認証方法、登録装置、照合装置及びプログラム
【課題】認証精度を向上できるようにする。
【解決手段】複数の縮小登録画像それぞれを基準とし、当該基準とした縮小登録画像に対する、複数の縮小登録画像の類似度により、該複数の縮小登録画像における第1の順位を決定する。また、縮小比較画像に対する複数の縮小登録画像の類似度により、該複数の縮小登録画像における第2の順位を決定する。そして、第1の順位のなかに、第2の順位との順位相関値が所定の閾値以上となるものがない場合には、登録者本人であることの承認を否定する。
【解決手段】複数の縮小登録画像それぞれを基準とし、当該基準とした縮小登録画像に対する、複数の縮小登録画像の類似度により、該複数の縮小登録画像における第1の順位を決定する。また、縮小比較画像に対する複数の縮小登録画像の類似度により、該複数の縮小登録画像における第2の順位を決定する。そして、第1の順位のなかに、第2の順位との順位相関値が所定の閾値以上となるものがない場合には、登録者本人であることの承認を否定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は認証方法、登録装置、照合装置及びプログラムに関し、バイオメトリクス認証に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生体的特徴の1つとして血管が着目されている。認証装置は、例えば指の撮像結果として得られる画像データにおける血管を抽出し、該抽出した血管パターンと、登録された血管パターンとの照合結果(相関値)が所定の閾値以上であるときには登録者本人であると承認するようになされている。
【0003】
この種の認証装置には、該認証装置対して第三者が正規登録者として不正に承認を受ける、いわゆるなりすましを防止する対策が講じられている場合がある。
【0004】
例えば、認証要求時に入力される認証データと、登録データとを照合する第1の照合処理、及び、当該認証データと、前回入力され、認証された過去の認証データとを照合する第2の照合処理を実行し、第1の照合処理結果が一致しかつ第2の照合結果が一致しなかった場合には認証する一方、第1の照合処理結果及び第2の照合結果が一致した場合には認証を却下するようにして、正規の利用者が認証のために入力した認証データを第三者が不正に入手し利用しようとしても、認証を却下できるようにした手法がある(例えば特許文献1)。
【0005】
ところで、指の代わりに例えば大根を撮像した場合、大根の内部に張り巡らされている道管、師管及び維管束等が生体内の血管と似ていることに起因して、血管の形成パターン(以下、これを血管パターンと呼ぶ)と似たパターン(以下、これを擬似血管パターンと呼ぶ)が得られ、当該大根等によってなりすましが可能であるということが報告されている(非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−259345公報
【非特許文献1】松本 勉、“金融取引における生体認証について”、[online]、2005年4月15日、金融庁・第9回偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ、[2006年8月21日検索]、インターネット<URL:http://www.fsa.go.jp/singi/singi_fccsg/gaiyou/f-20050415-singi_fccsg/02.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで上述の手法では、現在の入力と過去の入力との関係でなりすましを検出しようとするものであるため、例えば、登録データと一致するまで大根等によって擬似血管パターンが連続的に入力された場合など、擬似的に登録データと一致するような乱数データが入力された場合には、第三者でありながら登録者本人であると承認されるといった事態が起こることになり、この結果、成りすましされる可能性が高くなる。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、認証精度を向上し得る認証方法、登録装置、照合装置及びプログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明は、認証方法であって、複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける第1の順位を決定し、複数の登録データの比較対象となるデータに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける第2の順位を決定し、複数の登録データそれぞれを基準として決定された各第1の順位と、第2の順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、データと複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定するようにした。
【0009】
また本発明は、登録装置であって、複数の登録データそれぞれを基準とし、当該基準とした一の登録データに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定する順位決定手段と、複数の登録データそれぞれを基準として決定された各第1の順位を、記憶手段に記憶するように該記憶手段を制御する記憶制御手段とを設けるようにした。
【0010】
さらに本発明は、照合装置であって、複数の登録データと照合されるデータに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定する順位決定手段と、複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、複数の登録データとの類似度により該複数の登録データにおける順位が記憶される記憶手段と、複数の登録データそれぞれを基準として記憶手段に記憶された各順位と、順位決定手段により決定された順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、データと複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定する照合手段とを設けるようにした。
【0011】
さらに本発明は、プログラムであって、記憶手段を制御するコンピュータに対して、記憶手段に記憶された複数の登録データそれぞれを基準とし、当該基準とした一の登録データに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定すること、複数の登録データそれぞれを基準として決定された各第1の順位を、記憶手段に記憶することを実行させるようにした。
【0012】
さらに本発明は、プログラムであって、複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位が記憶された記憶手段を制御するコンピュータに対して、複数の登録データと照合されるデータに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定すること、複数の登録データそれぞれを基準として記憶手段に記憶された各順位と、当該決定された順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、データと複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定することを実行させるようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の登録データを類似という尺度により順位付けし、この順位付け自体を、登録者の有無を判定する要素の1つとすることで、順位相関が所定の閾値以上であれば、当該比較データは、その順位をもつ登録データである可能性が高く、他の登録データとの関係性も順位相関により似ていることが確認できるため、一時的に登録データと一致するような擬似データとして不正に入力されたものではないということを把握することができる。
【0014】
この結果、単に比較画像と登録画像とを照合する場合に比して、一時的に登録データと一致するような擬似データが入力された場合であっても、第三者でありながら登録者本人であると承認されるといった、いわゆるなりすましをより一段と防止することができ、かくして認証精度を向上し得る認証方法、登録装置、照合装置及びプログラムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面について、本発明を適用した一実施の形態を詳述する。
【0016】
(1)本実施の形態による認証装置の全体構成
図1において本実施の形態による認証装置1を示す。この認証装置1は、制御部10に対して、操作部11と、撮像部12と、フラッシュメモリ13と、インターフェース14と、通知部15とをそれぞれバス16を介して接続することにより構成される。
【0017】
制御部10は、認証装置1全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム及び設定情報が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)とを含むマイクロコンピュータとして構成される。
【0018】
この制御部10には、登録対象のユーザ(以下、これを登録者と呼ぶ)の血管を登録するモード(以下、これを血管登録モードと呼ぶ)の実行命令COM1又は登録者本人を承認するモード(以下、これを認証モードと呼ぶ)の実行命令COM2などの各種命令が、ユーザ操作に応じて操作部11から与えられる。
【0019】
制御部10は、かかる実行命令COM1、COM2に基づいて実行すべきモードを決定し、この決定結果に対応するプログラムに基づいて、撮像部12、フラッシュメモリ13、インターフェース14及び通知部15を適宜制御することによって、血管登録モード又は認証モードを実行するようになされている。
【0020】
(1−1)血管登録モード
