説明

警報記録システム

【課題】警告の発生状況を正確に把握することが可能な警報記録システムを提供する。
【解決手段】異常が発生した場合に点灯する警報窓12を複数備えた制御盤10と、電子計算機20と、プリンタ30とを備え、制御盤10は、設備に異常が発生したか否かを判定する手段と、異常が発生したと判定した場合に、異常が発生した設備に対応する警報窓12を点灯させる手段と、異常が発生した場合に、計算機に対して、異常が発生した設備に対応する警報窓12によって報知される警報情報を送信する手段とを備え、電子計算機20は、警報情報を受信した場合に、警報情報の受信時間を取得し、警報情報及び受信時間に基づいて印字情報を作成し、印字情報をプリンタ30に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電所において、制御盤に表示された警報を記録する警報記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発電所の制御室には、プラント運転操作用の制御盤が設備毎に複数設置されている。この制御盤の盤面には、警報名称が記載された警報窓が多数設けられている。これらの警報窓は、現場の設備に設けられた各種の検知器(例えば、温度計や流量計等)に対応して設けられており、制御盤は、検知器が検知した値が異常であると判断した場合に、警報窓を発光させたり、あるいはブザー音によって異常等を運転員(操作員)に知らせている。
【0003】
具体的には、発電所の設備に異常が発生すると、該当する警報窓が点滅し、同時に制御盤に設置されている警報発報用のブザーが鳴動することにより運転員に異常が報知される。運転員は、点滅表示している警報窓の警報名称を目視により確認した後、制御盤毎に設置されている警報確認ボタンを押すことにより、その警報が継続中であるかどうかを判断する。警報発報原因が継続中であれば、警報窓は点滅から点灯したままの状態に切り替わり、ブザー音は停止する。
【0004】
警報発報原因が無くなった警報窓は、ゆっくりした点滅に切り替わり、警報消灯用のブザーが鳴動する。その状態で、運転員が、制御盤毎に設置されている警報リセットボタンを押すことにより、警報は消灯しかつブザー音も停止する。
【0005】
ところで、従来、警報が発報した時に、運転員は、警報名称や発報時間を記録紙に手書きで記入することによって、記録として残している。しかし、連続して複数の警報が発報した場合、記録よりも警報の対応操作が優先されるために、記録に残せない場合がある。そこで、制御盤上の警報窓をTVカメラで撮影し、このTVカメラから得られた警報窓の輝度差に基づいて警報データ項目を自動的に保存する、という技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−211186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の技術によれば、例えば、TVカメラの撮影画像において、警報窓が運転員によって隠されてしまった場合、あるいは制御室内の反射物による反射光が警報窓に照射された場合等に、警報窓の点灯状態が正確に検出できずに、誤った情報を記憶してしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決し、警告の発生状況を正確に把握することが可能な警報記録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するため、次に記載する構成を備えている。
【0010】
(1) 所定の設備に異常が発生した場合に点灯することによって報知を行う警報窓を複数備えた制御盤と、当該制御盤との間で送受信を行う計算機と、当該計算機からの印字情報に基づいて印字を行うプリンタとを備えた警報記録システムにおいて、前記制御盤は、設備に異常が発生したか否かを判定する異常判定手段と、異常が発生したと前記異常判定手段が判定した場合に、異常が発生した設備に対応する前記警報窓を点灯させる警報窓点灯制御手段と、異常が発生したと前記異常判定手段が判定した場合に、前記計算機に対して、異常が発生した設備に対応する前記警報窓によって報知される警報情報を送信する警報情報出力手段とを備え、前記計算機は、前記警報情報を受信した場合に、前記警報情報の受信時間を取得し、前記警報情報及び前記警報情報の受信時間に基づいて印字情報を作成し、当該印字情報を前記プリンタに送信することを特徴とする警報記録システム。
【0011】
