説明

誘導結合プラズマを使用して液体状や粉末状や気体状の廃棄物を破壊するための装置および方法

本発明は、液体状または気体状または粉末状とされた少なくとも1つの有機物質またはハロゲン化有機物質を熱的に破壊するための方法に関するものである。本発明による方法においては、有機物質と水とを混合し;原子状態へと分解したガスの第1熱的破壊操作を、反応チャンバ内において、引き起こし;第1熱的破壊操作を受けたガスに対して、エネルギーを追加することなく、攪拌デバイス内において、エアおよび/または酸素と攪拌しつつ、第2熱的破壊操作を引き起こし;ガスの少なくとも一部を冷却することによって、再結合させ;破壊されたガスの放出を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導結合プラズマを使用することによって、毒性を有した化学物質や有害な化学物質を破壊するための装置および方法に関するものである。そのような化学物質は、液体状とも気体状ともまた粉末状ともすることができ、有機化合物の系統やハロゲン化有機化合物の系統に属するものとすることができる。
【背景技術】
【0002】
廃棄物の処理という問題は、この10年ほどにわたって深刻な問題となってきている。過去においては、大部分の廃棄物が、通常は何ら制限されることなく、『廃棄』されてきた。しかしながら、現在では、廃棄物の性質と量とが変化しており、廃棄物の処理を産業的に主導する必要性が発生している。
【0003】
廃棄物の処理に関し、様々な処理技術が実施されてきた。それでも、環境を破壊することがないような処理技術がなおも要望されている。廃棄物を破壊するためのこれら非常に効果的な技術は、すべて共通して、廃棄物を破壊するプロセスと、この破壊によって生じた排ガスを処理するプロセスと、生成する液体残留物や固体残留物の管理プロセスと、を同時に提案している。
【0004】
一般に、多くの化合物の安定性に打ち勝ち得るよう、廃棄物の破壊に際しては、加熱プロセスが使用される。このため、有害な化合物の破壊のための施設は、従来より、焼却炉とされている。例えば、固体物質を燃焼させ得るよう、固体物質に対して、液体物質が混合される。しかしながら、廃棄物の焼却の場合には、揮発性残留物が得られる。加えて、これら施設は、燃料と燃焼対象物との反応を完全なものとし得るよう、また、運転コストを低減し得るよう、かなり大きなサイズのものとする必要がある。
【0005】
これら欠点を解決するために、廃棄物の破壊のための多くの方法においては、プラズマ技術を使用する。実際、プラズマプロセスの使用は、必要な施設のサイズを低減し得るという利点を有している。なぜなら、プラズマ焼却炉においては、非常に高い温度を達成し得るからであり、したがって、廃棄物の破壊を引き起こす化学反応を加速させ得るからであり、また、そのようにして形成された化学元素の再結合を引き起こす化学反応を加速させ得るからである。
【0006】
特許文献[1]においては、吹付プラズマアークを使用した有機化合物の破壊が、考慮されている。廃棄物の燃焼によって生成されるガスは、セグメント化されたチューブ状ステージ内においてプラズマトーチの出口のところにおいて、エアや水や酸素と混合される。この技術を使用すれば、プラズマアークトーチから出射するプラズマガスをガス状廃棄物に対して混合することのために、ガス状廃棄物の破壊を容易に達成することができる。しかしながら、破壊対象をなす対象物がトーチ内部を通過しないことのために、効率が悪い。液体物質の破壊は、吹付アークプラズマトーチから出射される高温かつ高速度のガス層に対して液相を一様に混合させることが困難であることのために、より複雑なものであることが判明している。このさらなる困難さは、プロセスの熱的性能および効率を、さらに低減させる。
【0007】
吹付アークプラズマを使用することの他の例が、特許文献[2][3]に開示されている。破壊対象をなす廃棄物は、初期バーナーによってガス化状態へと相変換を受けた後に、チューブ状吹付アークプラズマトーチ内へと導入される。
【0008】
特許文献[2]に示される技術においては、プラズマトーチ内へと対象物を導入する前に対象物を蒸気化するということのために、プロセスによる破壊効率が増大するものの、対象物が適切に蒸気化されるように常に観測しなければならないことのために、プロセスの複雑さがかなり増大してしまう。ガスバーナーは、適切な動作のためには大量のエアの供給を必要とするものであり、このようなガスバーナーの追加は、ガス流を増大化させ、このため、対象物の全体的比率(質量比率)を低減させる。
【0009】
特許文献[3]で記述されているプロセスであると、破壊対象をなす材料は、ガス状であるか液状であるかどうかにかかわりなく、材料を、直接的にプラズマトーチ内へと導入することができる。このプロセスにおいては、トーチ内における電気アークを安定化させるために、磁場を使用した技術を使用する。このプロセスにおいては、かなりの量の電気エネルギーを使用することのために、非常に大きなの量の物質が破壊される。加えて、トーチの動作のために使用されるガスのタイプに関しても、また、原子の再結合の制御のために使用されるガスのタイプに関しても、何らの言及がない。したがって、このプロセスは、熱分解によって、物質の破壊を行う。つまり、酸素を添加することなく、物質の破壊を行う。このため、大量の還元性ガスが生成され、これらガスは、大気雰囲気へと放出する前に、トーチ出口のところにおいて、燃焼させなければならない。
【0010】
特許文献[4]においては、廃棄物は、水またはメタノールと混合され、チューブ状アークトーチ内へと導入される。プロセスガスとして、エアに代えて、酸素が使用される。この修正の目的は、廃棄物の破壊度合いを改良することである。この技術においては、セグメント化されたチューブ状アークトーチを使用する。この技術は、ほとんど使用されることがなく、安定した動作条件を決定するためにはプラズマ技術を良好に理解する必要がある。この種の技術においては、2つの相(液体、および、ガス)の導入を行うことにより、安定した動作条件を容易に得ることができない。
