなど特有のドキュメントなど、他の印刷物品についての信ぴょう性(authenticity)の検証に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の従来の認証セキュリティシステムは、この製造業者以外の誰にとっても実施することが難しいプロセスを利用しており、ここで、この困難さについては、資本的設備、技術ノウハウの複雑さ、または好ましくはこれらの両方を費やすことにより課すことができる。例としては、銀行券における透かしと、クレジットカードまたはパスポート上のホログラムの準備がある。残念なことに、犯罪者は、より高度な技術を持つようになりつつあり、オリジナルの製造業者ができることなら実質的にどのようなものでも複製することができる。
【0003】
このために、一意になり、またさらに重要なことには、測定可能であり、それによってその後の検証のための基礎として使用することができる固有の特性を有する各トークンをもたらす、自然法則によって支配される何らかのプロセスを使用したセキュリティトークンを生成することを利用した認証セキュリティシステムに対する知られているアプローチが存在する。このアプローチに従って、トークンが、固有の特性を得るための決まったやり方で生成され測定される。次いでこの特性は、コンピュータデータベースに記憶し、またはそれ以外の方法で保持することができる。このタイプのトークンは、キャリア物品(carrier article)、例えば銀行券、パスポート、IDカード、重要なドキュメント中に埋め込むことができる。その後に、このキャリア物品は、もう一度測定することができ、この測定された特性をデータベース中に記憶されたこれらの特性と比較して、一致が存在するかどうかを確証する(establish)ことができる。
【0004】
この一般的なアプローチの内部においては、異なる物理的効果を使用することが提案されてきている。考えられてきている1つの効果は、磁性材料の堆積からの磁気応答特性を測定することであり、ここで各サンプルは、再現不可能なように形成される、この磁性材料中の自然に発生する欠陥の結果としての固有の磁気応答を有する(特許文献1)。いくつかの従来技術ドキュメントで考えられてきている他の効果は、物品の本来もっている性質からのレーザスペックル(laser speckle)を使用して固有の特性を提供することである。
【0005】
英国特許第2,221,870 A号(特許文献2)は、IDカードなどのセキュリティデバイスが、効果的にその上にエンボス加工が施されたトークンを有する方法について開示している。このトークンの形態は、マスタから導き出された構造化された表面である。この光を散乱する構造からのスペックルパターン(speckle pattern)は、このマスタに固有のものであり、したがってこれを測定して、このセキュリティデバイス上のトークンの信ぴょう性を立証することができる。このセキュリティデバイス上のトークンは、このトークン(2mmの直径)と、このトークンとこのレーザビームの相互作用によって生成されるスペックルパターンを測定するための、CCD(charge coupled device電荷結合素子)検出器などの検出器とに概略等しいサイズのコヒーレントビームを生成するためのレーザを有する読取り装置中において測定される。この結果生じるデータが記録される。検証するために、セキュリティデバイスは、この読取り装置中に配置し、その記録されたスペックルパターン信号は、この同じマスタから生成された基準デバイスからの同様な記録済みの信号と比較することができる。
【0006】
米国特許第6,584,214号(特許文献3)は、スペックルパターンが、その代わりに特別に用意されたトランスペアレントトークンからの透過の形で使用される特別に用意された表面構造からの反射の形の、スペックルパターンを使用することに対する代替形態について説明している。この技法の好ましい実装形態は、複数のガラス球が埋め込まれた約1cm×1cmの寸法のエポキシトークンを用意することである。このトークンは、液体ポリマにおけるコロイド懸濁液中でこれらのガラス球を混合することにより用意され、次いでこの液体ポリマは、硬化させられてこれらのガラス球の位置が固定される。次いで、複数のガラス球の固有のアンサンブルについては、このスペックルパターンを測定するように配置されたCCD検出器を用いて透過するコヒーレントなレーザビームを使用して探知される。このアプローチの修正形態においては、知られている識別子が、この場合にこのトークンの一方の側に貼り付けられる反射表面上で符号化される。この探知する光は、このトークンを通過し、この知られている識別子によって反射され、このトークンを再び通過する。これらのガラス球は、このようにしてこのスペックルパターンを修正し、そのために固有のハッシュ化キーが、この知られている識別子から生成される。
【0007】
Kralovec(非特許文献1)は、細かく切られた光ファイバを含浸させられた特殊な銀行券用紙を用いて1980年代に米国のサンディア国立研究所(Sandia National Laboratories)の労働者で実験されたことについて簡単に報告している。これらの光ファイバと、この銀行券のこの側にバーコードとして印刷されたこのデジタル署名されたバージョンからスペックルパターンを測定することができた。しかし、Kralovecは、これらの光ファイバがあまりにも脆弱であり、このスペックルパターンが、この銀行券が流通させられるときに摩耗の影響で急速に変化したので、このアイデアは、適切に機能するようにはすることができなかったと報告している。これは、使用された銀行券中のこれらの光ファイバから測定されたスペックルパターンが、このバーコードとはもはや一致せず、それ故にこの銀行券は、この意図したようには、このスペックルパターンからもはや認証することができなかったことを意味している。
【0008】
またAndersonは、彼の2001年の教科書の251頁(非特許文献2)上で軍縮協定を監視するために使用される、Kravolec(非特許文献1)によって説明されているスキームと同様なスキームに見えるものについて簡単に言及している。Andersonは、多数の材料が固有の表面を、あるいは小さな装薬(explosive charge)を用いてこれらの表面を徐々に破壊することによりそのようにすることができる表面を有することを観察している。これは、重火器(heavy artillery)などの資本的設備を識別することを簡単にするためと言われており、ここでは各砲身を識別することが、どちらかの当事者が軍縮協定に対してごまかし行うことを防止するのに十分である。Andersonは、この砲身の表面パターンは、レーザスペックル技法を使用して測定され、またログに記録されるか、あるいは機械読取り可能なデジタル署名としてそのデバイスに取り付けられることを報告している。
【0009】
レーザスペックルを使用する代わりに、単に高分解能で物品を撮影し、この高分解能画像を固有の特性として使用する、さらに直截的なグループの提案されたスキームも存在し、この固有の特性については、次いでその後に信ぴょう性の検証のために再び撮影することができる。これは、警察によって保持される指紋ライブラリのために使用される従来のアプローチの適用と見なすこともできる。
【0010】
米国特許第5,521,984号(特許文献4)は、絵画、彫刻、切手、宝石、特定のドキュメントなどの貴重品の小さな区域の画像を撮影する光学顕微鏡を使用することを提案している。
Andersonは、彼の2001年の教科書の252頁(非特許文献2)上で、郵便制度が、この種の、顕微鏡を用いた封筒の直接の撮影に基づいたスキームについて考えていたことを報告している。封筒の紙の繊維の画像が作成され、パターンが抽出され、この郵便料金別納マークに記録され、このマークにデジタル署名されることが報告されている。
米国特許第5,325,167号(特許文献5)は、同様なスキームに従って貴重なドキュメントの一部分の上のトナー粒子の粒状構造を撮影することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】PCT/GB03/03917、Cowburn
【特許文献2】英国特許第2 221 870 A号、Erza、Hare & Pugsley
【特許文献3】米国特許第6,584,214号、Pappu、Gershenfeld & Smith
【特許文献4】米国特許第5,521,984号
【特許文献5】米国特許第5,325,167号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Kravolec、「Plastic tag makes foolproof ID」、Technology Research News、2 October 2002
【非特許文献2】R Anderson、「Security Engineering: a guide to building dependable distributed systems」、Wiley 2001、251〜252頁ISBN 0-471-38922-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これらの以前の研究を通じて、理想的な検証スキームにとっては明らかな様々な望ましい機能が存在している。
【0014】
これらの報告されている磁気ベースまたはスペックルベースの技法は、高いセキュリティレベルを実現することができるように見えるが、この探知される構造(非特許文献1)の長期安定性を保証するための実用的な実装については、用意すべき特殊な材料(特許文献1、特許文献2、特許文献3)を必要とする。多くの場合には、セキュリティ保護すべき物品へのトークンの一体化は、些細なことではない。とりわけ、紙または厚紙の中にレジントークンまたは磁性チップを一体化することは、簡単ではなく、かなりのコストを必要とする。紙または厚紙との一体化については、理想的にはどのようなトークンも印刷可能にすべきである。さらに、このトークンは、潜在的に取り外すことが可能であり、異なる物品に取り付けることが可能である点で、取付け可能なトークンベースのアプローチについての固有のセキュリティリスクも存在する。
【0015】