(1)によれば、制御盤が、設備において異常が発生したと判定した場合に、計算機に警報情報を送信し、計算機は警報情報を受信した時間を取得する。そして、計算機が、警報情報及び受信時間に基づいて印字情報を作成して、プリンタに出力することにより、プリンタから、例えば警報名称と受信時間が印字された記録紙が出力される。これにより、設備において異常が発生した場合に、プリンタから警報情報と受信時間が印字された記録紙が出力されるため、警報の発生状況を正確に把握することが可能になる。
【0012】
(2) (1)において、前記警報情報出力手段は、前記異常判定手段の判定結果が異常から正常に切り替わった場合に、前記計算機に対して、異常から正常になった設備に対応する前記警報窓によって報知される警報情報を送信することを特徴とする警報記録システム。
【0013】
(2)によれば、制御盤が、設備における異常が解消されたと判定した場合に、計算機に警報情報を送信し、計算機は警報情報を受信した時間を取得する。そして、計算機が、警報情報及び受信時間に基づいて印字情報を作成して、プリンタに出力することにより、プリンタから、例えば警報名称と受信時間が印字された記録紙が出力される。これにより、異常が発生した設備が正常に戻るまでの時間を求めることが可能になり、警告の発生状況を正確に把握することが可能になる。
【0014】
(3) (1)又は(2)において、前記警報情報出力手段は、前記警報情報に、警告内容のレベルを示す重り付けデータを付加して、前記計算機に送信することを特徴とする警報記録システム。
【0015】
(3)によれば、計算機が、重り付けデータに基づいて、警報情報を分類することが可能になる。
【0016】
(4) (1)〜(3)において、前記計算機に接続する記憶手段と、前記計算機から出力される画像表示情報に基づいて画像表示を行う画像表示手段とを備え、前記計算機は、前記警報情報を受信した場合に、前記警報情報及び前記警報情報の受信時間を前記記憶手段に記憶し、当該記憶手段の記憶内容に基づいて画像表示情報を作成して前記画像表示手段に送信することを特徴とする警報記録システム。
【0017】
(4)によれば、記憶手段に、警報情報及び受信時間の履歴を取って、画像表示手段に表示させることが可能になる。
【0018】
(5) 所定の設備に異常が発生した場合に点灯することによって報知を行う警報窓を複数備えた制御盤と、当該制御盤からの印字情報に基づいて印字を行うプリンタとを備えた警報記録システムにおいて、前記制御盤は、設備に異常が発生したか否かを判定する異常判定手段と、異常が発生したと前記異常判定手段が判定した場合に、異常が発生した設備に対応する前記警報窓を点灯させる警報窓点灯制御手段と、異常が発生したと前記異常判定手段が判定した場合に、異常が発生した設備に対応する前記警報窓によって報知される警報情報に基づいて印字情報を作成して、前記プリンタに送信する印字情報出力手段とを備え、前記プリンタは、前記印字情報を受信した場合に、前記印字情報の受信時間を取得し、前記印字情報及び前記受信時間を印字することを特徴とする警報記録システム。
【0019】
(5)によれば、制御盤は、設備において異常が発生したと判定した場合に、警報情報に基づいて印字情報を作成して、プリンタに出力することにより、プリンタから、例えば警報名称と受信時間が印字された記録紙が出力される。これにより、設備において異常が発生した場合に、プリンタから警報名称と受信時間が印字された記録紙が出力されるため、警告の発生状況を正確に把握することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、設備において異常が発生した場合に、プリンタから警報情報と受信時間が印字された記録紙が出力されるため、警告の発生状況を正確に把握することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態における警報システムの概要を示すブロック図である。
【図2】警報表示部の警報窓の点灯例を示す説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態における警報システムにおいて、警報窓点灯状態を記録紙に記録する際の処理の流れを示す説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態における警報システムの警報窓点灯状態を記録した記録紙の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態における警報システムの概要を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2実施形態における警報システムにおいて、警報窓点灯状態を記録紙に記録する際の処理の流れを示す説明図である。
