説明

質量分析装置

【課題】APCIによるイオン化を安定させ、ノイスレベルを低減して検出信号のSN比を向上させる。
【解決手段】APCIのためのニードル電極12に高電圧を印加する際に流れる電流を電流値モニタ48により検出し、この実際の電流値と制御部34より指示される電流目標値との誤差を比較器46により求め、電圧発生部47はこの誤差がゼロになるようにニードル電極12に印加する高電圧V2を調整する。電流値はAPCI領域17に存在する溶媒イオン量に依存するから、電流値が一定になるように電圧を制御することにより、APCI領域17での目的成分のイオン化が安定して行われるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は質量分析装置に関し、さらに詳しくは、液体試料をイオン化するために大気圧化学イオン化法によるイオン源を用いた質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ質量分析装置では、液体クロマトグラフのカラムから時間的に成分分離されて溶出する液体試料をイオン化して質量分析部へと導入するために、大気圧イオン化法によるインタフェイスが用いられている。広く使用されている代表的な大気圧イオン化法としては、大気圧化学イオン化法(APCI)やエレクトロスプレイイオン化法(ESI)などがある。
【0003】
APCIでは、例えば液体クロマトグラフのカラムの末端に接続されたノズルを略大気圧雰囲気にあるイオン化室内に開口して配設し、そのノズル先端の前方に針状の放電電極を配置しておき、ノズルにおいて加熱により霧化した液体試料の液滴中の分析対象成分に、放電電極からのコロナ放電により生成した溶媒イオン(バッファイオン)を化学反応させることで分析対象成分をイオン化する(特許文献1など参照)。
【0004】
一方、ESIでは、液体試料を導入するノズルの先端部に数kV程度の高電圧を印加することで液体試料中に強い不平等電界を発生させる。液体試料はこの電界により電荷分離して片寄った電荷を持ち、クーロン引力により引きちぎられるようにして霧化する。発生した帯電液滴中の溶媒は周囲の空気に触れて蒸発してゆき、その過程で分析対象成分のイオンが発生する。
【0005】
上記のようにAPCIとESIとではイオン化のメカニズムが相違するため、それぞれのイオン化法でイオン化され易い成分は同一ではない。そのため、未知の成分を含む液体試料を分析したい場合や、多種類の成分を含む液体試料を1回で分析したい場合などのために、APCIとESIとを同時並行的に実行可能なイオン化プローブも開発されている。
【0006】
上述のようにAPCIでは、放電電極に高電圧を印加してコロナ放電を生じさせることでイオン化を行う。その際に、従来の質量分析装置では印加電圧の電圧値は一定になるように制御され、これによってコロナ放電が安定して行えるようにしている。しかしながら、イオン化室内の空間電位は発生するイオン量によって変動しており、コロナ放電による溶媒ガスのイオン化効率などはその空間電位の影響を受ける。そのため、放電電極への印加電圧の電圧値を一定に維持したとしても分析対象成分のイオン化の状態は最適となるとは限らず、実際にはイオン化が不安定になるためにこれがSN比の低下や検出感度の低下の一因となっている。
【0007】
特に上述のようにAPCIとESIとを同時に行うことが可能な構成の場合、両者のイオン化効率のバランスをとる必要があることから、放電電極の位置が必ずしもAPCIに最適な位置に配置されない。その結果、コロナ放電による溶媒イオンの発生量の変動が大きくなる傾向にあり、APCIのイオン化が不安定になり易いという問題が顕著になる。
【0008】
【特許文献1】特開2002−181783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主な目的とするところは、APCIでのイオン化を安定的に行わせることで、SN比の向上を図ることができる質量分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明は、液体試料を略大気圧雰囲気中に噴霧する噴霧手段と、該噴霧手段による噴霧流の進行方向の前方にあって液体試料の溶媒分子をイオン化する放電電極と、を具備し、噴霧された液体試料中の分析対象成分と放電電極からの放電により生じる溶媒イオンとの反応により分析対象成分を大気圧化学イオン化するイオン源を有する質量分析装置において、
