説明

負圧発生装置の制御装置

【課題】 エゼクタを機能停止させた場合に運転者に違和感を与えてしまうことを抑制可能な負圧発生装置の制御装置を提供する。
【解決手段】 インテークマニホールド14から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタ30と、エゼクタ30を機能、或いは機能停止させるVSV1とを有して構成される負圧発生装置100を制御するECU40Aであって、内燃機関50の運転状態がアイドル状態でなくなったときのアクセルペダルの状態変化に基づき、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御する停止タイミング制御手段を備える。これにより、アクセルペダルの状態変化に応じて内燃機関50のトルクが変化するときに、エゼクタ30が機能停止されるため、運転者に違和感を与えてしまうことを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負圧発生装置の制御装置に関し、特にエゼクタを有して構成される負圧発生装置を制御する負圧発生装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において、大気から各気筒に連通する内燃機関の吸気系の吸気通路(以下、単に内燃機関の吸気系とも称す)から取り出そうとする負圧よりも、さらに大きな負圧をブレーキブースタに供給するためにエゼクタが利用されている。エゼクタは一般的にはスロットル弁を迂回するバイパス路に配設されており、ベンチュリー効果によってより大きな負圧を発生させる。このエゼクタを利用した技術として、例えば特許文献1にエゼクタを利用した負圧ブースタの負圧源装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】昭62−214245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、エゼクタが機能している場合には吸気は吸気通路に加えてバイパス路をも流通する。したがって逆にエゼクタを機能停止させた場合には、エゼクタが機能していた場合と比較して吸気流量が減少することになる。すなわち吸気流量が減少した分だけ内燃機関のトルクが減少することになる。このため車両走行時などに不意にエゼクタを機能停止させるとショックが発生し、運転者に違和感を与えてしまう虞があった。
【0005】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、エゼクタを機能停止させた場合に運転者に違和感を与えてしまうことを抑制可能な負圧発生装置の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段とを有して構成される負圧発生装置を制御する負圧発生装置の制御装置であって、前記内燃機関のトルクが変化する条件に基づき、前記エゼクタを機能停止させるように前記状態変更手段を制御する停止タイミング制御手段を備えることを特徴とする。本発明によれば内燃機関のトルクが変化するときにエゼクタを機能停止させることができ、その結果、単独でエゼクタを機能停止させた場合と比較して運転者に違和感を与えてしまうことを抑制可能である。
【0007】
また本発明は、前記内燃機関のトルクが変化する条件が、前記内燃機関に対して加速要求を行うための加速要求手段の状態変化であってもよい。具体的には例えば本発明のように加速要求手段(例えばアクセルペダル)が運転者によって操作されたときの状態変化が、運転者に違和感を与えないようにエゼクタを機能停止させるための条件として好適である。なお、加速要求手段の状態変化は、具体的には例えば加速要求手段が操作されていない状態から加速要求を行うように操作されたときの状態変化であることが好適であるが、これに限られず、加速要求手段の状態変化は、例えば加速要求手段がある状態からさらに大きな度合いの加速要求を行うように操作されたときの状態変化であってもよく、またある状態からより小さな度合いの加速要求を行うように、或いは加速要求を行わないように操作されたときの状態変化などであってもよい。
【0008】
