説明

負荷制御システム

【課題】戸建て住宅などの建築物に設置されている照明装置などの負荷制御システムであって、天候の悪化時に、住人に天候の悪化を通報予告しうる負荷制御システムを、低コストで、且つ、容易に実現する。
【解決手段】雨センサ60又は風センサ61による検出結果に基づいて、天候判断部により降雨又は強風が判断されると、例えばドアホンシステムの屋内モニタ装置4の内蔵スピーカから音声で天候悪化を通報し、また照明装置25,26・・・の点滅によって、天候の悪化を通報する。それによって、洗濯物や布団を干している場合は、速やかにそれらを取り入れることができる。この負荷制御システムは、従来から広く普及しているドアホンシステムの屋内モニタ装置4を利用することができ、低コストで、且つ、容易に、住人に天候の悪化を知らせうるシステムを実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨センサや風センサに連動して、照明装置などの負荷を制御する負荷制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、降雨を検出して、可動式シャッターなどを自動的に閉めるように構成されたシステム(自動布団干し機)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなシステムは、可動式シャッターなどの可動部やそれを制御する制御装置を必要とするため、装置が大型であり、またその機能の割に高価であるため、一般家庭に普及するまでには至っていない。従って、急な天候の悪化、例えば降雨や強風などの場合に、低コストで、且つ、容易に、住人に天候の悪化を知らせうるシステムが望まれている。
【0003】
一方、本出願人は、テレビカメラを内蔵したテレビドアホンシステムを実用化しており、さらに、火災報知器などのセンサと組み合わせてテレビドアホンシステムの屋内モニタ装置(親機)から電気錠などの負荷を制御する負荷制御システムを提案している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−336697号公報
【特許文献2】特許第2691419号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来例の問題を解決するためになされたものであり、例えば戸建て住宅や集合住宅などの建築物に設置されている照明装置などの負荷制御システムであって、天候の悪化時に、住人に天候の悪化を通報予告しうる負荷制御システムを、低コストで、且つ、容易に実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、負荷制御システムであって、建築物又は該建築物の周辺に設けられた雨センサ及び風センサと、前記雨センサ及び前記風センサに接続され、前記雨センサによって検出された降雨量が所定に閾値を超えた場合、又は前記風センサにより検出された風速が所定の閾値を超えた場合に、天候悪化と判断する天候判断部と、前記建築物に設けられた1又は複数の照明装置に接続され、前記天候判断部が天候悪化と判断したときに、前記1又は複数の照明装置を個別に又は一斉に天候悪化に対応した所定のパターンで点灯又は消灯制御する照明制御部と、前記天候判断部が天候悪化と判断したときに、天候悪化に対応した音声情報を出力する音声情報出力部を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の負荷制御システムにおいて、前記建築物の窓に設置された1又は複数の窓開閉センサをさらに備え、前記天候判断部が天候悪化と判断し、且つ、前記窓開閉センサが、窓が開かれていることを検出したときに、前記音声情報出力部は、さらに音声で窓が開いていることに対応した音声情報をすることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の負荷制御システムにおいて、前記建築物のベランダ又はバルコニーの手摺りに設けられた圧力センサと、前記圧力センサの出力と1又は複数の閾値とを比較し、前記手摺りに圧力を加えている原因を推定する加圧原因推定部をさらに備え、前記天候判断部が天候悪化と判断し、且つ、前記加圧原因推定部が、前記手摺りに布団が掛けられていると推定したときに、前記音声情報出力部は、布団が干されていることに対応した音声情報をすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、雨センサ又は風センサによる検出結果に基づいて、天候判断部により降雨又は強風が判断されると、例えばドアホンシステムの屋内モニタ装置の内蔵スピーカから音声で天候悪化が通報されるので、そのスピーカからの音声が到達する範囲にいる住人は、天候が急に悪化したことを知ることができる。また、スピーカからの音声が到達する範囲にいない住人は、照明装置の点滅によって、天候が急に悪化したことを知ることができる。そして洗濯物や布団を干している場合は、速やかにそれらを取り入れることができる。この負荷制御システムは、従来から広く普及しているドアホンシステムの屋内モニタ装置を利用することができるため、低コストで、且つ、容易に、住人に天候の悪化を知らせうるシステムを実現することができる。
