説明

認証機能を有するUSBメモリ装置

【課題】 簡易な認証が可能な認証機能を有するUSBメモリ装置を提供する。
【解決手段】
データ記憶部を備え、USBインタフェースを介して情報処理装置との間でデータの送受信を行うUSBメモリ装置は、予め入力された識別情報を記憶する認証データ記憶部と、表示物を表示するディスプレイ部およびタッチパネルを有する入力部と、入力部から入力された入力情報と識別情報とが一致するか否かの判定を行う照合部と、USBインタフェースを制御するUSBインタフェース制御部とを備え、USBインタフェース制御部は、入力情報と識別情報とが一致した場合に、情報処理装置からのアクセスを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証機能を有するUSBメモリ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、データ容量の大きい記録媒体がさまざま見られるようになっており、その中でも、コンパクトでデータ容量の大きな記録媒体であるUSB(Universal Serial Bus)が広く用いられている。
【0003】
一方、機密情報、個人情報においては、高い保護が求められることから、ユーザの認証機能を有するUSBメモリ装置が求められており、第1および第2の従来技術として、指紋などの生体情報に基づいてユーザの認証を行う技術が開示されている(たとえば、特許文献1,2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2003/003282号パンフレット
【特許文献2】特開2008−225661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生体情報に基づいてユーザの認証を行う場合、認証の精度が低いと、本人でも認証できない場合があるばかりでなく、USBメモリ装置のユーザが個人に限定されてしまい、複数のユーザでUSBメモリ装置のデータを使用したい場合には不自由である。
【0006】
一方、USBメモリ装置に記憶させる情報について、情報の処理を行うホストコンピュータ側でパスワードを入力することによって暗号化および復号化を行う場合、例えば、USBメモリ装置に記録されたアプリケーションプログラムを読み出して記憶部等に格納した後、これを実行する場合が多い医療機器制御用コンピュータやカーナビゲーションでは入力画面がないため、USBメモリ装置から情報を入力する操作が煩雑となる。
したがって、本発明の目的は、簡易な認証が可能な認証機能を有するUSBメモリ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係るUSBメモリ装置は、データ記憶部を備え、USBインタフェースを介して情報処理装置との間でデータの送受信を行うUSBメモリ装置であって、予め入力された識別情報を記憶する認証データ記憶部と、表示物を表示するディスプレイ部およびタッチパネルを有し、情報を入力する入力部と、前記入力部から入力された入力情報と前記識別情報とが一致するか否かの判定を行う照合部と、前記USBインタフェースを制御するUSBインタフェース制御部と、
を備え、前記USBインタフェース制御部は、前記入力情報と前記識別情報とが一致した場合に、前記情報処理装置からのアクセスを可能とする。
【0008】
第2の態様に係るUSBメモリ装置は、第1の態様に係るUSBメモリ装置であって、前記入力部は、色、文字、記号、図形、絵柄、模様のうちのいずれか、またはこれらの組み合わせによって構成される複数の表示物を表示する液晶表示部および前記表示物に対応する複数の押下領域が設けられているタッチパネルを備える。
【0009】
第3の態様に係るUSBメモリ装置は、第1の態様または第2の態様に係るUSBメモリ装置であって、前記タッチパネルの押下位置情報を検出し、前記表示物の表示を変更する入力制御部をさらに備え、前記入力制御部は、前記タッチパネルの押下位置情報を検出した場合において、所定の回数の押下位置情報を検出していない場合には、所定時間経過後において前記表示物の表示を変更する。
【0010】
第4の態様に係るUSBメモリ装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つの態様に係るUSBメモリ装置であって、発光素子と、検出された前記押下位置情報をもとに、前記発光素子を点灯、消灯あるいは点滅させる発光制御部と、をさらに備える。
【0011】
第5の態様に係るUSBメモリ装置は、第1の態様から第4の態様のいずれか1つの態様に係るUSBメモリ装置であって、音源装置と、検出された押下位置情報をもとに、前記音源装置から音声を出力させる音源制御部と、をさらに備える。
【0012】
第6の態様に係るUSBメモリ装置は、第1の態様に係るUSBメモリ装置であって、前記識別情報および前記入力情報は、前記タッチパネル上における押下位置情報と押下圧力に係る情報とを含む。
【発明の効果】
【0013】
