説明

認識マーク

【課題】導電性ペースト等を用いた層間接続手段における積層精度が向上し、高密度で品質の優れた回路形成基板を提供するものである。
【解決手段】表裏に離型フィルムを張り付けたプリプレグシート1に、製品の貫通孔3、積層認識マーク用貫通孔7a、7b、X線認識マーク用貫通孔8a、8bを形成し、積層認識マーク用貫通孔7a、7bをマスキングして、製品の貫通孔3およびX線認識マーク用貫通孔8a、8bに導電性ペースト4を充填した後、離型フィルムを剥離して回路基板を製造するもので、積層認識マーク用貫通孔7a、7bには導電性ペースト4が充填されないので、積層精度が高い認識マークが容易に得られ、積層精度が向上し、高密度で品質の優れた回路形成基板が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に利用される回路基板の製造の際に使用する認識マークに関するものであり、かかる認識マークを用いた回路基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化・高密度化に伴って、電子部品を搭載する回路基板も従来の片面基板から、両面、多層基板の採用が進み、より多くの回路および部品を基板上に集積可能な高密度基板が開発されている。
【0003】
特に多層基板の高密度化は回路パターンの微細化が進み、より複数層の回路パターンとともに基板の薄板化が望まれている。
【0004】
このような回路基板では、複数層の回路パターンの間を導電性ペーストでインナービアホールを介して接続する接続方法の新規開発および信頼度の高い構造の新規開発が不可欠なものになっている。
【0005】
従来の導電性ペーストによるインナービアホール接続の4層基板の製造方法について、特許文献1に開示された製造方法を例として以下に説明する。
【0006】
まず初めに、導電性ペーストによるインナービアホール接続の多層基板のコア基板となる両面基板の製造方法と導電性ペーストの充填方法について説明する。
【0007】
図10A〜図10Hは、従来の両面基板の製造方法のステップを示す断面図である。図10Aに示す基板材料はプリプレグシート21および離型フィルム22a、22bからなるラミネート済みプリプレグである。
【0008】
プリプレグシート21として、例えば不織布の全芳香族ポリアミド繊維やガラスクロスに熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させた複合材からなる基材が用いられる。プリプレグシート21の表裏には離型層部を形成したプラスチックフィルム、例えばポリエチレンテレフタレートなどからなる離型フィルム22a、22bが接着されている。
【0009】
プリプレグシート21への離型フィルム22a、22bの接着は、ラミネート装置を用いてプリプレグシート21の樹脂成分を溶融させて離型フィルム22a、22bを連続的に接着する方法が提案されている。
【0010】
次に図10Bに示すように、レーザ加工法などを利用して貫通孔23が形成される。この時、層間接続として用いられる製品用の貫通孔23と同時に、製造の際に用いられる認識マーク用貫通孔27a、27bがレーザ加工法により形成される。
【0011】
次に図10Cに示すように、製品の貫通孔23および認識マーク用貫通孔27a、27bに導電性ペースト24を充填する。
【0012】
導電性ペースト24は導電性を付与するために銅などの金属粒子をエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に混練したものである。充填の方法は、スキージ26を用いた印刷法などの公知の技術を使用することができる。
【0013】
次に図10Dに示すように、離型フィルム22a、22bを剥離する。離型フィルム22a、22bはプリプレグ21の表面の樹脂分がわずかに溶融して接着されているだけであるので、容易にはがすことができる。
【0014】
図11は離型フィルム剥離後の貫通孔の断面図であって、離型フィルム22a、22bの剥離後は、図11に示すように、離型フィルム22a、22bの厚み分だけ導電性ペースト24が突出したような形状になる。
【0015】
そして、図10Eに示すように、プリプレグシート21の表裏に銅などの金属箔25a、25bを配置する。その後、熱プレスにて加熱加圧することにより、図10Fに示すように、成型硬化させてプリプレグシート21と金属箔25a、25bを接着するとともに、導電性ペースト24を圧縮する。これによって、表裏の金属箔25a、25bは、所定位置に設けた貫通孔23に充填された導電性ペースト24により電気的に接続される。
【0016】
次に、プリプレグシート21に形成された認識マーク用貫通孔27a、27bを金属箔25a、25bを介してX線を用いて検出し、図10Gに示すように認識マーク用貫通孔27a、27bのセンターにドリルなどを用いて露光用貫通孔29a、29bを形成する。
【0017】
そして、露光用貫通孔29a、29bと露光フィルムを位置決めして(図示せず)所定のエッチングレジストパターンを写真現像法などで形成する。その後、塩化第2銅などの薬液を用いて選択的にエッチングして、図10Hに示すような、回路パターン32a、32bと次層積層時の積層用認識パターン33a、33bを形成した両面基板30が得られる。
【0018】
次に、4層基板の製造方法について説明する。
【0019】
まず図12Aに示すように、上記のようにして製作された内層導体回路(内層となる回路基板に形成された回路パターン)32a、32bと次層積層時の認識パターン33a、33bとを形成した両面基板30と、図10A〜図10Dの製造方法を用いて作製した2枚のプリプレグシート21a、21bを準備する。2枚のプリプレグシート21a、21bには、製品用の貫通孔23と認識マーク用貫通孔27a、27bが形成され、印刷法を用いて導電性ペースト24が充填されている。製品用の貫通孔23は、両面基板30の回路パターン32a、32bの所定位置の対向部に形成されている。認識マーク用貫通孔27a、27bは、両面基板30の積層認識用パターン33a、33b位置の対向部に形成されている。