【0011】
特許文献[5]においては、プラズマバーナーを使用することにより、標準的な焼却炉から導出されるガスの浄化と汚染防止とを行う。このため、混合チャンバ内へと、エアと、中性化対象をなすガス状物質と、を導入することにより、高温での事後燃焼が得られる。この場合にも、このプロセスにおいては、プラズマトーチが、ガスを浄化するためのさらなるエネルギーの供給源として使用される。したがって、例えば上述したように、従来の焼却炉で前もって液体を蒸発化させないことには、液体を直接的には処理することができない。加えて、対象物をトーチ自体の中へと導入しないことのために(材料の不適合性の理由により)、プロセスの効率が大いに低減してしまう。
【0012】
また、ラジオ周波数プラズマまたは高周波プラズマを使用することもできる。例えば、特許文献[6]においては、破壊対象をなす固体物質は、まず最初に、回転炉内へと導入され、これにより、ガス状へと変換することができる。その後、ガス流は、コレクタに向けて導入される。コレクタ内において、キャリアガスと混合され、可能であれば、液体廃棄物と混合される。その後、この組合せは、高周波プラズマトーチ内へと導入される。その後、トーチから導出される物質は、遠心分離機へと案内される。遠心分離機には、磁界と電界とを生成するコイルシステムが付設されている。このシステムを使用することにより、様々な物質を分離させることができる。この技術の第1目的は、対象物をなす様々な構成物質を分離させることであり、可能であれば、回収可能な物質(重い構成要素、等)が回収される。トーチは、特殊な幾何形状を有している。このトーチ内へと、非特定のコレクタを介して対象物が導入される。得られるフィールド温度(300〜1000℃)では、厳密な意味において破壊を行うことができず、むしろ、様々な構成物質の分離に適した条件を生成する。
【0013】
特許文献[7]は、エアとアルゴンとの混合ガスを使用して動作するプラズマトーチを使用することによって、軍隊起因のガス状有毒物質を破壊することに関するものである。水/エアによるクエンチングを、トーチの出口のところに導入する。これにより、反応を停止させることができる。この文献に開示されているように、破壊されるべき対象物は、物質を不活性なものとするためのモジュールを通過する。すなわち、プラズマモジュールを通過する。したがって、プラズマモジュール内へと案内されるガスが重要であるように思われる。液体の導入は、対象物の組成に依存する可能性に過ぎない。
【特許文献1】米国特許第4,438,706号明細書
【特許文献2】米国特許第4,479,443号明細書
【特許文献3】米国特許第4,644,877号明細書
【特許文献4】米国特許第4,886,001号明細書
【特許文献5】米国特許第5,505,909号明細書
【特許文献6】米国特許第5,288,969号明細書
【特許文献7】仏国特許出願公開第2 765 322号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、大気雰囲気内へとガス状非毒性物質を制御しつつ排出することでもって安全な態様で、単独でもってあるいは混合物として、有機物質あるいはハロゲン化有機物質を破壊することであり、また、環境に対して有害な再結合化合物をトラップすることである。したがって、本発明の目的は、人に対しても環境に対しても無毒であるようなすなわち有毒ではないような物質を、環境に対して戻すことである。
【0015】
本発明は、化学物質を破壊するための、特に、高い安定性と高度な化学的毒性とを示す特殊な廃棄物を破壊するための、装置および方法を提案する。言い換えれば、本発明による装置および方法を使用することにより、人または環境に対して潜在的な危険性を有した様々な化学物質を、したがって、存在時には連続的に観測する必要がある化学物質を、処理することができる。
【0016】
本発明は、液体状または気体状または粉末状とされた少なくとも1つの有機物質またはハロゲン化有機物質のための熱的破壊プロセスに関するものである。このプロセスにおいては、
−1つまたは複数の上記有機物質と、カーボンの原子数と酸素の原子数と間において少なくとも化学量論的な原子比率が確保されるような十分な量の水と、を混合し、または、1つまたは複数の上記ハロゲン化有機物質と、一方においてはカーボンの原子数と酸素の原子数との間において他方においては水素の原子数とハロゲンの原子数との間において少なくとも化学量論的な原子比率が確保されるような十分な量の水と、を混合し、
−誘導結合プラズマトーチのコイル内へと、上記混合物と、プラズマガスと、を導入し、これにより、原子状態へと分解したガスを生成し、
−原子状態へと分解したガスの第1熱的破壊操作を、反応チャンバ内において、引き起こし、
−第1熱的破壊操作を受けたガスに対して、エネルギーを追加することなく、攪拌デバイス内において、エアおよび/または酸素と攪拌しつつ、第2熱的破壊操作を引き起こし、
−攪拌デバイスから導出されたガスの少なくとも一部を冷却することによって、再結合させ、
−破壊されたガスの放出を行う。
【0017】
破壊対象をなす物質と水との混合は、破壊対象物質が液体または粉末状である場合には液体状態の水を使用して行われ、破壊対象物質が気体状である場合には水蒸気を使用して行われる。混合物は、カーボンの原子数と酸素の原子数と間において少なくとも化学量論的な原子比率が確保されるような、廃棄物と水との比率を有していなければならない。ハロゲン化有機物質という特殊なケースに関しては、廃棄物と水との比率は、加えて、水素の原子数とハロゲンの原子数との間において、化学量論的な原子比率が達成されるものとされなければならない。
【0018】
