説明

調理器

【課題】簡単な構成で調理物の取り出しを検知して扉を自動的に閉じることのできる調理器を提供する。
【解決手段】調理物を載置する載置部4が配されて調理物を加熱する加熱室2と、載置部4上の温度を検知する温度センサ13と、扉駆動部23の駆動により加熱室2を開閉する扉3とを備え、調理終了後に載置部4上の温度を温度センサ13により監視し、扉3が開かれて載置部4上が所定温度よりも降温してから所定時間が経過した際に扉駆動部23により扉3を閉じるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱室を開閉する扉を自動で閉じる調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の調理器は特許文献1に開示されている。この調理器はマグネトロンを備え、前面を開口した加熱室内に調理物を載置するターンテーブルが配される。ターンテーブルには調理物の重量を検知する重量検知手段が設けられる。また、加熱室の前面を開閉する扉は扉駆動部の駆動によって閉成動作が行われる。
【0003】
調理を開始するとマグネトロンから加熱室内にマイクロ波が供給される。調理物はターンテーブルによって回転し、マイクロ波によって加熱調理される。調理が終了すると扉が開かれる。使用者が調理物を取り出すと重量検知手段によりターンテーブル上の重量変化が検知される。これにより、調理物が取り出されたことを検出し、扉駆動部によって自動的に扉が閉じられる。従って、調理物を取り出して両手が使えない状態の使用者は扉を閉じる必要がなく、調理器の利便性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−42457号公報(第1頁−第4頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の調理器によると、ターンテーブル上の調理物の重量を検知する重量検知手段は構造が複雑になるため調理器のコストが大きくなる問題があった。特に、ターンテーブルを有する調理器は清掃を行いにくいため、清掃を容易に行うことのできるターンテーブルレスの調理器が近年増加している。この時、ターンテーブルレスの調理器では重量検知手段の構造が更に複雑になる。
【0006】
本発明は、簡単な構成で調理物の取り出しを検知して扉を自動的に閉じることのできる調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、調理物を載置する載置部が配されて調理物を加熱する加熱室と、前記載置部上の温度を検知する温度センサと、前記加熱室を開閉する扉と、前記扉を駆動して前記扉の閉成動作を行う扉駆動部とを備え、調理終了後に前記載置部上の温度を前記温度センサにより監視し、前記扉が開かれて前記載置部上が所定温度よりも降温してから所定時間が経過した際に前記扉駆動部により前記扉を閉じることを特徴としている。
【0008】
この構成によると、加熱室内に配される載置部上に調理物が載置され、扉を閉じて調理が開始される。調理が終了すると温度センサによって載置部上の温度が監視される。扉を開いて調理物が取り出されると載置部上の温度が降温する。温度センサによって載置部上が所定温度よりも降温したことを検知すると、所定時間待機して扉駆動部により扉が閉じられる。
【0009】
また本発明は、上記構成の調理器において、前記温度センサの検知によって調理中の前記加熱室内の温度を監視したことを特徴としている。この構成によると、温度センサによって加熱室内の温度が監視され、調理の終了や異常高温を検出する。
【0010】
また本発明は、上記構成の調理器において、前記所定時間が経過して前記扉駆動部により前記扉を閉じる前に報知を行う報知手段を設けたことを特徴としている。この構成によると、音響や表示等によって扉が閉じられることを報知した後、扉駆動部により扉が閉じられる。
【0011】
また本発明は、上記構成の調理器において、前記載置部と前記扉とを一体に形成して前記扉の開閉に応じて前記載置部が出し入れされ、前記温度センサを前記扉の背面に設けたことを特徴としている。この構成によると、扉を開くと載置部が一体に加熱室から引き出され、扉の背面に設けた温度センサにより載置部上の温度が監視される。これにより、引き出された載置部上の温度変化を正確に検知することができる。
【0012】
また本発明は、上記構成の調理器において、調理終了時に前記扉駆動部によって前記扉を開くことを特徴としている。この構成によると、調理が終了すると扉駆動部によって扉が開かれ、調理物が取り出されると扉が閉じられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、調理終了後に載置部上の温度を温度センサにより監視し、扉が開かれて載置部上が所定温度よりも降温してから所定時間が経過した際に扉駆動部により扉を閉じるので、簡単な構成で調理物の取り出しを検知して扉を自動的に閉じることができる。従って、調理器の利便性を向上するとともにコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の調理器を示す正面図
【図2】本発明の実施形態の調理器の扉が閉じた状態を示す側面断面図
【図3】本発明の実施形態の調理器の扉が開いた状態を示す側面断面図