これらの報告されている直接撮影技法(非特許文献2、特許文献4、特許文献5)は、これらの技法が特殊なトークンについての必要性をなくし、この物品から直接にこれらのデジタル署名を取得するという利点を有する。しかし、これらの本来もっているセキュリティは低い。例えば、これらの技法は、信ぴょう性があるものとして間違って検証される可能性がある物品の製造を可能にすることもある、この記憶される画像データに対する不正なアクセスに対して脆弱であり、あるいは高分解能プリンタを単に使用して、この本物の物品の関連する一部分を見るときに顕微鏡下で見られるはずの画像を印刷することにより、フォージング(forging)に対して脆弱である。直接撮影技法のセキュリティレベルはまた、画像データのボリュームと共にスケーリングされ、より高いセキュリティレベルを得るためには高価な高分解能の撮影装置の使用を強いることになる。これは、郵便物の分類や銀行券の検証などの一部の用途においては許容可能なこともあるが、多くの用途では受け入れられないことになる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、困難さなしに、また高いレベルのセキュリティを伴って検証可能なドキュメントまたは他の印刷可能な物品を生成し、後になって検証することができる新しいシステムを提供するものである。それが印刷されるときに、1枚の紙または他の物品からデジタル署名を取得するための、一体型スキャナを有するプリンタが、提供される。この一体型スキャナは、この物品を照らし、この物品が印刷されるときにこの物品の多数の異なる部分から散乱されたコヒーレントな光からデータポイントを収集して、一般的には500以上の多数の独立したデータポイントを収集する。これらのデータポイントから導き出されるデジタル署名は、この物品上に印刷されたものの画像と共にデータベースに記憶される。その後になって、この最初に印刷された物品であると称する物品の信ぴょう性は、この称された本物の物品をスキャンしてそのデジタル署名を取得することにより検証することができる。次いでこのデータベースが検索されて、一致が存在するかどうかが確証される。一致が見出される場合、この一致したデジタル署名を伴うデータベースに記憶された画像が、このユーザに対して表示されて、この物品が本物であることについてのさらなる目視検査が可能になる。この画像は、この物品に関連した他の関連する参考文献データと一緒に表示される。これは、検査されているドキュメントまたは他の印刷物品と、このディスプレイ上に示されるドキュメントまたは他の印刷物品との間の目視比較の形の人為的な検証をも含む高セキュリティシステムを実現する。
【0017】
このようにして、印刷される各アイテムが自動的にスキャンされ、そのデジタル署名がこのアイテムの画像ファイルと一緒にデータベースにログ記録されて、プリンタは、正常に使用することができる。次いで、印刷された各アイテムは、信ぴょう性があるもの、またはそうでないものとして後から検証することができる。例えば、このデジタル署名は、この印刷される基材、例えば印刷されているこの1枚の紙に固有であるので、フォトコピーまたは偽造したものについては、オリジナルと簡単に区別することができる。
【0018】
本発明の異なる態様は、一体型スキャナを有する印刷装置、この印刷装置と共に動作可能な認証可能な物品を作成するための装置、ならびに本物であるとして、または他の方法でその信ぴょう性について検査すべき必要性があるものとして提示される物品の信ぴょう性を後で検証するための装置に関する。認証可能な物品を作成し、物品の信ぴょう性を検証する対応する方法は、本発明のさらなる態様を構成する。
【0019】
本発明は、一態様においては、物品上に印刷するためのプリントヘッドと、この物品をこのプリントヘッドを通過させて搬送するように動作可能なフィードメカニズムと、このフィードメカニズムによって搬送される物品に光を方向付けるように構成されたコヒーレントな光源、およびこの光がこの物品上をスキャンするときに得られる信号からの、複数のデータポイントのうちの異なるデータポイントがこの物品の異なる部分からの散乱に関連するデータポイントの組を収集するように構成された検出器構成を組み込んでいるスキャンヘッドを備える印刷装置を提供する。
【0020】
本発明は、別の態様においては、画像を印刷する印刷装置のための命令を生成するように動作可能なプリンタドライバと、印刷中に物品上でコヒーレントな光をスキャンすることにより得られる信号からの、複数のデータポイントのうちの異なるデータポイントがこの物品の異なる部分からのコヒーレントな光の散乱に関連するデータポイントの組を受け取るためのデータ収集インターフェースと、このデータポイントの組から物品のデジタル署名を決定し、このデジタル署名およびこの画像の表現を含むレコードをデータベース中に作成するためのプロセッサを備える、認証可能な物品を作成するための装置を提供する。
【0021】
本発明は、さらなる態様においては、物品上で光をスキャンするためのコヒーレントな光源、およびこの光がスキャンされるときに得られる信号からの、複数のデータポイントのうちの異なるデータポイントがこの物品の異なる部分からのコヒーレントな光の散乱に関連するデータポイントの組を収集するように構成された検出器構成を組み込んだスキャニングデバイスと、このデータポイントの組からこの物品のデジタル署名を決定するためのプロセッサと、それぞれが物品について以前に決定されたデジタル署名、およびこの物品の視覚表現を含む、以前にスキャンされた物品の複数のレコードを含むデータベースと、このデータベースを検索してこのスキャニングデバイスによって取得されるデジタル署名とこれらのレコードのうちの1つに記憶されたデジタル署名との間に一致が存在するかどうかを確証し、一致が見出される場合にはこの一致を伴うレコードに記憶された物品の視覚表現を表示するように動作可能な署名検証モジュールとを備える、物品の信ぴょう性を検証するための装置を提供する。
【0022】
さらに、このユーザには、この一致の信頼性レベルを提示することができ、この信頼性レベルは、このオリジナルスキャンと再スキャンからのデジタル署名がどの程度まで対応しているかを指し示す。この点に関して、本物のアイテムから再スキャンされたデジタル署名でさえ、その記憶されたデータベースの対応物とは決して完全に一致することにはならないことに留意されたい。一致、または不一致のテストは、このマスタデータベース中に保持されるこの最初にスキャンされた署名とこの再スキャンされた署名との間の類似性の程度の1つである。本発明者らは、典型的な良好な品質の一致では、不正な一致についての平均50%の合致に比べて、約75%のビットの合致を有することを見出している。
【0023】
これらのデータベースレコードは、このスキャンされた物品に関連する参考文献データを役に立つように含んでいてもよい。さらに、この署名検証モジュールは、一致が見出されるときにこの参考文献データを表示することになる。例えば、ドキュメントの場合には、この参考文献データは、説明テキストの形のドキュメントの概要説明と、作成日付、作成者、およびこのドキュメントを作成するために使用されるプリンタのプリンタIDの表示とを含んでいてもよい。
【0024】
本発明は、さらに他の態様においては、この物品上に画像を印刷するステップと、この物品上でコヒーレントな光をスキャンし、このコヒーレントな光がこの物品から散乱されるときに得られる信号からの、複数のデータポイントのうちの異なるデータポイントがこの物品の異なる部分からの散乱に関連するデータポイントの組を収集するステップと、このデータポイントの組からこの物品のデジタル署名を決定するステップと、このデジタル署名およびこの画像の表現を含むレコードをデータベース中に作成するステップとを含む、認証可能な物品を作成する方法を提供する。
【0025】
本発明はまた、この物品上でコヒーレントな光をスキャンし、このコヒーレントな光がこの物品から散乱されるときに得られる信号からの、複数のデータポイントのうちの異なるデータポイントがこの物品の異なる部分からの散乱に関連するデータポイントの組を収集するステップと、このデータポイントの組からこの物品のデジタル署名を決定するステップと、画像、および機械読取り可能符号化プロトコルに従ってこのデジタル署名を符号化するラベルをこの物品上に印刷するステップを含む、認証可能な物品を作成する他の方法も提供する。したがって、このラベルは、この物品の本来の構造の特性である。この場合には、この署名は、非対称な暗号化アルゴリズムを使用してこのラベル中に符号化されることが好ましい。例えば、このラベルは、公開鍵/秘密鍵暗号化システムにおける公開鍵によって解読可能な暗号文を表すことができる。このラベルが、好ましくは物品作成と同じプロセス、すなわちこのドキュメント上にこの画像を印刷するプロセスと同じプロセスにおけるプリントプロセスを用いて塗布されるインクラベルである場合には、これは、多数の印刷可能な材料、特に紙または厚紙では、非常に便利である。例えば、1枚の紙にこの画像を印刷し、次いでもう一度このプリンタを介して供給して、複式シート給紙メカニズムを使用してこの署名符号化ラベルを印刷することができる。このラベルは、例えばバーコードのように目に見えてもよく、あるいは例えばこの物品がスマートカードであるときにスマートチップ中のデータとして実施されるように目に見えなくてもよい。
【0026】
この印刷するステップとスキャンするステップは、この物品がそれぞれプリントヘッドおよびスキャンヘッドを通過させて搬送されるときに便利に実施される。
【0027】
本発明は、さらに他の態様においては、物品上でコヒーレントな光をスキャンし、このコヒーレントな光がこの物品から散乱されるときに取得される信号からの、複数のデータポイントのうちの異なるデータポイントがこの物品の異なる部分からの散乱に関連するデータポイントの組を収集するステップと、このデータポイントの組からこの物品のデジタル署名を決定するステップと、それぞれが物品についての以前に決定されたデジタル署名、およびこの物品の視覚表現を含む、以前にスキャンされた物品についての複数のレコードを含むデータベースを設けるステップと、このデータベースを検索してこのスキャナによって取得されるデジタル署名とこのデータベースに記憶されるデジタル署名のどれかとの間に一致が存在するかどうかを確証し、一致が見出される場合にはこのデータベースに記憶される物品の視覚表現を表示するステップとを含む、物品の信ぴょう性を検証する方法を提供する。
【0028】
この物品は、本発明のようにスキャンされるときにデジタル署名を提供するのに適した表面を有する、紙または厚紙、あるいは他の任意の印刷可能な基板からなっていてもよいことが理解されよう。また光についての言及は、目に見える電磁放射線だけに限定されるべきではなく、例えば赤外線および紫外線を含むことも理解されよう。
【0029】
本発明は、以降の例のリストからの紙または厚紙の物品についてとりわけ有用であると考えられる。
1.株券、積荷証券、パスポート、政府間協定、法令、運転免許証、乗り物道路通行許可証、信ぴょう性についての任意の証明書などの貴重なドキュメント
2.例えば郵便制度のための封筒、法執行追跡のための銀行券などのトレースまたは追跡の目的のための任意のドキュメント
3.販売可能製品のパッケージング
4.ファッションアイテムなどデザイナ商品上のブランドラベル
5.化粧品、医薬品、または他の製品のパッケージング
6.公証され法的に認可されたオリジナルドキュメント
7.身分証明書のカードおよび紙
【0030】
例えば、選択された群の特定の種類の印刷された物品を、トレースし追跡するために生成することができる。知られている犯罪集団に特に導入する一群の銀行券を印刷して、例えば身代金または賄賂を支払い、あるいは不法なドラッグを購入することができる。これらは、通常の銀行券と同じはずであるが、データベース上にログ記録が残され、そのためにこのデータベースは、銀行券ごとにこの銀行券用紙の固有のデジタル署名を含んでいるだけでなく、そのシリアル番号を含む銀行券の画像も含んでいる。