【0020】
次に図12Bに示すように、まず、プリプレグシート21bの認識マーク用貫通孔27a、27bをカメラで検出、画像処理して、充填された導電性ペースト24の径の重心を求める。その結果に基づいて、プリプレグシート21bをX、Y、θ方向に移動し所定位置に位置決めして、金属箔25b上に配置する。その後、プリプレグシート21bの対向部に形成された、両面基板30の積層認識用パターン33a、33bをカメラで検出、画像処理して重心を求める。その結果に基づいて、両面基板30をX、Y、θ方向に移動し、プリプレグシート21bの認識マーク用貫通孔27a、27bと位置決めして、プリプレグシート21b上に配置する。
【0021】
さらに図12Cに示すように、両面基板30に形成された認識用パターン33a、33bの対向部に形成された、プリプレグシート21aの認識マーク用貫通孔27a、27bをカメラで検出、画像処理して、充填された導電性ペースト24径の重心を求める。その後、プリプレグシート21aをX、Y、θ方向に移動し、両面基板30の認識用パターン33a、33bに位置決めして、両面基板30上に配置する。
【0022】
なお、上記の認識マーク用貫通孔27a、27bおよび積層認識用パターン33a、33bをCCDなどのカメラで検出する方法を採用した理由としては、装置コストが比較的安く、また装置の構成が簡便かつ普及しており、さらに生産性が高いことなどがあげられる。
【0023】
次に図12Dに示すように、プリプレグシート21a、21bの表面に金属箔25a、25bをそれぞれ配置し、熱プレスにて加熱加圧することにより、成型硬化させてプリプレグシート21a、21bと金属箔25a、25bを接着する。これにより、導電性ペースト24が圧縮されて表裏の金属箔25a、25bは、所定位置に設けた貫通孔23に充填された導電性ペースト24により、電気的に内層の両面基板30の回路パターン32a、32bと接続される。
【0024】
次に、プリプレグシート21a、21bに形成された認識マーク用貫通孔27a、27bを金属箔25a、25bを介してX線にて検出し、図12Eに示すように認識マーク用貫通孔27a、27bの重心にドリルなどを用いて露光用貫通孔29a、29bを形成する。
【0025】
そして、図12Fに示すように露光用貫通孔29a、29bと露光フィルムを位置決めして(図示せず)所定のエッチングレジストパターンを写真現像法などで形成する。その後、塩化第2銅などの薬液を用いて選択的にエッチングして外層の回路パターン32a、32bを形成することで4層基板40が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開平6−268345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
しかしながら、上記のような回路基板の製造方法では、表裏に離型フィルムを張り付けたプリプレグシートにレーザ加工を用いて認識マークを形成した場合、認識エラーや重心のずれが発生し、位置決め精度が要求される回路基板に対しては不利なものとなる。
【0028】
このことを、貫通孔加工後のプリプレグシート21の断面と平面の対応を示す図13を用いて説明する。
【0029】
具体的には、プリプレグシートを構成している樹脂成分やアラミド繊維やガラスクロスと離型フィルムのベース材になるポリエチレンテレフタレートなどのプラスチック類の加工エネルギーが異なる。そのため、例えば照射レーザ光が歪んだ場合、図13に示すように、レーザ光の出射側(プリプレグシート21の裏面)に対して入射側(プリプレグシートの21表面)の離型フィルム22aが変形して貫通孔23が加工される場合がある。すなわち、出射側の貫通孔23の径より入射側の貫通孔23aの径の方が大きくなる。
【0030】
このように変形した貫通孔23に導電性ペースト24を充填すると、図14に示すように、入射側の導電性ペースト24径の重心37aと出射側の導電性ペースト24径の重心37bにずれが発生する。
【0031】
その後、プリプレグシート21での認識用マークを透過光および反射光を用いてカメラで検出する際は、入射側の径が選択される。一方、熱プレス後に金属箔25a、25bを介してX線で認識マーク用貫通孔23を検出する際は、導電性ペースト24濃度の濃い出射側の径が選択される。したがって、両ステップ間での認識マーク用貫通孔23のずれも発生する。
【0032】
図15は従来例における他の認識マークの例を示す平面図である。最近では図15に示すように、認識マーク27の一部が欠けて認識マーク27の重心が異常マーク38になっても、他の認識マーク27で重心が得られるように、複数の貫通孔から構成される認識マーク27が提案されている。
【0033】
しかし、上記プリプレグシート21に認識マーク27を加工する際にレーザ光が歪むと、同一方向に入射側と出射側の導電性ペースト24径が異なり、単体の貫通孔を形成した場合と同様に重心ずれが発生する。
【0034】
したがって、このような製造方法で認識マークの重心ずれを改善するには、レーザ光が歪んで発生する入射側、出射側の導電性ペースト径の差の影響を受けない認識マークとそれを用いる回路基板の製造方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0035】
本発明の認識マークは、プリプレグシートの少なくとも2ヵ所以上に設けられ、導電性充填材が充填された貫通孔と、導電性充填材が充填されていない貫通孔または導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔とで構成されるものである。
【0036】
これにより、レーザ光の歪みによる製造の際の認識マークの重心ずれがなくなり、積層精度の高い多層基板が得られる効果を有する。