具体的に制御部10は、実行すべきモードとして血管登録モードを決定した場合、動作モードを血管登録モードに遷移し、撮像部12を制御する。
【0021】
この場合、撮像部12の駆動制御部12aは、この認証装置1における所定位置に近赤外光を照射する1又は2以上の近赤外光光源LSと、例えばCCD(Charge Coupled Device)でなる撮像素子IDとを駆動制御する。
【0022】
また駆動制御部12aは、被写体に焦点が合うように光学系OPにおける光学レンズのレンズ位置を調整する。さらに駆動制御部12aは、制御部10により設定された露出値(EV(Exposure Value)値)に基づいて、絞りDHの絞り値を調整するとともに、撮像素子IDに対するシャッター速度(露出時間)を調整する。
【0023】
この実施の形態における認証装置1では、撮像対象として指が採用されており、所定の撮像位置に指が配された場合、近赤外光光源LSから指に照射された近赤外光は、当該指内方を反射及び散乱するようにして経由し、血管を投影する血管投影光として撮像素子IDに入射する。撮像素子IDは、この血管投影光を所定周期で光電変換し、当該光電変換結果を画像信号S1i(i=1、2、3、……、m(mは整数))として、駆動制御部12aを介して制御部10に供給する。
【0024】
制御部10は、この画像信号S1iのうち、操作部11から登録開始命令が与えられた時点に入力される画像信号S1mの輝度に応じて血管パターンの有無を判定する。そして制御部10は、血管パターンがあると判定した場合には、画像信号S1mに対して所定の画像処理を施すことによって、画像内の血管パターンを抽出し、当該抽出画像を、登録者のデータ(以下、これを登録画像データと呼ぶ)D1X(x=1、2、3、……、又はn)として、フラッシュメモリ13に記憶することにより登録する。
【0025】
また、制御部10は、登録画像データD1xを登録したとき、一人の登録者に対する登録回数として設定された数を満たしているか否かを判定する。そして制御部10は、登録数に満たない場合には、撮像位置に同一の指を配置し直して再登録すべきことを、通知部15の表示部15aを介して表示するとともに、音声出力部15bを介して音声出力することによって登録者に通知し、撮像位置に対する複数の位置に対応する血管パターンを登録画像データD1j(j=1、2、3、……、n(nは整数))として登録する。これにより制御部10は、登録者本人でありながら第三者であると承認されるといった事態を低減し得るようになされている。
【0026】
このようにしてこの制御部10は、血管登録モードを実行することができるようになされている。
【0027】
(1−2)認証モード
一方、制御部10は、実行すべきモードとして認証モードを決定した場合には、認証モードに遷移し、血管登録モードの場合と同様にして撮像部12を制御する。
【0028】
この場合、撮像部12は、血管登録モードと同様にして、光学系OPにおける光学レンズのレンズ位置する一方、制御部10により設定された露出値に基づいて絞りDHの絞り値と、撮像素子IDに対するシャッター速度とを調整し、当該調整後に撮像素子IDから出力される画像信号S2k(k=1、2、3、……、M(Mは整数))を制御部10に供給する。
【0029】
制御部10は、この画像信号S2kの輝度に応じて血管パターンの有無を判定する。そして制御部10は、血管パターンがあると判定した場合には、該画像信号S2kのうち一の画像信号S2に対して、上述の血管登録モードの場合と同一の画像処理を施すとともに、このときフラッシュメモリ13に登録された登録画像データD1iを読み出す。
【0030】
そして制御部10は、この画像処理結果として抽出される血管パターンと、登録画像データD1iのなかから選択した一の登録画像データの血管パターンとを照合し、当該合致の程度に応じて登録者(正規ユーザ)であるか否かを判定する。
【0031】
ここで、制御部10は、登録者であると判定したときには、インターフェース14に接続された動作処理装置(図示せず)に対して所定の動作を行わせる実行命令COM3を生成し、これをインターフェース14を介して動作処理装置に転送する。
【0032】
このインターフェース14に接続された動作処理装置の実施態様として、例えば閉錠状態にあるドアを採用した場合、制御部10は、開錠動作を行わせる実行命令COM3をドアに転送する。また他の動作処理装置の実施態様例として、複数の動作モードのうち一部の動作モードを制限した状態にあるコンピュータを採用した場合、制御部10は、その制限された動作モードを開放させる実行命令COM3をコンピュータに転送する。
【0033】
なお、実施態様として2つ例を挙げたが、これらに限らず、他の実施態様も適宜選択することができる。また、本実施の形態では、動作処理装置をインターフェース14に接続するようにしたが、当該動作処理装置におけるソフトウェア乃至ハードウェアの構成をこの認証装置1に搭載するようにしてもよい。
【0034】
これに対して、制御部10は、登録者ではないと判定したときには、その旨を通知部15の表示部15aを介して表示するとともに、当該通知部15の音声出力部15bを介して音声出力することによって、当該登録者ではないと判定されたことを視覚的及び聴覚的に通知する。
【0035】
このようにしてこの制御部10は、認証モードを実行することができるようになされている。
【0036】
(2)制御部の具体的な処理内容
次に、制御部の処理内容の一部を、血管登録モードの場合及び認証モードの場合に分けてそれぞれ具体的に説明する。
【0037】
(2−1)血管登録モードの場合
この血管登録モードにおける制御部10の処理の一部の処理は、機能的には、図2に示すように、特徴抽出部21、縮小画像生成部22、順位決定部23及び登録部24にそれぞれ分けることができる。以下、これら特徴抽出部21、縮小画像生成部22、順位決定部23及び登録部24について説明する。
【0038】
ただし、説明の便宜上、一人の登録者に対する登録回数として設定された数は3回とし、フラッシュメモリ13には、1、2回目に対応する登録画像データD11、D12が既に登録されていることとする。
【0039】
特徴抽出部21は、3回目の登録開始命令が操作部11から与えられた時点に撮像部12から入力される画像信号S1mに対して、例えば、A/D(Analog/Digital)変換処理、輪郭抽出処理、画像切出処理、平滑化処理、2値化処理及び細線化処理を順次施し、画像内における血管パターンを抽出する。
【0040】
また特徴抽出部21は、これら各種処理の結果として得られる画像データを、登録画像データD13として、縮小画像生成部22及び登録部24に送出する。
【0041】
縮小画像生成部22は、登録画像データD13における画像サイズを所定の縮小率で縮小し、該縮小された登録画像データ(以下、これを縮小登録画像データと呼ぶ)D23を順位決定部23に送出する。
【0042】
順位決定部23は、一人の登録者に対する登録回数として設定された数となるまで、縮小画像生成部22から供給される縮小登録画像データD2を一時記憶するようになされており、当該設定数分の縮小登録画像データD2(D21、D22、D23)が与えられた場合には、これら縮小登録画像の順位を、類似度により決定するようになされている。
【0043】
具体的には、図3に示すように、順位決定部23は、縮小登録画像データD21、D22、D23の各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値を求める。ちなみに、この図3では、縮小登録画像IM1及びIM2の相互相関値は「0.9」、縮小登録画像IM1及びIM3の相互相関値は「0.8」、縮小登録画像IM2及びIM3の相互相関値は「0.6」とされる。
【0044】
そして順位決定部23は、図3(A)に示すように、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3のうち、縮小登録画像IM1を基準としたときに、該基準とした縮小登録画像IM1に対する、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値が大きい順に、当該縮小登録画像IM1、IM2、IM3の順位を決定し、該順位を表すデータ(以下、これを第1の順位データと呼ぶ)RKD1を、登録部24に送出する。
【0045】
ちなみに、基準とした縮小登録画像IM1と、縮小登録画像IM1とは同一の画像であるため、相互相関値は「1」となる。
【0046】
同様に、順位決定部23は、図3(B)に示すように、縮小登録画像IM2を基準としたときに、該基準とした縮小登録画像IM2に対する、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値が大きい順に、当該縮小登録画像IM1、IM2、IM3の順位を第1の順位データRKD2として登録部24に送出し、また図3(C)に示すように、縮小登録画像IM3を基準としたときに、該基準とした縮小登録画像IM3に対する、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値が大きい順に、当該縮小登録画像IM1、IM2、IM3の順位を第1の順位データRKD3として登録部24に送出する。
【0047】
このように順位決定部23は、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3それぞれを基準とし、当該基準とした縮小登録画像IMに対する、縮小登録画像IM1、IM2、IM3の類似度により、該縮小登録画像IM1、IM2、IM3における順位を決定するようになされている。
【0048】
ちなみに、図4において、縮小前の画像(図4(A))と、縮小後の画像(図4(B))とを示す。この図4に示される画像に対して付される縦横の数値は、それぞれ画像サイズ[pixel]を表しており、縮小後の画像は、縮小前の画像に対して1/16となっている。
【0049】
この図4からも明らかなように、血管パターンは、縮小により大まかとなるが、相違は明確である。したがって、順位決定部23は、精度を低減することなく、類似度を求める際の処理負荷を抑えることができ、この結果、正確かつ短時間順位決定することができるようになされている。