a)前記放電電極に電圧を印加する際に該電極に流れる電流を検出する電流検出手段と、
b)該電流検出手段により検出された電流値が目標値になるように前記放電電極への印加電圧を調整する電圧制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る質量分析装置では、電流検出手段は放電電極に流れる電流を検出し、電圧制御手段は検出された電流値が目標値に維持されるように印加電圧の電圧値を調整する。放電電極に流れる電流の値はコロナ放電により発生するイオン量と相関があり、イオン量が増加すれば電流値は増加し、イオン量が減少すれば電流値も減少する。したがって、上述のように電流値一定の制御を行うことで、発生するイオン量がほぼ一定に保たれる。これにより、分析対象成分のイオン化を安定して行うことができ、検出信号も安定してノイズレベルの低減、ひいてはSN比の改善を図ることが可能となる。
【0012】
また前述のようにAPCIとESIとを兼ねるイオン源ではAPCI単体のイオン源に比べて、放電電極への印加電圧を一定とした場合に該電極に流れる電流の変動が大きくなる傾向にある(本願発明者による検討では2倍以上の変動がある)ため、特に本発明のように電流値一定制御の効果が大きい。即ち、前記噴霧手段は噴霧される液体試料に電荷を付与するための電荷付与部を有し、前記イオン源は、前記電荷付与部により液体試料に電荷を付与しながら略大気圧雰囲気中に噴霧することで分析対象成分をイオン化するエレクトロスプレイイオン化を大気圧化学イオン化と並行して実行可能なイオン源である構成の質量分析装置について、本発明に係る質量分析装置は特に好適である。
【0013】
さらにこうした構成の質量分析装置において、前記電荷付与部に印加する電圧と前記電圧制御手段に設定すべき前記目標値との関係を分析対象成分毎に予め調べて記憶しておく記憶手段を備え、前記制御手段は該記憶手段の記憶情報に基づいて前記目標値を求め、前記放電電極への印加電圧を調整する構成とすることが好ましい。
【0014】
即ち、APCI、ESIそれぞれにおけるイオン化のされ易さは分析対象成分の極性などの特性に依存しているため、成分毎に最適なイオン化条件が異なる。そこで、予め、両者を並行して実施する際に最適な条件(噴霧手段の電荷付与部への印加電圧と、放電電極への印加電圧を決めるための電流の目標値)を予め予備実験等により調べて記憶手段に記憶しておき、実際の分析に際してはこの記憶手段の記憶情報に基づいて分析対象の成分に対応した目標値を設定することで、APCI、ESIのそれぞれにおいて最適又はそれに近い状態のイオン化を達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施例である質量分析装置を図面を参照して説明する。図1はこの質量分析装置の要部の全体構成図である。
【0016】
図1において、図示しない液体クロマトグラフのカラム出口端に接続されたイオン化プローブ(本発明における噴霧手段に相当)11やAPCI用のニードル電極(本発明における放電電極に相当)12が配設されたイオン化室10と、プレ四重極質量フィルタ28、主四重極質量フィルタ29、及び検出器30が配設された分析室27との間に、それぞれ隔壁で隔てられた第1中間真空室20と第2中間真空室24とが設けられている。イオン化室10と第1中間真空室20との間は細径の脱溶媒パイプ13を介して連通しており、第1中間真空室20と第2中間真空室24との間はスキマー22の頂部に設けられた極小径の通過孔(オリフィス)23を介して連通しており、第2中間真空室24と分析室27との間は隔壁26に設けられた小開口を介して連通している。
【0017】
イオン源であるイオン化室10の内部は、イオン化プローブ11から連続的に供給される液体試料の気化分子によりほぼ大気圧雰囲気(約105[Pa])になっており、次段の第1中間真空室20の内部はロータリポンプ31により約102[Pa]の低真空状態まで真空排気される。また、その次段の第2中間真空室24の内部はターボ分子ポンプ32により約10-1〜10-2[Pa]の中真空状態まで真空排気され、最終段の分析室27内は別のターボ分子ポンプ33により約10-3〜10-4[Pa]の高真空状態まで真空排気される。即ち、イオン化室10から分析室27に向かって各室毎に真空度を段階的に高くした多段差動排気系の構成とすることによって、最終段の分析室27内を高真空状態に維持している。