【図7】本発明の第3実施形態における警報システムにおいて、警報窓点灯状態を記録紙に記録する際の処理の流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態における警報システムの概要を示すブロック図である。
[システム構成]
警報システム1は、中央管理室内に配備されており、複数の制御盤10、電子計算機20、プリンタ30及びディスプレイ40を備えている。
【0023】
制御盤10は、CPU100、警報表示部102、警報ブザー104、警報確認ボタン106、警報リセットボタン108、入出力部110及び記憶部112を備えている。また、制御盤10には、複数の検知器200が接続されている。複数の検知器200としては、例えば、発電所設備の所定場所に設置された、放射線計、温度計、風量計、圧力計、水位計及び水温計等が該当する。また、複数の制御盤10は、それぞれ系統別に分類されており、制御盤10の系統に応じた検知器200が接続されている。
【0024】
電子計算機20は、演算装置(図示せず)や記憶装置22を備えており、電子計算機20と制御盤10とは送受信可能に接続されている。また、電子計算機20は、制御盤10から送信される情報に基づいて、印字情報を作成してプリンタ30に印字出力させたり、表示情報を作成してディスプレイ40に表示させる処理を行う。
【0025】
[制御盤の構成]
次に、制御盤10について説明する。
CPU100は、制御盤10全体の制御を行うものである。
警報表示部102は、図2に示すように複数の警報窓12を備えており、複数の警報窓12(図2参照)は、点灯、消灯、点滅等の発光が可能な発光体(図示せず)を備えている。また、複数の警報窓12にはそれぞれ固有番号と警報名称が印されている。図2に示す例においては、図中、「1A」、「1B」、「1C」、……、「6F」、「6G」という番号が固有番号であり、「□○△温度高」、「□○△温度異常高」、「□●▲温度高」、……、「●▽▲温度異常高」、「●▼温度低」という文字情報が警報名称である。また、警報窓12と検知器200とは1対1に対応しており、検知器200の検知結果に基づいて、CPU100が、検知器200に対応する警報窓12の発光制御を行う。具体的には、CPU100が、検知器200の検知結果に基づいて、設備に異常が発生したと判定した場合には、警報窓12を発光させて、異常発生の報知を行う。
【0026】
警報ブザー104は、警報表示部102におけるいずれかの警報窓12が発光した場合、及び発光した警報窓12が消灯する場合に鳴動するものである。
【0027】
警報確認ボタン106は、警報表示部102におけるいずれかの警報窓12が発光した際に押下することにより、警報窓12の発光状態を保持するものである。
【0028】
警報リセットボタン108は、警報表示部102を消灯させ、警報ブザー104の鳴動を停止させるためのボタンである。
【0029】
入出力部110は、外部機器に接続して、外部機器との間で送受信を行うものである。また、記憶部112は、各検知器200の状態を記憶する検知結果記憶領域を備えている。CPU100は、検知器200の検知結果に基づいて、異常であると判断した場合には、記憶部112の検知結果記憶領域における、異常であると判断された設備の検知器200に対応する記憶領域に、異常である旨を示すデータを記憶する。また、CPU100は、検知器200の検知結果に基づいて、異常であると判断した後に、正常に戻ったと判断した場合には、検知結果記憶領域における、検知器200に対応する記憶領域に記憶されている異常である旨を示すデータをクリアする。このように、制御盤10のCPU100は、異常判定手段として機能する。ここで、検知器200と警報窓12とは1対1に対応していることから、記憶部112の検知結果記憶領域における検知器200に対応する記憶領域と警報窓12とは1対1に対応している。したがって、記憶部112の検知結果記憶領域において、異常である旨を示すデータが記憶されている記憶領域に対応する警報窓12は点滅又は点灯していることになる。このため、CPU100は、記憶部112の検知結果記憶領域を参照することによって、複数の警報窓12の点灯状況を把握することが可能である。
【0030】
次に、制御盤10における警報表示について説明する。
制御盤10のCPU100は、常時、検知器200の状態を監視する。そして、CPU100は、検知器200の検知結果に基づいて、異常が発生していると判定した場合には、その旨を記憶部112の検知結果記憶領域に記憶する。さらに、CPU100は、検知器200に対応する警報窓12を点滅させるとともに、警報ブザー104を駆動して警報発生用ブザー音を鳴動させる制御を行う。このように、制御盤10のCPU100は、警報窓点灯制御手段、及び警報窓点灯制御手段として機能する。
【0031】
