説明

負圧式倍力装置

【課題】 ブレーキ作動初期において大気が変圧室に導入され過ぎることによって発生するバルブボディ、延いてはブレーキペダルの振動を簡素な構成により防止することができる負圧式倍力装置を提供する。
【解決手段】 ブースタシェル側部材およびバルブピストン側部材のうちの一方部材3,4に弾性部材28,4aが設けられ、バルブピストン8が非作動位置からブースタシェル1に対して初期移動範囲Lを移動する間は弾性部材と密嵌合する嵌合部8m,12aがブースタシェル側部材および前記バルブピストン側部材のうちの他方部材に形成されている。これにより、バルブピストン8が非作動位置から初期移動範囲Lを移動するとき、前記弾性部材と嵌合部との密嵌合による摺動抵抗がバルブピストン8に付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の負圧式倍力装置に関し、特にブレーキ作動初期で変圧室に大気が導入され過ぎることによって発生するブレーキペダルの振動を防止する負圧式倍力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、負圧式倍力装置においては、ブレーキペダルが踏み込まれて、入力ロッドによりプランジャがバルブピストンに対して相対的に前進されると、弁機構の負圧弁が負圧弁座に当接して変圧室と定圧室との連通を遮断するとともに、大気弁座と大気弁とが開離され、変圧室に外気より大気が導入される。これにより、変圧室と定圧室との圧力差によってバルブピストンが入力ロッドおよびプランジャの前進作動に追従して前方に移動され、マスタピストンが押動されて、ブレーキペダルへの入力に応じたブレーキ油圧がマスタシリンダに発生する。
【0003】
バルブピストンは変圧室と定圧室との圧力差に応じた作動力で反力部材を弾性変形してマスタピストンを押動するため、反力付与手段の反力部材の弾性変形により、反力部材がプランジャを後方へ押圧する。これにより、プランジャが後退させられ、大気弁座が大気弁に着座して大気と変圧室との連通を遮断し、所望のブレーキ油圧を保持するようになっている。
【0004】
ところで、このような負圧式倍力装置は、反力付与手段の作用によりブレーキペダルへの入力とマスタシリンダのマスタピストンからの反力とがバランスするように弁機構が作動して入力を倍力するものであるが、ブレーキ作動初期にマスタピストンからの反力が小さいと、負圧弁と大気弁がともに閉弁状態となる弁機構のサーボバランス状態が不安定となって振動や異音が発生する等の不具合が生じる。つまり、マスタピストンからの反力が小さいと、大気弁を閉弁する方向に作用する力が小さいため、大気弁がなかなか閉弁されず、変圧室に大気が導入され過ぎてしまう。これにより、その後マスタピストンからの反力とブレーキペダルからの入力とにより弁機構がバランスしようとするときに、入力に対して反力が相対的に大きくなっているので、大気弁は閉弁しても負圧弁が開弁してしまいバルブピストン、延いてはブレーキペダルが振動することとなる。
【0005】
この不具合を解消するために、特許文献1に記載された負圧式倍力装置では、変圧室と大気との連通を開閉する大気弁を第1大気弁と第2大気弁とで構成し、第1大気弁と第2大気弁との間に大気と連通するオリフィス通路を設け、ブレーキ非作動時には、第1大気弁と第2大気弁はともに閉弁して変圧室と大気との連通を遮断しており、ブレーキ作動初期には、第2大気弁が閉弁した状態で第1大気弁が開弁して大気がオリフィス通路を介して変圧室に流入し、その後第2大気弁が開弁してオリフィス通路とともに、第2大気弁を介して大気が変圧室に流入するようにしている。
【0006】
従って、ブレーキ作動初期において変圧室に導入される大気はオリフィス通路で制限されて減少するので、大気が変圧室に導入され過ぎることがなく、弁機構の振動や異音等の発生を防止することができる。そして、第2大気弁を構成する弁体の第2着座部がプランジャの第1大気弁から離座すると、第2大気弁とこれよりも先に開弁した第1大気弁との間を介して変圧室に大気が迅速に導入される。
【特許文献1】特開2003−127851号公報(第2,3頁、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の負圧式倍力装置は、ブレーキ作動初期において大気弁を通るエアをオリフィスで絞ることにより変圧室に大気が導入され過ぎないようにしているが、エアの流量を絞りによって制限しているので、弁機構の振動や異音等の発生を防止するためには、絞り抵抗をかなり大きくする必要がある。このために負圧式倍力装置のブレーキ作動初期における作動応答性が悪くなってしまう。
【0008】
