説明

警報器

【課題】警報が出力されたことをより確実に認識することのできる警報器を提供する。
【解決手段】一つ以上の検出対象をそれぞれ検出し、それら検出レベルを電気信号のレベルにそれぞれ変換して出力する検出部2と、この検出部2が出力した前記各電気信号のレベルがそれぞれ所定の閾値を超えたか否かを判定する判定制御部3と、この判定制御部3により前記検出部2が出力した前記各電気信号のレベルのいずれかが所定の閾値を超えたと判定されたとき、前記検出対象に応じた警報信号を出力する警報部4と、
この警報部4が前記検出対象に応じた前記警報信号を出力するとき、該検出対象に応じた所定の点灯パターンで発光する複数の発光素子を有するアラート表示部10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警報器に係り、詳しくはガス漏れ検出と不完全燃焼検出の複合検出機能を備えた警報器、およびこれらの検出に加えて火災検出機能を併せもつ警報器において、警報出力を容易に視認するに好適な警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス漏れ等の異常状態を検出して警報を出力する警報器は、発光ダイオード(以下、LEDと称する)等の発光素子によって警報原因を表示することが法令や規格等で定められている。
例えばガス漏れ検出および不完全燃焼の検出を行う複合警報器には、不完全燃焼(例えば、COガス検出)の警報を表示させる黄色LED、ガス漏れ(例えば、メタンガス、水素ガス等の検出)の警報を表示させる赤色LEDおよび通電を表示させる緑色LEDが設けられている。このように構成された警報器は、その濃度に応じて黄色LEDまたは赤色LEDを低濃度の場合は点滅、高濃度の場合は点灯する等して危険レベルに応じた表示をさせている。
ところでこの種の警報器は、ガス漏れ等の何らかの異常状態を検出したとき、その異常状態を速やかにLEDや警報音でユーザに通知することを使命としている。ユーザは、警報器から発せられた警報音を聞くことで何らかの異常が起こっていることをすぐに認識し、その後、警報器から出力されるメッセージを聞き直したり、LEDによる警報表示を見たりすることで異常の原因を把握することができるようになっている。しかしながら、難聴者や高齢者のように、耳が不自由な場合、警報器から出力される警報音を聞き逃してしまい、それ故、警報器作動の認識が遅れる懸念があった。その結果、ガス漏れ等の異常の発見が遅れ、その被害を大きくしてしまうことがあった。
【0003】
そこでこのような問題を解決するべく警報器に光源を設け、異常状態を検出したときにこの光源を瞬時的に点灯させて、ユーザに対する視認性を向上させた警報器が試みられている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2005−293466号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら前述した警報器は、異常状態を検出した際、瞬間的に点灯表示が行えるものの、単に光の強弱だけの通知である。このため特許文献1に開示される警報器は、昼間等の明るい室内では瞬間的に点灯する光源が目立たず、それ故、警報器作動の認識が遅れてしまうという問題があった。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、警報が出力されたことをより確実に認識することのできる警報器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するため本発明の警報器は、一つ以上の検出対象をそれぞれ検出し、それら検出レベルを電気信号のレベルにそれぞれ変換して出力する検出部と、この検出部が出力した前記各電気信号のレベルがそれぞれ所定の閾値を超えたか否かを判定する判定制御部と、この判定制御部により前記検出部が出力した前記各電気信号のレベルのいずれかが所定の閾値を超えたと判定されたとき、前記検出対象に応じた警報信号を出力する警報部と、この警報部が前記検出対象に応じた前記警報信号を出力するとき、該検出対象に応じた所定の点灯パターンで発光する複数の発光素子を有するアラート表示部とを備えることを特徴としている。