また本発明は、前記内燃機関のトルクが変化する条件が、前記内燃機関に結合された変速機の変速レンジのうち、駆動レンジと非駆動レンジとの間での変速レンジの変化であってもよい。ここで変速機が運転者によって非駆動レンジから駆動レンジに変速操作されたときには内燃機関に作用する負荷が増大する。このとき、内燃機関のトルクは一般に増大した分の作用負荷に対処できるように適宜の度合いで補正制御される。このため変速機が運転者によって駆動レンジ、非駆動レンジ間で変速操作されたときには内燃機関のトルクも変化する。また係る変化は運転者に感覚的に認識されているものと考えられ、しかも係る変化は不意に発生するわけではなく、運転者自らの操作に起因して発生する。このことから、本発明は、運転者に違和感を与えないようにエゼクタを機能停止させる条件として好適である。
【0009】
また本発明は、前記内燃機関のトルクが変化する条件が、前記内燃機関によって駆動される補機の作動状態を変化させる条件であってもよい。ここで例えばエアコンが作動すると、エアコン用コンプレッサが内燃機関に対して負荷として作用する。このとき、内燃機関のトルクは一般に増大した分の作用負荷に対処できるように適宜の度合いで補正制御される。また、ヘッドライトの点灯や、オーディオ等の電子機器の操作などで電気負荷が増大すると、増大した分の電気負荷に対処できるようにジェネレータの発電量を増大させる必要性が生じる。このとき、内燃機関のトルクは一般に発電量が増大するようジェネレータを駆動するために適宜の度合いで補正制御される。すなわち、これらエアコン用コンプレッサやジェネレータなどの補機の作動状態を変化させる条件(エアコンのON、OFFやヘッドライトのON、OFFなど)は、内燃機関のトルクが変化する条件となる。またエアコンのON、OFFや、特に電気負荷が大きくなるヘッドライトのON、OFFなどで内燃機関のトルクが変化することは、運転者に感覚的に認識されているものと考えられることから、本発明は、運転者に違和感を与えないようにエゼクタを機能停止させる条件として好適である。
【0010】
また本発明は、前記内燃機関のトルクが変化する条件が、前記内燃機関の吸気通路に配設された吸気流量調節手段を制御するための制御量の変化であってもよい。また具体的には例えば本発明のように制御量が変化した段階でエゼクタを機能停止させることも可能である。
【0011】
また本発明は、前記内燃機関のトルクが変化する条件が、前記内燃機関の吸気通路に配設された吸気流量調節手段の状態の変化であってもよい。また具体的には例えば本発明のように吸気流量調節手段の状態が変化した段階でエゼクタを機能停止させることも可能である。
【0012】
なお、内燃機関のトルクが変化する条件はこれらに限られず、他の適宜の条件であってよい。例えば内燃機関に対して過給を行う過給機を備えた車両にあっては過給圧の変化を条件とすることもできるし、希薄燃焼と均質燃焼との間で燃焼態様を切り替えて燃焼を行う内燃機関にあっては、燃焼態様の変化を条件とすることも可能である。また、車両が備える変速機がAT(Automatic Transmission)である場合には、駆動レンジで自動的にATが変速するときの条件を内燃機関のトルクが変化する条件とすることも可能である。本発明はエゼクタを機能させておく必要がなくなった段階で如何にして運転者に極力違和感を与えることなく早期にエゼクタを機能停止させることができるかを念頭になされたものであるが、エゼクタを機能させておく必要がなくなったときのタイミング次第ではこれらの条件も有効といえる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エゼクタを機能停止させた場合に運転者に違和感を与えてしまうことを抑制可能な負圧発生装置の制御装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、ECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)40Aで実現されている本実施例に係る負圧発生装置の制御装置を、負圧発生装置100とともに模式的に示す図である。内燃機関50を始めとした図1に示す各構成は車両(図示省略)に搭載されている。内燃機関50の吸気系10は、エアクリーナ11と、エアフロメータ12と、電動スロットル13と、インテークマニホールド14と、内燃機関50の各気筒(図示省略)に連通する図示しない吸気ポートと、これらの構成の間に適宜配設される例えば吸気管15a、15bなどを有して構成されている。エアクリーナ11は内燃機関50の各気筒に供給される吸気を濾過するための構成であり、図示しないエアダクトを介して大気に連通している。エアフロメータ12は吸気流量を計測するための構成であり吸気流量に応じた信号を出力する。