【0037】
また、本発明の回路基板の製造方法は、プリプレグシートの表裏に離型フィルムを張り付けるステップと、それに層間接続用の貫通孔および認識マーク用の貫通孔を複数形成するステップと、層間接続用の貫通孔および複数の認識マーク用の貫通孔の一部の貫通孔に導電性充填材を充填するステップと、プリプレグシートから離型フィルムを剥離するステップとを備えるものである。
【発明の効果】
【0038】
本発明の認識マークを用いることにより、積層精度が高い認識マークを容易に得ることができ、この結果、内層基板とプリプレグシートとの合致性が優れ、導電性充填材の層間接続手段による電気的接続が安定し高品質かつ高密度の回路基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1A】本発明の一実施の形態における回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図1B】同実施の形態における回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図1C】同実施の形態における回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図1D】同実施の形態における回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図1E】同実施の形態における回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図1F】同実施の形態における回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図1G】同実施の形態における回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図1H】同実施の形態における回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図2】同実施の形態における認識マークの位置を示す平面図
【図3A】同実施の形態における認識用貫通孔の加工方法を示す平面図
【図3B】同実施の形態における認識用貫通孔の加工方法を示す断面図
【図4】同実施の形態における認識マークを示す平面図
【図5】同実施の形態における貫通孔加工後の断面および平面の対応を示す図
【図6A】同実施の形態における貫通孔の導電性ペースト充填後の断面図
【図6B】同実施の形態における貫通孔の導電性ペーストを充填していない貫通孔の断面図
【図7】同実施の形態における導電性ペーストを用いた他の貫通孔の断面図
【図8A】同実施の形態における多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図8B】同実施の形態における多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図8C】同実施の形態における多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図8D】同実施の形態における多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図8E】同実施の形態における多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図8F】同実施の形態における多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図9A】同実施の形態における多層の回路基板の製造方法に用いる導電性ペースト充填前の認識マークの重心を示す断面図
【図9B】同実施の形態における多層の回路基板の製造方法に用いる導電性ペースト充填後の認識マークの重心を示す断面図
【図10A】従来例における両面の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図10B】同両面の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図10C】同両面の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図10D】同両面の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図10E】同両面の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図10F】同両面の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図10G】同両面の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図10H】同両面の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図11】従来例における離型フィルム剥離後の貫通孔の断面図
【図12A】従来例における多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図12B】同多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図12C】同多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図12D】同多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図12E】同多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図12F】同多層の回路基板の製造方法のステップを示す断面図
【図13】従来例における貫通孔加工後の断面および平面の対応を示す図