【0031】
その材料が適切な表面構造を有することを仮定すれば、他の印刷可能な任意の基板材料が本発明によって識別可能になることが予想される。顕微鏡レベルにおいて非常に滑らかな表面を有する材料タイプは、不適切である可能性がある。印刷可能な材料についての適切さは一部の代表的なサンプルをテストすることによって簡単に判定することができる。
【0032】
一群の実施形態においては、データ収集処理モジュール(data acquisition and processing module)は、これらのデータポイントをさらに解析して、所定の符号化プロトコルに従う信号成分を識別し、そこから基準署名を生成するように動作可能である。この所定の符号化プロトコルの特性は、ほとんどの実施形態においてはコントラスト、すなわち散乱信号強度に基づいているように見える。特に、1Dバーコードの場合にはストライプの形状で、または2Dバーコードではより複雑なパターンで、バーコードがこの物品に印刷されるか、それともこの物品に塗布される従来のバーコードプロトコルを使用することができる。この場合には、このデータ収集処理モジュールは、比較を実施してこの基準署名がこの読取りボリュームに配置されている物品を読み取ることにより得られる署名と一致するかどうかを確証するように動作可能とすることができる。その結果、1枚の紙などの物品には、バーコードなどのそれ自体の特性のデジタル署名されたバージョンを有するようにマーク付けすることができる。この基準署名は、一方向の機能を用いて、すなわち秘密鍵を必要とする非対称暗号化アルゴリズムを使用してこの物品の特性から取得されるべきである。これは、偽物の物品を読み取り、この暗号化スキームに従って読取り装置のスキャンを表すラベルをこれらの物品に印刷したいと望む、この読取り装置を有する権限のないサードパーティに対するバリアとしての機能を果たす。一般的に、このバーコードラベルまたは他のマークは、公開鍵によって解読可能な暗号文を表すはずであり、この秘密鍵は、権限のあるラベル付けパーティのために留保されるはずである。
【0033】
このデータベースは、この読取り装置の一部分を形成するマスストレージデバイスの一部分であってもよく、またリモートな位置にあり、電気通信リンクを介してこの読取り装置によってアクセスされてもよい。この電気通信リンクは、無線リンクおよび固定リンクを含めて従来のどのような形態を取ることもでき、またインターネット上で使用可能とすることもできる。このデータ収集処理モジュールは、少なくとも一部の動作可能モードにおいては、一致が見出されない場合に署名をこのデータベースに追加することができるように動作可能とすることができる。このファシリティについては、明らかな理由のために通常は権限のある人々だけにしか許可されないことになる。
【0034】
したがって、この署名を記憶することに加えて、このドキュメントのスキャンされたコピー、パスポート所持者の写真、この製品の製造の場所および時刻についての詳細、販売可能な商品の意図された販売宛先についての(例えばはっきりしない輸入を追跡するための)詳細など、この物品についての他の情報にこのデータベース中の署名を関連付けることが有用である。
【0035】
この署名は、ほとんどの用途においてはデジタル署名であるものと考えられる。現行の技術を用いたデジタル署名の典型的なサイズは、200ビットから8kビットの範囲にあるはずであり、ここで現在においては、高度なセキュリティのためには、約2kビットのデジタル署名のサイズを有することが好ましい。
本発明をより良好に理解し、本発明をどのように効果的に実行することができるかを示すために、次に例として添付図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】本発明の一実施形態のスキャンヘッドを1枚の紙と共に示した斜視図である。
【図1B】図1Aのスキャンヘッドを1枚の紙と共に示した側面図である。
【図2】紙の表面が、この紙を横切って細長いビームをスキャンすることにより、そのスキャン区域上でどのようにしてn回サンプリングされるかを示す概略的な斜視図である。
【図3】認証可能な物品を作成するためのシステムの機能コンポーネントのブロック概略図である。
【図4】一体型スキャンヘッドを有する印刷装置の斜視図である。
【図5】方向性の光収集および包括的な照明に基づいて本発明を実施するスキャナについての代替的な撮影構成を概略的に側面図で示す図である。
【図6】方向性検出器が、細長いビームを用いた局所的な照明と組み合わせて使用される、本発明を実施するスキャナについてのさらに代替的な撮影構成の光学的フットプリントを概略的に平面図で示す図である。
【図7】約0.5×0.2mmの区域をカバーする画像を有する、紙の表面の顕微鏡画像を示す図である。
【図8A】光検出器信号およびエンコーダ信号から成る、図1Aのスキャンヘッドを使用した単一の光検出器からの生データを示す図である。
【図8B】このエンコーダ信号を用いて線形化し、この振幅を平均化した後の、図8Aの光検出器データを示す図である。
【図8C】この平均レベルに従ってデジタル化した後の、図8Bのデータを示す図である。
【図9】物品のデジタル署名が、スキャンからどのようにして生成されるかを示す流れ図である。
【図10】印刷されている紙がスキャンされ、そのデジタル署名が計算され、データベースに記憶されるプリントプロセスを示す流れ図である。
【図11】検証するための物品をスキャンするための読取り装置の概略的側面図である。
【図12】図11の読取り装置の機能コンポーネントと関連するシステムコンポーネントのブロック概略図である。
【図13】その外部形状を示す、図11の読取り装置の斜視図である。
【図14】スキャンから得られる物品のデジタル署名が、どのようにして以前にスキャンされた物品のデジタル署名が記憶されるデータベースに対して検証することができるかを示す流れ図である。
【図15】ドキュメントがどのようにして検証する目的のためにスキャンされ、その結果がユーザに対して提示されるかについての全体的なプロセスを示す流れ図である。
【図16】再スキャンされたドキュメントが、信ぴょう性があるものとして検証されるときに表示されるユーザインターフェースのスクリーンショットを示す図である。
【図17】固有の測定された表面特性から取得されたデジタル署名を符号化したバーコードラベルを有するIDカードの概略平面図である。
【図18】固有の測定された表面特性から取得されたデジタル署名を符号化したデータを保持するチップを有するIDカードの概略平面図である。
【図19】固有の測定された表面特性から取得されたデジタル署名を符号化した2つのバーコードラベルを有する保証ドキュメントの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1Aおよび1Bは、本発明の一実施形態のスキャンヘッド10のそれぞれ斜視図および側面図の形の概略図である。スキャンヘッド10は、その読取りボリュームを介してx方向(この図面中の挿入軸を参照)にスキャンヘッド10を通過して搬送される1枚の紙5または他の印刷可能な物品からのデジタル署名を測定するためのものである。これらの主要な光学コンポーネントは、コヒーレントなレーザビーム15を生成するためのレーザ光源14と、複数のk個の(ここでこの例においてはk=4で、16a、16b、16cおよび16dとラベル付けされた)光検出器エレメントから構成される検出器構成16である。レーザビーム15は、円筒形レンズ18によって(この図の平面に垂直な)y方向に延び、この紙の経路の平面内に存在する細長い焦点に、焦点が合わされる。一例のプロトタイプにおいては、この細長い焦点は、約2mmの長軸寸法と約40マイクロメートルの短軸寸法を有する。これらの光学コンポーネントは、取付けブロック11内に含まれる。この例示の実施形態においては、これら4個の検出器エレメント16a...dは、この読取りボリューム内に存在する物品からの反射の形で散乱される光を収集するこのビーム軸からの互いに入り込んだ構成における異なる角度のビーム軸オフセットのいずれの側にも分布される。一例のプロトタイプにおいては、これらのオフセット角は、-70度、-20度、+30度および+50度である。これらの検出器エレメント16a...dに対する光アクセスは、取付けブロック11内におけるスルーホールによって実現される。このビーム軸のいずれの側にもおけるこれらの角度は、これらの検出器エレメントが収集するデータポイントができる限り独立になるようにするために、等しくならないように選択される。すべての4つの検出器エレメントは、共通の平面内に配列される。このコヒーレントなビームが紙5から散乱するとき、これらの光検出器エレメント16a...dは、スキャンヘッド10を通過して搬送されている紙5の表面から散乱される光を検出する。図示されるように、この光源は、レーザビーム15をそのビーム軸がz軸方向を向くように取り付けられ、そのためにレーザビームは、垂直に入射して紙5に当たることになる。
【0038】
一般に、焦点深度が大きく、そのためにz方向に位置するこの紙のどのような偏差もこの紙に入射するビームのサイズに重大な変化をもたらさないことが望ましい。一例のプロトタイプにおいては、この焦点深度は、約0.5mmであり、この値は、良好な結果をもたらすのに十分に大きい。これらの焦点深度、開口数および作業距離のパラメータは、相互に依存しており、スポットサイズと焦点深度の間のよく知られているトレードオフをもたらす。
【0039】
スキャンヘッド10が、そうではなく従来のプリンタに一体化されるときには、この給紙メカニズムは、スキャンヘッド10を通過してこのx方向に直線的にこの紙を移動させる役割を果たすことになり、そのためにビーム15は、この細長い焦点の長軸を横切る方向にスキャンされる。コヒーレントなビーム15は、このコヒーレントなビームに垂直な平面内の、すなわち紙5の平面内における読取りボリュームの投影よりもずっと小さいxz平面(この図面の平面)内に断面を有するその焦点において寸法が示されるので、この給紙は、コヒーレントなビーム15に、この紙の多数の異なる部分をサンプリングさせることになる。
【0040】
図2は、このサンプリングを示すために含められており、この図は、この読取り区域がこの区域を横切って細長いビームをスキャンすることによりどのようにしてn回サンプリングされるかを示す概略的斜視図である。給紙の操作の下におけるレーザビームがこの紙の上をスキャンされるときにこの焦点が合わせられたレーザビームのこれらのサンプリング位置は、長さ「l」と概略幅「w」の区域をサンプリングする1からnの番号が付けられたこれらの隣接する長方形によって表され、ここで「w」は、この円筒形の焦点の長さである。データ収集は、この紙がこのスキャンヘッドを通過して搬送されるときに、これらのn個の位置のそれぞれにおいて信号を収集するように行われる。その結果、この紙のn個の異なる示された部分からの散乱に関連する一連のk×n個のデータポイントが収集される。一般的に、この紙の長さのうちの一部分しかサンプリングされないことになる。例えば長さ「l」は、およそ数センチメートルであってもよい。
【0041】
