説明

貼付材及び貼付材を用いた貼付方法

【課題】貼付箇所が目立つことなく、例えば、柔軟な紙、皮革、プラスチック、ゴム、フィルム、肌等の被着体の動きに追従することができる貼付材を提供するものである。
【解決手段】基材上に剥離層、受像層をこの順に積層し、前記受像層上に白色印刷、カラー印刷をした印刷シートと、紙に水溶性剥離層、ホットメルト接着層を設けた接着層転写シートを用意して、印刷シートのカラー印刷面と接着層転写シートのホットメルト接着層面と重ね合せて、加圧加熱することにより印刷シートと接着層転写シートを接着させて接着層付き印刷シートを作製する。キャリア層/基材層/粘着剤層/セパレータ層の4層構造を有する伸縮貼付材を作製する。接着層付き印刷シートと伸縮貼付材を用いた、セパレータ層/粘着剤層/基材層/剥離層/受像層/白色印刷層/カラー印刷層/ホットメルト接着層/水溶性剥離層/紙の少なくとも10層からなる貼付材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柔軟なものや凹凸のあるものに対して追従可能でなお且つ貼った際に貼ったことによる下地の色的な損傷を隠すことができる貼付材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の座席の皮革シートの表面のように柔軟なものに傷が入ったり、拭いても取れない汚れが付着した場合は、その箇所のみならず座席シート全体の皮革を貼りかえる必要があった。理由は、シートの一部分のみ新品の皮革で貼りかえても、皮革の色は時間が経過して色が褪せているため、1座席シートで色の異なる不自然なシートとなるためである。そのため、皮革シートの貼替えは、高価なものとなっていた。
【0003】
また、畳表の一部に傷が入ったり、拭いても取れない汚れが付着した場合、畳表用補修テープが考案されている。(特許文献1)この補修テープは、シールに目柄を淡色から他方に行くに従って濃色に着色したものを用意して、補修したい畳表の色目に応じて、淡色から濃色までの色に近いところのシールを剥がし、補修箇所に貼り付けるものである。このシールは、畳表の凹凸とうねりに合わせて目柄の凹凸をうねりに見える状態が一致し、シールを貼っているのが判らないようにするものである。
【0004】
しかし、使い古した畳表の色は、置かれた環境条件によって、変色、退色は種々に異なり、誰がみてもシールを貼っているのが判らないようにするのは、困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3054367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、貼付箇所が目立つことなく、例えば、柔軟な紙、皮革、プラスチック、ゴム、フィルム、肌、動物の皮膚等の被着体の動きに追従することができる貼付材を提供するものである。また、凹凸のある畳表、壁紙、外壁や彫刻、版画、絵画、屏風等の美術工芸品の被着体の凹凸や変色に一致した色の貼付材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明は、基材上に剥離層、受像層をこの順に積層し、前記受像層上に白色印刷をし、その上にカラー印刷をした印刷シートと、紙に水溶性剥離層を設けたシートの水溶性剥離層の上にホットメルト接着層を設けた接着層転写シートを用意して、印刷シートのカラー印刷面と接着層転写シートのホットメルト接着層面と重ね合せて、加圧加熱することにより印刷シートと接着層転写シートを接着させて接着層付き印刷シートを作製する。
キャリア層/基材層/粘着剤層/セパレータ層の4層構造を有する伸縮貼付材のキャリア層を剥がして、伸縮貼付材の基材層面と、前記接着層付き印刷シートの基材を剥離層を残すようにして剥離して、接着層付き印刷シートの剥離層面とを重ね合せて、加圧加熱することにより基材層面と剥離層面を接着させてなる、セパレータ層/粘着剤層/基材層/剥離層/受像層/白色印刷層/カラー印刷層/ホットメルト接着層/水溶性剥離層/紙の少なくとも10層からなる貼付材である。
第2発明は、前記ホットメルト接着層が、ポリウレタンエラストマーからなり、前記水溶性剥離層が水溶性高分子とウレタン粒子からなることを特徴とする第1発明記載の貼付材である。
第3発明は、前記紙を剥離して水溶性剥離層を水で溶解させることにより、水溶性剥離層中のウレタン粒子がホットメルト接着層に溶着していて表面に凹凸を作ることが出来ることを特徴とする第2発明記載の貼付材である。
第4発明は、前記粘着剤層にカテキン、ヒアルロン酸、コラーゲンより少なくとも1種含有することを特徴とする第1発明記載の貼付材である。