【0050】
登録部24は、特徴抽出部21から供給されるD13をフラッシュメモリ13に登録し、また順位決定部23から供給される第1の順位データRKD1〜RKD3を、当該順位データRKDの基準となった登録データD11〜D13に対応付けて登録するようになされている。
【0051】
(2−2)登録処理手順
次に、この血管登録モードの登録処理手順を説明する。図5に示すように、制御部10は、血管登録モードの実行命令COM1(図1)を受けると、この登録処理手順RT1を開始し、ステップSP1において、登録画像を生成し、続くステップSP2において、設定登録数の登録画像IM1〜IM3を得たか否かを判定する。
【0052】
ここで、制御部10は、設定登録数の登録画像を得ていないと判定した場合には、ステップSP1に戻って上述の処理を繰り返す。これに対して制御部10は、設定登録数の登録画像を得たと判定した場合、ステップSP3に進んで、当該登録画像を縮小して縮小登録画像IM1〜IM3(図3)を生成する。
【0053】
また制御部10は、続くステップSP4において、図3で上述したように、各縮小登録画像IM1〜IM3それぞれを基準として、当該縮小登録画像IM1〜IM3における順位を第1の順位データRKD1〜RKD3として生成する。
【0054】
そして制御部10は、続くステップSP5において、第1の順位データRKD1〜RKD3を、当該順位データRKD1、RKD2、RKD3の基準となった縮小登録画像の登録画像データD11、D12、D13に対応付けてフラッシュメモリ13に登録した後、この登録処理手順RT1を終了する。
【0055】
このようにして制御部10は、血管登録モードを実行することができるようになされている。
【0056】
(2−3)認証モードの場合
この認証モードにおける制御部10の処理の一部の処理は、機能的には、図2との対応部分に同一符号を付した図6に示すように、特徴抽出部21、縮小画像生成部32、順位決定部33及び登録部34にそれぞれ分けることができる。以下、縮小画像生成部32、順位決定部33及び登録部34について説明する。
【0057】
ただし、説明の便宜上、一人の登録者に対する登録回数として設定された数は3回とし、フラッシュメモリ13には、1、2、3回目に対応する登録画像データD11、D12、D13が登録されていることとする。
【0058】
この縮小画像生成部32には、撮像部12から供給される画像信号S2kのうち一の画像信号S2に対して特徴抽出部21において各種処理が施され、登録画像に対する比較対象の画像(以下、これを比較画像と呼ぶ)のデータ(以下、これを比較画像データと呼ぶ)D11が、該特徴抽出部21から入力される。
【0059】
縮小画像生成部32は、この比較画像データD1における画像サイズを所定の縮小率で縮小し、当該縮小された比較画像(以下、これを縮小比較画像と呼ぶ)のデータ(以下、これを縮小比較画像データと呼ぶ)D12を順位決定部33に送出する。
【0060】
また縮小画像生成部32は、上述の血管登録モードの実行によりフラッシュメモリ13に登録された登録画像データD11、D12、D13を読み出して縮小し、この結果得られる縮小登録画像データD21、D22、D23を順位決定部33に送出する。
【0061】
順位決定部33は、縮小登録画像データD21、D22、D23における各縮小登録画像の順位を、縮小比較画像データD12における縮小比較画像に対する各縮小登録画像の類似度により決定する。
【0062】
具体的には、図7に示すように、順位決定部33は、縮小比較画像IMxに対する、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値を求める。そして順位決定部33は、縮小比較画像IMxに対する、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値が大きい順に、当該縮小登録画像IM1、IM2、IM3の順位を決定し、該順位を表すデータ(以下、これを第2の順位データと呼ぶ)RKDXを、照合部34に送出する。
【0063】
照合部34は、図8に示すように、上述の血管登録モードの実行によりフラッシュメモリ13に登録された第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3を読み出し、これらと、順位決定部33から供給される第2の順位データRKDXとを順位相関値により照合する。
【0064】
ここで、第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3のなかに、第2の順位データRKDXとの順位相関値が所定の閾値以上のものがあった場合、このことは、縮小比較画像IMxが、その順位をもつ登録画像の縮小登録画像である可能性が高いことを意味するとともに、縮小比較画像IMxが、その縮小登録画像以外の縮小登録画像との関係性も似ているものであるため、一時的に登録データと一致するような擬似データとして不正に入力されたものではないことを意味する。
【0065】
この場合、照合部34は、第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3のうち、第2の順位データRKDXと一致する例えば第1の順位データRKD1に対応する登録データD11を読み出し、該読み出した登録データD11と、特徴抽出部21から供給される比較画像データD11との画像を相互相関により照合する。そして照合部34は、この相互相関値が所定の閾値以上である場合には登録者であると判定し、これに対して閾値未満である場合には登録者ではないと判定するようになされている。
【0066】
一方、第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3のなかに、第2の順位データRKDXとの順位相関値が所定の閾値以上のものがなかった場合、このことは、縮小比較画像IMxがいずれの登録画像IM1、IM2、IM3とも一致しない、もしくは、仮に、一の登録画像IMと一致したとしても、一時的に登録データと一致するような擬似データとして不正に入力されたものであることを意味する。
【0067】
この場合、照合部34は、登録者であることの承認を否定する、つまりこの認証モードを停止するようになされている。
【0068】
(2−4)認証処理手順
次に、この認証モードの認証処理手順を説明する。図9に示すように、制御部10は、認証モードの実行命令COM2(図1)を受けると、この認証処理手順RT2を開始し、ステップSP11において、比較画像を生成し、続くステップSP12において、この比較画像と、フラッシュメモリ13に登録された複数の登録画像とを縮小して縮小比較画像IMx(図7)と、縮小登録画像IM1〜IM3(図7)とを生成する。
【0069】
そして制御部10は、ステップSP13において、図7に示したように、縮小比較画像IMxに対する縮小登録画像IM1〜IM3の類似度により、当該縮小登録画像IM1〜IM3の順位を第2の順位データRKDxとして生成し、続くステップSP14において、フラッシュメモリ13に登録された第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3のなかに、第2の順位データRKDXとの順位相関値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
【0070】
これに対して、制御部10は、順位相関値が所定の閾値以上である場合には、ステップSP15に進んで、第2の順位データRKDXとの順位相関値が所定の閾値以上となった順位(第1の順位データRKD)に対応する登録画像と、比較画像とを所定の相互相関関数により照合し、続くステップSP16において、当該照合結果として得られる相互相関値が所定の閾値以上となるか否かを判定する。
【0071】
そして制御部10は、このステップSP16において相互相関値が所定の閾値以上であると判定した場合には、ステップSP17に進んで、所定の機能を実行させた後、この認証処理手順RT2を終了する。
【0072】
一方、制御部10は、このステップSP16において相互相関値が所定の閾値未満であると判定した場合、又は、ステップSP14において順位相関値が所定の閾値未満となると判定した場合には、ステップSP18に進んで、登録者であることの承認を否定する旨を通知部15(図1)を介して通知し、この認証処理手順RT2を終了する。
【0073】
このようにして制御部10は、認証モードを実行することができるようになされている。
【0074】
(3)動作及び効果
以上の構成において、この認証装置1は、図3に示したように、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3それぞれを基準とし、当該基準とした縮小登録画像IMに対する、縮小登録画像IM1、IM2、IM3の類似度により、該縮小登録画像IM1、IM2、IM3における順位を決定する(第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3を生成する)。
【0075】
また認証装置1は、図7に示したように、縮小比較画像IMxに対する各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の類似度により、該縮小登録画像IM1、IM2、IM3における順位を決定する(第2の順位データRKDXを生成する)。
【0076】
そして認証装置1は、第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3のなかに、第2の順位データRKDXとの順位相関値が所定の閾値以上となるものがない場合には、登録者本人であることの承認を否定する。
【0077】