40マイクロメートルの焦点の短軸寸法、2cmのx方向のスキャン長、n=500の一例では、k=4を用いて2000個のデータポイントが与えられる。所望のセキュリティレベル、物品タイプ、検出器チャネル数「k」および他のファクタに応じたk×nについての典型的な値の範囲は、100<k×n<10,000であるべきことが予想される。検出器数kを増加させることにより、取扱い、印刷などを介してのこの物品の表面劣化に対するこれらの測定の不感受性も改善することも見出されてきている。実際に、現在まで使用されたこれらのプロトタイプでは、経験則は、独立なデータポイントの総数、すなわちk×nは、種々様々な表面と共に許容可能なほど高いセキュリティレベルを提供するためには、500以上にするべきことである。
【0042】
図3は、認証可能な物品を作成するためのシステムの機能コンポーネントのブロック概略図である。プリンタ22は、従来の接続25を用いてPC(Personal Computerパーソナルコンピュータ)30に接続される。検出器モジュール16の検出器16a...dは、各電気接続線17a...dを介してPIC(programmable interrupt controllerプログラマブル割込みコントローラ)30の一部分であるADC(analogue-to-digital converterアナログデジタルコンバータ)に接続される。光リンクまたは無線リンクが電気リンクの代わりに、あるいは電気リンクと組み合わせて使用されてもよいことが理解されよう。PIC30は、シリアル接続32を介してパーソナルコンピュータ(PC)34とインターフェースされる。PC34は、デスクトップまたはラップトップであってもよい。PCの代替物として、他のインテリジェントデバイス、例えばPDA(personal digital assistant携帯型個人情報端末)または専用電子ユニットが使用されてもよい。PIC30とPC34は、一括してこれらの検出器16a...dによって収集されるデータポイントの組からこの物品の署名を決定するためのデータ収集処理モジュール36を形成する。PC34は、インターフェース接続38を介してdB(databaseデータベース)40に対してアクセスすることができる。データベース40は、メモリ中のPC34上に常駐してもよく、またそのドライブ上に記憶されてもよい。代わりに、データベース40は、PC34からリモートであってもよく、例えばインターネットと組み合わされた移動電話サービスまたは無線LAN(local area networkローカルエリアネットワーク)を使用して無線通信によってアクセスされてもよい。さらに、データベース40は、PC34上にローカルに記憶されてもよいが、リモートソースから定期的にダウンロードされてもよい。
【0043】
データベース40は、デジタル署名のライブラリをコンパイルするためのものである。PC34は、使用中に、ドキュメントがプリンタ22によってプリントアウトされるたびにPC34が、これらの検出器16a...dからスキャンデータを取得し、このデータからデジタル署名を計算するようにプログラムされる。次いでこのデジタル署名と、1枚の紙上に印刷されている画像ファイルと、またこのドキュメントに関連した参考文献データも含む新しいレコードが、データベース40中に作成される。
【0044】
図4は、その中に一体化された前述のスキャンヘッド10を有するプリンタ22の斜視図である。プリンタ22は、このスキャンヘッドおよび関連するエレクトロニクスの効力による以外は従来のものである。この給紙メカニズムを概略的に表現するために、その最後のローラ対9が示されている。この給紙メカニズムは追加のローラおよび他の機械部品を含んでいることが理解されよう。すでに構築されたプロトタイプにおいては、このスキャンヘッドは、便宜のためにこの最後のローラ紙の直後に示されるように取り付けられる。このスキャンヘッドは、この紙の給紙経路に沿って多数の異なる位置に取り付けることができることが理解されよう。さらに、この図はレーザプリンタについての図であるが、どのような種類の印刷装置が使用されてもよいことが理解されよう。インクジェットプリンタや感熱式プリンタなど、他の形態のプリンタと同様に、この印刷装置は、ネットワーク化されたフォトコピアマシンや産業用印刷機械など、従来プリンタとは見なされなかった他のどのような種類の印刷装置であってもよい。例えば、印刷装置は、銀行券、小切手、または旅行者用小切手を印刷するための印刷機械であってもよい。
【0045】
前述の実施形態は、励起の局所区域を含むずっと大きな区域にわたって散乱される光信号を受け入れる検出器と組み合わせた、小さな断面のコヒーレントな光ビームを用いた局所的な励起に基づいている。その代わりに、ずっと大きな区域の励起と組み合わされた局所的な区域からしか光を収集しない方向性検出器に基づいた機能的に等価な光学的システムを設計することも可能である。
【0046】
図5は、コヒーレントなビームを有する方向性の光収集と包括的な照明に基づいた、本発明を実施する読取り装置についてのかかる撮影構成を側面図で概略的に示すものである。アレイ検出器48が円筒形マイクロレンズアレイ46と組み合わせて配列され、そのために検出器アレイ48の隣接するストリップは、紙5に沿った対応する隣接するストリップからの光を収集するにすぎない。図2を参照すると、各円筒形マイクロレンズは、このn個のサンプリングストリップのうちの1つからの光信号を収集するように配列される。この場合に、このコヒーレントな照明は、サンプリングされる全体区域の包括的照明(この照明中には図示せず)と共に行うことができる。
【0047】
局所化された励起と局所化された検出との組合せを用いたハイブリッドシステムもまた、一部のケースでは有用なこともある。
【0048】
図6は、方向性の検出器が細長いビームを有する局所化された照明と組み合わせて使用される、本発明を実施するスキャナについての、かかるハイブリッド撮影構成の光学的フットプリントを平面図で概略的に示すものである。この実施形態については、方向性検出器が設けられる、図1Aおよび1Bの実施形態の一発展形であると考えることができる。この実施形態においては、各バンクが、この「l×w」励起ストリップに沿った異なる部分からの光を収集することを目標にした3バンクの方向性検出器が設けられる。この読取りボリュームの平面からの収集区域が破線の円を用いて示され、そのために例えば2つの検出器の第1のバンクは、この励起ストリップの上部からの光信号を収集し、検出器の第2のバンクは、この励起ストリップの中央部からの光信号を収集し、検出器の第3のバンクは、この励起ストリップの下部からの光を収集する。検出器の各バンクが、約l/mの直径の円形の収集区域を有するように示され、ここでmは励起ストリップの小区画数であり、本例においてはm=3である。このようにして、独立なデータポイントの数は、所与のスキャン長lについてmのファクタだけ増大させることができる。さらに以下で説明されるように、方向性検出器の1つまたは複数の異なるバンクは、スペックルパターンをサンプリングする光信号を収集する以外の目的のために使用することができる。例えば、これらのバンクのうちの1つを使用して、バーコードが印刷される場合にバーコードをスキャンするために最適化されるように光信号を収集して、例えばその参考文献データなどのドキュメントの一部の態様を符号化することができる。この場合に該当する場合には、コントラストのためにスキャンするだけのときには相互相関を取得する利点が存在しないことになるので、このバンクが1つの検出器しか含まなくても一般的には十分になる。
【0049】
今や本発明を実行するのに適した様々な装置のこれらの主要な構造コンポーネントおよび機能コンポーネントについて説明し終わったので、デジタル署名を決定するために使用される数値処理について次に説明することにする。この数値処理は、たいていはPIC30に従属する一部のエレメントを伴うPC34上で実行されるコンピュータプログラムの形で実装されることが理解されよう。
【0050】
図7は、約0.5×0.2mmの区域をカバーする画像を有する、紙の表面の顕微鏡画像である。この図は、紙などからのマクロに見て平坦な表面が、多くの場合に顕微鏡スケールでは非常に構造化されていることを示すために含められている。紙の場合には、その表面は、紙を構成する木質繊維の互いにかみ合った網目模様の結果、顕微鏡レベルでは非常に構造化されている。この図はまた、約10ミクロンの木質繊維についての特性長スケールについても示している。この寸法は、回折、したがってスペックルを引き起こし、またこの繊維の方向に依存したプロファイルを有する散乱もまき散らすこのコヒーレントなビームの光学的波長に対する正しい関係を有する。したがって、スキャンヘッドが特定のクラスの印刷可能な基板材料のために設計されるべき場合には、このレーザの波長は、スキャンすべきこのクラスの材料の構造フィーチャサイズに合わせて調整することができることが理解されよう。またこの図から、各用紙の局所的な表面構造は、この構造がこれらの個別の木質繊維がどのように配列されているかに依存する点で固有なものになることが明らかでもある。したがって、1枚の紙は、この紙が自然法則によって支配されるプロセスによって作成されている結果として、固有の構造を有する点で従来技術の特別なレジントークンや磁気材料の堆積など、特別に作成されたトークンと何ら異なることはない。同じことが、多数の他のタイプの物品にも当てはまる。
【0051】
換言すれば、本発明者は、特有の特性が、種々様々な日々の物品から直截的なように測定可能であるときには、特別に用意されたトークンを作成する努力および費用をかけることが基本的に無意味であることを見出している。物品表面(または透過の場合には内部)の自然構造を利用した散乱信号のデータ収集および数値処理について、今から説明することにする。
【0052】
図8Aは、図1Aのスキャンヘッドのこれらの光検出器16a...dのうちの1つの光検出器からの生データを示している。このグラフは、ポイント数n(図2参照)に対する任意の単位(a.u.)での信号強度Iをプロットしている。I=0〜250の間で変動するこの上側のトレースは、光検出器16aからの生信号データである。この下側のトレースは、およそI=50に存在するマーカ28(図2参照)からピックアップされたこのエンコーダ信号である。
【0053】
図8Bは、このエンコーダ信号を用いて線形化した後の図8Aの光検出器データを示している(このx軸は図8Aと異なるスケール上にあるが、これは重要でないことに注意されたい)。さらに、この強度の平均が計算され、この強度値から差し引かれている。それ故にこの処理済みのデータ値は、ゼロの上下で変動している。
【0054】
図8Cは、デジタル化の後の図8Bのデータを示すものである。この採用されたデジタルスキームは、任意の正の強度値が値1に設定され、任意の負の強度値がゼロに設定される簡単な2値スキームである。その代わりに多状態のデジタル化、または他の多数の可能なデジタル化アプローチのうちのどれでも使用することができることが理解されよう。このデジタル化の主要な重要な特徴は、単にこの同じデジタル化スキームが一貫して適用されることにすぎない。