第1から第6の何れの態様に係るUSBメモリ装置によっても、USBメモリ装置を接続する情報処理装置側のオペレーションシステムに依存せずに、USBメモリ装置において、ディスプレイ部およびタッチパネルを有する入力部から入力された入力情報に基づいてユーザの認証が行われるので、速くかつ簡易にユーザの認証を行うことができる。
【0014】
第2の態様に係るUSBメモリ装置によれば、入力部は、色、文字、記号、図形、絵柄、模様のうちのいずれか、またはこれらの組み合わせによって構成される識別情報に基づいて認証が行われるので、データの漏えいが生じにくい識別情報を設定することができる。
【0015】
第3の態様に係るUSBメモリ装置によれば、所定の回数の押下位置情報を検出していない場合には、所定時間経過後において表示物の表示を変更するので、ユーザの識別情報を複雑にすることが可能となり、データの漏えいが生じにくい識別情報を設定することができる。
【0016】
第4の態様に係るUSBメモリ装置によれば、発光素子と検出された押下位置情報をもとに、発光素子を点灯、消灯あるいは点滅させる発光制御部とを備えるので、タッチパネルへの押下時や、入力情報と識別情報との一致時に発光素子を点灯、消灯あるいは点滅させることによって、ユーザに使用状況を明確に知らせることが可能となる。
【0017】
第5の態様に係るUSBメモリ装置によれば、音源装置と検出された押下位置情報をもとに音源装置から音声を出力させる音源制御部とを備えるので、タッチパネルへの押下時や、入力情報と識別情報との一致時に音声を出力させることによって、ユーザに使用状況を明確に知らせることが可能となる。
【0018】
第6の態様に係るUSBメモリ装置によれば、識別情報および入力情報は、タッチパネル上における押下位置情報と押下圧力に係る情報とを含むので、ユーザに応じて識別情報を複雑にすることが可能となり、第三者へデータの漏えいが生じにくい識別情報を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態であるUSBメモリ装置の形状の例を示す図である。
【図2】USBメモリ装置が、コネクタを介して情報処理装置との間でデータの送受信を行う例を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るUSBメモリ装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】制御部の動作処理を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態の制御部の動作処理を示すフローチャートである。
【図6】入力部の表示物の切替えを例示する図である。
【図7】第2実施形態の制御部の動作処理を示すフローチャートである。
【図8】入力部の表示物の切替えを例示する図である。
【図9】第4実施形態に係るUSBメモリ装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図10】第5実施形態に係るUSBメモリ装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図11】表示物切替え指示のための押下領域を有する入力部を例示する図である。
【図12】絵柄、模様、色の組み合わせによって構成される表示物を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について、本発明をより詳細に説明する。
[第1実施形態]
<USBメモリ装置の全体構成>
【0021】
USBメモリ装置は、情報処理装置のUSB端子に接続可能な記録媒体である。第1実施形態においては、情報処理装置からUSBメモリ装置へのデータアクセスを、USBメモリ装置本体の入力部での押下パターンによって制御する。情報処理装置上のOS(Operating System)に依存せず、USBメモリ装置本体のみで認証を行う。図1は、本発明の第1実施形態であるUSBメモリ装置50Aの形状の例を示す図である。
【0022】
USBメモリ装置50Aは、筐体1から外部にUSBインタフェースに相当するコネクタ2が突き出した形状であり、情報処理装置のUSB端子と接続可能である。また、USBメモリ装置50Aの筐体1の表面には、複数の押下領域が設けられた入力部3が備えられている。本発明の第1実施形態においては、図1において、入力部3の4つの押下領域3a,3b,3c,3dが表示されている例が示されている。
【0023】
入力部3は、表示物を表示するディスプレイ部およびタッチパネルを有する。タッチパネルは、ユーザの押下の検出機構としては、抵抗膜式、超音波式、光電式、静電容量式など、いずれの方式を利用してもよい。
【0024】