【0010】
請求項2の発明によれば、天候が急に悪化したときに、窓が開いている場合に、その旨を通報することができるので、屋内に雨が吹き込んだり、屋内のものが風で吹き飛ばされたりすることを防止する又はその被害を低減することができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、ベランダなどに布団を干した人と天候悪化を知得した人とが一致していない場合でも、布団が干されていることが通報されるので、布団がぬれる被害を低減したり、布団が飛ばされたりするのを防止することができる。なお、本出願人は、特開2008−169596号公報などにおいて、手摺りに圧力センサを設ける技術を提案している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る負荷制御システムを備えた戸建て住宅の概略構成を示す図。
【図2】特開2008−169596号公報に示されたベランダやバルコニーの手摺り部分に圧力センサを設けた構成を示す図。
【図3】上記負荷制御システムにおける屋内モニタ装置の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る負荷制御システムについて説明する。図1は、本実施形態に係る負荷制御システムを、戸建て住宅に設置した場合の概略構成を示す。一般的に、戸建て住宅などの建築物の門扉や玄関などの付近には、テレビカメラ2を備えたテレビドアホン装置の屋外器(子機)3が設けられている。また、リビングルームやダイニングキッチンなどにはテレビドアホン装置の屋内モニタ装置(親機)4が設けられている。一方、家屋1の玄関11、廊下12、階段13、リビング14、キッチン15、寝室16、17・・・などの壁面には、照明装置(照明負荷)21・・・のオン及びオフなどを制御するための壁面スイッチを兼ねた負荷制御装置31・・・が設けられており、これら負荷制御装置31・・・と照明装置21・・・とは、それぞれ壁や天井の裏側に設置された配線を介して接続されている。これらの負荷制御装置31・・・の一部又は全部は、テレビドアホン装置の屋内モニタ装置4から有線を介して又は電波を媒体として無線送信される所定の信号を受信する受信機能を有している。
【0014】
本実施形態では、全ての負荷制御装置31・・・は上記受信機能を有するものとし、さらに1又は複数の負荷のオン及びオフ及びオン状態における負荷の段階を制御する負荷制御機能を有する。負荷としては、上記照明装置21・・・の他に、警報装置、警備会社への通報装置あるいは電気錠(オートドアロック)などを制御することができる。また、負荷制御装置31・・・は、ユーザによって操作され、電波を媒体として、操作された内容に応じた所定の信号を無線送信する操作スイッチ(例えばリモコン装置)80などからの所定の信号も受信可能である。なお、操作スイッチ80は、必ずしもリモコン装置である必要はなく、壁面に設置又は固定された他のスイッチであってもよい。
【0015】
屋内モニタ装置4に設けられている照明制御部(負荷制御部)は、特定の又は全ての負荷制御装置31に対して点灯のための制御信号を無線送信し、あらかじめ設定されている1又は複数の照明装置又は全ての照明装置21・・・をオン(点灯)させる。なお、玄関の天井部に設置されている屋側センサ5は、屋外の照度に応じて又は所定の検知領域6内に人が存在するか否かに応じて、照明装置21などを点灯又は消灯させるための点灯信号又は消灯信号を屋内モニタ装置4に対して出力し、屋内モニタ装置4は屋側センサ5からの点灯信号又は消灯信号を受信すると、負荷制御装置31に対して点灯又は消灯のために制御信号を無線送信し、照明装置21をオン(点灯)又はオフ(消灯)させる。
【0016】
玄関11、廊下12及び階段13に設けられた人体感知センサ71、72及び73は、所定の検知領域内に人が立ち入った場合に、人の存在を検知して、例えば電波を媒体として、人を検知したことを知らせ、照明装置を点灯させるための点灯信号又は所定の検知領域内に一定時間人の存在を検知しなくなった場合に、人が立ち去ったことを知らせる消灯信号を屋内モニタ装置4又は最寄りの負荷制御装置31、32又は33に対して無線送信する。負荷制御装置31、32及び33は、人体感知センサ71、72及び73からの点灯信号又は消灯信号に応じて照明装置21、22、23及び24をそれぞれ点灯又は消灯させる機能を有すると共に、ユーザの操作により照明装置21、22、23及び24をそれぞれ点灯又は消灯させる通常のスイッチ機能を有している。