【0016】
電動スロットル13は、スロットル弁13aと、スロットルボディ13bと、弁軸13cと、電動モータ13dとを有して構成されている。スロットル弁13aは、内燃機関50の各気筒に供給する全吸気流量を開度変化により調整するための構成である。また、電動スロットル13はアイドル回転数を制御するために吸気流量を調節するための構成にもなっており、本実施例では電動スロットル13で吸気流量調節手段を実現している。スロットルボディ13bは、吸気通路が形成された筒状部材からなる構成であり、この吸気通路に配設されたスロットル弁13aの弁軸13cを軸支する。電動モータ13dは、ECU40Aの制御の基、スロットル弁13aの開度を変更するための構成であり、この電動モータ13dにはステップモータが採用されている。電動モータ13dはスロットルボディ13bに固定されており、その出力軸(図示省略)は弁軸13cに連結されている。スロットル弁13aの開度は、電動スロットル13に内蔵された図示しないエンコーダ(以下、単にエンコーダと称す)からの出力信号に基づき、ECU40Aで検出される。
【0017】
なお、スロットル機構には、電動スロットル13のようなスロットル弁13aをアクチュエータで駆動するスロットルバイワイヤ方式を適用することが好ましい。但し、これに限られず、例えば電動スロットル13の代わりにワイヤなどを介してアクセルペダル(図示省略)と連動し、スロットル弁13aの開度が変更されるような機械式スロットル機構を適用してもよい。アクセルペダルは内燃機関50に対して加速要求を行うための構成であり、本実施例ではアクセルペダルで加速要求手段を実現している。インテークマニホールド14は、上流側で一つの吸気通路を下流側で内燃機関50の各気筒に対応させて分岐するための構成であり、吸気を内燃機関50の各気筒に分配する。
【0018】
ブレーキ装置20は、ブレーキペダル21と、ブレーキブースタ22と、マスターシリンダ23と、ホイルシリンダ(図示省略)とを有して構成されている。運転者が車輪の回転を制動するために操作するブレーキペダル21は、ブレーキブースタ22の入力ロッド(図示省略)と連結されている。ブレーキブースタ22は、ペダル踏力に対して所定の倍力比でアシスト力を発生させるための構成であり、内部でマスターリシンダ23側に区画された負圧室(図示省略)が、エゼクタ30を介してインテークマニホールド14の吸気通路に接続されている。ブレーキブースタ22は、さらにその出力ロッド(図示省略)がマスターシリンダ23の入力軸(図示省略)と連結されており、マスターシリンダ23は、ペダル踏力に加えてアシスト力を得たブレーキブースタ22からの作用力に応じて油圧を発生させる。マスターシリンダ23は、油圧回路を介して各車輪のディスクブレーキ機構(図示省略)に設けられたホイルシリンダ夫々に接続されており、ホイルシリンダはマスターシリンダ23から供給された油圧で制動力を発生させる。なお、ブレーキブースタ22は気圧式のものであれば特に限定されるものではなく、一般的なものであってよい。
【0019】
エゼクタ30は、吸気系10、より具体的にはインテークマニホールド14から取り出そうとする負圧よりもさらに大きな負圧を発生させてブレーキブースタ22の負圧室に供給するための構成である。エゼクタ30は、流入ポート31aと流出ポート31bと負圧供給ポート31cとを有している。これらのうち、負圧供給ポート31cがエアホース5cでブレーキブースタ22の負圧室に接続されている。また、流入ポート31aは吸気管15aの吸気通路にエアホース5aで、流出ポート31bはインテークマニホールド14の吸気通路にエアホース5bで、電動スロットル13、より具体的にはスロットル弁13aを挟むようにして夫々接続されている。これによって、電動スロットル13を迂回するバイパス路Bが、エゼクタ30を含んでエアホース5aと5bとで形成される。なお、エゼクタ30が機能していない場合、ブレーキブースタ22の負圧室には、インテークマニホールド14の吸気通路から、エアホース5b、エゼクタ30の流出ポート31b及び負圧供給ポート31c、エアホース5c夫々を介して負圧が供給される。
【0020】