本発明は、ブレーキ作動初期において大気が変圧室に導入され過ぎることによって発生するバルブボディ、延いてはブレーキペダルの振動を簡素な構成により防止することができる負圧式倍力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、ブースタシェルが区画部材により変圧室と定圧室とに区画され、該区画部材にバルブピストンの基端部が固着され、前記変圧室と前記定圧室の圧力差に基づく前記区画部材の出力を前記バルブピストンから出力ロッドに反力部材を介して伝達し、前記反力部材に作用するプランジャがブレーキペダルによって軸動され、負圧弁座および大気弁座が前記バルブピストンおよび前記プランジャにそれぞれ形成され、該負圧弁座および大気弁座に接離して前記変圧室を前記定圧室および大気に連通、遮断する負圧弁および大気弁が設けられた負圧式倍力装置において、前記ブースタシェル側部材および前記バルブピストン側部材のうちの一方部材に弾性部材が設けられ、前記バルブピストンが非作動位置から前記ブースタシェルに対して初期移動範囲を移動する間は前記弾性部材と密嵌合する嵌合部が前記ブースタシェル側部材および前記バルブピストン側部材のうちの他方部材に形成され、前記バルブピストンが非作動位置から前記ブースタシェルに対して初期移動範囲を移動するとき、前記バルブピストンに前記弾性部材と前記嵌合部との密嵌合による摺動抵抗が付与されることである。
【0010】
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、ブースタシェルが区画部材により変圧室と定圧室とに区画され、該区画部材にバルブピストンの基端部が固着され、前記バルブピストンの円筒部が前記ブースタシェルの後壁に気密的に固定されたシール部材を気密的に貫通して前記ブースタシェル外に突出し、前記変圧室と前記定圧室の圧力差に基づく前記区画部材の出力を前記バルブピストンから出力ロッドに反力部材を介して伝達し、前記バルブピストンの円筒部内に形成されたバルブ室内に収容されたプランジャがブレーキペダルによって軸動されるとともに、前記反力部材から反力を受け、負圧弁座および大気弁座が前記バルブピストンの弁室内および前記プランジャにそれぞれ形成され、該負圧弁座および大気弁座に接離して前記変圧室を前記定圧室および大気に連通、遮断する負圧弁および大気弁が前記弁室内に設けられた負圧式倍力装置において、前記バルブピストンが非作動位置から前記ブースタシェルに対して初期移動範囲を移動する間に前記シール部材が摺接する前記円筒部の初期摺接部分が、前記円筒部の他の部分より大径であることにより、前記バルブピストンが前記初期移動範囲を移動するとき、前記円筒部の初期摺接部分と前記シール部材との密嵌合による摺動抵抗が前記バルブピストンに付与されることである。
【0011】
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2において、前記シール部材は、補強プレートの内径に弾性部材が固定されたシールガイドを有し、該シールガイドが前記初期摺接部分と摺接して前記バルブピストンに前記初期移動範囲において摺動抵抗を付与することである。
【0012】
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記初期移動範囲は、前記ブレーキペダルに作用する入力に対して前記出力ロッドに伝達される出力がサーボ限界値となる位置まで前記バルブピストンが前記非作動位置から前記ブースタシェルに対して移動する移動範囲であることである。
【0013】
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記初期移動範囲は、前記バルブピストンが前記非作動位置から前記ブースタシェルに対して移動する全移動範囲の20%程度であることである。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、負圧弁が負圧弁座に当接して変圧室と定圧室との連通を遮断し、大気弁座と大気弁とが開離されると、区画部材により変圧室と定圧室とに区画されたブースタシェルの変圧室に外気より大気が導入され、変圧室と定圧室との圧力差によってバルブピストンが前方に移動されてマスタシリンダのマスタピストンを押動する。ブースタシェル側部材およびバルブピストン側部材のうちの一方部材に弾性部材が設けられ、バルブピストンが非作動位置からブースタシェルに対して初期移動範囲を移動する間は弾性部材と密嵌合する嵌合部がブースタシェル側部材および前記バルブピストン側部材のうちの他方部材に形成されているので、バルブピストンが非作動位置から前記初期移動範囲を移動するとき、前記弾性部材と嵌合部との密嵌合による摺動抵抗がバルブピストンに付与される。これにより、ブレーキ作動初期において多量の大気が変圧室に導入されても、バルブピストンが前進され過ぎて負圧弁と負圧弁座とが開離することを前記弾性部材と嵌合部との密嵌合による摺動抵抗により防止し、バルブピストン、延いてはブレーキピストンが振動すること防止できる。そして、バルブピストンが初期移動範囲を超えて移動すると、前記嵌合部は弾性部材との密嵌合から開放されるので、ブレーキペダルに作用する踏力が前記弾性部材と嵌合部との密嵌合による摺動抵抗によりロスされることはない。