【0018】
第1中間真空室20及び第2中間真空室24の内部にはそれぞれ構造は相違するものの、いずれもイオンを後段に効率良く輸送するためのイオン光学系が配設されている。即ち、第1中間真空室20内には複数(4枚)の板状電極を傾斜状に3列に配置した第1レンズ電極21が設けられており、この電極21により形成する電場によって脱溶媒パイプ13を介してのイオンの引き込みを助けるとともに、イオンをスキマー22のオリフィス23近傍に収束させる。また第2中間真空室24内には、イオン光軸Cを取り囲むように8本のロッド電極を配置したオクタポール型の第2レンズ電極25が設けられており、これによりイオンは収束されて分析室27へと送られる。
【0019】
第1レンズ電極21、第2レンズ電極25、四重極質量フィルタ28、29にはそれぞれ第1乃至第3なる電源部35、36、37より所定の電圧が印加され、特に四重極質量フィルタ28、29には、選別する質量電荷比に応じて、所定の高周波電圧Vcosωtと所定の直流電圧Uとが加算された電圧±(U+V・cosωt)が印加されるようになっている。これら電源部35、36、37などの動作はCPUを中心に構成される制御部34により統括的に制御される。なお、図1に記載のもの以外にも、各部には所定の電圧(主として直流電圧)が印加されるようになっているが、図面が繁雑になるため記載を省略している。
【0020】
この質量分析装置の動作を概略的に説明する。ほぼ連続的に供給される液体試料はイオン化プローブ11の先端からイオン化室10内に噴霧され、後述するようにESI又はAPCIのいずれかにより試料分子はイオン化される。イオンが入り混じった微細液滴はイオン化室10と第1中間真空室20との差圧により脱溶媒パイプ13中に引き込まれ、加熱されている脱溶媒パイプ13を通過する過程でさらに溶媒の気化が促進されてイオン化が進む。第1レンズ電極21により形成される電場の助けを受けてイオンは第1中間真空室20内に入り、収束されてオリフィス23を通して第2中間真空室24に送られる。
【0021】
第2中間真空室24内ではオクタポール型の第2レンズ電極25により形成される電場の作用により、さらにイオンは収束されて分析室27へと送られる。分析室27内では、各ロッド電極に印加されている電圧により決まる特定の質量電荷比を有するイオンのみが、四重極質量フィルタ28、29の長軸方向の空間を通り抜け、それ以外の質量電荷比を持つイオンは途中で発散する。そして、四重極質量フィルタ28、29を通り抜けたイオンは検出器30に到達し、検出器30ではそのイオン量に応じた電流信号を検出信号として出力する。
【0022】
次に、本実施例の質量分析装置の特徴であるイオン源の構成及び動作について、図2、図3を参照して説明する。図2はイオン源の詳細構成及びこれに関連した制御系の構成図である。
【0023】
イオン化プローブ11の先端部は、内側に液体試料が流通するキャピラリ管11a、外側にネブライズガスが供給されるネブライズガス管11cが配設された同軸二重管構造となっており、キャピラリ管11aの周囲には液体試料に片寄った電荷を付与するための電極(本発明における電荷付与部に相当)11bが設けられている。イオン化プローブ11からの液体試料の噴霧流の進行方向の前方にはニードル電極12が配設されており、またこの噴霧流の中心軸とほぼ直交するように脱溶媒パイプ13の入口にあたる吸入口13aが設けられている。この吸入口13aの周囲は乾燥ガスの噴出口14となっており、吸入口13aに吸い込まれるイオンや帯電液滴に向けて乾燥したNガスが吹き付けられ、これによって溶媒の蒸発が一層促進される。噴霧流のさらに前方にはドレイン15が設けられ、気化溶媒や微細化されなかった液滴などがイオン化室10の外部に排出される。
【0024】