図示しないディスプレイ部は、タッチパネルの下に備えられ、バックライト付きのLCD装置(液晶ディスプレイ装置)を使用している。ディスプレイ部は、他に、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイや、CRT(カソードレイチューブ)ディスプレイ等の既存の技術を利用してもよい。ディスプレイ部は、ユーザが入力する自己の識別情報として触れるべき表示物を表示し、ユーザが、この表示物をもとにタッチパネルを押下することによって、入力部3の所定の位置が特定される。ディスプレイ部は、色、文字、記号、図形、絵柄、模様のうちのいずれか、またはこれらの組み合わせによって構成される複数の表示物を表示することによって、タッチパネルに表示物に対応する複数の押下領域が設けられている。また、タッチパネルの押下領域は、たとえば、点線、色などによって区分けしてもよい。
【0025】
図2は、USBメモリ装置50Aが、コネクタ2を介して情報処理装置200との間でデータの送受信を行う例を示している。情報処理装置200はCPUや記憶部を有しており、また、OS、デバイスドライバ、アプリケーションプログラムを記憶部に記録している。そして、記憶部に記録されたアプリケーションプログラムを実行してさまざまな機能を実現する。また、USBメモリ装置50Aに記録されたアプリケーションプログラムを読み出して記憶部等に格納した後に、これを実行する。さらに、情報処理装置200はUSBメモリ装置50Aを接続するためのUSB端子210を有しており、接続されたUSBメモリ装置50Aとデータの送受信を行う。
【0026】
情報処理装置200は、例えば、据置型のパーソナルコンピュータや、ノートブック型パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、小型デジタルビデオカメラ、ゲーム機、その他のモバイル端末、企業や病院等に備えられたコンピュータ機器、カーナビゲーションなどが該当する。ユーザは、USBメモリ装置50Aを情報処理装置200に接続した後、自己の識別情報を入力部3から入力することができる。
【0027】
図3は、第1実施形態に係るUSBメモリ装置50Aの構成を示す機能ブロック図である。USBメモリ装置50Aは、コネクタ2、制御部10A、記憶部20および入力部3を有しており、これらの間はバスで接続されている。
【0028】
制御部10Aは、例えば、CPUによって構成され、後述する記憶部20に記憶されるプログラムを実行することによって、USBメモリ装置50A全体の動作を決定し、USBメモリ装置50A全体に指令を与え、さらに入力部3に表示の指示を出す。また、制御部10は、後述するUSBインタフェース制御部11、暗号制御部12、照合部13、および入力制御部14の機能も実現する。
【0029】
USBインタフェース制御部11は、USBメモリ装置50Aがコネクタ2で情報処理装置200のUSB端子210と接続されたときにその接続を認識する。また、入力部3から入力されたユーザの識別情報に係る入力情報と、認証データ記憶部21に予め入力された識別情報とが一致した場合に、情報処理装置200からのアクセスを可能とする。より具体的には、入力部3から入力されたユーザの識別情報に係る入力情報と、認証データ記憶部21に予め入力された識別情報とが一致した場合に、USBインタフェース制御部11は、例えば、情報処理装置200側にUSBメモリ装置50Aをドライブとして認識するように動作させる。また、USBインタフェース制御部11は、情報処理装置200のUSB端子210とコネクタ2とを介して情報処理装置200から入力したデータを後述するデータ記憶部22に格納し、データ記憶部22に格納されたデータを読み出して、コネクタ2と情報処理装置200のUSB端子210とを介して情報処理装置200に出力する。
【0030】
暗号制御部12は、データ記憶部22へデータが記憶される時にデータの暗号化を行い、データ記憶部22からデータが読み出される時にデータを復号化する。データ記憶部22にデータを記憶させるときのデータの暗号化、データ記憶部22に暗号化された状態で記憶されているデータを読み出すときのデータの復号は、情報処理装置200から送信されてくるコマンドに応じてUSBメモリ装置50A側で自動的に行われる。
【0031】
照合部13は、入力部3から入力されたユーザの識別情報に係る入力情報と、認証データ記憶部21に予め入力された識別情報とが、一致するか否かの判定を行う。
【0032】
入力制御部14は、入力部3の制御を行う。具体的には、入力制御部14は入力部3のタッチパネルに押下位置情報を検出させ、入力部3に入力されたユーザの識別情報に係る入力情報を認識する。また、入力制御部14は、ディスプレイ部に表示される表示物の切り替えを行う。
【0033】
記憶部20は、例えば、半導体メモリ等の記憶装置によって構成され、情報処理装置200から入力された情報、制御部10Aで実行されるプログラム、プログラムを実行する際に必要な情報、および入力部3から入力されるユーザの識別情報に係る情報等の各種情報を記憶する。
【0034】
