説明

誘導指示を伴った路線プレビュー機能を備えた車載ナビゲーションシステム

路線の地図表現(21)及び誘導情報を同時に表示する路線プレビュー装置を含んだ車載ナビゲーションシステム。前記情報は、それが利用可能となる路線内の地点に関連した地図表現上に重ね合わせて表示される。誘導情報の表示の優先規則ならびに表示の向きも規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載ナビゲーションシステムに、より詳細には、相応の誘導指示を伴った計画された路線のプレビュー機能を備えた車載ナビゲーションシステムに関する。
【0002】
自動車の車載ナビゲーションシステムは、通常、地図データベース、計算手段、及び表示手段を有しており、前もって選んだ目的地に到達するために通るべき道路に関する情報を運転者に供給する。したがって、このシステムによれば、2つのタイプの情報が提供される。第1のケースでは、提供される情報は走行するゾーンの地図表現であり、通るべき道路を強調表示し、前記道路上の車両を描いたマーカを有している。このような表現は情報に富んでいるが、複雑で読みにくい場合もあり、運転中の運転者の気を散らす危険を招く。第2のケースでは、供給される情報はより人間工学的なものであり、ピクトグラム及び/又は音声情報、「右折して下さい」といったタイプの誘導指示などの形態での表示に限定される。この情報は実用的ではあるが、運転者は自分が路線上のどこにいるのかを確認することができない。
【0003】
例えば文献DE 39 05 493に記載されているようなシステムは、例えば車両のフロントガラスへの投影によって、1つのスクリーンには地図を表示し、別のスクリーンには誘導情報を表示することで2つの表現モードを並置することを提案している。この解決手段は走行中には利点があるかもしれないが、走行準備中に、目的地をシステムに入力した後で、システムにより決定された路線を受け入れるか又は拒絶するかために運転者がこの路線を見たいと思うような場合には、その限りではない。そのうえ、この解決手段は恒常的に2つのスクリーンを必要とするので非常にコスト高である。文献US 5,832,406に記載されているような他のシステムは、遭遇することになる様々な交差点を各交差点において通るべき道路の指示とともに順次表示することによって運転者が路線をプレビューすることができるようにすることを提案している。これらのシステムは選択された路線の全体を概観することができないという欠点を有している。
【0004】
したがって、本発明の課題は、システムによって決定された路線と走行中にシステムが提供する誘導指示とを連関させることにより、従来技術の欠点を解消するナビゲーションシステムを提供することである。
【0005】
本発明のこの課題、及び、本明細書において後で明らかとなる他の課題は、地図データ、少なくとも1つの目的地の入力手段、出発点と前記目的地との間の路線を計算する手段、前記路線に関する誘導情報を決定する手段、及び表示手段を有する車載ナビゲーションシステムにおいて、前記システムが、前記路線をプレビューすると同時に前記路線の地図表現及び誘導情報を表示する装置を含んでおり、前記情報は、前記情報が利用可能となる路線内の地点に関連した地図表現上に重ね合わせて表示されるようにすることにより解決される。
【0006】
本発明の重要な特徴によれば、路線は階層化された道路区間から形成されており、前記プレビュー装置は地図表現の表示スケールを決定する手段と、前記表示スケールに応じて表示されるべき道路区間の階層レベル及び前記区間の階層レベルに応じて表示される誘導情報を選択する手段とを有している。
【0007】
有利には、幾つかの誘導情報の間で表示が衝突する場合には、階層レベルの最も高い誘導情報が優先して表示される。
【0008】
本発明の別の重要な特徴によれば、誘導情報は、地図表現の方位にかかわらず、路線走行中に提供されるように表示される。
【0009】
本発明によるシステムの他の特徴及び利点は、以下の説明を読み、添付した図面を参照することで明らかになる。添付図面のうち、
図1は、本発明によるナビゲーションシステムを図式的に示しており、
図2は、本発明によるプレビュー装置により提供される地図表現の一例を示している。
【0010】