イオン化プローブ11の電極11bに高電圧V1(通常数kV程度)を印加するための第4電源部40と、ニードル電極12に高電圧V2を印加するための第5電源部44とは独立に設けられ、制御部34によりそれぞれ制御される。第4電源部40は制御部34から与えられる目標電圧値(デジタル値)をアナログ値に変換するD/A変換部41と、そのアナログ値に応じた電圧を出力する駆動アンプ42と、を含む。したがって、イオン化プローブ11の電極11bには、制御部34より設定された目標電圧値に対応する高電圧V1が第4電源部40から印加されることになる。
【0025】
電極11bに高電圧V1が印加されると、それによる不平等電界がキャピラリ管11a内を流れる液体試料に作用し、液体試料は片寄った電荷を付与される。そして、この液体試料中の電荷によるクーロン力に加えネブライズガス管11cから噴出するネブライズガスの助けを受け、液体試料は微小な帯電液滴としてイオン化室10内に噴霧される。帯電液滴はイオン化室10内で残留ガス分子に衝突したりクーロン斥力により分裂し、次第に溶媒が蒸発して微細化してゆく。そして、こうした過程の中で、主としてESI領域16で分析対象成分(ESIによりイオン化され易い成分)はイオン化される。
【0026】
一方、第5電源部44は、制御部34から与えられる電流目標値(デジタル値)をアナログ値に変換するD/A変換部45と、ニードル電極12に印加される高電圧V2によって流れる電流値を検出する電流値モニタ(本発明における電流検出手段に相当)48と、D/A変換部45の出力であるアナログ値(目標値)と電流値モニタ48で得られたモニタ値とを比較する比較器46と、該比較器46による誤差がゼロになるように出力電圧を調整する電圧発生部47と、この出力電圧をモニタしてデジタル値として出力する出力電圧モニタ49と、を含む。ここでは、比較器46及び電圧発生部47が本発明における電圧制御手段に相当する。制御部34が第5電源部44に対して電流目標値を設定すると、ニードル電極12に流れる実際の電流値がその目標値と一致するように出力の高電圧V2が調整される。
【0027】
ニードル電極12にこの高電圧V2が印加されるとコロナ放電が発生し、イオン化プローブ11から噴霧された液体試料中の溶媒分子がイオン化されて溶媒イオンが多数生成される。この溶媒イオンが試料成分分子と化学反応を生じることで、主としてニードル電極12先端近傍のAPCI領域17で試料成分(APCIによりイオン化され易い成分)はイオン化される。ニードル電極12に流れる電流は主としてAPCI領域17に存在する溶媒イオンの量に依存するが、第5電源部44は電圧を一定に維持するのではなくこの電流値が一定になる(電流目標値が一定である場合)ように電圧値を調整するので、APCI領域17での溶媒イオンの量は大きく変動することなく安定し、APCIによるイオン化も安定して行われる。
【0028】
上記のようなイオン化に際して、ニードル電極12へ印加される高電圧V2は変化する。この電圧値もイオン化条件の1つであるから、後で分析の妥当性を検討したり分析条件を見直したりする場合に、その分析におけるニードル電極12への印加電圧を確認できるようにしておく必要がある。そこで、分析が開始されると、制御部34は第5電源部44の出力電圧モニタ49から出力電圧値を時々刻々と受け取り、これを分析条件のログとして保存しておく。こうして保存した分析条件のログは分析により取得したデータと対応付けられており、これにより実際のデータと対応した分析条件の検証が可能である。
【0029】
具体的に制御部34は次のようにして上記のような制御を達成することができる。即ち、ESI、APCIともに、各種成分のイオン化され易さはその成分の極性などに依存するため、異なる成分ではイオン化の最適条件が相違するのが普通である。そこで、予め予備実験等により、分析対象とする可能性のある各種成分について、ESIとAPCIとを同時に行う際に各イオン化が最適に行われるようなプローブ印加電圧とニードル電極の設定電流値との関係を調べておく。例えばその関係は図3に示すようになる。そして、この関係に基づいてテーブルを作成し、試料成分に対応して読み出し可能であるようにデータベース化して、制御部34に付設された記憶装置に保存しておく。もちろん、テーブル化せずに近似計算式を求めて、これを記憶する等の適宜の変形が可能である。
【0030】