また、CPU100は、検知器200の検知結果に基づいて、異常であると判断した場合、又は検知結果が異常から正常に切り替わったと判断した場合に、警報名称情報を入出力部110から電子計算機20に送信する警報名称情報送信処理を行う。この警報名称情報送信処理については後述する。言い換えれば、警報が発報された場合及び警報が解除された場合に警報名称情報が、制御盤10から電子計算機20に送信される。
【0032】
警報名称情報を受信した電子計算機20は、警報名称情報を送信した制御盤10を特定し、この特定情報と警報名称情報に基づいて印字情報を作成し、プリンタ30に印字させる印字記録処理を実行する。この印字記録処理については後述する。
【0033】
運転員は、点滅表示している警報窓12の警報名称を目視により確認した後、制御盤10に設置されている警報確認ボタン106を押下する。CPU100は、警報確認ボタン106が押下されたことを検出した場合には、警報窓12を点滅から点灯したままの状態に切り替えるとともに、ブザー音を停止させる制御を行う。これにより、運転員が警報確認ボタン106を押下した時点で異常が解消されてない検知器200に対応する警報窓12は、点灯状態となる。
【0034】
また、CPU100は、検知器200の検知結果が異常から正常に切り替わった場合には、警報窓12の表示をゆっくりとした点滅に切り替えるとともに、警報ブザー104から警報消灯用ブザー音を鳴動させる。また、CPU100は、警報消灯用ブザー音を鳴動させている状態で、警報リセットボタン108が押下されたことを検出した場合には、ゆっくり点灯している警報窓12を消灯させ、かつブザー音を停止させる。
【0035】
[警報名称情報送信処理]
次に、警報名称情報送信処理について説明する。
CPU100は、検知器200の検知結果が異常であると判断した場合、又は検知器200の検知結果が異常から正常に切り替わったと判断した場合に、警報窓によって報知される警報情報に相当する警報名称情報を作成する処理を行う。ここで、警報名称情報には、検知結果が正常から異常に切り替わった検知器200に対して作成される発報警報名称情報と、異常状態が継続している検知器200に対応して作成される継続警報名称情報と、検知結果が異常から正常に切り替わった検知器200に対して作成される解除警報名称情報の3種類がある。
【0036】
具体的に、CPU100は、検知結果が正常から異常に切り替わった検知器200を検出した際に、この検知器200に対応する警報名称に、正常から異常に切り替わった旨を示す情報を追加することによって発報警報名称情報を作成する。さらに、発報警報名称情報に対応する検知器200以外の検知器200において、検知結果が異常であるものを記憶領域のデータを参照しかつ抽出することによって継続警報名称情報を作成する。そして、CPU100は、発報警報名称情報及び継続警報名称情報を電子計算機20に送信する処理を行う。
【0037】
またCPU100は、検知結果が異常から正常に切り替わった検知器200を検出した際に、この検知器200に対応する警報名称に、異常から正常に切り替わった旨を示す情報を追加することによって解除警報名称情報を作成する。さらに、解除警報名称情報に対応する検知器200以外の検知器200において、検知結果が異常であるものを記憶領域のデータを参照しかつ抽出することによって継続警報名称情報を作成する。そして、CPU100は、解除警報名称情報及び継続警報名称情報を電子計算機20に送信する処理を行う。ここで、警報名称情報を受信した電子計算機20は、個々の警報名称に追加された情報を判別することにより、警報名称が、発報警報名称情報、継続警報名称情報及び解除警報名称情報の中のどの情報に分類されているのかを識別することができる。
【0038】
例えば、図2に示す警報窓12において、制御盤10のCPU100が、5Cと5Dの警報窓12に対応する検知器200の検出結果が異常であると既に判断している状態で、さらに、例えば、2C、2B、2Aの警報窓12に対応する検知器200の順で、検出結果が異常であると判断した場合、制御盤10の警報表示部102において、図2に示すように警報窓12が点滅する。
【0039】