認証データ記憶部21は、例えば、フラッシュメモリやEPROMなどで構成され、予め入力された識別情報、RSA,AES(Advanced Encryption Standard),DES(Data Encryption Standard)などのデータの暗号化、復号に用いられる暗号鍵を記憶する。認証データ記憶部21に記憶されている暗号鍵は、暗号制御部12により適宜読み出され、データの暗号化、または暗号化されているデータの復号に用いられる。認証データ記憶部21に記憶される暗号鍵は、例えば、ユーザにより識別情報の登録が行われたとき、登録された識別情報のデータの一部と、認証データ記憶部21にあらかじめ記憶されているデータとを用いて生成される。また、認証データ記憶部21は、タッチパネルの背面に配置されているディスプレイ部において表示物を表示するためのデータを保持する。認証データ記憶部21は、認証が成功した後であっても、記憶されているデータに関する情報がUSBメモリ装置50Aから情報処理装置200に通知されず、情報処理装置200からはアクセスすることができない。
【0035】
データ記憶部22は、例えば、フラッシュメモリで構成され、情報処理装置200に対して与えられたデータあるいはプロセッサ230によって生成されたデータを不揮発的に保持する。具体的には、データ記憶部22には、暗号制御部12によって、認証データ記憶部21に記憶されている暗号鍵を用いて暗号化されたデータが記憶される。認証が成功した後、データ記憶部22は、情報処理装置200からアクセス可能な領域となり、情報処理装置200からデータを記憶させたり、そこに記憶されているデータを情報処理装置200が読み出したりすることが可能となる。データ記憶部22に暗号化された状態で記憶されているデータを読み出すときには、暗号制御部12によって、認証データ記憶部21に記憶されている暗号鍵を用いてデータの復号が行われる。
【0036】
プログラム記憶部23は、例えばROMによって構成され、USBメモリ装置50Aを作動させるためのファームウェア、認証処理プログラムその他のプログラムと、USBメモリ装置50Aに固有の動作を実行させるために設定値として予め入力されたデータとを保持している。
【0037】
また記憶部20は、図示しないRAMを備えており、このRAMは、制御部10Aによって生成されたデータを一時的に保持する。
<USBメモリ装置50Aの動作処理>
【0038】
次に、USBメモリ装置50Aを情報処理装置200に接続したときの、本実施形態のUSBメモリ装置50Aの動作処理について説明する。
【0039】
図4は、制御部10Aの動作処理を示すフローチャートである。USBメモリ装置50Aのコネクタ2が情報処理装置200のUSB端子210に挿入されたとき、ステップS1に移る。ステップS1では、USBインタフェース制御部11は、USBメモリ装置50Aが情報処理装置200へ接続されたことを認識する。
【0040】
ステップS2では、入力制御部14が、入力部3の表示物の表示を開始させる。
【0041】
ステップS3では、入力制御部14が、入力部3にユーザが識別情報入力のための第1回目の押下がされているか否かを判断する。なお、押下の検出においては、例えば、タッチパネルから検出される圧力等の信号に閾値を設けることによって、無意識の手の接触やずれた位置での押下などを排除して、確実な入力操作を得ることが可能である。ステップS3で、押下されていないと判断した場合には、ステップS4に移り、押下されていると判断した場合には、ステップS5に移る。
【0042】
ステップS4では、入力制御部14が、予め定められた押下待機時間が経過したか否かを判断する。ステップS4で、経過していないと判断した場合には、ステップS5に移り、経過したと判断した場合には、ステップS9に移る。
【0043】
ステップS5では、入力制御部14が、次の押下がされているか否かを判断する。ステップS5で、次の押下がされていないと判断した場合には、ステップS4に移り、押下されていると判断した場合には、ステップS6に移る。
【0044】
ステップS6では、入力制御部14が、入力部3から入力されたユーザの入力情報を認証するために必要な所定の回数だけ押下を検出したか否かを判断する。ステップS6で、検出していないと判断した場合には、ステップS4に移り、検出したと判断した場合には、ステップS7に移る。
【0045】
ステップS7では、照合部13が、入力部3から入力されたユーザの識別情報に係る入力情報、具体的にはユーザの押下順序に基づく情報と、認証データ記憶部21に予め入力された識別情報とが、一致するか否かの判定を行う。ステップS7で、入力部3から入力されたユーザの識別情報に係る入力情報と、認証データ記憶部21に予め入力された識別情報とが、一致せず、認証が成功していないと判断した場合には、ステップS2に移り、成功したと判断した場合には、ステップS8に移る。
【0046】
ステップS8では、USBインタフェース制御部11が、情報処理装置200からのアクセスを可能とする。具体的には、USBインタフェース制御部11が、例えば、情報処理装置200側にUSBメモリ装置50Aをドライブとして認識するように動作させて、ステップS9に移る。
【0047】
ステップS9では、入力制御部14が、入力部3の表示物の表示を終了させて、本処理を終了する。
【0048】
