説明

誘導灯

【課題】地上デジタル放送用電波による情報を、誘導灯に設置された画像表示部に表示させることにより、受信端末装置を持っていない人にも、最新の災害情報を確実に伝達することができる誘導灯を提供する。
【解決手段】本発明の誘導灯10は、法的に表示義務がある避難経路などを示す情報を常時表示する誘導表示部11と、地上デジタル放送用電波を送信する送信アンテナ12と、この送信アンテナ12から送信される地上デジタル放送用電波を受信して文字や映像を含む緊急情報を表示可能な画像表示部13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘導灯に係り、例えば、地上デジタル放送用電波を送信可能な送信アンテナを備える誘導灯の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、公共建造物などには、火災発生などに対処するため、避難経路や避難方向を示す情報を常時表示する誘導灯の設置が義務付けられている。このような誘導灯としては、商用電源のAC電流に重畳させた制御信号によって、誘導灯を制御するようにした誘導灯制御システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の誘導灯制御システムは、誘導灯に液晶表示板などからなる表示器を備えており、平常時には避難経路以外の通常情報を表示器に表示しておき、火災発生時には避難経路や避難方向を表示すると共に、警告音などを発生させて告知するようにしている。
【0003】
また、ビルディング内などの電波が奥まで届き難い場所に情報を伝達するため、地上デジタル放送用電波を中継可能な送信アンテナを誘導灯内に備え、次々と電波を送信してビルディングの奥まで情報を伝達するようにしたシステムも知られている。
【特許文献1】特開平7−193531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の誘導灯制御システムは、誘導灯内に商用電源の他に、バッテリと充電器とからなる非常用電源を有し、停電時には商用電源から非常用電源に切り替えられるようになっている。しかし、この誘導灯制御システムは、有線方式のシステムであり、誘導灯の制御が商用電源のAC電流に重畳させた制御信号によって行われるので、火災などによって商用電源がダウンすると、誘導灯を制御することができなくなる問題点があった。また、表示器に表示できる情報は、例えば、火災センターから有線によって供給される情報に限定され、商用電源がダウンした状態では、表示内容を状況に応じて最新情報に変更して表示することができず、改善の余地があった。
【0005】
また、誘導灯内に送信アンテナを備えたシステムは、ビルディングの奥まで情報を中継することはできるものの、地上デジタル放送用電波を受信可能な受信端末装置を有する人にしか情報を伝達することができないと言う問題点があった。
【0006】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、地上デジタル放送用電波による情報を、誘導灯に設置された画像表示部に表示させることにより、受信端末装置を持っていない人にも、最新の災害情報を確実に伝達することができる誘導灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明は、法的に表示義務がある避難経路などを示す情報を常時表示する誘導表示部と、地上デジタル放送用電波を送信する送信アンテナと、前記送信アンテナから送信される前記地上デジタル放送用電波を受信して文字や映像を含む緊急情報を表示可能な画像表示部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
このように構成された誘導灯においては、法的に表示義務がある情報を誘導表示部に常時表示すると共に、地上デジタル放送用電波で供給される緊急情報を画像表示部に表示することができる。従って、この誘導灯においては、商用電源がダウンすると誘導灯を制御することができなくなるという従来の有線方式の問題を解消して、商用電源がダウンした状態でも、地上デジタル放送用電波によって供給される最新の情報を、受信端末装置を持っていない人にも確実に伝達することができる。
【0009】
また、本発明は、前記誘導灯に電力を供給する電源として、商用電源、および補助電源を備え、前記商用電源が非作動となる緊急時には、前記電源を前記商用電源から前記補助電源に切り替えることを特徴としている。
【0010】
このように構成された誘導灯においては、商用電源が非作動になった場合、電源を商用電源から補助電源に切り替えて誘導灯に電力を供給するので、火災などの非常時においても誘導灯の作動を確実に維持することができ、これによって必要情報を提供し続けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、商用電源がダウンした状態でも、地上デジタル放送用電波によって供給される最新情報を、受信端末装置を持っていない人にも確実に伝達することができ、二次災害を最小限に抑えることができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る誘導灯を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の誘導灯を示す正面図(a)、および側面図(b)、図2は図1に示す誘導灯のブロック図、図3は天井に懸架して設置された誘導灯の正面図(a)、および側面図(b)である。
【0013】
図1および図2に示すように、本実施形態の誘導灯10は、誘導表示部11と、送信アンテナ12と、画像表示部13と、を備え、これらが略長方体のケース14内に収容されている。誘導表示部11は、法的に表示義務がある避難経路や避難方向などの情報を常時表示するものであり、誘導灯10の左半分の領域に配置されて、例えば、人が駆けている絵を裏側に設けられた蛍光灯などの光源15によって表示している。蛍光灯などの光源15は、商用のAC電源20に接続された点灯回路16によって制御されて常時点灯している。