この場合、制御盤10のCPU100は、最初に2Cの警報窓12に対応する検知器200の検出結果が異常であると判断するため、2Cの警報窓12に対応する警報名称に基づいて発報警報名称情報を作成し、5Cと5Dの警報窓12に対応する検知器200警報名称に基づいて継続警報名称情報を作成し、この2つの情報を警報名称情報として電子計算機20に送信する処理を行う。次に、制御盤10のCPU100は、最初に2Bの警報窓12に対応する検知器200の検出結果が異常であると判断するため、2Bの警報窓12に対応する警報名称に基づいて発報警報名称情報を作成し、2Cと5Cと5Dの警報窓12に対応する検知器200警報名称に基づいて継続警報名称情報を作成し、この2つの情報を警報名称情報として電子計算機20に送信する処理を行う。次に、制御盤10のCPU100は、最初に2Aの警報窓12に対応する検知器200の検出結果が異常であると判断するため、2Aの警報窓12に対応する警報名称に基づいて発報警報名称情報を作成し、2Bと2Cと5Cと5Dの警報窓12に対応する検知器200警報名称に基づいて継続警報名称情報を作成し、この2つの情報を警報名称情報として電子計算機20に送信する処理を行う。したがって、プリンタ30からは、警報窓12の点灯状況を記録した記録紙が3枚印字出力されることになる。
【0040】
また、制御盤10のCPU100が図2における5Cに対応する検知器200の検出結果が異常から正常になったと判断した場合、制御盤10の警報表示部102において、図2に示す警報窓12が点滅あるいは点灯状態となるが、5Cの警報窓12はゆっくり点滅してやがて消灯する。
【0041】
この場合、制御盤10のCPU100は、5Cの警報窓12に対応する検知器200の検出結果が異常から正常になったと判断するため、5Cの警報窓12に対応する警報名称に基づいて解除警報名称情報を作成し、2Aと2Bと2Cと5Dの警報窓12に対応する検知器200警報名称に基づいて継続警報名称情報を作成し、この2つの情報を警報名称情報として電子計算機20に送信する処理を行う。
【0042】
次に、印字記録処理について、図3を参照しながら説明する。
【0043】
制御盤10から警報名称情報が送信され(図3中の(1))、この警報名称情報を電子計算機20が受信すると、電子計算機20は、受信した警報名称情報を解析し、警報名称情報に含まれる警報名称を、受信した時間とともに、電子計算機20に備えた記憶装置22に累積記憶する(図3中の(2))。そして、電子計算機20は、記憶装置22に記憶された警報名称や受信時間、及び警報名称情報を送信した制御盤10を特定する情報に基づいて、印字情報を作成してプリンタ30に送信する(図3中の(3))。印字情報を受信したプリンタ30は、印字情報を記録紙に印字出力する。また、運転員の指示入力に基づいて、電子計算機20は、記憶装置22に記憶された警報名称や受信時間に基づいて表示情報を作成して、ディスプレイ40に表示出力する(図3中の(4))。なお、CPU100は、検知器200の検出結果の変化を検出してからすぐに、警報名称情報を送信するため、電子計算機20が警報名称情報を受信した時間を、警報の発報時間又は解除時間とみなすことが可能である。
【0044】
図4は、プリンタから印字出力される記録紙の内容を示す説明図である。図4に示すように、記録紙の内容は、図2に示す警報窓12と配置が同一になるように、印字フォーマットに、表題として、警報発報情報を送信した制御盤10を特定する情報を挿入し、各種の警報名称を挿入し、受信時間を記録時間として挿入してなるものである。さらに、発報警報名称情報の警報窓12に相当する表示枠、継続警報名称情報の警報窓12に相当する表示枠、解除警報名称情報の警報窓12に相当する表示枠、及び警報の対象外の警報窓12に相当する表示枠の背景色はそれぞれ異なっている。このため、記録紙を見た際に、発報した警報の名称、継続している警報の名称、解除された警報の名称が、表示枠の背景色によって区別されるようになり、容易に確認可能となる。
【0045】
また、図4に示す記録紙は、制御盤10のCPU100が、図2において、5Cと5Dの警報窓12に対応する検知器200の検出結果が異常であると既に判断している状態で、さらに、例えば、2C、2B、2Aの警報窓12に対応する検知器200の順で、検出結果が異常であると判断した場合における、2Aの警報窓12に対応する警報名称情報に基づいて印字されたものである。
【0046】
図4に示すように、2Aの警報窓12に対応する表示枠の背景が、他の表示枠の背景とは異なっている。ここで、記録紙には、電子計算機20が警報名称情報を受信した時間を記録日時として印字されているため、この記録日時において、2Aの警報名称の設備が異常となり、警報窓12が発光したと記録紙から判断することが可能になる。
【0047】
また、図4に示す印字出力がプリンタ30において実行される前に、2C、2Bの警報窓12に対応する警報名称情報に基づく、記録紙への印字出力が実行されている。このため、記録紙を時系列順にファイルしていくことにより、警報窓12の点灯状況を把握することが可能になる。
【0048】