USBインタフェース制御部11が、情報処理装置200からのアクセスを可能とすることによって、USBインタフェース制御部11は、情報処理装置200のUSB端子210とコネクタ2とを介して情報処理装置200から受信したデータをデータ記憶部22に格納したり、データ記憶部22に格納されたデータを読み出して、コネクタ2と情報処理装置200のUSB端子210とを介して情報処理装置200に送信することが可能となる。
【0049】
本実施形態によれば、USBメモリ装置50Aを接続する情報処理装置側のオペレーションシステムに依存せずに、USBメモリ装置50Aにおいて、入力部3のタッチパネルへの押下順序に基づいてユーザの認証が行われるので、速くかつ簡易にユーザの認証を行うことができる。また、例えば、USBメモリ装置50Aに記録されたアプリケーションプログラムを読み出して記憶部等に格納した後にこれを実行する場合が多い医療機器制御用コンピュータやカーナビゲーションでは、入力画面がないため、USBメモリ装置50Aのユーザの識別情報を入力することが容易ではないが、本実施形態によれば、これらの情報処理装置にUSBメモリ装置50Aを使用する場合においても、簡易に認証を行うことが可能となる。
【0050】
さらに、入力部3のディスプレイ部は、色、文字、記号、図形、絵柄、模様のうちのいずれか、またはこれらの組み合わせによって構成される識別情報に基づいて認証が行われるので、データの漏えいが生じにくい識別情報を設定することができる。
[第2実施形態]
【0051】
USBメモリ装置の第2実施形態においては、情報入力時に入力部の表示物の切り替えが行われる。
【0052】
第2実施形態では、入力制御部14が、表示物の表示の変更を行う。具体的には入力制御部14は、タッチパネルの押下位置情報を検出した場合において、所定の回数まで押下位置情報を検出していない場合には、所定時間経過後において表示物の表示を変更する。
<USBメモリ装置の第2実施形態の動作処理>
【0053】
次に、USBメモリ装置50Aの第2実施形態を情報処理装置200に接続したときの動作処理について説明する。
【0054】
図5は、第2実施形態の制御部10Aの動作処理を示すフローチャートである。USBメモリ装置50Aのコネクタ2が情報処理装置200のUSB端子210に挿入されたとき、ステップT1に移る。ステップT1では、USBインタフェース制御部11は、USBメモリ装置50Aが情報処理装置200へ接続されたことを認識する。
【0055】
ステップT2では、入力制御部14が、入力部3の表示物の表示を開始させる。
【0056】
ステップT3では、入力制御部14が、入力部3にユーザが識別情報入力のための第1回目の押下がされているか否かを判断する。ステップT3で、押下されていないと判断した場合には、ステップT3に戻り、押下されていると判断した場合には、ステップT4に移る。
【0057】
ステップT4では、入力制御部14が予め定められた表示物切替え時間が経過したか否かの判定を行う。ステップT4で、予め定められた表示物切替え時間が経過したと判断した場合には、ステップT5に移り、経過していないと判断した場合には、ステップT4に戻る。
【0058】
ステップT5では、入力制御部14が入力部3の表示物の切替えを行う。
【0059】
図6は、入力部3の表示物の切替えを例示する図である。図6には、入力部3の4つの押下領域3a,3b,3c,3dにおける表示物が、タッチパネルが押下されるごとにユーザから見て左方向へ1つずつ移動するように、表示物の切替えが行われる画面が示されている。図6の(a)第1回押下前、(b)は第2回押下前、(c)は第3回押下前の表示物が示されている。具体的には、第1回押下前においては、押下領域3aには「1」、3bには「2」、3cには「3」、3dには「4」が表示されているが、第1回押下後、すなわち、第2回押下前においては、押下領域3aには「2」、3bには「3」、3cには「4」、3dには「1」が表示される。さらに、第2回押下後、すなわち、第3回押下前においては、押下領域3aには「3」、3bには「4」、3cには「1」、3dには「2」が表示される。
【0060】
図5に示すように、ステップT6では、入力制御部14が、次の押下がされているか否かを判断する。ステップT6で、次の押下がされていないと判断した場合には、ステップT7に移り、押下されていると判断した場合には、ステップT8に移る。
【0061】
ステップT7では、入力制御部14が、予め定められた押下待機時間が経過したか否かを判断する。ステップT7で、経過していないと判断した場合には、ステップT6に戻り、経過したと判断した場合には、ステップT11に移る。
【0062】
ステップT8では、入力制御部14が、入力部3から入力されたユーザの入力情報を認証するために必要な所定の回数だけ押下を検出したか否かを判断する。ステップT8で、検出していないと判断した場合には、ステップT4に移り、検出したと判断した場合には、ステップT9に移る。
【0063】