【図4】本発明の実施形態の調理器の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施形態の調理器の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1、図2は一実施形態の調理器を示す正面図及び側面断面図である。調理器1は後述するようにマグネトロン21(図4参照)を備え、マイクロ波によって調理物を加熱調理する。
【0016】
調理器1には前面に開口部2aを開口した加熱室2が設けられる。開口部2aの上方には操作パネル10が配される。操作パネル10には操作部11及び表示部12が設けられる。操作部11は複数の操作キーを有し、調理メニューの選択操作や調理の開始操作等を行う。表示部12は液晶表示パネル等により形成され、操作部11による操作画面や調理の進行状況等を表示する。また、表示部12は報知手段を構成し、使用者に対するメッセージ等の報知を行う。
【0017】
加熱室2の開口部2aは前後にスライド移動する引き出し式の扉3により開閉される。扉3には加熱室2内を視認する窓部3aが設けられる。扉3の背面の下部には調理物を載置する載置部4が一体に設けられ、扉3の開閉に応じて載置部4が出し入れされる。載置部4の下面には加熱室2の壁面に軸支されたローラー5が接する。ローラー5は扉駆動部23(図4参照)の駆動により回転し、載置部4を前後に導く。
【0018】
これにより、扉駆動部23の駆動によって扉3の開成動作が行われ、扉3が図2に示す閉じた状態から図3に示すように開かれる。また、扉駆動部23の駆動によって扉3の閉成動作が行われ、扉3が図3の開いた状態から図2に示すように閉じられる。
【0019】
扉3の背面の上部には凹部3bが凹設される。凹部3内には温度センサ13が配される。温度センサ13は赤外線センサにより形成され、載置部4上の温度を検知する。温度センサ13を指向方向の異なる複数の素子から成る複眼式の赤外線センサや、首振り可能な可動式の赤外線センサにより形成するとより望ましい。これにより、載置部4上の広い範囲の温度を検知することができる。
【0020】
図4は調理器1の構成を示すブロック図である。調理器1は各部を制御する制御部2が設けられる。制御部2にはマグネトロン21、アンテナモータ22、扉駆動部23、扉開閉検知部24、記憶部25、操作部11、表示部12、温度センサ13が接続される。また、制御部2内には計時を行うタイマー(不図示)が設けられる。
【0021】
マグネトロン21はマイクロ波を発生して加熱室2に供給する。アンテナモータ22は加熱室2の下方に配されるアンテナ(不図示)を回転させる。アンテナの回転によって加熱室2内にマイクロ波を均一に拡散させる。これにより、調理器1はターンテーブルレスに構成される。
【0022】
扉駆動部23は前述したように、操作部11による指示があった場合や所定の時期になった場合に扉3の開閉駆動を行う。扉開閉検知部24は近接スイッチ等により形成され、扉3の開閉を検知する。記憶部25はRAMやROMにより形成され、調理プログラムや調理メニューのデータベースを格納するとともに制御部2による演算の一時記憶を行う。
【0023】
図5は上記構成の調理器1の調理時の動作を示すフローチャートである。ステップ#11では操作部11により調理開始の指示があるまで待機する。調理開始の指示があるとステップ#12で扉開閉検知部24により扉3が閉じられているか否かが判断される。扉3が閉じられていない場合はステップ#11に戻り、扉3を閉じて調理開始の指示があるまで待機する。
【0024】
扉3が閉じられている場合はステップ#13でマグネトロン21及びアンテナモータ22が駆動され、調理が開始される。ステップ#14では温度センサ13による載置部4上の温度の監視が開始される。温度センサ13によって載置部4上の調理物の温度が検知され、所定温度になると調理の終了時期と判断される。また、温度センサ13によって加熱室2内の異常高温が検知されると調理が強制終了される。尚、タイマーの計時によって調理の終了時期を判別してもよい。
【0025】
ステップ#15では調理の終了時期になるまで待機する。温度センサ13の検知により調理の終了時期と判断されると、ステップ#16でマグネトロン21及びアンテナモータ22が停止される。ステップ#17では表示部12によって調理の終了が報知される。この時、ブザー等による音響によって調理の終了を報知してもよい。
【0026】
ステップ#21では扉3が開かれるまで待機する。調理物の取り出しのために扉3が開かれたことを扉開閉検知部24により検知するとステップ#22に移行する。ステップ#22では操作部11による扉3を閉じる指示があったか否かが判断される。扉3を閉じる指示がない場合はステップ#23で温度センサ13の検知による載置部4上の温度が所定温度よりも降温されたか否かが判断される。載置部4上の温度が所定温度よりも降温されていない場合はステップ#22に戻り、ステップ#22、#23が繰り返される。
【0027】
扉3を閉じる指示があると、ステップ#27に移行する。また、調理物が取り出されて載置部4上の温度が所定温度よりも降温されると、ステップ#24に移行する。ステップ#24では操作部11による扉3を閉じる指示があったか否かが判断される。扉3を閉じる指示がない場合はステップ#25で載置部4上の温度が所定温度よりも降温されてから所定時間(例えば、5秒)が経過したか否かが判断される。所定時間が経過していない場合はステップ#24に戻り、ステップ#24、#25が繰り返される。尚、ステップ#25で計時される所定時間は0秒に設定されていてもよい。