第5発明は、第1〜4発明のいずれかに記載の貼付材のセパレータ層を剥がし、粘着剤層面を被着体に貼り付けた後、貼り付けたものに、水を浸透させて水溶性剥離層を水で溶解させて紙を剥離することを特徴とする化粧方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の貼付材を被着体に貼った場合、柔軟な被着体に追従して被着体の傷や汚れを見えなくすることができる。また、被着体が細やかな凹凸にも密着して、凹凸を消すことなく被着体との色の差が目立たないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】貼付材の構成図
【図2】接着層転写シートの構成図1
【図3】接着層転写シートの構成図2
【発明を実施するための形態】
【0010】
印刷シートで使用する基材は、種々のフィルムが使用されるが、耐久性、コストの点から厚み2.5〜200μmのPETフィルムが好ましく使用できる。
【0011】
印刷シートの基材上に設ける剥離層は、接着層転写シートのホットメルト接着層と接着した後に基材と剥離層間で剥離するものであり、主材としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、セルロース系樹脂等が好ましく使用できる。特に好ましくは、アクリル樹脂を主材とするとよい。また、基材からの剥離性および強度をコントロールする意味でポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂等を加えても良い。剥離層の厚みとしては、0.05〜20μmが好ましい。さらに好ましい厚みは、0.1〜5μmである。
【0012】
剥離層の上に積層する受像層は、白色印刷の印刷性を高める層であり、スチレン系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を用いる事が好ましく、必要に応じて接着性を高める意味で柔軟で接着性の高いウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル樹脂等を加えることができる。中でも、印刷適正のよいアクリル樹脂を用いるとよい。
【0013】
この他、ブロッキング、タック防止の意味で各種フィラを添加することが可能であり、たとえば、フッ素系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン系粒子、タルク、カオリン、炭酸マグネシュウム、炭酸カリウム、酸化チタン、シリカ、デンプン等があげられる。受像層の厚みとしては、受像性と熱感度の観点から、0.5〜10μmが好ましい。また、最終品の堅牢性を上げるため、熱硬化樹脂、UV硬化樹脂からなる硬化保護層を剥離層と受像層の間に設けても良い。
【0014】
白色印刷は、白色顔料と各種のバインダからなるものである。白色顔料としては、酸化チタンが挙げられる。バインダとしては、塩ビ酢ビ共重合樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。白色印刷の厚みとしては、隠蔽性確保のため1〜30μmが好ましい。
【0015】
カラー印刷は、着色顔料と各種のバインダからなるものである。着色顔料としては、公知のカラー顔料が挙げられる。バインダとしては、塩ビ酢ビ共重合樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。カラー印刷の厚みとしては、0.1〜20μmが好ましい。
【0016】
白色印刷およびカラー印刷は、種々の印刷方法で設けることができる。例えば、熱転写プリンタによる印刷、インクジェット印刷、グラビヤ印刷、オフセット印刷、シルク印刷
スクリーン印刷法、グラビヤ版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用いることができる。中でも、本発明の貼付材を被着体の色に合わすようにするためには、肌の色をスキャナーで読み取り、読み取った色を電子データ化して、被着体の色を同じ色にプリンタで指示して印刷できる印刷方法としては、熱転写プリンタ印刷、インクジェット印刷が好ましい。
【0017】
ただし、安価に大量に貼付材を製造したい場合は、熱転写プリンタ印刷、インクジェット印刷以外の印刷法を用いるとよい。この場合は、予め何種類もの色で印刷したものを用意する必要がある。
【0018】
接着層転写シートで用いる紙は、水が浸透するものであればどのような紙でもよい。例えば、普通のPPC用紙、ボンド紙、和紙等が挙げられる。厚みは、50〜300g/mのものが好ましい。紙の上に設ける水溶性剥離層は、水溶性高分子を用いることができる。水溶性高分子としては、デキストリン、プルラン、水溶性セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。この中でも、デキストリン、プルラン、水溶性セルロース誘導体が好ましく用いられ、特にデキストリンが好ましい。