また上記警報器は、複数の面を有する箱体に収容され、複数の前記発光素子は、前記箱体の所定の一面、例えば警報器の正面部に設けられて、この正面部の所定の位置から略等距離、かつ互いに隣接する該発光素子との距離を略等しくして配置したことを特徴としている。
上述の警報器は、複数の発光素子(例えば、LED)が警報器の筐体正面部に配置され、警報部が警報を出力する際、各LEDを順番に点灯・消灯させることによって回転表示(例えば、時計回り方向、反時計回り方向の表示)をさせたり、全LEDを同時に点滅させたりする所定の点灯パターンで警報表示を行う。
【0006】
好ましくは前記検出部は、メタンガスまたはCOガスの少なくともいずれか一方または双方を検出するガスセンサを備えることが望ましい。
より好ましくは前記検出部は、火災を検出する火災センサを備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0007】
上述したように本発明の警報器は、警報器の正面の中心部付近に複数の発光素子(LED)を有するアラート表示部を備え、何らかの異常状態を検出した際、このアラート表示部の複数のLEDを用いて時計回り方向や反時計回り方向の表示、或いは全LEDの同時点滅表示を行うことで異常状態の検出がより一層認識し易くなり、ユーザが警報出力を速やかに知り得ることができる等の実用上優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係る警報器について図1〜図5の図面を参照しながら説明する。尚、図1〜5は本発明の一実施形態を説明するための図であって、これらの図によって本発明が限定されるものではない。
さて、図1は、本発明の一実施形態に係る警報器の外観を示す図であり、図2は、その要部構成を示すブロック図である。
これらの図において1は、警報器の各構成要素を収容する筐体である。この筐体1には、例えばガス漏れ、不完全燃焼及び火災の発生を検出する特に図示しない室内の壁面にネジ止め等して取り付けられるよう取付けヒンジ1aが設けられている。
この警報器は、可燃性ガス(例えばメタンガス、水素ガス等)の存在を検出するガス検出部2a、COガスの存在を検出するCO検出部2bおよび火災の発生を検出する火災検出部2cを備える。これら各検出部2a,2b,2cは、それぞれの検出対象の検出レベルに応じたレベルの電気信号をそれぞれ出力して次段の判定制御部3に与える検出部2を構する。
ちなみに各検出部2a,2b,2cは、既知のガスセンサ、煙センサ、温度センサ等の各種センサが用いられるが、これらはよく知られているセンサであるのでその説明を省略する。もちろん検出部2は、上述したガス検出部2a、CO検出部2bおよび火災検出部2cのいずれかだけで構成してもかまわない。要するに検出部2は、所望の検出対象物(被検出対象)を検出できるものであれば、本発明の警報器においてその種類が限定されるものではない。
【0009】
またこれらの各検出部2a,2b,2cは、筐体1に設けられた通気孔を介して外部空間と接するようになっている。具体的に筐体1には、図示しない壁等に警報器を取り付けた際、正面に位置する筐体1の正面部1bに火災検出部2cが外部空間と接する火災検出用通気孔1cと、筐体1の側面部1dにガス検出部2aおよびCO検出部2bが外部空間と接するガス検出用通気孔1eがそれぞれ設けられている。
判定制御部3は、例えばマイクロコンピュータを主体として構成され、検出部2の各検出部2a,2b,2cから出力される電気信号をそれぞれ受けて、これら電気信号のレベルが所定のレベルを超えているかどうかを判定する。この判定制御部3は、検出部2が出力した電気信号のレベルが、所定のレベルを超えていると判定したとき、検出対象に応じた警報信号を出力する警報部4を駆動する。具体的に警報部4は、筐体1の正面から視認可能な位置にガス検出(ガス漏れ)警報表示灯4a、CO検出(不完全燃焼)警報表示灯4b、火災検出表示灯4cおよび警報音を音響にて出力する警報音発報部4dを備える。そして警報器は、判定制御部3の判定結果に応じてこれらの各表示灯4a,4b,4cを点灯や点滅させると共に警報音発報部4dから警報音を発する。
また警報器は、これらの各部へ作動用の電力を供給する電源部5を備えている。この電源部5は、特に図示しないが商用交流電源を受けて所定の電圧に変換するように構成してもよいし、或いは、リチウム電池のような電池を用いて構成してもよい。