【0015】
上記のように構成した請求項2に係る発明によれば、負圧弁が負圧弁座に当接して変圧室と定圧室との連通を遮断し、大気弁座と大気弁とが開離されると、区画部材により変圧室と定圧室とに区画されたブースタシェルの変圧室に外気より大気が導入され、変圧室と定圧室との圧力差によってバルブピストンが前方に移動されてマスタシリンダのマスタピストンを押動する。前記バルブピストンが非作動位置から前記ブースタシェルに対して初期移動範囲を移動する間に、前記ブースタシェルの後壁に気密的に固定されたシール部材がバルブピストンに形成された円筒部の初期摺接部分と摺接し、該初期摺接部分が円筒部の他の部分より大径であるので、前記バルブピストンが前記初期移動範囲を移動するとき、前記円筒部の初期摺接部分とシール部材との密嵌合による摺動抵抗が前記バルブピストンに付与される。これにより、ブレーキ作動初期において多量の大気が変圧室に導入されても、バルブピストンが前進され過ぎて負圧弁と負圧弁座とが開離することが、前記円筒部の初期摺接部分を大径にしてシール部材と密嵌合させるという簡素な構成により、前記バルブピストンに摺動抵抗を付与することによって防止でき、バルブピストン、延いてはブレーキピストンが振動することを抑制することができる。そして、バルブピストンが初期移動範囲を超えて移動すると、前記円筒部の初期摺接部分はシール部材との密嵌合から開放されるので、ブレーキペダルに作用する踏力が前記円筒部の初期摺接部分とシール部材との密嵌合による摺動抵抗によりロスされることはない。さらに、前記バルブピストンの円筒部を前記ブースタシェルの外側に気密的に突出させるために、ブースタシェルの後壁に気密的に固定され前記円筒部と気密的に摺接するシール部材を利用して、該円筒部の初期摺接部分を大径にするだけで前記バルブピストンに摺動抵抗を付与してブレーキピストンの振動を抑制することができる。
【0016】
上記のように構成した請求項3に係る発明によれば、シール部材は、補強プレートの内径に弾性部材が固定されたシールガイドを有し、該シールガイドが前記バルブピストンの円筒部の初期摺接部分と摺接して前記バルブピストンに前記初期移動範囲において摺動抵抗を付与するという簡素な構成で請求項2にかかる発明と同じ効果を奏することができる。
【0017】
上記のように構成した請求項4に係る発明によれば、ブレーキペダルに作用する入力に対して出力ロッドに伝達される出力がサーボ限界値となる位置までバルブピストンが非作動位置からブースタシェルに対して移動するまでの初期移動範囲において、前記バルブピストンが前進され過ぎて負圧弁と負圧弁座とが開離することを弾性部材と嵌合部との密嵌合、又はシール部材とバルブピストンの円筒部の初期摺接部分との密嵌合による摺動抵抗により防止するので、大気弁と大気弁座との開離により大気が変圧室に導入されたとき、バルブピストンが前進され過ぎて負圧弁と負圧弁座とが開離し、バルブピストン、延いてはブレーキピストンが振動することを全サーボ領域において防止できる。
【0018】
上記のように構成した請求項5に係る発明によれば、バルブピストンが非作動位置からブースタシェルに対して移動する全移動範囲の20%程度である初期移動範囲をバルブピストンが非作動位置から移動するときは、バルブピストンに作用する反力が極めて小さいので、大気弁と大気弁座との開離により大気が変圧室に導入されると、バルブピストンが前進され過ぎて負圧弁と負圧弁座とが開離する可能性が高い。このような初期移動範囲において、バルブピストンが前進され過ぎて負圧弁と負圧弁座とが開離することを弾性部材と嵌合部との密嵌合、又はシール部材とバルブピストンの円筒部の初期移動範囲との密嵌合による摺動抵抗により防止することができるとともに、バルブピストンが初期移動範囲を超えて移動するときは、バルブピストンは前記密嵌合から開放され摺動抵抗により踏力がロスされることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る負圧式倍力装置の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、ブースタシェル1は、フロントシェル2およびリアシェル3から構成され、両シェル2,3間には、区画部材としてのフレキシブルなダイヤフラム4が外周縁のビードで気密的に挟着され、ブースタシェル1の内部を定圧室5と変圧室6とに区画している。ダイヤフラム4には円盤状のプレート7が定圧室5側で重合されている。ダイヤフラム4およびプレート7には円筒状のバルブピストン8の基端部8aの外周面が気密的に固着され、基端部8aの前端面が定圧室5に露出している。フロントシェル2には負圧導入管10が取付けられ、定圧室5は負圧導入管10を介してエンジンの吸気マニホールドに連通されてエンジン作動中は常に負圧に維持されている。