有利には、有機物質またはハロゲン化有機物質が液体状または粉末状である場合には、少なくとも1つの有機物質またはハロゲン化有機物質と水との混合物は、誘導結合プラズマトーチのコイルのところへと、スプレーの形態で導入される。または、有機物質またはハロゲン化有機物質が気体状である場合には、少なくとも1つの有機物質またはハロゲン化有機物質と水との混合物は、誘導結合プラズマトーチのコイルのところへと、気体状という形態で導入される。
【0019】
有利には、破壊後のガスは、大気雰囲気へと放出される。
【0020】
有利には、攪拌デバイスは、ベンチュリーとされる。
【0021】
特殊なケースにおいては、破壊プロセスにおいては、冷却による再結合ステップから導出されたガスをデバイス内で冷却することによって、周囲雰囲気に対しての熱交換を行う。
【0022】
有利には、このプロセスにおいては、冷却による再結合ステップから導出されたガスを、分析する。
【0023】
有利には、プロセスにおいては、ガスの圧力を制御する。
【0024】
この場合、制御に際しては、有利には、真空設備と称されるポンピングデバイス(制御バルブ、真空ポンプ、制御設備)を使用する。
【0025】
ある特殊なケースにおいては、プロセスにおいては、冷却による再結合ステップから導出されたガスに対して、少なくとも1つの化学的処理を行う。
【0026】
有利には、少なくとも1つの化学的処理に際しては、脱ハロゲン化と、窒素酸化物の脱酸素化と、脱硫黄化と、のいずれかを行う。いずれの処理を行うかの選択は、処理対象をなすガスの性質に基づいて行われる。
【0027】
有利には、少なくとも1つの化学的処理を行う前に、ガスに対して水をスプレーすることが行われる。このスプレーの目的は、必要に応じて、ガスの温度を低下させることである。
【0028】
本発明は、また、液体状または気体状または粉末状とされた1つまたは複数の有機物質またはハロゲン化有機物質のための熱的破壊装置に関するものである。この装置は、
−誘導結合プラズマトーチと、
−トーチ内へとプラズマガスを導入するための手段と、
−トーチ内へと、水と、1つまたは複数の有機物質またはハロゲン化有機物質と、の混合物を導入するための手段と、
−誘導結合プラズマトーチから導出されたガスの熱的破壊を行うのに適した反応チャンバと、
−この反応チャンバから導出されたガスを攪拌するために使用されるデバイスと、
−攪拌デバイス内へと、エアおよび/または酸素を導入するための手段と、
−攪拌デバイスから導出されたガスの少なくとも一部を冷却することによって再結合を行うデバイスと、
を具備し、
誘導結合プラズマを、反応チャンバに対して連結し、
反応チャンバを、攪拌デバイスに対して連結し、
攪拌デバイスを、再結合デバイスに対して連結する。
【0029】
有利には、破壊装置は、誘導結合プラズマトーチと反応チャンバと攪拌デバイスと再結合デバイスとを、冷却するための冷却手段を具備している。
【0030】
有利には、上記冷却手段は、冷却設備とされる。
【0031】
有利には、反応チャンバは、冷却水が循環している二重壁を備えている。
【0032】
有利には、二重壁の内表面は、耐火性材料によって被覆されている。
【0033】
反応チャンバは、この反応チャンバが保持しているガスが、このガスをより反応性の小さなガスへと分解し得るような十分な温度と十分な時間とを有しているように、構成される。
【0034】
有利には、トーチ内へのプラズマガスの導入を、加圧装置を使用して行われる。有利には、トーチ内へとプラズマガスを導入するための手段は、過圧を使用した標準的な方法でガスを導入するための標準的ガス設備(貯蔵シリンダ)を備えている。
【0035】
有利には、トーチ内へと水と廃棄物との混合物を導入するための導入手段は、混合物が液体または懸濁液である場合には、スプレープローブとされ、混合物が気体状である場合には、注入プローブとされる。
【0036】
有利には、攪拌デバイスは、ベンチュリーとされる。攪拌デバイスを使用することにより、特にベンチュリーを使用することにより、補助的なエネルギーを一切使用しなくても、廃棄物分解ステージから導出された高温のガスと、導入されたガス(エアまたは酸素)と、の間の事後燃焼を直接的に引き起こすことができる。
【0037】
ある特定のケースにおいては、ベンチュリーは、水冷式の二重壁を備えている。
【0038】
有利には、ベンチュリーは、(収束部分と称される)上部材と、(発散部分と称される)下部材と、これら2つの部材を連結している(ネック部材と称される)中央部材と、複数のエア導入ポートと、を備えている。
【0039】
有利には、ベンチュリーは、ベンチュリー壁上にわたってエアを一様に分配するための少なくとも1つの手段を備えている。
【0040】
有利には、ベンチュリー壁上にわたってエアを一様に分配するための少なくとも1つの手段は、分配チャンバとされ、この分配チャンバは、周縁回りに配置された複数の穴を有している。
【0041】
特殊なケースにおいては、攪拌デバイスから導出されたガスの少なくとも一部を冷却することによって再結合を行うデバイスは、水冷式二重壁容器を備えている。
【0042】
有利には、本発明による装置は、周囲雰囲気に対しての熱交換を行うデバイス、および/または、破壊装置の内部の圧力を制御するためのデバイス、を具備している。
【0043】
有利には、圧力を制御するためのデバイスは、真空設備とされる。
【0044】
さらに、破壊装置は、有利には、再結合デバイスから導出されたガスを化学的に処理するための少なくとも1つのデバイスを具備し、この少なくとも1つのデバイスは、再結合デバイスの後段側に配置される。
【0045】
有利には、再結合デバイスから導出されたガスを化学的に処理するための少なくとも1つのデバイスは、脱ハロゲン化と、窒素酸化物の脱酸素化と、脱硫黄化と、のいずれかを行うものとすることができる。選択される反応は、ガスの化学的組成と、ガスの物理的化学的特性と、に依存する。
【0046】
装置およびプロセスの利点は、以下の通りである。
−破壊対象物質をプラズマトーチ内へと直接的に導入することのために、高程度の破壊(最低でも、99.995%)を得ることができる。