【0055】
図9は、物品の署名がどのようにしてスキャンから生成されるかを示す流れ図である。
【0056】
ステップS1は、データ収集ステップであり、このステップ中に光検出器のそれぞれにおける光強度がスキャンの全体の長さの間に約1msごとに獲得される。同時に、このエンコーダ信号が時間の関数として獲得される。この給紙メカニズムが高度の線形化精度を有する場合には、次いでこのデータの線形化は必要とされないこともあることに留意されたい。このデータは、ADC31からのデータを取得するPIC30によって獲得される。これらのデータポイントは、PIC30からPC34へとリアルタイムに転送される。代わりに、これらのデータポイントは、PIC30中のメモリに記憶され、次いでスキャンの終了時にPC34に渡されてもよい。スキャンごとに収集された検出器チャネルごとのデータポイント数nは、以降のようにしてNとして定義される。さらに、この値ak(i)は、光検出器kからのi番目に記憶された強度値として定義され、ここでiは1からNまで実行される。かかるスキャンから取得された2つの生データの組の例が、図8Aに示されている。
【0057】
ステップS2は、数値補間を使用して、ak(i)を局所的に拡大し、また縮小し、そのためにこのエンコーダの遷移が時間的に均一に配置される。これにより、このモータ速度の局所的な変動が補正される。このステップは、コンピュータプログラムによってPC34中で実施される。
【0058】
ステップS3は、オプションとしてのステップである。実施される場合には、このステップは、時間に関してこのデータを数値的に微分する。このデータに弱い平滑化機能を適用することが望ましいこともある。微分が、相関する(スペックル)寄与に対して、この信号から相関のない寄与を減衰させる役割を果たすので、微分は、非常に構造化された表面では有用なこともある。
【0059】
ステップS4は、光検出器ごとにこの記録された信号の平均が、これらのN個のデータポイントにわたって取られるステップである。光検出器ごとに、この平均値は、これらのデータポイントのすべてから差し引かれ、そのためにこのデータはゼロ強度の周りに分布する。線形化と計算された平均値を差し引いた後のスキャンデータの組の一例を示す図8Bを参照されたい。
【0060】
ステップS5は、このアナログの光検出器データをデジタル化して、このスキャンを表すデジタル署名を計算している。このデジタル署名は、ak(i)>0なら2進数「1」にマッピングし、ak(i)<=0なら2進数「0」にマッピングするという規則を適用することにより取得される。このデジタル化されたデータの組は、ak(i)として定義され、ここでiは1からNまで実行される。この物品の署名は、ちょうど今説明したこの強度データのデジタル署名に加えてさらなる成分を有利に組み込んでもよい。これらのさらなるオプションの署名成分について今から説明することにする。
【0061】
ステップS6は、さらに小さな「サムネイル」デジタル署名が作成されるオプションとしてのステップである。これについては、m個の読取りの隣接するグループを一緒に平均化することにより、またはさらに好ましくは、c番目のデータポイントごとに選択することによって行われ、ここでcは、このサムネイルの圧縮ファクタである。平均化は不釣り合いにノイズを増幅してしまうことがあるので、後者が好ましい。次いでステップS5において使用される同じデジタル化規則が、この減少されたデータの組に対して適用される。このサムネイルデジタル化は、tk(i)として定義され、ここでiは1からN/cまで実行され、cはこの圧縮ファクタである。
【0062】
ステップS7は、複数の検出器チャネルが存在するときに適用可能なオプションとしてのステップである。この追加成分は、これらの光検出器のうちの異なる検出器から取得される強度データの間で計算された相互相関成分である。2チャネルを用いると1つの可能な相互相関係数が存在し、3チャネルでは、3つまで、また4チャネルでは6つまでの可能な相互相関係数が存在するなどとなる。これらの相互相関係数は、これらが材料タイプの良好なインジケータであることが見出されているので、有用である。例えば、所与のタイプのパスポートやレーザプリンタ紙など、特定のタイプのドキュメントでは、これらの相互相関係数は、常に予測可能な範囲内に存在するように見える。正規化された相互相関は、ak(i)とal(i)との間で計算することができ、ここでk≠lであり、k、lは、これらの光検出器チャネル番号のすべてにまたがって変化する。この正規化された相互相関関数Γは、次式のように定義される。
【0063】
【数1】

【0064】
検証処理におけるこれらの相互相関係数の使用については、さらに以下に説明している。
【0065】
ステップS8は、この信号強度分布を示す簡単な強度平均値を計算するための他のオプションとしてのステップである。これは、ak(i)の2乗平均平方根(rms)値などの、これらの異なる検出器についての平均値、または検出器ごとの平均のそれぞれについての全体的な平均であってもよい。これらの検出器が、前述の読取り装置中におけるように垂直入射のいずれの側にも対の形で配列される場合には、各検出器対についての平均を使用することができる。この強度値は、これがこのサンプルの全体的な反射率および粗さを簡単に示すので、材料タイプについての良好な天然のフィルタとなることが見出されている。例えば、ユーザは、平均値、すなわちDCバックグラウンドの除去後にこの正規化されていないrms値をこの強度値として使用することができる。
【0066】
次いで、物品をスキャンすることから取得されるデジタル署名データは、この基板上に印刷されているものの画像ファイルおよび関連する参考文献データと一緒に新しいレコードを加えることによってデータベースに書き込むことができる。新しいデータベースレコードは、ステップS5において取得されるデジタル署名、ならびに光検出器チャネルごとにステップS6において取得されるオプションとしてのそのより小さなサムネイルバージョン、ステップS7において取得されるこれらの相互相関係数、およびステップS8において取得されるこの1つ(または複数)の平均値を含むことになる。代わりにこれらのサムネイルは、高速検索のために最適化された、それら自体の別々のデータベース上に記憶することができ、また(これらのサムネイルを含めて)このデータの残りは、主要データベース上に記憶することができる。以下でさらに説明されるように、その後の検証の目的のためにデジタル署名を取得するときにこの同じプロセスを使用することができることに留意されたい。
【0067】
図10は、その上に印刷されている紙がスキャンされ、そのデジタル署名が計算され、データベースに記憶されるプリントプロセスを示す流れ図である。PC30のユーザは、ドキュメントを作成するためのワードプロセッサ、描画パッケージ、または他のタイプのアプリケーションソフトウェアを使用して印刷するためのドキュメントを作成する。このドキュメントの準備が整った後にプリントコマンドが発行される。次いで画像ファイルが適切なプリンタドライバを使用してこのアプリケーションソフトウェアによって作成される。次いでこの画像ファイルは、印刷するためにこのプリンタに送られる。この画像が印刷されている用紙がこのプリンタを介して供給されるときに、このスキャンヘッドは、この用紙の一部分をスキャンする。このようにして収集されたこれらの散乱信号は、前述のようにデータポイントに変換され、デジタル署名が図9を参照して前述のプロセスに従って計算される。次いでデータベースレコードが生成されて、このデジタル署名だけでなく、この画像ファイルとこのドキュメント作成に関する関連した参考文献データも記憶される。
【0068】
このプリンタドライバによって生成される画像ファイルを記憶することは便利であるが、これだけが、ただ1つの可能性ではないことに留意されたい。この画像ファイルは、このプリンタドライバ画像ファイルから導き出される他のファイルタイプであってもよく、あるいはこのドキュメントを作成するために使用されるこのアプリケーションソフトウェアの好ましいフォーマット、またはこのアプリケーションソフトウェアによって作成される他のフォーマットの画像ファイルであってもよい。他の可能性としては、この画像ファイルが、印刷の後にこのドキュメントの再スキャンから導き出されることになるはずである。例えば、高度な給紙(および再給紙)オプションと一体化されたドキュメントスキャナとを有するネットワーク化されたフォトコピアマシンのフォーマットの印刷装置においては、これを自動的に行うことができる。この場合には、このデータベースに記憶される画像表現は、この基板上の任意の特徴、ならびにこの基板上に印刷されたものを含むはずである。例えば、この用紙がヘッダ付きの用紙である場合、このヘッダは含まれるはずである。これは、一部の状況においては有利なこともある。種々様々な解決方法が可能である。重要なすべてのことは、印刷されているもののある種の視覚表現を記憶することである。
【0069】
以上のテキストでは、一部の表現が印刷されている紙または他の基板に固有のデジタル署名と、印刷されているものの表現と一緒にデータベースに記憶されているデジタル署名を取得するためにドキュメントが生成されるときにはいつでもどのようにして印刷装置内部の光源でドキュメントがスキャンされるかについて説明している。以下のテキストでは、このようにして生成されたドキュメントがどのようにして後で信ぴょう性のあるものとして検証することができるかについて、あるいは代わりにどのようにしてドキュメントをテストして、これらのドキュメントがこの認可された光源によって生成されているかどうかを確証することができるかについて説明している。
【0070】
図11は、検証するためのドキュメントまたは他の物品を再スキャンするためのポータブルスキャナまたは読取り装置1の概略的側面図である。この光学的設計は、明らかなようにプリンタに適合させられた、図1Aのスキャンヘッドに関するものと大部分同じである。対応するコンポーネントについて同じ参照番号が比較を簡単にするために使用されている。これらの2つの設計の間の主要な違いは、図11のスキャナではスキャンヘッドを移動させ、この物品を静的に保持するが、前述のプリンタベースのスキャナでは、その静的なスキャンヘッドを通過させてこの紙を移動させる点にある。
【0071】
この光学的読取り装置1は、この装置の読取りボリュームに配置された物品(図示せず)からの署名を測定するためのものである。この読取りボリュームは、ハウジング12中のスリットである読取りアパーチャ7によって形成される。ハウジング12は、この装置の主要な光学コンポーネントを含んでいる。このスリットは、x方向(この図面中の挿入軸参照)に主として広がっている。これらの主要な光学コンポーネントは、コヒーレントなレーザビーム15を生成するためのレーザ光源14と、16a、16b、16cおよび16dとラベル付けされた複数のk個の光検出器エレメントから成る検出器構成16であり、ここでこの例においてはk=4である。レーザビーム15は、円筒形レンズ18により、(この図の平面に垂直な)y方向に延びており、この読取りアパーチャの平面内に存在する細長い焦点へと焦点が合わされる。一例のプロトタイプ読取り装置においては、この細長い焦点は、約2mmの長軸寸法と約40マイクロメートルの短軸寸法とを有する。これらの光学コンポーネントは、スキャンヘッドサブアセンブリ20内に含められる。この光学的設計のさらなる詳細については、とりわけ図1Aおよび1Bに関連して前述されており、したがってここでは反復されることはない。