つまり、この認証装置1は、複数の縮小登録画像を類似の程度という尺度により順位付けし、この順位付け自体を、登録者の有無を判定する要素の1つとする。したがってこの認証装置1は、縮小比較画像と複数の縮小登録画像とにおける第2の順位データRKDXと、各登録画像とともに登録されている第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3との順位相関が所定閾値以上であれば、縮小比較画像が、第2の順位データRKDXとの間で所定閾値以上の順位相関をもつ第1の順位データRKDに対応する登録画像の縮小登録画像である可能性が高く、その縮小登録画像以外の縮小登録画像との関係性も似ているということが確認できるため、一時的に登録データと一致するような擬似データとして不正に入力されたものではないということを把握することができる。
【0078】
この結果、この認証装置1は、単に縮小比較画像と縮小登録画像とを照合する場合に比して、一時的に登録データと一致するような擬似画像が入力された場合であっても、第三者でありながら登録者本人であると承認されるといった事態を防止することができる。
【0079】
これに加えて、この認証装置1は、順位付け時における画像の類似度を、縮小画像により求めているため、例えば浮動小数点の計算ができない等、CPUの処理能力に一定の制限がある場合であっても、順位付け精度を低減することなく、登録時間及び照合時間を短縮することができる。
【0080】
以上の構成によれば、時的に登録データと一致するような擬似画像が入力を把握できるようにしたことにより、いわゆるなりすましを低減することができ、かくして認証精度を向上し得る認証装置1を実現できる。
【0081】
(4)他の実施の形態
上述の実施の形態においては、登録データとして、血管パターンの画像を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、指紋、口紋又は神経等、この他種々の生体パターンの画像を適用することができ、また例えば暗証番号等のように、画像以外にも適用することができる。
【0082】
また上述の実施の形態においては、順位データの照合後に、画像の照合を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画像の照合後に、順位データの照合を実行するようにしてもよい。
【0083】
さらに上述の実施の形態においては、順位データの順位の決定を、相互相関値が大きい順とした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、相互相関値が小さい順とするようにしてもよい。
【0084】
さらに上述の実施の形態においては、画像を縮小した後の縮小画像の類似度に基づいて順位を決定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該画像の縮小を省略するようにしてもよい。
【0085】
さらに上述の実施の形態においては、複数の登録画像データの取得手法として、撮像位置に同一の指を配置し直して再撮像し、該撮像画像に対して特徴抽出処理を施すようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図10に示すように、撮像部12の撮像範囲内における所定の載置位置で指腹面の湾曲に沿って回転される指を連続撮像し、又は、静止された指の指腹面の湾曲に沿って撮像部12を回転させて連続撮像し、該撮像画像の全部又は一部に対して特徴抽出処理を施すようにしてもよい。
【0086】
また同一人の同一部位における複数の生体パターンを取得するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、グループとして割り当てられた複数人の同一部位における一の生体パターンを取得するようにしてもよい。要は、同一の生体部位に対する、所定の撮像範囲のうち異なる撮像位置での撮像画像から得られた登録画像であれば、当該用途に応じて種々の態様を適用することができる。
【0087】
さらに上述の実施の形態においては、制御部10がROMに格納されたプログラムをRAM上に展開し、そのプログラムに従って血管登録モード及び認証モードを実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、半導体メモリ等の記録媒体からインストールしたプログラムや、インターネットからダウンロードしたプログラムに従って血管登録モード及び認証モードを実行するようにしてもよい。
【0088】
さらに上述の実施の形態においては、特徴抽出部21、縮小画像生成部22、32、順位決定部23、33、登録部24及び照合部34をソフトウェアにより構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これら全部又は一部をハードウェアにより構成するようにしてもよい。
【0089】
さらに上述の実施の形態においては、撮像機能、照合機能及び登録機能を有する認証装置1を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該機能ごとに単体の装置に分けた態様で適用する等、用途等に応じて種々の態様で適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、認証の分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施の形態による認証装置の構成を示すブロック図である。
【図2】血管登録モードにおける制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】登録画像間の順位付けの説明に供する略線図である。
【図4】縮小前後の画像を示す略線図である。
【図5】登録処理手順を示すフローチャートである。
【図6】認証モードにおける制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図7】照合画像と登録画像間の順位付けの説明に供する略線図である。
【図8】順位付けの照合の説明に供する略線図である。
【図9】認証処理手順を示すフローチャートである。
【図10】指の撮像状況を示す略線図である。
【符号の説明】
【0092】
1……認証装置、10……制御部、11……操作部、12……撮像部、12a……駆動制御部、13……フラッシュメモリ、14……外部インターフェース、15……通知部、15a……表示部、15b……音声出力部、21……特徴抽出部、22、32……縮小画像生成部、23、33……順位決定部、24……登録部、35……照合部、RT1……登録処理手順、RT2……認証処理手順。
【技術分野】
【0001】
本発明は認証方法、登録装置、照合装置及びプログラムに関し、バイオメトリクス認証に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、生体的特徴の1つとして血管が着目されている。認証装置は、例えば指の撮像結果として得られる画像データにおける血管を抽出し、該抽出した血管パターンと、登録された血管パターンとの照合結果(相関値)が所定の閾値以上であるときには登録者本人であると承認するようになされている。
【0003】
この種の認証装置には、該認証装置対して第三者が正規登録者として不正に承認を受ける、いわゆるなりすましを防止する対策が講じられている場合がある。
【0004】
例えば、認証要求時に入力される認証データと、登録データとを照合する第1の照合処理、及び、当該認証データと、前回入力され、認証された過去の認証データとを照合する第2の照合処理を実行し、第1の照合処理結果が一致しかつ第2の照合結果が一致しなかった場合には認証する一方、第1の照合処理結果及び第2の照合結果が一致した場合には認証を却下するようにして、正規の利用者が認証のために入力した認証データを第三者が不正に入手し利用しようとしても、認証を却下できるようにした手法がある(例えば特許文献1)。
【0005】
ところで、指の代わりに例えば大根を撮像した場合、大根の内部に張り巡らされている道管、師管及び維管束等が生体内の血管と似ていることに起因して、血管の形成パターン(以下、これを血管パターンと呼ぶ)と似たパターン(以下、これを擬似血管パターンと呼ぶ)が得られ、当該大根等によってなりすましが可能であるということが報告されている(非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−259345公報
【非特許文献1】松本 勉、“金融取引における生体認証について”、[online]、2005年4月15日、金融庁・第9回偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループ、[2006年8月21日検索]、インターネット<URL:http://www.fsa.go.jp/singi/singi_fccsg/gaiyou/f-20050415-singi_fccsg/02.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで上述の手法では、現在の入力と過去の入力との関係でなりすましを検出しようとするものであるため、例えば、登録データと一致するまで大根等によって擬似血管パターンが連続的に入力された場合など、擬似的に登録データと一致するような乱数データが入力された場合には、第三者でありながら登録者本人であると承認されるといった事態が起こることになり、この結果、成りすましされる可能性が高くなる。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、認証精度を向上し得る認証方法、登録装置、照合装置及びプログラムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するため本発明は、認証方法であって、複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける第1の順位を決定し、複数の登録データの比較対象となるデータに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける第2の順位を決定し、複数の登録データそれぞれを基準として決定された各第1の順位と、第2の順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、データと複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定するようにした。