【0010】
概略的には上述したように構成された本発明の警報器が特徴とするところは、警報部4が警報を出力するとき、各表示灯4a,4b,4cの表示出力および警報音発報部4dによる音響警報に加えて、アラート表示部10が備える複数の発光素子による発光によってユーザに警報を報知する点にある。
このアラート表示部10は、複数の発光素子(例えば、LED)を有し、例えば筐体1の正面部1bに設けられた火災検出用通気孔1cを中心点とし、この中心点から略等距離、かつ互いに隣接する発光素子との距離を略等しくして配置される(LED1〜4)。例えば図1には、筐体1の正面部1bにLEDを4個配置したものが示されている。この場合、LED1〜4は、警報器の正面部1b方向から視野したとき、それぞれ正方形の頂点に位置するように配置される。
このような特徴ある本発明の警報器について、検出部2が異常を検出したときの作動についてより詳細に説明する。
まず検出部2のガス検出部2aがガス漏れを検出したとする。するとガス検出部2aから出力される電気信号のレベルが変化し、判定制御部3は、この電気信号のレベル変化を検出する。判定制御部3は、この電気信号のレベルが所定の閾値を超えたと判定したときは、ガス漏れがあったとして警報部4に指令を与え、ガス検出警報表示灯4aを点灯させると共に、警報音発報部4dからガス漏れ警報音を出力させる。尚、判定制御部3は、ガス検出部2aから出力される電気信号のレベルに応じて、即ち検出されたガスの濃度が低いときにガス検出警報表示灯4aを点滅させ、ガス濃度が高いときガス検出警報表示灯4aを点灯させる。
【0011】
これと同時に判定制御部3は、アラート表示部10に対してガス漏れ検出の表示をするよう指令を与える。するとアラート表示部10は、図3に示すタイミングでLED1〜LED4を順次駆動させる。ちなみに、各LED1〜4は、各LEDが順次点灯・消灯していることが視認できる点灯タイミングで駆動される。このように各LED1〜4が駆動されるとユーザは、警報器の筐体1の正面から各LED1〜4が時計方向に順次点灯・消灯していくように視認することができる。
更に判定制御部3は、ガス検出部2aから出力される電気信号のレベルに応じて、即ち検出されたガスの濃度に応じて適宜アラート表示部10の点灯タイミングを調整する指示を与える。具体的には、検出されたガス濃度が高くなるほど、LED1〜4の点滅タイミングを速める。即ち、時計方向の回転速度を速めるように順次各LED1〜4を点灯・点滅させる。
同様にCO検出部2bがCOガスを検出、即ち不完全燃焼を検出すると、CO検出部2bから出力される電気信号のレベルが変化し、判定制御部3は、この電気信号のレベル変化を検出する。判定制御部3は、この電気信号のレベルが所定の閾値を超えたと判定したときは、不完全燃焼があったとして警報部4に指令を与え、CO検出警報表示灯4bを点灯させると共に、警報音発報部4dからCOガス検出警報音を出力させる。尚、判定制御部3は、CO検出部2bから出力される電気信号のレベルに応じて、即ち検出されたCOガスの濃度が低いときCO検出警報表示灯4bを点滅させ、COガスの濃度が高いときCO検出警報表示灯4bを点灯させる。
【0012】
これと同時に判定制御部3は、アラート表示部10に対して不完全燃焼検出の表示をするよう指令を与える。するとアラート表示部10は、図4に示すタイミングでLED1〜LED4を順次駆動させる。このように各LED1〜4が駆動されるとユーザは、警報器の筐体1の正面から各LED1〜4が反時計方向に順次点灯・消灯していくように視認することができる。
そして判定制御部3は、CO検出部2bから出力される電気信号のレベルに応じて、即ち検出されたCOガス濃度に応じて適宜アラート表示部10の点灯タイミングを調整する指示を与える。具体的には、検出されたCOガス濃度が高くなるほど、LED1〜4の点滅タイミングを速める。即ち、反時計方向の回転速度を速めるように順次各LED1〜4を点灯・点滅させる。
更に火災検出部2cが火災の発生を検出すると、火災検出部2cから出力される電気信号のレベルが変化し、判定制御部3は、この電気信号のレベル変化を検出する。判定制御部3は、この電気信号のレベルが所定の閾値を超えたと判定したときは、火災が発生したとして警報部4に指令を与え、火災検出表示灯4cを点灯させると共に、警報音発報部4dから火災検出警報音を出力させる。