【0020】
図2に示すように、ブースタシェル1の後壁をなすリアシェル3の中心部は、外方に屈曲されて円筒状の突出部3aが後方に向けて突設され、軸線上に貫通穴3cが形成されている。バルブピストン8には基端部8aから円筒部8bが後方に突設され、該円筒部8bがリアシェル3の突出部3aに気密的に固定されたシール部材28を気密的に貫通してブースタシェル1外に突出している。シール部材28は金属で形成された段付き円筒状の補強プレート28aと、ゴム等の弾力部材で形成されたシールガイド28bおよびシール28cとで構成されている。補強プレート28aは大径部でリアシェル3の突出部3aの内周面に固定され、補強プレート28aの内周面に固定されたシールガイド28bは補強プレート28aの小径部にバックアップされてバルブピストン8の円筒部8bと遊嵌合してガイドする。補強プレート28aの小径部の外周にはリアシェル3の突出部3aの内周面に気密的の嵌合されたシール28cの基部が固定され、シール28cの漸次小径となるテーパ部はバルブピストン8の円筒部8bと気密的に摺接している。
【0021】
図1において、マスタシリンダ11は、後端部11aがフロントシェル2に形成された中心孔を貫通して定圧室5内に気密的に突出し、フランジ部11bがフロントシェル2の前面に当接している。フロントシェル2とリアシェル3とは、両シェルで構成されるブースタシェル1の軸線と外周との略中間位置で軸線と平行に延在する複数本、例えば2本のタイロッド12で結合されてマスタシリンダ11に固定されている。各タイロッド12にはダイヤフラム4に設けた各シール部4aの摺動穴が気密を保ってそれぞれ摺動自在に嵌合され、定圧室5と変圧室6との間の気密的な区画を維持している。ダイヤフラム4はゴム等の弾性部材で形成されている。
【0022】
マスタシリンダ11に前後方向に摺動可能に嵌合されたマスタピストン13は、マスタシリンダ11の後端部から定圧室5内に突出し、バルブピストン8の前端面近傍まで延在している。バルブピストン8とマスタピストン13との間には出力ロッド14が介在されている。バルブピストン8は定圧室5と変圧室6との圧力差に基づくダイヤフラム4の出力を反力部材17を介して出力ロッド14に伝達し、出力ロッド14がマスタピストン13を前方(図示左方向)に押動する。フロントシェル2とバルブピストン8の前端面との間にはリターンスプリング16が介在され、バルブピストン8を後方(図示右方向)に付勢している。
【0023】
図2に示すように、バルブピストン8には前端面から後端面に向けて反力室穴8c、反力室穴8cに開口する小径の反力穴8d、プランジャ収納穴8h、プランジャ収納穴8hより大径の弁体収納穴8eが軸線上に順次穿設されている。反力室穴8cの底面には、外側の内周面が反力室穴8cの内周面と連続する環状凹溝8fが軸線方向に形成されている。環状凹溝8fには出力ロッド14の後端に形成された環状突起14aが軸線方向に相対移動可能に嵌合され、出力ロッド14の後端面、環状突起14aの内周面、及び反力室穴8cの底面によって囲まれた反力室15が形成され、反力室15内に弾性材料で形成された円盤状の反力部材17が収納されている。
【0024】
21はプランジャ収納穴8h内に前後方向に移動可能に収納されたプランジャで、後端面に大気弁座21aが形成されている。プランジャ21の先端軸部21bは反力穴8dに嵌合され、その先端面が反力穴8dに摺動自在に嵌合された駒部材19の後端面に当接している。出力ロッド14、反力室15、反力部材17、反力穴8d、プランジャ21等により反力付与手段20が構成されている。
【0025】
22はH字状のキー部材で、このキー部材22によってバルブピストン8に対するプランジャ21の相対移動量が規制される。キー部材22の両側の直線部の内側がプランジャ21に形成された環状溝21c内に前後方向に所定量相対移動可能に侵入し、両端部はバルブピストン8に半径方向に穿設された矩形穴8gに両直線部の外側面で摺接して外部に延在している。これにより、バルブピストン8とプランジャ21とは、矩形穴8g及び環状溝21cの幅を加算した距離からキー部材22の厚さを2倍した距離を減じた距離だけ軸線方向に相対移動することができる。さらに、キー部材22は、バルブピストン8の後退を制限するために、バルブピストン8の外周側に突出した両端部でリアシェル3の突出部3aの内端面に当接可能である。このようにブースタシェル1に対する後退を制限されたキー部材22に矩形穴8gの両前端面が当接し、バルブピストン8が非作動位置に停止されるとともに、環状溝21cの前端面がキー部材22に当接してプランジャ21が非作動位置に停止される。
【0026】