図1に示されているナビゲーションシステムは従来と同じくコンピュータ10を有しており、このコンピュータ10は、例えば平坦な液晶スクリーンであるスクリーン20と、キーパッドのようなデータ及び指示入力手段30と、少なくとも決定された領域に属する地図データを含んだ記憶手段40とに接続されている。コンピュータ10は物理的には、メモリのような周辺回路やグラフィックインタフェースのような入出力回路などと結合したマイクロプロセッサから構成されている。なお、これらの回路はそれ自体周知であるから、図示されていない。さらに、コンピュータは多数の機能を実現できるようにするソフトウェアを内蔵しており、これらの機能のうち説明に役立つ機能のみが機能ブロック11〜14の形で示されている。したがって、コンピュータ10は、一般的には車両の現在位置である出発点と、入力手段30によって直接入力されるか又は番地録から選択される目的地とに基づいて、記憶手段40に格納されている地図データから隣接する道路区間を選択することにより路線を計算する。これらの様々な道路区間は、例えば車道の性質に応じて、すべてが同じ重要性を有しているわけではない。具体的には、路線が第1の街のある番地から別の街の別の番地までの移動をカバーする場合であれば、路線は主幹線道路に通じる第1の街の街路、続いて主幹線道路から出る幹線道路、2つの街をつなぐ高速道路、続いて目的地の街の付近では、幹線道路、主幹線道路、及び、正確な目的番地に通じる街路を含む。注目する路線部分に応じて、より高い又はより低い詳細さのレベルが関心となる。したがって、路線全体に注目する場合には、交通量の多い道路と高速道路だけが重要であり、その一方で、出発点の街又は目的の街の一方での移動に相応する路線部分だけに注目する場合には、小さな街路が重要である。それゆえ、計算手段11により計算される路線は、検討している道路区間のリストだけでなく、その階層に関する情報も含んでいる。
【0011】
この路線はつぎに地図表示手段12に伝送される。地図表示手段12は、道路地図上でのこの路線の表現がこの形でスクリーン20上に表示されるように整える。路線は、したがって、表示される他の道路のトラックとは異なる太さ及び/又は色のトラックによって地図背景上で強調表示される。図2には、路線22が他の道路よりも太い線で表示されている地図表現21の一例が示されている。
【0012】
計算手段11によって決定された路線は誘導指示を決定する手段13にも伝送される。誘導指示決定手段13の機能は、2つの隣接する道路区間の各ジャンクションに関して、計算された路線をたどるために必要な操縦を運転者が実行することができるように走行中に運転者にどんな指示を提供するかを決定することである。これらの誘導指示は、採るべき行動を記号化したピクトグラム23の形で及び/又は音声メッセージの形態で提示することができる。これらの誘導指示は、運転者が次の区間に移るために誘導指示の供給が必要とされる道路区間に添付される。
【0013】
本発明の必須の特徴によれば、地図表示手段12と誘導指示決定手段13は形成した情報をプレビュー装置14に供給する。プレビュー装置14は、運転者から要求されると、この情報から、路線の地図表現21と誘導指示23とから成る複合ディスプレイ(図2参照)を形成する。誘導指示23は走行中に提供され、ナビゲーションシステムが走行中にこの情報を供給するときに車両が位置しているだろう地図上のおおよその地点に、ピクトグラム23a,23c,23dの形態で配置される。
【0014】
したがって、路線が決定されるとすぐに、誘導ピクトグラムを伴った地図の形態で路線を表示することができる。この表示は自動的に行うことも、又は、運転者から要求されたときに、入力手段30により制御されるメニュー選択によって行うこともできる。デフォルトでは、この表示は決定された路線と両立するスケールで行われ、これによって路線全体を表示することが可能になる。したがって、この表示に過大な負荷がかからないように最も階層レベルの高い情報だけが表示されることが理解される。それゆえ、例えば2つの街を結ぶ路線において、街の街路の詳細に踏み込むことなく、これらの街を結ぶ道路と高速道路だけが表示される。本発明によれば、プレビュー装置14は、このスケールに応じて、表示すべき道路区間とこれらに関する誘導情報23の階層レベルを選択する。しかしながら、運転者が表示される表現の一部を選択し、この表現を拡大する可能性もある。プレビュー装置14は、選択された部分に応じて、地図表現の適切なスケールを決定し、この適切なスケールに応じて、表示すべき道路区間の階層レベルならびにこれに関連した誘導情報を決定する。
【0015】
図2には、中間スケールに相当する北向きの地図表現21が示されており、この地図表現21では、濃い線で示された路線22は、路線の入口及び出口にある矢印(単に図の読み易さを支援する情報として示されている)によって示されているように、図の右側から左側へ延びている。
【0016】