エアホース5aには、VSV(バキュームスイッチングバルブ)1を介在させている。VSV1は、ECU40Aの制御のもと、バイパス路Bを連通、遮断するための構成であり、本実施例では2ポジション2ポートのノーマルクローズドソレノイドバルブを採用している。但し、これに限られず、VSV1は他の適宜の電磁弁などであってよく、さらに例えば流路の遮蔽度合いを制御可能な流量調整弁などであってもよい。また、このVSV1はバイパス路Bを連通、遮断することで、エゼクタ30を機能、或いは機能停止させるための構成となっている。本実施例ではVSV1で状態変更手段を実現している。
【0021】
図2はエゼクタ30の内部構成を模式的に示す図である。エゼクタ30は内部にディフューザ32を備えている。ディフューザ32は、先細テーパ部32aと、末広テーパ部32bと、これらを連通する通路にあたる負圧取出部32cとで構成されている。先細テーパ部32aは、流入ポート31aに対向するようにして開口しており、末広テーパ部32bは、流出ポート31bに対向するようにして開口している。また、負圧取出部32cは、負圧供給ポート31cに連通している。流入ポート31aには、流入してきた吸気を先細テーパ部32aに向けて噴射するノズル33が配設されており、ノズル33から噴射された吸気はディフューザ32を流通し、さらに流出ポート31bからエアホース5bに流出する。この際、ディフューザ32で高速噴流が生起されることにより、ベンチュリー効果で負圧取出部32cに大きな負圧が発生し、さらにこの負圧は負圧供給ポート31cからエアホース5cを介して負圧室に供給される。このようなエゼクタ30の機能により、ブレーキブースタ22は、インテークマニホールド14から取り出す場合よりも大きな負圧を得ることができる。なお、負圧取出部32cと負圧供給ポート31cとの間の内部流路と、流出ポート31bと負圧供給ポート31cとの間の内部流路と、ブレーキブースタ22のエアホース5c接続部とに設けられた逆支弁34は、夫々逆流を防止するためのものである。また、エゼクタ30は図2に示す内部構造を備えるものに限られず、その他の異なる内部構造を備えるエゼクタをエゼクタ30の代わりに適用してよい。
【0022】
内燃機関50には、エアコン用コンプレッサ55が備えられている。エアコン用コンプレッサ55は、その駆動軸のプーリがベルトを介して内燃機関50の出力軸のプーリに連結されている。なお、内燃機関50の出力軸のプーリには、補機としてエアコン用コンプレッサ55のほかにも、例えば図示しないパワーステアリング用ポンプやジェネレータなどの各プーリがベルトを介して連結されている。エアコン用コンプレッサ55の駆動軸には、図示しない電磁クラッチが備えられている。電磁クラッチは、エアコンSW61のON、OFFに応じてECU40Aの制御のもと断続され、これにより、エアコン用コンプレッサ55が駆動、停止する。なお、電磁クラッチはエアコンSW61の操作による場合のほか、ECU40Aが行う空調制御によっても自動的に断続制御される。
【0023】
また、内燃機関50には図示しない変速機が結合されている。本実施例では変速機はATとなっているが、これに限られず、例えばCVT(Continuously Variable Transmission)であってもよい。また、本実施例では車両が変速機用ECU(図示省略)を備えている。変速機用ECUには、図示しないシフトレバーで選択された変速レンジを検出するためのレンジSW62が接続されている。運転者がシフトレバーを操作すると、変速機用ECUは運転者のレバー操作に応じて変速機を制御する。
【0024】
ECU40Aは、図示しないCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、入出力回路などを有して構成されている。ECU40Aは主として内燃機関50を制御するための構成であり、本実施例では電動スロットル13やVSV1も制御している。ECU40Aには、電動スロットル13やVSV1のほか、各種の制御対象が駆動回路(図示省略)を介して接続されている。また、ECU40Aにはエンコーダや、アクセルペダルの状態を検出するための図示しないアクセルセンサや、内燃機関50の回転数Neを検出するための図示しないクランク角センサや、エアコンSW61やレンジSW62などの各種のセンサが接続されている。なお、レンジSW62は変速機用ECUを介してECU40Aに接続されていてもよい。
【0025】