ステップT9では、照合部13が、入力部3から入力されたユーザの識別情報に係る入力情報、具体的にはユーザの押下順序に基づく情報と、認証データ記憶部21に予め入力された識別情報とが、一致するか否かの判定を行う。ステップT9で、入力部3から入力されたユーザの識別情報に係る入力情報と、認証データ記憶部21に予め入力された識別情報とが、一致せず、認証が成功していないと判断した場合には、ステップT2に移り、成功したと判断した場合には、ステップT10に移る。
【0064】
ステップT10では、USBインタフェース制御部11が、情報処理装置200からのアクセスを可能にしてステップT11へ移る。
【0065】
ステップT11では、入力制御部14が、入力部3の表示物の表示を終了させて、本処理を終了する。
【0066】
第2実施形態のUSBメモリ装置50Aによれば、第1実施の形態のUSBメモリ装置50Aと同様の効果を達成することができ、所定の回数の押下位置情報を検出していない場合には、所定時間経過後において表示物の表示を変更するので、ユーザの識別情報を複雑にすることが可能となり、データの漏えいが生じにくい識別情報を設定することができる。
[第3実施形態]
USBメモリ装置の第3実施形態においては、所定時間経過後に入力部の表示物の切替えが自動的に行われる。
【0067】
第3実施形態では、入力制御部14が、表示物の切替えを行う。具体的には入力制御部14は、所定の回数までユーザの押下による押下位置情報を検出していない場合には、所定時間経過後において表示物の切替えを行う。
<USBメモリ装置の第3実施形態の動作処理>
【0068】
次に、USBメモリ装置50Aの第3実施形態を情報処理装置200に接続したときの動作処理について説明する。
【0069】
図7は、第2実施形態の制御部10Aの動作処理を示すフローチャートである。USBメモリ装置50Aのコネクタ2が情報処理装置200のUSB端子210に挿入されたとき、ステップU1に移る。ステップU1では、USBインタフェース制御部11は、USBメモリ装置50Aが情報処理装置200へ接続されたことを認識する。
【0070】
ステップU2では、入力制御部14が、入力部3の表示物の表示を開始させる。
【0071】
ステップU3では、入力制御部14が予め定められた表示物切替え時間が経過したか否かの判定を行う。ステップU3で、予め定められた表示物切替え時間が経過した場合には、ステップU4に移り、経過していないと判断した場合には、ステップU3に戻る。
【0072】
ステップU4では、入力制御部14が入力部3の表示物切替えを行う。
【0073】
図8は、入力部3の表示物の切替えを例示する図である。図8には、入力部3の4つの押下領域3a,3b,3c,3dにおける表示物が、表示物切替え時間が経過するごとに、すべての表示物の切替えが行われる画面が示されている。図3の(a)第1回表示物切替え時間の経過前、(b)は第2回表示物切替え時間の経過前、(c)は第3回表示物切替え時間の経過前の表示物が示されている。具体的には、第1回表示物切替え時間の経過前においては、押下領域3aには「1」、3bには「2」、3cには「3」、3dには「4」が表示されているが、第1回表示物切替え時間の経過後、すなわち、第2回表示物切替え時間の経過前においては、押下領域3aには「5」、3bには「6」、3cには「7」、3dには「8」が表示される。さらに、第2回表示物切替え時間の経過後、すなわち、第3回表示物切替え時間の経過前においては、押下領域3aには「9」、3bには「A」、3cには「B」、3dには「C」が表示される。そして、第3回表示物切替え時間の経過後においては、再度図8の(a)に示す表示物の表示に切替えられる。また、後述するように、入力制御部14がユーザの入力情報を認証するために必要な所定の回数だけ押下を検出するまでは、表示物の切替えが自動的に行われる。
【0074】
図7に示すように、ステップU6では、入力制御部14が、入力部3から入力されたユーザの入力情報を認証するために必要な所定の回数だけ押下を検出したか否かを判断する。ステップU6で、検出されていないと判断した場合には、ステップU3に移り、検出されていると判断した場合には、ステップU7に移る。
【0075】
ステップU7では、照合部13が、入力部3から入力されたユーザの識別情報に係る入力情報、具体的にはユーザの押下順序と、認証データ記憶部21に予め入力された識別情報とが、一致するか否かの判定を行う。ステップU7で、入力部3から入力されたユーザの識別情報に係る入力情報と、認証データ記憶部21に予め入力された識別情報とが、一致せず、認証が成功していないと判断した場合には、ステップU2に移り、成功したと判断した場合には、ステップU8に移る。
【0076】
ステップU8では、USBインタフェース制御部11が、情報処理装置200からのアクセスを可能にしてステップU9に移る。
【0077】
ステップU9では、入力制御部14が、入力部3の表示物の表示を終了させて、本処理を終了する。
【0078】