実際の分析に対して分析対象の成分が特定できる場合には、上記記憶装置からその成分に対応するテーブルを読み出し、外部より設定された又は自動調整機能により設定されたプローブ印加電圧に対するニードル設定電流値を求めることで電流目標値を第5電源部44に設定する。液体クロマトグラフ質量分析装置のように時間経過に応じて質量分析装置に導入される試料成分が順次変化する場合には、予め定性分析によりその成分の変化を調べておき、次にその成分の変化に応じて電流目標値を変化させればよい。また、成分が不明である場合には、標準的な電流目標値を設定できるようにしておけばよい。
【0031】
以上のようにして本実施例の質量分析装置では、ESIとAPCIとを同時並行的に実行する場合でも、ESI領域16、APCI領域17でそれぞれ最適又はそれに近い状態でイオン化が行われるように、イオン化プローブ11の電極11b及びニードル電極12に印加する電圧を制御することができる。
【0032】
なお、上記説明は、ESIとACPIの両機能を併せ持つイオン源を備える場合についてであるが、APCI単体のイオン源でも同様の制御により、最適又はそれに近い状態でAPCIのイオン化が可能であることは当然である。
【0033】
また、上記実施例は本発明の一例であるから、本発明の趣旨の範囲で適宜変更や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施例による質量分析装置の要部の全体構成図。
【図2】本実施例の質量分析装置におけるイオン源の詳細構成及びこれに関連した制御系の構成図。
【図3】プローブ印加電圧とニードル電流値との関係を示す図。
【符号の説明】
【0035】
10…イオン化室
11…イオン化プローブ
11a…キャピラリ管
11b…電極
11c…ネブライズガス管
12…ニードル電極
13…脱溶媒パイプ
13a…吸入口
14…噴出口
15…ドレイン
16…ESI領域
17…APCI領域
20…第1中間真空室
21…第1レンズ電極
22…スキマー
23…オリフィス
24…第2中間真空室
25…第2レンズ電極
26…隔壁
27…分析室
28…プレ四重極質量フィルタ
29…主四重極質量フィルタ
30…検出器
31…ロータリポンプ
32、33…ターボ分子ポンプ
34…制御部
35、36、37、40、44…電源部
41、45…D/A変換部
42…駆動アンプ
46…比較器
47…電圧発生部
48…電流値モニタ
49…出力電圧モニタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料を略大気圧雰囲気中に噴霧する噴霧手段と、該噴霧手段による噴霧流の進行方向の前方にあって液体試料の溶媒分子をイオン化する放電電極と、を具備し、噴霧された液体試料中の分析対象成分と放電電極からの放電により生じる溶媒イオンとの反応により分析対象成分を大気圧化学イオン化するイオン源を有する質量分析装置において、
a)前記放電電極に電圧を印加する際に該電極に流れる電流を検出する電流検出手段と、
b)該電流検出手段により検出された電流値が目標値になるように前記放電電極への印加電圧を調整する電圧制御手段と、
を備えることを特徴とする質量分析装置。
【請求項2】
前記噴霧手段は噴霧される液体試料に電荷を付与するための電荷付与部を有し、前記イオン源は、前記電荷付与部により液体試料に電荷を付与しながら略大気圧雰囲気中に噴霧することで分析対象成分をイオン化するエレクトロスプレイイオン化を大気圧化学イオン化と並行して実行可能なイオン源であることを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項3】
前記電荷付与部に印加する電圧と前記電圧制御手段に設定すべき前記目標値との関係を分析対象成分毎に予め調べて記憶しておく記憶手段を備え、前記制御手段は該記憶手段の記憶情報に基づいて前記目標値を求め、前記放電電極への印加電圧を調整することを特徴とする請求項2に記載の質量分析装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−53020(P2008−53020A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227267(P2006−227267)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】