ROMはCPUが実行する種々の処理が記述されたプログラムを格納するための構成であり、本実施例では内燃機関50制御用のプログラムのほか、種々の条件のもと、エゼクタ30を機能、或いは機能停止させるようにVSV1を制御する(以下、単にVSV1を開く、或いは閉じるとも称す)ためのVSV1制御用プログラムや、電動スロットル13を制御するための電動スロットル13制御用プログラムなども格納している。但し、これらのプログラムは一体として組み合わされていてもよい。また、本実施例ではVSV1制御用プログラムが、さらに内燃機関50のトルクが変化する条件に基づきエゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するための停止タイミング制御用プログラムを有して構成されている。さらにこの停止タイミング制御用プログラムは、内燃機関50のトルクが変化する条件としてアクセルペダルの状態変化に基づき、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するためのプログラムとなっている。本実施例ではCPUとROMとRAM(以下、CPU等とも称す)と上述の各種のプログラムとで各種の制御手段や検出手段や判定手段などが実現されており、特にCPU等と停止タイミング制御用プログラムとで停止タイミング制御手段が実現されている。また、本実施例ではVSV1と、エゼクタ30とで負圧発生装置100が実現されている。
【0026】
次に、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するためにECU40Aで行われる処理を図3に示すフローチャートを用いて詳述する。ECU40Aは、ROMに格納された上述のVSV1制御用プログラム等に基づき、CPUがフローチャートに示す処理を極短い時間で繰り返し実行することで、負圧発生装置100を制御する。CPUはエゼクタ30の作動条件が不成立になったか否かを判定する処理を実行する(ステップ11)。本ステップでエゼクタ30を機能させておく必要がないか否かが判定される。ステップ11で否定判定であればエゼクタ30を機能させておく必要があるため、CPUはVSV1を開くための処理を実行する(ステップ15)。なお、エゼクタ30が既に機能している場合には本ステップをスキップしてもよい。一方、ステップ11で肯定判定であれば、CPUはエゼクタ30が作動中であるか否かを判定する処理を実行する(ステップ12)。エゼクタ30が作動中であるか否かは例えばVSV1の作動状態を検出可能なリミットスイッチなどの出力信号に基づき判定することができる。
【0027】
ステップ12で否定判定であれば、既にエゼクタ30が機能停止していることになるため、CPUはステップ14に示す処理を実行する。一方、ステップ12で肯定判定であれば、CPUは内燃機関50の運転状態がアイドル状態でなくなったか否かを判定する処理を実行する(ステップ13a)。内燃機関50の運転状態がアイドル状態でなくなったか否かはアクセルセンサの出力信号に基づき判定できる。すなわち本ステップでは換言すればアクセルペダルの状態変化のうち、内燃機関50の運転状態がアイドル状態でなくなるようなアクセルペダルの状態変化があったか否かが判定される。ステップ13aで否定判定であれば、CPUはステップ15に示す処理を実行する。これにより、ステップ13aで肯定判定されるまでの間、その後のルーチンでステップ11、12、13a及び15に示す処理が繰り返し実行されることになり、エゼクタ30を機能停止させるための処理の実行はタイミング待ちの状態となる。そしてステップ13aで肯定判定であれば、CPUはVSV1を閉じるための処理を実行する(ステップ14)。これによりアクセルペダルの状態変化に応じて内燃機関50のトルクが変化するときに、エゼクタ30が機能停止されるため、運転者に違和感を与えてしまうことを抑制できる。以上により、エゼクタ30を機能停止させた場合に運転者に違和感を与えてしまうことを抑制可能なECU40Aを実現可能である。
【実施例2】
【0028】
本実施例に係るECU40Bは、停止タイミング制御用プログラムが、アクセルペダルの状態変化に基づく代わりに、変速機の変速レンジのうち、駆動レンジと非駆動レンジとの間での変速レンジの変化に基づき、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するためのプログラムとなっている以外、ECU40Aと同一のものとなっている。また、車両が備える各構成は、ECU40A以外実施例1で示した各構成と同一のものとなっている。本実施例ではCPU等とこの停止タイミング制御用プログラムとで停止タイミング制御手段が実現されている。
【0029】