【0028】
扉3を閉じる指示があると、ステップ#27に移行する。また、所定時間が経過するとステップ#26に移行し、表示部12によって扉3が閉じられることが報知される。この時、ブザー等による音響によって扉3が閉られることを報知してもよい。ステップ#27では扉駆動部23により扉3が閉じられ、終了する。
【0029】
本実施形態によると、調理終了後に載置部4上の温度を温度センサ13により監視し、扉3が開かれて載置部4上が所定温度よりも降温してから所定時間が経過した際に扉駆動部23により扉3が閉じられる。このため、複雑な構造の重量検知手段を設ける必要がなく、温度センサ13による簡単な構成で調理物の取り出しを検知して扉3を自動的に閉じることができる。従って、調理器1の利便性を向上するとともにコストを削減することができる。
【0030】
特に、ターンテーブルレスの調理器1では重量検知手段がより複雑な構造になるため、より大きな効果を奏することができる。
【0031】
また、温度センサ13の検知によって調理中の加熱室2内の温度を監視したので、調理終了後に温度を監視する温度センサを別途設ける必要がなく、部品点数を削減して調理器1のコストをより削減することができる。
【0032】
また、扉駆動部23により扉3を閉じる前に表示部12やブザー等の報知手段によって報知を行うので、扉3を自動的に閉じる際の使用者の指詰めを防止することができる。
【0033】
また、載置部4が扉3と一体に出し入れされ、温度センサ13を扉3の背面に設けたので、引き出された載置部4上の温度変化を正確に検知することができる。従って、調理物が取り出されたことを正確に判別することができる。また、載置部4が扉3と一体に出し入れされることによって載置部4上の調理物の重量の検知がより困難となるため、温度センサ13によって簡単に調理物の取り出しを検知することができる。
【0034】
本実施形態において、調理終了時に操作部11の操作を伴わずに扉駆動部23によって扉3を開いてもよい。これにより、扉3を開くための使用者の操作を省くことができ、調理器1の利便性を向上することができる。
【0035】
また、扉3は前後にスライド移動しているが、回動によって加熱室2の開口部2aを開閉してもよい。また、載置部4は扉3と別に出し入れされるトレイにより形成してもよく、加熱室2の底壁により載置部4を形成してもよい。この時、温度センサ13を加熱室2内に設けると、扉3を開いた状態で載置部4上の温度を検知できるのでより望ましい。
【0036】
また、温度センサ13が赤外線センサにより形成されるが、サーミスタ等の他の温度センサにより形成して載置部4上の温度を検知してもよい。また、調理器1がマイクロ波により調理物を加熱調理しているが、加熱ヒータや蒸気を用いて調理物を加熱調理してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明によると、加熱室を開閉する扉を自動で閉じる調理器に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 調理器
2 加熱室
2a 開口部
3 扉
3b 凹部
4 載置部
5 ローラー
10 操作パネル
11 操作部
12 表示部
13 温度センサ
21 マグネトロン
22 アンテナモータ
23 扉駆動部
24 扉開閉検知部
25 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理物を載置する載置部が配されて調理物を加熱する加熱室と、前記載置部上の温度を検知する温度センサと、前記加熱室を開閉する扉と、前記扉を駆動して前記扉の閉成動作を行う扉駆動部とを備え、調理終了後に前記載置部上の温度を前記温度センサにより監視し、前記扉が開かれて前記載置部上が所定温度よりも降温してから所定時間が経過した際に前記扉駆動部により前記扉を閉じることを特徴とする調理器。
【請求項2】
前記温度センサの検知によって調理中の前記加熱室内の温度を監視したことを特徴とする請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
前記所定時間が経過して前記扉駆動部により前記扉を閉じる前に報知を行う報知手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の調理器。
【請求項4】
前記載置部と前記扉とを一体に形成して前記扉の開閉に応じて前記載置部が出し入れされ、前記温度センサを前記扉の背面に設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の調理器。
【請求項5】
調理終了時に前記扉駆動部によって前記扉を開くことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−231980(P2011−231980A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102983(P2010−102983)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】