プランジャ21の後端には入力ロッド23が回動可能に連結され、入力ロッド23は塵芥等の通過を防止するフィルタ24と吸音機能を有するサイレンサ27を貫通して円筒部8bより後方に延在し、ブレーキペダル25に連結されている。かかるプランジャ21と入力ロッド23とにより、ブレーキペダル25によって軸動される入力部材32が構成されている。入力ロッド23とリアシェル3の突出部3aとの間には蛇腹26が固定され、バルブピストン8の円筒部8bの外周を覆っている。
【0027】
変圧室6を定圧室5または大気に切換えて連通する弁機構30は、プランジャ21とバルブピストン8に夫々設けられた大気弁座21a及び負圧弁座8i、大気弁座21aに接離して変圧室6を大気に連通、遮断する大気弁31b、及び負圧弁座8iに接離して変圧室6を定圧室5に連通、遮断する負圧弁31aを備えている。大気弁31b及び負圧弁31aは、弁体収納穴8e内に前後方向に移動可能に収納された弁体31に設けられている。
【0028】
即ち、プランジャ収納穴8hとバルブピストン8の弁体収納穴8eとの間に形成された段部には、2個の湾曲長円状の平面8jが形成され、各平面8jに負圧弁座8iが軸線に対して対称に突設されている。負圧弁座8iは、平面8jに凸条が軸線を中心とする円弧に沿って彎曲した長円の周囲に突設して形成され、負圧弁座8iに取囲まれた通路8kはバルブピストン8の側壁を貫通して定圧室5に開口している。
【0029】
弁体31の後端は弁体31の軸線方向の移動を許容するベローズ34により環状の保持体35に連結されている。保持体35は弁体収納穴8eの内周に嵌合され、入力ロッド23の中央部段部に係止されたばね受けとの間に介在された圧縮スプリング36のばね力で弁体収納穴8eの肩部に押圧されている。弁体31は、入力ロッド23の中央部段部との間に介在された圧縮スプリング37のばね力により前方に付勢されている。プランジャ収納穴8hは、矩形穴8gを介して変圧室6に連通されている。
【0030】
ブレーキペダル25が踏まれると、入力ロッド23によりプランジャ21が圧縮スプリング36のばね力に抗して前進され、弁体31が圧縮スプリング37のばね力により前進される。これにより、負圧弁31aが負圧弁座8iに当接して変圧室6と定圧室5との連通を遮断する。プランジャ21が更に前進されると、大気弁座21aと大気弁31bとが開離され、サイレンサ27およびフィルタ24を介してバルブピストン8内に導入された大気がプランジャ収納穴8h、矩形穴8g等を介して変圧室6に流入する。これにより、変圧室6と定圧室5との間で圧力差が発生し、バルブピストン8はダイヤフラム4に作用する両室5,6内の圧力差によりリターンプリング16を圧縮して前進し、圧力差に応じた作動力で反力部材17を弾性変形して出力ロッド14を介してマスタピストン13を押動する。
【0031】
バルブピストン8に押圧されて反力部材17が弾性変形し、反力部材17が反力穴8dに流入してプランジャ21の先端軸部21bの先端部を駒部材19を介して後方へ押圧することにより、プランジャ21が後退されて大気弁座21aが大気弁31bに着座して大気と変圧室6との連通を遮断し、ブレーキペダル25の踏力に応じたブレーキ液圧がマスタシリンダ11に発生、保持される。ブレーキペダル25を踏む力は、入力ロッド23を介してプランジャ21の先端軸部21bから反力部材17に伝達され、反力部材17が踏力に応じて弾性変形するので、運転者は反力を感じることができる。
【0032】
このとき、ブレーキの非作動時には、駒部材19と反力部材17との間に僅かな隙間が形成されているので、この駒部材19が反力部材17に当接するまでの間に大気弁座21aと大気弁31bとが開離され、出力が出力ロッド14からマスタピストン13に伝達されても反力がブレーキペダル25に伝達されることがない。従って、ブレーキペダル25を踏む力である入力Iを横軸にとり、出力ロッド14からマスタピストン13に伝達される出力Oを縦軸にとった図3に示す入出力線図が示すように、出力Oが所定値Oj(ジャンピング量)になった時点で反力Iが反力部材17から駒部材19、プランジャ21を介してブレーキペダル25に伝達される。その後のサーボ領域Sでは、入力Iを比例的に増幅した出力Oが出力される。変圧室6の圧力は大気圧より高くなれないので、サーボ領域Sを超えると、出力Oは入力Iの増加量だけ増加される。
【0033】
各車輪部分に設けられたブレーキ装置においては、ブレーキパッドがブレーキディスクに押圧されるまでブレーキ液がホイールシリンダにマスタシリンダ11から供給されるので、ブレーキペダル25が踏み込まれるとバルブピストン8は非作動位置からブースタシェル1に対して前進する。このとき、バルブピストン8が非作動位置からブレーキパッドがブレーキディスクに押圧されるまでブースタシェル1に対して移動する全移動範囲は、各部位の弾性変形を無視すると一定となる。
【0034】
ブレーキ作動初期には、リターンスプリング16のばね力、マスタシリンダ11のマスタピストン13からの反力が小さいので、ブレーキペダル25が踏まれて、大気弁31が大気弁座21aから開離され、多量の大気が変圧室に導入されると、バルブピストン8が前進され過ぎてしまい、大気弁31と大気弁座21とが当接した後に、負圧弁31aと負圧弁座8iとが開離してしまい、バルブピストン8、延いてはブレーキペダル25が振動することがある。