−装置の外部において、対象物(つまり、破壊対象をなす物質)に対して水を添加することのために、安全性を確保することができる。
−カーボンとハロゲンとに対して酸素と水素とを同時的に添加することにより、原子の再結合を制御することができる。
−プラズマ技術の実施と反応の閉込とを、低減したサイズの2つのチャンバの内部において行っていることのために、装置のサイズを小さなものとすることができる。
−複雑な破壊対象物であっても、その破壊対象物に関する正確な知識を事前に有することなく、破壊することができる。
【0047】
本発明による装置およびプロセスは、処理対象をなす廃棄物に関して、融通性を有している。実際、装置内へと導入される廃棄物に関する制限事項は、固体状態の廃棄物に対して適応し得ないことのみである。液体状とされたようなまた気体状とされたような、さらには、懸濁液とさえされたような、すべての物質に関して、適応することができる。
【0048】
本発明によるプロセスおよび装置を使用して得られる廃棄物の破壊レベルは、99.995%の程度であり、99.999%の程度でさえある。破壊装置または破壊プロセスによって排出されるガスは、大気雰囲気内への『有毒な物質の排出量をゼロとする』ことを目的としたような、欧州共同体における排ガス基準を満たすものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明は、および、本発明の他の利点や特徴点は、添付図面を参照しつつ、本発明を何ら限定するものではなく単なる例示としての好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより、明瞭となるであろう。
【0050】
本発明による熱的破壊プロセスのために使用される装置が、図1に示されている。
【0051】
電源1は、380V/50Hzの電力供給システム(符号100)に対して接続されているとともに冷却設備2によって冷却されているものであり、プラズマトーチ6に対して、制御パネル4を介して、高周波エネルギーを供給している。この制御パネルは、例えば、チューニングキャビネットとすることができる。符号101は、電源1を制御パネル4に対して接続している同軸ケーブルを示しており、符号102は、パネル4をプラズマトーチ6に対して接続している誘導アームを示している。
【0052】
プラズマトーチ6を動作させるためには、ガスを供給しなければならない。動作ガス3の導入と、処理対象をなす水と廃棄物との混合物5の導入とは、トーチ6の内部において直接的に行われている。水と廃棄物とは、前もって混合されている。その後、混合物は、液体または懸濁液のためのスプレープローブを使用して、および、ガスのための注入プローブを使用して、トーチ6内へと導入される(トーチ内への水と廃棄物との混合物の導入原理は、図2に示されている)。
【0053】
ガスおよび混合物をプラズマトーチ6内へと導入した後には、プラズマガス、および、水と対象物との混合物は、反応チャンバ7内へと導入される。この反応チャンバ7の機能は、プラズマトーチ内において生成された熱を閉じ込めることである。これにより、廃棄物を完全に破壊することができる。よって、反応チャンバから導出されたガスは、1500℃を超える温度に達することができる。
【0054】
反応チャンバ7の出口のところにおいて、ガスは、ベンチュリー8として公知の特殊デバイス内へと流入する。ベンチュリー8とは、攪拌デバイスである。つまり、燃焼ガス(エアまたは酸素9)の追加によって、反応チャンバ7から導出されたガスの第2燃焼(事後燃焼)を引き起こす。図4は、ベンチュリー8の詳細を示している。したがって、このデバイスにより、反応チャンバ7内における初期的破壊ステージから抜け出してくる可能性のある有毒化合物を、破壊することができる。ベンチュリー内においては、ガスは、燃焼ガスとの混合後になおかつ発熱性燃焼反応の後に、1200℃を超える温度に達することができる。
【0055】
その後、ガスは、スペース10内へと導入される。このスペース10内においては、ガスは、急冷され、再結合ステップを受ける。この再結合スペースは、水冷式二重壁チャンバから構成されている。このスペース10内においては、温度は、出口のところにおける200℃にまで、急速に減少している。反応チャンバ7とは異なり、再結合スペース10は、熱的に絶縁されていない。二重壁は、冷却設備2から導出された再循環水によって冷却されている。このスペースにおいては、ガスは、流れることによって、壁の近くにおける自然的な対流によって冷却される。
【0056】
誘導結合トーチ6と、反応チャンバ7と、ベンチュリー8と、再結合ステージ10と、から構成されたアセンブリが、冷却設備11に対して接続されていて、冷却設備11によって冷却されていることに注意されたい。
【0057】
再結合スペース10の出口のところにおいて、ガスが分析される。分析デバイス12を使用することにより、熱的プロセスの効果を検証し得るとともに、処理後におけるガスの組成を確認することができる。しかしながら、結局のところ、分析デバイス12を使用することにより、ガスに対してさらなる化学的処理を施さなければならないかどうかを決定することができる。
【0058】
大気雰囲気内へと直接的に放出し得るほどに十分なだけの熱的処理をガスが受けた場合には、つまり、有毒化合物の濃度が設定限界値を上回っていない場合には、ガスは、熱交換器17へと送られる。この熱交換器内においては、ガスは、冷却され、その後、真空設備18へと送られ、プロセス動作圧力の制御が行われる。動作圧力は、数ミリバールと、大気圧と、の間とされる。真空設備18の後に、ガスは、大気雰囲気へと放出される。
【0059】
熱処理の後においても、ガスが、なおも高いレベルで有毒化合物を含有している場合には、そのガスは、処理システムへと送信られる。この処理システムは、処理対象をなす化合物に依存する。一般に、この処理システムは、ハロゲン14の中性化のためのシステムと、ガス16の触媒的脱窒素化を行うDENOXシステムと、可能であれば、脱硫黄システム(図1には図示されていない)と、から構成される。