デキストリンとしては、白色デキストリン、分岐デキストリン、クラスターデキストリン、還元デキストリン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。本発明に用いられるデキストリンとしては、市販のものを用いることができ、L−SPD(昭和産業)、赤玉デキストリン(日澱化学)、アミコール(日澱化学)、デキストリン(三栄源エフ・エフ・アイ)、デキストリン(純正化学)、パインデックス(松谷化学工業)等が挙げられる。また、プルランとしては、プルラン(林原)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、メトローズ SE−06(信越化学工業)等が挙げられる。なお、上記は商品名である。
【0019】
水溶性剥離層の厚みは、1〜30μmが好ましい。特に好ましい範囲は、5〜20μmである。
【0020】
水溶性剥離層の上に積層するホットメルト接着層は、熱可塑性樹脂、ワックスを用いることができる。熱可塑性樹脂としては、たとえばポリウレタンエラストマー、ウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、石油系樹脂、炭化水素系樹脂、ポリブタジエン、ポリスチレン、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂などの1種または2種以上が使用できる。
【0021】
ワックスとしては、たとえばカルナバワックス、キャンデリラワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、α−オレフィン−無水マレイン酸共重合ワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、ペトロラタムなどの1種または2種以上が使用できる。
【0022】
これらの中でも、カラー印刷との接着性からポリウレタンエラストマーを用いることが好ましい。
【0023】
水溶性剥離層には、水溶性高分子に加えウレタン粒子を含有させることで貼り付け時の光沢感をマットタイプに制御することができる。図2のように、ウレタン粒子の平均粒径は、水溶性剥離層の厚みよりも大きいものを使用するか、図3のようにウレタン粒子が水溶性剥離層の上に飛び出る形で塗布して使用する。
【0024】
ウレタン粒子を図3の形態にする方法としては、ウレタン粒子を含有しない水溶性高分子塗工液で塗布、乾燥してから、その上に、さらに図2のようなウレタン粒子の平均粒径が水溶性剥離層の厚みより大きくなるような塗工液で塗布、乾燥する方法がある。他の方法としては、中空粒子のウレタン粒子を使用し、塗布中にウレタン粒子を表面に浮かせながら乾燥する方法がある。
【0025】
水溶性剥離層の厚みは、図2、3で示すようにウレタン粒子のないところの水溶性剥離層の厚みを指すものである。水溶性剥離層の厚みとウレタン粒子の粒径をこのような関係にすることで、印刷シートと接着層転写シートとを重ね合せて、加圧加熱することにより水溶性剥離層中のウレタン粒子の一部がホットメルト接着層のポリウレタンエラストマーと溶着することになる。ウレタン粒子は、本発明の貼付材を被着体に貼付して使用した場合、水溶性剥離層は、水で除去されるので、最表面に現れるため表面にウレタン粒子による凹凸を形成するものである。ウレタン粒子は最表面に現れるので、透明性が高いものが好ましい。また、ウレタン粒子は、貼付材のマット化の働きがあるが、マット化を均一にするためには真球状の粒子が好ましい。
【0026】
ウレタン粒子の平均粒径は、0.5〜20μmの範囲が好ましい。さらに好ましい平均粒子径は、2〜8μmのものとする。
【0027】
紙の上に水溶性剥離層、ホットメルト接着層を積層する方法は、各層の塗液をグラビヤコーティング、オフセットコーティング、バーコーティング、ダイコーティング等で塗布、乾燥することで行なうことができる。
【0028】
キャリア層/基材層/粘着剤層/セパレータ層の4層構造を有する伸縮貼付材は、特許文献:国際公開番号WO2009/041121号公報に詳細に記載されているものである。
【0029】
キャリア層は、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレンなどの各種熱可塑性樹脂からなるフィルムを用いて形成することが好ましい。
【0030】
各種フィルムは、紙にラミネートされた状態のものでもよい。これらのキャリア層は、基材層に比べて、厚みが厚いか、腰の強いものとすることが望ましい。
【0031】
基材層は、ガラス転移温度が0℃以下のポリウレタンエラストマー層である。
【0032】
粘着剤層は、炭素数8〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも一種の単量体単位を70重量%以上の割合で含有する共重合体からなるアクリル粘着剤層である。
【0033】
粘着剤層には、カテキン、ヒアルロン酸、コラーゲンを少なくとも1種含有させるとよい。粘着剤層は、伸縮貼付材を直接肌等にも接触する層であるため、これらの成分を含有することにより、粘着剤層によるカブレ、肌荒れを防ぐ効果が出てくる。