【0014】
送信アンテナ12は、地上デジタル放送用電波を送信可能な公知のアンテナであり、アンテナ制御部17に接続されている。送信アンテナ12から送信された地上デジタル放送用電波は、誘導灯10内に設置されたチューナ19で受信され、地上デジタル放送用電波の持つ文字情報や、静止画、または動画などの映像情報が、画像表示部13に表示される。画像表示部13は、例えば、液晶表示装置から構成されて、誘導灯10の右半分の領域に配置されている。
【0015】
誘導灯10は、図示しないバッテリや充電器からなり商用電源ACに接続されて充電されている補助電源18を備えている。補助電源18および商用電源ACは、切換装置20を介して誘導灯10の各部に電気的に接続されており、各部に電力を供給する。切換装置20は、商用電源ACがダウンするなどして商用電源ACからの電力供給が停止する緊急時に、回路を商用電源ACから補助電源18に切り替えて、誘導灯10の各部に供給する電力を確保する。
【0016】
このような誘導灯10は、図3の設置例に示すように、天井21から懸架されて建造物に設置される。そして、点灯回路16によって蛍光灯などの光源15を常時点灯させ、誘導表示部11に、例えば、人が駆けている絵などの避難経路や避難方向などを示す情報を常時表示する。
【0017】
また、画像表示部13は、平常時には、送信アンテナ12から送信される平常時の情報、例えば、劇場やデパートなどであれば、地上デジタルTV画像や、催事予定、買物情報などの多目的情報を表示する。そして、火災発生などの非常時には、切換装置20が必要に応じて電源を商用電源ACから補助電源18に切り替え、送信アンテナ12から送信される緊急情報、例えば、火災発生箇所、火災の規模、具体的避難方法などを表示する。
【0018】
上記したように、本発明に係る誘導灯10は、画像表示部13を備え、送信アンテナ12から送信される緊急情報を誘導灯10自身で表示するので、従来のように受信端末装置を所持する人にしか伝達できなかった重要情報を、すべての人に確実に伝達して早期の退避行動を促し、被害を最小限に抑制することができる。また、誘導表示部11に、避難経路表示などの、法律によって表示が義務化されている情報を常時表示できることは当然である。
【0019】
また、画像表示部13に表示される情報は、地上デジタル放送用電波から得られる情報であるので、火災などによって商用電源ACがダウンしても、情報の内容を最新情報に適宜、変更して最適な情報を表示させることが可能となる。
【0020】
誘導灯10の電源は、商用電源AC、および補助電源18の2系統を、適宜に切り替えて使用する(図2参照)以外にも、図4に示すように、バッテリ25のみから電力を供給するようにしてもよい。
【0021】
誘導灯10の形態、および設置位置は、図3に示す天井21からの懸架設置に限定されず、例えば、図5に示すように、誘導灯10の制御部をケース14に内蔵させると共に、誘導表示部11および画像表示部13を個別にケース14の下方に配置した形態とすることもできる。この形態の誘導灯10は、比較的サイズが大きくなり易いケース14(制御部)を天井21に埋め込み設置することができ、人から見える誘導表示部11および画像表示部13を薄くできるので、外観性能に優れた誘導灯10が得られる。
【0022】
また、図6に示すように、誘導表示部11および画像表示部13の裏面に、制御部を内蔵するケース14を配置し、壁面22に埋め込み設置するようにしてもよい。このような設置によると、建物からの突出部を殆どなくすことができ、誘導灯10が邪魔になることがない。
【0023】
なお、本発明の誘導灯は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【0024】
例えば、前述した実施形態において、画像表示部として液晶表示装置を例示したが、本発明の画像表示部はこれに限定されず、プラズマディスプレイ装置、多数のLEDを2次元配列したLEDディスプレイ装置など、他のディスプレイ装置にも適用可能である。
【0025】
その他、前述した実施形態において例示した誘導灯、誘導表示部、送信アンテナ、画像表示部、補助電源等の材質,形状,寸法,形態,数,配置個所等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】(a)は本発明の誘導灯を示す正面図、(b)は側面図
【図2】図1に示す誘導灯のブロック図
【図3】天井に懸架して設置された誘導灯の正面図(a)、および側面図(b)
【図4】誘導灯の他のブロック図である。
【図5】表示部以外の部分が天井に埋め込み設置された誘導灯の正面図(a)、および側面図(b)
【図6】壁面に埋め込み設置された誘導灯の正面図(a)、および側面図(b)
【符号の説明】
【0027】
10 誘導灯
11 誘導表示部
12 送信アンテナ
13 画像表示部
18 補助電源
AC 商用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
法的に表示義務がある避難経路などを示す情報を常時表示する誘導表示部と、
地上デジタル放送用電波を送信する送信アンテナと、
前記送信アンテナから送信される前記地上デジタル放送用電波を受信して文字や映像を含む緊急情報を表示可能な画像表示部と、
を備えることを特徴とする誘導灯。
【請求項2】
前記誘導灯に電力を供給する電源として、商用電源、および補助電源を備え、
前記商用電源が非作動となる緊急時には、前記電源を前記商用電源から前記補助電源に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の誘導灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−288847(P2009−288847A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137848(P2008−137848)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】