【0060】
ハロゲンの中性化(あるいは、中和)は、アルカリ水を噴霧するという古典的な手法によって行われる。塩素に関して例示するならば、次のような反応を行う。
HCl + NaOH → NaCl + H
【0061】
窒素酸化物の脱窒素化は、例えば、アンモニアを使用した反応によって達成される。
NO + NO + 2NH → 2N + 3H
4NO + 4NH + O → 4N + 6H
2NO + 4NH + O → 3N + 6H
【0062】
水13の噴霧は、可能であれば、ガスをハロゲン処理システム14内へと導入して窒素酸化物および/または硫黄含有物質16のための処理ユニットを通過させる前に、行うことができる。これは、温度が過度に高い場合に、ガスの温度を低下させることとなる。これにより、ハロゲン中和システムを保護することができる。
【0063】
バルブ103を使用することにより、装置内の様々な構成部材どうしの間にわたってのガスの流れを制御することができる。例えば、図1においては、様々なバルブ103が設けられており、分析デバイス12とハロゲン化物質14の処理システム14との間に、および、分析デバイス12と熱交換器17との間に、および、窒素酸化物および/または硫黄含有物質16の処理システムと熱交換器17との間に、配置されている。
【0064】
上述した様々な処理を経た後に、ガスは、分析19を受ける。これにより、ガスを大気雰囲気内へと放出して良いかどうかを、決定する。ガスが十分に浄化されている場合には、ガスは、熱交換器17内において冷却された後に、真空設備18へと送られる。真空設備18を通った後に、ガスは、大気雰囲気19へと放出される。ガスが、なおも十分な反応性を有している場合には、ガスは、サイド、システム14,16内において化学的な処理を受ける。
【0065】
図2は、プラズマトーチの内部へと、対象物と水との混合物5を導入するためのシステムを示している。
【0066】
プラズマトーチ6は、無電極型の、高周波結合トーチあるいは誘導結合トーチである。この場合、プラズマは、コイル26を通過する高電圧かつ高周波数の電流によって、生成される。プラズマとは、ガスが、イオンや、電子や、中立種や、励起種、等へと分解されたことを表すために使用される用語である。任意のタイプの誘導トーチであっても、適切に使用することができる。
【0067】
プラズマトーチは、好ましくは、高周波を透過させ得る非導電性材料から形成されている。
【0068】
処理されるべき対象物は、十分な量の水と混合されなければならない。処理対象をなす対象物が液体または粉末という態様のものである場合には、液体の水が、添加される。処理対象をなす対象物がガスである場合には、添加される水も、また、ガスでなければならない(つまり、水蒸気)。添加すべき十分な量の水は、対象物と水との間の比率を、最低限でも、一方においてはカーボンの原子数と酸素の原子数との間において、他方においては、ハロゲン化有機物質という特殊なケースに関しては、水素の原子数とハロゲンの原子数との間において、化学量論的な原子比率が達成されるものとして、得られる。液体の水または水蒸気という態様でもって対象物に対して混合することによって、酸素と水素とを同時に添加することのために、原子の再結合を制御し得るとともに、高度な安全性(例えば、H/Oの爆発というリスクがない)を確保することができる。よって、同時的な原子の再結合反応は、以下の通りである。
C + O → CO
H + Cl → HCl
【0069】
このようにして生成された混合物は、タンク内に貯蔵され、プラズマトーチ内への導入のための待受状態とされる。
【0070】
水と廃棄物との混合物は、スプレーされた態様としてあるいはガスという態様として、プラズマトーチ6の中心領域へと導入される。
【0071】
廃棄物と水との混合物が、液体または懸濁液という態様のものである場合には、その混合物が、プラズマトーチ内へとスプレーされる。混合物を一時的にタンク内に貯蔵していることのために、供給ポンプを使用することによって、混合物をトーチの入口へと持ってきて、そして、混合物を、水冷されたスプレープローブ23を使用して、なおかつ、ガス導入によって機械的な補助を行いつつ、スプレーする(この場合には、シート状をなす液体という態様でもって、スプレーする)。シート状をなす液体を微小液滴へと分離させ得る限りにおいては、任意のタイプのプローブを使用しても、プラズマトーチ内へと混合物を導入し得ることを、指摘しておく。
【0072】
処理対象をなす対象物が、ガス状のものである場合には、ガス状混合物を、供給ポンプと水冷式注入プローブ23’とを使用して、プラズマトーチの中心領域へと導入する。注入プローブ23’がスプレーガスの供給を必要としないという点を除いては、スプレープローブ23と注入プローブ23’とが互いに同じものであることに注意されたい。
【0073】
注入プローブ23’またはスプレープローブ23は、好ましくは、プラズマトーチ6内においてコイル26の中心位置に配置される。その場合、液体状をなすまたは粉末状をなすまたはガス状をなす混合物は、プラズマ中の最も高温の場所において、プラズマに接触する。この位置は、ガス流内への対象物の侵入という観点と、2つの相と高温との緊密な接触に基づく破壊という観点と、の双方から、最大の効果を引き起こす。また、プローブ23’または23は、トーチの出口25に向けて移動させることもできる。
【0074】
言い換えれば、破壊されるべきすべての廃棄物は、前もって、液体廃棄物(混合物またはエマルジョン)または粉末廃棄物(懸濁液)に関しては液状の水に対して混合され、また、ガス状廃棄物に関しては水蒸気という形態の水に対して混合される。その後、熱的破壊デバイス内へと導入される。
【0075】