このように構成された第1実施形態によれば、制御盤10が、設備において異常が発生したと判定した場合に、計算機に警報情報(警報名称情報)を送信し、計算機は警報情報(警報名称情報)を受信した時間を取得する。そして、計算機が、警報情報(警報名称情報)、受信時間、及び警報名称情報を送信した制御盤10を特定する情報に基づいて印字情報を作成して、プリンタ30に出力することにより、プリンタ30から、警報名称と受信時間が印字された記録紙が出力される。これにより、設備において異常が発生した場合に、プリンタ30から警報情報と受信時間が印字された記録紙が出力されるため、警報の発生状況を正確に把握することが可能になる。
【0049】
また、記憶装置22には、過去に発生した警報名称や時間が累積記録されているため、警報情報及び受信時間の履歴を閲覧することが可能になる。これにより、警告発生の傾向を分析することが可能になる。さらに、記憶装置22に記憶された警報情報は、ディスプレイ40に表示させることが可能であるため、記録紙に印字出力せずに容易に確認することができる。
【0050】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態における警報システムの概要を示すブロック図である。なお、図1〜図4に示す第1実施形態における部材と同一の部材、あるいは同一機能の部材については、同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略した。
【0051】
第2実施形態の警報システム1は、図5に示すように、中央管理室内に配備されており、複数の制御盤10及びプリンタ30を備えている。すなわち、図1〜図4に示す第1実施形態においては、制御盤10から警報情報が電子計算機20に送信され、電子計算機20が警報情報に基づいて印字情報を作成してプリンタ30に印字出力させている。それに対して、第2実施形態においては、制御盤10が印字情報を作成してプリンタ30に印字出力させている。
【0052】
CPU100は、検知結果が正常から異常に切り替わった検知器200を検出した際に、この検知器200に対応する警報名称と、検知結果が正常から異常に切り替わった検知器200以外の検知器200において、検知結果が異常である検知器200に対応する警報名称と、検知結果が正常から異常に切り替わった時間と、制御盤10を特定する情報とに基づいて印字情報を作成してプリンタ30に送信する処理を行う。また、CPU100は、検知結果が異常から正常に切り替わった検知器200を検出した際に、この検知器200に対応する警報名称と、検知結果が異常から正常に切り替わった検知器200以外の検知器200において、検知結果が異常である検知器200に対応する警報名称と、検知結果が異常から正常に切り替わった時間と、制御盤10を特定する情報とに基づいて印字情報を作成してプリンタ30に送信する処理を行う。このように、制御盤10のCPU100は、印字情報出力手段として機能する。
【0053】
ここで、検知結果が正常から異常に切り替わった検知器200以外の検知器200において、検知結果が異常である検知器200に対応する警報名称、あるいは検知結果が異常から正常に切り替わった検知器200以外の検知器200において、検知結果が異常である検知器200に対応する警報名称は、記憶部112の検知結果記憶領域のデータを参照することによって取得することが可能である。
【0054】
このように構成された第2実施形態によれば、図6に示すように、制御盤10は、設備において異常が発生したと判定した場合に、警報情報(検知器200の検知結果、記憶部112の検知結果記憶領域のデータ)に基づいて印字情報を作成して、プリンタ30に送信することにより(図6中の(1))、プリンタ30から、例えば警報名称と検知器200の検知結果が変化した時間とが印字された記録紙が出力される(図6中の(6))。これにより、設備において異常が発生した場合あるいは異常が解消した場合に、プリンタ30から警報名称と時間が印字された記録紙が出力されるため、警告の発生状況を正確に把握することが可能になる。
【0055】
なお、上述した第2実施形態によれば、制御盤10から送信される印字情報の中に、検知器200の検知結果が切り替わった時間の情報が含まれており、プリンタ30は、印字情報から検知器200の検知結果が切り替わった時間を取得しているが、それに限るものではない。例えば、プリンタ30に計時機能を設け、制御盤10からは警報窓12に対応する警報名称の情報からなる印字情報が送信され、プリンタ30が印字情報を受信した時点の時間をプリンタ30の計時機能から取得してもよい。これにより、制御盤10のCPU100の処理負担が軽減される。
【0056】
[第3実施形態]
図7は、本発明の第3実施形態における警報システムの概要を示すブロック図である。なお、図6に示す第2実施形態における部材と同一の部材、あるいは同一機能の部材については、同一の符号を付すことで、詳細な説明は省略した。
【0057】