【図14】従来例における認識マークを示す断面図
【図15】従来例における他の例の認識マークを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の認識マークは、プリプレグシートの少なくとも2ヵ所以上に設けられ、導電性充填材が充填された貫通孔と、導電性充填材が充填されていない貫通孔または導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔とで構成されるものである。これにより、レーザ光の歪みによる製造の際の認識マーク重心ずれがなくなり、積層精度の高い多層基板が得られる効果を有する。
【0041】
また、導電性充填材が充填されていない貫通孔または導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔は、導電性充填材が充填された貫通孔の外側、例えばプリプレグシート端縁側に設けるものである。これにより、層間接続用の貫通孔に導電性充填材を充填する際に、導電性充填材が充填されない貫通孔をマスクすることが容易である。
【0042】
そして、導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔を、層間接続用の貫通孔に品質上の影響を与えることなく形成することができる。
【0043】
さらに、導電性充填材が充填されていない貫通孔または導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔を、透過光および反射光を用いてカメラで検出することが容易となる。
【0044】
したがって、レーザ光の歪みによる製造時の認識マーク重心ずれがなくなり、積層精度の高い多層基板が得られる。
【0045】
さらに、貫通孔の加工壁には変質層が形成されているものにおいては、貫通孔の輪郭が明確となり、検出しやすくなる。
【0046】
また、導電性充填材が充填されていない貫通孔または導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔の孔径は、導電性充填材が充填された貫通孔の孔径より大きい。これにより、貫通孔の加工粉やごみ詰まりなどによる貫通孔の重心ずれを防止できる。
【0047】
また、導電性充填材が充填されていない貫通孔または導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔または導電性充填材が充填された貫通孔のうち少なくとも一つの貫通孔は、複数の貫通孔で構成される。これにより、貫通孔の加工位置精度が低下しても複数個の貫通孔の重心位置から求めることができ、積層精度を高くすることができる。
【0048】
また、導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔はレーザ加工により形成され、変質層はプリプレグシート中の樹脂分が炭化されたものである。これにより、変質層を効率的に形成することができる。
【0049】
また、導電性充填材が充填されていない貫通孔または導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔は、レーザ光を多数回照射して形成するものである。これにより、生産性を低下させることなく、効率的に形成することができる。
【0050】
また、本発明の回路基板の製造方法は、プリプレグシートの表裏に離型フィルムを張り付けるステップと、それに層間接続用の貫通孔および認識マーク用の貫通孔を複数形成するステップと、層間接続用の貫通孔および複数の認識マーク用の貫通孔の一部の貫通孔に導電性充填材を充填するステップと、プリプレグシートから離型フィルムを剥離するステップとを備えるものである。
【0051】
これにより、積層精度が高い認識マークを容易に得ることができ、この結果、内層基板とプリプレグシートとの合致性が優れ、導電性充填材の層間接続手段による電気的接続が安定し高品質かつ高密度の回路基板を提供することができる。
【0052】
また、本発明の回路基板の製造方法は、プリプレグシートの表裏に離型フィルムを張り付けるステップと、それに層間接続用の貫通孔および認識マーク用の貫通孔を複数形成するステップと、層間接続用の貫通孔および複数の認識マーク用の貫通孔に導電性充填材を充填するステップと、プリプレグシートから離型フィルムを剥離するステップとを備え、複数の認識マーク用の貫通孔に導電性充填材を充填するステップは、一部の貫通孔から導電性充填材が抜け落ちて貫通孔壁面にのみ導電性充填材が残存するステップを含むものである。
【0053】
これにより、積層精度が高い認識マークを容易に得ることができることに加えて、導電性充填材を充填する際、一部をマスクする必要もないことから、生産性を向上させ、さらに、プリプレグシートなどの基板材料の有効面積の比率を高めることができる。
【0054】
また、導電性充填材が抜け落ちる一部の貫通孔の孔径は、他の貫通孔の孔径より大である。これにより、充填された導電性充填材が貫通孔より抜け落ち、貫通孔壁面にのみ導電性充填材を残すことで貫通孔の輪郭を明確にすることができる。
【0055】
また、本発明の回路基板の製造方法は、上記のプリプレグシートから離型フィルムを剥離するステップにより導電性充填材が充填された層間接続用の貫通孔と、導電性充填材が充填された貫通孔と導電性充填材が充填されていない貫通孔または導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔とで構成される認識マークを備えたプリプレグシートを準備するステップと、回路パターンおよび積層認識用パターンを備えた内層基板と金属箔を準備するステップと、プリプレグシートの認識マークのうちの導電性充填材が充填された貫通孔と導電性充填材が充填されていない貫通孔または導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔と、内層基板の積層認識用パターンとを検出して位置決めし、内層基板の上に前記プリプレグシートを配置するステップと、プリプレグシート上に金属箔を略位置決めして配置した後熱プレスにて加熱加圧するステップと、認識マークのうちの導電性充填材が充填された貫通孔を検出して露光用貫通孔を形成するステップとを備えるものである。