水性媒体またはガス状媒体に対しての廃棄物の混合は、廃棄物の破壊が成功するかどうかに関しての、1つのキーポイントである。廃棄物と水との間の比率は、最低限でも、一方においてはカーボンの原子数と酸素の原子数との間において、他方においては、ハロゲン化有機物質という特殊なケースに関しては、水素の原子数とハロゲンの原子数との間において、化学量論的な原子比率が達成されるものでなければならない。よって、例えば、CHClという化学組成を有したジクロロメタン廃棄物は、1モル対1モルという比率で水と混合され、これにより、以下の反応が行われる。
CHCl + HO → CO + 2HCl + H
【0076】
この混合物を使用することにより、プラズマ内へと酸素と水素とを個別的にかつ同時的に導入することを回避することができ、本発明においては、破壊デバイスの安全性を向上させることができる。また、この混合物を使用することにより、ガス流速を低減することができる。したがって、装置のサイズを低減し得るとともに、過度に大規模のガス処理システムを必要としない。
【0077】
図3は、破壊フェーズを概略的に示している。反応チャンバが図示されており、この反応チャンバ内において、対象物の破壊が起こる。この反応チャンバ7は、二重壁28を備えている。この二重壁28の内部にわたって、冷却水が循環する。この二重壁は、スチールから形成することができる。二重壁の内表面は、保護的な耐火材料によって被覆される。
【0078】
トーチ6から導出されたガスは、ポート27を通して反応チャンバ7内へと導入される。観測用のガラスポート30を使用することにより、ポート27を通して導入されたガスの振舞いが適切であるかどうかをチェックすることができる。ガスイオン化に関しての好ましくない振舞いは、以下のような特徴点を有している。
−ガス柱内における不規則なかつ非一様な移動。
−金属製構成部材(トーチのエッジ、注入プローブ、等)上への電気アーク。
−プラズマが不完全に形成されること、また、プラズマがトーチ6の内部に閉じ込められたままであること。
【0079】
ガスの適切な振舞いの制御は、観測用ガラス30の前方位置にカメラ31を配置することによって、容易に行うことができる。反応チャンバ7の出口33に向けて配置された熱電対32を使用することにより、このチャンバから導出されるガスの温度を測ることができる。
【0080】
その後、この反応チャンバから導出されたガスは、ベンチュリーとして公知のデバイスへと導入される。ベンチュリー8の目的は、冷たいエアの追加によって、反応チャンバから導出された反応ガス内において高度な乱流を発生させることである。冷たいエアと反応物質とから構成されたこの混合ガスを使用することにより、補助的な熱を一切使用しなくても、反応チャンバから導出されたガスの事後燃焼を引き起こすことができる。よって、反応チャンバ7内において変換されなかったすべての反応性ガスの破壊を、達成することができる。このベンチュリー内においては、例えばH やCOやC等といったような様々なガス種は、以下の反応式に基づいてエアに対して反応することとなる。
CO + H + O → CO + H
【0081】
よって、有害なガスCOが、有害性のより小さなガスへと変換される。
【0082】
ベンチュリー8は、スチールから形成されているとともに、水冷式の二重壁構造を有している(図4参照)。ベンチュリー8は、3つの部材から構成されている。すなわち、収束部分34と称される上部材と;発散部分42と称される下部材と;これら2つの部材を連結しているネック部材38と;から構成されている。
【0083】
収束部分34は、反応チャンバ7のガス出口33に対して接触している。収束部分は、2つのオリフィス35,36を有している。これらオリフィスを使用することにより、分配チャンバ37を使用して、ベンチュリー8の入口内へとエアまたは酸素を注入することができる。分配チャンバは、円筒形状をなすスペースであって、高さが数センチメートルとされ、幅が、ガス10が導入されるベンチュリー入口の周縁全体にわたるものとされている。分配チャンバ37には、多数の穴が開けられている。これら穴は、例えば、直径が2mmのものとされ、互いの間隔が2mmとされている。これら穴は、分配チャンバ37の周縁全体にわたって形成されている。この布配チャンバ37により、収束部分34内に保持されたガスを、収束部分34をなす壁に連接された部分に対して、ほぼ一様な態様で分配することができる。これにより、高温の腐食性ガスから壁を保護することができる。
【0084】
ベンチュリー8のネック部38のところにおいては、エアまたは酸素の第2の注入が、第2分配チャンバ40を使用して、オリフィス39を介して、行われている。この第2の注入は、収束部分において行われた最初の注入を補助する。その後、ガスは、発散部分42内へと導入され、ベンチュリーの出口41を通して導出される。これにより、ガスは、再結合ステージ10へと導入される。
【0085】
本発明による装置の利点は、上述したような様々な構成部材の相対配置および組立状況により、エネルギー源を使用することなく、破壊フェーズから導出されたガスを事後燃焼させることができる。実際、様々な構成部材の相対配置により、反応チャンバ7から導出されるガスの高温を有益に使用することができる。
【0086】
本発明による破壊装置または破壊プロセスを使用して処理し得る物質は、例えば、ハロゲン化された有機溶媒や、低い発熱量の汚染された水性混合物や、オイルや、環式芳香族や、有毒なガス状のC.F.CタイプのまたはH.C.F.C.タイプの物質や、戦闘用ガスや、粉末物質や、スラリー状等の態様とされた固体爆薬、などである。唯一の制限は、破壊対象をなす物質が、液体や気体や粉末といったような形態のものでなければならないということである。
【0087】
例えば、ガス状とされたホスゲンの破壊に際しては、以下のような原子の分解が起こり、その後、以下の再結合が起こる。
COCl + HO → C + 2H + 2O + 2Cl → 2HCl + CO
【0088】
ここで、混合物の初期モル濃度は、1モルのCOCl と1モルの水とであり、これにより、3モルのガス状物質が形成される。
【0089】
その後、HClは、NaOHと反応する。