【0072】
ドライブモータ22がハウジング12内に配置されて、矢印26によって示されるように、適切なベアリング24または他の手段を介してこの光学サブアセンブリ20の直線的な動きを実現する。このようにしてドライブモータ22は、読取りアパーチャ7上でこのコヒーレントなビームをx方向に直線的に移動させる役割を果たし、そのためにビーム15は、この細長い焦点の長軸を横切る方向にスキャンされる。
【0073】
このサンプリングについては、このプリンタスキャナに関して、すなわち図2に示されるように前述されており、したがってここでは反復されることはない。
【0074】
図12は、この読取り装置の機能コンポーネントのブロック概略図である。モータ22は、プログラマブル割込みコントローラ(PIC)30に電気リンク23を介して接続される。検出器モジュール16の検出器16a...dは、各電気接続線17a...dを介してPIC30の一部分であるアナログデジタルコンバータ(ADC)に接続される。光リンクまたは無線リンクが電気リンクの代わりに、あるいは電気リンクと組み合わせて使用されてもよいことが理解されよう。PIC30は、シリアル接続32を介してパーソナルコンピュータ(PC)34とインターフェースされる。PC34は、デスクトップまたはラップトップであってもよい。PCの代替物として、他のインテリジェントデバイス、例えば携帯型個人情報端末(PDA)または専用電子ユニットが使用されてもよい。PIC30とPC34は、一括してこれらの検出器16a...dによって収集されるデータポイントの組からこの物品の署名を決定するためのデータ収集処理モジュールを形成する。PC34は、インターフェース接続38を介してデータベース(dB)40に対してアクセスすることができる。データベース40は、メモリ中のPC34上に常駐してもよく、またそのドライブ上に記憶されてもよい。代わりに、データベース40は、PC34からリモートであってもよく、例えばインターネットと組み合わされた移動電話サービスまたは無線ローカルエリアネットワーク(LAN)を使用して無線通信によってアクセスされてもよい。さらに、データベース40は、PC34上にローカルに記憶されてもよいが、リモートソースから定期的にダウンロードされてもよい。
【0075】
データベース40は、以前に記録済みの署名のライブラリを含んでいる。PC34は、使用中にPC34がデータベース40にアクセスし、比較を行って、データベース40が、この読取りボリューム中に配置されたことがある物品の署名との一致を含むかどうかを確証するようにプログラムされる。
【0076】
図13は、その外形を示す読取り装置1の斜視図である。ハウジング12とスリット形の読取りアパーチャ7が、明らかに分かる。物理的配置補助器具(physical location aid)42も明らかに分かり、読取りアパーチャ7に対して固定された位置に所与の形状の物品を位置付けるために設けられている。図示の例においては、この物理的配置補助器具42は、ドキュメントまたはパッケージングボックスのコーナを配置することができる直角のブラケットの形をしている。これにより、この物品をスキャンする必要があるときはいつでもこの物品の同じ部分を読取りアパーチャ7に位置付けることができるようになる。簡単な角ブラケットまたは同等物が、紙、パスポート、IDカード、パッケージングボックスなど、明確なコーナを有する物品のためには十分である。
【0077】
パッケージングボックスでは、このスリットアパーチャに対する代替物は、適切なガイドホール、例えば長方形の箱の底面を受け入れるための長方形断面のホール、またはチューブ形の箱(すなわち、円筒形の箱)の底面を受け入れるための円形断面のホールを設けることになるはずである。
【0078】
図14は、署名データベースに対してどのようにしてスキャンから取得された物品の署名を検証することができる化を示す流れ図である。
【0079】
簡単な実装形態においては、このデータベースを単に検索して、この署名データの完全な組に基づいて一致を見出すことができる。しかし、この検証プロセスの速度を上げるためにこのプロセスは、これらのより小さなサムネイル、ならびに次に説明するような計算された平均値および相互相関係数に基づいた事前スクリーニングを使用することが好ましい。
【0080】
この検証プロセスは、前述の、すなわち図9に示されるスキャンステップS1からS8を実施するプロセスに従って、物品をスキャンした後に行われる。
【0081】
検証ステップV1は、各サムネイル入力を取得し、それとtk(i+j)との間の一致するビット数を評価し、ここでjは、このスキャンされる区域の配置のエラーを補償するために変化されるビットオフセットである。このjの値が決定され、次いで最大の一致するビット数を与えるサムネイル入力が決定される。これは、さらに処理するために使用される「ヒット」である。
【0082】
検証ステップV2は、このスキャンされたデジタル署名に対するこのレコードについて記憶されたこの完全なデジタル署名を解析する前に実施されるオプションとしての事前スクリーニングテストである。この事前スクリーニングにおいては、スキャンステップS8中に取得されたrms値がこのヒットのデータベースレコード中の対応する記憶された値に対して比較される。これらの各平均値が所定の範囲内で合致しない場合には、この「ヒット」はさらなる処理を拒否される。次いでこの物品は、非検証であるとして拒否される(すなわち、最後までジャンプし、不合格結果を発行する)。
【0083】
検証ステップV3は、この完全なデジタル署名を解析する前に実施されるさらなるオプションとしての事前スクリーニングテストである。この事前スクリーニングにおいては、スキャンステップS7において取得される相互相関係数がこのヒットのデータベースレコード中の対応する記憶された値に対して比較される。これらの各相互相関係数が所定の範囲内で合致しない場合にはこの「ヒット」は、さらなる処理を拒否される。次いでこの物品は、非検証であるとして拒否される(すなわち、最後までジャンプし、不合格結果を発行する)。
【0084】
検証ステップV4は、スキャンステップS5において取得されたスキャン済みのデジタル署名と、このヒットのデータベースレコード中の対応する記憶された値との間の主要な比較部である。この完全に記憶されたデジタル化された署名、すなわちdkdb(i)は、nブロックのk個の検出器チャネル上のq個の隣接するビットに分離され、すなわちブロック当たりにqkビットが存在する。qについての典型的な値は、4であり、kについての典型的な値は4であり、一般的にブロックごとに16ビットが作られる。次いで、このqkビットは、この記憶されたデジタル署名dkdb(i+j)中のqk個の対応するビットに対して一致が行われる。このブロック内の一致するビット数が、ある所定のしきい値zthresh以上である場合、次いでこの一致するブロック数は、増分される。zthreshについての典型的な値は13である。これは、すべてのnブロックについて反復される。この全体のプロセスは、最大の一致するブロック数が見出されるまで、jの異なるオフセット値について反復されて、このスキャンされる区域の配置におけるエラーが補償される。この最大の一致するブロック数としてMを定義し、偶然による一致の確率は、次式を評価することにより計算され、
【0085】
【数2】

【0086】
式中でsは、(代わりにzthresholdの選択された値に依存する)2つの任意のブロックの間の偶然の一致の確率であり、Mは、その一致するブロック数であり、p(M)は、偶然にM個以上のブロックが一致する確率である。このsの値は、同様な材料の異なる物体のスキャン、例えば紙のドキュメントの幾回かのスキャンなどからのデータベース内のブロックを比較することにより決定される。q=4、k=4およびzthreshold=13の場合では、本発明者らはsの典型的な値が0.1であることを見出している。このqkビットが完全に独立していた場合には、次いで確率論によれば、zthreshold=13についてs=0.01が与えられるはずである。本発明者らが経験的により大きな値を見出すことは、これらのk個の検出器チャネル間の相関と、また有限なレーザスポット幅に起因した、このブロック中の隣接ビット間の相関との理由による。この1枚の紙の典型的なスキャンは、この1枚の紙についてのデータベース入力と比べられるときに総計510個のブロックのうちから約314個の一致するブロックをもたらす。以上の式についてM=314、n=510、s=0.1を設定することにより、10-177の偶然による一致の確率が得られる。
【0087】
検証ステップV5は、この検証プロセスの結果を発行する。検証ステップV4において取得される確率の結果は、このベンチマークがあらかじめ定義された確率しきい値である合格/不合格テスト中で使用されてもよい。この場合には、この確率しきい値は、このシステムによってあるレベルに設定されてもよく、またこのユーザによって選択されたあるレベルに設定された可変パラメータであってもよい。代わりに、この確率の結果は、この確率それ自体としての生の形式で、あるいは相対語(例えば、一致なし/よくない一致/良好な一致/優れた一致)または他の分類を使用して修正された形式で、信頼性レベルとしてこのユーザに対して出力されてもよい。
【0088】
多数の変形形態が可能であることが理解されよう。例えば、これらの相互相関係数を事前スクリーニング成分として取り扱う代わりに、これらの相互相関係数は、この主要な署名の一部分としてこのデジタル化された強度データと一緒に取り扱うことができる。例えば、これらの相互相関係数は、デジタル化し、このデジタル化された強度データに追加することができる。これらの相互相関係数はまた、それら自体の上でデジタル化し、これらを使用してビットストリングなどを生成することができ、次いでこれらのビットストリングなどは、このデジタル化された強度データのサムネイルについて前述と同じようにして検索して、これらのヒットを見出すことができる。
【0089】
図15は、どのようにしてドキュメントが検証目的のためにスキャンされ、これらの結果がユーザに対して提示されるかの全体的なプロセスを示す流れ図である。先ずこのドキュメントは、図11から13のスキャニングシステムを使用してスキャンされる。次いで、このドキュメントの信ぴょう性が、図14のプロセスを使用して検証される。このデータベース中に一致するレコードが存在しない場合、「一致なし」の結果がこのユーザに対して表示される。一致が存在する場合には、これは、次に説明される形式でこのユーザに対して表示される。
【0090】