第1の道路区間の終点には、この道路区間に関するピクトグラム23aが表示されており、ロータリーに到達することを運転者に知らせていることに注意されたい。第2の区間はこのロータリーの上に延びる円弧に相当する。この区間に関して誘導指示が表示されなければならない。しかし、本発明の特徴によれば、プレビュー装置14は、図中で破線によって示されている相応するピクトグラム23bがピクトグラム23aとの表示の衝突を伴うこと、これら2つのピクトグラムが部分的に重なることを検出する。したがって、プレビュー装置14はそれぞれの区間の階層レベルを比較し、図示の例では、第1の区間のレベルが第2の区間のレベルよりも高いため、ピクトグラム23bの表示を削除し、地図表現が過負荷にならないようにする。また、第1の区間は第2の区間よりも高い優先度を有しているので、ピクトグラム23aを前景に表示し、ピクトグラム23bを部分的に覆うようにすることも可能である。
【0017】
路線22に沿って進んでいくと、第3の区間の終点で左折が必要であることを指示するピクトグラム23cと、第4の区間の終点で右折が必要であることを指示するピクトグラム23dとに遭遇する。ここで、本発明の特徴によれば、後者のピクトグラムは路線走行中に提示されるように表示されることに注意されたい。具体的には、第4の区間は北南の方向に延びているので、一見したところでは次の区間は左向きであるように見えるが、実際には次の区間に入るためには右折しなければならない。したがって、本発明による表現の利点は明らかであり、これにより、走行方向に地図を向き直すという頭脳的運動を行わなくても、この地点で為すべき操縦を即座に知覚することができる。
【0018】
それゆえ、上で説明した車載ナビゲーションシステムは、走行しなければならない路線全体が決定されるとすぐに、ユーザが路線全体を見ることができるようにし、またズームによってより詳細に見ることも可能にし、同時に、この行程の移動中にシステムにより供給される誘導指示をユーザにとって分かり易いものにする。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明によるナビゲーションシステムを図式的に示す。
【図2】本発明によるプレビュー装置により提供される地図表現の一例を示す。
【符号の説明】
【0020】
1 ナビゲーションシステム
10 コンピュータ
11 路線計算手段
12 地図表示手段
13 誘導指示決定手段
14 プレビュー装置
20 スクリーン
21 地図表現
22 路線
23a,b,c,d 誘導情報
30 入力手段
40 地図データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データ(40)、少なくとも1つの目的地の入力手段(30)、出発点と前記目的地との間の路線を計算する手段(11)、前記路線に関する誘導情報を決定する手段(13)、及び表示手段(20)を有する車載ナビゲーションシステムにおいて、
前記システムは、前記路線をプレビューする(14)と同時に前記路線の地図表現(21)及び誘導情報を表示する装置を含んでおり、前記情報は、前記情報が利用可能となる路線内の地点に関連した地図表現上に重ね合わせて表示される、ことを特徴とする車載ナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記路線(22)は階層化された道路区間から形成されており、前記プレビュー装置(14)は地図表現の表示スケールを決定する手段と、
− 前記表示スケールに応じて表示されるべき道路区間の階層レベル、及び
− 前記区間の階層レベルに応じて表示される誘導情報
を選択する手段とを有している、請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
幾つかの誘導情報(23a,23b)の間で表示が衝突する場合には、階層レベルの最も高い誘導情報が優先して表示される、請求項2記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
誘導情報は、地図表現の方位にかかわらず、路線走行中に提供されるように表示される、請求項1から3のいずれか1項記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−502999(P2007−502999A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529806(P2006−529806)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005138
【国際公開番号】WO2004/104519
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(398050939)シーメンス ヴイディオー オートモーティヴ (60)
【氏名又は名称原語表記】Siemens VDO Automotive
【住所又は居所原語表記】1, Avenue Paul Ourliac F−31036 Toulouse Cedex 1, France
【Fターム(参考)】