2HCl + 2NaOH → 2NaCl + 2HO(溶液)
【0090】
液体物質の破壊の場合には、例えばテトラクロロメタンの破壊の場合には、以下の分解反応と再結合反応とが起こる。
CCl + 2HO → C + 4Cl + 4H + 2O → 4HCl + CO
【0091】
ここで、モル濃度は、1モルの対象物と、2モルの水と、である。
【0092】
その後、HClとNaOHとの間において、以下の反応が起こる。
4HCl + 4NaOH → 4NaCl + 4HO(溶液)
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明によるプロセスを実施するための設備を概略的に示す図である。
【図2】プラズマトーチ内への対象物を導入する様子を概略的に示す図である。
【図3】破壊ステージを概略的に示す図である。
【図4】ベンチュリーを概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0094】
6 誘導結合プラズマトーチ
7 反応チャンバ
8 攪拌デバイス、ベンチュリー
10 再結合デバイス
11 冷却設備
12 分析デバイス
18 ポンピングデバイス
23 スプレープローブ
23’ 注入プローブ
26 コイル
28 二重壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体状または気体状または粉末状とされた少なくとも1つの有機物質またはハロゲン化有機物質のための熱的破壊プロセスであって、
−1つまたは複数の上記有機物質と、カーボンの原子数と酸素の原子数と間において少なくとも化学量論的な原子比率が確保されるような十分な量の水と、を混合し、または、1つまたは複数の上記ハロゲン化有機物質と、一方においてはカーボンの原子数と酸素の原子数との間において他方においては水素の原子数とハロゲンの原子数との間において少なくとも化学量論的な原子比率が確保されるような十分な量の水と、を混合し、
−誘導結合プラズマトーチ(6)のコイル(26)内へと、上記混合物と、プラズマガスと、を導入し、これにより、原子状態へと分解したガスを生成し、
−原子状態へと分解した前記ガスの第1熱的破壊操作を、反応チャンバ(7)内において、引き起こし、
−前記第1熱的破壊操作を受けた前記ガスに対して、エネルギーを追加することなく、攪拌デバイス(8)内において、エアおよび/または酸素と攪拌しつつ、第2熱的破壊操作を引き起こし、
−前記攪拌デバイス(8)から導出されたガスの少なくとも一部を冷却(10)することによって、再結合させ、
−破壊されたガスの放出(20)を行う、
ことを特徴とする熱的破壊プロセス。
【請求項2】
請求項1記載の熱的破壊プロセスにおいて、
前記有機物質または前記ハロゲン化有機物質が液体状または粉末状である場合には、少なくとも1つの前記有機物質または前記ハロゲン化有機物質と水との前記混合物を、前記誘導結合プラズマトーチ(6)の前記コイル(26)のところへと、スプレーの形態で導入し、
または、
前記有機物質または前記ハロゲン化有機物質が気体状である場合には、少なくとも1つの前記有機物質または前記ハロゲン化有機物質と水との前記混合物を、前記誘導結合プラズマトーチ(6)の前記コイル(26)のところへと、気体状という形態で導入する、
ことを特徴とする熱的破壊プロセス。
【請求項3】
請求項1記載の熱的破壊プロセスにおいて、
前記攪拌デバイス(8)を、ベンチュリーとすることを特徴とする熱的破壊プロセス。
【請求項4】
請求項1記載の熱的破壊プロセスにおいて、
前記冷却(10)による前記再結合ステップから導出されたガスをデバイス(17)内で冷却することによって、周囲雰囲気に対しての熱交換を行うことを特徴とする熱的破壊プロセス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱的破壊プロセスにおいて、
前記冷却(10)による前記再結合ステップから導出されたガスを、分析(12)することを特徴とする熱的破壊プロセス。
【請求項6】
請求項4または5記載の熱的破壊プロセスにおいて、
前記ガスの圧力を制御することを特徴とする熱的破壊プロセス。
【請求項7】
請求項6記載の熱的破壊プロセスにおいて、
前記制御に際しては、真空設備と称されるポンピングデバイス(18)を使用することを特徴とする熱的破壊プロセス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱的破壊プロセスにおいて、
前記冷却による前記再結合ステップから導出されたガスに対して、少なくとも1つの化学的処理を行うことを特徴とする熱的破壊プロセス。
【請求項9】
請求項8記載の熱的破壊プロセスにおいて、
前記少なくとも1つの化学的処理に際しては、脱ハロゲン化(14)と、窒素酸化物の脱酸素化(16)と、脱硫黄化と、のいずれかを行うことを特徴とする熱的破壊プロセス。
【請求項10】
請求項8または9記載の熱的破壊プロセスにおいて、
前記少なくとも1つの化学的処理を行う前に、前記ガスに対して水(13)をスプレーすることを特徴とする熱的破壊プロセス。
【請求項11】
液体状または気体状または粉末状とされた1つまたは複数の有機物質またはハロゲン化有機物質のための熱的破壊装置であって、
−誘導結合プラズマトーチ(6)と、
−前記トーチ(6)内へとプラズマガスを導入するための手段と、
−前記トーチ内へと、水と、前記1つまたは複数の有機物質またはハロゲン化有機物質と、の混合物を導入するための手段(23、23’)と、
−前記誘導結合プラズマトーチ(6)から導出されたガスの熱的破壊を行うのに適した反応チャンバ(7)と、
−この反応チャンバ(7)から導出されたガスを攪拌するために使用されるデバイス(8)と、
−前記攪拌デバイス(8)内へと、エアおよび/または酸素を導入するための手段(9)と、
−前記攪拌デバイスから導出されたガスの少なくとも一部を冷却することによって再結合を行うデバイス(10)と、
を具備し、