【0017】
リビング14、寝室16又は17などに設けられた負荷制御装置34〜37などは、操作スイッチ(リモコン装置)80などから送信される所定の制御信号に応じて、照明装置25〜28などのオン又はオフ及びオンのときの照度などを制御する機能を有する。
【0018】
各負荷制御装置31〜37は、有線又は無線通信を介して、屋内モニタ装置4と通信を行う。また、1つの負荷制御装置(例えばリビング14又はキッチン15に設けられている負荷制御装置34又は35)をマスターとし、他の負荷制御装置をスレーブとするマスター・スレーブ通信を行うように構成されていてもよい。さらに、個々の負荷制御装置31〜37は、時分割多重方式又は周波数多重方式により、操作スイッチ80からの信号の受信を行う。
【0019】
本実施形態の負荷制御システムにおいては、さらに、建築物やその周辺、特に建築物の外観として視認される部位、例えばベランダやバルコニーなどに設けられた雨センサ60及び風センサ61と、建築物の窓6に設置された窓開閉センサ62とベランダ又はバルコニーの手摺り51に設けられた圧力センサ63を備えている。なお、雨センサ60と風センサ61は、便宜上1つのパッケージに収納されているものとする。なお、雨センサ60及び風センサ61は、後述する屋内モニタ装置4の天候判断部に無線通信を介して接続されていてもよく、ベランダや庭に設置された物干し台や物干し竿などに設置されていてもよい。
【0020】
この負荷制御システムにおいては、各センサの検出精度はさほど要求されないので、小型軽量で、構造が簡単で、低コストで、且つ、外観上目立たないものが好ましい。雨センサとして、様々な構造のものを用いることができるが、上記の主旨からすると、雨によって赤外線の透過率が低下することを利用した赤外線センサを利用することが好ましい。同様に、風センサとしても様々な構造のものを用いることが可能であるが、風圧を受けて撓む金属板に歪みセンサなどを取り付けた風圧式のものなど、可動部を有しない構造のものが好ましい。
【0021】
圧力センサ63として、本出願人による上記特開2008−169596号公報に示されたものを図2に示す。水平に設けられた手摺り本体150の頂部分には、一定間隔で複数の圧力センサ151が設け、また、圧力センサ151の間にはベース部材152が設けられている。そして、圧力センサ151及びベース部材152を覆うように、上からセンサ笠木153が被せられている。センサ笠木153の内側で、且つ、圧力センサ151に対向する部分には、圧力センサ151を押圧するための押圧部材(図示せず)が設けられている。
【0022】
図3は、屋内モニタ装置4のブロック構成を示す。屋内モニタ装置4は、上記雨センサ60、風センサ61及び窓開閉センサ62に接続された天候判断部41と、負荷制御装置31・・・を介して照明装置21・・・に接続され、照明装置21・・・を個別に又は一斉に点灯又は消灯制御する照明制御部42と、内蔵スピーカ47に接続され、スピーカ47から所定の音声情報を出力する音声情報出力部43と、圧力センサ63に接続され、圧力センサ63の出力と1又は複数の閾値とを比較し、手摺り51に圧力を加えている原因を推定する加圧原因推定部44などで構成されている。
【0023】
天候判断部41は、雨センサ60によって降雨が検出された場合、及び風センサ61により検出された風速が所定の閾値を超えた場合に、天候悪化と判断する。ここで、降雨検出に関して、複数段のレベル設定が可能である。例えば布団を干しているときは、降雨量が微量であっても、布団は湿ってしまう。それに対して、洗濯物を干している場合、特に、それが軒下である場合など、降雨量が比較的多くても、さほど問題ない場合もある。同様に、布団や洗濯物がクリップによって固定されている場合とそうでない場合とでは、通報すべき風速レベルが異なる。したがって、天候判断部41は、設定されたレベルに応じて、複数組の閾値を記憶しており、設定レベルに応じた閾値と雨センサ60及び風センサ61からの出力値を比較する。また、窓開閉センサ62は、窓6が開かれているか、あるいは閉じられているかを検出し、その検出結果は、天候判断部41に入力される。
【0024】
加圧原因推定部44は、圧力センサ63の出力と1又は複数の閾値とを比較し、手摺り51に圧力を加えている原因を推定する。すなわち、ベランダの手摺り51には、人がもたれたり、鳥が止まったり、あるいは布団などが干されたりする。人がもたれたときに手摺り51に生じる応力は比較的大きく、鳥がとまったときに生じる応力は小さく、布団画干されたときに生じる応力は、その大きさにより様々である。従って、加圧原因推定部44は、圧力センサ63から出力された応力値と比較される閾値を適当に選択することにより、布団などが干されているか否かを推定することができる。加圧原因推定部44の判断結果は、天候判断部41に入力される。