【0034】
セパレータ層は、粘着テープの技術分野において、一般に、離型紙、剥離紙、剥離ライナーなどと呼ばれているものを用いる。セパレータ層としては、例えば、表面をシリコーン処理したポリエチレンテレフタレートフィルム、表面をシリコーン処理したポリエチレンと紙との積層体などが挙げられる。
【0035】
また、基材層の厚みは、1〜10μmの範囲内であり、好ましくは1〜8μm、より好ましくは1〜6μm、さらに好ましくは1〜5μmの範囲内である。該粘着剤層の厚みは、1〜15μm、好ましくは1〜12μm、より好ましくは1〜8μm、特に好ましくは1〜6μmである。これら両層の合計厚みが2〜20μmである。
【0036】
伸縮貼付材の製造方法は、セパレータ層上に粘着剤層を形成する一方、キャリア層上に基材層のポリウレタンエラストマー層を形成し、次いで、セパレータ層の粘着剤層面とキャリア層のポリウレタンエラストマー層面とを貼り合わせる方法により作製することが好ましい。
【0037】
前記伸縮貼付材のキャリア層を剥がして、伸縮貼付材の基材層面と、前記接着層付き印刷シートの基材を剥離する際に、剥離層を残すようにして剥離して、接着層付き印刷シートの剥離層面とを重ね合せて、加圧加熱することにより基材層面と剥離層面を接着させることにより図1に示す、セパレータ層/粘着剤層/基材層/剥離層/受像層/白色印刷層/カラー印刷層/ホットメルト接着層/水溶性剥離層/紙の10層の貼付材を製作することができる。
【0038】
貼付方法としては、前記の貼付材のセパレータ層を剥がし、粘着剤層面を被着体に貼り付けた後、貼り付けたものに、水を浸透させて水溶性剥離層を水で溶解させて紙を剥離する方法がある。
【0039】
ここで接着層転写シートに水溶性剥離層を用いるのは、被着体に貼り付ける側の粘着剤の粘着力を軽くし、使用後に軽い剥離力で紙を剥がせる様に剥離力を調整するためである。
【0040】
別の貼付方法としては、貼付材を被着体の上に貼付した後、貼付した貼付材のホットメルト層表面に水を施して、該表面を水になじませた後、ホットメルト層表面を含む被着体の表面に更に着色材料を塗る方法を採用してもよい。
【実施例】
【0041】
[実施例1]
[印刷シートの作製]
厚み6μmPET基材に対し下記剥離層1塗工液、受像層塗工液をこの順にグラビア塗布、乾燥し、熱転写可能な受像シートを作製した。さらにその上にアクリル系バインダーを使用した高隠蔽性白色印刷を厚み10μmになるよう白色印刷層を形成した。その上に、肌色カラー印刷(例としてL:60.52 a:14.25 b:21.30となる様に)を厚み3μmにカラー印刷層を形成して、印刷シート1を作製した。
【0042】
剥離層1塗工液:塗布量は乾燥後1.5g/m
アクリル樹脂 9.9部
ポリエステル樹脂 0.1部
トルエン 45.0部
MEK 45.0部
【0043】
受像層1塗工液:塗布量は乾燥後0.5g/m
アクリル樹脂 9.0部
ポリエステル樹脂 1.0部
トルエン 45.0部
MEK 45.0部
【0044】
[接着層転写シートの作製]
通常のコピー機で使用されるPPC用紙に、デキストリン水溶液を乾燥後6.0g/m
となる様にバーコーティングして水溶性剥離層を形成した。更にその上に平均粒径7μmの透明な真球状架橋ポリウレタン粒子(大日精化工業製、タイミックビーズUCN−8070CM)をウレタン樹脂バインダー100重量部に対し30重量部配合したホットメルト接着層塗工液を乾燥後厚みが4μm(粒子の3μm程度が水溶性剥離層に食い込んだ状態)になる様に塗布した接着層転写シート1を作製した。次に接着層転写シート1に対して、前記粒子配合の無いホットメルト接着層塗工液を乾燥後厚みを4μmとした以外は、同様にして接着層転写シート2を作製した。
【0045】
[伸縮貼付材の作製]
アクリル系粘着剤(アクリル酸2一エチルヘキシルエステル/酢酸ビニル/アクリル酸=85/11/4重量%の共重合体)の有機溶剤溶液を、セパレータ層(剥離紙)の片面に、乾燥後の厚みが5μmになるようにバーコーティング法で塗布し、その後、乾燥して粘着剤層を形成した。
【0046】
他方、ポリプロピレン面がエンボス加工されている上質紙をキャリア層とし、ポリエーテル型ポリウレタンエラストマー溶液を、乾燥後の厚みが5μmとなるようにバーコーティング法にて塗布、乾燥して、基材層を形成した。ポリエーテル型ポリウレタンエラストマーは、BASFジャパン株式会社のエラストラン(登録商標)ET880(ガラス転移温度:145℃)である。
【0047】
このポリウレタンエラストマーで、厚さ75μm、大きさ100mm×100mmの層材を作製し、水に24時間浸漬して膨潤度を測定したところ、5%であった。
上記で得られた基材層を、上記粘着剤層と貼り合わせて、キャリア層/基材層/粘着剤層/セパレータ層の4層構造の伸縮貼付材1を作製した。