【0009】
また本発明は、登録装置であって、複数の登録データそれぞれを基準とし、当該基準とした一の登録データに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定する順位決定手段と、複数の登録データそれぞれを基準として決定された各第1の順位を、記憶手段に記憶するように該記憶手段を制御する記憶制御手段とを設けるようにした。
【0010】
さらに本発明は、照合装置であって、複数の登録データと照合されるデータに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定する順位決定手段と、複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、複数の登録データとの類似度により該複数の登録データにおける順位が記憶される記憶手段と、複数の登録データそれぞれを基準として記憶手段に記憶された各順位と、順位決定手段により決定された順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、データと複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定する照合手段とを設けるようにした。
【0011】
さらに本発明は、プログラムであって、記憶手段を制御するコンピュータに対して、記憶手段に記憶された複数の登録データそれぞれを基準とし、当該基準とした一の登録データに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定すること、複数の登録データそれぞれを基準として決定された各第1の順位を、記憶手段に記憶することを実行させるようにした。
【0012】
さらに本発明は、プログラムであって、複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位が記憶された記憶手段を制御するコンピュータに対して、複数の登録データと照合されるデータに対する、複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定すること、複数の登録データそれぞれを基準として記憶手段に記憶された各順位と、当該決定された順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、データと複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定することを実行させるようにした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の登録データを類似という尺度により順位付けし、この順位付け自体を、登録者の有無を判定する要素の1つとすることで、順位相関が所定の閾値以上であれば、当該比較データは、その順位をもつ登録データである可能性が高く、他の登録データとの関係性も順位相関により似ていることが確認できるため、一時的に登録データと一致するような擬似データとして不正に入力されたものではないということを把握することができる。
【0014】
この結果、単に比較画像と登録画像とを照合する場合に比して、一時的に登録データと一致するような擬似データが入力された場合であっても、第三者でありながら登録者本人であると承認されるといった、いわゆるなりすましをより一段と防止することができ、かくして認証精度を向上し得る認証方法、登録装置、照合装置及びプログラムを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面について、本発明を適用した一実施の形態を詳述する。
【0016】
(1)本実施の形態による認証装置の全体構成
図1において本実施の形態による認証装置1を示す。この認証装置1は、制御部10に対して、操作部11と、撮像部12と、フラッシュメモリ13と、インターフェース14と、通知部15とをそれぞれバス16を介して接続することにより構成される。
【0017】
制御部10は、認証装置1全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)と、各種プログラム及び設定情報が格納されるROM(Read Only Memory)と、当該CPUのワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)とを含むマイクロコンピュータとして構成される。
【0018】
この制御部10には、登録対象のユーザ(以下、これを登録者と呼ぶ)の血管を登録するモード(以下、これを血管登録モードと呼ぶ)の実行命令COM1又は登録者本人を承認するモード(以下、これを認証モードと呼ぶ)の実行命令COM2などの各種命令が、ユーザ操作に応じて操作部11から与えられる。
【0019】
制御部10は、かかる実行命令COM1、COM2に基づいて実行すべきモードを決定し、この決定結果に対応するプログラムに基づいて、撮像部12、フラッシュメモリ13、インターフェース14及び通知部15を適宜制御することによって、血管登録モード又は認証モードを実行するようになされている。
【0020】
(1−1)血管登録モード
具体的に制御部10は、実行すべきモードとして血管登録モードを決定した場合、動作モードを血管登録モードに遷移し、撮像部12を制御する。
【0021】
この場合、撮像部12の駆動制御部12aは、この認証装置1における所定位置に近赤外光を照射する1又は2以上の近赤外光光源LSと、例えばCCD(Charge Coupled Device)でなる撮像素子IDとを駆動制御する。
【0022】
また駆動制御部12aは、被写体に焦点が合うように光学系OPにおける光学レンズのレンズ位置を調整する。さらに駆動制御部12aは、制御部10により設定された露出値(EV(Exposure Value)値)に基づいて、絞りDHの絞り値を調整するとともに、撮像素子IDに対するシャッター速度(露出時間)を調整する。
【0023】
この実施の形態における認証装置1では、撮像対象として指が採用されており、所定の撮像位置に指が配された場合、近赤外光光源LSから指に照射された近赤外光は、当該指内方を反射及び散乱するようにして経由し、血管を投影する血管投影光として撮像素子IDに入射する。撮像素子IDは、この血管投影光を所定周期で光電変換し、当該光電変換結果を画像信号S1i(i=1、2、3、……、m(mは整数))として、駆動制御部12aを介して制御部10に供給する。
【0024】
制御部10は、この画像信号S1iのうち、操作部11から登録開始命令が与えられた時点に入力される画像信号S1mの輝度に応じて血管パターンの有無を判定する。そして制御部10は、血管パターンがあると判定した場合には、画像信号S1mに対して所定の画像処理を施すことによって、画像内の血管パターンを抽出し、当該抽出画像を、登録者のデータ(以下、これを登録画像データと呼ぶ)D1X(x=1、2、3、……、又はn)として、フラッシュメモリ13に記憶することにより登録する。
【0025】
また、制御部10は、登録画像データD1xを登録したとき、一人の登録者に対する登録回数として設定された数を満たしているか否かを判定する。そして制御部10は、登録数に満たない場合には、撮像位置に同一の指を配置し直して再登録すべきことを、通知部15の表示部15aを介して表示するとともに、音声出力部15bを介して音声出力することによって登録者に通知し、撮像位置に対する複数の位置に対応する血管パターンを登録画像データD1j(j=1、2、3、……、n(nは整数))として登録する。これにより制御部10は、登録者本人でありながら第三者であると承認されるといった事態を低減し得るようになされている。
【0026】
このようにしてこの制御部10は、血管登録モードを実行することができるようになされている。
【0027】
(1−2)認証モード
一方、制御部10は、実行すべきモードとして認証モードを決定した場合には、認証モードに遷移し、血管登録モードの場合と同様にして撮像部12を制御する。
【0028】
この場合、撮像部12は、血管登録モードと同様にして、光学系OPにおける光学レンズのレンズ位置する一方、制御部10により設定された露出値に基づいて絞りDHの絞り値と、撮像素子IDに対するシャッター速度とを調整し、当該調整後に撮像素子IDから出力される画像信号S2k(k=1、2、3、……、M(Mは整数))を制御部10に供給する。
【0029】
制御部10は、この画像信号S2kの輝度に応じて血管パターンの有無を判定する。そして制御部10は、血管パターンがあると判定した場合には、該画像信号S2kのうち一の画像信号S2に対して、上述の血管登録モードの場合と同一の画像処理を施すとともに、このときフラッシュメモリ13に登録された登録画像データD1iを読み出す。
【0030】
そして制御部10は、この画像処理結果として抽出される血管パターンと、登録画像データD1iのなかから選択した一の登録画像データの血管パターンとを照合し、当該合致の程度に応じて登録者(正規ユーザ)であるか否かを判定する。
【0031】
ここで、制御部10は、登録者であると判定したときには、インターフェース14に接続された動作処理装置(図示せず)に対して所定の動作を行わせる実行命令COM3を生成し、これをインターフェース14を介して動作処理装置に転送する。
【0032】
このインターフェース14に接続された動作処理装置の実施態様として、例えば閉錠状態にあるドアを採用した場合、制御部10は、開錠動作を行わせる実行命令COM3をドアに転送する。また他の動作処理装置の実施態様例として、複数の動作モードのうち一部の動作モードを制限した状態にあるコンピュータを採用した場合、制御部10は、その制限された動作モードを開放させる実行命令COM3をコンピュータに転送する。
【0033】
なお、実施態様として2つ例を挙げたが、これらに限らず、他の実施態様も適宜選択することができる。また、本実施の形態では、動作処理装置をインターフェース14に接続するようにしたが、当該動作処理装置におけるソフトウェア乃至ハードウェアの構成をこの認証装置1に搭載するようにしてもよい。