第3実施形態の警報システム1は、図7に示すように、第2実施形態の警報システム1の制御盤10に、プリントアウトボタン120を、警報確認ボタン106に対して独立して配備したものである。
【0058】
第2実施形態においては、制御盤10のCPU100が、検知結果が正常から異常に切り替わった検知器200を検出した場合、あるいは検知結果が異常から正常に切り替わった検知器200を検出した場合に、印字情報を作成してプリンタ30に印字出力させている。それに対して、第3実施形態においては、任意の時点の警報窓12の点灯状態を、プリンタ30に印字出力させる制御を実行させるものである。
【0059】
例えば、図2に示すように警報窓12が点滅表示している状態で、図7に示すように、運転員によってプリントアウトボタン120が押下されたとする(図7中の(1))。この場合、制御盤10のCPU100は、記憶部112の検知結果記憶領域のデータを参照することによって警報窓12の点灯状況を把握し(図7中の(2))、警報が発生している警報窓12に対応する警報名称を求め、プリントアウトボタン120が押下された時間(押下日及び時刻)とともに、制御盤10に備えた記憶部112に記憶する。そして、制御盤10のCPU100は、記憶部112に記憶された警報名称や押下時間、及び制御盤10を特定する情報に基づいて、印字情報を作成してプリンタ30に送信する(図7中の(3))。印字情報を受信したプリンタ30は、印字情報を記録紙に印字出力する(図7中の(4))。
【0060】
このように構成された第3実施形態によれば、検知器200の検知結果が正常から異常、異常から正常に切り替わった場合に、記録紙に警報窓12の点灯状況が印字されるが、それ以外の時点における警報窓12の点灯状況を記録する場合、あるいは制御盤10単位で点灯状況を記録する場合には、プリントアウトボタン120を押下することによって、プリンタ30から警報窓12の点灯状況が印字された記録紙を出力することが可能になる。
【0061】
なお、第3実施形態においては、第2の実施形態にプリントアウトボタン120を設けているが、第1実施形態にプリントアウトボタン120を設け、プリントアウトボタン120が押下された時点の警報名称情報及び押下時間を電子計算機20に送信してもよい。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限るものではない。例えば、上述した実施形態においては、図4に示すような記録紙が出力されるが、警報名称及び受信時間を記載する印字フォーマットは、図4に示すものに限るものではない。例えば、第1実施形態における制御盤10の記憶部112に、警報名称と警告内容のレベルとを関連付けてなる重み付けテーブルを記憶しておく。そして、制御盤10は、警報名称情報を電子計算機20に送信する際に、重み付けテーブルを参照して、警報名称情報に含まれる個々の警報名称のデータに対して重み付けデータを付加してから送信する。電子計算機20においては、警報名称情報を受信したときに、重み付けデータに基づいて警報名称の警告内容のレベルを求める。そして、電子計算機20は、レベルが高い順から記憶する印字フォーマットを用いて印字情報を作成して、プリンタ30に送信してもよい。なお、重み付けテーブルは、電子計算機20の記憶装置22に記憶しておいてもよい。この場合は、制御盤10から送信された警報名称情報に含まれる個々の警報名称と、重み付けテーブルとを対比することによって個々の警報名称のレベルを求め、レベルが高い順から記憶する印字フォーマットを用いて印字情報を作成して、プリンタ30に送信する。これにより、警告内容のレベル別に分けて印字出力することが可能になり、分類が容易に可能となる。
【0063】
同様に、第2、第3実施形態における制御盤10の記憶部112に、警報名称と警告内容のレベルとを関連付けてなる重み付けテーブルを記憶しておく。そして、制御盤10は、警報名称情報を電子計算機20に送信する際に、重み付けテーブルを参照して警報名称に対応する警告内容のレベルを求め、レベルが高い順から記憶する印字フォーマットを用いて印字情報を作成して、プリンタ30に送信してもよい。
【0064】
また、警報名称及び受信時間を記載する印字フォーマットをプリンタ30に持たせ、プリンタ30のプリンタドライバによって印字フォーマットを設定してもよい。これにより、第1実施形態における電子計算機20あるいは第2、第3実施形態における制御盤10からは、警報名称と受信時間と制御盤10を特定する情報とをプリンタ30に送信し、プリンタ30側では、プリンタ30で予め用意した印字フォーマットに、警報名称と受信時間を挿入していくことによって印刷データの作成が行われる。そして、プリンタ30は、この印刷データに基づいて記録紙への印字出力を実行する。これにより、第1実施形態の電子計算機20あるいは第2、第3実施形態の制御盤10における印字情報の作成にかかる負担を軽減することが可能になる。