【0025】
次に、本実施形態に係る負荷制御システムの動作について説明する。検出対象である雨や風は、急激に変化することはあるが、必ず、その前触れがあり、地震のように突然発生するものではない。従って、天候判断部41及び加圧原因推定部44は、常時雨センサ60、風センサ61、窓開閉センサ62及び圧力センサ63の出力を監視する必要はなく、一定間隔、例えば数十秒又は数分間隔で監視しても問題はない。従って、以下の動作は一定間隔で繰り返されるものとする。
【0026】
まず、加圧原因推定部44は、圧力センサ63による検出結果を1又は複数の閾値を比較し、布団が干されているか否かを判断する。布団が干されていると判断された場合、天候判断部41は、雨センサ60の出力に対しては閾値を零に設定し、そうでない場合は、所定の閾値に設定する。一方、晴天であっても無風状態はほとんど無いので、天候判断部41は、風センサ61の出力に対しては所定の閾値を設定する。
【0027】
そして、天候判断部41は、雨センサ60によって検出された降雨量が所定に閾値を超えた場合、又は風センサ61により検出された風速が所定の閾値を超えた場合に、天候悪化と判断する。天候判断部41が天候悪化と判断すると、音声情報出力部43は、例えば、「雨が降ってきました」、「風が強くなってきました」など、屋内モニタ装置4の内蔵スピーカ74から音声で天候悪化を通報する。このとき、窓開閉センサ62により窓6が開いていると判断されたときは、「窓が開いています」又は「窓を閉めてください」などを同時に出力する。また、加圧原因推定部44により布団が干されていると判断されたときは、「布団が干されています」又は「布団を取り込んでください」などを同時に出力する。さらに、照明制御部は、1又は複数の照明装置21・・・を所定のパターンで点滅させる。
【0028】
この負荷制御システムが最も有効に機能しうるのは、住人が屋内でテレビ番組を見ていたり、あるいは調理をしていたりして、屋外の天候の悪化に気付かない場合である。従って、屋内のリビング14やキッチン14など、昼間に住人がいる可能性の高い部屋の照明装置25、26・・・を点滅させることが好ましい。
【符号の説明】
【0029】
1 家屋
3 テレビドアホン装置の屋外器(子機)
4 テレビドアホン装置の屋内モニタ装置(親機)
6 窓
21〜28 照明装置
31〜37 負荷制御装置(壁面スイッチ)
41 天候判断定部
42 照明制御部
43 音声情報出力部
44 加圧原因推定部
47 スピーカ
60 雨センサ
61 風センサ
62 窓開閉センサ
63 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物又は該建築物の周辺に設けられた雨センサ及び風センサと、
前記雨センサ及び前記風センサに接続され、前記雨センサによって検出された降雨量が所定に閾値を超えた場合、又は前記風センサにより検出された風速が所定の閾値を超えた場合に、天候悪化と判断する天候判断部と、
前記建築物に設けられた1又は複数の照明装置に接続され、前記天候判断部が天候悪化と判断したときに、前記1又は複数の照明装置を個別に又は一斉に天候悪化に対応した所定のパターンで点灯又は消灯制御する照明制御部と、
前記天候判断部が天候悪化と判断したときに、天候悪化に対応した音声情報を出力する音声情報出力部を備えたことを特徴とする負荷制御システム。
【請求項2】
前記建築物の窓に設置された1又は複数の窓開閉センサをさらに備え、
前記天候判断部が天候悪化と判断し、且つ、前記窓開閉センサが、窓が開かれていることを検出したときに、前記音声情報出力部は、さらに音声で窓が開いていることに対応した音声情報をすることを特徴とする請求項1に記載の負荷制御システム。
【請求項3】
前記建築物のベランダ又はバルコニーの手摺りに設けられた圧力センサと、
前記圧力センサの出力と1又は複数の閾値とを比較し、前記手摺りに圧力を加えている原因を推定する加圧原因推定部をさらに備え、
前記天候判断部が天候悪化と判断し、且つ、前記加圧原因推定部が、前記手摺りに布団が掛けられていると推定したときに、前記音声情報出力部は、布団が干されていることに対応した音声情報をすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の負荷制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−7593(P2011−7593A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150583(P2009−150583)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】