【0034】
これに対して、制御部10は、登録者ではないと判定したときには、その旨を通知部15の表示部15aを介して表示するとともに、当該通知部15の音声出力部15bを介して音声出力することによって、当該登録者ではないと判定されたことを視覚的及び聴覚的に通知する。
【0035】
このようにしてこの制御部10は、認証モードを実行することができるようになされている。
【0036】
(2)制御部の具体的な処理内容
次に、制御部の処理内容の一部を、血管登録モードの場合及び認証モードの場合に分けてそれぞれ具体的に説明する。
【0037】
(2−1)血管登録モードの場合
この血管登録モードにおける制御部10の処理の一部の処理は、機能的には、図2に示すように、特徴抽出部21、縮小画像生成部22、順位決定部23及び登録部24にそれぞれ分けることができる。以下、これら特徴抽出部21、縮小画像生成部22、順位決定部23及び登録部24について説明する。
【0038】
ただし、説明の便宜上、一人の登録者に対する登録回数として設定された数は3回とし、フラッシュメモリ13には、1、2回目に対応する登録画像データD11、D12が既に登録されていることとする。
【0039】
特徴抽出部21は、3回目の登録開始命令が操作部11から与えられた時点に撮像部12から入力される画像信号S1mに対して、例えば、A/D(Analog/Digital)変換処理、輪郭抽出処理、画像切出処理、平滑化処理、2値化処理及び細線化処理を順次施し、画像内における血管パターンを抽出する。
【0040】
また特徴抽出部21は、これら各種処理の結果として得られる画像データを、登録画像データD13として、縮小画像生成部22及び登録部24に送出する。
【0041】
縮小画像生成部22は、登録画像データD13における画像サイズを所定の縮小率で縮小し、該縮小された登録画像データ(以下、これを縮小登録画像データと呼ぶ)D23を順位決定部23に送出する。
【0042】
順位決定部23は、一人の登録者に対する登録回数として設定された数となるまで、縮小画像生成部22から供給される縮小登録画像データD2を一時記憶するようになされており、当該設定数分の縮小登録画像データD2(D21、D22、D23)が与えられた場合には、これら縮小登録画像の順位を、類似度により決定するようになされている。
【0043】
具体的には、図3に示すように、順位決定部23は、縮小登録画像データD21、D22、D23の各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値を求める。ちなみに、この図3では、縮小登録画像IM1及びIM2の相互相関値は「0.9」、縮小登録画像IM1及びIM3の相互相関値は「0.8」、縮小登録画像IM2及びIM3の相互相関値は「0.6」とされる。
【0044】
そして順位決定部23は、図3(A)に示すように、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3のうち、縮小登録画像IM1を基準としたときに、該基準とした縮小登録画像IM1に対する、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値が大きい順に、当該縮小登録画像IM1、IM2、IM3の順位を決定し、該順位を表すデータ(以下、これを第1の順位データと呼ぶ)RKD1を、登録部24に送出する。
【0045】
ちなみに、基準とした縮小登録画像IM1と、縮小登録画像IM1とは同一の画像であるため、相互相関値は「1」となる。
【0046】
同様に、順位決定部23は、図3(B)に示すように、縮小登録画像IM2を基準としたときに、該基準とした縮小登録画像IM2に対する、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値が大きい順に、当該縮小登録画像IM1、IM2、IM3の順位を第1の順位データRKD2として登録部24に送出し、また図3(C)に示すように、縮小登録画像IM3を基準としたときに、該基準とした縮小登録画像IM3に対する、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値が大きい順に、当該縮小登録画像IM1、IM2、IM3の順位を第1の順位データRKD3として登録部24に送出する。
【0047】
このように順位決定部23は、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3それぞれを基準とし、当該基準とした縮小登録画像IMに対する、縮小登録画像IM1、IM2、IM3の類似度により、該縮小登録画像IM1、IM2、IM3における順位を決定するようになされている。
【0048】
ちなみに、図4において、縮小前の画像(図4(A))と、縮小後の画像(図4(B))とを示す。この図4に示される画像に対して付される縦横の数値は、それぞれ画像サイズ[pixel]を表しており、縮小後の画像は、縮小前の画像に対して1/16となっている。
【0049】
この図4からも明らかなように、血管パターンは、縮小により大まかとなるが、相違は明確である。したがって、順位決定部23は、精度を低減することなく、類似度を求める際の処理負荷を抑えることができ、この結果、正確かつ短時間順位決定することができるようになされている。
【0050】
登録部24は、特徴抽出部21から供給されるD13をフラッシュメモリ13に登録し、また順位決定部23から供給される第1の順位データRKD1〜RKD3を、当該順位データRKDの基準となった登録データD11〜D13に対応付けて登録するようになされている。
【0051】
(2−2)登録処理手順
次に、この血管登録モードの登録処理手順を説明する。図5に示すように、制御部10は、血管登録モードの実行命令COM1(図1)を受けると、この登録処理手順RT1を開始し、ステップSP1において、登録画像を生成し、続くステップSP2において、設定登録数の登録画像IM1〜IM3を得たか否かを判定する。
【0052】
ここで、制御部10は、設定登録数の登録画像を得ていないと判定した場合には、ステップSP1に戻って上述の処理を繰り返す。これに対して制御部10は、設定登録数の登録画像を得たと判定した場合、ステップSP3に進んで、当該登録画像を縮小して縮小登録画像IM1〜IM3(図3)を生成する。
【0053】
また制御部10は、続くステップSP4において、図3で上述したように、各縮小登録画像IM1〜IM3それぞれを基準として、当該縮小登録画像IM1〜IM3における順位を第1の順位データRKD1〜RKD3として生成する。
【0054】
そして制御部10は、続くステップSP5において、第1の順位データRKD1〜RKD3を、当該順位データRKD1、RKD2、RKD3の基準となった縮小登録画像の登録画像データD11、D12、D13に対応付けてフラッシュメモリ13に登録した後、この登録処理手順RT1を終了する。
【0055】
このようにして制御部10は、血管登録モードを実行することができるようになされている。
【0056】
(2−3)認証モードの場合
この認証モードにおける制御部10の処理の一部の処理は、機能的には、図2との対応部分に同一符号を付した図6に示すように、特徴抽出部21、縮小画像生成部32、順位決定部33及び登録部34にそれぞれ分けることができる。以下、縮小画像生成部32、順位決定部33及び登録部34について説明する。
【0057】
ただし、説明の便宜上、一人の登録者に対する登録回数として設定された数は3回とし、フラッシュメモリ13には、1、2、3回目に対応する登録画像データD11、D12、D13が登録されていることとする。
【0058】
この縮小画像生成部32には、撮像部12から供給される画像信号S2kのうち一の画像信号S2に対して特徴抽出部21において各種処理が施され、登録画像に対する比較対象の画像(以下、これを比較画像と呼ぶ)のデータ(以下、これを比較画像データと呼ぶ)D11が、該特徴抽出部21から入力される。
【0059】
縮小画像生成部32は、この比較画像データD1における画像サイズを所定の縮小率で縮小し、当該縮小された比較画像(以下、これを縮小比較画像と呼ぶ)のデータ(以下、これを縮小比較画像データと呼ぶ)D12を順位決定部33に送出する。
【0060】
また縮小画像生成部32は、上述の血管登録モードの実行によりフラッシュメモリ13に登録された登録画像データD11、D12、D13を読み出して縮小し、この結果得られる縮小登録画像データD21、D22、D23を順位決定部33に送出する。
【0061】
順位決定部33は、縮小登録画像データD21、D22、D23における各縮小登録画像の順位を、縮小比較画像データD12における縮小比較画像に対する各縮小登録画像の類似度により決定する。
【0062】
具体的には、図7に示すように、順位決定部33は、縮小比較画像IMxに対する、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値を求める。そして順位決定部33は、縮小比較画像IMxに対する、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の相互相関値が大きい順に、当該縮小登録画像IM1、IM2、IM3の順位を決定し、該順位を表すデータ(以下、これを第2の順位データと呼ぶ)RKDXを、照合部34に送出する。
【0063】
照合部34は、図8に示すように、上述の血管登録モードの実行によりフラッシュメモリ13に登録された第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3を読み出し、これらと、順位決定部33から供給される第2の順位データRKDXとを順位相関値により照合する。
【0064】