第3実施形態のUSBメモリ装置50Aによれば、第1実施の形態のUSBメモリ装置50Aと同様の効果を達成することができ、所定の回数の押下位置情報を検出していない場合には、所定時間経過後に入力部3の表示物の切替えが自動的に行われるので、限られた小さい面積の入力部3においても多くの表示物を選択でき、ユーザの識別情報を複雑にすることが可能となる。入力部3の面積を小さくすることなく、ユーザの識別情報を複雑にできるため、子供や高齢者にも押しやすい入力部3を構成することが可能となる。
[第4実施形態]
【0079】
USBメモリ装置の第4実施形態においては、ユーザの押下時や認証成功時に、発光素子を点灯させ、音を発生させる。
図9は、第4実施形態に係るUSBメモリ装置50Bの構成を示す機能ブロック図である。
【0080】
第4実施形態の機能構成は、前述の第1実施形態と類似しているため、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。制御部10Bが、認証が成功したと判断した後に、情報処理装置200からのアクセスを可能とする動作は第1実施形態と同じである。図9に示すように、USBメモリ装置50Bは、発光素子17、音源部18を備え、さらに制御部10Bは、発光制御部15及び音源制御部16を有する。発光素子17は、例えば、LED(Light Emitting Diode)で構成される。
【0081】
発光制御部15は、入力制御部14によって検出された押下位置情報をもとに、発光素子17を点灯、消灯あるいは点滅させる。
【0082】
音源制御部16は、入力制御部14によって検出された押下位置情報をもとに、音源部18から音声を出力させる。
【0083】
具体的には、制御部10Bは、入力制御部14によってユーザが入力部3に押下したことが検知された場合や、照合部13によってユーザの識別情報に係る入力情報と、認証データ記憶部21に予め入力された識別情報とが一致すると判断した場合において、発光制御部15は、発光素子17を点灯させ、音源制御部16は、音源部18から音声を出力させる。
【0084】
第4実施形態のUSBメモリ装置50Bによれば、第1実施の形態のUSBメモリ装置50Aと同様の効果を達成することができ、検出された押下位置情報をもとに、発光素子17を点灯、消灯あるいは点滅させる発光制御部15、および音源部18から音声を出力させる音源制御部16を備えるので、タッチパネルへの押下時や、入力情報と識別情報との一致時に発光素子を点灯、消灯あるいは点滅させ、音声を出力させることによって、ユーザに使用状況を明確に知らせることが可能となる。
[第5実施形態]
第5実施形態では、ユーザがタッチパネル上で押下する位置、押下する圧力に係る情報を含む識別情報および入力情報に基づいて、ユーザの認証を行う。図10は、第5実施形態に係るUSBメモリ装置50Cの構成を示す機能ブロック図である。
【0085】
第5実施形態の機能構成は、前述の第1実施形態と類似しているため、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。制御部10Cが、認証が成功したと判断した後に、情報処理装置200からのアクセスを可能とする動作は第1実施形態と同じである。図10に示すように、USBメモリ装置50Cは、圧力検知部19を備えている。また、入力部3のタッチパネルは、抵抗膜式のユーザの押下の検出機構を有し、複数の押下領域に区分けされていない。
【0086】
入力制御部14は、入力部3のタッチパネルに押下位置情報を検出させ、入力部3に入力されたユーザの識別情報に係る入力情報を認識する。
【0087】
圧力検知部19は、入力部3の抵抗膜式の検出機構から得られた情報に基づいて、ユーザの押下する力である押下圧を検出する。
【0088】
そして、照合部13は、入力制御部14が検出した押下位置情報と、圧力検知部19が検出した押下圧とを含むユーザの入力情報をユーザの識別情報として、この識別情報と認証データ記憶部21に予め入力された識別情報とが一致するか否かの判定を行う。
【0089】
第5実施形態のUSBメモリ装置50Cによれば、第1実施の形態のUSBメモリ装置50Aと同様の効果を達成することができ、識別情報および入力情報は、タッチパネル上における押下位置情報と押下圧力に係る情報とを含むので、ユーザに応じて識別情報を複雑にすることが可能となり、第三者へデータの漏えいが生じにくい識別情報を設定することができる。
【0090】
<変形例>
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0091】
例えば、第2実施形態では、入力部3の表示物を押下後に左へ1つずつ移動するように表示物を切替えていたが、乱数表を用いてランダムに移動させてもよい。
【0092】