図16は、再スキャンされたドキュメントが、信ぴょう性があるものとして検証されるときに表示されるユーザインターフェースのスクリーンショットである。この主要な右側のウィンドウ中に、この一致するデジタル署名を有するデータベースレコードに記憶されるドキュメントの視覚表現が提示されている。これは、この一致するデジタル署名に関連するこのドキュメントの電子コピーである。この図においては、このドキュメントは、ローンを正式に提案する手紙である。他の例は、パスポートの写真ページであるが、無限の例が存在することが理解されよう。この画面の左側には、信頼性レベルのインジケータバーがある。これは、図14を参照して説明したようにこの確率の結果のグラフィックインジケータである。このバーには、一致品質の相対的インジケータとして左から右へ「不良-普通-良好-優秀(Poor-Normal-Good-Excellent)」とラベル付けされている。また、何らかの参考文献データも示され、すなわちこの大きなテキストウィンドウ中にこのドキュメントを説明する何らかの説明テキストが表示される。例えばこのアプリケーションソフトウェア環境がドキュメント管理システムを含むときに、これは、ソースにおいて自動的に生成することができる。より小さなテキストウィンドウは、このドキュメントが生成されたプリンタを識別する参考文献データと、それを生成したユーザのユーザIDと、その生成日付/時間を表示する。この画面の最下部の左角に示されるように、そのレコード番号などのデータベース統計データも示すことができる。
【0091】
このようにして、データベース一致が見出されるときに、このユーザには、このユーザに検証の追加の非公式のレイヤについてのユーザ自体の常識を適用できるようにする直感的なアクセス可能な形式の関連情報が提示されることが理解されよう。明らかに、このドキュメント画像は、この検証者に提示されるドキュメントのように見えるはずであり、この信頼性レベルやドキュメントの由来に関連した参考文献データなど、他のファクタに関心があることになる。この検証者は、彼らの経験を適用して、これらの様々な情報にそれ自体矛盾がないかどうかについての価値判断を行うことができるようになる。
【0092】
本発明のさらなる実装形態について次に説明する。
【0093】
図17は、バーコードを有するIDカード50を示している。このIDカードはまた、写真やホログラムなどの独立したセキュリティエレメント54を有していてもよく、また個人に固有の何らかの生物測定学情報を含んでいてもよい。このバーコードは、スキャン区域56の一部分として示されている。このIDカード上でこのスキャン区域には特徴がないので、このスキャン区域は、破線で示されている。このスキャン区域は、このバーコードを含む下部区域52とブランクの上部区域58とに再分割されている。IDカード50は、図6に示される種類の読取り装置によってスキャンされるように設計されており、ここではこれらの方向性検出器バンクのうちの1つを使用して、バーコード区域52がスキャンされ、他の2バンクを使用して、上部区域58がスキャンされる。この実施形態において、このバーコードは、本発明の方法を使用してこのブランクの上部区域をスキャンすることにより取得される署名を符号化している。
【0094】
換言すれば、このバーコードは、本発明の方法に従ってこのカードのブランクの上部区域をスキャンし、次いでこのバーコードをこの下部区域52上に印刷することにより、このIDカードの製造時に最初に適用されている。したがって、このIDカードには、その固有の構造、すなわち上部区域58中の表面構造の署名特性を用いてラベル付けされる。
【0095】
この基本アプローチを使用して、その固有の物理特性から取得されるこの物品自体の署名を符号化したラベルを用いて種々様々な物品、例えば紙または厚紙の物品、あるいはプラスチックの物品を含めて印刷可能な任意の物品にマーク付けすることができることが理解されよう。
【0096】
公に知られている符号化プロトコルに従ったバーコードまたは他のラベルの公開の性質を仮定すると、よく知られているRSAアルゴリズムに従うなど、このバーコードの作成のための非対称暗号化アルゴリズムを使用して、すなわち一方向機能を使用して、この署名が確実に変換されているようにすることが望ましい。好ましい実装形態は、このラベルが公開鍵/秘密鍵暗号化システムにおける公開鍵を表すというものである。このシステムが幾人かの異なる顧客によって使用される場合、各顧客がそれ自体の秘密鍵を所有し、そのために秘密鍵の開示によって、一人の顧客にしか影響を及ぼさなくなることが好ましい。したがって、このラベルはこの公開鍵を符号化し、この秘密鍵は、この認可された人と共にセキュリティ上安全に保たれる。
【0097】
一実施形態においては、フィーダを介して一枚の紙を2回パスさせることができるようにする複式シートフィーダを有する印刷装置が使用される。これについては、両面印刷の場合には各面に1回でもよく、この同じ面に2回印刷する場合にはこの同じ面に2回でもよい。この第1のパスを使用して、この印刷装置に一体化されたスキャンヘッドを使用してこのシートから固有のデジタル署名を獲得する。次いでこの第2のパスは、このデジタル署名の暗号化バージョンを含むバーコードまたは他の符号化ラベルをこの紙の上へ直接に印刷する。これは、このドキュメントに対する「データベースのない」検査の可能性をもたらすが、明らかにこのドキュメントの記憶された画像は、データベースを参照せずに検査することはできない。このバーコードに他の情報を追加することも可能である。これが有用となる可能性のある特定の例は、小切手の印刷である。この小切手の値と、オプションとしてこの小切手振出人の名前のハッシュもこのバーコードに含めることができる。
【0098】
他の実施形態においては、紙または他の印刷可能な物品が最初にスキャンされて、それによってどのような印刷が行われる前にもこのデジタル署名を決定することができるようになる。次いで、この画像とこのデジタル署名を符号化したバーコードの印刷を、1つのプリント動作で行うことができる。
【0099】
このバーコードまたは他のラベルを使用して、このデジタル署名に付随して、あるいはこのデジタル署名とは無関係に、他の情報を符号化することもできることがさらに理解されよう。
【0100】
このラベル付けアプローチのさらに確認されている利点は、初心者ユーザが、特別な知識なしには実行されている検証について知らないはずだということである。このユーザにとっては、この読取り装置が単にバーコードスキャナであり、スキャンされたものはバーコードであったと仮定することが自然なはずである。
【0101】
このラベル付けスキームを使用して、純粋にこのラベルに基づいて物品をデータベースにアクセスすることなく検証できるようにすることが可能である。これは、従来技術(非特許文献1)において報告された、失敗した銀行券スキームと概念的に類似したアプローチである。
【0102】
しかし、このラベル付けスキームは、データベース検証スキームと組み合わせて使用することができることも考えられる。例えば、このバーコードは、デジタル署名のサムネイル形式を符号化し、これを使用して、データベースを参照してスクリーニングするのに先立って高速な事前スクリーニングを可能にすることができる。一部のデータベース用途においては潜在的に、レコード数が巨大(例えば、数百万)になる可能性があり、検索戦略がクリティカルになってしまうはずなので、これは実際に非常に重要なアプローチになる可能性がある。ビットストリングの使用など、本質的に高速な検索技法が、重要となる可能性がある。
【0103】
サムネイルを符号化したバーコードの代替物として、このバーコード(または他のラベル)は、レコードロケータ(record locator)、すなわちインデックスまたはブックマークを符号化することも可能であり、このレコードロケータを使用して、さらに比較するためにこのデータベース中の正しい署名を高速に見出すことも可能である。
【0104】
他の変形形態は、データベースが使用可能でない(例えば、一時的にオフラインであるか、またはこのスキャンがインターネットアクセスのない非常にリモートな位置において行われている)場合に、このバーコード(または他のラベル)が、妥当ではあるが高信頼性ではない一致を得るために使用することができるサムネイル署名を符号化することである。次いでデータベースが使用可能である場合に、この同じサムネイルをこの主要データベース内に位置する高速レコードとして使用することができ、これによりさらに高信頼性の検証を実施することができるようになる。
【0105】
図18は、データ保持チップ54を組み込んだいわゆるスマートカードとしてのIDカード50の概略平面図である。チップ54が保持するデータは、この例では破線によって示されるように特徴がないが、例えば所望のどのような方法でも飾ることができ、あるいは写真を含むこともできるスキャン区域56から取得された、固有のIDカード50の測定された表面特性から取得されるデジタル署名を符号化した、署名を符号化したデータを含んでいる。
【0106】
図19は、保証ドキュメント50の概略平面図である。スキャン区域56は、図17のIDカードの例と同様の、固有の測定された表面特性から取得されたデジタル署名を符号化した、一方を他方の上に配列した2つのバーコードラベル52a、52bを含んでいる。これらのバーコード52a、52bは、概略的に示されるように人の署名59のためのデジタル署名スキャン区域58の上下に配列される。区域58は、少なくとも改ざん保護のための透明な接着剤カバーを用いてカバーされることが好ましい。
【0107】
多数の他の商用の例が考えられ、以上の図17から19は、例として提供されているものにすぎない。
【0108】
上記の詳細な説明から、この材料をコヒーレントな放射線にさらし、この材料の固有の構造からのこのコヒーレントな放射線の散乱を測定したデータポイントの組を収集し、このデータポイントの組からこの物品の署名を決定することにより、どのようにして紙または厚紙やプラスチックなど、印刷可能な材料から成る物品を作成し識別することができるかが理解されよう。
【0109】
このスキャン区域は、物品の印刷可能な表面上のそのサイズまたは位置の点に関して基本的に任意であることも理解されよう。必要なら、このスキャンは、例えばより大きな2次元区域をカバーするようにラスタ化された線形スキャンであってもよい。
【0110】
さらに、この物品をコヒーレントな放射線にさらし、この物品の固有の構造からのこのコヒーレントな放射線の散乱を測定したデータポイントの組を収集し、このデータポイントの組からこの製品の署名を決定することにより、どのようにしてこれを適用して、そのパッケージング、ドキュメントまたはプリント可能な衣類のアイテムによってある製品を識別することができるかが理解されよう。
【0111】
数値処理についての以上の説明から、このビームの局在性(localisation)の悪化(例えば、このコヒーレントなビームの部分最適な焦点に起因する読取りボリューム中におけるビーム断面の拡大)は、このシステムにとって破局的にはならないが、単にこの偶然の一致確率を増大させることにより、その性能を低下させるにすぎないことが理解されよう。したがって、この装置は、突然の不安定な故障ではなく、永続性のある漸進的な性能の低下をもたらす装置の変動に対して堅牢である。いずれにしても、この収集されたデータ上で自己相関を実施して、この応答データ中の特徴的な最小フィーチャサイズを確認することにより、読取り装置のセルフテストを実施し、それによってどのような装置の問題もピックアップすることが簡単になる。