【0035】
かかるバルブピストン8の振動を防止するために、第1の実施の形態では、図4に示すように、バルブピストン8が非作動位置からブースタシェル1に対して初期移動範囲Lを移動する間にシール部材28のシールガイド28bが摺接するバルブピストン8の円筒部8bの初期摺接部分8mが、円筒部8bの他の部分より半径でαだけ大径に形成されている。これにより、図4(a)に示すように、バルブピストン8が初期移動範囲Lを移動するとき、補強プレート28aの小径部にバックアップされたシールガイド28bが大きく弾性変形されて大径の初期摺接部分8mと密嵌合する。これにより初期摺動部分8mとシールガイド28bとの摺動抵抗が増大し、ブレーキ作動初期におけるバルブピストン8に作用する反力が大きくなり、バルブピストン8、延いてはブレーキペダル25の振動が防止される。段差αは、シールガイド28bの剛性が高い場合は、円筒部8bの半径200mmに対して0.1〜0.5mm、シールの剛性が低い場合は、0.5〜1.0mmとすると、ブレーキペダルの振動防止に高い効果があった。
【0036】
ブレーキペダル25への入力Iが増幅されて出力ロッド14からの出力Oがサーボ領域Sにおいては、弁機構30が振動してバルブピストン8、延いてはブレーキペダル25が振動する可能性があるので、初期移動範囲Lは、ブレーキペダル25に作用する入力Iに対して出力ロッド14に伝達される出力Oがサーボ限界値Ouとなる位置までバルブピストン8が非作動位置からブースタシェル1に対して移動する移動範囲とする。かかる初期移動範囲Lは、バルブピストン8が非作動位置からブースタシェル1に対して移動する全移動範囲の70%程度となる。
【0037】
次に、第1の実施形態に係る負圧式倍力装置の作動について説明する。ブレーキペダル25が踏まれて、入力ロッド23とともにプランジャ21が圧縮スプリング36のバネ力に抗して前進されると、弁体31が圧縮スプリング37のバネ力により前進され、負圧弁31aが負圧弁座8iに当接して変圧室6と定圧室5との連通を遮断する。プランジャ21が更に前進されると、大気弁座21aが大気弁31bより開離され、変圧室6がサイレンサ27およびフィルタ24を介して大気に連通される。これにより、バルブピストン8内に大気が導入され、導入された大気は大気弁31bを介して変圧室6に流入する。
【0038】
変圧室6に大気が導入されると、変圧室6と低圧室5との間で圧力差が発生し、この圧力差によりダイヤフラム4、プレート7およびバルブピストン8が前方に移動され、出力ロッド14が反力部材17を介して前進される。従って、マスタピストン13が出力ロッド14により押動され、ブレーキペダル25の踏力に応じたブレーキ液圧がマスタシリンダ11に発生される。
【0039】
バルブピストン8が非作動位置からブースタシェル1に対して初期移動範囲Lを移動する間は、リアシェル3に気密的に固定されたシール部材28のシールガイド28bはバルブピストン8の円筒部8bの他の部分より大径の初期摺接部分8mと摺接するので、初期摺接部分8mとシールガイド28bとの密嵌合による摺動抵抗がバルブピストン8に付与される(図4(a))。これにより、ブレーキ作動初期において多量の大気が変圧室6に導入されても、バルブピストン8が前進され過ぎて負圧弁31aと負圧弁座8iとが開離することが防止でき、バルブピストン8、延いてはブレーキペダル25が振動することを抑制することができる。そして、バルブピストン8が初期移動範囲Lを超えて移動すると、円筒部8bの初期摺接部分8mはシールガイド28bとの密嵌合から開放され、円筒部8bの他の部分と遊嵌合するので、ブレーキペダル25に作用する踏力が初期摺接部分8mとシールガイド28bとの密嵌合による摺動抵抗によりロスされることはない(図4(b))。
【0040】
バルブピストン8はダイヤフラム4に作用する両室5,6内の圧力差に応じた作動力で反力部材17を弾性変形して出力ロッド14を介してマスタピストン13を押動する。反力部材17の弾性変形により、反力部材17が反力穴8dに流入して当接部材19を介してプランジャ21の先端軸部21bの先端部を後方へ押圧する。このため、プランジャ21が後退され、大気弁座21aが大気弁31bに着座して大気と変圧室6との連通を遮断し、所望のブレーキ液圧を保持する。このとき、ブレーキペダル25を踏む力は、入力ロッド23を介してプランジャ21の先端軸部21bから反力部材17に伝達され、反力部材17が踏力に応じて弾性変形するので、運転者は反力を感じることができる。
【0041】