【0056】
これにより、積層精度の高い多層の回路基板を得られる効果を有する。
【0057】
また、上記プリプレグシートの認識マークと内層基板の積層認識用パターンとの検出・位置決めは、カメラで検出し画像処理して行うものである。
【0058】
これにより、プリプレグシートの認識マークが歪んで加工されても透過光の画像は貫通孔の最小径部となるため、レーザ光の歪みの影響を受けることがない。この結果、透過光によりプリプレグシートの認識マーク用の貫通孔および内層基板の積層認識用パターンの正確な検出が容易である。さらに、画像処理および位置決め動作が速く生産性が高い。
【0059】
また、認識マークのうちの導電性充填材が充填された貫通孔を検出して露光用貫通孔を形成するステップは、貫通孔をX線にて検出し、貫通孔の重心にドリル加工して行うものである。
【0060】
これにより、プリプレグシートの認識マークが歪んで加工された入射側に充填された導電性充填材の影響を受けることなく重心を検出することができ、位置精度の高い露光用貫通孔を形成することができる。
【0061】
以上のように、具体的には、本発明は、内層の回路基板およびプリプレグシートに、内層の基板を位置決めして積層する際に使用する認識マークと、熱プレス後に金属箔を介してX線で検出する認識マークとを設け、プリプレグシートに設けた積層時の認識マークを、導電性充填材を充填しない貫通孔または内壁に導電性充填材を形成した貫通孔で形成し、X線で検出する認識マークを導電性充填材を充填した貫通孔で形成したものである。
【0062】
したがって、本発明によれば、内層の回路基板と表裏に位置決めして積層するプリプレグシートの位置決め精度を改善し、高精細な回路基板の製造方法が容易に行えるものである。
【0063】
以下、本発明の実施の形態における認識マークおよび回路基板の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0064】
(実施の形態)
本実施の形態では、導電性充填材として導電性ペーストを用いる。まず初めに、導電性ペーストによるインナービアホール接続の多層基板における内層基板となる両面の回路基板の製造方法について説明する。
【0065】
図1A〜図1Hは、本発明の一実施の形態における回路基板の製造方法のステップを示す断面図である。
【0066】
まず図1Aに示すようにプリプレグシート1の表裏に離型フィルム2a、2bをラミネート装置を用いて接着する。
【0067】
プリプレグシート1は、例えば不織布の全芳香族ポリアミド繊維やガラスクロスに熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させた複合材からなる基材を用いている。プリプレグシート1の表裏には離型層部を形成したプラスチックフィルム、例えばポリエチレンテレフタレートなどからなる離型フィルム2a、2bをラミネート装置を用いて接着している。
【0068】
次に図1Bに示すように、レーザ加工法などを利用してインナービアホールとしての貫通孔3を形成する。この時、製品用、すなわち層間接続用の貫通孔3と同時に、後の導電性ペースト4を充填しない積層認識マーク用貫通孔7a、7bと熱プレス後の位置認識に用いるための、導電性ペースト4を充填するX線認識マーク用貫通孔8a、8bをレーザ加工法により形成する。
【0069】
図2は、本実施の形態における認識マークの位置を示す平面図である。本実施の形態では、図2に示すように、後の導電性ペースト4の導電性ペースト充填エリア15内に孔径が約150μmのX線認識マーク用貫通孔8a、8bを形成し、導電性ペースト4の導電性ペースト充填エリア15の外側、すなわち中心から見て外側であるプリプレグシート1の端縁側に、孔径が約300μmの積層認識マーク用貫通孔7a、7bを形成した。
【0070】
図3Aおよび図3Bは、本実施の形態における認識用貫通孔の加工方法を示す平面図および断面図である。本実施の形態では、積層認識マーク用貫通孔7a、7bは、加工粉やごみ詰まりを防止するため、レーザ加工時にレーザ光16を多数回照射し、レーザ光16径を図3Aのように重ねて加工して約300μmの孔径とした。積層認識マーク用貫通孔7a、7bの加工壁は、図3Bに示すように、レーザ光16の熱でプリプレグシート1中の樹脂分が炭化するなどの変質層18が形成されている。ここでは積層認識マーク用貫通孔7a、7b径を多数回照射し、300μmとしたが、製品の貫通孔3やX線認識マーク用貫通孔8a、8bと同一径であっても良い。
【0071】
図4は、本実施の形態における認識マークを示す平面図である。本実施の形態では、積層認識マーク用貫通孔7a、7bおよびX線認識マーク用貫通孔8a、8bはそれぞれ貫通孔を1個としたが、図4に示すように、複数個の積層認識マーク用貫通孔7およびX線認識マーク用貫通孔8で認識マークを形成しても良く、積層認識マーク用貫通孔7およびX線認識マーク用貫通孔8の個数は任意に設定すれば良い。
【0072】
また、4層時のプリプレグシート1の作製時は、積層認識マーク用貫通孔7a、7bおよびX線認識マーク用貫通孔8a、8bが必須である。しかし、両面基板の場合はプリプレグシート1の表裏に金属箔5a、5bを略位置決めして配置するため、X線認識マーク用貫通孔8a、8bのみ形成しても良い。
【0073】