【0013】
これと同時に判定制御部3は、アラート表示部10に対して火災検出の表示をするよう指令を与える。するとアラート表示部10は、図5に示すタイミングでLED1〜LED4を全点灯・全消灯を繰り返す。
かくして本発明の警報器は、警報器の通電表示、不完全燃焼警報表示、ガス漏れ警報表示、火災警報表示の各種警報ランプの他に、警報器の正面に複数のLEDを配置し、異常を検出したときに、これらLEDを回転表示させたり、同時に点滅させたりして表示するアラート表示を行うことで、警報発報時の表示に変化を持たせることで、ユーザが警報器の作動をより認識し易くすることが可能となった。
尚、本発明の警報器は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもかまわない。
例えば上述した実施形態は、ガス漏れを検出したときLED1〜4を時計方向に順次点灯させ、不完全燃焼を検出したときLED1〜4を反時計方向に順次点灯させ、火災の発生を検出したときLED1〜4を同時に点滅させるように構成したが、これらの点灯パターンを入れ替えても勿論かまわない。
或いは、上述した実施形態でアラート表示部10は、4個のLEDを用いた場合を説明したが、さらにランプの個数を増やしてもよいし、筐体1の表面に複数のLEDを縦、横、斜め等に配置して、順番に点灯させたり、同時点灯させたりしてもよい。
【0014】
更に本発明の警報器は、アラート表示部10のLEDに2色LEDや多色LEDなどを用いることで、警報表示のバリエーションを増やすことができ、より一層視認性を向上させるが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る警報器の外観を示す図。
【図2】図1に示す警報器の要部構成を示すブロック図。
【図3】本発明の一実施形態に係る警報器がガス漏れを検出したときのアラート表示部の点灯タイミングを示す図。
【図4】本発明の一実施形態に係る警報器が不完全燃焼を検出したときのアラート表示部の点灯タイミングを示す図。
【図5】本発明の一実施形態に係る警報器が火災の発生を検出したときのアラート表示部の点灯タイミングを示す図。
【符号の説明】
【0016】
1 筐体
2 検出部
2a ガス検出部
2b CO検出部
2c 火災検出部
3 判定制御部
4 警報部
5 電源部
10 アラート表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上の検出対象をそれぞれ検出し、それら検出レベルを電気信号のレベルにそれぞれ変換して出力する検出部と、
この検出部が出力した前記各電気信号のレベルがそれぞれ所定の閾値を超えたか否かを判定する判定制御部と、
この判定制御部により前記検出部が出力した前記各電気信号のレベルのいずれかが所定の閾値を超えたと判定されたとき、前記検出対象に応じた警報信号を出力する警報部と、
この警報部が前記検出対象に応じた前記警報信号を出力するとき、該検出対象に応じた所定の点灯パターンで発光する複数の発光素子を有するアラート表示部と
を備えることを特徴とする警報器。
【請求項2】
前記警報器は、複数の面を有する箱体に収容され、
複数の前記発光素子は、前記箱体の所定の一面に設けられて、この一面の所定の位置から略等距離、かつ互いに隣接する該発光素子との距離を略等しくして配置したことを特徴とする請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記検出部は、メタンガスまたはCOガスの少なくともいずれか一方または双方を検出するガスセンサを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の警報器。
【請求項4】
前記検出部は、火災を検出する火災センサを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−163657(P2009−163657A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−2875(P2008−2875)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(508296738)富士電機機器制御株式会社 (299)
【Fターム(参考)】