【0112】
例えば、紙または厚紙に対して適用することができるさらなるセキュリティ対策は、このスキャンされる区域上に透明なシール(例えば、接着テープ)を接着するように接合することである。この接着剤は、十分強力であるように選択され、そのためにこれをはがすことは、検証スキャンを実施するために保持することが必須となっている、下にある表面構造を破壊してしまうことになる。この同じアプローチは、カード上の透明なポリマまたはプラスチックのフィルムの堆積に、あるいは同様な材料を用いたそのカプセル化に対して適用することもできる。
【0113】
前述のように、この読取り装置は、特に本発明を実装するように設計された装置で実施することができる。他の場合には、この読取り装置は、主として他の機能を念頭において設計された、フォトコピアマシン、ドキュメントスキャナ、ドキュメント管理システム、POSデバイス、ATM、航空券搭乗カード読取り装置、他のデバイスなどの装置に、適切な補助コンポーネントを追加することによって設計されることになる。
【0114】
以上で特に述べた実施形態に追加して、本発明の他の多数の変形形態についても、当業者によって考えられることになろう。
【0115】
本発明の特定の実施形態について説明してきたが、本発明の趣旨および範囲に含まれる多数の修正/追加および/または置換を行うことができることが理解されよう。
【符号の説明】
【0116】
1 光学的読取り装置、読取り装置
5 1枚の紙
7 読取りアパーチャ
9 最後のローラ対
10 スキャンヘッド
11 取付けブロック
12 ハウジング
14 レーザ光源
15 コヒーレントなレーザビーム
16 検出器構成、検出器モジュール
16a...d 光検出器エレメント
17a...d 電気接続線
18 円筒形レンズ
20 スキャンヘッドサブアセンブリ、光学サブアセンブリ
22 プリンタ、ドライブモータ、モータ
23 電気リンク
24 ベアリング
25 従来の接続
30 プログラマブル割込みコントローラ(PIC)
31 アナログデジタルコンバータ(ADC)
32 シリアル接続
34 パーソナルコンピュータ(PC)
36 データ収集処理モジュール
38 インターフェース接続
40 データベース(dB)
42 物理的配置補助器具
46 円筒形マイクロレンズアレイ
48 アレイ検出器、検出器アレイ
50 IDカード、保証ドキュメント
52 下部区域、バーコード区域
52a、52b バーコードラベル、バーコード
54 セキュリティエレメント、データ保持チップ
56 スキャン区域
58 上部区域、デジタル署名スキャン区域
59 人の署名

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証可能な物品を作成する方法であって、
前記物品の表面の複数の領域の各々の上で順次コヒーレントな光をスキャンし、前記コヒーレントな光が前記物品から散乱されるときに取得される信号からデータポイントのグループを含む組を収集するステップであって、前記データポイントのグループのうちの異なるデータポイントのグループの各々が、前記物品の表面のそれぞれ異なる領域からの表面構造によって引き起こされる散乱に関連するステップと、
前記データポイントのグループの組から前記物品のデジタル署名を決定するステップと、
画像と機械読取り可能符号化プロトコルに従って前記デジタル署名を符号化するラベルとを前記物品上に印刷するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記印刷するステップおよびスキャンするステップは、前記物品がそれぞれプリントヘッドおよびスキャンヘッドを通過させて搬送されるときに実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物品が、紙または厚紙のドキュメントである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記デジタル署名が、非対称暗号化アルゴリズムを使用して前記ラベルにおいて符号化される、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ラベルが、公開鍵/秘密鍵暗号化システムにおける公開鍵を表す、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
物品を搬送するように動作可能なフィードメカニズムと、
コヒーレントな光源と検出器構成とを組み込んだスキャンヘッドとを備えた印刷装置において、
前記コヒーレントな光源が、前記フィードメカニズムによって搬送される物品の表面の複数の領域の各々の上に順次光を方向付けるように構成され、前記検出器構成が、前記光が前記物品上をスキャンするときに取得される信号からデータポイントのグループを含む組を収集するように構成され、前記データポイントのグループのうちの異なるデータポイントのグループの各々が、前記物品の表面のそれぞれ異なる領域からの表面構造によって引き起こされる散乱に関連し、
前記印刷装置は、更に、前記データポイントのグループの組から前記物品のデジタル署名を決定して、機械読み取り可能な符号化プロトコルに従って前記デジタル署名を符号化する印刷可能なラベルパターンを決定するように動作可能なプロセッサと、
前記物品上に前記ラベルパターンを印刷するように動作可能なプリントヘッドとを備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
前記フィードメカニズムは、前記物品を複数回印刷することができるようにするために前記プリントヘッドを通過させて前記物品を少なくとも2回搬送するように動作可能であることを特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記物品は、紙または厚紙のドキュメントであることを特徴とする請求項6または7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記デジタル署名は、非対称暗号化アルゴリズムを使用して前記ラベル中に符号化されることを特徴とする請求項6から8のうちのいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記ラベルは、公開鍵/秘密鍵暗号化システムにおける公開鍵を表していることを特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
認証可能な物品を作成するための装置において、
印刷装置が画像を印刷するための命令を作成するように動作可能なプリンタドライバと、
印刷中に物品の表面の複数の領域の各々の上に順次光をスキャンすることにより取得される信号からのデータポイントのグループを含む組を受け取るためのデータ収集インターフェースとを備えていて、
前記データポイントのグループのうちの異なるデータポイントのグループの各々は、前記物品の表面のそれぞれ異なる領域からの前記光の表面構造によって引き起こされる散乱に関連していて、
前記装置は、更に、前記データポイントのグループの組から前記物品のデジタル署名を決定して、機械読み取り可能な符号化プロトコルに従って前記デジタル署名を符号化する印刷可能なラベルパターンを決定するためのプロセッサを備えていて、
前記プリンタドライバは、更に、前記印刷装置が前記物品上に前記ラベルパターンを印刷するための命令を作成するように動作可能であることを特徴とする装置。
【請求項12】
前記デジタル署名は、非対称暗号化アルゴリズムを使用して前記印刷可能なラベルパターンについて符号化されることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記印刷可能なラベルパターンは、公開鍵/秘密鍵暗号化システムにおける公開鍵を表していることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記物品は、紙または厚紙のドキュメントであることを特徴とする請求項11から13のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
物品の信ぴょう性を検証するための装置において、
物品の表面の複数の領域の各々の上で順次光をスキャンするように動作可能なコヒーレントな光源と、前記光がスキャンされるときに取得される信号からデータポイントのグループを含む組を収集するように構成された検出器構成とを組み込んだスキャニングデバイスを備えていて、
前記データポイントのグループのうちの異なるデータポイントのグループの各々は、前記物品の表面のそれぞれ異なる領域からの前記光の表面構造によって引き起こされる散乱に関連していて、
前記装置は、更に、前記データポイントのグループの組から前記物品のデジタル署名を決定するように動作可能なプロセッサと、
前記物品から印刷されたラベルを読み取るように動作可能な読み取りデバイスと、
前記読み取られたラベルから前記物品に対して予め決められていた署名を解読するように動作可能なデコーダと、
前記決定されたデジタル署名と前記予め決められていたデジタル署名との間に一致が存在するかどうかを確認するように動作可能な署名検証モジュールとを備えていることを特徴とする装置。
【請求項16】
更に、前記一致の信頼性レベルを決定するように動作可能であることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記物品は、紙または厚紙のドキュメントであることを特徴とする請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
前記デコーダは、非対称暗号化アルゴリズムを使用して前記読み取られたラベルから予め決められていた署名を解読するように動作可能であることを特徴とする請求項15から17のうちのいずれか一項に記載の装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図1A】
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【図1B】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−70396(P2012−70396A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231713(P2011−231713)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【分割の表示】特願2007−502393(P2007−502393)の分割
【原出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(510308791)インジェニア・テクノロジー・(ユーケイ)・リミテッド (7)
【Fターム(参考)】