ブレーキ作動後、ブレーキペダル25が開放されると、入力ロッド23とともにプランジャ21が圧縮スプリング36のバネ力によりバルブピストン8に対して後方に移動されるため、大気弁座21aが大気弁31bに当接して弁体31がバルブピストン8に対して相対的に後方に移動され、負圧弁31aが負圧弁座8iから開離される。これにより、定圧室5内の負圧が通路8kを通って変圧室6に導入され、変圧室6と定圧室5との圧力差が無くなる。従って、バルブピストン8、プレート7およびダイヤフラム4がリターンスプリング16のバネ力により後方に移動されるとともに、マスタピストン13が後方に移動されてマスタシリンダ11内の液圧が無くなる。
【0042】
プランジャ21はキー部材22がリアシェル3の突出部3aの段部内面に当接するのと同時に停止し、バルブピストン8はキー部材22に当接して停止する。これにより、ブレーキの非作動時に負圧弁31aが負圧弁座8iに極めて接近した状態となり、ブレーキが掛けられたとき弁体31の前方移動により負圧弁31aが負圧弁座8iに迅速に当接することができる。
【0043】
上記第1の実施形態では、ブレーキペダル25に作用する入力Iに対して出力ロッド14に伝達される出力Oがサーボ限界値Ouとなる位置までバルブピストン8が非作動位置からブースタシェル1に対して移動する移動範囲を初期移動範囲Lとしているが、ブレーキ作動初期において、弁機構30が振動してバルブピストン8が振動する可能性が高い領域は、リターンスプリング16のばね力、マスタシリンダ11のマスタピストン13からの反力が極めて小さいバルブピストンの非作動位置からの移動範囲、即ちバルブピストン8の全移動範囲の20%程度の移動範囲である。従って、バルブピストン8が非作動位置からその全移動範囲の20%程度の移動範囲を移動するとき、シール部材28が摺接するバルブピストン8の円筒部8bの部分を、円筒部8bの他の部分より大径にして初期摺接部分8mとしてもよい。
【0044】
また、上記第1の実施形態では、シール部材28のシールガイド28bをバルブピストン8の円筒部8bに形成した大径の初期摺接部分8mと密嵌合させているが、シール部材28のシール28cをバルブピストン8の円筒部8bに形成した大径の初期摺接部分8mと密嵌合させて、バルブピストンが初期移動範囲Lを移動する間バルブピストン8に摺動抵抗を付与するようにしてもよい。この場合、シール28cは円筒部8bの初期摺接部分8m以外の他の部分と従来通り変圧室6を大気からシールするために摺接する。
【0045】
図5に示すように、第2の実施の形態では、バルブピストン8が非作動位置からブースタシェル1に対して初期移動範囲Lを移動する間に、ダイヤフラム4に設けた各シール部4aが気密を保って摺動する各タイロッド12の部分が他の部分より大径に形成されて初期摺接部分12aとされている。
【0046】
これにより、バルブピストン8が非作動位置からブースタシェル1に対して初期移動範囲Lを移動する間は、バルブピストン8の基部8aに固定されたダイヤフラム4の各シール部4aは各タイロッド12の初期摺接部分12aと密嵌合するので、この密嵌合による摺動抵抗がバルブピストン8に付与される。これにより、ブレーキ作動初期において多量の大気が変圧室6に導入されても、バルブピストン8が前進され過ぎて負圧弁31aと負圧弁座8iとが開離することが防止でき、バルブピストン8、延いてはブレーキペダル25が振動することを抑制することができる。
【0047】
上述したように、ブースタシェル側部材(リアシェル3又はタイロッド12)およびバルブピストン側部材(バルブピストン8の円筒部8b又はダイヤフラム4)のうちの一方部材(リアシェル3又はダイヤフラム4)に弾性部材(シール部材28又はシール部4a)が設けられ、バルブピストン8が非作動位置からブースタシェル1に対して初期移動範囲Lを移動する間は弾性部材(シール部材28又はシール部4a)と密嵌合する大径の初期摺接部分8m又は12aが、前記ブースタシェル側部材およびバルブピストン側部材のうちの他方部材(バルブピストンの円筒部8b又はタイロッド12)に形成され、バルブピストン8が非作動位置からブースタシェル1に対して初期移動範囲Lを移動するとき、バルブピストン8に前記密嵌合による摺動抵抗が付与される。
【0048】
上記実施の形態では、ブースタシェル側部材をリアシェル3又はタイロッド12とし、バルブピストン側部材をバルブピストン8の円筒部8b又はダイヤフラム4とし、弾性部材をシール部材28又はシール部4aとし、嵌合部を大径の初期摺接部分8m又は12aとしているが、弾性部材をブースタシェル1又はバルブピストン8の一方に別途設け、バルブピストン8が非作動位置からブースタシェル1に対して初期移動範囲を移動する間に前記弾性部材と密嵌合する嵌合部材をブースタシェル1又はバルブピストン8の他方に別途設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る負圧式倍力装置の第1の実施形態を示す断面図。
【図2】図1のA−A方向から見た拡大断面図。