ここで、第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3のなかに、第2の順位データRKDXとの順位相関値が所定の閾値以上のものがあった場合、このことは、縮小比較画像IMxが、その順位をもつ登録画像の縮小登録画像である可能性が高いことを意味するとともに、縮小比較画像IMxが、その縮小登録画像以外の縮小登録画像との関係性も似ているものであるため、一時的に登録データと一致するような擬似データとして不正に入力されたものではないことを意味する。
【0065】
この場合、照合部34は、第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3のうち、第2の順位データRKDXと一致する例えば第1の順位データRKD1に対応する登録データD11を読み出し、該読み出した登録データD11と、特徴抽出部21から供給される比較画像データD11との画像を相互相関により照合する。そして照合部34は、この相互相関値が所定の閾値以上である場合には登録者であると判定し、これに対して閾値未満である場合には登録者ではないと判定するようになされている。
【0066】
一方、第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3のなかに、第2の順位データRKDXとの順位相関値が所定の閾値以上のものがなかった場合、このことは、縮小比較画像IMxがいずれの登録画像IM1、IM2、IM3とも一致しない、もしくは、仮に、一の登録画像IMと一致したとしても、一時的に登録データと一致するような擬似データとして不正に入力されたものであることを意味する。
【0067】
この場合、照合部34は、登録者であることの承認を否定する、つまりこの認証モードを停止するようになされている。
【0068】
(2−4)認証処理手順
次に、この認証モードの認証処理手順を説明する。図9に示すように、制御部10は、認証モードの実行命令COM2(図1)を受けると、この認証処理手順RT2を開始し、ステップSP11において、比較画像を生成し、続くステップSP12において、この比較画像と、フラッシュメモリ13に登録された複数の登録画像とを縮小して縮小比較画像IMx(図7)と、縮小登録画像IM1〜IM3(図7)とを生成する。
【0069】
そして制御部10は、ステップSP13において、図7に示したように、縮小比較画像IMxに対する縮小登録画像IM1〜IM3の類似度により、当該縮小登録画像IM1〜IM3の順位を第2の順位データRKDxとして生成し、続くステップSP14において、フラッシュメモリ13に登録された第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3のなかに、第2の順位データRKDXとの順位相関値が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
【0070】
これに対して、制御部10は、順位相関値が所定の閾値以上である場合には、ステップSP15に進んで、第2の順位データRKDXとの順位相関値が所定の閾値以上となった順位(第1の順位データRKD)に対応する登録画像と、比較画像とを所定の相互相関関数により照合し、続くステップSP16において、当該照合結果として得られる相互相関値が所定の閾値以上となるか否かを判定する。
【0071】
そして制御部10は、このステップSP16において相互相関値が所定の閾値以上であると判定した場合には、ステップSP17に進んで、所定の機能を実行させた後、この認証処理手順RT2を終了する。
【0072】
一方、制御部10は、このステップSP16において相互相関値が所定の閾値未満であると判定した場合、又は、ステップSP14において順位相関値が所定の閾値未満となると判定した場合には、ステップSP18に進んで、登録者であることの承認を否定する旨を通知部15(図1)を介して通知し、この認証処理手順RT2を終了する。
【0073】
このようにして制御部10は、認証モードを実行することができるようになされている。
【0074】
(3)動作及び効果
以上の構成において、この認証装置1は、図3に示したように、各縮小登録画像IM1、IM2、IM3それぞれを基準とし、当該基準とした縮小登録画像IMに対する、縮小登録画像IM1、IM2、IM3の類似度により、該縮小登録画像IM1、IM2、IM3における順位を決定する(第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3を生成する)。
【0075】
また認証装置1は、図7に示したように、縮小比較画像IMxに対する各縮小登録画像IM1、IM2、IM3の類似度により、該縮小登録画像IM1、IM2、IM3における順位を決定する(第2の順位データRKDXを生成する)。
【0076】
そして認証装置1は、第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3のなかに、第2の順位データRKDXとの順位相関値が所定の閾値以上となるものがない場合には、登録者本人であることの承認を否定する。
【0077】
つまり、この認証装置1は、複数の縮小登録画像を類似の程度という尺度により順位付けし、この順位付け自体を、登録者の有無を判定する要素の1つとする。したがってこの認証装置1は、縮小比較画像と複数の縮小登録画像とにおける第2の順位データRKDXと、各登録画像とともに登録されている第1の順位データRKD1、RKD2、RKD3との順位相関が所定閾値以上であれば、縮小比較画像が、第2の順位データRKDXとの間で所定閾値以上の順位相関をもつ第1の順位データRKDに対応する登録画像の縮小登録画像である可能性が高く、その縮小登録画像以外の縮小登録画像との関係性も似ているということが確認できるため、一時的に登録データと一致するような擬似データとして不正に入力されたものではないということを把握することができる。
【0078】
この結果、この認証装置1は、単に縮小比較画像と縮小登録画像とを照合する場合に比して、一時的に登録データと一致するような擬似画像が入力された場合であっても、第三者でありながら登録者本人であると承認されるといった事態を防止することができる。
【0079】
これに加えて、この認証装置1は、順位付け時における画像の類似度を、縮小画像により求めているため、例えば浮動小数点の計算ができない等、CPUの処理能力に一定の制限がある場合であっても、順位付け精度を低減することなく、登録時間及び照合時間を短縮することができる。
【0080】
以上の構成によれば、時的に登録データと一致するような擬似画像が入力を把握できるようにしたことにより、いわゆるなりすましを低減することができ、かくして認証精度を向上し得る認証装置1を実現できる。
【0081】
(4)他の実施の形態
上述の実施の形態においては、登録データとして、血管パターンの画像を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、指紋、口紋又は神経等、この他種々の生体パターンの画像を適用することができ、また例えば暗証番号等のように、画像以外にも適用することができる。
【0082】
また上述の実施の形態においては、順位データの照合後に、画像の照合を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画像の照合後に、順位データの照合を実行するようにしてもよい。
【0083】
さらに上述の実施の形態においては、順位データの順位の決定を、相互相関値が大きい順とした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、相互相関値が小さい順とするようにしてもよい。
【0084】
さらに上述の実施の形態においては、画像を縮小した後の縮小画像の類似度に基づいて順位を決定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該画像の縮小を省略するようにしてもよい。
【0085】
さらに上述の実施の形態においては、複数の登録画像データの取得手法として、撮像位置に同一の指を配置し直して再撮像し、該撮像画像に対して特徴抽出処理を施すようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図10に示すように、撮像部12の撮像範囲内における所定の載置位置で指腹面の湾曲に沿って回転される指を連続撮像し、又は、静止された指の指腹面の湾曲に沿って撮像部12を回転させて連続撮像し、該撮像画像の全部又は一部に対して特徴抽出処理を施すようにしてもよい。
【0086】
また同一人の同一部位における複数の生体パターンを取得するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、グループとして割り当てられた複数人の同一部位における一の生体パターンを取得するようにしてもよい。要は、同一の生体部位に対する、所定の撮像範囲のうち異なる撮像位置での撮像画像から得られた登録画像であれば、当該用途に応じて種々の態様を適用することができる。
【0087】
さらに上述の実施の形態においては、制御部10がROMに格納されたプログラムをRAM上に展開し、そのプログラムに従って血管登録モード及び認証モードを実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、半導体メモリ等の記録媒体からインストールしたプログラムや、インターネットからダウンロードしたプログラムに従って血管登録モード及び認証モードを実行するようにしてもよい。
【0088】
さらに上述の実施の形態においては、特徴抽出部21、縮小画像生成部22、32、順位決定部23、33、登録部24及び照合部34をソフトウェアにより構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、これら全部又は一部をハードウェアにより構成するようにしてもよい。
【0089】
さらに上述の実施の形態においては、撮像機能、照合機能及び登録機能を有する認証装置1を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該機能ごとに単体の装置に分けた態様で適用する等、用途等に応じて種々の態様で適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、認証の分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施の形態による認証装置の構成を示すブロック図である。