また、上記実施形態では、入力部3の表示物が所定時間経過後に切り替えられていたが、入力部3に表示物切り替え指示のための押下領域を別途設けてもよい。図11は、表示物切替え指示のための押下領域(以下、切替え指示領域と称する。)3aを有する入力部3を例示する図である。図11には、入力部3の3つの押下領域3b,3c,3dにおける表示物が、切替え指示領域3aを押下するごとに、すべての表示物の切替えが行われる画面が示されている。図11の(a)は切替え指示領域3aの第1回押下前、(b)は第1回押下後、(c)は第2回押下後の表示物が示されている。具体的には、切替え指示領域3aの第1回押下前においては、押下領域3bには「1」、3cには「2」、3dには「3」が表示されているが、第1回押下後においては、押下領域3bには「4」、3cには「5」、3dには「6」が表示される。さらに、第2回押下後においては、押下領域3bには「7」、3cには「8」、3dには「9」が表示される。そして、第3回押下後においては、再度図11の(a)に示す表示物の表示に切替えられる。
【0093】
また、表示物の表示の切替えは、色、文字、記号、図形、絵柄、模様のうちのいずれか、またはこれらの組み合わせによって構成される表示物を組み合わせることも可能である。図12は、絵柄、模様、色の組み合わせによって構成される表示物を例示する図である。図12には、第3実施形態において所定時間経過後に、入力部3の4つの押下領域3a,3b,3c,3dにおける表示物の切替えが行われる画面が示されている。図12の(a)は動物の絵からなる表示物、(b)は模様からなる表示物、(c)は色からなる表示物の組み合わせが示されている。色、文字、記号、図形、絵柄、模様の組み合わせによって構成される表示物を用いることによって、ユーザの識別情報を複雑にすることが可能となるとともに、子供や高齢者にも、覚えやすい識別情報を設定することが可能となる。また、表示物への押下時や認証成功時に入力部3の表示物を反転させたり、点滅させてもよい。
【0094】
なお、上記実施形態ならびに変形例で説明した構成は、矛盾が生じない限り適宜一部の構成を入れ換えてもよい。これらの変形例によっても、前記実施の形態と同様の効果を、達成することができる。
【符号の説明】
【0095】
3 入力部
10 制御部
11 USBインターフェース制御部
12 暗号制御部
13 照合部
14 入力制御部
15 発光制御部
16 音源制御部
17 発光素子
18 音源部
19 圧力検知部
20 記憶部
50A,50B,50C USBメモリ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ記憶部を備え、USBインタフェースを介して情報処理装置との間でデータの送受信を行うUSBメモリ装置であって、
予め入力された識別情報を記憶する認証データ記憶部と、
表示物を表示するディスプレイ部およびタッチパネルを有する入力部と、
前記入力部から入力された入力情報と前記識別情報とが一致するか否かの判定を行う照合部と、
前記USBインタフェースを制御するUSBインタフェース制御部と、
を備え、
前記USBインタフェース制御部は、前記入力情報と前記識別情報とが一致した場合に、前記情報処理装置からのアクセスを可能とすることを特徴とするUSBメモリ装置。
【請求項2】
前記入力部は、色、文字、記号、図形、絵柄、模様のうちのいずれか、またはこれらの組み合わせによって構成される複数の表示物を表示する液晶表示部および前記表示物に対応する複数の押下領域が設けられているタッチパネルを備えることを特徴とする請求項1に記載のUSBメモリ装置。
【請求項3】
前記タッチパネルの押下位置情報を検出し、前記表示物の表示を変更する入力制御部をさらに備え、
前記入力制御部は、前記タッチパネルの押下位置情報を検出した場合において、所定の回数の押下位置情報を検出していない場合には、所定時間経過後において前記表示物の表示を変更することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のUSBメモリ装置。
【請求項4】
発光素子と、
検出された前記押下位置情報をもとに、前記発光素子を点灯、消灯あるいは点滅させる発光制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のUSBメモリ装置。
【請求項5】
音源装置と、
検出された押下位置情報をもとに、前記音源装置から音声を出力させる音源制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つの請求項に記載のUSBメモリ装置。
【請求項6】
前記識別情報および前記入力情報は、前記タッチパネル上における押下位置情報と押下圧力に係る情報と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のUSBメモリ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−95840(P2011−95840A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246724(P2009−246724)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(509298126)イーディーコントライブ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】