図5は、本実施の形態における貫通孔加工後の断面および平面の対応を示す図である。レーザ加工時にレーザ光に歪みが生じた場合、図5に示すように、歪んだ部分のレーザ光のエネルギーは小さいため、レーザ光の入射側となるプリプレグシート1の上側離型フィルム2aには貫通孔3aが形成される。しかし、プリプレグシート1は貫通されず一部が加工された状態となる。そのため上側離型フィルム2aの貫通孔3a径はプリプレグシート1の孔径より大きく、歪んで形成される。一方、レーザ光の出射側となるプリプレグシート1の下側離型フィルム2b側は、エネルギーが大きい部分のみが通過して貫通孔3が形成されるため歪みなく加工される。
【0074】
次に図1Cに示すように、製品の貫通孔3および認識用マークを構成する貫通孔の一部であるX線認識マーク用貫通孔8a、8bに導電性ペースト4を公知の印刷法を用いて充填する。マスク11で積層認識マーク用貫通孔7a、7bを覆った状態で、導電性ペースト4をスキージ6で充填することで、導電性ペースト4の積層認識マーク用貫通孔7a、7bへの侵入を阻止できる。したがって、積層認識マーク用貫通孔7a、7bには導電性ペースト4が充填されず、版枠で覆っていないX線認識マーク用貫通孔8a、8bには導電性ペースト4を充填することができる。
【0075】
貫通孔3に充填された導電性ペースト4は、プリプレグシート1の表裏に貼り付ける銅などの金属箔5a、5bと電気的に接続する。導電性ペースト4は導電性を付与するために銅などの金属粒子をエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂に混練したものである。
【0076】
次に図1Dに示すように、離型フィルム2a、2bを剥離する。離型フィルム2a、2b剥離後は、離型フィルム2a、2bの厚み分だけ導電性ペースト4が突出したような形状になる。
【0077】
図6Aは本実施の形態における貫通孔の導電性ペースト充填後の断面図であり、図6Bは同導電性ペーストを充填していない貫通孔の断面図である。上側離型フィルム2aの加工面は、レーザ加工時に孔径が大きく歪んで加工される。したがって、レーザ光による加工後に導電性ペースト4が充填された、製品の貫通孔3やX線認識マーク用貫通孔8a、8bは、図6Aのような状態になる。すなわち、歪んだレーザ光部のエネルギーによって、レーザ光の入射側となるプリプレグシート1表面に表れる導電性ペースト4の径は大きくなる。一方、レーザ光の歪みの影響が小さい出射側となるプリプレグシート1の下側離型フィルム2b側の導電性ペースト4の径は小さくなる。したがって、表の導電性ペースト4の重心17aと、裏の導電性ペースト4の重心17bとは、ずれた状態になっている。
【0078】
一方、導電性ペースト4が充填されていない積層認識マーク用貫通孔7a、7bは、図6Bに示すように、レーザ光の入射側となるプリプレグシート1の上側は僅かに溶融した痕跡は見られたが、透過光で見た場合は貫通していないプリプレグシート1の溶融した痕跡部分の影響はなくなり、いずれも重心17を有する貫通孔の形状(円形)となる。
【0079】
図7は、本実施の形態における導電性ペーストを用いた他の貫通孔の断面図である。本実施の形態では、積層認識マーク用貫通孔7a、7bにレーザ加工で形成した貫通孔をそのまま用いた。しかし、図7に示すように、導電性ペースト4充填時に、導電性ペースト4を、積層認識マーク用貫通孔7a、7b周辺と貫通孔壁面とに残すことで、貫通孔の輪郭が明確になる。また、レーザ加工による変質層18形成の場合も貫通孔の輪郭が明確になる。
【0080】
図7に示す部位にのみ導電性ペースト4を残すには、導電性ペースト充填エリア内に導電性ペースト4が抜け落ち易い孔径の積層認識マーク用貫通孔7a、7bを設ける。これにより、他の製品の貫通孔3やX線認識マーク用貫通孔8a、8bと同時に導電性ペースト4を充填しても、積層認識マーク用貫通孔7a、7bの導電性ペースト4は抜け落ちて図7に示す積層認識マーク用貫通孔7a、7bが得られる。貫通孔径がプリプレグシート1の厚みの1.5倍以上を超えると導電性ペースト4が抜けやすくなるが、孔径が大きいほど容易に抜けやすくなる。したがって、使用する導電性ペースト4や充填方法などに合わせて貫通孔径を設定すればよい。なお、積層認識マーク用貫通孔7a、7bに導電性ペーストを充填した後、一定時間放置することによって、貫通孔壁面にのみ導電性ペーストを残存させることが可能である。
【0081】
次に図1Eに示すように、プリプレグシート1の積層認識マーク用貫通孔7a、7bを用いて表裏に銅などの金属箔5a、5bを配置する。内層基板となる両面基板を製作する場合は、金属箔5a、5bとは略位置決めで良いため、位置決め精度の要求は小さく、導電性ペースト4を充填されたX線認識マーク用貫通孔8a、8bを用いても良い。
【0082】
次に図1Fに示すように、その後熱プレスにて加熱加圧することにより、成型硬化させてプリプレグシート1と金属箔5a、5bを接着するとともに、導電性ペースト4を圧縮させる。これによって、表裏の金属箔5a、5bを、所定位置に設けた製品の貫通孔3に充填された導電性ペースト4と電気的に接続する。
【0083】
次に、プリプレグシート1に形成されたX線認識マーク用貫通孔8a、8bを、金属箔5a、5bを介してX線検査機にて検出する。その後、図1Gに示すように、X線認識マーク用貫通孔8a、8bの重心にドリルなどを用いて露光用貫通孔9a、9bを形成する。X線認識マーク用貫通孔8a、8bの重心は、プリプレグシート1のレーザ光の歪みの影響を受け歪んで加工された入射側の導電性ペースト4径は大きいものの、導電性ペースト4の厚みが離型フィルム2aの厚み分と少なく、濃度が薄くなる。そのため、導電性ペースト4の濃度が濃く導電性ペースト4の径が小さいレーザ出射側の導電性ペースト4の径の重心が選択される。
【0084】
そして、図1Hに示すように露光用貫通孔9a、9bと露光フィルムを位置決めして(図示せず)所定のエッチングレジストパターンを写真現像法などで形成する。その後、塩化第2銅などの薬液を用いて選択的にエッチングして回路パターン12a、12bと4層用の積層認識用パターン13a、13bとX線認識用パターン14a、14bを形成することで、内層基板として用いる両面基板10が得られる。ここでは積層認識用パターン13a、13bとX線認識用パターン14a、14bを両面基板の表面にのみ形成したが、検出の手段に応じて裏面側にも設けても良い。