次に、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するためにECU40Bで行われる処理を図4に示すフローチャートを用いて詳述する。なお図4に示すフローチャートは、ステップ13aがステップ13bに変更されている以外、図3に示すフローチャートと同一のものとなっている。このため本実施例では特にステップ13bについて詳述する。ステップ11及び12で肯定判定であった場合、CPUは変速機の変速レンジがドライブレンジ(以下、単にDレンジとも称す)とニュートラルレンジ(以下、単にNレンジとも称す)との間で切り替えられたか否かを判定する処理を実行する(ステップ13b)。変速レンジがDレンジとNレンジとの間で切り替えられたか否かはレンジSWの出力信号に基づき判定可能である。本ステップで駆動レンジと非駆動レンジとの間での変速レンジの変化があったか否かが判定される。なお、Dレンジは駆動レンジであり、Nレンジは非駆動レンジである。
【0030】
ステップ13bで否定判定であれば、CPUはステップ13bで肯定判定されるまでの間、繰り返しステップ11、12、13b及び15に示す処理を実行する。これにより、エゼクタ30を機能停止させるための処理の実行はタイミング待ちの状態になる。そしてステップ13bで肯定判定であれば、CPUはステップ14に示す処理を実行する。これにより、駆動レンジと非駆動レンジとの間での変速レンジの変化に応じて内燃機関50のトルクが変化するときに、エゼクタ30が機能停止されるため、運転者に違和感を与えてしまうことを抑制できる。以上により、エゼクタ30を機能停止させた場合に運転者に違和感を与えてしまうことを抑制可能なECU40Bを実現可能である。
【実施例3】
【0031】
本実施例に係るECU40Cは、停止タイミング制御用プログラムが、アクセルペダルの状態変化に基づく代わりに、内燃機関50によって駆動される補機としてのエアコン用コンプレッサ55の作動状態の変化に基づき、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するためのプログラムとなっている以外、ECU40Aと同一のものとなっている。また、車両が備える各構成は、ECU40A以外実施例1で示した各構成と同一のものとなっている。本実施例ではCPU等とこの停止タイミング制御用プログラムとで停止タイミング制御手段が実現されている。
【0032】
次に、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するためにECU40Cで行われる処理を図5に示すフローチャートを用いて詳述する。なお図5に示すフローチャートは、ステップ13aがステップ13cに変更されている以外、図3に示すフローチャートと同一のものとなっている。このため本実施例では特にステップ13cについて詳述する。ステップ11及び12で肯定判定であった場合、CPUはエアコン、より具体的にはエアコン用コンプレッサ55の作動状態がONとOFFとの間で切り替えられたか否かを判定する処理を実行する(ステップ13c)。エアコン用コンプレッサ55の作動状態がONとOFFとの間で切り替えられたか否かは例えばエアコンSW61の出力信号に基づき判定可能である。但し、これに限られず、例えばエアコン用コンプレッサ55の電磁クラッチが自動的に断続制御される条件に基づき、エアコン用コンプレッサ55の作動状態がONとOFFとの間で切り替えられたか否かを判定してもよい。なお、電磁クラッチが自動的に断続制御される条件とは、具体的には例えば車室内の温度がエアコンの設定温度に達したか否かなどであるが係る条件は適宜のものであってよい。また、車室内の温度は例えば温度センサなどの出力信号に基づき検出できる。
【0033】
ステップ13cで否定判定であれば、CPUはステップ13cで肯定判定されるまでの間、繰り返しステップ11、12、13c及び15に示す処理を実行する。これにより、エゼクタ30を機能停止させるための処理の実行はタイミング待ちの状態になる。そしてステップ13cで肯定判定であれば、CPUはステップ14に示す処理を実行する。これにより、エアコン用コンプレッサ55の作動状態の変化に応じて内燃機関50のトルクが変化するときに、エゼクタ30が機能停止されるため、運転者に違和感を与えてしまうことを抑制できる。
【0034】