【0048】
[貼付材の作製]
工程1:印刷シートのカラー印刷面と接着層転写シート1のホットメルト接着層面を重ね合せて熱ローラーで貼り合せ、接着層付き印刷シートを作製する。
工程2:伸縮貼付材のキャリア層を剥がす。
工程3:接着層付き印刷シートの基材を剥離面から剥がす。
工程4:伸縮貼付材の基材面と接着層付き印刷シートの剥離面を重ね合わせ、加圧加熱し、接着させ、実施例1の貼付材を作製した。
[実施例2]
実施例1の貼付材の作製において、接着層転写シート1の代わりに接着層転写シート2を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2の貼付材を作製した。
[比較例1]
実施例1で使用の印刷シート1の高隠蔽性白色印刷の厚み10μmがない印刷シート2を使用すること以外は実施例1と同様の構成で貼付材を作製した。
[比較例2]
接着層転写シートの水溶性のデキストリン層を非水溶性アクリル系微粘着層(ウレタン粒子無し)としたこと以外は接着性転写シート2と同様の構成で接着層転写シート3を作製し、実施例2と同様の構成で貼付材を作製した。
【0049】
[評価方法]
(1)ハンドリング性
貼り付け易さ 良好:○→△→×:悪い
剥がし易さ 剥がし易い:○→△→×:容易に剥がせない
(2)光沢度
光沢度計 MINOLTA GA268での60°光沢度測定した。60°での測定で、数値の大きい方が光沢がある。
(3)目立ちにくさの評価:
17mm×29mmの大きさに裁断して得られた貼付材を用いて目立ちにくさの評価を目視により行った。貼付箇所は成人女性の頬部で、被験者の貼付状態について、成人女性5名が目視で評価し、3名以上が目立ちにくいと判断した場合は、A評価、2名が目立ちにくいと判断した場合は、B評価、1名以下が目立ちにくいと判断した場合を、C評価とする。
(4)違和感の評価:
成人女性5名が頬部に貼付し、4名以上が違和感を感じない場合は、AA評価、3名が違和感を感じない場合は、A評価、2名が違和感を感じない場合は、B評価、1名以下が違和感を感じない場合を、C評価とする。
【0050】
【表1】

【符号の説明】
【0051】
1、セパレータ層 2、粘着剤層 3、基材層 4、剥離層 5、受像層
6、白色印刷層 7、カラー印刷層 8、ホットメルト接着層 9、水溶性剥離層
10、紙 11、貼付材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に剥離層、受像層をこの順に積層し、前記受像層上に白色印刷をし、その上にカラー印刷をした印刷シートと、紙に水溶性剥離層を設けたシートの水溶性剥離層の上にホットメルト接着層を設けた接着層転写シートを用意して、印刷シートのカラー印刷面と接着層転写シートのホットメルト接着層面と重ね合せて、加圧加熱することにより印刷シートと接着層転写シートを接着させて接着層付き印刷シートを作製する。
キャリア層/基材層/粘着剤層/セパレータ層の4層構造を有する伸縮貼付材のキャリア層を剥がして、伸縮貼付材の基材層面と、前記接着層付き印刷シートの基材を剥離層を残すようにして剥離して、接着層付き印刷シートの剥離層面とを重ね合せて、加圧加熱することにより基材層面と剥離層面を接着させてなる、セパレータ層/粘着剤層/基材層/剥離層/受像層/白色印刷層/カラー印刷層/ホットメルト接着層/水溶性剥離層/紙の少なくとも10層からなることを特徴とする貼付材。
【請求項2】
前記ホットメルト接着層が、ポリウレタンエラストマーからなり、前記水溶性剥離層が水溶性高分子とウレタン粒子からなることを特徴とする請求項1記載の貼付材。
【請求項3】
前記紙を剥離して水溶性剥離層を水で溶解させることにより、水溶性剥離層中のウレタン粒子がホットメルト接着層に溶着していて表面に凹凸を作ることが出来ることを特徴とする請求項2記載の貼付材。
【請求項4】
前記粘着剤層にカテキン、ヒアルロン酸、コラーゲンより少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1記載の貼付材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の貼付材のセパレータ層を剥がし、粘着剤層面を被着体に貼り付けた後、貼り付けたものに、水を浸透させて水溶性剥離層を水で溶解させて紙を剥離することを特徴とする貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−126067(P2012−126067A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281241(P2010−281241)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000237237)フジコピアン株式会社 (130)
【Fターム(参考)】