【図2】血管登録モードにおける制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】登録画像間の順位付けの説明に供する略線図である。
【図4】縮小前後の画像を示す略線図である。
【図5】登録処理手順を示すフローチャートである。
【図6】認証モードにおける制御部の機能的構成を示すブロック図である。
【図7】照合画像と登録画像間の順位付けの説明に供する略線図である。
【図8】順位付けの照合の説明に供する略線図である。
【図9】認証処理手順を示すフローチャートである。
【図10】指の撮像状況を示す略線図である。
【符号の説明】
【0092】
1……認証装置、10……制御部、11……操作部、12……撮像部、12a……駆動制御部、13……フラッシュメモリ、14……外部インターフェース、15……通知部、15a……表示部、15b……音声出力部、21……特徴抽出部、22、32……縮小画像生成部、23、33……順位決定部、24……登録部、35……照合部、RT1……登録処理手順、RT2……認証処理手順。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける第1の順位を決定する第1のステップと、
上記複数の登録データの比較対象となるデータに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける第2の順位を決定する第2のステップと、
上記複数の登録データそれぞれを基準として決定された各上記第1の順位と、上記第2の順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、上記データと上記複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定する第3のステップと
を具えることを特徴とする認証方法。
【請求項2】
各上記登録データは、同一の生体部位に対する、所定の撮像範囲のうち異なる撮像位置での撮像画像から得られたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の認証方法。
【請求項3】
上記登録データ及び上記データは画像データであり、
上記第1のステップでは、
基準とされた一の登録データにおける縮小画像に対する、上記複数の登録データにおける縮小画像の類似度により上記第1の順位を決定し、
上記第2のステップでは、
上記データにおける縮小画像に対する、上記複数の登録データにおける縮小画像の類似度により上記第2の順位を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の認証方法。
【請求項4】
複数の登録データそれぞれを基準とし、当該基準とした一の登録データに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定する順位決定手段と、
上記複数の登録データそれぞれを基準として決定された各上記第1の順位を、記憶手段に記憶するように該記憶手段を制御する記憶制御手段と
を具えることを特徴とする登録装置。
【請求項5】
複数の登録データと照合されるデータに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定する順位決定手段と、
上記複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、上記複数の登録データとの類似度により該複数の登録データにおける順位が記憶される記憶手段と、
上記複数の登録データそれぞれを基準として上記記憶手段に記憶された各上記順位と、上記順位決定手段により決定された順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、上記データと上記複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定する照合手段と
を具えることを特徴とする照合装置。
【請求項6】
記憶手段を制御するコンピュータに対して、
上記記憶手段に記憶された複数の登録データそれぞれを基準とし、当該基準とした一の登録データに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定すること、
上記複数の登録データそれぞれを基準として決定された各上記第1の順位を、上記記憶手段に記憶すること
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位が記憶された記憶手段を制御するコンピュータに対して、
上記複数の登録データと照合されるデータに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定すること、
上記複数の登録データそれぞれを基準として上記記憶手段に記憶された各上記順位と、上記決定された順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、上記データと上記複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定すること
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける第1の順位を決定する第1のステップと、
上記複数の登録データの比較対象となるデータに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける第2の順位を決定する第2のステップと、
上記複数の登録データそれぞれを基準として決定された各上記第1の順位と、上記第2の順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、上記データと上記複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定する第3のステップと
を具えることを特徴とする認証方法。
【請求項2】
各上記登録データは、同一の生体部位に対する、所定の撮像範囲のうち異なる撮像位置での撮像画像から得られたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の認証方法。
【請求項3】
上記登録データ及び上記データは画像データであり、
上記第1のステップでは、
基準とされた一の登録データにおける縮小画像に対する、上記複数の登録データにおける縮小画像の類似度により上記第1の順位を決定し、
上記第2のステップでは、
上記データにおける縮小画像に対する、上記複数の登録データにおける縮小画像の類似度により上記第2の順位を決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の認証方法。
【請求項4】
複数の登録データそれぞれを基準とし、当該基準とした一の登録データに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定する順位決定手段と、
上記複数の登録データそれぞれを基準として決定された各上記第1の順位を、記憶手段に記憶するように該記憶手段を制御する記憶制御手段と
を具えることを特徴とする登録装置。
【請求項5】
複数の登録データと照合されるデータに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定する順位決定手段と、
上記複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、上記複数の登録データとの類似度により該複数の登録データにおける順位が記憶される記憶手段と、
上記複数の登録データそれぞれを基準として上記記憶手段に記憶された各上記順位と、上記順位決定手段により決定された順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、上記データと上記複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定する照合手段と
を具えることを特徴とする照合装置。
【請求項6】
記憶手段を制御するコンピュータに対して、
上記記憶手段に記憶された複数の登録データそれぞれを基準とし、当該基準とした一の登録データに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定すること、
上記複数の登録データそれぞれを基準として決定された各上記第1の順位を、上記記憶手段に記憶すること
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
複数の登録データそれぞれが基準とされ、当該基準とされた一の登録データに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位が記憶された記憶手段を制御するコンピュータに対して、
上記複数の登録データと照合されるデータに対する、上記複数の登録データの類似度により該複数の登録データにおける順位を決定すること、
上記複数の登録データそれぞれを基準として上記記憶手段に記憶された各上記順位と、上記決定された順位との順位相関値が所定の閾値よりも小さい場合には、上記データと上記複数の登録データとの照合結果の成否にかかわらず、登録者であることの承認を否定すること
を実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−108197(P2008−108197A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−292642(P2006−292642)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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