【0085】
なお、本発明は、導電性充填材が充填されていない貫通孔または導電性充填材が貫通孔壁面に残存された貫通孔または導電性充填材が充填された貫通孔のうち少なくとも一つの貫通孔が、複数の貫通孔で構成されていても良い。
【0086】
次に、本発明の4層基板の製造方法について説明する。図8A〜図8Fは本発明の4層基板の製造工程断面図である。
【0087】
まず、図8Aに示すように、上記のようにして作製した、内層導体回路パターン12a、12bと次層積層時の積層認識用パターン13a、13bとを形成した両面基板10と、図1A〜図1Dの製造方法を用いて作製した2枚のプリプレグシート1a、1bを準備する。2枚のプリプレグシート1a、1bには両面基板10の回路パターン12a、12bの所定位置に、導電性ペースト4が充填された製品用の貫通孔3が形成されている。さらに、X線認識用パターン14a、14b位置の対向部には、導電性ペースト4が充填されたX線認識マーク用貫通孔8a、8bが形成されている。さらに、積層認識用パターン13a、13b位置の対向部には、導電性ペースト4が充填されていない積層認識マーク用貫通孔7a、7bが形成されている。
【0088】
次に図8Bに示すように、プリプレグシート1bの導電性ペースト4が充填されていない積層認識マーク用貫通孔7a、7bを透過光にてカメラで検出、画像処理して重心を求め、プリプレグシート1bをX、Y、θ方向に移動し所定位置に位置決めして金属箔5b上に配置する。その後、プリプレグシート1bの対向部に形成した両面基板10上面の積層認識用パターン13a、13bを上方からカメラで検出、画像処理して重心を求め、両面基板10をX、Y、θ方向に移動しプリプレグシート1bの積層認識マーク用貫通孔7a、7bと位置決めしてプリプレグシート1b上に配置する。
【0089】
導電性ペースト4を充填されていない積層認識マーク用貫通孔7a、7bの加工壁には変質層が形成されており、貫通孔の輪郭がより明らかになり積層認識マーク用貫通孔の検出が安定し、1000枚のサンプル作製での認識エラーはなかった。
【0090】
本実施の形態では、両面基板10上面の積層認識用パターン13a、13bを上方からカメラで検出したが、両面基板10下面の積層認識用パターン13a、13bを下方からカメラで検出してもよい。
【0091】
さらに図8Cに示すように、両面基板10に形成した積層認識用パターン13a、13bの対向部に形成した、導電性ペースト4を充填されていないプリプレグシート1aの積層認識マーク用貫通孔7a、7bの重心を求める。その後、プリプレグシート1aをX、Y、θ方向に移動し、両面基板10の積層認識用パターン13a、13bに位置決めして両面基板10上に配置する。
【0092】
次に図8Dに示すように、プリプレグシート1aの上に金属箔5aを配置し、熱プレスにて加熱加圧することにより、成型硬化させてプリプレグシート1aと金属箔5a、5bを接着するとともに、導電性ペースト4を圧縮する。これにより、表裏の金属箔5a、5bは、所定位置に設けた貫通孔3に充填された導電性ペースト4により、電気的に両面基板10の回路パターン12a、12bと接続される。
【0093】
次に、プリプレグシート1a、1bに形成されたX線認識マーク用貫通孔8a、8bを金属箔5a、5bを介してX線にて検出し、図8Eに示すようにX線認識マーク用貫通孔8a、8bの重心にドリルなどを用いて露光用貫通孔9a、9bを形成する。
【0094】
そして、図8Fに示すように、露光用貫通孔9a、9bと露光フィルムを位置決めして(図示せず)所定のエッチングレジストパターンを写真現像法などで形成し、塩化第2銅などの薬液を用いて選択的にエッチングして回路パターン12a、12bを形成することで4層基板20が得られる。
【0095】
図9Aおよび図9Bは、本実施の形態における多層の回路基板の製造方法に用いる導電性ペースト充填前および導電性ペースト充填後の認識マークの重心を示す断面である。図9Aに示すように、積層認識マークを導電性ペースト4を充填していない積層認識マーク用貫通孔7a、7bで形成したことで、レーザ光が歪んで積層認識マーク用貫通孔7a、7bが加工されても透過光の画像は最小径部となるためレーザ光の歪みの影響は受けない。したがって、従来の導電性ペースト4を充填して認識マークを形成した際に問題となった入射側と出射側の重心ずれがなくなる。
【0096】
また、熱プレス後に用いるX線認識マーク用貫通孔8a、8bは積層認識マークの近傍に形成することにより、積層認識マークとの位置精度の低下を防止することができる。さらに、図9A、図9Bに示すように積層認識マーク用貫通孔7a、7bの重心17aと、X線でのX線認識マーク用貫通孔8a、8bの重心17bの位置が貫通孔の同一箇所で求められるため、積層時とX線での重心ずれも改善される。
【0097】
また、積層認識マーク用貫通孔7a、7bは導電性ペースト4を充填していないため、貫通孔径が小さくなると、貫通孔にゴミやプリプレグシートの樹脂粉などが留まりやすい。そのため、透過光を用いてカメラで検出した際、穴径が小さくなり重心位置がずれて位置決め精度が低下する場合がある。そのため、積層認識マーク用貫通孔7a、7b径は、ゴミやプリプレグシートの樹脂粉が抜けやすい孔径にすることが望ましい。
【0098】
したがって、本実施の形態ではプリプレグシートの厚みが100μmに対して積層認識マーク用貫通孔径を約300μmとした。しかし、積層認識マーク用貫通孔径はプリプレグシートの物性やレーザ加工法に合わせて設定すればよい。また、積層認識マーク用貫通孔はレーザ加工時にレーザ光を多数回照射し、レーザ光径を重ねて一つの貫通孔を加工してレーザの加工熱でプリプレグシート中の樹脂分が炭化するなどの変色層を形成した方が、積層認識マークの輪郭が検出しやすい。
【0099】