なお、ステップ13cでエアコン用コンプレッサ55の作動状態がONとOFFとの間で切り替えられたか否かを判定する代わりに、例えば車両のヘッドライトが点灯と消灯との間で切り替えられたか否かを判定してもよい。この場合には、停止タイミング制御用プログラムとして、ヘッドライトの作動状態の変化に基づき、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するためのプログラムをROMに格納すればよい。ヘッドライトの作動状態が変化したか否かは例えばヘッドライトSW(図示省略)の出力信号に基づき判定可能である。但し、これに限られず、車両のヘッドライトの作動状態が変化したか否かを判定するにあたっては、ヘッドライトが自動的に点灯(或いは消灯)される条件が満たされたか否かを判定してもよい。ヘッドライトが自動的に点灯される条件とは、具体的には例えば車両周囲の明るさが不十分になったか否かなどであるが係る条件は適宜のものであってよい。また、車両周囲の明るさは例えば光感知式センサなどの出力信号に基づき判定可能である。以上により、エゼクタ30を機能停止させた場合に運転者に違和感を与えてしまうことを抑制可能なECU40Cを実現可能である。
【実施例4】
【0035】
本実施例に係るECU40Dは、停止タイミング制御用プログラムが、アクセルペダルの状態変化に基づく代わりに、電動スロットル13を制御するための制御量の変化に基づき、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するためのプログラムとなっている以外、ECU40Aと同一のものとなっている。また、車両が備える各構成は、ECU40A以外実施例1で示した各構成と同一のものとなっている。本実施例ではCPU等とこの停止タイミング制御用プログラムとで停止タイミング制御手段が実現されている。
【0036】
次に、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するためにECU40Dで行われる処理を図5に示すフローチャートを用いて詳述する。なお図5に示すフローチャートは、ステップ13aがステップ13dに変更されている以外、図3に示すフローチャートと同一のものとなっている。このため本実施例では特にステップ13dについて詳述する。ステップ11及び12で肯定判定であった場合、CPUは制御量が変化したか否かを判定する処理を実行する(ステップ13d)。ステップ13dで否定判定であれば、CPUはステップ13dで肯定判定されるまでの間、繰り返しステップ11、12、13d及び15に示す処理を実行する。これにより、エゼクタ30を機能停止させるための処理の実行はタイミング待ちの状態になる。そしてステップ13dで肯定判定であれば、CPUはステップ14に示す処理を実行する。これにより、制御量の変化に応じて内燃機関50のトルクが変化するときに、エゼクタ30が機能停止されるため、運転者に違和感を与えることを抑制できる。
【0037】
なお、制御量は電動スロットル13を制御するためのトータルの制御量に限られず、トータルの制御量を構成する各種の制御量であってもよい。具体的には例えばアクセルペダルの踏み込み量に応じて変化する制御量や内燃機関50に作用する負荷に応じて増減させる補正制御量をステップ13dの判定に用いる制御量として適用することも可能である。また、制御量の変化の判定にあってはステップ13dに加えて、或いはステップ13dの代わりに例えば制御量の変化が所定量以上であるか否かなどを判定してもよい。以上により、エゼクタ30を機能停止させた場合に運転者に違和感を与えてしまうことを抑制可能なECU40Dを実現可能である。
【実施例5】
【0038】
本実施例に係るECU40Eは、停止タイミング制御用プログラムが、アクセルペダルの状態変化に基づく代わりに、スロットル弁13aの開度変化に基づき、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するためのプログラムとなっている以外、ECU40Aと同一のものとなっている。また、車両が備える各構成は、ECU40A以外実施例1で示した各構成と同一のものとなっている。本実施例ではCPU等とこの停止タイミング制御用プログラムとで停止タイミング制御手段が実現されている。
【0039】