【図3】負圧式倍力装置の入力と出力の関係を示す入出力線図。
【図4】シールガイドと初期摺接部分との密嵌合及び密嵌合からの開放を示す図。
【図5】本発明に係る負圧式倍力装置の第2の実施形態を示す部分断面図。
【符号の説明】
【0050】
1…ブースタシェル、2…フロントシェル、3…リアシェル、4…ダイヤフラム(区画部材)、4a…シール部、5…定圧室、6…変圧室、8…バルブピストン、8b…円筒部、8i…負圧弁座、8m,12a…初期摺接部分、11…マスタシリンダ、12…タイロッド、13…マスタピストン、14…出力ロッド(出力部材)、15…反力室、16…リターンスプリング、17…反力部材、20…反力付与手段、21…プランジャ、21a…大気弁座、22…キー部材、23…入力ロッド、25…ブレーキペダル、28…シール部材、28a…補強プレート、28b…シールガイド、28c…シール、30…弁機構、31…弁体、31a…負圧弁、31b…大気弁、36,37…圧縮スプリング。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブースタシェルが区画部材により変圧室と定圧室とに区画され、該区画部材にバルブピストンの基端部が固着され、前記変圧室と前記定圧室の圧力差に基づく前記区画部材の出力を前記バルブピストンから出力ロッドに反力部材を介して伝達し、前記反力部材に作用するプランジャがブレーキペダルによって軸動され、負圧弁座および大気弁座が前記バルブピストンおよび前記プランジャにそれぞれ形成され、該負圧弁座および大気弁座に接離して前記変圧室を前記定圧室および大気に連通、遮断する負圧弁および大気弁が設けられた負圧式倍力装置において、
前記ブースタシェル側部材および前記バルブピストン側部材のうちの一方部材に弾性部材が設けられ、前記バルブピストンが非作動位置から前記ブースタシェルに対して初期移動範囲を移動する間は前記弾性部材と密嵌合する嵌合部が前記ブースタシェル側部材および前記バルブピストン側部材のうちの他方部材に形成され、前記バルブピストンが非作動位置から前記ブースタシェルに対して初期移動範囲を移動するとき、前記バルブピストンに前記弾性部材と前記嵌合部との密嵌合による摺動抵抗が付与されることを特徴とする負圧式倍力装置。
【請求項2】
ブースタシェルが区画部材により変圧室と定圧室とに区画され、該区画部材にバルブピストンの基端部が固着され、前記バルブピストンの円筒部が前記ブースタシェルの後壁に気密的に固定されたシール部材を気密的に貫通して前記ブースタシェル外に突出し、前記変圧室と前記定圧室の圧力差に基づく前記区画部材の出力を前記バルブピストンから出力ロッドに反力部材を介して伝達し、前記バルブピストンの円筒部内に形成されたバルブ室内に収容されたプランジャがブレーキペダルによって軸動されるとともに、前記反力部材から反力を受け、負圧弁座および大気弁座が前記バルブピストンの弁室内および前記プランジャにそれぞれ形成され、該負圧弁座および大気弁座に接離して前記変圧室を前記定圧室および大気に連通、遮断する負圧弁および大気弁が前記弁室内に設けられた負圧式倍力装置において、
前記バルブピストンが非作動位置から前記ブースタシェルに対して初期移動範囲を移動する間に前記シール部材が摺接する前記円筒部の初期摺接部分が、前記円筒部の他の部分より大径であることにより、前記バルブピストンが前記初期移動範囲を移動するとき、前記円筒部の初期摺接部分と前記シール部材との密嵌合による摺動抵抗が前記バルブピストンに付与されることを特徴とする負圧式倍力装置。
【請求項3】
請求項2において、前記シール部材は、補強プレートの内径に弾性部材が固定されたシールガイドを有し、該シールガイドが前記初期摺接部分と摺接して前記バルブピストンに前記初期移動範囲において摺動抵抗を付与することを特徴とする負圧式倍力装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、前記初期移動範囲は、前記ブレーキペダルに作用する入力に対して前記出力ロッドに伝達される出力がサーボ限界値となる位置まで前記バルブピストンが前記非作動位置から前記ブースタシェルに対して移動する移動範囲であることを特徴とする負圧式倍力装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項において、前記初期移動範囲は、前記バルブピストンが前記非作動位置から前記ブースタシェルに対して移動する全移動範囲の20%程度であることを特徴とする負圧式倍力装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−166552(P2009−166552A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4668(P2008−4668)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】