【0065】
また、本実施形態においては、複数の制御盤10から送信される警報名称情報あるいは印字情報は、1つのプリンタ30によって印字出力されているが、それに限らず、複数のプリンタ30を用いてもよい。また、1つのプリンタ30が印字出力する場合、プリンタ30が、記録紙を分類して排出するソータ機能を備えているものであれば、例えば、制御盤10は警報名称情報あるいは印字情報を送信する際に、制御盤10を特定する固有情報を付けてプリンタ30に送信し、プリンタ30は、固有情報に基づいてソータ機能を制御し、同一の制御盤10から送信された警報名称情報あるいは印字情報に付いては、同一の排出トレイ上に記録紙を排出させてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 警報システム
10 制御盤
12 警報窓
20 電子計算機
22 記憶装置
30 プリンタ
40 ディスプレイ
100 CPU
102 警報表示部
104 警報ブザー
106 警報確認ボタン
108 警報リセットボタン
110 入出力部
112 記憶部
120 プリントアウトボタン
200 検知器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の設備に異常が発生した場合に点灯することによって報知を行う警報窓を複数備えた制御盤と、
当該制御盤との間で送受信を行う計算機と、
当該計算機からの印字情報に基づいて印字を行うプリンタとを備えた警報記録システムにおいて、
前記制御盤は、
設備に異常が発生したか否かを判定する異常判定手段と、
異常が発生したと前記異常判定手段が判定した場合に、異常が発生した設備に対応する前記警報窓を点灯させる警報窓点灯制御手段と、
異常が発生したと前記異常判定手段が判定した場合に、前記計算機に対して、異常が発生した設備に対応する前記警報窓によって報知される警報情報を送信する警報情報出力手段とを備え、
前記計算機は、前記警報情報を受信した場合に、前記警報情報の受信時間を取得し、前記警報情報及び前記警報情報の受信時間に基づいて印字情報を作成し、当該印字情報を前記プリンタに送信することを特徴とする警報記録システム。
【請求項2】
前記警報情報出力手段は、前記異常判定手段の判定結果が異常から正常に切り替わった場合に、前記計算機に対して、異常から正常になった設備に対応する前記警報窓によって報知される警報情報を送信することを特徴とする請求項1記載の警報記録システム。
【請求項3】
前記警報情報出力手段は、前記警報情報に、警告内容のレベルを示す重り付けデータを付加して、前記計算機に送信することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載の警報記録システム。
【請求項4】
前記計算機に接続する記憶手段と、
前記計算機から出力される画像表示情報に基づいて画像表示を行う画像表示手段とを備え、
前記計算機は、前記警報情報を受信した場合に、前記警報情報及び前記警報情報の受信時間を前記記憶手段に記憶し、当該記憶手段の記憶内容に基づいて画像表示情報を作成して前記画像表示手段に送信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の警報記録システム。
【請求項5】
所定の設備に異常が発生した場合に点灯することによって報知を行う警報窓を複数備えた制御盤と、
当該制御盤からの印字情報に基づいて印字を行うプリンタとを備えた警報記録システムにおいて、
前記制御盤は、
設備に異常が発生したか否かを判定する異常判定手段と、
異常が発生したと前記異常判定手段が判定した場合に、異常が発生した設備に対応する前記警報窓を点灯させる警報窓点灯制御手段と、
異常が発生したと前記異常判定手段が判定した場合に、異常が発生した設備に対応する前記警報窓によって報知される警報情報に基づいて印字情報を作成して、前記プリンタに送信する印字情報出力手段とを備え、
前記プリンタは、前記印字情報を受信した場合に、前記印字情報の受信時間を取得し、前記印字情報及び前記受信時間を印字することを特徴とする警報記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−89091(P2012−89091A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237788(P2010−237788)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】