次に、エゼクタ30を機能停止させるようにVSV1を制御するためにECU40Eで行われる処理を図6に示すフローチャートを用いて詳述する。なお図6に示すフローチャートは、ステップ13aがステップ13eに変更されている以外、図3に示すフローチャートと同一のものとなっている。このため本実施例では特にステップ13eについて詳述する。ステップ11及び12で肯定判定であった場合、CPUはスロットル弁13aの開度が変化したか否かを判定する処理を実行する(ステップ13e)。ステップ13eで否定判定であれば、CPUはステップ13eで肯定判定されるまでの間、繰り返しステップ11、12、13e及び15に示す処理を実行する。これにより、エゼクタ30を機能停止させるための処理の実行はタイミング待ちの状態になる。そしてステップ13eで肯定判定であれば、CPUはステップ14に示す処理を実行する。これにより、スロットル弁13aの開度変化に応じて内燃機関50のトルクが変化するときに、エゼクタ30が機能停止されるため、運転者に違和感を与えてしまうことを抑制できる。なお、スロットル弁13aの開度変化の判定にあってはステップ13eに加えて、或いはステップ13eの代わりに例えば開度変化が所定量以上であるか否かなどを判定してもよい。以上により、エゼクタ30を機能停止させた場合に運転者に違和感を与えてしまうことを抑制可能なECU40Eを実現可能である。
【0040】
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ECU40を負圧発生装置100とともに模式的に示す図である。
【図2】エゼクタ30の内部構成を模式的に示す図である。
【図3】ECU40Aで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図4】ECU40Bで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図5】ECU40Cで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図6】ECU40Dで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【図7】ECU40Eで行われる処理をフローチャートで示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 VSV
10 吸気系
13 電動スロットル
20 ブレーキ装置
22 ブレーキブースタ
30 エゼクタ
40 ECU
50 内燃機関
55 エアコン用コンプレッサ
61 エアコンSW
62 レンジSW
100 負圧発生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気系の吸気通路から取り出そうとする負圧よりも大きな負圧を発生させるエゼクタと、該エゼクタを機能、或いは機能停止させる状態変更手段とを有して構成される負圧発生装置を制御する負圧発生装置の制御装置であって、
前記内燃機関のトルクが変化する条件に基づき、前記エゼクタを機能停止させるように前記状態変更手段を制御する停止タイミング制御手段を備えることを特徴とする負圧発生装置の制御装置。
【請求項2】
前記内燃機関のトルクが変化する条件が、前記内燃機関に対して加速要求を行うための加速要求手段の状態変化であることを特徴とする請求項1記載の負圧発生装置の制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関のトルクが変化する条件が、前記内燃機関に結合された変速機の変速レンジのうち、駆動レンジと非駆動レンジとの間での変速レンジの変化であることを特徴とする請求項1記載の負圧発生装置の制御装置。
【請求項4】
前記内燃機関のトルクが変化する条件が、前記内燃機関によって駆動される補機の作動状態を変化させる条件であることを特徴とする請求項1記載の負圧発生装置の制御装置。
【請求項5】
前記内燃機関のトルクが変化する条件が、前記内燃機関の吸気通路に配設された吸気流量調節手段を制御するための制御量の変化であることを特徴とする請求項1記載の負圧発生装置の制御装置。
【請求項6】
前記内燃機関のトルクが変化する条件が、前記内燃機関の吸気通路に配設された吸気流量調節手段の状態の変化であることを特徴とする請求項1記載の負圧発生装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−8256(P2008−8256A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181580(P2006−181580)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】