また、本実施の形態では4層基板の製造方法を説明したが、完成した4層基板20をさらに内層基板として、表裏に本発明で作製したプリプレグシート1a、1bと金属箔5a、5bを位置決めして配置し、熱プレスおよび回路形成を繰り返すことで任意の多層基板を得ることができる。
【0100】
また、本実施の形態では両面基板10の表裏にプリプレグシート1a、1bと金属箔5a、5bを配置する構成としたが、プリプレグシート1a、1bの表裏に両面基板10を配置する構成としても本発明の効果が得られる。
【0101】
また、層間接続手段として導電性ペーストを用いて説明したが、導電性ペーストとしては銅粉などの導電性粒子を硬化剤を含む熱硬化性樹脂に混練したものの他に、導電性粒子と熱プレス時に基板材料中に排出されてしまうような適当な粘度の高分子材料、あるいは溶剤などを混練したものなど多種の組成が利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
以上述べたように、本発明によれば、内層基板とプリプレグシートとの合致性が優れ、導電性ペーストの層間接続手段による電気的接続が安定に高品質で行えるので、回路基板の製造方法などに有用である。
【符号の説明】
【0103】
1、1a、1b プリプレグシート
2a、2b 離型フィルム
3、3a 貫通孔
4 導電性ペースト
5a、5b 金属箔
6 スキージ
7、7a、7b 積層認識マーク用貫通孔
8、8a、8b X線認識マーク用貫通孔
9a、9b 露光用貫通孔
10 両面基板
11 マスク
12a、12b 回路パターン
13a、13b 積層認識用パターン
14a、14b X線認識用パターン
15 導電性ペースト充填エリア
16 レーザ光
17、17a、17b 重心
18 変質層
20 4層基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリプレグシートの表裏に離型フィルムを張り付けるステップと、
表裏に前記離型フィルムを張り付けられた前記プリプレグシートに層間接続用の貫通孔を形成するステップと、
前記層間接続用の貫通孔に導電性充填材を充填するステップと、
前記プリプレグシートから前記離型フィルムを剥離するステップにより作製されたプリプレグシートを準備するステップと、
回路パターンおよび積層認識用パターンを備えた内層基板と金属箔とを準備するステップと、
前記内層基板の上に前記プリプレグシートを位置決めして配置するステップと、
前記プリプレグシート上に前記金属箔を略位置決めして配置した後に、熱プレスにて加熱加圧するステップと、
加熱加圧した前記内層基板、前記プリプレグシート、前記金属箔に露光用貫通孔を形成するステップからなる回路基板の製造方法において用いる認識マークであって、
表裏に前記離型フィルムを有する前記プリプレグシートの少なくとも2ヵ所に設けられ、
前記内層基板の上に前記プリプレグシートを位置決めして配置するステップにおいて、前記内層基板の前記積層認識用パターンに対して位置決めする積層認識マークと、
加熱加圧した前記内層基板、前記プリプレグシート、前記金属箔に露光用貫通孔を形成するステップにおいて露光用貫通孔を形成するX線認識マークからなり、
前記X線認識マークは前記導電性充填材が充填された貫通孔で構成され、
前記積層認識マークは前記導電性充填材が充填されていなく、且つ加工壁には変質層が形成された貫通孔または前記導電性充填材が貫通孔壁面にのみ残存した貫通孔とで構成され、
前記貫通孔はレーザ光が前記プリプレグシートの入射側から出射側へと照射して形成されたものであることを特徴とする認識マーク。
【請求項2】
前記導電性充填材が充填された貫通孔よりも中心から見て外側に、前記導電性充填材が充填されていなく、且つ加工壁には変質層が形成された貫通孔または前記導電性充填材が貫通孔壁面にのみ残存した貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1に記載の認識マーク。
【請求項3】
前記導電性充填材が充填されていなく、且つ加工壁には変質層が形成された貫通孔または前記導電性充填材が貫通孔壁面にのみ残存した貫通孔の孔径は、前記導電性充填材が充填された貫通孔の孔径より大きいことを特徴とする請求項1に記載の認識マーク。
【請求項4】
前記導電性充填材が充填されていなく、且つ加工壁には変質層が形成された貫通孔または前記導電性充填材が貫通孔壁面にのみ残存した貫通孔または前記導電性充填材が充填された貫通孔のうち少なくとも一つの前記貫通孔は、複数の貫通孔で構成されることを特徴とする請求項1に記載の認識マーク。
【請求項5】
前記変質層は、レーザの加工熱によりプリプレグシート中の樹脂分が炭化されたものであることを特徴とする請求項1に記載の認識マーク。
【請求項6】
前記導電性充填材が充填されていなく、且つ加工壁には変質層が形成された貫通孔または前記導電性充填材が貫通孔壁面にのみ残存した貫通孔は、レーザ光を多数回照射して形成されることを特徴とする請求項3に記載の認識マーク。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図10G】
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【図10H】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−164999(P2012−164999A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−86111(P2012−86111)
【出願日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【分割の表示】特願2008−535820(P2008−535820)の分割
【原出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】