前記誘導結合プラズマ(6)を、前記反応チャンバ(7)に対して連結し、
前記反応チャンバ(7)を、前記攪拌デバイス(8)に対して連結し、
前記攪拌デバイス(8)を、前記再結合デバイス(10)に対して連結することを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項12】
請求項11記載の熱的破壊装置において、
前記誘導結合プラズマトーチと前記反応チャンバと前記攪拌デバイスと前記再結合デバイスとを冷却するための冷却手段を具備していることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項13】
請求項12記載の熱的破壊装置において、
前記冷却手段が、冷却設備(11)とされていることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項14】
請求項11または12記載の熱的破壊装置において、
前記反応チャンバ(7)が、冷却水が循環している二重壁(28)を備えていることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項15】
請求項14記載の熱的破壊装置において、
前記二重壁(28)の内表面が、耐火性材料によって被覆されていることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項16】
請求項11記載の熱的破壊装置において、
前記トーチ内への前記プラズマガスの導入を、加圧装置を使用して行うことを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項17】
請求項11記載の熱的破壊装置において、
前記トーチ内へと前記水と廃棄物との混合物を導入するための前記導入手段が、
前記混合物が液体または懸濁液である場合には、スプレープローブ(23)とされ、
前記混合物が気体状である場合には、注入プローブ(23’)とされていることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項18】
請求項11記載の熱的破壊装置において、
前記攪拌デバイス(8)が、ベンチュリーとされていることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項19】
請求項18記載の熱的破壊装置において、
前記ベンチュリーが、水冷式の二重壁を備えていることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項20】
請求項18または19記載の熱的破壊装置において、
前記ベンチュリーが、収束部分(34)と称される上部材と、発散部分(42)と称される下部材と、これら2つの部材を連結しているネック部材(38)と称される中央部材と、複数のエア導入ポートと、を備えていることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項21】
請求項20記載の熱的破壊装置において、
前記ベンチュリーが、前記ベンチュリー壁上にわたってエアを一様に分配するための少なくとも1つの手段(37)を備えていることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項22】
請求項21記載の熱的破壊装置において、
前記ベンチュリー壁上にわたってエアを一様に分配するための前記少なくとも1つの手段が、分配チャンバ(37,40)とされ、
この分配チャンバ(37,40)が、周縁回りに配置された複数の穴を有していることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項23】
請求項11記載の熱的破壊装置において、
前記攪拌デバイス(8)から導出されたガスの少なくとも一部を冷却することによって再結合を行う前記デバイス(10)が、水冷式二重壁容器を備えていることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項24】
請求項11〜23のいずれか1項に記載の熱的破壊装置において、
周囲雰囲気に対しての熱交換を行うデバイス(17)、および/または、前記破壊装置の内部の圧力を制御するためのデバイス(18)、を具備していることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項25】
請求項24記載の熱的破壊装置において、
前記圧力を制御するための前記デバイス(18)が、真空設備とされていることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項26】
請求項11〜25のいずれか1項に記載の熱的破壊装置において、
前記再結合デバイスから導出されたガスを化学的に処理するための少なくとも1つのデバイスを具備し、
この少なくとも1つのデバイスが、前記再結合デバイス(10)の後段側に配置されていることを特徴とする熱的破壊装置。
【請求項27】
請求項26記載の熱的破壊装置において、
前記再結合デバイスから導出されたガスを化学的に処理するための前記少なくとも1つのデバイスが、脱ハロゲン化(14)と、窒素酸化物の脱酸素化(16)と、脱硫黄化と、のいずれかを行うものとされていることを特徴とする熱的破壊装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−524800(P2007−524800A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553630(P2006−553630)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050099
【国際公開番号】WO2005/080873
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】